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東田参考人 今御
質問ありましたことにつきまして、私の感じを述べさせていただきます。
第一に、現在の
農民あるいは末端における
組合長の職務ということから見ますと、末端におきましては大部分は農業
協同組合の
組合長と兼ねてしておるのが多いのです。なおその他には町村長と兼ねておるものも約二割くらいおります。ただこれに対して専門的に単独でやっておる
組合長は少いのです。その意味におきまして現在の農業
協同組合の
運営上におきまして相当困っておる。そのために
組合長はこの
運営を打開しなければならないというので専心かかっておりまして、
共済組合の方の問題に対しましては、大体ほんの
兼務であるという気分であしらっておる。また専任
職員にしましても、その専任
職員たるや学力は小学校卒業、昔の中学校卒業というのはほんの微々たるものでありまして、大体現在の新制中学か高等小学校を出たような者が現在
職員として働いておる。というのは、大体俸給が割合に少いので一人前の者が働けないということが
根本になりはしないか。またこの
制度だけでやっていくについては、
農民の負担金を相当ふやさなければならない。ために
組合長は割合に名誉職的な
考えを持って無報酬であるか、あるいはまたほんの微々たる報酬しか一年間にもらわない。そして
制度そのものが非常に複雑である。この複雑な
制度が非常に忙しい
組合長、あるいはまた専任
職員に十分のみ込めない。なおまた戦後におきましては、これにかかっておるところの各
支部長にしましても、戦後派の
支部長が相当たくさんおります。
支部長は
評価委員を兼ねている者もありますし、またほかの
役員をしている者もありまして、素質のいい者がいるかというとあまりいない。米の供出とかね合いになっている者が相当おりますために、この
制度をわれわれが十分に
運営さそうとしましても、それに対して十分な働きをしてくれない。また
掛金が相当高率になっておる。この高率な
掛金が現在の農村の
農民から見ましたならば、もらうことは喜んでもらうが、出すことは非常にきらうのです。出さなければならない税金でも滞納してしまう。まして一年で消えてしまうような
保険料にしましたならば、出すことは非常に困る。だからこの
保険料を取るというのが相当骨が折れる。われわれは初め二、三年の間は
保険料の取り立てということに相当苦労して、
支部長に頼んだり、あるいはわれわれが村の座談会に行ってやって参りました。ところがその
支部長はだんだん取るということが困難になってきて、ついには
協同組合、
共済組合の仕事はいろいろさせていただくが、金を取ることだけはごめんこうむりたい、その方面をだれかにやってもらえたら俸給の方も差し上げましょう、
評価の方はいたしましょう、また村のいろいろな仕事にもかかっていきましょうと言うが、金を集めることだけはかんべんしてもらいたいということで、その金の問題については
農民との間が相当ぴったりしないということがあります。またこの
制度がそういうふうになってきますと、無事戻しということがこの
制度の中にあるのですが、篤
農家の方に向っては割合に金が流れない。篤
農家でない兼業
農家とかあるいはほんの食糧を取るというだけの
農家は、現在におきましては働きの方の俸給が多いという意味で、少々麦なんか取れなくても、あるいは相当不作でもかまわない、あるいは草をはやしておいてもかまわない。それに対して一方において日給あるいは月給をもらうためにたえていけるんだというので、惰農を養成するということができてやしないかということも
考えられます。この
制度をよりよく一そう充実させていただきますにつきましては、でき得ましたならば無事戻し
制度の拡充、あるいは
保険料をできるだけ少く
農民から取るということ、また素質の向上のために相当な事務費をその
組合に与えていただきたい。そうすればりっぱな
職員も参りましょうし、また専心働いてやっていけるという立場にもなります。
職員の中には本職は
共済組合の
職員でありながら、一方何割かは
協同組合の手伝いをさせられておる。この
協同組合の育成ということも非常に必要でありますが、戦後における
協同組合の行き詰まりということから見まして、やはりそうでもしなければその
組合が立っていけないかと思われます。そういうようなかね合いから現在のような
状況になっております。
以上いろいろなことがありますが、なお御
質問下さいましたならばお答えいたします。