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1955-05-11 第22回国会 衆議院 建設委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月十一日(水曜日)    午前十時三十九分開議  出席委員    委員長代理 理事 瀬戸山三男君    理事 志賀健次郎君 理事 山口 好一君    理事 逢澤  寛君       大高  康君    荻野 豊平君       中村 寅太君    廣瀬 正雄君       松澤 雄藏君    久野 忠治君       二階堂 進君    有馬 輝武君       三鍋 義三君    安平 鹿一君       山田 長司君    今村  等君       中島  巖君    石野 久男君  出席政府委員         建設政務次官  今井  耕君         建設事務官         (大臣官房長) 石破 二朗君         建設事務官         (計画局長)  渋江 操一君         建 設 技 官         (河川局長)  米田 正文君  委員外出席者         建設事務官         (住宅局住宅         企画課長)   南部 哲也君         参  考  人         (住宅対策審議         会委員)    杉本 正幸君         参  考  人         (大阪市建築局         長)      伊東 五郎君         参  考  人         (生命保険協会         総務理事)   野口 正造君         専  門  員 西畑 正倫君         専  門  員 田中 義一君     ――――――――――――― 五月十日  川内川上流改修工事促進に関する請願(池田清  志君紹介)(第五一七号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  建設行政に関する件     ―――――――――――――
  2. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員長代理 これより会議を開きます。  ただいま委員長が用務のため不在でありますので、理事であります私がかわって委員長の職務を行います。  本日は政府昭和三十年度における住宅建設促進対策につきまして、参考人各位から御意見を聴取いたしたいと思います。  参考人各位には、御多忙中のところわざわざ御出席くださいまして、まことにありがとうございました。  申し上げるまでもなく今回政府考えております住宅対策は、鳩山内閣が総選挙に当りましての最も大きな公約一つでありまして、四十二万戸建設という公約は、住宅に困窮しておりまする庶民が、非常なる期待を持って政府施策を見守っておるのであります。そこで、政府としましては、住宅公団法案あるいは住宅融資保険法案等立法措置ローコスト耐火建築、六坪程度簡易アパートの新設、特別償却割合い増加等国税地方税におきまする諸種の措置、あるいは既設家屋増改築に対する融資、あるいは住宅金融公庫融資率を一〇%程度引き下げる等、一連の住宅対策考慮しているのでありますが、これらの措置につきまして、参考人各位の御意見を承わりたいと思うのであります。また民間自力建築促進その他につきましても、適切なる具体策あるいは御意見がありましたならば、これもこの際あわせて承わりたいと存ずるのであります。参考人各位におかれては、御遠慮なくそのお考えを開陳してもらいたいとお願いする次第であります。  なお、時間の関係上、発言は大体御一人につきまして、三十分以内程度にまとめていただきたいと存じます。なお御発言が一通り済みました後に、各委員からの質問をしていただきたいと思っております。  それでは、これより御意見の開陳をお願いいたします。まず第一審に住宅対策審議会委員杉本正幸君にお願いいたします。
  3. 杉本正幸

    杉本参考人 ただいまの趣き、かしこまりました。ただ、私本日のお尋ねの問題を伺いましたのが、昨日の午後三時でございました。何ら考えをまとめております時間がございませんので、これから申し上げますことは、雑駁なものに終るだろうと思いますが、何とぞその点お許しを願います。  まず住宅公団法のことでございますが、申すまでもなく、昭和二十五年には住宅金融公庫法が施行せられ、それと同時に建築基準法も施行されました。それから二十六年には公営住宅法、二十八年には産業労働者住宅資金融通法、それから北海道防寒住宅建設等促進法が施行せられまして、わが国住宅政策は、ずいぶん整備されて参りました。私はこれに住宅公団法が加わりますれば、法的な住宅供給組織は、一応完成するものと考えております。それで私は、住宅公団を必要と考えております点を申し上げますと、次のようでございます。  第一には、現在の公営住宅は、申すまでもなく低額所得者に対する低廉住宅でありまして、これは国の補助金によりまして、非常に安い家賃になっております。そこで、これは住宅政策の根本をなす重要なるものでありますが、それだけではまだ足りませんので、その上に、ややそれよりもよけい家賃の出せます需要階層に対する適正なる、そうして安い家賃住宅供給する機関がなければならぬと思います。公営住宅の方は、政府補助金によりまして安くなっておりますが、この公団の方は、補助金でなしに回収のできる政府資金等によりまして、適正なる安い家賃住宅をこしらえるのが必要である。それには、政府資金ばかりでは足りませんから、地方公共団体資金民間資金等も導入しまして、この三者によって安い適正家質住宅供給する機関がなくてはならぬと存じます。  それから第二番目には、やや家賃よりも高い額でありましても支払えるから、月賦建売り住宅がほしいと要望する需要階層がたくさんにございます。これらのものに対しまして、事業主協力を得まして、事業主責任において従業員に建て売りをするという住宅供給機関が必要であると存じます。それからその場合には、個人々々のものでありましても、自分敷地を探し、それから建築業者と契約して建てるには、非常に時間も要るし、そういう知識もないから、建売りでいいから、できたものが買いたいという階層が大分あります。これらに対しても、安い価格建売り住宅供給することが必要である。これは住宅公庫の貸付と相まって、非常なる効果を上げるものと考えております。  それから第三には、この種の住宅建設するに当りましては、敷地の獲得が重大なる問題でありまして、農地、林地、池沼等を開発しまして新たに新市街を構築しましたり、または既成市街におきまして未利用地、利用不完全の宅地を買い上げまして、これに区画整理を施して宅地を造成するというような大事業を非営利的に営みますには、強力なる政府機関が必要であると存じます。  第四には、この種の事業は、地方公共団体におかれましても、おのおの行政区域ごとに行なっておられる次第でありますけれども、それに加えまして、さらに行政区域を越えました広い区域にわたりまして、統一的に行うところの住宅供給機関がなくてはならぬと考えます。  それから第五には、民間において住宅を建てます場合に、最も困難を感じておりますのは、申すまでもなく宅地取得難でありますから、右申しましたような政府機関におきまして、宅地を造成しまして、適正なる価格で譲り渡し分譲をする、あるいは賃貸をするというようなことが必要である。これは切実に要望されておるところでございます。  第六には、家賃の高くつきますのは、これは申すまでもないことでございますけれども建築費の向いのが大きな原因の一つでございます。昭和十三年に家賃統制を始めました時から最近までの建築費上り方は、五百三十倍になっておるのでございます。でありますから、どうしても建築費を引き下げなければならぬ。その方法一つとしまして、材料を一手に多量に買うということが必要であるし、またあるいは量産方式によって多数同じような型のものを建てて、建築費を下げるというような能率的活動をいたしますには、住宅専門政府機関が必要であると存じます。  もう一つ第七といたしましては、必要な場合にこの住宅を買い上げる機関がなくてはならぬ。私どもの多年不動産金融をやりました経験によりますと、この必要が切実に感じられるのであります。退職手当金あるいは賞与その他を貯蓄しまして、やっと住宅を建てたとしても、失職をする、病気になる、死ぬというような場合には、どうしても売らなければならぬ。しかし売る場合には、なかなか相手を見つけることが、容易でございませんから、急ぐために、不動産ブローカーに買いたたかれたりして、どうしても安く売らなければ売れないのであります。そういう場合に、こういう公団がありまして、適正なる価格で一時買い上げてくれる、そして再びその価格で必要なる人に売り渡す。これは時間があればできることである。あるいはそれをすぐ賃貸住宅にしてもよろしいと考えます。こういう機関がなくてはならぬと思います。  第八には、以上のような事業を営みますには、どうしても莫大なる資金を要しますから、この資金は、ひとり国のみでなく、地方公共体団のみではなく、さらに民間金融機関等協力を得ましてその資金を導入して、長期低利資金の調達をはかる、そういう機関がなくてはならぬと考えます。  第九には、これは附帯的なことでありますが、私どもの多年の経験によりますと、この不動産売買賃貸借の仲介機関の信頼すべきものが必要であることを切実に考えております。そして取引の公正、それからその場合の地代家賃売買価格等適正化をはかるという不動産取引所のような作用をなす機関がなくてはならぬと思います。それとともに不動産価格、この場合は住宅価格の鑑定、それから地代家賃をどれくらいにきめたらいいかというような相談に応ずる評価機関というようなものがほしい。それに対しては、こういう住宅公団のごときが附帯事業としてそういう仕事をやられましたならば、非常なる効果が上るものと考えます。  大体そういうような理由で私はこの公団を必要と考えております。  その次には、住宅融資保険法のことでございますが、実はこれに対しましては、対策委員会で大綱は承わっておりますけれども、具体的に御決定になった詳細は、まだちょうだいしておりませんので、細部にわたっては申し上げかねますけれども、これも必要だと思います。講義めいておそれ入りますけれども、この住宅難を解消いたしますには、総合的な施策協力を要しますことは申すまでもありません。その見地から申しますならば、こういう制度のありますことは、ことに必要だと存じます。しかしこれも、損失保険にしましても、その貸すもとの資金が預金の資源でありましては、なかなか長期低利には貸しにくいから、そう大した期待は持てないと思いますけれども、地方銀行相互銀行信用金庫等においては相当貸し出せるのではないかと存じます。  なおこれに関連しまして、ここまで御決心になるならば、私はこの際不動産銀行設立について御考慮を願いたいと存じます。これは余談のようでございますが、簡単に申し上げますと、先ほどもちょっと触れましたように、せっかく自分苦心をして住宅を建てた、建てたけれども資金の必要な場合にこれを資金化する方法がない。これは非常な悩みであります。それから自分で今貯蓄も若干あるし、金を借りればできるのでありますけれども、今その金を建物に固定さしたならば、あとで資金化するときに困るといって、住宅を建てるのに逡巡している人が多数ございます。こういう人に対して、そういうときには不動産銀行ができて、それで借りられるのだという見込みがあれば、ここで思い切って建てようということになります。それから抵当に入れていない住宅を持っている者も多数ございます。それらの者に、今は資金融通の道がありませんから、ここでこの不動産銀行設立して、それらの金融の疎通をはかるということが一つ。それとともに、これは中小工業者資金融通効果もございます。中小工業者設備資金運転資金等につきまして、いろいろ政府機関はございますけれども不動産抵当とする金融機関はないのであります。この春でございましたか、商業会議所の全国の大会におきまして、不動産金融機関が必要であるということを決議して、その設立政府の方にも建白されたということを聞いております。こういう機関を建てられることが必要ではないか。それには、特別な立法は要しません、現在の長期信用銀行法によりまして、株式会社を建てて大蔵大臣の認可を受ければできるのであります。その方法等について申し述べると、長くなりますから省略いたしますが、このことにつきまして御考慮をされますように切望いたします。  それから簡易住宅の六坪、公営の八坪についてでありますが、これについては、なるほど去年より小さくなったようでございますけれども、しかし、小さくてもいいからぜひ独立の住宅をほしいという需要が大分ございますから、それに対する供給としましては、これも必要であると思います。しかし、この予定の建築戸数を見ますと、少しこれが多いではないかというような感じがいたします。これはもう少し減らして、そうしてほかの広い方をふやしたらいいではないかと考えられます。しかし、こういうものの必要は確かにございまして、これを満たすことの要望も切実であるということは考えております。それから今の小さい坪数のものは不燃化立体化にはなっておりますので、その点は昨年より進んでいると思います。  次に特別償却割合増加でございます。これもどの程度に御確定になっているか、詳細がわかりませんので、こういう工合な数字になるということは申し上げかねますけれども、これまた大いに必要なことでございまして、もっともっと優遇助成されることを希望いたしたいと存じます。  それから、次には増改築の問題であります。これにつきましては、まことに必要があるのでございまして、建設省の調査によりますと、建てかえを要する老朽しておりますものが百十六万戸だかあるということであります。これらを早く取りこぼして建て直さなければならない。それから現在取りこぼさなくても、早く改築しました方が、寿命を更新することができるというようなものがたくさんありますから、この際改築、増築に一定条件を付しまして、その条件にかなうものには、住宅公庫から資金融通されるということは、きわめて必要であると存じます。  それから住宅金融公庫融資率の引き下げ一〇%でございます。実は私はこれに対しては、もっと率を上げていただきたいということを希望しておりましたので、下りましたから、これははなはだ遺憾とするところであります。これはぜひもう少し上げておいていただきたいと存じます。  それから民間住宅建築促進につきましては、現状におきましては、どうも以前ありましたような個人々々が零細なる資金借家を二、三軒持ちまして生活しておったような時代はとうに過ぎ去りまして、もうこんなに建築費が高く、それから土地の値段も上り、権利金も上った場合には、零細なる資金ではとうてい借家は持てませんから、民間個人々々が持っておりましたような従来の方式による貸家増加というものは、容易には期せられないと思います。それでそれにかわるものとしましては、個々の持ち家を奨励、各人が自己住宅に入れるようにそれを奨励する必要がある。それに対しては、固定資産税登録税その他の税制措置等によってこれを助成され、それから不動産銀行等をこしらえて資金融通の道も開かれる。むろん今でも住宅公庫がやっておられますが、あれによって個人持ち住宅増加をはかることが必要でございます。それとともに、民間企業者協力によりまして、この案にありますような公団建売り住宅事業主責任を持って買いまして、それをまた自己従業員に持たしてやるということもやる必要がある。これは政府資金の援助による民間住宅増加でございますが、純粋の民間貸家増加といたしましては、そういうもののほかに事業主が社宅をふやしていくことを奨励する。それには、さきの税法上の措置が大いにきき目があるのでありますが、あれではどうも足らぬと思うのです。もう少しやっていただきたいと思います。  それから御承知通り金融機関生命保険、それから建築業者が一体となりまして、住宅会社をこしらえて住宅供給をする、ああいうものも奨励される必要がある。それから民間建売り住宅会社がございます。それらのものも助成をし、それから取引業務の適正を保証されるような制度にする点もお考えを願いたいと存ずるのであります。  はなはだ雑駁でありましたけれどもこの程度にしておきます。
  4. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員長代理 それでは次に生命保険協会総務理事野口正造さんにお願いいたします。
  5. 野口正造

