○中島(巖)
委員 私は、
日本社会党を代表して、
日本住宅公団法案に反対し、
公営住宅法第六条第三項の
規定に基き、
承認を求めるの件並びに
住宅融資保険法案に対しては、
希望意見を申し上げて
賛成するものであります。
鳩山民主党
内閣は、選挙の公約として
住宅四十二万戸
建設を宣伝したのでありまして、内政問題として、最も重要なる公約の
一つであります。また、ただいま当
委員会において
討論採決せんとする
日本住宅公団法は、
鳩山内閣の
住宅政策のその根幹をなすものであります。
鳩山内閣の
住宅政策全般が、当面する最も
住宅困窮者に縁遠いものであり、その実質において、前の自由党吉田
内閣よりはるかに劣っておるものであることを断言せざるを得ないのであります。
およそ
住宅政策策定に当っては、
住宅困窮度の最も高い階層はいかなる階層であるかという点を把握し、しかる後にこの根本的な資料の上に立って
住宅政策を立案すべきであると思うのであります。しかるに、
政府はこれらの資料はなく、当
委員会における
答弁中にも、大体月収一万二千円ないし二万八千円くらいの低額
所得者ならんということで、その数字もつかんでいないのであります。
ただいま申し上げましたように、
住宅政策の基盤たるべき
住宅困窮度の高い階層の調査すらなく、
計画された
政府の
住宅政策は、選挙公約にとらわれて、ただ単に四十二万戸の数字に合せさえすればよいというでたらめ
政策であるとしか私は思えないのであります。
以下逐次具体的に
政府の
住宅政策を
批判することといたします。
まず第一に申し上げねばならぬことは、選挙公約の
住宅四十二万戸
建設についてであります。国民の大多数は、
政府みずから
建設もしくは助成
融資等によって四十二万戸を
建設されるものと
考えていたのであります。しかるに、今国会に提案された
内容は、
民間自力建設二十四万五千戸を加えたものであって、全く国民を愚弄した欺瞞
政策であり、公約違反であるといわねばならぬのであります。
第二に、
政府の
建設もしくは助成
融資による
住宅建設十七万五千戸のうちに、二階等に一室増設するもの三万戸を
計画し、一戸当り七万五千円の
融資を予算に計上してあるのであります。便所も台所もない一室を一戸と計算することは、全世界で
鳩山内閣をもって嚆矢とするものでありましょう。
第三に、
住宅困窮者の最も要望する
公営住宅の
建設について見ますると、昨
年度すなわち
昭和二十九
年度は五万
一千九百四十六戸であり、本
年度は五万二千四十一戸であります。昨
年度と比較して、わずかに全国で九十五戸の増加であります。しかるにその
内容は、昨
年度は一戸建十五坪、十二坪、十坪であり、最低八坪であったのでありますが、現
政府は、最高十二坪として、十坪、八坪、七坪、六坪と大幅に建坪を減少して、八坪以下すなわち八坪、七坪、六坪の、最も少い坪数の
建設を二万一千九百戸を計上しているのであります。
住宅困窮者の最も多い階層の要望する
公営住宅に対する現
政府の
政策は、昨
年度の吉田
内閣の
政策より、実質的にはるかに低下している、すなわち劣っていることが、これではっきりわかると思うのであります。
第四に、
住宅金融公庫についてであります。昨
年度四万一千六百戸であり、本
年度は七万五千戸となっており下すが、この七万五千戸のうちには、先ほど申し上げました
増改築分、すなわち便所も台所もない一室三万戸を計上してありますので、これを差し引くと四万五千戸であり、昨
年度よりわずかに三千四百戸の増加であります。
戸数において七%強増加いたしておりますが、その
内容においては、
公営住宅と同様に、
融資率を大体において一〇%切り下げを行なっているのであって、実質において昨
年度より低下していると見るべきであります。昨
年度における
金融公庫の
実績、すなわち需要供給の状態を見ますと、申し込み者十四万九千二百九十四人に対して、
承認戸数四万一千六百人にて、わずかに百人に対して三人六分と言う数字であります。二十八
年度においても同じような状態にあるのであります。かくのごとく、多数の
希望者のある
