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1955-07-06 第22回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月六日(水曜日)    午後一時四十九分開議  出席委員    委員長 島上善五郎君    理事 小金 義照君 理事 片島  港君    理事 井堀 繁雄君       大村 清一君    杉浦 武雄君       古川 丈吉君    木原津與志君       森 三樹二君    山口丈太郎君       佐々木良作君    鈴木 義男君       石野 久男君  出席政府委員         警  視  長         (警察庁刑事部         長)      中川 薫治君         検     事         (刑事局長)  井本 臺吉君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁選挙部         選挙課長)   降矢 敬義君         総理府事務官         (自治庁選挙部         管理課長)   桜沢東兵衛君         衆議院法制局参         事         (第一部長)  三浦 義男君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人招致に関する件  公職選挙法改正に関する件     ―――――――――――――
  2. 島上善五郎

    島上委員長 これより会議を開きます。  公職選下法改正に関する件について調査を行います。発言の通告がありますので、これを許します。古川丈吉君。
  3. 古川丈吉

    古川委員 現行法解釈上、選挙運動に従事する運動員数は、街頭車に乗る場合であるとか、街頭演説会等においては制限があるけれども、その他につきましては、その数に制限はないと解釈して差しつかえありませんか。
  4. 中川薫治

    中川(薫)政府委員 われわれはそのように解釈しております。
  5. 古川丈吉

    古川委員 候補者または選挙事務長等が、候補者または選挙事務長親類であるとか、あるいは非常に親しくしておる人であるというような、特殊な関係の人に選挙運動依頼するために頼みに行くことは戸別訪問にならないと解釈いたしますが、これは差しつかえございませんか。
  6. 中川薫治

    中川(薫)政府委員 ただいまの御質問趣旨はわかりましたが、その運動依頼行為が、投票依頼のために個々戸別に歩いていると認められない限り、罪とならないと思います。
  7. 古川丈吉

    古川委員 投票依頼と認められない限りという御答弁でございますが、普通頼みに行きます場合は、実は今度私が立候補するので選挙運動をしてもらいたいというようなことで、そういう表現で行く場合にはわれわれは差しつかえないと解釈しておるのですけれども、そういう方法ならば差しつかえないわけでございますか。
  8. 中川薫治

    中川(薫)政府委員 事実認定になろうかと思いますが、その行為内容はいろいろございましょうけれども、客観的に見て投票依頼と認められ、また個々に歩いておると認められる場合には戸別訪問となります。そうでなく、客観的に見ましても全くそういう行為がないというような限界の場合は、先ほど申しました通り罪とならないわけであります。
  9. 古川丈吉

    古川委員 この問題は非常にむずかしい問題で、ぜひとも本委員会においてはっきりさせていただきたいと私は思うのでございます。取締り当局やり方をじっと見ておりますと、その土地の有力者頼みに行くような場合には戸別訪問にならないけれども、そうでない人のところに行くときには戸別訪問になるというような解釈をする取締りやり方があるようでありますが、私の考えでは、たとえば私の親類内に非常に微力な者がおりましても、私が立候補するときに、そのところに行って選挙運動を頼む、立候補をするからよろしく頼むということば当然のことで、法の精神からいって許さるべきことである。また、人によっては、親戚知己というような交際の範囲が非常に区々まちまちでございますから、連動員を頼める範囲も、候補者によって、また運動員の幹部の性格によって非常に違う。けれども、そういう場合でも、特殊な関係運動依頼するというようなことは、現在の現行法解釈からいえば当然許さるべきことであると私たち解釈しておりますが、ともすれば、取締り当局解釈は非常に狭いということを私たちは体験をいたしておりますので、その点をこの機会においてはっきりしていただきたいと思いまして、質問を申し上げておるわけであります。いま一度はっきりと御答弁を願いたいと思います。
  10. 中川薫治

    中川(薫)政府委員 御指摘のように事実認定は非常にむずかしいのでありまして、最初は捜査機関がやりますけれども、最後は裁判所ということになろうかと思います。われわれ第一線で取締りをしていく場合の心がまえでありますが、先ほど御指摘になりましたごとく、有力者であるからどうとか、有力者でないからどうというような判断はとるべきではない。ところが、選挙が行われる場合において、通常理解できるような状態の場合において、今度自分選挙に出る、ついては、君、運動頼みたいというような行為通常行われる範囲内におきましては、これは公職選挙法に触れない。ところが、その行為内容が、言動だけから判断はできませんけれども、行為内容が、個々に歩いている、ずっと戸別に何軒か歩いておる、その内容が、投票依頼的と申しますか、有権者に対して投票依頼するという実態を伴っておる、言葉内容連動々々という言葉を使っておりますけれども、行為の内応が投票を得ようとする行為であるという実態を持っておる場合は、戸別訪問等の犯罪になる、こういうふうにわれわれは公職選挙法解釈いたしております。その解釈について、具体的の行為がありました場合におきまして、あわてて結論を出さないように、いろいろ状況を見まして、あれは連動依頼だといって回っておるけれども、相当ひどいじゃないか、投票を得るための行為じゃないかと思われたときには、戸別訪問などでだんだん処置していく。そうではなくて、全く運動依頼である、選挙になればいろいろな運動員が必要でございますから、そういう運動を頼んでおるという状況範囲、そういうことに関連するかと思いますが、そういう根本的な立場法律解釈から当然出てきますので、そのようなことは明確に言えると思いますけれども、具体的に何ほど運動依頼をして回れば違反になるかということになりますと、やはり選挙状況にもよります。衆議院議員の場合とか、村会議員の場合とか、いろいろ選挙状況にもよるのでありまして、全く社会通念から判断するより手がないのじゃないかと思います。現行公職選挙法はそういうふうに判断しなければならない場合がたくさんございます。たとえば事前運動などもそうでございますが、それと同様に、健全な社会常識判断するということが一番正しいことである、現行法解釈としてはそれ以外に道はないとわれわれは思っておるのでございます。
  11. 古川丈吉

    古川委員 今の御答弁で、客観的にとかあるいは常識的にとかいう言葉がございましたけれども、それがなかなかむずかしいので、たとえば甲の人間が立候補する場合に、いなかのことでありますと、その村の人々はみな選挙運動を実際問題として頼まないでもやる。これは例が非常に多いのであります。その人々は、自分親類が方々にございますが、ある親類のところへ行って、今度初めて候補者で出る、地盤もないので一つお前この付近の運動をやってくれないかという場合があり得るわけであります。ところが、そういう場合にも、ともすれば取締り当局はこれを戸別訪問として取り締る傾きがある。特に、いなかでありますると、そういうふうな事前的な個別訪問意味でなく――私どもはこれを戸別訪問じゃないと解釈しておりますが、そういうふうな関係で、比較的広く運動員を頼むような情勢になりがちである。そういう場合にはこれは戸別訪問じゃないと私は思っておるのでございますが、ただいまのお話だと、非常ににむずかしい問題で、常識判断するとかあるいは客観的判断でするとかいうことになりますと、なかなか実際問題としてむずかしいのでして、取締り方手かげんいかようにもなる。そういうようにただ個々投票依頼するのではなくて、少くとも、その人を中心とし、その人の能力のある限り、また選挙法の許されている限り票を集めてもらうという趣旨依頼ならば、これは、選挙運動依頼するものであって、公職選考法には抵触しない、違反にならないと私は解釈するのでありますが、いかがでございますか。
  12. 中川薫治

    中川(薫)政府委員 繰り返して同じことを申し上げて恐縮なんでありますが、むずかしいとか客観的という言葉をたくさん使いましたが、われわれ事務吏僚といたしまして、ただいま御指摘の点は公職選挙法解釈するときの共通の悩みです。やや個人の意見になって恐縮でありますが、われわれ専務吏僚的な感覚からいえば、公職選挙法立法なさる際に、なるべく具体的に、これこれがこうだというふうに例文があるということがむしろ好ましいのでありますが、そうなりますと、そういう立法を皆さんの方で御研究になったときに、また何か脱法する者が出てくるだろうという御趣旨だろうと思いますが、それで多くの条文がそうなっておるのでありますけれども、「投票を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもって」というふうに、大体概念ははっきりしているのです。目的ということは、関係者が明示する場合もございましょうが、暗黙でやる場合もございましょうし、いろいろございますので、そういう認定をする場合におきましては、四囲の情勢とか、関係者の数とか、選挙性質――性質といっても悪い意味じゃありませんが、大きな選挙、たとえば全国区の選挙であるとか、一市町村の小さい選挙であるとか、そういうことによって裁量が違ってくるだろうと思います。それで、抽象的に法律で規定しておりますところの「投票を得若しくは得しめ又は得しめない目約」、こういう目的を推知し得る状況において戸別訪問が行われておるかどうかという認定になってくると思うのです。それが、確かに御指摘のように、肝心の言うことは誤りじゃないか、客観的じゃないじゃないかということはごもっともです。われわれ事務吏僚考え方としては、たとえば戸別訪問でも、列挙正義で、こうこうこういうようなことは違反だということを立法としてやってもらえれば、解釈としては楽ですけれども、そういうことになればまた弊害もあろうと思って、こういう立法になっていると私は推察しているわけです。たとえば御指摘戸別訪問を百三十八条のごとき立法に基いて執行しなければならぬわれわれの立場になりますと、ただいま申し上げましたような方法で、具体的の場合に具体的の認定をしなければならぬ。その認定をする場合において、えこひいきがあったり、あるいはためにするためにいろいろなことをするということがあっては申しわけないので、こういう点は厳重にわれわれ関係者は自粛自戒して、物事をすべて、客観的に判断するように訓練をしている。そういう訓練に努めておるつもりですけれども、不幸にして、間違った場合には裁判その他の処置がある、こういうふうにならざるを得ないのじゃないかと思います。  これは私たちがいつも公職選挙法の各条文解釈で最も苦しむところでございまして、百三十八条もそうですが、たとえば事前運動の問題でもそうでございまして、一般政治活動は合法である、しかし届出前に選挙目的に何かすることは違法である、こういうふうに認定する場合も同様の悩みを持つわけですけれども、そういった悩みは、現行法律体系上、われわれとしてはやむを得ざることである。むしろ事務的にいうと、何かもっと便利な方法はないかということを常々お願いもしようかという気にもなるのですけれども、そういう点はこういう法律体系上やむないことだと思いまして、そういう点をわれわれはなるべく客観的に、なるべくものを公平に、主観的な判断でなしに、できれば関係者の多くが協議して、具体的に申しますならば、われわれはそういう場合にはよく検察庁その他と合議する、場合によっては、一般的な問題として、選挙管理委員会一つ啓蒙指導活動をやってもらうというような行為をやりまして、なるべく客観的にものを進めたいという意欲は持っているのですけれども、御指摘の、ここで綿をきちんと引けとおっしゃられましても、事柄がそう行かぬのじゃなかろうか、こういうふうに私ども思っているのですが、その点御批判いただきたいと思います。
  13. 古川丈吉

