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1955-07-09 第22回国会 衆議院 建設委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月九日(土曜日)     午前十時五十三分開議  出席委員    委員長 内海 安吉君    理事 荻野 豊平君 理事 高木 松吉君    理事 山口 好一君 理事 西村 力弥君       伊東 隆治君    大高  康君       薩摩 雄次君    中村 寅太君       松澤 雄藏君    二階堂 進君       町村 金五君    有馬 輝武君       井手 以誠君    小松  幹君       三鍋 義三君    山田 長司君       今村  等君    中島  巖君  出席政府委員         建 設 技 官         (河川局長)  米田 正文君  委員外出席者         建設事務官         (河川局防災課         長)      淺村  廉君         専  門  員 西畑 正倫君         専  門  員 田中 義一君     ————————————— 七月九日  委員安平鹿一君及び今村等君辞任につき、その  補欠として井手以誠君及び松本七郎君が議長の  指名で委員に選任された。     ————————————— 七月八日  川尻国道建設計画変更に関する請願(石坂繁君  紹介)(第三六四九号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  東北地方及び北海道における豪雨災害復旧並  びに過年度災害復旧に関する件     —————————————
  2. 内海安吉

    内海委員長 これより会議を開きます。  東北地方及び北海道におきまする豪雨災害復旧につきまして調査を進めるとともに、昨日に引き続き水害の根本対策につきましても調査を進めることといたします。通告順によりまして発言を許します。有馬輝武君。
  3. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 河川局長にお伺いいたします。災害基本対策につきまして、抜本的な政策が講じられなければならないということは、これは私たちが出て参ります前の議事録をずっと参照いたしましても、常に論議されておるところであります。また今度北海道に起りました災害につきましても、同僚委員諸君から、つとにこの点についての御質問がなされております。政府としても、三十年度予算編成の際に、特別失対費の増額、あるいはこのたびのこの公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部改正法律案、こういったもので一歩でも前進させようとする努力をしておられることは、私たちも十分その意のあるところをくみとつております。また、せんたつて予算修正におきまして、民自両党の諸君が、十億近くの予算増額をなされておる。この努力についても、私たちはその意のあるところがわかるわけであります。しかし、これらの努力というものが、現在、までの過年度災害というものを見詰めて参りますと、とうしても糊塗的な措置に上か受け取られない。そのためには、どうすべきかということでありますが、結局治山治水事業災害復旧事業とは、車の両輪のようなものであろうと思いますけれども、その関連づけが、予算措置でどのように把握されておるか、一昨日でしたか、大臣のお答えの中に、治山治水十カ年計画の中で考慮していきたいということを言っておられます。抽象的にはそういうことでございますが、ぜひ積極的に推し進めてほしいということを言うだけ、であつてそれがどのように具体化されるかという点については、十分に把握し切れない面があるわけであります。そこでお伺いしたいのは、二十五年災害がやつと完了した現在において、今後その十カ年計画の中で、予算的にどのようにこの災害復旧事業と、治山治水事業関連づけて成果を上けられようとするのか、その点をいま少し具体的にお伺いしたいわけであります。
  4. 米田正文