    野口参考人 本日の建設委員会に、私も参考人として御推薦をいただきましたことを、まことに光栄に存ずる次第でございます。  今回の御推薦の一番の理由といたしましては、おそらくただいま委員長殿からもお話しになりましたように、今回政府が本年度の施策としまして四十二万戸の家屋建設をする。それに対しまして、さらに東京その他の大都会を中心といたしまして、勤労者対象とする建設をやる。そのために政府資金のほかに、民間資金を導入する必要があるというお考えのもとに、五十二億の民間資金導入ということが御決定になりまして、その五十二億のうちの四十億を生命保険会社の方で引き受けてくれ、こういう御要請があった次第でございます。  私ども生命保険会社立場といたしましては、今日戦後におきまして、御承知通りわが国民間生命保険会社は、非常に大きな打撃を受けました。たとえば資産の方におきましては、終戦と同時に、在外資産に数十億の投資をいたしましたものが、ほどんどゼロになってしまう、また国内におきましても、従来国策に順応いたしまして、軍需会社その他国策会社等に相当の投資をいたしておりましたものが、終戦と同時に非常に影響を受けまして、戦後おそらく金融機関の中で戦争による一番大きな影響を受けた機関であると存じます。そういう状態であります今日、四十億の資金をお引き受けすることができるかどうかということは、実は私どもも非常に心配いたしたのでございます。  しかしながら、政府が特に生命保険を指名して四十億の民間資金を引き受けてくれというお示しが出たということは、おそらく生命保険資金長期資金――他の金融機関、たとえば銀行あるいは信託会社そのほかの金融機関がございますが、それらの金融機関資金は主として短期の資金である。それに比して生命保険会社資金長期資金であるというこの特異性政府の方でも御了解の上で、特に御指定になったものと存じておるのであります。従いまして、私どもといたしましては、生命保険資金長期資金として、戦前におきましても相当国民経済上お役に立ったつもりでございますが、戦後は今申し上げましたような、今度の戦争による一番大きな打撃を受けました、そのために思うような資金融資もできなかったのでありますが、今回のこの政府の御施策に対しましては、もとより私ども民間生命保険会社立場においても、心から共鳴いたすものでございます。  従いまして、この御要請通りにお引き受けができるかどうかということは、内部的な問題といたしまして、いろいろ苦心をいたしたのでございます。最初は専門的な事務当局意見を徴しましたが、今日の実情において四十億をお引き受けすることがなかなか困難であるということは、御承知通り最近におきましては、戦後においての日本経済復興として必要な産業資金、いわゆる長期資金が、各金融機関にも非常に枯渇しておる実情であります。ただいま生命保金会社の方には、たとえば電力会社とか、鉄鋼会社とか、造船、あるいはそのほかの繊維会社とか、あらゆる重要産業方面からの長期資金借り入れの申し入れが殺到してきている状態でございます。これは大蔵省のお示しにもよりまして、その方に今優先的に融資をするということになっておるのでございます。片一方に多くを出せば、片一方のその産業資金としての力を制約しなければいけないというような面もございますので、いろいろ私ども苦心をいたしたのでございます。  最初事務当局考えといたしましては、二十億以上の融資は困難であるという結論に到達いたしておったのでございますが、その後建設省及び大蔵大臣の方からも、ぜひ今回の政府のこの公約を果すために、何とかして四十億を出してくれるようにという御希望がございましたので、いろいろ無理ではございましたが、これも国策に御協力申し上げるという意味において、大体四十億はお引き受けしょうということに相なった次第でございます。  本日のこの委員会参考人としてお呼び出しを受けました理由も、おそらくそういう点から、今後の政府住宅政策資金関係のことについて御質問等があるであろうというふうに私も考えておった次第でございます。大体前参考人杉本先生からもお話がございましたように、本日のこの委員会の主たる題目はどういうものであるか、具体的のことを実は私もよく存じませんで、昨日夕方おそくごく概略は承わりましたけれども個々の問題について具体的な掘り下げた研究という時間もございませんでしたので、ごく概略的ではありますけれども、私の意見を申し述べさせていただきたいと存ずるのでございます。  第一の住宅公団法につきましては、前参考人からもお話がございましたように、私どもも、全くこれに対しては同感でございます。すでに住宅政策に対する諸法律については、過去数ヵ年の間にいろいろ整備されて参ったのでございますが、この住宅公団法のできることによって、ここにほんとうに完全な一つ住宅政策の基本というものができ上ったということは、非常に望ましいことだと存じております。ことに今度融資対象となっております者に直接関連のあるのがこの住宅公団でございます。従いまして、それらの点から考えましても、私はこの住宅公団法をお設けになるということは、これは非常に必要であると、こう考える次第でございます。  それから第一の住宅融資保険法でございますが、これに対しましても、まだ具体的のこまかいことは、私ども承知しておりませんから、詳しい御批判を申し上げる段階でもございませんが、しかしこの住宅について、個人として住宅を持ちたいというのは、これはすべての人の希望でございます。それらを完全に、そうして安全に達成させるためには、どうしてもこうした一つ保証というものが必要になってくるのでございます。それらの意味におきまして、国家が特にこれに助成をしてこうした住宅融資に関する保険法を御設置になるということも、これも私は今日の政策御遂行の上に当然必要なことであると思うのでございます。ことに私自身が保険に関連いたしておりますものであります。生命保険ではありますけれでも、保険というもの本質から考えましても、こういう場合においての保証という立場から、保険でもって今日のこうした補いをなそうという御趣旨そのものは、非常に私どもも賛成する点でございます。  それから次のローコスト耐火建築ということでございます。これもこまかな技術的なことは、私どもも詳しく存じませんけれども日本建築そのものにつきまして、これは考えなければならないと思うのでございまして、従来木造建築が大部分でございますが、この一ヵ年間に火災によって損失をこうむる国の財産というものは、非常に莫大なものであることは皆様の御承知通りでございます。そういう点から考えましても、将来日本住宅建設というものが、木造からさらにこうした耐火建築に向っていくということは、非常に必要であると存ずるのでございます。それともう一つ、私はヨーロッパやアメリカ方面にも長い間おりました経験から申しましても、この木造建築について、火災を防止すること以外に、日本の現在の森林の状態を見ますときに、これらに要する木材は莫大なものであると存じます。私どもが汽車に乗って、たとえば東京から九州方面に参りますにいたしましても、東海道線なり山陽線の窓から見ましても、おそらくかつては青々と森林が茂っていたであろうと思われます多くの山々が、今日はほとんど木が切られてしまって、はげ山にひとしいような状態を見ますときに、私がいつも考えることは、何とかこれらの森林を保護する方法考えなければならないのじゃないか。それについて、一番多くの木材を要するものは、家屋の建築であろうと推測いたしております。私はドイツに長い間おりましたが、これは皆さんの中でも、ドイツの実情等を御承知の方がおられると思いますが、ドイツが一八七〇年-七一年の普仏戦争によって、フランスと戦って勝利を得ました。そうしてアルサス・ローレンの土地を割譲させると同時に、五十億フランの償金を取ったのでございますが、その中でまず政府考えたのが、森林の造成ということであったそうでございます。今ドイツに参りますと、よくいわれるチューリンゲンの森を初めといたしまして、山野至るところに森が非常に多いのでございます。ところが、これがみな普仏戦争以後のビスマークの政策によりまして、まずそういう方面からということで森林が作られたということでございます。それが今日のドイツの非常な富源の一つにもなっていると思います。それから私どもが老人から聞いた話でございますが、この普仏戦争以前におきましては、ドイツにおきましても木造建築がほとんど大部分であったそうであります。ちょうど日本状態とよく似ておったらしいのでありますが、それがあの普仏戦争以後、耐火建築が非常にふえまして、今日の状態になったということも聞いております。それらの点から申しましても、まず第一に火災の予防ということ、それから森林を守るという点から、私は将来日本の建築というものは耐火建築に向うべきではないかということを、かねてから考えておったのでございます。こうして今度の政府の御施策として、できるだけ低いコストをもって耐火建築を御建設になるということは、私はこれは非常に望ましい、けっこうなお考えであると存ずるのでございます。  それから、その次の簡易アパートの問題でございますが、これも私は大へん必要なことであろうと思います。今日の文化生活をなす上において、どういたしましても、アパートの需要はますますふえてくると思うのでございます。これは家族持ち、ことに独身の方等につきましても、アパートの需要はますます増加してくる傾向にある、また将来一層それがふえるであろうと考えられるのであります。それらの点から申しましても、簡易アパートの増設ということは、当然私は望ましいことであると考えております。  それから特別償却割合増加についてでございますが、この問題につきましても、私自身まだ特別償却をどの点におきめになろうという御趣旨か、まだ具体的のことを存じません。従いまして、これもこまかな意見を申し述べることはできませんが、しかし特別償却割合増加していただくということは、これは一層今後の住宅建築に対する国民大衆の意欲を増していくという意味において、私はけっこうなことであると存ずるのでございます。  それから次の既設家屋増改築に対する融資の問題でございます。これも、これから新しく建設をすることに対して、いろいろ国家が保護的な施策をやられるということは、非常にけっこうなことでございますが、それと同時に、公平の観念から申しましても、既設の家屋増改築に対して、国家がさらにこれに対するいろいろな補助等を行いますと同時に、また民間等に対しても、そういう面についての協力を御要請になるということ、これも私は適切なる施策だと考えるものでございます。  それから住宅金融公庫融資率の低下の問題でございます。これも私はよく内容を存じませんから、とやかくの批判をするだけの資格はございませんが、大体必要なことであろうと存ずるのでございます。  