○
野口参考人 本日の
建設委員会に、私も
参考人として御
推薦をいただきましたことを、まことに光栄に存ずる次第でございます。
今回の御
推薦の一番の
理由といたしましては、おそらくただいま
委員長殿からも
お話しになりましたように、今回
政府が本年度の
施策としまして四十二万戸の
家屋の
建設をする。それに対しまして、さらに東京その他の大都会を中心といたしまして、
勤労者を
対象とする
建設をやる。そのために
政府資金のほかに、
民間資金を導入する必要があるというお
考えのもとに、五十二億の
民間資金導入ということが御
決定になりまして、その五十二億のうちの四十億を
生命保険会社の方で引き受けてくれ、こういう御
要請があった次第でございます。
私
ども生命保険会社の
立場といたしましては、今日戦後におきまして、御
承知の
通りわが国の
民間生命保険会社は、非常に大きな
打撃を受けました。たとえば
資産の方におきましては、
終戦と同時に、
在外資産に数十億の
投資をいたしましたものが、ほどんどゼロになってしまう、また国内におきましても、従来
国策に順応いたしまして、
軍需会社その他
国策会社等に相当の
投資をいたしておりましたものが、
終戦と同時に非常に
影響を受けまして、戦後おそらく
金融機関の中で
戦争による一番大きな
影響を受けた
機関であると存じます。そういう
状態であります今日、四十億の
資金をお引き受けすることができるかどうかということは、実は私
どもも非常に心配いたしたのでございます。
しかしながら、
政府が特に
生命保険を指名して四十億の
民間資金を引き受けてくれというお
示しが出たということは、おそらく
生命保険資金か
長期資金――他の
金融機関、たとえば
銀行あるいは
信託会社そのほかの
金融機関がございますが、それらの
金融機関の
資金は主として短期の
資金である。それに比して
生命保険会社の
資金は
長期の
資金であるというこの
特異性を
政府の方でも御了解の上で、特に御指定になったものと存じておるのであります。従いまして、私
どもといたしましては、
生命保険資金が
長期資金として、戦前におきましても相当
国民経済上お役に立ったつもりでございますが、戦後は今申し上げましたような、今度の
戦争による一番大きな
打撃を受けました、そのために思うような
資金の
融資もできなかったのでありますが、今回のこの
政府の御
施策に対しましては、もとより私
ども民間生命保険会社の
立場においても、心から共鳴いたすものでございます。
従いまして、この御
要請通りにお引き受けができるかどうかということは、内部的な問題といたしまして、いろいろ
苦心をいたしたのでございます。
最初は専門的な
事務当局の
意見を徴しましたが、今日の
実情において四十億をお引き受けすることがなかなか困難であるということは、御
承知の
通り最近におきましては、戦後においての
日本経済復興として必要な
産業資金、いわゆる
長期資金が、各
金融機関にも非常に枯渇しておる
実情であります。ただいま
生命保金会社の方には、たとえば
電力会社とか、
鉄鋼会社とか、造船、あるいはそのほかの
繊維会社とか、あらゆる
重要産業方面からの
長期資金借り入れの申し入れが殺到してきている
状態でございます。これは大蔵省のお
示しにもよりまして、その方に今優先的に
融資をするということになっておるのでございます。
片一方に多くを出せば、
片一方のその
産業資金としての力を制約しなければいけないというような面もございますので、いろいろ私
ども苦心をいたしたのでございます。
最初は
事務当局の
考えといたしましては、二十億以上の
融資は困難であるという結論に到達いたしておったのでございますが、その後
建設省及び
大蔵大臣の方からも、ぜひ今回の
政府のこの
公約を果すために、何とかして四十億を出してくれるようにという御
希望がございましたので、いろいろ無理ではございましたが、これも
国策に御
協力申し上げるという
意味において、大体四十億はお引き受けしょうということに相なった次第でございます。
本日のこの
委員会に
参考人としてお呼び出しを受けました
理由も、おそらくそういう点から、今後の
政府の
住宅政策と
資金関係のことについて御
質問等があるであろうというふうに私も
考えておった次第でございます。大体前
参考人の
杉本先生からも
お話がございましたように、本日のこの
委員会の主たる題目はどういうものであるか、具体的のことを実は私もよく存じませんで、昨日夕方おそくごく概略は承わりましたけれ