    米田政府委員 ただいまお話のございました、全般的に見ての治山治水事業の推進の問題でございます、これはもちろん治山治水を広い観点から見ますと、根本的な治山治水対策、それに続く水防体制の強化、なお、それでも起きた災害についての復旧をしていくという、いわゆる災害復旧事業というのが、河川行政の本筋であります。今日の大勢は、この三つの点から押し進めてきておる次第でございます。基本的な治山治水対策については、大臣から御説明も申し上げましたように、二十八年の暮れに治山治水基本対策というものは決定をいたしたのでございます。その内容については、詳細なものもございますが、総事業費一兆八千億円に達するものでございます。内容的には上流部治山、いわゆる林野庁で所管いたしておる水源治山事業、それからそのすぐ次に位いたします砂防事業、その中流部に至りましてダムの事業、さらに下流一般河川改修事業、こういうような内容を持っておるものでございまして、水域全体についての総合的な計向でございます。従来水源の山地と下流河川関係とのつながりが十分でなかった点を、この計画においては調整をいたしたのであります。  そこで、当時二十八年の暮れに決定を見ましたこの案につきまして、決定案の内郷を申し上げますと、各河川ごと審議をいただきまして、基本的な計画決定いたしました。しかし、先ほど申し上げました総額一兆八千億という予算年次計画をいかに立てるかという点は、とうとう結論を得せまんでした。われわれ政府として提出いたしました原案は、十カ年計画でございます。二十九年度を第一年度として、十カ年に実施をするという原案でございます。しかし、計画自体内容としての予算の面、経費の面についての支出方法は、ついに決定を見ずして終つたのであります。そういう点から、今日の計画だけはできておるが、その実行方法年次計画は未決定という状態に置かれております。私どもとしては、どうしてもこの十カ年が理想でありますけれども、国の財政上の制約を受けて、ある程度年限を延はすということもやむを得ないと存じておりまして、政府部内でも、その後各予算ごとにその年次についての折衝をいたしておりますが、今日まだ全般のそういう計画については決定をいたしておりません。ただそのうちで、かみ砕いていきまして、各河川ごとには継続費を設定していこう、継続費の親になります各河川ごと計画というのは、先ほど申し上げました計画の中でできておるのでございますから、その中で一つ一つ取り上げて、継続費を設定していこうという行き方に、実は今日なっておるのでございます。十年度予算編成のときにおきましても、利根川を初めとする数十河川継続費折衡を始めたので、ありますけれども、時間切れでとうとうその実現を見ませんでした。しかし三十一年度予算においては、この継続費制度をぜひ河川について設定いたしたいというので、実は今日もうすでに用意をいたしておるような状態でございます。  もう少し具体的に申します、と、この継続費を設定いたしますには、非常に詳細に計画を作る必要がありますので、全国の各河川を一気に継続費に持っていくことは非常に困難でございます。従って現在やつております直轄河川の中で重要であり、かつ計画のまとまつたものから継続費を設定するように持っていきたい、こう考えております。  御参考に申し上げますが、終戦前の河川事業、特に直轄河川というものは、すべて継続費でございまして、一本ずつ計画を立てては、その都度国会の審議を経て、十年、十五年という長期の継続費を設定して実施をいたしておりました。従って毎年度予算を御審議願うなんということは、ほとんどなかったのでございます。最近のように、毎年河川事業の全体としての御審議を願うのは、終戦後の状態でございまして、私どもとしては、河川事業の特質にかんがみまして、ぜひ水系継続費的に実施していくということを今後の方針にいたしたい。できるだけ広い範囲にだんだん広げていって、理想をいえば、全部の川について継続費を設定して実施することが一番である、こういうことを考えております。  これと災害復旧との関連でありますが、災害復旧は、御承知の通り三十四年度災害までは昨年度で完了をいたしました。三十年度に持ち越しておりますものは、三十五年度災害以降のものでございます。ごく大ざつぱに申しまして、これらの持ち越しました三十年度当初における災害復旧費国庫負担の金額は約一千億でございます。この一十億のものに対して、今回の三十年度予算で約二百八十億を支出いたすのであります。従いまして、七百二十億というものが残事業として三十一年度に繰り越される結果になるのでございます。  そういう状態でございますが、また個々について申し上げますと、今年約二百八十億の予算支出することによりまして、その出来高がどの程度になるかと言いますと、昨二十九年度災害は四七%、これは三十年度一ばいかかって本年度予算を執行して完成する予定であります。それから二十八年度災害は五五%でございます。それ以前の災害としては、全体としましては二十五年災から二十七年災を一括いたしますと六七%の出来高になるのでございます。この数字は、なおあとで申し上げますが、全体といたしましてはそういう進捗でございまして、先ほど申し上げました全体から見ますと、二百八十億が一千億の約二八%に相当しますから、過年災全体として見ますと二八%の支出になります。その一千億と申しますのは、三十五年度災害からの全額から申しますと、ちようど半分に当るのでございます。二十五年度災からは、約二千億ございましたから、そのうちの半分が今まででき上っておる。それに対して今度二百八十億出しますから、総事業費にすると一四%、残事業にすると二八%、こういう割合になりますので、全体としては約六四%の出来高というのが、今年度一ばいかかった実績でございます。  そういうふうな災害復旧進捗になっておるのでございますが、私どもは、この砥火害治山治水との関連につきましては、何と言いましても、災害というものは、人間の場合にたとえると、病台丸でございまして、治山治水というのは、保健的なものでございます。やはり病気から先になおす、そうして保健的な施策をやるというのが当然の措置でございまして、われわれとしては災害復旧を早く完成することによって、再度の災害のおそれをなくしておいて、そうして治山治水というものを完成させていくという方途をぜひ講じたい。またこうすることが、今日の状態としては必要条件だと考えております。  ただ、全体から見ますと、そういうことが言えるのでありますが、災害治山治水とは必ずしも一致しておらぬところもございます。治山治水は、治山治水として独立して促進しなければならぬところもございます。でございますが、全体として見れば、私どもの方としては、災害復旧を完成し、同時に治山治水を促進するということによって万全の措置になる、こういう考え方で、今日の治山治水河川事業を進めておる次第でございます。
  5. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 今、二十五年以来のものが、でき上り高平均が六四%になっておるということで、結論的には万全の措置を講じておるというお話でございました。私がここで心配なのは、少くとも明年度に繰り越される七百二十億という災害がまだ残つておることです。これは七百二十億自体として残るのではなくして、むしろその性格からして、さらに例年襲つてくる台風なり何なりによって、それ自体が膨脹していく性格を持っておるものではないか。たとえば港湾においても、ある程度しかでき上っていない。そのために、むしろそれがまた以前の状況に戻されるという事態が当然予想されるわけであります。本年度河川事業費は減額されておりますが、こういった状況の中で、今お考えになっておるようなある一定限度までででき上るかどうかという点に、非常に疑問を持つわけであります。今まで局長あるいは大臣お話を聞いておりますと、国費には限界があるので、その中でということが、一つの壁として常に前提に置かれての話でありました。建設省予算の中て、割当てられた予算の中で考慮していくその苦悶を解決するために、この国庫負担法の一部改正やらいろいろなことが、建設省当局として考えられたものと、冒頭で申し上げましたように私たちも了解するわけでありますけれども、しかし、こういった一つ限界の中で仕事を進めていくことでは、今申し上げましたような意味での解決が望まれないのではないか、この点を非常に疑問に思うわけであります。で、この七百二十億にいたしましても、重点的に使つていくとか、いろいろな方途をもちろん具体的に考えておられるでありまし上うけれども、いま少し具体的に御説明を願いたいわけでございます。
  6. 米田正文

