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1955-07-13 第22回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月十三日(水曜日)     午後一時五十分開議  出席委員    委員長 島上善五郎君    理事 早川  崇君 理事 小金 義照君    理事 片島  港君 理事 井堀 繁雄君       薩摩 雄次君    杉浦 武雄君       中曽根康弘君    堀川 恭平君       木原津與志君    佐々木更三君       森 三樹二君    鈴木 義男君  出席政府委員         警  視  長         (警察庁刑事部         長)      中川 董治君         総理府事務官         (自治庁選挙部         長)      兼子 秀夫君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁選挙部         選挙課長)   降矢 敬義君         総理府事務官         (自治庁選挙部         管理課長)   桜沢東兵衛君         参  考  人         (訴願責任弁護         士)      沼倉 俊夫君         参  考  人         (荒町開票区開         票立会人)   千賀勝治郎君         参  考  人         (荒町開票区開         票責任者)   星  三男君         衆議院法制局参         事         (第一部長)  三浦 義男君     ————————————— 七月十三日  委員古川丈吉君及び山口丈太郎君辞任につき、  その補欠として大坪保雄君及び佐々木更三君が  議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  公職選挙法改正に関する件(仙台市長選挙に関  する問題)     —————————————
  2. 島上善五郎

    島上委員長 これより会議を開きます。  公職選挙法改正に関する件について調査を行います。本日は、前回の委員会において決定いたしましたところに従い、仙台市長選挙に関する問題について参考人より実情を聴取することにします。  この際参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は遠路御多忙のところ本委員会に御出席下され、ありがとうございます。  今さら申し上げるまでもなく、公明選挙民主政治確立のための不可欠の前提条件なのであり、本委員会といたしましては、設置以来、この点に特に留意して調査を行なって参りました。しかるに、たまたま、先ごろ行われました仙台市長選挙におきまして、各方面より種々の問題が指摘せられ、本委員会といたしましても、公職選挙法断行及び改正の面より、本件に関し重大な関心を払って参った次第でありますが、まずその前提として、実情を詳細明白にすることが先決問題であると決定したわけであります。ゆえに、参考人各位には、正確な事情と公正な御意見の開陳を特にお願い申し上げておきます。  なお、念のため参考人各位に申し上げておきますが、本日の順序は、まず各位より、本問題に関し、参考人の関与した角度から、実情についての御報告並びに御意見を御開陳願い、それに対して委員より質疑を行うという順に進めて参ります。御発言の際は、規則によりその都度委員長の許可を受けることになっておりますので、御了承願っておきます。なお、時間は、最初大よそ人十五分程度に願いたいと存じます。  それでは、最初沼倉俊夫参考人にお願いします。
  3. 沼倉俊夫

    沼倉参考人 私より申し上げる点は、市長選挙につきまして異議申し立て並びに証拠保全手続がなされた経過について申し上げたいと思います。  本件につきましては、本年の五月十四日に佐藤暉雄外二名の異議申立人から、仙台選挙管理委員会に提議の申し立てをいたしました。これと同時に、五月十六日に仙台地方裁判所に対しまして証拠保全申し立てをいたしまして、証拠保全決定並びに文書提出命令検証証人並びに申立人本人にも各それぞれの証拠調べを執行していただいたのであります。  この異議申し立てにつきましては、その理由といたしまして、まず第一に、仙台市長選挙は無効であるという申し立て。その申し立て理由といたしましては、第一に、選挙妨害がある、岡崎派島野派に対して赤宣伝その他の悪質典型的な組織的全面的な悪宣伝をやった、これによって投票を妨害し、選挙の結果に異同を及ぼすことが明らかな選挙妨害を行なっておる、従ってこれも選挙無効の原因となるのだということが一つ。それから第二は、開票手続に関する不正でありまして、この第四開票所その他におきまして発見されました不正の結果、いわゆる島野候補に対しては五十票束一束であるべきものが五十一票束になっておる、岡崎候補得票につきましては、四十九票束になったものが二十二束も摘発された、しかも高橋候補得票については全然五十票かっきりのものだけであって、さような過下足票は一票も発見されなかったというような事実がありまして、さらにまた、他の開票所におきましても、原町におきましては、岡崎候補得票中に島野候補混入票が七十三票も出ておった、いわゆる御票の増減工作開票所開票担当事務吏員の何人かによってなされたという事実。さらに、第三開票所、第七開票折、第四開票所等におきましては、点検済み投票に対する梱包封印につきまして、開票立会人に対して封印をなさしめなかったという不正がある。また開票録を事前に作成して、開票手続着手と同時あるいは着手前に開票録立会人に署名捺印さした不正があるというような点を列挙いたしまして、開票手続に関する不正といたしまして、いずれも右は選挙の結果に異同を及ぼすおそれのある重大な事案だ、この選挙は無効であるという理由で、選挙無効の申し立てをいたしたわけであります。また同時にこれが当選無効にもなり得る、かりに選挙無効でないとしても、当選無効の事実があるのだということで、異議申し立て提出したのであります。  次に、証拠保全申し立てにつきましては、実は参考人におきまして異議申し立て提出すると同時に証拠保全申し立て提出した理由は、異議申し立て審理中に、いわゆる投票増減工作不正工作をやったという証拠が隠滅されるおそれがあるという点であります。なぜかと申しますると、異議申し立てをいたしますれば、仙台市の選挙管理委員会におきまして審理を開始することができるのであります。しかし、この審理をいたします場合には、申立人やその他の関係者立ち会いはできなくて、行政権に基いて行われるのであります。従って、もし開票所において投票増減工作等不正公作をやった事務担当吏員が、点検並びにその他の審理をいたします際に、やはり不正行為をされるおそれがある、しかも、これには何ら申立入その他の立ち会いがないのでありますから、後日において不正行為が行われたということを立証する方法がない、完全に合法的に証拠隠滅をなされるおそれがあるということがおもなる理由であったのでありますが、しかし、かような事実がかりにないといたしましても、いずれにいたしましても、市の選管において審理をいたしますと、肝心の証拠というものが隠滅されてしまいますので、御承知通り投票束を一々点検して数え直してしまい、証拠自体が隠滅されてしまうという結果になります。それが改憲があろうがなかろうが、そういう結果になるのであります。それを保全するために、将来の高裁の訴訟において使用すべき証拠を保全するために証拠保全申し立てをしたのであります。  ところが、この証拠保全申し立てをいたしましたが、仙台地方裁判所におきましては、即日証拠保全申立人の主張を入れて、証拠保全決定文書提出命令——いわゆる投票規定投票関係書類提出でありますが、この文書提出命令をそれぞれ同日仙台選挙管理委員会に送達して執行したのであります。市の選挙管理委員会の方では文書提出命令を受諾いたしましたが、この文書提出命令提出期間裁判所命令によりますと三日間になっております。その三日間になっておる文書提出命令に対しまして、市の選挙管理委員会提出したのは一週間後に提出されたのでございます。五月の十六日に文書提出命令を執行されて、五月の二十三日に提出されております。  五月の二十五日から六月の一日まで、提出された文書、すなわち投票全部並びに投票録開票録不在投票関係書類等、そういうものにつきまして検証点検仙台地方裁判所において行われましたが、この検証点検が行われました結果どういう事実が現われたかと申しますと、その結果についてかいつまんで申し上げますると、ます第一に総投票数増加があったといり事実であります。それは投票録によって確定されておりまする入場者の総人員は十六万二千五十八名となっております。これが開票録によって確定されておりまする入場者の総投票の数は十六万二千四十八票、入場者の数よりも開票所において確定された総投票数が十票だけ少くなっております。ところが、これが証拠保全検証の結果確定されました数は、十六万二千八十票と入場者数よりは二十二票、開票録で確定されました総投票数よりは三十二票、いずれも増加いたしております。次に、過不足票、いわゆる正規の五十票一束であります票が、五十一票、五十二票、五十三票というような超過票がで、また四十九票という不足票が出ておるのであります。この過不足票のうちで、五十一票、四十九票という票違いの票のほかに、五十二票、五十三票と二票、三票と違っておる票があり、さらに四十票という票が出ておるのであります。これは実際の投票数よりも十票少い。なお、時間の関係で端折って申し上げますが、先ほど申し上げました増加票が出たということ、いわゆる入場者数より二十三票多く、開票録で確定されました数よりも三十二票多いというこの増加票自体、これはいわゆる幽霊票でありまして、従来の選挙においては、日本の選挙史上、一票ないし二票の増加を見たという例はありまするけれども、五票、十票というような多くの投票数増加を見たという事例はいまだかつてないのであります。ことに本件のごとき二十二票ないし三十二票という増加は破天荒な事実でありまして、これは本件事案におきましてまことに奇怪な事実であります。また五十一票、五十二票という過不足票につきまして、四十九票束、五十一票束という一票違いはともかくといたしまして、二票違い、三票違い、いわゆる五十二票、五十三票という票束は普通の開票所ではあり得ない数であります。なぜかと申しますと、開票所における記録係計算係の多数の人のてを何回も通って出てくるのでありますから、その結果、一票の遠いはともかくといたしまして、二票違いの票が存在するということはほとんどあり得ない事実であります。さらに三票多い束というのは、これは手にとって勘定しただけですぐわかる票でありまして、この五十二票、五十三票は、証拠保全の際に、仙台地方裁判所書紀官点検に当りましたのでありますが、四十九票、五十一票という束の際には、書記官自身が、頭をかしげて、数え違いじゃないかというふうに考えて、またもう一度数えるのでありますけれども、五十二票、五十三票の場合は、一回数えただけで、直ちにこれは二票違う、これは三票違うというふうに私どもにはっきり申しておるのであります。その点から申しましても、五十二票、五十三票という票は、開票所の厳重な計算係記録係の目を通して最後まで生き残り得る票では絶対にないと思われるのであります。いわんや四十票一束は、手にとっただけでも五十票一束とは全然重さが違います。見ただけでも一目瞭然であります。かような四十票一束が開票所の厳重な検査を受けて最後まで生き延びておったということ、これはまことにふしぎな事案であります。次に、超過票そのほか不足票につきましては、全体を見ますと、過不定票については、島野候補よりも、いずれかと申せば岡崎候補の方に過不足票が多いのであります。  次に、投票包装投票包みの問題でありまするが、これにつきましては、先ほどお手元に差し上げてありました各投票包み写真にございますように、これはほとんど大部分——ほとんど全部と申し上げてもよろしいのでありますが、これが破損いたしておるのであります。詳細に申し上げますと、投票包みは、すべて投票紙の末端とか合せ目とかいった点については全然のりつけがありません。ただ包んでたたんだけだけであります。それにひもをかけておるのでありますが、このひももまた紙ひもでありまして、非常に簡単な梱包が大部分であります。しかもその大部分が破損いたしておりまして、いわゆる選挙法の要求する市長在任期間中保管にたえ得るものと認められるものはほとんどないのであります。ことにはなはだしいのは完全にめちゃくちゃに破れておりまして、その写真の第一、第二その他にございまする通り、めちゃめちゃに完膚なきまでに破れておりまして、内部の投票が露出しておるのであります。この点検の際に露出しておった投票包みにつきまして、果してこの抜き取りができるかどうか。私が抜き取ってみたのでありますけれども、自由に抜き取りができるのであります。投票包み五十票一束のものを随所随時に抜き差しができる。しかも抜き取ったものをまたもと通りに差し入れができるのであります。封印につきましても、封印してあるものもあるし、封印してないのもありましたが、これについてもめちゃめちゃに破損しておるものもございました。また、開票管理者封印だけのもので、ほかの開票立会人封印のないものもだいぶあったのであります。ただ、そういうものに限って、比較的包みが他よりも良好な状態にあったので、あります。包装自体は、どれ一つを取ってみましても、満足の行くような包装はなかったのであります。  なお、次に申し上げたい点は、訂正票、いわゆる市会議員かだれかの名前を書きまして、それを抹消して市長候補者名前を書いた票があるのです。この訂正票につきましては、全部で約三百枚前後あったと思いますが、これにつきましては、当初、証拠調べの際に、訂正された字と訂正した字と筆跡が違うものだけ。ピックアップしたのであります。ところが、証拠調べが間もなく終ろうという段階、大体八割五分か九割程度終ったときの段階に調べてみましたところが、非常に奇妙な事態が出てきたのであります。何かと申しますと、点検に立ち会っておった書記官が五、六枚訂正した投票用紙を私のところによこしまして、これはどうですかと言うので、受け取ってみましたところ、訂正された市会議員名前筆跡と、訂正した岡崎候補名前を書いたものと、一枚の投票用紙自体では全然別個の筆跡とは思われないほど似ておるけれども、しかしこれを五、六枚一緒にして、おのおのの訂正した方の筆跡、すなわち岡崎栄松あるいは岡崎と書いた筆跡字体を五枚なり六枚なりを比べてみますと、それぞれ字体は異なっておりますけれども、筆跡が同一筆跡と思われる。要所々々の筆跡が同一であるのであります。この点て私もがく然といたしまして、その後の残っておる約一割ないし一割五分の得票のうちに発見されました訂正票は、全部写真に取ったのであります。お手元にあります訂正票はその一部であります。なお、訂正票自体につきましては、訂正文字と被訂正文字の鉛筆の濃度が違っておるものが非常に多いのであります。色合いあるいは尖鋭度、一方がとがっておるのに一方は太いというような、いろいろ違っている点が見出されるのであります。これは後日訂正されたものであるというふうに見受けられるのであります。なお、証人尋問本人尋問等の結果、いわゆる異議申立書に記載されてあります理由が事実であるということが大体証明されたのであります。  以上申し上げましたような各投票総数増加、それから過不足票中に五十二票、五十三票という、あるいはさらに四十票という、開票所におきましては絶対に存在し得ない票が存在するという事実、さらに投票包装梱包が非常に不完全でめちゃめちゃに破れており、自由に投票用紙の出し入れができる状態になっておったという事実、さらに訂正票の不正事実、かような点と、各証人並びに本人尋問の結果によって明らかでありますところの第四開票所、第六開票所における不正事実、こういうものを総合いたしますと、投票用紙包み最初開票所において不正の増減工作をされたということ、さらにその不正の増減工作をした証拠隠滅をはかるため、また一面には、異議申立書に記載してあります岡崎候補のためには増加するような、島野候補のためには減少するような、不正な得票増減工作をしたという申し立ての裏をかいて、事実は岡崎候補被害者なんだ、島野候補より岡崎候補の方によけいに超過票があるじゃないかというふうな工作をされたという点が大体推認できるわけです。この点につきましては、なお、市の選挙管理委員会が、本件証拠保全による証拠調べ手続におきまして、終始、市選管代理人を通じまして、申立人と全然反対立場に立って、あたかも普通の事件の原告と被告と同じように、徹底的に、事ごと反対行動をされたことであります。これは、私自身立ち会っておりまして、厳正中立立場にある市選管代理人自体が、かように申立人を敵視し、事ごと申立人反対行動に出られるということは、非常に遺憾に感じておったのであります。  以上申し上げましたような事実でありまして、申立人代理人でありまする本参考人といたしましては、本件におきまして、選挙開票手続において不正が行われただけでなく、その不正の証拠隠滅のために、開票手続終了後、市の選挙管理委員会におきまして、裁判所提出するまでの間におきまして、何人かが投票包みを開披して、投票について不正な是正工作を行なった、インチキ工作を行なったということを疑うに足る十二分の理由があるものと信じておるのであります。  以上であります。
  4. 島上善五郎

