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1955-06-29 第22回国会 衆議院 行政監察特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月二十九日(水曜日)     午前十時四十六分開議  出席委員    委員長代理理事 高木 松吉君    理事 南  好雄君 理事 山中 貞則君    理事 山田 長司君 理事 神田 大作君       濱野 清吾君    松岡 松平君       山本 猛夫君    米田 吉盛君       塚原 俊郎君    徳安 實藏君       福井 順一君    井手 以誠君       高津 正道君    辻原 弘市君       西村 力弥君    大西 正道君       小林 信一君    小山  亮君  委員外出席者         証     人         (学校図書株式         会社社長)   川口芳太郎君         証     人         (大日本図書株         式会社常務取締         役)      早川 康一君     ————————————— 六月二十九日  委員小山亮君及び徳安實藏君辞任につき、その  補欠として小林信一君及び荒舩清十郎君が議長  の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  小、中学校における教科書関係事件     —————————————
  2. 高木松吉

    高木委員長代理 これより会議を開きます。  前会に引き続いて小、中学校における教科書関係事件について調査を進めます。直ちに証人川口芳太郎君より証言を求めることにいたします。  川口証人に申し上げます。宣誓趣旨等については前回十分御了承のことと存じますが、念のためあらためて申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことと相なっております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が、証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあった者、及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあった者が、その職務上知った事実であって黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになっております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは三月以上十年以下の懲役に処せられることとなっておるのであります。一応このことを御承知になっておいていただきたいと思います。  では、法律の定めるところによりまして、証人宣誓を求めます。御起立を願います。宣誓書の御朗読を願います。  〔証人川口芳太郎朗読〕  良心に従って、真実を述べ、何事もかくさず、また何事もつけ加えないことを誓います。
  3. 高木松吉

    高木委員長代理 それでは、宣誓書署名捺印してください。   〔証人宣誓書署名捺印
  4. 高木松吉

    高木委員長代理 これより証言を求めることになりますが、証言証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際にはその都度委員長の許可を得てなされるようお願いいたします。なお、こちらから質問をしておるときはおかけになっていてよろしゅうございますが、お答えの際は御起立を願います。  松岡松平君。
  5. 松岡松平

    松岡(松)委員 川口証人にお尋ねしたいのですが、証人社長をしておられる学校図書株式会社原町工場コットレル社モデル・マシーンと申しますか、この機械によって、従来の印刷技術等の上に具体的にどういう——たとえば小学校中学校高等学校教科書一冊について原価の上にどれだけの引き下げを行うことができたか、それから、その技術の最も特徴とする点をお話し願いたいと思います。
  6. 川口芳太郎

    川口証人 これは最初の技術導入でありまして、今結果的には具体的に出ておりませんが、見込みといたしますと、三割から四割ぐらい引き下げができると思います。  それから、この特徴といたしましては、まず活字の精確にできること、今までわが国では公差が千分の一以上を認めておりましたが、私の方のこの技術でいきますと万分の一の公差まで圧縮できるわけです。それから、色刷りにいたしましても、日本ではまだほんとうの、たとえば赤いとか青いとか黄色いという原色がないのでありますけれども、今度新技術導入によりまして、原色によって中間色を出していくシステムになっております。従いまして、写実、つまり印刷の方で非常に正確なかつシャープなものが印刷されるわけであります。
  7. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうすると、ここにあなたから提出されておる学校図書株式会社小学校国語二年上の本があります。これには定価八十円と書いてあります。このほかの会社でも作って売っているこれと同種のものも八十円で売っておるとすれば、そのあなたの機械によって生じた三割ないし四割のコスト引き下げは、直ちにあなたの方の実際上の利益として計上されていくわけですか。
  8. 川口芳太郎

    川口証人 ただいま申し上げましたコストの点は、印刷製本料金だけの問題でありまして、教科書全体は、御承知通り資材というものが非常にたくさん要ります。また配給上のコストがかかるのでありまして、印刷製本の上からいって三割か四割引き下げることができる、こういうわけであります。
  9. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうすると、この新機械並びに新技術導入によって印刷費用は三割ないし四割引き下ったということは、具体的に教科書販売価格の上にどういう影響をもたらしたのですか。
  10. 川口芳太郎

    川口証人 先ほども申した通り、まだ結果的に出ておりませんけれども、今年とりあえず、二%定価引き下げました。
  11. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうすると、このモデル・マシーンが入って稼動に至ったのは何年何月ごろからですか。
  12. 川口芳太郎

    川口証人 昨年十一月からでございます。
  13. 松岡松平

    松岡(松)委員 そういたしますと、資料に出ておりますが、それまではあなたの方から相当たくさんな外注工場を御利用になっております。これだけの外注工場に出ておった部数というものが外注工場に出なくなったために、これらの人々はこれだけの受注を失ったということになっておるわけですか。
  14. 川口芳太郎

    川口証人 若干減っておりますけれども現在すぐに全部が減っているわけではございません。
  15. 松岡松平

    松岡(松)委員 これはあと委員長の手元に本人から提出すると思いますが、この資料のうちに、外注工場を六十二社利用になっておるが、そのうち今利用されておるのは何社くらいですか。
  16. 川口芳太郎

    川口証人 はっきり今出しておりませんが、半数くらいじゃないかと思います。
  17. 松岡松平

    松岡(松)委員 さらに、この技術の習熟並びに進歩によって、これから先どの程度コスト引き下げが可能ですか。
  18. 川口芳太郎

    川口証人 これは企業もくろみ予想でありますけれども、七%ないし八%くらい引き下げが可能じゃないかと思います。
  19. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうすると、このモデル・マシーンの輸入によって現在の教科書コストが七%ないし八%というのは、完成された本の上のトータルの原価を言っておられるのでしょうね。
  20. 川口芳太郎

    川口証人 さようでございます。
  21. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうすると、あなたの方でマシーンが輸入されたことによって、今後教科書が少くとも七%ないし八%、やがては一割に近い数字は引き下げになる可能性はあるのですね。
  22. 川口芳太郎

    川口証人 見通しとして持っております。
  23. 松岡松平

    松岡(松)委員 しからば、現在の他の設備及び技術をもってして、それは可能ですか、可能ではありませんか。
  24. 川口芳太郎

    川口証人 同じ力と申しますか、同じ条件では他の方はそうできないと思います。
  25. 松岡松平

    松岡(松)委員 それでは、角度を変えてお尋ねいたしますが、あなたがこの前の供述の際に話された、ばらばらですね。そのときには、こののこ切りが磨滅しておったために起った現象だとおっしゃったのですが、こののこ切り一体どのくらい使えるのですか。
  26. 川口芳太郎

    川口証人 順調に機械が回っておりまして十二時間でございます。
  27. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうすると、十二時間で取りかえるのですね。
  28. 川口芳太郎

    川口証人 取りかえます。
  29. 松岡松平

    松岡(松)委員 この間は、部数は私ははっきり記憶いたしておりませんが、万以上の部数、何万かの部数が出されて、ばらばらで返本になり、そのために非常な不平も起り、不満も起ったということを証人もお認めになっておったが、あなたの工場では検査設備というものはあるのですかないのですか。
  30. 川口芳太郎

    川口証人 これは非常に申訳ない結果になったのでありますけれども、お尋ねの検査設備はあります。が、その検査も行き届かなかったわけでございます。
  31. 松岡松平

    松岡(松)委員 少くともこれだけの莫大な資本を投じて導入したこのモデル・マシーンで操業するに当って、工場には工場長もあり、あるいは幹部職員もあり、また検査設備も完備しておって、何万部かのものが不注意にも国民の手に渡っていくまで、一体検査は、不注意とは受け取れないのですが、故意じゃないですか。
  32. 川口芳太郎

    川口証人 その点は、私以下全員の怠慢であったことは申しわけないと思っております。
  33. 松岡松平

    松岡(松)委員 今何万と申しましたが、印刷は約千二百五十万冊で、これは積み上げたらたいへんなものですよ。しかも十二時間に一ぺんずつこののこを取りかえるということは、私も長い工場経験を持っておりますが、一ぺん誤まるということはあるかもしれない、しかしながら、一週間も連続して使ってそれに気がつかなかったということになると、あなたのところの原町工場一体工場長という者がおるのですか。幹部職員は何人おるのですか。それをちょっと話して下さい。
  34. 川口芳太郎

    川口証人 ただいまの一千二百何十万冊というのは総仕上高でございます。ミスを犯したものは六万何がしでございまして、全く一日間の誤まりであったことは間違いがございません。
  35. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうすると、一回だけの不注意だったということに帰着するのですか。これは間違いございませんか。
  36. 川口芳太郎

    川口証人 間違いございません。
  37. 山中貞則

    山中委員 関連して。今のあなたの御答弁は少しおかしいですよ。この問御答弁になったときには、このばらばら原因を作った機材を不注意に使用した期間を何日から何日までとおっしゃったか、ちょっとはっきりしませんが、約一週間くらいの期間それだけのミスがあったのだ、こういうことをあなたは御証言になったのですが、きょうは、たった一回きり、こういう話があった。一州きりで六万何千冊ができるわけはない。十二時間にそれだけの消化能力があるわけはないじゃありませんか。
  38. 川口芳太郎

    川口証人 その間にそういう間違いがあったということは、あとから調べた結果、その期間中に間違いがあったという意味でありまして、その点どうぞ……。
  39. 松岡松平

    松岡(松)委員 その点、今山中委員から関連質問があった通りなのですが、一体一日の能力は何ほどあるのですか。
  40. 川口芳太郎

    川口証人 十二時間くらい作業しますと、大体八万部くらいです。
  41. 松岡松平

    松岡(松)委員 このところは大切な問題ですが、想像とか仮定でなく、現実に原町工場は問題の部数の本を印刷しておったときには一日どれだけずつ作っておりましたか。
  42. 川口芳太郎

    川口証人 私、ちょっと調べて参りませんでした。
  43. 松岡松平

    松岡(松)委員 このことについて、証人は、社長として現場に出向いて、その事故の起った原因、その状態責任者等について取調べ並びに処分等の方途を講じた事実はありますかありませんか。
  44. 川口芳太郎

    川口証人 はなはだうかつでありますけれども、配本先から苦情が出て会社が知ったような怠慢ぶりだったのであります。従いまして、私が調べたときには、もうすでに三カ月も後のことでありまして、従業員の言うことも、私ちょうどここで苦しい申し上げをしているように、非常にあいまいな点があるのであります。従いまして、私としては、非常に遺憾でありますが、この処置につきましては、本人もやめさしてくれろと言いますし、職長もやめろというような態度であったのであります。従業員組合といたしましても、こういう失態を起したのだからやめさしてかまわぬというところまで実は参りましたが、私は、一昨日も申し上げました通り、これをむしろ貴重な経験として生かしてもらいたいということを懇々とさとしまして、現在その職にとどまっております。
  45. 松岡松平

    松岡(松)委員 それはどなたですか。その名前、さらに役柄をつけ加えて下さい。
  46. 川口芳太郎

    川口証人 責任者西川清雄でございます。工員といたしましては、ちょっと今名前を思い出せません。役柄西川製本部長でございます。工員は実際機械使用者でございます。
  47. 松岡松平

    松岡(松)委員 当時の検査部長は何という人ですか。
  48. 川口芳太郎

    川口証人 検査部長中村佐雄と申します。
  49. 松岡松平

    松岡(松)委員 この中村責任はないのですか。
  50. 川口芳太郎

    川口証人 もちろん、検査の方からも、てんまつ書なりを書いて、私にあてて進退伺いも出ておりましたですが、何分にも数が多かったわけで、実はそういうことがあるとは全然予知ができなかったために、そういう結果になったのであります。
  51. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうすると、六万冊のこういう不良本は全部お取りかえになりましたか。
  52. 川口芳太郎

    川口証人 全部取りかえまして、これは文部省にも四回にわたって報告をいたしてあります。
  53. 松岡松平

    松岡(松)委員 それでは、角度を変えてお尋ねいたしますが、あなたのところの学校図書株式会社図書印刷株式会社、両方の会社の現在の投下資本に対する利益率はどのくらいになっておりますか。
  54. 川口芳太郎

    川口証人 これは、その決算期にもよりますけれども、大体三割から四割の資本に対する利益率になっております。
  55. 松岡松平

    松岡(松)委員 あなたの方は、教育関係寄付をしているとか、あるいは援助しているとかというものはないのですか。
  56. 川口芳太郎

    川口証人 直接寄付は現在はいたしておりませんです。著者団体に対しましては印税を支払っております。
  57. 松岡松平

    松岡(松)委員 著者団体印税を払うと言って、それは著者印税を払うのは取引ですから当りまえです。私の申し上げているのは、この教育関係にあなたは公共に尽すという意味において何か寄付とか援助とかというものを具体的にしておられますかと聞いている。
  58. 川口芳太郎

    川口証人 若干しておることはしておりますけれども、具体的には、今ちょっと資料がありませんので、申し上げられません。
  59. 松岡松平

    松岡(松)委員 それでは、あなたの方の原町工場工員に対する平均ベースはどのくらいになっておりますか。
  60. 川口芳太郎

    川口証人 一万一千円くらいのベースでございます。本社の方は一万四千円のベースであります。
  61. 松岡松平

    松岡(松)委員 さっきに戻りますが、問題のこのばらばらの本は全体でどのくらい刷ったのですか。そしてその不良本比率はどういうことになるのか、何%になるか。
  62. 川口芳太郎

    川口証人 先ほど申し上げましたように、一千二百三十四万冊だと思いますが、それに六万幾らですから、〇・五%くらいに当るらしいです。
  63. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうすると、小学校国語二年生上の分が一千二百五十万冊ですか。
  64. 川口芳太郎

    川口証人 それは全科目を通じての総数量でございます。ことし配本した総数量であります。
  65. 松岡松平

    松岡(松)委員 全く、そうなると、ばくとするのですが、私の聞きたいのは、問題になった本は小学校国語二年生上ですか、そうすると、この本の全数とその不良本との比率を聞きたいのです。
  66. 川口芳太郎

    川口証人 その国語上だけでなくて、ほかにもまだ若干あったわけであります。
  67. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうすると、小学校国語二年生上のほかにもあった。それは六万冊の外ですか内ですか。
  68. 川口芳太郎

    川口証人 内でございます。
  69. 松岡松平

    松岡(松)委員 小学校国語二年生上の総数くらいはわかりそうなものですな。あなたのところの印刷物全部が千二百五十万冊ですか、そのうちの〇・五などと言われたら、これは大へんな不良ですよ。およそ近代工業で、こんな不良を出しておったら商売になりませんよ。  もし今わからなければ、いずれ証人が帰られてからこの関係資料として提出願うように、委員長から申しつけ願いたいと思います。  それでは、さらに別の質問を続けます。さらにお伺いしますが、あなたのところは、なかなか文部省古手がお好きなようで、たくさん入れておられる。しかし、大日本印刷その他の印刷会社にも入っておるようですが、その点について、あなたの知っておられる限りをここに話していただきたい。あなたの分も当然ですが、あなた以外の会社にも古手が何ほどどういう名前で入っておるか、言って下さい。
  70. 川口芳太郎

    川口証人 一々の会社にだれそれが入っておるということは、調べてみないとわかりませんが、大方を見まして、今各教科書会社とも、多かれ少かれかつて文部省におられたような方の関係している会社が大部分じゃないかと思います。
  71. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうすると、ざっくばらんに伺いますが、あなた方は結局文部省との関連が絶えずあるのだが、一体そういう古手を入れなければ商売にならぬのですか、なるのですか。そこのところをお聞きしたい。
  72. 川口芳太郎

    川口証人 私のところの会社の方針というものは、文部省の規定とか文部省関連においてかつての人をお願いしておるわけではありません。一昨日申し上げましたように、家庭教育学校教育社会教育、このつながりをまず知らないと、完全な教科書ができないと言っても過言ではないと思うくらい、実は必要を感じておるわけであります。それと、もう一つは、各科目ごとつながりがない。たとえば、国語と算数と社会と理科とのつながりがない。そのつながりは、実際編集に当る人よりも、むしろ文部省にいた老練な人たちにそういうつながりの方をやってもらう。そこに一つ編集上の妙味を出す。要するに、よくて安いために使うという以外には、文部省関係のことについて私の方では考えておりません。
  73. 松岡松平

    松岡(松)委員 よく世間にあるのですが、役所の古手を置いて、名前だけは取締役出社随意、月給だけ払って、高等政策だけやらしておる、そういう役員ではないのですか。
  74. 川口芳太郎

    川口証人 お答えいたします。文部省的に言えば教科書発行の行政は文部省にあるかもしれませんけれども、現在の検定教科書は、文部省によって指示なり認可を受けることもありますけれども、直接文部省からの関係はないと言っても過言でないくらいなんです。検定にパスするとかなんとかいうことがあるんじゃないかとおっしゃるかもしれませんが、実は、私どもは文部省のパスなんということは問題に考えておらないのでございます。
  75. 松岡松平

