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1955-06-29 第22回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第6号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    昭和三十年六月二十九日(水曜日)     午後一時五十九分開議  出席委員    委員長 島上 善五郎君    理事 淵上房太郎君 理事 小金 義照君    理事 井堀 繁雄君       大村 清一君    薩摩 雄次君       杉浦 武雄君    山本 利壽君       生田 宏一君    古川 丈吉君       木原津與志君    森 三樹二君       山口丈太郎君    石野 久男君  出席政府委員         警  視  長         (警察庁刑事部         長)      中川 董治君         総理府事務官         (自治庁選挙部         長)      兼子 秀夫君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁選挙部         選挙課長)   降矢 敬義君         総理府事務官         (自治庁選挙部         管理課長)   桜沢東兵衛君         検     事         (刑事局刑事課         長)      長戸 寛美君     ————————————— 六月二十九日  委員青木正君及び大坪保雄君辞任につき、その  補欠として生田宏一君及び古川丈吉君が議長の  指名で委員に選任された。     ————————————— 六月二十八日  公職選挙法の一部を改正する法律案石村幸作  君外十名提出、参法第一三号)(予) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  公職選挙法改正に関する件     —————————————
  2. 島上委員長(島上善五郎)

    島上委員長 これより会議を開きます。  公職選挙法改正に関する件について調査を行います。  ただいま出席政府委員は、自治庁選挙部長兼子秀夫君、警察庁刑事部長中川董治君、自治庁選挙課長降矢敬義君並びに自治庁管理課長桜沢東兵衛君でございます。なお、自治庁長官にも出席を要求してございますから、あとでお見えになることと存じます。  まず、過日行われました仙台市における市長選挙の件について発言を求められておりますので、これを許します。森三樹二君。
  3. 森(三)委員(森三樹二)

    ○森(三)委員 私は、過日の仙台市における市長選挙に関しまして、自治庁並びに警察当局に御質問をしたいと思うのでございます。  それは、各新聞にも報道せられまして、非常に大きな問題となっておりまして、現在異議申し立てもいたしておる事件でございますが、選挙の結果は、当選者次点者との間がわずか五百五十九票というきわどいものであります。しかも、この次点者島野武君の投票を取りまとめた束の中には、五十一票というような束が現われて参っております。しかるに、反対に、当選をいたしました岡崎候補については、四十九票束が十一も現われておる。そうして次点島野君の方には、五十一票東が五十三束、それから五十二票の束が二つ、それから五十三票束が一つ、こういうような計算で行きますと、合計七十一票の過不足が発見されたのであります。さらに、無効投票が七票、あるいは幽霊票となってわからないものが三十二票、こういうように、選挙開票に関するところの結果が、われわれ選挙の厳正公正なる取扱いを要求する者といたしましては、とうてい考えられないような、非常に不統制な結果をもたらしておるのでありますが、このことに関しましては、私は単なる過失であるというのには承服しがたい。何だか選挙管理委員会事務を担当しておる者が故意にやった、こう見られる事件であると思うのでありますが、これに対しましては、自治庁やあるいは警察当局が、どのようにお考えになり、どのように捜査をし、現在の段階において、どういう結果が皆さんの手元に報告されておるか、こういうようなことにつきまして御答弁を願いたいと思うのであります。
  4. 兼子政府委員(兼子秀夫)

    兼子政府委員 お答えをいたします。  本年の四月三十日に執行されました仙台市長選挙につきまして、ただいま森委員から御質問がございましたが、この市長選挙におきまして、候補者は五名ございまして、岡崎栄松、この方が六万四千六百四十五票、次点島野武さんが六万四千八十六票、その次に高橋三郎さんが三万八千三百十四票の得票がございました。当選者次点者との間にお話のごとく五百五十九票の差があったわけでございますが、その後におきまして、選挙及び当選につきまして、異議申し立てが市の選管に提出されたわけでございます。その開票の結果につきましては、ただいまお話のごとく五十票ずつたばねるわけでございますが、それぞれの束におきまして、あるいは四十九票とか五十二票とかという束の過不足がございまして、その投票総数につきましては、異議申立人は、五月十六日、仙台地方裁判所に対しまして、全部の投票それから投票録開票録等関係書類につきまして証拠保全の申請をし、裁判所は、五月二十五日から三十一日までの間に、全投票について点検をいたしたのでありますが、その検証の結果、裁判所が確認いたしました投票総数は全部で十六万二千八十票でありまして投票録記載投票者総数十六万二千五十八人に対しまして二十二票の増加となったということ、並びに、開票録に記載されております投票総数十六万二千四十八票に対しまして、地裁が確認いたしました投票総数は十六万二千八十票でありますので、三十二票の増加となったわけでございます。その三十二票の内訳は、有効投票が三十九票増加し、無効投票が七票の減、かような結果になっておるわけでございますが、われわれの考えからいたしますと、いかに開票を取り急いだといたしましても、このような疎漏は許されるべきものではないと思うのであります。たまたま一つの束が聞違っておったというようなことは、あるいは誤まりでないとも言えないと思いますが、この検証の結果は、相当部数の誤まりが発見されておるのでありまして、今後異議申し立てに対しまする裁決あるいは訴訟によって事実がはっきりされるものと思うわけでございます。  われわれが現在宮城県選挙管理委員会から報告を受けておりますことは、以上のような実情に相なっております。
  5. 中川(董)政府委員(中川董治)

    中川(董)政府委員 ただいま森委員の御指摘の、仙台市長選挙における投票勘定等において誤まりがあった、こういう点は地元警察でも十分承知しております。それで、私ども警察関係は、御案内のごとく刑事事件があるかどうか、こういうことに相なろうかと思うのであります。刑事事件といたしますと、罰条は、私ども考えでは、三百三十七条の違反があったかどうか、こういうことになろうかと思うのであります。それで、今のような事態で、ただいま選挙部長からお話があったごとく、少くとも勘定違いがありそうだ、こういう状況でございます。そういった点について、全くの過失でそういうことが行われたとせば、刑事事件として関与すべき限りではない。ところが、二百三十七条違反犯意があって、投票を偽造しまたはその数を増減する意思があって犯した場合には、刑事事件として処置すべきことは当然である、こういう見解をとっております。  現在、地元警察におきましては、本事件が、ただいま選挙部長から御報告があったごとく、関係人から異議申し立てがあり、それで選挙管理委員会は決定しようという段階であり、他面、民事上の手続で、民事裁判所の御処置によって、それぞれ証拠保全上の広い意味異議申し立てを含めた意味民事手続が今進行中でありまして、その状況とも関連いたしまして、刑事事件民事事件とは別個の事件とは申しながら、事実認定としては民事事件関係に事実認定が相なる点もございますので、これが二百三十七条の罪を犯す意味において行われたという容疑資料によってわかりました場合においては、刑事事件としてもちろんやるべきだと思います。ところが、今申したような広い意味民事手続進行中であって、その関係の事実が確認できない状況でもあり、他面刑事捜査といたしましていろいろ聞き込みその他をやっておりますけれども、これが罪を犯す意思があってやったという資料は現在のところ明確でない、こういう状況でございます。従いまして、結論として申し上げますことは、これが二百三十七条の罪を犯す意思をもって行われたということが推知される資料等を得ました場合は、もちろん刑事事件としてやる、その資料を得るにつきましては、広い意味民事手続がただいま進行中でございますので、その状況等とにらみ合せて、そういうことを推知する資料を得た場合に着手すべきものである、こういうふうに地元警察考えておりますが、その点は私ども地元警察考えております事柄が正しい態度である、こういうふうに私は思っておるのでございます。
  6. 森(三)委員(森三樹二)

    ○森(三)委員 私は、中川さんの御答弁を聞きまして、実はちょっと驚いたのです。あなたは、この前私が依頼した小樽事件についても、あるいは木原委員調査を依頼した事件についても、警察の行き方は妥当だというような態度です。ただいまもそういう地元警察がやっていることは妥当だと言う。私の方から警察態度がどうこう言わないうちから、あなたが警察態度は妥当だというような態度をとった。あなたがすぐ地元警察をかばうような言動をなさることは、まことに私は遺憾にたえないと思うのです。私の話はまだ地元警察態度がどうこうということは一つも言っていないのに、あなたの頭はすぐ仙台警察に走っている。そのような態度が非常に事件を不明朗にすると思う。  さて、私は、あなたの今のお話に対して、これまた不可解だと思う。およそ民事事件刑事事件とは事件が違うこともお互いにみな知っています。それからまた進行の速度も知っています。一方、単に三軒や四軒戸別訪問したかしないかというので、学校の婦人の先生を直ちに逮捕して調べ警察があるのに、一方、こういう事件を何ら手もかけないで、一つ調べもしないで、民事事件進行を見てからというようなばかな話がありますか。民事事件は何年かかったら解決がつくのですか。とにもかくにも、その当該選挙開票に立ち会った人間を召喚して、それこそ仙台の刑務所に入れてもかまわない。しかし、入れないまでも、とにかく召喚して、そうしてその間違いがどこにあったかということを調べないでどうしますか。選挙の公正を害するもの、これよりはなはだしいものはございませんよ。  私はそれではもっと申し上げましょう。とにかく、島野武君の方には五十一票束が五十三ある。五十二票束が二つ、五十三票束が一つという、東の数の間違いがこのように莫大にある。しかも当選した岡崎候補の方にはむしろ減要した四十九票の束がある。間違いならば、その岡崎候補の方にも五十一票束、五十二票束があるなら話はわかるのですけれども、向うの方は数を少くした東があって、そうして次点者島野君の方には票をふやした束があるではないですか。このような実情からいって、これを過失だとばかり考えられる警察ほんとうに不公平ですよ。不公平きわまるものだ。あなたは常識をもって考えてごらんなさい。あなたがもし次点島野君だったらどうします。どう思います。当選している方の側にも五十二票の東とか五十三票の束があるなら、これは間違いということが言えるかもしれぬ。ところが、当選した方の者の束には、四十九票束とかいう五十票より少い束があるのですよ。しかも、かりにあなたならあなたが次点者島野君とすれば、あなたの方の側には五十二票東、五十三票束というような束が、五十三とか、二つ一つとあるのです。これが過失であるとあなたは言えますか。これは重大な問題ですよ。それにもかかわらず、地元警察態度が正当だと思うというような、思い上った、かばい過ぎる言動をなさるという政府当局としての答弁に対しては、まことに遺憾きわまりないと言わなければならぬ。そうして、過般私が調査を依頼したような、あの学校先生が、しかも家庭週間によって家庭訪問をしたことを、直ちに戸別訪問容疑だとして一方にはぶち込むところの警察があり、しかも、この選挙の公正な開票——開票というものは大事なものですよ、あなた。衆議院の選挙でも佐竹晴記君はかって二十三票の差で当選している例がある。それからまたほかの人は確かに二票の差で当選した人もあるのですよ。そういうように開票というものは重大な結果を及ぼすものだ。その開票をしている者がこういうような大きなミステークをした場合に、民事事件の結果を見なければ手を染めないというような仙台警察やり方は、まことに不公平きわまるものだ。明らかに、これは、島野君を落選させて、現在当選している岡崎の方に加担したところの選挙管理委員会行為であると言っても、過言でないと私は思うのです。どうして警察がこれに手をつけないのか、その理由をまず私はお尋ねしたい。
  7. 中川(董)政府委員(中川董治)

