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降矢説明員 この前お手元に配付いたしました資料に基いて説明申し上げます。
この資料は、検討を要すべき事項として、
自治庁と
法務省並びに警察庁で一応問題となるような事項を
条文ごとに配列しただけでございます。従って、この表現もすべて「可否」というふうになっておりまして、別段明確な結論を下しているわけではございません。問題になった点を逐次申し上げますが、なお私の説明の足りない点は、法務省あるいは警察庁の
政府委員の方から御説明を願うことにいたします。
第一番目は、
投票所開票所、
選挙会場の指定及び告示。これは、現在投票所について申し上げますと
投票管理者がその場所を指定して告示をする。従って法の建前は
投票所ごとに
ばらばらにやられるというかっこうになっております。これは前からも
選挙管理委員会からいろいろお話がありまして、別々に出さなくても、
管理委員会一本で告示をしてはどうかという、手続の簡素化、合理化という面から要望があったものでございますので、そういう趣旨でこの問題を提起したわけでございます。
それから、第二番目は、
外国人の
選挙運動を禁止することの可否。現在は御承知の
通り外国人の
選挙運動については
禁止規定がございません。ただ
外国人から選挙に関して寄付を受領してはならないという規定はございますが、そのほかはございません。そこで一応問題としてこういう問題を提起したわけでございます。
それから、第三番目は、
戸別訪問に関する問題でございますが、百三十八条の第二項に、選挙に関して戸別に政党の名称を呼称して歩くような行為は
戸別訪問とみなすという規定がございます。その中に政党その他の
政治団体への加入を勧誘し歩く行為を加えて
戸別訪問とみなしてはどうかというのが第三番目の問題でございます。
それから、第四番目、第五番目は、ともに百三十九条の飲食物の提供に関する問題でございますが、第四番目の、湯茶及びこれに伴って通常用いられる菓子、茶菓の提供は認められておるわけでございますが、この提供する場所を、
選挙事務所において提供するということに限ってはどうかというのが四番目の問題でございます。
それから、五番目は、
選挙運動に従事する者及び労務者に対して弁当を提供するということがこの前の改正で認められ、その食べる弁当を提供する場所は
選挙事務所とはっきり解釈できるのでございますが、労務者などが持っていく弁当を提供する場所というものが、法文上どうも明確でないように思われますので、この点、もう少し明確にしてはどうであろうかというのが趣旨でございます。
六番目は、
乗車用腕章を着用した者は、
街頭演説に際し、さらに
街頭演説用腕章を着用することを要しないものとし、
街頭演説用腕章は十一個を交付するものとすることの可否。これは、御承知の通り、
乗車用腕章は現在四個でございますが、
乗車用腕章をはめて
自動車の上で
街頭演説をやる場合には、さらに
街頭演説用腕章をつけなければならぬ。二つつけることになっております。しかし、実際問題として、なかなか
運動員についてもやっかいでございましょうと思いますので、
乗車用腕章を
街頭演説の腕章と兼用できるようにしてはいかがなものであろうかというのが六番目の趣旨でございます。この数の問題については、
街頭演説用腕章は最大十五個でございますので、
乗車用腕章は四つということで、
現行法通りに最大限十五個にとどめたい。具体的な問題として、実際
街頭演説をやるときには、
乗車用腕章をつけた方が主体になっておやりになるので、最高の十五という程度で
現行法通り押えていったらどうであろうかという趣旨でございますが、ほんとうの
考え方は、
乗車用腕章を
街頭演説用腕章と兼用させてはどうだろうか、こういうのがこの
考え方でございます。
七番目は、百四十二条の三項に、
演説会場等において使用する
ポスター、立札、ちょうちん及び看板の類を故意に回覧させることを禁止する旨を明らかにするものとすることの可否。現在は、
演説会場に使用する看板を回覧させるのはこの限りでない、頒布の制限外になっておるのでございます。もちろん、この点は従来から、故意に回覧させることは禁止しておる行為なんだということで今まで説明して参っておりますが、その行為をもう少し明確に表現してもらってはどうであろうかというのがこの改正の趣旨でございます。
八番目は、
選挙運動用自動車及び船舶に使用する
文書図画の掲示を認めることの可否。これは、この前の改正で
自動車、船舶内の一切の
文書図画の掲示を禁止されたのでございますが、これをまた復活と申しますか、もちろん多少の修正を加えても何ですが、もう一回
