○
石破政府委員 住宅局
関係の
予算について御
説明申し上げたいと存じます。
昭和三十
年度建設省関係予算内訳書の二ページをお開き願います。住宅
関係の
予算は二ページの上の方の
行政部費というところに
住宅施設費ということで顔を出しております。さらにそれから下に参りまして、六番目の財政
出資というところにも出ております。さらにそれから下りまして、財政
融資というところにも出ております。なおこのほかに、地方公共団体
出資でありますとか、民間の資金というようなことを考えている点もあります。さらに
昭和三十
年度四十二万戸
建設したいというものについて、政府、公共団体等で
建設する分、また民間の自力
建設に期待する分、これに対する税制上等の措置、こういうものが方々に分れております
関係上、便宜これによらないで別にお
手元にお配りいたしております
昭和三十
年度住宅
対策実施要領というのによりまして一括して御
説明申し上げたいと存じます。
現在の住宅の不足戸数でありますが、正直に申しまして正確な
数字は持っておりません。しかし不完全ではありますが、過去の統計等をいろいろ総合いたしまして現在のところ約二百八十四万戸の住宅不足があると推定いたしております。さらに毎年恒常的に需要が
増加するものがあります。世帯の
増加によります分とか、
災害によって滅失する分等、こういうものがこれまたおおよそ二十五万戸
程度と推定いたしております。これを今後大体十年間くらいで解消しようとするために可今後の国民経済並びに財政の回復状況、こういう将来十年間のことを今日正確に予想することはできませんけれども、まず大体こういうものを考え合せまして、将来は何ぼがふえるであろうというようなところも考え合せまして、
昭和三十
年度には四十二万戸を
建設したい、こういうふうに考えております。そこで
昭和三十
年度に四十二万戸の住宅
建設をやろうといたしますと、二十九
年度の実績がこれまた正確にまだ結果がわかっておりませんけれども、大体三十一万戸
程度と考えておりますので、二十九
年度、三十
年度を
比較しますと十一万戸
程度は
増加しなければならない、こういうふうに考えておる次第であります。
そこで四十二万戸の内訳を今度の
予算、法律等を準備いたしますにつきまして、その内訳をこういうふうに考えております。まず公営住宅を五万戸、公庫扱いの住宅を七万五千戸、ただし、うち三万戸は増築等でございます。公団住宅は後ほど御
説明いたしますが、今回設立
予定の
日本住宅公団による住宅
建設を二万戸、その他の住宅三万戸、これは
建設省所管外のものでありますが、公務員住宅でありますとか、入植者住宅、厚生年金住宅等でございまして、これを三万戸と
予定いたしております。以上が、そこに「国の施策による」と書いてありますけれども、政府の金の入る住宅の
意味であります。これが十七万五千戸、こういうふうに相なるわけであります。その次の残りを民間の自力による
建設なり増改築等に期待しているわけであります。これが
合計いたしまして一十四万五千戸になるわけであります。そのうち新築の方が十一万戸、増改築等を一万五千戸期待いたしております。
以上申し上げました公営住宅、公庫住宅、公団住宅等の
建設戸数の内訳及び民間自力
建設促進のための措置については、以下御
説明申し上げたいと存じます。
第二表をお開き願いまして、
昭和三十
年度の住宅
対策費を、先ほど御
説明しましたのを横の
数字に直し、さらに大まかな
金額を入れたものがこれでございます。前
年度との
対比をつけております。
まず公営住宅でございますが、前
年度は四万八千六百七十六戸でございましたが、これを五万戸にいたしたい。前年の四万八千六百七十六戸にも、本年の五万戸にも、それぞれその前
年度に発生いたしました住宅
災害を
復旧するための分は含まれておりません。それからその次の公庫住宅でありますが、これは四万一千六百戸に対しまして、今回は七万五千戸
計画いたしております。うち三万戸は増築等でございます。公団住宅は新たに二万戸
予定いたしております。その他の住宅、これは三万戸、前
年度通りであります。以上