    島上委員長 次に、千賀勝治郎君。
  5. 千賀勝治郎

    千賀参考人 私は選挙というものに関係したのは今度の選挙が初めてであります。というのは、島野候補学校時代の友人だったものでありますから、従いまして——私はいかなる政党にも現在関係ございません。あるいは過去にも関係ありません。ただ友情から島野武候補に応援した次第であります。その友情から応援したわけでありますが、さらに考えますと、岡崎栄松候補市会の大勢を握っておりまして、早く言うと御用党でございますが、その多数をもって思うことは何事も大体なし遂げることができるような状態であります。新聞紙上ですでに御承知だと思いますが、渡米旅費問題だとか万年筆問題だとか、現在検察庁で取調べ進行中のガス発生石炭不正使用事件など、こういうような問題がたくさんありますが、簡単に申しますと、保守的な政治家というよりは、むしろ独裁的な政治家である、私たち市民といたしましては、こういう独裁的な政治を排して、もっと事件のない、明るい政治仙台市にも必要である、こう痛感しておるのは私だけじゃなく、多数の市民がそういうふうに見ております。そういう気持友情とがからんで、島野君を応援した次第であります。従いまして、われわれは、地方自治体に巣くう独裁政治家と戦うんだ、この私たち気持ちは、選挙が始まると、いろいろなことにおいて非常に注意深くものを見たのであります。  選挙が始まりますと、選挙のときだけ刑行するような小さなタブロイド型の新聞、いろいろありましたが、それに島野武は赤であるというような虚偽の事実を載せて、それを市民に配布する。配布する方法もいろいろと非常におかしい方法で配布しておりましたが、たとえば、投票日の朝、未明に、全市内に張りめぐらしました赤の陰謀を破砕して赤旗を市役所に立てさせるなというような意味のデマを書いた大きなビラを、市の選挙管理委員会係長である桜井という男が——手元に差し上げました印刷物には某というふうになっておりますが、それは桜井という男であります。その男が、八幡町住宅付近に、自分からそういう宣伝ビラを配布しております。これが選挙管理委員会係長の生きた実態であります。それは一つの例でありますが、あるいはまた飛行機で赤賞伝をやる。なるほど私は島野候補を子供のころから知っておりますが、あれはばかだと言った場合には、なぜあれはばかだというふうに日本人はだれでも反問するのでございますが、あれは赤だと言った場合には、なぜ赤だということをだれも反問しないで、何か昔の東条内関時代のような感じで、何か国賊みたいに見る非常におくれた民衆を、誤まった社会的な錯覚に陥れやすい非常に危険な言葉だと存ずるのであります。そういうようなことが何回も何回も続けて行われたのでありますが、こういうふうな独裁政治家でありますから、保守的な政党の方もこれを積極的に応援する方は少なかったと思います。従いまして、だれも保守政党代議士の方で一緒演説会に出て演説をして応援してくれる人がなかったために、ある保守政党代議士の方が、御霊屋橋という伊達家の霊廟の前の橋のところで、市会議員を応援するために演説しておりましたところが、その演説しておる代議士の方のところに自動車を持っていきまして、岡崎氏はすぐそのあとから話し出したということであります。そうでもしなければ、保守政党代議士の方の応援をあたかも受けたかのような印象を民衆に与えることができなかったのだと思うのであります。そうでもしなければだれも一緒になって応援して下さる方がなかったことが、新聞紙上でも明らかであります。  こういうような意味合いにおきまして、私たちは、仙台市政を明るくするために、いろいろの被疑事件発生をなくするということよりも、もっと明るい民主的な市政を築き上げるために戦うんだという気持で、選挙に従事したのであります。たとえば、私は、仙台市内連坊小学校南材木小学校荒町小学校片平小学校、この四つだけは投票日に自転車でみな回ってみたわけでありますが、投票所の周辺は、赤の隠謀を粉砕せよと、あたかも島野武候補共産党員であるかあるいはそのシンパサイザーであるかのような錯覚を起させる、そういうようなデマビラが道の両側全部に一面に張ってありました。まっかなところに白抜きでございましたから、まるでいなかのお祭のような状態でございました。特に、南材木小学校投票所入口講堂の裏門の方にありまして、すぐそこから二十間も難れないところには南材木町の交番がありますが、その交番の前にも張ってありました。そういうわけで、いよいよ投票となったのでありますが、あれはいろいろな刑事被疑事件を起しておる人間であるから、この選挙中においても何かやるだろう、こういうような気持が全市民の胸に消えなかったと思うのであります。市民の利益を守る二、三の新聞社は夜投票所を回り——七ヵ所の投票所だと思いますが、自動車を二台か三台出されまして、パトロール式に、市の選挙管理委員会と、臨時に管理委員会事務を嘱託された市の吏員たち行動を看視したということが、新聞には載りませんけれども、これは事実でありまして、だれしも明らかであります。  これほど疑われた選挙でありますが、今度は開票になったのであります。私は、第四開票所であった荒町小学校の学区内に居住しておる者でありますから、荒町小学校立会人になりました。ここにその責任者がおります。最初市会議員開票が午前中かかりまして、ここにおります星君がほかの開票所と連絡の結果、大体一時ごろ開票するという話し合いでありました。それでその予定通り一時ごろから開票を始めたわけであります。開票状態は、最初十数人の男女三つのテーブルを囲みまして、荒町小学校片平小学校連坊小学校、この三つ投票箱をあけたのであります。あける前に箱の点検をいたされたのでありますが、これには異常がなかったようであります。それからこれを三候補名前別に大別して、その大別したものを、十数人の男女の方々が、傍聴席といいますか、講堂の入口の方のテーブルに持っていきまして、これを五十票ずつにたばねたのであります。たばねたものは、その講堂の北側の方に——裁判所には略図を出したのですが、ここには持って参っておりませんが、そこに計算係という係がおりまして、立会人手元に持ってくる前にその計算係のところに行って、五十票束幾らを立会人に渡すかということを一々記帳されたようであります。記帳したものが立会人の私どもの手に参ったのであります。それを今度私たちは見たわけでございます。  私は、前申し上げました通り選挙というは初めてでございますから、何万枚、何十万枚でも投票というものは数えるものだというふうに思い、数えないのが常識なんだということは知らなかったわけであります。それが一つと、もう一つは、何か不正があるのじゃないかという疑いが消えないから、これは当然数えなくちゃならない、この二つの気持から、一枚々々裏表を見て数えたのであります。私は岡崎さんの方を主として見ました。私の隣にいた高橋候補立会人は、これは抜き取り検査といいますか、ちょいちょい検査しておったようであります。そして一束五十票でございますから、五十票あるものが四十九票しかない岡崎さんの束とか、五十一票あった鳥野候補の束とか、あるいは岡崎さんの方の束に島野君の票が一票あったとか、そういう束は私の前にためておきまして、全部正誤を書いて三枚の紙にそれぞれ記帳いたしたのであります。そういたしますと、私の見のがしたものがあったわけでありまして、私の手を通過していったものを次の高橋候補立会人がまた見まして、その中からも、全部通計すると、その高橋候補立会人は、はっきりここでその数字はわかりませんが、六つないし八つくらいは発見してくれて、私の方によこして、その発見したものだけをそのつど市の管理委員会事務執行者へ渡したようであります。そういうふうにした結果、五時ごろで、大体薄瞬くなったのであります。ライトが傍聴席側に二つ、票を見る方に一つしかありませんでした。一つはこわれておった。非常に暗くて、事務執行に支障を来たすような状態で、かつ私は長時間たったために疲れておりましたけれども、パンとコーヒーを持っておって、コーヒーを飲んで疲れを防ぎながらがんばったのであります。大体五時半ごろからは、あまり不正な東が発見できなかったのでありますが、一番多く発見した頻度と申しますか、度数は、開票事務が始まった当初が一番多かったと思います。だんだん減ってきまして、最後に五時半ごろになって薄暗くなりましてからは、発見がほとんどなくなったと思います。この事実から遡及いたして考えますると、その選挙管理委員会で臨時に選挙管理委員会事務を嘱託した仙台市役所の吏員の中に、だれか一名ないし二名の不正な、一時的にそういうような島野の票を減らし、岡崎栄松候補の票を多くしようとした人間がおりまして、それがたび重なって発見されたものでありますから、私の発見したものはまとめて突っ返してやりました。そのとき、市の若い吏員たちは、どうも済みませんというきわめて簡単な言葉を言い残して、一番向うの十数名の人たちが五十票ずつにまとめている、そこへ持っていって束の是正をやったようでありますが、その束ごとに、一度通過してきた計数係は通さないで、まっすぐ向うの数える方へ持って帰ったようであります。これは、全部が不正な人間であって、総がかりで不正なことをしたというふうに断定することは絶対できないのでありますが、一名ないし二名の不正な者がおって、それがたび重なって事実が発見されたために、事務のあとの方ではこれを控えたんじゃないか、こういうふうに感じたのであります。  それから、これは裁判所証拠保存のことでちょっと一言いたします。沼倉氏がおっしゃった束のことでありますが、梱包は五分くらいの角で綿糸が十文字に入った厚手の油紙といいますか、表装用紙といいますか、包み紙でございまして、それに紙のひもがかけてありました。この破り方は、手を上げれば出し入れ自由でございます。これは裁判所の係の方もおやりになって明らかでありますが、出し入れ自由であります。票を出して書きかえることは自由でありました。そしてたまたま三つか四つの束はこわれませんでしたが、こわれない梱包は、この糸を解いて中身を出すのに、時計を持っていってはかってみますと、この四つとも二分を要さなかったのであります。簡単に申し上げますと、私たちが町のパン屋から買う食パンの包みを解く時間くらいしかかからないのであります。ひもを解く時間は二分弱であります。大へん増減工作は自由自在に行われたというふうに前の参考人は推定されたようでありますが、その点においては私も同意見であります。
  6. 島上善五郎

    島上委員長 次に、星三男君に願います。
  7. 星三男

    ○星参考人 私は、第四開票荒町小学校開票立ち会い責任者としまして、事務の執行に当ったのでありますが、最終的に票の食い違いが岳じまして、それによって市民の皆様、関係者の皆様方へ非常なる御疑問やら御迷惑をかけたことにつきましては、まことに遺憾に存じておるのでございます。しかしながら、私、責任者として、全能力をあげまして正確にかつ能率的に事務をやるために努力した事情について、私から申し上げたいと思うのでございます。  開票は八時から始まったのでございますが、その前は、私は七時五十分ごろかけつけまして、全従事者を一方に集めまして、私が事務の執行に当って正確にかつ能率的に執行すべきことを皆さんにお願いしたのであります。なお私の今まで携わった二、三の開票の経験からいたしまして、私として最も遺憾に感じておりますことについて、特に力を入れて皆さんに申し上げたのであります。その点は、私が開票管理者になっておりますと、そのわきに立会人の方が——市会の場合は十数人、県会の場合でも十人前後、そういう立会人の方がおりまして、票を点検して、私のところに最終的に来るのでありますが、その際に、五十票の束が五十一票あったり、あるいは四十九票しかないということを私の目の前で言われるのが、私としては最も苦痛なのであります。これは、いかに誠心誠意やっておりましても、結果的にその五十票の束が全部その通りあるかどうかということについて公表しなければなりませんので、立会人の方から私がそういうことを指摘されるたびに、非常に胸が痛む思いがしますので、今度の市長並びに市会議員開票に当りましては、その点を特に事務従事者に私から申し上げたのであります。  今まで二、三やった例によりますと、最初全員が投票の分類、いわゆる投票箱を分類台にあけまして、候補者別に分類するのに全員携わったのでありますが、こういうように市会議員百四十何名、あるいは重大な市長選挙開票でございますので、あとで事務従事者が非常に怠慢になってはいけないというふうに考えましたので、女子従事者だけ最初から休んでいなさい、そして女子従事者だけが分類の終った五十票東にした票について点検をするということを命じまして、六人二列に並ばせまして、最初のうちは休息を与えておったのであります。そして、先ほど千賀立会人からお話がありましたように、市会議員開票が、大体十二時ごろまでで大づかみが終りまして、端数が大体一時ごろまでかかったのでありますが、一時ごろから市長開票事務を開始したのでございまして、立会人の方に三つ投票箱全部の最後点検をいただきまして、よしとなったところで、分類台の上に三つの箱を全部あけたのです。そして、それを分類しまして、分類台で五十票の束にいたしまして、それから純粋に計算するいわゆる女の子の点検係に回して、それが通過してきて、先ほどお話のあったような二人並んでおるところの記録というか計算と申しますか、そこで一応候補者別にその東を正の字をもって計算して、一曹初めが千賀立会人、その次が高橋候補立会人岡崎候補立会人、その次に私というように机の上を通過して、そして記録係あるいは計算係のところに行って、整理係のところに行って全部五十票を候補者別に重ねておいたのであります。そして最後に三十八票とか十六票とかいう端数には赤紙をつけまして、そこにそろえておいたのであります。それで先ほど千賀立会人から言われた点についてでありますが、千賀立会人から、これが五十票に不足だかあるいは多かったか、そこは記憶がありませんが、これが違っているという意味のことを私受けた覚えがございます。一束についてそういう記憶がございます。それでさっそく係の者に命じまして、その訂正をいたした記憶がございます。  大体以上のような経過で開票事務を終ったのでございますが、開票の結果については、投票者の数より七票不足で、これが地方裁判所証拠保全証拠調べの結果二票、岡崎候補について五十一票束一束、それから高橋候補について五十一票束一束、合計二票増加しまして、七票不足と計算したのは五票不足であったということに相なったわけでございます。  大体以上のようなことであります。
  8. 島上善五郎