文書図画の掲示を認めてはどうだろうかというのが八番目の趣旨でございます。
九番目は、違法な
文書図画について、その
掲示責任者の記載がない場合には、
都道府県及び
市町村の
選挙管理委員会においてみずから撤去し得るようにすることの可否。一応
掲示責任者を明らかにしなければならぬという規定がございますが、それが全然書いていないというような
文書図画については、選管で撤去できるようにしてはどうであろうかというのが九番目の趣旨でございます。現在は、違法な
文書図画については、選管は撤去させる、要するに
撤去命令を出すことができるという規定しかございません。
それから、十番目でございますが、現在の百四十八条の三という規定で、
新聞雑誌が選挙に関し公職につくべき者を予想する
人気投票の経過及び結果を記載し発表するようなことを禁止しておりますが、これを少しく拡張いたしまして、
新聞雑誌に限らず「何人も」というふうにしてはどうだろうかというのがこの第一点であります。第二点は、
人気投票のほかに
世論調査というものを加えてはどうだろうかということでございます。
十一、十二は、これは大体同じような
考え方でございますが、十一は、
新聞広告の回数と
スペース、——この前
スペースも広くなりましたし回数も多くなったのですが、これを減らして、
政見放送の回数を増加してはどうだろうかということでございます。
それから、十二の方は、そういうことにした結果、一つの
新聞広告において同一選挙区の
候補者はできるだけ多く、ずっといわば
氏名掲示式に出せるようにしたらどうだろうか、
候補者が
ばらばら出るよりも、同じ選挙区の
候補者の政見は一定の時期に一緒にずっと並べることができないだろうか、それから、
政見放送においても、一定の時間に同じ選挙区の
候補者が引き続いて放送できるようにできないであろうかというのが十二番目の問題でございます。ごらんのように、
ばらばらにやられるよりも、この方が効果的であろうというのが
考え方でございます。
それから、第十三番目は、
班別編成による
立会演説会の演説の順序をくじで組みかえることができるものとすることの可否。これは、御承知の通り、
班別編成にいたしますと、一回演説の順序をきめますと、あとはぐるぐる回っていくわけであります。従って、ある
候補者によっては、攻撃を受けると申しますか、そういう立場に立たれて、相手の人の言論を受けてそれを批判したりする、そういうチヤンスはないということになるわけでございます。そこで、
選挙管理委員会が、事務上支障なければ、十日に一回とかあるいは五日に一回、一週間に一回ぐらいに、もう一回くじをやって、
演説会での順序を変えられるようにする。もちろん
班別編成でありますけれども、その同じ班の中で演説の順序をくじで組みかえることができるようにしてはどうだろうかというのが十三番目の点であります。
十四、十五、十六というのは全部
個人演説会についての問題でありますが、第一番目は、
個人演説会の
開催回数の制限を撤廃してはどうだろうか。これは現在御承知の通り六十回以内となっておるのでありますが、この前の
衆議院議員選挙の結果にかんがみますと、
立会演説会が中心になっておりますし、それから
個人演説会の回数を調べた結果によりますと、
候補者一人平均二六・九回になっております。従いまして、人によってはもちろん六十回ぐらい行く人もありましょうが、
全国平均が二六・九、大体二十七回でございます。
立会演説会中心というようなこの前の選挙の状況にもかんがみまして、
回数制限をしておく必要がないではないかというのがこの問題の趣旨でございます。
それから、第十五番目は、
個人演説会告知用ポスターというのが
衆議院の場合には三千枚に制限されております。その
使用方法がきわめて厳格に規制されておりますが、かりに十四のように
個人演説会の
回数制限を撤廃しなくても、
個人演説会告知用ポスターという特殊用だけにしか使えない
ポスターというものをやめまして、昔の
通り白紙にしまして、その枚数だけは
現行通りといたしましても、何でも書けるような
ポスターというふうにしてはどうだろうかというのがこの十五番目の趣旨であります。それから、「この場合
参議院地方選出議員の選挙にあっては、
当該都道府県の区域内の
衆議院議員の選挙区の数が一を超える場合には、その一を増すごとに千五百枚を加えたものとすることの可否。」この点は、現行は千枚でございます。これは
参議院については少な過ぎるんじゃないかという意見もありましたので、少しふやすとすれば今より五百枚程度ふやしたらどうだろうかというような意見で出したのでございます。
十六番目は、
個人演説会の立札の