    米田政府委員 今年も、もうすでに相当災害に通して参りましたので、これらを片づけることの必要がありますと同時に、何といっても過年度災害、特に二十八年度中心とするあの大災害の始末という問題は、私どもとしても一番関心を、持ち、研究をいたしておる問題でございます。この残事業を、あと三年で全部解決いたしたいというのが、われわれのただいまのところの計画でございます。これによって過年度災を全部処理し、今後の新しい災害については、今御審議をいただいております国庫負担法改正によりまして、三カ年度で緊要な工事は片づけていく、こういう措置をいたしたいと思いますので、これによって災害の今後の見通しというものは、一応立つことになると考えておるのでございます。
  7. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 災害復旧なり、また治山治水を一兆円予算範囲内でという財政当局考え方と、それから建設省自体としての考えの中に、やはり矛盾が出てくるので、この矛盾を合せていくところに、現在の私たち仕事があるのじゃないかと思うのであります。まあ三年後には、過年度災は解決できるという見通しを持っておられるようでありますが、その点だけは、ただ単なる見通しでなくて、今年起つた北海道あるいは北九州の災害、これも当然予想しなければならないわけでありますから、それを頭の中でということではなくて、国の予算がそれに即応するような形で進められるように万全の措置を講じていただきたく、特にこの点をお願いしておきたいと思うわけであります。  基本的な問題につきましては以上で、あと一点、このように予算に一応限界があるという現実の前で、その予算効率的な使用ということについて、具体的にどのような措置を訓じておられるか、お伺いしたいと思うのであります。
  8. 米田正文

    米田政府委員 御承知のように、今度の決算委員会におきましても、会計検査の結果、いろいろと批難事項が出て参っておるのでございます。しかし、会計検査院説明をいたしておりますように、建設省としては非常に改善されてきた、他の省に比べて非常に改善されたということを繰り返し決算委員会説明をしておられるのでございます。これはどうも自画自賛になって恐縮でございますけれども、なぜそういうことを申し上げるかといいますと、実は私どもとしては、有効的確に使いたいという努力を非常にいたして、私どもから現場の末端に至りますまで、そういう自覚が最近非常に強くなって、きた結果が、そういう現われとなつたと信じておる次第でございます。何と申しましても、終戦後の社会的な混乱がに災いいたしまして、私どもの所管におきましても、末端では実はいろいろな事件を起したのでございます。それを、自粛自戒方途をいろいろととつてきました結果、今日ここまでレベルが上ってきたのでございまして、私ども、としてはさらに一段の努力をいたして、会計検査院から指摘される等のことの絶無を期しているのでありますが、特に問題を起しますのは災害復旧でございます。これは何と申しましても個所数が非常に多く、一年間に数万カ所を全国にわたって、しかも、市町村に至るまで実施をいたしておるのでありまして、土木の係のおらないような市町村まで工事をやるような状態でありますので、これらについての管理、監督というようなことが、非常に必要だと考えております。で、これを完全にやりますには、われわれのところの担当の職員が相当の数要るわけでございますが、今こういう時勢に、必要なだけ十分定員を増加していくということは現実的に無理でございまして、今度お認めいただきました予算の中では、災害査定についての査定官を十名増員いたすことが、せいぜい一ぱいでございます。しかし、この十名の増員によりまして、今年は全部実地査定をいたす決心でおります。二、三年前までは、机上査定と称しまして、とても現地に行って全部見るだけの余裕がなかったために、県庁に行きまして、県庁の建物の中で市町村から持ってくる設計を見て、写真等から判定して決定をいたしており、半分くらいを現地視察に行っておつたわけですが、それをたんだん改善して参りまして、二十九年度は九三%の実地査定をいたしました。机上査定は八%だけになつたのでございます。三十年度は一〇〇%に近い、実地査定をいたしたいと思います。ただ、完全に一〇〇%というのはむずかしい問題です。と申しますのは、離れた島で、船に乗つて二日も行ってこなければならぬようなところで、小さい工事がわずか一カ所というようなところもあるものですから、そういうところまで回っておりますと、今の人員ではとても足りません。そういうところまではできませんが、少くとも趣旨としては一〇〇%のものをやる、特別のものを除いては、全部実地査定をやるという方針を今年はぜひやりたい。私は、これによって、今、世間からも非難を受けておりますいろいろな問題は、ほとんど解決し得るのではないか、こういう考え方をいたしております。
  9. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 予算効率的使用関連いたしまして、現在農林省でも、治山治水事業なりあるいは公共事業なりを行なっております。この点について、もちろん有機的な関連づけの中で仕事は進められておりますが、しかし、道路などこれは林道その他を私たちちらつと見ましただけでも、何だからぐはぐな感じのするときが多いのでございます。その点について、他の省でやつておりますものとの一元化考えられたことがあるかどうか、こういった点について、二言お伺いしておきたいと存じます。
  10. 米田正文

    米田政府委員 そういう問題についても、従来から問題を起したことはございます。具体的に申し上げますと、たとえば、砂防のごときは一番問題を起しやすいところでございまして、林野庁でやつておる森林砂防と、建設省でやつておりますいわゆる河川砂防とが、河川上流地帯で非常に近接してやる、その限界現地にはっきり線を引いておるわけでもないものですから、ときに他の領域に入るというようなことがあつて、いろいろと非難を受けたこともございます。こういう問題も、最近は林野庁との間に毎年工事実施の打ち合せをするという方途をとつております。これは、本省においてもそうでございますが、現地においては、県を、中心にしてそういう打ち合せをする。それから他の一般公共事業につきましては、御承知のように、各地区に総合開発車業という事業計画ができて参ります。今後は総合開発事業計画の線に沿うように持っていくというのが、今おつしやられるようないろいろな重複なり、効率の悪い仕事を防ぐ根本だと私どもは思っております。総合開発計画中心にして、各省がその線に沿って効率的な事業を推進いたしたいと考えております。
  11. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 今お話しの、総合開発計画といった形で進められるという点は、ぜひそうあつてほしいと思うのでありますが、先ほどお話にありました十カ年計画ですが、一兆八千億というものは、そういう観点から計画されたものであるかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  12. 米田正文