    松岡(松)委員 証人は元警察出ですか。
  76. 川口芳太郎

    川口証人 私は幼少のころから印刷と出版だけでございます。
  77. 松岡松平

    松岡(松)委員 文部省からあなたの方へたくさん来ておられますが、一体みなデスクを持って具体的に事務をやっておられるのですか。
  78. 川口芳太郎

    川口証人 事務をやっている人もありますし、一週間に一ぺんくらい出てきておる人もあります。
  79. 松岡松平

    松岡(松)委員 一週間に一ぺんくらいずつ出ている人の名前をあげて下さい。
  80. 川口芳太郎

  81. 松岡松平

    松岡(松)委員 このせちがらい世の中に、一週間に一ぺんずつ出てくる人の役柄は重役ですか。
  82. 川口芳太郎

    川口証人 会社の嘱託でございます。
  83. 松岡松平

    松岡(松)委員 取締役でありませんか。
  84. 川口芳太郎

    川口証人 取締役としましては近藤寿治氏があります。
  85. 松岡松平

    松岡(松)委員 これは執務状態はどうですか。
  86. 川口芳太郎

    川口証人 近藤氏は当社編集の一部と外国教科書調査に当っております。
  87. 松岡松平

    松岡(松)委員 それでは、別の角度でお伺いいたしたいと思うのですが、いつごろですか、あなたのところへ教育新聞とかの社長が三百万円か金を借りに行って断わられた、その腹いせに、大いに学校図書会社を暴露攻撃しているといううわさを、ほかから私は聞いたのですが、三百万円の借り入れを申し込まれたことがあるかないか。あったら、その日時、そのときの話の模様をお聞かせ願います。
  88. 川口芳太郎

    川口証人 日本教育新聞社長が、昨年秋ごろ私のところへ見えまして、教育新聞事業のために事業資金がほしいのだ、同じ教育関係の仕事をしているのだから、三百万円ほど融通してくれないか、こういう話がありました。私は、日ごろ忙しいのと、融通条件というものがあるんじゃないかということを感じまして、それを他の者に一応話を移しました。   〔高木委員長代理退席南委員長代理着席〕 その後絶えてその話は聞かなかったのでありますけれども、本年一月か二月ごろに、ほかの者から、どうしようかというような相談を受けました。私は、その判断はつかないので、あなたのお考えでやって下さいと申しておきました。それが一月下旬か二月ごろだったと思います。その程度であります。
  89. 松岡松平

    松岡(松)委員 その金の借り入れを申し込んだのは一月の末ということですか。
  90. 川口芳太郎

    川口証人 申し出は、昨年秋、十月ごろだと思います。
  91. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうすると、その人の名前は何というのですか。
  92. 川口芳太郎

    川口証人 山根健男でございます。
  93. 松岡松平

    松岡(松)委員 そのときは、単純なる事業資金融通方で、それをあなたの方が断わった。一、二月ころどうしようかという話が、ちょっとわからないのですけれども、そこを……。
  94. 川口芳太郎

    川口証人 私に話があったのは昨年秋でございます。山根に話を移してから、話を絶えて私は聞いておりませんでした。ところが、一月の下旬ころ、山根から、融通する条件がこうでああでというような話がありました。その辺は私にわからないから、おまかせするからという意味で話を移したままになっておったわけです。
  95. 松岡松平

    松岡(松)委員 山根というのは、新聞社社長でなくて、あなたとどういう関係の人なんです。
  96. 川口芳太郎

    川口証人 当社専務でございます。
  97. 松岡松平

    松岡(松)委員 そう持って回らぬで、専務にこう言ったと言っていただけば、非常に速記もうまい工合にいくんですが、あなたはまるでけつの所からものを言われるから、話が長くなって困るのですよ。もっと簡単に言って下さい。山根に移したとか移さぬとかいうことになると、わからなくなってしまう。  そうすると、もう一ぺん聞きます。昨年の秋ころ教育新聞社長から三百万円の事業資金融通方を頼まれた、頼まれたについて、自分の専務にその話を移した、専務はどうしようかと言ったから、適当にやってくれとあなたが言った、こういう意味なんですか。
  98. 川口芳太郎

    川口証人 さようでございます。
  99. 松岡松平

    松岡(松)委員 専務はその結果どうしたのですか。
  100. 川口芳太郎

    川口証人 その結果断わったように聞いております。
  101. 松岡松平

    松岡(松)委員 だって、専務に話を移すということは、社長専務のいいようにしかるべくやれと言った以上は、貸す気があったんじゃないですか。
  102. 川口芳太郎

    川口証人 私は条件によって貸していいと思いました。
  103. 松岡松平

    松岡(松)委員 条件というのは、具体的に言ってどういうことですか。
  104. 川口芳太郎

    川口証人 正しい事業資金であるという見通しが、それから返済の見通しがはっきりしていれば、こういう意味でございます。
  105. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうすると、専務とその新聞社長との話し合いが、正しい事業資金じゃないということを発見したんですか。
  106. 川口芳太郎

    川口証人 いくら正しいと思いましても、世間というものがありますので、あるいはそう判断したかもしれません。
  107. 松岡松平

    松岡(松)委員 あなたの知られたことをお答えになればいいので、知られないことを想像をまじえられぬ方がいい。証人は事実を答えられればよろしいので、意見を加えられる必要はありません。  そこで、あなたの専務からどういう報告を受けられましたか。私は誘導するのではないですよ。どういう話があって、これはこうだと思ったから断わったというように、具体的事実について言って下さい。
  108. 川口芳太郎

    川口証人 お許し願えるなら、本人が本日うしろの方に傍聴しているわけなんですが、ちょっとその辺から聞いていただけませんでしょうか。
  109. 南好雄

    南委員長代理 委員の皆さんにお諮りいたします。専務が傍聴しているそうですが、昨日もそういう例があったそうです。その事実を確かめて、証人の口から返事をさせて差しつかえありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  110. 南好雄

    南委員長代理 それでは、山根専務がおいでになりましたら、どうど事実の打ち合せをお願いいたします。  ついでに、ここは大事なところですから制限するつもりはありませんが、松岡委員にちょっと注意いたしておきます。発言要求がまだ三人あるそうでありますから、なるべく簡略にやって、他の委員にも質問させ得るように御協力願います。
  111. 松岡松平

    松岡(松)委員 あと一点で終ります。
  112. 南好雄

    南委員長代理 ここは大事なところですから、あえて制限するつもりはありませんが……。
  113. 川口芳太郎

    川口証人 お答えいたします。条件について研究中に、先方から断わってきた……。
  114. 松岡松平

    松岡(松)委員 そんな抽象的な話はないので、条件とはおよそ具体的にはっきりしているものです。たとえば、金額幾ら、これを何に使う、どういう意図のために使うというように、およそ借金するには、みな、あなた、それは世間のありふれた例です。そういうふうに、あなた、抽象的なお答えをされては困る。具体的に言って下さい。
  115. 川口芳太郎

    川口証人 先方は、辞書の出版をいたすので、返済の期間は一年以内、それから利子は銀行の利子と、ここまでは話がいったらしいのです。
  116. 松岡松平

    松岡(松)委員 それだったら、わけのわかった話なんだから、金を貸せばよかった。なぜ断わった。いいじゃないですか、辞書を出して売れば返ってくるのだから。
  117. 川口芳太郎

    川口証人 当時当社の経理部長が旅行中であったために、話の回答がおくれていた。そこに先方から断わってきた。こういうわけです。
  118. 松岡松平

    松岡(松)委員 物別れになったときに、何かやり取りの言葉でもあったのですか。それを専務にちょっとお尋ね下さい。
  119. 川口芳太郎

    川口証人 電話で、先方ではよそから融通がついたからというので断わった。
  120. 松岡松平

    松岡(松)委員 金を貸してくれ、まあよそから融通かついた——それでは、別に何でもない、普通の事業家と事業家の間に行われているやりとりのことですな。これを断わったことにより何かあなたの身辺に反響がありましたか。
  121. 川口芳太郎

    川口証人 それは、当社としては重大な反響がありました。それから間もなくこの新聞が出たわけなんです。   〔川口証人資料松岡(松)委員に示す〕   〔「名前を言わなくてはわからぬ〕   と呼ぶ者あり〕
  122. 川口芳太郎

    川口証人 名前日本教育新聞であります。
  123. 松岡松平

    松岡(松)委員 どうぞ述べて下さい。
  124. 川口芳太郎

    川口証人 日本教育新聞にそのような記事が出て、実は非常に驚きました。当時、その記事を突きつけて、インタビューをしないでこれだけのことを書くというのはどういうわけか、普通、新聞記事のあり方としては、少くともインタビューがあってしかるべきじゃないか、これは当社として致命的なことになるかもしれない、これを鋭くなじったわけです。そうして取り消しを迫りました。ところが、その回答として、声明文を出すから声明文を原稿としてよこしてくれ、こういうわけで、声明文を先方へ渡しました。その声明文が次の新聞にたしか載ったと思います。また、私といたしましても、これは大問題であるというゆえから、大山社長にも、よくなじり、この問題について究明をいたしたわけなんであります。
  125. 松岡松平

    松岡(松)委員 証人の指摘しておられるのは「教学局グループ登場、国定を推進する黒幕」というこの記事ですか。
  126. 川口芳太郎

    川口証人 その新聞記事は、全体に当社に寄せられたところの記事の内容であるということは、その筋の人ならだれでもわかる記事であります。
  127. 松岡松平

    松岡(松)委員 私のお尋ねしているのは、この紙面全体が関係があるのですか。
  128. 川口芳太郎

    川口証人 全体が関係あります。
  129. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうすると、私はこの新聞を不幸にして読んでおらぬのですが、あなたはいつもこれをとって読んでおられるのです。業界新聞ですから……。
  130. 川口芳太郎

    川口証人 これはもう数年前から読んでおります。
  131. 松岡松平

    松岡(松)委員 少くとも一社に関する真実の記事であるか、あるいはデマであるか、これからお伺いしなければわかりませんが、突如としてそういう紙面に大々的に書くという事例がこの新聞にいつもあるのですかないのですか。
  132. 川口芳太郎

    川口証人 数年間私はこの新聞を見ていたけれども、かつてはありませんです。
  133. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうすると、借金の申し入れを断わった反響が日本教育新聞の三月五日の紙面に現れた、こういうわけですか。
  134. 川口芳太郎

    川口証人 私はそういうふうに解釈しております。
  135. 松岡松平

    松岡(松)委員 それでは、「教学局グループ登場、国定を推進する黒幕」というこの記事の中の、どういう点は一体真実で、どういう点はうそで、どういう点は想像かということを、この「教学局グループ登場」という題目の中の記事についてお話し下さい。
  136. 川口芳太郎

    川口証人 お答えいたします。当社といたしましては国定ということは反対であります。従って、あとのことは作文と私は見ております。
  137. 松岡松平

    松岡(松)委員 作文でも、内容は事実のものもあるし、デマもあるし、それだけではわからない。私が聞いていることは、あなたがそれを読んで事実だとしたら問題は起らない。新聞は事実を書くのが当りまえです。
  138. 川口芳太郎

    川口証人 事実でないから、取り消しを迫りまして、声明書まで出しました。
  139. 松岡松平

    松岡(松)委員 全部事実じゃないのですか。
  140. 川口芳太郎

    川口証人 全部事実でありません。
  141. 松岡松平

    松岡(松)委員 その三月五日の新聞以外にそういうことはありましたか。
  142. 川口芳太郎

    川口証人 昨日申し上げましたように、俗に言う製本ばらばらということについて、当社の古山取締役に向って、その社から、五十万円か百万円出せばその記事を穏便にするというような、一つの誘惑と申しますか問題があったわけなんです。それについて、一昨日申し上げましたように、古山はそれを拒否いたしました。それから、いつか、ちょっと日は忘れましたけれども、新日本教育協会とか、何か教育研究団体がありますが、それに私の方の者が関係しているとか、またその事業資金を出しているというような非常なデマ記事が出たわけなんです。なお、それから尾を引きまして、二、三の新聞にこれが複写された形で出て参りまして、ひどいのになると、一昨日も申し上げましたように、大きな疑獄事件ができているように、これだけのものまで出されたわけです。それで、当社といたしましては、これは展示会を控えて容易ならざることだ、会社にはほとんど致命的な、時間的に言いましても問題が起きつつある、こういうことを察知いたしまして、実は教科書協会においても自粛の臨時総会を開いて、そうして申し合せをいたしたわけです。しかるに、その後もそういう事態が絶えないために、いろいろなデマ記事を全部一括しまして、公正取引委員会に、一応上申書の形で、これが自粛できないのだ——しかも、巷間伝えられるところによれば、この新聞なり記事を持って学校に行って、学校図書会社というのはこういう会社だといって採択を妨害しているというような事実も散見したわけなんです。従いまして、また文部省にもその通りの写しを出して、何とか善処できないものかということを陳情しておりました。同時にまた、われわれ教科書協会の団体においても、私はこのことを率直に披瀝しまして、何とかしなければならぬということを話し合ったわけなんであります。たまたまこの行政監察特別委員会の問題になったような感じがいたします。
  143. 松岡松平

    松岡(松)委員 世に言うように、火のないところに煙は立たぬというので、多少やっぱりみなくさいところがあるからあわてているので、事実何にもないなら驚くことはないじゃないですか。
  144. 川口芳太郎

    川口証人 私は、そのお言葉は非常にありがたいと思っております。実は、私といたしましては、人を中傷したり、また誹謗したりすることは、かつてこりたこともありますので、絶対に最近しておりません。しかるに、各方面から当社に向けられたこのいかがわしい矢というものを、しみじみ感じております。
  145. 松岡松平

    松岡(松)委員 最後に一点お尋ねいたしますが、あなたの方から、編集顧問とかあるいは参与その他の名義で代議士とか参議院議員とか、日教組関係に何か委嘱して、手当とかあるいは交通費とかというようなものを払ったり、あるいは選挙の際に金を出したようなことがおありでしたら、かまわないから一つぶちまけてごらんなさい。聞きますよ。あなたは救われるのです。
  146. 川口芳太郎

    川口証人 私は、直接やっておりませんので、よくわかりません。
  147. 松岡松平

    松岡(松)委員 日教組関係なんかどうです。あったらおっしゃい。かまいませんよ。驚くことないですよ。
  148. 川口芳太郎

    川口証人 私は、日教組の大会でこの新聞が散布されたということを知りまして、日教組の委員長に面会を求めまして、実は私の方の日教組に対する上申書の形で二時間半ほどるる説明をして参りました以外に、別に日教組との関係はございません。
  149. 松岡松平

    松岡(松)委員 それじゃ、代議士とか参議院議員の選挙の際に選挙資金を提供する——別にそれは差しつかえないですよ。あったっていいじゃないですか。代議士に政治資金を出した、参議院議員選挙に政治資金を出した、——いいですよ。あったらおっしゃいよ。
  150. 川口芳太郎

    川口証人 政治資金はありませんでございます。
  151. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうすると、編集顧問とか参与とかという点はどうですか。
  152. 川口芳太郎

    川口証人 編集に携わった人には編集料は払ってあります。それから、参与の人でも、実際仕事の価値によって、契約もあることですから、お払いしてあります。
  153. 松岡松平

    松岡(松)委員 それでは、最後にお尋ねいたしますが、ただ私の聞きたいのは、そういう名目で、実際労力、技能を提供していないで金を払っていることはありませんな。
  154. 川口芳太郎

    川口証人 ありませんでございます。
  155. 松岡松平

    松岡(松)委員 ありがとうございました。
  156. 南好雄

  157. 神田大作

    ○神田(大)委員 暑いところ、まことに恐縮ですが、証人にお尋ねいたします。  証人は二十六年に渡米されたと申されましたが、いつでございますか。
  158. 川口芳太郎

    川口証人 これは実は私の記憶違いでございまして、委員長あてで訂正書類を提出してありますが、その写しは    上申書  昨日の証言に間違がありましたので左記の通り御訂正をお願いいたします。    記  一、長野事件   長野事件の証言のうちで私が外国へ旅行したと申しましたが記憶の違いでありました。実は全国供給状況実際調査のため二週間乃至三週間位宛二、三回連続旅行中のあやまりでした。   なお外国旅行は昭和二十七年六月より八月まででありました。   昭和三十年六月二十八日         証人 川口芳太郎  行監委員長殿 昨日の日付で篠田行政監察委員長あてに出してあります。
  159. 神田大作

    ○神田(大)委員 そうすると、長野県における事件に関しましては、証人は詳細承知しているだろうとわれわれ思うのですが、証人はいかがですか。あの事件に対して詳細にご承知でございますか。
  160. 川口芳太郎

    川口証人 事件そのものは知っております。
  161. 神田大作

    ○神田(大)委員 あなたの会社にはたくさんの人が参観や視察においでのようでございますが、その際に、そういう人たちに旅費を与えたり、あるいは宿泊料を与えたり、観劇料を与えたりするようなことがありませんか。
  162. 川口芳太郎

    川口証人 それはいたさないことになっておりますが、たとえば片道持ったとかバスを出したとかいう程度のことは聞いております。
  163. 神田大作

    ○神田(大)委員 非常にそこが大事なのでございます。われわれは何も学校図書だけをどうこうというのでやるのじゃない。今度の教科書に関する問題をわれわれが取り上げた趣旨は、学校図書のみならず、   〔南委員長代理退席、高木委員長代理着席〕 教科書にからまるいろいろの事柄を究明いたしまして、そうしてよりよい教科書を子供たちに使ってもらうというような趣旨でやっておるのでございますから、一つ教科書を改善する意味合いにおきまして正直に御発表願いたいと思うのでございます。私の一部分の調べでございますが、長野事件に関連しておりますことだけでも相当そういう費用があなたの会社から出ているようにわれわれは調査したのでございますけれども、あなたはただ単に片道をやった程度というようなことで、それでもって間違いありませんか。
  164. 川口芳太郎

    川口証人 長野事件につきましては、昭和二十六年のできごとでありまして、結果から、不起訴になった関係で、また取調べを受けた点は承知しておりますけれども、数字的にはわかりませんでございます。
  165. 神田大作