ども、
個々の問題について具体的な掘り下げた研究という時間もございませんでしたので、ごく概略的ではありますけれ
ども、私の
意見を申し述べさせていただきたいと存ずるのでございます。
第一の
住宅公団法につきましては、前
参考人からも
お話がございましたように、私
どもも、全くこれに対しては同感でございます。すでに
住宅政策に対する諸法律については、過去数ヵ年の間にいろいろ整備されて参ったのでございますが、この
住宅公団法のできることによって、ここにほんとうに完全な
一つの
住宅政策の基本というものができ上ったということは、非常に望ましいことだと存じております。ことに今度
融資の
対象となっております者に直接関連のあるのがこの
住宅公団でございます。従いまして、それらの点から
考えましても、私はこの
住宅公団法をお設けになるということは、これは非常に必要であると、こう
考える次第でございます。
それから第一の
住宅融資の
保険法でございますが、これに対しましても、まだ具体的のこまかいことは、私
どもも
承知しておりませんから、詳しい御批判を申し上げる段階でもございませんが、しかしこの
住宅について、
個人として
住宅を持ちたいというのは、これはすべての人の
希望でございます。それらを完全に、そうして安全に達成させるためには、どうしてもこうした
一つの
保証というものが必要になってくるのでございます。それらの
意味におきまして、国家が特にこれに
助成をしてこうした
住宅融資に関する
保険法を御設置になるということも、これも私は今日の
政策御遂行の上に当然必要なことであると思うのでございます。ことに私自身が
保険に関連いたしておりますものであります。
生命保険ではありますけれでも、
保険というもの本質から
考えましても、こういう場合においての
保証という
立場から、
保険でもって今日のこうした補いをなそうという御
趣旨そのものは、非常に私
どもも賛成する点でございます。
それから次の
ロー・
コストの
耐火建築ということでございます。これもこまかな技術的なことは、私
どもも詳しく存じませんけれ
ども、
日本の
建築そのものにつきまして、これは
考えなければならないと思うのでございまして、従来
木造建築が大部分でございますが、この一ヵ年間に
火災によって
損失をこうむる国の財産というものは、非常に莫大なものであることは皆様の御
承知の
通りでございます。そういう点から
考えましても、将来
日本の
住宅建設というものが、
木造からさらにこうした
耐火建築に向っていくということは、非常に必要であると存ずるのでございます。それともう
一つ、私はヨーロッパや
アメリカ方面にも長い間おりました
経験から申しましても、この
木造建築について、
火災を防止すること以外に、
日本の現在の森林の
状態を見ますときに、これらに要する木材は莫大なものであると存じます。私
どもが汽車に乗って、たとえば東京から九州方面に参りますにいたしましても、東海道線なり山陽線の窓から見ましても、おそらくかつては青々と森林が茂っていたであろうと思われます多くの山々が、今日はほとんど木が切られてしまって、はげ山にひとしいような
状態を見ますときに、私がいつも
考えることは、何とかこれらの森林を保護する
方法を
考えなければならないのじゃないか。それについて、一番多くの木材を要するものは、
家屋の建築であろうと推測いたしております。私はドイツに長い間おりましたが、これは皆さんの中でも、ドイツの
実情等を御
承知の方がおられると思いますが、ドイツが一八七〇年-七一年の普仏
戦争によって、フランスと戦って勝利を得ました。そうしてアルサス・
ローレンの土地を割譲させると同時に、五十億フランの償金を取ったのでございますが、その中でまず
政府が
考えたのが、森林の造成ということであったそうでございます。今ドイツに参りますと、よくいわれるチューリンゲンの森を初めといたしまして、山野至るところに森が非常に多いのでございます。ところが、これがみな普仏
戦争以後のビスマークの
政策によりまして、まずそういう方面からということで森林が作られたということでございます。それが今日のドイツの非常な富源の
一つにもなっていると思います。それから私
どもが老人から聞いた話でございますが、この普仏
戦争以前におきましては、ドイツにおきましても
木造建築がほとんど大部分であったそうであります。ちょうど
日本の
状態とよく似ておったらしいのでありますが、それがあの普仏
戦争以後、
