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1955-07-26 第22回国会 衆議院 決算委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十六日(火曜日)    午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 上林與市郎君    理事 赤澤 正道君 理事 椎名悦三郎君    理事 生田 宏一君 理事 徳安 實藏君    理事 山田 長司君 理事 吉田 賢一君       本名  武君    山本 勝市君       關谷 勝利君    山中 貞則君       片島  港君    三鍋 義三君       細田 綱吉君  出席政府委員         総理府事務官         (行政管理庁監         察部長)    岡松進次郎君  委員外出席者         農林事務官         (農林経済局農         業保険課長)  橘  武夫君         会計検査院事務         官         (検査第三局         長)      小峰 保榮君         参  考  人         (忍海村農業共         済組合長)   甲村 重由君         参  考  人         (葛城農業協         同組合参事)  米田 音吉君         参  考  人         (川東村農業共         済組合長)   木原 忠司君         参  考  人         (奈良農業共         済組合連合会         長)      東田 利清君         参  考  人         (奈良農業共         済組合連合会副         会長)     荒木 留次君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 七月二十六日  委員床次徳二君辞任につき、その補欠として山  本勝市君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和二十八年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十八年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十八年度政府関係機関決算報告書  右件中、農業共済保険事業に関する事項につい  て参考人より実情聴取     —————————————
  2. 上林與市郎

    上林委員長 これより会議を開きます。  本日は昭和二十八年度決算中、農林省所管のうち農業共済保険事業に関連する事項について、ここに御出席願いました参考人各位よりその実情を聴取いたします。  なお本日参考人として出頭を求めておりました奈良経済部農政食糧課長本谷義昭君より、昭和三十年産米事前売り渡し集荷予定数量地方別割当に関し、売り渡し推進協議会主管課長として出席いたすため、当委員会出席できない旨の届出があります。  それでは委員長より参考人各位にごあいさつ申し上げます。本日は御多忙中にもかかわらず、遠路御出席をいただきまして厚く御礼申し上げます。農業共済保険事業に関しては、昭和二十八年度決算審査に関連して本委員会として重大な関心を持つところでございます。本日は農業共済保険事業に関連する事項について、特に奈良県の関係者より直接その実情について御説明を聴取いたし、当委員会決算審査に資したいと考うる次第であります。  これより本事項に関し、参考人各位より実情について承わるのでございますが、議事進行の便宜上、委員より質疑のあります点について、関係のある参考人の方から御答弁を願うことといたします。参考人は私が読み上げます通り順序により、お一人あて御答弁を願うことといたしますから、甲村参考人以外の参考人の方は、御通知するまで御退席を願います。順序を申し上げます。甲村参考人、第二番目が米田参考人、第三番目が木原参考人、第四番目が東田参考人、第五番目が荒木参考人でございます。  それでは委員各位より参考人に対して質疑の通告がありますので、順次これを許します。なお理事会の申し合せがございますので、質問なさる委員の方々もその点は十分御配慮の上に御質問を願います。
  3. 徳安實藏

    徳安委員 参考人に伺いますが、共済組合経理のきわめて乱脈と申しますか、そういう意味において代表的だというお話でおいで願ったわけでありますが、組合長さんとしてこの組合運営経理面について、どういうお考えで御処理なさっておりますのか、この内容を拝見いたしましてもずいぶんルーズな点があるように思いますが、率直にお考えを承わりたいと思います。
  4. 甲村重由

    ○甲村参考人 この三月に会計検査院監査を受けまして、その際いろいろ経理面について注意を受けたのでございます。その際に一番注意をされましたことは、保険金として農民に支払われるところのものを、農民の納入すべき保険料を差引いて渡しておった、こういう点を第一番に指摘されたのであります。次に損害評価が適正に行われておらない、こういう点も指摘を受けております。その次に保険金を全部渡さずに一部を組合保留している、こういう点に注意を受けたわけでございます。この点について一応私の意見を申し上げたいと思うのでありますが……。
  5. 上林與市郎

    上林委員長 ちょっと参考人に申し上げますが、質問に対して御答弁願います。なお答弁は一つ簡潔に、要領よく願います。
  6. 甲村重由

    ○甲村参考人 そういう点をいろいろ注意されたわけでありますが、大体保険料徴収とか、最初私の方も、共済制度ができましてから三年くらいは、規則通り正しくやっておりましたのですが、その通りやっておりますと保険料が全然納まらなくなります。あるいは部落評価委員とか支部長とか全部する者がなくなってしまいまして、非常に運営上困りましたので、その結果現在のようにそうした保険金を渡すときに徴収すべき保険料を差し引いて渡したり、あるいはまた保険料が集まりが悪くなるにつきまして、一部保険金をわけるのを組合保留いたしまして、そうして無事故であった場合にそれを保険料に充当するというような考えから、現在までやってきたわけでございまして、そういう点ははなはだルーズで、まことに現在の共済制度には反したことでございますが、しかし実際これを押し進めていくという点につきましては、こういうような方法でやるよりかしかたがないと思って今までやってきたのでございます。
  7. 徳安實藏

    徳安委員 まことに重大な、率直なお話しなんでありますが、実際問題として共済組合制度運営に当っては、今の運営ではやっていけぬ。結局便法ではあるが、悪いことではあるが、そうするよりか共済組合はやっていけないんだというお考えでございますか。
  8. 甲村重由

    ○甲村参考人 先ほど申しました通り、大体共済制度根本は、適正な評価をするということが一番根本でございますが、しかし実際は、田に立っておる作柄を人の目で見て正しい判断を下すということは非常にむずかしいことでありまして、おそらくどんな名人がやりましても、正しい評価はできないのであります。刈り取り前に評価をいたしましたものと、実際に農家収穫いたしました量とには開きが出て参ります。これが評価の結果、災害にかかっておると認定された田よりも、評価の際これは災害にかからないというてのけられた田が収穫が少い、こういう場合が出てくるために、結局そうした根本評価ということが正しく行われないということが、共済制度規則通り正しく行われない根本原因だと思っております。
  9. 徳安實藏

    徳安委員 適正に損害の額がわからないということは、確かにそういう例はございましょうが、この掛金を払わなくてもいいのだ、金をもらったときにそれと差し引いて掛金にするというようなルーズな考え方ですね。これはやはり掛金組合員としては当然かけなくちゃならぬのだということが妥当じゃないかと思いますが、そういうことでは実際あなたの方の県では不可能ですか。実際問題としましては掛金かけませんか。
  10. 甲村重由

    ○甲村参考人 実際において農家共済掛金をかけるという考えを持っておりません。ほとんどこれは出し損だ、こう言う。果して出してもらえるか、もらえぬような金はかけるもんじゃないというような考えを持っております。そういう考え農家が起す原因といたしましては、保険金が下付されるのが非常に時期を失しておくれてくることでございます。現に私の方でも二十九年度の水稲の分をまだもろうておらぬのです。結局収穫して不作であった、そうしてこの下作の分に対してそのとき保険金がいただけましたらそれは非常に喜びまして、これは次の保険料をかけなくちゃならぬという考え農家は持つのであります。実際収穫が済んで、ずっと時期がおくれまして、もう農家はその災害のことをすっかり忘れておった場合に保険金が下付される。農家はこの保険金をありがたがっておらないのです。従って次の保険料をかけるというような気分を起さないのであります。それでやむを得ず私どもが渡すときに差し引いてせないと、保険料というものが、半分ぐらいはとれると思いますけれども金額徴収するということは絶対できないことであります。
  11. 徳安實藏

    徳安委員 組合保留されておるような金額があるようでありますが、こういうのはいかがですか。会費を払わぬかわりには、もらってきても別にやかましく言わない。ただ組合で自由にしてくれ、半分もらって、あとの半分は組合に使ってもいい。組合はそういうルーズな考え方ですか、あるいは組合員の中から、そういうことはいけないというような非難は起きませんですか。
  12. 甲村重由

    ○甲村参考人 その点につきましては、私ども保険金は何ぼもらって、そうして何ぼわけねばならぬという精算をはっきりいたします。しかし評価役員とか支部長とかが寄って協議いたしました結果、こうして農家に配分しなければならない金があるけれども、次の保険料あるいはまた先になって無事故になって、保険料だけかけなければならない場合には、保険料を集めることが非常に困難であるから、農家もまたこれを出すのが大儀であるから、組合の方に保管しておく、こういうことで各部落に参りまして協議をまとめまして、その上で組合に保管することにしておるのであります。
  13. 徳安實藏

    徳安委員 そうしますと、もし災害がなかった場合は、結局掛金はないから、いつまでたっても無事故である場合には、会費も払わなければ上級団体にも金を納めぬということになって、有名無実組合名前はあっても、実質的には機能は全然喪失しておる、こういう状態が相当長い間無事故の場合には続くわけですか。保険金をもらうのには掛金は払っておかなければならぬわけですが、それはどういう工合になりますか。全然空白状態で、組合有名無実でおるような場合に災害を受けたときには、あわててそのときだけ組合費を納めて災害補償をとるわけですか。それはどういう関係になりますか。
  14. 甲村重由

    ○甲村参考人 組合の方で預って保留しておる金によって、掛金農家から直接徴収せずに組合の方からかけておるわけです。もし無事故が続きました場合には、直接組合員の方では保険金を支払うということはないわけでございますから、実質的には共済掛金を払うとか、あるいは共済制度というものについては、現在のところあまり農家関心を持っておらないのであります。
  15. 徳安實藏

    徳安委員 しかし預り金がある間はいいですね。部落々々で話し合って、それでは組合に一時保留してくれ、掛金は現金で自分のふところから出せぬから——この金が出せる時代はいいですが、それがないときには、徴収もできず、連合会にも払い込み金ができぬということになれば、たまたまそういうときに事故が起きたといたしますと、これはあわてて会費をとる以外には手がないんじゃないかと思いますが、そういう組合員が払わない、積立金も払い込まないというときには、組合でどこからか金でも借りて、そうしてその金を計算しておいて、またもらったときにそれを埋めるというような便法でも講じておられるのですか。どんな工合でしょう。
  16. 甲村重由

    ○甲村参考人 現在まではそういう場合はなしに、大体もらった保険金で国の積立保険料をかけております。もしただいまおっしゃいましたようにずっと無事故が続きまして、実際その金が農家から徴収できない場合には、おそらく保険料農家から徴収することは困難だと思います。あるいは一時組合で他の方から借り入れして、これをかけておかなければならぬと思います。またそういうことは、いつまでも組合としては続かぬことでありますから、もしどうしても無事故が続いて、組合員から保険料徴収しなければ、組合を経営していけぬということになると、おそらく共済組合というものは経営していくことはむずかしいと思います。
  17. 徳安實藏

    徳安委員 今率直なそういうお話を承わって、私どもへん参考になるのですが、これはひとりあなたの組合ばかりでなく、ほかにも同様同種類のものはたくさんあるし、今何とかしなければならぬという段階にきておりますが、奈良県全体を通じて、今あなたのおっしゃったような気持でどの組合運営されておるのですか、ただあなたのところだけ別で、ほかはそうではないのだ——大体県下のことは御存じだと思いますが、ほかの組合もみな同じような考え方で、運営に当っておるのでしょうか。もしそうだとすれば、これは非常に大きな問題ですから、法の欠陥を改めなければならぬ、何か施策を考えなければならぬのですが、奈良県全体そういう気持なんですか。
  18. 甲村重由

    ○甲村参考人 奈良県全体がどうであるか、私ちょっと申し上げかねますが、きょうはほかの参考人が来ておりますから、聞いていただきたいと思います。私、南葛城郡ですが、南葛城郡くらいでしたら、大体同じような行き方だと思います。
  19. 上林與市郎

    上林委員長 次に吉田委員、御質問を願います。
  20. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたの共済組合は、組合員は何名でありますか。
  21. 甲村重由

    ○甲村参考人 約六百名であります。
  22. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それからあなたの方の職員は何名、どういう職で、事務所はどこにありますか。
  23. 甲村重由

    ○甲村参考人 職員は二名でありまして、事務所協同組合事務所を一緒に使っております。
  24. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 協同組合組合長兼務でありますか、そうではありませんか。
  25. 甲村重由

    ○甲村参考人 兼務であります。
  26. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで昭和二十八年の農業共済事業状況を伺いたいのでありますが、同年度における共済掛金徴収状況お話し願いたい。
  27. 甲村重由

    ○甲村参考人 掛金徴収は、先ほど申しました通り組合員から直接徴収せずに、保険金を渡すときに差し引いて渡しております。
  28. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 共済掛金徴収をせず、共済金を渡すときに差し引いたという御説明でありますが、共済掛金徴収は毎年しておらなかったのでありますか。
  29. 甲村重由

    ○甲村参考人 先ほどもちょっと申しました通り、この制度ができましてから二年ほどは、きちきち農家の方から掛金徴収いたしまして、渡すべき保険金は支払っておったのであります。そうして二年ほどやっておりますうちに、農家では保険料徴収が悪くなりまして、ほとんど半分以上が集まらないようになりました。それがために保険料徴収する係をやっております部落支部長とか、あるいはまた部落評価委員などがいろいろ一般農民から責め立てられまして、排斥を受けるような結果になりまして、結局、共済組合の経営がやっていけない、こういう状態になりましたために、三年目あたりから面接徴収をせずに、便宜上支払う保除金から差し引いて徴収にかえているわけであります。
  30. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたの方の組合は、何年に創立いたしましたか。
  31. 甲村重由

    ○甲村参考人 この制度をこしらえたのは、昭和二十三年かと思うのであります。
  32. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それは昭和二十三年から組合は成立した、そう聞いたらいいのですね。
  33. 甲村重由

    ○甲村参考人 その通りであります。
  34. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大体水稲が多いようでありますが、あなたの組合におきましては、反当どのくらいの金額掛金になっておりますか。
  35. 甲村重由

    ○甲村参考人 大体反当三百円くらいであります。
  36. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そういたしますると、あなたの村は、毎年損害がある村であろうか、常襲的な災害地域になっておるのでしょうか、それともそうでなしに、めったに保険金を受け取るような損害が生じない村であるか。もしめったに保険金を受け取らないような地域であるならば、毎年の会計決算で、掛金は受け取ったことにしてあるのか、ないのか。その点どうなっておりますか。
  37. 甲村重由

    ○甲村参考人 現在までは、支払う保険金から差し引いて、全部収入はできております。
  38. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そういたしますると、あなたの地域は、常襲的な災害地域になっているんですか、あるいはそうでないいい方なんですか、どちらですか。
  39. 甲村重由

