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1955-07-23 第22回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十三日(土曜日)     午前十時五十四分開議  出席委員    委員長 島上善五郎君    理事 早川  崇君 理事 淵上房太郎君    理事 古井 喜實君 理事 小金 義照君    理事 片島  港君       大村 清一君    薩摩 雄次君       青木  正君    大坪 保雄君       堀川 恭平君    森 三樹二君       山口丈太郎君    鈴木 義男君       石野 久男君  出席政府委員         警  視  長         (警察庁刑事部         長)      中川 董治君         総理府事務官         (自治庁選挙部         長)      兼子 秀夫君  委員外出席者         参議院議員         (地方行政委員         長)     小笠原二三男君         検     事         (刑事局刑事課         長)      長戸 寛美君     ————————————— 七月二十三日  委員生田宏一君及び佐々木更三君辞任につき、  その補欠として青木正君及び山口丈太郎君が議  長の指名で委員に選任された。     ————————————— 七月二十二日  公職選挙法の一部を改正する法律案参議院提  出、参法第二四号)  公職選挙法の一部を改正する法律案地方行政  委員長提出参法第二四号)(予) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  公職選挙法の一部を改正する法律案参議院提  出、参法第二四号)  公職選挙法改正に関する件     —————————————
  2. 島上善五郎

    島上委員長 これより会議を開きます。  昨日本委員会に負託せられました公職選挙法の一部を改正する法律案議題といたします。提案者よりその提案理由説明を求めます。参議院地方行政委員長小笠原二三男君。     —————————————
  3. 小笠原二三男

    ○小笠原参議院議員 ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由内容の概略を御説明申し上げます。  まず、提案理由といたしましては、公職選挙法は、昭和二十五年公布以来満五年を経過し、その間庫次改正を重ねて今日に至っておりますが、最近本年二月には衆議院議員の総選挙、四月には地方選挙が行われ、明年は参議院議員通常選挙を控えておりますので、これらの事実にかんがみ、選挙がより公明にかつ適正に行われるために、この際、特に緊要と認められる事項を取り上げて所要改正を行おうとするものであります。  参議院におきましては、自由党、民主党、緑風会共同提案として議員立法提案せられておったのでありまするが、各会派の意見交換の末一致せられた部分につきまして、とりまとめてこの際委員長提案として提案すべきであろうということになりまして、この案が出た次第であります。  次に、改正の主要な点につきまして、大体条文の順序に従って概要を御説明申し上げます。お手元に要綱が行っておるかと思いますが、要綱とも関連いたしまして御説明申し上げたいと思います。  第一には、まことに事務的な問題でありますが、投票所開票所または選挙会場の指定及び告示投票管理者開票管理者または選挙長が行う制度でありますが、これを改めてすべて選挙管理委員会が行うように統一いたしたのでございます。  第二には、要綱の二に出ておりまするが、都道府県知事または市長自発的退職を申し出た者は、当該退職の申し立てがあったことにより告示された選挙立候補することができないものといたしたのであります。すなわち、現任の知事が自分の都合で急遽やめて、そして行われる知事選挙にまたその知事立候補することを禁じたのでございます。これは、いわゆるお手盛り選挙選挙の公正を害するものとしてきびしい世論の批判を受けている事実にもかんがみまして、あえてここに取り上げた次第でございます。  次の改正点は、要綱の二でございますが、参議院議員供託金の問題に関してであります。参議院全国選出議員選挙の場合の供託金は、候補者一人につき現行十万円を二十万円に増額いたしました。供託金趣旨は、選挙公営費用を分担するという意味合いでもございませんけれどもあとで申し上げますポスター増加無料はがき増加解々がありまして、泡沫候補立候補して世間でさまざま言われているような過去の弊害が行われない一助にも、一応全国参議院議員だけは供託金を二十万円に引き上げようとしたのでございます。他は現行通りでございます。  次は、選挙運動期間に関する改正でありますが、要綱第四に出ておるものでございます。すなわち、その表でごらんいただきますように、参議院議員選挙については現行三十日でございまするが、これを二十五日として五日短縮する。それにつれまして、その他の選挙につきましては、衆議院議員選挙の場合を除き、右に準じて選挙運動期間を短縮するため、選挙期日公示または告示期日立候補締切期限補充立候補期間立会演説会開催の決定の告示期日等をそれぞれ改ため次第であります。これに関連いたしまして、経歴放送に関しましては、現行十四とあるのを、衆議院議員候補者の場合を除き、候補者一人についておおむね五回とし、日本放送協会事情の許す限りその回数を多くするように努めるものといたしました。  改正の第四は、選挙運動に関するものでありまして、数項目にわたっております。すなわち、要綱で申しますと、五は飛ばしまして、六から御説明申し上げます。  選挙運動用自動車または船舶に乗ることのできる者は候補者及び運転手一名または船員を除いて四名とし、乗車用または乗船用腕章着用した者は、街頭演説に際し、さらに街頭演説用腕章着用を要しないものといたしました。これは、過般の衆議院選挙におきまして、運転手はこの通りでございますが、助手が、免許状を持っておらない者は助手としては扱えない、こういうようなことで、取締り当局のそれがまちまちであって、候補者が迷惑をしたという事実がございますので、運転手候補者以外には、助手としてこれが使われようが、運動員として使われようが、四名の乗車乗船ができる、こういうことにしたのであります。しかも、自動車あるいは船に乗る場合の腕章をつけておって、なお街頭演説等の場合の運動員腕章をつけるということは重複であるから、一方の艇庫をつける場合に、街頭演説用腕章は要らないこととしたのであります。  次の改正点は、要項で申しますと八でございますが、演説会場等において使用するポスター、立て札、ちょうちん及び看板の類を故意に回覧させることを禁止いたしました。これはまぎらわしい行為があって往々紛争の種にもなるということでありますので、条文上明記したのでございます。  次に、要綱で申しますと九でございますが、選挙運動用自動車または船舶当該選挙の種類、候補者氏名並びに党派を記載した文書掲示、及び公職候補者たすき胸章腕章の類を着用することを認め、またこれらを回覧させあるいは回覧することを認めたのでございます。衆議院選挙におきましては、自動車には一切のこの種標識を許さなかったのでありますが、今後におきましては、衆議院議員候補者であること、あるいは何党に所属し、あるいは無所属であること、あるいは全国区の選出であること、地方区の選出であること等を含み、候補者氏名を掲載し、その状態で自動車、船が動いて一般に回覧させることができるというのであります。それから、たすきの問題でありますが、今日までやり得る形で実際行われており、法律上はできないことになっている、こういうまぎらわしい点があって、選挙の公正を害する点がありますから、たすき胸章腕章の類、氏名を明記したもの等を着用に及んで、街頭を歩こうが、自動車にそのまま乗って歩こうがよろしいとした点であります。  次に、要綱の十でございますが、選挙運動用無料はがき枚数を、候補者一人について、参議院全国選出議員の場合は現行の五万枚を六万枚に増加し、同地方選出議員の場合は現行の一万枚を一万五千枚に増加するほか、当該都道府県区域内の衆議院議員選挙区の数が一をこえる場合には、その一を増すごとに三千枚を加えるものといたしました。  つけ加えて申し上げますが、参議院に関する方だけポスター枚数増加をはかり、衆議院の分はどうなったのかという疑義がおありでございましょうが、わが委員会といたしましては、前回の選挙法改正の場合に、衆議院の場合の改正を行い、参議院の場合は参議院の方でやってくれというような意向があったということで、今回は参議院限りにとどめたのでございまして、衆議院においてそういう要望がおありになるということであるならば、衆議院の方でおきめ願い、参議院として御協力申し上げたい、こういう含みでこの改正案が出ているのでございます。  次には、個人演説会告知用ポスター制度を廃止する点でございますが、これは要綱十一に載っている意でございます。選挙運動用ポスターは、候補者一人について、衆議院議員及び都道府県教育委員の場合は五千枚、参議院地方選出議員及び都道府県知事の場合は八千枚、参議院全国選出議員の場合には五万枚とする。この場合、参議院地方選出議員及び都道府県知事については、当該都道府県区域内の衆議院議員選挙区の数が一をこえる場合には、その一を増すごとに三千枚を加えたものといたしました。この点につきましても、前項で申し上げた点と同様、衆議院の場合はいじってないのでございます。  次には、言論等に関する問題でございますが、要綱で申しますと、五の方に戻るのであります。現行新聞紙雑誌人気投票掲載制限規定を改めまして、広く何人も選挙に関し公職につくべき者を予想する人気投票経過または結果を公表してはならないものとすることにいたしました。従って、デパート、商店あるいは団体等においてする人気投票経過並びに結果を公表することはいけないというふうに広くなったわけでございます。  もう一点は、要綱の十二にある問題でございますが、選挙に関し報道及び評論を掲載する自由を有する新聞紙または雑誌は、当該選挙選挙期日公示または告示の日前一年以来引き続き発行するものに限るものとするとの改正点でございます。現行では、端的に申しまして、月三回以上発行される新聞、雑誌旬刊誌でなければならない、第三種の認可をとっておらなければならない、継続して六カ月以上発刊しておらなければならない、こうありますものを、今回は継続して一年以上発刊しておるものでなければならぬこととしたのであります。それに伴いまして、この法律は十月一日から施行するのでありますが、経過期間中における選挙等においての問題については、別に経過措置をつけてあります。  改正の次の点は、政党その他の政治団体選挙における政治活動に関する事項でありまして、政治活動のルールを確立し、よってもって改正の眼目たる選挙の公正を保障せんとするものであります。  すなわち、第一には、要綱の十六でございますが、衆議院議員参議院議員都道府県知事または市長選挙選挙運動期間中は、その選挙において一定数以上の所属候補者を有する政党その他の政治団体、すなわちいわゆる確認団体のみが政治活動を行い得るものとし、これらの選挙の二以上のものが重複して行われる場合には、それぞれの選挙における確認団体がそれぞれの規定に従って政治活動を行うことを妨げないものといたしたのであります。今日二布選挙が行われる場合に、いろいろ解釈上まぎらわしい諸点があった点をはっきりしたことと、ここに、いわゆる政党政治団体について一定の制限を加えて、確認団体政治活動を保障したのでございます。  次は、要綱で申しますと十七でございますが、確認を受けない政党その他の政治団体は、政策の普及官伝及び演説告知のためのみならず、一切ポスター掲示及びビラ頒布はできないこととするとともに、確認団体掲示しまたは頒布するポスタービラについては、選挙運動にわたらざる限り、その記載内容制限しないことといたしました。なお、ビラ頒布は、確認団体がその開催する政談演説会場においてする場合に限って認められる旨を明らかにいたしました。簡単に申し上げますと、確認を受けない政党政治団体の各種の運動を全面的に選挙に当っては禁止をしたのであります。従って、そのかわり、確認を受けた団体の方のポスター記載内容等は、選挙運動にわたらざる限り自由として緩和したのであります。とともに、たとえば自由党政談演説会が行われておる会場に、別の政党政治団体ビラを持ち込んでまく、こういうような問題があって、まぎらわしい点があって規制ができなかったのでありますが、今回は、自由党政談演説会ならば、その場合ビラ頒布運動ができるものは自由党という政党だけであって、他の団体会場に持ち込むビラ頒布はできない、こういうことにした点であります。  次は、十八の点でございますが、先ほどから確認団体確認団体と申しておる点の規制であります。確認団体所属候補者の数を算定する場合におきましては、一の公職候補者は三以上の政党その他の政治団体所属候補者として計算されることはできないものといたしました。従来は、政党あるいは政治団体は自由な政治活動が行えるようになっておりまして、たとえば、衆議院の場合においては、二十五人以上の所属候補者を持つものは政治団体として確認を受け、政治活動選挙中行えておったのであります。この無制限に行われておりましたものを規制いたしまして、一人の候補者は、三以上でございますから、一の政党に所属し、あるいはもう一つ一の政治団体所属候補者であることを承諾してその団体政治活動構成メンバーになることができる、二つまではよろしい、三つ以上はいけない、こういうことにしたのであります。具体的に申しますと、社会党という政党がございますならば、社会党所属議員がもう一つだけは他の政治団体所属候補者として承諾を与えることができる、こういうことにしたのであります。  次は、要綱で申します十九でありますが、確認団体は、自己所属候補者のみならず、他の政党その他の政治団体所属候補者の推薦、支持、その他選挙運動のための演説をもすることができることにいたしました。この選考運動のための演説というのは、現行行われております政談演説会においてのことでございます。街頭演説会等ではそれはできないのであります。この改正は、従来自由であった政治団体活動を全面的にというに近いほど規制いたしましたので、その確認された政治団体が、自己所属候補者のみならず、支持したい候補者について、政談演説会場に限ってのみ選挙運動のための演説をもすることができると緩和したのでございます。  次は、要綱の二十でございます。立会演説会開催時刻及びその前後各二時間は、当該演説会場から三町以内の区域政党その他の政治団体政談演説会または掛軸政談演説開催禁止するように明記したのであります。これは、従来の選挙の事実にかんがみて、こういう改正を加えました。  次は、要綱二十一でありますが、過般の地方選衆等が二重にいろいろ行われておった場合に間々あったことから規制を加えたのでありますが、それは、二つ以上の選挙が行われる場合においては、一の選挙投票日には、投票所から三町以内の区域で他の選挙における政党その他の政治団体政談演説会または街頭政談演説開催禁止することといたしたのであります。  以上、要綱を一中心にいたしまして通り提案理由を申し上げましたが、このほかに、選挙管理等に関する規定に若干の改正を加え、また、先ほども申しましたように、この法律昭和三十年十月一日から施行することといたしましたので、これに伴って経過措置その他所要規定の整理を行なったのであります。  なお、本案は国会法第五十七条の二に規定する予算を伴ういわゆる選挙費用増額等を見る法律案に該当するものでありますから、内閣意見を求めましたところ、永田自治庁政務次官より、内閣としては異議がない旨を述べられておったのであります。  何とぞ、慎重御審議の上、御賛成あらんことをお願い申し上げます。
  4. 島上善五郎