大体この質問の要綱としてお示しいただきましたことについては、不十分ではございますが、私の所見を申し述べさしていただいたのでございます。  なお全般的な問題といたしまして、この住宅建設促進に対しましては、先刻杉本参考人からもお話になりましたように、公営または公庫方面からも、従来いろいろ御努力が行われておったのでございます。それに今般、公団による住宅建設されるということになって参りました。私かねてから考えておりますが、この住宅建設について、まず社会政策的な意味から考えられる場合においては、たとえば公営住宅とかあるいは公庫の住宅等の面において、特に公営住宅の面においてそうでありますが、なるべく安い家賃で、そうしてなるべく多くの人々がこれに入り得るような住宅の建築、これがことに戦後におけるわが国の現段階において最も必要なことであると思うのでございます。それに対しましては、今まで皆様方にいろいろ御尽力をしていただきました。さらに公庫でもいろいろ御苦心になっておりますが、やはり今までの公営とか公庫の住宅というものは、抽せんでもってそれが当るということになっております。そうなって参りますと、ここに私ども考えたいと存じますことは、抽せんによって住宅が手に入るということになりますれば、たとえば隣にはどういう人が住んでおるかわからない、あるいはまったく知らないような人々と、そこに一緒に生活をしなければならない。これが借家でありますならば、隣の人々があまり自分たちの望ましい人でなければ、他に引っ越すということもできますが、一旦それが自分の家になった以上は、いつまでも同じで、何と申しますか、共同生活についても望ましくないような人々とでも、やはり一緒に何十年の間、将来長く生活していかなければならない。これは理論的には、とやかく批判もございましょうが、実際問題として、そういう生活をやって行くということは、相当苦痛ではなかろうか。みんなが非常に安らかな家庭生活をしていこうという希望を持っているのに、そういった不安な、あるいは望ましくないような雰囲気のもとにいることは、耐え切れないのではないかと思うのです。それらに対しまして、今回、たとえば公団住宅なんかという御計画もありますが、やはり個人個人が、自分たちの希望によって、ある程度住宅を持ち得るような方法をとっていただくということ、そうして自由意思によってそういうものがきめられて、そうして町とか部落というものが、理想的に建設できるというふうになって参りますれば、これが住宅政策として一番理想的ではないかと私は思うのでございます。そういう点から申しましても、それに対しましては、当然非常な資金を必要といたします。財政資金をそれらに御融資になりますことが必要でありますと同時に、民間金融機関等もこれらに協力していくということが、当然必要であると存ずるのでございます。それに対しましては、私ども生命保険協会を代表した立場において考えますと、今回の政府の申し入れに対しまして、四十億御融資をすることに決定いたしたのでございますが、将来直接私どもが国家の御要請に応ずるということだけでなくして、さらに保険会社等は、特に長期資金を最も大きな財源といたしております関係上、一般の金融機関等でできないような方面に御協力を申し上げるということが、非常に必要なことだと思います。  皆様御承知でございましょうが、たとえばアメリカ等を見ましても、あのニューヨークの昔スラム街と言われましたところに、今りっぱなアパートができて、住宅区域になっております。またシカゴとかサンフランシスコ、ロスアンゼルス、こうしたアメリカ等におきましても、大都会の住宅建設、ことに今まで貧民窟と言われたようなところが、今では見違えるようにりっぱな住宅区域になっている。ところが、そうしたものは多くは生命保険会社建設をやっておるようでございます。たとえばメトロポリタン生命保険会社とかプルーデンシタル、そういうふうな会社がそういう方面に努力をいたしておるようでございます。  それからドイツ等の実情を見ましても、あちらから私どもの知り合いの会社の重役等がたびたび見えたとき実情を聞いてみますと、ドイツにおいても、御承知通り日本と同じように戦後は非常に困難な状態にあったのでありますが、あの廃墟の中から、今日ドイツの産業は非常に勃興いたしております。これらの産業資金源は、どこに求められているかということでございます。これは一部財政資金からも出ておりますが、生命保険会社長期資金が非常に活用されているそうでございます。それと同時に、この生命保険会社長期資金は、破壊されたドイツの都市の復興資金個人住宅建設資金等にも非常に使われておるということを聞いております。  アメリカの実情等を見てみますと、アメリカの生命保険会社の一九五三年の資金総額は七百八十五億三千三百万ドルでございますが、そのうち不動産投資は二・六%で、二十億二千万ドルでございます。不動産抵当貸付金は総資産の二九・七%で、二百三十三億二千二百万ドル生命保険会社不動産抵当貸付金として投資をしているわけでございます。ドイツの実情を見ますと、これは一九五一年の資料が一番新しいのでございますが、それを見てみますと、総資産、この中には実は衡平化請求権というものがございまして、例の通貨の改革により債権処理に関して一種の補償公債が金融機関生命保険会社等に渡されておりますが、それが全資産の半分くらいになっておりまして、それを含めました総資産が大体三十二億九千八百万ドイツマルクになっております。その中で、今申し上げました衡平化請求権というのが十七億九千九百万ドイツマルクでございますが、これを含めました総資産から申しますと、不動産投資が八%で、抵当貸付金が一七・一%になっております。今の衡平化請求権というのを除きまして、普通の純粋の生命保険会社の現在持っておる資産、それを見ますと、不動産が一一・五%でございまして、それから不動産抵当貸付金が三七・八%になっておるくらいでございます。  もっとも、アメリカにおきましても、ドイツにおきましても、生命保険会社資産運用の方法は、日本とだいぶ違っております。たとえば日本は、生命保険会社資産の中で、長期資金産業資金として供給する面が非常に多くて、有価証券、株式の所有等が割合多いのでありますが、アメリカやドイツ等におきましては、生命保険会社の株式所有は、あまり多くありません。それらのものが他に振り向けられておるせいではございますが、しかし、生命保険会社長期資金を持っておるという立場から、この不動産抵当貸付とか、いわゆる建築、住宅政策等に関連を持つ投資方法が、非常に行われておるのでございます。  日本のごく最近の実情を、二月末日現在で見てみますと、生命保険会社の総資産が千三百五十二億一千三百五十五万くらいになっておりますが、その中で不動産抵当貸付は九十七億四千万ばかりでありまして、割合は総資産の七・二%になっております。それから不動産の保有は、現在百六十九億七千百三十三万円余りでございまして、これは一二・六%になっております。ただ、わが国生命保険会社資産の運用につきましては、御承知通り保険業法というのがございまして、この保険業法でもって、何割以上は投資していけない、どういう方面にはどれだけ以上は投資していけないというふうな、非常に厳重な規定がしてございます。たとえば、株式の所有は総資産の十分の三以上は禁止する、不動産の所有は十分の二以上はいけない、そのほか貸付等に関しましては、いろいろこまかな規定がございますので、アメリカとかドイツなどの各国のように、自由な投資はできないのでございますが、しかし、今後だんだん資金増加して参りますれば、この国家の政策等について、一層御協力を申し上げるように、私ども進んで参りたいと存じておる次第でございます。  先刻来、たびたび保険会社の困難な状態を申し上げましたが、戦前におきましては、民同生命保険資金は、全金融機関の一割一分くらいを占めておりました。たとえば昭和十二年、ちょうど支那事変が起りました当時は、全金融機関――これは銀行信託会社、それから預金部資金等も入れまして、大体二百八十五億円あったのでございます。その中で銀行が大体百五十八億円で、生命保険会社が三十二億円でございました。割合から申しますと、全金融機関資金総量のうち、銀行が大体五三%を占めておって、生命保険会社が一一%を占めておったのでございます。それが、今回の戦争によって非常に衝撃を受けまして、ただいまでは、本年の二月末日に、日本銀行の御発表等を見ますと、金融機関――これは預金部資金等も入っておりますが、それらを加えますと、大体五兆五千百九十八億円余りでございます。その中で、銀行資金が三兆二百四十六億円余りでございまして、生命保険が千三百十八億円余りであります。割合から申しますと、全金融機関の総量に対して、銀行預金は五四・四%を占めております。生命保険資金は二・四%でございます。これで見ますと、戦前に比べまして民間生命保険資金の実質的な価値がちょうど五分の一に落ちている。かつては全金融機関の一割一分を占めておりましたのが、今日では二分四厘というふうに下っておるのでございます。  それで、私どもは始終思うのでございますが、決して私は我田引水で申し上げるのではないのでございますけれども、今民間の生保資金が戦前と同じような割合で進んで参っておりますならば、今日六千五百億円の生保資金があってしかるべきだと思います。もし、この六千五百億円の民間資金がございますれば、これを全部いわゆる長期産業資金に振り向けることができるのでございます。そうなって参りますれば、今日、あるいは政界財界各方面で要請されておりまする外資の導入など必要がなくなって、そうして日本産業資金もこれで充当できるし、今国家の住宅政策等に必要な長期資金も、もっと私どもは御協力申し上げることができると思うのでございます。ところが実際は戦前に比較いたしまして五分の一くらいの実力しかないというような現状になっております。それで、何とかしてこれを一日も早く戦前に復帰するようにわれわれも努力いたしまして、また西ドイツ等は、政府がこれら長期資金の育成に税制上等においても御援助があるようでございますが、一日も早く戦前に復帰するようにして、そうして国家の施策国民経済全体にも役に立ち得るように努力したい、こういうふうに考えておる次第でございます。  なお、今回の住宅政策について、民間生保の融資は、おそらく今度限りではないと思います。今後にも問題が起ってくると思いますが、私どもといたしましては、でき得る限りまずわれわれの資金を作って、国家の御要請にも応じ得るように努めたい、こういう気持でおるのでございます。  まことにとりとめのないことでございますが、私のつまらない考え方でありましたけれども、御聴取くださいましたことをありがたく感謝いたす次第でございます。
  6. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員長代理 次に、大阪市建築局長伊東五郎君にお願いいたします。
  7. 伊東五郎

