○佐々木(秀)
委員 私は各
証人に価格の問題について同じような質問を繰り返してきたのでありますが、どうしても現在の小学校や
中学校の本が高いという観念を私は今でも捨て切れないのです。それはどういう点からそういうことを申し上げるかというと、この前石井
証人にも申したのですが、普通の嗜好物や何かと違うので、小学校の
教科書というものはどうしてもなくてはならないもので、たとえば人間の食事と一緒のことなんです。これを買わないで学校に行くわけにはいかない。どうしても買わなくちゃならぬものですから、最も安くしなければならぬということが私の根本的な考え方であります。先般の
証人にも私は例をあげたのですが、ちょうど私らが小学校に通っておるときにも、——これは間違ってはいかぬと思って、この前調べました。そうすると、私のときの修身の値段が三銭でした。国語の値段が六銭でございました。その時代のほかの物価指数を調べてみると、はがきが一銭五厘でありました。それから、先日鉄道運賃の例もあげたのですが、一キロ当りの当時の価格と現益の価格を比較すると、百八十倍に鉄道運賃がなっております。はがきが、一銭五厘が五円ですから、三百数十倍になっております。そうすると、三銭や六銭だった本が今八十五円、九十円で、物価指数から言って千何百倍になっておるわけでしょう。本だけはなぜこんなに高く売らなければならぬかと私は思うのです。先ほどから運賃がどうだとかなんとか言いますが、本の運賃なんというものは、一軒々々に新聞を配達するようなものではございません。この運賃なんというものは、汽車でどっと積むのですから、
全国に二億四百万冊も輸送するのですから、運賃は一冊にすれば、何銭にもならぬのです。それよりも、根本は、要するに、
発行所が相当の利潤があるということ、要らない経費をたくさん使っておるということ、こういうところに私はあると思うのであります。その点について、
証人から現在の本は高いという
証言をまだ得ておりません。ただ、先ほど言ったところの線でいけば幾分安くなるであろうという御
証言はいただいておるのですが、そんなことでは私は承知できないのです。ただ経費の四%とか五%とかでなく、できるならば現在の半額くらいまでいけるというような考え方を持っておるのです。実例をあげますが、この間教職員組合が夏休みの、おさらいの本を実費頒布だと称して十八円で頒布をやっておるのです。本屋さんに行って、どのくらいかかるかと聞いてみました。これはほんとうのざら紙ですから、紙代は大体四円かかる、印刷や何かが四円で、八円だと言う。その他製本なんかはわずかなものです。
宣伝費を使ったって、おそらく十円かからないだろう。そして、これが十八円で児童に実費頒布だと称して売られておる。もう
一つの
業者のやっておる夏のおさらい帳をとってみました。この方はざら紙とは違ってまっ白で、こっちの方が全然いい。紙から言っても、印刷から言っても、また裏に色彩を入れてやっております。これはもうける方の
会社で、青葉書房ですか、ここで出しております。これは幾らかというと、二十五円です。
発行所から各学校へおろすのにどのくらいでおろしているかといったら、十三円から十五円でおろしている。こんな商売は私は初めてだ。もちろん一割、二割という利潤ならいいけれども、十三円でおろされたものが二十五円で売られている。私は、こういうものがすべて学校の教員が悪いと喜べのではなくて、今どうしてもなくてはならない小学校、
中学校の本を利用して、
発行所も、あるいは
供給する人も、たまたまいろいろな新聞に出たようなことが学校の
先生の一部にでもあるとするならば、これらの人がぐるになってこれらの本を食っているということなんです。しかも、日本の置かれている経済状態から言うと、非常に日本の
国民の生活は困っておる。ことに労働組合の
人たちは〇・一五とか、あるいは〇・二五とか、いろいろ夏季手当や年末手当の十円か千五百円をもらうのにも、ストライキをもって要求しているような苦しい生活です。そういう
人たちが、こんなものに暴利を取られて、子供が三、四人いれば、年に三千、四千と取られる。こういうところにも私は日本の労働者の生活を幾分でも楽にすることができるものがあると思う。日本には恵まれざる人が多いわけであります。本の価格に対してもっとみんなが真剣に取り組まなければならぬと思うのでありますが、なあに、そうしたものは大したものでないという
意味の
証言も今まで発言されております。それからまた、こんなものは枝葉末節だという考え方の人もあるようであります。しかし一冊十円、二十円としても、これが二億四万冊というような
教科書の数になる。そのほかにこういうものを数えますと、おそらく三億冊以上の数になるというならば、たとい三円違っても一円違っても莫大な数になるのであります。私は、こういう点から、価格のことをこの
委員会ごとに叫んできているのでありますが、
証人は、こういう私の言い方をお聞き願いまして、なるほどこれは高いな、これはどうしても安くしていかなくらやならぬといりようなお考えになりましたかどうか、それとも、今までこの本の価格というものに対しては御
研究がなかったか、
関心がなかったか、価格というものは
教育の全般から見るとそれほど大きな問題でない、こういうお考え方でございますか、そういう点に対しての価格の部面に対する
証人の御
証言をいただきたいと思います。