    島上委員長 以上で提案理由説明は終りました。質疑次会より行うことといたします。     —————————————
  5. 島上善五郎

    島上委員長 次に、公職選挙法改正に関する件について調査を行います。質疑の通告がありますので、これを許します。堀川恭平君。
  6. 堀川恭平

    堀川委員 私は不審な点があるのでお聞きしたいと考えておるのであります。まず、私がお聞きすることは、個人演説会ポスターを、個人演説会場がないために、街頭演説会として張ったのであります。その張ったのに対して、選管ではよろしかろうということであったのでありますが、それが選挙違反に問われたということであります。これは選挙違反であるかどうか、いかがなものでしょうか。
  7. 中川董治

    中川(董)政府委員 御質問趣旨を取り違えておるかもしれませんが、堀川さんの御質問は、個人演説会告知用ビラ街頭演説等掲示のために利用したのが選挙違反になるかどうかという御質問のようでありますが、公職選挙法百六十四条の二の十一項に「第七項の演説会告知用ポスターは、その掲示箇所を移動して再び掲示し、当該個人演説会以外の個人演説会告知のために再び掲示し又は個人演説会告知以外の選挙運動のために掲示することができない。」個人演説会告知以外の選挙運動のために掲示できなくなりますので、これに触れる行為ではなかろうかと思うのであります。
  8. 堀川恭平

    堀川委員 実は、そのために、その町の選挙管理委員会に、これはどうですと言うてお尋ねしたら、それはいいでしょうということであった。ところが、そのあとで、警察の方から調書だけ取らしてくれということで、調書は取ったのです。ところが、いよいよそれは選挙違反になったわけです。選挙違反だということば確実ですか。選管の方は、それは解釈のしようで、私の方と解釈が違うのだろうということであったと思うのです。
  9. 中川董治

    中川(董)政府委員 ただいまの御質問は、ただいま私が読み上げました公職選挙法第百六十四条の二の十一項の違反に触れる行為だと思われますけれども、具体的な事情——われわれは想像で申しておるのでありますので、かりに個人演説会告知ビラを、その告知に用いないで、街頭演説告知に用いておるという事実でありますならば、違反になる。ところが、お話のように事前選管等によく御連絡願った、そういう事情等もわかれば、そういった客観的な事情等も勘案してその違反の情状ということになりますから、そういったことに関連して刑事手続はそういうことも勘案の上いろいろ進んでいくことであろうと思われるのであります。
  10. 堀川恭平

    堀川委員 そこで、もう一つお聞きしたいのでありますが、実はそれば、そのところで演説会場を持っておりませんから、それを聞いて街頭でやらしてもらいたいということでやったのであります。ところが、あと警察の方でこれをとって、選挙違反にこれを確定したわけなんです。起訴したわけです。そこで、その起訴されたその選挙違反は一体だれが選挙違反になるのです。その起訴される人は一体だれでしょう。
  11. 中川董治

    中川(董)政府委員 公訴の提起等検察庁でやりますので、検察庁、法務省の方の御答弁が適当かと思いますが、法律的に見ると掲示することが違反でございますので、掲示した者が公職選挙法違反になる、こういうことになるわけであります。
  12. 堀川恭平

    堀川委員 今の件でありますが、一体、私が考えるのには、選挙違反として起訴された人は労務者であります。労務者は張れということで張ってまわったのであります。労務者選挙違反になるのでありましょうか、命令した人が選挙違反になるのでありましょうか。
  13. 長戸寛美

    長戸説明員 これは具体的事件でございますので、それぞれの事実によって異なると思われますが、ポスターを張り歩くという行為は二色あると思われるわけであります。それは、いわゆる労務者でございましても、自己の判断においてここに張ったら最も効果的であるというふうなことを考えてやる場合には、自主的にそれは張って歩く、ところが、そうでなく、命ぜられました通りをやるというふうな場合は機械的労務である、こういうふうに見られるのであります。機械的労務の場合は、命じた方が違反者ということになるわけであります。
  14. 堀川恭平

    堀川委員 一体ポスターを張るのにどことどこというようなことはないと思います。何村と何村と何村を街頭演説して回る、そこに張ってくれ、こういうことだと思うのでありますが、それが労務者が起訴されておるのであります。ところが、その労務者は、ほんとうに字も書けないような労務者で、三百五十円かもらって張っておる労務者でありますが、その労務者が起訴されて、相当ひどい刑を言い渡されておるのであります。こういうことは、ポスターを張る行為あるいは戸別訪問と照らし合せて、どっちが一体悪質でありましょう。
  15. 長戸寛美

    長戸説明員 それは、文書による場合も、効果というものはかなりありますので、戸別訪問とどちらが違法性が強いかということはちょっと申し上げかねると思います。
  16. 堀川恭平

    堀川委員 悪質違反というのは一体どういうものを言うのですか。ただ買収犯だけを悪質違反とは言わないのだと思います。戸別訪問をやっておるのも悪質違反だということを私はしょっちゅう聞いておるのですが、その御見解はいかがですか。
  17. 長戸寛美

    長戸説明員 私どもといたしましては、選挙違反の検察につきまして、お無しになりましたような悪質重大なる違反というものに重点を指向する。その場合に、やはり買収罪であるとかあるいは選挙妨害事件であるとか、そういうようなものに重点を指向いたしますが、いわゆる形式犯でありましても、それが組織的な行為としてなされておるとか、そういうふうな場合には、それにも重点を指向する、こういうふうにやっております。
  18. 堀川恭平

    堀川委員 悪質違反といいますと、世間ではみな相当悪質違反というものを憎んで、これを刑罰に課さなければならぬということで選挙法ができておるのだ、かように考えるのであります。私はこのポスターを張った行為形式犯じゃないかと思うのですが、いかがなものでしょうか。
  19. 長戸寛美

    長戸説明員 一般的には形式犯に属すると思います。
  20. 堀川恭平

    堀川委員 警察の方に聞きますが、この前私は防犯ということを言ったのでありますけれども、四十八時間前に張るのでありますが、こういうときには警察は注意をするというような御意思はないのですか。
  21. 中川董治