    島上委員長 これにて参考人の事情説明並びに意見の開陳は終りましたので、質疑に移ります。質問の通告がありますので、順次これを許します。森三樹二君。
  9. 森三樹二

    ○森(三)委員 ただいま参考人お三方から意見が開陳せられました。私どもは、今回のこの仙台市の市長選挙にからみましては、公明選挙を強調しておる今回の選挙に当りましてまことに遺憾にたえないものがあります。と同時に、これと並行して、徳島市の選挙管理委員会事務担当者が五十票の束を一束五万円ずつで売りに歩いた、しかもこれが刑事事件として現在十六人が犯罪者として起訴されておるという事件と両々相待ちまして、われわれが信じておったところの選挙管理委員会事務というものが非常におそるべきところの影響を選挙に与えておるということを痛感いたすのでありまして、私どもは、当委員会においては、こうしたところの選挙の大きな誤謬に対しましては徹底的にこれを究明し、今後の選挙の公正を期したいと思うのであります。私は、これから参考人の方に御質疑をし、しかる後に中川刑事部長並びに自治庁の方々にも御質疑をしたいと思うのであります。  そこで、まずお尋ねいたしますのは、先ほど沼倉参考人からもお話がありましたが、まず質問の順序といたしましては、選挙に関するところの選挙中の選挙妨害、それから開票における不正、そしてまた自後における投票用紙の書きかえ、増減、そしてまた包装の非常に不完全にしてかつ作為的に投票の増減を構成するために行われたというような点につきましてお尋ねをしたいと思うのであります。  今回の仙台市の選挙に当りましては、過去二回当選し、今回三回目の当選をしました岡崎候補は、今回もぜひ当選を期し、相当事前運動をやっておったということも聞いておったのでありまするが、従って、今回の選挙につきましては、市役所の大場収入役が収入役を辞任をして選挙事務長となり、応長の選挙の応援をし、また市の部課長も選挙運動に公然と戸別訪問をした、こういう事実があるかどうかということを、沼倉さんと、それから千賀さん、それから星さんも知っておれば述べてもらいたい。  それから、さっき、千賀さんでありましたか、ビラ桜井という方が配っておったという事実も言っておられますが、これについて簡単に御答弁願いたいと思います。
  10. 沼倉俊夫

    沼倉参考人 ただいまお尋ねの件につきましては、私自身直接調査いたしまして確実な点を調査いたしませんから、その点につきましてははっきりお答えはできませんけれども、ただ、弁護士として本件異議申し立て及び証拠保全手続をいたします場合、各関係者から供述を聞いた点では、やはり、市の収入役が、今回の選挙のために辞任をいたしまして、事実上事務を主宰して岡崎候補の応援をしたということを聞いております。また市の部課長関係の人たちが、岡崎候補の応援のために、半ば公然と戸別訪問その他の選挙運動をしたということも聞いております。ただ私自身としてはそれを一一確かめたわけではありませんが、私が本件の訴訟、異議崩し立てをやります際に、各関係者がいずれも異口同音に申しておる点から見て、大体その点は事実じゃないかと思われます。間違いないだろうと推察しておる点であります。
  11. 千賀勝治郎

    千賀参考人 収入役の大場君は私が長らく居住しております荒町小学校の学区内の東七番丁に居住しておりますので、いろいろ耳に入ってくることもありますが、私が個別訪問に歩いているんだというふうに見たのは二回しかありません。しかし、訪問を受けた人に聞いてみますと、二ヵ所で聞いて、お二人とも、大場氏が選挙のことでうちに来たんじゃない、騒ぎ立てをするな、こう言われたので、この点は断言するわけには参らないのです。ただ、選挙参謀であったことは隠れのない事実であり、選挙において采配を振っておったことは明らかであります。また個別坊間とおぼしき行動は現実に目で二回見ております。しかし、相手が選挙のために来たのではないと断定している以上、これをそうだと言うわけに参りません。
  12. 森三樹二

    ○森(三)委員 桜井という人がビラを配ったということは……。
  13. 千賀勝治郎

    千賀参考人 八幡住宅と申しまして、八幡町という仙台市の北部に住宅地帯がございますが、そこに木町小学校これは第二開票区だと思いますが、そこで立会人をやった長岡という島野候補選挙運動を行なった人がおられます。その人の家の周辺に、桜井係長は、漏れなく、島野は赤であるといったような中傷を書いた新聞ビラを配って歩いたそうで、長岡君のうちだけは一軒除いたそうであります。お隣の奥さんが、あんたのうちにも来たかと言って、長岡君の細君のところに、その配布になった新聞ビラとを持って参ったそうであります。相前後して私も八幡住宅には演説会に参ったことがあります。その演説会に来ておりました八幡住宅の魚屋さんが、うちへも市役所の人がビラを持って来たから——ビラというのは、あとから魚屋さんが演説会場に持って来たものを見ると、ビラではなくて、島野は赤である、こういう者に投票するなということを書いたタブロイド判の新聞選挙のときだけ出る新聞でございました。それを市役所の人が持って来て、買いに来るお客様たちに渡してくれと頼まれたから渡しています。こう言っておりました。
  14. 星三男

    ○星参考人 大場収入役が選挙前後を通じて辞職して再就職しましたことについては、その通りでございます。選挙運動をやったかどうかということについては存じません。
  15. 森三樹二

    ○森(三)委員 それでは次に、選挙妨害の事実についてお尋ねいたします。非常にビラとか選挙のときだけ発行する新聞などを使ったらしいのですが、このビラというのは、こういうものと、もう一つはこういうものですか。
  16. 千賀勝治郎

    千賀参考人 ビラはそういうものでございます。
  17. 森三樹二

    ○森(三)委員 これは選挙管理委員会の検印を受けているようですが……。
  18. 千賀勝治郎

    千賀参考人 受けております。
  19. 森三樹二

    ○森(三)委員 「赤と隠謀と虚報を排して仙台を守りましょう。」その次のは「私はだれでせう、一、赤で大学を追放ざれた男、二、赤で懲役二年喰った勇、薫、我等の仙台を赤で染めようとする男」こういうものに違いありませんか。
  20. 千賀勝治郎

    千賀参考人 そういうものを張ったり、まいたりしたわけであります。
  21. 森三樹二

    ○森(三)委員 そこで、選挙管理委員会の許可を得た政治団体のポスターというような形で張ってあったんですが、主としてどういうところに張ってあったですか。
  22. 千賀勝治郎

    千賀参考人 ほとんど電信柱が多かったと思います。たとえば、連坊小学校という市内東部の小学校の前は連坊から新寺小路に抜ける通りでありますが、この両側の電信柱に、一本の電信柱に四枚ないし六枚張ってありますから、まるでいなかのお祭よりもっときれいでありました。
  23. 森三樹二

    ○森(三)委員 投票所の近所に張ってあったわけですね。
  24. 千賀勝治郎

    千賀参考人 投票所へは、一本の道ですから、どっちから来るにしても、繁みたいな赤いビラだけを見て投票所に入らざるを得ないような状態でございます。
  25. 森三樹二

    ○森(三)委員 そうしますと、投票所は何カ所あったですか。
  26. 千賀勝治郎

    千賀参考人 開票所は七ヵ所でございますが、投票所は三十カ所……。各小学校ですから三十くらいと思いますが、よく記憶しておりません。
  27. 森三樹二

    ○森(三)委員 全部張ったのですか。
  28. 千賀勝治郎

    千賀参考人 私が見たのは南材小学校でありますが、連坊小学校、荒町小津校、片平小学校、全部張ってありました。
  29. 森三樹二

    ○森(三)委員 それ以外の投票所はどうですか。
  30. 千賀勝治郎

    千賀参考人 私たち選挙をやった方々に聞きますと、みな連坊とか、私の見た南材とか、荒町とか、片平とか、同じように張ってあったと言いました。つまり投票所周辺に密集的に張ってあるのです。そのほか散発的に電車の停留所などに張ってありました。
  31. 森三樹二

    ○森(三)委員 そこであなたは島野武君の応援をされたというのですが、かような、つまり選挙管理委員会の許可を受けたポスターといえども、おのずから相手方候補者の名誉を傷つけ、あるいはまた故意に虚構の事実なんかを記載するということは選挙妨害になるわけですが、こういうような極端な選挙妨害のポスターに対して、あなたの方としては、仙台市の選挙管理委員会に対して、これを撤去しろというような要求をなさったかどうか。そうしてまた、もちろんこれは刑事事件にもなると思うのでありますが、仙台の市の警察に対しても、こういうものを検挙せよというような申し入れをしたかどうか。
  32. 千賀勝治郎

    千賀参考人 選挙のときだけ出るような新聞の事実無根の報道に対しては、ここに一緒に参っております千葉不二雄君という方のお名前で告訴してあります。ビラはどうか知りませんが、新聞の方は告訴してございまして、今仙台の地方検察庁で取調べが進行中のようでございます。
  33. 森三樹二

    ○森(三)委員 このほかのもう一つ、その地方のふだん発行していない新聞でしょうか。
  34. 千賀勝治郎

    千賀参考人 さようであります。
  35. 森三樹二

    ○森(三)委員 選挙になってから、島野候補のばりざんぼうを書いたタブロイド版の新聞を出したのですか。
  36. 千賀勝治郎

    千賀参考人 その新聞選挙期間中に刷って無料で頒布したのでありますけれども、日付は選挙告示前の日付にしてあるわけです。
  37. 森三樹二

    ○森(三)委員 選挙告示前の日付の新聞を作って、それをばらまいたのですね。
  38. 千賀勝治郎

    千賀参考人 さようでございます。
  39. 森三樹二

    ○森(三)委員 個別的に入れていったのですか。それとも街頭で渡すのですか。
  40. 千賀勝治郎

    千賀参考人 仙台駅前では両側で堂堂と女の子が新聞を渡しておりましたが、あとは、さっき申し上げましたように、魚屋へ持っていって魚を買いにくる人に渡してくれとか。
  41. 森三樹二

    ○森(三)委員 あらゆる手段を尽して配ったというわけですね。
  42. 千賀勝治郎

    千賀参考人 さようであります。
  43. 森三樹二

    ○森(三)委員 部数はどれくらい頒布したかわかりませんか。
  44. 千賀勝治郎

    千賀参考人 私はわかりません。
  45. 森三樹二

    ○森(三)委員 およそ千とか一万とか何方とか……。
  46. 千賀勝治郎

    千賀参考人 全部一色じゃないのです。新聞にも三色か四色あったように思います。
  47. 森三樹二

    ○森(三)委員 全部一色じゃなく、二回も三回も刷って渡したわけですね。
  48. 千賀勝治郎

    千賀参考人 新聞の種類は三種類くらいあったと思います。ですけれども、同じ新聞で二回出したのもあろうと思いますから二十万ないし三十万くらい刷ったのではないかと思っております。
  49. 森三樹二

    ○森(三)委員 一回、二回、三回を通じて二十万ないし三十万ですか。
  50. 千賀勝治郎

    千賀参考人 さようでございます。印刷は、輪転機でなくて、平版の旧式な印刷機だったようでございます。
  51. 森三樹二

    ○森(三)委員 次に、これをお尋ねします。「私はだれでせう、一、赤で大学を追放された男、二、赤で懲役二年喰った男、三、我等の仙台を赤で染めようとする男」、これについて、この数はどれくらい刷ったのか、それからいつばらまいたか、どういう方法でそれをばらまいたか、一つお尋ねしたいと思います。
  52. 千賀勝治郎

    千賀参考人 いろいろな方法があったと思うのでありますが、私が自分の目で現認したのは東一番町——東一番町というのは東京なら銀座でございますが、いなかの繁雑街でございます。はこの額ぶち屋さんの前に停止しておりましたトラックにまっかなまん幕が張ってありまして、そのまん幕には、白抜きで「赤から仙台を守れ」というような字が大書してありました。
  53. 森三樹二

    ○森(三)委員 旗を立てたのですか。
  54. 千賀勝治郎

    千賀参考人 まん幕が張ってあったわけです。それに白抜きで「赤から仙台を守れ」というような意味のことが書いてありましてそのトラックの上からこれを散布したのを見たわけであります。その他にも頒布方法があったと思いますが、私が見たのはそれだけでございます。
  55. 森三樹二

    ○森(三)委員 選挙のまっ最中ですか、終盤戦になってからですか。
  56. 千賀勝治郎

    千賀参考人 終盤戦になってからだったと思います。そのビラ仙台で頒布するより二日か三日前だったと思いますが、そのタブロイド版の選挙のときだけ出るような新聞には、島野武なる者は何かそういう事件で大学を追われたというようなことがいろいろ響き立ててあったようであります。従ってそのタブロイド版のインチキな新聞とそれとをあわせて読めば、何も知らなくても、島野は赤だということが徹底的にあらゆる手段を講じて行われましたから、それを出すことは、同時に、反対候補である島野武君を、何といいますか、ドン・キホーテみたいに喜劇化して、国賊というような感じを与えると同時に、喜劇の役者みたいに非常に価値を軽減するような、慢罵といいますか、そういう悪質な意味がありはしないかと思われます。
  57. 森三樹二

    ○森(三)委員 そのほかに、東亜航空のセスナ機、これを雇って飛行機から散布したということも言われておるのですが、これはどうですか。
  58. 千賀勝治郎

    千賀参考人 散布したときは私は知りませんけれども、散布したものを拾って来た人、それから散布する現状を見た人は非常にたくさんございます。しかし、その飛行機は低空で飛んで散布したそうでありますが、私はそれを現認いたしません。だがそれはほとんど全市民が知っておるだろうと思います。
  59. 森三樹二

    ○森(三)委員 そのほかに、このポスターは署名も何もないのですが、こういうものを、無責任に、しかも島野候補を不利に陥れるために、戸別訪問的にずっと各戸に配って歩いた。あなたは、さっき仙台の駅頭でもって女の子に配布させておったと言いましたが、それ以外に、飛行機でばらまき、それから今度はさらに各戸に戸別的にまいたという事実は知りませんか。
  60. 千賀勝治郎

    千賀参考人 私は土樋百九十七番地に居住しておりますが、隣の百九十八番地の竹林才一郎という炭屋のおやじが、私のところへ持ってきた場合には、私の象へはこれを配布しなかったわけです。それで私は知らないでおったら、千賀さん、こんなものをどっかの男が近所へ配っていきましたというので、走って持って参りました。そればかりでなくて、新聞もこういうのを持ってきましたというので、その竹林という炭屋ばかりでなく、近所の方々がそのつど私の家へ持って参りましたけれども、私の家へは配布しなかったわけであります。
  61. 森三樹二