耐火建築が非常にふえまして、今日の
状態になったということも聞いております。それらの点から申しましても、まず第一に
火災の予防ということ、それから森林を守るという点から、私は将来
日本の建築というものは
耐火建築に向うべきではないかということを、かねてから
考えておったのでございます。こうして今度の
政府の御
施策として、できるだけ低い
コストをもって
耐火建築を御
建設になるということは、私はこれは非常に望ましい、けっこうなお
考えであると存ずるのでございます。
それから、その次の
簡易アパートの問題でございますが、これも私は大へん必要なことであろうと思います。今日の文化生活をなす上において、どういたしましても、アパートの
需要はますますふえてくると思うのでございます。これは家族持ち、ことに独身の方等につきましても、アパートの
需要はますます
増加してくる傾向にある、また将来一層それがふえるであろうと
考えられるのであります。それらの点から申しましても、
簡易アパートの増設ということは、当然私は望ましいことであると
考えております。
それから
特別償却の
割合の
増加についてでございますが、この問題につきましても、私自身まだ
特別償却をどの点におきめになろうという御趣旨か、まだ具体的のことを存じません。従いまして、これもこまかな
意見を申し述べることはできませんが、しかし
特別償却の
割合を
増加していただくということは、これは一層今後の
住宅建築に対する国民大衆の意欲を増していくという
意味において、私はけっこうなことであると存ずるのでございます。
それから次の
既設家屋の
増改築に対する
融資の問題でございます。これも、これから新しく
建設をすることに対して、いろいろ国家が保護的な
施策をやられるということは、非常にけっこうなことでございますが、それと同時に、公平の観念から申しましても、既設の
家屋の
増改築に対して、国家がさらにこれに対するいろいろな補助等を行いますと同時に、また
民間等に対しても、そういう面についての
協力を御
要請になるということ、これも私は適切なる
施策だと
考えるものでございます。
それから
住宅金融公庫の
融資率の低下の問題でございます。これも私はよく内容を存じませんから、とやかくの批判をするだけの資格はございませんが、大体必要なことであろうと存ずるのでございます。
大体この
質問の要綱としてお
示しいただきましたことについては、不十分ではございますが、私の所見を申し述べさしていただいたのでございます。
なお全般的な問題といたしまして、この
住宅建設促進に対しましては、先刻
杉本参考人からも
お話になりましたように、
公営または公庫方面からも、従来いろいろ御努力が行われておったのでございます。それに今般、
公団による
住宅が
建設されるということになって参りました。私かねてから
考えておりますが、この
住宅の
建設について、まず社会
政策的な
意味から
考えられる場合においては、たとえば
公営住宅とかあるいは公庫の
住宅等の面において、特に
公営住宅の面においてそうでありますが、なるべく安い
家賃で、そうしてなるべく多くの人々がこれに入り得るような
住宅の建築、これがことに戦後における
わが国の現段階において最も必要なことであると思うのでございます。それに対しましては、今まで皆様方にいろいろ御尽力をしていただきました。さらに公庫でもいろいろ御
苦心になっておりますが、やはり今までの
公営とか公庫の
住宅というものは、抽せんでもってそれが当るということになっております。そうなって参りますと、ここに私
ども考えたいと存じますことは、抽せんによって
住宅が手に入るということになりますれば、たとえば隣にはどういう人が住んでおるかわからない、あるいはまったく知らないような人々と、そこに一緒に生活をしなければならない。これが
借家でありますならば、隣の人々があまり
自分たちの望ましい人でなければ、他に引っ越すということもできますが、一旦それが
自分の家になった以上は、いつまでも同じで、何と申しますか、共同生活についても望ましくないような人々とでも、やはり一緒に何十年の間、将来長く生活していかなければならない。これは理論的には、とやかく批判もございましょうが、実際問題として、そういう生活をやって行くということは、相当苦痛ではなかろうか。みんなが非常に安らかな家庭生活をしていこうという
希望を持っているのに、そういった不安な、あるいは望ましくないような雰囲気のもとにいることは、耐え切れないのではないかと思うのです。それらに対しまして、今回、たとえば
