○森(三)委員 私は本日兼子
選挙部長が見えなくて非常に遺憾に思うのです。課長が一応出ておりますけれども、ただいま課長が書類を読みながら報告をしたのは、仙台の市の
選挙管理委員会が
自分らのやりましたことを、自治庁に対して全く表面を糊塗して、そうして何事もなかったのだ、われわれに多少の落度はあったけれども、
投票の結果を左右するような大きな間違いはなかったのだ、全く事なく済んだのだというような、そういう報告書を送ってきてある。もっとも、自治庁としては、仙台に行って調べれば具体的にわかってきますけれども、書面だけの報告では、その
内容はわからぬから、事なかれ主義の報告をしたのであろうと思うのでありますが、事実は、そういうような穏やかなものでなく、これは計画的ないわゆる犯罪
行為により仙台の市長
選挙が行われたということを、私は、十分自治庁も警察庁もあるいは法務省も頭の中に入れていただいて、そうして私のこれからの
質問にお答え願いたいと思うのであります。
まず、岡崎という市長は第三選の市長であって、長い間仙台には非常に有力な
選挙地盤を作り、しかも背任横領等によって市政を紊乱し、現在までに犯罪者として起訴されている事実もあるのです。そこで市民としては、何とかして今度は三選を阻止してフレッシュな革新的な市長を作りたいという気持が非常に強かったのでありますけれども、従来の市長は、根を張って、悪らつきわまる
選挙運動をやった。私は、前会も、市の警察も市役所もあるいはその他の官庁も、
事前運動あるいは
買収によって、すっかりくるめられておった、このように申し上げておきましたが、まさに、調べれば調べるほど、その事実が判明してきたわけであります。結局、岡崎派としては、今度は非常に革新的な
候補者が強いというので、計画的にあらゆる策略をいたしまして、得に収入役であった大場という人は、市長とともに辞任して、
選挙事務長までも引き受けておる。そうして、当選しますと、また助役に就任しておるというような計画的な
行為をやっておる。従いまして、市役所の
部長、課長、それらのものは公然と
戸別訪問をやり、あるいは
選挙運動について日夜奔走したという事実が明確になっております。そうしてこれらの公務員のものが政治活動をするばかりでなく、その反面、知能的な計画的な
選挙妨害が行われておる。その一例として、私はここに持参いたしましたが、このような、「私はだれでせう、一、赤で大学を追放された男、二、赤で懲役二年喰った男、三、我等の仙台を赤で染めようとする男」こういうポスターを、何万枚となく、一説によると飛行機でまいたといわれておるのですが、こういうものを公然とまいたのですよ。これに警察が手を染めてこれを調査しないということは、これは警察の怠慢――怠慢どころじゃない、警察もぐるになっているということが明らかにされている。こういうものがまかれておるという事実ですな、これを
一つ十分見ていただきたい。
それから、これは政治連盟を結成して十七、八ある
投票所にこれをずっと張り詰めた。「赤と陰謀と虚報を排して仙台を守りましょう」こういう。ポスターを張り詰めたわけです。それに対して島野派から徹底的に警察に抗議を申し込んだけれども、警察はさっぱり動いていないという事実、それに対しても、
中川さんから、あとで、そういう申し入れがあったのに対して警察が動かなかったということについてもお調べ願いたいと思うのです。
それから、こういう悪らつな
違反をしておるではないかといって
選挙管理委員会に忠告をしますと、
選挙管理委員会では、私らの方ではとにかく手が回りません、そういうことをだれがやったかということを一々とても調べられないというような、まことに了解に苦しむような回答をしておる。まことにわれわれとしては驚くべき
選挙妨害が行われたのであります。そこで、さっき
管理課長から言われましたが、
選挙の票を調べたところが、開票のときより全体の票が三十二票増加した、それから
投票に入場してきた者より票が二十三票増加したという報告がなされた。これは私はこのように