公営制度を廃止することとし、
個人演説会場外においても立札一箇に限り使用することを認めるものとすることの可否。現在は
回数制限で、開く場合には
選挙管理委員会に
開催確認のため通知を出すわけでございます。それによって、
個人演説会がどこであるかがわかるように立札を立てる制度になっておりますが、かりに
回数制限を撤廃いたしますと、そういうことが事実上できなくなりますので、立札の公営を廃止してはどうだろうか、こういう
考え方でございます。そのかわり、自分で一個だけは立てられるというふうに、数を限って認めてはどうだろうかという
考え方でございます。
それから、十七番目ですが、無
投票当選の場合には、
政見放送及び
経歴放送の手続、
立会演説会の
開催手続並びに
氏名掲示の手続を中止するものとすることの可否。これは、
現行法で見ますと、
選挙公報についてはこれと同じような規定がございまして、無
投票当選が確定した場合は
選挙公報の
発行手続を中止するという規定がございます。それと同じように、
政見放送公営についてもこういう規定を設けてはどうだろうかという
考え方でございます。
それから、十八番目は、これは
参議院全国選出議員の
氏名掲示についてでございますが、この
氏名掲示は、
選挙長から選管に
候補者の通知がございます。それが、
氏名掲示開始前三日までに通知のあった者については、普通の場合ですと、
市町村選挙管理委員会がくじできめて、そして
氏名掲示をやるのでございますが、
全国参議院の場合には、
都道府県でくじできめて、それを
市町村に知らせる。そうすると、
氏名掲示開始前三日までというのは実際問題としてなかなか事務上むずかしいので、これを二日繰り上げまして、五日前までに通知のあった者について
都道府県の
選挙管理委員会でくじをやって、それを
市町村に通知する。
現行法に三日と書いてありますが、五日後あるいは三日後に通知のあった
候補者については逐次
氏名掲示をして、締め切り後は到着順に全部載るのでございますが、
最初くじできめる分については、
全国参議院の場合は二日だけ繰り上げていただきたいという趣旨でございます。
それから、十九番目は、
出納責任者は
会計帳簿を備えつける規定が百八十五条にございますが、この備えつけの時期が明確に書かれておらない。いつから備えつけなければならぬかということがはっきりいたしておりませんので、これを明確にしてはどうであろうかという趣旨でございます。
二十番目は、百八十九条に
選挙運動に関し
収支報告の
提出期限が書いてございます。第一回目は少くとも選挙の期日後十五日以内に報告書を出す、その後さらに収支についての精算を要するようなものがありますと、それから一週間以内に出すということが書いてあります。この期間を、最初の十五日というのと二回目の一週間以内というのを多少短縮してはどうだろうかというのがこの趣旨でございます。
それから、その次は、百八十七条の
支出承諾文書の様式を法定するとともに、その写しの備えつけ義務を規定することの可否。これは、一般に、電話による
選挙運動に関する支出と
立候補準備のための費用以外に、第三者が支出する場合には
出納責任者の事前の文書による承諾がなければならぬという規定になっておりますが、その文書について一応の様式を法定してはどうであろうか。それから、それを
出納責任者が出したときには、その写しを備えつけておくということにいたしますと、第三者の支出の関係でも明確になるので、どうであろうかというのが第二十一の趣旨でございます。
それから、二十二は、これはこの前の改正できめていただいてはっきりした点でございますが、労務者に対する報酬、
運動員に対する
実費弁償の額の基準が一応法律に書いてございまして、具体的な額は
選挙管理委員会の告示できめられるようになっておりますが、そういう
制限額超過支払いに対して罰則を設けてはどうだろうかというのがこの趣旨であります。
それから、次は、二百条に
外国人あるいは外国の法人あるいは外国の団体から寄付を受けてはいけないという規定がございますが、外国の団体という意味がどうも明確でございませんので、それを一応、
外国人又は
外国法人を主たる構成員とする団体、何かこういう程度にでも明らかにしていただいてはどうだろうかというのがこの趣旨でございます。
それから、二百一条の三項でありますが、
匿名寄付があったような場合には、そういう寄付は国庫に帰属するのだという規定がございます。その帰属させる手続は政令に書いてありますが、裁判で刑が決定したときには、必要的にその寄付金を没収してしまう、あるいはその価格を追徴するというふうにしてはどうだろうかというのが二十四番目の趣旨でございます。