    ○森(三)委員 そこで、これについては大よそ何千枚とか何万枚ぐらいまいただろうという数の問題かを聞きたい。
  62. 千賀勝治郎

    千賀参考人 これは私の方の方々から開いた話でございしますから、何ら確定的なことではありませんが、大体十万枚くらい刷ったのではないかと考えられます。
  63. 森三樹二

    ○森(三)委員 その刷った場所はわかりませんか。
  64. 千賀勝治郎

    千賀参考人 今私はわかりません。
  65. 森三樹二

    ○森(三)委員 それから、こういう選挙妨害をしたことについて、警察とか選挙管理委員会に対して抗議を申し込んだとか、あるいはその責任者を捜索して処断しなければいかぬというような申し入れはしなかったですか、どうですか。
  66. 千賀勝治郎

    千賀参考人 私たちといたしましては、選挙管理委員会独裁政治家である同崎栄松氏のかいらいくらいにしか考えておらなかったのであります。簡単に申し上げると、先ほどちょっと話はそれましたけれども、あの紙ひもじゃなくて、どうして選挙投票用紙を麻の糸か何か丈夫なもので梱包しなかったかというので地方裁判所——ここにもおられるようでありますが、私が選挙管理委員会の方に聞きましたところが、われわれ予算を取りたくても市から予算をもらえない、こういうことであります。なぜ必要なものがもらえないのか、選挙管理委員会管理委員会として適正に活動なさるに必要な経費なんだから、それは強く要求してもらったらいいのじゃないですか。これに対しては笑って答えないというふうに、予算さえも要するに切り盛りで捨てぶみちみたいな管理委員会でございますかり、人事やその他一切がっさいが独裁政治家に全隷属するところの機関でしかない、きわめて堕落した機関であるというふうに考えておりました。そういうものを相手どって、こういう事実はこれはけしからぬじゃないかと一々文句を言ってもどうにもならぬので、結局検察庁に対して告発するというような工合になったろうと思うのです。そのこともやはり新聞と同じようにまとめて今検察庁で取調べが進行中であります。
  67. 森三樹二

    ○森(三)委員 それは、検察庁ですか、警察ですか、どちらですか。
  68. 千賀勝治郎

    千賀参考人 検察庁です。
  69. 森三樹二

    ○森(三)委員 仙台の市の警察の態度はどうですか。
  70. 千賀勝治郎

    千賀参考人 私は、警察のことはよくわかりませんが、ただ、新聞を通じて見ているところでは、現在やはり取調べが進行しております市のガス用石炭不正使用事件というのがありますが、この事件も警視庁が直接調べているようでございまして、警察がどういうふうにどの程度まで検察庁の取調べをバック・アップしているかということについては、全然新聞に載らないようでありますから、わからないのであります。検察庁が直接やっているようでございます。
  71. 森三樹二

    ○森(三)委員 あなたのお話を聞いておりますと、仙台の警察は、こうした事件についても積極的にやらない、選挙違反事件の摘発をあなた方の方から主張してもやらないし、そうしてまたガス事件その他の涜職事件や何かについてもやらないから、それで検察庁が直接やっているのだ。何だか、仙台の警察そのものが、市長に好意を持つとか気がねをしているというような点があるわけですか。
  72. 千賀勝治郎

    千賀参考人 申し上げます。それは私は断定はできません。というのは、新聞を通じて見ると、警察では全然新聞に載らなくても捜査を進めておるかもしれませんが、どの新聞にも一向に書いてないようであります。
  73. 森三樹二

    ○森(三)委員 そこでもう一つ選挙妨害等のことを聞きますが、宮城県の体育協会長をやっておるお医者さんの半沢正二郎という人が、島野君の選挙事務長というような格の人だというのですが、そてはその通りであるかどうか。その人がいわゆる岡崎派の渋谷三郎という者になぐられたというような事件があったかどうか。もしそれがあったとして、警察の方へそういう事件の取調べを要求したけれども、警察が取り調べないとか、取り調べるとかいうような話があるのですが。それについてあなたの知っているところを述べてもらいたい。
  74. 千賀勝治郎

    千賀参考人 ちょうど夕刻でございましたが……。
  75. 森三樹二

    ○森(三)委員 いつですか。
  76. 千賀勝治郎

    千賀参考人 四月の二十何日であるというように断定はできませんが、選挙中でございますから、たしか二十二、三日じゃなかったかと思いますが、はっきり覚えておりません。夕方半沢という島野武候補選挙事務長が暴力団みたいな者になぐられたというような話が聞えたので、心配してその事務長を探したのであります。七時過ぎても一なかなか見つからないので、一そう心配して、奥さんなどもだいぶ心配なさっておったようであります。なぜなぐられたかということがわかったかというと、その事務長が、一番丁を歩いておったときに、きょうこういうわけでなぐられたということをお友達のお医者さんに言ったそうであります。そのお医者さんが、心配して、頭をなぐられたのだからどうなるかわからないというので、選挙事務所へ電話をくれたので、私たちがみな騒いで心配したのです。二時間ほど見つからないので一そう心配したのでありますが、七時過ぎたころ、半沢選挙事務長が青木ホテルという選挙事務所の前にありますホテルへ参りました。そのときに私は偶然おったのですが、そこで、どういうふうに頭をなぐられたか、これは、お医者さん仲間だから、僕さえ泣いてがまんをすれば大げさにならないのだから、自分は歯を食いしばっても今度はがまんしてこれを公けにしたくない、こういうふうにおっしゃったようでありますが、結局、岡崎派選挙運動をやっておる方々のうちには、そういうように形勢不利と見て暴力に訴えかねまじき状態を示しておる者が多数あるということを知っておりましたから、いやそれは半沢選挙事務長だけの問題ではない、これは岡崎栄松氏と選挙場裏において戦う一切の人間がその暴力の危険にさらされておるのであるから、あなたはこの際がまんして、自分というものを捨てて、ここでなぐられた状態をしゃべってくれとみんなに懇請されたようであります。そうしましたら、選挙事務長は、何かお医者さんの会合がありまして、一ぱいビールか何かをみんなで召し上ったようであります。半沢という人はふだんかなり重要なときないし愉快なときでも一本以上のビールは飲まないようであります。二本とは飲まないようで、しっかりした方であります。その方が長いすに腰かけておりましたら、うしろからやって参りまして左手で首を抱いたそうであります。左一手で抱いて、この野郎、何だって岡崎に手向うのだと言って、頭を六回にわたってなぐったそうでございます。そうして事が大きくなったので、東京新聞の記者の方がその渋谷というお医者の家を訪問してその事実の有無を確かめたところが、自分はなぐった覚えがないというふうにうそをついたそうであります。
  77. 森三樹二

    ○森(三)委員 警察の方にどうしたの。
  78. 千賀勝治郎

    千賀参考人 それは、警察ではどういうふうに調べたか知りませんが、新聞紙上で見るところによれば、警察の方では何らそのことについて取り調べたという新聞記事は全然ございませんでした。
  79. 島上善五郎

    ○島上委員 長佐々木更三君。
  80. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 星参考人にお伺いいたしますが、星参考人は、現在市役所にあってどういう役職と地位にございますか。
  81. 星三男

    ○星参考人 本務が福祉事務所長でございます。兼務が社会課長、俸給は……。
  82. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 地位はどんなところですか。
  83. 星三男

    ○星参考人 地位は理事
  84. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 あなたは今度仙台市長選挙で第四開票区の責任者であったようでございますが、開票所責任者としては今度が始めてですか、それとも何回かやりましたか。
  85. 星三男

    ○星参考人 前にもやりました。
  86. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 何回ぐらいやりましたか。
  87. 星三男

    ○星参考人 中でちょこちょこ抜けますから、五、六回ぐらい。
  88. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 そうすると、あなたは選挙開票者のベテランですね。専門家でございますね。それで今まであなたが関係してきた選挙、何回かあなたが責任者としてやってきた選挙で、こういう数の違いとかいうことは間々ありがちのことでございますが、投票用紙梱包したものがこういうふうに棄損されるとか、あるいは著しく入場者投票者の数が相違するとか、要するに投票の不正についての何かこういり異議申し立てというような事件に当回したことがございますか。
  89. 星三男

    ○星参考人 ございません。
  90. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 そうすると、今度の事件は、少くともあなたが長い間専門家として投票開票に立ち会った選挙としては、これは特異の事件と思わなければならないわけでございますね。そういう点で、あなたもこれは不思議な事件だとお思いになったことでしょうな。
  91. 星三男

    ○星参考人 これはもう、今まで私が携わった範囲におきましては、あとで異議申し立てをいたされて、それを再点検したというのにぶつかったことがないわけであります。
  92. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 かりに異議申し立てが従来仙台市長とか市会議員選挙であったとしても、票数の相違等の再点検異議申し立てはあったと私も考えておりますが、こういうふうに、入場者数投票者数が違うとか、あるいはまた管理した投票梱包がほとんど原型を失うまで棄損されておるというような事件は、私も初めてだし、あなたもおそらく初めてだと思うのでございます。選挙において、こういうような選挙異議申し立て事件というものは、これは特異な初めてと言ってもよろしい事件ではなかろうか。そういう点で、この事件に対しては、今まで自分が関係した場合にはいつも公正にやられた、今度に限ってこういう不詳な事件が起きたことは不思議だ、おかしいと当然お思いでございましょうね。
  93. 星三男

    ○星参考人 選挙包装紙がこわれた点についての私の具体的な意見を求められたように拝聴しましたが、各開票区には、先ほど千賀立会人が申されましたように、渋紙に糸が縦横に入っている紙が渡り、それに包むことになっているわけでございます。ところが、今度問題になっておりましたのは、私見ませんですからわかりませんが、何か模造紙で包んだ、そうしてそれを横縦十文字に糸で巻いたというお話でございます。かりに渋紙に包んだのがさけるということがあったとしたら、それは今おっしゃられたように不思議な事件だ、こういうふうに考えますが、かりに模造紙であったとすれば、それは中にかたい五十票一束の束を二十も三十もようかんを重ねるように重ねる。中はどちらにも動くものです。それを渋紙でない模造紙のようなもので包んで糸で縛りますと、そのようかんの、束と束の間に糸が食い込んだりしますと、ぴょこっとこちら側の口が出てきたり、それを縛るときに——私の開票区でやったことがございますが、こういう大きい紙を並べで、その上にずんずん置いて包んで縛るために、こちらにもたれ、こちらにもたれするような状況でありますから、もしやわらかい紙で包んだとすれば、そういうこともあり得るのではないか。しかしこれは、現物も見ておりませんし、私の推定でございます。
  94. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 あなたは、第四開票区の責任者として、投票点検してから、これを保管するに当って当然梱包したわけでございますが、あなたの開票区におけるこの梱包状態については、あなたは現認しておられるわけでしょう。
  95. 星三男

    ○星参考人 ええ。
  96. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 そうすると、そのときの模造紙というのは、これは新聞紙ですか。模造紙というのは厚さは幾らありますか。
  97. 星三男

    ○星参考人 私の方で包むのは厚い渋紙です。しかもその上に麻か何かの糸が横縦に入っている丈夫な紙です。今お写真にあるような問題になったのは、私の開票区でありません。ほかの開票区ではそれで包まなかったのだというお話も聞いたのでありますが、ほかの開票区のことははっきりわかりません。
  98. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 あなたのところでは、当然まあ常識上投票用紙を保管するに必要な紙質の紙を使ったわけですね。そういう紙は、投票所において、だれかの自由で、自由に常識外の新聞紙みたいなもので包むことができるような組織になっておりますか。
  99. 星三男

    ○星参考人 選挙管理委員会から、箱を縛る細引だとか、事務用品、雑品、それから今申し上げましたような投票用紙を包む紙だとか、そういうものを一括して投票所が受け取るわけです。その受け取る場合に、鉛筆は何本、渋紙は何枚、模造紙は何ぼ、そういうことを確認しまして係員が受け取り、そうして大きいつづらに入れておき、それを開票に使ったり投票に使っております。
  100. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 よくわかりました。むろんそれは一括して、一定の基準に基いて、規格に基いた紙を使用して保管されるのは、どこの投票所も同じでございましょう。そこで、あなたのところでは規定通り渡された所定の紙で作ったから破損しなかった。あなたのところは開票の途中においてたまたま立会人から票数の不足等が指摘をされた。これは、最終的にはどの程度かわからぬけれども、大体是正されたわけでございますから、この内容に対しましては常識的にあまり疑い得ない。しかし他の方は点検しておりませんからこれは怪しいと見られる。つまり疑惑を持たれる根拠があるではないか。そういう関係で、あなたのところだけはよい紙だけれども、よその投票所においては所定の梱包用紙を使わなかったのではなかろうかと想像するが、しかしこれはあなたに聞いても仕方がない。そうすると、他の投票所で手渡された所定の用紙を用いないということは、その開票区の責任者の権限でやっぱりやられることでございましょうな。
  101. 星三男

    ○星参考人 質問の意味が……。
  102. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 他の投票区では、あなたの方のように渡された所定の紙で梱包しなかったわけです。常識外の破れそうな新聞紙だか何だか知らないが、あなたは模造紙で包んだと言われているのです。そうすると、所定の紙を使わないで、しかも常識外の破れやすいものを、何ゆえ使ったかは別として、使った。この所定のものを使わないで別のものを使うということは、それぞれの選挙区の開票責任者の考え方でやったことでございましょうな。
  103. 星三男

    ○星参考人 そう思います。
  104. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 それで私は非常にこの問題に対する疑惑を深めるのでございますが、いずれこれは、委員長にお願いして、あとで各開票区の責任者を呼んでたださなければならぬと思います。そこであなたに聞きたい。つまり四十票の束が一束出た、こういうことです。五十一票のもの、二票のもの、三票のもの、四十票のものになるとこれは常識外です。一票ぐらいは、まあ人間のやることですから過不足がありがちと見てよろしいのであります。二票、三票が常識外にかかわらず、四十票束ということは、これはどう考えても考えられないことでございますが、あなたが責任者として考えた場合に、四十票という十票も下足の投票束はどんな状態で出たと考えますか。
  105. 星三男