    米田政府委員 これは、私ども農林省林野庁及び農地局とが一緒に計画を策定いたしたものでありますが、御承知のように、これがむしろ総合開発計画中心になっておるのでございます。今、立てられておる十数カ所の総合開発計画は、どこもやはり河川水系別計画が立てられておる。河川というものはまん中を流れておつて、これが計画のバツク・ボーンと申しましたか、重心をなしておるのでございます。私どもとしては、内容的に申しますと、われわれの立てました計画が、あの総合計画骨格になっておりますので、その辺のそごはもちろんございませんし、またわれわれも、今後ますますりつば計画を立てて、総合開発計画中心であり、ほとんどその骨格を形づくる程度にいい計画を作りたいと考えております。
  13. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 今の点につきまして、機構一元化、そういったことを将来やられるかどうか、この点と、もしやられるとするならば、そのでき上つた機構地方の自治体の行う事業に対する指導監督、そういった面についての構想を持っておられるかどうか、そういう点もあわせてこの際お伺いしておきたいと存じます。
  14. 米田正文

    米田政府委員 今後総合開発計画が、いろいろと研究され推進されて参りますと、そういう今お話しのような機構の問題に当然波及をいたすことだと思います。去年は特に審議庁で所管する水制度部会等がございまして、機構問題等相当研究をいたされたのでございます。しかし、まだ今日、私ども事務的な間における問題としては、はっきりいたした方針を持っておりません。事務的にはいろいろ研究はいたしておりますが、実現的な見通しを持つ計画は、また私ども持っておらぬのでございまして、なおこれは非常に高度の問題でございますので、私からはあまり詳しいお話をすることも差し控えたいと思います。
  15. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 最後に、私、希望として胆寺おきたいと存じますが、先ほどお話のありましたこの計画について、予算的な関連づけの中で、非常に詳しいものでなくてけつこうですから、資料として拝見させていただく機会を作つてほしいということと、いま一つは、過年災予算的な措置について、地方では非常に危惧を持っておる面もあろうかと存じますので、先ほど答弁のありました趣旨を、何らかの方法地方へ流す措置も講じてほしい。この一つのことを希望意見として申し上げておきます。
  16. 内海安吉

  17. 井手以誠

    井手委員 ただいま有馬委員から、過年度災害についての質問がありましたが、私も同様その点を中心としてお尋ねいたしたいと思います。実は災害復旧について、あるいは今問題になっておる補助金適正化の問題について、私は基本的な大臣考え方を承わりたかったのでございますが、本日お見えにならぬようでございますので、大臣に対する質問は後日に譲りましで、河川局長に事務的なことをお尋ねいたしたいと思います。  まず、先刻有馬委員に対しまして、今後三カ年間に、過年度災害復旧する計画である、こういうことでございましたが、今後というのは、いつからであるか。もし三十一年度からということになりますれば、三・五・二を言明された二十八年度災害については、六カ年に上るの下、あります。三十六年一十七年については、さらに期間は延長されるのであります。それでは、おそらく災害地関係者は納得できないでございましょう。七百二十四億に上る過年度災害について、ただいまも有馬委員から念を押されたのでございますが、一つ確信のあるところを御答弁いただきたいと存じます。いつのものはいつまでに、またいつのものはいつまでに、必ずこれは完成いたしますという具体的な明確な御答弁を願叩いたいと存じます、
  18. 米田正文

    米田政府委員 ただいま申し上げましたように、残事業一千億ございまして、今年度約三百八十億を支出して、残りが七百二十億と申し上げました次第で、七百二十億というのは三十一年度から三十一、三十二、三十三で終えたいという計画でございます。私どもとしては、三十一年度から三カ年が目標でございますが、これは今日実現できるいう自信を持って、少しかための案でございます。私どもとしては、この辺は事務的な一番かたい線としてやりたい。情勢がよけれは、もっと早めるというような努力も、もちろんいたしますけれども、今年程度予算情勢から考えますと、私どもとしては、かたいところを申し上げれば、来年から三カ年、こういうことを申し上げております。それぞれの年次がございますから、全部が一年というわけではなくて、残りました二十五年災、六年災という順序で片づけで参りますので、一番おそいところが三カ年ということになりますから、三年度の終りということになります。もちろん二年でできるもの、一年でできるものもございます。御了承をお願いいたしたいと思います。
  19. 三鍋義三

    ○三鍋委員 関連して。過年度災害、二十五年以降二十九年まで全部合せて一千億ですか。二十八年、九年も全部入れて一千億ですか。それで間違いないですか。
  20. 米田正文