二十五番目は、
政治活動について一括したのでございますが、(1)、(2)、(3)とございます。(3)以下は、
現行法の建前をそのまま堅持いたしまして、その中で手直ししてはどうかという
考え方です。(2)は、多少
現行法を前提にする
考え方ですが、(1)の方は、
政治活動の規制という
現行法のあるものを撤廃してしまって、二十七年にできたのですから、それ以前の状態に返して、文書についても、言論についても、およそ二十六年当時のように、
政治活動の
選挙運動にわたるものだけを制限するようにきめてはどうだろうかという
考え方です。
(2)の方は、
現行法を前提としておりますけれども、何人に対しても
選挙運動の期間中及び選挙の当日に
限り原則として選挙に関し
政治活動を行うことを禁止するが、例外として、
自治庁長官等の
確認政治団体は、選挙に関し特定の、例えば法二〇一条の五の
政談演説会、
街頭政談演説、
ポスター、ビラ、
自動車等の使用、こういうものについては所定の
政治活動を認める、この限りにおいては一切
選挙運動の制限に関する規定にかかわらない、従って、
ポスターの内容が特定の
候補者の支持を明確にしておる、あるいは特定の
候補者の投票を依頼していることが明確であったとしても、こういうものも全然関知しない、
ポスターの千枚なら千枚の範囲では、その内容が
選挙運動にわたっておってもかまわないということを明らかにしてはどうだろうかというのが(2)の
考え方でございます。
(3)は、(1)、(2)を全然とらないで、現在の建前をそのまま維持しておるという前提のもとに手直しを要するところはないだろうかということで出したわけでございますが、(イ)の「
政治活動の規制を受ける選挙と受けない選挙とが重複して行われる場合においては、前者の規制は後者にも及ぶものとすること。」たとえば、今回
知事選挙と
県会議員の選挙が一緒に行われたところがたくさんあるのでございますが、
知事選挙の方については、御承知の通り、
衆議院の場合と同じような
政治活動の規制がございます。ところが、
県会議員の方については全然ございません。そこで、同時に行われる場合には、ある
政治活動が一体知事の方の
政治活動なのか、それとも
県会議員の方の活動なのか明確でない。従って、知事の方に規制している意味がなくなってしまうというような状態も生じておるのでございます。そこで、もし今のような規制を受ける選挙と受けない選挙とが期間を同じゅうして行われる場合には、
知事選挙について受けている規制はそのまま
県会議員の方にも及ぶようにしてはどうだろうかという
考え方でございます。
(ロ)は、確認を受けない政党等は
宣伝告知のためのみならず
ポスターの掲示及びビラの頒布はできないものとするとともに、
確認団体が掲示する
ポスター又は頒布するビラについては
選挙運動にわたらざる限りその
記載内容を制限しないものとすること。これは、
自治庁長官あるいは
都道府県の選挙の場合はその
選挙管理委員会の確認を受けていない政党については、一切
ポスターの掲示、ビラの頒布はできないようにする。しかしながら、確認を受けた団体が掲示する
ポスターまたは頒布するビラについては、
現行法には政策の
普及宣伝または
演説会の告知というような、内容を一応制限したような文句がございますが、そういう文句をとって、確認を受けた団体がする
ポスターの内容については、運動にわたらない限りは、
演説会の告知であろうと、あるいは政策の
普及宣伝であろうと、その他何でも記載してもよろしいというふうにしてはいかがなものだろうかというのが(ロ)の趣旨でございます。
三番目は、
候補者の所属する政党その他の
政治団体の数に制限を加えるものとすること。この可否でございますが、これは、
現行法では一
候補者は数政党に所属することができるのございますが、私たちが考えましたのは、
現行法では
政談演説会においては
所属候補者の
推薦支持の演説ができるわけでございます。従って、
政談演説会においてはそういう運動ができる格好になっておりますので、ある
候補者が非常にたくさんの政党に属していることを認めますと、多少運動面から
候補者の間に不均衡が生じないだろうか。従って、そういう面から考えれば、多少所属の政党については数を制限するという問題はないだろうか、こういうことでここに問題を提起したわけであります。
それから、(ニ)は、
政談演説会の開催は一選挙区一回に限るものとすること。これは
衆議院の
政党活動の方でございますが、
衆議院の
政談演説会の開催は、一選挙区ごとにその選挙区で
候補者が立候補している数だけ開けることになっております。ところが、
参議院の方は、