    ○星参考人 これは、私の推定ですが、やり方がまずいというふうに考えるのでございまして、開票事務がある程度進行して参りますと、先の分類をやっていた人がみな手持ちぶさたになってしまうのです。そうするとタバコを飲んでおったり、あたりの腰かけに腰かけたり、 また早く帰りたいという気持の人もあると思います。そうすると、最後の責任の残っていた人が一票、二票と勘定することになる。そうなってくると、私のやったような方法で、ほかの人は全然タッチするな、きめられた六人なら六人だけが専門にやるというふうにやっていれば、自分の責任を重んじますから、必ず真実に近いような数の勘定がやれる。ところが、応援に来て、自分でも気の毒だとか、それから早くやりたい、早く済ませたいというような意味から、他のちゃんと列を作って五人なら五人でそれをやっておるのに、飛び入りで横の方から来まして、おれも勘定するというふうにして、勘定をやったりする。そうすると五人を通過すべきものが、その人だけ見て、もう夢中になってやっていますから、それで五人全部通過したと立会人が思ってしまう。それで一束と勘定して、ここに置いたわけであります。それで五人通過したようになって、今度それを回していく、そういうふうなことが推定されるわけでございます。そういうことになれば、やはり二票、三票というようなこともあるいはできるのではないかというふうに考えております。
  106. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 あなたは何年もやっておるから大体見当つくでしょうが、五十票の一束の厚さと四十票の厚さとどのくらい違いますか。
  107. 星三男

    ○星参考人 それは今はっきり……。
  108. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 大体でいいですよ。大体その五分の四にきまっておりますが……。
  109. 星三男

    ○星参考人 よく注意すると少し足りない気がします。
  110. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 センチならどれくらい。——寸でなら……。
  111. 星三男

    ○星参考人 一寸くらい……。
  112. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 一寸くらい……。そうすると二分違うのですよ。投票は一票々々じゃなくて、ある程度十票なら十票で並べますね。私も開票に立ち会っておりますが、二分違うと段落がつきますよ。あなたはできると思いませんか。
  113. 星三男

    ○星参考人 並べればできると思います。
  114. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 ここに、この投票立会人が見のがしており、また市吏員が故意に見のがしたおそれが出ると思いますが、これはいずれあとにいたします。あなたを追及してもいたし方がありませんが、それは仙台市吏員がいかにこの開票に当って少くとも悪意があったかということの証拠だろうと思います。  そこで私はあなたに聞きたいのでありますが、入場者数よりも投票数裁判所証拠保全で再点検したところが総数で二十二票多い、こういうのであります。私自身が有権者で投票しておるのでありますが、大体自分の住居の係のところに参りまして、入場券を示して、そしてその本人に相違ないということを証明してもらって、その説明に基いて今度は投票用紙の交付を受けるわけです。その投票用紙の交付を受けて、いよいよ入場するところの通路というものは狭いのです。お祭じゃないから、みんなでわいわい騒いでいるわけじゃない。みんな一人々々本人に相違ないという証明を受けて、割印をもらって、それを持っていきますと、今度それと引きかえに投票用紙をもらって、そして今度入っていくのは、監獄のような厳重なとびらではございませんが、大体通路は細いのが通則でございます。これはあなたも御存でございましょう。そういう場合に、一体どうして入場者数よりも投票数が多いとあなたは専門家としてお考えになりますか。たとえば、入場券を置かないで、投票用紙だけ持っていったとか、もっと言葉をかえていうと、入場券をもらわないで無責任に投票券だけ渡してやった、こう考えられるか。あなたが、専門家として、市の吏員として、どうして二十二人という余分の人が入場した、どういう手段で入場したとお考えですか。
  115. 星三男

    ○星参考人 これも、私の推定ですが、今まで、投票箱をあけた場合に、投票箱の中に入場券が入っておる例がときどきございます。こういうことから考えますと、やはりおっしゃったように、入場券を受け取らないで投票用紙を渡してしまったというようなことも考えられる。そして、あとで、選挙が終ってから、入場券によって人数を勘定した場合、入場券の方が不足だ、そして実際の投票は多くなっておるというようにも考えられるわけであります。
  116. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 この際お互い具体的に実際問題として考えてみようじゃありませんか。とにかく二十二人も入場券を持ってこない者に投票券を渡すことがあり得るか。入場券を持ってきたものに渡すのはわかる。しかし二十二人も入場券を持ってこない者に、お前入れていったらどうだ、こう言って投票券を渡すようなことがあり得るか。あなたは係としてどう考えますか。
  117. 星三男

    ○星参考人 推定でございますが、七つの開票区でありまして、私の方において六カ所の開票区になっております。それで五、六名くらいずつ、あるいはほかの方はよくわかりませんが、一ヵ所について二十二人に入場券をもらわないで用紙だけやるということは不可能だと思います。
  118. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 投票所には監視人がおりますね。
  119. 星三男

    ○星参考人 場内整理係という……。
  120. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 それなのに、入場券を持たないで投票券だけもらった者があるかもしれない。とにかくこれは不思議な事件だとあなたもお思いになるはずであります。  そこで、さらにお聞きをしたいのですが、包装して、あれは何に詰めるのですか。こうりに詰めるのですか。投票用紙点検して五十票束をたばねますね。いよいよ開票が終りますというと、あとこれを管理する方法として、それを幾らかずつ包装紙で包んで、包んだものを箱かあるいはまた何心入れものに入れて保管するんでしょう。何に入れて保管する。
  121. 星三男

    ○星参考人 投票箱を利用するのです。
  122. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 その投票箱を運んでいく場合は、どんどんと投げながら持っていくのですか。それともずっと持っていくのですか。
  123. 星三男

    ○星参考人 一台のトラックで、二カ所か三カ所まとめて、一カ所積むと次の開票所へ行ってまた積んで、また二カ所、三カ所、ウィーポン・キャリアでなかったかと思いますが、そういうアメリカ式のトラックに係官が積んで選挙管理委員会に運びます。
  124. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 あなたはこの写真を見たことがございますか。
  125. 星三男

    ○星参考人 見ません。
  126. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 ちょっとこの写真を見て下さい。大体一つ二つ見ればわかると思うのでございますが、これが今回、あなたの投票所だけではございませんが、仙台市、長選挙における投票の管理状態であります。そこで、箱に入れてトラックに詰めて、多少がたがたするでしょうが、一体こういうように棄損するということはあなたの常識で考えられますか。
  127. 星三男

    ○星参考人 わかりませんですね。
  128. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 どうもあなたも十二才以下ですな。実際において投票箱に入れて自動車に積んでいったものが、市役所で管理したかどこで管理したかわからぬけれども、その間に箱に入れたものがそういうふうにこわれるのがわからぬのでは、今市役所の試験を受けても、あなたは完全は落第ですよ。  わからないのではしょうがありません。それではお聞きいたしますが、さっき大場収入役が辞任したという質問が森委員からあなたに対してなされたのですが、これは選挙のどのくらい前に辞研いたしましたか。
  129. 星三男

    ○星参考人 告示前後じゃないかと思います。
  130. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 それから大場収入役が、選挙が終ってから、再び、仙台市の市長顧問ですかどうかわかりませんが、顧問というような形でまた市役所へ入ったそうでございますが、あなたは御存じでしょうね。
  131. 星三男

    ○星参考人 ええ。
  132. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 そうしますと、市収入役というのは仙台市の最高の理事者である。この収入役という最高の理事者がやめるのですが、何でやめたのだろうというわさが立った思うのです。これはまさか、市長に次ぐ最高の理事者が選挙直前にやめて、選挙の直後にまた顧問で入るようなことに対して、何もうわさが立たないことはないと思う。あなたは立たないとおっしゃっても、ここではうそを言っても偽証罪になりませんが、とにかく相当のうわさが立ったと思うのです。どういうわけで収入役がやめたというふうに伝えられておりましたか、あなたはお聞きになったと思いますが。
  133. 星三男

    ○星参考人 選挙のため……。
  134. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 なるほど、選挙援助のために、仙台市においては市長が勝手に市の最高の理事者である収入役を辞任せしめて、しかも現職の理事者と同様の権利を持って利害関係のある仙台市民に対して運動したということが、ここで明らかになったわけでございます。そこで、また立ち入って聞くようでございますが、何でも収入役時代の収入よりも今度腰間になってからの収入が少し多いように聞いておりますが、この点についてもまた、市役所でこれだけの問題があるのですから、これは当然うわさになっていると思うのですが、どうですか、聞きませんでしたか。
  135. 星三男

    ○星参考人 新聞で、五万円と拝見したのですが……。
  136. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 収入役はどのくらいもらいますか。
  137. 星三男

    ○星参考人 収入役は四万幾ら……。よくわかりませんがも大体五万円です。
  138. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 これ以上参考人に聞いても仕方がありません。とにかく御苦労さまでございました。  次に、沼倉参考人にお聞きいたしますが、さっき森委員からの質問で、盛んにビラ等が掲示されて、いかに不法なる選挙運動が行われたかということがはっきり暴露していると思うのであります。そこに写真があるように、あとで自治庁だの検察庁方面に、これは事件をごまかすのでなく、真剣に考えていただきたいと思うのだが、開票所の掲示氏名の前にこれらのものがべたべた張られている。たとい選挙管理委員会の権威があるといえども、これを投票所の入口にべたべた張らせて、見ておった警察官も警察官です。腐敗堕落その極に達したと言わなければならぬ。  それはさておいて、もう一回開きますが、こういうものに対して警察当局に対して取締りを要求したことはございますね。
  139. 沼倉俊夫

    沼倉参考人 ただいまの御質問ですが、このビラ投票所の入口やなんかに不法に貼付したというようなことにつきましては、その当時石井万吉氏から仙台市の選挙管理委員会に抗議を出した。こういうのはけしからぬじゃないか、かような選挙妨害選挙違反の行動を許しておくのはけしからぬ、さっそく撤去してもらいたいという抗議を石井万吉氏からしたのであります。これに対しては市の選管の方ではてんで取り合わなかった、まるで木で鼻をくくったようなあいさつであったということです。  なお、ただいまの御質問と関運があるから申し上げますけれども、先ほど島野派の半沢事務長殴打の件で警察へ告訴したかどうかというような点、それから投票所の入口にビラを貼付してあったという事実につきましては、投票所の入口に貼付してあったビラは、たまたまこの土地の河北新報社がその投票当日撮影した写真があるのですが、この写真によって、ちょうど各候補者の氏名を掲示してある投票所の入口の公けの場所にさようなビラを貼付してあったという事実が明らかであります。これはまた完全な選挙妨害事案で、これ自体が選挙違反の事案で、なお警察にはその当時島野派の千葉不二雄君の方から告訴してあるはずです。これに対してどういう取調べを警察が行なったか、その点の取調べの経過は不幸にして聞きませんが、これは千葉不二雄君にお聞きになればよくわかります。
  140. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 そうすると、この事件については告訴しておるのでございますか。
  141. 沼倉俊夫

    沼倉参考人 たしか告訴をしておるように聞いております。
  142. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 それから、投票の管理の過程において、どうも梱包が破壊され、不正の増減がなされたと思われる状態がわれわれにも感得されるわけです。であればこそ、ここで異議申し立てができたことと思うのですが、この投票管理の過程において不正の増減が行われたかもしれない。こういうことに対して、参考人たちの中から、仙台北署でもいいしあるいは県警察でもいいが、これはおかしい、一つ調べてくれないか、こういうような告訴なりあるいは口頭の申し出なり、こういうようなことをしたことがございますか。
  143. 沼倉俊夫

    沼倉参考人 投票増減工作投票不正工作につきましては、さらにその後、開票仙台地方裁判所に市の選管から投票提出されますまでの間に、その開票所における投票増減工作不正行為証拠隠滅をはかり、さらにまた投票後引き続いてインチキ工作をやった、不正工作をやったという事実が、証拠保全手続による証拠調べの結果大体判断し得たのであります。実は私が仙台地方検察庁に参りまして、検察官に対して、かような事案があるんだ、これは明らかに集団犯罪である、しかも、事柄自体は一度ならず二度までも裁判所ばかにし、選挙法自体はもちろんでありますが、裁判所までばかにして、かようなけしからぬことをやっておる、市民の目はもちろんのこと、裁判所、国家あえて言えば憲法はあってもなくても同じだ、法の存在を非常にばかにしたけしからぬ行為でありますと検察庁に話をして、さっそくその捜査方を促しております。ところが、検察庁では、ちょうどガス事件で実に手一ぱいで、ネコの手も借りたいくらい忙しいときなんだ、また一体これはだれがやったものか、集団犯罪と思わるるけれども、だれがやったか見当がつかない、まず被疑者がだれであるか、不法行為者はだれであるかわからぬから、何とかあなたの力で一つ不法行為者つかまえてくれ、だれだれがやったということならすぐ発動しましょうという話で、もうしばらく、機会の熟すまで、また検察庁の手のあくまでお持ち願いたいというような経過で、そのままになっております。
  144. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 千賀参考人にお伺いいたします。あなたは長い間仙台に住んでおって、いろいろ仙台の民間の事情も官界な事情についても相当に知識がおありだと思います。そこで、私たち不思議に思うのは、こういうような飛行機で無根の事実を記載したビラをまくなどということ、あるいはまた投票所の氏名掲示板の周囲には、いかなる手続を踏んだとは言いながらも、不法なる選挙運動と見られるこういうビラの貼付等がなされておる。これは明らかにどう見ても選挙運動は多くの不法な要素の上にやられたものと私たちは見ざるを得ないわけであります。そこで、こういうものは、あなた方からも、むろん取り締ってくれということを選挙管理委員会の手を通して申し込んだかもしれぬ。それからあなた方も、こういう問題について警察に対していろいろお話し合いもしただろうし、いろいろのことをやったと思うのですが、それに対して警察当局はどういう態度をあなた方にとられたか。特に、われわれが聞くと、何か岡崎の方には何も悪い点はないのだ、だからしゃべる必要はないのだ、犯罪を捜査する前に、まず頭から岡崎は釈迦やキリストのような聖人なんだときめてかかって、それでかかる明白な犯罪事実について捜査の手を伸べなかった、こういうようなことを聞いておりますが、警察当局でそういうような話し合いを実際されたことがあるかどうか、されないとしても、そういうようなうわさを聞かなかったかどうか、その点をお尋ねいたします。
  145. 千賀勝治郎

