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1955-07-27 第22回国会 衆議院 決算委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十七日(水曜日)    午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 上林與市郎君    理事 椎名悦三郎君 理事 山本 正一君    理事 生田 宏一君 理事 徳安 實藏君    理事 山田 長司君 理事 吉田 賢一君       本名  武君    薄田 美朝君       關谷 勝利君    永山 忠則君       片島  港君    三鍋 義三君       細田 綱吉君  出席政府委員         農林事務官         (農林経済局         長)      大坪 藤市君  委員外出席者         総理府事務官         (行政管理庁監         察部監察参事         官)      犬丸  実君         総理府事務官         (行政管理庁監         察部監察官)  松本 操一君         農林事務官         (農林経済局農         業保険課長)  橘  武夫君         農 林 技 官 内藤 一郎君         農 林 技 官 小暮 孫七君         会計検査院事務         官         (検査第三局         長)      小峰 保栄君         参  考  人         (南犬飼農業         共済組合長)  野口 菊太君         参  考  人         (料亭八幡荘女         将)      人見 キシ君         参  考  人         (元栃木農業         共済組合連合会         事業部長)   琴寄  仁君         参  考  人         (元栃木農業         共済組合連合会         経理部長)   浜崎  寛君         参  考  人         (元栃木農政         課長)     熊岡  実君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 七月二十七日  委員戸塚九一郎君辞任につき、その補欠として  永山忠則君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和二十八年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十八年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十八年度政府関係機関決算報告書  右件中農業共済保険事業に関する事項に関連し  栃木県の農業共済組合運営について参考人及  び政府委員より実情聴取     —————————————
  2. 上林與市郎

    上林委員長 これより会議を開きます。  本日は、昭和二十八年度決算中、農林省所管のうち農業共済保険事業に関する事項に関連し、栃木県の農業共済組合運営について、ここに御出頭願いました参考人各位よりその実情を聴取いたします。  なお、参考人として予定いたしておりました元栃木農業共済組合連合会長佐藤清一郎君より、所用のため出頭できない旨の届出があります。また、農林省の係官として、本問題に密接な関係のあります農林経済局農業保険課技官内藤一郎君が出席いたしております。なお、同技官小暮孫七君は病気療養のため出席できない旨の届があります。  この際、委員長より参考人各位にごあいさつ申し上げます。本日は御多忙中にもかかわらず、御出席をいただきまして御苦労に存じます。農業共済保険事業に関しましては、昭和二十八年度決算審査に関連して当委員会として重大な関心を持つところでございます。本日は農業共済保険事業に関する事項に関連し、特に栃木県の農業共済組合運営について参考人各位よりつまびらかにその実情について説明を聴取いたし、当委員会決算審査に資したいと考える次第であります。  これより本問題に関し、参考人各位より実情について承わるのでございますが、議事進行の便宜上、委員より質疑のあります点について、関係のある参考人の方から御答弁願うことといたします。参考人下都賀南犬飼農業共済組合長野口菊太君、料亭八幡荘女将人見キシ君、元栃木農業共済組合連合会事業部長琴寄仁君、元栃木農業共済組合連合会経理部長浜崎寛君、元栃木農政課長熊岡実君の順序によりお一人あて御答弁を願うことといたしますから、野口参考人以外の参考人諸君は、御通知するまで御退席を願います。  それでは委員各位より参考人に対し質疑通告がありますので、順次これを許します。  なお大体の時間の申し合せがございますから、その点も十分御了承の上に御質問願いたいと存じます。山田長司君。
  3. 山田長司

    山田委員 栃木共済組合連合会佐藤連合会長及び浜崎あるいは琴寄、本日お見えになっておられますが、これらの人たちを中心といたしました栃木県の共済連事件というのは、実に不正不当の運営がなされておったと思うのです。災害に泣く農民の金をまごかし料理屋に金を投じ、本日その料理屋八幡荘のおかみもお見えになっておるわけでありますが、一年間に百八十回の大宴会を開いて、言語同断に絶する共済連水増し金を使用いたしまして農民を苦しめて、栃木県の農民にとりましては、共済組合というのは農民のダニだといわれるぐらい共済組合というものに対していやな印象を持ったわけです。たまたまこの共済連事件というものが世に出るようになりましたのは、野口菊太さんの努力によるもののようでありますが、簡単にこの点について野口菊太さんに概略を御説明願いたいと思うわけです。あまり長くなるような場合がありましたら、その点について私の方から注意をいたしますから御了察願うことにいたしまして、概略を一つ御説明願いたいと思います。
  4. 野口菊太

    野口参考人 大体今御質問のように、問題の発端は昭和二十三年度にさかのぼります。たまたま昭和二十三年度のオカボ等保険金——保険金とは災害を受けた農家に支払われるわけですが、その金のうちで四百万円を天引きして事務所を作ったわけです。たまたま昭和二十四年度の麦類保険農林省できまったわけです。だから二十三年度作付の麦類被害金額、いわゆる保険金栃木県へよこされたのが八千七百四十四万三百十円ときまったわけです。そのうちからまた二千百七万三千七百三十八円を賦課金と称して取ったわけです。そこで問題なのは、二千百七万三千七百三十八円というものは、当然災害を受けた個々農家に支払うべき金を、単に農業共済組合長が集まりまして、栃木県の総会をやって、その席上、最初は寄付してくれというようなことを申したのですけれども、私どもの方の組合で、理事会の結果、そういう空気を察して、たとい寄付ということに賛成しても災害補償金というものは個人々々の被害をこうむった農民がもらう性質のものであり、また受け取るべき性質のものであるから、幾ら組合長たりとも人の財産を、支払いを受ける農家の許可なくして寄付はできないという観点から、南犬飼村では、当時組合長浜野清で僕ら理事でございましたが、徹底的に反対したわけです。そこで県の方ではなるほどと気がついたのでしょう。引っ込めて、昭和二十五年五月二十五日の臨時総会においていわゆる二千百七万三千幾らという金を今度は賦課金という形で徴収することになったのに、僕らも会長代理でその総会へ参りました。今日ではあまり災害補償法の研究もしておりませんのでわかりませんが、当時の災害補償法によれば、事務費の赤字以外は賦課金として組合員より徴収することができないとはっきりうたってあるわけでございます。だからこれは当然個人個人に支払うべき金を賦課金名目でも寄付名目でも取るということは、いわゆる組合員個人々々の災害をこうむった農家の承諾がなければこれは違法行為であるということで、栃木県の臨時総会において反対したところが、わずか四カ町村がわれわれの主張に賛成したわけでございます。安蘇郡の赤見村と僕らの隣村稲葉村と桑村、この四カ町村だけが私どもの意見が相当であるということで賛成したけれども、大多数の農業協同組合長は、そういう違法な行為をあえて決議して天引きしてしまったわけです。そこで問題は、われわれはどこまでも反対の態度で、何万人集まってきめようとも、所有者の知らない間に、それを渡さないで天引きするなどということはどろぼうにもひとしいということで、断固として県連抗議を申し込んで、当時県連より——二千百七万円何がしの金のうち三十万七千円が私どもの村に来る金なんです。その金をあなたらの方では反対しているし、個々組合員も承知しないのだからということで、それでは支払うということで支払い確約書をもらったわけでございます。  そこで改選の時期になりまして、何といいますか、悪く申しますならば農村のボスと称しますか、そういう者の支配勢力が強かったために、われわれの正義派の方々の組合長が選挙で敗れて、今度昭和二十五年の五月幾日かの総会大垣義忠組合長になって、県に対する三十万七千円の受け取り方交渉を継続してやられたわけでございます。ところがたまたま大垣組合長が何回か県連に足を運んで、昭和二十五年九月二十六日に三十万七千四百六十九円という金をもらってきたわけです。そこで私どもの方の農協では臨時総会を開きまして、この金は栃木県でただひとり、犬飼だけが正義の叫びを上げてもらった金であるから、有意義に使用しようではないかということで農業協同組合全部補助して、また災害が発生しないように共同防除を行なったわけであります。ところがあとになってそれを気がつきますと、昭和二十六年度の麦の災害金の前渡金として大垣組合長がもらってきたわけであります。だから今度は昭和二十六年度の麦の災害保険金農林省から下ってきますと、三十万千幾らの金が差し引かれるから被害農家にやれない、それでは県で昭和二十四年度の麦類災害保険金天引きをよこしたというのはうそではないか、確約に違うではないかということで、大垣組合長はそういう誤った受け取りを出して、拒否されたので、大垣組合長組合の指弾するところとなって、とうとう自分組合をよして、そのあと渡辺房というのが共済組合長になりまして、県の連合会長であった佐蔵清一郎君に直接交渉したわけであります。確約書があるのだから至急に払ってほしいということを言うと、多分佐藤組合長事務局と相談して取ってくるということで、そこで昭和二十六年度、南犬飼村の百十四町か百十七町かの水稲の水増しをやって、その金を農林省から、取って、それで犬飼村は私ども確約した昭和二十六年の十一月一日に十九万円、二十七年の一月三十日に二十五万円、それから二十七年の三月六日に六万五千円、これだけ天引きした金をもらったわけでございます。たまたまその後全体の数字を見ますと、昭和二十四年か五年だと思うのですが、水増金昭和二十四年度のオカボが一千八十五万七千二百六十五円二十銭というものが——いわゆる単位共済組合災害評価委員というものが評価したのがまずいから、県の災害評価委員が見直したという形でいわゆる水増しが足りてくるわけであります。だから村の単位農協では、自分らの単位農協災害評価委員ほんとうに現実に二十人、三十人も出て、どこのたんぼも畑も見て歩くので、これが一番正しい評価だというのが、そういう相違が出てきたので、県の方ではこれでは少いからというのか何だか知らないが、昭和二十四年度のオカボの一千八十五万七千二百六十五円二十銭というものを水増しして——私はこれは詐欺行為じゃないかと思うのですが、そういうふうにして、計三千百九十三万一千五百十三円二十銭という取るべき金でないものを取ったわけです。そこで当時私は日農委員長をやっておりましたので、その問題を取り上げまして、相当検察庁あたりに告訴もし、告発もしていたのですが、検察庁の方のあいさつは、それは必ず君らが主張するがごとく法律には違反しておるけれども個人として横領したような事実は見受けられないから、不起許処分に決定したということを私どもに言っておったわけであります。  そこで今度単位農協から端を発しまして、栃木県全体で再び同一事件が取り上げられて、司直の手によって相当糾明されたわけであります。そこで三千百何十万という金を県の連合会で使うというのはけしからぬから、農民に返すべきであるというような行政命令が来たので、昭和二十九年二月二十日に栃木共済組合連合会臨時総会を開いて、農民に返すという決議をして、この金は農民に返ったように聞いております。そこでどうも私のふに落ちないのは、さきに僕らの村だけで三十万七千幾らもらってあるにもかかわらず、オカボ水増しで三十七万八千六百三十円と、それから二十四年度の麦類天引きで三十万七千四百六十九円、この金が合算されて六十八万何がしという金がまた農林省行政命令に従って私どもの村へ返されてきているわけであります。従いまして、以前の六十万七千何がしという金は、協同組合災害がはっきりしないということで補助した。あと三十七万八千六百三十円というものが私どもの名前によって水増しされたのを、返すというのならば、これだけでよいではないか、こう考えたのですが、事実は六十八万何がしかの金がきておって、従って水増し個々耕作面積災害水増しでなくて、架空のいわゆる百何町歩かのオカボが作ってあるということに見せかけた水増しなので、私どもの方では分けることができないということで、いまだに保管しておるわけです。
  5. 山田長司