    米田政府委員 一千億残事業があると申し上げましたのは、二十五年度から二十九年度に至るものでございますも
  21. 井手以誠

    井手委員 三十一年度から三カ年間、それではあまりのんびり過る話です。河川局長も、二十八年度災害状況は御存じだと思う。当時の特別立法の場合の事情も、御存じだろうと思います。なるほど二十五年災、早いものから先に片づけるということではございますけれども、各地方、地元では、おそらく来年度ぐらいには済ましてもらえるだろうという期待を持っておりますのに、三十一年度から三カ年ということでは承知できません。今度災害事業費を減らされた内閣が、高率補助の法律を出されたことを、私は非常に敬意を表しております。その中には、今年からの災害について、緊要のものについては三カ年間でやっていく。もちろん、二十九年度以前のもの、今の内閣の以前のものについては知らないという意味じゃないでしようけれども、既往のものについては今後三カ年でやる、今年からのものの緊要のものについては三カ年間でやる。これでは、現場の状態から見ますれば、筋が通らないと思います。この点は、後日大臣にもいろいろお尋ねしたいと思っておりますが、今後三カ年ということは改めてもらいたい。いま少し繰り上げるということ、弾力を持たせるということを——おそらくそういうことをおつしやいますと、地方から押し寄せてくると思うのでございます。そこで、私どもが一番問題にしておりますのは、一千億近い過年度災害について、この数字がほんとうに確実なものであるか、この点でございます。と申しますことは、二十八年度災害について、これは農林関係も含めますけれども、その大部分を占めております建設関係全般的には、当初その復旧に要する国庫負担総額は千五百五十四億と言われている。それを大蔵省が勝手に査定をして、昨年の予算編成に当つては千五百五十四億というものを勝手に千百五十七億に削つておる。そうしてこれをもって三十八年度災害は六割は復旧した、かよりに申されたことは、おそらく河川局長御存じでございましょう。とこるが、実際に現場へ参りますと、十の災害復旧しなければならないのに、二つしかできていない。今年の予算委員会に提出された資料によりますと、共同調査によって、さらに千五百五十四億にふやされておる。これは私は正しいことだと思う。それをなお、大蔵省は物価が下つたからといって、一億ばかりまた削つてあるようでございますが、こういうことでは、どの査定が正しいのか、現場は則るのであります。おそらく主管省である建設省の皆さんは、実際大蔵省のこのやり方には、御不満でございましょう。それはよく私どももわかつております。この千五百五十四億円の中に、建設省の二十八年度災害については、三百六十億か残つておるようでございます。この数字がほんとうに間違いないものであるかどうか。もう今後大蔵省から査定されるおそれはないものであるかどうか、その点を、まずお聞きしておきたいと思います。
  22. 米田正文

    米田政府委員 お話しのように、実は昨年の予算のときには、大蔵省の説明いたします災害額と各省の説明いたします災害額との総額において、全い違いを生じまして、大へん御迷惑をかけたことはまことに恐縮でございまして、私どもとしては、その後大蔵省と各省の間で、この食い違い是正のために折衝を続けまして、約半年にわたりまして現地調査をし、あるいは会議を開くということで折衝した結果、最後にまとまつた数字が、私がただいま申しました残事業一千億でございます、ですから、去年の数字から申しますと、違つてきておりますが、これが最後の線でございまして、当初大蔵省は、もっと下回る数字を言っておつたのでございますが、われわれとしては、最後的にもうこれより以上は減らすわけには参らぬ、それでは事業が全部ストップするより仕方がないというところまでの話をして確定をいたした数字でございますから、今後もこの数字は動かないとかたく信じております。
  23. 井手以誠

    井手委員 そのおっしゃる一千億近い数字というのは、大蔵省の考えておる物価の点は別でございますか。物価を何パーセントか引き下げたものの数字が一千億に近いものであるか、あるいは査定の金額であるのかその点を伺いたいと思います。
  24. 米田正文

    米田政府委員 これは別でございます。私どもとしては、一千億というのを基本の数字として御説明申し上げておりますが、大蔵省は、この一千億を実際に実施をすれば、物価も下ることであるから、出来高はもっと進むであろう、こういう見方から、またある程度これが進捗については、金額だけで出した数字よりも進む、こういう見解で意見を述べておるようでございます。しかし、これは見解の相違でございまして、実施をしてみれば明らかになるところでございますから、私どもとしては、大蔵省は大蔵省式に、今後物価も下落するから、これだけの金を出せば、金額だけの出来高よりももっとこ進捗するんだ、こういっておりますことについて、あえて反対はいたしておりません。というのは、そういうことを言いましても、今後一年たつてみれば、きちつと数字は出て参るのでございますから、そのときに結果はわかることであつて、主務大臣として決定をした数字は一千億であるということは、大蔵省もはっきり認めておりますから、もし物価が下らなければ、それは大蔵省の不明だということも言っておりますし、私ども、それにはあまりこだわらずに、この一千億という数字は確定数字として、事務的にこの線に沿って処理をしていきたいと思っております。
  25. 井手以誠