    ○甲村参考人 もちろん災害評価というようなことは、良心的に正しくやっておるわけであります。
  40. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の言うのは、あなたの村は、共済金を渡さんならぬような被害が毎年あるような村であるか、そうでなしに、めったにそういう被害がない村であるか、それをお聞きしておる。
  41. 甲村重由

    ○甲村参考人 大体ここ四、五年は毎年もらっております。
  42. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたの方で昭和二十八年の受け取った保険金は、水稲及び麦は何ほどでありましたか。
  43. 甲村重由

    ○甲村参考人 二十八年度の水稲災害保険金としてもらいました金は、三百六万九千四百六十八円であります。麦の保険金は百二十九万四百五十六円いただきました。
  44. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それはいつごろ受け取りましたか。
  45. 甲村重由

    ○甲村参考人 はっきり記憶しませんが、二十八年の十月ごろだと思います。
  46. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 二十八年の十月は、まだ受け取るところまでいかぬでしょう。二十八年の十月ごろは、まだあなたの方では刈り取りもできないし、もっとおそいのではないでしょうか。
  47. 甲村重由

    ○甲村参考人 二十八年の麦の収穫が五月にありますから、十月ごろに受け取っております。
  48. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 水稲の分はいつごろでしたか。
  49. 甲村重由

    ○甲村参考人 水稲は翌年、二十九年の四月ごろです。
  50. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そういたしますると、水稲については三百六万九千円余り、麦について百二十九万余円の各保険金を受け取っておる。そこで帳面上は別として、帳面掛金を差し引いたとかその他いろいろ差し引いたものは別に伺うとしまして、実際に農家に支払われた金額は幾らですか。
  51. 甲村重由

    ○甲村参考人 二十八年度の水稲の分で実際に農家に支払ったは二百七万八千円です。
  52. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 麦は……。
  53. 甲村重由

    ○甲村参考人 二十八年の麦については農家には一つも支払っておりません。
  54. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そういたしますると、麦の分は百二十九万円全然支払っておらない、米については約百万円は支払っておらぬ、その金はどういたしましてたか。
  55. 甲村重由

    ○甲村参考人 水稲の分約百万円というのは、九十九万三千五百七十円ですが、二十九年度の水稲掛金として差し引いております。
  56. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 一カ年間で水稲掛金は何ほどになるのですか。
  57. 甲村重由

    ○甲村参考人 水稲掛金はただいま申しました通り一カ年分で九十九万三千五百七十円です。
  58. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 毎年約百万円、二十九年分は約九十九万なにがしを差し引いた。さっきのお話によると二十八年分も全然掛金を受け取っておらぬ。そういたしますると、それは一体どうなりますか。それをまた何かから差し引いた……。
  59. 甲村重由

    ○甲村参考人 二十八年分の掛金は二十七年の水稲を渡すときに差し引いております。
  60. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そういたしますと、あなたの方では翌年の掛金を前年の共済金から差し引くということをしておるのですか。
  61. 甲村重由

    ○甲村参考人 そうでございます。
  62. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そういたしますると、あなたの組合で二十八年分の保険金保留したのは麦の百二十九万円だけでございますか。
  63. 甲村重由

    ○甲村参考人 二十八年度の分で保留したのは麦の保険金百二十九万四百五十六円をもらいましたが、このうちから二十九年度の保険金として二十六万二千三百七十八円を支払いました。そのほかに三万二千五百円を協議会費として払いまして、残額百二万二千百七円を組合保留したわけであります。
  64. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その組合保留はどこへ預けて、だれの名前にして預金してあるのでしょうか。
  65. 甲村重由

    ○甲村参考人 協同組合へ預けております。名前監査を受けた当時には職員名義になっておりましたのですが、そのときに、注意を受けましたので、以後共済組合名前で預けております。
  66. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 職員のだれの名義にしましたか。
  67. 甲村重由

    ○甲村参考人 職員堀内正隆という名義であります。
  68. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、あなたの方で掛金徴収ができないという実情がある、農家出し損になるというので、掛け捨てがいやだからなかなか徴収ができぬ。二年ばかりは徴収したが自来正規の徴収をした事実がない、そこで二十八年に百万円余り保留されておる。毎年保険金を受け取っているような御説明でありましたが、そういたしますと、二十七年も保留金があり、六年も保留金が相当あっただろうと思うのです。それらの集計は何ほどありましたか。
  69. 甲村重由

    ○甲村参考人 二十六年、二十七年につきましては、保険料を差し引きましたらほとんど残りはありません。ことに麦のごときはそれまでずっと欠損でございます。
  70. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたの方でこのような百万円も保留金を持っておるということは、これは一体してもよいことなのか悪いことなのか、どちらなんです。
  71. 甲村重由

    ○甲村参考人 私どもといたしましては、ただわれわれが勝手にこれを保留しておるのではございませんで、組合役員なりあるいは評価委員なり支部長を通じまして、各部落におきまして協議の結果、こうして次の不時事故の場合の資金に充当するために組合保留してもらいたいということで、私の方で保留しておりますので、別に私の方は悪いことをしておるという気持は持っておりません。
  72. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 組合農家個々について、あなたの方は何ほど渡すべき共済金があり、そのうち何ほどの金額を次の掛金に受け取っておく、もしくは次の不時事故の際の引き当てに備えておくというようなことを個々農家について了解し納得さしたでしょうか。
  73. 甲村重由

    ○甲村参考人 その当時、個々農家について納得さしております。
  74. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そればどういう方法で、どういう機会にするのですか。
  75. 甲村重由

    ○甲村参考人 各部落組合員を集めまして、部落支部長なり評価委員なり、また私の方からも係の者が出まして、こうして保険金をもらって、各自割当はこうなっている、そしてこれこれ残る分は次の分に保留して参る、こういうことで一々……。
  76. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 一体あなたは何年ほど組合長をやっておりますか。
  77. 甲村重由

    ○甲村参考人 五年目でございます。
  78. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 五年もやっておったらかなり詳しいと思うのだが、奈良県というところは大体そういうような方法で、共済掛金を取らずに、そして一々事後に報告いたして保留しておく、こういう方式があちらでもこちらでも行われているのですか。あなたは組合長としてあちらこちら交際もあるだろうし、全然よそのことは知らぬということはないだろうが、奈良一般のこれは通例になっているのですか。
  79. 甲村重由

    ○甲村参考人 大体掛金保険料から差し引くということは奈良県全体がやっております。
  80. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 県庁から食糧課長その他がいろいろと実地の調査をしたり、指導に来ることがあろうかと思います。また呼ばれてそういうようなことがしばしばあろうかと思いますが、県の連合会なりあるいは県庁の係官なりから、そういうことをしてはいかぬというような注意を受けたことはありませんか。
  81. 甲村重由

    ○甲村参考人 注意は今までときどき受けておりました。しかし実際この組合運営していく上においてはこうするより方法がないということをわれわれいつも申し上げておるのであります。
  82. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 二十九年にはまだ全然保険金を受け取っておらぬそうでありますが、それはどういう理由でありますか。
  83. 甲村重由

    ○甲村参考人 どういう理由か知りませんが、いまだに二十九年の水稲の分は受け取っておりません。麦の方はいただきました。
  84. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 水稲の分を受け取っておらぬというのは、水稲損害評価が過大で、水増しをしておったので、しばしば突っ返されて訂正された、そういうことにでもなっているのではありませんか。
  85. 甲村重由

    ○甲村参考人 一、二回書類が戻ってきたということは聞いておりましたが、どういう原因で延ばされておるかはっきりわかりませんが、多分三月に会計検査院検査を受けたことがありましたので、そういう問題によっておくれているのじゃないかと自分は推察しておるわけでございます。
  86. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 なぜおくれているかということを県庁に問い合せたり、あるいは県連合会から報告があったり、そういうことはないのですか。
  87. 甲村重由

    ○甲村参考人 私の方からも問い合せたりしておりますが、この間も尋ねましたら、会計検査院監査の結果こうしておくれているんだということを聞きました。
  88. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 百二万円をあなたの名前で、今保留しておるようだが、これはそのままにしておいてはいかぬというような最終的な処理の勧告を受けたことはありませんか。
  89. 甲村重由

    ○甲村参考人 この前会計検査院からおいでになった折に、何分の命令があるまでこのままにしておけということでしたので、そのままにしておるわけであります。
  90. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それではほかの参考人もありますから……。なおこの方には都合によってまた聞かなければならぬこともあると思いますから、帰らずにおっていただきたいと思います。
  91. 上林與市郎

    上林委員長 それでは甲村参考人に対する質疑は一応終了いたしました。甲村参考人には御苦労さまでした。別室でお待ちを願います。  それでは次の質疑に入ります。参考人を御紹介申し上げます。奈良南葛城葛城村農業協同組合参事米田音吉君でございます。それでは質疑に入ります。吉田君。
  92. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 参考人米田さんは、あなたは農業共済組合には関係はないのですか。
  93. 米田音吉

    米田参考人 ございません。
  94. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 農業共済組合組合長は何という方ですか。
  95. 米田音吉

    米田参考人 荒張孝司と申します。
  96. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうすると、あなたは葛城村の農業共済組合の問題につきまして全然御承知でありませんか、多少御承知の問題もありますか。
  97. 米田音吉

    米田参考人 お答えします。共済組合に関しましては、ただいま質問にあります通り、農業協同組合の参事でございますために、共済組合の方にはほとんど関係しておりませんので……。
  98. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなた、農業をやっておりますか。
  99. 米田音吉

    米田参考人 やっておりません。
  100. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 荒張さんは農協の組合長兼務しておられますか。
  101. 米田音吉

    米田参考人 その通りでございます。
  102. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そういたしますと、少し伺ってみたいんだが、この荒張さんが共済組合組合長になったのはいつごろですか。
  103. 米田音吉

    米田参考人 私が昭和二十三年八月十五日に入りまして、そのとき組合長も一緒だったと思います。
  104. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたのお宅も全然農業をやっていないのですか。
  105. 米田音吉

    米田参考人 私は蒙疆の方から引き揚げて参りまして、もともと大阪の方におりましたものですから、全然百姓はいたしておりません。
  106. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そういたしますと、農業共済組合からあなたの方の農協に預金を受けたりしているようなことはありませんか。
  107. 米田音吉

    米田参考人 それは協同組合の預金口座を通じて出入りしておりますからわかります。
  108. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたは農協で、参事といっても事実上何をしておられるのですか。
  109. 米田音吉

    米田参考人 大体私の立場は、協同組合の限られたところの業務、信用、販売、購買、利用、この部面の責任者としてやっているわけであります。
  110. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そういたしますと、あなたの方で農業共済組合の勘定じりの百万円というものが、実在しない架空の名義組合に預金せられているという事実がありますか。
  111. 米田音吉

    米田参考人 その百万円の架空の名義とおっしゃいますところの落合純三外九名となっておりますが、これを十一月十六日かと思いますが、私が奈良の方へ出張しておりました日に……。
  112. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あるかないかを聞いているだけです。
  113. 米田音吉

    米田参考人 ございます。
  114. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それはいつだれから預かりましたか。
  115. 米田音吉

    米田参考人 共済組合の方から、組合長が貯金の主任に申しつけて、普通貯金であるものを定期に切りかえさせたわけでございます。
  116. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうすると組合長がこの貯金をしておったのですが、それを定期に切りかえた、こういうのですか。
  117. 米田音吉

    米田参考人 そうでございます。
  118. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 架空名義だから、架空というと実在しない名前なんでしょうが、組合長は自分の名前で預金しないで、ありもしない人の名前で預金しておったというのですか。
  119. 米田音吉

    米田参考人 お答えします。申し上げました落合純三なる者は共済職員でございますので、便宜上そうしたものと思います。
  120. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 共済組合職員の落合純三の名義で百万円普通預金しておったものを定期預金に組合長の命令で切りかえた、こういう趣旨でございますか。
  121. 米田音吉

    米田参考人 そうでございます。
  122. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたも専務として、その信用の責任者といたしまして、組合長ともあろうものが、大金百万円をそういう職員名前で預けるというようなことをどうしてこばみなさらなかったのでしょうか。
  123. 米田音吉

    米田参考人 あえて不思議にも思わなかったわけです。
  124. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あえて不思議に思わなかったということは、しょっちゅうそういうことをやっておるというようにも聞えるのですが、まことにこれは不快なお話でございます。一体それはそもそもだれの金ですか、落合の所有の金ですか組合長の所有の金ですか。
  125. 米田音吉

    米田参考人 もちろんそれは共済の現金でございますから、組合員全体のものでございます。
  126. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたの組合組合長共済組合長を兼務しておられるので、経理がそういうふうにみだらになる危険があると思うのであります。あなたもそういう信用面の責任者でもおありになるのだから、そういう辺は相当厳格にしなければならぬのじゃないかと思うのであります。そこでそのほかに共済組合の金で組合の建物の改築の経費の借入金を返済した、こういうこともあるのですか。
  127. 米田音吉

    米田参考人 お答えいたします。五十一万百八十円という金額は、実は農業会から引き継ぎましたとき、——当時私は知りませんでしたが、処理委員というものがございまして、そのものから引き継いだ農業協同組合の購買の資産というものに、薄価があっても価値のないような品物もありましたので、早く償却したいと思っておりましたが、その後におきまして専務、組合長におきまして搾油事業並びに運輸事業の運営をやりまして、それがまた協同組合にとっては相当の大きな痛手をこうむったわけです。トラックも売却しましたが、その赤字もあって、それを償却しなければなりませんし、搾油業務もはやりましたのですが、それもだめになりましたから、それまた四十万の欠損をしまして、結局そういうものの償却をするための五十一万百八十円というものは、ほかの当初からあった価値のない品物を落すことができなかったし、搾油の機械も売却してしまって何もないわけでございますから、まずその方から解決していかなければいけませんので、そういう結果になって、二十八年度になって減らしていただいたわけです。
  128. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そういたしますと、協同組合の事業の失敗のしりぬぐい、こういうものが受け取った共済保険金で支払われておるようなお話でありますが、あなたの説明によりますと、共済組合協同組合会計をごっちゃにしてしまっておるように感じられるのであります。それならあなたも共済組合のことは全然おわかりにならぬことはないはずなんだが、共済組合経理協同組合経理というものは表裏一体の関係でどちらに使ってもいいというような感情がみなにあるわけなんでしょうか。
  129. 米田音吉

    米田参考人 もちろん共済組合共済組合協同組合協同組合でございますから、そうあれもこれも一緒くたとは毛頭思っておりませんが、共済組合の方の金の入った額も、大体の線は、先ほど申し上げましたように、その残額などは銀行貯金を通じてわかっておりますし、また組合の赤字になっておる数字もわかっておりますから、それを組合長に申し上げました。組合長共済組合協同組合も一緒のために話はしやすいということもありますし、私自身といたしましては、協同組合の参事でございます以上、協同組合をできるだけ組合員から信頼を受けるべく極力やるためにそういう結果になったのでございます。
  130. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そういうときには、共済組合協同組合とが総会でもやって、その席上で相談をなさるのですか、それはどうなっておりますか。
  131. 米田音吉