    中川(董)政府委員 この前堀川委員から御意見の開陳がございまして、公職選挙法違反がないようにする——公職選挙法規定しておりますところの制限禁止保障をいたしまして、公正な選挙が行われるということが根本原理でございますので、検挙することだけがその目的を達する唯一の方法でございませんので、こういう違反がないように、防犯と申しますか、そういったことを行うことが非常に好ましいことだと思い、そういうことを中心とした御意見がございました。その趣旨に私どもは賛成、でありまして、そういうふうにいろいろ違反が行われないように、警告その他の処置によって目的を達成していこう、こういう処置を全般的に施行しておるのであります。しからば形式犯一つの立件ができないかとおっしゃいますと、公職選挙法違反となりまた罪となるというふうに犯罪規定しておりますので、刑事訟訴法に基いてわれわれほ犯罪を立件しなければならぬ責任がありますから、その調和を考えながらやっている、こういうことが言えようかと思います。ただいまお尋ねの事件は、まことに軽微であるから、こんなものは立件するのが無理ではないかという御意見のように拝聴できるのでありますが、具体的の事情がよくわかりませんので、私何とも申し上げかねますけれども事前にそういうことを制止できる機会があれば制止した方が好ましかった。ただし、事前に制止できる機会がなくて、そういう違反行為が行われた場合には、警察職員としては犯罪をほうっておくわけには行きませんので、犯罪を立件する場合には捜査しなければならぬ責任がありますから、それに基いた措置ではなかろうかと推測するのでございますけれども、一般的に申し上げれば、なるべく犯罪が起らないように処置していくべきだ、こういうことが正しいことであろうと思っております。
  22. 堀川恭平

    堀川委員 私もそうでなければならぬと思います。しかし四十八時間前にポスターを張るのであります。張る前にむろん選管ではお聞きしたのでありますが、張って、そうして街頭演説して回って、戻ってきてから、警察からちょっと調書だけ取らして下さいというようなことは、実際問題として不親切だと私は思うのです。それで実は私は皆さんにお聞きしたいのでありますが、いわゆる形式犯か悪質犯かという問題にかかってくるのはこの刑罰の点であります。この刑罰が、この労務者に一万五千円の罰金が来て、公民権停止になっている。これは一体刑式犯であると私は確信するのでありますが、はなはだこれはむちゃくちゃな問題じゃないかと思うのです。戸別訪問している人に課している罰金が五千円や六千円で、そうして御承知のように公民権を停止せずという略式命令が来ている事実がある。しかるに、ポスターを張った労務者に対して——その労務者は字も読めない、私は張れと言われたから張ったのだ、公民権の停止など私はどうでもいいのだが、しかし一万五千円の罰金と裁判所へ呼び出されるために取れない日当とだけは困ると言っている。一体これは、こういうような連中に一万五千円だの一万円だのという罰金を課して、公民権を停止するというような大きな犯罪だと思われますか。どうですか。
  23. 長戸寛美

    長戸説明員 具体的事件でございますので、調査しないとお答えができないのでございますが、そういうような事件につきましては、検察庁におきましても十分に情状等を勘案して処理すべきである、こういうふうにお答え申し上げます。
  24. 堀川恭平

    堀川委員 処理すべきであるという御返事だけではどうも納得が行かないのですが、それは少しひど過ぎるのじゃないだろうかというようにはお考えにはならないでしょうか。
  25. 長戸寛美

    長戸説明員 お答えいたします。先生のお話はよくわかるのでありますけれども、具体的事案でございますので、どのような情状によってそのような刑が求刑され課刑されたかということにつきましては、私どもとして、事件を一応調査しました上でないと、それが妥当か不妥当かすぐには御返事ができないというふうに申し上げます。
  26. 堀川恭平

    堀川委員 そこで私は前に戻ってお聞きするのでありますが、そういう罰金刑と公民権の停止というものがそういう労務者にかかってくることになりますと、労務者は今後三百五十円くらいではポスターを張りにも行ってくれないと思うのです。命令した人にかかってくるならばこれはまた別問題でありますが、そうでなしに労務者にかかってきたということは、どうも法が間違っているのではないか、お考えが間違っているのではないかというように思うのですが、どうでしょう。
  27. 長戸寛美

    長戸説明員 事案が軽微でありました場合には、公民権停止等についても十分考慮すべきであるというふうに、一般的には考えられます。
  28. 堀川恭平

    堀川委員 いや、そうじゃないのです。私は、そういう労務者にかけるべきものではなしに、それを張らした人間にかけるべきものじゃなかろうかと思うのですが、どうでしょうか。
  29. 長戸寛美

    長戸説明員 先ほどもお答え申し上げましたように、それが機械的な労務にすぎないようなものであるというふうな場合には、実質的な違反者はむしろその上にあるというふうに考えられるべきである、こう思っております。
  30. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 私はあとでまた質問がありますけれども、関連して一言お聞きしたいのです。  今の堀川委員の言われるようなこと、私もそういうことを直接聞いたことがあるのですけれども、実際には、事務所の事務員がそういう街頭刷りを書いて、それを労務者を通じて張りにやらせる。ところが、その張りに行った者自体が逮捕されて、そうしてそのような過酷な刑罰を受ける。しかも、当人としては、公民権の停止よりも、今言われたように一万五千円の罰金の方がつらい。私どもとしては、その経済的な負担はもちろんのこと、同時に公民権の停止ということは基本権の問題でありますから、従って、よほどの重大犯でない限り、そういうことは法施行上不可能じゃないかとさえ考えるのです。この事件については、検察当局あるいは警察官とその労務者との間に何らかの誤解もしくは感情的な取扱いがあったのじゃないか、これは私は非常に重大だと思いますが、そういった事件は一ヵ所に限らず多くあるのじゃないだろうかと思います。そういう場合には、私は一応その見解を明らかにしていただきたいと思うのですが、実際に張りに出る労務者は、たとえばそれが文字を知っている者であっても、知らない者であっても、私はそういうことは問題にならないと思うのです。とにかく一日に何円という正規の日当を受けて、そしてそのポスターを張ってきますという約束で雇用関係が成立しておるのですから、そのポスター違反であるかないかという意識につきましては、それは問題外のことです。少くともそれを張ってくるために三百五十円の報償を得る、その報償を得る手段として、言いかえるとポスターを張りに行ったのですから、従ってその報償を得せしめるという契約に基いてやらせた者に犯意があるのじゃないか。いわゆる犯意の認定の問題でありますけれども、これは私はよほど重大な問題であると思いますが、それらについてどういう見解をお持ちであるか、私はこの際関連質問として明確にしていただきたいと思います。
  31. 長戸寛美

    長戸説明員 まず、先ほど中川刑事部長が言われましたように、検察、警察ともに、選挙違反を、いたずらにと申しますか、摘発するのが能ではないのでありまして、誤解に基くいろいろな違反があるような場合には、やはり警告と申しますか、御津意を申し上げて、そういうことのないようにするということがまず第一であろうと思います。それで、ポスター張りの事案の場合には、いろいろな形態があるだろうと思うのです。実際問題といたしまして、ポスターを張っている人が、ちゃんと認識いたしまして、その文書内容もちゃんと知って、みずから張って歩くという場合もありましょうし、それから法律上間接正犯的なただ単なる手足にすぎないという場合もあるかと思います。また両方が共同正犯の立場に立つというふうな場合もあろうかと思います。従いまして、事案々々で判断しませんと、労務者であるから張って歩いた者は常に刑事責任がないというふうには申し上げられないと私は思うのです。それが間接正犯的に、単なる手足のような場合で、認識がない、それが違反になる文書か何か知らぬというふうな場合には、それを張らせたと申しますか、その者の責任になる、こういうふうに考えます。
  32. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 今御答弁になりましたが、なるほど、その労務者は、かりに私の場合なら、これは私の非常な後援者である、そして実際に事務所で作成したものであって、当人が作成したものではないけれども、しかしその労務者ポスター内容違反であるということは知っておる、しかしながら、それを承知の上で張りに行ったとしましても、その犯罪行為の意思の点につきましては、これは作成した者も張りに行った者も同じであるかもしれません。すなわち、そのもとをなしたものは、やはり作成者に責任がある。従って、根本の犯意の認定につきましては、私はよほど慎重であるべきだと思うのですが、しかし、今の堀川委員の申される点がそのままであるといたしますと、これはまず立件に際しての取扱いはきわめて疎漏ではないか、いわゆる犯意の認定について第一に誤まった行為があったのじゃないか、第二には、この裁判を請求するに当っても、やはりその裁判請求者の意思というものが裁判の結果を左右いたしますことは自明の理であります。従って、そういう場合に、堀川委員の申されるような事態で一万五千円の罰金、しかも何年間もの公民権停止というような重要な判決を下されておるとすれば、私はこれは非常に事重大であるというふうに考えるわけであります。その根本は、今申しますように、その犯意の認定取扱いにきわめて疎漏な点があったというふうに考えるのでありますが、これらについてどういう見解か、この際私はこれこそ当局としては明らかにしておいていただかないと、今後も非常に不安を残しますから、一つこれを明らかにしていただきたい。
  33. 長戸寛美

    長戸説明員 お話ごもっともでございまして、直接そのポスターを張りました者に犯意がございまして、その上級者との間が共犯関係に立つ場合におきましても、どちらがその責任が重いかというふうなことは十分勘案されなければならないと思います。ことに、そういうふうなポスターを張ったにすぎない、しかもそうたくさんの枚数でないというふうな場合には、ともにそれを起訴してしまうことが妥当かという場合には、その責任の重い点について責任を問うなら問うというふうな処置が考えられるわけであります。従いまして、堀川先生のお話の事件は、具体的事件でございまして、果してどうであったかは私まだわかりませんのですけれども、一般的に申しまして、そういうふうな単なるポスター張りとその上級者との関係等が十分に調べられていない、犯意の点それから情状の点が調べられておらぬとすれば、それは疎漏と言われても仕方がないというふうに考えます。
  34. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 私はこの問題はきわめて重視をする問題でありまして、堀川委員の言われるように、こういう選挙などにはもちろん血道をあげての戦いをやっておるのでありますから、従って、よくそれを承知していても、あるいは違反するような行為を知らず知らずのうちにやっていることもある。親切な人は、街頭刷りなどのポスターを張っても、これは違反ですから、こういうものを張ってはいけませんよと、その多数張るまでに見つければ、すぐそこで注意して、そうして立件しないで、親切丁寧に指導するという立場で防犯目的を達し得るような親切な警官にも出会っております。それが私は本旨だと思う。けれども、一枚張ったポスターでも犯意に基くものとして立件してやろうという第一線の警官の意思があれば、これは四角四面にいえば明らかに違反行為でありますから、立件しょうと思えばできるわけでありまして、それは、いわゆる法というものは、いい法でありましても、その運用いかんによっては最も悪法にもなるということがそこで私は言えると思うのであります。ですから、私は、この問題が今堀川委員の申されるようなことが事実であれば、これは形式犯にひとしいものだと考えるわけです。それが実質犯以上の極刑をしかも略式裁判で宣告されておるとすれば、私はこれは非常に重大だと思います。従って検挙並びに裁判の判決のありました経過調書内容等についても、でき得れば一つ資料としていただきたい。そうして内容をよく研究させていただいて、取締りに当る一線の人々がその取締りのしやすいような法律に明確に改正する必要があろうと思います。そういう点からもきわめて重要だと私は思いますので、以上の範囲の資料を提出していただきたいと思いますが、それができるかどうか、一つお答えをいただきたいと思います。
  35. 長戸寛美