    古川委員 御答弁趣旨はわかりまするが、少くとも訪問する先のその家の票だけを依頼するのじゃなくて、その人にさらに多数の票を獲得してもらうという積極的な連動依頼する意味が含まれている場合は、これは単なる戸別訪問じゃない、こういうふうに解釈してはいかがなものでしょう。
  14. 中川薫治

    中川(薫)政府委員 これは、せっかくの御質問でございますけれども、まことに恐縮でございますが、公職選手法百二十八条になりますので、むしろ、御指摘のことよりも、逆にそういった行為の中に「投票を得若しくは得しめ又は得しめない目的」があったかどうか。ほかに目的があろうと何であろうとこれは別として、その具体的な行為内容の中に「投票を得若しくは得しめ又は得しめない目的」があったかどうかということが認定基準であろうと思うのです。運動依頼する意志があったかどうかということよりも、そのやった行為の中に「選挙に関し、投票を得若しくは得しめ又は得しめない目的」の行為がないかどうか、こういうことが認定基準であろうと思うのです。
  15. 古川丈吉

    古川委員 それは、運動依頼する以上は、その人の投票はもちろんこちらは当然含むので、その人の投票をかまわぬというような意味は私は常識から考えて絶対にない。その人の投票だけを目的に行く場合は戸別訪問だけれども、そうでなく、広く運動依頼するという意味ならば、これは戸別訪問じゃない、こういうような工合に解釈はできないものでしょうか。
  16. 中川薫治

    中川(薫)政府委員 御趣旨の点はよく私も理解できるのでありますが、こういうことになるのです。われわれ事務屋として考えておりますことは、選挙運動依頼する以上は、その人がたまたま有権者である場合は、君の投票はだれに入れてもらおうと勝手だ、しかしこういう演説会に出てもらいたいんだ、こういうことは社会慣行上ありませんから、連動一つ頼むということの中には、やはり投票のことも若干は入ろうかと思いますけれども、その行為の全体が「選挙に関し、投票を得」ということを中心にした行為だと認められる限りは、戸別訪問になる。それで、選挙運動をやる以上は、これは社会常識として運動員を頼まなければならぬ、そういう点を社会常識上許される範囲内のことで――もちろん、先ほどから申し上げるように、運動員は確かに無制限ではございますけれども、大体選挙運動依頼するのにはその程度のことが行われると認められるという状況であれば、戸別訪問に該当しない、こう解釈せざるを得ないのじゃないかと思うのです。
  17. 島上善五郎

    島上委員長 なお、ただいま、前国会、その前の国会以来選挙法改正に専門的に携わって参りまし法制局三浦弟部長が参りました。もし必要がありましたならば、三浦部長に御質問願います。
  18. 古川丈吉

    古川委員 それから弁当料のことについてちょっと伺いたいのでございますが、弁当料は大体日に三百円は運動員に提供することができる。この場合に、御承知のように選挙運動というものは夜おそくまでやる。従って朝出てくるのがおそい。実際事務所でも朝おそくて夜がおそいのが普通でございます。そういう場合、昼ごろから出てきても、これは一日分の弁当料をやるということは法律的に差しつかえない、こう私たち考えております。それからまた、実際弁当料三百円を出し得るんだが、その弁当は、実際運動員が買って食べたのではなく、自分のうちでも食べておる、こういう場合も出し得る、こう解釈しておるのですが、これは間違いありませんでしょうか。
  19. 降矢敬義

    降矢説明員 ただいまの御質問でございますが、実際その事務所に来て三食食べました場合には、運動員実費弁償として一日に三百円、一食につき百円以内で出せるのでございますけれども、そこで全然食事をしていないという場合には、実費弁償という考え方に入ってきませんので、出せないじゃないか、こういうように考えております。
  20. 古川丈吉

    古川委員 そうすると、実際に金を出して食わなければ実費弁償として出せないというわけですか。
  21. 降矢敬義

    降矢説明員 全然弁当はとらないという場合ですね。
  22. 古川丈吉

    古川委員 いや、たとえば町の方ですと外へ出て大がい買って食うかもしれませんけれども、いなかの場合自分のうちで食って、そうして運動してくれる。実際にやっている十五人の分だけは自分事務書でやることができるし、それを超過する場合は法定の選挙費用で支払えるのですけれども、実際は買って食わない。しかしそれも三百円の限度まではこれは払っていいものだ、こう私は解釈いたしておりますが、それは間違いでございますか。
  23. 降矢敬義

    降矢説明員 それはできないというふうに解釈しております。
  24. 古川丈吉

    古川委員 それでは、弁当を買って食っていない場合は、実費弁償を支払えないわけですか。
  25. 降矢敬義

    降矢説明員 食事をしていない場合はです。だから自分のうちで昼食を食べてこられるというような場合のことを先生はお考えになっておられるようですが、その場合には、運動のためでなく、むしろ通常自分のうちで昼飯を食べてから来ているのであるというふうに私たち解釈しております。わざわざ運動のために昼飯自分のうちで食べてから、それから運動に従事されたのではなくして、通常昼になれば自分のうちで御飯を食べるということで食べられておりますので、運動に従事する実費弁償としては出せないというふうに考えております。
  26. 古川丈吉

    古川委員 一日運動の実際に従事しておっても、自宅で飯を食う場合には弁当料は払えないのですか。
  27. 降矢敬義

    降矢説明員 その通りでございます。
  28. 古川丈吉

    古川委員 そうすると、自分弁当を食うのでも、自宅で飯を食っているのでも、いなかでは米はあるけれども副食の材料は買っておるはずですが、その点はどうなんですか。
  29. 降矢敬義

    降矢説明員 食管法の問題でございますか、御指摘の点……。
  30. 古川丈吉

    古川委員 たとい自宅で飯を食っておっても、その飯の原料は全部うちにあるわけではない、みそしょうゆでもやはり買っておるわけだが、そういうものは一体どうなるのですか。
  31. 降矢敬義

    降矢説明員 先ほどお答え申し上げました通り通常家庭生活において昼飯を食べる時刻に食べるということに考えておりますので、生活の一部としてみそしょうゆ自分のうちで使用したと考えておるわけでございます。だから今までうちに持っておったみそしょうゆその他のものが、わざわざ選挙運動のために特に使われたのだとは考えていないわけでございます。
  32. 古川丈吉

    古川委員 そうしますと、選挙運動に従事する者が、選挙事務所弁当を提供する場合はもちろん問題はございませんが、そうでなくて、外で実際に飯を食って、その食った飯の金を払っておらなければ、その分を支払ってはいけないわけですか。
  33. 降矢敬義

    降矢説明員 たとえば飲食店昼飯を実際食べたという場合以外は、実費弁償でございますから、払うことができないわけでございます。つまり全然食べていないという場合は払うことができない。実費弁償ですから、そう考えておるわけでございます。
  34. 古川丈吉

    古川委員 わかりました。  それから、総括主宰者のことについて伺いたいのでございますが、総括主宰者というのは単数のものでございますが、複数があり得るわけでございますか。
  35. 井本臺吉

    井本政府委員 総括主宰者は、単数の場合もございますし、複数の場合もございます。
  36. 古川丈吉

    古川委員 複数の場合がありますと、どの程度まで総括主宰者と言うわけでございますか。
  37. 井本臺吉

    井本政府委員 総括主宰者というのは、非常にわかっているようでわからない。結局われわれも判例に従ってきめていかなければならぬと思うのでございます。判例一つを読み上げますと、たとえば、これは古い大審院時代判例でございますけれども、昭和十二年三月十五日の判例で、「法ニ所謂事実上ノ総括主宰者タルカニハ必スシモ全部自ラ独断専行シ選挙務長ハニ其ノ虚位ヲ擁シタル場合ニノミニ限定セラルヘキモノニ非スシテ之ニ参画スルコトアリトスルモ判示証拠説明明白ニスルカ如ク被告人ニオイテ事実上該運動選挙運動)ノ中心勢力形成ナル限リ尚之総括主宰者ナリト謂フヲ妨ケサルモノトス」かような判例が出ております。普通の場合には総括主宰者は一人の場合が多いと思いますけれども、地域別に分担しまして、全般としては総括主宰するという場合には、複数の場合もあるというふうに考えます。
  38. 古川丈吉