    中川(董)政府委員 こういうことなのでございます。結局、私ども、現在問題の仙台市の本件開票にからんで、地元警察も私どもの方も犯罪がないと認定したわけではない、それから民事事件が確定した後おもむろにやるという意味でもない。と申しますのは、民事事件が確定するには、御存じのように民事手続争訟手続がありますから、相当の時間がかかることも私よく承知しております。それで民事事件が確定するまで手をつかねて傍観しておるという意味で申したのでもない。本件につきましては、ちょっと理屈っぽく申したから誤解を生んだかもしれませんが、過失であれば、犯意がなければ……。
  8. 森(三)委員(森三樹二)

    ○森(三)委員 そんなことはあなたが言わなくてもわかっておるのです。
  9. 中川(董)政府委員(中川董治)

    中川(董)政府委員 わかっておる通りですが、それで、本件はたまたま民事手続によって証拠保全上その他の措置考えられておりますので、裁判が確定するまで待つというのではなくて、そういう問題で事案民事事件として手続も進んでおる状況でもあるので、それとの関連において明らかになる面もあるので、それと総合してこの事件真相発見に努力したい、こういう態度を申したのでございますが、言葉が足りなかったのかと思います。そういう立場で、本件事案重要性にかんがみて、いろいろ関係の問題の解明に努めておるのでありますけれども、その一助に、民事手続によって証拠保全上の措置も講ぜられるということを念頭に置いて、そうして事案真相過失なりやいなや、犯意ありやいなやという点につきましては、それぞれ的確な捜査を進めるべきである、こういう観点を持っておるのでございます。
  10. 森(三)委員(森三樹二)

    ○森(三)委員 中川さんの御答弁はなっていませんよ。やはりあなたの頭は仙台警察をかばうという警察官気持が抜け切らないですよ。私がさっき言った通り、軽微な形式犯戸別訪問容疑があるといってすぐ引っぱってきてぶち込む警察が、このような重大な、ミステークを指をくわえて見ておることがありますか。選挙管理委員会の者を仙台警察に召喚して調べもしないで、ただ民事事件進行を見守ってそうして捜査していく。何事ですか、一体。選挙管理委員会人間仙台警察に呼んで、一体事情はどうなっておるか、そのタッチした人間を、個別的に、任意出頭なら任意出頭の形でもよろしいから、調べていくというならばいいけれども、現在の民事事件異議申立事件を、ただ聞き込みぐらいしておるのでは、証拠というものはだんだん薄れていく。四月三十日に執行しまして、そうしてこの問題が起きてもうすでにあなた五、六、七でしょう。もう二カ月以上たっておる。何ら手をつけない。そういうような警察の不公正というものはないと思う。あなたが候補者となって次点者島野君の気持になってごらんなさい。自分の票だけは五十票束が五十一票束となって、しかもその東が五十三束もあって、それから五十二票の束もあり、五十三票の束まであるではないですか。その反対に、当選した岡崎という方には四十九票の東があるというようなこの事実について、あなたは一体どう思うのですか。これでも過失だと思いなさるのかね。明らかに選挙の公正を害するところの作為的もはなはだしいものではありませんか。これを警察がタッチしないで、そうして民事事件異議申立事件の経過を見守っておる。もちろん、これが確定するまで一審、二審、三審とやったら、三年も四年もたちますよ。それから手をつけましたら、時効になって手もつけられない。事件というものは、できるだけ早く、証拠がまだなくならない間につけなかったらどうするのですか。すべての犯罪においてそうじゃございませんか。私は、警察の方のとっておる態度が、いわゆる現職の市長あるいは当選して現に市長として権力を行使しておる者——現在市警察は廃止されましたけれども、それでも五大市というようなものはまだ自治警察が残っておるが、そういうようないわゆる権力者と結びつくというような警察態度、だれが考えても、こういうばかな話がもしあったとしたら——ここに当選なさっておる方々が、自分の身に振りつけて、私なら私、どなたでもよろしいが。自分開票したその束に、一票ずつふやされた束が五十三もあり、五十二票の束が三つあり、五十三票の束が一つあるとしたら、しかもその自分よりか以上で当選しておる人間に四十九票の束があったといったら、だれが満足しますか。これはおそるべき事案ですよ。それを、あなたが、地元警察が手をつけないで事件の推移を見守っておるのを妥当な警察態度と言うがごときは、まことに私は選挙に関するあなたの認識不十分もはなはだしいものだと思うのです。あなたは、それでも、私がこれだけ申し上げても、この開票事務を担当した者の過失であるというようなお考えが持てますか。もしあなたが、これでも過失であると思うというようなことを言うなら、あなたはよほど警察官としての捜査心理に欠けた人だと言わねばならない。これほど明々白々な投票の結果が現われておる事件過失なんと言えるはずがない。御丁寧に一票ずつちゃんとふやしてあるじゃありませんか。とんでもない話だ。島野君と反対の人にも過不足のある投票があるのなら過失だということも言えるが、ないじゃありませんか。当選しておる岡崎という方には五十一票、五十二票という束が一つもないじゃありませんか。逆に減票した束があるじゃないですか。異議申し立て島野君の方にも、もし減票した束が一つでも二つでも三つでもあるならまだしも、減票した束は一つもない。一票ずつ増加した五十一票の束が山のように五十三もあるじゃないですか。それから五十二票の束が三つ、五十三票の束が一つ。これを過失なんと言えますか。過失というのはそういうものじゃない。過失というものは、およそその人のやった行為に少くとも過失と見らるべきところの客観的な状態がそこに発生していなければならぬ。これは明らかに故意である。私は警察官をやった経験はありませんが、私らしろうとが考えても明らかに故意であると思う事件を、全国の警察官を十分監督しなければならぬ立場にあるあなたが、警察をかばう余り、この間の小樽事件についても警察のやっていることが妥当だと思う、きょうもまた、私が尋ねないうちに、地元警察がやっていることは妥当だと思うというような行き過ぎた答弁をなさることは、まことに遺憾にたえない。もっときぜんたる態度をもって、この事件はどうも公正な取扱いであるとは言えない、私らとしても非常に疑念を抱かざるを得ない、さっそく仙台警察で十分を事実を調査し、当該選挙開票に立ち合った事務当局の者も召喚して——逮捕しなくても、任意出頭の形ででも召喚して調べております、調べたところが、甲についてはこうである、乙についてはこうであるというような報告があってしかるべきだと思うのです。私ら、こういう状態では、実際おそろしくて選挙はやれないですよ。あなたはどういうお考えですか。真剣な御答弁を願います。
  11. 中川(董)政府委員(中川董治)

    中川(董)政府委員 こういうことだと思うのです。誤解を招いたと思いますが、私は本事件について過失がないと申したのではないのです。過失によるものなりや、犯罪意思によるものなりやいなやを捜査すべきものであろう。今束とおっしゃいましたのは、民事上の手続の必要上保全されておりますので、その保全状況その他が民事手続上の目的でやられておりますけれも、それによって証拠保全されておるので、その状況について——今森先生は何候補が何枚、何候補が何枚とおっしゃいましたけれども民事手続で明らかになったものを基礎にして、それから捜査を開始すべきものである、こういう意味のつもりで申したのですが、ただいまお話の、ある候補だけが束が多くなって、他の候補が束が少くなったということは、私は承知していませんでした。そういう民事手続によって、そういう関係が明らかになりつつある、こういうことを承知しておりましたので、その明らかになりましたことを基礎にして——理屈っぽく申して恐縮ですが、過失と認められるべきものなりやいなや、犯意ありと認められるべきものなりやいなやということを警察捜査すべきである、こう申したのであります。言葉が足りなかったかと思いますが、そういう点を厳重に捜査すべきものと思うのであります。
  12. 木原委員(木原津與志)

    木原委員 関連して。過失だとか、故意だとか、犯意だとかおっしゃいますが、すでに目勘定違いの票数の束が五十三からあるのでしょう。そうすると、これを過失だというようなことを警察認定するといったら、その警察はばかだ。社会の常識上、そんなばかなことがあるか。そうでしょう。それだったら、これははっきり故意犯として、こういう結果が現われたら、とたんに、選挙妨害犯罪だというので警察権を発動する、これが捜査常識じゃないでしょうか。それに対して、何ぞや、地元警察が黙って、民事による証拠保全手続がなされておるから、その結果を待って、それから過失なりやいなや、故意なりやいなやというようなことを判断しようというようなことでは、選挙犯罪の摘発はできませんよ。そういう態度であなた方が選挙犯罪を摘発するんだったら、警察は一切の選挙違反の取締りをやらない方がいい。こういうようなときこそ、職権を発動して、ほんとうに厳正に、何が選挙の公正を害したかということを明らかにしてこそ、初めて選挙民を納得させることができるんだ。それを、今森さんも言われるように、ちょっとした戸別訪問があった、ちょっとした形式上の張り紙の違反があったからというて、どしどし検挙する警察が、これほど明らかな、選挙の公正を害しておるりっぱな犯罪が成立しておると認めておる状況にあるものを、何も事件を立てないで、民事証拠保全の結果を待ってから過失故意かの判断をしようというようなことじゃ、あまりあなたやり方が不公平過ぎるのではないのですか。これについて過失とか故意とかいうようなことは、判断する余地はないじゃないですか。こういう場合には、むしろこれは故意犯としてさっそく事件を立てておいて、そうして放意であるか過失であるかということは、立てた上での判断になるのが当然じゃなかろうかと思うがどうお考えでしょうか。
  13. 中川(董)政府委員(中川董治)