    長戸説明員 お話の件につきましては、堀川先生からその事案の名前等を承わりまして、私どもの方で調査いたしまして御説明申し上げますから、それによって一応御了承を願いたい、こういうふうに考えております。
  36. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 その経過の資料は資料としては提出不可能ですか。
  37. 長戸寛美

    長戸説明員 具体的事件でございますので、できますればその要領はあるいは書面にしてお出しするという程度で御了承を願いたいと思います。
  38. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 くどいようでありますが、これは非常に重視すべき問題だと私は思います。ただ私は、取締りに当った人を責めるとか、そういう考えは毛頭ありませんので、ただ後日に私どもが法を改正するに当ってきわめて重要な参考資料だと考えますので、私の今申しました内容を要求事項として私は提出方を要求しておきますから、ぜひとも提出していただきたいと思います。それから、委員長に、その要求の趣旨に従って一つ提出方については善処を願いたい。
  39. 島上善五郎

    島上委員長 ただいまお聞きの通り、資料の要求がございますから、堀川恭平委員から氏名、場所等の提示がありましたら、資料をお出し願いたいと思います。
  40. 淵上房太郎

    ○淵上委員 関連して。堀川委員からポスターに関する質問がありましたが、私は、この機会に、現行選挙法の上から、ポスターの問題について一応お尋ねをしておきたいと思います。  私の考えでは、演説会は立会演説会と個人演説会と分けて、個人演説会のうちに屋内演説会と街頭演説会二つ観念的に私は分けて考えておるのであります。従いまして、演説会告知用ポスターというものは、屋内演説会の告知であろうと、街頭演説会告知であろうと、現在の法律ではちっとも区別すべき理由はない、かように私は解釈しておるのでありますが、この点に関しましては当局はどういうふうなお考えを持っておられるか、まずそれをお伺いいたします。
  41. 兼子秀夫

    ○兼子政府委員 現行選挙法街頭演説演説会の一態様ではないか、かような御趣旨の御質問と拝聴したのでありますが、街頭演説は百六十四条の五にあるのが街頭演説であって、演説会と選挙法では書き分けているのであります。従いまして、先ほど問題となりましたポスターの百六十四条の二の十項の規定解釈につきましても、先ほど刑事部長から申し上げましたような解釈になると思うのであります。
  42. 淵上房太郎

    ○淵上委員 そういう解釈をしておられるから、今堀川委員の提示されたような問題が起るのであります。演説告示用のポスターでありまするから、ただいまあなたの御説明のように街頭演説演説会にあらずという解釈が大体変な解釈だと思います。会というものは、申すまでもなく人が会合するのが会です。屋内の会合であろうと屋外の会合であろうと、会は会であります。従って、演説会告知用ポスターというものは、私は、現行法律をそのまままっすぐ読んで街頭演説会告知用にも使い得る、そう解釈すべきじゃないかと思います。それをただいまあなたの解釈のように考えておられるから、堀川委員の今提示されたような事案が起るのであって、これは将来必要に応じて法文の修正等の問題が起るかもしれませんが、現行法の解釈としてただいまお話でありまするが、街頭演説演説会にあらずという解釈だけで、さように解釈されているというように了承しておいてよろしゅうございますか。
  43. 兼子秀夫

    ○兼子政府委員 街頭演説演説会の区別につきましては、第百六十四条の二の本文とそれから百六十四条の四の規定とによりまして、これは、われわれの解釈といたしましては、街頭演説演説会でない、かように従来から解釈を一定いたしておるのであります。ただ、おっしゃるように、現行法の演説会告知用ポスター街頭演説と書いた場合に、常識に反したような結果になるじゃないかということはあり得ると思うのでありまして、先ほど参議院委員長から御説明のありましたあの改正法によりますと、告知用のポスターというものは一切なくしまして、従ってポスターには何を書いてもよろしい、かようなことに改正規定が入っている次第であります。
  44. 淵上房太郎

    ○淵上委員 ただいまの参議院提案はこれは別個の問題であります。参議院提案を待たず、衆議院衆議院として、われわれ同士同じような考えを持っておる方がおられるのでありまして、これを明確にするために必要に応じて修正の態度に出るかもしれませんが、大体今の条文をあげられた。それを屋外演説演説会にあらずという解釈そのものがおかしいのであって、まるでひっかけるためにそういう解釈をしたかのごとき疑いも受けなければならぬということになるのでありますが、現在のお役所の方々のお考えだけいま一応聞いておけば足りるのでありますから、聞いた次第であります。  それから、もう一つこの機会にお願いしておきたいのでありますが、先ほど山口委員からも話がありましたように、この委員会の当初から繰り返し出ている問題でありますが、防犯の問題であります。第一線警察官に対する指導から行きまして、もう少し犯罪、ことに悪質でない犯罪のときは、あらかじめ注意すれば予防し得る事態が非常に多いのでありまして、中川政府委員も先般から申しておられるのですが、私のこの間の経験では、ちょっとした戸別訪問をあげるのに、ある警察官は五カ所ばかりずっと尾行していってやっている。おい、戸別訪問はいかぬぞと注意すれば何でもない。実際人情から行きまして、知った家について今度は一つやろうじゃないか。——その町に行った機会に、知った家二、三軒やるということはあり得ることであります。これは特に悪質と見る必要はないと思うのでありますが、今申しましたように、五カ所も六カ所もずっと尾行して、いよいよ的確にのっぴきならぬような事態を作って、そうしてそれをあとで検挙する。これは実際です。そこで当初からたびたび問題が出ましたが、第一線警察官の防犯指導に対しまして、私は、検挙するのが必ずしも能じゃないのだ、防犯指導も相当中央官庁としては推進される必要があると思うのでありますが、先般来から申し上げますように、たびたびこの問題は出たのでありますが、来年は参議院選挙もあります。あるいは本年内には地方選挙もまだ残っているところも各市町村にたくさんあるのであります。先般来の質疑応答の経過にかんがみまして、防犯につきまして積極的に何かおやりになるような意思を持たれるに至ったかどうかを、この機会にお伺いしておきます。
  45. 中川董治

    中川(董)政府委員 この公職選挙法に限りませず、刑罰法令の防犯ということが重要であることは全く同様に考えております。いろいろ御質疑を通じて御意見を伺うのですけれども、ざっくばらんに申しまして、戸別訪問がいかぬという点は、相当防犯賞伝といたしましても徹底しているんじゃないか、こういうふうに私ども思われるふしもあるのでございます。ところが、事案によりましては、やっていらっしゃる方は、これは戸別訪問じゃないのだ、戸別訪問に至らないのだ、御質問の点がそうであったとは決して申しませんが、そういう意思をもってやっていらっしゃる場合が、戸別訪問違反だということがわかった場合においては相当考えられますので、私ども警察官としては、これはやっぱり法律規定する戸別訪問であるということを立証する努力をする、これがまた公職選挙法を公正にやるゆえんでもありますので、私ども、お説のごとく戸別訪問はいかぬとか、あるいは制限された文書以外のものはいかぬとかいう防犯宣伝は今後とも大いに続ける意思はございますけれども、それをまた、戸別訪問はいかぬということを知っておられる方々が、なるべくこっそり見つからぬように戸別訪問をやろうという場合等があるときには、その戸別訪問をなさったということを立証するために工夫しなければならぬ、こういうことにも相なりますので、根本的には大いに防犯指導その他をやる。戸別訪問犯罪になるということは相当徹底したつもりでございますけれども、今後とも大いに徹底してもらいたい、こう思うのであります。
  46. 淵上房太郎

    ○淵上委員 私は今あなたの概念を伺っておるのじゃありませんので、例をあげて申しましたのは、ある町へ行って、この町へ来たからと五ヵ所も知ったうちへ寄った。しかし久闊を叙するために寄ったのでありますが、寄れは、選挙の最中でありますから必ず選挙の話が出る。そうして二十分も三十分もつけてきて——あとになって、何だかあの男がついてきたなと気がついたわけですが、調べてみると五ヵ所も、何時間もかかってつけて回っておる。そうまでしてあけるようなことをさせずに、そういう場合は戸別訪問になるおそれがあるからやめなさいということを、第一線の巡査なら巡査に一般の人に注意させるような防犯の指導はおやりになる決心であるかどうかを今聞いておるのです。委員会当初から繰り返しこの問題は出ますが、ただ質疑応答だけで満足すべきことじゃないと思う。何らかこれはやらなければならぬという必要をお感じになったかどうか、それを今聞いております。
  47. 中川董治