    米田参考人 それは役員会でお諮りしました。
  132. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうすると役員会としては、一般組合員は村で共済組合のために使っていただいても、協同組合のために使っていただいても、どうせ百姓のためになるのだからというので了解しているだろうというくらいなところで役員は承認した、こういうことにでもなるのでしょうか、どうなんですか。
  133. 米田音吉

    米田参考人 御質問通りでございます。
  134. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで厳格に申しましたら、共済組合組合員に渡すべき共済金は、それはそれで勘定して、掛金掛金で受け取るというふうにし、農協は農協として別途の経理をするというふうに、はっきり区別しなければならぬことはおわかりなんでしょうね。
  135. 米田音吉

    米田参考人 わかっております。
  136. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そういうふうにもつれてしまって、共済組合に渡すべき金が農業協同組合のいろいろなものに使われたりするようにごっちゃになっているのだが、そもそもそれはどういうわけでそうなるのでしょう。どうお考えになりますか。
  137. 米田音吉

    米田参考人 ごっちゃになるというのは金の面ですか。
  138. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ごっちゃになるという言葉は正確でありませんが、今御説明になりましたように、協同組合のいろいろの事業の後始末と申しますか、不足のものの借り入れの場合、そういうものを共済組合の方の金で支払いに充てる、こういうよううなことを役員会で決定する、役員会が決定するのも、厳格に言うと、してはいかぬことだと思うのですが、にもかかわらずそれをするというのはそもそもどういうことでそうなるんでしょう。その原因を聞きたいんです。——わからぬですか。それではもう一つ聞いておきましょう。二十八年の麦の保険金は五十四万円受け取っておるようでありますが、これは組合員に全然渡しておらぬようであります。これはどういうわけでしょうか。
  139. 米田音吉

    米田参考人 そのことも実は私参事といたしまして存じませんでしたが、会計検査院の方が三月の三日でしたか、お越し下さいましたときに切めて知ったような状態でございまして、非常に申しわけないような次第でございます。
  140. 上林與市郎

    上林委員長 他に米田参考人に対する質疑はございませんか。——ないようでございますから、米田参考人に対する質疑は一応これで終了いたたします。  米田参考人には大へん御苦労さまでございました。一つ別室でお待ちを願います。  次の質疑に移ります。参考人を御紹介申し上げます。磯城郡川東村農業共済組合木原忠司君でございます。それでは質疑に入ります。吉田賢一君。
  141. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたは川東村の農業共済組合組合長でおられるようですが、農協の組合長兼務しておられますか。
  142. 木原忠司

    木原参考人 そうでございます。
  143. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこであなたの方の組合員組合役員職員の数、それから二十八年度に受け取りました保険金金額などをちょっと御説明願いたい。数字だけでよろしゅうございます。
  144. 木原忠司

    木原参考人 私の方の役員理事、監事合せて十五名でございます。職員は三名おります。二十八年度の水稲共済金として私の方がいただきましたものは四百十九万二千七百四十九円であります。それから麦としていただきましたものは百九十八万四千五百七十九円であります。
  145. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこであなたの方は比較的組合状態がよいようにも聞いておったのでありまするが、あなたの方では共済掛金が満足に徴収できますか。
  146. 木原忠司

    木原参考人 共済掛金徴収するということは非常にむずかしいのであります。現在の状況では完全にこれを徴収することは不可能であります。
  147. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そういたしますると、組合成立以後毎年正規に徴収はしておられませんか。
  148. 木原忠司

    木原参考人 私がこの共済組合を預かりましたのは昭和二十六年からでございますので、それ以前のことは存じませんが、私がやっておりましたときは一応差し引きして参りました。
  149. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 一応差し引きして参りましたというのはどういう意味ですか。ちょっとその差し引きの事情がよくわかりかねます。
  150. 木原忠司

    木原参考人 私の方は農業協同組合と私は両方を兼務いたしておりまするので、共済運営なり農協の運営につきましては絶えず各部落組合員を集めて部落へ出向きまして部落懇談会をいたしておるわけであります。そこで農協のいろいろの運営上の問題なり、共済運営上の問題なり平素からいつも懇談会をやってわれわれの意向を伝え、組合員農家の意向を聞いておるわけでありますが、ただいまお聞きのこの共済掛金の問題につきましても、農家といたしましては金を出すということは非常に困るから、何とかして共済金をいただくときに次年度の分を一つ引いておいてくれ、こういうことを組合員の方から言われますので、それでわれわれは農家のためだ、こういうことで、次年度の分を予納といいますか、ことしいただいたら次年度の掛金を一応農家に話をしてそうしてそれをお預かりしておる、こういう意味の差し引きをしておるわけであります。
  151. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それは次年度ということになりますと、一番最初から次年度というわけにもいきますまいが、あなたが就任されたときすでに就任の年の分は前年に受け取ったことになるのでありますか。
  152. 木原忠司

    木原参考人 私の就任当時のことはちょっと今記憶にないんですが、連合会の方からもそういう事情で一検掛金というものを差し引きして参りますので、その割合といいますか、大体の標準といいますか、それによってやっておるわけであります。
  153. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、連合会組合からの保険料連合会保険金が参りましたときに差し引きしてくるのですか。
  154. 木原忠司

    木原参考人 さようであります。
  155. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それは大体奈良県全体がそういうふうになっておるのでしょうか。全体のことはお知りでない建前ですけれども、それは相当横のつき合いもあるでしょうから、奈良一般にそういうふうなことになっておりまししょうか。
  156. 木原忠司

    木原参考人 全般であるかどうかは知りませんが、私の知っている範囲ではほかにも差し引きしているところはあると思います。
  157. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 昨年度の共済金の支払い配分の計画ですね、それは実際におきまし何ほどお払いになったでしょうか。
  158. 木原忠司

    木原参考人 私の方といたしましては実際に支払いましたのは金額でございますが、水稲が二百七十二万六千五百五十二円でございます。麦の方では百五十四万二千二百六円でございます。
  159. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そういたしますると、一年の掛金水稲と麦でどのくらいになっておるのですか。
  160. 木原忠司

    木原参考人 ちょっと今……。
  161. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは保留した金は、その差額に全部保留したということになっておるようでありまするが、これは全部二十九年度の水稲及び麦の掛金に相当する金額でありますか、それともそれ以外のものも含んでおりますか。
  162. 木原忠司

    木原参考人 私の方の新聞にも保留ということが出ておりますが、それは連合会掛金なり連合会へ納付いたします賦課金、そういったものの差し引きであります。私の方の手元に残っておる金は一文もありません。これだけははっきり申し上げておきます。
  163. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そういたしますと、あなたの方の残りの金は全然ない、こういうことになるわけですか。
  164. 木原忠司

    木原参考人 私の方はとにかく農協に入ります賦課金はありますけれども、いわゆる留保として発表されておる数字には——私の方の手元に残っておる金は全然ございません。
  165. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 組合員に支払うべき共済金はどういう方法でお払いになりましたか。
  166. 木原忠司

    木原参考人 私の方は農家被害申告に基きまして村の損害評価委員が決定いたしましたのは約三百六十六町歩ほどになるわけであります。それを連合会の方へ申告いたしまして百五十五町歩ほどに削られたわけであります。それから金額を配分する建前でありまするが、被害が二百六十六町歩のものを百五十五町歩に削られた場合に、六割なら六割としますと、四割被害、三割被害というものは全然かからなくなる。そういうものを、二百六十六町歩を百五十五町歩に削られたからといいまして反別と金額と合してくれということは、これは技術的にもむずかしいし、農家ではどうしても納得しないのであります。また実際に損害評価する場合に、この田とこの田とどれだけ損害が違うかということも実際問題として非常にわれわれの苦労する点であります。また米の供出問題とからみまして、われわれの方では一人でたとえば五反なら五反、七反なら七反の田を作っておりましたら、そのうちの一反や二反が非常に悪いものでありましても、全体がそこそこにありますれば供出は割当通りにとる。のみならず私の方では全部反別割を強行するというような習慣があるのでありまして、中にはお気の毒で、保有米にきずをつけても、また来年もあることだから、昨年もあったからということで泣く泣く供米に応じなければならないというのが私の方の供米の実情であります。そういう点からいきましても、この供米完遂さすためには、保険金も一つ平等にやってもらって、全部を反別割でやってくれという意見が損害評価委員として大字から出てくる人たちには非常に強いのであります。私の方といたしましては、全部保険金を反別ですることはいけない、被害割にしなければならないということを強く言いましても、村の方ではそういうことをやかましくいう。そういうことで、この二十八年度につきましては私の方は二百六十六町歩のうちで被害が六割以上に相当するものを抽出いたしまして約百四町四反というものを出したのです。これに対して被害割を持ってきて、残りを平等割で反利で割った、こういうのが私の方の二十八年度の水稲保険金割当であります、また麦の分でありますが、これは年度末といいますか、刈り取る直前に非常に倒れましてできが悪くなった。刈り取って持って帰る直前にもまた雨水につかってしまって、にわとりのえさにしかならない、こういうものが非常にふえて、刈り取る直前に雨で非常な被害をこうむりましたので、これも実際問題として被害割ということが非常にむずかしい状態に相なりました。一方米の方ではそういう習慣もありまするので、私の方はこれは全部反別割で配分したわけであります。
  167. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 参考人に対する質疑はこれでよろしゅうございます。
  168. 上林與市郎

    上林委員長 それでは木原参考人に対する質疑は一応これで終了いたします。委員の要望もございまするので、一つ帰らずに別室でお待ち願います。大へん御苦労さまでございました。  次の質疑に入ります。参考人を御紹介申し上げます。奈良農業共済組合連合会会長、二階堂農業共済組合東田利満君でございます。質疑に入ります。赤澤委員
  169. 赤澤正道

    赤澤委員 二、三質問いたしたいと思いますが、決して取り調べるのでも何でもないのでありまして、この共済制度を再検討する必要があると思いますので、ざっくばらんに懇談するような気持で一つお答えを願いたいと思います。私農林委員をしておりますけれども、大体国会での空気は共済制度の間口を拡げよう拡げようという努力が続けられております。御承知の通り、家畜共済の一元化の問題もありますし、さらには家畜共済も加えよう、そういうことで農林委員会の方ではかなり熱をあげております。ところが一方現地ではどうかというと、どうも組合に所属している人たちが、この制度に追っつけないという感じを私たちは受けるわけです。そういうことがこの会計検査院の摘発だとかあるいは行政管理庁の査察部の指導だとかいう面になって現われてきているというふうに感じるわけです。この制度自体は非常に進歩的のものであって、農民の利益を守ります上におきまして絶対必要なものであると考えますけれども、今の法律の立法の仕方そのものが実情に合わないから、いろいろな事故が出てくるんじゃないかこういうふうに感じるわけなんです。今三、四人の方々にそれぞれ委員から質問されまして、またその前にいろいろの資料を私どもの手元に送ってもらっておりまするけれども、私たちがおそれております事柄がどんどん出てきておるわけでございます。私たちはこれについてやかましく皆さん方に申すのは、ただこれは農民相互の救済的な、相互保険的なものであったら問題はありませんけれども、しかしながら一方相当高額な国庫負担が御承知の通りあるわけです。毎年百数十億円の国費がこの方面に流れておるわけなんです。そのゆえにこそわれわれといたしましても決算委員という立場でこの国費がいかに正しく使われておるかどうかということを追及していくわけなんですし、ですから会計検査院なんかも目を光らすということになるのです。しかしどうもこの制度の実体が末端にのみ込めていないんじゃないか。のみ込めていないからこういう進歩的な法律に対する協力が足りないんじゃないか、それについてはやはり今の立法の欠陥というものについて、少くともあなたは県の連合会の会長をなさっていますから、いろいろ御意見もあろうと思われます。ですからそういった点について忌憚ない御意見を一つ御発表願いたい。もし言いそこないをいたしましても速記はいつでも直せますし、消せもできるのであります。気楽に根本的にあなたの立場から述べていただきたいと思います。
  170. 東田利清

    東田参考人 今御質問ありましたことにつきまして、私の感じを述べさせていただきます。  第一に、現在の農民あるいは末端における組合長の職務ということから見ますと、末端におきましては大部分は農業協同組合組合長と兼ねてしておるのが多いのです。なおその他には町村長と兼ねておるものも約二割くらいおります。ただこれに対して専門的に単独でやっておる組合長は少いのです。その意味におきまして現在の農業協同組合運営上におきまして相当困っておる。そのために組合長はこの運営を打開しなければならないというので専心かかっておりまして、共済組合の方の問題に対しましては、大体ほんの兼務であるという気分であしらっておる。また専任職員にしましても、その専任職員たるや学力は小学校卒業、昔の中学校卒業というのはほんの微々たるものでありまして、大体現在の新制中学か高等小学校を出たような者が現在職員として働いておる。というのは、大体俸給が割合に少いので一人前の者が働けないということが根本になりはしないか。またこの制度だけでやっていくについては、農民の負担金を相当ふやさなければならない。ために組合長は割合に名誉職的な考えを持って無報酬であるか、あるいはまたほんの微々たる報酬しか一年間にもらわない。そして制度そのものが非常に複雑である。この複雑な制度が非常に忙しい組合長、あるいはまた専任職員に十分のみ込めない。なおまた戦後におきましては、これにかかっておるところの各支部長にしましても、戦後派の支部長が相当たくさんおります。支部長評価委員を兼ねている者もありますし、またほかの役員をしている者もありまして、素質のいい者がいるかというとあまりいない。米の供出とかね合いになっている者が相当おりますために、この制度をわれわれが十分に運営さそうとしましても、それに対して十分な働きをしてくれない。また掛金が相当高率になっておる。この高率な掛金が現在の農村の農民から見ましたならば、もらうことは喜んでもらうが、出すことは非常にきらうのです。出さなければならない税金でも滞納してしまう。まして一年で消えてしまうような保険料にしましたならば、出すことは非常に困る。だからこの保険料を取るというのが相当骨が折れる。われわれは初め二、三年の間は保険料の取り立てということに相当苦労して、支部長に頼んだり、あるいはわれわれが村の座談会に行ってやって参りました。ところがその支部長はだんだん取るということが困難になってきて、ついには協同組合共済組合の仕事はいろいろさせていただくが、金を取ることだけはごめんこうむりたい、その方面をだれかにやってもらえたら俸給の方も差し上げましょう、評価の方はいたしましょう、また村のいろいろな仕事にもかかっていきましょうと言うが、金を集めることだけはかんべんしてもらいたいということで、その金の問題については農民との間が相当ぴったりしないということがあります。またこの制度がそういうふうになってきますと、無事戻しということがこの制度の中にあるのですが、篤農家の方に向っては割合に金が流れない。篤農家でない兼業農家とかあるいはほんの食糧を取るというだけの農家は、現在におきましては働きの方の俸給が多いという意味で、少々麦なんか取れなくても、あるいは相当不作でもかまわない、あるいは草をはやしておいてもかまわない。それに対して一方において日給あるいは月給をもらうためにたえていけるんだというので、惰農を養成するということができてやしないかということも考えられます。この制度をよりよく一そう充実させていただきますにつきましては、でき得ましたならば無事戻し制度の拡充、あるいは保険料をできるだけ少く農民から取るということ、また素質の向上のために相当な事務費をその組合に与えていただきたい。そうすればりっぱな職員も参りましょうし、また専心働いてやっていけるという立場にもなります。職員の中には本職は共済組合職員でありながら、一方何割かは協同組合の手伝いをさせられておる。この協同組合の育成ということも非常に必要でありますが、戦後における協同組合の行き詰まりということから見まして、やはりそうでもしなければその組合が立っていけないかと思われます。そういうようなかね合いから現在のような状況になっております。  以上いろいろなことがありますが、なお御質問下さいましたならばお答えいたします。
  171. 赤澤正道