    ○神田(大)委員 聞くところによると、社長自身も家宅捜索を受けておるというようなことでありますが、そういうような大事な、会社にとっても非常に大事な事件であり、また教科書に関する問題につきましても非常に大事な事件であります。しかも、あなたの方の会社から言いますと、二十六年の販売部数と二十七年度の販売部数は特段の飛躍をしておる大事なときに起った事件でありますから、社長さんはそういう点はつまびらかに御承知だろうとわれわれは思うのでございますが、わかりませんか。
  166. 川口芳太郎

    川口証人 私の私宅は別に捜査はありませんでした。本社は家宅捜索を受けました。私、先ほど申したように、ちょっと旅行中であったから、つまびらかなことは——概念的には聞きましたですけれども、それ以上のことはわかりません。
  167. 神田大作

    ○神田(大)委員 それでは、お聞きしますが、昭和二十六年度のあなたの方の教科書の販売部数と、昭和二十七年度の部数の比較、あるいはまた二十五年度と、ずっと、——おとといも御質問になりましたが、それに対する資料がありましたら御発表願います。
  168. 川口芳太郎

    川口証人 二十六年は、九十一種目でありまして、発行部数は千九百四十九万冊でございます。約二千万冊でございます。それから、二十七年は、点数は百五点になりまして、そうして四千万冊になりました。このときには教科書が大体改訂されたわけであります。
  169. 神田大作

    ○神田(大)委員 そのときの長野県下における発行部数の二十六年と二十七年との比較がおわかりでございますか。
  170. 川口芳太郎

    川口証人 ただいまその資料を持っておりませんでございます。
  171. 神田大作

    ○神田(大)委員 私の方の調べによりますと、そのときの長野県における発行部数は、大体二十六年度と二十七年度を比較いたしますると、四十三万冊が百八万冊になった、大体約倍ちょっとになっておるようでございますが、大体これに間違いないですね。
  172. 川口芳太郎

    川口証人 それはないと思います。
  173. 神田大作

    ○神田(大)委員 しかも、そのときに、長野県の順序を見ますると、二十六年度は、一番が東京書籍、二番が大日本図書、次が中央書籍、四番目が学校図書。ところが、二十七年度になると、学校図書が一番にのし上って、二番に東京書籍、それから大日本図書というようになっているようであります。こういうようなことを見ますと、二十六年度におけるところのあなたの会社の営業政策は非常に好妙だったと申しますか、非常に飛躍的な躍進を遂げた。この場合に、長野県の一部だろうと思うのでありますが、これらの人たちがあなたの工場の視察に行くと、旅費やあるいは接待費において大体十八万くらい出ている。これは表に現われているわれわれが調べただけのものでありますが、そういうふうになりますと、こういう学校図書をめぐっていろいろと外交的な手腕を発揮されておったと思うのでありますが、社長はどうお考えになりますか。
  174. 川口芳太郎

    川口証人 私は、必ずしも販売政策ではないと思っております。と申しますのは、そのときに大きな教科書の改訂がありました。すなわち、日本が独立するという立場から大きな変化があったわけであります。独立国家として、教育、教科の内容が非常にはっきりして参ったのであります。従いまして、そのときの編集、そのときの教育内容が非常に大きな変化をしたのであります。そのときに当社教科書がある程度まで受け入れられたと私は信じております。
  175. 神田大作

    ○神田(大)委員 そうすると、長野県だけにおいてももてなされたと思われる、われわれの一部の調査によって出てきた十八万四千九百十六円、こういうような費用について、あなたはこれはまことにまずいことだと思うか、教科書というような子供に使わせる書籍をめぐる収賄というような容疑に使ったことに対しまして、あなたはどうお考えになりますか。
  176. 川口芳太郎

    川口証人 十八万何がしということは私存じませんけれども、容疑があったということは事実でありまして、これについて私は非常に遺憾だと思いまして、その後は、会社統率責任の立場上、全社員にそのことを指導して参っているようなわけであります。
  177. 神田大作

    ○神田(大)委員 証人がそういうふうに自粛するというふうなことを言われたことに対しまして、われわれ敬意を表するのでありますが、ごく最近、昭和三十年の六月七日、八日に、千葉県関係において疑問を持たれるような工場見学が行われております。このことに対しまして、社長はどうお考えになりますか。
  178. 川口芳太郎

    川口証人 これも、非常に不徳のいたすところでありまして、申しわけないと思っておりますが、実は六月二十五日に佐倉警察署の刑事係の方が三名原町工場に見えたのであります。そのときに工場長は以下を答申しております。「静岡県駿東郡原町図書印刷原町工場工場長野口新逸当四十一才、昭和三十年六月六日千葉県四街道小学校先生の当社見学についてお尋ねでございますので、次の通りお答えします。一、当時私は工場内で作業していましたが、沼津駅より電話連絡がありまして、片桐大自氏が行き、校長以下二十六名ほどが午前十一時半ごろ来社されました。二、工場到着後工場概要について説明した後、お昼なので会社食堂にて作った昼食を差し上げた後、午後一時ごろから工場を案内し、午後二時半ごろに帰られました。三、当方で差し上げたものは茶菓時価七十円程度と、パンフレット各一部と、バス片道分をサービスしました。以上の通りでございます。昭和三十年六月二十五日、右野口新逸、佐倉警察署長警視大木清殿」 こういうふうに答申してあったことを私に報告して参りました。
  179. 神田大作

    ○神田(大)委員 非常に大事なことでありますが、私がそのことのこまかい点につきまして申し上げますと、全国のいろいろ関係ある人に御迷惑をかける点もあるので、今少し時期を見てから究明したいと思いますけれども、長野の事件にいたしましても、あるいは千葉の事件にいたしましても、これはあなたの会社の駐在員が積極的に清純な先生に向っていわゆる商略を使って誘惑して、そうして自分の商売を有利に展開せんがためになしたことであろうと私は思うのでございますが、そのために、長野県におきましては、一校長が辞職いたしたり、あるいはまた、たくさんの教育者がそのために動揺を来たしたり、あるいは純真な児童に対しまして教師に対する尊敬の念を阻害している、こういうことが一つ商売を有利に展開せんがためになされているというようなことに対しまして、私はあなたに大きな反省をしてもらはなければならぬと思うのでございます。私は、こういう精神的な、あるいは教育界に及ぼす問題について、一営利会社商売の隆盛のためにそのような悪らつな手段が行われてもいいかどうかということにつきまして、あなたの御見解をただし、また、あなたのみならず、教科書に関する業界の粛正をお願いしたいと思うのでございますが、あなたはどう考えますか。
  180. 川口芳太郎

    川口証人 長野の件については、先ほど申した通りで、私、非常に申しわけなく思っております。千葉の件につきましては、実は昨年十一月新設工場が当局の認可を得てできましたが、モデル・マシンを設備しましたいわゆる近代設備工場を公開しろということが基本になっていたわけであります。そこで、私どもは当時関係者の方々に御案内を差し上げまして、工場を見ていただいたわけなんです。たまたま、地力におる方にはそれは無理だという考えから、ついでがあったら寄って下さいという案内状を出してあります。従いまして、全く平たい気持で来たと私は信じております。  それで、最近、この教科書事業の教育界に与える影響を考え、お説の通り全く自粛自戒してこの仕事を進めなければいけないということで、三年前から教科書協会においても倫理綱領を守るように申し合せはしたのですけれども、これはやはりその人々によりまして多少違い、当社といたしましてはできる限り今後も自粛いたすことをお誓い申し上げます。
  181. 神田大作

    ○神田(大)委員 この問題は、この程度にして、あとにします。  次に、先ほども問題になっております、あなたの社に関係しておりました人が文部省の枢要な位置に入っております。この小沼さんにつきまして、あなたは、この前も、小沼さんが文部省に復帰したことについてあたかも何らの関係もない、知らないような証書でございましたが、証人は小沼さんが文部省に復帰することについて関知しておりませんか。
  182. 川口芳太郎

    川口証人 昭和二十七年十月に本人から辞表が出まして、そのときに聞いている話ですが、福井大学の方へ就任する、こういうわけで、私はその辞意を認めたわけであります。
  183. 神田大作

    ○神田(大)委員 小沼さんはあなたの会社ではどういう立場におった人ですか。
  184. 川口芳太郎

    川口証人 最初昭和二十一年に図書印刷の方の文化部の仕事をやっておりまして、それから、二十三、四年ごろから学校図書ができましたので、その方へ今度は転職いたしました。その後は編集の仕事に携わっております。やめる約一年前から病気になりまして、やめる直前まで約一年間、席はありましたけれども、会社にはほとんど出て参りませんでした。そういう次第であります。
  185. 神田大作

    ○神田(大)委員 小沼さんがあなたの方の会社に現在も関係しておるようにわれわれは聞いておるのですが、何らかの関係を持っておりますか。
  186. 川口芳太郎

    川口証人 株を四千株持っているということを知りました。
  187. 神田大作

    ○神田(大)委員 どうも奇怪な話を聞くものだが、いやしくも前に自分の会社の枢要な位置におり、しかもあなたといろいろ個人的に深い関係にある人が自分の会社の株を四千株持っているのを、持っているという話でありますという、そういう表現は私はおかしい、と思うのであります。何もわれわれはこの問題についてはあなたの方の会社をどうこうというのではなしに、現在の文部行政と教科書の問題をついているのでありますから、一つ正直に表現してもらいたいと思います。  それで、小沼さんが文部省へ入るということをあなたは知らないと言っておりますが、もちろんこれは、常識的に、やめるときに文部省との話し合いがついて、そして文部省に入ったとわれわれは判断しておるのでございます。その後、近藤寿治さんがあなたの方の重役でありながらこの審議会の委員に推薦されておる、あるいは伏見猛弥さんが元文部省と非常に密接な関係のある立場におって現在あなたの方の編集長をやっておるというようなお言葉、そういういろいろのことを考えてみますと、あなたの方の会社文部省との因縁というものはまことに浅からぬものがあると思うのであります。きょうは特に小沼さんが四千株の株を持っておるというようなことを聞いて、われわれはびっくりしたのでございますが、こういうような文部省とあなたの方の会社の因果関係というものは、正当なる教科書の編さん並びに販売競争に悪影響を及ぼすとわれわれは思うのでありますが、あなたはそういう点についてどうお考えでございますか。
  188. 川口芳太郎

    川口証人 小沼氏が文部省へ行かれたということは全く後に知ったのであります。それから、四千株を持っておるということも、実は現在では約九百名の株主がありまして、今日は全く株式が民主化されておりまして、窓口でもってどんどん書きかえをいたしておるのでございますから、そういうことについては、私どもが調べてみて初めてわかることが多いのでございます。取締役といったものに対してはみな増資のときに均等割当がありますので、それについて金融機関から株を担保に融資を受けて払い込みをやっているのでございます。  近藤寿治氏が中央教育審議会の委員になったということは、一昨日も申し上げましたように、本年一月、いつか忘れましたけれども、私、新聞を見まして、二、三日後に、近藤氏に新聞を突きつけんばかりにして、こういうものになったんですかと言ったら、いや、社長に相談するひまがなかった、新聞に出してしまったから、御相談もしなかったけれども……、こういうような話でありました。
  189. 神田大作

    ○神田(大)委員 あなたの証言は、われわれとしては常識的に考えてそういうことはどうも判断できないのでございますが、近藤さんにいたしましても、あなたとは長い間の別懇の間柄であります。そういう別懇の間柄であり、取締役としまして重要な地位に立っております者が、中央教育審議会の委員という大事な職につくのに、事後承諾をされたというようなことは、われわれとして信ずることはできないのです。しかも、近藤さんが審議委員になるにつきましては、その間相当の期間、安藤文部大臣とほかの人たちと折衝の上なられたのでありまして、突然としてなったわけではない。社長が、自分の会社取締役が何か役についても、相談がない、しかもそういう教科書と密接な関係のあるところの文部省の審議会の役につくについて社長と話し合いがないということは、それは常識的にだれが考えても信用できないのだが、そういうことをあなたがここでぬけぬけと証言すると、あとで大きな問題が起ると思うのでございます。私はあなたをどうこうと言うのじゃないのです。教育の刷新のために教科書の問題をよくしようという考え方で言っておるのだから、こういうことは、われわれと相談して審議委員になったと言ったって、何ら差しつかえないじゃないですか。正直に一つ申してもらいたい。
  190. 川口芳太郎

    川口証人 これは、私、全く存じませんでございます。
  191. 神田大作

    ○神田(大)委員 どうも、知らないというのでは、あとでこの問題はお尋ね申し上げたいと思います。  あなたの会社原町工場開所記念に、安藤国務大臣やその他政界の方々を御招待申し上げて、盛大な開所式をやられたと聞いておりますが、重立った大臣あるいは政治家はどういう人でございますか。
  192. 川口芳太郎

    川口証人 監督や連絡を受けている官庁の大臣までは、案内状を出して、祝辞をいただくように努力いたしました。当日は参議院の方が二、三見えたような記憶ですけれども、衆議院の方々は、政治情勢か何かで、内閣がかわるとかいろいろごたごたしたような問題があったということで、ほとんど皆さんが欠席いたしておりまして、あいにく政界の方はほとんど見えておりません。文部大臣とか通産大臣とか、そういう方々の祝辞の代読がありました。
  193. 神田大作

    ○神田(大)委員 安藤文部大臣があなたの方の会社に関しまして相当お骨を折っておるというようなことを聞いておるのでございますが、安藤国務大臣はお見えになりませんでしたか。
  194. 川口芳太郎

    川口証人 お見えになりませんでございます。
  195. 神田大作

    ○神田(大)委員 あなたは、この前の証言のときに、二、三の政界の人と知り合っておるというお話でございますが、どなたでございます。
  196. 川口芳太郎

    川口証人 私は、実は世間から非常に不精だと言われているくらいでございまして、私的のおつき合いというのはほとんどないのでございます。
  197. 神田大作

    ○神田(大)委員 それじゃ、この前の証言は、あれはうそでございますか。
  198. 川口芳太郎

    川口証人 この前、いつどこでそういうことを申し上げたか、ちょっと私記憶がないのでございます。
  199. 神田大作

    ○神田(大)委員 おとといです。
  200. 川口芳太郎

    川口証人 それはちょっと私失念いたしております。
  201. 神田大作

    ○神田(大)委員 大事なところへいくと、どうもはっきりしないようですが、あなたが先ほど委員長が言われた偽証に問われるとまことに迷惑になると思うので、私はそういうことのないように一つお願いしたいと思います。  それで、原町工場のこの膨大な施設をするときに、伝えられるところによりますと、池田前蔵相によって融資のあっせんをなされておるということを聞いておりますが、こういう事実がありますか。
  202. 川口芳太郎

    川口証人 池田大蔵大臣ですか。全然ありませんです。
  203. 神田大作

    ○神田(大)委員 間違いないですね。
  204. 川口芳太郎

    川口証人 間違いありません。
  205. 神田大作

    ○神田(大)委員 このコットレルといいますか、印刷機をアメリカから入れるにつきまして、相当の能力があるということでありますが、一体印刷能力というものはどれくらいなものでありますか。
  206. 川口芳太郎

    川口証人 これは、教科書にいたしまして一時間一万二千冊刷れることになっております。これがかりに一日十二時間稼働いたしまして、一年約二百五十日と見まして、そのうち——これは専門的になりますけれども、版の組みつけ時間だとか、上げ下げの時間を約七十五日引くようになります。残りは百七十五日と見ます。そうしますと、結局年間に教科書にいたしまして二千五百万冊刷れることになっております。
  207. 高木松吉

    高木委員長代理 神田君にちょっと申し上げますが、午後二時から次の証人を喚問する順序のようです。それで、ごく簡略に結論の所へ到達させていただきたいと思います。
  208. 神田大作

    ○神田(大)委員 委員長からの御注意もありますので、この問題はあとの人にお譲りいたしまして、一つ特約供給所の問題についてお尋ねしたいと思います。あなたの会社では、販売会社を通じて特約供給所に出しておるのか、あるいは直接特約供給所にこの本を流しておるのですか。
  209. 川口芳太郎

    川口証人 供給の原則は、会社で直接やることを建前にいたしておりますが、なかなか全国の山の上から島まではできませんので、従って、特約供給所に特約をいたしまして、そうしてそれを代行させております。
  210. 神田大作

    ○神田(大)委員 特約供給所にやる場合に、特約供給所では教科書を購入するについて相当資金が要るので、この資金のために製造会社教科書会社ではこれに対しまして利子補給をしておるということを聞いておりますが、これはしておるのですか。
  211. 川口芳太郎

    川口証人 利子補給はやっております。ただ、期間によりましてその率が違います。
  212. 神田大作

    ○神田(大)委員 平均どのくらいの割合でやっておりますか。
  213. 川口芳太郎

    川口証人 私の聞き及んでおるところですと、日歩三銭から五銭くらいと聞いております。
  214. 神田大作

    ○神田(大)委員 この額は、そうすると、あなたの方の会社では総額大略どのくらいになりますか。
  215. 川口芳太郎

    川口証人 大体年間十八億から二十億くらい扱っております。
  216. 神田大作

    ○神田(大)委員 供給所の利子補給ですよ。
  217. 川口芳太郎

    川口証人 利子補給については、ちょっと今、調べてみないと、はっきりいたしません。
  218. 神田大作

    ○神田(大)委員 取り扱い高の一割くらいになりますか。
  219. 川口芳太郎

    川口証人 取扱い高の一割といいますと、手数料に対する一割ですか、教科書総代価の一割でございますか。
  220. 神田大作

    ○神田(大)委員 総代価の一割。
  221. 川口芳太郎

    川口証人 それは、そんなになりません。それは、常識で、そんなにならないと思います。日歩三銭から五銭といったら、わずかなものです。
  222. 神田大作

    ○神田(大)委員 三、四千万円にはなりますね。
  223. 川口芳太郎

    川口証人 詳しいことは、ちょっと調べてみないとわかりかねます。
  224. 神田大作

    ○神田(大)委員 この利子補給の金がいわゆる教科書の獲得のためのリベート的な役割をなしておると思いますが、そう考えませんか。
  225. 川口芳太郎

    川口証人 今銀行から借りても三銭近くかかりますので、四銭、五銭というと、多少の利益にもなりますけれども、そうリベートに回すまでの数字ではないと私は思います。
  226. 神田大作