    中川(董)政府委員 防犯の指導の点はまことに同感でありまして、できるだけ手落ちのないように努力して参りたい、これは今後とも大いに努力して参ります。それで、いろいろ努力して参りますけれども、たとえば犯罪が行われるという状況を一般的に防犯指導をいたしますけれども、具体的にそういうチャンスその他があった場合においては、できるだけやめるように努めて参りたいと思いますけれども、そればかりやっておりますと、先ほど申したのでございますが、たとえば戸別訪問のごときは事件としてはだれもあがらぬということになりました場合におきましては、相当戸別訪問事項が各地に激増してくるんじゃないかという懸念等もありますので、防犯指導、ことに事前に工夫するという点は全く同感でございますが、過般申し上げたかと思いますが、そういう戸別訪問事件は秘密になって刑罰を受ける者が一件もなかった。——ほんとうに犯罪一つもなければけっこうでございますが、それが最も理想でございますけれども、そういう方法のみを用いておりますと、だれも見つからないで戸別訪問が行われておる、それが一つもあがってこないということになることが、皆様のおきめになった公職選挙法を適正に施行するゆえんかどうかという点も考え合せねはなりませんので、御趣旨の点は十分了得できますので、そのように努力しておりますけれども、証拠収集のためにいろいろ工夫する点も御了得いただきたいと思うのであります。
  48. 淵上房太郎

    ○淵上委員 私はそれを聞いておるんじゃありません。防犯指導のために第一線の警察官に何らかの措置をおとりになる決意になっておられるかどうかという点であります。これは戸別訪問を許せという意味じゃありません。戸別訪問は悪い。しかし、そういう具体的な場合に、どうも戸別訪問になるおそれがあるから気をつけなさいという親切さを持って注意させる、防犯をやるという第一線の人たちを指導する何らかの積極的な措置をおとりになる決意になっておられるかどうかを聞いておるのです。今の堀川委員の事案につきましても、私個人は街頭演説ビラを張りましたが、幸いにあげられなかった。私の解釈は、今申しましたような解釈でありまして、やかましく言った巡査がありましたけれども、どこに屋内演説会に限った法文があるか、会合は屋外でも屋内でも会合じゃないか、演説会の会合だ、悪いという法文は一つもないじゃないかと言ったら、ああそうですがと言って巡査は引き下ったのであります。幸いに私は堀川さんのように起訴せられずに済みましたが、私はそういう解釈をしておる。もしこの法文に疑義を生ずる点があるならば将来明確にすべき点だと考えますが、今私が言いますのは、戸別訪問を許容しろと言うのじゃありません。指導について何らか積極的な方途を考える必要があるんじゃないかと思うので、どういう心境になられたかを先ほどから聞いておるのですが、これは答弁は要りませんから、一つこの点についてお考えを願いたいと思います。
  49. 島上善五郎

    島上委員長 委員長から関連してちょっと今の問題について念のために伺っておきたい。今のポスターを張ったということでございますが、労務者ポスター内容には責任がないはずです。労務者は、このポスターを張って来い、ただ張るときには官庁の建物や何かには張ってはいけない、それから人のへいに張るときには断わって許しを得て張りなさい、こう言うのが普通の場合です。その場合に、労務者がもし張ってはいけない場所へ張れば、張った責任は労務者にある。その内容の責任は張らせた側にあるはずなんです。私は現行法律解釈からいって当然そうだと思う。その点内容の責任は張らした側にある、張ってはいけない場所へ張った場合には張った労務者の側に責任がある、こういうふうに私ども解釈しておりますが、その点どうでしょうか。
  50. 長戸寛美

    長戸説明員 お話の労務者にいわゆる文書に対する認識がないというふうな場合には、お説の通りでございます。
  51. 森三樹二

    ○森(三)委員 選挙法違反あるいはまた選挙管理委員会選挙事務に関しまして、われわれは当局にも十分御反省をいただきたい点が多々あるのでありますが、特に先般来私が御質疑をいたしております仙台市長選挙の問題に関しまして、あのような大都市におけるところの市長選挙に、実に忌まわしい、不公正な選挙管理委員会の事務上の故意または過失等の問題が起き、しかも、これらの問題に関しまして、仙台市の警察はこれを厳重に捜査をしなければならないにかかわらず、何ら手を染めないというような、まことに現職の市長を擁護するような、職権を消極的に乱用している状態におきまして、私は当委員会の責任は重大である、このような観点から御質疑をしておったわけであります。いよいよ会期も七月三十日で切れますが、しかし、例年の例もありますので、当委員会は継続審査を当然持つことにいたしまして、われわれは、仙台市あるいは徳島市に参りまして、当委員会の職責として今後徹底的に問題を究明しなければならぬと考えておるのであります。  つきましては、せんだって参考人の供述がありました後に、私から警察当局あるいは検察庁、そしてまた自治庁当局に対しまして質問したのでありますが、本日も、仙台市のあの不正なるところの選挙の取扱いに関しまして、当該の政府委員から御答弁をいただきたいと思うのであります。
  52. 中川董治

    中川(董)政府委員 仙台市における事案につきましては、ただいま御発言がありました通り、前会におきましては参考人等の供述を中心にしての御審議がございました。参考人出席のもう一つ前の委員会におきましても、仙台の問題につきましていろいろ御事情を拝聴いたしましたので、そのときもお答え申しました通り全国事件を私ども根こそぎ知っておるわけではございませんので、本件事案の様子等につきまして詳細調査いたしたいと自分たち考えまして、私どもの方の職員を仙台市に派遣いたしまして、仙台における四月三十日施行されました市長選挙に関連する選挙運動、ことにそれに伴う選挙事務関係の関連捜査等、こういった問題につきましていろいろ現地について調べさすようにいたしたのであります。調査員が帰って参りましてその調査員の復命を私ども聴取いたしましたので、その復命を中心にし、その後また仙台の警察当局が本件事案の真相発見のために努力している現状等を、今後の事件の捜査の進展ということのために秘密の点は若干ごかんべん願いたいと思いますが、それ以外の点につきましては御報告申し上げたいと思うのであります。  まず、問題は数点ございまして、各項目にわたりますが、大分けして申しますと、投票所の投票開票事務等に関連し、また票の勘定その他に関連して、投票増減のことがあったかなかったか、こういうことが第一点であります。第二の点は、関係者のうちで暴行を受けた者がある——これは主として刑法犯になろうかと思いますが、刑法犯の暴行等の犯罪があったかどうか、こういう問題が第二点でございます。第三点は、当該選挙運動期間中に文書等が頒布されて、その文書等が公職選挙法に触れる行為等があったかどうか、こういう三つに大分けすることができるのでなかろうかと思うのであります。  まず、第一点の投票増減等につきましては、かねがね当委員会におきましても相当御研究でございますし、いろいろこの前の参考人のお話も私拝聴しておったのでございますが、仙台の警察におきましては、投票所内部のできごとでありましたので、そういった事情を発見することが比較的おそくなっております。発見いたしましたのは、あそこの地元の新聞に、こういう投票の勘定違いがある、こういうことが掲載されましたので、これは何かおかしいことがあったのでなかろうかと一応推理いたしまして、いろいろ各方面に事情を聴取しております。この投薬用紙はどこで製作されたものであろうか、どういう方法で入手されたものであろうか、開票当時においてはどういう人たちが立ち会っておられたか、開票後投票がどういうふうに運ばれていったものであるか、その後現在民事手続で民事裁判所で検証等が行われておりますが、その結果はどうなっておるか、こういう点を中心に調べております。ことに、当委員会で御発言がございまして、書き面しがあった、一応投票用紙には甲という人物を書いておきながら、それを消して乙という人物を書いておる、こういう点があったという点も明らかになりましたので、書き直しについて犯罪ありやなしや、こういう点を現在慎重に捜査しております。ところが、書き直しがあるかどうかという問題になりますと、筆跡鑑定とかそういう科学的な方法を用いなければなりませんので、そういう方法を用いまして、本件投票、開票関係事務その他に関連して公職選挙法に触れる行為があったかどうかということを、現在仙台の警察では、発見が少しおそくなった点は確かにあるのでございますが、その後当委員会におきましても有力な資料をいただきましたので、現在仙台地力検察庁と十分な連絡のもとに鋭意この真相の究明に努力しております。内容が、そういう筆跡鑑定の問題にからみ、あるいは投票所内部の問題にからみ、相当多面にわたっておりますので、相当慎重な調査を遂げて、われわれ犯罪関係としては、何のそれがしがこういう犯罪をしたという被疑者を割り出さなければ捜査はできませんので、その被疑者を割り出すということ、また被疑者があるかないか、ほんとうの書き損じなりやいなや、それとも悪意をもって書いたものであるかいなやという点は、筆跡鑑定その他科学的方法を基礎にいたしまして捜査する、こういう態度を地元警察ではとっております。  第二点の暴行にかかる問題でございますが、本年四月二十日午後二時三十分ごろ、仙台市内にブラザー軒という料亭があるようでございますが、そこにおきまして候補者運動員であられます半沢正二郎氏が反対派の運動員らしい者から暴行を加えられた、こういう要点を地元仙台警察署で聞知いたしました。直ちに地元警察署におきましてはそのブラザー軒について調査いたしたのであります。ところが、暴行があったということがはっきりいたしませんので、翌日係員は、一応被害者と考えられる半沢正二郎氏にお目にかかりまして、その間の状況を詳細に聴取いたしております。そうすると、そのときの半沢さんが調査員におっしゃる要点は、ここの診療所の会合がありまして、若干酒などが出た、それで自分のかつての同僚との間に、自分は早く帰ろうとするのを、いやもっとおってくれやというて引きとめるという工作が行われた、そのために酔余の結果引きとめるというようなことがあったけれども、暴行等のことはなかった、こういう供述がありましたので、仙台の警察は暴行ということが立件できないと考えておったのでございます。私どもの調査員は、それがほんとうに半沢さんがおっしゃる通りであれば問題はないのでありますが、半沢さんがまた何者かの脅迫等を受けてそういうことを言っておられるのじゃなかろうかということも一応考えられましたので、詳細いろんな点を関係者について調査して参ったのでございますが、現在までのところ、その酔余の結果引きとめられた人物は、何か伝うるところ兄弟の関係にありまして、二郎さんと五郎さんという兄弟の二人があるのでありますが、その五郎さんと二郎さんの人違いというようなことに関連して、相当うわさも広がっておるという事情等もありましたような状況でございます。そして半沢さんに繰り返し私の方の調査員が調べましたところ、現在口分は暴行を受けたことはない、ことに警察がこの事件をうやむやにしておるとは思わぬ、こういうふうな供述をしておるのでございますが、一応現在の調査はそういう状況でございますけれども、さらに捜査を続けまして、何者かによってこの半沢さんが事実と異なる供述をなさっていらっしゃるとすれば、またそういった点も大いに内偵する必要が認められますので、そういった点をいろいろ現存調査中でございます。まことに恐縮でございますが、皆さんにおかれましてさらにこういった暴行があったという資料等が今後入手されました場合におきましては、警察の調査に御協力願えれば幸いだ、こう思っておるのであります。皆さんの御協力を仰ぐとともに、警察におきましても、さらにこの事実の真相が半沢さんのおっしゃる通りであるかどうか、こういう点はさらに捜査を続行する考えでございます。  それから、その次に、文書関係でございますが、文書関係につきましては、当委員会にも御呈示がありまして、赤で云々とかいろいろ二、三の文献を私も拝見いたしましたので、それに基きまして調査をいたしております。ことに飛行機の問題等につきましても十分調査をいたしておるのでございますが、ただ、御指摘になりました文書は確かに仙台市に出ておるような状況であったようでございますので、そういったものをだれが頒布したか、こういう点を現在非常に周密に調査内偵を行なっておるのであります。ただ、飛行機の点でございますが、飛行機の目撃者等につきまして、いろいろ各方面を今四方八方手を尽して調べておるのでございますが、そういうことを目撃した者があるという話を聞知した方は相当に多いのでございますが、現実に飛行機を見たという人間はまだ発見できないのであります。一応私が見たという方がいらっしゃいまして、その方にお尋ねいたしましたところ、だんだん事情を聞いて参りますと、自分は自分が見たのでない、他の人が見たということを自分が聞いた、こういうような供述でありましたので、ほんとうに見た人たちを探すべく努力しておる次第でございます。他面、当日四月二十八日、二十九日前後に飛行機があの方面を航空したかどうかということを捜査するということも可能でありますので、航空の調査監督機関である逓信官署等につきましても調査いたしましたところ、逓信官智の調査によれば、当日仙台上空をこういう選挙文書を持って航空したものはないような状況でございます。従って逓信官署に対する手続を経ずして、何者かが仙台の上空を飛んだということも考えられるわけでありますが、そういった意は、目撃者を発見し、いろいろな点を総合し内偵を進めて参りたい、こういうふうに地元の警察では努力をいたしておるのでございます。仙台におきましては、そういうふうに、伝聞と申しますか、比較的伝聞で御存じの方が多いのでありますが、現実に見たという人が発見しがたくて、現在捜査上非常に弱っておるのでございますが、そういったところの目撃者ないしはその被疑者の割り出しに今後とも大いに努力する、こういう態勢を続けておりますので、その捜査を進捗せしめたい、こう思っておるのでありますが、警察におきましても大いに捜査に努力いたしますけれども、その目撃者その他関係者の方の御協力をお願いして、事案の真相の発見に努めて参りたい、こう考えておる次第でございます。
  53. 森三樹二