    赤澤委員 大体おっしゃることが真相だろうと思うのです。これは制度根本的な問題ですけれども、今おっしゃったことの中にいろいろ重大な要素があったと思うのです。なるほど無事戻し制度は大幅の方がよろしい、掛金はなるべく少額の方がいい、足りない部分はできるだけ国庫でもって負担してくれ、これはそうなればまことに農民としては願ったりかなったりですけれども、国の財政そのものからそこまではなかなか行き届かないと思うのです。しかもこれをやった結果が惰農を養成するというふうになってしまっては、何のための共済制度かわけがわからなくなってしまう。ことに全国の府県を比べてみましても、また府県内の単位組合を見ましても、とにかく被害状況を過大に報告して、そうしてできるだけたくさん保険金をぶんどってくる、これが組合長の腕のふるいどころといったようなところが多分に見える。このことが盛んにあっちこっちで摘発をされておる。府県で見ましても保険料の支払いに非常に差があるわけなんです。もちろん被害のあったところに大幅に保険金が流れるということは当然のことなんですけれども、これも実態はその通りにいっておらないというところがあるわけです。あなたは衝に当っておられるわけですから、この制度自体について根本的に何かお考えもあろうかと存じますが、将来この法律を再検討するにつきまして、何か参考になる御意見があったら承わっておきたい。
  172. 東田利清

    東田参考人 今おっしゃいました大体過大評価になる、水増し評価になるというようなことが間々あり得るのであります。そこで自分の町村において評価委員をこしらえる、その評価委員のほんとうのまじめな道徳的の評価をしていただきたいということを常々言っております。しかしこの問題は米の供出ということと二つのかね合いになっておる。大体府県におきましては、米の割当は府県知事がもらって帰ります。府県知事がもらって帰ったものを郡へ分け、郡へ分けたものが町村へ押しつけられておるという考えから、できるだけ評価を低くしなければ米の供出がよけいせられるのだというような農民の心理状態が現在までなお動きつつあります。そのためにその村の評価委員もそれに左右せられて、ひょっとしたならばそういうふうに流れはしないかという気持もあります。私はいつも思っておるのですが、米の供出さえなくなればこれは楽にできるんだ、評価は十分できる、米の供出がある限りは、評価というものに対しては十分納得のいくような、あるいは真の道徳的の評価はしにくい、これは村民こぞってそういうふうな気分になりはしないかということを憂えております。供出なかりせばわれわれのやるべきことは十分やり得るのだという確信を持っております。そのような意味と、もう一つは経営面積の非常に小さい町村は、経営していく上についての人の問題、あるいは評価委員の問題、あらゆる問題から見て十分とは言いにくいと思います。だから、でき得ますなれば適正に大きな合併をして、合併町村によりまして一つの共済組合を独立的に立てて、その独立したものでもって独立的に評価して、独立的に金を渡していくという方面に今遊んでいただくのが一番至当じゃなかろうか、こういうふうに思っております。
  173. 赤澤正道

    赤澤委員 非常に参考になる御意見を承わりましたが、やはりおっしゃる通りだと思うのです。ただこの際、先ほども申しましたように、どんどん家屋共済その他で間口を広げております。さらに漁業共済も今論議されんとしつつあるわけなんですが、今のような段階で、そういうふうにどんどん間口を広げるということについては、実際その衝に当るあなたとしてはどういう御意見でしょうか。
  174. 東田利清

    東田参考人 今の家屋共済の間口を広げていくという問題につきましては、事実農民と始終防災問題なり、あるいはいろいろの問題からタッチしておるところの共済組合の方は、農民自身の家の問題あるいは田の問題、水稲、麦等あらゆる問題とつながりが多い。だから、私の考えでは、農民個々の建物に対するところの家屋共済共済組合にまかせて、協同組合とか、あるいは永年貯蓄的にやっていくところの問題に対して、協同組合におけるところの建物なりあるいは永続的の生命保険、あるいは永らく続くところの家屋保険、そういうふうなものは貯蓄という意味をあわせて協同組合でやらせるのがよかろう、なお私の考えは、合併町村あるいは合併したところの問題から割り出して、これだけの仕事はできるものだ、こういうふうに思っております。
  175. 赤澤正道

    赤澤委員 一般的なことについて伺ったので、大へん時間がないので残念ですが、きょう問題になっているのは掛金が法律の命ずる通り徴収が行われておらぬ、はなはだもって怪しげな脱法的な便宜的な方法が行われているわけです。農民としても、ことに災害の少いようなところはなるべく掛金は出したくないという気持が多分にあることはうなずけると思うのです。さらにさっき組合長さんが、どうも保険金の支払いがおくれる、時期的なずれが非常にあるためにこの問題についての農民関心が薄れてくるのだといったようなお話があったように聞いたわけですが、いつまでもこういうことで会計検査院とあなた方の方で追っかけ合いをしておられるということは、はなはだもってまずいことだと思うのです。法律の面でこうしてくれれば救済の道ができるのだといったようなお考えがもしありましたら一つ伺っておきたい。
  176. 東田利清

    東田参考人 その問題は一番初めに言いました、できるだけ掛金を低くしていただくことになったらば出しやすい、また無事戻し制度もやっていただきますれば、おそらく篤農家も喜んで出すだろうと思います。あるいはまた事務費の問題にしましても、現在の独立したところの共済組合のやり方をもって独立的にすべての仕事をやろうと思ったならば、やはり掛金というものは農民に相当ふやさなければならぬことになりますから、そういう方面におきましても、補助金をいただいてやりましたならば、これは喜んでついていく。われわれの共済だということになるかと思います。
  177. 上林與市郎

    上林委員長 次に徳安君、質問の通告者が非常に多いので、議事進行に関して一つ御協力を願います。
  178. 徳安實藏

    徳安委員 参考人に伺いますが、共済金の中から掛金を差し引いておる、また町村の組合に金を払うときには、その掛金連合会自身も差し引いておるというような話を先ほどの組合長さんがしておりましたが、事実そうでございましょうか。
  179. 東田利清

    東田参考人 現在は事実そうやっております。
  180. 徳安實藏

    徳安委員 そうしますと、私どもはこの共済金というものは、掛金はかけるがそう毎年もらうわけじゃない、ときたま災害があるときもらうのだ、これは火災保険みたいな気持考えていただかなければならないのですが、奈良県は何ですか、毎年掛金よりか共済金の方がうんと多くて、全然掛金をしなくても、もらう共済金だけで事足って、なおそれを幾分でも分けてやる、幾分だけは掛金にする、こういうような情勢でございましょうか、ちょっと伺いたいと思います。
  181. 東田利清

    東田参考人 近ごろの二、三年間、二十七年、二十八年等は掛金の方が少くて、もらった金の方が多くなっておりますが、この間分けた麦の方面におきましてはやはり相当足りません。それはやはり掛金をとっております。
  182. 徳安實藏

    徳安委員 そうすると、それは町村の組合の方から金をおとりになっている分も相当あるのですか。
  183. 東田利清

    東田参考人 足りない部分はやはり全部とっております。
  184. 徳安實藏

    徳安委員 先ほど、これは特別な組合かもしれませんけれども、やはり町村の組合の中で累年共済金をもらっているので、今のところではみなから全然金をもらわなくてもやっていけるというお話でございましたが、全県下を通じて各組合徴収をしないということですから、徴収しないならば、もし払い込みをする場合にはどこかから金を借りて払うということにならなければなりません。徴収はしていないのだから、そういう金を借りて連合会に金を払い込んでおるものの方が大部分でしょうか、あるいは今お話のように、毎年々々災害で払い込みよりか共済金の方が多いんだ、だからその半分は控除し、半分は共済金として払ってやっても事足っていくというようなものが多うございましょうか、そういう点を一つ承わりたいと思います。
  185. 東田利清

    東田参考人 麦の問題におきましては、私の知っておる限りにおきましては、昭和二十七年の初めだったか、超異常災害があったときだけ掛金よりもあるいは多かったこともありまするが、あとは全部何ぼか足らないわけでありますから、やはりそれは下部では徴収しておると思っております。
  186. 徳安實藏

    徳安委員 そうすると、麦以外のものは掛金共済金と相殺する場合においてはいつでも共済金の方が多い、こういうことでいいのですか。
  187. 東田利清

    東田参考人 それは二十七年、二十八年とよけいに入りまして、そうして前の方ははっきり現在のところを覚えておりませんから、多かった、少かったということは言えないのです。またそれは部落によっても違うと思います。
  188. 上林與市郎

    上林委員長 次に吉田委員質疑をお願いいたします。大体申し合せの時間で質疑を終了させていただきます。
  189. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 できるだけ簡明にお答え願いたいと思います。こちらも簡単に伺いますから。  昭和二十九年度の奈良県の全部の、水稲もしくは麦についての政府からの再保険金を受け取っておりましたか。
  190. 東田利清

    東田参考人 昭和二十九年度としての水稲はまだ受け取っておりません。麦は三、四カ月前から受け取りました。
  191. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大体この農業共済の制度というものは、零細な農民の農業を助けるというような趣旨が多分を含まれておるのであります。すでに昨年から計算すれば一年近くなって参りまして、もうすぐに八月でありますが、こう長く保険金を受け取らずに、共済金を百姓に渡してやらぬということでは、百姓は困るじゃないでしょうか。
  192. 東田利清

    東田参考人 ちょうどもらうべき時期でありました三月に会計検査院検査を受けて、続いて行管の検査が各方面であったということで、その方面に書類をこしらえたり、あるいは再調査したり、あるいまた何かの用事が多かったためでもありましょうが、十分な書類が早くでき得なかったということと、またその書類がまだ十分にできていないという土地が二、三カ所できて、そのために調整をいうてやったということからたんだんおくれて参ったのであります。
  193. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 昨年の水稲共済金が、三月以降検査院なりあるいは行政管理庁の検査があったので、諸般の手続がおくれたということは少しふに落ちないのですが、もうすでに各方面とも三月といえばそれは百姓の手に共済金が渡っている時期であります。こういう県がたくさんにあるのだろうか。あなたも連合会の会長としての御責任があるわけなんだが、一体それは検査院とか行政管理庁に責任を負わすべき筋合いだろうか。あるいはそれとも政府が怠慢なんだろうか。あるいは連合会が怠慢なんだろうか。一体それはどういう理由ですか、はっきりして下さい。
  194. 東田利清

    東田参考人 時期的にいいましたなれば、やはり連合会が怠慢であったとしか考えるほかないと思っております。
  195. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 百姓は長いこと、一年近くも共済金を受け取れないということで不平があり、不満があり、困りはしませんか。
  196. 東田利清

    東田参考人 やはり困っております。
  197. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 百姓は掛金をして、共済金が一年近くもらえないということは、いよいよ共済制度に対する信頼をなくして掛金をしなくなる原因が生じゃしませんか。
  198. 東田利清

    東田参考人 お説の通りになるかもしれません。
  199. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは政府に聞きますが、どうしてこう長らく奈良県は再保険金の支払いができないのですか。
  200. 橘武夫

    ○橘説明員 奈良県につきましては、一つは連合会の方から私どもの方に保険金の請求の書類ができてきたのが他の県に比べて非常におそかったわけであります。五月になって出て参ったというような事情があったのでございます。その出て参った書類がまたいろいろの点で非常に不備の点、それから数字がいろいろ会わない点というようなものがありまして、さらにそれの再検討、それを完備して再提出を私の方から要求するというような事情がありましたために、非常に水稲の支払いがおくれておるわけであります。
  201. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 一体この数字とか書類が完備しないというのは、たとえば水増しでもあったというのでありましょうか。その他の手続上の書類が不完備というのでありましようか。それは一体どういうことに御判断になっておりますか。
  202. 橘武夫

    ○橘説明員 これは水増しがあったという点は、必ずしも私どもの方は考えておりませんで、書類上非常に不備な点があったということであります。
  203. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 奈良県のような、二十九年度の保険金を政府がまだ支払っておらないという例は全国にございますか。
  204. 橘武夫

    ○橘説明員 現在二十九年の水稲で再保険金の支払いが完了していない県は奈良県のほかに鹿児島県がございます。
  205. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 鹿児島県は昨年台風があったような県と承わっておりますが、これは、奈良県につきましては県の連合会長のまことに大きな責任ではないかと考えるのです。あなたになお伺ってみたいのだが、あなたは二階堂の農業共済組合組合長及び協同組合組合長兼務しておられるのですか。
  206. 東田利清

    東田参考人 三つ兼務しておったことがありますが、現在は共済組合のみです。
  207. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうすると、現在は奈良県の天理市二階堂の農業共済組合長と、奈良県の共済組合連合会の会長との兼務のみでありますか。
  208. 東田利清

    東田参考人 その通りです。
  209. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 二十八年度分の水稲並びに麦の保険金は、その二階堂の共済組合は何ほど受領しましたか。——それではこちで指摘しましょう。水稲の分が六百九万三千余円、麦の分が二百八十八万七千余円、これだけを保険金として受領をいたしましたか。
  210. 東田利清

    東田参考人 その通りです。
  211. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ところが農家への実際の共済金の配分は、水稲の分が三百万円、麦が百一万五千円、これは間違いがありませんか。
  212. 東田利清

