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二階堂委員 大蔵
大臣が本
委員会にお見えになっておりませんので、私の
質問は明日か明後日かの
委員会にその大半を譲りたいと思っておりますが、ただ
大蔵省局の方も見えておられますので、二、三の点につきましてお伺いをいたしてみたいと思っております。他の同僚
委員からもいろいろ
質問があると思っておりますし、時間の
関係もありますので、ただ要点のみを本日は申し上げまして、
お答えを願いたいと思っております。
まず第一は、私は大蔵
大臣に対して自分の見解を述べて、所信をお伺いするのが適当かと思っておりますが、ただ
建設大臣から
災害対策あるいは
治水対策の
根本方針についてお述べになりましたので、ちょっと私の
意見を述べてみたいと思っております。
次々に起りまする
災害等を
考えてみますと、これは最近の
災害の特徴と申しますか、非常に多量の雨が一時に降ってきておる。従って川にはんらんする量というものは、一挙に
相当量増水してくるということからも、各地にいまだかつてないような
被害が起っておることは当然でありましょう。しかしながらやはり今日のごとく
災害によって各地の貴重なる山が荒され、あるいは道路が決壊し、
河川がはんらんし、農地が荒されるというような現象が次々に起って、国民全体が非常な心配をいたしておるこの最大の原因は、何と申しましても
治水治山の
対策が不完全である、
災害復旧が遅々として進まないというところに、
根本の原因があるのではないかと私は
考えております。私はきのうも申し上げたのでありますが、
政府は経済六カ年
計画を
立てて、そうしてわが国の経済の地固めをしようということで、いろいろ産業経済全般にわたっての施策を発表せられておるわけでありまするが、しかしながらその反面何十倍という、平均にいたししますると
災害によって失うわが国の国土、耕土というものは、二十数百億ないし三千億になんなんといたしております。幾ら
政府が経済の地固めをするとかいろいろなことを申しておりましても、その反面貴重なる国土がこのような状態で荒されておっては、どうして日本の経済の復興——特に貴重なる山林、食糧増産に
関係ある耕地というものが荒されていっております。いかに
政府が食糧増炭の日給
計画を
立ててやっておられましても、このように国土が荒れてしまっては、どうして経済の地固めができるかということを私は常々心配をいたしておるのであります。このことは大蔵
大臣あるいは
関係大臣が特に今後この国土保全の
対策、
治山治水の
対策を
考える上におきまして、十分
一つ考えていただかなければならない点ではないかと
考えております。
建設省におかれましては
治水治山の
対策、あるいは
農林省におきましては農地保全の
対策、食糧増産の
対策というものを極力協議されてお
立てになりましても、詰まるところは
大蔵省の資金
計画であります。大蔵
大臣は私がたびたび申し上げておりますように、このような
治水治山
対策というものにもっと誠意を持ち、熱意を持たなければ、われわれが憂えておるような心配いうものは、決して消えるわけではないということを私は憂えておるわけであります。
政府が出しました本年度の当初
予算を見ましても、
災害復旧等の費用というものが前年度に比べまして大へんな削減をされておることは、
建設大臣みずからも御
承知の
通りであります。食糧増産費にしてもその
通りであります。このような状態であっては、幾らわれわれが声を大きくしてこの
委員会におきまして
災害復旧を早くやれとか、あるいは補助金を早くやれとか、つなぎ資金を早く、やれとかということを申しましても、何ら効果がないということを私は憂えておりますので、今後の
治水治山
対策につきましては一段と、私が今申し上げましたようなこの気持をは十分におくみ取りになりまして、そうして
大蔵省の
当局に対しましても
大臣に対しましても、強くこの要望を伝えていただきまして、われわれの心配しておることが幾分なりともなくなるように、減少するように
努力をしていただきたいということを私は御要望申し上げておく次第であります。なおこのことにつきまして、大蔵
大臣がお見えになりましてから詳細にわたって私の
意見も申し述べて、
考え方を変えていただきたいと思います。来年度
予算の
編成も、
大蔵省当局としては着手しておるというようなことも私は
新聞で見ております。そういうような大切なときでありますので、国土が荒されておりますこの災いを
一つ契機といたしまして、国民が心配のないような国土保全の
対策を
考えていただきたい。
もとより
国家財政の窮乏いたしておりますときであります。無理なことは申し上げません。しかしながら
治水治山の
事業対策費等が終戦以来初めて減額になったということは、われわれとして断じて許すことができないことではないかと
考えるがゆえに、このような
意見を申し述べておく次第であります。
次に、先ほど
瀬戸山委員からも
ダムの問題につきましていろいろな御
意見がありました。私も
現地を
視察して参りまして、石羽根
ダムを値接見まして非常に心配になりましたので、きのうその点を
委員会におきまして
河川局長に