    中川(董)政府委員 まだ誤解があるようですけれども本件事件過失によるものなりと私ども認定したわけではないのであります。それで本件事件捜査するやり方といたしましては、全く民事事件と別問題に考えますならば、投票がどういうふうに勘定されたかということを発見するということが最も重要な要件になろうと思います。その事柄が、たまたま民事上の事件について証拠保全のことが行われておるので、その状況ではっきりしたことを基礎にして問題を解明しよう、こういう態度であると申したのであります。
  14. 木原委員(木原津與志)

    木原委員 それならば、一応客観的に過失状態とは認められぬ事情にある、一つ間違っておる、二つ間違っておるというものだったらいいが、五十幾つの束に誤算があるという状況にあるのだから、それならば、一応、民事としても証拠保全調査をするならば、警察として、刑事として、強権によってその事件真相を立件をして調べるのが当然なことじゃなかろうかと思う。それをやらないから、こういう無用な疑いなり紛争なりが起るのです。その点について、あなたが地元警察やり方が当然だというようなことをおっしゃるから、私どもに言わせれば、地元警察は怠慢かあるいは故意に前職の人をかばおうとする意図に出ているのじゃないかと言わざるを得ない。これだけはっきりした誤算があるならば、民事はかりに継続しておっても、刑事事件として立件をするのが当然なことじゃないか。これを立件しなければ警察の職権の怠慢だと思う。
  15. 中川(董)政府委員(中川董治)

    中川(董)政府委員 こういうことなのです。結局民事事件が確定してからやるという意味じゃないのでありまして、民事証拠保全措置が講ぜられて、その関係が明らかになっておりますので、それを基礎にして捜査を進めるべきものであろう、こういうことを申したのであります。
  16. 木原委員(木原津與志)

    木原委員 民事事件が確定するのは、最高裁判所に来てからでなければ確定しません。そうしますと二年先か三年先、それではもう市長の任期は切れてしまうのです。その期間不安定にしておくということは、ひょっとするとにせの市長かもしれないじゃないですか。そうすると、そういうような行政上のいろいろな措置が長い間不安定のままに置かれてくるのだ。そういうような状態はわかり切ったことであるから、それを、警察が、刑事事件の立件をしないで、黙って民事上の事件が確定するというときまで待とうという、そのやり方が間違っていると私は言うのです。そういうことをしないで、もう少くとも一応故意犯という客観的な条件が認められるのだから、それが故意犯であるか過失犯であるかということは捜査をやってみなければわからぬことなのだから、直ちに立件をして、そうして関係者について、民事民事刑事刑事として、すみやかに事件真相を確定するというのが正しい行き方じゃないか、これがほんとう警察の行き方じゃないかとわれわれは考えるのです。この点についてはどう考えるのですか。
  17. 中川(董)政府委員(中川董治)

    中川(董)政府委員 しばしば申したと思いますが、民事事件が確定した後にあらずんば捜査をしないと申したのでは全然ないのでありまして、民事事件関係で票のたばね方の関係が明らかになる措置が講ぜられておるので、その状況だけを待ってそれに基いてやろう、こう申したのであります。繰り返し申しますが、民事事件が確定してからやるという意味じゃないのであります。
  18. 木原委員(木原津與志)

    木原委員 選管において再調査をして大体のところは確定をしておるようでございます。すでに間違いの束の票数まで新聞で発表しておるから、選管でわかったことだと思うのです。それだから、あなたがおっしゃるようなお気持ならば、この事件故意犯であるか、過失犯であるか、その事情はどうあったかということについて、地元警察にすぐ指令を出して、これを刑事事件として立件させて、徹底的に捜査をやらしてくれるように私はあなたに要望する。
  19. 中川(董)政府委員(中川董治)

    中川(董)政府委員 これは、何回も繰り返して申しますが、私が申したのは、その束の状況がどういうふうに何ぼこうなっておるか、こういう関係をはっきり民事事件でやっていただいておるので、それのわかったことに基いてやると申したのでありまして、本日現在それが明らかになっておりましたら本日現在からやる。私が承知した範囲内におきましては、それがまだ束の状態民事手続で確認の途中である、こういうことが報告基礎でありましたので、その基礎について申しましたので、その基礎が確定しておればもちろんやるということは、全く同意見でございます。
  20. 木原委員(木原津與志)

    木原委員 この新聞記事の発表が真実であるかどうかという点については私どもも確かめてはおりませんが、一応裁判所関係を抜きにして、少くともこれだけの発表があるのでありますから、もう客観的に事件を立件する余地は十分できておる。この状況において警察刑事事件として捜査をされるという時期が熟しておると考えるのであります。だから、すみやかに立件の命令をされて、そうして真相一つ明らかにしていただきたい、かように考えます。あえて民事の判決を待つまでもないと思います。
  21. 中川(董)政府委員(中川董治)

    中川(董)政府委員 判決を待ってからやるというのではないのでありまして、個々の束のたばね方の状態をはっきりさせるということが民事手続上行われておりますので、それが行われたというはっきりした段階からは、お説の通り本件事件を、犯罪ありやなしやということを中心にして、刑事事件として大いに捜査すべきである。その点は全く同感でありますので、その点繰り返して申し上げます。
  22. 森(三)委員(森三樹二)

    ○森(三)委員 中川さんにお尋ねいたしますが、あなたはこの事件を知っておって答弁しておるのですか、ただ、知らずに、私らが今ここで質問をしたので、立ち上って、これは大へんだ、何でもいいから地元警察過失がないということで答弁しようと思って答弁しておるのか、それをまず聞きたいと思っております。この事件を知っておって答弁しておるとすれば、あなた自身非常に大きな過失を犯しておる。知らないで答弁しておるとすれば、仙台警察をかばい過ぎる余り、当委員会をまことにあなたは軽視したと言わざるを得ない。あなたの責任は重大だと思うのです。  そこで、私はさらにあなたに対してお尋ねいたしますが、この事件というものは、もう五月十四日に、証拠保全の結果、同地裁の手で投票用紙、投票開票録などの点検が行われていたが、一カ月ぶりで終了したというのです。そうしてこの証拠調べで、一束五十票であるべき束にひどい過不足があり、市選管が決定した投票総数を上回る幽霊票が三十二票も出てきた。その上に投票用紙の包みの封印が破られていたこともわかり、選挙開票係に疑惑が持たれるに至った。しかも私が先ほど言った束の数もみなはっきりわかっておるのです。従って、あなたが裁判の進行を待ってとかなんとかと言うこと自体は詭弁であるし、ちゃんと票数も、たれに何票あって、全体の有効投票が幾ら、無効投票が幾ら、束の過不足は幾らかということは、はっきり選挙部長にもわかっておるようです。発表にもなっておる。ですから、先月五月十四日に終了したのであるから、その翌日からでも警察は活動して差しつかえない状態に入っておるのですよ。それを現在までやらないということは、これは怠慢というばかりでなく、深く事情を話せば、すなわち当選した岡崎栄松という人は前の仙台市長です。よくあることですが、やはり長い間やっており、四年間もやっておれば、警察署長と酒を飲むこともある。警察の連中にも、選挙が近づきますと、寒けいこをやれば金一封と酒を出すとか、剣道の大会があればお祝いを出すとか、市長が行って激励の辞やあるいは訓示をやったり、選挙が近づくと市長さんでも一生懸命選挙運動をやるのです。警察に対しても御奉公しているのです。警察の心理としても、やはり現職の市長を勝たそうという頭がある。だから、選挙になっても、現職の市長の方には肩を持ってなるべく手を入れない、そうしてその反対のやつをたたくということもやりますし、それから市の選挙管理委員会というものも、開票の場合にはやはり現職の市長の方に肩を持つ場合が多い。これは市の選挙管理委員会ですから、給料はすべて市選管として市の会議を通して払うわけであります。結局、事件の内容を裏から申せば、現職の市長さんを当選さそうという思惑によってやられたことはもうはっきりしておる。だから、あなたは事件真相もまだお知りになっていないわけですから、あなたが今後公平な警察の手でもってこの事件調べるならば、はっきりと多くの事件があがってくる。そうして、私はさらに言葉を続けて申したいのですが、ここに一つの殺人事件があったとするならば、警察はとんでもない大騒ぎをします。そうしてこれが自殺か他殺か、かりに自殺であっても、どうも他殺くさいと思えば全力を尽して捜査する。ところが、こういう市長選挙というようなものは、言いかえれば、これはあなた方どう思っておるか知らぬけれども選挙なんというものは殺人犯の何十倍大きいかわからない。ここへ出てきておるところの同志諸君は、ほんとうに命がけの戦いをして出てきておる人たちですよ。ほんとうに場合によっては殺されるような命がけのことをみなやってきておる代議士諸君だ。市長についても、先ほど来兼子部長が言うように、六万何千票という票をお互いに取って戦っておる選挙です。このような重大な選挙によって、わずか十票や二十票でも当落が決定するのです。私が先ほど申し上げましたように、佐竹晴記君は過去において二十三票の差で当選しておる。そのほか、名前は忘れましたが、たった二票でもって当落の決定がついた衆議院の選挙区もあります。そういうことをわれわれ考えますと、実にはだにあわの生ずる思いをするのです。こういう重大な事件警察が手をつけないでおいて、ポスターを公共物に張ったから、これは選挙違反だといって、運動員を引っぱっていって豚箱にぶち込んだり、わずかの事件学校の女の先生を留置場に入れたり、このような行き過ぎをやる。このような重大な案件については、現職の市長とは警察署長もじっこんであるし、たびたびいろいろの場合に寄付などももらっておるから、まず今の岡崎市長当選さそうという魂胆でやったこの市の選挙管理委員会の不正に対して警察が職権を行使しないことは、これは一つの消極的な警察の職務乱用罪です。こういうことを、あなた方が、実際に仙台警察がやっていることは適当だと言うに至っては、私は重大な問題だと思うのです。ここにおられる各代議士諸君もみなさっきからあぜんとしておる。われわれは、きびしい選挙によって当選をしてきておるところの、選挙場裏の戦いを実験している者であります。従って、もし自分選挙にこういうようなことがあったら、ほんとうにわれわれは命をかけて守らなければならぬと思うのです。人ごとではありません。あなたは今私がお尋ねしたところのこの事件を知っておって答弁しておるのかどうかということ、それからあなたがこうした事件についてどういうような考えを持っておるかということを御答弁願いたい。
  23. 中川(董)政府委員(中川董治)