    古川委員 地域別責任者を設けた場合に、その地域別責任者総括主宰者ではないわけでございますか。ちょっと聞き漏らしましたが……。
  39. 井本臺吉

    井本政府委員 それは、お互いにAB画地区を分担しまして、その地区内を総括主宰しておるという場合には、やはりA地区総括主宰者も法にいわゆる総括主宰者であると考えております。
  40. 古川丈吉

    古川委員 そうしますと、この条文は非常にあいまいな、しかも影響するところが非常に多きもので、これは一つはっきりしてもらいたいと思うのてありますが、取締り考え方によっては、総括主宰者を押っつけられて非常に広い解釈もできるし、これは非常に重要な問題だと考えます。ただ、今お話しした通り選挙には従来事務長というものがありまして、現在は事務長届出制にはなっておらないけれども、少くとも、選挙常識といたしては、事務長というものは一応総括主宰者とし、しかもちょうちんであるとか看板であるとかいうようなものに一切その人の名前を書いておる。ほかの運動員がたくさんおるけれども、その主要人物がほかの人よりも重きをなしておって、その人は実際においてはこまごましたことはやらなくても、その人のもとにおいてこそ初めて全体の運動員がまとまる、こういうような場合には、私はその人が総括主宰者というふうに解釈いたします。また、連動員の中にはおのおの分担がありましても、たとえば該当演説担当運動員もあり、それがまた非常に働く場合も、今のお話しでありますと、地域別もそうでありますけれども、そういう解釈を広げると、結局その部門の責任者演説担当者あるいは推薦状担当者というような場合、多少違うかもしれませんけれども、総括主宰者解釈されるような場合がなきにしもあらずと思いますが、その点はどんなものでございましょうか。
  41. 井本臺吉

    井本政府委員 先ほど申し上げました通り総括主宰者というのは一人であるのが原則と思います。ただ、複数の場合も、複数の者が共同して総括主宰者であるときには、その従事する仕事が違う場合、地域別にその仕事を分担しますけれども、共同してやる場合に複数のことがあり得るということで、普通の場合にはそういう例はないと思います。お話のような場合には、むしろ総括主宰者指揮を受けてやっておったのだということになりますから、そのような場合には、指揮を受けてやっておった方の者は総括主宰者にはならないというふうに考えます。
  42. 古川丈吉

    古川委員 次に、選挙法の罰則のことについて意見を申し上げたいのでございますが、今度の連座規定によりますと、買収供応違反によって総括主宰者または出納責任者が刑に処せられた場合には、本人の当選は無効になる、こういう条文がございますが、この間の委員会政府からの説明を聞きますと、選挙違反を行いまして、体刑またはその体刑執行猶予につきまして選手権を停止しない、こういうような結果になっておる者が二六・八%ございます。それからまた罰金刑において選挙権を停止しない者が七五%を占めておる。こういうわけで、候補者本人があるいは違反を起しましても、罰金刑買収供応の軽いものでありますと、あるいは体刑を受け、あるいは体刑執行猶予になり、また罰金刑を受ける場合があると思います。この場合に、ただいま申し上げましたように、体刑または体刑執行猶予の処分を受けた者でも二六・八%の公民権を停止せられない場合がある。また罰金刑におきましては七五%まで公民権を停止されない。しかるにもかかわらず、この連座規定は、連座趣旨は賛成でございますけれども、本人違反を起さないで、出納責任者または総括主宰者が犯罪を犯した場合におきましては、例外なく当選は無効になるということは、法の処罰の均衡が非常にとれないと思うのでありますが、その点はいかがでございますか。
  43. 井本臺吉

    井本政府委員 候補者自身が選挙法によって処分された場合には、かりにその候補者自身の公民権が停止せられないという場合にも、これは失格すると私は考えております。従って、連座規定で、総括主宰者出納責任者が処分されたという場合には、これがかりに公民権の停止になったという場合でも、それと比較いたしまして失格することも当然ではないかと私は出考えております。
  44. 古川丈吉

    古川委員 候補者自身が違反を起して処罰を受けた場合に、懲役三カ月、執行猶予二年、ただし公民権を停止せずという場合があり得るじゃないですか。その場合には失格しないのじゃないですか。しますか。
  45. 井本臺吉

    井本政府委員 当該の選挙であれば失格いたします。前の選挙でありますと、その場合に失格にならない場合もあります。たとえば前々回の総選挙選挙違反に問われまして、その選挙違反につきましては公民権を停止せずというような場合には、候補者自身失格しない場合もありますが、当該の選挙においては失格することになります。
  46. 古川丈吉

    古川委員 この間中川政府委員の堀川委員に対する答弁につきまして、私、ちょっと物足らない点がありましたので、重ねて御質問いたします。それはどういうことかと言いますると、あらかじめ戸別訪問に行くのを見ておって、それについて行って、四、五軒行くのを見て後に初めて戸別訪問としてつかまえちゃうというようなことで、それをなぜ、一軒行ったところで注意しないか、こういうような堀川委員の質問のように思いましたが、それは、そんなことをすれば、戸別訪問をやってつかまらないやつは得をするというような趣旨答弁をしておられたようですが、これは私は考え方が違う。そんな場合には、中川政府委員は今でもそういう考えを持っておられるか確かめたいと思うのでありますが、もしそういう考えを持っておられれば、私は間違いだと思う。もし一軒戸別訪問をしておったら、これはいかぬと注意してやるのが当りまえで、四、五軒行って犯罪を構成するまで待とうという取締りをするが、そんなことを許したならば戸別訪問取締りはできないと言うことは、私は理屈に合わぬと考えますが、いかがでございますか。
  47. 中川薫治

    中川(薫)政府委員 過般当委員会で堀川委員から御指摘があった点もお説の通りです。警察は検挙の結果より犯罪防止を考えなければならぬ。警察官がいろいろ日常のパトロールその他をしている場合において、ある特定の人が戸別訪問らしきことをやっておる、すると、直ちに戸別訪問の罪にわたらぬ範囲において警告などをして防止したらいいじゃないか。御趣旨は私も賛成なのです。ところが、私はそこでつけ加えて申したことは、われわれ取締り官憲がそういうふうにいろいろ証拠を集める活動をしておるときに、犯罪が完成する以前にいわゆる制止その他をやるということの考え方は私も反対でないのですけれども、実際われわれが戸別訪問を視察しているときに、すべて事前に、やってしまうという立場をかりにとった場合におきまして、どういう結果が招来するであろうかということを中心に申し上げたのでありますが、その点は、そういうことを例外なく警察当局がとるという立場をとりますと、戸別訪問した関係者が特定の――例をあげて申し上げますと、ある候補者戸別訪問戦術をおとりになるとしますと、警察は戸別訪問は犯罪ですから一生懸命やっておる、ほかの面もやっておりますけれども、戸別訪問をやっておる、しかし見つからぬようにやればいいのだ、たまたま見つかっても、その方も防止でいいのだ、そうすると、あまり損がないので、どしどし戸別訪問をやろうじゃないかということになれば、公職選挙法の全体の趣旨にもとる点もあるので、そういう点もお含みおきを願いたい。犯罪防止活動を警察がやるという点もよくわかりますけれども、すべてそういう原則をとることによっての弊害もお含みおき願いたい。それで全体の調和をとりながら、われわれ罪を作ることが本旨でございませんので、戸別訪問の要素が多い場合あるいは戸別訪問をする気配が多くなった場合におきましては、選挙管理委員へ会等において関係事務長なり候補者の方々にお集まり願って、戸別訪問などは犯罪であるから、よくおわかりのことだろうけれども、とかくそういう傾向があるから、そういうことをやめてもらいたいという措置をとる場合もありましょう。それでいろいろそういったことについて防犯活動をやるということについては、私は趣旨は賛成でございますけれども、その犯罪捜査の場合に、証拠収集の途中においてすべて防犯活動をとるべしということになれば、ただいま私が申したような弊害も出てきますので、それもあわせてお考え願わないと、公職選挙法を忠実に守って、これに基いて選挙の公正を確保する一翼として取締り官憲が活動するという趣旨にもとる点があるから、その点も御了承おき順いたいという趣旨で申したのです。その点私今も同様に考えておりますが、そのように御了承いただかないと、戸別訪問に限りませんけれども、選挙のそれ以外の犯罪も、すべて見つからなければやり得だというふうな風潮にかりになりました場合におきまして、選挙全体の公正確保上いかがか、こういう点をただいまも思っておるのでございます。
  48. 古川丈吉