合計いたしまして、二十九
年度は十一万二百七十六戸でございましたが、今度は十七万五千戸
計画いたしております。なお
金額等につきましては、それぞれのところで御
説明申し上げたいと思いますが、ちょっとその表に誤りがありますので、お含みおき願いたいと思いますのは、その他の住宅は、財政資金なり、政府の低利資金なりがそれぞれ入ってきておるわけでありますけれども、全然ゼロではありませんけれども、
建設省所管でありませんので、この表を作ります際にはっきり私の方でつかめませんでした
関係上、空欄のままに残しておりますので、従いましてその小計の資金の欄は、これは実は
建設省所管の分だけだ、こういうふうに御了承をお願いいたします。
次に内訳を公営住宅、公庫住宅、こういう順を追って御
説明申し上げたいと存じますが、第三表をお開き願います。ここに公営住宅のことを記載いたしております。公営住宅と申しますのは、皆さんすでに御承知の通り、国が二分の一ないし三分の二の
補助をいたしまして、地方公共団体が低額所得者のために賃貸住宅を建てる、これがいわゆる公営住宅でございます。公共団体は都道
府県もしくは市町村でございます。
事業主体は都道
府県もしくは市町村でございます。この公営住宅と申しますのが、いわば政府の住宅
対策いろいろありますもののうち、所得から申しますと一番下の階層を対象といたしておる分でございます。公営住宅は
一般と二種とに分けておりまして、普通一種、二種と呼んでおりますが、この区分は、一種の方は、公営住宅がねらっております階層のうち
比較的高い方、二種の方が低い方、こういうふうになっております。そこに五万戸の内訳をいろいろ書いておりますが、まず構造別の欄をごらん願いますと、木造、簡易耐火の平屋建LCと申しますのは、
建設費の
比較的安いものという
意味でございます。簡易耐火と申しますのは普通の鉄筋の耐火構造ではなしに、ブロック建築でございますとか、とにかく耐火にはなっておりますが、簡易なものでございます。その次は平屋でございます。その次に簡易耐火のこれも平屋でございます。それからその次に簡易耐火の二階建、それから特殊耐火、今年はこれはありませんが、それからその次に中層耐火
一般、これは普通の四階建
程度の鉄筋建のアパートでございます。その次が中層耐火簡易、これも中層耐火
一般に比べまして、大体同じでございますけれども、一戸当りの坪数の低い分でございます。その次の高層耐火、これは今年は
計画はありません。これが第一種住宅、
一般の公営住宅でございます。
次の第二種公営住宅、これは木造、簡易耐火、簡易耐火アパート、特殊耐火、耐火、こういうふうに分れております。そこで、この公営住宅全般についての考え、今度の
予算を
要求するにつきましての全般的の考え方を申し上げますと、まず第一には、総戸数は大体去年と同様でございますが、そのうち第一種住宅を少し減らして、その分を第二種住宅に持っていったということが一つの違いでございます。と申しますのは、第二種公営住宅は、政府の資金の
関係から申しますと、三分の二の
補助になっております。第一種の方は、政府は二分の一の
補助でございますけれども、三分の二の
補助分を前年に比べてふやしております。昨年の比率は第一種八〇に対しまして第二種二〇になっているはずでございますが、今度は第一種六五に対しまして、第二種三五になっているはずでございます。まあ低額所得者のうちでも、さらに低額所得者用の公営住宅をまずふやしたという点があります。それから第二番目には、耐火の率でございます。木造建物と耐火建築との比率でございますが、この点も若干上げております。昨年の率が全体の三七・八%
程度でございましたが、今度は五三%
程度に上げております。
それから建物の高さの
関係でございますが、これは若干下っております。と申しますのは、先に御
説明しなければならなかったのでございますけれども、従来、政府の住宅
対策といたしましては、公営住宅と公庫住宅がまず大きい二つの柱であったわけでございますけれども、新たに公団住宅というのを