    山田委員 農林省から行政命令が出て三千百九十三万という水増しの金の一部があなたの村には返ったのですが、ほかの郡市の協同組合にはこの金が返ったようにあなたは聞いておりますか、聞いておりませんか。
  6. 野口菊太

    野口参考人 大体ここに案ができて、この欄に、二十四年度の水増しの、徴収すべからざるものを徴収した金が出ていて、これを合算して返すという決議になっているから返されたのではないかと私は信じております。これは当然佐藤組合長がやめられて、後であります。
  7. 山田長司

    山田委員 当時の連合会の副会長であった福田さんという人は、この不正で得た三十万円は農民にすぐ返すべきだというようなことを共済連の中で言われておったと思いますが、その人は今どういうふうになっていますか。
  8. 野口菊太

    野口参考人 その人は今ただ県連合会理事だけで、特に役職につかれていないようでありますが、この中にあっていろいろな矛盾不正があるわけで、参考山田委員におあげしてもよいと思います。
  9. 上林與市郎

    上林委員長 質問に対して具体的に答弁して下さい。
  10. 山田長司

    山田委員 災害保険金栃木県では全部で十一億から銀行に預けられておって、利子だけで十五万円くらい入っているわけですが、全部で十一億に上る金額は、あなたが見ていつごろからの災害と見られますか。
  11. 野口菊太

    野口参考人 昭和二十二年に今の連合会事務所を作ったときに、すでに四百万という天引きをやった。従ってその四百万円は個々農家に渡すべき金であるかどうかを追及してみたときには、そこの役職員の連中の答えて言うのには、それはわれわれの努力によって農林省にインチキをかけてよけいもらってきたのだ、従って栃木県の農民のためになるのではないかというようなことを言っておられますので、果して単位共済組合から水増し見積りと県の連合会で調べて出した見積りがどういうふうになってきたかはわかりません。
  12. 山田長司

    山田委員 私の伺うことについてほかのことにそれないでお願いしたい。共済連幹部が一年間に百八十回からの宴会栃木県の場合には持っているというのですが、このことについてあなたの知っている点を一応申してもらいたいと思います。
  13. 野口菊太

    野口参考人 大体僕らが見たり聞いたりしたのは、共済連ほんとうのいいお客さんか、あるいはそういったような農林省関係方たちと話すときは、今参考人としてきておられる八幡荘ですか、大体は栃木宇都宮市西浜田の田の島館という旅館と泉町のかねこという料理屋で、僕らが交渉に行ったときもその辺で二、三回昼飯をごちそうになったことがありますが、その程度しかわかりません。
  14. 山田長司

    山田委員 佐藤会長を初めといたしまして幹部諸君出張が実に乱脈をきわめておって、一カ月のうちに出張が五十日くらいになっている。会長の場合などは、静岡、東京あるいは那須というような地域を同じ日に旅行しているというような事実が明らかになっておりますが、これらについて共済連の中でどんなふうにお考えになっておるか、そういうことについて伺いたい。
  15. 野口菊太

    野口参考人 それは警察で取り調べ中に、僕らも南犬飼村の金をもらった関係で、特捜課に召喚されまして取調官からそういうふうなことを聞いた程度で、事実行っているか行っていないかというようなことは、私は情報を聞きませんので、連合会の方はわかりません。
  16. 山田長司

    山田委員 野口さんはこの問題についてときどき検察当局及び当時の国警にこれを明らかにするために陳情なり抗議なりを言われているようでありますが、当時国警検察庁との間にこの問題について何か明朗を欠いているような印象を県民にすら与えたのですが、このことについてあなたが御存じの点がありましたらお述べ願いたい。
  17. 野口菊太

    野口参考人 こういうことを申し上げてどうかと思うのですが、事実だから申し上げますが、宇都宮松永謙三という弁護士が、もと千葉県の警察部長かなんかやっておった当時、この共済組合事件を取り扱ったところの国警隊長の青木さんという人と非常にじっこんの間柄だったそうです。そういう関係で、私らもこの問題で取調べのために松永氏の事務所国警隊長と何回か会っておったのですが、自分憤懣は実にやるせないというようなことをこぼしておりました。それだけ県の警察当局が全県下の警察を動員して百七十幾つかの単位共済組合帳簿を全部各警察に調べさして、それだけの事実があるのにもかかわらず、なぜ検察当局が動かないのかというて、個人的には松永謙三という弁護士事務所に参って、ぼくらの前で非常に憤懣を漏らしておりましたことは事実であります。
  18. 山田長司

    山田委員 共済連の金を宇都宮八幡荘という料理屋浜崎という会計部長が、これは浜崎だけの処置とは考えられないのですが、共済連会長も必ずこれに関連があると思うのですが、二百八十万の金を八幡荘へつぎ込んだということで、栃木県の共済連の間にはいろいろ問題があるのですが、これは大体いつごろわかったものですか。あなたはそのことを御存じだったと思うのです。
  19. 野口菊太

    野口参考人 それは多分一昨年の暮れごろだと思うのです。当時八幡荘のマダムが——これは浜崎さんが親戚の七井と益子のうちから金を三百万円くらい借りたというようなことで、その当時われわれの聞いたところでは、大体銀行から下げたこともないし、郵便局から下げたこともない、従ってどういう金だということを追求したらば、当時は、結局終戦後のどさくさまぎれに、いろいろやみかなんかやってもうけて、陰にしまっておいた金を出したんだというような説明でございました。
  20. 上林與市郎

    上林委員長 次に吉田委員に御質疑を願います。なるべく前の委員質問と重複しないように質問していただきます。
  21. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 浜崎寛という人はきょうの参考人でありますが、この人は参考人と心やすいのですか。
  22. 野口菊太

    野口参考人 心やすくありません。ただ僕らの方の金をとるために交渉に行ったとき、初めて顔を合せて、その後何回か浜崎という人と折衝したことがある程度であります。
  23. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その浜崎が今の八幡荘という旅館に二百八十万円を当時貸し付けたということを、あなたは今お述べになっておりましたが、その金はやはり共済組合連合会が支払うべき保険金のうちなんですか。それはどういうことなんですか。
  24. 野口菊太

    野口参考人 それは複雑にしてわかりませんが、大体警察当局の調べでは、浜崎君の親戚から金を持ってきたということなので、親戚では手持ちがあったのかということで、もし預金しておったのなら、その持ってきたというときに銀行預金なり郵便貯金なりから下げたことがないかと伺ったら、終戦当時蓄積した金をかめから出されたとか、蔵から出されたとか言うて、こまかな金で百円札が大多数で三百万円の金を出したのだ、こんなことを言っている。
  25. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 しかしながらやはり数百万円の金を、金融機関でなしに個人的にそう貯蔵するということは実例のないことであります。そういうことについて連合会の内部では連合会の再保険金を悪用されたというふうには観察はしておらなんでしょうか。
  26. 野口菊太

    野口参考人 大体私どもは、そういうことはいわゆる一極の虚構なことではないか。事実はいわゆる表面に現われただけでも三千数百万円の金が四年も五年も農民に払われず、初めて昭和二十四年度から二十九年度に至って農林省命令によって支払われたというのだから、その金はどこにどう流用されたか私どもにわかりません。
  27. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは二十四年の問題のようでありまするが、最近におきましてはどんなふうに粛正されているのですか、正常に支払いもされ、もしくは帳簿通り運営はされているのでしょうか、どういうことになっていますか。
  28. 野口菊太

    野口参考人 佐藤組合長がこういう疑点がございますためにやめさせられて、あと安蘇郡から出た川俣憲治さんという人が組合長になっている。この人は非常に人格者でありまして、現在では厳格に運営がやられております。
  29. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 結局あなた方単位組合のお立場からいたしまして、もらうべきものが終局においては完全にもらうことができたのでしょうか。やはり相当損害がある、穴があいたままということになっているのではありませんか。その点はどうですか。
  30. 野口菊太

    野口参考人 私の村だけは完全にもらうべきものはもらいました。ちょっと横へ入るようですが、他町村はわかりません。他町村は大体共済組合というものはやはり県連にならって、あるいは任意共済組合会計で馬の掛金など、死にもしない馬を獣医と結託して死んだようにして保険金をごまかすなど、ずいぶん僕らの隣村でやっておるようですが、単位共済組合がそういう形においてつぶれていくところもあります。それからほかの組合では大体もらったのかもらえないのかはっきりしませんが、あえて請求をしなかったのじゃないか、そう考えております。
  31. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 他の共済組合がこの事件に端を発して、その原因でつぶれてしまった組合ができたのですか。
  32. 野口菊太

    野口参考人 あります。
  33. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それは大体あなたの御記憶の範囲でよろしいが、どことどこ、いつごろということはわかりませんか。
  34. 野口菊太

    野口参考人 現在私のはっきり知っているところは、隣村下都賀郡の稲葉村、これは事件が発生する前後において、今度は単位農業共済組合長が馬の保険金をごまかしたということでやはり警察に召喚されておりまして、これは大体つぶれて再建もできないようなわけでございます。それから今市市においても県の指導で大体形だけはできたというようなことは言っておりますが、やはり何か不正があって芳ばしくないということを聞いております。
  35. 上林與市郎

    上林委員長 徳安委員からの質疑通告がございますが、席をはずしておりますので、あとに譲りたいと思います。  野口参考人に対する質疑は一応終了いたしました。野日参考人には御苦労さまでした。別室でしばらくお待ちを願います。
  36. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 次の参考人見えるまでちょっと伺いたいと思います。今お聞き及びの通りに、稲葉村の共済組合保険金不当流用などの不始末の結果つぶされてしまうことになったということを今述べておりましたが、こういうことに対する政府のその後の処置方針はどういうふうになっておるのでしょうか。
  37. 大坪藤市