    古川委員 私は中川政府委員説明ではまだ満足しないのです。というのは、あなたのおっしゃる通り、一軒戸別訪問したときに抑えると、戸別訪問なんかはどんどんやるような気持が直らぬので悪い、こういう御答弁のようでございますが、私はそれは一軒でも予防したらいいと思う。そして実際買収でも供応でも、現場を押えて直すのじゃなくて、あとから調べてわかる場合が多いのだから、戸別訪問だって、そういう工合にやったところで、やはりあとで見つかる場合もあるので、あとで見つかれば処罰されるのだから、戸別訪問はした方が得だということには私はならぬと思う。どうもやはり長い間取締りの当局におられたせいか知りませんけれども、何かあらかじめ犯罪を予定して、このわなにはまらぬかと待ちかまえているような気持が、私はあなたの答弁の中に気持の上で一貫しているように思えて仕方がないのですが、その点一ついま一度反省してもらいたいと思います。  それから、現在の選挙法では、政治結社は選挙運動ができる。これは参議院の公職選挙法改正の緑風会の意見にも出ておりますが、少くとも議会に代表者を送る政治結社でなければ、政治活動はともかくとして、選挙運動をしてはいかぬ、こういう方向に選挙法を改正すべきだと私は思うのでございます。これは自治庁の主管かと思いますが、きょうは選挙部長がおられないので、いささか気抜けしたような形でございますけれども、自治庁でなくても、取締り当局のお考え一つ参考のために承わりたいと存じます。
  49. 降矢敬義

    降矢説明員 古川委員の御質問でございますが、考え方としてはそういう考え方があると思いますけれども、政党というものをどういうふうに考えるべきかという法的な規制の面から行きますと、それがはっきりしない以上、国会に議席を持つ政党というふうにすぐ限定できるかどうかということに疑問を持っているわけでございます。
  50. 古川丈吉

    古川委員 その点につきましてわれわれは全く反対な考えを持っておるのでございますが、そういうお考えならばまた仕方がありませんけれども、私たちはまことに不合理だと思う。これは革新政党の諸君もたくさんおられますが、戸別訪問は厳格に解釈されるし、片方においては、それは保守政党にもそういうような政治結社の応援をする団体もございますけれども、しかし、特に革新政党の筋の選挙運動にはそういうものが多いので、私たちはこれはまことに不合理だ、こういう意見を持っておるのでございます。これはただ意見だけ申し上げておきます。  これで大体私の伺いたいことは終りました。
  51. 島上善五郎

    島上委員長 森三樹二君。
  52. 森三樹二

    ○森(三)委員 私は、せんだって、仙台の市長選挙の問題と、もう一つは江戸川区の区会議員の選挙に関して質疑をいたしましたが、本日はさらに仙台の市長選挙の問題について御質疑をしたいと思うものであります。  実は、仙台の問題は、われわれも多少調査いたしましたが、調査をすればするほど、選挙管理委員会の計画的な投票そのものの増減、あるいは包み紙を破って増減したこともだんだんと明らかになって参りましたし、また、仙台の警察も、再三これに対する調査の申し立てをしておるけれども、何ら手をつけていないという事実も判明してきた。しかも、選挙に関して暴行事件が起っておるのに、それさえも仙台の警察は知らずにおるという、従来の市長に対する密接な関係というか、われわれから見ると、ぐるになって選挙を応援したというかども見えるのでありますが、こういう事案がだんだんとわかってきたわけです。つきましては、私どもは、これは証人でも呼んで当委員会で徹底的に究明したい、このようにも考えております。また仙台に出張して調べなければならぬ事態も発生しておるわけでありますから、当局においても、自治庁あるいは警察あるいは法務省においても、できるだけ事態の正確な調査とその善処方を私は要求してやまないのでありますが、これにつきまして当局において調査されておると思いますから、その調査された内容をお聞きいたしまして、逐次質疑を進めたいと思います。
  53. 桜沢東兵衛

    ○桜沢説明員 仙台の市長選挙の問題でございますが、これにつきまして当方におきまして調査した概要を申し上げます。  あの仙台の市長選挙につきましては、岡崎栄松、島野武、高橋三郎の三名が立候補いたしまして、保守系でございます前市長の岡崎栄松氏と、革新系の支持いたします島野武氏の接戦となりまして、岡崎氏が五百五十九票の得票差で当選人となったのであります。この選挙の結果につきまして、五月十二日に、佐藤輝夫ほか二名から、市、長選挙に関します選挙と当選の無効の異議申し立てがあったわけでございます。この異議申し立ては、岡崎派が島野武候補に対しまして悪質な選挙妨害をしたことと、それから開票手続において投票の過不足などの不正事実があったことを主たる理由としておるのでございます。なお、この異議申立人の佐藤暉夫氏は、五月十六日に、仙台の地方裁判所に対しまして、全部の投票並びに投票録、開票録等の関係書類の証拠保全の申請をされまして、裁判所は、五月二十三日から三十一日までの間に全部の投票を点検いたしまして、六月一日この投票録並びに開票録等の関係一類を検証したのでございます。その検証の結果、関係書類に記録されているものと実際の投票数とは相当相違しておることが発見されたわけでございます。すなわち、各投票録記載の投票者の総数十六万二千五十八人に対しまして、裁判所が確認いたしました投票の総数は十六万二千八十票でございまして、二十二票の超過となっておるのでございます。各候補者の得票数の計算は、有効投票を各候補者に選別いたしまして、これを五十票ごとに一括一束として処理しておるのでありますが、この束が全部で三千百三十二束ありまして、このうち五十一票ないし五十三票の含まれておる束が五十六束、四十九票ないし四十票の含まれておる束が十二束発見されたのでございます。これがこの仙台市長選挙に関する争訟と証拠保全の手続のあらましでございます。  この異議申し立てに対しましては、市の選挙管理委員会におきまして審査をいたしました結果、証拠保全の手続がございましたので若干決定に手間取ったわけでございますが、去る六月三十日にこれを棄却と決定したわけでございます。市の選挙管理委員会の棄却の理由といたしましては、三人の候補者投票にいずれも多少の過不足がありましたし、また各候補者の得票の中に他の候補者の得票が若干混入しておった。さらに無効と判断されるような投票も各候補者の得票中にそれぞれ混入いたしておりましたので、これを整理いたしましたり、無効投票の中から拾い上げた有効投票もそれぞれ加算いたしました結果、各候補者の得票数は選挙管理委員会において決定した得票数に比べて異同を生ずることになったのであります。この調査の結果によって異同を生じました得票数は、選挙の効力あるいは当選効力に影響を及ぼすようなものではなかったのであります。  それから、得票の五十票束の過不足が、申立人の言うように岡崎候補だけに有利に混入しあるいは計算されておって、島野候補の方には不利に計算されるように増減されたという事実は全く認められないと申しております。  それから、不足束と、混入しておる束と、票数の超過しておる束が各候補者の得票の中にございましたので、これを整理いたしました結果、各候補者の得票数に幾分変動を生ずることになったのでありますが、一人の候補者だけに有利にはかったという事実は見出せないのであります。  それから、第三開票所と第七開票所で立会人に投票の包みの封印をさせなかったという申し立てにつきましては、故意に封印を拒否した事実はなくて、開票所の事務が終ってから後に投票の包みの封印をするときに、立会人が退場しておったので、管理者だけが封印をしたのであります。  それから、第三開票所で、開票事務の終る前に、白紙のままで開票録に立会人の署名捺印をさせたということにつきましては、開票所において結果が判明すれば、立会人の事務の終了を待たないで退場してしまうというような例があったのでございます。それで、ことに今回の場合には市議会議員の選挙が同時に行われました関係上、市議会議選挙の立会人が十名でございまして、事務が混乱するのを防ぐ意味で、得票数の確定した後にさらに開票録を確認することをあらかじめ立会人が了解した上で署名捺印を行なったものである。  こういう理由から、申立人の主張するような違反の事実はないので、今回の選挙を無効とする理由もなく、また当選の効力につきましても、審査の結果申し立てのような不正事実が発見できませんので、得票についても当選の効力に影響を及ぼすような事由はないという理由のもとに、この異議申し立ての却下をいたしたのでございます。  なお、その後この事件につきましては訴願をされるというような話を聞いておりますが、現在の段階では却下しただけの状態になっておるわけでございます。
  54. 森三樹二