    中川(董)政府委員 これは、真実をはっきり申し上げて、御審議の参考にしたいと思います。  実は、われわれ各県の警察は、選挙違反捜査に限らず、すべて捜査活動を積極、消極ともに適正にやってもらう、こういうことを日夜念願しておるわけでありますが、今から一週間ほど前に、仙台でこの種の増減の関係があるということを聞きました。それで、これは重大なことだと考えまして、仙台警察本部の方へ、君の方でこういう選挙の増減事件があるそうじゃないか、そういう聞き込みを得たが、本件はどういう状況かということを詳細報告を求めた。そうすると、向うでも事柄を重視しておりまして、選挙の公正確保上重要なケースだと思って本件についていろいろなことを検討しておるけれども、当時の、報告を求めたときの状況——今私がお答えする基礎もそこにあるのですが、民事上の手続で、票数が何ぼか、どういうふうにたばねたかという手続が検討されておる最中だから、それがはっきりすることによって問題の一番直接的なことがわかるので、それに基いて事を処理したい、こういう報告がございました。それで、その知り得た知識を率直にここで申し上げて御審議の参考にすることが問題の解明にも役立つと思いまして、私は申したのであります。  それが前段の問題でございますが、後段のところは、すべて公職選挙法に規定する犯罪選挙の公正確保を阻害する重要な犯罪だろうと思いますけれども、とりわけ選挙投票の増減とか投票管理に関するような犯罪は、選挙の公正を阻害する最も重要な犯罪である、こういうふうに理解しております。
  24. 森(三)委員(森三樹二)

    ○森(三)委員 そうすると、中川さんは、大体今から一週間ほど前に、仙台警察に事の重要性にかんがみて事件を照会されましたところが、先ほど来るる答弁されたような報告が来たので、ここでおざなりの答弁をしたと私らは解釈せざるを得ない。すなわち、地元警察から言ってくれば、ああそうか、そういう程度のものと軽くあなたはお考えになっておった。しかし、選挙法のもとに、きびしい選挙警察の弾圧と戦いながら当選してきたところのわれわれから見れば、こういう重大な、だれが見ても、十人が十人、百人が百人犯罪と思われるような事件に、何ら仙台警察が手をつけないでおる。しかも、事実は、五月十四日の裁判所手続によってぴしゃっと内容が判明しておる。従って、五月十五日から現実に関係者を召喚して捜査に着手すべき事件であるにかかわらず、現在まで放置されておるという仙台警察の消極的な職権乱用を、われわれは放任しておくわけに行かない。あなたは、これに対して十分深い認識を持たれて、仙台警察当局に対して、事の重大と職務の怠慢、そうしてこの事件に対する徹底的な究明をされることを望んでやみません。次会にまたあなたから詳細に御答弁をいただきたいと思います。  それから、兼子選挙部長にお尋ねいたします。大体、中川さんにお尋ねをしたことで、あなたも事件真相を知っておるだろうと思いますが、これはあなたとしても全国の選挙に関して選挙管理委員会を指揮監督するところの立場にある。ある場合においては、あなた方は、あまりにも熱心の余り、官報の号外によって、地方選挙においては政党よりも人を選ぶべきだというような、ああいう御熱心な文書までも出しておる当局である。このような仙台市長選挙の行き過ぎに対して、大間違いに対して、どのような措置をされたか、御答弁願いたい。
  25. 兼子政府委員(兼子秀夫)

    兼子政府委員 二月の総選挙、さらに四月の地方選挙に際しまして、二月の総選挙の際は、前もって地方の選挙管理委員長を集めまして、新しく法令の変った点等を十分に説明し、なお事務の管理執行上についてあやまちのないようにお願いをしたのであります。さらに、そのつど、新しい情勢に従って、事務上の間違いのないような個々のケースにつきましても、通牒というか、府県を通して市町村まで徹底するようにはかっております。  なお、この仙台事件につきましては、先ほども申し上げたのでありますが、非常に票数の束の誤りがありまして、不可解に思っておるわけでございます。もしかりにこれが開票を急ぐの余り過失でかような事態が起ったものといたしますれば、私個人の考えでありましてまだ全部固まっておるわけではありませんが、開票がかりに二倍あるいは二倍以上時間がかかりましても、現在の開票の方法を改めまして、先に総数の点検をやって、しかる後に開票をやらなければ、かような事故の未然防止ということは終局的には不可能ではないか。果して選挙の結果を急ぐあの開票のせわしいときにそれができるかどうかという問題になるわけでございますが、この点につきましては、なお本件真相がはっきりいたしますとともに、私の方でなお研究をいたしたい、かように考えております。
  26. 森(三)委員(森三樹二)

    ○森(三)委員 非常に漠然とした御答弁でございますが、あなたは、地方選挙並びに総選挙について、全国の選挙管理委員会の者を集めて訓辞をなさって、間違いがないようにせいと言った。それは当然しかるべきでしょう。間違いがないようにせいということは、いわゆる手落ちのないようにせい、過失のないようにせいという意味だろうと思いますが、そういうような故意、悪いことをしてはいけないという意味まで含んでいないだろうと思います。ところが、あなたが幾ら間違いがないようにせいと注意しても、これは私らから見れば間違いというものではないのだ、いわゆる意識して故意にやつた事件であると私らは認定をする次第です。あなたはこれに対してどういうようなお考えを持っているか。これはまだ過失であるかあるいは故意であるか私はわかりません、もう少し事件を見なければと言っていれば、あなた方お役人さんはその日が送れるかもしれないけれども、そういうことでは私はいけないと思う。こういう事件については、こういうようなばかなことが過失で起るわけがありません。私先ほども言った通り当選した岡崎という人は現職の市長だったわけでしょう。しからば、どこの市町村でも、大体、現職の者を当選さそうというように、市町村の選挙管理委員会などが意識的に動くわけです。これはあくまでも故意であったというふうに私らは認定するわけです。これをしもあなたは一体どう思うか。間違いをするなと言ったけれども、間違いが起きた、これは過失なんだ、総投票からまず調べてかからなければならぬのだ。——幾ら総投票から調べようが、何を調べようが、故意に一票ずつあるいは二票ずつ余分に束にしてやろうといって意識してやっているものを、あなた方が百ぺん訓辞したところでそれが是正されるわけがない。これは明らかに故意です。あなたそう思いませんか、どうですか。
  27. 兼子政府委員(兼子秀夫)

    兼子政府委員 具体的に本件に対して私がどう思うかというお尋ねでございますが、なお、本件事案につきまして、県の選挙管理委員長から書面で——御本人はこちらへ出てきたのでございますが、私は書面で報告を見ておりますので、なお今後真相がはっきりいたさなければわかりませんが、現在までわれわれが得ました報告に基きますと、岡崎さんの票数の束は、四十九票の束が八束、五十一票の束が二十四束、五十二票の束が一束、合計十八票さらに検証の結果増加することになるわけでございます。それから島野さんの方は、四十票の束が一束、四十九票の束が一束、五十一票の束が十八束、五十二票の束が一束、五十三票の束が一束、これで計算いたしますと、検証の結果増加いたします票が十二票、このような結果に相なるわけでございます。それで、この真相がどうかという問題でありますが、現在の私の考えで行きますと、やはり事務の疎漏——考うべからざる疎漏でございますが、やはり事務の疎漏でこういう結果になっておるのじゃないか、あるいは意識的にやったといたしますれば、これはゆゆしい問題でありますが、そのような感じがいたしておるのでございます。
  28. 森(三)委員(森三樹二)

    ○森(三)委員 こういうような重大な結果を起した者に対しては、自治庁としては、当該開票に立ち会った人間、これは相当数は多いだろうと思うのです。開票の場合なのだから二十人や三十人おるだろうと思うのですが、厳に調べて、そういう結果を招来した者に対しては相当な処分を私はしなければいかぬと思うのです。そうしなかったら、こういうことは改まらないですよ。やはり刑事上の責任を負うとかあるいは公務員としての身分上の責任を負わなければ、これは、かわいそうだけれども、やはり仕方がないと思うのです。一つのこうした大きな問題を起した以上は、それに対してはどういうふうに考え、あるいはまた処置されるのですか。
  29. 兼子政府委員(兼子秀夫)

    兼子政府委員 本件仙台市に起りました事件でありまして、おそらく、開票に従事いたしました者は、市の選挙係員、並びにそれ以外の一般事務に従事している者が開票事務のために応援を命ぜられて従事したものと思われるわけでございます。でございますので、その身分法上の責任の追及と申しますか、それは公務員法上仙台市にやっていただかなければならぬと思っております。なお、従来の例から申しますと、かような失態がありました場合には、それぞれ選挙管理委員も辞職をし、さらに職員等についてもそれぞれの措置が講ぜられておる例になっております。中央といたしましては、現行公務員法上の観点から、考え方を平素お示しするだけにとどまるものと思います。
  30. 森(三)委員(森三樹二)