公団の
住宅なんかという御計画もありますが、やはり
個人個人が、
自分たちの
希望によって、ある
程度の
住宅を持ち得るような
方法をとっていただくということ、そうして自由意思によってそういうものがきめられて、そうして町とか部落というものが、理想的に
建設できるというふうになって参りますれば、これが
住宅政策として一番理想的ではないかと私は思うのでございます。そういう点から申しましても、それに対しましては、当然非常な
資金を必要といたします。財政
資金をそれらに御
融資になりますことが必要でありますと同時に、
民間の
金融機関等もこれらに
協力していくということが、当然必要であると存ずるのでございます。それに対しましては、私
ども生命保険協会を代表した
立場において
考えますと、今回の
政府の申し入れに対しまして、四十億御
融資をすることに
決定いたしたのでございますが、将来直接私
どもが国家の御
要請に応ずるということだけでなくして、さらに
保険会社等は、特に
長期資金を最も大きな財源といたしております
関係上、一般の
金融機関等でできないような方面に御
協力を申し上げるということが、非常に必要なことだと思います。
皆様御
承知でございましょうが、たとえばアメリカ等を見ましても、あのニューヨークの昔スラム街と言われましたところに、今りっぱなアパートができて、
住宅区域になっております。またシカゴとかサンフランシスコ、ロスアンゼルス、こうしたアメリカ等におきましても、大都会の
住宅建設、ことに今まで貧民窟と言われたようなところが、今では見違えるようにりっぱな
住宅区域になっている。ところが、そうしたものは多くは
生命保険会社が
建設をやっておるようでございます。たとえばメトロポリタン
生命保険会社とかプルーデンシタル、そういうふうな
会社がそういう方面に努力をいたしておるようでございます。
それからドイツ等の
実情を見ましても、あちらから私
どもの知り合いの
会社の重役等がたびたび見えたとき
実情を聞いてみますと、ドイツにおいても、御
承知の
通り、
日本と同じように戦後は非常に困難な
状態にあったのでありますが、あの廃墟の中から、今日ドイツの産業は非常に勃興いたしております。これらの
産業資金源は、どこに求められているかということでございます。これは一部財政
資金からも出ておりますが、
生命保険会社の
長期資金が非常に活用されているそうでございます。それと同時に、この
生命保険会社の
長期資金は、破壊されたドイツの都市の復興
資金、
個人の
住宅建設資金等にも非常に使われておるということを聞いております。
アメリカの
実情等を見てみますと、アメリカの
生命保険会社の一九五三年の
資金総額は七百八十五億三千三百万ドルでございますが、そのうち
不動産投資は二・六%で、二十億二千万ドルでございます。
不動産抵当貸付金は総
資産の二九・七%で、二百三十三億二千二百万ドル
生命保険会社が
不動産抵当貸付金として
投資をしているわけでございます。ドイツの
実情を見ますと、これは一九五一年の資料が一番新しいのでございますが、それを見てみますと、総
資産、この中には実は衡平化請求権というものがございまして、例の通貨の改革により債権処理に関して一種の補償公債が
金融機関、
生命保険会社等に渡されておりますが、それが全
資産の半分くらいになっておりまして、それを含めました総
資産が大体三十二億九千八百万ドイツマルクになっております。その中で、今申し上げました衡平化請求権というのが十七億九千九百万ドイツマルクでございますが、これを含めました総
資産から申しますと、
不動産の
投資が八%で、
抵当貸付金が一七・一%になっております。今の衡平化請求権というのを除きまして、普通の純粋の
生命保険会社の現在持っておる
資産、それを見ますと、
不動産が一一・五%でございまして、それから
不動産抵当貸付金が三七・八%になっておるくらいでございます。
もっとも、アメリカにおきましても、ドイツにおきましても、
生命保険会社の
資産運用の
方法は、
日本とだいぶ違っております。たとえば
日本は、
生命保険へ
会社の
資産の中で、
長期資金、
産業資金として
供給する面が非常に多くて、有価証券、株式の所有等が
割合多いのでありますが、アメリカやドイツ等におきましては、
生命保険会社の株式所有は、あまり多くありません。それらのものが他に振り向けられておるせいではございますが、しかし、
生命保険会社が