    千賀参考人 結論から逆に申し上げますと、この間の多分木曜日だと思うのでありますが、全国の新聞に、本委員会が警察庁の方を喚問されまして、こういうような事件は捜査の対象になるかということをある委員の方が御笠間なさいましたところが、警察庁の方は、捜査の対象になる、こういうふうにお答えになったことが新聞紙上に上ったものですかり、地元の仙台では、いろいろのところへ行くと、今度はああなったら東京からでもだれか来るかもしれないし、仙台でも捜査の手を入れなければならないじゃ、ないかというような意味のことを、しばしばいろいろな機会に言っておったのを私は開いたことがあります。それから、警察の万が、私は、市長として正しいのだ、だから悪いことはしない、調べる必要がないということを言っていることを、島野派事務所におられた二名の万が私に語っております。その人の名則は私存じませんが、残ってその同席した人に聞けば、何のたれ兵衛であるかわかると思います。それから、市のいろいろな事件で、新聞に、刑事被告事件ですか、その事件関係者として現在検察庁その他で調べられている人、その人の親戚にどういう人が警察方面にいるかということは私はほんとうは知っているのでありますが、その人名をここで申し上げるわけにちょっと行かないのでありますから、お許しが願いたいと思います。私は名前と住所を具体的に知っておりますが、今ここで申し上げるわけに参りません。
  146. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 私たち委員としてまことに不思議に思うのは、これだけ客観的にはこの選挙が不法のうちに行われ、かつ投票管理の過程において不正の増減が行われた、選挙全体が不法そのものである、こういうふうにわれわれは考えている。にもかかわらず、検察当局が、今日まで、犯罪のあるなしにかかわらず、捜査の結果その事実がないかもしれないが、客観的にこれだけ不法のうちにこの選挙というものは終始しているということが疑われているにかかわらず、これに対して何らの発動もしないということは、むろん警察当局というものが頼むに足らない、むしろそのものが腐敗堕落しているのではないか、粛正はまず警察からだ、こういう考えを私は持つのでありますが、これはしばらく抜きにいたしまして、そこであなたが警察当局の中に岡崎市長と姻戚関係の者があるという、多分うわさでしょうが、あるそうだ。それで、その者が、これもうわさでございますが、あなたにその点聞きたいのでありますが、何か仙台北署の捜査係長であった。——名前はあなたも言いたくないそうですから、きょうは聞かないことにする。私どもも調査の上すでに判明しているが、きょうは聞かないが、仙台北警察署の捜査係長をさすのでしょうな。
  147. 千賀勝治郎

    千賀参考人 それは岡崎市長と姻戚関係にあると申し上げたのではなくして、岡崎市政執行上かなり重要なポストにある方で、現在ある刑事事件参考人として検察庁から調べられている人のようでありますが、その人ときわめて近い姻戚関係の人が警察にいるだろうと思うのであります。その人がだれか名前は申し述べられません。その人が、島野武氏の弁説士事務所で、岡崎は正しいから調べる必要はないというように放言した警察官と同一人であるかどうかということは、全然わからない。別の人かもしれない。同一人であるということは全然わからないわけであります。全然別な警察官であるかもしれません。
  148. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 仙台警察署は、ついせんだってまでは自治警察であったと思う。そういう関係で、仙台市長の予算上その他のある意味でいえば官制上の支配を受けたことにならないか。実際上は仙台市長の支配を受けたはずであります。近来国家警察になっているが、そういうあれもありますから、岡崎市長に悪いことはないのだ、みないいことばかりだから調べる必要はないのだということも、そういう関係から聞くわけでありますが、これはあなたに面接関係がないことでありますから……。そこで、だいぶ問題がやかましくなったので、何か二人ばかり、中央の警察庁かどうかわからぬが、仙台にこの問題の調査に行った。調査に行けば、当然これは選挙管理委員会調査するのは当りまえでありましょうし、それから警察当局で事情を聞いたり何かするのも当然でありましょうし、なおまた現在これの異議申し立てをしたり何かすれば、当然異議申立人その他の人の意見を聞くのも公平な処置だ、そうでなければならぬはずだ。一方の人の言うことだけを聞いて、はいそうですか、さよなら、こういうことでは選挙しいうものは一体果して公正に行われたかどうか、不正の投票があったかどうか、正当なる警察官としての機能を発揮したかどうかわからぬことになる。そういうようなことに対して、あなた方は、むろん中央の警察庁からどういう身分の者が行ったかわからぬが、あとでこれは警察当局から聞けばわかることですが、そういう人から、何か聞かれたり、調べられたと言ってはおかしいが、調査をされたことがありますか。
  149. 千賀勝治郎

    千賀参考人 私ばかりじゃなく、隣近所のおかみさんや、おやじさんや、私がつき合っている全部の人たちは、先ほど申し上げました通りに、本委員会の発言から発した中央の本庁の係官が事情調査のために仙台市においでになるという新聞、おいでになるという新聞であります。おいでになったということは私は知りません。おいでになるということを聞いて非常に尊んだのであります。今度は地元でも警察でも調べなければいけない、今度は黙っちゃいられないというような調子で喜んだわけでありますが、その方々がおいでになったということは知らないのであります。また、かりにおいでになってどういうふうに御活躍なすったかということは、きのうの朝九時の急行で仙台を立つまでは新聞に載らなかったようであります。大体私は日常新聞を見ておりましたけれども、どの新聞でも、どういう御活躍をなさったかということは、よほど秘密を要するものと見えまして、載らなかったようであります。
  150. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 さもありなんと思われるのです。このことはしかしあなたの関係でなく、警察当局の関係だから、これはそれだけにしておきましょう。  そこで、その結果がどうかわからぬけれども、私の耳に風のたよりで来たところによりますと、仙台北署の捜査課長が何か転任させられた、あるいは転任させられるかもわからぬ、——私のところには転任させられたと風のたよりで耳に入ってきたのですが、あるいはさせられそうだ、こういうことかもしれませんが、こういううわさは聞いておりませんでしたか。どうですか。
  151. 千賀勝治郎

    千賀参考人 私は、そういう人事に関することは、新聞の上でも見ないし、そういううわさは耳にしなかったわけであります。
  152. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 証人にこれ以上聞いてもわかりませんから、あとは証人に聞いた事実の上で当局から聞くことにして、私の質問は終ります。
  153. 森三樹二

    ○森(三)委員 関連して。私も聞きたいことがたくさんあるのでありますが、時間がたちましたからこれだけ聞いておきたいと思います。  それは千賀参考人にお聞きしたいのです。あなたは、荒町の開票所でもって、はしなくも、注意を持って束を調べられた結果、その不正がわかったわけですが、これは非常にけっこうなことだったと思うのです。あなたが調べられたときに、あなたは現在御記憶があるかどうかわかりませんが、私の調べをした点では、岡崎候補の束が四十九票という束——五十票の束が一票欠けている四十九票の束、すなわち岡崎候補に有利な東が二十二あった、それから島野候補については、五十票の束が五十一票という束になっていて、そういう束が十一あった、それからもう一人の候補者の高橋という候補、これは得票からいってはほとんど問題にならない候補者であったが、その候補者の得票の束は五十票な束は五十票のままであったという事実、こういうことを私は聞いておるのですが、それにつきましてあなたの御答弁を願いたいと思います。
  154. 千賀勝治郎

    千賀参考人 その通りでございますが、それは全部私が発見したのではなくて、私の隣におりました高橋三郎候補立会人が、六つだったか八つだったか私はっきりした記憶はありませんが、六つないし八つのいろいろの不正事実を発見して私に教えてくれました。私のやつはまとめて突っ返しましたが、その人のやつは、そのつど、私のとは別に、また出たよ、また出たよというふうに言ったのであります。その六つないし八つの高橋候補立会人が発見した以外の事実の発見は私が発見したのであります。
  155. 森三樹二

    ○森(三)委員 それではもう一点だけ聞きますが、今あなたが調べた数はもう間違いないとあなたはおっしゃるのですが、そこの開票区で開票した投票の何束ぐらいを調べた結果、こういうものが出てきたのですか。たとえば、そこでもって五十の束が三百ないし五百ぐらいあったとすれば——五十の束だから二百あって一万、二千あって十万だから、五百や六百あったのだろうと思うのですが、そのうちのどれだけのものを調べたところが今あなたがその通り違いないと言った、岡崎派に有利であって島野派に不利な、こういうもの——この場合において岡崎派に不利な束というものは一つもない、岡崎派には四十九票という有利な束ばかりあって、島野派ばかりに不利な束があった、こういうことは間違いないのだね。
  156. 千賀勝治郎

    千賀参考人 その通りであります。
  157. 森三樹二

    ○森(三)委員 こういうものは全体の票の何パーセント、どれだけの束を調べたところがそれだけのものがあったのか。まだあなたが調べない票もあるのだろうと思うのですが、そのことを詳細に述べておいていただきたい。
  158. 千賀勝治郎

    千賀参考人 私は、具体的に申しますと、立会人は一番早く開票場に行った者が一番先の腰かけに腰かけて最初に票を検分することができるということを聞いたために、朝早く市会議員開票の前ごろに参ったのであります。ところが、ほかの候補者の立会人は私よりもあとから参りました。二番目に来たのは高橋三郎候補立会人、三番目に岡崎栄松氏の立会人が参りました。開票時分は私が一番端っこに腰かけて、その次に高橋、その次が岡崎と、開票場に入った順序で並んだわけでありますが、私は一番先でありますから、五十を束にする係の方から私のところへ回ってきたものは、こうやって持ってきてどさっと置くわけです。開票場で初め私は岡崎さんのやつだけを見たわけです。しかも裏に「岡崎栄松くたばれ」なんということが書いてあるのもありますから、表だけを見たのでは有効でありますが、「岡崎栄松くたばれ」と書いてあるのは余字記載でそれは無効でありますから、私は、一々細心をもって、何だかそこに見ておる方がありますが、両面を見ました。そうして島野武候補の票はあまり見なかったのであります。ところが、たまたま、私の隣にいた高橋三郎候補立会人が、初めて、おやこの島野さんのところに五十一ある、私は二度勘定したけれども五十一だから、あなた勘定してみろと逆送されたのです。私が数えてみたけれども五十一、そうなると混乱するので、またもう一回数えてみました。高橋さんの立会人が二回、私も二回数えたら五十一あった。これは大へんだというので、岡崎さんの票だけでなく、島野武の票も見ることになったのでありますが、その前は私は島野武の票は見なかったわけです。岡崎さんの票だけを見ました。その島野武が五十一票とありながら五十票と計算されたというのを高橋三郎候補立会人が発見して、初めて島野派の票も見なければいかぬと気がついて、それも見たわけであります。その前のやつはすでに流れていっておりますからわかりません。それから最後になりますと、一時から始めたのでありますが、二時、三時ごろになると、事務所からいろいろな連絡が参ります。私の開票場が一番おくれたがために、ほかの開票場は終った、今票はこういう状態島野が千票ばかり勝っているとか、あるいは七百ばかり負けたというような情報がひんぴんと来る。二時ごろに、暴力団が来ている、うしろまであなたは見るわけには行かぬと思うけれども、一応気をつけてくれ、こういうふうに言われたのです。傍聴に入っている方々には荒町小学校の学区内の見知り越しの方々も多数おいでになっておったようでありますから、暴力団が何人来ようと大したことはあるまいと思ったのですが、何分当面の票を数えることが重要でありますから、その不安にさらされながら数えておったのでありますけれども、夕刻になりましてから、星さんも知っている通り、大体岡崎が四、五再勝っているようだというレポートが参ったのです。これはあっちにも来ているし、私の方にも来ているのですが、それから険悪な空気が開票場になくなったわであります。そして変なやつもいなくなったようであります。さっきも申し上げた通り、ライトが二つあるのですが、そのうち故障で一つ消えていて一つしがなかったものですから、暗かったのですが、最後になると、岡崎さんの票が山をなしております。とてもこれはかなわぬから、調査もあとの方は十分にできないし、また僕一人では十二時までかかってもだめだから、高橋さんの立会人に少し応援してくれと育って、私全然見ないで半分は高橋さんの立会人にまかせて見て下さいと言ったけれども、何分にも、ここにいる星選挙管理人はそういう言辞は全然用いませんでしたけれども、その他の方々は、多数、私に聞えよがしに、いつまでそういうことをやっているのだ、何というしっこいやつだ、仙台弁で言うと「ちゃっちゃとやめてけったらいいだろう」、さっさと早くやめて帰れとあっちこっちで言っております。学識のある星責任者はそういうことは全然申されないのでありますが、星さんみたいに高等学府を出ないような人でそういうことを申した人が四、五人おります。しかし、私は七時二十分ごろまでがんばってみたけれども、五分の三くらいしか行かなかったろうと思います。五分の二は目を通さなかったろうと思います。
  159. 森三樹二

    ○森(三)委員 あと一、二点だけ。星さん、今千賀さんが言われた各派の過不足の問題、その通り違いないですか。
  160. 星三男

    ○星参考人 先ほど冒頭に申し上げましたように、千賀立会人からこの票が不足だと私に言われたか、今記憶にございませんが、この束が間違いだということは、私一束について言われたことがあります。千賀さん、済みませんと言って、それを元に戻して正確に勘定させるよう命じたことはございます。
  161. 森三樹二

    ○森(三)委員 あなたはそのとき千賀さんのそばにおったのでしょう。——そばにおったのだろうと思う。そうすると、千賀さんが言ったように、島野派には五十一票の多い票があって、いわゆる島野派には不利な票があって、岡崎派には有利な票があった。このことだけは間違いないかな。そういうものがあったというように千賀さんからそのとき聞いたかどうか。
  162. 星三男

    ○星参考人 そういうようには聞きませんでした。
  163. 森三樹二

    ○森(三)委員 それじゃ千賀さんから私は詳しく聞きますけれども、島野派に不利な束があったということを星さんに言ったのは、どういうような表示で言ったのですか。
  164. 千賀勝治郎

    千賀参考人 私は、星さんに申し上げたのではなく、そこにいる人に申したのです。私の席がここにありますと、高橋候補立会人が隣におり、その隣に岡崎候補立会人がおります。責任者の星さんは、まん中にテーブルがあったようでありますが、その席にいるよりも、ぐるぐる回って全体を監督するのですか、全体を管理するためですか、常に歩いておられることの方が多かったと思います。もちろん私のそばにすわっておられたこともありたたろうけれども、おおむねぐるぐる回りながら、全体の事務の進行状態を監視しておったように思います。従って、最初に私が言ったことに対して、それを取り上げて、そうですが、済み止せんと言ったのは、星さんではなく、ほかの若い事務員だったと思います。
  165. 森三樹二

    ○森(三)委員 星さんがそこの責任者でしょう。そうすれば、これは星さん大へんじゃないか、島野派には五十一票の束がたくさん出てきたぞというようなことを、あなたは警告しなかったのですか。
  166. 千賀勝治郎

    千賀参考人 ただ、あまり続々出てくるものですから、最後には三時ごろから私の前に若い事務所の方が二人立っておりました。これは星さんではなく若い事務員でありましたが、まだですか、まだですかと言って、そのつど直接五十束に数える計算係のところへ持って帰っておりました。
  167. 森三樹二