    東田参考人 間違いありません。
  213. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 保留額として水稲の分が三百三十二万九千余円、麦の分が百九十二万一千余円それは間違いありませんか。
  214. 東田利清

    東田参考人 間違いありません。
  215. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたは連合会長といたしまして、他の組合に模範を示さなければならぬ立場であり、全体を統率していかれる立場にありますにかかわりませず、こういう結果になっておることは、非常に遺憾に思いますが、どういう原因でこういうことになりましたか。
  216. 東田利清

    東田参考人 こうして保留したということは、役員会にもかけ、あるいは支部長会、総代会にもかけまして、なおかつ各代表の会議にも出席して、今後共済組合を続けていくという意味におきましては、どうしても災害がなかったときには、この金はみんなして一年間で麦と米で約二百五十万くらいにかけなければならぬ。そうすると、その掛金というのは、ここ二、三年間相当苦労しておりましたために、現在の農民全般が得心さえすれば、個人が貯金するという意味において、われわれの代表に貯金してもらった方がいいんじゃないかということが大体の総意になりましたために、個人の意思を継いでこうして貯金をしておることになりました。
  217. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたは連合会長のお立場として、各組合員組合の組織構成、権利義務などに対する十分な理解を高めていくという運動もしなければならぬ責任があると思う。あなたはなるほど組合員の了解を得て、承諾をさしたというふうにおっしゃっておりますけれども、ほかの参考人も異口同音にそうおっしゃるけれども、ごらんの通り、たとえば総会において、あるいは役員会などにおきまして、提案する、異議なし、よろしいというようなことは、掛金も事実上出しておらぬ、そうしてもらった共済金で差し引かれるような立場に置かれた組合員が、そう立って異議を述べられないという弱みもあるだろう、また何ほどかもらうにこしたことはないという気持もあるだろう。だからそういう点はやはり一応は渡して、その上で受け取るべきものは受け取るようにするのが私はほんとうだと思う。ところが残高の三百三十二万九千余円の中から、あなたの方は二十九年度の水稲掛金も出している、賦課金も出しておる、さらに建物の共済金四十五万四千円も承諾さしておる、食糧費、スクーター代金、こういうふうなものまで一切支払っておる。こういうことは組合員が承諾したということで、正当に通るのでしょうか。日本国中で一年に多いときは二百億からの共済金が出るんですよ。でありますので、こういうふうなことで日本国中の共済組合運営せられたならば国民は納得するでしょうか。あなたは連合会長という重責におありでありますから、よくおわかりのことと思いますが、食糧費やスクーター代というようなことは、それでいいんだろうか、それともそういうものは全体うそだということの御答弁になるんですか、いかがですか。
  218. 東田利清

    東田参考人 今おっしゃった使った金は事実あるんですが、これは二年三カ月間の問題でありまして、私の方の共済組合掛金という意味からしまして、一反歩に十五円取っておったのです。年に麦と米で十七万五千ほどでありますが、国からもらうところの経費が三十万円、それは総会にかけて、すべての経費の事務をやっておりますが、大体三人の職員の経費ということになっておる。そのほかのものに対しましては、一々役員会などでどうしようかということで、防災費に使おう、また評価委員支部長役員の手当、あるいはまた三年に一ぺん選挙がありまして、十五名の役員が引いたわけです。その記念品、それに三年間無報酬に近い金で働いたから、一度旅行さしてもらいたいということになったような次第でありまして、これはそのときそのときにこういうふうにしようということで、いろいろ協議にかけ、あるいは下から盛り上った力によったものでありまして、実はその経理方法が間違っておったということを痛切に感じておる次第であります。今後これは組合員全般の意思によりまして、漸次組合員に支払いしていくということを考えております。
  219. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたの方は、会計検査院検査せられたときに、農協に定期預金を百万円、普通預金を四十二万三千円余り保有しておったという事実がありますが、その通りですか。
  220. 東田利清

    東田参考人 その通りです。
  221. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 払うべき共済金でスクーターの代金を払い、食糧費を支払い、また百万円を定期預金で預金しておく、普通貯金で四十数万円保有する、こういうような乱暴な経理というものが行われたら、日本の共済制度というものはめちゃくちゃになってしまう。あなたは連合会の会長として、奈良県に幾つの組合があるか存じませんけれども、数十の組合が右へならえでこの通りになりましたら、一体国の血税でまかなっていかねばならぬこういうような金が、こんなに乱脈に使われるということは、良心的によいとお思いになるだろうか。
  222. 東田利清

    東田参考人 今考えまして、やはりこれは正当な本会計に回してやるべきものを本会計に回さなかったことが悪かったということを、私は痛切に感じております。
  223. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 要するに、あなたは先ほど、掛金についてはかけ捨てになるという百姓の心理があった、あるいは徴収についての事務員の手不足、給与が足らない等におっしゃるけれども、それはそれとして、いかぬならいかぬでいくような一つの予算を立て、制度を変え、いろいろと進言しなさるのがあなたの立場だと思う。そういうことをなすことなくして、二十九年度もまだ共済金の支払いもできないのは、台風で被害を受けた鹿児島を除けば、奈良県だけですよ、実に情ないと思う。二十八年度については、あなたの組合が物語っておるような状態である。こういうようなことは全体的にすみやかに整理しなければならぬのみならず、根本的には、責任者の立場におきましては、厳重にその責任を追及していくというくらいのことがなければならぬと思うんだが、それで一体、県の当局は、指導監督の責任がある官庁なんですが、黙って見ているんですか。あなたは連合会の会長としまして、県との間にしばしば折衝があろうと存じまするが、県はそれで放任するでしょうか、今日までこういう状態がありましたことについて、県は何とも言わなかったんでしょうか、それはどうなんですか。
  224. 東田利清

    東田参考人 県からも再々言って参りました、あるいはまた農林省からも言われておりました。私自身は、今までできるだけ共済事業に対して誠心誠意やってみたいと思ってやっておったんですが、実はこういうふうな自分の単位組合において副会長にまかしておったということでこういうふうになったんですが、事実問題として私に責任があります。その意味で、私自身は今までのようにできるだけ尽していきたいという気持はあるんですが、自分自身の現在の立場、あるいは指導そのものに対して不十分であったということで、自責の念にたえないので、できるだけこの問題を解決したい、そのあとにおきまして私自身も責任をとりたい、かように考えております。
  225. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 政府からあなたの方の県連合会が再保険金を受け取ったのは、二十八年度米麦合せて総額幾らですか、いつ受け取ったのですか。それをいつ組合にお払いになりましたか。
  226. 東田利清

    東田参考人 あとに常勤の副会長がおりますから、大体そういう事務的なことは副会長に頼みました。
  227. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうすると、会長のあなたは、そういう県の連合会が政府との間に金を受け取った、あるいは各組合に金を流したりすることの仕事は見ておらぬのですか。
  228. 東田利清

    東田参考人 いつの日ということを言われたので、それがわからないために返事をしなかったんですが、すみやかにいつ幾日までの間に支払えというなにがあるのですから、その支払えという期日までには支払っておるつもりです。
  229. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 名前から聞きますが、県連合会に吉川という職員がおりますか。
  230. 東田利清

    東田参考人 おります。
  231. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その吉川という職員昭和二十八年一月ごろですか、二十八年中に県連合会において共済事業に犯罪的な不正ありということを奈良市の警察に申し出て、それで吉川が留置せられて取調べを受けた、こういうような事件がございましたか。
  232. 東田利清

    東田参考人 吉川が申し出たのではなしに、他の人が申し出て吉川が留置されたのです。
  233. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その事件につきましては県連の幹部の諸君は警察か検察庁でお取調べをお受けになりましたか。
  234. 東田利清

    東田参考人 私と副会長は取調べを受けました。
  235. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 結局その事件はどういうことになったのでございますか。
  236. 東田利清

    東田参考人 一部分を個人の返済ということで終ったのであります。個人が使った金は弁済しなければならぬということであります。
  237. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そういたしますると、何か共済組合連合会の金を横領しておったというような事件なんですか。
  238. 東田利清

    東田参考人 横領という意味でなしに、どこかで飲んだり食ったりしたということだと思っておるのですが、はっきりは忘れました。
  239. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今飲んだか食ったかほかしたか知りませんけれども、とにかく弁償するということになった。その金額は大きいのですか。
  240. 東田利清

    東田参考人 金額はそう大して大きくないと思います。
  241. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 どのくらいですか。
  242. 東田利清

    東田参考人 僕自身もはっきり調べなかったので忘れました。
  243. 上林與市郎

    上林委員長 次に生田委員質問を願います。
  244. 生田宏一

    ○生田委員 ちょいと一言お尋ねします。先ほどの御意見の中に、保険金の扱いについては組合員にも相談をしたり役員にも相談をしておる、そして承諾を得てやっておるということですが、組合員に相談されたのであれば保険金組合にくれたものではなくて、農家の対人保険金だろうと思います。組合の中には災害が多い者もあればほとんどないような者もあるはずなんです。ですから災害のない者からいえば、あなたのようなはからいをやられて保険の掛金に充当するのははなはだけっこうですが、災害の非常に大きくこうむった農家からいえば、苦情が出るはずです。そういう点はあなたの組合の中ではどのようになっておりますか。
  245. 東田利清

    東田参考人 災害保険の問題だけだったらそのようになってくるのですが、米の供出ということもありまして、供出はみな個々でするのであります。われわれはほんとうに災害のあった者に対してはすぐやっている、事実融通してやる。そうすると、米の供出は減ってくるから災害でまたもらう。その関係上できるだけ米の供出を許してもらえば、この問題も一緒にやったらいいじゃないかという気分になってしまったのが多いのであります。
  246. 生田宏一

    ○生田委員 今のお話がそれでまともに通るとお思いですか。
  247. 東田利清

    東田参考人 通らないのですが、そういうようなことで押してくるのです。
  248. 生田宏一

    ○生田委員 もう一つお尋ねしますが、二十七年度でございますか八年度でございますか、その一年を除いては掛金の方が保険金の方より多かった。その一年を除いた他の年はむろん掛金の方が多いというお話なんですが、これは当然のことで、災害の少ない年は保険金が少くて掛金が多いのは当然なのです。そういうような組合を単位とした利害でいうならば、この制度は意味をなさないからこの制度否定の議論になるわけです。あなた方の指導によって農家の皆さんがそういう気になっているならば、この保険金制度というものは意味をなさない、根本的に考え方が違ってくるわけですから、ない方がいいことになる。あなた方はこの保険金制度というものがいいとお考えであるならば、そういうことはお改めにならなければならないと思うのですが、今のあなたのお気持はどうでございますか。
  249. 東田利清

    東田参考人 お説のように改めたいと思っております。
  250. 上林與市郎

    上林委員長 他に御質疑はございませんか。——それでは参考人に対する質疑は一応終了いたしました。東田参考人には大へん御苦労さまでございました。  午前中の質疑はこの程度でとどめ、午後は一時三十分より再会することといたし、この際休憩いたします。    午後零時三十七分休憩      ————◇—————    午後一時五十四分開議
  251. 上林與市郎

    上林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  参考人を御紹介申し上げます。奈良農業共済組合連合会副会長荒木留次君。荒木参考人に対する質疑の通告がありますので、これを許します。  その前に先ほど休憩前の理事会で御承認願いました通り、すでに質疑の一応終了しました参考人も同席のままで質疑を続行いたしますから御了承願います。吉田賢一君。
  252. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 荒木さんに伺いますが、あなたは奈良県の共済組合連合会の副会長をいつからいたしておりますか。
  253. 荒木留次

    荒木参考人 二十六年からやっております。
  254. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで奈良県における共済組合農業共済事業運営状況を伺いたいのでありますが、二十八年度の農業共済におきまして多数の村の不当な経理会計検査院によって指摘せられ、農林省もこの事実を認めておりますが、あなたの方といたしましては、二十八年度に政府から受け取りました再保険金の総額、組合連合会といたしまして政府から受け取りました金額と年月日、それから下部の各組合に交付いたしました金額と大体の年月日はどういうことになっておりますか。
  255. 荒木留次

    荒木参考人 再保険金関係をお答えいたします。二十九年の大体二月二十七日だと記憶しております。組合に支払ったのが大体三月の十日から二十八日の間であります。今はっきりした数字はわからないですが、再保険金として大体二億二百万円ほどいただいております。それから連合会といたしまして責任準備金を含めまして二億七千万円ほど支払っております。
  256. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたの方としては各組合から保険料をとるのをとらずに、政府から受け取った再保険金で差っ引きするという方式をとっているということだが、ほんとうですか。
  257. 荒木留次

    荒木参考人 実は二十五、六年に非常に掛金の未収がありまして、再保険料の納入が非常におくれまして、そういう観点に立ちまして私の方では、これは私個人の考え方であったのでありますが、何分にも三月の中旬に支払います関係、事業の開始が四月の一日であります関係から、あるいは単協の経営あるいは連合会運営等を考慮いたしまして、さらに掛金の政府納入の再保険料が非常におくれてきた年度が二十五、六年であるわけであります。そういうことを憂慮いたしまして、私個人の計らいによりまして、いわゆる予納——予納と申しますと、組合員個々の承諾の上に立って予納制を実行して参りたいということを通知しておるわけであります。
  258. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 予納するというようなこと、つまり保険料を先取りするというようなことは法律上かまわぬのですか。これは農林省から御答弁願いたい。
  259. 橘武夫

    ○橘説明員 予納ということは、予納する本人の承諾のもとになされるのなら法律上かまわないと思います。
  260. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 組合はやはり組合員から掛金徴収して歳入となし、組合はまた連合会に対して保険料を支払う、こういうことが物の順序でございます。そもそも昭和二十二年から発足しておるこの組合制度におきまして、予納ということは一体想像しておるのですか。また全国的に連合会保険料を予納するというようなことを、組合の承諾があったらいいというのは法律上の理屈にすぎないのでありまして、そういうようなことは、一体政府として基本的な方針から考えて妥当とお思いになるのですか。もしそういうふうなことであるならば、何もかもあと払いじゃなしに、先払いというようなことも便宜やるということになって、経理がくずれてくるというふうなことも考えられるのですが、その点いかがですか。
  261. 橘武夫

    ○橘説明員 ただいま申し上げましたように、法律的には本人の承諾があれば違法ではないと考えておりますけれども、この制度の建前からそういうことが妥当かどうかということになりますと、そういう予約の制度というのは必ずしも本人の十分なる承諾を得ないで、今問題になっておりますような相殺等に導きやすいというような点からいたしまして、政府としては好ましくないやり方だというふうに考えております。
  262. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 連合会長の荒木さんに伺いますが、一体相殺するということも非常に変則だと思うのですが、大体そういうようなこと自体が、あなたの方の組合全体といたしまして、末端まで経理が合理的に行われないで、保険制度としては正確に運営ができなくなるというふうにお考えになりませんですか。
  263. 荒木留次