    ○森(三)委員 私は後ほど自治庁それから法務省にもお尋ねするのですが、今中川さんの答御弁を聞いて非常に失望すると同時に、一面私は大きな憤激を感じておるのです。あなたは正義感を持って警察の職員の忠実は調べを欲しておったのでしょうが、全く仙台市の警察はこれだけの大きな事件についてネズミ一匹も逮捕することができない。ということは、私が当初申し上げましたように、すなわち岡崎栄松なる連続三回当選したところの現職の市長に、一つの威圧と言いますか、警察は好意を持っておるか、さもなければ捜査を非常にめんどうがってやらなかったのか、好意を持ってやらないのか、あるいは怠慢でやらないのか、どっちかだと思うのです。しかも、この最初の開票すなわち投票の増減の問題につきましては、内容はほとんどもう明確になっておるのです。しからば、その捜査はどういうふうにされたかということは、これは中川さんに聞いてもお答えになるかならないかわかりませんが、いやしくも捜査をするならば、私が先般も言った通り戸別訪問をしたというような音さえもとんどんと逮捕をして調べておるのです。この仙台の荒町の開票所の場合において、少くともこれだけの大きな事案を起しておるならば、戸別訪問非勢と比較するならば、罪の情状からいってとうてい問題にならないと思います。このような大事件警察がどのような捜査をされたかわかりませんけれども、ただ単に開き込み等の状態であるならば、私はこの犯罪の捜査というものはとうてい徹底することができないと思うのです。それからまた、この暴行の問題についても、一応被害者と目される者についても調べたと言われますが、もちろんその当時徹底的に調べれば私は相当のものが出てきたと思うのでありますが、日がたつに従って、人間は激怒の感情あるいは選挙当時の感情というものはいささかずれてくるのでありまして、この点もわれわれもっと徹底的に究明しなければならぬと思っておる。それからまた文書頒布の問題についても、今あなたがおっしゃったけれども、飛行機でまいたと言う人もある。しかし、それは直接の証人ではなくて間接の証人であるというようなこともおっしゃっておりますが、これも、あの仙台にはたくさんの人がおるのですから、これがわからないはずはない。そしてまた、かりにこれを飛行機でまいたかまかないかは別として、だれが一体これを作ったか、だれがだれに頼まれてどこの印刷屋で作ったか、その印刷屋で作ったというようなことも果してわかっておるのかどうか。これをさえもどこで作ったかわからないというならば、これはもう問題にならない捜査だと思います。全く捜査に対する熱意がない。東京の本部から二人の方を派遣されたと先般言われましたけれども、まあ二人の人が行ったので、仙台の警察もあるいはトウガラシくらいのびりっとした気持になりたかもしれないが、結局あの悪質なビラをどこで印刷したかということもわかっておらない。あるいは選挙の投票の当日に及んで、公共の建物、すなわち市長あるいは市会議員候補者の名前をずっと書いたあの公共の建物の板に、あの悪質はポスターを張っておる。これもすなわち公共の建物に張ってはならないというその犯罪に触れることであるし、またポスター内容からいっても犯罪に触れることである。そういうようなものをだれが張ったのか、どこで印刷したのか、だれがだれに命じて張らせたのか、そういうようなことさえも調べがつかないということでは、全く仙台の警察というのは無能かあるいは故意か、とにかくこの捜査に対しては全く信頼できないと思うのです。これらに対しまして、中川さんは、現地や調査に行って帰ってきた人の報告を聞いて言っておられるのでありましょうが、あなた自身としても、私が今申し上げた話をお開きになったら、それもそうだというお気持になると思います。それならば、あなたは何一つ的確な犯罪検挙というものをなさっておらないことになるのじゃないですか。この点はいかがですか。たとえばポスターをどこで印刷したか、だれが頼みに来たか、その頼みに来た者がわかれば、その頼みに来た者はだれに頼まれてそこへ印刷を頼みに行ったか、その印刷の費用はだれが支払ったか、その支払った金はどこから出たか、そういうようにだんだんたぐっていけば、選挙違反犯罪というものは、いわゆるじゅずつなぎにそれからそれへと端緒が出てくるのです。くさいものにはふたをしろ、おれたちはそんなものを調べるのはいやだというようなことで現在の仙台市の警察がやられておることはもう明らかです。これはいわゆる全国的な取締りをされる重大な責任のある中川さんがこれを当然のこととして報告されるということは、私は驚くべきことだと思うのです。この事案に対してなぜもっと慎重な調べ方というものをなさらなかったか。中川さん自身は一体どういうようにお考えになっておるか、御答弁願いたいと思うのです。
  54. 中川董治

    中川(董)政府委員 この非合法の文書を書いた、とりわけこまかく書いてある、こういうようなことが重要な犯罪であるということは全く同様に考えております。それで各警察とも捜査するわけですが、先ほど意見が出ましたけれども、その張っているときにそばに警察官がおったというような場合におきましては、比較的容易にわかるわけでありますが、事後にわかったような場合におきましては、だれが張ったかということをいろいろな方法で捜査するわけであります。ことに飛行機なんかでまかれたという場合において、警察官が目撃しておったら捜査すべきが当然でありますけれども、現在のところ、いろいろ調べましても、飛行機を目撃した者が見つからない。目撃したという人がありまして、その人に聞いたという者があったのでありますけれども、私が目撃したのではない、自動車運転手と一緒におったときに聞いたんだ、そこで運転手の方に事情を聞いてみると、私は目撃しなかった、どういうことでお聞きになりましたかというと、それはいなかに行ったときに百姓の方に聞いたんだ、百姓の方はどなたかとたぐって参りますと、百姓の方はわからぬというので、今のところ百姓の人を探そうということで努力しておるのであります。もちろん私ども、捜査する場合におきましては、いろんなデータを——初めはうわさから始まる場合もあります。今回の場合が決してそうだとは申しませんが、だれかそういうことを声を大にしておっしゃる人があれば、その方に聞いてだんだん突き詰めていくという方法もございます。たとえば警察にそれを押収するとか領置するとか、こういうこともございますが、そういう点も現在やっております。それに基いて徹底して捜査してやろうという意欲を仙台警察は現在持っておりますので、それに基いて捜査をどしどし速めていくべきだと、私も同様に考えております。ところが、現行犯の場合は御案内の通り比較的早くわかるのでありますが、現行犯でない場合は、比較的苦心せざるを得ない。こういう点は御同情願いたいと思うのでございますが、その努力を今後とも続けて参る、こういう態度でございますので、その点ははっきり申し上げて御了承いただきたいと考えます。
  55. 森三樹二