    井手委員 一千億という数字が、最後的な数字であることは了承いたします。  そこで、続いてお尋ねいたしたいことは、あなたの方では、三十年度予算措置では、二十八年度災出については五割五分を復旧する、二十九年度予算までにおいては三割八分八里進行しておる、こういう資料を先般出しております。現場に参りますと、たとえば災害の起つた最近の例をとりましても、府県工事、町村工事を突つ込みまして大体三割八分でございます。十カ所の工事の中で、三つまでは完成していないのが実態でございます。ただそれは金を借り入れて工面してやつた仕越し工事が含まれて、実際はもっと進んでおりますけれども、補助はさようには塗つておりません。果して各府県とあなたの力との間に、完全なる意見の一致が出ておるかどうか。私はこの点にかんがみまして、はなはだ迷惑な、めんどうなお願いではありますけれども、御迷惑ではございましょうけれども、各府県別に三十年度の割当がきまつておりますれば、なお幸いでございますから、その年度災害の進行状況についての資料を、この次の火曜日の委員会までに御提出を願いたいのであります。大蔵省と建設省との間には、大体話はきまつたところが、建設省と府県との間で来してきまつておるかどうか、私は災害について非常に関心を持って、各府県の資料は取り寄せておりますが、あなたの方の発表されることと、各府県が陳情されることと数字が食い違つておる。どうも一割くらい食い違つておる、その点が一つでございます。実際はどうなっておるのか、また資料提出について、火曜日までにお願いができるかどうか。それと、三十年度予算編成に当つて、また予算委員会においては、大蔵省は、三十年度の、予算措置をもって六割五分を進行すると発表された。大蔵省というよりも、政府から発表されておる。実際は、かりに建設省の力の数字が正しいといたしましても、五割五分であります。農林省関係はもっと低い。あなたの方のものでさえ、五割五分しか進行していないのに、六割五分と過大に発表している。この事実に対して、政府発表に対して、建設省はどのようにお考えになっておるのか。そういうその発表をしたことは承知になっておるかどうか。実績は一割以上も違う。そういう大きな食い逢いに対して、建設省が黙つておられる必要はないと思う。この点について、一番の当事者である河川局長はどのようにお考えになっておるか、それを承わりたいのであります。
  26. 米田正文

    米田政府委員 二十八年度を例にとつて申し上げますと、ただいま私からお話し申し上げましたように、三十年度予算支出することによって一千億という残事業のうちの二十八年度分について五五%の進捗になるのでございます。これは二十八年度災害計画と、三十年度支出をいたします予算と、今までに出した予算との集計をいたした額から見た進捗率でございます。私どもとしては、数字上においては五五%が正しい数字だと信じておりますが、大蔵省がそれを上回つた数字を言っておることは、私ども承知いたして、おります。これはあまり議論をいたしておりませんが、大蔵省側の見解としては、先ほどもちょっと触れましたが、今後物価は相当に下る、だから建設省なりほかの省で、締金題と、了算との比率で出した数字は、それは数字で、よくわかるが、大蔵省としては今、後の物価下落なり、おるいは入札をする入札の残金なり、そういったものによって相当に上回るであろうという、それは見込みの数字で言っておるので、基本の数字に違いはありませんけれども、見込みが入つた発表という点て形式が違つておりますので、五五%は計算上の数字である。大蔵省の言われる数字になることは、私どもとしても、物価が下り能率が上り、あるいは業者の入札残が残つてきてそれが非常に上ることは望ましいことでありますから、私どもとしては、それを反対するわけにも参らぬので、そういう見込みは見込入として発表するということを了承いたしております。
  27. 井手以誠

    井手委員 そんな了承の仕方だから、いつも大蔵省からいじめられる。私は、今の問題は次の機会にお尋ねしますが、明らかに食い違つた、昨年の場合は六割ですが、実際は三割ぐらいしかできていない。今度は六割五分なのに正割五分、そういう基本的な食い違いに対して、了承するなどという弱い腰だからあなたは……。河川局長が責任者ではございませんか。あなたの力できめた査定金額に対して、今度は行政監察だ、財務局だ、あるいは何だといって何回も査定をし直される。それでは責任者の務めは果されぬと思う。ほんとうの責任者であるならば、信念を持つてつた査定であるならば、いろいろなことに対して、けつてもいいはずであります。たとえば石がきの控えにいたしましても、四十五センチ要るもの一律に三十五センチに査定された例がある。そのようなことで、大蔵省が机上で査定する、そういったものについて、はね返していいはずであります。  私は、そこで話を進めますが、今までのこの査定において、何回も査定が繰り返されておる。ほんとうは建設省査定が事実でありましようけれども、現実には会計検査院とか、あるいは財務局とか、こういったものが次々査定に来ておる。あれは一応参考のために調べて、その取りまとめた意見を主管省である建設省に申し出るということが正しいはずであるけれども現地においては百万円できめられたものを、これは八十万円だ、七十万円だといって勝手に査定される。それをそうでしょうかといって、あなたの方の係官も了承されておることも私は知っておる。現地におきましては、関係者が次々に来られる。この査定に対して、これが一番困る。どうせ会計検査院も、あるいは財務局も、査定が必要であるならば、一緒に来てもらいたいという声が強いのであります。この査定方法について、私は農林委員会でも両三注文はいたしておきましたけれども、建設関係においても、査定方法について、元的な査定——もちろんこっちの責任者は建設省でございましょうけれども、今後どのようにして査定をなさるのか、現場では復旧に汗たくだくになっておるのに、次から次に査宏に来られて、その応接に因つておるのが現実でございます。おそらくお聞きでございましょう、この査定について今後どのよううになるお考えであるか、この点を承わりたいのであります。
  28. 内海安吉

    内海委員長 井手さんに申し上げますが、実は昨日まで大蔵当局にも、この査定に当つて、いつもわれわれ——われわれというよりも、むしろ建設省その他の業務を川当しておる人々の要請に対する大蔵当局の査定によって、常にこの計画がそごを来たしておるというのが事実であります。そこでこの問題は、一河川局長の問題ではなく、やはり大蔵当局の出席を求めて、そうしてあなたのような最も重大な質問については、むしろ上河川局長だけではなく、火曜日にこの委員会を続行したいと思っておりますから、大蔵当局の出席を求めて、責任ある御答弁を得られることが、あなたの目的達成の上に最も有効ではないかと思いますので、その点は十二日に開会する委員会において御質問いたたけば、私どもまことに本懐でございますが、いかがでございましょうか。
  29. 井手以誠