    ○森(三)委員 一々星さんには言わなかったわけですね。
  168. 千賀勝治郎

    千賀参考人 星さんは大体見ておったと思います。
  169. 森三樹二

    ○森(三)委員 星さんの受け取った感じは、島野派には五十一票の束があったというように認識しているのか、岡崎に四十九票の束があったというふうに認識しているのか、どちらですか。
  170. 星三男

    ○星参考人 その開票当時今の問題につきまして、岡崎に有利だとか島野に不利だとか、そういう感じは全然受けませんでしたことを記憶しております。
  171. 森三樹二

    ○森(三)委員 そこは君はっきり言わないとだめだよ。結局、あなたとしては、裁判所に持っていって証拠調べをやったこととの関係があるから、大事をとってそう言っているのかもしれませんが、素直に言って下さいよ。選挙というのは死ぬか生きるかの重大な場合です。極端にいえば、千賀君だって、開票の際に、この場合岡崎の方に五十一票のものがあったということを言ったかもしれないが、ずるい立会人なら、五十一票の束があっても黙っているかもしれない。千賀さんは別だけれども、ずるい人であれば、島野派には四十七か四十八の束があっても、黙ってパスさせてしまえばいいのですから、そうするかもしれない。この人は素直な人だからそういうことはしなかっただろうが、そちらに有利でこちらに不利な東があったということは、開票の場合には重要な問題ですよ。その場合星さんに認識がないということはあり得ないと思うのです。確かに認識があったと思うのです。それも、候補者が市会議員のように三十人、四十人というふうにたくさんいれば、名前の記憶は十分にないかもしれないが、とにかく候補者は三人だ。しかも三人のうち高橋は問題にならない。結局島野が勝つか岡崎が勝っか、この二人の重大な決選投票みたいなものです。あなた自身だって相当この結果に対しては神経をとがらしておったと思う。だから、たとい一票だって真剣な神経を使って見ておったろうと思う。そのとき、どちらに有利な票があって、どちらに不利な票があるかは、あなたの頭にちゃんとなければならぬはずです。その点冷静に言って下さい。
  172. 星三男

    ○星参考人 今の問題については記憶はありません。
  173. 森三樹二

    ○森(三)委員 では、最後に一点だけお開きしますが、何でも、開票のとき、島野武と書いた束が五十票のがあったか、四十九票のがあったか、五十一票のがあったか、それはわからないが、五十票束とみなされる束が、開票所の、これはどこかの学校でやったので、その机の引き出しか何かにあって、女の事務員が机の引き出しをあけたらその束があった、あら、こんなところにこんなに束があったわと言って出したところ、そうしたら、男の事務員が来て、おい、よこせと言って持っていったというのです。そういう事実があったということを聞いておるのですが、千賀さんはそういう事実をお聞きになりませんか。
  174. 千賀勝治郎

    千賀参考人 それは、荒町の第四開票所ではなく、第一開票所の上杉山小学校で行われたそうでありますが、私の関係した第四開票所では、学童の用いる机はあまり使ってなかったようでございます。もっとも、五十票束にするためそれを数えた方々は小学校の学童の机を使ったようでありますが、御指摘の事件は上杉山の第一開票所立会人であります。ここにいる頭の少しはげた人がそれを現認したわけであります。だからそれは事実であります。
  175. 島上善五郎

    島上委員長 私から千賀参考人一つだけ伺っておきたいのですが「岡崎栄松くたばれ」と書いた投票があったと先ほど言われましたが、それは岡崎宋松の有効投票の中に計算されておったのですか。
  176. 千賀勝治郎

    千賀参考人 それは無効といたしました。それは「島野武がんばれ」と書いたのが第四投票区に三枚、「岡崎栄松くたばれ」と書いたのが四枚だったと記憶いたします。これは両方とも余宇記載として無効だというふうにしたはずでございます。
  177. 島上善五郎

    島上委員長 それはどなたかが発見して無効扱いにしたのか、初めから無効扱いにしておったのか。
  178. 千賀勝治郎

    千賀参考人 それは合計六つとも私が発見いたしたのでございます。発見して、それを無効と見て、いろいろ不当なものの中に分類しておいて、それを私の前に立っていた人にあとから預けてやったわけであります。
  179. 島上善五郎

    島上委員長 あなたが発見して無効扱いにしたというのですが、そのあなたが発見して無効にした票の中に、「島野がんばれ」という票もありましたか。
  180. 千賀勝治郎

    千賀参考人 二枚ありました。
  181. 森三樹二

    ○森(三)委員 こういう名前が書いてあるのを消したやつ、これは当然私無効だと思うのですが、これに対して、星さんは、あなたの部下というか、選挙開票のとき立ち会っていろいろやっていた連中には、そういうのはどういうように処置するように言ってあったのか。
  182. 星三男

    ○星参考人 これは有効と解釈しております。
  183. 森三樹二

    ○森(三)委員 それは見解の相違だから仕方がないが、いつの選挙でもそういうものは有効に取り扱ったのですか。
  184. 星三男

    ○星参考人 誤字、脱字、大体思い直して消したものはみな有効にいたしました。
  185. 森三樹二

    ○森(三)委員 これがそもそも問題だ。これは、たばねてあったものから抜いて、そうしてあとで消して直した跡が歴然だ。
  186. 島上善五郎

    島上委員長 筆跡が違う。
  187. 森三樹二

    ○森(三)委員 筆跡が違っておることが明らかだ。こういう票がたくさんあったことに対してどういうようにあなたは感じておるのですか。こういうばかな間違いをするわけはない。筆跡というものが非常に違っておる。従ってこれはあとで選挙管理委員会の連中が修正したというように私は考える。開票当日は、たくさんの数だから、あなたは一々点検はできなかったろうと思うのですが、こういうことは、何人からか、どうしたらいいだろうかという注意を受けなかったでしょうか。
  188. 星三男

    ○星参考人 当然有効なものとして最初から扱いました。
  189. 森三樹二

    ○森(三)委員 最初から有効と言うけれども、それでは、あなたは、事務を担当して開票に立ち会っておる者から、こういうものに対して何か質問を受けませんでしたか。
  190. 星三男

    ○星参考人 受けません。
  191. 森三樹二

    ○森(三)委員 私らとしては、これはあとで書き直したことが明らかだと思うのであって、あなたに質問をしても見解の相違だから仕方がありませんが、開票における不明朗さというものは非常に多い。今後注意してもらわなければならぬ。
  192. 島上善五郎

    島上委員長 それでは私から三浦法制部長にお伺いしますが、そこに書き直した投票用紙写真がたくさんありますので、それを一つ参考にごらんになっていただきたいと思いますが、何でも、承わるところによりますと、そのような投票岡崎栄松には三百票余り、島野武には四、五票あった。それで四、五票あるいは二、三票ということはあり得るのでありますが、三百票もあったということは、普通の状態ではちょっと脅えられない。その写真をよくごらん願えばわかりますが、の色の濃さが違ったり、筆跡がわれわれしろうとが見てももう明白に違う、こう思われる投票用紙がかなりあります。そこで三浦部長に伺いたいのですが、これを金字記入として無効扱いにするのが当然だと私は思いますが、無効扱いをしないまでも、これは無効であるか有効であるか疑問票としてあとで立会人間でもって協議するという扱いを、少くともその程度の慎重な扱いをすべきが当然であろう、こう考えますが、三浦部長はどのようにお考えですか。
  193. 三浦義男

    ○三浦法制局参事 ただいま委員長からお尋ねの点につきまして、まず第一に法律問題から申し上げまして、そうして具体的事件について簡単にお答えをしたいと思います。  御承知通り、現在の選挙法では、六十八条に投票の有効、無効に関します規定がございまして、六十八条は、左の投票は無効とするということで、無効投票をずっと列記してございます。この場合におきまして問題となりますのは、六十八条第五号でございますが、「公職の候補者の氏名の外、他事を記載したもの但し、職業、身分、住所又は敬称の類を記入したものは、この限りでない。」と書いてございまして、他事記入は原則として無効とする、こういうことになっております。従いまして、候補者の氏名以外の事項を記載いたしました場合におきましては、一応選挙法の六十八条の規定からは無効と推定されるということになるだろうと思います。しかしながら、また六十七条の後段にこういう規定がございます。投票の効力の決定に当っては、ただいま申し上げました六十八条の規定に反しない限りにおいて、「その投票した選挙人の意思が明白であれば、その投票を有効とするようにしなければならない。」という規定がございます。この六十八条の規定は、公職選挙法を制定いたしまするときに、すでに衆議院の選挙法にございました規定でございますが、六十七条の私が今申しました選挙人の意思が明白である場合に云々の規定は、その後この公職選挙法改正いたしまして、この規定を挿入したのでありまして、その趣旨は、要するに、できるだけ有権者の意思を尊重して、特に支障がない限りは、ことに選挙人がだれに投票したかということの意思の推定されるようなことが明白であれば、それは有効とするようにしなければならぬ、こういう規定でございます。従って、問題は、ただいま私が申し上げました両条の規定の関係においてどういうふうに考えるかという問題だろうと思います。先例等をちょっと見てみますと、この他事記入等につきましていろいろな先例がございますが、そのうち、特にただいまお話のある候補者の氏名を書きまして、それからそれを消して他の候補者の氏名を書いた場合はどうなるかということを先例でちょっと見てみますと、これは少し古くなりますが、「一旦甲を選挙せんとしてその氏名を記載したるに意志を翻えしてこれを抹消しさらに乙の氏名を記載したる投票は有効なり」、これは大正十三年の五月の行政裁判だと思いますが、そういう先例が一応ございます。しかしながら、こういうことでなくして、同じ候補者の氏名を書きました場合におきまして、そのある文字を訂正して響きかえた、こういうような場合におきましての先例もございますが、それらを総合いたしますと、結局、書き損じたと認められる場合においての投票、つまり一度甲の氏名を書こうが、あるいは甲の氏名の中のある一つの文字等を訂正しようが、それが間違ったと自分で気づいて、それを訂正せんとするような意思をもって書き改められた投票の記載は、ここにいう他事記入には該当しないというような先例があるようでございます。従いまして、この意味におきまして具体的な問題につきまして申し上げますれば、結局、ここにあげてありますような、岡崎栄松ですか、そういう名前を書きかえた投票が、ある候補者の氏名を書いて、それが間違ったからそれを訂正する意味で書きかえたというような意思が、これにおいて推定されるものであれば、他事記入には該当しないで、先ほど申しました選挙人の意思をできるだけそんたくする意味において有効と考えられるかもしれませんが、そうでない場合におきましては、それは当然投票の一般原則に照らしまして、有効性を疑わざるを得ないと思っております。結局、ここに掲げてあります具体的のものにつきまして、こまかい点はよくわかりませんが、一応ざっと拝見しましたところでは、前の書いてあるものを消して書いたものが、だいぶ鉛筆の濃さが違っておるような点等もございまして、これは同一人が書き損じて書きかえたというようなふうに推定するには疑わしいと考えております。
  194. 島上善五郎

    島上委員長 それから、私から星参考人一つ伺いますが、ただいま千賀参考人の公述によりますと、「岡崎栄松くたばれ」こう書いてあった投票を有効投票の中に計算してあった、こういうことですが、これはずいぶんおかしな話で、あなたの方ではそういうものも有効投票というふうに部下に指示されておったのでしょうか。
  195. 星三男

    ○星参考人 そういう例は明らかに他事記載でございまして、しかも候補者をヤジるような意味が多分にありますので、当然無効で、係員も大ていはそのことを知っているはずでございます。がんばれと書いたのでさえも私は無効と思います。
  196. 島上善五郎

    島上委員長 もう一つ伺いますが、あなたの責任を持たれておった開票区に、私が質問の際に取り上げた書き直した投票があったかどうか。もしあったとすれば、それを何の疑問もなしに初めから有効として扱ったかどうか、この点を伺います。
  197. 星三男

    ○星参考人 書き直したのは有効に最初から考えて一と申しますのは、投票のときに私が投票管理をやったのでございますが、最初市長投票用紙を渡して、市長投票箱に記入して入れしめて、それを終った人がここだけを通る場所を作っておきまして、そうして市長投票を終りますと、市会議員の用紙が交付される、そうして市会議員投票箱に入れまして外に出るという仕組みになっておったのであります。市長投票箱が私の斜め前の方にございましたのですが、最初のうち気がつかなかったのですが、投票を始めてから一時間くらいたちますと、投票箱のところに来まして投票を入れてから、あっと頭に手を上げて、しまったと言うので、何したのですかと言ったら、間違って書いて入れた、入れてしまったらだめですというふうに言ったのです。そうすると、大体市会議員と同時選挙でありますから、市会議員の方を書いてしまって入れるのでないかというふうに私推定しましたので、すぐ投票用紙交付の方に行きまして、市長の用紙だということをはっきり言って渡しなさい、紙に市長の用紙だということを書いてあっても、投票者は市会議員の方を先入視してきまして、うっかり書いて入れてしまうおそれがあるから、投票用紙を交付するときに、市長の用紙だということをはっきり言いなさい、そういうふうに指示したのです。そうしているうちに、また、投票箱にまさに入れんとしてから、戻っていって書き直す人もあったようでございます。これでは、うっかりしていると、箱に入れてしまってから非常に無効が多くなるというふうに思ったものですから、市長投票箱に入れるときも、立会人やその他場内整理人がそばにおりまして、入れる前にできるだけ市長投票ですというふうに言って、それを執行したのです。同時選挙をやったために——この前も参議院とか衆議院とかいろいろやりましたが、片方に反対の方の候補者を書き、こっちの方に反対候補者の名前を書いてしまうということが非常に多く行われた経験が、同時選挙にあります。今度も同時選挙でありますから、間違って書かれては大へんだということで、万全を期してやったのではありますが、開票を調べてみますと、そういうふうに間違いがあった。選挙管理委員会に相談することなしに、そういうのは有効だという話でありましたので、最初から有効としたのであります。
  198. 島上善五郎

    島上委員長 岡崎栄松の方には、そういう書き直した投票、しかも鉛筆の色が違ったり筆跡が違ったりする投票が相当あって、それが総体で三百票余りある。片方の島野武候補には五、六票である。市長選挙市会議員選挙が同町ですから、間違える票が多少あることは避けがたいと思いますけれども、片方が五、六票で片方は三百票以上あるということは、私どもから考えまして少し変だと思います。星参考人はそうい点疑問を抱かなかったかどうか。
  199. 星三男

    ○星参考人 私が開票をやっているときは、そういう岡崎の方の疑問票、書き直しが多かったとか、島野候補の書き直し票が少なかったとかいうことには気がつかなかったのであります。
  200. 島上善五郎