長期資金を持っておるという
立場から、この
不動産の
抵当貸付とか、いわゆる建築、
住宅政策等に関連を持つ
投資の
方法が、非常に行われておるのでございます。
日本のごく最近の
実情を、二月末日現在で見てみますと、
生命保険会社の総
資産が千三百五十二億一千三百五十五万くらいになっておりますが、その中で
不動産抵当貸付は九十七億四千万ばかりでありまして、
割合は総
資産の七・二%になっております。それから
不動産の保有は、現在百六十九億七千百三十三万円余りでございまして、これは一二・六%になっております。ただ、
わが国の
生命保険会社の
資産の運用につきましては、御
承知の
通り保険業法というのがございまして、この
保険業法でもって、何割以上は
投資していけない、どういう方面にはどれだけ以上は
投資していけないというふうな、非常に厳重な規定がしてございます。たとえば、株式の所有は総
資産の十分の三以上は禁止する、
不動産の所有は十分の二以上はいけない、そのほか貸付等に関しましては、いろいろこまかな規定がございますので、アメリカとかドイツなどの各国のように、自由な
投資はできないのでございますが、しかし、今後だんだん
資金も
増加して参りますれば、この国家の
政策等について、一層御
協力を申し上げるように、私
ども進んで参りたいと存じておる次第でございます。
先刻来、たびたび
保険会社の困難な
状態を申し上げましたが、戦前におきましては、民同
生命保険の
資金は、全
金融機関の一割一分くらいを占めておりました。たとえば
昭和十二年、ちょうど支那事変が起りました当時は、全
金融機関――これは
銀行、
信託会社、それから預金部
資金等も入れまして、大体二百八十五億円あったのでございます。その中で
銀行が大体百五十八億円で、
生命保険会社が三十二億円でございました。
割合から申しますと、全
金融機関の
資金総量のうち、
銀行が大体五三%を占めておって、
生命保険会社が一一%を占めておったのでございます。それが、今回の
戦争によって非常に衝撃を受けまして、ただいまでは、本年の二月末日に、
日本銀行の御発表等を見ますと、
金融機関――これは預金部
資金等も入っておりますが、それらを加えますと、大体五兆五千百九十八億円余りでございます。その中で、
銀行の
資金が三兆二百四十六億円余りでございまして、
生命保険が千三百十八億円余りであります。
割合から申しますと、全
金融機関の総量に対して、
銀行預金は五四・四%を占めております。
生命保険の
資金は二・四%でございます。これで見ますと、戦前に比べまして
民間生命保険の
資金の実質的な価値がちょうど五分の一に落ちている。かつては全
金融機関の一割一分を占めておりましたのが、今日では二分四厘というふうに下っておるのでございます。
それで、私
どもは始終思うのでございますが、決して私は我田引水で申し上げるのではないのでございますけれ
ども、今
民間の生保
資金が戦前と同じような
割合で進んで参っておりますならば、今日六千五百億円の生保
資金があってしかるべきだと思います。もし、この六千五百億円の
民間資金がございますれば、これを全部いわゆる
長期産業資金に振り向けることができるのでございます。そうなって参りますれば、今日、あるいは政界財界各方面で
要請されておりまする外資の導入など必要がなくなって、そうして
日本の
産業資金もこれで充当できるし、今国家の
住宅政策等に必要な
長期の
資金も、もっと私
どもは御
協力申し上げることができると思うのでございます。ところが実際は戦前に比較いたしまして五分の一くらいの実力しかないというような現状になっております。それで、何とかしてこれを一日も早く戦前に復帰するようにわれわれも努力いたしまして、また西ドイツ等は、
政府がこれら
長期資金の育成に税制上等においても御援助があるようでございますが、一日も早く戦前に復帰するようにして、そうして国家の
施策、
国民経済全体にも役に立ち得るように努力したい、こういうふうに
考えておる次第でございます。
なお、今回の
住宅政策について、
民間生保の
融資は、おそらく今度限りではないと思います。今後にも問題が起ってくると思いますが、私
どもといたしましては、でき得る限りまずわれわれの
資金を作って、国家の御
要請にも応じ得るように努めたい、こういう気持でおるのでございます。
まことにとりとめのないことでございますが、私のつまらない
考え方でありましたけれ
ども、御聴取くださいましたことをありがたく感謝いたす次第でございます。