考えるのです。それと関連して、あなたがさっき
説明したのは、つまり五十票より多い束もあるいは五十栗より少い束も、これは島野派ばかりじゃなく岡崎派の方にもあったんだ、従って何ら島野派を不利にして岡崎派を有利にしようというような計画的なものじゃなかったんだというような報告が、仙台の市の
選挙管理委員会から自治庁に対してなされておりまするが、ここに非常におそろしい計画が包蔵されておることをわれわれは発見しておるのです。と申しますことは、開票いたしましたそのとき、仙台の十七、八の開票所のうち、荒町という開票所における不正発覚事件があるのです。これは、開票をどんどんして、そうして立会人のところに五十票の束をどんどん運んでくるわけです。そうすると、立会人は、それを一応点検して、そうして集計をしておるわけです。ところで、そのときに、島野派の立会人の千賀という人が、一応当ってみようというので、島野派の五十票の束になった
投票用紙を調べてみますと、驚くなかれ、そのとき島野派には五十一票の束が十一束出てきた。ところが、その反対に、岡崎の方については四十九票の束が二十二出てきたのです。そうしてさらに、三人の
候補者でありますから、もう一人の高橋という
候補者について調べたところが、五十票の束は過不足なく、五十票であったという事実、ここがそもそもこの問題の非常な重点であります。私どもは、このあとでもっていろいろ捜査をし、これから申し上げますが、第一番にこの事実が発覚したときこれを調べなければならぬのです。私どもは、当
委員会にこの千賀という人をどうしても喚問して、徹底的に調べたいと思っております。そのときの
投票所の事務
担当者は、市の社会課長をやっておるところの星一雄という人が荒という開票所の
責任者となっておった。そうして非常に驚いて、これは大へんな間違いをしましたと言って、一応その間違いを直して計算したのです。こういうおそるべきところの事態が発覚しておるわけなんです。これは非常に大きな問題になったわけでありますが、島野派としては、とうていこれは信用できないというので、
選挙管理委員会に異議の申し立てをする、あるいは裁判所にこの
選挙の訴訟――
選挙あるいは当選の効力に関する異議の申し立てをしております。さっき課長はこの問題についてはっきりしなかったけれども、これはもう明確に仙台の裁判所の方にもしてあるわけなんです。そういうような実情でありまして、われわれはどうしてもこれは計画的な犯罪
行為ありと
認定する証拠が十分であります。
そこで、これは証拠保全のために写真もありますが、島野派と岡崎派に分けた票を包んだ包装紙が破けてしまっておる。ここにまたおそろしいトリック、計算があるわけです。結局、さっき課長が言ったように、島野派の方についても過不足の票がある、岡崎の方にも過不足の票があるようにしなければ、犯罪をやったことが明確になってくるから、このような事態が起きてきたら大へんだというので、今度は岡崎の方にも五十一票の束を作っておる、あるいは島野派の方にも四十八票とか九票の束の不足の票も作ってある、こういう事態が発生したわけです。そこで、地方裁判所と
選挙管理委員会が再調査の結果、一応岡崎派、島野派全部をひっくるめて申しますと、五十一票の束が五十四束、それから四十九票の束が十一束、五十二票の束が二束、四十票の束が一束、それから五十三票の束が一束、こういうものが現れてきたのです。これは、裁判所の仮処分でちゃんとはっきりわかっておりますから、絶対正確です。今申し上げた票の中には、岡崎の方にも五十票より多いものも少いものもあり、島野派の方にも多いものも少いものもあるのです。それだから、
選挙管理委員会は、これは間違いであって、どちらの方を有利にしたということはないのだ、故意でなくて過失だということを言って、結局