質問いたしたわけでありますが、今日
大臣からもいろいろな
意見をお伺いいたしましたが、さらにこの問題につきましては
調査報告等ができ上りましたならば、われわれの手元にも
一つ報告をしていただきたい。
さらにまた私はお願いをいたしておきたいのでありまするが、現在全国に自家
発電等を目的とする
ダムが一体何個所、どこに何個所あるのか、そうしてそれが
建設された年月はいつなのかということの資料を提出していただきたい。同時に
農林省が農業用の
ダムを
建設いたしておるわけであります。この農業川の大小の
ダムが全国に一体何個所あるか、それが
建設された月日はいつか、これは管轄は違うかもしれませんが、できましたならばあわせてこの資料も
一つ御提出を願いたい。
それから
瀬戸山委員も触れられましたが、
補償の問題であります。私が見ました石羽根
ダムの直接すぐ下にあります農家から、実際の
被害の
報告が来ております。これはほんの部分的な
報告でありますが、この
被害の数字をここで御
報告申し上げてもいいと思っております。その
ダムのじき近くに農家があるわけでありますが、今回その石羽根
ダムを急にあけたということを
地元の付近の人が言っておりました。これはまた
調査に入りますれば明らかになると思っておりますから、このことはここでは申しませんが、
ダムが大体二つありまして、上の
ダムをあけて急に増水してきた、従って下の
ダムが危険に瀕したというので、また次の
ダムを一挙にあけたというような事態が起ったやに
考えられます。そこで多量の水が一挙にふき出したわけであります。従って今までに
昭和二十二年ないし、二十三年あるいは二十五年に多量の雨が向うでも降って、
洪水があったように伺っておりますが、そのときには全然
被害がなかったはずであります。その個所が今回の
人工洪水と申しますか、そういうことによって非常な
被害を農地あるいは人家が受けておる。さらにまた一挙にたくさんの水が急激に出ましたために、川の流れが
下流において
相当違った方に流れてきておる。堤防なんかを無視して、堤防を越えて、本流に沿わないで畑の中を川が自由奔放に荒れ回っておるという現象があります。これらの
被害を総合いたしますと、莫大な
被害になると思います。この
被害の
損害補償については、先ほど
河川局長は、
人工洪水による
被害ということが明らかになれば、当然
会社の
責任であるというようなことをここで申されておりますが、一体このような
被害かあった場合に——
瀬戸山委員からは
立法措置をどうしてもしなければならないという御
意見もありました。これはなかなかむずかしい問題であることも
大臣の御
答弁によってわかりますが、しかしこれは何らかの
立法措置を講じてもらわなければ困る問題であると思う。この
補償を
要求する場合に、
責任の所在が一向明らかでないような気がする。先ほど
大臣も申されましたごとく、ある
ダムは
通産省と
関係があり、ある
ダムは
農林省と
関係があり、ある
ダムは個人と
関係がある、こういうような
責任の所在が明らかでないところに、私は
補償の問題を
考える際に困難が起るのではないかと思う。
ダムの
建設管理行政と申しますか、こういうものをどうしても一本化する必要があるのではないかと
考えております。今回見て参りまして——農業用の
ダムは私
どもは見て参りません。しかしながら農業用水に使っておりまする水の取り入れ口の前後が、
中小河川に取りつけたところ、あるいは
北上川の本流に取りつけたところ、そういうところがほとんどといっていいくらい決壊をいたしております。私は技術屋でありませんからわかりませんけれ
ども、そういう用水路を作っておるがために果してそういう決壊が起ったのか、あるいはその他のいろいろな川の客観情勢、いろいろな他の条件によってそういう決壊が生じたのか。これはよく
研究してみなければわからない問題であるかと
考えられまするけれ
ども、しかしとにもかくにも見て参りましたところでは、そういうような個所が非常に多い。多いということが事実といたしますれば、何かそこに私はその
ダムの
建設あるいは用水路の
建設について欠陥があるのではないか、こういうふうに
考えざるを得ないのであります。自家
発電の
ダムの問題にいたしましても、
北海道においてそういう例が起った、あるいは昨年でありまするか、大分にもそういう事件が起ったということを聞いております。こういうようなことを
考えてみますと、どうしても私は
ダムの
建設あるいは
管理と申しますか、そういうものの行政を一体にまとめるべきである。
建設についての行政を一本にまとめてやるとすれば、あくまでも
建設省がこれを
管理するということが当然ではないかと
考えているのであります。そういうところが一本にまとまって参りますと、私はある
程度この
補償の請求をする対象、
責任の所在というものも明らかになる、こういうふうにも
考えるわけでありますが、この点について将来こういうような
ダムの
建設行政あるいはこの
管理行政と申しますか——いろいろなむずかしいこともあるかもわかりませんけれ
ども、私は今後の治山
治水対策の上において、これを一本化することが必要ではないかと
考えまするが、この点について
一つ大臣のお
考えを伺っておきたいと思います。