    大坪政府委員 不当経理その他ただいまお話のありましたような関係組合の経営が著しく困難になり、また組合長並びに理事その他が責任をとりまして改選になったということはありますが、組合自体が解散をしたというような事態は全国にございません。大体そういう場合におきましては農林省といたしましてもまた県といたしましても、理事長改選を命じ、あるいは支払うべき金は必ず規定通り支払うことを命じまして、善後措置を総じております。
  38. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今の人は法律的な表現ができないのでつぶれたと言ったのだろうと思うのです。いずれにしても実質的にはしろうと目にはつぶされてしまったという印象を受けているわけであります。これはどういう経過をたどって今日に至っておるか、その原因とか経過等、最近の状況について、稲葉村のみならず二、三代表的なものをすぐお調べになって、文書でよろしゅうございますからお出しを願いたいと思います。
  39. 大坪藤市

    大坪政府委員 了承いたしました。
  40. 山田長司

    山田委員 参考人の来る前にもう一度農林省当局に伺いたいのですが、この事件は監督の衝にあるものが少し注意すればわかった事件だと思うのです。河内郡豊郷村の農協組合長というのも佐藤という人がやり、同じ河内郡の郡の農協組合長佐藤という人がやり、県連合会組合長佐藤一郎という人がやったのです。それでそもそもこの事件昭和二十四年にこの河内郡豊郷村の農協に麦の共済金としていった金が始まりで、その次の年も一つの村だけそのくらいの麦の災害で、その周辺の村々には全然災害がなかったようなことで、共済金の請求も何も出ていないのです。平面の中の一つの村だけが麦の災害を受けたという事例になっているのですから、そういう点で一つの村だけぽつんと災害があったというような場合に、これについて当局は不思議にお感じにならなかったものかどうか、そういうようにぽつりと、しかもまたそれが二十四年以来毎年続いているということなんです。そういう点について農林省当局としては全然何も感じていなかったものかどうか。
  41. 大坪藤市

    大坪政府委員 一つの村だけ災害があったということでございますが、実は少し注意すればわかったのではないかという点につきましては、まことに御意見の通りと思います。ただ現在は府県の統計並びに私どもの統計調査事務所でやっております統計は相当精密な統計になっております。しかしながら御承知のように二十四年、五年、その辺の統計は非常にずさんでありまして、今日のような正確な統計を基礎にするわけにいかない、こういうような事情でありまして、その点はまことに申訳ないことであります。少し注意すればわかったのじゃないかというお話でありますが、実は全国的な仕事をやっておりますし、なおその点についてはその当時の状態からいたしましては調査が不十分であったという点は認めざるを得ないと思います。その点にかんがみまして、できるだけ私どもの統計調査事務所の統計を正確にするということにつきまして、いろいろ万全の措置をとっております。非常に調査がずさんだったといとことにつきましてはその通り認めまして、陳謝いたしたいと思います。
  42. 上林與市郎

    上林委員長 次に人見参考人に対する質疑に入ります。  ちょっと人見参考人に申し上げますが、質問がございましたならば立ってお答え願います。なお質問中はすわって差しつかえございません。発言する際は私の許可を得て発言するようにお願いいたします。  それでは質疑に入ります。山田委員
  43. 山田長司

    山田委員 人見さんにお尋ねいたしますが、あなたのお店はいつごろからお店開きをなされているのですか。
  44. 人見キシ

    人見参考人 昭和二十三年でございます。
  45. 山田長司

    山田委員 あなたのお店に二百八十万円のお金をお出しになられた浜崎さんは、どういう名義であなたにお金をお出しになったのですか。
  46. 人見キシ

    人見参考人 名義というのはどの名義ですか。
  47. 山田長司

    山田委員 あなたにお金をお出しになられたとき、どういう形で——ただ借金という形でお出しになったものですか。
  48. 人見キシ

    人見参考人 ええ、借金でございます。
  49. 山田長司

    山田委員 あなたはお金をお借りになることですから、そのお金がどこからどういうふうに出てきたものか、その出所はお聞きにならなかったと思いますが、警察当局が調べたことによりますと、当時栃木県芳賀郡久下田町の古綿屋の竹村さんというところの台所のかめの中に二百八十万円の金がしまってあったというのです。あなたのところへその金を持ってこられるまでの過程は、あなたがお店のために入り用だからというので、浜崎さんが二百八十万円の金をあなたにお貸しになったものなんですか。
  50. 人見キシ

    人見参考人 はあ、そうでございます。それはかめに埋まっていたか銀行に積んでおったか知りませんけれども浜崎さんに金融を頼んでから、竹村は浜崎さんの弟でございます、その人の金だというて借りました。
  51. 山田長司

    山田委員 あなたのお店ばかりじゃなかったですが、栃木県の共済連ではあなたのお店を相当使わしてもらっておったようです。それで調べた範囲では、栃木県の共済連は一年間に百八十カ所からの宴会を持っているのですが、あなたの店ではどのくらいの回数をお持ちになりましたか。
  52. 人見キシ

    人見参考人 はっきり覚えておりませんけれども、月に一回ないし二回くらいございましたね。
  53. 山田長司

    山田委員 あなたのお店の所有者浜崎寛さんの名義になっておるといわれておりますが、今でもそうなっておりますか。
  54. 人見キシ

    人見参考人 今でもそうなっております。
  55. 山田長司

    山田委員 これはあなたが借りているお金の返済が済むまでそういう名義になっておるわけですか。
  56. 人見キシ

    人見参考人 さようでございます。返済すれば直ちに返って参ります。
  57. 山田長司

    山田委員 私の質問は終ります。
  58. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 人見さんに伺いますが、この浜崎寛という方は、あなたの方に三百八十万円というのを貸し付けておるのでございますか。これは前にお聞きになったと思いますが……。
  59. 人見キシ

    人見参考人 借りております。
  60. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その当時浜崎さんが栃木県の農業協同組合連合会経理部長という職にあられたときにお借りになったのですか。
  61. 人見キシ

    人見参考人 そうでございます。
  62. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 浜崎さんは、当時ほかに御職業はありませんでしたか。
  63. 人見キシ

    人見参考人 その点はわかりません。農家ですから、共済のほかに何かに勤めておったかわかりませんけれども、別に村の仕事をやっておったと思います。
  64. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 いつごろからお心やすいのですか。
  65. 人見キシ

    人見参考人 共済会の新築したときにお弁当を出しまして、それから懇意になりました。
  66. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 お借りになりましたのはいつですか。
  67. 人見キシ

    人見参考人 二十五年の五月と思いました。
  68. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 共済会の建物の新築はいつでありますか。
  69. 人見キシ

    人見参考人 二十四年と思いましたが、はっきり覚えておりません。
  70. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 弁当を出して知り合って、一年後にお借りになっておるのですね。そこで二百八十万円というのは大へんなお金です。そのくらい大きな金を貸す人の職業をよく御承知でないというのはどうかと思いますが、長年御懇意の仲でもなかったのですか。この浜崎という人は金貸しでもなさそうでありますし、あなたも職業はよくお知りにならぬ。そういうような人がよく貸してくれましたね。これはまことに失礼な言い方かもしれませんけれども、それはほんとうに貸したのでありますか。そうじゃなしに、何かあなたと事業を一緒にやるとか、経営をともにやるとかいうことで投資でもした、こういうことになるのじゃないですか。
  71. 人見キシ

    人見参考人 別に事業は一緒でもございませんし、私の財産全部差し上げて二百八十万借りたことは、大したことと私は思っておりません。
  72. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 まことに豪勢なお話でございます。これはいずれ小切手とか何かでお借りになったのですか。銀行の約手ででもお借りになったのですか。
  73. 人見キシ

    人見参考人 それはじかに私はお金を受けませんので、高萩炭鉱の社長に返してもらったお金ですから、小切手で返したか、現金で返したか、それはわかりません。
  74. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますとこのお金は、自分が貯蓄しておるという金なんでしょうか。あるいはほかから融資を受けた金なんだろうか。あるいは銀行その他から出してきた金なんでしょうか。あるいはほかから融資を受けた金なんだろうか。あるいは銀行その他から出してきた金なんでしょうか。その辺について借りた当時どういうふうにお思いになっておりますか。
  75. 人見キシ

    人見参考人 私は竹村徳造さんのお金だと思っておりますし、これはすでに検察庁でもよくおわかりだと思いますから、詳しいことはそちらからお聞き願いたいと思います。
  76. 上林與市郎

    上林委員長 人見参考人に対する質疑は一応終了いたしました。私もよく存じませんが、きょうは牛の日で、御商売がら非常に忙しい日なんだそうですから、帰していただきたいというお申し出がございますので、よろしいですね。——それではお帰りになってけっこうです。たいへん御苦労さまでした。  次に琴寄証人に対する質疑に入ります。参考人を御紹介申し上げます。栃木市大宮町、元栃木農業共済組合連合会事業部長琴寄仁君でございます。では質疑に入ります。山田長司君。
  77. 山田長司

    山田委員 あなたは共済連事業部長をしておられるとき、どんな仕事をしておられましたか。
  78. 琴寄仁

    琴寄参考人 お答えいたします。事業部長の仕事は、共済事業の根幹をなしますところの災害査定を中心にいたして、保険金決定の仕事をやる、あるいはこれらの趣旨の啓蒙普及をつかさどるというような、主として指導方面の役割を果してやって参りました。
  79. 山田長司

    山田委員 下都賀郡で共済連事件の端緒が発生したわけですが、これをお聞きになられた当時やはり事業部長であったと思いますか、下都賀郡全体から共済連事件というものの火の手があがってきた当初、あなたはどんなふうにお考えになりましたか。
  80. 琴寄仁

    琴寄参考人 下都賀郡の共済連事件というただいまのお尋ねでございまするが、赤津と吹上村と記憶しております。当時二十四年の陸稲の損害評価の問題につきまして、その金を末端組合員にうまく支払いができていなかったというようなことから、何か警察事件になったように記憶しておりまするが、この問題はかつて二十四年の損害評価に対しまして、栃木県の共済組合連合会が何か農林省を偽わって水増しをしてよけいに取った金を、組合あるいは連合会が使ってしまって、末端に流さなかったというようなことから問題になったと思うのでありますが、当時損害評価を私が担当しておりましたので、さようなことは別にない、要するにこまかに調査をしていただければ判明することであろう、このように考えておりました。
  81. 山田長司