    ○伊東参考人 伊東でございます。政府住宅建設促進対策につきまして、委員長のお言葉もございましたから、率直な意見を申し上げたいと思います。  私、御承知の方もありましょうが、住宅問題には長らく関係しておりましたし、現在も公共団体でその方を直接やっておりますので、なるべく具体的な事柄、詳細な点につきまして申し上げてみたいと思います。時間の関係もありますので、けっこうな点につきましては全部省略いたしまして、問題となる点、どうかと思われる点だけを申し上げたいと思います。今度の促進対策に対して決して反対ではないのでございまして、全体非常にけっこうだと思います。特に資金を非常に増加されましたこと、戸数を増加されましたこと、また対策が非常に多角的に立体的になっております。こういう点につきましては、非常にけっこうだと思っておりますが、一々それを申し上げていると時間がございませんので、問題となります点だけについて申し上げたいと思います。  まず予算面で、それも予算書を見ておるわけではございません、建設省から大体伺っておるところに基いて申し上げるのでありますが、四十二万戸のうちで、特に公営住宅の五万戸、公庫の関係の四万五千戸、それから新しく設立されます公団の二万戸、計十一万五千戸、これは前年これに相当するものが九万戸でございまして、二万五千戸ふえておるのでございますが、この内容につきまして、これが非常に重要な問題じゃないかと思うのでございます。  大体家賃とかあるいは建設費などで示されます、どういう階層のものを対象にした住宅になるか、それがどのくらいの割合になっておるか、こういう点でございます。一番負担力のある階層対象としたものが、金融公庫の個人融資とか分譲とか、つまり自分で家を持つ、ある程度の金を自分で調達して、その他は借りて、そうして自分の家を持つという階層が一番上のわけでございます。それから今度できます公団建設、これは比較的高い階層をねらっておるというお話でございます。おそらく資金構成などから見まして、月四千円前後のものになるんじゃないかと思いますが、まあ比較的高い階層の者、それから従来あります公営住宅、御承知のようにこれに第一種、第二種とございまして、第一種の方が、大体東京あたり多少高いと思いますが、大阪あたりでとりますと、月の家賃が二千五百円前後でございます。私どもでやっておりますのは、木造の方が千四百円で鉄筋は二千六百円であります。まあ二千五百円前後でございます。それから第二種の方は、みな木造で家も小さいのですが、千円前後ということになっております。その建設割合でございますが、今回公団によって増加されます二万戸が、比較的高い階層のものにプラスされておるという点でございます。  大体、私ども調べておりますが、どのくらいの負担力があるか。月々の収入の中から、相当無理な家賃の負担をしておるようでございます。それについて総理府の統計局の家計調査報告を見てみますと、これは昭和三十年の二月現在でございますが、実収月額の階層別にそれが出ております。かりに月二万八千円と二万八千円以上と、こう分けてみますと――これは全国の都市の平均であります。二万八千円以上のものが約三割、それ以下のものが七割でございます。エンゲル係数もだんだんよくなって、下ってきておりますし――昭和二十三年にはこれが六三・四ぐらいだったのが、現在この二月で五〇・四になっておる。だんだんエンゲル係数も下っておりますし、家賃の負担力もだんだんできてきておる。生活にゆとりができてきておるということは言えますが、ただ、まだまだ戦前のところまでいっておりませんので、大体三万円以下の階層でありますと、一割ぐらいが限度じゃないかというふうに、いろいろございますけれども、大ざっぱな考え方はそんなものじゃないかというふうに思うのでございます。それで、この二万八千円以下の七割の階層というのが、最も住宅に困っておって、政府の力で建て増す住宅希望しておる階層と見られるのでございます。この程度の人でありますと、どうしても月の家賃が三千円以下、公営住宅の私どもやっております月二千五百円前後の家賃の家、これが非常に対象の幅が広い、熱望しておるクラスでございます。もちろん、それよりずっと収入の少い、第二種住宅の方も相当ございます。これも二割何分か、三割近いものがあるのでございますが、大ざっぱに分けましてそういうことになると思います。  今度公団政府機関を作られますのですが、それの家賃が相当高くなる。これは資金関係からそういうことになるわけでありますが、できることならば、この家賃公営住宅並みにしていただきたい。あるいは公営住宅の方へ――相当公営住宅家賃の調整をしていただくというようなこと、これは家賃だけを直すことはいけないですが、根本的ないろいろな点を直していって、資金的な構成を直して、そういうようにしていただくことが必要じゃないかと思うわけでございます。大体Aクラスと申しますか、二万八千円以上、三万円以上くらいのクラスに対する住宅は、大体在来の公庫の融資あるいは分譲あるいは公庫の資金を借りて、地方で住宅協会あたりがアパートを経営しておりますが、こういったもので十分じゃないか。これに加えるのは、公営住宅くらいの家賃のものを大幅に加えるならばもっといいんじゃないか、こういうふうに思うわけであります。  それから、いろいろこの委員会でも話が出ておると思うのでございますが、公営住宅とそれから公団事業のうちで、これはよく似たのが一般賃貸住宅でございますが一万戸あります。これは特に公共団体、公営住宅関係しておるわれわれから見ますと、非常に問題にしなければならぬと思います。現に各府県市などでも、相当これは意見があるわけでございますが、公営住宅のアパートの建設数が、三十年度は前年度に比較して非常に減っておるわけでございます。第一種住宅の三万二千七百戸のうちで、六千五百戸がアパートになっております。二割でございます。しかも十二坪のもの――十二坪のものと申しますのは、今まで四、五年やってきた型の二間のアパートでございますが、これが千四百戸、そのうちで内地の分が千戸でございます。全国で千戸しかないわけであります。これは大阪市だけでも二十九年度は千二百戸ほどの建設をやっておりますから、非常に公営アパートというものは減るということになります。これは全体から見まして、その減った分は公団が引き受けてやる。同じ大阪なら大阪、東京なら東京にやるということであろうと思います。ただ全体から見まして、そろばんは合っておるわけですが、ただ、やはり公営住宅、市営住宅、県営住宅というものを作りまして、そうして入居者の募集をするというような場合に、やはりいろいろな階層、家族の数本少い人多い人、比較的余裕のある人生活に余裕のない人、いろいろな人が申し込むのでございます。公団に対しても同様であります。それでこれは家族が多いから公団へ申し込む、少いからこれは公営住宅へ申し込む、あるいは収入が多いから、少いからということは、なかなかできないと思うのでございまして、公営住宅公団住宅も、ある程度バランスをとったもの、広いのも狭いのも、家賃の高いのも安いのも、高層のもの低層のもの、そういうバランスをとる必要がある。これは入居者の関係についてもそうでありますし、また用地の関係につきましても、一つの団地を開いていって、そこに住宅をたくさん建てていくという場合に、やはり大きいのも小さいのも、高いのも低いのも、その土地の地価にもよりましょう、周囲の環境にもよりましょうし、いろいろ何といいますか都市計画的にも即応して、あるいは入居者の階層にも即応しておるものをやっていかなければならない。こういうことから考えましても、公営住宅は六坪、八坪のものをやる、公団は十三坪のものをやる、公営住宅木造の平屋建て、そういうふうな分け方は適当でないと思います。これはいろいろな関係からいいまして、もう少しバランスをとって、あまり、何坪のものを何階建てのものを何戸やる、こういうようなことでなしに、十三坪もやれれば十坪もやれる、そういうような予算の立て方にしていただきたい。これはわれわれ関係者としては、特に希望したいのでございます。  今申し上げませんでしたが、六坪の簡易耐火アパートですか、それから八坪の中層簡易アパート、これが八千戸と五千戸、これは相当多数つくるようであります。先ほどお話も出ましたが、こういうものをかなりたくさんつくられるようでございますが、従来の経験からいいますと、アパートでは最小限九坪ぐらい、個別の住宅でありますと八坪ぐらいが、家族が住むにしては最小限じゃないかと思います。非常な例外はございますが、そう多数過小住宅をやるということは、住宅の数はふえましても、住宅対策としては後退する面が非常に多いのじゃないかと思うのでございます。公団の十三坪平均を十二坪にしてでも、その面の坪数を引上げるというようなことが必要になるのじゃないかと思うわけでございます。資金の面からいいましても、公団関係は一般賃貸住宅一万戸の建設に七十九億ぐらいの資金を投じるわけでございますが、公営住宅の力は一戸当り三十八万円くらいになると思います。これは地方負担分を入れましてそんなことになると思いますが、金の面から多少調整していきますと、そういう設計の自由も出てきますし、また入居者の実際の階層にマッチした運営もできるようになる、こういうふうに思うのでございます。  それから公団の実際の運営が、どうなりますか存じませんが、四階建てのアパートを何十万坪というところに集団的に建てる、そして一つの町を作っていく、こういうような構想かあるようであります。それはそれ自体としては、非常にけっこうなことでありますが、ただ、これを公営住宅と並べく考えてみますと、公営住宅の方は、むしろ市内の中心に近い方にやる場合が多うございます。特に市営などの場合は、そういうことになるわけでございます。その場合と公団の場合と比べままして、あるいは土地政策の面から見まして、矛盾するようなことになるのではないか。郊外の現在農村に近いようなところに高層なアパートが集団的にできて、町の中に平家などができるというような結果になりはしないか。これは実際の運営において、いろいろ注意しておやりになれば、ある程度は避けられると思いますが、大体そういうような傾向が出てくるのじゃないか、こう思うのでございまして、やはり先ほど申し上げた通り、その間の調整が必要ではないかと思うわけでございます。  それから、もう時間がございませんので、公庫の関係の予算につきまして、これも御意見が出ておることと思いますが、このお尋ねの中にもあります。十二坪の型のもの、これは在来もむろん貸付の対象になっておるわけですが、特に今度は予算に上げておりまして、十二坪の型のものは、個人と分譲と合せまして一万九千六百戸となっております。大体全体の貸付の六割が十二坪の型、こういうふうになっておるのでございます。これでございますが、二十九年度に京阪神で分譲をやった経験からみますと、十二坪の型の申し込みが非常に少いのでございます。大阪の支所で調べたものを見ますと、申込み件数が二千百八十六件で、十二坪のものは七件しか申し込みがない。十五坪以下、十八坪以下という、ここらが非常に多いので、八割がそうでございます。これはなるべく家の規模を小さくしまして、貸付の対象の戸数を多くしようということは、非常にけっこうでございますが、ただ自分の家を作る、貸家の場合と違いまして、自分の家を作るという場合には、どうせ借りるならば十五坪ぐらい――どうせ家族の多い人が多うございますし、そういうことになりがちなので、こういう結果が出ておると思います。これは京阪神だけでなく、ほかにもこういうことが言えるのじゃないかと思いますが、その点からいいますと、十二坪の型をよけいにするということは、少し実際の希望とは逆行しておるような感じがするのであります。  そのほか、単価も引き下げたり、融資率も幾らか下げたり、あるいは土地費の融資、これは若干あるようでございますけれども、十分でない。土地を買う費用の融資は、実際問題として十分ないことになるのじゃないかと思うのです。これらのことが今度改正される点でございますが、いずれも、結局は建てる人、金を金融公庫から借りる人の自己資金をふやす、頭金をふやすという結果になるのじゃないかと思います。ねらっておりますのは、なるべく庶民的なもの、こういうことでございますけれども、実際やってみますと、結局は相当資金を持った人で、そうして庶民的なものにはならずに頭金をふやす――頭金をふやすということは、生活余力のある人が対象になるという逆の結果になりはせぬかと思います。従来から住宅金融公庫が、非常に頭金が多くて、なかなか近寄りにくいということがずいぶん問題になっておったわけでございますので、今回これを逆にいたしますことは、戸数がふえてけっこうですが、逆の面の影響の方が、むしろ大きいのじゃないかということが心配されるわけであります。  それから、公団宅地造成百万坪やることになっておりますが、これは土地区画整理によってやる。そしてまた道路や何かに二割五分くらいの減歩をすると思います。また土地が値上りになりますから、それで換地費を取る。これも二割か二割五分か取って、地主が結局土地が半分くらいになって、そうしてそこに公団の土地が生み出せる、こういうようなことじゃないかと思うのでございますが、土地区画整理は、町の中の区画整理ほどではありませんが、山の中でもなかなか年数がかかりますし、急のことにはいかぬと思います。また近ごろいろいろ地主の要望が強うございますから、思ったように保有地が生み出せるかどうか、疑問があるのであります。非常にやっかいな仕事になりはせぬかと思います。私は率直に申し上げますと、むしろこれくらい資金がありましたならば、百万坪でなくても、土地を買ってしまう、そうして宅地を造成して分譲する、こういった、土地会社がやっておるような方法、これにはもちろん都市計画事業とするとか、単独施行の区画整理にするとか、そういうようなことは必要でございます。これはしかし事務的な問題でございまして、普通の地主を集めてやる組合の区画整理でなく、あらかじめ土地を買収しておいて単独施行するやり方の方が手っ取り早いのじゃないかと思いますが、詳しいことは私は政府の案を存じませんから、そういう感じを持つということだけを申し上げます。  時間になりましたから一応この程度で……。
  8. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員長代理 それでは御意見の開陳は一通りこれで終りました。これから参考人各位に対して各委員からの質疑を続けることにいたします。  参考人の各位に申し上げておきますが、委員諸君の言葉のうち、あるいはお気にさわる場合もないとは限りませんが、そういう点は御遠慮なくお考えのところをお答え願いたいと思います。通告順によって質疑を許します。石野久男君。
  9. 石野久男