金融公庫制度を、なぜ拡充強化せぬかと怪しむものであります。
第五に、今回新たに創設された
日本住宅公団法による事業
計画であります。事業費百六十六億円を計上し、国有土地三十万坪を現物出資して
住宅二万戸
建設を
計画しているのであります。この財源の内訳は、
政府出資六十億、
運用部
資金三十八億、
民間資金五十二億、
地方公共団体出資十六億となっております。また反面、事業面において
宅地造成費十億円を計上してありますが、いずれにしても百六十六億円に対して二万戸
建設であって、一戸当り八十三万円となるのであります。
建設後の
家賃に対して、当
委員会の質問に対して、
政府はいまだ正確な
答弁をしないのであります。思い切った保護
政策も、他との関連もありまして、とることは困難だと
考えます。さすれば一カ月五、六千円の
家賃となることは大体想像できるのであります。以上の次第にて、
住宅困窮度の最も高い階層、すなわち月収二万円前後の階層に対しては、何ら関係のない
住宅政策であります。
日本住宅公団法に反対する第一の理由であります。
反対の第二の理由は、
住宅金融公庫の
昭和二十八
年度は百五十八億に対して、
建設戸数五万三千六百五十戸、二十九
年度は百四十二億円に対して
建設戸数四万戸、すなわち一戸当り三十二万四千円であります。また
公営住宅について申し上げますれば、
昭和二十八
年度は百九億八千九百万円に対して五万七千九百四十戸、
昭和二十九
年度は百二十六億円に対して五万五千五百戸、すなわち一戸当り二十万九千円となっております。
以上の計算でおわかりのように、
日本住宅公団法の本
年度事業
資金百六十六億を現在の
金融公庫に流用すれば、五万一千二百戸の
住宅建設ができます。また
公営住宅に流用すれば七万九千四百戸の
住宅建設ができるのであります。以上の理由によりまして、
日本住宅公団の事業
資金を、
公営住宅並びに
金融公庫に活用せしめて、
住宅困窮度の高い階層に対して、三倍前後の
住宅戸数を提供すべきであります。
反対の第三の理由といたしまして、
公営住宅並びに
金融公庫においても、申し込み者百人に対しまして取得者三、四名という現状において、新しい準官庁機構ともいうべき
公団を設備して、一戸当り三倍前後の金をかけて、しかも
住宅困窮度の高い者を除外した
住宅政策を行うべき現在は段階でないのであります。従って、無用の長物ともいうべき準官庁機構の
日本住宅公団そのものの設立に対して反対であります。
以上をもって
政府の
住宅政策の根本的のあやまちを指摘し、かつ
日本住宅公団法に対する反対の理由を申し上げた次第であります。
政府は
住宅対策の冒頭に当って、現在の
住宅不足
戸数二百八十四五尺年々人口増加等により二十五万戸の不足を来たすことを述べており、
住宅問題こそは、
日本の民生安定のための最大のものと思うのでありまして、窮極するところ、限られた予算において
住宅困窮度の高い階層にいかに多数の
住宅を提供するかが
住宅政策の基本的問題であると
考えるのであります。この観点から
政府提出の
住宅政策全般に対して、遺憾ながら同意をすることはできないのでありまして、ことに
日本住宅公団法に対して絶対反対するものであります。
次に、
公営住宅法第六条第三項の
規定に基き、
承認を求めるのであります。これは
住宅困窮度の高い階層が
希望いたしておるところの
住宅でありますので、私は本
年度はやむを得ませんが、来
年度におきましては、さらにこれを拡充強化するように要望いたしまして
賛成をいたすものであります。
次に、
住宅融資保険法案でありますが、これも
民間自力建設に対しまして、非常な力になる
法案と思いますけれ
ども、第七条の
保険料の額であります。おそらくこれは、私推定いたしますに百分の一くらいで十分まかなえる、かように
考えるのでありまして、第七条におきましては百分の二以内となっておりますけれ
ども、この適用につきまして、格段の御研究、御
努力をお願いいたしまして、次の国会におきましては、第七条の年百分の二以内を、百分の一もしくは最高であっても百分の二以内に御訂正あらんことを
希望いたしまして、本
法案に
賛成するものであります。