    山田委員 あなたも知っているように、陸稲の災害戸数が栃木県下で三万八千二百四十六戸という大きな被害昭和二十五年にあり、さらに面積にしてもえらい大きな面積の被害を受けて、それを虚偽の報告をして損害評価をみな作り直したわけなんですが、そうするとあなたが当時下都賀で知っていた範囲では、あなたはその被害についてそういう間違いの報告を中央の方にするなどということは考えられておらなかったのじゃないかと思うのですが、県の方とあなたの違いはいつごろあなたは知りましたか。
  82. 琴寄仁

    琴寄参考人 この事件警察ざたになりまして、ただいまおっしゃられますように、災害戸数と面積との差異が生じたという警察当局の調べによりまして、初めて事務的な欠陥があったということを承知したわけであります。
  83. 山田長司

    山田委員 いろいろ調べてみた結果は、栃木県の共済連が一年間に百八十回も大宴会をやっておったようですが、あなたは何回ぐらい宴会へ出ましたか。
  84. 琴寄仁

    琴寄参考人 古いことで確かな記憶はございませんけれども、私ども県下を東奔西走いたしまして、多い月で一カ月に二十五、六日出張いたしております。従いまして出張帳簿を調べてみましてもわかりますように、一年に百八十回、つまり二日に一ぺんずつ、半年分も宴会をするようなことはとうてい常識でも考えられぬことでございますし、私自身の記憶といたしましてもさようなことは絶対ございませんので、これは何かの間違いではないか、このように考えておった次第であります。
  85. 山田長司

    山田委員 あなたはそういうふうなお気持でおられるか知れないけれども国警で調べた範囲では、幹部は毎年百八十回から宴会をやっておるということを青木国警隊長みずから言っているのです。あなたは部長であったので、それに参加はしていなかったと思うのですけれども、そういう事例は出ているということを知っていてもらわなければならぬと思うのです。それから出張の問題などについても、幹部諸公は一カ月のうちに五十日ぐらい出張している帳面づらが出ているというのですが、あなたの出張はどれぐらいあったのですか。
  86. 琴寄仁

    琴寄参考人 ただいまも申し上げましたように、多いときで二十四、五日、これは主として損害評価とかあるいは事業計画の指導のために必要なときにはその程度参りましたけれども、平均いたしまして十八、九日のように記憶しております。しかしながらただいまおっしゃられますような五十日などというような出張は、何かこれは経理の方の関係でそのようなことが算出されるのだろうと思いますけれども、実際問題としてそのように一つのからだが二カ所も三カ所も出張するようなことはとうていでき得ないことでありますし、記憶にもございません。
  87. 山田長司

    山田委員 あなたにはそういう記憶はないのだと思うのです。そこでこの事件栃木県下にかなり大きな問題を起してきて、あなたは事業部長という立場でどういう結末をつけられたのですか。
  88. 琴寄仁

    琴寄参考人 私は事業部長として責任もございますので、事の真偽はいずれといたしましても、こうした農民を中心にいたしました農業団体の職員といたしましておわびをしなければいけないと思いまして、一月七日付だと思いましたけれども退職願いを出しまして、三月三十一日付で依願退職をいたしまして今日に及んでおります。
  89. 上林與市郎

    上林委員長 吉田賢一君。
  90. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 昭和二十四年に栃木県の共済組合連合会政府に報告いたしました損害評価の最終の決定の額に、全然水増しもしくは不当な計算の内容はなかったとあなたは今お述べになっておりましたが、これは間違いありませんか。
  91. 琴寄仁

    琴寄参考人 先ほど申しましたように、水増しをしたということはございません。実際の損害評価について、当時の評価技術というものがまだよく徹底しておりませんでしたので、農民評価をして参りました数字が著しく実情と相違をいたしていると認定いたします場合には、県の損害評価委員の意向によりましてこれを修正して大きくもし、あるいは少くもする、これがいわゆる損害評価の制度の基本でございます。そのような意味合いをもちまして実情に照らしました県の損害評価委員の意向によりましてこの損害評価が修正されたのでございます。
  92. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その次に農林当局に伺いますが、今の御説明によりますと、二十四年の損害評価は適正であったということなんですが、農林当局としてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  93. 橘武夫

    ○橘説明員 先ほど局長からもお話しいたしましたように、当時私の方が認定いたしました統計の数字、その他は、今申されましたように不十分なものであったという事実がございますけれども、その不十分な資料で認定いたしました限りにおいては、一応適正だという判断を下したわけであります。
  94. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 参考人に伺いますが、あなたが責任を負っておやめになったというのは、何の責任によっておやめになったのですか。
  95. 琴寄仁

    琴寄参考人 仕事につきましては、共済事業発展のために鋭意努力したつもりでございますけれども、県下農民を指導しております私がいろいろ新聞紙上あるいは警察方面から再々調べを受けることは、いずれにいたしましてもこの仕事に携わっている私どもの不徳のいたすところだと考えまして、事の真偽は他日わかることだろうし、こうした社会的な一つの批判からも当然責任をとることが望ましいことであろう、かように考えまして辞職を願い出た次第であります。
  96. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 政府は二十四年の損害評価につきまして、各般の経理が不当であるというようなことはお認めになったのでありますか。
  97. 大坪藤市

    大坪政府委員 その後取り調べました結果、経理事務につきましてはいろいろ不当なことがありました。この点につきましては詳細に指示いたしたのであります。ただ損害評価の点につきましては、いわゆる損害評価の決定は保険の建前上、評価について意見が違いました場合には上級機関の決定するところによるということになっておるわけでございます。従って政府といたしましては、いろいろその当時は資料が不十分でありましたが、ありました資料を土台といたしまして決定をいたしたわけであります。
  98. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 農林省は二十八年になりましてから農業災害補償法の八十条によりまして経理に関する通達をいたしておるようであります。そこでその経理につきましては、会長とかあるいは事業部長とか経理部長とか、そういった運営幹部がそれぞれ責を負うべきものであるというふうに一応常識上考えられるのですが、一体これはどこに責任があるということに政府としては判断をしたのでありますか。会長に責任があるのか、事業部長に責任があるのか、経理部長に責任があるのか、いずれにもそういう経理上の責任を負うべき理由がないと判断をしたのですか、その点いかがですか。
  99. 橘武夫

    ○橘説明員 農林省といたしましては、その責任は会長以下の役員にあるという判断をいたしたのであります。
  100. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 参考人に伺いますが、あなたは重要なる事業部長だが、政府はあなたら幹部にも責任があるという判断をしておるのだが、あなたは自分では責任がないというふうに考えておりますか。
  101. 琴寄仁

    琴寄参考人 われわれは仕事に対しましては一々会長の命を受けてやって参りました。従いましてただいま保険課長さんの御答弁のように、この仕事の当面の責任は会長以下の理事さんにあろうと思いますけれども、われわれもまた日ごろこの仕事をまかせられまして、実際の仕事をやって参ります関係上、会長以下の役員さんに対しましてこのような事態を一応引き起したという責任は当然職員として考えなければならないと思うのでございます。そういう意味合いをもちましてこの点については陳謝をしたわけでありますけれども、公的な責任につきましては一一役員、会長の命を受けましてやって参ったつもりでありますので、ただいま課長さんの御答弁のように考えております。
  102. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 責任を一々回避したり回りくどいことを言う必要はないのですよ。こんな重大な刑事事件を起して、すでに有罪の判決が確定しているような事件でありますから、常識から考えましても県連合会幹部は責を負わなければならないのが当然であります。しかるにもかかわらず、その責を負うことなくして、ほかの理由によって、世間が騒いだので困るから、それで辞職したというのがあなたの弁解なんです。ところがあなたの今の説明によりますと、会長以下責任がある、あなたは会長の命を受けてやっているのですから会長の責任だということになるのです。そういうことになってきますと、どうしても会長に出てきていただかなければならないことになるのです。委員長、どうしても会長に出てきてもらいたいと思います。
  103. 上林與市郎

    上林委員長 これはまたあとで御相談しますが、きょうのところは欠席の届が出ております。
  104. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで二十四年の保険金幹部によって相当額流用されているというような新聞記事だとか告発状だとかいろいろなものがあるのでありますが、そういう事実は一体なかったのですか。
  105. 琴寄仁

    琴寄参考人 ただいまのお尋ねでございますけれども、私としては事業を担当しておりまして、その会計につきまして、その金を私したというようなことはないと思っております。
  106. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 八幡荘という旅館に二百八十万円も貸し付けたという経理部長があるようなんだが、その人はそんな大きな金を旅館とか料亭に貸し付けるようなそういう性格の人なんですか、そんな金持ちなんですか、それはどうなんです。
  107. 琴寄仁

    琴寄参考人 これは個人の経済でありますので、私がどうこう申し上げることはできないと思いますが、当時経理部長の奥さんのところで綿糸工場をやっておって、その方からだいぶお金の応援があるというような話は本人からも開いておりましたけれども、この事件が起きまして初めてそうした事実を知ったようなわけでありまして、お尋ねのように私が浜崎君の個人内容までは判定つきかねる次第であります。
  108. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 なるほどそれは個人の名前を出すからは個人的なように思いますけれども、しかし何千万円というような不正流用がされて、そしてあなたは事業の遂行責任者の一人であって、当該指摘されておる人間が経理部長であって、その人はしかも有罪の判決が確定しておる。そういうような場合に個人のことであるからそれには関与することがないというのはそれは他人の言うことですよ。あなたらは事業経営の上からいえば重要な責任を分ち合わねばならぬ立場の人なんです。でありますから、政府の監督によって、指示によって、莫大な金をあと農家支払いをしなければならぬようなことになった不始末もあったのでありますから、従って数百万円の金が経理部長というようなそんな片々たる——と言うと失礼だけれども、大した資産があるものと思えませんが、そういった人の金が他に貸し付けられているようなときには、これは相当注目せなければならぬことは当然だろうと思うのです。大きな関心を持って金の出所などを探索しなければならぬというのはこれは幹部の責任だと思う。そういうのを個人のことだから、あるいは何か事業をやってもうけておるのだから、応援者があるからおれは知らないというような頭で県連合会をおやりになったら大へんですよ。あなたも制度根本を御承知だろうと思いますけれども、数百億円の金が国費として出ておるのであります。国民の血税が出ておるのであります。それがいろいろ末端に行っておらぬというようなことは、これは中間の責任者である幹部の人はそれぞれ責を負っていかなければならぬことです。でありますから、単にこれは個人のことだから知らないというように簡単に見るべき問題じゃないのであります。あなた方ら幹部は二百八十万円を旅館に貸し付けたというような問題について疑いを持たなかったのでありますか。幹部はそういうことを調査しなかったのでありますか。幹部会において疑いを持っていろいろと手を尽し、方法をもってその実態を調査するということをしなかったのでありますか。
  109. 琴寄仁