    ○森(三)委員 それでは、私は、この仙台の問題につきましては、今後十分また御調査並びにそれこそ今後適正を期せられるよう自治庁当局にも警告を発しまして、時間もありませんから、次の質問に移ります。  次の直間は、東京都江戸川区会議員の選挙の問題でありますが、区会議員の選挙となりますと、これは票がだんだんこまかくなりますから、同点とか一票の差とかいうことが非常に重大なことになります。村会議員の場合なんかでは、同点の者が三人もでき、結局抽せんでもってきめるというような場合もしばしばできるのでありまして、開票の場合においては、有効、無効の投票等については厳重な立会人の検査が私は必要だと思うのでありますが、このことにつきましても、やはり当選しておった紫村というのが失格して、次点の竹門というのが当選した。それも要するに選挙管理委員会異議申し立てをしまして、そうして調べた結果、次点の竹門という人が、一千百七十七票で、最終の当選者と入れかわったということが出ておるのでありますが、このことに対しまして自治庁当局としては現実にお調べになったかどうか。またこうした問題につきましても、これはわれわれとしても故意過失かという点はまだこの事件だけの客観性では十分わかりませんが、これらについてどういうようなお調べと見解を持たれるか、お尋ねしたい。
  31. 兼子政府委員(兼子秀夫)

    兼子政府委員 本件につきましては、都の方から何ら報告が来ておりませんので、詳細なことはわかっておりません。
  32. 島上委員長(島上善五郎)

    島上委員長 委員長から質問しますが、もう少しはっきり申しますと、これはやはり故意であるという疑いが非常に多いのです。紫村理一というのが最下位当選、それから竹門というのが一票違いの次点、そうして再調査を要求したところが無効投票が三票出てきた。その無効投票は明らかに他の候補者投票と思われるのが一票ある。それは新村という投票です。現に新村という候補者が立っておる。これはまぎれもなく新村の投票なんです。それを紫村に計算しておる。それから、あと二票は混記、名前を混合して記載したと思われる投票で、島村理一というのと新村理一というものがある。これは新村という候補者も立っているし、他に宇井利一という候補者も立っている。それから鳥村という候補者も立っている。だから、島村、新村を混記した投票が二票、それから明らかにただ新村とだけ書いた投票ですから、新村の投票です。この三票があります。ですから、その新村という他の候補者投票がはっきりしておれば、そのときもうすでに同点になっておる。混記が三票できて三票少くなった、こういう結果ですから、これは故意の疑いが非常に濃厚なんです。当落が逆転しているのです。これは、一区会の選挙といえども選挙の公正を期する上からは重大だと思う。
  33. 兼子政府委員(兼子秀夫)

    兼子政府委員 ただいま委員長からお話のありました投票の効力の問題につきましては、そういう具体的の事件をアブストラクトいたしまして、投票の効力という点から都の方から照会があったことはございますが、ただいまここに資料を持ち合せておりませんので、必要がありますれば後刻お答えをいたしたいと思います。
  34. 島上委員長(島上善五郎)

    島上委員長 それでは、事実は今私が言った通りですから、あとでよく調べて、これは警察庁の方にもあとで御見解を伺いたいと思います。次に、やはり同様な、あるいはもっと悪質と思われる事件が徳島市において行われた市長及び市会議員の選挙に関してございますので、この件について質疑の通告がありますから、これを許します。生田宏一君。
  35. 生田委員(生田宏一)

    生田委員 自治庁の方にお尋ねしたいのですが、四月に行われた市長選挙、市会議選挙で、徳島市選挙管理委員会事務局長、事務局次長以下が共謀して多数の白票を候補者に売りつけて、そうしてその票におのおの勝手な候補者の名前を書いて、またそれを受け取って開票の場合にすりかえたという事件が起きておるということなんですが、その詳細を多分あなたの方にも御報告があったと思いますから、その事情についておわかりでしたらお答えを願いたいと思います。
  36. 兼子政府委員(兼子秀夫)

    兼子政府委員 徳島市における投票用紙不正事件につきましては、向うの県の係員が上京いたしましたときに事件の概要は聞いているようでありますが、なお正式の報告には接しておりませんので、正式の報告を待って申し上げたいと思います。  なお、本件につきましてただいまのようなお話でありますれば、これはほんとう刑事事件として、特に選挙事務関係者がさような犯罪を犯したということになりますれば、これはもう言語道断の問題だと思います。
  37. 生田委員(生田宏一)

    生田委員 中川政府委員にお尋ねしたいのですが、警察当局並びに検察庁は、すでにこの問題を刑事事件として着手をして、十五名の者を逮捕して取調べをして、そのうちから十名近くの起訴者が出ておるのですが、御存じございませんでしょうか。御存じでありましたならば、あなた方の方のお手元に入っておるその事情についてお聞かせを願いたいと思います。
  38. 中川(董)政府委員(中川董治)

    中川(董)政府委員 今御指摘の事件は、私も記憶があるのでありますが、正確な資料を持っておりませんのでお答えできませんので、お許しを得れば次会にお答え申し上げたいと思います。
  39. 生田委員(生田宏一)

    生田委員 はなはだ驚いた話でありまして、私は、東京におりまして、別に私の郷里へ何一つ照会をいたしたことはないのですが、私の耳には逐一入ってきておるわけなんですよ。また毎日の新聞は大へんな報道をしておるわけでございます。それを、自治庁にしましても、また警察庁にしましても、そのような報告がないということは、これは一体どういうわけでございますか。ことに選挙管理委員会自治庁の系統立った指揮監督がなされておるのです。そして、その指揮監督下にある徳島市の選挙管理委員会がそのような言語道断なことをしでかしておるにかかわらず、まだ御報告もないとかそういうことで、私はこれは受け取りかねるのですが、どのようなことなんでしょうか。もし御存じないとするならば、私がここで知っておる限りのことはお話をしてお聞きを願ってもいいのですが、それであなたの方で確たる御答弁ができますか。
  40. 中川(董)政府委員(中川董治)

    中川(董)政府委員 今お答えいたしましたように、私は本事件は大体記憶に基いては承知しているのですが、資料を持っておりませんので、間違いを起したら大へんだと思いますので、次会にその資料に基いてお答えいたしたいと思いますが、お許しを願いたいと思います。
  41. 生田委員(生田宏一)

    生田委員 自治庁の方はどうでございますか。
  42. 兼子政府委員(兼子秀夫)

    兼子政府委員 本件につきましては、先ほど申し上げましたように、県の正式の選挙につきましての事故の報告——ほかの事件につきまして報告があったわけでございますが、その犯罪と思われる問題につきましては、まだ正式の報告に接しておりません。ただ、係員が出ましたときの口頭に基きます事件報告でございますが、そういうものはあるわけでございますけれども、われわれといたしましては、やはり正式の報告に基いて申し上げたい。大体の内容は、口頭の説明によりますと、おっしゃる通りに、投票用紙を窃用してそれが不正に用いられたというような事件であるようでありまして、これはもうすでに犯罪と思われるわけであります。
  43. 生田委員(生田宏一)

    生田委員 犯罪と思われるということでなしに、すでに検察庁は少くとも取調べをして起訴しているのです。現に勾留をして取調べ中の者もあるわけです。私は、私たちの方からお尋ねしなければ、こういうことがあなたの方にわかっていないのだということは受け取れぬのです。通知は来ておるのですが、今資料がないというならわかるのですが、どっちですか。
  44. 兼子政府委員(兼子秀夫)

    兼子政府委員 先ほど申し上げましたように、正式の報告には接しておらないわけであります。
  45. 生田委員(生田宏一)

    生田委員 それではお尋ねしてもはっきりしたお答えができないだろうと思いますが、しかし、大体今ここで話が出ておるのですから、私が知っておる限りのことを、あるいはあなたの方では今ここで御答弁ができないとおっしゃるかもしれませんけれども、一応お尋ねしたみたいと思います。  事件の中枢をなすものは、昭和二十六年の選挙にも同様のことが行われた。それはどういうことかというと、事務局次長に米延保之という男がいるのですが、これは、本年の選挙には公明選挙推進委員長をしておって、街頭の演説で公明選挙を盛んにがなって歩いた男なんですが、その男が、二十六年の選挙のときには、五十票あるいは百票まとめて、選挙管理委員会に保管してある投票用紙を盗み出して、それを候補者に五十票五万円で売りつけ、また方々へ売りつけに歩いているわけであります。そうして中にはその投票を買って当選した者もあるし、また中にはそれがために落選したものがあるこいうことが今日ではわかってきておるわけです。今度の選挙には、山内安高という男、これは市会議員の候補者ですが、選挙管理委員会の由利武雄という職員のおやじの由利直衛という男が、投票用紙を、五十票むすこから手渡しを受けたものを山内安高に売り込んで、山内安高は自分の名前を書いたのであるけれども、その投票をすりかえることを実行しなかった。そのことから本件はばれてきたのです。そうして調べてみると、ほかにもある、ほかにも投票を売り込んだ者がある、こういうことです。そこで、だんだん調べてみると、刑務所の囚人が投票用紙をこしらえる。それを刑務所から受け取って帰ってきて、選挙管理委員会に保管してある。その投票用紙の数と現在使用して残ったものとの差引計算をしみると、九百五票足らないのです。九百五票は、その投票用紙を盗み出してどっかへ売り込んだに違いないのです。現に、私が開いておるのでも、徳島市内の鎌田長夫という男、これは今度当選しましたか、売り込みに来たけれども、断わったというのです。また河野知成という男も、売り込みに来たけれども、断わったというのです。そうして佐古町という投票所で五十票の問題が起きてきた。また内町の投票所、また津田の投票所においても、投票のすりかえ事件が行われた。どのようにしてすりかえたかというと、五十票の投票を一まとめにしたものを正規の投票とかえたのですから、ともかく何票かの正規の投票が無効になったことは間違いない。また中には、投票をずっと点検していって、その間に不定な投票を投げ込むものですから、十票とか十五票とか二十票とか札が余ってくる。そこで女子の職員に命じて、疑義札、無効札、白票の中からその多くなった票だけを抜き取らせて、投票のつじつまを合せた、こういうことが取調べによっても明らかになっておるわけです。これは真実の問題です。あなたの方ですぐ要求されればはっきりわかってくるわけです。そこで、問題になるのは、本年の四月に行われた徳岡市会議員の選挙というものは、次点者当選者との間がわずか四票です。そうすると、もし次点考の札を六票とか五票とか抜き取っておれば、得票は変ってくるわけですから、当然再選挙の問題が起きてくると思うのですが、こういう場合にはあなた方の方ではどういう御解釈をされるのであろうか。これが一つ。それから、再選挙をしなくてもいいというのであれば、どのような法的な根拠があって、公職選挙法の中で何条を適用して再選挙をしなくてもいいか。これは大きな問題になっておりますので、当選者も落選者も、ともにこれは自己に関する大きな利害関係ですから、この問題の落ちゆく先というものは非常に重視しておるわけですが、どういうような御解釈でしょうか。事実関係についてはあなたの方でお取り調べを願っての上でありますが、もしそれが真実ならば、当選者次点者との間が四票しかないということになると、再選挙というものを中心に考えてみて、どういうような御意見になるのであろうか、それをお尋ねしたい。
  46. 兼子政府委員(兼子秀夫)