政談演説会は、地方区、全国区を通じて
衆議院の選挙区ごとに一回。この点も、
政談演説会は、
選挙運動のための演説、それから
候補者の支持、推薦のための演説ができるということを認めている建前からいたしますれば、やはり各
確認団体とも平等の条件で開けるようにしてはどうだろうかという趣旨で出したわけであります。
(ホ)は、ビラの頒布については
当該政党の開催する
政談演説会の会場に限りできる旨を明らかにすること。これは、
現行法では、ビラの頒布については
政談演説会の会場においてする場合に限るというように書いてございますが、その開いている
政治団体、政党が自分のビラだけ頒布できるのか、それともほかの党が
政談演説会をやっているときに他の党の人が来て自分のビラを頒布できるのか、趣旨が明らかでありませんので、この点を明らかにしてはどうだろうかという趣旨でございます。
それから、(ヘ)は、全く技術的な規定でございまして、二百一条の七、八——二百一条七というのは
衆議院の
補欠選挙、再選挙の場合で、
地方選挙の場合が二百一条の八でございますが、
衆議院の場合は、
所属候補者二十五人というのが
補欠選挙、再選挙のときには一人と読みかえられておりますが、その上の方にカッコしてあります読みかえ規定を、「全国を通じて二十五人」を「一人」と読みかえてもらいたいということでございます。これは全く技術的の整理でございます。
(ト)は、
政談演説会は、法第百六十六条——これは国または
地方団体が所有する建物とか、あるいは病院とか、列車、
自動車、そういうものにおいては
個人演説会ができないという規定でございます。こういう百六十六条に定める施設では開催することはできないけれども、法第百六十一条——これは
個人演説会ができる建物でございまして、公会堂とかあるいは議事堂とかその他
市町村の
選挙管理委員会の指定する施設でございます。こういう
個人演説会のできる施設においてはできる旨を明らかにしてはどうだろうか。現在は
政談演説会はどこで開催するという
場所的規定は全然法律にはないのでございます。この趣旨を明らかにしてはどうだろうか。それから、なお、
政談演説会においては、先ほどから繰り返して申し上げます通り、現在の
所属候補者の
推薦支持のための演説、
選挙運動のための演説ができることになっております。そういう趣旨から申しましても、百六十六条に定める建物では
選挙運動のための演説はできないというふうになっておりますので、その点とのかね合いを考えまして、こういうふうにしてはどうだろうかというのがこの
考え方であります。
(チ)は、
立会演説会開催当日の他の
演説会等の制限、——これは、百六十五条に、
立会演説会が開催されている場合は
開催予定時刻の二時間前からその
終了予定時刻の二時間後までの間はその
立会演説会場から約三町以内の区域では一切の
演説会あるいは
街頭演説をすることはできないという規定がございます。その次は、近接する選挙の場合の
演説会等の制限、——これは百六十五条の二にありますが、たとえば
県会議員の選挙と知事の選挙が行われる場合に、知事の
投票日が先だというとき、その
投票日においては
当該投票所の入口から約三町以内の区域では
県会議員の方の
個人演説会あるいは
街頭演説は一切できないというのが昨年の改正で入ったわけでございます。その規定を同じように
政談演説会及び
街頭政談演説にも適用してはどうであろうかというのが(チ)の
考え方であります。
それから、(リ)は、選挙当日は政談演談会と
街頭政談演説を禁止してはどうだろうかというのが趣旨であります。現在は選挙当日も
確認団体は
政談演説会と
街頭政談演説はできることになっておりますが、選挙の日だけはこの二つはできないというふうにしてはいかがなものだろうかというのが(リ)の趣旨でございます。
(ヌ)は、これもやはり字句の整理でございまして、
政談演説会においては、当該選挙区における
当該政党その他の
政治団体の
所属候補者の推薦、支持その他
選挙運動のためにする演説に限り行うことができるものとすること。これは、現在は、先ほども申し上げました通り、
衆議院の選挙だけが単独に行われる場合には問題はございませんが、今度の
地方選挙のように、たとえば
知事選挙と
県会議員の選挙が同時に行われる場合に、
知事選挙については
確認団体があってそれが
政談演説会をやる。その場合に、
所属候補者の推薦、支持という、その所属というのは知事のことを言っておるので、
政治活動の規制のない
県会議員については言っていないというのが法意であろうと思いますので、その点を明確にする必要があると考えまして、しかもこれは
衆議院の場合もありますので、当該選挙区におけるその党