    ○森(三)委員 中川さんの御答弁を聞いておりますと、非常に御熱意をあなたはお持ちになっておるように私は思うのです。あなたは信頼できると私は思うのです。しかし、仙台の警察は、従来も私申し上げましたように、いわゆる市の警察であって、つまり市長、その他身分関係あるいはまた予算関係につきましては市の予算といろいろと関係があったわけでありまして、その意味において、市長警察署長あるいは警察全体が非常に密接な関係にあった、このような状態において警察に対しても相当いろいろの手が回っておるということを私は感ぜざるを得ないのであります。いなかの警察へ参りますと、非常に情実因縁というものが深いことがよくわかるのでありまして、中川さんの御熱意は私は非常に尊敬はいたしまするけれども、この点も十分お考えになって今後捜査をされたいと思うのであります。たとえば一枚の偽造の千円札が東京都内に現われたとなりますと、これは大へんですから、一生懸命になって捜査されるでしょう。どこでそれが印刷されたか、そしてその機械はどこにあるか、これはあなた方は全力をあげて捜査されると思うのです。それだけの気持があれば、これが仙台で印刷したかどうかぐらい——もっともそれはよそで印刷する場合もありますが、ああいうものを一体どこで印刷したか、だれがやったか、だれが頼んでやったか、金は幾ら払ったかということは、これはわからなければならぬはずでありまして、これが単に仙台市の選挙の公正を保つばかりでなく、今後こういうことが日本全国に蔓延いたしましたならば、この選挙界というものはますます腐敗堕落その極に達すると言わなければならぬ。その意味におきまして、今後ともほんとうに熱意あるところの捜査を続けられんことをひたすらお願いしてやまない次第であります。  次に、私は法務省に一つお尋ねするのでありますが、日本の検事は、先例といたしまして、買収された者も全くなきにしもあらずでありますけれども、しかし、われわれは、日本の検察官はほんとうに信頼のできる仕事をやってくれていると言っても過言ではないと思っておるのであります。よくこういうことがあります。いなかの警察に告訴事件を出しても、警察は情実因縁で調べない。仕方がないから、その警察の告訴状を取り下げて、そして別に検察庁の方へ告訴状を出すというような場合が間々あるのであります。われわれはやはり検察官に対しては高度の信頼を持っておるということを前提としてお尋ねするのでありますが、仙台のあらゆる事案につきまして、検察当局としても私は相当お調べになっていらっしゃるものと思うのであります。特に過般岡崎栄松市長検察庁に任意出頭の形で召還されたということは、新聞でもすでに報道されておるのでありまして、私は仙台の地方検察庁は相当責任あるところの行動を展開されておると思うのであります。これにつきまして一つ御報告を承わりたいと思うのであります。
  56. 長戸寛美

    長戸説明員 森先生の御質問につきましてお答え申し上げたいと思います。  まず、得票増減の問題でございますが、これにつきまして、仙台地検といたしましてさっそくこれに対して関心を示しまして、民事の訴えが出ておりましたので、裁判所の方にも連絡していろいろ照会をしたわけでございますけれども、民事の方ではまだ裁判中であるということで、その結果を知らしてもらえないというふうなことでございました。そこで、新聞紙の報道するところによりますと、裁判所の調査というふうなものを見ますと、投票総数が十六万二千八十票、それから市選管のその後の調査によりましても十六万二千八十票で、投票総数は合っているわけであります。ところが、得票の増減につきましては、新聞紙の報道する裁判所の調査の結果と、市選管の再点検の結果とは、若干のずれがある。そこで、検察庁といたしましては、いずれにしましても増減があったということは非常に重大な問題であるということで、なぜそういう増減ができたか、これが特別な何らかの工作によって生じたものか、あるいは単なる計算の間違いであるかというふうな点を徹底的に究明しよう、こういうふうに考えまして、県警察、それから市警と連携をとりまして、現在投票用紙の印刷枚数、使用の枚数、残枚数の計算、あるいは入場券の計算等の方法によって入場者数を確かめるというふうなこと、あるいは関係の人たちの調査によりましてその真相の究明に当っておるわけであります。まだ、現在は捜査中でありまして、はっきりしたことは申し上げられないのであります。  それから、もう一つの島野派の総括主宰者であります半沢正二郎さん、これは、中川刑事部長が言われましたように、四月二十日にブラザー軒で逓信功労表彰者懇談会というものが開かれて、その閉会直後に、仙台逓信病院の外科部長の医師某が、半沢さんを隣室に連れ込みまして、なぜ市政刷新連盟会長になったかということをなじって、半沢さんの頭部を二、三回押しつけ暴行したというのが被疑事実のようでございます。このことは、先ほど中川刑事部長が言われましたように、すぐに警察の方でそれを聞知しまして、同署員が——これは北警察署の方でございますが、さっそく出向きまして、半沢さん御本人にいろいろ聞いたようでございます。ところが、検察庁への報告は、その際御本人は選挙が終るまでは言いたくないというふうなことで、暴行者の氏名はもとより、暴行の事実の有無も漏らさなかった、こういうことであります。ところが、四月の二十二口になりまして、河北新報等にその事件が報道せられ、検察庁は初めてそのことを知ったわけでございます。それには何か告発の手続がとられたような記事があったわけでございますが、仙台地検といたしましては、新聞に報道されまするや、これまた重大関心を持って警察からそのような事情を聞いたわけでございます。ところが、半沢氏は、告発とか告訴とか、そういうものをなすっていない。そういうことから、当初警察において本格的な捜査に乗り出せなかったというのだろうと思います。しかしながら、当委員会におきまして森先生の御質疑がございましたので、当時から検察庁としても関心を持っておりましたので、警察と連絡してこれまた捜査を続けておるということでございます。  それから、文書違反、「私はだれでせう」というふうな問題でございます。これは四月二十九日ごろに仙台市内に相当数ばらまかれたというように聞いております。仙台地検としましては、警察と連絡していろいろ調査いたしましたが、当時は、犯人不明ということで、そのままになっておったようでございます。ところが、島野は容共である云々というふうな見出しの文書違反も別にございまして、これにつきましては告発事件になっておりまして、六月二十一日に所轄の警察から仙台地検に事件が送付されて参ったのであります。これにつきましては、西村仙台地検検事を主任として捜査に当り、この告発人が横浜に在住しておるというふうな関係から、その告発人の調べなどをし、また被告発人その他関係者を取調べ中でございます。従いまして、「私はだれでせう」とかいう告発事件もございますので、一連の事件として引き続き捜査をして参るわけでございます。  そのほかに、この仙台市長選挙に関連しまして、告訴、告発事件がかなり出ておりますし、ガス関係の不正事件等の告訴もございますので、これをすべて仙台地検としましては総合的に処理すると申しますか、それぞれに主任検事を定めて現在徹底的に調べるという態度をとっております。ただ、まだ捜査中でございますので、詳しく御報告ができないのでございます。その点御了承願いたいと思います。
  57. 森三樹二

    ○森(三)委員 ただいま長戸さんからかなり誠意のある御答弁をいただきましたけれども、しかし、まだ裁判が済まないから十分調べがつかないというお話がありましたが、これは本裁判じゃない、仮処分です。つまり証拠保全の仮処分の裁判であって、その仮処分は許可になっている。証拠保全手続は済んだのですから、証拠保全という処分自体は済んでしまって、結果は明らかになった。しかも新聞にその内容がわかって発表されているのに、検察庁が調べられぬはずはないと思うのです。もう一つは、処分が済んで、投票用紙その他すべてのものが選挙管理委員会の方に保管されておるということでございますから、十分また捜査ができると思うのでありまして、その点は一つ十分御留意をいただきたいと思うのです。  それから、暴行の問題もありましたが、これもまたもう少し詳細に調べていただきたい。またポスターの問題、ビラの問題は、今長戸さんはビラの問題は報告されましたが、政治団体の許可を得た「赤と隠謀と虚報を排して仙台を守りましょう」というポスターですね。ビラポスター二つあるんです。ビラの方は小さい方で、ポスターの方は選挙管理委員会の検印を受けた、用紙自体は正規なものなんです。ただ印刷の内容選挙妨害であるということ、それからさっき申しましたように氏名掲示をされる公共の建物に張ったという違反、この二軍の違反ポスターの方にはあるわけです。ですから、ビラポスターは、観念をお分けになって今後お調べを願いたい。その点もしおわかりになっておれば、今御答弁をいただきたいと思いますし、おわかりになっていなければ、その区別をしていただきたい、こう思っております。  もう一つは、市長を召喚したということが新聞に出ておりますが、市長選挙違反の問題で召喚されたのか、あるいはまたガスその他の収賄、汚職等の事件で召喚をしたのか、それについても一つ御答弁願いたい。
  58. 長戸寛美

    長戸説明員 先ほど、投票増減罪につきまして、民事の裁判が終らなければ調べができないというふうには私申し上げなかったつもりでございます。ただ民事の裁判の調べの結果を検察庁の方にはまだ明らかになし得ない、発表し得ないと申しただけでございます。従いまして、お話のように、これは関係者も相当おることでございますから、民事裁判とは別に、刑事の方は捜査を続行するというように言っておるわけであります。それから、ポスタービラと区別してやれというようなお話、ごもっともでございまして、これにつきましては、いま少し仙台地検の方に再照会をいたしまして御答弁を申し上げます。それから、仙台市長召喚の問題は、これまたまだ詳しい報告が参っておりませんのですが、おそらくガス関係じゃないかという感じがいたします。
  59. 森三樹二

    ○森(三)委員 長戸さんからなかなか御誠意のある御答弁をいただいておるのですが、あなたが直接おいでになるわけでありませんので、やはり地元の方といろいろ御連絡もあると思うのであります。私がこういうことを申し上げると、中川さんには失礼かもしれませんけれども中川さん自身を攻撃するのじゃないのです。これは検事と警察官の素質の問題もありましょう。長い歴史と伝統の問題もあるのですが、少くとも私は日本の裁判官と検察官とはほんとうに信用しているんです。もし検察官や裁判官が買収、供応によって動いたんじゃ終りだと思う。警察官には何といってもいかがわしいのが相当おります。もっとも、教養の点からいっても、それから年齢の点からいっても、その若い人が間に合わせで警察官になっているのもありますし、いろいろある。しかし、少くとも検察官はきぜんたる態度をもりて、特に仙台の事件についてはほんとうに日本の選挙界を郭清するんだという強い信念を持たれて、徹底的に究明していただくことを特にお願いしておく次第でございます。  次に、自治庁に御質問を申し上げますが、自治庁としては、この事案は他人事ではないのであって、皆さん方のふだんから心がけておられるところの、いわゆる選挙の公正を現実に行使することができたかできないかという、ほんとうに皆さん自身の大きな問題でありまして、これは、自治庁自体が、この問題を徹底的に解明するところの、みずからの責任を持っておられると思うのであります。従いまして、過般来の参考人の供述等によって、自治庁当局も事件の大かつその深さの大きいことにおいて十分御認識をされたことと私は思うのでありますが、これにつきまして現在まで調査されました御報告をお願いしたいと思うのであります。
  60. 兼子秀夫

