○山中
委員 さっきから申し上げておりますように、
文部省ではだめだと申し上げている。だから、あなたとしては、過去の第一回の
警告は
文部省というものを信頼してその
措置を一応終られたわけでありますから、今度は新たな段階で、
文部省ではこの
会社の
供給面に善意の方向をとらせることはできないものだということを
前提にして、少くともこの大きな問題の解決に協力していただきたいと思うのであります。でありませんと、いたいけな童心に及ぼす
影響もさることながら、教育に携わっている人々はほとんど純心な
先生方であります。その
先生方を、
会社のみずからがもうけんがための不正なる
競争によって、あまりにも幾多の事例が示しておりますように、転落せしめておる、
教科書会社の出張
招待を、
自分たちの
立場から考えてまことにありがたいことだと受けて、純粋に旅行に出かけた人たちが、帰り着いてみたならば門には検察庁の人が待っておったというようなことも具体的に例があるのであります。でありますから、こういうことは放置することなく、積極的な態度でもってお進めを願いたい。それが日本教育のためにあなた方の
立場として果していただく少くとも義務でなければならぬ、かように私は考える次第であります。
次に、第二点の
供給、
採択の面について話を進めて参りたいと思います。
先ほどから触れられましたので、重複する点を避けて参りますが、私は、この生活協同組合というものが、単に
先ほど指摘されましたように数県ないしは十県
程度の散発的のものでなくして、全国的なる規模においてある意図をもってこれが進められているものであることを十分御
承知願いたいと考えるのであります。それは、
一つの具体的なものを申し上げますると、「
学生協の
教科書供給取扱に就て」という全国
学生協連合会においての決議がございます。それは簡単でございますから読んでみますと
一 本年六月二十八日、
地方学生協が
教科書供給取扱をする場台、中央に於てこれが
指導と援助をすることを決議して、全国
地方学生協に指令した。
爾来全国各地の動きは頓に活溌となつた。
二 指令
内容
1
展示会前に県
指導課に依頼して「
教科書供給状況」の
調査をすること。
2
供給業者に完全
供給の誠意なきものと認めて、
学生協は
発行者と交渉して取次、特約に代つて、契約を進め、内諾した
発行者の
教科書を
展示会に於て推薦すること。
3 授業に支障を来たさないよう完全配給を期すること。
4 従来の欠点
○
供給業者に屡々
警告したにも拘らず、国定時代の夢がさめず業績は依然改善されていない。
○
供給状況が悪い実例を挙げること。
○前金払を学校当局に要求している。
○とりかえ、不足に応じない。
○学校内の集金は全職員を過労に陥れている。その上何等の報酬を支払っていない。
以上
こういう
内容でございます。これの意図するところについてはおわかりになったと思いますが、これは全国的な指令というものによって動いているということである。従ってまた、その企図として、そのねらいとして何をねらっているかがここに明らかに浮び上ってくるわけなのでありますが、それは、その当時において年額約百億に上ると思われ心
教科書の売り上げに対しまして、手数料の占めまする比率が、御
承知でもありましょうが、取次と
供給と特約とを含めまして約一六%に上ります。その膨大なる手数料というものに対しまして、この
学生協の組織といいうものは明らかにこれをみずからの手に掌握せんとしたねらいがまずあるのでありまして、これはすなわち
業界といたしましては
独占禁止法に該当する独占を意図していることは明瞭であります。次に、その考えておりまする点は、具体的な方策として、既存書籍商を締め出す、こういうことがねらいなのであります。従って、そのスローガンとしては、
教科書配給の民生化ということを表面に押し出しまして、何らこれに抵抗できないスローガンのもとに既存の弱小書籍
業者がこの膨大なる全国的なる規模の組織によって押しまくられている。このようなねらいが具体的に現われてきているわけであります。しかもまた、反面において、最も好都合なことに、現在の法によりましては配給書店の
選択は出版が別個にそれぞれ各自にやってさしつかえがないことになっていまするから、このような法の
立場というものを
前提にして考えた場合に、この
学生協の全国組織を持つ力というものはまさに偉大なものである。言いかえるならば、
教科書販売の
供給機構というものを全く一手に掌握するだけの力を持った圧倒的なものである。かようなことを私は思うのでありますが、その現われました
影響の
一つとして、いろいろございますがここには松山市の
教科書供給業者一同の
教科書問題について県下PTA、
教育委員の皆さんに訴える
文書があります。
内容は煩雑でございますから詳しくは申し上げませんが、この自由な
制度を認めて、自由に
販売されるべきであるにかかわらず、この学食協のような強力なる組織団体ができ上ったために、既存の自由
販売を旨としております既存
業者がいかに圧迫されたかということを
父兄に訴えるとともに、さらにまた、その団体によって一方的にそれが占められたために起ってきます現象として、教育的にこれらの人々が心配をいたしておりますることは
教科書の選定が非常に片寄ったへんぱなものとなる、そして
内容のよい価格の低廉なる
教科書を子供に与えることが漸次できなくなってくるおそれがある、かようなことを
教育委員並びにPTAの人々に訴えておるのであります。そのおしまいの方には、表を加えまして、当初二十五年度において既存
業者だけで二十二万五千冊扱っておったものが、だんだん圧倒されまして、しまいに六万九千冊しか扱えなくなり、一方において
学生協の方が十五万六千冊も扱っていく、このような、全く
業者としては
教科書供給面においてみずからの生業というものを全然成り立たせられないような
立場に追い込まれておることが示されておるのであります。
〔
委員長退席、佐々木(秀)
委員長代理着席〕
さらにまた、例をあげまするならば、
先ほども若干指摘をされたようでございますが、山口県あるいは愛媛県、あるいは佐賀県、秋田県等においてもその具体的な顕署な例が見られるわけでありますが、たとえば、愛媛県等におきましては、
教科書の扱い数量が売り上げ総額一億に上ります。従って、この
学生協団体が一括してこれを強力な力によってさばくといたしまするならば、推定手数料が、特約、取次両方を合せまして一六%に及びますために、金額にして一千六百万円というものがその
学生協という協力な組織の中にほとんどむぞうさに流れ込むという現象さえ呈しておるのであります。もちろん
取引委員会におきましては佐賀県その他の十県について処置をされたようでありまして、その
内容についても御
承知でありましょうけれども、
文部省が第一回のあなた方の出した
警告に基きまして次官通牒を発しました後、それらの人々は、表面においては、好ましくないというその表現に順応するために、その組織を変えまして、株式
会社にいたしております。しかしながら、
先ほども御
証言下さいましたように、その
内容というものは、株式の持ち工合あるいは構成の機構、人事その他の面において、全く名前を変えたにすぎない同じような性格のものであって、しかもそれは現状いまだにそのまま続けられておるというのがその実情であります。といたしまするならば、あなた方としてはもちろんそのようなことは御
承知の上の
措置であったろうと思いますが、このような現状というものをいかに認識しておられるかをお伺いしたいと思います。