    琴寄参考人 お尋ねでございますけれども、経理の関係につきましては栃木県の共済連経理部長が全責任を持ってやっておりました。従いまして何百億の保険金をちょうだいしたとかあるいは水増ししてやった金とかいうものは、保険経理の面で、その賦課金として徴収いたしました三千何百万の金は必ず決算書にも上り、また農林省の監査にもそれが認められてちゃんと残っております。従いまして私どもはそうした保険金の一部を八幡荘云々というような問題を実際われわれとしましても疑義を差しはさむこともなく、またこの事件が起きて初めてそういうことを新聞紙上等で聞きまして、驚いたような次第であります。おっしゃられますように、同時に仕事をやっておる者として、個人の経済だから知らないというようなことはまことに無責任じゃないかというおしかりもございましょうけれども、私の方の経理の実情はそのようなことでありますので、保険金やその他事務費のそうした面につきましては、決算によって私ども承知しておりますけれども八幡荘に貸し付けた金の問題につきましては事実わからなかったのであります。
  110. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 もう一点だけで終ります。政府が指摘しておりますので、あなたもそれは御承知だろうと思うのだが、飲食費などについて非常に放漫きわまる支出があったということを政府は指摘しておりますが、あなたらは、経理部長は他人だから自分の責任の範囲でない、こういりふうお言いになるのかもしれぬけれども、少くとも政府からこういうような著しい放漫支出を指摘されたということは幹部としては御承知だろうと思う。こういう事実はあったのでありますか。
  111. 琴寄仁

    琴寄参考人 確かに経理の面で指摘されたように百八十回も宴会を開いたように書類の上ではなっておったろうと思います。つまり農林省の指示によりますところの共済組合の会計経理というものが指定された科目によって整理されております。従いまして損害評価に対する関連の会議、あるいは費用等は、いずれも損害評価費というようなことで経理され、それぞれの科目が特別にこまかな科目を設けてやるということを認められませんので、勢い経理の面といたしましてはそうした指定科目の中に入れて整理をされたと思うのでありますが、これは農林省からも監査が参りまして、この科目はこういうふうに指定した科目で整理しろというように、何回か御指示があったもので、その科目に向って経理の方では整理したということを聞いております。確かにこの事業の初めでありますので、指示、普及、あるいは農林省といたしましても栃木県は地理的にも非常に近いので全国のモデル・ケースとしていろいろな面で指導に参りました。
  112. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そういうことはいいんです。やはりあなた、これは自分の立場を弁解するというんじゃなしに、これだけ国会も関心を持って調べようとしておるのですから、謙虚な気持で反省しなければいけません。これは自分たちの立場を何か弁解すればいいというようなお気持があったら大へんな失敗だろうと思いますので、これだけ申し上げておきます。
  113. 上林與市郎

    上林委員長 琴寄参考人に対する質疑はこの程度にとどめます。琴寄参考人には御苦労でした。御退席を願います。  次に浜崎参考人に対する質疑に入ります。山田委員
  114. 山田長司

    山田委員 浜崎参考人はいつから経理部長をおやりになられましたか。
  115. 浜崎寛

    浜崎参考人 経理部長になりましたのは昭和二十四年ころと記憶しております。
  116. 山田長司

    山田委員 栃木県じゅう騒がせました共済連事件昭和二十四年の陸稲災害の戸数を水増しして報告するときに、あなただけでこれを処理したものとも思われませんが、だれとだれでこの会合に出て水増し戸数及び反別の戸数、こういうふうなものをされて、そうしてあなたはどういう立場で——もちろん経理部長の立場で了承したと思うのですが、これについてはあなたは御意見をはさまないでそのまま農林省に出したものですか。
  117. 浜崎寛

    浜崎参考人 ただいま山田さんの方から水増しというようなお話があり、それに対して相談というようなことですが、この問題に関しましては事業部長琴寄氏の方でもっぱら町村の損害評価の指導並びに事務の処理を指導監督をいたしておりまして、戸数の問題が多かったとかいろいろな問題は、一応書類を本省に提出いたしましたが、その当時は職員もきわめて少いというような関係もありましたので、町村が当初出しました引き受け戸数以上に損害の戸数ができるというようなことは、事務的に粗漏といえばいい得るのですが、書類の提出を本省より非常に急がれたというような関係もありまして、そういうような戸数の内容の検討、突き合せというようなことはいたさずに、県を経由しまして本省に提出をいたしたというような内容であります。その結果本省の方の引受係その他によりまして、それらの内容を検討の結果、戸数が多いということになったように記憶しております。
  118. 山田長司

    山田委員 各部で損害評価書を作成する場合に、各部で作ってきたものを郡の連合会ではそのまま検討せずに農林省に発送したということなんですか。
  119. 浜崎寛

    浜崎参考人 もちろん検討の責任はありますが、制度上の機構ということについても、御存じであろうと思いますが、本部職員が支部に駐在しておるというような関係で、一応町村間のバランスであるとかあるいは損害評価の面積あるいは戸数の総合というような問題は、支部に責任を持たせるように指導をいたしておりまして、本部におきましては主として郡間のバランスあるいはその他期間の損害の調査等の意見を徴しましてやるわけでありまして、もちろん連合会が全然この内容につきまして調査をしないというわけではないのであります。あのときの書類の前にも、その他の種目におきましても一、二回あったと思いますが、これらにつきましてはやり職員数の手不足というようなことと、この制度の内容が事務的に非常に繁雑をきわめているというような面等もありまして、遺憾ながら、多少のそうした違算、食い違い等はたまたまあったというような……。
  120. 上林與市郎

    上林委員長 弁解がましい答弁にならぬように、質問に対して具体的に明確に答弁して下さい。
  121. 山田長司

    山田委員 浜崎参考人はたまたまというふうなことを言われておりますが、実は河内郡の豊郷村の場合は二十四年から毎年災害の共済金の要求がなされてきて、二十四年には麦が三十九万何がし、二十四年にさらに水稲も四十一万四千五百六十円というような工合に、これがみんな公文書を偽造したりあるいは私文書を偽造したりしているのですが、共済連会長の村がこういう状態で毎年心々平面の中に一つぷつっと共済金を要求する村があったのです。そういう点経理部長として会長の村であるからというようなことで、これは何か遠慮してしまって、別に不思議がらずにそのまま農林省に報告したのじゃないかというようなわれわれは気がするのですが、この点報告するときに会長とどんなふうな問答などがなされましたか。
  122. 浜崎寛

    浜崎参考人 豊郷村が単独に四隣町村あるいはその他の町村に比較をいたしまして損害の額が多かったというよう事実は私としては記憶しておりません。またこれに対して特別な何か話があったとか相談があったとかいうような事実もありません。会長自分の村につきましては責任もありますので、町村の問題もさることながら、河内郡という関係につきましても、他部とのバランスということにつきましては特に常々注意し、ことに事業部長を通じまして厳密にしかも適正、公平にやるように注意しておることを私は耳にしております。こんな経過になっております。
  123. 山田長司

    山田委員 あなたが八幡荘に融資をした二百八十万の事件については、八幡荘のおかみはいまだに返済をせずにおるそうですが、どういう目的であなたは八幡荘に融資をなさったのですか。
  124. 浜崎寛

    浜崎参考人 別に目的というのはありませんでしたが、たまたまあの人と面識があるようになりましてから、実は私の建物がある人に借金のために名義を書きかえられてしまった、何とかして私の目の黒いうちはこの店を続行したいというようなことで、再三どなたか資金を融資してくれるような方がありましたら一つ御心配が願いたいというような強い御依頼がありましたので、私も当初におきましては別に深く考えておりませんでしたが、再三にわたり窮状を訴えられ、いろいろ話をされましたので、同情をいたしまして貸与するような格好になったというだけでありまして、その間に何らの事情も個人的な考えというようなものもありませんでした。
  125. 山田長司

    山田委員 あなたが共済組合連合会経理部長になられて間もないときに、二百八十万の融資でありますが、当時の二百八十万といいますと今から思いますとかなり金の価値のあったときです。そのときに二百八十万の融資をしたということについては、これはよほどあなたにもゆとりがなければできなかったと思うのです。これらのことについての究明は当時警察当局もしたと思うのですが、あなたの奥さんの実家からこの融資をしたというように当時言われておりましたけれども、実際どう考えてみてもこれはわれわれにはそうは理解ができないのです。それはやはり共済連の金を融資したものではないかというふうに考えられているのですが、一体あなたの奥さんの実家から融資したということについては間違いないのですか。
  126. 浜崎寛

    浜崎参考人 その点につきましてはいささかも間違いがありません。
  127. 山田長司

    山田委員 この問題については、あなたとさっきの人見さんの話を伺ってみても、知り合いになってから一年足らずの間に二百八十万の融資をされたわけなのですから、あなたとしてもよほどこの料亭に対する希望をお持ちになっておられたことだと思うのです。この共済連事件幹部の諸公がかなり八幡荘を使用し、あるいはその他の料亭を使用して宴会を開いておるようですが、百八十回からの宴会数だと言われておるが、これらについては一年間にそんなに多くの回数料理屋を使用したのですか。
  128. 浜崎寛

    浜崎参考人 百八十回とか個所とかいうことにつきましてははっきり記憶はいたしませんですが、この問題につきまして、私も不可解なのでありますが、各支部等の関係もありまして、領収書は支部の関係も一括して連合会決算面に計上されますので、各支部におきましてもある程度会議もあり、そういうような関係で、九支部がやったのと、連合会の会食をした、あるいは会合の際に昼飯を出したというような関係が集計されまして、そういうような回数になっているのじゃないかと思います。私はそうした百八十回とか個所とかいうようなことにつきましては、内容をほとんど検討してありませんので記憶にありません。
  129. 山田長司

    山田委員 あなたは経理部長として、佐藤会長が同じ日に那須へ行き、あるいは東京に来、あるいはもう一カ所どっかよその地区に旅行しているのですが、これらについて何ら不思議な感を抱かずに金の支出をやったわけなんですか。こういう点については何かあなたは会長に注意をしなかったのですか。
  130. 浜崎寛

    浜崎参考人 この点につきましては、無責任だと言われるかどうか知りませんが、そういう内容になっているというようなことはほとんどないというふうに承知をいたしまして処理をいたしておったようなわけであります。
  131. 山田長司

    山田委員 今のあなたのお言葉ははっきりしませんけれども、そういうことはないとおっしゃるのですか。
  132. 浜崎寛

    浜崎参考人 あったかどうか、事件に取り上げられましてそういうことをいろいろ調査をされました際に、国警の方からそういうお話があったのですが、私自身が当時の書類を検討したり何かする機会がありませんので、それに対して確認するというようなことは不可能な状況にありました。その後退職をしたというようなことでありますので、はっきりそうなっているかどうかということの確認は私としましてはいたすことができなかったような状況にありました。
  133. 山田長司