    ○神田(大)委員 私は、ここが非常に——教科書会社と特約取次所のいわゆる金の浮かし方、その金が教科書の採択獲得のための運動費の出どころだと私は思うのでございます。これをあなたも御存じだと思うが、いかがでございます。
  227. 川口芳太郎

    川口証人 特約所は八十社も九十社も扱っておりまして、私どもに言わせれば、むしろこれは身のかわいさというものもあるかもしれませんけれども、どうも販売会社に必ずしもよくないというような印象が多うございます。
  228. 神田大作

    ○神田(大)委員 今のお答えは私の質問にはっきり答えていないようでございますが、この利子補給というような金がリベート的な役割をなしておるかどうかということを聞いておるのです。
  229. 川口芳太郎

    川口証人 全く金利でありまして、リベート的なものではないと思います。
  230. 神田大作

    ○神田(大)委員 あなたはそういうことを答えておられますが、われわれは、特約店を調査いたしまして、あなたたちから行っておる利子補給が、帳簿にも載っておらない、何らの形にもなっておらない、どこへ使われているかわからないような状態になっておることを知っておるのでございますが、そういうことになって、その金がいわゆる教科書の採択獲得のためのリベート的な役割をなしておるということは、これは事実でございます。あなたは、それについて、教科書を販売することにつきまして日本一腕のいいあなたがこの大事なことを知らないはずは私はないと思うのでございますが、一つ正直におっしゃって下さい。
  231. 川口芳太郎

    川口証人 各特約所がはっきり声明していることは、どの社にも迎合しないということをよく申しております。私どももまた採択を頼むようなことはいたしておりません。あとは全く完全な供給ができることをひたすら要求しておるわけです。
  232. 神田大作

    ○神田(大)委員 このことについてはあとでまた検討いたします。  次に、あなたの方に釧路の学芸大学の理事長をやっていた石川さんという人がおりますか。
  233. 川口芳太郎

    川口証人 存じません。
  234. 神田大作

    ○神田(大)委員 終りました。
  235. 高木松吉

    高木委員長代理 午後一時半より再開いたすことにして、暫時休憩いたします。    午後零時三十七分休憩      ————◇—————    午後一時五十五分開議
  236. 高木松吉

    高木委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  それでは、引き続き川口証人より証言を求めることにいたします。  高津正道君。
  237. 高津正道

    ○高津委員 証人は、一昨日、日本印刷技術は三十年おくれている、弊社のみは三十年進んだコットレル機を輸入した、こう言われるのでありますが、あなたのように金をどっさりつぎ込めば、あの程度機械日本でもできるものか、あなたはどうお考えですか。
  238. 川口芳太郎

    川口証人 印刷は、御承知通り活字から製版をしなければならぬ。大部分は日本でも将来できると思いますけれども、あのコットレル機だけはちょっとしばらくはできないのじゃないかと私は考えます。
  239. 高津正道

    ○高津委員 それは特許などの関係でできないので、特許でいろいろやかましく押えておりますが、別のものならば、それをくぐってあれと同じ程度の性能のものができるような技術が今日本にあるのじゃないか、あなたは、やはりない、アメリカが三十年進んでいるのだ、こうおっしゃるのか、そういう意味で聞いているわけです。
  240. 川口芳太郎

    川口証人 機械につきましては私も詳しくはわかりませんけれども、現在の機械メーカーですと、しばらくできないのではないかと言っております。
  241. 高津正道

    ○高津委員 コットレル機は原色がそのまま出るなどとさっき非常に御自慢をなさったわけであります。しかし、批評する者は、あれはライフ程度のものが刷れるので、向うの漫画雑誌が色彩でどんどんああいうように大量生産で刷れる程度のもので、技術ということになると日本のも相当進んでいるのだと言っております。あなたは証言台に立ってもちゃんと広告放送ということをお忘れにならない。私は国産論者で、民族産業擁護者です。たとえば、平凡社の世界美術全集が戦後に再刊されたのですが、それは前のよりもうんとよいということが定評で、外国のくろうとも来てそれを認めているのです。どこへそれを注文しているかといえば、光村印刷だとか、協和美術印刷だとか、あるいは降旗印刷だとかです。それはとても三十年おくれているというようなものではない。国産でりっぱなものができるのです。一時間に一万二千冊というような、そういう分はまだできないが、何と言うか、精巧さとかそういうような点ではできるのだ。これから中国やあるいはアジア全域から日本がいろいろな印刷を受けようと思っているのに、アメリカからコットレル機を輸入したところが三十年も日本印刷はおくれているなんということで、速記録のあるこの公開の席でどんどん広告放送をやられると、国産論者は非常に妙な発言だと思うのであります。ところで、学図のそのコットレル機の輸入あっせん者はだれだったんですか。
  242. 川口芳太郎

    川口証人 この製品価値につきましてはいろいろ申す人もあるでしょうけれども、少くともその生産過程においては、確かに三十年くらいおくれておることもあるのです。
  243. 高津正道

    ○高津委員 量産ですか。
  244. 川口芳太郎

    川口証人 生産過程において、それは確かにあるのです。たとえば、簡単に言いまして、電気製版のものは、日本ではまだそれほど進んだ技術を持っていないわけなんです。  そのことはさておきまして、だれがあっせんしたかということなんですけれども、これは広島大学の戸田教授がアメリカのイリノイ大学のスネーダー教授を私に紹介しまして、スネーダー教授から、教育的見地、つまり視覚教育の上から、この印刷の方式ではうまくいかないんじゃないか、こういうことが提唱されたわけなんでございます。そんなことを言うなら、技術導入したいけれども骨を折ってくれるか、こう言ったところが、まずアメリカへ帰って研究してから返事しよう、こういう約束がととのったわけなんです。それで、イリノイ大学があげて、それじゃ業界の方へあっせんしてやろう、こういう返事が参りまして、実は向うの業界との渡りがついたわけなんです。
  245. 高津正道

    ○高津委員 当時CIEにいた宮崎寛氏、もう一人はまた、戦時中精神文化研究所で、皇国観念というか、天皇思想というか、大東亜共栄圏思想というか、それを大いに鼓吹された伏見猛弥という人がいます。二人ともあなたのところで使っておられるんだが、この人がコットレル機の輸入に大いに奔走された、大いに手伝われた、——大なり小なりという言葉をあなたは使われるんですが、大なり小なり手伝われたという事実があったかなかったか。
  246. 川口芳太郎

    川口証人 宮崎も伏見も、輸入に対しましては何ら関係いたしておりません。
  247. 高津正道

    ○高津委員 それでは、さらに進んでお伺いしますが、十一億円という巨費を投じてあなたが日本一の印刷工場を作られたのであるが、それだけの金融の道をつけられるのは、だれか援助者があったはずだと思うのであります。あなたが顔だけ出せば、それで重たいとびらはみな開けるというものではあるまいと私は考えるから、そういう質問をするのです。あなたが前回の証言において、三億数千万円は自分が、いわゆるあなたが現在社長をやっておられる学校図書、もう一つはあなたが社長をやっておられる図書印刷、それで三億数千万円は作った、あとは三井だ、あるいは生命保険の五つの会社、こう言われたが、それをあっせんした者はだれだれであったのですか。
  248. 川口芳太郎

    川口証人 私の方は銀行に八つか十取引がございます。従いまして、その取引銀行に話をしているわけでございます。主として三井銀行に話いたしました。
  249. 高津正道

    ○高津委員 当時あなたの会社はまだ赤字だったといわれておるんですよ。赤字であったかどうか、その点を聞きます。昭和二十七年。
  250. 川口芳太郎

    川口証人 赤字ではありませんでした。
  251. 高津正道

    ○高津委員 どの程度の黒字でしたか。
  252. 川口芳太郎

    川口証人 図書印刷の方といたしましても、学校図書の方にいたしましても、いずれも二割から三割の配当をいたしておりました。
  253. 高津正道

    ○高津委員 図書印刷も学校図書も、定価が高い高いという評判があるときに、二割も三割も配当をしておりましたと、日本教科書出版の中の第一人者が今そう言われておるので、われわれは驚いておるのであります。しかし、なお旧国定の四つ、五つの社がおるのであるし、少くともあなたがスタートが一年余り早かっただけでそうあなたに大きな信用を金融界が与えるわけはないと思うのでありますが、二割、三割くらいの配当というその事実だけでは、あれだけの大資金を集めるということはなかなかむずかしかろう。そこには、三井へ話してああ出たのだと言われるが、だれが橋渡ししたのですか。一人でやったんだ、自分には恩人はないのだ、こう言われるが、だれかお世話になった人があると言っても、あなたの光が消えるわけではないので、おれ一人でやったと言わずに、だれがお世話をして下さった、自分の部下でなしに、横から、あるいは上から手伝っただれか人があるはずだが、それはここで証言を願えませんか。一人でやったんですか。
  254. 川口芳太郎

    川口証人 私一人でやりました。
  255. 高津正道

    ○高津委員 コットレル機だけでも百三十万ドル。その外貨の割当を受けるということでも、役人がいばっていましてね、なかなか取れるものではないですよ。その外貨割当審議会などでも非常にスムーズにいったと聞いているのでありますが、商魂たくましい川口芳太郎という者が現われると、みんなすらすらとこういくのであるか。別に人相にそういうところは全くお見受けできないし、重量感という点でも大したこともない。そうすれば、だれかそこを助けた者がなければ、そういう外貨割当審議会などを通るはずはないと思うのですが、だれの世話にもならない、おれ一人で二、三割配当したんだ、おれ一人で教科書出版の第一人者になったんだ、——外貨割当の場合はどうですか。
  256. 川口芳太郎

    川口証人 銀行の信用さえあれば、輸入商が主として手続をとってくれますので、だれというより、社員全体、係の者がやっております。
  257. 高津正道

    ○高津委員 銀行の信用さえあればと言う。その銀行の信用を得るのに、相当の政治的バックがなければ、あの当時のあなたの経済力と信用力で、そんな十億などという、見込みのない——教科書を自分が全部引き受けるというようなことを話されたわけでもあるまいし、なかなか十億に余る金が集まるわけではないんだが、銀行を信用せしむるに至った勢力はあなたから出たんですか。出たら英雄だが、そういばらぬでもいいでしょう。
  258. 川口芳太郎

    川口証人 一昨日内訳で申し上げました通り、借入金といたしましては六億数千万円であります。大体その両者の取引の信用とか現在の担保物件ににらみ合して出たわけなんであります。
  259. 高津正道

    ○高津委員 ところで、そのコットレル機を輸入されたときに、関税はお払いになりましたか。無関税で通しましたか。
  260. 川口芳太郎

    川口証人 コットレルの本機は免税されました。それから、その他の機械は通関にかかりました。
  261. 高津正道

    ○高津委員 そのコットレルの本機こそが問題で、その免税の扱いを受けるためには、税関長に運動されたのですか。大蔵省にも了解をつけなければ、なかなかそういう扱いなどできないものなんですよ。やはりあなたの顔だけ出したのですか。
  262. 川口芳太郎

    川口証人 これはモデル・マシンということが根本でありまして、そういうものはたった一回きりのことでございますから、従って免税になるのが普通のように聞いておりました。
  263. 高津正道

    ○高津委員 池田大蔵大臣が戦後、——砂糖、セメント、肥料なんというのが今三百で有名ですが、その砂糖業界において、藤山愛一郎氏が大日本製糖であなたのように業界を押えておられた時代が長く続いたのですよ。それなのに、砂糖の仲買い卸売り商をやっていたにすぎないところのいわゆる名古屋精糖をもり立てて、今それが砂糖業者のうちで日本一のものになったわけです。そのときに、製糖機械をアメリカから輸入するのに、これはよそか見に来た場合に見せるという条件ならばそれを無関税にする手もあるというようなことを、役人のくろうとから、すなわち池田蔵相から聞いて、そして、日産の数字は忘れましたが、あの大きな製糖機械が入ったために、業界に今君臨しておるわけなんです。今印刷業界において、さっきあなたは、下請に出しておったものの今半分にちょうどなっておるだろうと言うから、それだけ下請をやっておるものが泣くことになったのでありますが、モデル・マシンならば無関税で入るんだ、そんなことはちゃんと知って、その道を通してきたんだと言われるが、だれかあっせんした者があろうと思う。それをやはり正直に言われた方がいいと思うのですが、隠さずにお答えを願いたい。
  264. 高木松吉

    高木委員長代理 川口証人に申し上げます。暑いから上着をとって楽にして証言を続けて下さい。
  265. 川口芳太郎

    川口証人 私は、あっせんということは、会社を離れた人が紹介とかあっせんとかというふうに解釈しておるつもりです。全くこの会社以外のあっせんはございませんです。
  266. 高津正道

    ○高津委員 私は、さつき、自分の使っておる部下や、あなたが月給を払っておる人でなしに、横から、あるいはあなたより上の地位の人が上から横からお手伝いをした者はなかったかと伺ったのです。それに対して、あなたは、会社の者以外は動いてはないんだ、こう言われるのですか。
  267. 川口芳太郎

    川口証人 第三者的の力は何もありません。会社だけのことです。
  268. 高津正道

    ○高津委員 それでは、あの開所式の場合に臨まれた政界、官界、財界の人を、上の方から二、三人数えてもらいたい。結婚などしますと、一生がいの記念すべき日に出た人間がだれであるかということは、差しつかえもあろうによくぞ万障繰って出てくれたと思ってうれしいわけです。あなたにとっても、このコットレルを輸入して日本印刷業界に君臨する、一将功成って万骨枯れる、いい気持だという忘れられない日だろうと思う。そういう場合には、だれが出席してくれたか、あれは当てにしておったのに出てくれなかったというように、あなたの記憶には何べんも繰り返され、反芻されて、気持のいい思い出であろうと思う。一人でも大物が出ておれば忘れられないはずだと思う。もちろん写真もありましょうが、それではアリソン大使は出ましたかどうですか。
  269. 川口芳太郎

    川口証人 私の記憶では、政界の方では著名の方はほとんど見えなかったように思います。官界の方では、これも官吏ではないかもしれませんが、静岡県知事だけでなかったかと思います。その他、失礼ですけれども、みな代理で、慶応大学の久保田万太郎氏が、私にではなく、私の子供に対して言ったそうです。お前のところに行ったけれども、本が来たのはおれだけだなということを言われたそうです。
  270. 高津正道

    ○高津委員 アメリカ大使館からアリソン大使あるいはだれかが行ったかどうか、それはどうですか。あなたのカタログを見ると、アメリカ人のミスター・ウォルトンとか、ミスター・カールとか、アメリカ人の写真まで、出して、ありがたがっているのですが、アメリカ人の分は覚えておられるでしょう。
  271. 川口芳太郎

    川口証人 アメリカ大使館の関係も、日本的に言えば部長くらいの人が一人見えた程度で、あとはみな代理の方です。
  272. 高津正道

    ○高津委員 部長ぐらいといっても、ウェアリング——発音は違うかもしれませんが、あれなんか大へんなものです。アリソンは来なかったのですね。
  273. 川口芳太郎

    川口証人 はい。
  274. 高津正道

    ○高津委員 すると、あの記事は誇張ですね。それはわかりました。そこで、あなたが教科書出版界のナンバー・ワンであるということはわかったのですが、満州でも教科書出版の独占をはかった。実業をやる以上はそれは志もありますよと、前回に白状されたのでありますが、コットレルを輸入されたり、自分のところに勤めておった者や、株を持った者まで、自分は関知しないと言われるが、文部省へどんどん入れられておるのです。教科書編集をする場合、何にのっとってやるかといえば、それは学習指導要領にのっとって、それに調子を合せて編集するわけなのですね。その点、証人の意見を聞いておきたい。
  275. 川口芳太郎

    川口証人 教科書は学習指導要領が基礎になっております。
  276. 高津正道

    ○高津委員 すると、新教育の中の旗持ちのようなというか、先頭を切って進むというか、それは数学ではなく社会科なんです。その社会科の主任編集官には、あなたの会社の株、八千株と思ったが、四千株を持っておる株主であることをあなたが確認をされた小沼視学官がその社会科の学習指導要領を主任編さん格として主任でやっておるわけなんです。それは、あなたの会社をやめるとすぐには入らぬですよ。役人でも会社でも、そういうときは間をちょっと置くのです。どこどこの大学の事務局長を雇ったんだというが、そういう手を使うんですよ。だから、間がちょっと切れておるから私の会社からじかに入れたんじゃございませんと言うのは、社会通念から言うと実は通用しないのです。私から見れば、あなたのところの取締役近藤寿治さんが中央教育審議会に安藤さんを使って堂々と乗り込まれ、そして、今は物故されたのが困るけれども、それが中央教育審議会を実際にコントロールする、あるいは運営の実務を全部扱うところの調査局長にまたあなたのところにおった人をはめ込んでおる。教科書の一番の中心問題である社会科を、またあなたのところから人を入れておられる。こういうことになりますと、満州で燃やされたあなたの闘魂、独占欲をまた日本で再現しよう、あなたが日本教科書出版を独占しようと思ってかかっておられるようにわれわれには見えてしょうがないのであります。これを、良識ある者が納得し得るように、そうでないと思っておるなら、その論理をあなたから承わりたいと思います。私の限りある時間で、要領よく、ごまかさないように言い開いてみて下さい。
  277. 川口芳太郎