    荒木参考人 さいぜんも申し上げたように、実は二十五年、六年の掛金徴収率が非常に悪い。さらに支払いする保険金が三月で事務は四月一日からである。それで大体組合の手持ち資金も、連合会の手持ち資金もないわけであります。そういう関係で私の方では私独断でいわゆる予約の通知を出し、さいぜん申し上げたような全組合員の承諾を得るというようなことを指導しております。
  264. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 全組合のどうとおっしゃったのですか。ちょっとわかりかねたのですが……。
  265. 荒木留次

    荒木参考人 全組合員に承諾を受けるように組合を指導しました。
  266. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたの方の組合があるのですね。それで組合連合会の総会でも開いて、そういう予納の制度でもしようじゃないかというような協議でもできたというよう意味なんでしょうか。
  267. 荒木留次

    荒木参考人 組合の形態はどういう方法をとっておられるのか知りませんが、連合会といたしましては、末端組合に対しては、そういう全組合員の承諾のもとに予納してもらいたいということを通知したわけです。
  268. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 組合長といたしましても、とかく保険金をもって予納する、あるいはまた組合員共済金をもって掛金と相殺するというようなことについて異議は出なかったのですか。もっとも奈良といたしましては、大体相殺するとか何かの場合に、天引きをするとかそういうふうなことについて、運営に関する諸経費を出し、あるいは掛金とか保険料を払うというようなことが、大体習慣にでもなっているのじゃないかと思うのだが、それはいかがですか。
  269. 荒木留次

    荒木参考人 私の考え方から申しますと、私らは習慣性になっていないと思う。というのは、二十九年のその通知を出したのは大体二月二十八日ころだったと思います。そこまでの過程から考えますと、共済組合掛金徴収が非常に困難であった、それから未徴収額が多くなったのじゃないかということから考えまして、私は習慣でないということは言えると思います。
  270. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 何億円という政府から再保険金を受け取りまして、あなたの方はその保管の方法は、たとい一カ月でも二カ月でもどういうふうになさっていますか。
  271. 荒木留次

    荒木参考人 実は二十八年は農林中金から県信連へ流しまして、私の方は政府の指示に基き、書類整備の監査を十分にいたすために十日の期間がずれたきらいもありますが、そのずれた期間は書類整備を完全にやるとういことから大体三日ほどずれたと思います。大体その当時農林省より連合会段階が五日、中金段階が五日、合計十日間の指示というかその方法をとっております。
  272. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 政府から受けた再保険金を中金に支払って、県信連に払ったというのはそういうことができるのですか。
  273. 荒木留次

    荒木参考人 御承知の通り二十八年度は全国的に大被害がありまして、政府の持たれる特別会計から一般会計へ繰り入れられた、それが中金に預託として一応預金されることになる、仮払いの形式で中金から県信連に流されるというような形態をとっております。
  274. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の伺うのは、あなたの御説明によって疑問を生じたのであるが、これはあるいは詳しく御説明を聞けば了解するのかわかりませんが、とにかく政府から再保険金をあなたの方が受け取って、受け取ったものを中金に払ったということをおっしゃっているのですか。
  275. 荒木留次

    荒木参考人 政府から中金に払った。
  276. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたの方が払ったという意味じゃない、そうですか——それなら質問を転じましょう。——あなたの方の奈良県の県連は、二十九年度の再保険金をまだ受け取っておらぬようでありますが、いつ完全な書類を出したのですか。
  277. 荒木留次

    荒木参考人 実は二十九年の出納がまだ未決定のままでありますが、非常に今年度は、二十八年度に各方面に多大な御迷惑をかけた経験がありますし、さらに会計検査院、行管等の監査等もありまして、町村組合にいたしましても厳重な評価を行い、連合会段階にいたしましても十分の評価を実行するため、また県自体といたしましてそういう監督の面から十二分の指導監督をやられるということから、きょうまでその日が延びて、その間いろいろ書類の提出があったのでありますが、町村組合の方ではそういう数字の若干の書き間違えということで訂正を求められたまま、きょうまで延びたわけであります。
  278. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 いつお出しになりましたか聞いているのです。
  279. 荒木留次

    荒木参考人 大体今月の一日ころだったと思います。
  280. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたはずいぶん前から、二十六年から仕事に携わっておられ、副会長にもなられ、数年会長の経験がある、それぞれの職員も経験者のみであろうと思う。のみならず各組会長にいたしましてもそれぞれの経験者のみであるようであります。にもかかわらず去る一日というと七月でありますから、二十九年分損害の、あなたの方といたしましては最終の決定ということになるのでしょうが、そういうふうに手続がおくれるということはまことに納得しがたい点であります。昨年いろいろ各方面に迷惑をかけたとおっしゃる、あるいは会計検査院あるいは行管等の取り調べがあったので、慎重を期したというお話でありまするけれども、慎重期するも期しないもないではなかろうか。それならば毎年この流儀でいけば翌年七月ころにならなければならないのではなかろうか、全国的にこういう例はほとんど絶無であります。あなたの方の県だけであります。いかにもこれは妙なことで、結局あなたの方は自主的に損害評価をしないというのが実情じゃないでしょうか。
  281. 荒木留次

    荒木参考人 私どもは県連合会一本でやります場合は、各支部の均衡を調査するわけであります。町村組合では、町村組合には一応損害評価委員がおられまして自己の町村を評価するわけであります。そういうまとまった町村の評価書を連合会に一応お出し願って、連合会はさらに客観的に整理いたしました資料と、あるいは統計事務所、食糧事務所の資料を見まして、その町村ごとに一応検討します。検討しました結果県に出しまして、県庁では法律の示す方法によりまして審査をやられます。県庁では、本年度は特に慎重を期せられたのだろうと思いますが、相当長くかかっております。大体県庁の書類の方が四十日ばかりかかっております。こういう過程を経ておりますので、きょうまで延び延びになったわけなのであります。
  282. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この制度というものは農家のためにあるのであって、何も役人のためにあるのじゃない。もちろん県庁のためにあるのじゃなし、政府のためにあるのじゃない。全国の零細な農家災害に対する補助の精神もあろうし、あるいに営農に支障を来たさないように、次の生産にさしつかえなからしめるようなことが制度の趣旨であろうと思う。しかるにあなたの御説明によりますと、慎重もけっこうでありますけれども、こういうことでは何も間に合わないのじゃないでしょうか。ほんとうに災害があったならば、やはり年末までに支払いができるとか、一、二月までに支払いができるとか、幾らおくれても四月くらいまでに支払いができるということにならねばならぬと思う。行政管理庁の資料によりますと、そんなおくれているようなことは例がないのであります。幾らおくれましても四月には終了するのであります。でありますのに、能力がないというのであろうか、七月になって書類が出るということは、要するに町村におきまして掛金徴収も満足にできておらぬ、あるいは共済金の支払いも差し引き相殺あるいは保留、あるいはいろいろなものに使ったり、架空名義で貯金したりするようなものまでも出ておるといったような経営のしぶりであるから、要するにほんとうの損害の査定とか評価ということが適正に行われるようになっておらぬのじゃないか、また統計調査所の調査の結果を待ち、あるいはまたあちらこちらの調べた結果を待って、自主的に損害が何ほどあったかということを判定しようという努力をしておらぬのじゃないか、こういうふうにも考えられる。果してそうであれば、大体これは農業共済組合の経営の能力がないのじゃないかというふうにも思われる。これはあなたを責める意味ではないのですよ。責める意味ではなしに、奈良県の二十八年度に起しましたところの憂慮すべきいろいろな不幸な事態の真相をほんとうに知ろうとするのです。これは結局組合自身がみずから損害を決定するところの力がないということに帰着するのじゃないだろうか、また事実やっておらぬのじゃないか、いわば当てずっぽうで行くのじゃないだろうか、こういうことまで想像をするのです、ほんとうはそうじゃないでしょうか。
  283. 荒木留次

    荒木参考人 町村組合の段階では、先ほど申し上げたように、何を申しましても農家でありまして、至ってしろうとで、専門家でない、また今の組合経営から申しますと、評価委員に一日何ぼ月何ぼというような日当が出せないのであります。また現在の奈良県の大部分の組合協同組合兼務しておる職員が多数おるということから、協同組合の専務の多忙に追われまして、実際本務であるところの共済職員としての仕事が十分できないというようないろいろの隘路がある、そういう隘路から来た遅延性が若干伴うのじゃないかということも考えられるのであります。
  284. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そんなら聞きますが、末端の農業共済組合というのはたいてい二人か三人、組合長は大部分が農協と兼任しておられるらしい。これはそういう組合みずからは経済上独立して経営はできないものなんでしょうか、その点はどういうふうにお考えになっておるのですか。
  285. 荒木留次

    荒木参考人 はっきり申しますと、奈良県の百四十組合で、実際独立し得るような組合が、私の勘定するところでは三〇%、七〇%は独立不可能じゃないかと思うのであります。
  286. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 報酬が少いとおっしゃっておりましたが、共済組合職員の給与とたとえば農協を比較して、農協の職員との開きはどのくらいあるのでしょうか。
  287. 荒木留次

    荒木参考人 大きな町村で見ますと大体五千円、小さなところで大体千二、三百円の差がついておりまして、農協の職員よりも共済職員が全般を通じて低いわけであります。
  288. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それではちょっとわかりにくいのですが、農協は普通どのくらいで、共済組合は普通どのくらいであるか、もしくは婦人で、男子で、こういうふうに簡単でよろしいですからちょっと御説明を願います。
  289. 荒木留次

    荒木参考人 大体私のきょうまで聞いてきた範囲内では、農協の男子職員で勤続年数大体六、七年になりますと一万三千円から四千円支給されておるそうであります。共済組合職員で非常に事務の多忙なせいもあるのですが、長期勤続というのはあまり見当らない、そういう関係に立ちまして、大体最高額で一万円というのは奈良県で二人か三人しかおらぬ、大体一万円未満の八千円、七千円が多数あるわけであります。女子職員にいたしまして大体最高で五千円くらい、最低で三千円くらいだそうであります。農協の側で申しますと、大体最高で六千円、最低で四千円くらいと聞いております。
  290. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 損害評価委員の報酬は普通どれほど払っておりますか。
  291. 荒木留次

    荒木参考人 私の調査した範囲内では、大体麦とか水稲評価を終りました時分に夕食を出すとか簡単な記念品が渡されることが関の山だと思います。日当が出せる組合はまずないだろうと思います。
  292. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それで損害は一筆ごとにそれぞれ査定していくことになるわけでありましょうが、この人々はそれぞれ生活をしていかなくちゃならぬのだけれども、報酬を支払うことなく、そういうことでほんとうに適正な損害の査定、評価ができるのでしょうか、その点どうなんでしょう。
  293. 荒木留次

    荒木参考人 御承知の通り、農村に至りましてはすべての役職は全部義務的に奉仕されております。現在のような兼任制度がある限りにおいて農協役員との兼務をしておられる方もありますし、部落から懇請された場合には辞退ができないのであります。自分の任期中はいかなる不幸があってもそれを実行せなければならぬというような、現在の農村の貧弱な財政からくる義務制が往々にして行われておるということがはっきり言われております。
  294. 上林與市郎

    上林委員長 大体申し合せの時間が参りましたから、簡潔に願います。
  295. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 報酬もほとんどなく、きわめて僅少であり、またずいぶんたくさん一筆ごとにいろんな方法で調査をせなければならぬ。従って目分量で調べたり、坪刈りをするにしましても正確を期し得ることはできませんので、結局全体として損害がほんとうに末端では明らかにできないのが当然でないかというふうにまで考えるのですが、それをどうお考えになるのか、こういうのがお尋ねの趣旨です。
  296. 荒木留次

    荒木参考人 百姓をやっておる関係で、大体自分の周囲の田は平年作であればどのくらい、こういう作柄はどのくらいということは大体わかるわけです。それを長らくの経験から割り出して——適正であるかないかということは疑問があるわけですが、私たちの考え方によりますと大体適正に行われておるのじゃないかということが言えるわけであります。
  297. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 正確にできておるというのですか、できておらぬというのですか。
  298. 荒木留次

    荒木参考人 やっておるように思います。
  299. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 やってる努力は認めるのですよ。努力は認めるのだが、ほんとうにできておるならば、去年の損害を今年の七月に至るまでうっちゃっておくべき筋はなかろうと思います。正確を期し、慎重を期しておるというのは、やはりそれはいいといたしましても、結局末端現場におきましては損害の査定は困難だということに帰しておるんじゃないか、こう思うので、お伺いしておるのです。それはもうそのくらいでいいと思いますが、そこであなたの方に伺いますが、一昨二十八年の奈良県の会計検査院検査の結果——もっともこれは検査院にもう一度伺わなければいけないのですが、委員長いいですか。
  300. 上林與市郎

    上林委員長 できるならば参考人に対する質疑を先にして下さい。会計検査院の小峰局長が見えております。
  301. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 では小峰局長に伺いたいのですが、十六組合、二階堂、生駒町、平群村、宇知村、牧野村、新庄町、当麻村、織田村、川東村、田原村、東里村、阪合村、真菅村、忍梅村、葛城村、都介野村、この十六組合共済金の総額がこれは水稲及び麦総計五千九百九十万円、これに対しまして保留分が四割六分、支払ったもの、配分いたしましたのが二千六百五十六万五千円ということになっております。大体こういうことでございましょうか。
  302. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院説明員 お答えいたします。支払うべき共済金がこの十六組合で六千六百万円余りになるのであります。これは共済金でございます。それでこのうち三千二百万円余りが何らかの形で交付されております。これは正当な県連合会で決定した通りの、正規の支払いは一文もないのであります。全然ありません。ところが各共済組合の独自の決定による被害割りで配分したもの、これが米と麦を合せまして七百五十数万円になっておりまして、これは先ほどお話しが出ましたようですが、三割未満の被害の場合には被害割りとしては金が払えないのでありますが、三割未満の被害の分まで含めているというがこの中に入ります。要するに各単組の独自の被害割りで払いましたものが七百五十六万円、私どもの調査ではそうなっております。  それから立ちましたついでにちょっと農林省からも中間的な回答が出ておりますし、私どもの方に、実は昨日こちらへ資料としてお出しになりましたものと少し違うものを中間回答としてもらったのであります。まだ内容を十分に検討する余裕がないのでございましたが、けさにわたりまして検討いたしました結果、大体私どもの方の照会との食い違いも発見したのでありますが、私今申し上げました各共済組合の独自の決定による被害割り、私どもは七百五十数万円、こういうふうに見ておりますが、農林省の中間回答ではこれが千万円ちょっとになっております。三百万円足らずの食い違いがあるのでありますが、これも大体どういう点が食い違いがあるかということがわかっておりますから、もし御質問がありましたらお答えします。
  303. 上林與市郎