    ○石野委員 二、三質問参考人にさしていただきます。杉本参考人にお尋ねいたしますが、御意見によりますと、公団の設置については、非常に御賛成のようでございますが、今までの住宅公庫法等に対する公団法の関係について、一言御意見をお聞きしたいのでございます。従来、公庫では、住宅対策施策として、この公庫法によっていろいろな措置をしてきました。ここで、公庫法があるのに、あえてこの公団法を作らずもがなというふうに感ずる面が多分にあるわけでございます。むしろ屋上屋を架すがごとき感がありますし、ただいま別に伊東参考人からのお話もありましたように、公庫法で企図しております趣旨が、この公団法を作ることと見合いであるかどうかわかりませんが、従来の意図を、だんだん抑えつけて公団法の方へ移行させようというふうに見える面もありまして、むしろ資金の使い方からいたしますと、ことさらにこの公団法を作らなくとも、公庫の資金の活用の面にもっと重点を置いたら、公団法で企図しておることは十分に達成できるのじゃないかというふうな考え方を持つのでございますが、そういう点について、参考人の御意見はどうでありますか。
  10. 杉本正幸

    杉本参考人 ごもっともなお尋ねと思います。私、考えますに、それは住宅公庫公団との業務の本質的な差異だと思うのでございます。公庫の方は純然たる金融機関であるべきものだ、公団の方は住宅建設宅地の造成等をやる、これは土建事業に属する。不動産金融機関たるものが、そういうような土建事業を兼ね行うということは、私は本質的に適当ではないんじゃないか。あくまで住宅公庫は、金融機関としてもっと業域を拡充されまして、増改築の方もやる。それから新しい住宅を建てるばかりでなく、もう少し既存のものにまでも金を貸すようなふうにはできないものか、そういうことです。公団の方は、あくまでも実際の土建事業をやって、直接たる住宅供給機関であり、公庫の方はそれを助成する金融機関である、こういう工合に本質的に分けた方がいいんじゃないかと考えております。
  11. 石野久男

    ○石野委員 重ねてお尋ねいたしますが、公庫法で住宅の造成をするのに、思うようにいかないという一番の難点は、どういうところにあるとお考えになっておられますか。
  12. 杉本正幸

    杉本参考人 私は公庫の実情をよく承知しておりませんけれども、公庫の性質としまして、そういうことはあまり手を広げられぬ方がいい、もう少し貸す方に専門にされた方がいい。そうして個々のものにもっと貸付をされて、その金融の方面において住宅の増設をはかられた方がいいと思うのです。
  13. 石野久男

    ○石野委員 杉本参考人のお考えは、公庫というのは、いわゆる純然たる金融機関として成り立つべきだというお考えのようでございますけれども、少くとも政府機関として一つの公庫がある以上は、それは純然たる民間金融機関とは違うのだと私たちは思うのでございます。これは一つ政策を持った金融をなさる、むしろ金融機関というよりも、政策が重点であればこそ、公庫法というものはできているのだ、こういうふうに見ているのでございまして、公庫が純然たる金融機関であれば、民間金融機関でいいじゃないかというふうに思うのでありますけれども参考人はその点はどういうふうにお考えになっておりますか。
  14. 杉本正幸

    杉本参考人 ごもっともの次第であります。私が申し上げましたのも、純然たる民間金融機関ではございませんので、公庫法にありますように、民間金融機関では貸すことを困難とする住宅資金を貸すのでありまして、全く公共的な金融をやるべき機関、さように心得ております。
  15. 久野忠治

    ○久野委員 杉本さんにちょっとお尋ねいたしたいのですが、私はおくれて参りましたので前段をお伺いしなかったのですが、あなたの御意見は、住宅対策審議会の全体の意見としてきょうは申し述べておられるのか、あなた個人意見で言っておられるのか、それをはっきりしておいていただきたいと思うのであります。それは、なぜかと申しますと、昨日建設大臣の御意向によりますと、今回の住宅建設は、鳩山内閣の重要政策一つである、しかも、それはすべて住宅対策審議会等を通じて意見が具申せられて、それをもとにして私たちは立案したものである、こういうような意見の開陳があったのであります。さような点から考えますと、先ほど来あなたが御発言なさっておいでになりますことは、個人としての意見であるか、あるいは審議会全体としてのまとまった御意見てあるかということを伺っておかないと、あとでまたいろいろ問題点も起きて来ようかと思いますので、まずその点をはっきりしておいていただきたい思います。
  16. 杉本正幸

    杉本参考人 ごもっともな次第でございまして、私もそのことを希望いたします。  私は、本日は対策審議会を代表して参っておるのではございません、個人として参っておるのであります。
  17. 石野久男

    ○石野委員 これは別に論争するわけでもなんでもございませんが、私ども、公庫法でいろいろな家を建てて行こうとする趣旨がなかなかうまくいかないというのには、もちろん公庫に与えておる資金も不足しておる面もあると思いますけれども、その公庫法の資金貸付に当ってのいろいろな国のきめ方の中に、それを需要する人々が使い切れないという面が多分にあるのではなかろうか。それで、先ほど伊東参考人も言われましたように、頭金が非常にかかるものだから、せっかくその選に当っても十分にそれを使いこなすことができないというような面などがある、こう見ておるわけです。むしろそういう面に力を入れてやれば、困っている者がどんどんと家を作れるようになるのではないか、こういうように考えておるわけでございますけれども、そういうような考え方は、参考人立場から見ると間違っておるのであるかどうか。
  18. 杉本正幸

    杉本参考人 いや、決して間違っておるとは申しませんが、そういうことの必要は、私は公団法の方でできるのではないか。政府資金ばかりにたよっておりますと、資金のまとまって来るのが少うございますから、今度できます公団では、地方公共団体民間資金も入れまして、しかも、それは公営住宅の方は、補助金は出たら出っぱなしでございますが、こちらの方は政府資金も回転する。これが私は公営公団の本質的の差だろうと思う。それから公庫にいたしますと、そういう今おっしゃったような点がありますから、その点を調整するためには、公団の方は個々勤労者の雇い主の協力も求める、そうして公団が建てましたものを、その必要によりまして一まとめにして会社が買いまして、そうして会社も若干の犠牲を払って従業員に安い月賦金で売ってやる。そうしますと、公庫の方で貸しますのと両々相待って住宅建設ができるのではないかと考えております。
  19. 石野久男