    井手委員 ありがたい御注意を受けまして、その通り委員長においてお取り計らい願いたいと存ずる次第でございます。  それでは、査定の力は後日に譲りまして、これは地元の問題でございますが、地すべりについて、事務的なものでございますので、お尋ねいたします。  地すべり対策については、二十八年の特別立法によって、九割を補助することになっておることは、河川局長も御存じであろうと思います。ところが、地すべり対策として、地すべりのおそれのあるものについては、九割の補助をやるという法案が、大蔵省の圧力によって、建設省もこれを曲げて今日では五割補助になっておるということを承わつておるのであります。当時地すべりのおそれがあるということで査定を受けた工事でさえ、九割のものが五割に減らされておる。これはおそらく昨年からでしよう。農林省関係では、大蔵省からそういう申し入れが再三あったけれども、そんな約束違いは困る、法律にはっきり書いてあるじゃないかということで、幸いにこれを食いとめて、依然として九割補助をやつておるのであります。建設省は人がいいのかどうか知りませんが、大蔵省から言われるままに、昨年から五割補助に減らされているようでありますが、その実情をお聞かせ願いたいと思います。
  30. 米田正文

    米田政府委員 お話しのように、二十八年度に起きました地すべりについては、九割補助が特別法としてきまつておるのでございまして、二十九年に、その地すべりが一般地すべりの事業に入っておるということは一部ございます。確かに政府部内においては、いろいろ論議せられた問題でざごいますが、私どもは、二十八年度に最終的に決定をいたした地すべりとしては、まだ残専業費を持っております。というのは、まだ施行しないで持っておるのでございます。二十九年度には、残念ながら予算計上ができませんでしたけれども、三十一年度においては、地すべりの残つておるものについての九割補助の分は計上いたす予定で、今後部内で折衝いたすつもりでございます。
  31. 井手以誠

    井手委員 今の御答弁は問遅いないでしようね。そうしますと、昨年度つた工事については、九割と五割の差額の四割は追加して補助をなさるかどうか、もう少しはっきりした御答弁を願いたいと思います。
  32. 米田正文

    米田政府委員 今私が申し上げましたのは、三十八年度に最終的に地すべり事業として決定いたしたものについては、まだ一部残事業がある。その残事業については、今後の分として、部内では九割補助の分を三十一年度予算に計上するように折衝するということを申し上げたのであります。それは間違いなく折衝をするつもりでおります。二十九年度の分については、実はまだ個々の問題を詳細に明らかにいたしておりませんが、その当時の折衝としては、これは地すべりによる著しいものかどうかというような見解の相違があつて、これを一般の地すべりに繰り入れたのでございますから、これをまた復活してやるかどうかについては、今はっきり申し上げられませんけれども、私は、全体としての地すべりの費用については、三十一年度以降においても責任を持ってやる性質のものだと考えております。
  33. 井手以誠

    井手委員 河川局長も御存じでしようが、公共土木施設等についての災害復旧等に関する特別措置法の第五条に「地方公共団体又はその機関が、政令で指定する地域において、第一条に規定する大水害又は風水害により著しい災害を生ずるおそれのある地すべり、山崩れ又は土砂の崩壊を防止するために必要な事業を施行する場合においては、国は、政令の定めるところにより、その事業費の十分の九を補助する。」と、はっきり書いてあるのです。誠実に法律を執行しなくちやならない政府が、あなたの方は九割を補助するということで地方にも公約をし、最終的に事業決定されておる。そのものを、見解の相違があるからといって災害のあった翌年はこれを五割補助にする、今年もまた五割補助にする。地方からいろいろ文句もるのであ、来年は一つ考え直しておきましよう、そんなものじゃないと私は思う。地すべりのおそれがあるから、あなたの方は最終的に事業決定されておる。その決定された事業を昨年も今年もやつておるのに、五割の補助しかしない、これは明らかに法律違反ではございませんか。財政がどうの、予算がどうのという問題ではございませんよ。著しい災害のおそれある工事については、あなたの方で決定されておる。一たん決定したものを、ああだ、こうだと言う余地はないはずであります。聞くところによりますと、今後はそういうふうな折衝をして、二十九年度の五割補助についても追加補助をやろうということでありましたが、今の御答弁では違うようだ。もうこれは折衝も何もあったものじゃないですよ。見解の相違もあるはずはないのでございます。当時災害のおそれあるということで、あなたの万できめられておる工事については、当然九割補助を行うべきではございませんか。この委員会に長崎県の人がおいでになるならば、おそらく文句が出るでしよう。きまつたことはさまつた通りに、法律を誠実に執行してもらいたい。何も大蔵省に気がねをする必要はないのでございます。法律できまつておることを堂々と要求なされば、それでいいはずです。どうですか、もう少し確たる信念はございませんか。
  34. 米田正文