    川口証人 一昨日も満州の話が出たのですけれども、昭和五、六年ごろは、私どもが若い気持といいますか、一つ日本は飽和状態であり、どうしてもやはり海外に求めなければいかぬということは確かに流れていたと思います。私はそこで向うに支店を設けたわけであります。たまたま、最初に行った関係もあって、関東軍の地下工場印刷工場を委任経営し、同時にそれは機密印刷としてやっております。また一方、私の直接の工場である方は半分くらい満州国の教科書をやっておりました。残りの半分くらいは奉天の興亜印刷KKでやっておりました。これが、数年苦労しました後、つまり昭和十一年に、日本政府の方針として統制経済を実施するということによりまして、率直に言って私の方から奪い取った形なんです。強制買収をしたわけなんです。私は実はそれについて非常に不満を持っておりまして、従いまして、私は昭和十二年以降は海外には一切仕事に出ない方針にいたしました。まあ、それ以上言いますと、私の主義主張というような話になって、かえってお耳ざわりですから、御遠慮いたしますけれども、要するに、私はそれ以後は絶対に海外には出ないということにいたしました。  今度の教科書問題につきましても、むしろ国定制度であったらば私はこういう機会はなかったと思います。しかし、根本において検定制度、言いかえれば教科書の制度は日本においては経験者がだれもないのだ、これこそだれがやってもいいじゃないか、こういうふうに、私、自分をして考えさせたのであります。従いまして、非常に御無礼になるかもしれませんけれども、人が八時間寝るものなら六時間寝て、その間勉強努力いたしたつもりでございます。その結果、まあ多少なり発展ということになっておりますけれども、御承知通り編集と発行は私は自由だと信じております。それから、採択はもちろん採択の自由、ここにポイントがあると思います。従いまして、幾ら宣伝しても、悪いものは長続きしないと思っております。いいものは自然に求められておる、こういうふうに私は信じておるのです。従いまして、私はこの採択の自由ということをどこまでも尊重していきたいと考えております。
  278. 高津正道

    ○高津委員 編集、発行は自由だし、選択は自由だし、いいものは用いられるのだ、だから不公正な取引方法はちっとも用いていない、こういうお話でありますが、あなたは、その機械がまだフルに動かずに、十二時間の稼動で一年を二百五十日に見て、それでさえ三千万冊などは楽にこなせるんだということを前回におっしゃいましたが、まだ機械は加えて働くだけの余力があるので、あなたはもっともっと仕事を取ろうとしておられることは間違いない。それは法律違反ではないのです。しかし、そのためにあなたがいろいろ政界に手を打たれていると私たちは見ているわけです。同好者というものを持ったり、それがあなたの支配下にある、それから学校図書印刷があったり、たくさんのものを、いろいろ手を使っておられるわけでありますが、同好者はどういうところの人ですか、また東京都の仕事を受けておられますかどうですか、その点を聞いているのです。
  279. 川口芳太郎

    川口証人 同好者と申しますと、役職員、社員のことを指していると思いますけれども、これはもう株式会社である以上一体になって働いております。それから、都庁の仕事というのは、一昨日もお尋ねがあって、私は全然それはないということを申し上げたつもりでございます。
  280. 高津正道

    ○高津委員 それでは、またお伺いしますが、あなたのところの専務山根健男という方はかつての貴族院議員であったわけです。その人は時の文部大臣の安藤正純氏の選挙運動のときに参謀で活動されたということは、衆目の見るところ十指の指さすところ、だれ知らぬ者はないと私は考えておりますが、そういう事実はありましたかどうか。
  281. 川口芳太郎

    川口証人 山根氏は確かに貴族院に席があって長年おられたことは私はよく知っております。その当時から、むしろ私のずっと若いときからの親友つき合い関係でありまして、従って、会社の仕事も一緒にやるようになったわけであります。安藤前国務大臣の選挙は全然応援しておりませんでございます。
  282. 高津正道

    ○高津委員 それは、あなたは尾行をつけておられるわけじゃないんだろうが、安藤さんの選挙運動にまるで山根専務がノー・タッチでいたような、そういうようなことをあなたは断言して、もしあの人がずっと運動しておったという事実をだれか立証することができた場合には、あなたはどういう責任をとられるのですか。
  283. 川口芳太郎

    川口証人 個人が私ども知らないうちにやったことは、よしんばあっても、その点まで私は実は保証できませんでございます。ただ、会社の方針といたしまして、非常に申し上げにくいような感じで申し上げるのですけれども、私ども、教育とか経済の分野で働く者は政治に関係してはいかぬということを実は申し合せているのです。
  284. 高津正道

    ○高津委員 それなら聞くが、会社の方針として、教育と経済とに携わる者は政治には関係しちゃいかぬ、そういう方針でおられるということは、見上げたことかどうか知らぬが、あなたはそういう主張でいるのだと言われる。しかるに、文部省のパージ組をまるで一手に引き受けるように入れて、そしてその者を、あなたの会社をやめた日と文部省へ入った日とが翌日だという関係にはしないで、病気で休んでおったとか、何か大学の事務局長をちょっとやったとかいう、間にはさむものはあるが、あなたの会社から一番多く、一番かなめのところへ、たとえば中央教育審議会に対しては、——これは教科書問題を諮問するのだ。政府というものは一つの人格なんですよ。どの内閣がかわろうと一つの人格です。安藤文部大臣が言えば、それを次に文部大臣になった人があれは変えるんだということを言わないならば、それでやはり拘束力があるくらいに日本政府を代表する意見なんです。中央教育審議会というものは社会科をしばしば問題にし、また教科書の制度の問題をすぐにも扱うようなことを安藤さんが言うわけです。ここに、すでにちゃんと、教科書問題の一番のくろうとである、中教審の中のだれも彼以上に知らないような近藤寿治という者を入れておく。それから小沼視学官という者が社会科の学習指導要領の主任になっておる。どうも論理上言わざるを得ないが、調査局長が中教審の運営を担当するんだ。一番急所はあなたのところから入って全部押えておった。一人は死んでいますからね。そういう形が現われておって、政治にはノー・タッチでございますと言うが、そういうことは、あなたの社の株主でもあるんだから、小沼何がしはやめてもらうようにもしないで、しゃあしゃあとして、法律に触れなければいいかのように、教育と経済とに自分は専心するものでございまして政治にはノー・タッチでございます—。あんまりこれはひど過ぎはしないですか。その点を聞いてみるわけです。
  285. 川口芳太郎

    川口証人 私、どういうふうに表現して申し上げたらわかっていただけるかと思っているのですけれども、ここにメモして持ってきたのですが、小沼氏は前に保柳視学官という方の下でやっていたように聞いております。保柳視学官と交替になったのは何か最近のように聞いております。従いまして、そこには当社をやめてからすでに三年以上たっておりますので、それまでどうも連絡がちょっとつかないのでございます。
  286. 高津正道

    ○高津委員 しかし、社会科をどんどん出されるあなたのところの株主が、教科書の編さんの一番もとを握っているということは、あなたの会社には非常に強みであって、そういうことを遠慮しなければ、あなたの会社の方針というものは貫いておらぬわけです。言行は一致していないわけです。そこをあなたはどういうように考えられますか。
  287. 川口芳太郎

    川口証人 すでに社会科は私の方は昨年改訂いたしまして、本年は修正といいますか改訂をやった程度でございまして、今後社会科の指導要領が改訂になるまではもう修正する意図は今のところ持っておりませんから、その意味で、小沼視学官とは私は関係ないように思います。
  288. 高津正道

    ○高津委員 株主である小沼視学官と社長である自分は関係はないと言われるのだが、利害関係は一致していますよ。あなたのところの原稿がよけい検定が通って、そうしてアメリカから輸入したコットレルがかせいで、あなたにも大きな収穫があるし、小沼視学官にも同様に同一の喜びが味わえるような事情にある。自分のところの社会科の教科書は今改訂の要はないと言われるけれども、社会科の学習指導要領は、こういうように改訂しよう、こういうように改訂しようという原案が三回も五回も出ている。今後あなた個人に利害関係のあることはここに非常に明らかになったのだが、この小沼視学官は、ほかのあなたのところにおられる人と——伏見猛弥なんという、一ぱい同僚がいるわけです。もとのいわゆる文部省のパージ組がいるわけです。永井浩という人は嘱託だと言われたが、一週間に一ぺん顔を出す組があるわけです。阿原謙蔵、そういう名前もあげられました。こういうような関係者があなたの会社には一ぱいおるのであって、改訂を今予定しておらぬと言われるが、今までは許すにしても、今後こそいよいよ問題になるので、そういう者が文部省に入っているということを私は問題にせねばならぬ。そういう株主が、大した株主でないが、文部省教科書を扱うところのその地位にあるということが許せるかどうかということを、私は別の機会に問題にしたいと思うほどなんです。問題に必ずなるはずです。そういうのをあなたがまた引き取るようなことをされては困るが、とにかく文部省に入れることだけはやめてもらわなければ困ると思う。そういう古い思想で要所々々をみな固める作戦をとって、あなたがはめ込んだという証拠を今私は持たないけれども、そういう関係の者がずっと要所要所を占めるということはおそろしいことだと私は思うのです。あなたは、表面法律関係がなければかまわぬという考えをやはりお持ちですか。聞いてみると、そういうものだろうとでも思うのでしょうかね。
  289. 川口芳太郎

    川口証人 この問題が起きてから、誤解を避けたいと思って、努力したいと思っております。従って、近藤氏の場合にも、非常に言いにくいことだけれども、やめてもらうことを——会社をやめると言いましたから、実は、会社をやめたって、世間じゃ疑っているのだから、何もならない、陰でやっていると思われては何もならないじゃないか、——それでは一つ表向きの中教審をやめようと、二度ほど辞表を持って行ったことを私は知っております。ところが、まだ受理されておりません。小沼氏の場合には、三年も前のことでありますし、最近株が問題になっているようですけれども、この株については、私も、できれば話し合ってどこかへ売り渡すなり、言いかえればそういう誤解をなくしたいと、今後努力いたしたいと思っております。
  290. 高木松吉

    高木委員長代理 高津君に申し上げますが、時間の関係がありますから、簡略にお願いします。
  291. 高津正道

    ○高津委員 中教審の委員をやっている近藤寿治氏は、現在取締役でもあるわけですか。そして現在あなたの会社の株を持っておられるかどうか、言葉で言って下さい。
  292. 川口芳太郎

    川口証人 株も持っております。それから取締役でもあります。
  293. 高津正道

    ○高津委員 株の数を承わりたいのです。
  294. 川口芳太郎

    川口証人 何株であるかということは、調べて御報告申し上げます。
  295. 高津正道

    ○高津委員 おおよそでいいですよ。単位は何千単位か何万単位か、それはあなた常識上わかっていますよ。社から来ておられる人もあるわけだから、それはすぐはっきりするでしょう。
  296. 川口芳太郎

    川口証人 ちょっと呼んでよろしゅうございますか。
  297. 高津正道

    ○高津委員 委員長、それをお許し願いたいのであります。
  298. 高木松吉

    高木委員長代理 あとで出してはだめですか。
  299. 高津正道

    ○高津委員 ここではっきりしておきたい。あとで帳簿を動かしては困りますから。
  300. 高木松吉

    高木委員長代理 証人、今わかりますか。
  301. 川口芳太郎

    川口証人 株式係でないと、よくわからぬのです。
  302. 高木松吉

    高木委員長代理 電話をかけて聞くまで、ちょっと休憩いたします。その間にちょっと電話をかけて聞いてみて下さい。    午後二時四十五分休憩      ————◇—————    午後二時四十六分開議
  303. 高木松吉

    高木委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
  304. 高津正道

    ○高津委員 あなたのところの責任ある出版物には、昭和二十八年十一月には近藤寿治氏は六千株の株主であることが記録されてありますが、そのことは、あなたもまさか否認はなされぬだろうから、それ以後ふえたかふえないかは別問題で、その点をまず確認を求めたいと思います。証人の御意見を聞きたい。
  305. 川口芳太郎

    川口証人 六千株であるということは、調べないと、私、ちょっと申しかねるのです。
  306. 高木松吉

    高木委員長代理 高津君にも申し上げますが、今電話で聞かしているのですから、それなら電話でわかったときにあなたから聞かれたらどうですか。
  307. 高津正道

    ○高津委員 蒋介石は、抗日運動を展開するときに、有銭出銭、有力出力というポスターを全中国に張り回して、有銭出銭で、金のある者は金を出して抗日運動に応分の役割を果たさせた。それで、政治家からいろいろ世話になる場合、実業家がなし得ることは、——実業家が何かいいことをやったら、政治家はうまい操作で勲章をやるのです。実業家がただ持っている一番の強味は、家を建ててやるとか、経済的に何か出すわけなんです。ところが、政治献金は、天地神明に誓って、神よ明鑑あれ、私は一つも渡しておらぬ—。政治献金、そういうものを出しているのか出しておらぬのか、出している事実があったらどういう責任をとるのか、それを承わっておきたい。
  308. 川口芳太郎

    川口証人 私は政治献金はいたしておりませんのでございます。
  309. 高津正道

    ○高津委員 政治献金という形容詞のついた金でなく、政治家に選挙のときに借金に来たから金を貸したというか、そういう金を出しておるかおらぬかを承わっておきたいのであります。
  310. 川口芳太郎

    川口証人 選挙資金は出しておりませんでございます。
  311. 高津正道

    ○高津委員 それじゃ、よろしゅうございましょう。
  312. 高木松吉

    高木委員長代理 西村力弥君。
  313. 西村力弥

    ○西村(力)委員 最初に委員長にお聞きしたいですが、この前の委員会のときに、教科書の見本と実際支給している本との紙の質を公式の鑑定人を呼んで鑑定をさせるべきである、こう申したのでございますが、委員長は、理事会に諮って取り計らいをきめたい、こういう答弁でありました。その点、どういう工合に今お取り計らいが進められているか。
  314. 高木松吉

    高木委員長代理 次回の理事会に諮ってきめることにいたします。
  315. 西村力弥

    ○西村(力)委員 さようお願いいたしておきます。  川口さんにお尋ねいたしますが、先ほどのどなたかの質問に対する答弁で、コットレルの機械が一時間に一万二千冊だ、こういうことでございましたが、信用を置くわけじゃないけれども私が目に触れた別の本には一時間当りの能力が一万四千冊と出ておる。この点はどちらがほんとうか。それから、一日に十二時間稼動しまして、一年間の稼動日数を百七十五日と切っておる。教科書にしますと今二千五百万冊、こういう表現でございましたが、私は、この計算は非常に内輪に見過ぎておるのではないか、ことさらに内輪に見積っておるのではないか、かように思われるのです。一日十二時間でなくても、二十四時間でもやれるでしょうし、あるいは、一年は三百六十五日ですから、その間百七十五日しか機械は動かせないというようなことはない、こう思うわけなんですけれども、そこのところを、内輪でなく、普通に経済的な運転をすれば年間どのくらい生産できる、フルに運転すればどのくらいの生産が可能であるか、これを一つ正確にお願いしたいと思います。
  316. 川口芳太郎

    川口証人 ただいまお話のように、最高の能力を出せば一万四千できますけれども、やはりそこには安全性を見なければなりませんので、一万二千ぐらいが妥当だと思います。それから、百七十五日というものは、これはあまり動かせませんでございます。大体組みつけの時間とかそういうものに相当時間がかかります。月曜、祭日の休みはやはり休まないと、どうも工合が悪いようです。ただ、ここで時間の問題でありますけれども、時間は八時間で採算をとらなければ実際にはまずいんですけれども、十四時間ということを申し上げましたのは、それだけではという意味で十四時間と申し上げてあるので、それを二十四時間とおっしゃれば、確かにそういうこともできないことはありませんけれども、現在のところは、一万二千と、十四時間と、百七十五日ということが、そう無理がない、しかもまあ相当経済的に動かしておる、こういうことで申し上げたつもりであります。
  317. 西村力弥

    ○西村(力)委員 日曜、祭日をとったら年間どのくらいになりますか。月に五日としましても六十日にしかならないわけです。そこを二百五十日と初めから抑えておるから五十日ぐらいの開きがはっきり出てくるのではないか、かように思うのでございます。そのことは、今そう御証言なさる日数あるいは一日の稼動時間、年間の稼動日数、そういう基準でコットレルの能力をはじいておられ、そうしてこの機械を購入することによってこれこれで採算が合うのである、こういうような計算をされて、そのようにおっしゃっていらっしゃるのかどうか。最初のこれを入れる場合の計算はもっと上回っておったんじゃないか。その点はいかがですか。
  318. 川口芳太郎

    川口証人 これは、カタログだけで判断しますと確かにもう少しあるということも言えますけれども、実際使っておりますと、カタログ通りにはなかなか参りませんのでございます。
  319. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それでは、手元にちょうだいした建設記録というものを拝見しますと、このコットレルの輸入は、学校図書株式会社あるいは株式会社好学社の発行する検定教科書の製造を主体とする、こうなっておりますが、なおそして余力のある場合には一般出版社、官公庁、特に外国出版社の刊行物を受注製造する、こういうことを建設の構想として述べられておる。現在このコットレルなる機械がどれだけの生産をあげておるか、どういう方面の印刷物をどのような数量を受注して製造しておるか、これを一つ……。
  320. 川口芳太郎