所属候補者というように明らかにしてはいかがなものだろうかというのが趣旨であります。
(ル)でございますが、これも全く字句の整理で、趣旨は今申し上げた(ヌ)と同様でございます。これは条文のような書き方をしておりますので省略させていただきますが、趣旨は字句の整理でございまして、今(ヌ)で申し上げたところと全く同趣旨であります。
(ヲ)は、「
政治活動用
ポスターについても法一四七条(
撤去命令)の規定を準用するものとすること。」と書いてありますが、
政治活動用
ポスターについても
撤去命令を出せるようにする。一般の
選挙運動用
ポスターについて違反であれば選管は
撤去命令を出すという規定がございますが、
政治活動用
ポスターについてはこの規定がございませんので、かりに違反であるとしても張りっぱなしになってしまうのではないかという懸念がございますので、
撤去命令の規定を準用してはいかがなものかという趣旨でございます。
(ワ)は、機関紙、雑誌の発行でございます。政党機関紙の発行でございますが、この発行は、本部において直接発行し云々という文句がございます。この「政党その他の
政治団体の本部において直接発行し、」という意味をもう少し明らかにしていただいたらどうだろうか。要するに、具体的には地方版というようなものが機関紙について考えられるとすれば、そういうものをどの程度まで考えたらいいだろうかというのがこの問題を出しました意味でございます。
それから、二十六は、買収の規定——二百二十一条から二百二十三条の二というのは買収の規定でございますが、これについては公職の
候補者等に対する刑云々とありますが、この等というのは、
出納責任者とか総括主宰者のことでありますが、これに対して刑の加重規定を整備することの可否についてでありまして、昨年の十二月の改正で、三項に、公職の
候補者が買収をやった場合には、一般の人よりも重い刑に処せられることになっておりますが、書き方の問題で、第一項の方も公職の
候補者は当然入るし、それからまた三項もあるので、そういう書き方の上からしても、規定を多少整備してはいかがなものであろうかというのが二十六の趣旨でございます。
二十七は、これは買収罪の中に事後買収として掲げられていることがあります。二百二十一条の第一項の第三号でございます。そこに「投票をし若しくはしないこと、
選挙運動をし若しくは止めたこと又はその周旋勧誘をしたことの報酬とする目的をもって選挙人又は
選挙運動者に対し第一号に掲げる行為をしたとき。」あるいは「金銭若しくは物品の交付、交付の申込若しくは約束」、こういう行為をしたときというふうに過去形に書いてありますが、「投票し若しくはしないこと」というのが現在形になっておりますので、そこを改めてはどうかというのが趣旨でございます。
二十八は、二百二十一条、二百二十二条、これは買収の規定でございますが、ここに公職の
候補者が前項の罪を犯したときはこれこれと書いてあります。この公職の
候補者という中には公職の
候補者となろうとする者も含む旨を明らかにしてはいかがなものであろうかという趣旨でございます。たとえば、事前運動の買収ということが考えられますが、その場合に事前運動として買収をやった、そのときに、普通は買収罪も同時に成立するのでありますけれども、それが同時に
候補者になったという場合に、
候補者になってからかりに全然買収の罪を犯さない、そういう場合には、今の規定で行きますと、漫然と読むと申しますと語弊がありますけれども、公職の
候補者というものは厳格には告示をした後に初めて
候補者になるので、その前は公職の
候補者ではないという意味に解釈しますと、事前連動をした場合には前の方の軽い刑でやってしまうのではないかというような気がいたすのでございます。そこで、せっかくこういう規定がございますので、公職の
候補者というのには、なろうとする者も含むのだという趣旨を明らかにしてはいかがなものか。この点は、費用、寄付の点でも、昨年の十二月の改正で、たとえば公職の
候補者等の寄付の禁止というところに、これは百九十九条の二と三でありますが、「公職の
候補者又は公職の
候補者となろうとする者(公職にある者を含む)」というような改正を昨年やっておるのでありますが、そういう趣旨からいたしまして、この点を問題として出したわけであります。
それから、二十九番目は、おとり罪の規定でございますが、おとり罪が成立するためには相手の
候補者あるいはその
運動員と意思を通じていないとおとり罪の成立は少くともないわけでございます。その場合に、これは要するに、相手方と意思を通ずるのでございますから、必ず相手方と一緒にならなければおとり罪というものは成立しないわけでございます。そういう意味で必要的共犯という言葉を使っておるようでございますが、その通じた相手方、その必要的共犯の場合にともに罰するという規定がなくて、逆におとり犯だけを罰するという規定だけが