計画いたしております。この三つをそれぞれ組み合せて全部を総合して考えていかなければならぬと、われわれは考えておる次第でございますが、この高さの点につきましては、たとえて申しますと、第一種公営住宅に、前
年度は中層耐火
一般というところに八千戸
程度のアパートを建てたのでございますが、今回こういうようなものは大部分公団住宅の方に移しかえたというような
関係もありまして、高さの点は若干減っております。
次に一戸当りの坪数でございますが、これは二十九
年度と三十
年度を
比較いたしますと、平均二月当りの坪数は減っております。そのおもな部分は、先ほど申しました四階建アパート十二坪、こういうふうなものを非常に減しましたこと、さらに第一種公営住宅につきましては、私ども常識的には新婚者向きのアパートというようなことを申しておりますが、これが従来なかったものを、八坪
程度のものを五千戸余り今度新たに
計画いたしております。さらに第一種公営住宅に参りまして、従来ありませんでした簡易耐火アパート六坪のものを八千戸余り
計画いたしております。これは必ずしもそれだけに限るわけではありませんけれども、非常に低額所得者で、坪数はがまんするから、家賃の安い家を建ててくれというような要望もあります
関係上、こういうふうに坪数の小さいものを相当戸数
計画いたしております
関係上、全体といたしましては、前年に比べますと坪数は減っております。
それから、家賃でございますが、これもいろいろ高いのあり安いのありで、一律に申し上げることはかえって間違いのもとと思いますが、総平均いたしまして、前年に比べますと二割
程度は下ってくることになると思います。特に第二種公営住宅の簡易耐火アパート、もっともこれは坪数も少いのでございますけれども、平均月八百円余の家賃になるはずでございます。従来は、最低は千円
程度でございましたので、相当下ることになろうかと思います。以上が公営住宅の御
説明でございます。
次に、第四表をお開き願いまして、
住宅金融公庫の
事業計画でございます。これには
一般の住宅と産業労働者用の住宅と、さらに宅地の造成に金を貸すことと、こういう三つの大わけにいたしておりますが、
一般の貸付につきましては、個人、組合賃貸と分譲賃貸というふうに分けております。この一番上の個人もしくは組合に直接貸し付ける分でございますが、前
年度は二万五千戸に対しまして、本年は二万戸に減しております。直接個人に貸し付けるのは従来より減らして、分譲でございますとか、そういう方によけい持っていった
関係でございます。個人、組合に貸し付けます分は、大体前年と同じでございますけれども、違ったおもな点を申し上げますと、従来は十五坪を対象としておりましたが、貸付の対象を十二坪に限ったものを九千八百戸
計画いたしております。この点が前年に比べた違いであります。さらに
融資の率を前年に比べまして大体一割
程度下げております。この点が違っております。一時新聞等に、
住宅金融公庫は三十
年度から土地代には貸し付けないというようなことが出たことがあったと記憶しておりますが、そういうことはございませんで、土地
融資についても、前年とほぼ同様に取り扱うことにいたしております。
それからその次の分譲でございますが、これは今回新たに
計画いたしたものでございまして、これに一万二千五百戸を
計画いたしております。
融資の率は七割五分でございます。これは
住宅金融公庫から都道
府県の住宅協会等が借り受けまして、それに都道
府県から一部金を借りまして、それで住宅を作って、これを希望者に分譲するというのでございます。
その次の賃貸、これは五千戸で、前年と同様でございます。
合計いたしまして、
一般住宅前
年度三万戸に対しまして、三万七千五百戸と、こういうことに相なっております。
その次の産業労働者住宅でございますが、前
年度は一万戸でございましたのを、今回は七千五百戸に減らしております。これは後ほど御
説明申し上げます住宅公団のものと若干同じ性質のものがありますので、そちらに振りかわったものというふうに御了解願ってもけっこうでございます。これは会社、工場等に金を貸し付けまして、会社、工場等が自分のところの従業員用に建てるものでございます。