    川口証人 まだ操業日が浅いので、現在のところは教科書以外には何もやった経験がございません。
  321. 西村力弥

    ○西村(力)委員 教科書は何冊ぐらい刷っていらっしゃるのですか。
  322. 川口芳太郎

    川口証人 お答えいたします。このコットレル機だけの表を今持っておりませんのですが、大体前期用の教科書といたしましては、先ほどちょっと申しました無線とじで千二百三十万冊余作ったわけであります。そうしますと、それから、一千万冊ぐらい刷ったんじゃないかと思います。
  323. 西村力弥

    ○西村(力)委員 設備せられてから日が浅いからはっきりした数字も出て来ないのもやむを得ないと思いまするが、しからば、とにかく莫大な金をかけられまして入れられたんですから、ことしの事業計画でこのくらいの印刷物をやって機械を動かして、そうして経理をどのような工合に持っていくという事業計画はございませんか。
  324. 川口芳太郎

    川口証人 大体当社といたしましては、三千五百万冊が目途でありまして、これは過去数年間の平均をとってそのように考えております。そのほか一般印刷物をどのくらいやるかということは、時間の延長とかそういうことでまた考えてみたいと思います。
  325. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そういたしますと、先ほどは年間二千五百万冊というお話でありました。その事業の目標は三千五百万冊、そのほかに一般の印刷物を受注する。それでは先ほどのお話はうそになってくるのではないですか。これはどうしたわけなんですか。
  326. 川口芳太郎

    川口証人 私の言葉が少し足りませんでして、本社にも工場がありますので、それを両方合せて申し上げたのでございます。
  327. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それでは、本社の方は抜きにしますと、どのくらいに相なるのですか。
  328. 川口芳太郎

    川口証人 二千五百万冊ぐらいの予定になっております。
  329. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そうしますると、二千五百万冊を印刷することによって、これだけの機械を入れた工場の経営が大体償却も見ましてやり抜くことができる、こういうようなことに相なるわけでございますか。
  330. 川口芳太郎

    川口証人 大体二千五百万冊くらいやっていきますと、十カ年くらいで大体できるような計画になっております。
  331. 西村力弥

    ○西村(力)委員 二千五百万冊、年間これだけでやるわけですが、これは十カ年で償還をしてやっていくということになりますると、この、二千五百万冊の教科書に一冊当りどのくらいの純利を負わせなければならないか、どういうことに相なるのですか。
  332. 川口芳太郎

    川口証人 教科書にどのくらいということは、まだ算出ができておりませんけれども、先刻申し上げたのですけれども、本年は二%ほど定価引き下げましてやっております。
  333. 西村力弥

    ○西村(力)委員 十カ年で全部やるというような目標を立てられておるのに、どうもこれじゃ手ぶらで商売を始めているような御答弁に私は受け取らざるを得ないわけです。もっと緻密なはっきりした見通しを立ててやっていらっしゃる、こう思うのですが、どうも社長さん、詳しいことはおわかりにたらないのかどうか、答弁は私としてはまことに不満足を表せざるを得ないわけなんでございます。私たちが専門的に研究すれば、二千五百万冊で十カ年で十億以上の償還をやる、あるいは使用人は五百人なら五百人、ずっとこういうふうに調べていけば、大体のところは出せると思いますが、この点はそのくらいにしておきます。  次に、これはお宅さんの方でこさえた資料ですから、そうではないと仰せられないと思うのでございまするが、この内部諸設備の輸入機械、材料の購入というところを読みますと、「米国業者の助言を得てその購入品目を決定した。政府機関も当社の意図に賛同し、異例に属する輸入が許可された。」こういう異例に属する許可ということが述べられておるわけなんでございますが、この政府機関というのはどことどこをさすか、当時の長は、だれであったか、何がゆえにまた異例に属する輸入が許可されたか、何がゆえにそういう表明をなされたか、その点について御答弁願いたい。
  334. 川口芳太郎

    川口証人 先ほども申し上げましたように、これはモデル・マシンとして許可を得たわけでございます。それが異例に嘱するという言葉になっているわけでございます。政府機関といいますと、大体通産省が主でございます。そのほか技術導入については総理府のスタックでやっております。関係するところはあと大蔵省もございます。
  335. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それは通産省関係でしょうが、通産省のどこであるか、その当時の局長はだれであるか、先ほどの御答弁では、社長御自身がじきじきこういう問題を、金融問題にもあるいは輸入の許可の問題についても、やられた、こう仰せられるのでおりますから、おわかりのことと思うのです。その点、言をお願いしたい。
  336. 川口芳太郎

    川口証人 先ほども申し上げましたように、銀行の裏づけができますと、第一通商——輸入商でございますね。その方で手続をいたしまして、外貨の割当申請は通産大臣あてにして、受付は輸入課です。通産省各局から委員が出て外資割当委員会を作って、週二回の会議を持ち、それで決定したものを通産省の輸入課で事務的に発券いたしております。
  337. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そういう役所の事務のからくりは、私たちもお聞きしなくてもわかっておるのです。直接交渉なさっている場合、そういうずっと許可までの何を通る場合に、直接責任者としてだれに会ってそういう話をされたかということをお聞きしたいのです。事務手続の経路を今御答弁願おうとは考えてない。
  338. 川口芳太郎

    川口証人 これは、会社のこの衝に当っている者が第一通商と一緒にやっておりますから、それだけで、今のところ……。
  339. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それでは、異例に属する輸入が許可されたということ、これはモデル・マシンとして許可されたことが異例だと言うのでございますが、この文章から受け取る私たちの感じは、政府機関のほんとうの好意というものが強く意図されておる、異例に属する輸入という言葉は、好意という印象を受けるのですが、そういう考えはないのですか。モデル・マシンとして入れたという形が異例だというだけではなく、好意というものが非常に強くにじみ出てきておるわけなんです。そういう意図を表現せられている、こういうことはございませんか。
  340. 川口芳太郎

    川口証人 まことに表現がまずかったかもしれませんが、単にモデル・マシンが異例に属するということでございます。
  341. 西村力弥

    ○西村(力)委員 先ほどの問題に戻りますが、どうもまだ割り切れないのは、コットレルの経済的能力は年間二千五百万冊だ、これ以上やろうと思えばやれないことはないけれども、それは採算からはずれるんだ、こういうことでございましたが、しかし、教科書は二千五百万冊だが、余力をもってそのほかの印刷物を受注する方針であるということでございましたので、この十カ年間を区切っての経営計画、これは二千五百万冊以上を刷らなければやっていけないんだ、計画通りいかないんだ、こういうような立場をはっきり示しているように思うのでございますが、一体この点はいかがでございましょうか。
  342. 川口芳太郎

    川口証人 二千五百万冊はぜひやっていきたいと思っておりますけれども、しかし、仕事したから全部もうかるわけではないし、多少減ったから経営ができないわけでもございません。
  343. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そういうことになりますと、もう手放しで経営をやるんだということ以外に私たちは聞き取れないのでございますが、まあ専門家のおっしゃることでありますし、何とかやれるのだろうと思うのですが、それ以上能力を発揮することが可能であるとするなれば、教科書にしますと、一体最大能力を発揮すればどのくらいになるか。
  344. 川口芳太郎

    川口証人 二千五百万冊か三千万冊か、三千万冊ちょっとくらいじゃないかと思います。
  345. 西村力弥

    ○西村(力)委員 いろいろ疑問とする点はたくさんございますけれども、私たちは、経営というものはもう少し計画的に行われる、その実際のことを証言していただきたい、かような希望を持ってやったのでございますが、遺憾ながらそういう証言を得るわけにはいかないので、これは何らか別途の方法でもって私たちはやらざるを得ないのではないか、かように思って、発言を終ります。
  346. 高木松吉

    高木委員長代理 濱野清吾君。
  347. 濱野清吾

    ○濱野委員 簡単に二、三点質問いたします。同僚の高津君から大体質問されましたから、私はそれに関連して一、二点お伺いしておきたいと思います。  かりにこういう例があったらば、あなたは、どういうふうに考えられたか。大蔵省の為替管理局あたりの役人が輸出入貿易商の重役であったような場合、運輸省の免許関係の役人が運輸会社日本通達の取締役であったというような場合。ちょうど、高津君の質問によりますと、確かに近藤さんはあなたの方の取締役であるというし、小沼洋夫さんは何か学科指導要領を作り上げる最も重要な公けの職務を持っている人だという。これがかつてあなたの方の重要なるポストを占めており、しかも現実に株主である。一体、日本人として、あるいは国を思う事業家として、産業の発展のためにあなたは印刷界に君臨しようとするまことにりっぱな事業家として、こういうところまで力を伸ばしてもよいものだろうか、あなたの偽わらざる心境をお尋ねしたい。
  348. 川口芳太郎

    川口証人 これは一昨日ちょっと申し上げたと思うのですけれども、終戦直後非常に私どもの立場は動揺しておりました。そのときに、何とか精神的の安定を得たいという意味工場に文化部というものを作ったわけです。そのときに、ただ、浪人しているような人たちを二、三集めて、そして研究をしてもらったり、たまには畑違いの立場から講演してもらったり、談話をかわしたりすることが目的だったのでございます。それが、たまたま検定制度がしかれたために、別の発行会社として学校図書株式会社が生まれたわけです。従って、そのときに、形は違いますけれども、かつて経験がありましたので、それを仕事の上で利用したわけなのでございます。最近これがこういうふうに大きくなるということは、私、迂遠と言えば迂遠でありますけれども、それについて誤解を招くようなことは今後いたさないようにいたしたいと思います。
  349. 濱野清吾

    ○濱野委員 私どもの見るところでは、証人のただいまの証言のように迂遠であるなどということでは了解ができないのです。あなたの産業人としての意図を遂げるならば、どんな手段でも選んでいくがいい。日本の官界の綱紀の紊乱したことはある時代においてはございます。また戦後においてもいろいろ決算委員会などにおいて摘発されたような事件もございます。しかしながら、あなたのような、組織的に、計画的に、しかも自分の事業の目的のために枢要なる役所の位置にある人を活用して利潤一点張りにわが意欲を遂行しようとした、こういう計画はいまだかつてないのであります。少くとも、営利会社の重役を、現在営利会社に直接関係があり監督の立場にある枢要なる地位にある役人として、再びその営利会社から役所に押し出したというようなことは、かつて日本の歴史にはないのです。こういうことを考えても、あなたは迂遠であるとかあるいは考えるというようなことをおっしゃって、一体国のために産業人はそれでいいのですか。大へんにあなたはりっぱなことを言っておった。日本印刷界の革命のためとか、あるいは、よい安い品物を作ろうとか、産業人のほんとうの心持を吐露したようなことをここでおっしゃったが、先ほど高津君の言う通り、言っておることとなしておることとは全然違うではありませんか。私はあなたがこの疑いを受けたということについて一片の同情を持っておる。しかしながら、あなたは少くとも証言台に立って産業人として真実を一つ吐露してもらいたい。国のためにも、あなたの事業のためにも、ともに利益になることならば、勇敢にお答えになってもいいじゃありませんか。大体二日にわたっての証言を私ども拝聴いたしており、また証言をとろうとして言っておるのですが、あなたの言うこととやっておることとは全然違っておるのではありませんか。私は、あなたを憎まない、またあなたのやろうとする意思はよくわかっておる。そうするならば、堂々と産業人の正しい魂を飛躍させ、推進させて、あなたの事業目的を遂行したらいいではありませんか。しかも、監督官庁にひとしき官界に枢要なる社員を押し込み、てん然として言を左右しておるその態度は、私は日本の産業人としての態度としては軽蔑せざるを得ない。あなたのほんとうの産業人としての心境を承わりたいと思います。
  350. 川口芳太郎

    川口証人 今送り込んだと言いますけれども、実際私は送り込む意思がなかったのでございます。むしろそれについては若干反対の気持を持ったけれども、これは非常にデリケートでありまして、私がもし強硬に反対すれば、本人はどのくらい私を恨むかわからない。もうやめるという意思を表示してから私が反対すると、これは首を切った以上に本人は苦痛になるわけであります。従って、私としては、それから後は本人の考え以外には差しはさむことはできないわけです。今おしかりを受けましたのですけれども、私は、全く、この教育内容について幾らかでもよくなればよい、われわれ率直に言って教育の何ものかということがまだよくわからない、このときに幾らかでも教育内容を盛ったものができるということが正しいものだ、これは私信じておるわけなんです。それで、編さん上に非常に役に立つわけなんでありますが、しかし、編さん上も根本は学習指導要領に沿うておるものであって、それから、もう一つは、著者責任を持って自分の著作物として執筆に当っているのです。会社側はそれに協力して、教科書的な考えで補いをしているだけでございまして、大分おしかりを受けておるのですけれども、この著者はなかなか会社の言うことを聞くものでもないし、文部省調査員とかなんとかいうけれども、これはわかれば激突するのであります。そういうくらい著者は自覚といいますか一つの識見を持ってやっているわけなんでありまして、それをマネージするのが会社編集部なんでございます。そこで、これをどうも送り込んだとか、それを利用しているとかいうことは、実は私、全くそこまでは、今度の一件ができるまではよくわからなかったくらいでございます。
  351. 濱野清吾

    ○濱野委員 私はあなたに好意を持ってあなたの心境を聞いたわけでありますが、あなたのただいまの説明で私はむしろ落胆しているわけです。将来ともあなたはやはり今までやったような道で自分の志を遂げようとしていることだろうと思いますから、私らには幾多の材料がありますけれども、ここでこれ以上証言をとろうとはいたしません。  ただ、最後に一点あなたに聞いておきます。あなたは、私ども同僚の質問について、今日まで大へんにお答えをされた。そうして、われわれが常に考えております日本の産業人のあり方ということについて、理想的なお答えをしている。しかも、業界においては最もよい本だ、最も安い本だ、事は教育に関することであるから、ほんとうに清純な気持で、寝る間も寝ずに精進しているのだという、まことに尊敬すべきお言葉を私ども拝聴している。しかし、事実はどうですか。本年度の定価は平均して他の会社よりは安いのですか、あるいは高いのですか。それを点お伺いしたい。これが第一。第一は、あなたの会社資本金に対する、三割を配当している。あなたは、学校図書株式会社利益、こういうことをお答えになっている。この二つのことをお考えの上、お答えを一願いたいと思います。
  352. 川口芳太郎

    川口証人 これは、他の会社より安いということは、八十何社の中でどのくらいのところにあるかというようなことは私申し上げることができますけれども、この本が、この一冊、この箇所がこうなっている、こういうふうになりますと、そこには凹凸があります。出社といたしましては二百点から発行いたしておりますので、ただ概念的に、平均して当社のものは安いと私は信じております。  それから、三割の配当でございますけれども、これは定価をつけたから三割配当はもちろんできるのでありますけれども、やはり会社は運営でございまして、あるときには労働争議も起るかもしれません。それはテクニックと言えばテクニックでありますけれども、実際、そういうわけであります。
  353. 濱野清吾

    ○濱野委員 私は、あなたに経営論を教わらなくても、われわれも会社をやっているのですから、よくわかる。しかし、国のために、あるいは教育のために、あなたがせっかくこうしたモデル・マシーンを免税まで受けて入れて、そうして日本の産業界のために、教育界のために御奉公申し上げようという今までの答弁と、あなたが利潤をあげているその利潤と、しかも平均して概念的でよいのです。あなたの本は決して安くはありません。安くないのです。しかもあのばらばら事件を引き起しているのです。そうしてあなたは今までりっぱなことを言って言いのがれているが、決してあなたの言っていることは真実でないと私どもは思うのです。それから、誠意がないと思っているのです。この心境を私は重ねてお伺いしたい。
  354. 川口芳太郎

    川口証人 大へんおしかりでありまして、私のふなれと申しますか、いろんな回答、証言が至らないで、とにかく今後何か機会がありましたら御指導をお願いしたい。
  355. 濱野清吾

    ○濱野委員 私はもうこれで終ります。——大体材料はありますから。しかし、指導は、私どももう資格がありませんから、文部省から有効なる指導を受けたらよいでしょう。
  356. 高木松吉

    高木委員長代理 大西正道君。——大西君に申し上げます。大西君は一昨日も川口証人に対して尋問しておりますから、重複のないように簡単にお願いしたいと思います。
  357. 大西正道

    ○大西委員 初めにお尋ねをいたしますが、あなたは新しい機械を輸入して、そうしてこれを公開してみなに見てもらう、こういう方針であるということを言われましたね。証人にお尋ねしますが、公取委員会の文部省に対する警告の中に、出版会社教育関係者を、あるいは会社の見学などという名目でもって会社に招待するということはよろしくない、こういう趣旨のことがあります。それは、文部省が地方の学校、教育関係に通達をいたしていると同時に、出版社関係にも申し入れをしているわけでありますが、この点は御存じだと思いますが、御存じですか。
  358. 川口芳太郎

    川口証人 教科書販売につきましては通達も受けておりますし、それを守るように当然しなければならないと思っております。
  359. 大西正道

    ○大西委員 あなたの方で会社を公開してなるべく参観をしてもらいたいという趣旨と、文部省から通達されたそういうスキャンダルを伴う原因となるような会社の参観ということを自粛すべしというような、こういう相矛盾する二つのことに対して、どういう方針でやって参りましたか。
  360. 川口芳太郎