    山田委員 あなたが私文書を偽造した幾つかの問題も出ているわけですが、私は、会長から命令されてやむなくいろいろな経費を使用されて、そういうことについてやらなければならなかったのじゃないかと思われるのですが、この共済連事件というのはほとんどあなたが一人で責任を負ってしまったような感じを、この問題に関心を持っている栃木県の人全体が受けているような気がするのです。そこで尋ねるのですが、佐藤さんの選挙資金などが共済連の中から出ているといわれるし、共済組合に働いている人たちからも、かなり給料から天引されて選挙資金が出たということをいわれているのですが、こういう点についてはあなたはどういうふうに佐藤さんから持ちかけられてそういう処置をとったのですか。
  134. 浜崎寛

    浜崎参考人 ただいまの御質問でありますが、佐藤さんから持ちかけられたというような事実はさらにありませんですし、またそのいろいろな内容につきましては控訴中の問題もありまして、ここで詳細にわたるお答えは差し控えたいと思います。
  135. 山田長司

    山田委員 どういう観点で差し控えたいというのですか。
  136. 浜崎寛

    浜崎参考人 国警の手入れあるいは関係者の告発等によりまして、私がいろいろ長期間取り調べを受けたのでありますが、ただいまおっしゃるような問題につきましては微に入り細にわたりまして、詳細に関係帳簿の調査とにらみ合せまして私に対する尋問が行われておりますので、いろいろそれらの問題とも関連がありますから、答弁を差し控えたいと思います。
  137. 山田長司

    山田委員 どういう点であなたは答弁を差し控えるのかわかりませんが、あなたが全部責任を負ってしまって、あなただけが帳面の書きかえをやったり、あるいは損害評価の問題についても、あなたが水増しを余分にやって農林省へ出したり、何かあなたでなくとも、あなたの背後からあなたを使嗾したという印象が強いのですが、この機会にあなたはこの事態を明らかにせずにおいては、あなた自身の御損であるばかりでなしに、やはり本問題の真相を明らかにするためにも、あなたにもう少し誠意のある御答弁を願いたいと思うのですが、いかがなものでしょうか。
  138. 浜崎寛

    浜崎参考人 この事件に関する責任は一応私が一身に負ったような形になっておりますが、共済連事件につきまして、損害評価の問題から何から何まで一切私が全責任を持って処理したというような事実はありませんです。これはおのおの事業部門であるとか、その他総務関係であるとか、経理というような関係で、一切の仕事を私の手によって行なったというような事実はさらにありません。また事件の責任を一身にになったというような関係でありますが、これにつきましても、他にいろいろ波及するような問題も別に私の記憶にはないというような関係から、私に対する責任として追及される問題は、検察側なりなんなりの御判断によりまして、公平なる審判によりまして第一審の判決を完了したというように考えておりますので、何か私が一身に責任を負ったというようなことにつきましては、別に私はそういう点については考えておりません。
  139. 山田長司

    山田委員 私の質問は終ります。
  140. 上林與市郎

    上林委員長 他に御質疑はございませんか。
  141. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 浜崎さんにお伺いいたします前に、ちょっと農林当局に確かめたいのでありますが、農林省農林経済局長から栃木県の農業共済組合連合会長佐藤清一郎氏に対して、昭和二十八年十一月十二日付で大阪から指令書ともいうべき文書が行っております。これは資料としていただいたものでありますが、そのうちの四ぺージ目の一番上段のAの(イ)でありますが、ここに「昭和二十四年以降役職員に対し旅費、損害評価費等の科目から々毎月の如く実質的には「給与と見倣し得るもの」を不当に支出している。」こういう記載がありますが、これは大体どれほどの金額になるのでありましょうか。
  142. 大坪藤市

    大坪政府委員 私どもの検査官が検査をいたしましたところによりまして、大体実質的に給与費とみなし得るものが相当支払われているということが概括的にわかっておりますが、実は現在その証憑書類が関係当局に押収されておりまして、まだ連合会の方に返ってきておりませんので、具体的に数字をはじいておりません。これだけが残っております。金額はわかっておりません。
  143. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 関係当局というと検察庁ですか。
  144. 大坪藤市

    大坪政府委員 さようであります。
  145. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大体はわからないのですか。たとえば百円というか百万円というのか、大よその見当はわかりませんか、正確でなくてもいいですが。あまり少い金額ならこれは問題にしません。
  146. 大坪藤市

    大坪政府委員 まだ大体の数字も実はつかんでおりません。
  147. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大体の数字をつかんでないならば、何ほど以上であるとか何ほど以下であるとか、それはわかりますか。
  148. 大坪藤市

    大坪政府委員 現在は判明いたしておりません。
  149. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、その次のBでありますが、「昭和三十四年以降毎年、件数が常軌を逸し、而も莫大な飲食費と認められる金額会議費、損害評価費、雑費等の科目から支出されている。」これについては大体概略どのくらいの金額になりますか。
  150. 大坪藤市

    大坪政府委員 この点につきましては、そういうような事態が認められますので、連合会といたしまして詳細な数字を出すことを命令いたしてあります。ただ連合会といたしましても、証憑書類が全部押収されておりまして、計算ができないような事情にあるのでありまして、この点につきましては大体の数字も判明いたしておりません。
  151. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ごもっともの節もありますけれども、しかし検察庁に証拠物件として押収されておる場合には最終確認ができないまでも、大臣名で県連合会長災害補償法に基いて指示しておるのでありますから、全然見当がつかないということはいかがかと思います。ことに今ちょっと伺ったBは、莫大な飲食費というような表現までしてあるのであります。莫大なという以上は相当何かよりどころがなければこういうことは言えないだろうと思います。莫大であるのか僅少であるのかというようなこともわからずに、そういうような文書を作成するということはいかがかと思います。
  152. 大坪藤市

    大坪政府委員 私も実はその通りに考えるのであります。二十八年の十一月にこの指令を出しておりますが、そのときには警察等の調べによりまして一応こういうことを確認を得てやったと思いますが、証憑書類自体といたしましては警察の方に押収されておりますから、実はその当時の事情は私はよく知っておらないわけであります。これは一日も早く調査を進めるように係の方に命令いたしております。
  153. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今の御説明によると、第一点は、そうするとまだこれらの問題は未解決の状態にあるということですか。第二には、この検察当局に押収されておる帳簿類ということが理由になっておるが、一体検察当局はだれの刑事事件としてこの物件を押収しておるのですか。われわれの法律常識からいたしましたならば、この事件はいつか存じませんが、昭和二十四年度の保険金に関するものらしいのでありますが、すでに本年度はそれから五年も六年にもなっております。さすれば事件はもうすでに終了したのではないか、終了した場合に検察庁が証拠書類を置いておくというようなことは考えられないのであります。もしこれが最高裁判所に係属しておる場合には、そういう場合にも仮還付がありますし、ことにあなたの方は国家の行政機関として、それぞれ権限に基いて法律上の処置をするのであるから、いまさら検察庁が捜査のために必要であるというのでそれを離さない、仮還付もしないというようなことは、これは法律上の常識からは想像されないのであります。そもそも一体この事件はだれの事件でまだ未解決であるのか、そういうことは確認しておられるのかどうか、それを伺います。
  154. 大坪藤市

    大坪政府委員 浜崎氏の控訴事件が係属中であるものでありますから、十日ほど前に連合会の方に早く書類を出してもらいたい、こういう督促をいたしましたが、その当時まだ検察当局の方から関係書類が返還になっておりません。
  155. 山田長司

    山田委員 ただいまの事件に関連いたしまして、実は栃木警察部部へ行ってこの問題を調べました。ところが当時の検事正は転勤になり、さらに担任の検事は十日ほど前に転勤になって、書類は戸だなの中に入れっぱなしである。一体これは世に出ずにしまうかもしれない。しかし調べた当局者としては、一体このままにしておいては、正が栄えず、邪が栄えるというような結論になる。このままにしておくわけにはいかないのだが、どうしたものだろうというような、実は相談的な話を持ちかけられたほどのことです。しかも戸だなの中に入れてある書類は、検察当局に許可願を出せば出すかもしれないけれども、そうでない限りにおいては、証拠書類は見ずにしまうだろう、こういうことをいわれているようなありさまなんです。今の御質問のように、莫大な経費が飲食費やあるいは機密費等に使われているこの共済事件というものを、このままにしておけば世に出ずにしまうと思うのですが、この点について農林当局では至急に検察当局にこの書類を見るために公開をしてもらうような要求をする意思があるかどうか。それからこの事件というものは、どうも私ふに落ちないのですが、検察当局がややもするとこの共済連幹部諸公と連絡があったのじゃないか。県民が数回にわたって検察当局にこのことの抗議を申し出ているにかかわらず、検察当局はこれを遅々として進行せしめずにいる、こういう事態なんです。農林省当局では、これらについての書類をどういう形で公開して見せてもらうつもりか、一応伺います。
  156. 大坪藤市

    大坪政府委員 御意見によりまして、私どもといたしましては、できるだけすみやかに書類を返してもらいますように請求いたします。
  157. 山田長司

    山田委員 できるだけすみやかとは、どのくらいな期間を置いてそれを明らかにするための書類の要求をするつもりですか。
  158. 大坪藤市

    大坪政府委員 直ちに検察当局に折衝いたしてみたいと思います。
  159. 細田綱吉

    ○細田委員 これはあなたがさっきも御答弁になったように、二十四年の事件でしょう。栃木県連合会の書類はいつ押収されたのですか。
  160. 浜崎寛

    浜崎参考人 時期といたしましては、昭和二十八年の九月と思います。
  161. 細田綱吉

    ○細田委員 二十八年ですか。
  162. 浜崎寛

    浜崎参考人 昭和二十八年の九月二日というふうに記憶しております。
  163. 細田綱吉

    ○細田委員 事件の一審の判決はいつあったのですか。
  164. 浜崎寛

    浜崎参考人 昭和二十九年の八月中と記憶しております。
  165. 細田綱吉

    ○細田委員 それで農林省に伺うのですが、九月に判決があったならば、必要な証拠は、法規上高等裁判所へ送致するなり、あるいはあとは当時者に返すなりしなければならぬ。ところが九月に判決になって、もう小一年、十カ月になって、仮還付もなく、そのまま置いておく、これは農林省からもそういうことを栃木県の検察庁あるいは警察部へ照会しないのですか。まだ回答がありませんというようなことで、あなたたちはじんぜん日を延ばしているのですか、その点を伺いたい。
  166. 大坪藤市