    兼子政府委員 本件につきましては、非常に驚くべき事件のようでありまして、大体お話のようなことはわれわれも口頭で聞いておるのでございます。われわれが口頭で聞いております得票数の差は八十九票になっておるのですが、いずれにいたしましても、選挙無効の異議申し立てが出て、検察庁の活動が開始されておるようでございます。なお、事案の正確なことは正式書面を待たなければ申し上げられないのでございますが、大体の今のお話等から見ましても、異議申し立てが出、訴願訴訟の手続進行すると思うわけでありますが、当然法律的には選挙無効の判断をしなければならぬ、かように考えております。
  47. 生田委員(生田宏一)

    生田委員 私はこの問題は、徳島の市会議員の選挙をめぐって、非常に人心が悪化しておるといいますか、選挙の公正というものはもう何人も信じがたいという空気が出てきておるわけです。私はこれを非常に憂えておりますので、その他の本年の各種の選挙に起きました事項について、選挙の公明を期するためには、どうしても大きな斧鉞を加えなければならない、こういう決心をしておるわけです。そこで、事実関係はあなたの方でははっきりした公文書を得てからというお話ですから、それはそれでよろしゅうございますが、先ほども森委員の御質問にお答えになって言われておるところを聞いてみますと、選挙管理委員会についてはかなりな指導要項を示して、あなたの方では選挙の公正を期するように十分な処置をしたとおっしゃるのですが、また私の国の徳島県におきましても、本年の当初ですか、昨年の暮れでしたか、自治庁の方から来て選挙に関する講習を開いたはずでございます。あなたの方からどなたがお見えになったか知りませんけれども、講習を開いて、かなり教育をしていただいたはずなんですが、その教育をやったその裏で、選挙管理委員会事務局長の小倉君は、事務局次長の米延君と共謀して、公金の横領をしたことも自白いたしました。それはもう現に起訴になっておりますから、間違いございません。また、公職選挙法違反どころか、投票用紙を窃盗して、これを売りつけて、選挙の公正を害しておる次第ですが、選挙管理委員会の運営そのものにもよほどこの際留意をして、これを改めなければならないところがあるのではないかと思います。  私が考えておりまするのは、選挙管理委員会は民主的な選挙をやるためにはりっぱな機関であろうと思いますし、これを育てていって選挙の公正を期することは、当然やらなければならぬことでございまして、私はこれはりっぱなことだと思うのです。しかし、選挙管理委員会自体の運営を見てみますと、必ずしも初期の目的の通りに動いておるわけではございません。いろいろありますが、一例をいえば、たとえば選挙法の疑義について選挙管理委員会にお尋ねしても、何一つ要領を得たものがない。これは私の方でははっきりわかりません、場合によれば中央の方に聞いてみましょう、これが県の管理委員会の答えです。市町村の管理委員会に行きますと、これは私の方でははっきりお答えしかねますから、こう言って突っ放される。選挙事務についてこれが妥当であるか不当であるか、これは違反になるだろうかならないだろうかというようなことを尋ねてみても、何一つお答えがない。そのような権威のない管理委員会でもある。それかといって、議会演説をやりまして、喧騒をきわめて故意に妨害する者があっても、その妨害者を場外に退去させるだけの権威もない。またそのような努力もしない。また選挙事務について電話で交渉してみてもさっぱりらちがあかない。行ってみてもらちがあかない。あの忙しい選挙の際でも、特に徳島市では五時になれば職員が一入もいない。だれも話を受け付ける者がない。五時以後のことはだめですからと一言って、交渉してもだめなのです。そういう官僚化した選挙管理委員会なわけです、最近の選挙管理委員会は。これは人間の素質にもよろうと思うのですが、選挙管理委員会については、戦争直後の追放後の人材払底のときに選挙管理委員会というものができて、そのままその人間が継続して職務にあるように思われるのですが、これらの点については自治庁の方は直接指導の任に当っておられるのですから、選挙管理委員会の運営というものは、今私が申し上げた例は一、二の例にすぎないのですが、あなた方はどういうふうな気持選挙管理委員会の今の運営をしているのか。これでよいとお考えになっているのか、あるいは将来何とか考慮をしなければならないと考えているのか。いわんや、最近における公職選挙法の改正では、民主選挙というものをもう少し徹底するためには選挙管理委員会の権限を拡大しようじゃないか、というような改正意見も出ている今日ですから、特に選挙管理委員会の運営については細心の注意がなくてはならぬはずだと思いますが、御意見のほどを一応聞かせておいていただきたいと思います。
  48. 兼子政府委員(兼子秀夫)

    兼子政府委員 ただいま選挙管理委員会の運営につきまして御意見を拝聴したのでありますが、全般的に見まして、戦後の新しい制度のうちで、選挙管理委員会というものは、目的を達したと申しますか、大体ほかの制度に比べてうまく行っているのではないか、このような御批判が世間に多いのではないかと思っております。と申しますのは、戦後始まりました立合演説会等は、公務員だけでなく、それぞれの地区の管理委員の方々が、法律的には多少乏しくとも、事務局職員のアドヴァイスによって常識的に処理をして円満にやっていく。その意味から行きまして、選挙管理委員会というものはある程度所期の目的を達しているのではないか、かように考えております。  なお、何を聞いても法律的にわからないというおしかりがございましたが、あるいはさようなところもないではないと思うのであります。と申しますのは、何分にも選挙法が非常に複雑でございまして、市町村でわからないことは県に聞いていただき、また県で疑問のありますところは私の方に聞いていただきまして、統一的な解釈でやりませんと、あちらこちらから御異論が出て参りますので、さような指導の仕方をしております。それから、われわれが心配しておりますのは、法律がむずかしいという関係で、選挙管理委員会事務局人事の問題でございます。村ではその問題は比較的ないわけでありますが、府県になりますと、事務局職員の人事が長くなってくる。そこに人事が梗塞するという問題が一つあるわけでございます。一方、頻繁に異動がありますと、法令がよくわからないでかわってしまう、常に法律的な御質問にも答えられないという欠点を持ってくるわけで、むずかしい問題でございますが、一部の見方をいたしますと、事務局職員の人事が片寄ってしまう、その意味で刷新されないという欠点が一部にあるのじゃないか、かように見ております。両者の関係をにらみ合せて、事務局職員の人事等の運営をはかっていかなければならぬと思っているわけでございますが、市町村長あるいは知事にいたしましても、やや独立的性格を持っております関係上、ともすれば人事上の手が一般職員と同様には伸びないというところが若干あるのじゃないかというように考えられます。  それから、選挙法の周知徹底につきましては、全国の府県の職員を中央において再三機会を見て訓練をいたしております。また、県におきましては市町村の職員を集めまして講習会等を行うわけでございます。  次に、先ほど来お話のありました事件につきましては全くわれわれもあぜんとするばかりでありまして、全国の選挙管理に従事しております職員は、選挙の仕事と申しますと非常に慎重に真剣にやりまして、夜も、普通の職員は帰りましても、演説会等がありますれば、当然夜おそくなってもそれに立ち会わなければならぬし、個人演説会があれは看板も持って行かなければならぬ。非常に人知れぬ苦心があるようでございます。なお、本件の具体的のことにつきましては、事務局の次長以下職員も不正事件があるようであります。いかなる原因で市の職員全体がこのように腐敗をしているのか、あるいは選挙管理事務機構だけ腐敗しているのか、こういう点についてもいかなる原因でこうなっているかということを調べてみなければわからぬと思いますが、今後徳島市の有権者に与えます影響は甚大なものがあろう、なお、市長さんとも相談をして、選挙に対します信頼の回復につきましては十分配慮いたしたい、かように考えております。
  49. 生田委員(生田宏一)