融資の率は、
一般のものよりははるかに下げておりまして、五割五分ないし六割ということにいたしております。
その次に、増築等というのが書いてありますが、これを三万戸分用意いたしております。これは今回新たに
計画いたしたものでございまして、
融資の率は五割で、
予算上の平均貸し出しの
金額は一戸当り七万五千円、従いまして十五万円の増築等を対象として、その五割、平均七万五千円をお貸しする、そういうことになっております。
宅地の造成の
関係でございますが、これは前年とほぼ同様でございますが、若干ふやしております。
第三番目の、
日本住宅公団の
事業計画でございますが、これは新しい制度でございます。後ほど時間がありますれば、この組織等につきましても詳しく御
説明申し上げる機会があるかと存じますが、従来の公営住宅にしましても、公庫住宅にしましても、政府の資金、
予算上の金と資金運用部の資金と、地方公共団体の資金等をもって住宅を建てることをいたして参ったのでありますが、この住宅公団でやらせます分は、これに若干民間資金を導入して、これと政府の金とを合せて住宅供給をはかろうと、こういうのがねらいでございます。その中で本
年度は二万戸
計画をいたしておるわけでありますが、その中を
一般賃貸住宅と勤労者分譲住宅というふうに分けてあります。賃貸住宅と分譲住宅とそれぞれ一万戸ずつ
計画いたしております。大体建物はアパート四階建
程度を考えております。これは主として大
都市その他周辺地区の住宅事情の特に悪いところに集団的に建てていこう、こういうことを考えておるわけであります。
まず
一般賃貸住宅でございますが、一戸当りの坪数十三坪、戸数一万戸、
事業費七十九億七百九十万円、一戸当り七十九万円ということに相なるわけであります。この資金の内訳は、政府の
出資が四〇%の三十二億、地方公共団体の
出資が二〇%の十六億、資金運用部資金が三〇%の二十三億、民間資金が一〇%の七億九千万円、こういう資金の分け方にいたしております。
次は勤労者分譲住宅でございます。これは勤労者に対しまして公団が分譲する住宅でございますが、これは一戸当り十二坪で一万戸、
事業費が七十三億、一戸当りは七十三万円、この資金の内訳は、政府の
出資が二〇%の十四億、資金運用部資金が二〇%の十五億、民間資金が六〇%の四十四億。
それから宅地の造成でありますが、初
年度約百万坪を
計画いたしております。これの
事業費が十三億、これは全額政府
出資でございます。以上を
合計いたしまして、
事業費は百六十六億でございます。そのうち政府の
出資を六十億、地方の
出資を十六億、運用部資金を三十八億、民間資金を五十二億、こういうことに相なっております。
なお、ここには書いてありませんが、このほかに政府
出資といたしまして現物
出資をいたすつもりでおります。この数量はまだ確定いたしておりませんが、現在までのところ、約三十万坪の国有地を現物
出資をしようというところまで大体の話がまとまっております。
それから一番問題になると考えます民間資金を集める算段についてでございますけれども、大体の目鼻はついております。生命保険
関係から四十億、それから損害保険
関係から十億内外、それからその他で、大体民間資金のめどはついております。それから地方
出資を十六億期待しておるわけでありますが、これにつきましては、地方公共団体の長の選挙の
関係等もありまして、正直に申しましてまだ十分の打ち合せがついておりませんが、大体この
出資は期待できるものと考えております。
これが
建設省関係で直接建てます住宅の内訳でございますが、そのほか民間自力
建設促進のためにいろいろ考えておりますことを、その次に文句で書いておりますので、ざっと御
説明申し上げますと、国税、地方税につきまして、税の減免もしくは特別償却の特別の
増額等を考えております。第二番目に金融を円滑ならしめるために、
住宅金融公庫をして金融保証の業務をやらせよう。三億の基金を新たに設けまして、その十五倍
程度に当る約五十億の金融保証をしよう、こういうことを考えております。
時間もありませんので、大体この
程度で
説明を終らせていただきます。