    大坪政府委員 その点につきましては、過去におきまして再々関係書類を見せてもらうように折衝をいたしたことはあります。ただそのつど検察当局では、これは重要な証憑書類であるので、門外の者に見せるわけにいかぬということに相なっております。しかし事態も今日になっておりますので、さらにすみやかにもう一度書類を見せてもらうように折衝いたしたいと思います。
  167. 山田長司

    山田委員 浜崎さんにもう一ぺん当時の様子を想起していただきたいのですが、あなたが検挙をされたのは二十七年の十一月だと私は思うのですが、その時日についての思いを新たにしていただきたいのですが……。
  168. 浜崎寛

    浜崎参考人 二十八年に間違いありません。
  169. 山田長司

    山田委員 実はこの事件は、昭和二十七年十一月初旬に、この決算委員会で、当時の犬養法務大臣に、久保田検事正と栃木県の共済連佐藤会長とが親しいために、このことは検挙されないのだということを佐藤一郎氏が古里村に行って言われた、このことから犬養さんに私は詰問したわけです。犬養さんは、久保田検事正と親しいと言っているが、久保田検事正と何回面識があるかという質問をしたところ、当時犬養さんは二度しか面識がないということで、直ちにその日の午後六時ごろ犬養さんが久保田検事正に電話をいたしまして、それで昭和二十七年の十一月にこの事件というものが急転進行したわけです。これらを今私は新たにしてみて、問題が実に複雑怪奇なんです。この事件というものは一審の判決をみた形にはなっているけれども、実際は書類を全部世に出せば、被害浜崎経理部長以外に及ぶということで、この書類を検察当局が出さずにいるということを言っている者があるわけです。こういう点について農林省当局では、この書類の至急返還方を検察当局に懇請して、この書類をもう一ぺん見直す必要があると思うということが一つ。  もう一つどうしてもふに落ちない点は、次々と検察陣が栃木県はかわってしまっているので、このままにしておけば、これはやみからやみに葬られてしまう危険があるという声が、栃木県の共済掛金をしている農民の中から一部出ているわけです。そういう点について農林当局では、すみやかにでなくて、これは速急に人を派遣してでも、検察当局から書類の返還方を要求されることを私は切望するわけです。一つ農林当局の御答弁を願います。
  170. 大坪藤市

    大坪政府委員 御意見のようにいたしたいと思います。  それから二十七年とありますのは、実は二十八年の誤まりじゃないかと思うのでございます。私どもの方で検査いたしておりますのも、二十八年十月九日からやっておりますので、それはおそらく二十八年の間違いじゃないかと思います。
  171. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 浜崎参考人に伺います。あなたはいつからいつまで県連経理部長をやっておりましたか。
  172. 浜崎寛

    浜崎参考人 昭和二十四年の五、六月ごろから昭和二十九年の一月末までというふうになっております。
  173. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そういたしますと、さきに私が読み上げました農林大臣から連合会長あての文書は、これは主として県連の経理面に関するものが多いのであります。そこであなたの方は内部的にそれぞれ指示に従って会計経理をさらにせられたものと思います。ついてはさきに農林省に伺いましたこの二十四年以降役職員に対する旅費、損害評価などの科目から毎月実質的に給与とみなし得るものを不当に支出している、こういう点についてもそれぞれ計算をせられ措置せられたものと思いますが、結果はどういうことになっておりますか。
  174. 浜崎寛

    浜崎参考人 現在になりましてはほとんどばく然といたしましておりますので、内容につきまして御説明申し上げることはちょっとできないような状況でございます。
  175. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 しかしあなたも非常に重大な責任がある立場であるし、それからさきに事業部長であったという人の説明によりましても、経理は経理部長の全責任でやっておる、こういうことであるし、農林大臣から県連会長に対する法律上の重要な指示があったというようなこと、ことにその劈頭には背任行為と認められる、農林大臣からこういうような指示がされておるのであります。しからばそのような重要な記載をされた指示があった以上は、何らかの措置をあなたの方で経理上しなければならぬ、詳細に御記憶になっておらぬといたしましても、何らかの措置をしたかどうかぐらいは御記憶があると思うんだが、いかがですか。
  176. 浜崎寛

    浜崎参考人 農林大臣からの指示がありました当時はおりまして、その指示に基きまして科目の入れかえその他修正等の関係を行うように指示された問題につきましては、処理をする意思でおりましたが、そうした仕事を始めないうちに私逮捕されましたので、遺憾ながらそうした命令によりますところの一切の事務的な面を処理いたすことができなかったというふうな実情になっております。
  177. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 身柄が逮捕になりましたので、実質的にこれらの作業ができなかった、それはあるいはごもっともなことであります。それならばさきにまた指摘いたしましたBに属するのでありますが、飲食費と認められる莫大なものが会議費とかその他の名目で出されておるというのでありますが、こういうことについて思い当ることはありませんか。
  178. 浜崎寛

    浜崎参考人 これの経理の処理につきましては、農林省の太田事務官が一切の全国の連合会の経理指導をいたしておりまして、実際の会議に関するところの支出等につきましては、会議関係の科目から支出をしなさい、また損害評価関係するところの支払いにつきましては、それは旅費であろうと会議費であろうと、内容のいかんを問わず一切損害評価費で処理をしなさいというように、年に一回ないし二回の全国経理主任者の指導講習会というようなものがあった際に、さような御指導を受けておりましたので、本省の指示に基きまして私の方はさような処理をしておりましたので、評価費中に会議費が含まれておるというような面もある程度あったと思います。
  179. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたは今刑事事件が係争中なんですか。
  180. 浜崎寛

    浜崎参考人 さようであります。
  181. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは触れる必要はないのでありまするけれども、やはり今問題になっておりまする事件に関して起訴されたんですか。
  182. 浜崎寛

    浜崎参考人 起訴された問題は五つか六つくらいあったと思いますが、そのうち無罪になりましたものもあるししまして、三つほど有罪になったように記憶しております。
  183. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 有罪の判決を受けたのは、要するにただいま問題になっておりまするこの事件のことなんですか。この事件と申すと抽象的でありますけれども法律上は背任とか、横領とか、私文書、公文書偽造、返還等に関するものと思いますが、そういうような罪名になっておりますか、伺います。
  184. 浜崎寛

    浜崎参考人 本省より御指示されました内容に該当するものはあまりないように記憶しております。
  185. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたは今刑事問題がなお判決が未確定な状態でありまするので、あなたの説明はどの程度できるか一応問題でありますけれども、要するところ二十四年もしくはその後の年度における栃木県の農業共済組合連合会の経理会計におきまして、栃木県下の組合、結局は組合員である農民に渡すべき金が相当大きな金額が渡されずにあるのでこの問題が起っておるようにわれわれは判断いたしておりますが、あなたといたしましては、それが罪になるかならないかは一応別といたしまして、争いになっている金額というものは何ほどの金額が問題になっておるんでしょうか。別の面から申しますると、組合とかあるいは窮極において百姓に渡すべき金額であるのか、あるいはそうでない別にとるべき金額であるのか、そういう点は別にいたしまして、ともかく問題視されておりまする金額の総計は大体どのくらいになっておりますか。
  186. 浜崎寛

    浜崎参考人 御質問の内容が私ちょっと了解できないんですが……。
  187. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたは今刑事事件として公判中だとおっしゃっていますから、触れることを控えているんです。しかしながら問題といたしましては、連合会組合に支払うべき保険金を支払っておらなかった。窮極においてそれは組合から組合員に払うべき共済金になるべきだと思うんです。そういったことが問題なんです。つまり共済金の支払いが適正に行われておらぬというところから問題がだんだん広がっておるのであります。これが先刻来の質疑応答の中心課題なんです。そこで連合会の経理の最高責任者といたしまして、当不当あるいは不当であったか適法であったかは別といたしまして、また犯罪になるとかならぬとかは別といたしまして、ともかく経理部長といたしまして県連が不当な経理をやったといわれておる。その金額の総計は大体どのくらいになるのかというのが私のお尋ねの趣意なんです。
  188. 浜崎寛

    浜崎参考人 この問題につきまして、農家に支払うべきものの遅延その他というようなことは、制度上の問題もありまして、われわれの方では再保険金の交付の促進方を政府に要望し、一日も早く農民にこれが支払いをしたいというようなことでありまして、最善の努力を尽したような次第でありますが……。
  189. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私はそんなことを聞いてはいない。たとえばあなたも受け取って知っておるだろうが、農林省の当局の指摘しておるところによりましても、この任意共済事業勘定から農業勘定に繰り入れたような金額の限度を超えたようなものも約二百万円もあるし、これらが不当に計上されておるような問題もあります。あるいは今指摘いたしましたように、旅費とかあるいは損害の費用の評価とか、いろいろな名目で不当に評価されておるものもあります。こういうものが犯罪となるかならぬかは別といたしまして、あるいはまた先に組合に渡すものも渡していなかったものが、遂に政府の勧告指示によって渡したということも、さっきの参考人は言っておるのであります。いろいろな問題があるのであります。これは何千万円という金額さえ質疑の間に出たのでありますので、そういった問題も、あれもこれもいろいろ含めまして、あなたが問題視されておる金額がどのくらいあるかということを伺っておるのであります。連合会組合員の末端の百姓に直接金を渡すことはないということはわかっております。連合会の諸君が政府に対して何をしなければならぬ、そういうことを聞いておるのではないのであります。問題にされておる金額がどのくらいになるかということを承わろうとしておるのであります。一々みんなあげて、これが適当であったかあるいは不当であったかを伺う時間もないので、省略いたしておるのであります。であるから問題にされたのは、総計してどのくらいになるかということをあなたの頭の中でまとまる範囲でまとめてもらえばいいのです。そういう意味です。
  190. 浜崎寛

    浜崎参考人 大体有罪といたしまして決定されました金額は合計五、六十万円程度であります。
  191. 上林與市郎

    上林委員長 浜崎参考人に対する質疑はこの程度にとどめます。  浜崎参考人には御苦労さまでした。  なお持ち回り理事会の御承認を得たのですが、午前中で参考人に対する質疑終了の見通しがありますので、申し合せの時間が参りましたけれども、続行させていただきます。  ちょっとお諮りいたしますけれども、次は元栃木農政課長の熊岡実君に対する質疑でございますが、運営上、農林経済局農業保険課農林技官内藤一郎君、それから先ほど病気療養のため欠席するという御報告をいたしましたが、同小暮孫七君も出席しておりますので、一緒に出席していただいて質疑を続行いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  192. 上林與市郎