    川口証人 公開ということは、たとえば、機械とか材料とか、あるいは建築とか、また同業関係、これに付随する業者、それから学界の方々、得意筋あるいは資材関係、こういうふうにいろいろ交差しております。ただ、そのうちで、教科書の特質上、やはり教科書がどうしてできるのだということの質問があるわけなんです。で、古くから図書のものを使っているようなところには、礼儀的にも、ついでのときに寄ってくれということを開所式に当って申し上げたわけです。実は、会社といたしますと、非常に作業の能率にも影響いたしますし、やはりお見えになれば茶も出さなければなりませんし、必ずしも歓迎しているわけではありませんが、私が言うのも変ですが、工場を参観になった人から、実にいいところを見たというふうな礼状が参りますと、なかなか断わりにくいようなところがある。ことにまた、見た人から、一ぺん行って見てこいというような話を聞いて来られますと、その人には見せたけれどもほかの人には見せない……。実は今なるべく断わる手段をとっておるのです。そんなことは少し今の事態に沿わないということは、私としてよほど反省してみたいと思っております。
  361. 大西正道

    ○大西委員 あなたは会社の公開をなるべくやって多くの人に見てもらいたいということをたびたびこれまで言われておる。今はそういうことについてお断わりしたいというような話でありますが、これは、速記録をごらんになればわかりますように、あなたがこれまで言われた考え方と違っておりますよ。やはりあなたの方はなるべく多くの人に会社を見せたい、こういうふうな見解をお持ちなのではありませんか。
  362. 川口芳太郎

    川口証人 これは、時間的の問題と、私のふなれな言葉がそういう印象を与えたと思いますけれども、開所式は昨年の十一月で、遠方の人にはついでのときに寄ってくれという程度であったわけなのです。最近では実際言うと迷惑しておるわけなのです。
  363. 大西正道

    ○大西委員 ついでのときに寄ってくれといって寄らしたときに、あなたの方はこれに対して車馬賃を払ったりあるいは食事を供応したりしておるように私は聞くのでありまするが、これは、私といたしましては、公取委の警告を待つまでもなく、一種の出版会社教育関係者に対する供応であると思います。この点は私は非常に重大だと思うのでありますが、そういう事実はございますか、ございませんか。
  364. 川口芳太郎

    川口証人 教育関係の方には努めてそういうことのないようにいたしております。
  365. 大西正道

    ○大西委員 努めてというのは、あなたの主観的な意思でありまするが、その努めてが、会社側の方針として、外部の参観者に対して参観、見学に名をかりてこっそりと供応したり車馬賃を供与したり、こういうことをやっておるということを認めますか、どうですか。
  366. 川口芳太郎

    川口証人 私としては認めておりません。
  367. 大西正道

    ○大西委員 もしそういう事実があったら、社長として責任をおとりになりますね。当然だと思います。私はあとで事実をあげます。  お伺いいたしまするが、事実の一端でありまするから、これはこの前にもお伺いしたのでありまするが、ことしの一月の二十九日に文部省の主催の理科指導主事会議がありました。このときに、これに参加したところの指導主事が約三十五名ばかりあなた方の会社を見学いたしております。このことは御存知ですか。
  368. 川口芳太郎

    川口証人 昨日……。
  369. 大西正道

    ○大西委員 知っておるか知っておらないかだけでけっこうです。
  370. 川口芳太郎

    川口証人 知っております。
  371. 大西正道

    ○大西委員 そのときに、あなたの方は三十五名に対して東京・沼津間の電車賃を支給し、そうしてバス代も支給して、会社ではごちそうを、昼飯——おそらく晩飯でしょうが供応いたしておりますね。こういう事実は、私は知っておるのでありまするが、間違いありませんか。
  372. 川口芳太郎

    川口証人 承知いたしております。
  373. 大西正道

    ○大西委員 この事実は、今あなたが言われたところの、見学に名をかりて、そうして理科の指導主事という、地方の採択面に最も関係のある人を供応して、そうしてこの採択を有利ならしめたということは、だれが見ても明らかだと思いますが、これに対してあなたはどういうふうにお考えですか。
  374. 川口芳太郎

    川口証人 これは、一昨日御質問があって、さっそく帰りまして調べた結果が、こういうことになっておるのでございます。お尋ねの文部省主催の社会科指導会議云々の件は……。
  375. 大西正道

    ○大西委員 そういうことは私が今言いましたから、私の質問に対して、そういうことが採択に影響があるかないか、あなたが潔癖であるということを言われましたが、そのことについての証言を求めておるのです。事実はここでお述べになる必要はありません。私知っておりますから。
  376. 川口芳太郎

    川口証人 これは理科の担当の方がああいうふうな近代科学工場を見るというだけのことでございまして、そこに何ら発行会社的な考えはないので、図書印刷会社の接待ということになっておるわけであります。
  377. 大西正道

    ○大西委員 それは私の聞いておることとはとんちんかんの答弁ですが、今あなたは東京・沼津間の汽車賃並びにバス代、そしてごちそうもされておられるということを承知しておられますが、それではこれは一体何ですか。——それでは聞きまするが、文部省からこういうことの要求があったんですか。それともだれかからの要求があったんですか。それとも、その前にお聞きしておきまするけれども、このことが採択に影響がないと言われるのはどういう根拠ですか。完全にこれは影響がありますよ。これはたった一つの例であります。あなた方は今までそういうことは何もないということを言われたのでありますが、この事実は否定されぬでしょう。肯定されると思う。これが採択に影響があるかないかということは、あなたはないと言われましても、世論はこういうものは影響がないなんということはだれも考えません。もう一回これに対して何かおっしゃることがあったらお聞きいたしましょう。
  378. 高木松吉

    高木委員長代理 川口証人に申し上げますが、的確に答弁して下さい。
  379. 川口芳太郎

    川口証人 ……。
  380. 大西正道

    ○大西委員 どうも答弁がしにくいようでございまするから、私の申し上げたことの事実をお認めになりました。これに対する私どもの考えは後ほどまた私どもでいろいろと考えたいと思います。これは一つの例でありますが、こういうことがたびたびあなたの会社で行われておるのであります。  それで、もう一つここで、前に聞き始めました問題を……。
  381. 高木松吉

    高木委員長代理 大西君にちょっと申し上げます。簡単にやっていただきたい。この前もあなたはおやりになったんだから……。
  382. 大西正道

    ○大西委員 私はこの点はもうちょっと聞いておかなければいかぬところだと思いますので……。
  383. 高木松吉

    高木委員長代理 それでは、けっこうだから、要領だけ聞いて下さい。
  384. 大西正道

    ○大西委員 わかりました。この参観の話し合いはあなたの方から出されたんですか、それとも理科の指導主事の側からですか、文部省のあっせんですか。
  385. 川口芳太郎

    川口証人 私の聞いておるところですと、東京都が幹事役であって、東京都の教育委員会の方から、日本テレビと当社とを予定にしてあるから見学を許されるかという質問がありまして、それじゃ私の方も引き受けよう、こういったことになったように聞いております。
  386. 大西正道

    ○大西委員 その交渉はいつごろあったんですか。
  387. 川口芳太郎

    川口証人 それ以上のことは、私、ちょっとまだ聞いておりません。
  388. 大西正道

    ○大西委員 文部省主催の各全国の理科の指導主事の会議にあなたの方の社員の島田という人が出ておる。これは文部省にも明らかにしてもらわなければならぬと思うのでありまするが、今問題になっておりまする文部省とあなたの社の結託の事実は、こういう売り込みのところにもちゃんと出ておる。私は、どういうわけで文部省主催のこういうふうな会議に営利会社であるあなた方の社員がわざわざ出ておるかということに対して疑問を持つわけなんです。しかも、私の見るところでは、そのときにわざわざ印刷をした申込書まで配付されておるのです。まことにもって、これまで言を左右にされましたが、私はあまり多くは言いませんが、この一事をもって見ましても、あなた方の会社の経営というものは、文部省との間に非常な取引があった。そうして公正なる売り込みというものに対してのルールをはずしております。  私は、これだけのことを質問して、きょうは終ります。
  389. 高木松吉

    高木委員長代理 辻原君。ごく簡単にお願いします。
  390. 辻原弘市

    ○辻原委員 重複する部分を省きまして、簡単に二点だけあなたにお伺いをいたしますが、第一の点は、けさほどのあなたの証言の中に、監督官庁である文部省会社関係を持つ部分は、これはただ私の学校図書株式会社だけでなくして他にもその例があるという意味合いの発言をなさらておられますが、その点はあなたの発言通りであるのか。私の質問をもってあなたの証言が終りになるわけでありますが、この問題は、もしかりにあなたの証言通りであるとするならば、これは私は非常に重要な問題だと思うわけであります。ただにあなたの会社のみならず、他の会社にも監督官庁である文部省との間に関係を持つということになれば、これは教科書行政というものは乱脈をきわめておると言わざるを得ません。その点、いま一度、もしあなたの発言が思い違いであったならば、この機会に訂正された方がよかろうと私は考える。もしその通りであるならば、その他に類例があるという内容を具体的にこの席において明らかにしていただきたい。
  391. 川口芳太郎

    川口証人 先ほど申し上げましたように、何々会社、何々氏が行っているということを、私はここには記録もありませんし、教科書を専門にやっているような会社には大かた一人や二人はおるということも私知っております。
  392. 辻原弘市

    ○辻原委員 私は、こういう問題を、ただ、今の程度答弁でもっては聞きのがせないと思う。大体教科書会社であるならば、必ず一人や二人は文部省関係を持っておるということならば、重大な問題であると思う。事実を述べてもらいたい。あなたはまんざら氏名あるいはその会社等を全然知らずしてその証言をなさっているとは私は考えません。従って、その点、あるなれば、これを明らかにしてもらいたい。
  393. 川口芳太郎

    川口証人 調べた結果御報告申し上げたいと思います。
  394. 山田長司

    ○山田委員 ただいまの辻原委員質問関連して……。必ずあると言われる以上、やはり必ず御存じだと思うのです。ぜひ一つ、おわかりになったならば、その会社名前を二つでも三つでもいいからおあげを願いたいのです。
  395. 高木松吉

    高木委員長代理 どうです、それはあと報告されても……。今わかっておるなら、ここではっきり……。
  396. 辻原弘市

    ○辻原委員 これは全然知らないで言っているとは思わない。全部を的確に知らなくても、あなたが今そう言われた心の中で浮かんでいる一部の会社でもけっこうだと思う。それはやはり的確に申していただいた方が問題がはっきりすると思います。今のようなあなたの御発言だと、大かたの会社はと言うからには、教科書会社が九十二あるが、それぞれそのほとんどが文部省の中に自分の会社の出先みたいな格好で関係をつけているように一般は受け取るかもしれませんから、この点を的確にしておいた方が、教科書行政の上から見まして適当な方法であると考えますから、この点、重ねて、あなたのわかっている範囲だけでも申してもらいたいと思います。的確にわからない部分については後日適当な形において知ればいいのであって、この席においては、とにかくあなたの方でわかっている範囲だけをお知らせ願いたい。
  397. 高木松吉

    高木委員長代理 記憶にある範囲において述べていただきたい。もしわからなければ、あとで、今あなたのおっしゃった内容のものを書面か何かで出していただくが、記憶の存する限りはここでお話しになって下さい。
  398. 川口芳太郎

    川口証人 後ほど全部書面で出していかがでありますか。
  399. 高木松吉

    高木委員長代理 証人に申し上げますが、記憶があれば、その記憶の範囲においてお話し願いたい。記憶がなくてもあとでわかることがあれば、また別な方法を考えます。記憶にありますか、ありませんか。
  400. 川口芳太郎

    川口証人 自分のこの書類だけで頭が一ぱいであって、錯覚があってはいかぬと思って、実は……。
  401. 高木松吉

    高木委員長代理 それでは、辻原君に申し上げます。あとで書類で出されてどうですか。あなたが了承するなら、そうしたいと思います。
  402. 辻原弘市

    ○辻原委員 記憶にないのを言えといっても無理かもしれませんから、それでは一つ後日書類で出してもらうことにいたします。
  403. 高木松吉

    高木委員長代理 それでは、後日書類でお出しになることをお願いいたします。
  404. 辻原弘市

    ○辻原委員 いま一点、あなたは新日本教育協会という団体を御存じですか。
  405. 川口芳太郎

    川口証人 存じております。
  406. 辻原弘市

    ○辻原委員 あなたの会社に伏見猛弥という方がいらっしゃいますか。その人がいらっしゃるとすれば、どういう役割をあなたの会社ではおやりになっておりますか。
  407. 川口芳太郎

    川口証人 当社編集部におります。
  408. 辻原弘市

    ○辻原委員 宮崎寛、石井鋼次郎、このお二人の名前をあなたは御存じですか。またあなたの会社と何らかの関係を持っていらっしゃいますか。
  409. 川口芳太郎

    川口証人 宮崎寛氏は、かつて当社にいたことがあります。石井何がしというのは存じません。
  410. 辻原弘市

    ○辻原委員 今お聞きいたしますと、あなたの会社編集長をなさっておられるようであります伏見さんが、新日本教育協会のいわば産婆役を務め、なお、あなたの会社の元枢要な役職におられた宮崎寛氏が現在この新日本教育協会の幹事を勤めていらっしゃる。なお、私があげました石井鋼次郎氏は、あなたは御存じないと言われているが、あなたの会社とは密接な関係を持っておる採択関係の有力なメンバーであると私たちは存じております。これらの三人の方々が、新日本教育協会の発足並びに運営に重要な役割を果していることをあなたは御存じあるかどうか。
  411. 川口芳太郎

    川口証人 伏見君は発足当時関係していたように思います。当社に入社するに当りましては、その方をやめたわけでございます。それから、宮崎寛君は、当社をやめまして、その方に行っておるということに承知しております。
  412. 辻原弘市

    ○辻原委員 現在この団体は全国に六十二の支部があって、会員は二千名を突破しているといわれておる。これは事実でありますが、あなたは今、お宅の編集長である伏見さんが、この協会に関係されておって、やめてから入られたというふうに言われるが、それは事実なのかどうか。あなたの会社編集長をやりつつこの協会に関係を持っておった事実はないかどうか。
  413. 川口芳太郎

    川口証人 私の知っている限りは、ありません。
  414. 辻原弘市

    ○辻原委員 あなたはないと言われるが、私はあなたの証言に基いて後日さらにこの問題を検討いたしたいと思います。この新日本教育協会の枢要な立場におる人は、以前であったが以後であったかは別問題として、ともかくあなたの会社関係のあった人たちがやっておることは事実である。そうして、相当大規模な形で全国的な支部を設けて、現在教育の一つの裏面指導をやっておるということも明らかであります。ここで私はあなたの見解を承わっておきたいのでありますが、二日間にわたってあなたの会社と監督官庁である文部省との関係を、われわれ委員の側からるる指摘をいたしまして、あなたの見解を尋ねた。文部省の枢要な立場にあなたの会社関係人たちがおるということは厳然たる事実でありながら、それについてあなたはほとんど知らぬ存ぜぬという答弁に終始している。しかし、このことは、あなたが知らぬ存ぜぬと言われても、問題は事実に徴すれば明らかです。少くとも、先ほど私が第一番にお尋ねをしたけさほどの証言の問題に関しても、平たく言えば、おれの会社だけではないのだ、教科書会社がある以上、どこでも一人や二人は監督官庁に因縁をつけておるのだという。そういう言葉は語るに落ちておると思うのです。このことは何を物語るかというと、結局、検定について自社の教科書を有利にパスせしめるという目的をもって関係をつけていると言われても抗弁できまいと思う。そこまでは検定の問題であるが、今度は、あなたの会社にとっては一番重要な採択は、いわゆる展示会のルートを経ずして自前で採択をさしていくために、指摘されているようないろいろの忌まわしい問題を発生さしている。ああいうやり口とは別に、もう一つは、自社と最も密接な関係を持つ全国的なそういう組織体を作り上げ、その手によって採択を有利にならしめるということを考えるならば、これもきわめて巧妙な手段である。その意味において、新日本教育協会がもしあなたの会社と不離一体の形であるとするならば、これは教科書問題にとってきわめてゆゆしい問題であるが、その点について、あなたは、断じてそういうような関係は持っていない、もしそのようなあなたの会社の重要な立場の人たち関係しているということになれば、社長としてあなたは直ちにそういう関係を断ち切るとおっしゃるのかどうか。または、今後この種のような団体をあなたは育成するという考えは持っていないのかどうか。もう一つ、巷間流布されているところによれば、この教育協会は相当ひんぱんに講習会あるいは研修会を催しているようでありますが、私たちの見るところでは、これらの資金が相当多額に上っていると思うけれども、一体どこから出ているのか、私たちに非常に疑問に感じております。こういうような教育団体に営利会社である教科書会社が資金を投入するというようなことがもし果してあるとするならば、これまた重要な問題でありますが、そういうことはないとおっしゃるか。今申しましたような点についてのあなたの総合的な判断をこの席上において述べておいていただきたいと思う。
  415. 川口芳太郎