    米田政府委員 地すべりの問題は、御承知のように、最近の非常にやかましい問題でございますので、われわれとしても、技術的にも十分研究をいたしております。ただこの二十八年の災害について、著しい災害を起すおそれのあるというところにいろいろと解釈、見解を異にする点があつて、ただいまお話のように、いろいろと問題を起しておる模様でございます。たとえば一般の公共土木施設の災害復旧のごとく、あるいは橋梁が流れたとか、堤防があったのがなくなつたとかいうようにはっきりいたしておるものは、これは明らかに災害でございますので、見解の相違も何もないことは、はっきりしておりますから問題はないのでありますけれども、著しい災害を起すであろうという、そういう表現でありますために、そこにいろいろと見解が生まれてくるのでございまして、この点については、私どもも技術的に見て、著しい災害を起すおそれがありと最終的に決定したものについては、今までにおいて措置の十分でないものは、なお措置をしよう、こういう趣旨で申し上げておるのでございます。
  35. 井手以誠

    井手委員 だいぶん苦しそうですね。同じ地すべりの防止について、農林省は依然として十分の九をやつておりますよ。あなたの方だけ、大蔵省から押されてやれないなんというはずはないのです。これが三カ年でも工事をやつておるならともかくも、災害が起きた二十八年の場合には、短期間ですよ、その翌年には五割に落されておる。ごく一部しか残つておらぬというお話だが、私はごく一部しか完成しておらぬと思う。現に佐賀県や長崎県の海岸線に行ってごらんなさい、大きな山がどんどん地すべりを起しておる。私はこの地すべりの根本的な対策については、後日別個にお尋ねいたしますけれども、今日はこの二十八年災害の跡始末、あなたの方が最終的に決定された工事については、当然十分の九を補助すべきでないかということについてつ先刻の話では、どうも納得できません。私たちこれを作つた建前上、責任が果せません。答弁ができないならできないで、後日また大臣にお伺いしますが、もう少し誠意のある御答弁河川局長から聞きたいと思うのであります。それではどうも河川局長に対する信用が薄れてくる。
  36. 米田正文

    米田政府委員 申し上げます通り、私ども事実的に見て著しい災害を起すおそれのある地すべりというものを最終的に決定をいたしたものについては、事後の措置を講ずるということを重ねて申し上げておきます。
  37. 井手以誠

    井手委員 まあその辺で、今日は地すべりについては打ち切りますが、先ほど申し上げました災害復旧の資料についてはぜひ火曜日までに御提出願いたい。それに基いてまたお尋ねをいたします。もっと聞きたいのですが、もう十二時を回りましたので、本日はこれくらいにして後日に譲りたいと思います。
  38. 米田正文

    米田政府委員 ただいま各県別の災害復旧の一覧表ということでございましたが、先ほどから論議もございましたように、実は県との数字の打ち合せ等を今やつておるのでございます。先般河川課長会議をやつて各県と詳細な打ち合せを今いたしおりますが、この次の火曜日までには、まだ県からの報告が参りませんので、これは各県が全部出てさましたら、そのときに資料として差し上げたいと思います。
  39. 井手以誠

    井手委員 府県との折衝があるところに、私は問題があると思うのでありますが、それができておらぬならばいたし方ありませんから、あなたの方できめられておる工事の費用なり、進行の状況なりでけつこうでございます。地方と完全に一致した数字でなくてもけつこうでございます。各年度別に、各都通府県別の進行状況を、ぜひ御提出願いたいと思います。よろしゅうございますか。
  40. 米田正文

    米田政府委員 そういう事情でございまして、河川課長会議をやつたのは、ついせんだつてでございますから、まとまり次第ということで、一つ御了承を得たいのでございます。
  41. 西村力弥

    ○西村(力)委員 関連して、災害復旧についてでございますが、局長は、いつか二十五年度災害は、今年度百パーセント完了する、こういうお話でございましたが、また聞きますところによりますと、省議では二十六年度災害まで今年度完了することをきめたということであります。あるいはまた二十五年度災害も今年は全部できないのだ、こういうことも聞いておる。それでは一体建設省災害復旧に対する計画というものは、何がゆえんにこう動いておるか、はっきりその理由なり何なりがつかめないのです。そのいずれが正しいかというようなこと、またそういうことをはっきりつかめないとするならば、理由はどこにあるのか、こういう点について御答弁してもらいたいと思います。
  42. 米田正文

    米田政府委員 二十五年度災害は、本年度中に片づけたいということは、かつて委員会でも申し上げたことがございます。それから省議でも、この問題についていろいろと研究をしたして、予算要求の過程中でございましたけれども、二十六年災も片づけたいという希望が省内にあったことも事実でございます。私が当委員会お話ししたときに、二十五年災はぜひ片づけたいという方針を、予算折衝のちようど途中でございましたが、申し上げておつたのでございますけれども、折衝の結果、遂に二十五年災全部片づけるということが、災害予算のワクの中から見て困難になりましたので、やむを得ず二十五年災ももう一年、三十一年度完成という方針をとらざるを得ない状態になつたことを申し上げて、御了解を得たいと思います。
  43. 西村力弥

    ○西村(力)委員 二十六年災害を完成するのだという決定や何かなさったことはないのですね、
  44. 米田正文

    米田政府委員 二十六年度のものを終らうという決定をいたしたことはございませんが、私は当委員会において、二十五年災は三十年度に片付けたことがございます。けれども、残念ながらその実現ができなかったのであります。御了承を願いたいと思います。
  45. 内海安吉

    内海委員長 本件に関しまする調査は一応この程度とし、残余につきましては、北海道に参りました派遣委員が帰りまして、その報告を聴取いたしました後に再び行いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 内海安吉

    内海委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  なお来る十二日午前十時より本委員会を開き、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部を改正する法律案を議題といたしまして、これに対する米田河川局長の逐条説明を聞くことにいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時九分散会