    上林委員長 それではさよう取り計らいます。  それでは参考人を御紹介いたします。元栃木農政課長熊岡君、農林経済局農業保険課農林技官内藤一郎君、同小暮孫七君であります。  それでは質疑に入ります。山田長司君。
  193. 山田長司

    山田委員 熊岡課長に伺います。栃木県に起ったこの共済連事件について、一々いろいろ損害の要求については、あなたのところを経由をして農林省に種類が出ておると思いますが、最初はかなり金額的に少かったように思いますけれども、これらについては県ではどういう指導されたものですか、詳細に一つ承わりたい。
  194. 熊岡実

    ○熊岡参考人 評価等につきましては、ただいまお話のように県を経由いたしまして農林省に申達したわけであります。ただ共済事業が発足いたしました当初におきましては、県といたしましても陣容はきわめて貧弱でありまして、係といたしましては三名おりますが中心は一人でございます。そういうことで非常に人手が少なかったということと、それから評価そのものに対する検討でありますが、それにつきましては、現在と違いまして、当初におきましては、この統計調査事務所の数字にいたしましても、全然極秘で発表しないという状態でもありまして、やむを得ず評価委員会の意見を尊重いたしまして、そのまま農林省に申達しておった、こういう事情でございます。
  195. 山田長司

    山田委員 農林省内藤課長補佐とほかの方に一つお伺いいたしたい。農林省としては、栃木県から書類がきた場合に、かなり栃木県にあなた方はしょっちゅう来ておるように伺いますが、一体これらの報告についての審議をどういうふうにされたものか、一応伺います。
  196. 内藤一郎

    内藤説明員 実はは陸稲の問題につきましては、陸稲の審査は非常にむずかしい点があるというのは、陸稲の作付面積が百といたしますと、保険引き受けが約五〇%くらいしかない。当時もそうでありますが、現状もそうであります。そんなようなことからいたしまして、統計調査部の資料その他と照合いたしまして、県単位に適正妥当であるかどうか、こういうようなことを県の損害評価委員会の記録その他を参照いたしまして、その他気象状況等も参照して、調査審査をする、そういうような建前になっております。
  197. 山田長司

    山田委員 そうしますと、あなた方は県の方の係員が少いということもあったでしょうが、全然災害を受けた個所などの調査はしなかったというのですね。
  198. 内藤一郎

    内藤説明員 その当時栃木県下に農林省の係官が被害調査に行ったか行かないかということに関しましては、ただいまはっきりした記憶はございませんが、大被害のあった場合には、大体農林省の方の専門係官が現地調査に行っておることと考えております。
  199. 山田長司

    山田委員 あなたが最初非常に真剣な熱意をもって、栃木県の農業災害の調査に行かれておる期間中に、聞くところによると、八幡荘にあなたは行って一ぱいごちそうになっておるときに、あなたが持って行ったカバンをだれかに盗まれてしまった、これに調査していた重要な書類が入っておったということを聞いておりますが、あなたじゃなかったのですか。あったらそのことについての有無を明らかにしていただきたい。
  200. 内藤一郎

    内藤説明員 私はそういうような経験を踏んでおりません。
  201. 山田長司

    山田委員 小暮係長もなかったのですか。
  202. 小暮孫七

    小暮説明員 全然ございません。
  203. 山田長司

    山田委員 熊岡課長に尋ねますが、このことについて何か災害の調査を熱心にやっておる、その書類が盗まれてしまったというようなことが、新聞にも当時出ておりましたが、熊岡課長はそれを知りませんか。
  204. 熊岡実

    ○熊岡参考人 ただいまのお話、承知いたしておりません。そういう書類が盗まれたという話は全然聞いておりません。
  205. 山田長司

    山田委員 これは私は一、二の人に聞いたのじゃなくて、はっきりそのことを聞いていますから、お帰りになられましたならばそのことを調べていただきたい思うのです。農林省の、ここへ見えておる内藤さんと小暮さんでなかったかもしれませんが、実際そういう方があったと思うのです。ただいまの問題につきましては、警察の方と連絡をとって一応熊岡課長からそのことがあったかどうかということの御回答を願いたいと思います。
  206. 上林與市郎

    上林委員長 ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  207. 上林與市郎

    上林委員長 速記を始めて。質疑を続行いたします。山田委員
  208. 山田長司

    山田委員 ただいまのカバン紛失事件というのは、詳細にお話ししないと理解できないと思うのですが、実は農林省の役人が災害の実態調査に参りましたところが、その調査に来た人がなかなか熱心な人で、調査をしている期間中にこれが明らかになってしまったら大へんだということで、役人が数日かかって調べた書類を、全部何者かに盗まれたのです。そしてカバンは八幡山に捨てられてありまして、中の書類は一片も紙片をとどめずにどこかへ紛失してしまったのです。この事件はあなた方は知らぬと言っているけれども、証拠はちゃんと上っているのです。そういう事件なるがゆえに、ただいま私は質問したのです。それから先は、農林省では栃木県に災害の調査に行くのはいやだということを係官が言っているというふうな話を耳にしておるわけなんです。しかるがゆえにただいまそのことの質問をしたわけなんです。どうぞその点についての御回答を願います。
  209. 上林與市郎

    上林委員長 書面による答弁と申しますか、それは今山田委員は必要ないということであります。なお保険課長から発言がありますから、保険課長の発言を承わりたいと思います。
  210. 橘武夫

    ○橘説明員 ただいま山田委員の御指摘の点でございますが、私どもの承知しておりますのは、昭和二十八年の八月でございますか、連合会の監査のために私どもの係官が栃木県に参りましたときに、県庁の寮に宿泊しております際に、その係官のうちの一名の持っておりますカバンが、夜中に紛失した。それは盗まれたということで非常に探しまして、その翌日ですか、何かその近所の山かなんかに捨ててあるのを発見いたしました。監査のための書類が入っておりましたので非常に心配して探したところが、結局私が承知しておりますところでは、書類はその近所にカバンと一緒に散乱して落ちておった、ただ現金が全部なくなったというふうに聞いております。
  211. 山田長司

    山田委員 このことはさらに農林当局に一つ御調査を願いたいと思います。それでその当時調査に行かれた人はどなたであるか、名前は私は失念しておりますが、そういう熱心な人が調査に行かれていたことがじゃまになるので、栃木県の共済連としてはかなりこれにいろいろ手を打った。それからあとにお見えになられた方々は課長補佐の内藤さんと小暮さんだと思うのです。あなた方は栃木警察部の調べによりますと、十三回にわたって栃木県の共済連から供応を受けておる、こういう調べの結果が出ておるわけなんですが、どういう供応を受けたのですか、一応この点明らかにしていただきたい。
  212. 内藤一郎

    内藤説明員 お答えいたします。ただいまお話の十三回にわたって供応を受けたというお話でございますが、そんなにしばしばいわゆる供応を受けたというような気持は私は持っておらないのでございます。
  213. 山田長司

    山田委員 その会同にことごとく栃木県の共済連会長出席したというお話ですが、その点どうですか。
  214. 内藤一郎

    内藤説明員 栃木県の共済連会長佐藤氏がしておられましたその当時に、共済連の赤字問題、これは栃木県だけではないのでありますが、そういうような問題その他で制度改正等の問題について話をしたことがございますが、損害評価その他の事柄で佐藤会長と話し合いをしたような事実はございません。
  215. 山田長司

    山田委員 現金、物品等の供与を受けたということはないのですか、これがためにあなた方も警察当局に取調べを受けておるわけなんですが、このことについてやはりこの際明らかにしてもらいたいと思います。
  216. 内藤一郎

    内藤説明員 私もお話のように現金をもらったというようなことで取調べを受けましたが、そういうような事実は絶対にないわけです。盆暮れの贈り物等をお贈りいただいたことがあるのでありますが、そういうことがありまして以降は、そういう誤解を受けることのないようにいたしております。
  217. 上林與市郎

    上林委員長 他に御質疑はございませんか。なるべく時間を集約して御質問をお願いいたします。吉田委員
  218. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 農政課長にちょっと伺っておきますが、河内郡の豊郷村の農業共済組合で、二十四年の同村の共済金三十九万円あまりが組合員に支払われることなくして、保留もしくは個人がこれを所得しておった、こういう事実はあったのでございますか。
  219. 熊岡実

    ○熊岡参考人 豊郷村でそれが本人に支払われてなかったという事実、私ちょっと具体的にははっきり承知いたしておりませんけれども組合員によりましては、共済金の掛金の未納等がございまして、支払いの場合に、好ましいことではございませんけれども相殺した場合は相当あると思っております。
  220. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、これは要するに共済金の不払いがあった。払っておらずにあるいは相殺したとかあるいは支払わずに他の目的に使用したとか、何かそういう事実でもあちらこちらに相当あったわけですか、あなたが御調査になったところでは。二十四年度です。
  221. 熊岡実

    ○熊岡参考人 二十四年当時は、実は私農政課長に就任当初でありまして、今のところ数字も持って参りませんでしたし、はっきりした記憶もないのではっきりいたしませんが、掛金の未納が相当多かったことは事実でございます。従いまして共済金の支払いの際に相殺をしたということは相当あるわけであります。ただその金の使途につきましては、個々組合についての具体的な事例につきまして本日資料を持っておりませんので確答いたしかねますが、豊郷の問題についても今日資料を持っておりませんが、この豊郷の問題につきましては、たしか検察当局の方でお調べになったと思いますので、もしか差しつかえなければそちらの方からお聞きいただきたいと思います。
  222. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは小さい村のことでありますけれども、何かこの組合組合長は同時に県の連合会長を兼務しておられる方らしいのであります。従って非常に重要な、注目すべき案件でないかと思ったので、あなたの御記憶があればお答えいただきたいと思って聞いたわけでございまして、その組合約で四十万、水稲の分が同時に四十一万余り不払いになっておる、そこで問題が起った、こういうことを聞いておりますので、特にあなたとしては監督の立場だから十分御記憶なりあるいは御関心があろうかと思って聞いたわけなのでありますが、それ以上御説明はできませんか、できなかったら取りやめます。
  223. 熊岡実

    ○熊岡参考人 ただいまお話しの豊郷の組合長連合会長を勤めたことも事実でございますが、そういうことをちょっと新聞紙上等で拝見いたしましたが、私の方の職員が調査しようといたしました場合におきましては、書類等につきましては警察の方で取調べ中でございましたので、詳細につきましては、県の方で調査をいたしかねたような事情でありますので御了承いただきたいと思います。
  224. 上林與市郎

    上林委員長 以上で参考人に関する本日の議事は全部終了いたしました。参考人各位には御苦労でした。  本日はこの程度にいたし、次会は公報をもってお知らせいたします。本日はこれにて散会いたします。    午後一時五分散会