現行法にございます。そこで、必要的共犯の場合に、おとりになった者だけを罰するという規定でございますと、意思を通じた相手方を処罰するということはなかなか理論的にむずかしいようでございます。この点は、あとで法務省の方から説明があることと思いますので、詳しいことは省略いたしますが、相手方の方も罰するとするならば、相手方の方も責任を明らかにする。そういう意味で、必要的共犯でございますから、意思を通じた両方とも罰するのだということをはっきり書いてはいかがなものかという趣旨でございます。それから、第二番目には、
出納責任者のおとり罪の規定でございますが、
出納責任者がおとり犯を犯した場合の規定として、二百二十四条第二項に、「第二百二十一条、……の罪を犯したとき」という表現がございます。そうすると、二百二十一条の買収の場合でありますと、御承知の通り、当選を得、もしくは得しめ、または得しめない目的をもって選挙人または
選挙運動者に対し金銭、物品などを供与するというような目的の犯でございまして、その目的が必要でございます。
現行法のように「第二百二十一条、……の罪を犯したとき」という表現でありますと、どうしてもその目的というものが加わってくるのではないか、そう解せざるを得ないようでございまして、むしろこのおとりの場合は目的を問わないので、要するに、公職の
候補者の当選を失わせる目的をもって、とにかく「第二百二十一条……に掲げる行為をした」、それだけで足りるのではないかというふうに考えられますので、問題として出したわけでございます。
三十番は、二百二十五条の第二号——これは選挙の自由妨害罪であります。「交通若しくは集会の便を妨げ又は演説を妨害しその他偽計詐術等不正の方法をもって選挙の自由を妨害したとき。」というのが第二号でございます。これは四年以下の懲役もしくは禁固または七万五千円以下の罰金、こういうふうになっております。それから、二百三十五条は虚偽事項の公表罪でございますが、本条の第二号だけで申し上げますと、「当選を得させない目的をもって公職の
候補者に関し虚偽の事項を公にしたとき。」ということが第二号にございます。これの罰則が二年以下の禁固または二万五千円以下の罰金ということでございまして、法定刑そのものに差がございます。それで、考えてみますと、先に申し上げました二百二十五条の第二号というのは「交通若しくは集会の便を妨げ又は演説を妨害し」とあり、その次に「その他偽計詐術等不正の方法をもって」と、非常に広くなっております。その場合に、虚偽事項の公表罪というようなものがこの偽計詐術等その他不正の方法というふうに読めないというのは無理で、むしろ読めるのではないか、大体それに入るのじゃないかというような
考え方も成立するわけでございまして、そういう点から見ますと、どうも量刑に少しバランスを欠いているような感じもいたしますので、そこのところは法定刑の適否を考慮することの可否——今までのところの可否とは非常に表現を変えておりまして、その点を少し考慮してはいかがなものかという気持で出しておるわけでございます。
三十一番目は、投票所入場券の譲渡譲受けを禁止しその違反に罰則を設けることの可否。これは、現在、入場券につきましては、政令の三十一条で「
市町村の
選挙管理委員会は、特別の事情がない限り、投票の期日の前日までに選挙人に投票所入場券を交付するように努めなければならない」というふうに、一応努めなければならないと努力目標にしてあります。もちろん、あるところでは投票所の入場券というものは出しておらないところもあるわけでございます。従いまして、現在入場券だけを譲り渡したり譲り受けをし、売買するというものについては全然
禁止規定がございません。入場券を買い受けてさらに詐偽投票をするというような不正投票が行われますと、もちろん詐偽投票でそういう不正投票の方で処罰を受けるのでございますが、前段階として、入場券だけの売買については現在
禁止規定がございません。そこで、入場券についても、およそ発行される以上、それに伴う売買行為というようなものは禁止してはいかがなものかという趣旨でございます。
三十二は、これは表現についてでございまして、二百三十八条というのは「立会人が正当な理由がなくてこの法律に規定する義務を欠くときは、二千五百円以下の罰金に処する。」と書いてありますが、この「義務を欠くとき」という表現が
現行法としてはあまり使われておりませんので、「義務を怠つたとき」というふうに直してはいかかなものかという趣旨でございます。
