○瀬戸山
委員 今の
お話によりますと、
北海道開発局といいますか、
開発庁といいますか、そういう役所を別に作って、それによってやられるように承わったのであります。それも
一つの
構想かもしれませんが、しかしこの
法律の主たる目標は、なるほど
総合開発的なことを言われておりますけれ
ども、実際においては
道路を作って
自動車を走らせるということが第一の
目的だと思います。そこで私は、お尋ねというよりも私
どもの
考えを申し上げると、
自動車が走っても何が走っても、この
道路行政を三つも四つもするような
日本はぜいたくな国ではない、こういうふうな
考えを持っております。でありますから、その点どういうふうなお
考えを持っておるかということを私はお尋ねしたわけでありますが、その点は一応御意見として承わっておきます。
それから、これはたびたびほかの
委員からもお尋ねがございましたし、また皆さんからも非常に御自信のあるような御答弁があったのでありますが、私はまだ承服しておらない。それはどういう点かというと、結局こういう
法律を作っていって、その
目的、趣旨には私
どもも全面的に賛成であります。前から
考えておるのです。またこのくらいのことをしなければ、この狭い
日本の
国土では、
人口の問題あるいは農耕地の問題その他で、将来はもうにっちもさっちもいかなくなるであろうということを心配して今日まできております。そこでこの御趣旨は非常にけっこうで、
道路を作り、あるいはその周辺に町も作ろう、学校も建てよう、
工場もできるということで
人口の再
配分をして、農耕地に適するところは農耕地に当てはめていって、そうして食糧増産をもう少し推進しなければならぬことは、これは
日本の国を立てていく上においての一大方針であると思っております。しかしながらそう思いながらも、なかなかここに
提案されましたような理想的な仕事ができないところに、実際の政治の現実の問題としての困難がある。できるはずのものができないということでありますので、たびたびお答えがありましたけれ
ども、もう一ぺん所信を承わっておきたいのです。かりに六千億か六千五百億の金をかけまして、これをずっと縮めて
東京から
神戸までの、いわゆる今日いわれております
中央道だけに区切って
考えましても、これに二百億か三百億の金をかけて、かりにある部分を構築したとしても、それが将来一体ずっと続いていくかどうか。しかもそれが、
東京から
名古屋あるいは
名古屋から
大阪というふうに
考えた場合、
名古屋から
大阪の部分はそれほどでもありませんが、
東京から
名古屋まで
建設をした場合、一体
東京から
名古屋まで直通で走っておる
自動車が何白ありますか。これを融資によってやるという話でありますが、しかし
東京から
名古屋まで直通の
自動車だけでは決してペイするものではありません。でありますから、それだけできても、なおかっこの
道路の事業というものは
資金面において非常に困難だ、じかもこれが続かなければ、どこか局部を作っただけで
資金が寝るということも一応頭に置いて
考えないと、あとでそれこそ大へんな後悔をするときが来はしないかと思うのであります。この趣旨には全面的に賛成でありますが、そう簡単にこれを取り急いでやるということが、
日本の現状からいって適切であるかどうかということを心配いたしております。そこで皆さんの御所見を承わっておきたいのは、これはこの間も申し上げたので失礼でありますが、今週の朝日新聞のニュース映画をごらんになるとよくわかる。私
ども日本全国の
道路をほとんど歩き尽しておりますが、ともかく朝日のニュース映画に出ております。
日本の
道路ということで、これはまあ悪いところだけ出すわけでありますが、今のところほとんど惨たんたるものであって、それを
建設するだけでも苦心惨たんしております。率直に申しますと、今度の国会で
道路の
経費を削ることが今きめられつつある。そういうような時代です。現在走っておる
自動車でさえも通ることができないのです。箱根の峠をごらんになってもわかります。
自動車が片道しか今走れない。それともう
一つ私が一番心配しておるのは、これは皆さんも御存じの
通りでありますが、例の水害の問題であります。治山治水
計画を立てておるけれ
ども、一兆八千億かかる。十年でするにしても一
年間一千八百億の金がかかるというのに、その治水
計画でさえ年に二百億か三百億しかできない、この間も申し上げましたが、わが国は一年に二千億ないし四千億の損害をこうむっておる。公共土木の災害だけでも一
年間に五百億ないし一千五百億の損害をこうむっておる。それを復旧するのに今日六年かかって
——この
委員会でもそれが毎日のようにやかましく言われておるのに、
昭和二十五年度の災害が今日まだ治まっておりません。そして今日一千億のあけっぱなしの災害の場所があるのです。この治水
計画だけでも十
年間計画の
通りにやられたならば、なるほど一
年間に少くとも一千億ないし二千億の国民所得の減がなくなることがわかり切っておりながら、これができない。
道路の問題でもそうであります。私はこういう深刻な場面を常にみずから
考え、そうしてこれをどうしたらよくなるのだということを常に
考えておりますから、こういういい案ではありますけれ
ども、そういうことを全然ほったらかしておいて
——先ほど
年間三百億くらいの金は青木さんは簡単だと言われたといいますけれ
ども、ものの一点だけを見た目にはそういうふうに見えると思いますが、それではこの水害災害復旧も、あるいは治山治水も、あるいは
道路の構築も抑えておいて、これをおやりになるというお
考えかどうか。私
どもはこれに反対でありません。やりたければやりたいほどそういう心配をいたします。この貧乏国で、そして国民生活がこういうふうな
状態でみんな非常に御心配なさっておりますが、こういう事態において、これをそれほど急いでやる力があるかどうか、国全体の今の様子をお
考えなさって
一つ御答弁願いたいのであります。