    上林委員長 引き続き御説明を願います。
  304. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院説明員 今は配分しました額から申し上げましたわけですが、独自の見解による被害割り、これのほかに反別割りというのが私どもの調査では二千四百万円余りになっております。これと先ほど申しました被害割りとの間の入り繰りが三百万円近い額に相なるわけであります。結局被害割り、反別割り——ともかくも組合員に交付された額というのが、私どもの調査では三千二百万円余りになっております。この三千二百万円は、その下の方は農林省と私どもの方と若干の食い違いがございますが、ともかくも今の反別割りと被害割りを寄せますと、大体農林省の方の調査も三千二百万円余り、私どもの方の調査も三千二百万円余り、これが結局先ほど申し上げました六千六百万円という交付を要する額の四八%に当っておるわけであります。結局四八%が農民に交付配分された。実際に交付されたかどうかわからないのでありますが、ともかく配分された、こういうことになります。そのほかは掛金、賦課金の相殺というのが大きいのであります。これは先ほどからだいぶ話しになっておりますが、これが千六百万円余りになっております。これは農林省の調べでいきますと千八百万円余りになりますが、これは千六百万円余りの方が正しいと、昨日私どもの検討の結果そういうふうに考えております。   〔委員長退席、椎名(悦)委員長代   理着席〕残りの千八百万円というのが、目的外に使ったり、あるいは先ほど来お話しが出ました農協の定期預金になったり、あるいは農協の出資金、こういうものであります。そのうち大きいのは農協の預金でありますが、これが千五十万円ほどになっております。千百万円ちょっと切れるようであります。農協出資、これは三組合関係しておりますが、これが二百三十九万円、こういうことになっております。それ以外は共済組合関係のない経費に使っている、こういうことになるわけであります。それからきょう参考人としておいでになりました各組合に関しまして、私どもの方の照会を一組合ごとに出しておるわけでありますが、この中に若干の食い違いと申しますか、先ほど伺っておりますと、私どもの方の照会と違うような見解をお持ちになっている、それから農林省のお手元に出しました資料も私どもの見解と違う著しいものが一件ございますので、これを一つ御参考に申し上げておきます、若干の食い違いはこれからも検討を加えていく経過上あるいは出るかと思います。まだ回答をいただいたばかりで、私ども十分な検討を加えるひまがございませんので、若干の食い違いはまだこれから出るかもしれませんが、大きな食い違いは大体わかったつもりでおります。そのうちの一つが忍海村の分であります。農林省の資料、それから先ほどの御説明、これによりますと、被害割りが百七万八千円、反当割りが百万円、合計二百七万八千円を農民に配分した。こういうふうになっております。農林省の資料でも二百七万八千円というふうになっておりますが、私どもの調べたのでは、被害割りはわずかに七万八千円、反当割りが百九十九万円であります。ざっと二百万円でありますが、このうち百万円は反当割りで割当はいたしましたが、そのままこれを農協の出資予約貯金という名で吸い上げてしまったのです。これは結局農民には実際には交付していない、こういうふうに私どもとしては理解するのでありますが、農林省の資料あるいは先ほどの御説明では、反当割りで農民に交付した、こういうことになっております。会計検査院の照会、農林省のお出しした資料の一番大きな食い違いというのはこの点であります。あと二百万円ほど食い違いがありますが、これは反当割りと被害割りだけの食い違いでありまして、今のように、私どもとしては農民にいっていないと見ているものを、農民に交付したとするようなこういう大きな食い違いはこの一点だけであります。
  305. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちょっとただいま聞きましたので、忍海村の組合長に伺います。今会計検査院第三局長から御説明になりましたあなたの方の百万円、反当割で組合員に払ったということでありますが、実際には払っておらぬという今の御説明はいかがですか。
  306. 甲村重由

    ○甲村参考人 ただいま会計検査院の御報告がありましたように、反当割として分けたのが二百万円、そしてそのうち百万円を協同組合の出資として協同組合へ貯金してもらっております。
  307. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今の局長のお話は、反当割で支払ったということにしてあるんだが、実際は払っておらずに組合の出資に引き当てておる、こういう御説明でありましたが、その通りですか。
  308. 甲村重由

    ○甲村参考人 ただいま会計検査院の方から説明がありました通りであります。
  309. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 連合会の副会長に伺いますが、今会計検査院が御説明になりました十六の組合についての総額であります。これは大体あなたの方でお認めになるのでありましょうか。いかがでありますか。つまり共済金として支払うべき金額五千九百九十万何がし、それから農家に交付したものが三千二百五万円、これは四割八分ほどに該当するようでありますが、いろんな意味で操作しましたのが千六百万円、こういうような今お述べになりました数字、これは大体お認めになっておるのでありますか。
  310. 荒木留次

    荒木参考人 それは県庁が町村組合監査指導に参りますときには、はっきり表面の書類がきれいにできているわけでありますが、会計検査院とか強権を持たれるところの機関が調査された結果、あれと違った帳簿ができているわけでありまして、私の方が認めるとか認めないということははっきり言えないわけであって、その組合個々の農協との関連性におきまして操作されていることは、連合会としては関知できないわけであります。
  311. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 しかしあなたの方は、二十九年度の再保険金の受け取りについても、検査院の検査もあり、行政管理庁のいろいろな査察もありして、いろいろとあなたの方は各方面に迷惑をかけておりますというようなことで、関心を持っておられるので、そこで十六ぐらいの組合の問題でありますから、認める、認めないという言葉が適当でないとすれば、そういう事実がありましたことは承知しておられるかどうか。全然それは知らないということは、あなたの立場から言えないであろうと思う。このぐらいの組合のことであり、このくらいの金額だから、それもあなたが一職員ならともかくといたしまして、会長にかわって全体をいろいろ御指導になっておる立場だが、こういうことがあったことについては御承知でありましょうか。
  312. 荒木留次

    荒木参考人 それは県庁からの連絡によりまして初めて承知いたしたわけであります。
  313. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで伺っておきますが、農業共済保険に関係のない、関係のないと言いますよりも、本来目的でない農協の出資金に引き当てをするというようなこと、これは農協の立場から考えれば、いろいろな機会にとりたいということも当然かと存じますけれども経理を合理的にきちっといたしますためには、やはりその点も大いに問題じゃないかと思うのであります。またたくさんの金額が定期預金されたりしておりますですが、こういうようなことについてあなたの方としては、それはいかぬ、そうすべきでないというふうな御指導はないのでしょうか。
  314. 荒木留次

    荒木参考人 それは私の方は業務指導の関係でありまして、県庁経理指導とか監督の面に立つのですが、私はそういう共済団体の責任においてそうすべきでないということは組合にもしばしば言うておりますが、しかし奈良県の全体の農協を通じての状況から見れば、当然そういうふうに持っていかなければならないのじゃないかということも考えられるわけであります。
  315. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうするとあなたの御意見は、組合と農協との関係、また農協が赤字経営である等の関係から、そういうふうに持っていくのはやむを得ないかのような御意見のようでございまするが、これはしかし農業共済の立場からいたしますというと、そこはもっと区別をしてもらわねば困るわけであります。そこであなたに伺ってみたいのですが、共済金の支払いにつきまして、末端の組合員に支払うべきものを支払っておらぬということが今日明るみに出て、全国的に取り上げられて問題になっておるのでありますが、そういうことに農民はだんだんと関心を高めて参っておるようでありますから、いずれいろいろと農民から声が出てくるものと思われますが、今まで末端の農家がこの制度にねきましてほとんど無知識、無理解というのが、ほんとうの実情じゃないかとも考えられるのですが、その点どういうふうにあなたは見ておられるでありましょうか。
  316. 荒木留次

    荒木参考人 全然無関心でないとは思います。ということは、結局昔から農村の事情からいたしますと、部落常会とか部落協議会でいろいろなことが相談されます際に、私はそういうことが組合から、あるいは部落の責任者から話されているだろうということを考えます事情におきまして、全然無関心であるというようなことは考えられないわけであります。
  317. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 無関心とは言っていないのです。知識がないのじゃないかと言っておるんです。いろいろ関心を持っておるが、理解しておらぬ、知識がない、こういうのだろうと思います。そこで、それはいいといたしまして、反別割に支払いをするとか、被害のあるなしにかかわりませず金を交付するというような、そういう方式を末端でとっていくということは、これはやむを得ないことか知りませんけれども制度の建前から見ると、これはめちゃくちゃなことであると思うのですが、そういうめちゃくちゃな方式をとらねば、一体この運営ができぬものでありますか、それはどうですか。
  318. 荒木留次

    荒木参考人 実はさいぜんも申し上げましたように、今の農村事情といたしまして、非常にこの制度と供出のからみ合いから、御質問のあったように法律上当然禁止しなければならぬ行為までも町村組合で行なっているということは、一例をあげますと、五反歩耕作している農民が、二反歩は三割あるいは三割以上の被害があって、あと残りの三反歩が基準収穫以上できている。その場合、その一家の農業経営から申しまして、役場あるいは部落割当数量よりも若干上回った生産数量であるということになりますと、当然部落なり役場は、その生産量から保有量を差し引いた残高を全部供出させております関係で、共済組合の立場からこれを考えますと、現在の農村事情から無理からぬことであるということも考えられます。
  319. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 村でない、もう一つ下の部落の責任者がそれぞれ末端の世話をしておられるようにわれわれも了解しておるのでありますが、そういう方面に対しまして、今のような共済制度のやり方で、仕事だけは押しつけて、そうして損害は正確に調べてもらわねばならぬ、こういうようなこと、報酬もほとんど渡さない、これは取らないのかも知らぬが、渡さないというようなことでは、損害の適正な査定、評定というものはできないのじゃないだろうか。それならどうしたら損害を正確に知ることができるかというようなことについて、あなたはどういうふうに考えておりますか。
  320. 荒木留次

    荒木参考人 今、市町村合併と同時に組合合併も非常に奨励されております。そういうことがまとまりまして組合の規模が相当大きくなれば、われわれが非常に心配しておりますところの手当にしても、すべてがうまくまとまっていくのではないかということが痛切に感じられるのであります。ことに奈良県の吉野郡の地域にある規模の小さい組合のごときは、現在のあの組合をそのまま存続せしめるならば非常に経営の困難が伴うのではないかと考えまして、私は町村合併、組合合併の線に努力しておるのであります。
  321. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それもわかりますが、ただ組合が合併して力が強くなるというだけでは、なかなか解決しない問題だと思います。現にそういう面だけでなしに、——そういう単に力の問題だけというのであるならば、たとえば今の葛城村におきまして百万円の架空名義の預金なんかもしておるような実情もあるし、忍海におきましてもそういうふうな預金をしておるというような実情もありますので、ただ経済的な力というだけではほんとうの解決のかぎはまだ出てこないのじゃないであろうというふうにも考えられます。この点はあなたにいろいろ意見を求めても、この際は多く期待いたしませんけれども、いずれにしても今の共済運営のやり方は、政府から金を受け取ってきたならば、法律を無視し、あるいはまたそれが道徳的に悪いことであることも無視し、また百姓が困るというようなことも頭に置かず、ただもう取ればよしということで横取りしておるという形跡がないでもないのであります。そういうところに根本的な欠陥があるのではないかと考えるので、もしそうであれば、組合を合併して大きくなったからといって、問題は解決しないのであります。組合が大きくなって解決するのであるならば、そんな、人の名前で何百万円の金を預金するとか、そういうようなことは全然関係のないことであります。そういうことが行われるのはやはり運営根本に大きな盲点があるからではないかと思う。金がたくさん入ってくる、それならよけい取ってやれで取った金だから、何だかんだと名目を設けて横取りするということになってしまえば、もうこれは法律秩序も何もないのでありまして、百姓のためという名目のもとに莫大な国費が横取りされているという結果を招来しておるわけであります。こういうわけでありますから、あなたの御意見は御意見として、組合が小さいよりも大きくなるということは悪いことではありませんけれども、それが問題をなくする最大のかぎではないと思うのでございます。しかし大体このくらいでよいと思います。  そこで、検査院はわずか十六名くらいの組合をお調べになったのですが、あなたの方としましては、調べるべき責任がないであろうけれども県庁とも連絡を取って、全県下百四十幾つかの組合全体にわたって調査してくるというようなふうにでもやっておらぬのでしょうか。
  322. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院説明員 私どもの方は、比較的少い人間で見なければいけない義務を負わされているわけであります。大体三月なり半年なりの出張計画を立てまして、それによって旅費の配分を受けますし、検査を実施していくのでありまして、奈良県は、今まで私どもの見ました組合の中では割合に悪い方でございますが、さればといってほかの県をやめてしまって、奈良県の分だけを見るというわけにも実際問題としてちょっといきかねる事情にあるわけでございます。来年にでもなりましたらまた何とか考えようもあると思いますが、今年は今のところちょっと余裕がないわけであります。
  323. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちょっと東田さんに……。   〔推名(悦)委員長代理退席、委員長着席〕
  324. 上林與市郎

    上林委員長 一応荒木参考人質疑を終ってからお願いします。  次に、細田君に質疑を許します。細田君。
  325. 細田綱吉

    ○細田委員 県の方の共済組合検査は年に一回ありますか。
  326. 荒木留次

    荒木参考人 県庁は定例検査と申しまして、年に一回必ずやっておられます。私の方の団体といたしましても、経理指導をいたします関係におきまして、予算等の関係もありますので、一年間に全組合回るということは非常に困難でありますから、この組合はうまくいっていないではないかというようなところを抽出しまして経理指導に当らせております。
  327. 細田綱吉

    ○細田委員 連合会検査は県からいつありましたか。二十八年、二十九年。
  328. 荒木留次

    荒木参考人 随時考えましたときにやっております。
  329. 細田綱吉

    ○細田委員 県から連合会検査は、二十八年は何月、二十九年は何月にあったか、こう聞くのです。
  330. 荒木留次

    荒木参考人 県庁からは全然ない。農林省からありました。
  331. 細田綱吉

    ○細田委員 それでは農林省からいつあったか。
  332. 荒木留次

    荒木参考人 農林省は、二十八年の大体二月ごろであったと思います。
  333. 細田綱吉

    ○細田委員 それは二十七年度でしょう。二十八年度はいつですか。
  334. 荒木留次

    荒木参考人 二十八年度は二月ごろ……。
  335. 細田綱吉

    ○細田委員 それは二十九年の二月ごろですか。
  336. 荒木留次

    荒木参考人 衆議院の選挙の最中にこられました。
  337. 細田綱吉

    ○細田委員 では、あなたの言われるのは二十九年度でしょう。農林省から奈良連合会検査があったのは、今二十九年度は衆議院選挙の前というから、一月か二月ごろでしょう。そうすると二十八年度はいつあったのですか。
  338. 荒木留次