    ○森(三)委員 私は本日兼子選挙部長が見えなくて非常に遺憾に思うのです。課長が一応出ておりますけれども、ただいま課長が書類を読みながら報告をしたのは、仙台の市の選挙管理委員会自分らのやりましたことを、自治庁に対して全く表面を糊塗して、そうして何事もなかったのだ、われわれに多少の落度はあったけれども、投票の結果を左右するような大きな間違いはなかったのだ、全く事なく済んだのだというような、そういう報告書を送ってきてある。もっとも、自治庁としては、仙台に行って調べれば具体的にわかってきますけれども、書面だけの報告では、その内容はわからぬから、事なかれ主義の報告をしたのであろうと思うのでありますが、事実は、そういうような穏やかなものでなく、これは計画的ないわゆる犯罪行為により仙台の市長選挙が行われたということを、私は、十分自治庁も警察庁もあるいは法務省も頭の中に入れていただいて、そうして私のこれからの質問にお答え願いたいと思うのであります。  まず、岡崎という市長は第三選の市長であって、長い間仙台には非常に有力な選挙地盤を作り、しかも背任横領等によって市政を紊乱し、現在までに犯罪者として起訴されている事実もあるのです。そこで市民としては、何とかして今度は三選を阻止してフレッシュな革新的な市長を作りたいという気持が非常に強かったのでありますけれども、従来の市長は、根を張って、悪らつきわまる選挙運動をやった。私は、前会も、市の警察も市役所もあるいはその他の官庁も、事前運動あるいは買収によって、すっかりくるめられておった、このように申し上げておきましたが、まさに、調べれば調べるほど、その事実が判明してきたわけであります。結局、岡崎派としては、今度は非常に革新的な候補者が強いというので、計画的にあらゆる策略をいたしまして、得に収入役であった大場という人は、市長とともに辞任して、選挙事務長までも引き受けておる。そうして、当選しますと、また助役に就任しておるというような計画的な行為をやっておる。従いまして、市役所の部長、課長、それらのものは公然と戸別訪問をやり、あるいは選挙運動について日夜奔走したという事実が明確になっております。そうしてこれらの公務員のものが政治活動をするばかりでなく、その反面、知能的な計画的な選挙妨害が行われておる。その一例として、私はここに持参いたしましたが、このような、「私はだれでせう、一、赤で大学を追放された男、二、赤で懲役二年喰った男、三、我等の仙台を赤で染めようとする男」こういうポスターを、何万枚となく、一説によると飛行機でまいたといわれておるのですが、こういうものを公然とまいたのですよ。これに警察が手を染めてこれを調査しないということは、これは警察の怠慢――怠慢どころじゃない、警察もぐるになっているということが明らかにされている。こういうものがまかれておるという事実ですな、これを一つ十分見ていただきたい。  それから、これは政治連盟を結成して十七、八ある投票所にこれをずっと張り詰めた。「赤と陰謀と虚報を排して仙台を守りましょう」こういう。ポスターを張り詰めたわけです。それに対して島野派から徹底的に警察に抗議を申し込んだけれども、警察はさっぱり動いていないという事実、それに対しても、中川さんから、あとで、そういう申し入れがあったのに対して警察が動かなかったということについてもお調べ願いたいと思うのです。  それから、こういう悪らつな違反をしておるではないかといって選挙管理委員会に忠告をしますと、選挙管理委員会では、私らの方ではとにかく手が回りません、そういうことをだれがやったかということを一々とても調べられないというような、まことに了解に苦しむような回答をしておる。まことにわれわれとしては驚くべき選挙妨害が行われたのであります。そこで、さっき管理課長から言われましたが、選挙の票を調べたところが、開票のときより全体の票が三十二票増加した、それから投票に入場してきた者より票が二十三票増加したという報告がなされた。これは私はこのように考えるのです。それと関連して、あなたがさっき説明したのは、つまり五十票より多い束もあるいは五十栗より少い束も、これは島野派ばかりじゃなく岡崎派の方にもあったんだ、従って何ら島野派を不利にして岡崎派を有利にしようというような計画的なものじゃなかったんだというような報告が、仙台の市の選挙管理委員会から自治庁に対してなされておりまするが、ここに非常におそろしい計画が包蔵されておることをわれわれは発見しておるのです。と申しますことは、開票いたしましたそのとき、仙台の十七、八の開票所のうち、荒町という開票所における不正発覚事件があるのです。これは、開票をどんどんして、そうして立会人のところに五十票の束をどんどん運んでくるわけです。そうすると、立会人は、それを一応点検して、そうして集計をしておるわけです。ところで、そのときに、島野派の立会人の千賀という人が、一応当ってみようというので、島野派の五十票の束になった投票用紙を調べてみますと、驚くなかれ、そのとき島野派には五十一票の束が十一束出てきた。ところが、その反対に、岡崎の方については四十九票の束が二十二出てきたのです。そうしてさらに、三人の候補者でありますから、もう一人の高橋という候補者について調べたところが、五十票の束は過不足なく、五十票であったという事実、ここがそもそもこの問題の非常な重点であります。私どもは、このあとでもっていろいろ捜査をし、これから申し上げますが、第一番にこの事実が発覚したときこれを調べなければならぬのです。私どもは、当委員会にこの千賀という人をどうしても喚問して、徹底的に調べたいと思っております。そのときの投票所の事務担当者は、市の社会課長をやっておるところの星一雄という人が荒という開票所の責任者となっておった。そうして非常に驚いて、これは大へんな間違いをしましたと言って、一応その間違いを直して計算したのです。こういうおそるべきところの事態が発覚しておるわけなんです。これは非常に大きな問題になったわけでありますが、島野派としては、とうていこれは信用できないというので、選挙管理委員会に異議の申し立てをする、あるいは裁判所にこの選挙の訴訟――選挙あるいは当選の効力に関する異議の申し立てをしております。さっき課長はこの問題についてはっきりしなかったけれども、これはもう明確に仙台の裁判所の方にもしてあるわけなんです。そういうような実情でありまして、われわれはどうしてもこれは計画的な犯罪行為ありと認定する証拠が十分であります。  そこで、これは証拠保全のために写真もありますが、島野派と岡崎派に分けた票を包んだ包装紙が破けてしまっておる。ここにまたおそろしいトリック、計算があるわけです。結局、さっき課長が言ったように、島野派の方についても過不足の票がある、岡崎の方にも過不足の票があるようにしなければ、犯罪をやったことが明確になってくるから、このような事態が起きてきたら大へんだというので、今度は岡崎の方にも五十一票の束を作っておる、あるいは島野派の方にも四十八票とか九票の束の不足の票も作ってある、こういう事態が発生したわけです。そこで、地方裁判所と選挙管理委員会が再調査の結果、一応岡崎派、島野派全部をひっくるめて申しますと、五十一票の束が五十四束、それから四十九票の束が十一束、五十二票の束が二束、四十票の束が一束、それから五十三票の束が一束、こういうものが現れてきたのです。これは、裁判所の仮処分でちゃんとはっきりわかっておりますから、絶対正確です。今申し上げた票の中には、岡崎の方にも五十票より多いものも少いものもあり、島野派の方にも多いものも少いものもあるのです。それだから、選挙管理委員会は、これは間違いであって、どちらの方を有利にしたということはないのだ、故意でなくて過失だということを言って、結局選挙や当選の効力を左右するものではないのだという報告をなされておりますが、さっき私が申し上げましたように、この荒町の開票区における不正発見という問題が、これがすなわちおそるべき犯罪の発覚であり端緒であるので、この事態をわれわれは絶対に見のがすことができないのです。そうして、今申し上げたうちの、四十票という束が一束ありますが、これがだれの束かというと、これは島野派の束だというのです。島野派の束をあとで有利にやったという痕跡が十分ある。結局、問題がそういうふうに暴露してきますと、これは岡崎派ばかり有利にしたというのでは大へんだというので、特に島野派の票に四十票という極端なものまで作る。しかし、われわれがいかに考えても、四十票の束なんというものはあろうはずがないわけです。これは人為的に故意に作らなければ、四十票の束なんというものができるはずはありませんよ。しかも、先ほども選挙管理課長が言ったけれども、再調査の結果、全体の票よりも三十二票も増加し、さらにまた入場して投票した者の票より二十二票も票が増加しておるというような、おそるべき事態が発生しておる。そしてこれはもちろん計画的な犯行であります。  せんだって、徳島県の選挙管理委員会の不正事件に関しまして、徳島県選出の生田宏一君が当委員会で申し立てたように、徳島県では、選挙管理委員会に勤めておる男が、その投票用紙をどろぼうしてきて、そして五十票の束を五万円で売り歩いたという事実、そしてまたその五十票の束に特定の人の名前を書いていって、ポケットに入れて、そして開票所に行ってその票を出してすりかえようと思ったけれども、とうとうこれはできないでしまった、未遂に終ったという事件、こういう事件を生田宏一君が発表しております。これには各委員諸君もあぜんとしたのであります。しかも十六人が起訴されておるという事実でありまして、これもわれわれは徹底的に調査しようと思う。そういうおそろしい事件が起きておりますが、さらに、われわれが調査をいたしますと、全国的にこうした事犯がたくさん起きておるということがわかってきた。自治庁は全国の市町村の選挙管理委員会が公正な選挙の管理あるいは啓蒙をやっておると思っておったら、大間違いだ。これは、御承知であろうと思いますが、山梨県のある村においては棄権率が多くて困るというので――生活ができないからといって山に働きに行って、投票率が二割か三割になる。三百票というものが投票に来ないというと、そうすると、その三百票なら三行票という票を候補者の五人の人に平均に割って、そして名前を書いて投票しているという事実が山梨県で発覚しておるのです。これは数年前に犯罪として起訴されておる事件ですが、そういうおそるべき事件がたくさんある。これは私どももやろうと思えばできます。私が選挙理事務を担当して開票に立ち会う、そして出そうと思う人を自分で見て、夜百票なら百票の束をうちに持って帰って、そうして岡崎なら岡崎と書いてきてポケットに二つ入れておく、そうしていよいよ開票所に行って島野と書いた五十票の束と交換してしまう。そうしますとその百票の差が逆に二百票になってくる。そういうのは、その開票所でもって十人なり二十人の人が組めば千票くらいの票はどうでもなるわけです。これはあなた方は直接選挙候補者になった御経験がないでしょうけれども、われわれ選挙にタッチして自分の当落を考える者としましては、こういうことをされてはまことに原子兵器以上におそろしいのです。日本の選挙の腐敗、堕落というものはおそるべきものである。自治庁も、そういうことを知らないで、そうして各地方のいわゆる選挙管理委員会の運営というものははなはだうまく行っているんだというような報告をなされておることは、私は、先般も申したように、氷山の一角を見て、その海中に没しておるところの大きな腐敗というものを見出すことができないと思う。このように私どもは調査をしておるのであります。  漸次またこれから質疑いたしますが、この段階におきまして管理課長に質疑しても、管理課長としてはさらに調査しなければわからないのじゃないか。結局参考人を当委員会に喚問して徹底的に調べなければならぬと思うのでありますが、これにつきまして、私は、管理課長の御所見並びに中川さんあるいは法務省の知られておる限りの御答弁を願いたいと思うのです。
  55. 桜沢東兵衛