    生田委員 あなたの方で、重大な問題として、徳島市民に与える選挙に関する影響を何とかとにかく考えていきたいということでございますから、それは私もぜひそうしてもらわなければならぬと思うのです。ただし、あなたが今言われた中で、選挙管理委員会というものは案外よくやってきた、相当の効果を発揮したとお考えになっているのは、これはいささか私は当らぬと思うのです。全体の問題にしても、これは善意か悪意か知りませんが、こういうことはもう各地であるのです。私の生まれた町でもそういうことが実はあるのです。また非常につまらぬことで、わずかなことだというので看過しているのですが、たとえば、文字を知らぬ老人が投票に行って代筆を頼むときに、これがはっきりと自分意思通りに代筆されているということは十のうち二か三で、七つ八つは自分意思にあらざる人間の名前を代筆されていると私は思う。これはもうそう断言していいと思うのです。たとえば、投票に来ましたが、書いて下さい、だれにしますかというときに、たとえばイという男だと言った場合に、口という男の名前を書くこともあれば、これはハという人がいいぜ、おばあさん。ああそうですが、頼みます、と言って、意思を誘導して書かす場合もある。おそらく代筆くらい選挙の公正を乱しているものはないと思う。どういう村にも五十や百の代筆投票はあります。代筆くらい選挙の公明を阻害するものはないが、何とかこれは選挙管理委員会の中で代筆係というものを指定して、公正な人間を選んでこれにやらせるというようなことでなければ、公正なやり方はできないと思うのです。そういうようなことを見れば、選挙管理委員会の中というものは、案外人が気をつけておらない、気をつけて考えてみないような盲点になっているものですから、また選挙管理委員会というものは公正に扱うということを最初から人は考えておるものですから、そういう不正があることを実はあまり考えないで、そのまま四、五年来ておるのです。それが、だんだんそういうことかわかってきて、これはけしからぬ、これはけしからぬということで、選挙管理委員会に対する批判というものも最近非常に強くなってきておる。ですから、あなたのお考えになっておる選挙管理委員会がうまくやってきたという考えは、少し甘い考えなんです。私はそう思うのです。この際こういう問題が起りましたのを契機にして、全国的な問題だと思いますから、全国的に選挙管理委員会というものをもう一ぺん練り直して締め直すような方向に向けなければ、公正な選挙というものはできないと私は思うのですが、それはあなたの方でおやりになれますか、どうでありますか。
  50. 兼子政府委員(兼子秀夫)

    兼子政府委員 選挙管理委員会がうまく行っておると私簡単に申し上げましたのは、選挙管理委員会制度ですね。民間人を選挙管理委員にして、選挙事務を管理、執行させるその制度が、管理委員という制度がないよりはいいんじゃないか、なかった時代よりいいんじゃないか、あるいは選挙管理委員会制度というものをやめてしまって、外国のごとく市町村長に従属させるということも、御意見としては出るかと思いますが、われわれは、それと対比してみました場合に、選挙管理委員会の制度がいいんじゃないかということを申し上げたのでございます。ただ、選挙管理委員会事務の執行がうまく行っておるかどうかということにつきましては、ただいま御指摘がありましたように、今後さらになお改めていかなければならぬ問題が多々あろうと思います。それにつきまして、いかなる方法をもってやるかという問題でございますが、最近町村合併等が相当行われておりまして、町村が大きくなっておりますので、そのうちから適任者を選びまして、やはり相当優秀な人を選挙の管理委員の職員にしていただかなければ、これはできないわけであります。今度の選挙を見てみますと、合併したようなところで、お互いに従来の町村から職員が寄り集まって、職員同士の責任がはっきりきまっていないところ、そういうところは若干のミスがあったようでございます。でございますので、そういう点につきましては、合併後さらに日を経るに従いまして、除々に職員の結合等も固まって参ると思いますが、それはそれといたしまして、町村の選挙管理委員会事務局職員の事務能力につきましては、やはり直接私の方で訓練をするというわけには参りませんので、府県を通して、府県にこのような方向へ訓練をしてもらうということで、府県を訓練いたしまして、間接に、府県でやっていただくということにいたさなければならないと思います。府県によりましては、相当町村の指導に力を注いでおりまして、そのようなところは、横に町村同士連絡をとりまして、よくやっておるのでございます。
  51. 生田委員(生田宏一)

    生田委員 警察関係の方も、自治庁関係の方も、あの事件について取調べの進捗しておる状況をなるべく早い機会に御報告願いたいと思うのです。それから、自治庁の方も、今の御答弁は全くあなたとしても不意の質問にあったような格好で、まあ当らずさわらずの御答弁のように思いますから、あなたの方でよくお考えを練って、選挙管理委員会をどのようにしていったならば、このような弊害が除去せられるか、いわゆる公職選挙法の改正に当っても、こういうことができたことが参考になって選挙法改正をやるというようなあなた方のお考えをまとめて、次の機会に御答弁を願いたいと思います。から、よく資料も整えてこの次にまた答弁をしていただきたいと思います。
  52. 長戸説明員(長戸寛美)

    ○長戸説明員 私法務省の刑事課長でございますが、ただいまお話の徳島の投票用紙の抜き取り事件は、徳島地検におきまして情報を得て、いわゆる検事認知の形で検挙取調べを行なったものでございます。窃盗、投票増減罪等によりまして相当数の起訴を見ておるわけでございますが、なお、事務局内にはそのほかにも犯罪があるというふうな容疑がございますので、現在引き続き捜査を実行しておる次第でございます。次会におきましてはいま少しく御説明申し上げます。
  53. 石野委員(石野久男)

    ○石野委員 関連して兼子政府委員にお尋ねしますが、先ほどの徳島事件にしましても、仙台事件にしましても、ほとんど選挙管理委員会に関連する問題であって、その管理委員会の構成の問題あるいは運営の問題について先ほど同僚委員からお尋ねしたわけです。てれに対するお答えの中で、特に事務局職員の人事の問題についてあなたからいろいろなお話がありましたけれども、私ども見ますには、もちろん事務局職員の人事の問題もありますが、管理委員そのものの中に非常に大きな問題があるように思う。このことは、管理委員の諸君は長い間にわたって案外変動なしに来ているところが多い。そのために、結局、どういうときでも、特に市町村におけるところの現職の市長なり町村長のいわゆる政治的関係、派閥に属する勢力がその管理委員会の中に入り込んでいて、これらのものが事件を起しておる面が多分に見られる。この面を相当われわれが考えませんと、これから後の選挙の公正の管理ができない、こういうように思うのでありますが、この点について、あなたは、むしろこれは事務局職員の問題だというふうに主としてお考えになるのか、私が今懸念しておるような問題については、あなたの方ではそう大して心配せぬでもいい、こういうようにお思いになっておるのか、一つ所見を承わっておきたい。
  54. 兼子政府委員(兼子秀夫)

    兼子政府委員 選挙管理委員会委員の構成の問題でございますが、府県と市町村ではその内容が違うと思います。府県の特に大きなところにおきましては、それぞれ議会の政党派別と申しますか、そのような要素と、そうでない無色の人というような角度で人選が進められておるのが実態のようでございます。市町村におきましては比較的その傾向はないと思うのでございますが、具体的選挙事件が起りました場合の処理に当って、町村長の他の方に有利なようなことが行われやすい、そのような傾向にあるという御意見でございましたが、その点につきましては、管理委員の選任に当って中正なりっぱな人を選んでいただく以外にはないと思うのでありまして、具体的な事件の処理は技術的でございますので、やはり事務局職員がしっかりしておりまして、その上で委員常識的な判断を中正にしていただくということ以外にないと思います。なお、ただいまの御心配の御発言がございましたが、今後機会を見まして、そのような点につきましても管理委員の集まり等の場合によく話をしたいと思います。
  55. 石野委員(石野久男)

    ○石野委員 この問題は、先ほども同僚委員から問題を提起されておりました代筆などの場合に、特に選挙事務に携わっでおる役場の吏員などが、現職の町長さんとかあるいは市長とか、そういう派のいわゆる味方をするといいますか、特に代筆を頼まれて、だれだれさんと言われた場合、その派に属する者の名前を書く。頼んだ方がもう一ぺん念を押すと、そうですがと言って消してしまって別な名前を書く。別な名前を書けば無効になってしまうのですね。そういうことを本人は知らないから、消したからいいのだということで帰ってくるわけですが、結局開票の結果は無効になってしまう。こういう結果が出てくるわけです。こういうことは全く故意であるかどうかわからないが、そういう例が非常に多い。私のところでもそいうことが非常にあったわけです。そういうことがあったから、選挙管理委員会に事前にそのことを言って、そういう棒引きしてあるのをどういうふうに扱うかということを開票前にあらかじめ話をしたところが、十数件そういうものが出できている。こういう事実が出てくるわけです。こういうことは、職員の問題でもあるけれども、その職員たちに尋ねると、結局町のある有力者とか現職の方方のいろいろな指図が動いている。そういうことになってくると実に不公正きわまるものになるので、私どもはその点を先の同僚委員と同じように心配するわけです。これは、今後、やはり選挙の公正な管理をする建前からいって、指導する場合における重大なポイントになるだろうと思いますので、われわれとしても新しい選挙法の改正については特に注意しなければならぬと思いますが、同時に、管理の衝に当っている兼子さんあたりは、これも十分一つ下部に徹底するようにしてもらいたい。  それから、先ほどの仙台の問題について兼子さんからの説明を聞きますと、両派の側にいろいろな数の相違があって、これは事務上の粗漏から来ているのだろうと思われるというお話があなたからありました。しかし、実を言いますと、私どもはこれを見てびっくりしたのだが、票の読み方の中に、束がこんなに件数として多く誤算されておるとしますと、その信輝性を疑うことになるわけです。ことに、森委員から言われておりますように、後日にその票を改めようとしたときに封印が破られておるというようなことがありますと、これはもう、その封印が破られたことによって、どれだけまた作為的な事件があったかわかりませんから、この票の違いは倍加されて、私たちとしてはその信憑性を疑わざるを得ないのであります。われわれ選挙の当日における票読みを見ると、全体として総数を読んで、名簿の方と全体と合せてみて、その突き合せが十分できた上で、今度両派に分けて票を読むはずなんです。それがこの場合どういうようにしてその票が総数に合っておったかどうかということも、われわれ疑問に思うわけです。当日票読みされる場合に、そういういろいろ疑義があるにもかかわらず、そういう誤算があったといたしますと、これは、むしろ、警察とか何かの問題の前に、あなたの方の選挙管理委員会自体の問題になってくるわけです。こういうようなことがあると、刑事事件だとかあるいは民事事件だとかいう問題の前に、選挙管理委員会自体における問題点として、この問題はもう一度やはり真剣に検討しなければならないし、再選挙しなければならない問題ではないか、こういうふうに思うのであります。われわれは常識的にそういうふうにこの公職選挙法の建前から考えるのでありますけれども、そういう問題についてあなたはどういうようにお考えになりますか、その点を一つ聞かせていただきたい。
  56. 兼子政府委員(兼子秀夫)