選挙や当選の効力を左右するものではないのだという報告をなされておりますが、さっき私が申し上げましたように、この荒町の開票区における不正発見という問題が、これがすなわちおそるべき犯罪の発覚であり端緒であるので、この事態をわれわれは絶対に見のがすことができないのです。そうして、今申し上げたうちの、四十票という束が一束ありますが、これがだれの束かというと、これは島野派の束だというのです。島野派の束をあとで有利にやったという痕跡が十分ある。結局、問題がそういうふうに暴露してきますと、これは岡崎派ばかり有利にしたというのでは大へんだというので、特に島野派の票に四十票という極端なものまで作る。しかし、われわれがいかに
考えても、四十票の束なんというものはあろうはずがないわけです。これは人為的に故意に作らなければ、四十票の束なんというものができるはずはありませんよ。しかも、先ほども
選挙管理課長が言ったけれども、再調査の結果、全体の票よりも三十二票も増加し、さらにまた入場して
投票した者の票より二十二票も票が増加しておるというような、おそるべき事態が発生しておる。そしてこれはもちろん計画的な犯行であります。
せんだって、徳島県の
選挙管理委員会の不正事件に関しまして、徳島県選出の生田宏一君が当
委員会で申し立てたように、徳島県では、
選挙管理委員会に勤めておる男が、その
投票用紙をどろぼうしてきて、そして五十票の束を五万円で売り歩いたという事実、そしてまたその五十票の束に特定の人の名前を書いていって、ポケットに入れて、そして開票所に行ってその票を出してすりかえようと思ったけれども、とうとうこれはできないでしまった、未遂に終ったという事件、こういう事件を生田宏一君が発表しております。これには各委員諸君もあぜんとしたのであります。しかも十六人が起訴されておるという事実でありまして、これもわれわれは徹底的に調査しようと思う。そういうおそろしい事件が起きておりますが、さらに、われわれが調査をいたしますと、全国的にこうした事犯がたくさん起きておるということがわかってきた。自治庁は全国の市町村の
選挙管理委員会が公正な
選挙の管理あるいは啓蒙をやっておると思っておったら、大間違いだ。これは、御承知であろうと思いますが、山梨県のある村においては棄権率が多くて困るというので――
生活ができないからといって山に働きに行って、
投票率が二割か三割になる。三百票というものが
投票に来ないというと、そうすると、その三百票なら三行票という票を
候補者の五人の人に平均に割って、そして名前を書いて
投票しているという事実が山梨県で発覚しておるのです。これは数年前に犯罪として起訴されておる事件ですが、そういうおそるべき事件がたくさんある。これは私どももやろうと思えばできます。私が
選挙管
理事務を
担当して開票に立ち会う、そして出そうと思う人を
自分で見て、夜百票なら百票の束をうちに持って帰って、そうして岡崎なら岡崎と書いてきてポケットに二つ入れておく、そうしていよいよ開票所に行って島野と書いた五十票の束と交換してしまう。そうしますとその百票の差が逆に二百票になってくる。そういうのは、その開票所でもって十人なり二十人の人が組めば千票くらいの票はどうでもなるわけです。これはあなた方は直接
選挙の
候補者になった御経験がないでしょうけれども、われわれ
選挙にタッチして
自分の当落を
考える者としましては、こういうことをされてはまことに原子兵器以上におそろしいのです。日本の
選挙の腐敗、堕落というものはおそるべきものである。自治庁も、そういうことを知らないで、そうして各地方のいわゆる
選挙管理委員会の運営というものははなはだうまく行っているんだというような報告をなされておることは、私は、先般も申したように、氷山の一角を見て、その海中に没しておるところの大きな腐敗というものを見出すことができないと思う。このように私どもは調査をしておるのであります。
漸次またこれから質疑いたしますが、この段階におきまして
管理課長に質疑しても、
管理課長としてはさらに調査しなければわからないのじゃないか。結局参考人を当
委員会に喚問して徹底的に調べなければならぬと思うのでありますが、これにつきまして、私は、
管理課長の御所見並びに
中川さんあるいは法務省の知られておる限りの御
答弁を願いたいと思うのです。