    島上委員長 それでは、中川刑事部長に伺いますが、選挙法では、選挙に関する報道、評論等の記事を掲載し得る新聞は、六ヵ月以前で、第三種で、かつ月三回以上発行、こういうふうになっております。先ほど来参考人の公述によって明白になりましたことは、そういう要件を備えていない、選挙のときだけ発行する新聞が数種類、それも大よそ二十万枚ぐらいではないかと推定されるほど多量に散布された、あるいは戸ごとに配布された、こういう事実が明らかになりましたが、これは明らかに選挙法違反と私ども考えます。中川部長はこれをどのように解釈するか、まずその解釈を先にお伺いします。
  201. 中川董治

    ○中川(董)政府委員 報道、評論の自由が許されておりますのは、ただいま委員長からお述べになりました資格を有する新聞と、選挙管理委員会に届け出た政治団体の新聞、この二つに報道、評論の自由があって、それ以外は、報道、評論の自由なしに、一般の選挙運動、図画の制限に従う、こういう点はそのように解釈しております。
  202. 島上善五郎

    島上委員長 それでは、この要件を備えていない新聞が相当多量に散布されたという事実に対して、警察において捜査をされたかどうか。
  203. 中川董治

    ○中川(董)政府委員 この前も率直に申し上げたのですが、この前は衆議院選挙、それから地方選挙が行われまして、全国各地で捜査機関が捜査をしたわけでありますけれども、各地の状況が全部つまびらかではないものですから、それで、当委員会で過般も本件その他につきましていろいろ事実の御提示がございましたが、本件事案の真相を把握する必要を認めまして、いろいろ需話とか文書の報告もありますけれども、それより実地に事情をつまびらかにした方がいいと考えまして、過般の委員会が行われましてから、次の日かその次の日かはっきりいたしませんが、いずれにいたしましても先週であります。私の方の部員の相当の地位にある人物を仙台の方に出張させております。まだ帰って参りませんが、そうした出張員が帰って参りますと、どういう事実関係があったかということもさらに判明しようと思いますし、本委員会でいろいろ質疑応答によって得られた知識も現在だいぶ豊富になりましたので、その両方合わせて事実関係を検討して、それをただいま申しました法律論に基いて認定する、こういうことになろうかと思いますが、事実関係は目下調査中でございますので、この点御了解を願いたいと思います。
  204. 島上善五郎

    島上委員長 今申しました事実は、これは五十枚、百枚の新聞では全市にまかれると発見困難ということもありますが、相当多量にまかれておりますから、発見困難とか気がつかなかったということはないはずですから、この事実を明白にしていただきたい。これを要求しておきます。  それから、もう一点伺いたいのは、この写真をごらん願って御答弁いただきたいのですが、これは投票所の入口の氏名掲示場です。「赤と陰謀と虚報を排して仙台を守りましょう」というポスター、この内容自体が問題になりますが、これは政治団体として届け出て検印を受けたポスターですから、かりに百歩を譲ってこのポスターを張ること自体は合法的であるとしましても、投票所入口の氏名掲示場ですから、これは選挙法にいう公共建造物です。その公共建造物に、しかも投票日に張るということは、二重の意味において違法だと思いますが、これを見て御答弁を願いたいと思います。
  205. 中川董治

    ○中川(董)政府委員 これは今写真によって拝見しているんですが、この関係で、しかもこれが公共建物と理解できますので、公職選挙法に触れるものと解釈いたします。
  206. 島上善五郎

    島上委員長 それからもう一点伺いますが、「私はだれでせう」という、さっき森一委員から示されたチラシです。チラシそのものも、これは当然選挙に関連したチラシですから、チラシそのものの内容も選挙運動に関したチラシであると解釈されるので、この印刷物自体が違法であると思いますが、その印刷物自体の違法性、並びにこれを駅前でまいたり、政治団体の選挙運動用のトラックを停止して通行人にまいたり、飛行機の上からまいたりするという散布方法も違法だと思いますが、どのように御解釈になりますか。
  207. 中川董治

    ○中川(董)政府委員 これは、御承知のように公職選挙法では頒布と掲示を制限されてあるわけですが、それからこの問題が選挙運動文書になるかどうかという問題と、これが頒布されたか掲示されたかという二つの問題があると思います。この文書選挙運動のために頒布されまたは掲示された場合におきましては、公職選挙法に触れるものと理解いたします。
  208. 島上善五郎

    島上委員長 自動車を停止して通行人に配布したのは、これは頒布だと思います。それから飛行機上からのは、これは言葉の上では頒布と言わないで、あるいは散布と言うかもしれませんが、そういうあらゆる場合のことを想像して選挙法を厳密に規定しておけばよろしかったのですが、飛行機上から散布しても、やはり法律の精神からいえば違法だと思いますが、どのように御解釈になりますか。
  209. 中川董治

    ○中川(董)政府委員 飛行機の問題はわれわれかねがね研究したことがあるのですが、飛行機上からもこれは領布である。ただ飛行機上からまかれる文書選挙運動文書でない場合も事実関係としてはあります。だからその内容によるけれども、飛行機上から有権者を対象としてまかれるものは領布である、こう理解できると思います。
  210. 島上善五郎

    島上委員長 それでは最後に、参考人において、ただいままで委員から質問された事項以外に、ぜひこのことに関連して答弁しておきたいということがあったら伺っておきたいと思います。
  211. 沼倉俊夫

    沼倉参考人 実は、本件異議申し立て事件並びに証拠保全申し立て事件につきまして、弁護士として申立人代理人として関係いたしました結果、今の選挙法の不備について非常に痛感いたしておる点がございます。その点三、四点申し上げたいと思います。  一つは、各府県知事または市町村長、こういう各自治体の首長の選挙ですが、この選挙については連続三選廃止の規定を置いていただきたいということであります。これは、今回の事件につきまして、私自身が申立人代理人として実にあきれた点がございます。それは何かと申しますと、まるで仙台事件は伏魔殿の事件であります。しかも白昼堂々、公然と不正行為、犯罪行為が行われておる。これは岡崎市長が二選——二選と申しましても前の公選の当時から引き続いて約十年、その十年間におきまして、いわゆるボス政治がしかれた。それで、あらゆる面にコネクションができ、さらに市役所の内部に、いわゆる親分子分みたいな関係の、非常に忠勤をはげむ吏員が多くなった。かような点から、水も十年間も流さないでいると腐ってしまいますが、非常に腐った、腐敗堕落の政治になってきた。これは何が原因かといえば、三選、いわゆる十年間も現職にあったという点であります。でありますから、少くとも市長選挙については二選をもって限度とする、三選は絶対に廃止しなければならぬ、こういうことを痛感したのであります。  さらに、第二には、選挙管理委員会自体の問題であります。この選挙管理委員会の機構並びに制度、これは完全に独立公平なものにしなくてはならない。この選挙管理委員会の制度につきまして法制化が必要だと思う。それは、選挙管理委員会自体は独立公平な機関であると申しましても、市の選挙管理委員会は市の予算に縛られておる。さらに市の職員と人事交流が行われる。現に、今回の事案につきましては、仙台市の選挙管理委員会事務局長の今泉氏が、この選挙の直前に更迭、新任したのであります。それ以前は荘司定雄氏が選管事務局長であったのであります。岡崎氏のふところ刀であった、何課長か忘れましたが、今泉事務局長が新たに選任されて、選挙の前に選挙体制を整えたといわれておるのであります。  さらに人事交流といたしまして、各選管の職員、これは市役所から人事交流される。さらに市の選管事務担当を委嘱する各吏員は市役所の吏員が委嘱され、しかも従来三回も四回も選挙におきまして開票事務投票事務を委嘱されておった吏員は、反岡崎派あるいは岡崎に同情のない者と見られておる者は、ことごとく退ぞけられておったというような事実があるのであります。かように、市の選管自体に市長、市役所の勢力が浸透して、外部から見て、まるで市長の勢力下にあるような感じを与える。かような点は、いずれも、市の選挙管理委員会が予算関係で市に縛られていることから来ております。でありますから、この選挙管理委員会自体を、予算の面からもあらゆる面からも完全に独立なものにしていただきたいということであります。  さらに、第三には、不在投票の件であります。この不在投票制度を改正していただきたいと思う。今回の選挙につきまして最も不可解なのは、不在投票に関する面であります。これは的確な証拠をいまだにつかんでおりませんけれども、この不在投票につきましては、不在投票投票所において、内部の不在投票した投票がすりかえられたという疑いが多分にあるのであります。これは、投票者が、選挙管理委員会なりあるいはその他の不在投票所で、不在投票封筒へ投票用紙候補者の名前を記載して封入して、それを事務員に渡します。ところが、その封筒については、封筒の封をしなかった場合がある。これも封筒の封をしなかったという事案も出ております。さらにまた、封筒にのりづけをして封をして渡したという場合におきましても、その場合にアルバイトの女の子だけいて責任者がいなかったというような例もあるのであります。さらに、不在票の制度について最も苦心を要するのは、もし選挙管理委員会事務職員に不心得者があった場合は、すりかえが最も完全であって、完全犯罪が行われるという点であります。それは不在投票者が投票した投票の封筒をあとで開いて、その投票が自分の意図しておった特定の候補者の名前を書いていなければ、それをすりかえて、特定候補者を記載した票を入れて封をするということができるからであります。しかもそれは現在の制度においては発見が至難であります。これは、御承知通り選挙管理委員会に不在投票が運ばれて、その不在投票が各投票所ごとに投票当日までに大きな封筒に入れて配付されるのであります。その配布された不在投票袋は、各投票立会人の前で開披しまして、各不在投票のリストその他の関係書類及び不在投票等を投票立会人に示して、受理について異議があるかどうか、拒否すべきものがあるかどうか、その点を問うて、投票立会人にその拒否すべき理由あるいは異議申し立て理由がなかった場合には、それを、投票終了までの間に、その投票袋の封を開いて一般投票の中に混入するという制度になっております。しかしながら、現在の投票立会人では、これが果して不正投票であるか、インチキされた投票であるかいないかということについて、点検をし異議を申し立てるということは、ほとんどあり得ないはずであります。なぜかと言いますと、不在投票の投票立会人は、いずれも市の選管か、あるいは市の選管から委嘱された何ら候補者には利害関係のない人が多いからであります。これは不在投票の投票立会人を各候補者から出していただきたい。各候補者の利益代表者が開票立会人と同様に不在投票立会人になる。さらに不在投票投票自体につきましても各投票所に小さな不在投票投票箱を入れて置いておいて、それに各投票投票者自身の手で入れておくようにしたい。これはほかの府県では現にやっているところが多いのでありますが、仙台市長選挙においては何らこの設備はなかったのであります。かつ、不在投票投票箱とかその他の点については現在選挙法の規定はありません。この点についても改正して法制化が望ましいと思うのであります。  さらに、第四といたしましては、開票所において点検済みの投票保管についての法制化であります。これは、現在の法規については、単に四年間保存でき得るように保管するということだけであります。さらにまた投票録開票録につきましても、各投票立会人投票管理者が署名をするだけになっております。署名捺印ではございません。また各投票録開票録のページ数が二枚以上にわたっております場合に、契印も何もないのであります。だから、あとで投票録開票録の管理者において改ざんをしようと思えば、幾らでも改ざんができるということであります。かような不合理な点がありますので、この点ははっきり明文をもって規定していただきたい。さらに投票の保管袋、投票保管のための包装梱包、用紙、方式、こういう点について全国一斉に各選挙とも全部企画を同一として、今回のような事案のないように完全なものにしていただきたいと思います。  簡単でありますが、以上であります。
  212. 森三樹二

    ○森(三)委員 私は質疑したいこともありますが、相当時間もかかりましたからきょうはこの程度にしまして、最後にこの際自治庁の兼子選挙部長にお尋ねしたいのであります。私どもは、この仙台市長選挙の問題につきましては、選挙妨害の事実、そうしてまた厳正なるべきところの選挙事務を担当する選挙管理委員会のずさんきわまること、私どもはこれは単なる間違いと考えておらない。少くとも計画的陰謀というか、あるいは故意に基く計画的な行為であると考えておるのでありますが、これに加えまして、徳島県で投票用紙を売りに歩いたというようなああいう驚くべき事態までも発言しておる。その他、私は、きょう時間があればほかの県における選挙管理委員会のスキャンダルも相当質疑したいと思ったのですが、きょうは時間がありませんから、おきますけれども、こうした事態にかんがみまして、その衝に当る兼子選挙部長の責任は私は重大であると考える。私は選挙管理委員会選挙に関しては常に公正な事務を行なっておるものであると信じておったのでありますが、これではわれわれは安心して選挙をまかしておけないという感じを深くしておるのであります。この仙台市の市長選挙にからむあらゆる問題につきましては、今後私どもは徹底的にこれを究明しなければならぬと思っておりますが、自治庁としても責任の重大なることを私は痛感しておるのではないかと考えておるのであります。つきましては、この際、自治庁としては、こうした事態にかんがみまして、全国の都道府県あるいは市町村の、選挙管理委員会に対してどのような手を打つか。すなわち、選挙管理委員会としての事務を公正に、しかも寸毛の間違いもないような形を今後整えるために、私は重大な警告を発すべき段階ではなかろうか思とっておるのでありますが、これに対する兼子選挙部長所信と明確なる答弁を希望するものであります。
  213. 兼子秀夫

    ○兼子政府委員 お答えいたします。仙台市長選挙事件につきましては、私どもといたしましては、まだ警察の方の調べもついておらぬようでありますが、本日三人の参考人の方のお話を開きまして実情がはっきりしてきたような気もいたすのでございますが、なおいましばらく、実情のはっきりするまで私どもの態度はきまらないと思います。ただ、選挙の公正確保ということにつきましては、今森委員から御意見が出ました通り、私どもは、この仙台事件がかりに不正の手段が講ぜられなくて単に誤まりであったといたしましても、各方面に非常に御迷惑をかけておると思います。でありますから、選挙管理委員会事務の運営に当りまして将来の信用回復をするということを、その当該の選挙管理委員会でやってもらうことはもちろんのこと、全国的に徳島の事件あるいは今回の事件の周知徹底をはかりまして、さらに実務に間違いのないように、また職員等の資質の改善ということに十分努力いたしたい、かように考えております。
  214. 島上善五郎

    島上委員長 この際参考人各位に一言お礼を申し上げます。各位には炎暑の中を長時間にわたり種々貴重な事情のご説明並びに御意見の開陳をせられましたことに対して、厚くお礼を申し上げます。当委員会といたしましては、この事件は非常に多くの問題点を含んでいると思われますので、今後選挙法改正に関連して各位の公述を十分参考とし、今後の調査を進めて参りたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもってお知らせいたします。午後五時八分散会