    兼子政府委員 仙台市の事件につきましては、先ほども申し上げた通り、われわれ選挙事務関係者としては非常にショックを受けた事件であります。不正があったかなかったか、過失であったかという問題は、今後の訴訟の過程においてはっきりすると思いますが、われわれとして、かりにこれが過失でかようなことが起ったといたしますならば、これに対する今後の保証をどうするかという問題を当然考えなければならないわけでございます。昔は、御承知のごとく、全部の票を読んで数が合うまで合せて、それから開票をやったのでございますが、戦後有権者がふえまして、選挙結果等を早く知りたいというような情勢もありますので、最近各地の情勢を見ておりますると、開票と同時に各人別の票に分けて、その束を計算していく。もちろんその束は何回も計算してあやまちなきを期するわけでございます。そのようなシステムをとっておるわけであります。全体の票が何票あったかという計算をして各人別の開票をいたすということになりますれば、現在の選挙におきましても相当な時間を要するわけでございますが、技術的にどうしたらあやまちなくできるか、今後私どもの方におきましても研究をいたさなければならない問題でございます。仙台事件の今後の進展も考え合せて検討をいたしたい、かように考えております。
  57. 石野委員(石野久男)

    ○石野委員 今すぐ答弁はなかなかむずかしいのかもわかりませんが、しかし、今あなたから出された資料によっても、両派におけるところのいわゆる束の違いになっておる件数だけでも五十五件あるわけです。四十九票のものが八、五十一票のものが二十四と、こういうものをずっと合せると五十五件になります。これは職員の方々の非常に粗漏な扱いの結果であるとかなんとかいう問題だけでは済まされないと思う。一件や二件ならともかく、その上になお、今度後日再調査するために見たところ、その投票箱の中の票については封印が切られておったものもあった。そういうことになると、作為的ないろいろな手があらかじめ再調査するまでの間に加えられておったことをわれわれは心配せざるを得ない。それが百票であるかあるいは五千票であるかわかりませんが、まあそういう大きい票でなくても、当落を左右する票になりかねないかもわかりません。しかもそれが故慮であったらなお重大である。こういうようにわれわれは考えるのでありまして、そういう問題をわれわれが今後封ずるためにも、またこの選挙を正しく選挙民に納得させるためにも、ここではっきりした態度をとってやらなければいけないと思うのです。これは、私再三申しますように、警察とか、あるいは刑事問題、民事問題と言う前の、あなたの方の所管事項として問題になっておる問題だ、こういうように考えるので、もし封印が破られておるとかなんとかいう事実が明白になったとする場合に、その場合にこの選挙は再選挙にまで持ち込まなければならないと私は考えるけれども、もしそうだった場合はどうでありますか。あなたのお考えとして再選挙をしなければならない問題になりはせぬかどうか。あなたのお考え一つ聞かしていただきたい。
  58. 兼子政府委員(兼子秀夫)

    兼子政府委員 封印の問題でございますが、封印が破られておった、故意に破られておったということなら、これは犯罪でございます。当然選挙はやり直しをしなければならない。ただ、封印をいたしましたものが運搬途中に切れたということもあり得るわけでありまして、そういう場合にどうなるかということは、なお研究をいたさなければ相ならぬ。個々の具体的事件で違って参ると思います。
  59. 森(三)委員(森三樹二)

    ○森(三)委員 先ほど来各委員からいろいろ質疑が行われましたが、実際質疑が行われてみますと、全国でもって選挙違反その他選挙管理委員会故意過失によるところの事案というものは相当多いということに、実は驚いておるわけであります。過般の五月二十七日の当委員会において、桜沢説明員から——これは記録の中に入っておりますが、その選挙に対する報告事項の中で、今回の選挙では管理上大した問題も起らず、大体順調に行われたものと思います。というようなことを言われております。もっとも、そのあとでは、ただ、今回行われた選挙の中で若干の問題があったわけだと言って、静岡県の藤枝の問題、つまり投票用紙が紛失した問題、あるいは選挙公報の印刷誤まりの問題、詐偽投票の問題等なんかも言われておりますが、ただいまお尋ねの徳島県のような問題、あるいは私が先ほど申しました仙台その他の選挙管理委員会の問題等、だんだんとあげてくれば、選挙管理委員会の責任に帰すべきところの事案が数限りなくたくさん起きておる。桜沢さんとしては、そうしたところを十分調査ができておらなかったから、こういうような報告をされたのかもしれませんが、われわれが実に驚くべきところの、こうした選挙管理委員会の不正事件が現われてきております。従いまして、自治庁の当局としては、量の上にも質の上にも全国的にこうした問題がたくさんあるということに、みずから大きな驚きと反省を持っておられると思うのであります。従いまして、先般の桜沢さんの御報告は、当時の状況としてはそうだったかもしれぬが、現在ではどういうように思っておられるか。自治庁選挙部の担当者としても、今後よほど重大な決意をもってあらゆる選挙に臨んでいただかなければ、選挙の粛正というものは、単に法規の上で幾ら厳重にし、そしてあなた方が全国を回ってやっきになってやったところが、おそるべき選挙犯罪が、みずから指導したところのその地方の選挙管理委員会において如実に問題が起きているという事実にかんがみまして、自治庁当局においても、重大なる決意と、そうして認識を新らたにしなければならぬと思っておる。これにつきまして桜沢さん並びに兼子部長から御所見をお伺いしたい。
  60. 桜沢説明員(桜沢東兵衛)

    ○桜沢説明員 ただいま森先生お話の点でございますが、五月三十七日に御報告申し上げました当時は、この徳島の問題あるいは仙台の問題、こういう事件については実は承知をしておらなかったわけであります。その後この問題が起りまして、実は大へん恐縮しておるのでございますが、府県からは、選挙の途中におきましても、こういった問題が生じますと直ちに報告をしてもらい、そうして単にその選挙管理委員会だけに限らず、他の選挙管理安員会に対しましても、そのような事件を未然に防がなければなりませんので、直ちにその措置を講ずるわけでございますが、この問題は新聞等で発表されるまでは全然承知をしておらなかったわけでございます。新聞で拝見しましたので、さっそく県の方へ問い合せをいたしまして、大体の事件の様子は電話で伺ったのであります。先般福井市におきまして全国府県選挙管理委員会の総会がございまして、その席ではこのような問題も一応各管理委員会り方々にも報告いたしまして、現在までにこちらの方に報告のしてないような問題で今後十分戒告しなければならないような問題については逐一報告してもらうように、そうしてまたその善後措置についても詳しく報告するようにという依頼をしておいたのでございます。なお、その際に、関係の府県については今後十分に注意を願うようにお話しいたしますと同時に、御出席の府県の方々にも、再びこのような問題を引き起さないようにという御注意をとりあえず申し上げておいたわけでございます。なお、先般全国市区選挙管理委員会連合会の総会がございまして、その際にもなお関係出席の方々には御注意をしていただくように、これは連合会の会長の方に十分注意をいたしまして、総会当日連合会の会長の方からも各関係の方々によく御注意してございます。事件がだんだん判明いたしましたら、今後これらのものについては、再びこのようなことの起りませんように注意をして参りたいと思います。
  61. 兼子政府委員(兼子秀夫)

    兼子政府委員 ただいま、森委員から、かような事件に対しての私の考えはどうかというお尋ねでございましたが、今回の地方選挙につきましては、私どもは、当初は、前回の地方選挙に比べて訴願に持ち込まれました件数が少い、でありますから、比較的前回に比べて成績がいいのではないか、かような認識を持っておったのでありますが、その後事態が、徳島市の事件等から見まして、これはまさに職員の犯罪が錯綜しておる問題でございまして、おそらく今までもかような事件はなかったのではないかと思うわけでございます。いかなる原因でかような事態に立ち至りましたものか、検討いたさなければならぬと考えますが、今後、機会あるごとに、選挙重要性につきまして、実際口がすっぱくなるほど徹底をはかりたい、かように考えております。
  62. 森(三)委員(森三樹二)

    ○森(三)委員 最後に一点。今兼子部長並びに桜沢さんの御所見を聞きましたが、私が最後に申し上げたいのは、今日の一般の社会の犯罪を見ましても、窃盗であろうと、ヒロポン事件であろうと、あるいは売春行為であろうと、警察に上ってくるものは、ほんとう事件のうちの一%くらいのものです。それを、警察が検挙した件数はこれだけあった、どろぼうが何ぼあった、七ロポンの違反がこれだけあった、売春が幾らあったと言って、そうした統計で事件が多くなりましたとか、あるいはわれわれの努力によって少くなりましたとか報告されておりますが、これは全くうわべの調査なんです。従いまして、ただ表面に現われた事件だけをもって、あなた方が成績が上ったとか、あるいは成績が悪くなったとかいうようなお考えを持つこと自体が大きな誤まりですよ。いわんや、選挙犯罪になりますと、これは、当該候補者違反ばかりでなく、運動員の違反ばかりでなく、あなたが始終監督しておるところの全国の選挙管理委員会におけるところの問題もある。これらの犯罪はすべて知能犯であります。従いまして、できる限り発覚しないようにやっておるところの事件なんでありまするから、表面の事件が少いから、多いからといって、それによってうまく行っておるとかなんとかいう甘い観察を持たれることは、今後非常に誤謬を犯すゆえんであると思うのであります。促いまして、常にあなた方の気持としては、あの大洋に流れておる氷山をごらんになればわかるが、氷山の一角は、それは水平線から出ておるだけのものであります。その水平線以下にあるところの氷のかたまりというものは、表面に出ておるところの何百倍、何千倍のものである。そのように考えなければだめだ。表面に現われただけの数をもって、兼子さんが、ことしは事件が少かった、われわれが努力したからこのように成績が上ったと思ったら、それは大きな誤まりだ。あなた方の目の見えないところで莫大な事案が絶えず起きておるということを十分銘記されて、選挙事務に関するところの問題あるいは選挙法の周知徹底等につきましては、今後あなた方はほんとうに真剣になってやっていただきたい、かように私は警告を発しまして、質問を終りたいと思います。
  63. 島上委員長(島上善五郎)

    島上委員長 本日はこの程度とし、次会は公報をもってお知らせいたします。  これにて散会いたします。     午後四時散会