    ○石野委員 公団に賛成される御意見はよくわかるのであります。そのことが、同時に公庫法のこれからをどういうふうに見て行くかという問題とからむように思うわけであります。ことに、今度の住宅資金の配分の仕方について見ますと、公庫に対するウエートを漸減されて行くんじゃないかというような傾向をわれわれは見ておるわけであります。そういうような意図が政府にあると、私たちは見ておるのですけれども、そういう考え方については、審議会の委員としてのあなたは、どういうお考えを持っておられるのか。
  20. 杉本正幸

    杉本参考人 それは私委員個人としてでありますけれども、私はその点、政府がどう考えておるかということは確かめたことはございませんけれども、やはり私は住宅公庫の方の資金をこれ以上拡充しまして、この方面もやるんだ、金融的な活動によって住宅増加をはかる、片一方は直接建設省方面でやる、この両々相待って効果が上るものと考えております。
  21. 石野久男

    ○石野委員 参考人は、融資率が引き下げられていることは非常に遺憾であるというようなことを述べられておりました。このことは、一方では公団法を設置しまして、どんどん家を建てる意図を積極的に出されておるし、片一方では公庫法におけるところの融資率を下げられるとかなんとかいうような関係から、むしろ積極的な意欲をそいで行く傾向があるのじゃないかと思います。こういう点について、融資率については、むしろ現行の融資率を引き上げなければならぬというような積極的な意見参考人はお持ちになっておられるかどうか、お聞かせ願いたい。
  22. 杉本正幸

    杉本参考人 ただいまのことにつきましては、私はもっと融資率を広げていただきたいということをかねて言っておりました。それを期待しておったわけでありますが、財政上の都合でそうなったのは遺憾ですけれども……。
  23. 石野久男

    ○石野委員 融資率引き上げについての個人考え方としての杉本参考人の現在のお考えでは、その率は今どの辺のところまでが上げるべき適当な線だとお思いになっておりますか。
  24. 杉本正幸

    杉本参考人 それは財政上の何がありましょうが、ただ金融的方面から言えば、少くとも下げずに、従来通りには置いておかれることがいいと思います。
  25. 石野久男

    ○石野委員 増改築の問題について、これは要求が非常に大きいということをおっしゃられております。私たちもそう思うのです。ただしかし、今度の四十二万戸の政府公約を実行するために、政府では増改築というものを四十二万戸の中の一戸当りの件数に計算をしておるわけです。こういう計算の仕方が果して妥当であるかどうかということについて、参考人としてはどうお考えになっておるか、一つお聞かせ願いたい。特に増改築につきましては、大体貸付金額は七万五千円ぐらいというところに押えておるわけであります。七万五千円というと、坪当りにいたしましても二坪ぐらい、その倍にしても四坪ぐらいということになると、一戸としての家の単位にならないとわれわれは思うわけでありますが、それは専門的な立場として、審議会委員としての杉本さんあたりは、どういうふうにお考えになっておられるか、御意見を伺いたい。
  26. 杉本正幸

    杉本参考人 それは非常にむずかしいお話でございますが、私は四十二万戸が新築であるかどうか。新築とせば、もちろん増改築は入らないわけですが、住宅の収容力を増すという点から言いますと、やはり増築も入っていいんじゃないか。それからもう一つ住宅不足の数の中に、老朽住宅で、取りこわして建てかえなければならぬのが百十六万戸、そのほか、住宅調査によりますと、要修理戸数が百九十五万戸だかあります。この改築はやはりやっておかなければならぬと思います。これはぜひやらなければならぬ。それをやって、十五万ぐらいあればできはしないか。その半額の融資をされるのではないかと、確かめてはみませんけれども、七万五千というのは、そういうところで出たのではないかと思います。そういう意味改築なら、今日の場合四十二万戸に入れてもさほど悪くもないんじゃないか、あまりいいことではないが、そう思います。
  27. 二階堂進

    ○二階堂委員 関連して。私は昨日もこの件につきまして、大臣にお尋ねいたしたのであります。これは大体増改築というのが三万五千戸ぐらい入っておるのですが、これはやはり鳩山内閣が四十二万戸という宣伝をした建前から、増改築を含めて無理やりに四十二万戸にした、そこに非常に無理があるということを申し上げたのですが、一戸という観念が、ただ家を作るということにすぎないのではないか。一戸という観念からいたしますなら、台所も作るべきだ、便所も作るべきだ、そういうものがないものを一戸と考えることは、どうも私ども納得がいかぬ、これは非常にインチキだと昨日も私は申し上げた。こういうことはもっと良心的に、四十二万戸のうち三万五千戸と言わずに、室というふうに言った方がいいじゃないか。これをもって国民はだまされておるのだから、そういうことはもっと良心的にはっきり言った方がいいじゃないかということを申し上げたのですが、どうも審議会会長は、竹山大臣からこう言ってこいと頼まれたのかどうかわかりませんが、私どもは家というなら、便所もついた、台所もついた、こういうものがだれでもが承知のできるものだと思う。ところが部屋だけを作ってこれを一戸だとは、たれが考えても、常識的に考えて納得ができぬ、そう私は考えております。今のお話を承わると、そういうふうに考えてもいいんじゃないかというお話ですけれども、これは四十二万戸のうちから、増改築の三万何千戸というものを差し引いてもらいたい。そうしてはっきり戸数を出してもらいたいということを昨日申し上げたのですが、どうなんでしょうか。
  28. 杉本正幸

    杉本参考人 よくわかりました。私、何も大臣から頼まれたわけではございません。それはさきに申し上げましたように、昨日の三時に電話がありましたが、私、他の業務上の仕事で飛んで歩いておって、頼まれようにも、打ち合わせようにもひまがないのであります。決してそういうわけではないのでありますから、御了承願います。私は何も四十二万戸を弁護するわけでもなんでもない。だけれども、増築も一戸、改築も一戸という考え方は、それを四十二万戸に入れることがいいか悪いかは、その点何とも申しませんが、それは一戸としてもいいのではないかと思います。
  29. 石野久男

    ○石野委員 いろいろ考え方があろうと思いますけれども、ただこの点をちょっとお聞きしておきたいのです。増築という問題は、家に困っている人が対象になっておるとお考えになりますか。むしろ、やはり現在家を持っておる方は、もちろん部屋が足りないで困っているという場合もあるけれども、いわゆる家を持たないで困っている人の対象にはならないだろうと私は考えている。そういう点について、杉本さんはどういうふうにお考えになりますか。
  30. 杉本正幸

    杉本参考人 ごもっともな次第でありまして、私どもも、どうも今の家族には狭過ぎるから、離れをこしらえようとか、八畳をつけようというようなぜいたくな方面を助成されることは希望いたしません。急に嫁を取るとか、赤ん坊ができるので、どうしても今のじゃ住みにくいので増築しなければならぬというのが、私の友人にも大ぜいございます。そういうものを増築したら、ほかの八件、六坪くらいのものに当るものを一戸としていいのではないかと考えます。
  31. 石野久男

    ○石野委員 いろいろ意見の相違もあると思いますから……。  次に、野口参考人にお尋ねしたいと思いますが、今度の公団への四十億の出資について、いろいろと生命保険協会の方にも問題があったけれども政府に積極的な協力をするという意味でお引き受けしましたというお話でございました。この四十億の住宅公団への出資を引き受けることによって、先ほどちょっとお話の中にもうかがわれたのでありますが、産業資金等におけるところの資金融通の問題等に、どういうような影響が出て来るのだろうかということを、われわれは一応心配するわけでございます。その問題については、ほんとうに政府協力することで簡単に解決するんだという事情なのか、それとも、今日の逼迫しておる情勢が、相当やはり他の面に影響が出てくるのではないかと思いますが、その点を率直に一つお話を願いたい。
  32. 野口正造