    川口証人 この新日本教育協会の話は、新聞に出たりして、私も非常に疑問を持っておりました。たまたま、六月の初めに日本教職員組合の幹部とお会いしたときに、やはりそういうようなことの御質疑がありまして、これは大へんだ、こんなことを直接聞くなどというのはとんだことだというような私の感じから、六月の四日付で新日本教育協会にあてて当社はこういう書面を出しましたが、ちょっと読ましていただきます。   昭和三十年六月四日         学校図書株式会社    新日本教育協会御中   当社の一部関係者が貴協会発足以前の当時、日本とアジア諸国の文化交流、留学生の交換、教職員の厚生施設、学徒援護等、わがくに教育界の民主主義を培うという方針に賛意を表し、若干の後援を致しました。   しかし貴協会成立後は活動の方針、運動の内容に関し、何等関知致しませんし、また御相談にあづかった記憶もなく勿論援助も致しませんでしたことは御承知通りであります。   然るに最近日教組方面より貴協会の御方針並に活動内容について、当社関係あるかの如き虚構の疑惑をもたれ、会社の代表者が日教組の代表者と会見した際にも特にその点が強調せられ、延いては当社の教科件の内容まで疑問をもつが如き口吻がありました。当社としては営業上も困惑し、甚だ心外の至りであります。   御承知のごとく当社は貴協会の方針内容とは何等関係がないのでありますから、貴協会を通して日教組を分断するような意図がある筈がありません。欧米的労働組合を目標として分断を極力警戒している日教組からこうした疑惑をもたれることはわたくしどもとして甚だ迷惑であります。伝えられる伏見も理事辞任後は何等関係なく今後も関係致しません。勿論社会的交誼と経済的取引の面においては今後とも何等疑義をさしはさむものではありませんが、貴協会の方針、活動に対しては将来も関係を持たないつもりであります。   従って貴協会におかれてもこの点御勘考の上貴協会が貴協会に関し外部に発表される場合、当社と一切無関係なることを御強調下さるよう御確認し下さるよう申し入れます。 こういうふうな真相であります。
  416. 辻原弘市

    ○辻原委員 私はこれで終ります。
  417. 高木松吉

    高木委員長代理 山田長司君。——山田君に申し上げますが、ごく簡単にお願いいたします。
  418. 山田長司

    ○山田委員 昨日伺っておりますから、きょうは、ただ、同僚議員が質問されている中における派生的な問題だけ一、二点伺うことにいたします。  先ほど高津委員が話された中に、近藤寿治取締役と伏見取締役の二人が株を持っているというお話がございましたが、その株は、会社でくれた株か、あるいはそれとも、会社に入るときに当って本人たちが買われたものであるか、その点一つ明確にお教え願います。
  419. 川口芳太郎

    川口証人 この会社に入ったときには株を持っていなかったと思います。役職員になるときには、習慣上、会社にある株を名義的に貸しまして、そうして持っていることがしばしばあるのであります。その後、権利を獲得したか、そのままになっているか、調べてみないと、私として申しかねます。
  420. 山田長司

    ○山田委員 文部省の役人が出版会社の中に入っている、その事例については書面をもってお知らせをして下さるそうですが、さらに今度、会社側から文部省に入れている事例について、そのこともそのときにつけ加えて、御存じでしたらお教え願いたいと思います。
  421. 川口芳太郎

    川口証人 同時にお知らせ申します。
  422. 山田長司

    ○山田委員 先ほど、大西委員から、あなたの会社へ講習会の帰りの人たちが行かれたときに汽車賃やバス代、弁当代あるいはおみやげまで持たせて帰されたという話が出たように思いますが、これはあなたの会社だけのように感ずるのですが、あなたは、あなたの会社だけと思っておりますか、それともほかにあるように思われますか。
  423. 川口芳太郎

    川口証人 工場見学というものは、どこにもあると思います。
  424. 山田長司

    ○山田委員 どこにもあるが、あなたの会社へ行かれたときのように、汽車賃を出したり、あるいはお弁当を出したり、あるいはバス代を出したりしたような例があると思われるのかを伺っておるのです。
  425. 川口芳太郎

    川口証人 そこまで私は存じませんです。
  426. 山田長司

    ○山田委員 そうすると、あなたの会社だけだとおっしゃるのですか。
  427. 川口芳太郎

    川口証人 私の方の会社でも努めてそれを避けるようには方針としてなっておりますが、やはり慣行のものとして、そういうことがあるということを遺憾に思っておりますが、それは、仄聞するところでは、ほかの会社でもそういうことをやっておるということは、仄聞はいたしております。
  428. 山田長司

    ○山田委員 ほかの会社でもそういうことがあるということを仄聞していると言われますが、そのことで、大体こんなところはそうらしいというようなところがあったら、お話し願いたいと思います。
  429. 川口芳太郎

    川口証人 らしいということ、ちょっと頭が混乱しておりますので、また……。私の考えとしては、他社に影響するようなことはできるだけ慎しみたいと思っております。
  430. 山田長司

    ○山田委員 他社に慎しむとか慎しまないとかいうことでなくて、ここでは証人としてあなたに来ていただいておるのですから、あなたのところだけならあなたのところだけでいいのです、問題は。あなたのところで仄聞する範囲で、ほかの社があげられれば、この際あげてもらいたいと思うのです。ですから、あなたの会社ならあなたの会社だけでいいのです。それしか言えないというならば……。
  431. 川口芳太郎

    川口証人 私の知っておる範囲では私の会社だけであります。担当の者をして聞けばわかることであります。
  432. 山田長司

    ○山田委員 担当の者をして調べればわかるというのは、それはあなたの会社の担当者のことですか。
  433. 川口芳太郎

    川口証人 私の会社の担当者でございます。
  434. 高木松吉

    高木委員長代理 山田君に申し上げますが、簡略にお願いします。
  435. 山田長司

    ○山田委員 重要な問題ですから、ちょっと待って下さい。  あなたの会社の担当者とはどなたのことを言うのですか。
  436. 川口芳太郎

    川口証人 古山利雄。
  437. 山田長司

    ○山田委員 古山さんは先ほどお見えになっておるので、一応、この際またお取り計らいを願って、古山さんと御相談になって、この際そのことを発表していただきたいと思うのです。
  438. 高木松吉

    高木委員長代理 山田君に申し上げますが、古山さんとはどういう人です。  ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕
  439. 高木松吉

    高木委員長代理 速記を始めて。  それでは、皆さんにお諮りしますが、古山利雄君がこの席におるそうですから、古山利雄君から証人が聞いてここに証言することを容認することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  440. 高木松吉

    高木委員長代理 それでは、さよう決定いたします。  それでは、聞いて下さい。
  441. 高木松吉

    高木委員長代理 川口証人、えらい長いようだが、どうです。
  442. 川口芳太郎

    川口証人 やはり、これは事は大きい問題のように感じますので、今ここでもって何とも私発言しにくいのでございます。書面をもって出させていただきたいと思います。
  443. 高木松吉

    高木委員長代理 委員長から申し上げますが、しにくいとかしいいとかいうのであなたの答弁を留保されては困るのです。だから、今古山さんとお話しになって、わかった程度のことを明らかにしていただけばけっこうです。
  444. 川口芳太郎

    川口証人 今のところ話として聞いているだけで、実際証拠立てて言うことになると、どうしても社に帰ってみないとわからぬ、こう言っております。
  445. 高木松吉

    高木委員長代理 そうすると、確定的なことはわからないということですか。
  446. 川口芳太郎

    川口証人 そうです。
  447. 高木松吉

    高木委員長代理 それならよろしゅうございます。  山田君どうです。
  448. 山田長司

    ○山田委員 確定的なことはあなたはわからない……。私のところだけであるということではなく、どうも、私ども、あなたがさっき言われるように、いろいろ確聞するところによればほかにもあるというように、われわれの耳にもいろいろ入っている事例があるのです。この際やはり、あなたのところでも、わかっている範囲があったらやはり黒白を明らかにして、日本の教育の仕事に携わっているあなた方自体が、やっぱりこの際わかっている範囲だけでも話されて、そうしてお互いに前非を悔いた形において出版事業にお携わり願いたいと思うのです。そういう点で、わかっている範囲はぜひおっしゃっていただきたい。あなたのところだけを悪者扱いをしようとわれわれは考えているのではないのですからどうか、そういう点で、わかっている範四があったらこの際おっしゃっていただきたいと思います。どうぞもう一度御相談になって御発表になっていただきたい。
  449. 川口芳太郎

    川口証人 本人が、証拠に基かなければ言えないと、こう言っておりますのですが……。
  450. 高木松吉

    高木委員長代理 証人に申し上げますが、今わかっていないと受け取っていいのですか。
  451. 川口芳太郎

    川口証人 わかっておりません。
  452. 高木松吉

    高木委員長代理 わかっているならば言ってもらわなければならぬが、わかっていないならば言うことはできないのだから、その点をはっきり答えて下さい。わかっていないんですね。
  453. 川口芳太郎

    川口証人 わかっておりません。
  454. 高木松吉

    高木委員長代理 わかっていないそうです。
  455. 山田長司

    ○山田委員 先ほど、証人は、古山さんを呼べばわかると、こうおっしゃられたのです。今度は、お呼びになってみると、わからないというお話に変ってしまったわけなんですが、証拠ではなくて、確聞するものというところにまで範囲を広げてもいいですから、もう一ぺん一つ御相談になって御発表願います。
  456. 川口芳太郎

    川口証人 東京書籍株式会社と二葉株式会社ということです。
  457. 山田長司

    ○山田委員 東京書籍と、それから二葉という二つの社名が出ましたが、これもやはりあなたのところと同じようにバス代やあるいは汽車賃や弁当代あるいはおみやげ、あるいは宴会代、こういうふうなことが確聞されるとおっしゃられるわけですね。
  458. 川口芳太郎

    川口証人 その通りであります。
  459. 山田長司

    ○山田委員 これはやはり出版界における非常に大会社の方でありまして、この二社以外にもおそらくまだ御存じのところがあると思うのです。——こういう競争の激しい中にあるわけですから。そこで、あなたに伺いますが、まだこのほかあるかどうか、古山さんと一つもう一ぺん御相談願います。
  460. 川口芳太郎

    川口証人 また後日調べて申し上げます。
  461. 山田長司

    ○山田委員 最後に、もう一言お願いします。これらのほかに、もしお調べになってみて判明したことがありましたらば、やはり前の状態と同じように、一つ何かに御記入の上、御書面で御提出を願いたいと思います。
  462. 川口芳太郎

    川口証人 承知いたしました。
  463. 山田長司

    ○山田委員 これで終ります。
  464. 高木松吉

    高木委員長代理 神田君。——たびたびのようだから簡単に願います。
  465. 神田大作

    ○神田(大)委員 証人も大分お疲れのようでありますから、簡単に質問いたします。  先ほど、大西委員からの、工場見学の場合に弁当代あるいは旅費その他宿泊料等を支出しておるかということに対して、そういうことはないと言い、今度、事実をつかんでこれはどうだということになりましたらば、そういうことはあるというような御返事でございましたが、私の見るところでは、この工場見学に際しまして相当数に及んで旅費、宿泊費並びに弁当代等を出しておると思うのであります。相当金額、しかも全国にわたって膨大な数にわたってこれはなされていると思いますが、その点、いかがでありますか。
  466. 川口芳太郎

    川口証人 工場の弁当は出しますけれども、宿泊は出しておりません。
  467. 神田大作

    ○神田(大)委員 それでは、こういうふうな状態だという例を少し申し上げます。これは長野県一県に関する日にちと人数と金額でありますが、これはわれわれが調べただけの数である。こういうことを推定いたしますと、膨大な金額にわたって全国的になされているとわれわれは推察するのでございます。参考までに申し上げますと、昭和二十六年二月十二日に、十二名に対して、旅費七千七百円、宿泊料一万九千五百八十円、昼食代二千百六十円、観劇料六百円、合計三万四十円、二月十四日に、十七名に対して、これは昼食代だけで三千六百八十一円、三月十二日に、十七名に対して、旅費一万五百円、宿泊料三万五千三百四十円、昼食費が千百円、合計四万六千九百四十円、五月四日、一人、旅費千円、宿泊費二千九百五十円、合計三千九百五十円、五月二十日、十二人に対して、宿泊費一万二千六百九十円、合計一万二千六百九十円、五月二十一日に、同十二人に対して、旅費一万一千円、自動車賃四百円、合計一万一千四百円、五月二十二日に、十八人に対して、昼食代四千四百四十六円、合計四千四百四十六円、五月二十二日、七人に対して、宿泊費が、一万二千三百六十円、合計一万二千三百六十円、五月三十一日、九人に対して、宿泊費一万七千七百九十円、合計一万七千七百九十円、同三十一日に、四十六人に対して、昼食代九千二百九十二円、六月二日、七人に対して、旅費四千九百円、自動車賃四百円、合計五千三百円、六月六日に、二十五人に対しまして、昼食三千八百五十円、合計三千八百五十円、六月九日、六人に対しまして、自動車賃六百円、合計六百円、六月九日に、二人に対しまして自動車賃が二百二十四円、それから六月二十四日に、九人に対しまして、宿泊費一万九千四百二十円、合計一万九千四百二十円、それから六月二十五日に、十八人に対しまして、昼食千八百五十四円、六月二十五日に、五人に対しまして、旅費一万円、昼食費が三百八十円、合計一万三百八十円というような工合に、あなたの会社では出しておる。こういうことをあなたは認めますか。
  468. 川口芳太郎

    川口証人 それはいつごろのことでございますか、また氏名といいますか学校といいますか、全然私存じませんでした。
  469. 神田大作

    ○神田(大)委員 これはあなたの会社の確実なる方から、しかも間違いなく出されておるものでございますから、これは確実に出ておるものでございます。こういうふうなやり方に対しまして、あなたはわからないと言いますけれども、こういうことをやっているかやっていないかということを、大体見当でいいから申して下さい。
  470. 川口芳太郎

    川口証人 車馬賃程度のことはありますけれども、宿泊とかそういうことはやっておりませんでございます。
  471. 神田大作

    ○神田(大)委員 あなたの会社の奥村猛夫と川村恒夫という人が、ちゃんと答申書として検察庁に提出してある書類なのでありますから、間違いないと思うのですが、あなたはそれでもお認めになりませんか。
  472. 川口芳太郎

    川口証人 社員からそう話を聞いておりません。そういう答申書が出たということはわかりません。
  473. 神田大作

    ○神田(大)委員 あなたがどうしてもわからなければ、これは帰ってよく調べれば事実であるということがおわかりになると思いますが、こういうような状態によって旅費、宿泊費その他弁当代等が出されておるということは、われわれは確実なる証拠によって言えるのであります。先ほどまた、あなたが、千葉県の問題につきまして、弁当くらいは出したけれども、あとはそういうことはしないというような証言をされましたが、それに間違いありませんか。
  474. 川口芳太郎

    川口証人 先ほど、弁当と、茶菓七十円程度と、パンフレットをあげた、こういうふうに申し上げました。
  475. 神田大作

    ○神田(大)委員 そのほかにもらった人がありましたら、どうしますか。
  476. 川口芳太郎

    川口証人 そのときには、私は、おわびするか、どういうふうにするか、許していただける範囲のことをいたそうと思います。
  477. 神田大作

    ○神田(大)委員 そういう証言はおかしいと思うのです。あとになっておわびしても、証人は先ほど宣誓をいたしました通り、そういうことは許されない。われわれがここで証人に対しましてこれだけのことをお尋ねするにつきましては、相当調査しておるのでございますから、その点は、何もこれは個人の問題でなしに、国の教科書を正しいものにしようというような意図によって行われるのでありますから、その点は、はっきりと、そういうこともあったというようなことを御証言願いたいと思います。
  478. 川口芳太郎

    川口証人 会社の担当の者がやっておって、私が知らないこともありますので、知らないということにおいてお返事を申し上げているわけなんですが……。
  479. 神田大作

    ○神田(大)委員 しかし、あなたは、先ほど、警察の方からの取調べもあって、そうしてその事件に対しましてその返事を読み上げましたですね。そういうような公の事件になったことを、社員があなたに向って御報告申し上げないということはないと私は思う。そんなことでは、あなた、社長としての責任が持てないじゃありませんか。そういうことは、常識的に考えて、そんなことを言ってわれわれを何か口の先でまるめようというような考えはいかぬと思いますな。あなたは、その点をよく考えて、はっきりと証言して下さい。
  480. 川口芳太郎

    川口証人 警察署長まで出した書類を信じる以外には、私は方法がないのでございます。
  481. 神田大作

    ○神田(大)委員 それでは、わかりました。
  482. 高津正道

    ○高津委員 中教審の近藤寿治君は本年一月二十五日に任命されたのですが、日本一の小、中学校教科書出版会社である俗称学図で現在も取締役であり、かつ株主であると同社の社長たる川口証人はこの席で明らかに証言されたのであります。そうして直ちに私が近藤君の所有株数を問うと、今はわからないと答えられました。そこで、この席におられるあなたの会社の重役もその数を言われないし、電話で証券係に問い合せるということになり、私たち本委員会はその答えを待ったのでありますが、まだわからないとのことであります。かくて午後四時を過ぎたのであります。今や委員長は本委員会を閉会しようとしておられます。そこで、私は、この際委員長川口芳太郎証人に対し本日中に近藤中教審委員の学図株の所有数を当委員会に報告することを要求していただきたい。委員長はそのようにお取り計らいを願います。
  483. 高木松吉

    高木委員長代理 証人に申し上げますが、先ほど電話ではっきりすると言ったのが、はっきりなりましたか。
  484. 川口芳太郎

    川口証人 電話の結果は、今株式係が外出中であるので、後ほど御報告すると申しております。
  485. 高木松吉

    高木委員長代理 それでは、近藤寿治君の所有株数を本日中に委員長まで文書で報告していただきたいと思います。
  486. 川口芳太郎

    川口証人 承知いたしました。
  487. 高木松吉

    高木委員長代理 川口証人にする尋問はこれで終了いたしました。  証人には長時間にわたって御苦労さまでございました。  なお、引き続き尋問の予定でありました証人早川康一君につきましては、本日はこれを取りやめ、同証人の出頭期日につきましては次会の理事会において御協議を願うことといたしたいと思います。  次会は七月一日午前十時より開会することにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十一分散会