    ○桜沢説明員 先刻御報告申し上げました点につきまして重ねてただいまお話を伺ったのでございますが、この事件そのものは、表面に現われたところだけ見ましても大へん奇態な事件でございまして、なるほど内容的にはどうも票数が二十二票超過いたしておりますので、自治庁といたしましても、この事案はできるだけ詳細に調べてみたいと思いまして、県選管の方へ照会をいたしておるのでございます。それで、県の選管の方といたしましては、いずれこれがもちろん訴願の段階に入りますので、県選管といたしましても、市選管の扱いについて十分ただいままで注意をして参っておるようでございますが、まだ先刻申し上げた程度の報告しかとれておりませんので、もう少しこの票の行方などについて、どうしてこういった票の増加になったのか、これをもっと詳細に調べてもらうように重ねて照会はしてございます。この問題は全国的に見ましてもまことに遺憾の事柄でございまして、他の選挙管理委員会が、この仙台市のおかげで、全く信用を失墜するようなことになるおそれもございますので、この問題の結果を重視いたしておりますので、なお事情がわかりましたら、また次の機会に御報告を申し上げたいと思います。現在のところでは、先刻申し上げた程度のことの報告だけを得ておりますので、御了承願いたいと思います。
  56. 中川薫治

    中川(薫)政府委員 この前当委員会が開会された際にいろいろ御指摘がございまして、そのときに私もお答えしましたのですが、仙台市の選挙管理委員会投票を勘定するときに、五十票ずつたばねてやる、その五十票ずつたばねた束を、この前の委員会では、今裁判所で点検中であるので、それも一つの重要な資料であるということを申しましたのですが、その関係は判明いたしました。その関係は、ただいまも森委員御指摘になりましたように、五十票にたばねるべきものを、四十票のを五十票にしたり、五十一票、五十二票のを五十票にしたり、四十三票のを五十票にしたりという状況であることが明らかになりました。ところが、ただいまも御指摘がありましたが、その束の間違い方が必ずしも一人の候補者に片寄ってはいないというのが、この調査の結論であります。それは森委員もお認めでございますが、(「それがインチキなんだ」と呼ぶ者あり)そういう状況が判明したわけであります。そこで、警察におきましては、そういう状況一つの資料には違いありませんが、その他のいろいろな点、たとえば投票用紙をどこで印刷したかということも検討して――大体わかっておりますが、そういう方面もいろいろ調べておるのでございますが、ただいまの件は私今お聞きしたのですが、荒町の状況とか、それからお示し願いました文書の状況とか、そういった点は、さらに地元によく注意いたしまして、総合的に検討するように指示いたしたいと思います。
  57. 木原津與志

    ○木原委員 投票の束の誤まりについては先ほど質問がありましたから、その点は一応調査に待つといたしまして、いま一つお聞きしておきたいことがあるのです。開票した結果、岡崎の投票の中には、市会議員の氏名を書いたものを訂正して岡崎の名前を書いた票が相当数あるということは、われわれは調査してわかっておるのです。調査した結果そういう事実が明らかになった。こういうような場合に、その票がもちろん本人本人の字体で訂正をしておるというなら、書き間違ったということも言えるかもしれないが、明らかに岡崎に訂正した字が字体が全然異なっておる。こういうようなことは調査した結果たくさん出てきておる。こういう事実について何か向うの選管の方から自治庁に報告があったかどうか、その点をお聞きしたい。
  58. 桜沢東兵衛

    ○桜沢説明員 報告の中にはそういうような点は全然ございません。
  59. 木原津與志

    ○木原委員 これが一番重大な問題なんです。他人の、市会議員の候補者の書いてあるものを変えて投票したもの、これは当然無効なんだ。あとから勝手に岡崎の名前にそれを書き直してやっているんですよ。それは全部について調べてみないから、私の方もいずれこれは委員会でやりたいと思うのですが、三分の一大体調べた結果の結論なんですが、その中でたくさんの数が、市会議員の名前を書いた投票用紙を訂正している。しかも岡崎に同じ筆跡で訂正したものが相当数出てきておる。この点は私は一番この選挙の効力に大きな影響がある問題であると思う。これは、裁判にもなっておるから、いずれ明らかになると思いますが、こういうことが行われておるということが明らかな選挙でございますから、自治庁の方で至急に調査してもらいたいと思う。今あなたの何では、当選の効力に関係がないと認めたから却下したということをおっしゃいましたが、この事実が出てくるならば、当選の効力がないどころじゃない。当然無効であるべき市会議員の投票を岡崎の方に数えているのだから、これだけでも当選の効力に影響があるのだ。この点を見過ごしてもらっては困る。一番重大な点だから、あなたの方で直接調べてもらいたい。  それと、いま一つは、入場者の総数と投票総数とが合わないだけでなくて、これが普通少いというのだったら、書かないで帰る者も多いということはあるのですが、本件の場合においては、数えてみたら三十二票多かったということが明らかになっておる。これは重大なことだと思う。世間で通常入場者の数より投票総数が少いというようなことはざらにあるけれども、来た人間よりも投票数が多いなどということは、しかもそれは、ざっと数えただけでも三十二票多かったなどということは、もうこれだけでこの選挙の信憑性はないのです。この点もいずれあとでわれわれ調査すれば黒白はわかると思いますが、自治庁においても、そういう点について何らの報告も来てないと思うから、この点についても、はっきりしたことを一つ調べていただきたい。  それから、票数の束のことは森委員からお話がありましたから省きますが、警察の方にお聞きする。「私はだれでしょう。赤で大学を追放された男、赤で懲役二年食った男、我等の仙台を赤で染めようとする男」、こういう文書を、一枚や二枚ならともかく、何万枚と選挙の過程において開票前にばらまいたということになれば、これは警察として選挙妨害と認められますか。警察庁の所見を聞きたい。
  60. 中川薫治

    中川(薫)政府委員 ただいま御呈示になりました文書の点でございますが、私の解釈では、公職選挙法の、ことに文書関係の条項に違反すると思うのであります。ただいま初めて承わりましたので、この頒布の状況、時期、そういった点をよく調査いたしまして、詳細な調査の結果を御報告申し上げます。
  61. 木原津與志

    ○木原委員 調査の結果詳細な報告を承わりますが、今あなたが、捜査官として、こういったようなものが選挙の過程で選挙民にばらまかれたということになれば、これは警察の捜査の対象になりますか。選挙妨害罪としての捜査の対象になるかならぬか、あなたの所見を聞いておきたい。
  62. 中川薫治

    中川(薫)政府委員 私の考えによりましては捜査の対象になります。
  63. 木原津與志

    ○木原委員 捜査の対象というのは、選挙妨害罪としての対象ですね。
  64. 中川薫治

    中川(薫)政府委員 罰条の点は態様等によりますが、私の理解では、もっとよく詳細に調べなければ確信ある御返事はできませんけれども、まず文書頒布関係違反ということに該当するのではないかと思います。しかし、この点は詳細に検討した結果でございませんので、正確にはお答えできません。
  65. 木原津與志

    ○木原委員 そうすると、選挙罪としての捜査の対象になるという御判断でございますが、当時警察としてこれに対して全然効果のある手を打ってないということになれば、この警察に対しては、どういう御処置をあなた方の方でおとりになりますか。
  66. 中川薫治

    中川(薫)政府委員 ただいまの点は、事案の真相を詳細に把握いたしまして、その状況に基いて処置をいたします。
  67. 木原津與志

    ○木原委員 そうすると、こういうような事案の事実があったということについては、全然関知しておられないとおっしゃるのですか。
  68. 中川薫治

    中川(薫)政府委員 率直に申し上げますが、各地で地方選挙が行われましたので、全国的に関連のある事件、影響のある事件については報告を受けますが、すべてについての報告は受けておりません。ただいま初めて伺いましたので、その点は調査いたしましてからお答え申し上げたいと思います。
  69. 木原津與志

    ○木原委員 自治庁の方にお聞きしますが、こういった頒布行為があったという事実は、自治庁の方には何も報告は来ておりませんか。
  70. 桜沢東兵衛

    ○桜沢説明員 頒布関係のことは何も報告はございません。
  71. 木原津與志

    ○木原委員 それでは、自治庁の方におかれても、警察の方におかれても、この点についてこういう事実があったかどうか、もしあったとすれば、選挙の過程においていつごろこれをやったか、数は何枚か、またこれ以外にこれに類するような文書、図書が頒布されたかどうか、それについて警察はどういう処置をとったか、捜査権の発動をどうして行なったか、もし行なったとすれば、これの処分はどういうふうにする見込みか、あるいは行わなかったならばその理由は何か、さらに、これによって投票者に対して心理的な影響を与えた点はどういう点か、そういうようなことについて詳細な報告を次の委員会のときまでにやっていただきたい。
  72. 森三樹二