    ○兼子政府委員 仙台市、長選挙事件につきましては、先般、七月十三日でございますか、本委員会において参考人の方を呼ばれまして、事柄の非常に深刻な点をお聞きいたしまして驚いた次第でございます。もしこの事件が事務員の過失等によって起りましたといたしましても、非常な責任でございます、もしまた一定の犯意によってこの事件が起されたといたしますれば、これは非常な不祥事でありまして、われわれ選挙理事務の責任者といたしまして、いずれにいたしましてもこの事件については非常に関心を払っておるのであります。その後私どもの方でも係官を派遣して調査をいたしたのでありますが、先般のこちらの委員会に間に合うように何らか資料をつかみたいというような関係で、ごく短時間しか調査できなかった関係がありまして、かつまた、われわれの職務権限というものは、御承知の通りに捜査権等もなく、いわばなまぬるい調査に終るのはやむを得ない。その点は、やはり警察なり検察の方で事件の全貌がはっきりした上で、さらにわれわれ自身として調査の必要がありますれば、その点を調査の補完をして弄処いたさなければならないと考えております。われわれの方で係の者が調査いたしました結果は、この投票の増減が行われたかどうかという点に関してでありますが、開票所も、全部でなく、第一開票所、第二開票所、第六開票所につきましてのその後の結果でございますが、それで見ますと、十七票はその後入場券の枚数と不在者投票数の数の確認によって理由が出てきている、このような調査になっております。そのほかの開票所の投票は調査をいたしておりませんので、はっきりいたさないわけであります。  それからさらに、投票の包装と申しますか、先般こちらの委員会で証拠の写真等も拝見しているのでございますが、あの点につきましては、警察、検察の捜査の結果によって考えなければならぬ、かように考えておる次第であります。  いずれにいたしましても、事件が、複雑と申しますか、重大なことでありまして、われわれといたしましては、いましばらく警察、検察の調べの経過を見た上で善処いたしたいと存じております。  なお、この事件そのものにつきましては、市の選挙管理委員会事件につきまして異議の申し立てがございまして、六月三十日に却下となって、現在県の選挙管理委員会事件が係属中でございます。県におきましては、われわれと違って地元にある関係上、調査する能力も持っておると思うのでありますが、事件の訴願そのものにつきましては、宮城県の県選考管理委員会において適当なる判断を下すものと考えておる次第でございます。
  61. 森三樹二

    ○森(三)委員 今兼子選挙部長の御答弁がありましたが、もちろんあなた方としては捜査権というような強制権のないことは私も存じております。しかしながら、強制権がないだけに、あなた方は、むしろ、その責任が自分たちの監督権下におけるところの事案として、一そう私は深刻な責任をお考えになっていらっしゃるのではないかと思うのでありまして、これにつきてまして、仙台市の選挙管理委員会は現在どういうような態度をとっているのか、われわれは、これは間違いだった、間違いであったけれども、結果的には島野が負けて岡崎が勝つのは当りまえだというような態度をとっているのか、あるいは、これはとんでもないことをしたんだ、これはやはり選挙の公正のために全部やり直さなければならないのだというふうな気持を持っているのではないかと私は思うのでありますが、この点について仙台市選挙管理委員会の今日の反省の度合いを十分私は検討したいと思うのでありまして、この点兼子さんから御答弁を願いたい。  それから、もう一つは、昨日告示になりました北海道の帯広市の市長選挙、従来の三選の市長佐藤亀太郎氏が先般逝去せられまして、現在補欠選挙告示され、八月六日が投票日になっております。この帯広市等においても、従来やはり選挙戦がなかなか激烈であります。こういうような補欠選挙は各所に行われている。現在三重県では参議院の補欠選挙が行われている。こういうような現実の選挙が行われているところに対しては、自治庁当局としては一体どういう態度をもって臨んでいるのか。私はこれは噴火だと思うのです。またまた大きな間違いをわれわれは犯してはならない。われわれ自体も、選挙制度調査会あるいはまた当委員会としても、日本の各所におけるところの選挙、あるいはこれに準ずるところの公けの機関等に間違いいがあることは全く遺憾にたえないのでありまして、こうしたところの補欠選挙等の場合において、自治庁当局はいかなる処置をとっておられるか、明確な御答弁を願いたいと思います。
  62. 兼子秀夫

    ○兼子政府委員 仙台市長選挙事件につきまして、仙台市の選挙管理委員会は事案に対していかなる考え方を持っているかというお尋ねでございましたが、すでに、仙台市選挙管理委員会におきましては、この事件につきまして異議の申し立てが出まして、これは私の想像でございますが、おそらく非常な難問題にぶつかったという心境であったのではなかろうかと思うのであります。ただし、これは私の想像でございます。仙台市選挙管理委員会におきましては、先ほども申しましたように、六月三十日に事件の異議申し立てを却下いたしております。これにつきましては、その事案に対して積極的な確信を持つ理由がありますれば、それに基いて当然態度をきめなければならぬと思うのでありますが、それが不十分であったのか却下いたしておるのでございます。現存県の選挙管理委員会に訴願が係属中でありますので、先ほど申し上げましたように、県選挙管理委員会におきましては、その後の事案の調査等、あらゆる角度から検討いたしまして、この事件の判断を下すことに相なろうかと思っている次第であります。  それから、最近行われますところの選挙につきましていかなる態度をもって指導しておるかというお尋ねでございますが、本委員会におきまして、徳島市の事件あるいは仙台市の事件等、非常にわれわれ響くような事件がございまして、すぐに、このことにつきましては、先般全国選挙管理委員長会議等のございました機会、あるいは関西地区の選挙管理委員や事務関係者の研修会が高野山に行われました機会に、それぞれ、私は出席できませんでしたが、管理課長が出席いたしまして、私からくれぐれもこの事案の内容を話して指導上遺憾ないようにしてもらいたいということを厳重に申し伝えております。
  63. 森三樹二

    ○森(三)委員 あと二、三お聞きしたいが、時間がありませんからやめますが、私の言うのは、却下したという事態ではなくして、自分たちが営んだ選挙の管理委員が、故意か過失かわかりませんけれども、あのような大きなミステークをやった、そしてそれがごく少数の差をもって決せられたのでありますが、これに対してとにかく異議の申し立てがされ、それを却下という形は打ち出したけれども、当該選挙管理委員会の責任というものは私は重大だと思うのです。いわば仙台市の選挙管理委員会は総辞任しなければならぬと思うのだが、そうした反省が行われたかどうか。今後適当な機会においてその責任を果すために連袂辞任するとか、あるいはふだん勤務の悪い者を粛正するとか、あるいは選挙管理委員長自身が辞任するのが当然だと私は思う。そういうような措置がとられているかどうか、強い自己反省が行われているかどうかということを、私はあなたにお尋ねするのです。
  64. 兼子秀夫

    ○兼子政府委員 仙台市選挙管理委員会において自己反省がとられておるかどうかという問題でお尋ねがございましたが、おそらく、これだけの大きな事件になりますれば、事柄の態度をきめる上におきましても非常に慎重を要しますし、また関係者といたしましても心労するものと考えるのでございます。この事件につきましておそらく関係者は非常に責任を痛感しておるものと思います。ただ、おっしゃるような責任の所在に対する解決と申しますか、そのような点についてはまだわれわれは何ら報告に接しておりません。また、現段階においては、事案の処理に県が当っておる段階でありまして、おそらく市の選挙管理委員会におきましても、その経過について注視をいたしておる、かような段階ではないかと思うわけであります。私が申し上げましたのは、まだそのようなことについて市の選挙管理委員会等の気持を聞いたという問題ではなくして、私が、仕事を通しまして、おそらくそのような段階にあるのではないかという私の気持を申し上げた次第でございますから、ご了承を願います。
  65. 森三樹二

    ○森(三)委員 時間もありませんから、この程度にしておきますが、私どもは、今後、この仙台市の選挙にからみまして、当然当該委員会としても現地調査いたしまして、徹底的に事案を究明したいと思うのでありまして、検察当局あるいは警察、自治庁においても各位の職権のあとう限り徹底的に究明されたいと思うのでありまして、今後の委員会におきまして十分御報告等もお聞きいたしまして、さらにまた質問もいたしたいと思うのでありまして、本日はこの程度にしておきたいと思うのであります。  ただ、最後に一点だけ中川さんにお尋ねかたがた調査を御依頼したいのは、千住の警察署に発生した事件であります。先般四月に行われましな地方選挙に関連して、南千住署では、荒川区会議員の落選候補の高田孫次郎という人が、現在の民主党の林代議士との関係において、いろいろな間間が起きておることが新聞に掲載されております。そこでその南千住警察は高田孫次郎という者を留置して取り調べたというのでありますが、その高田の取調べに対して、林代議士が、心配になって、南千住署に行って、一体どういう事情になっておるのかということを、千住署の捜査係白川亮巡査部長に、林代議士の応援者であるところの内藤寅三郎という人が懇意なので、内藤を通じて高田孫次郎と自分との関係の問題について事情を聞いた。そうすると、部長は、五月十五日夜上司に無断で高田氏を留置場から出してきて、内藤氏差し入れの甘納豆を食べさせながら、その日の取調べ状況を聞き出し、内藤に報告した。数日後そのことを知った千住署の小冊都署長は、あわてて同署次席に白川部長を取り調べさせるとともに、内藤氏を呼んで事情を聴取した結果、白川部長の規律違反が判明したので、極秘のうちに五月三十一日付で同部長刑事を諭旨退職させて、表面は一応落着していた。ところが、最近、林代議士が幹部となっている千住特飲組合の会計監査をめぐる内輪もめからこのスキャンダルが明るみに出されたという事態がありまして、新聞に堂々と出ております。こういうような、選挙の取調べに当って、警察がボスと結んで、いわゆる取調べ中のことを内債に来た者に話をするというようなことが行われておる。まことに私は遺憾にたえないと思うのでありまして、これにつきまして、中川さんのお調べと同時に、この次の委員会におきまして十分その内容を御報告を願いたいと思うのであります。以上をもって私の質疑を終ります。
  66. 島上善五郎

    島上委員長 本日はこの程度とし、次会は公報をもってお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。   午後一時八分散会