    野口参考人 ただいま御質問を受けました点は、私どももむしろありのままを申し上げたいと思っておった次第でございます。それで、今ちょうど生命保険会社民間資金の総量が、二月末の実情を見ますと、正確な数字で申し上げますと千三百五十二億一千三百五十五万余でございます。その中で、ただいま貸付金が全体の五一・六%を占めておりまして、その貸付金の中には、ただいまお話がございましたように、不動産抵当貸付金のほかに財産抵当貸付金、無担保貸付金、そういうものがあります。それからそのほかに有価証券、この有価証券が総資産の三〇%を占めております。その内訳を申しますと、国債が〇・一%、信託証券が〇・二%、地方債が〇・一%でございます。社債が二・八%、株式が二六・五%という状態であります。それからその他が〇・二%、不動産投資が一二・六%、預金等が一・九%ということになっておりますが、この中で、ただいま御質問になりましたように、貸付金と有価証券、特に株式の問題、これが今産業資金として、御承知通り非常に銀行からの長期の貸付なども思うように参りませんし、従って生命保険資金総量が戦前の五分の一の割合しかないとは申しましけれども、ほとんど殺到して参っておりまして、もうすでに私どもの方は四十億の御融資を申し上げるということを決定いたしました。財務当局の考えでは、本年度の増加資産の大体五%くらいが適当ではないか、そしてあとのものは今のような重要産業方面への資金投資にしないと、産業資金が非常に枯渇しておる状態のところに、それに影響を及ぼすのではないかということが財務当局の専門家の意見でございます。本年度の私どもの純増加資産をどのくらい見積ったらよかろうか。これは問題でございますが、大体四百億ないし四百五十億の純増加資産があるだろうと予定しております。そうしますと、その五%といたしますと二十億くらいが適切なる今度の融資対象じゃなかろうか。そうしないと、ほかの産業資金面等に非常に制約を与えることがあってはいけないという専門家の考えでございます。ところがこれに対しまして、ただいまお話のように、私どもの方に、今共同融資として、たとえば電力とか鉄鋼関係とか、造船、繊維そのほかから申し出がありますが、すでに二百億近くの融資の申し出がございまして、もう大きな会社などは、明年の三月までの貸付金の資金計画のワク一ぱいになっておるというような状態でございます。それなのに、今無理して四十億引き受けるというようなことほどうかという御心配のお言葉、非常に私どももありがたいと思っておるのでございます。それで、私どもは、どうしてもこれには資金全体を増すような方法考えなければならない。それでただいま、実はこれと決して天びんにかけておるわけではございませんが、税制改正の面で、すでに契約者優遇の措置、契約者の所得税控除の面の限度引上げを、実は昨年から陳情しておるわけであります。ただ御承知通り、昨年の国会でようやく契約者一人について、所得控除が一万二千円までとなっておりますが、それを少くとも二万四千円、それから相続税を一人当りに今五十万まで免除になっております。それを百万まで引上げていただきたいということを政府にお願いしておるのでございます。ところがこの問題は、この予算の関係、それから税収との関係で、なかなか困難な状態になっております。しかし、西ドイツでは先刻申しましたように、産業資金供給源として、第二次世界戦争が済みました直後において、国会方面、それから政府、財界方面、みんな協力いたしまして研究の結果、どうしても西ドイツの戦後においての経済復興、特に産業発展の資金源を作るためには、国民全体の協力による資本蓄積に待たなければならないが、いやしくも資本蓄積がされましても、その資本が不要不急の資金に使われる、あるいは不生産的な消費方面に随時勝手に引き出されるような蓄積の方法ではなくて、蓄積された資本が、長く個人の資本として残ると同時に、国家、国民全体のためにも、長く使い得るような資金蓄積の方法が一番望ましいということでございまして、そのために今西ドイツでは、生命保険の契約者を非常に優遇いたしております。たとえば、一つの家族で租税担当者、日本の家族で申しますと戸主に相当いたしますが、それが一人当り八百ドイツマルクの控除になります。八百ドイツマルクと申しますと、一ドイツマルクがちょうど日本の八十七円に相当いたしますから七万円近くになります。それから主人だけでございませんで、妻及び家族に対しましても、十八才未満の子供に対しましても所得控除がございます。それが一人当り四百ドイツマルクでございまして、日本の金にして三万円余りでございます。それでございますから、一つの家族で夫婦と子供三人ある家族でございますと、日本の金に換算いたしまして二十三万円払い込んだ保険料が所得から控除されることになっております。二十二、三万円の保険料と申しますと、保険金に逆算いたしますと、約五百万近くの契約金になるのでありますが、その程度まで所得控除があります。税金なしで保険がかけられるということになります。そのことは、ただ保険会社を国家が保護するという意味ではございませんで、それだけの保険ができますれば、それによる積立金、責任準備金がドイツの産業に一番必要な長期資金産業資金供給源になるというその建前から、西ドイツは非常に契約者を優遇いたしております。従いまして、戦前に生命保険料は、日本とドイツで世界第三位を争ったのでございますが、ちょうど第二次大戦直前にドイツが第三位日本が第四位になりましたが、戦後はドイツが十番くらいに下りました。それがもうすでにアメリカ、カナダ、イギリスに次いで西ドイツは第四位に復活いたしました。戦前の計算方式で、たとえばカナダをイギリス連邦の一つとして見れば、第三位に復活したような状態であります。日本も戦後十五、六位に下りましたが、今ようやく六位くらいに回復いたしております。そういうふうにいたしまして、先般来、私ども政府にも、西ドイツがやっておりますように契約者を優遇して、そうして保険の契約をできるだけ急速にふやすような方法をとっていけば、従って収入の方もふえて参ります。それと同時に、たとえば会社の経営の合理化と申しますか、それをいたしまして能率を上げるというようなこと、募集方面にももっと努力をいたしますし、それから保全の方にももっと努力をいたしまして、そうして第二回以後の収入保険料なんかの入る率もよくするようにして、なるべく資金をよけいに集める、一面また、今私どもがいろいろ税制改正等についても政府にお願いしております。いずれこれはまた国会の問題になることでございますが、皆さんにもお願い申し上げておるのでございます。そういうふうにして、一面においては保険が一層発達するようにして、資金が集まるような方法を講ずるとともに、他面においては国策協力する。しかしそれにつきましても、相当無理があると思います。相当の犠牲を、今度は払わなければならないと思いますけれども国策協力しよう、こういうふうにいたしております。一方でわれわれの方もなるべく努力いたしますし、そうして資金の方も一層ふやすように努力をいたしまして、かたわら今のような国策協力するという方法をとりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  33. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員長代理 石野君、参考人の方は午後の予定もあるそうでありますから、要点を簡単に一つ……。
  34. 石野久男

    ○石野委員 時間の関係があるそうですから、簡単でよろしゅうございますが、一つお願いいたします。そういうふうな事情のもとでありますと、当面すぐ今野口参考人のおっしゃるような希望条件が出るとも思われませんし、また財務当局が言うように、純増加の五%くらいを回した方がいいではないかということになれば、純増加利益金の四百億円というものが少くとも八百億円くらいにならなければ四十億円というものは出てこないわけになるのであります。従いまして、相当程度の御無理をなさって住宅に対する資金融資をなさいますれば、必ずどこかに産業資金面での困難性が出てくるということを一応われわれが考えても、これは決してむちゃな考えではないというふうに思いますが、そういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  35. 野口正造

    野口参考人 その点につきましては、最近新契約の状態等もだいぶ順調に進みつつございまして、先刻ちょっと申し上げました税制改正の問題なんかについても、一時はほとんど絶望状態になっておりましたけれども、大体一万五千円の程度までは、政府としては何かお考えになっていただくようなふうになっておるようでございます。そういうふうにして参りますれば、現在よりも契約の状態等ももっと順調に参ります。それから保全関係――保険会社は、御承知通り新契約ができるだけでなくて、第二回以後の保険料がよく入ってくることが非常に必要なことであります。それが一番大事であります。そういう方面について一生懸命になって各社も保全率の向上というようなことに努力をいたしております。今申し上げましたような点につきましては、なるべくほかにはそう犠牲をかけないでやり得るのではないかと思っております。今の御好意に対しては、非常にありがたく感謝いたす次第であります。
  36. 石野久男

    ○石野委員 伊東参考人に、もう一つだけお聞きいたします。単価だとか、あるいは融資率の切り下げ、または坪数を引き下げるというようなことなど、総体的に見て、それを使う人の自己資金をふやすような結果になっていき、頭金をふやしていく結果になってきて、庶民の対象にならないというような御意見を先ほどお述べになられたように私聞いたのでございますけれども、そうでございますか、もう一度参考人の御意見をお聞きしたいと思います。
  37. 伊東五郎

    ○伊東参考人 今お話の点は、その通りでございます。一般に、現在でも頭金がかなりかかって、利用の階層が狭いという批判があるのでありますから、できることなら、こういうことはせめて従来通りくらいにしていただきたい、こういうわけでございます。ただ金融公庫というものは、最初に申し上げましたように、政府住宅施策の中では一番アッパー・クラスをねらっておるものでありまして、庶民階層については、低家賃公営住宅のような形をとるのがいいと私は思います。やはり自分の家を持つということは、何としても一つの財産を持つということで、それには頭金を持たなければなりません。それはアッパー・クラスを対象としておると思いますので、そう金融公庫の方の負担を非常に軽くするという意見ではないのであります。
  38. 石野久男

    ○石野委員 庶民階層対象にする、いわゆる公営住宅貸家のようなものをつくる場合でも、一応住宅の坪数の最低限というものは、大体見通されると思いますけれども、独身じゃなしに、子供の二人くらい持っておる者では、大体どのくらいの住宅であれば今適当だというようにお考えになりますか。
  39. 伊東五郎

    ○伊東参考人 私は現在公営住宅でやっておりますくらいの規模が、現在の日本の民度なり国の経済力からいいましたならば、まず妥当なものじゃないかと思います。諸外国に比べますと、少し小さいのでございますが、これはある程度やむを得ないのじゃないかと思います。それは大体第三種住宅が八坪、それから第一種住宅が十坪、アパートになりますと共通部分がございますので大体十二坪でございます。これで六畳、四畳半くらいの二間程度のものです。八坪のものはもう少し小さい。それでも、小さいながら二間とれるわけでございまして、夫婦に子供がありましてもまず住める。これは母子住宅とか新婚者向きとか、今度の案にはいろいろございますけれども、結局は、やはり子供ができましょうし、いつまでも二人ではおりませんから、それくらいのものは必要じゃないかと思います。
  40. 石野久男

    ○石野委員 今、子供ができても八坪くらいというお話がありましたが、二十九年度の計画の中から見ますと、今度三十年度のところでは、公営住宅が八坪くらいの種類がたくさんにあるわけでございます。これは先ほど来四十万戸の政府公約もあるので、それを満たすための一つの方策だろうとも思うのでありますけれども、こういう住宅政策に重点を置いている建前からすると、逆行している感じを受ける。二十九年度のときには、災害住宅として八坪建てのもの、それから二種で八坪のものはあったけれども、一種のものにはなかった。これが今度は第一種として耐火簡易住宅ということになったわけでございますけれども、そういう問題について、建築局長としまして、現地でいろいろそういう問題を見ている立場からの率直なお考えとしては、むしろ逆行しているようにわれわれ見ますけれども、そういう点はどのようにお考えになりますでしょうか。
  41. 伊東五郎

    ○伊東参考人 これは先ほどもちょっと申し上げましたように、家族の少い人もおります。住宅に困っておる人の中には、夫婦きりの者もおりますし、子供の多い方もおりますから、それに応じて最小限八坪か九坪、それから十二坪、十三坪というようなものも必要で、いろいろバラエティがほしいと思います。外国なんかでは、そういう程度の多子家族向きというような部屋を多くとっているようなことをやっておりますが、そういうバラエティがほしいと思いますので、今度のこの計画を見ますと、かなり小さいものが多くなる、しかも何戸というふうにいろいろこまかくきめられておる、この点が、ちょっと実際にやるものとしては都合が悪いので、もう少しその土地々々に合った、実情に即した計画ができるように、幅のある予算をきめていただきたい。大きいのも小さいのも、いろいろ取りまぜてできるようにお願いしたいと思うわけであります。
  42. 石野久男

    ○石野委員 最後に、一つだけお三人の方にお聞きしたいのでありますが、住宅政策という住宅に対する一つ考え方といたしまして、いろいろ住宅対策を立てる上について、対策があるわけでございます。特に現に家がなくて困っている者の中でも、いわゆる親子ひっさげて浮浪しているような方がたくさんあるわけです。こういう人々に対する皆さんの住宅対策、どういうふうに処置すべきかということについてのお考えを、簡単でよろしいのでありますが、お聞かせいただいたら、非常にけっこうだと思います。
  43. 杉本正幸

    杉本参考人 家がなくて親子で困っておるという、その人の所得はどうでございますか。
  44. 石野久男

    ○石野委員 その中には、日雇いとかなんとかで食っている人もおると思うのですが、場合によれば、その日雇いにもあぶれてしまって、きわめて不定期な所得の人、そういう人です。
  45. 杉本正幸

    杉本参考人 そういう人に対しては、公営住宅のうちでも、最も安いのを供給しなければならぬと思います。そういうことが住宅難解消の焦点ではないかと思います。それらに対しましては、政府も出しっぱなしの補助金を出しまして、それによって建設費を引下げまして、最も安いものを供給しなければならぬと考えております。
  46. 野口正造