    ○森(三)委員 われわれがこうしたところの材料を研究し集めてきて当委員会質問しても、自治庁にしても、警察にしても、われわれが提供して初めてそんなのがあるかなという程度だ。あなた方自体は、日本全国のことだから、一々そんなことは調べておれぬとおっしゃるかもしれませんが、こうなってくれば、あなた方が書面でもって仙台市の選挙管理委員会や市の警察に照会状を出したところで、結局、彼らは、自分立場を防衛するために、いや、そんなビラはわれわれは知らなかった、そんなものはあまりばらまいてはおらなかったようだというようなことで、とにかく自分たち立場をよくするような報告しか来ませんよ。仙台といえば、東北におけるところの唯一の人口五十万もあるような大都会です。しかもこの仙台市長の重大性というものもありますので、自治庁も警察も出張されて、裏の裏から探らなければ、単に警察に書面を出してこれに回答しろとか、自治庁から市選挙管理委員会に調査して報告せよという書面や手紙での調査なんかでは徹底できないと思うのです。こういう大きなケースについては、あなた方が出張されて調査すべきだが、いきなり警察に行って、警察だけ調べて、そうしてしまいには、夜が来たらば慰労会で一ぱい飲んでうまくまるめられて帰って来たのでは、何もならぬのだ。あなた方が行かれて、別の裏の裏の方から、いわゆる警察の警察のために、あるいはまた選挙管理委員会のスキャンダルをつくという建前において徹底的に調べていただかなければ、ここにわれわれが言ったからといって、ただ書面でもって往復してやっておったのでは、あなた方自体真相がつかめない。私らは、こんな腐敗選挙、妨害、実に目に見えない暴力を用いてこのような悪らつな選挙をやったことは、われわれの経験からいって全く未曾有と言っても、いまだかつてないと言っても、私はしかりだと思うのです。これについてあなた方は出張して調べるだけの決意を持ってもらいたいと思うのです。そうでなければ、書面でもって往復なんかしておったんでは、とうていその事実の内容、真相、裏の裏を探ることはできない。それは全国にたくさんの違反があります。  私は、この間も申し上げましたように、北海道の問題やいろいろありまするが、しかしそう一々あなた方が行くわけにはいかぬでしょう。しかしながら、仙台といえば、東北における唯一の代表的な、政治的な経済的、文化的な都市です。その市長選挙でありますから代表的なものである。天下を震憾しているほどの大事件である。それについても出張なんかは全く人のことのようにのんきにかまえている。それがもしあなたが市長に立候補されてこのような事態が起きたらどうします。自分のことだったら夜も寝られないですよ。人のことだからのんきなことを言っておるのだ。ぜひともこれは、あなた方がみずから出張されて、全国の一つの大きなケースの代表的なものとして、われわれも調査をするし、あなた方も徹底的に調査されて、そして当委員会において事態の明確を期さなければならぬ。私どもがこういうことを申し上げる。そうして手紙を向うに出し、返事が来るのはおそらく一週間もかかると思います。そしてこちらから書面が行けば、向うでは、会議を開いて、この点はこう変えた方がいい、いやそう変えた方がいいと、全く事態を糊塗してきれいな一つの文書にして、こういうわけだから大したことはなかったのだといって書面が来る。その書面に基いてあなた方はただわれわれに報告する。これでは真相はつけません。これに対して、全国の一つの代表的なケースとして、自治庁並びに警察においても取り調べるという決意を持っていただきたい。仙台に行って十日くらい滞在して、徹底的に調査をしていただきたいと思うのですが、その決意があるかどうか。私どもはこの要求を率直に受け入れていただきたいと思うのでありますが、御答弁をいただきたい。
  73. 中川薫治

    中川(薫)政府委員 通り一ぺんの報告を求めるというような態度でなしに、真相を把握するためのいろいろな方法を講ずる。そして当仙台における状況がどういう状況であったかということをつまびらかにする方法をいろいろ検討いたしまして、通り一ぺんのことをただ処理するという考えでなしに、真相把握のために努力する、こういう点の方法等につきましては、適当な方法考えてみたいと思います。
  74. 桜沢東兵衛

    ○桜沢説明員 仙台市並びに先日もお尋ねがございました徳島市の問題、それから大阪の松原市の問題、いろいろ大きな問題ができておりまして、御指摘いただくまでもなく十分調査を遂げなければなりませんので、実は県選管に対しましては詳細調査のこと等を依頼しておるのでございます。報告はこちらの方で受けても、なお納得の行かぬ点については、実は先ほども全部の御報告のまだできない点もあるのでございます。それらの点につきましては、ここで簡単な御報告だけ申し上げて、その場を過ごそうというような考えは決して持っておりませんで、この問題は、今後の問題として大切でございますので、こちらといたしましても徹底的に調査をいたしたいと思っております。なお、出張の点等につきましては、よく上司に申し上げまして善処したいと思います。
  75. 森三樹二

    ○森(三)委員 どうも、警察も自治庁も、仙台まで五時間か六時間で行かれるところを、あなた方腰を上げて行こうとしないのは、私非常に不満です。書面でやっておったのではその真相など究明できるものじゃありませんよ。私はせんだっても申し上げたのだが、どうも、中川さんや自治庁も、お互いに警察は自治庁をかばい、自治庁は選挙管理委員会をかばう事なかれ主義だという感じがして仕方がない。書面でやっておれば、結局表面きれいな穏やかな書面が来るにきまっている。これでは私は真相はつけないと思う。これは、一々北海道へ行ってくれ、九州へ行ってくれと言っても無理ですが、東北の唯一の大都市仙台の市長選挙の事件については、全国の代表的のケースとして、あなた方が御出張なさってしかるべきものと思う。そうして真相をその現場において究明して、これを一つの大きな選挙革正の突破口にしなければならぬと思う。それさえもあなた方が行かないとすれば、非常な疑惑を持たざるを得ない。結局、行って調べればどんなぼろが出てくるかわからない、それよりすわっておって書面でやって無難に事を済まそうとするように思われて仕方がない。とにかくあなたは行かれないようですが、なお十分研究されて、私は行っていただくようにされるようここでお願いをいたします。どうしても行っていただきたい。  そこで、先ほど管理課長が言ったような、市の選挙管理委員会は異議の申し立てを却下したと言われましたが、三十二票の増加投票が発見された。私どもの考えでは、さっき木原委員も言われましたが、普通の場合には実際投票したより少いことはある。中には字の書けない人があって、だれを書いていいかわからないから、投票用紙をもらっても、書かないえ。ポケットに入れて持って帰る者がたくさんある。実際に投票用紙を渡したのよりも数が減っているのが実情なのです。そこで、数を合わすために、選挙管理委員会は、候補者三人おれば三十票のものを別々に十票ずつ名前を書いて、合わすために別に書いて入れるということがしばしばある。そういうことさえも行われている。だから、どう考えても、数が多いということは、私がさっき言ったように、岡崎と書いた五十票か四十五票か知らないが、その束をそこにぶち込んだということがどうしても考えられる。われわれの選挙常識に合わないのです。われわれ選挙の実戦をやった者、代議士はみなそうだが、みな命がけの戦いをしている。ほんとうに真剣な考えを持っている。あなた方も、もう少し真剣になって、この選挙のことを考えていただかなければ、ほんとうの事態の究明はできないですよ。そこで、この三十二票というような、実際の投票用紙を渡したより多く出たという、これだけの幽霊票だけでもっても、当然異議の申し立てば有効であると思う。それを何ら異議申し立ての理由にならないというように却下せられましたことは、まことに理解できないのですが、これに対して管理課長、どういう御所見ですか。
  76. 桜沢東兵衛

    ○桜沢説明員 ただいまの投票の増加につきましては、異議申し立ての決定を見ましても、その点に実は触れてないのでございます。きょうこの決定書を県の一係の方が持って参って、内容を調べてみたのですが、その投票増加の点については何ら決定に触れてないのでございます。そのために、この点をこちらでも調べたいと思いまして、その三十二票の基礎はどういうふうになっておるのか、これを詳細に聞かしてほしいという照会をしたのでございますが、きょう参りました使いの報告では、この点がまだ明確でないのでございます。そのために、実は先ほどからその点を御報告ができないでおったのでございます。ただ、きょう参りました係の話では、どうも名簿の整理がきわめて不完全であった、そのために投票者数の把握ができなかった、不完全であったのだろうと申しておりますので、この点をさらにもっと正確に究明しなければならぬと思っております。
  77. 森三樹二

    ○森(三)委員 そういうような不備があれば、なおさらのことこの異議の申し立ては私は有効になってこなければならぬと思うのですよ。それを異議の申し立ての理由がないといって却下するということは妥当ですか、その見解を私は聞きたいのです。
  78. 桜沢東兵衛

    ○桜沢説明員 ただいま異議申し立ての段階でございませんので、これからさらに県選管の方に訴願が行われるだろうと思います。権選管の方では、慎重に調査をいたしたいというふうにきょう実は申して参っております。なお、県選管の方には、よく調査をいたしましたものにつきまして打ち合せをしたいと思っております。
  79. 森三樹二

