○
中川(薫)
政府委員 まず
根本的の点からお答えいたしますが、私
ども、日本国憲法に
根本は由来すると思うのであります。ほかのこともそうでございますけれ
ども、
犯罪捜査をするに当りましては、個人の基本的人権を十分に尊重しなければならぬ、これはもう憲法に由来する民主主義の
根本原理でございまして、私
ども憲法治下の
国民としても当然そう理解する。
国民としてそう理解しておるばかりでなしに、私
ども公務員でありますので、公務の執行に当りましては、個々の個人の人権を尊重して、それと公共の福祉を調和して公務を執行する。その具体的
方法は、国会でお定めになった
法律に基いてそれを具現する、こういう態度で、自分もそう
考えておりますし、そういう
根本原理で
警察の教養が行われておるのであります。それで、ことに
犯罪捜査に当りまして、
逮捕とか、その他押収とか、そういった
強制処分の定めが
刑事訴訟法等によってございますけれ
ども、その定めに基いて
強制処分をするに当りましては、必要最小限度にしぼるべ遂であろう、そういう
強制処分をすることなくして
真実発見ができて、それに基いて刑事手続の円滑な運用に資して、公共の福祉を達成することを理想とする、こういう点は
根本原理で、ございまして、御
承知の通りでございます。過般当院の法務
委員会におきまして、自殺者ができた
事情等にもかんがみられ、極力
任意捜査の方式を用いること、こういう文字が使われておりますが、それもその精神に出るものと思いますが、その法務
委員会の御決定の趣旨も全国の
警察に通知いたしまして、この
根本原理は憲法から出ること当然でございますけれ
ども、その趣旨もよく了得しておるのでございます。
本件の場合、君自身で行って
調査するならわかるけれ
ども、北海道本部に
調査さしてはだめじゃないかという点は、一応御趣旨はよくわかりますけれ
ども、私
どもの大体の
考え方は、
警察のやり方が不当でないように事前防止にまず努めるのでございますが、不幸にして行き過ぎたのではなかろうかという
事件を
発見した場合におきましては、それぞれ
警察には最
末端の
事案につきましては上級畜督
組織官僚機構だといってお叱りになるかもしれませんが、そういう役割でそれぞれ北海道本部等が置かれておりますので、そういう使命を果させるのには最も格好な機関でありますので、その格好な機関をして
調査せしめたのでございます。それから、実際事務的に申しましても、こういう
事件を個々に
調査するのに、東京から行きましても日数等もかかるしいたしますので、現地のそういった第一の
署長等の非行等を監督する
組織がございますし、ことに、かりに非行がありました場合におきましては、問題の
事案は地方公務員でございますので、地方公務員に対しましては私
ども法律権限として懲戒する措置もできませんので、そういった面は北海道の
警察の定めるところに基く懲戒措置ということにならざるを得ないのでございます。そういう必要等からも、北海道本部をして
調査せしめたのでございます。
根本精神は森
委員の御覧の通りでございますが、
本件事案が直に行き過ぎかどうか、こういう点でございますが、先ほ
どもお答えしたつもりでございますが、十日間とめておいたのはけしからぬという点でございますが、私は責任は回避いたしませんが、まず
本件事案に
逮捕の必要ありと
認定いたしましたのは当該
警察でございますので、
警察に責任がございます。そうして、これは御案内の通り四十八時間以内に身柄を
送致しなければならぬことになっておりますので、
送致して、勾留すべきかいなやという点は、
警察の
意見も十分御参酌願ってはおりますけれ
ども、最終決定としては
検察官が御決定になって、その
検察官はしかも裁判官の勾留状を御
請求なさるという措置でございますので、責任は転嫁いたしませんけれ
ども、こういう機関につきましては、われわれは大いに連絡を密にし、
協力をする責任はお互いに持っておりますけれ
ども、最終決定機関は
検察官でございます。ところが、お互い連絡を密にする責任を持っておりますから、大いに
協力すべきであって、相互の責任は相互に反省し合うということは当然でございますが、今回もこういったことでいたずらに長くとめているのじやなかろうかという疑念は確かに私も持ちまして
調べたのでございます。比較的過去によくあり得たのは、一ぺんも
調べないで長く勾留しているということがずっと昔あった例がありますので、そういうことではなかろうかと思って
調べたのでありますが、
本件事案に関する限りは、毎日
警察官または
検察官が
真実発見のために
調べておる
実情でございますので、
調べもせずすっぽかして長いこと放置しておったというそしりは、この場合は当らない、こういう点だろうと思うのであります。
それから、その次の御
質問の、何軒回れば
戸別訪問かという点は、
法律解釈としては釈迦に説法だからいたしませんが、御案内の通り、
犯罪がありましても、現行
刑事訴訟法は
起訴便宜主義でございますので、
検察官は、
犯罪の情状その他の
状況にかんがみまして、
起訴すべきか
起訴すべからざるかということを決定する。釈迦に説法でございますが、検事は
起訴便宜主義をとっておりますので、
起訴しない
事件というものが
相当たくさんあり得るわけです。それで、
戸別訪問事件で何軒くらいやれば
戸別訪問で
起訴するかという点は、皆さん、ことに法曹界においてはいつも御研究と思いますが、一応
検察官の内部で
起訴基準というものがございます。ところが、これはわれわれも
承知しておりますけれ
ども、これはうそをつく意味では決してございませんが、
検察官として当然だろうと思いますが、
起訴基準をあまり天下に公表いたしますと、その
起訴基準がかりにX軒となっておりますと、Xマイナス一軒までは大丈夫ということになって、防犯の
目的も達せられないので、
検察庁におかれましては
起訴基準は公表しないという態度をとられております。その態度は
相当の
理由があろうと思いますので、私
どもよく存じておりますけれ
ども、そういう
関係等を念慮に置きまして、ここで申し上げることを差し控えたいと思うのであります。
それから、河村きくさんの
関係の訪問先が何軒であったかという点でございますが、これも
捜査中でありますので終局決定は出ておりませんが、今お述べになりました、三軒か四軒と森
委員は御
調査のようでございますが、私
ども警察関係の
調査では、それよりも多い
数字になっております。