    野口参考人 私は、これは社会政策方法として、ある程度以下の、収入がなくて非常に困っているという人は、何か国家としてそういうものを国で収容するような寮とかアパートとかいうものを別にこしらえて、住宅政策という面と同時に、社会政策という立場から、そういうことは考えていくことが必要じゃないか。住宅政策としてとるべきいろいろな条件等が必要となってきますから、むしろ社会政策という面から、それは考えてみることが必要じゃなかろうか、こういうふうに考えております。
  47. 伊東五郎

    ○伊東参考人 私も同様に考えますが、社会政策の面からも考えなければいけないのじゃないかと思います。つまり公営住宅の第二種住宅がやや近いのでありますが、これでもなかなか家賃の負担ができないのであります。それには現在の公営住宅法に家貸減額の規定がございますが、減額の規定も適用する、その面は住宅政策というよりは、社会政策の面から見ていかなくちゃならぬ問題じゃないか。
  48. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員長代理 二階堂進君。  もう時間がありませんので、重複を避けて質問を願います。
  49. 二階堂進

    ○二階堂委員 時間がありませんので、簡単にお尋ねいたします。  いろいろ御意見を承わって、参考になったと考えますが、現在政府の方で考えられております住宅政策というものは、私ども考えからいたしますと、住宅政策の悪化というような、むしろいい方にいくのじゃなくして、悪いような面に向っているのじゃないかというような考えがいたすのでありますが、現在政府の方で考えられております住宅政策なるものはいいのか悪いのか。住宅政策の根本の問題でありますが、伊東さん、杉本さん、野口さんの結論的な御意見を承わってみたいと思います。  それからもう一つは、宅地造成の見通しです。これは公団等を作ったということは、宅地造成を促進するためだという御意見のように、野口さんの御意見にあったように伺っておるのでありますが、その宅地の見通しについて、どういうふうにお考えになっているか、この点伺いたい。
  50. 伊東五郎

    ○伊東参考人 今度の政府住宅政策が進んでいるのか退いているのか、そういう意味でありますか。――私は最初に申し上げました通り、従来の政策よりも一段と強化されたものと思っております。ただいろいろディテールにつきましては、せっかく資金を増されましても、実質的に住宅の戸数を増すために、住宅の質を下げるとかいろいろな点もございますが、そういう点が是正をされますと、もっとはっきりした進歩になるのじゃないかというふうに考えております。
  51. 杉本正幸

    杉本参考人 ただいまの問題につきまして、従来の内閣におかれましても、相当住宅政策には力を入れて下さっております。そうして、先ほども申し上げたああいうような法律もできまして、相当ふえておる。ところで今度は、今の住宅不足を十年間に解消しよう、そのために年々四十万戸から五十万戸に近い戸数を建てていこう、その点は私は進んでいると思います。  それから宅地の造成でございますが、あれは先ほども話が出ておりますが、なかなか容易なことではないです。だからこれはどうしても宅地の取得については、国権の発動が要るのじゃないか。土地所有権を尊重しておりますれば、どうしても土地は広く買えませんから、これは社会公共の福祉という観点から、国権を発動していただいて、なるべく適正な価格――安い価格で買いつぶす、損をかけてはいけませんが、適正な時価をもって買い上げるような方法を講じていただきたい。それから住宅が四十二万戸できる、五十万戸できると申しますと、もう今その気がまえで、今度は自分の買い置いたさら地が五年ぶりに上るぞ、うまいもうけになるぞというようなことに、投機を成功せしめないような方法を講じていただきたい。(「すでに成功しておりますよ」と呼ぶ者あり)やっているのですね。それですから、それをもっとこれから上げぬように何とかやっていただきたい。それには都市の中におきまして、未利用地、利用不完全なる土地があります。これの活用方法、それから郊外に新市街を作りますときには、これは正式な区画整理をやりますと、ずいぶん骨が折れますから、まとめて買いまして、個人区画整理をやる。それで宅地造成をやるというような方法個々に買いますと、だんだんせり上るのであります。個々に買うのはしばらく押えておきまして、そうして一括して買うというと、案外安く入りはしないかと考えております。
  52. 野口正造

    野口参考人 ただいまの御質問に対しまして、私といたしましては、今度の住宅政策については、現実の立案を見ましても、好むと好まざるとを問わず、今住宅が非常に不足しているというこの現実は、いなむことができないことでございまして、少しでも早くこれに対処しなければならない。それで、今の個々の問題について、方法いかんということを非常にこまかに検討して参りますと、いろいろな意見も出てくると思いますけれども、今度の政策全体として考えますときには、やはり今度の政策は進歩であったというふうに私は思っております。  それと、これも住宅問題全体についての考えでございますが、私どもの業界方面で、財務方面なんかの人にいろいろ意見を聞いてみますと、やはり現在の借地借家法の改正ということが非常に必要じゃないか。これがよくいかないと、住宅建設をする方におきましても、なかなか今のままでは困難な状態がある。それらのこともあわせて御考慮になっていただくことが、もっとこの住宅政策を合理的に進めていくための一つの要素ではないかと考えております。
  53. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員長代理 久野忠治君。
  54. 久野忠治

    ○久野委員 時間もございませんので、要約して二点だけお伺いをいたします。  野口参考人にお尋ねいたしたいのですが、先ほど来のお話を伺っておりますと、生命保険関係資金量が、産業投資その他もあるので非常に窮屈である、しかし政府からのたっての要望があったので、この際思い切って四十億の出資を承諾したんだ、こういうような御意見でございました。あまり喜ばしいことではないようなお話でございましたが、とにかく今回の政府住宅計画というものは、十ヵ年間を想定して立てられておるようでございますので、当然この生命保険関係から融資されるものも、十ヵ年をめどとして融資されるということにお話し合いがきまっておるかどうか、それをまずお伺いいたしておきたいと思います。
  55. 野口正造

    野口参考人 ただいまの問題につきましては、十ヵ年間に毎年今の程度融資するかどうかということは、そこまではまだ決定いたしておるわけじゃございません。しかし、それも先刻申し上げましたように、この目的そのものが非常に正しいものでございますれば、そうしてやはり生命保険会社の経営について、それが採算がとれていくという点で合いまするならば、将来資金がずっと潤沢になっていけばそれに応じていくことも可能ではないかと存じております。何と申しましても資金が――保険会社の経営の一番重要な要素は三つございまして、保険会社の経営の利益の源泉と申しますと、資金運用からくる利差益、それから死亡率の減による死差益、それから経費からくる費差益、この三つのバランスをとっていかぬと、生命保険会社の健全な経営はできない。ところが、終戦直後は、費差益の方も、資産運用の方の利益も、ほどんとございません。それから費差益の方は現在もなお費差損になっております。ことに戦後非常に物価が高くなり――生命保険は損害保険と違いまして、長期の契約でございますので、物価がいかに上りましても、保険料をそれに応じて引き上げるということができませんので、そういう点で収入に比して支出が非常に多くなる。事業費の面においては現在もなお費差損を見ております。ただ、死亡率の方は、戦後非常に国民の死亡率が改善されましたために、それは益が出ておる。それでもってカバーしていかなければなりませんので、今の資産運用の方式に、今後住宅政策に対する方式も合っていくということでありますれば、これはむしろほかの方に運用すると同様に、これに運用することも私は可能ではないかと、こういうふうに考えております。
  56. 久野忠治

    ○久野委員 さよういたしますと、今回の四十億の融資については、今年度限りということで、政府との間に話し合いを進めておいでになるわけですか。
  57. 野口正造

    野口参考人 その点は、そうはっきり本年限りというふうな条件をつけたわけではございませんけれども、将来もできる限り協力はしようというふうな含みを、はっきり約束したわけではございませんけれども投資対象として合っていくならば、将来できるだけこれに対応していき得る、こういうふうに考えております。その点はどうぞ……。
  58. 久野忠治

    ○久野委員 伊東参考人に一点だけお尋ねをいたしたいと思います。先ほど来問題となっております増改築三万五千戸ですかの問題ですが、実際の建設行政の末端においでになる伊東さんとして、この増改築の三万五千戸については、果して申し入れがあるかどうか、そういうようなことが現実に実行できるかどうか、見通しを一つ承わりたいと思います。
  59. 伊東五郎

    ○伊東参考人 増改築に七万五千円貸してやる。これの申し込みは実は相当あるのではないかと思います。ただ、その貸付方は、担保をとったり、いろいろ調査しましたり、非常に技術的にむずかしい点があるのではないかと思います。これはまだ公共団体の方は、お話がございませんから研究はいたしておりません。実は私も、どういうやり方でおやりになるか、伺いたいと思っております。
  60. 久野忠治

    ○久野委員 先般の説明によりますと、大体二分の一の貸付で、自己資金は七万五千円だといっておられます。そうしますと、この自己資金の七万五千円を捻出することが相当に困難ではなかろうかと思います。そういう事柄から、融資に対する申し込みが限定をされるのではなかろうか、こういうふうに私は思うのでございます。その点について、もう一度一つ……。
  61. 伊東五郎

    ○伊東参考人 これのやり方はよく知らないのです。増改築費が十五万円かかったものに七万五千円を貸そうというのですか、七万五千円かかったものにでも七万五千円貸せるのか、その点よく知らないのでございますが、二分の一というのは、大体のめどで十五万円ぐらいかかるだろうということで七万五千円が出てきた根拠じゃないかと思います。まあ七万五千円でできる場合もあると思います、一部屋ぐらいの建築でしたら。十五万円以上、それ以上に加えなければできない場合もあるでしょうし、いろいろだと思うのでございますが、この程度のものでもやり方によってはかなり申し込みがあるのじゃないかと思います。
  62. 中島巖

    ○中島(巖)委員 杉本参考人にお尋ねしますが、この総選挙の公約で、四十二万戸建設が非常に魅力があったわけですが、一般の大衆は、政府政策でもって、政府建設でもって四十二万戸建設するというように考えているように思われて、民間自己資金建設というような数字は、その中に入っておらぬような印象が非常に深いのですが、当時の杉本参考人のお考えはどんなお考えか。それからまた、一般大衆はどんなふうに考えておったかという杉本参考人のお考えだけをお聞きしたいのです。
  63. 杉本正幸

    杉本参考人 その点でございますが、世間がどういうぐあいに考えましたか、それは人さまざまでありますから、わかりませんけれども、私想像いたしますのに、全部が公営住宅でできる、公庫でできるとは思っておらなかったと思います。それから私は、これは民間に相当力を入れなければできないということは考えておりました。政府の力一方ではできない、民間の自力のものも相当やらなければならぬと考えておりました。
  64. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員長代理 参考人各位には、終始熱心に貴重なる御意見の発表をいただき、まことにありがとうございました。われわれも、この御意見を十分に生かしまして、国会におきまする審議によって国政に反映させる考えであります。長時間、まことにありがとうございました。  本日はこの程度にとどめ散会いたします。   午後一時三分散会