それから、三十三番目は付加刑の問題でございますが、選挙犯罪を犯しました場合に、ここに書いてある趣旨は、罰金の刑に処せられた者についてのみ、公民権を停止しない、あるいは公民権停止の期間を短縮することができるようにしてはどうか、従って、そのほか執行猶予とか、あるいは懲役刑に処せられるというような者については、付加刑については全然考慮しない、従って、ずばり停止する、あるいは期間を短縮しない、五年、十年というふうに法律に書いてある通りに適用してはどうかというのがこの三十三の趣旨でございます。
三十四は、その他の規定の整備をはかることの可否。これは、簡単に御説明申し上げますと、全く字句の整理であります。
法三十四条の三項というのは、再選挙、
補欠選挙の場合に、訴訟係属中はたとい
補欠選挙の事由が生じても
補欠選挙はやらないというふうに停止しておるのでございます。これは、あとで訴訟の結果どうなるか、選挙無効になるか当選無効になるやらわかりませんので、結果が確定するまでは一応再選挙、
補欠選挙はやらないのだということが三十四条に書いてあります。ところが、この規定の中に、たとえば
市町村長の選挙について言えば、選挙無効の訴えが出ておって、訴えの係属中に市長が死んだというような場合にも、形式上は、まだ訴えが係属しているから市長選挙はできないというふうに読まざるを得ないような格好になっております。今度、九州の島原について、死んだのではございませんが、二十六年の島原市会議員、市長選挙について選挙無効の訴えが出ておりまして、最高裁に係属しておりました。ところが、四月三日に島原の市会は総辞職して、市長はやめたのでございます。そこで、選挙の臨時特例法で三十日にやろうとしておりましたけれども、なお前の選挙について訴えが係属中でございますので、結局、形式上は法律でできないというふうに書いてありますので、選挙をやれなくて、最高裁の判決が最近出ましたので、それで選挙をやったという格好になっておりますので、実際問題として、議会が総辞職をしたとか知事や市長が死んだとかいうような場合には、前の選挙のことは問題にする必要はないと思いますので、この点の条文の整理をしていただきたいというのでございます。
八十六条の八項というのは、全く字句の整理でありまして、
候補者が死亡した、あるいは公務員となったために立候補の辞退と見なされたという場合には、
選挙長はその旨を
選挙管理委員会に通知しなければならぬという規定でございます。ところが、これがこの前の改正で第百三条第四項という規定ができまして、同じように立候補を辞退したと見なされる場合が一つふえております。従って、そこのところににその法文を入れていただきたいという趣旨でございます。
それから、八十九条は公務員の立候補制限の規定でございますが、ここのところに「国又は地方公共団体の公務員は、在職中、公職の
候補者となることができない。」とあります。この「国又は地方公共団体の公務員」というのを、国家公務員あるいは地方公務員、こういうふうに趣旨を明らかにしていただいてはどうかということで出したわけでございます。
それから、百三条の一項は、これも全く字句の整理でありまして、兼職することのできない職にある者が当選人となった場合には、本人の意思にかかわらず兼職の方の職を当然失ってしまうのだ、要するに片方の職は失ってしまうという規定を昨年十二月の改正で入れていただいたわけでございますが、その場合に、退職に関する法令の規定にかかわらず職を失うのだ、職を辞したものと見なすのだというふうに表現していただきたいという
考え方でございます。
それから、百十三条の三項、これも全く字句の整理でございまして、今までそういうふうに解釈して参ったのでございますが、たとえば、教育委員については二名の欠員があると
補欠選挙をやるというような規定がございますが、それが一名であった場合でも、その市で市長の選挙が行われる場合には便乗して同時に教育委員の
補欠選挙もやるという規定が百十三条の三項以下にございます。その場合に、市長の候補について選挙の告示がなされたあとに、教育委員の欠員を生じた、こういうような通知があったような場合には、それは便乗できないというふうに解さなければ、実際問題として困るわけでございます。現に、
参議院の場合について百十三条の三項以下にその趣旨の規定がございます。教育委員の場合についてだけは、百十一条のその通知の規定がちょっと落ちておるわけでございます。従いまして、その趣旨のことを、ほかの場合とあわせて言うていただきたい、こういう字句の整理を考えたわけでございます。
以上御説明申し上げましたが、足りない点は法務省と警察庁の方から御説明いたします。