    ○森(三)委員 とにかくこうした重大な犯罪行為を伴うところの選挙管理委員会への取扱いはとうてい許すことができないものだと思うのです。これに対して異議の申し立てをいたしましたところが、それを却下しておる。まさに自己の犯罪隠蔽のために仙台市の選挙管理委員会が狂奔しておると言われても、私は当然だろうと思うのです。これにつきまして、今後県選挙管理委員会とも打ち合せをして、徹底的に究明していただきたいと思うのです。  それから、私が先ほど開票当日の当夜の状態について申し上げたのだが、そこになおちょっとつけ加えていただきたいと思うのです。ちょっとお書き取りを願いたいと思いますが、その千賀という立会人が検査したところ、それは大体六時ごろだと思うのですが、調べましたところが、一、岡崎栄松記名の一束五十票の中に島野武名義の記名の票が一票ずつ入っておった。その一票ずつ入った束が八束混入しておった。それから二は、島野武記名の束の中には他の候補者の氏名の票の混入が全くなかったという事実。三、高橋三郎記名の票の中にも他の候補者指定の票の混入は全くなかった。こういうような実情もありますから、それも事実かどうか調べていただきたいと思います。  それから、中川さんに、これは中川さんはまだ知らぬだろうと思うのですが、これも調べてもらいたいと思うのです。島野候補の選出事務長をしておりました宮城県の体育協会長の医師半沢正二郎という人が、岡崎派の運動員から暴行を加えられたという事実です。これに対しましては警察当局へその取調べを要求してありますが、警察はこれに対して何ら取調べの手をつけない、こういうような重大な事実もあるわけです。この事実についても、あなたが今知っておられればいいけれども、お知りになっておらぬとするならば、徹底的に調査して、その警察の怠慢に対してあなたとして十分警告を発するとともに、またその事実の調査に基いてわれわれにも報告していただきたい。  それから、法務省の方がお見えになっていらっしゃいますが、先般来、また本日もいろいろ申し上げておるのでありますが、この仙台市のこうしたところの大きな問題についてのお取調べが法務省の方であれば報告を聞きたいし、またなければないで、こうした事案について法務省としては自動的に捜査を開始することは可能な状態にあると思うのでありますが、これらについて地元の検察庁が動いた事実があるのかどうか、また動こうとしておるのか、それらの点についておわかりの点を明らかにしていただきたいと思うのです。
  80. 井本臺吉

    井本政府委員 われわれの方にもある程度の報告が参っております。ただ、われわれの方といたしましては、犯罪の検挙でございますから、犯罪があればこれを摘発して起訴すべきものは起訴するということになるのでありまして、この仙台の市長の選挙につきましては、告発事件を一件今仙台地検で取調べをしております。報告によりますと、東北社会民報社の発行人が、島野候補が赤であると誹謗した新聞記市を掲載して選挙妨害に使ったという告発があったそうでありまして、その点について取調べをしております。その他選挙に関連して多少調べをしているようでありますが、ここに参っている報告は先月末の報告でありまして、その後多少事情も変っておると思いますので、本日の御質問趣旨も傍聴しておりましたから、さらに現地に申し伝えまして、どのような状態になっているか調べて、適当の機会に御報告申し上げたいと思います。
  81. 森三樹二

    ○森(三)委員 検察庁としては、犯罪があった場合には、当然自動的に検事が、たとえば殺人、強盗があれば捜査権を行使することができるわけですから、選挙事犯についてもやろうと思えばできると思います。しかし、一般の場合には警察官が捜査の任に当って、警察で調べて調書ができて、それから検察庁に送るようになっておりますが、こういう大きな事件については、仙台の地方検察庁としては取調べを開始してしかるべきものだと思うのでありますが、これに対しての御所見はいかがですか。
  82. 井本臺吉

    井本政府委員 仙台の検察庁で適当な処置をとっていると思います。具体的の事情は調査いたしてみませんとわかりませんが、御趣旨のような事情でありますれば、当然仙台の検察庁である程度の調べを進めておるというように考えております。
  83. 森三樹二

    ○森(三)委員 この事件は、どうも地元の警察が――この前も言いましたように、市長が来年いよいよ選挙になるということになりますと、警察で柔剣道の寒げいこをやったりする場合には、市長は四斗だるの一本くらいを慰労に出したり、いろいろなことをやっておるのであります。ですから、警察はぐるになってやっておると断定してもいいくらいだと思うのです。どうしても私は検察庁でこの際きぜんたる態度をもって、この事件の捜査をやっていただきたいと思うのです。そのように、ぜひ一つ法務省としては仙台の検察庁に御連絡をとって、この事件は、地元の警察はあまり信用できないという話だということで、徹底的に事件を調べていただきたいと思うのです。刑事局長もわれわれの質問について一お聞きになっているのですから、事の重大を十分一つ御勘案になりまして、この事件は検察官の捜査権を発動してこの際やっていただきたいと思うのであります。御決意のほどを聞きたい。
  84. 井本臺吉

    井本政府委員 御趣旨の点は十分検討いたします。
  85. 森三樹二

    ○森(三)委員 それから、これは証拠保全の手続として写真もとってあるのですが、投票を全部大切にして束にしてあるのが、このように破けているというような、これも実際私らとして不可解なのですよ。こうなっていれば入れかえは幾らでもできるのですよ。普通こんなことになるはずはないです。  委員長、この仙台市市長選挙の事案というものは全く私らとしては納得できないし、われわれ選挙場裏に戦っておるものとしては、これは徹底的に粛正をしておかなければ、おそるべき結果を招来すると思うのです。御存じの通り、他の特別委員会なり、行政監察委員会なんかでも、小中学校の書物の問題についていろいろ証人を喚問して取調べをいたしておりますが、この際、私は、仙台の市長選挙の問題につきまして徹底的に究明するという意味で、参考人を申請いたします。それには、まずこの事案を担当している訴願の貴人弁護士の沼倉俊夫君、それから先ほどの不正を発見した千賀勝次郎という人、それから荒というところの小学校の開票所の責任者であるところの市の社会課長の星一雄君、市のの選挙管理委員会書記長の今泉貞治郎君、それから島野君の選挙総括責任者の石井満吉君、それからやはり島野君の選挙について運動いたしました小森武君、それから異議申立人の長岡弘毅君、これだけの方々、それからそのほかに島野武君も、やはり本人ですから参考人として当委員会で喚問していただきたい、このように申請するわけです。
  86. 島上善五郎

    島上委員長 ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  87. 島上善五郎

    島上委員長 速記を始めて下さい。  それではただいまの森君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 島上善五郎

    島上委員長 なお、参考人の人選等につきましては、ただいま委員長に御一任願う、こういうことでごさいましたが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  89. 島上善五郎

    島上委員長 それでは、公職選挙法改正に関する件に関連して、仙台市長選挙に関する件について参考人を当委員会に招致することに決定いたします。  もう一つ委員長から質問することがあります。この前の委員会で、東京都江戸川区における区会議員の選挙の際異議申し立てが出ました結果、三票の無効投票が発見された、そのうち一票は明らかに立候補している他の候補者の票であった、こういう事実が発見されましたが、それについて調査の結果があったら御報告願いたいと思います。
  90. 桜沢東兵衛

    ○桜沢説明員 先般行われました江戸川区会議員の選挙の当選の効力の問題につきましてのお尋ねでございますが、この問題は、五月十一日に区の選挙管理委員会に異議申し立てがございまして、これにつきまして六月十七日に選挙管理委員会として決定を行なったのでございます。これに対しましてさらに七月五日都の選挙管理委員会に対して訴願が提起されまして、これを受理いたしたのでございます。この江戸川の区会議選挙の当選無効の異議申し立て一件は、三十七番目の当選人の最下位におりました紫村理一は、投票数千百七十八票で当選いたしたのでございますが、それに対しまして、次点者の竹門角治郎さんが千百七十七票をもって落選になったのであります。そこで、竹門角治郎氏は、紫村理一の投票の中に、「島村理一」と記載された投票が一票、「しんむら」と記載された投票が1票、計二票が有効投票として認定されておる事実があるということで、この二票は、いずれも、他に類似の島村五七、新村明治郎という候補者がございまして、これの混記であるから、これは無効である、そこで紫村理一の当選は無効になるという申し立てでございます。これに対しまして、江川の選挙管理委員会は、紫村理一の有効投票の中で、「島村理一」の一票と、それから「シマムラリイチ」の一票に、ほかに鳥村五七なる候補者があるから混記無効である、さらに「しんむら」と書きました一票がございますが、これはほかに新村明治郎なる候補者が、ございますので、同人の有効投票である、従って紫村理一の得票は、この三票を控除いたしまして千百七十五票となって、次点者の竹門角治郎さんが千百七十七票であるから、紫村理一の当選は無効となって、竹門角治郎が当選人となるという決定を六月九日に行なったのでございます。   それに対しまして、さらに今度は紫村理一氏から訴願が提起されまして、これは区の選管が無効とした「シマムラリイチ」及び「新村理一」の票は有効である、「竹角正夫」と記載された投票竹門角治郎の有効投票中に含まれておるが、この票は無効である、それから新村明治郎と島村五七の有効投票中に、訴願人である紫村理一の有効投票となるべきものが混入されておる、それから訴願人の無効投票の中に有効投票が混入されておる、それから「しんむら」と書いた投票が祈願人の有効投票の中に混入されておるが、これは開票がきわめて粗雑であったことを示すものであって、ほかにこのような誤まりがあったものと思われるから、投票全部について再点検をしてほしいという趣旨の訴願が提起されたのでございます。  以上が先日お尋ねのございました江戸川の区会議員当選無効問題の状況でございます。
  91. 島上善五郎

    島上委員長 他に御質問がなければ、本日はこの程度とし、次会は公報をもってお知らせいたします。   本日はこれにて散会いたします。     午後三時五十六分散会