    荒木参考人 二十八年はなかったのです。二十九年がありました。
  339. 細田綱吉

    ○細田委員 奈良連合会は人件費その他一年の経費は幾ら使っておられますか。二十八年、二十九年両方についてお述べ願いたい。
  340. 荒木留次

    荒木参考人 二十八年度におきましては二千百八十万円ほど使っております。二十九年度は大体二千二百三十万円くらい使っております。
  341. 細田綱吉

    ○細田委員 それで連合会の経費として国から補助されている金は幾らでございますか。
  342. 荒木留次

    荒木参考人 大体六百九十万くらいでございます。
  343. 細田綱吉

    ○細田委員 大体共済組合の経費というのは国が負担する建前になっておりますが、それの三倍もしくは三倍以上の金を使っておるが、それはどこから出すのですか。
  344. 荒木留次

    荒木参考人 それは水稲なり麦あるいは家畜、蚕繭等の賦課金で徴収しております。
  345. 細田綱吉

    ○細田委員 そうすると組合員から連合会の経費費として一人で幾らくらいとっておりますか。
  346. 荒木留次

    荒木参考人 反別事情によってわかりませんが、奈良県の事情から申しますと、麦と水稲が大体一反歩二十五円、家畜一頭当り八十円、蚕繭グラム当り七円を徴収しております。
  347. 細田綱吉

    ○細田委員 保険課長に伺いたいのですが、大体県連合会の経費は国が持つという建前じゃないですか。あるいは自由に連合会で賦課金を決定して徴収できる建前になっておるか、その点を一つ。
  348. 橘武夫

    ○橘説明員 連合会の経費は国が負担する建前になっておりますことは、今御指摘の通りでございます。ただ予算の関係その他からいたしまして、国が十分にそれを負担することができない事情にございますので、その国の負担によっての足りない分は、連合会が定款の定めるところによって、その会員から賦課できる規定になっております。その賦課については、連合会の場合は、農林省からその賦課の基準について、承認を得る建前に、一昨年でございましたか、法律が改正されております。
  349. 細田綱吉

    ○細田委員 それではさらに伺いますが、奈良県ではその国の補助金の負担金といいますか、補助金の三倍以上、言いかえれば二十八年には二千百八十万円、二十九年には二千二百三十万円を承認を与えておるが、そうだとすれば、これは足りない部分を負担することができるというのじゃなくて、むしろ国が足りない部分を補助するという、まるで本末転倒の結果になっておるが、その点の御意見はいかがですか。
  350. 橘武夫

    ○橘説明員 二十八年、二十九年ともに承認をいたしております。
  351. 細田綱吉

    ○細田委員 あなたのおっしゃるところは、従来は国が全部持っておった、しかしそれは足りない場合があるだろうから、足りないところを賦課金を徴収することができる、こういうふうに農林省の許可を前提として規則を改めたというのだが、これでは二千何百万円の経費を使って、国がわずかに六百九十万円しかくれないような実績を見ると、むしろ経費は組合員から徴収するのだ、ただし国は若干の補助をするという結果になっていはしませんか。こんなことは常識でもわかりましょう。あなたの方はこういう許可をしておるのです。
  352. 橘武夫

    ○橘説明員 結果として言いますと、ただいま御指摘の通り、むしろ国の負担の方が少いという結果になっております。まことに御指摘の通りでありまして、私どもその負担を国として十分に現在いたしておるとは思っておりませんので、毎年予算としてはいろいろ増額要求をいたしておりますけれども、残念ながら十分に予算上負担できるような額が認められていないわけでございます。
  353. 細田綱吉

    ○細田委員 それはさらにあとに伺うことにして、荒木さんに伺いますが、あなたのところの二十九年度の二千二百三十万円、この支出は人件費幾ら、交際費と申しましようか料理屋の金は幾ら、こういう項目別にすると、どういうふうに支出されておりますか。
  354. 荒木留次

    荒木参考人 各科目別はわからないのでありますが、大体人件費部分は先ほども説明申し上げた二千百八十万余円のうち、二十八年のごときは五八%要っておるのであります。会議費等にいたしましても、大体百二、三十万円が普通要るわけであります。今これは書類を持ってきておりませんから、明細に各項目ごとに御説明できないのでありますが、大体大きな金額といたしましては損害評価費、普及費、会議費、それから職員福利厚生費というものが大きな金額をなしておるわけであります。
  355. 細田綱吉

    ○細田委員 職員費が五八%と言われておるのだが、これは六百九十万円の五八%ですか、あるいは二千二百三十万円の五八%ですか。
  356. 荒木留次

    荒木参考人 二千百八十万円のです。
  357. 細田綱吉

    ○細田委員 そうすると、先ほどあなたのところでは職員が足りない、安いから、こう言われておったんだが、大体月に幾らくらい支払っておられますか。
  358. 荒木留次

    荒木参考人 私の方は今連合会説明をしているわけでありますが、連合会の給与ベースが現在一万三千五百円であります。さらに賞与も含んでおりますし、今申し上げた五八%というのは、役員の手当等も含んだ人件費部分であります。
  359. 細田綱吉

    ○細田委員 あなたのところは七月一日に損害保険金の請求を出したと言われておるが、損害の発生はいつだったのですか。
  360. 荒木留次

    荒木参考人 損害として見られる場合は、九月ごろから大体わかるわけであります。最終決定は十月の末ごろから十一月の上旬にかけて大体決定するわけであります。それは損害評価委員が見に、回って決定するわけでありますが、それから損害評価委員会を開き、あるいは支部の損害評価委員会との打ち合せ、あるいは連合会との打ち合せというように、相当期間がかかるわけであります。
  361. 細田綱吉

    ○細田委員 あなたの方では先ほど、専門家でないし給与ベースも低いし、しろうとであるから事務が進まないとおっしゃった。ところが行政管理庁の監察部の発表するところによると、奈良県は共済組合職員はあなたの今おっしゃったように、平均すれば大体一万二、三千円くらいになるが、国家公務員のベースが一万二千百九十円、決してよそよりあなたのところは給与が少いということはない。それであるのに、先ほども吉田委員が指摘しておったように、全国がもっと早く出しておるのに、あなたのところだけがどうしてそんなに事務が滞留するのか、あるいは奈良県だけが突拍子もなく物価が高いとか、そういう事情があるなら別だが、国家公務員よりあなたのところのベースが高い。それではわれわれは納得がいかない。どうしてそんなに手間がかかるのですか。
  362. 荒木留次

    荒木参考人 人員の構成から御説明申し上げますと、奈良県は大体九郡に一つずつの支部を持っております。その支部の職員におきまして農作は一人あるいは家畜が、ところにより診療所を持っているところは二人おりますが、女の職員一人、連合会は現在農作として一人しかおりせんません。そういう関係におきまして、職員全般から見まして農作担当者が非常に少いわけであります。そうしてさいぜんから申し上げるように、町村組合の方では、本年度は非常な努力を払って損害評価の厳密性を期してくれということを連合会から再三再四通知している関係で、十分なる評価のために日のおくれた関係もあるのじゃないかということであります。
  363. 細田綱吉

    ○細田委員 あなたのところは今まであまりにもずさんであったのが、今度は正確にやったかもしれない、よそではあなたのところ以上正確であったのにもっと早くできた、この点だけはわれわれの首肯されるものはちっともあなたの言葉から出てこない。それからなぜ百万円ばかり共済組合長何のだれがしで堂々と預金しなかったのですか、なぜ架空名義で預金する必要があったか、これはよその県でもこういうことをすると明らかに背任です。その金が何に使われようとも、ほかの人の名義で預金しておったという事実で茨城県なんかでも検察庁から摘発されて、背任で監獄へたたき込まれておる。なぜそういうことをする必要があったかということを伺います。
  364. 荒木留次

    荒木参考人 今のお尋ねは町村組合の場合であると思います。私は会計検査院の調査によって初めてそういう実情が見られたわけでありますが、そこまで私は知らなかったのであります。それだから私の方はそういうことについて監督権もありませんし、従ってそういうことを指導した事実もないわけであります。これは組合個々の経営上からやられたことであって、連合会といたしましてはそういう指導もしておりませんし、監督もできないわけであります。
  365. 細田綱吉

    ○細田委員 先ほど委員長から、第三者が何か検察庁へ申告したと言われておりましたが、これは現実に吉川君が投書しておる。吉川君はもちろん身柄を拘束されて調べられたようだが、そういうようないろいろの事実は前もってわかっておったのでしょう。吉川君が検察庁に身柄を拘束されて調べられておるというようなことをあなたが知らなかったということはないはずですが、その点はどうですか。
  366. 荒木留次

    荒木参考人 今お話のあった吉川君ということは二十七年ごろのことじゃなかったかと思います。
  367. 細田綱吉

    ○細田委員 職員がそういう内部のことを検察庁なんかへぶちまけて、なおかつその職員を今まで使っておるというようなことがわれわれには納得がいかないのですが、これは普通からいえばよっぽどすねに痛い傷を持っているから首を切られないということになるのです。古川君を依然として連合会職員に使っているのでしょう。これは普通からいえばそういうふうに想像されるのです。またあなたの方のような金の使い方をするからこそ、組合長が大阪や東京にメトロを経営をして、その方に資金を流しておるというような評判が立ったり、あるいはここへ県庁や農林省の役人が招待されるというような評判が立つことになるのです。これは私は真相は知りません。真相は知りませんけれども、そういう無責任なことをやっておるからいろいろそういう評判が立つのです。  そこで最後に伺いたいのですが、あなたの方では町村合併があればこういうことはなくなるというのだが、たとえていうならば、町村合併で各単位共済組合がかりに五つ合併したからといって、農林省は必ずしも五つ分をよこすわけじゃない。町村合併がなくなった場合にはどういう点であなた方が経営に自信があるかということを具体的にお教え願いたい。
  368. 荒木留次

    荒木参考人 町村合併のなった場合には、当然今御指摘のあったような職員数も減らされますし、そういう賦課金等の関係で優秀な職員が採用できるということも考えられます。従って評価も今のような部落本位的な評価でなくして、大きな立場に立って公平な評価ができるだろうというようなことも予想されます。そういう観点から、私は組合合併の方がいいのじゃないかというふうに考えます。
  369. 細田綱吉

    ○細田委員 最後にあなたの方では全組合員の承諾のもとにあらかじめ差し引いて賦課金をとった、こういうわけですね。
  370. 荒木留次

    荒木参考人 はい。
  371. 細田綱吉

    ○細田委員 その全組合の承諾ということは、どういう形でとったのですか。ただ一片の単位農協に対する指令でやられたのですか。単位農協を集めて、決議で行われたのか、また各単位共済組合が総会を開いて組合員の承諾を得ておるのか、具体的にどういう方法で全組合員の承諾があったとあなたの方で御認定になったか、その点を一つ伺いたい。
  372. 荒木留次

    荒木参考人 私がさいぜん申し上げたように、十の支部がありまして、その支部において関係町村の組合長に集まっていただきまして、そのときに予納制の問題をお話し申し上げ、さらに文書をもって後刻また通知したわけであります。
  373. 細田綱吉

    ○細田委員 これはさっきも保険課長が言ったが、ほんとうに各組合員の承諾がなかったらできないのです。かりに上級機関であっても、そんなことは僣越きわまる。あらかじめ取るのだから、これはほんとうに組合員の承諾なくしてはできない。ただ町村長を集めたときに申し渡した程度でやるということは、きわめて僣越だ、越権だということを申し上げて私は質問を打ち切ります。
  374. 上林與市郎

    上林委員長 荒木参考人に対する質疑は一応これで終了いたします。荒木参考人にはまことに御苦労さまでした。  これにて参考人諸君に対する個別的な質問は一応終了いたします。しかし午前中委員の希望もございましたので、今全部の参考人出席しておりますから、なお御質疑があればこれを許します。
  375. 細田綱吉

    ○細田委員 食糧課長は要求はしたが、来ないということですか、何か理由は言ってきていますか。
  376. 上林與市郎

    上林委員長 昭和三十年度産米の事前売り渡し集荷予定数量地方別割当のための、売り渡し推進協議会があって、その主管課長のために、二十八日はこられる、こういう通知がありました。
  377. 細田綱吉

    ○細田委員 東田さんに伺います。荒木さんに伺ったのですけれども、さっぱり納得がいかないのですが、架空の名義で、言いかえれば組合以外の名義で百万円を預金したというのは、これはどういうわけでそういうことをやられたのですか、納得のいくように一つ御説明を願いたい。
  378. 東田利清

    東田参考人 架空の名義でやっておるということの、私どもについての御指摘のようでありますが、これは連合組合ではなく、単位組合であります。
  379. 細田綱吉

    ○細田委員 それでは葛城の農協の方に伺います。
  380. 米田音吉

    米田参考人 午前中にも申し上げましたように、協同組合の貯金から百万円を落合純三と一いう共済組合職員外九名の名義としたのは、当時私奈良の方に出張をしておりましたが、共済組合長と貯金係の相談の結果やったらしゅうございます。
  381. 細田綱吉

    ○細田委員 あなたが帰ってそれにお気づきになったのはいつですか。
  382. 米田音吉

    米田参考人 あくる日に伝票の捺印のときにわかりました。
  383. 細田綱吉

    ○細田委員 そのときにどうして直ちに農業協同組合に預金を振りかえるというか、預金をし直さなかったのですか。明らかに個人の名義で預金したものは、その個人の判がないと協同組合といえども、おれのものだといっても、銀行あるいはその預金先は受け付けません。かりに農業協同組合に預けてあっても、農業協同組合はそんな越権はできません。これは茨城県の何かの例ではそのために背任罪——使ってしまった金で、金はちっともふところは入れなかったが、併合されて横領罪になっておる。そういう大それたことを あなたが帰って伝票に判を押したときに気がついて、どうして直されなかったのですか。
  384. 米田音吉

    米田参考人 その点につきましては組合長がやったことですし、落合純三そのものが実在いたしておりますのと、そのほか九名ということにつきましては、結局私の思いますのには、現在は利子税とか何とかいうものがなくなりましたけれども、当時やはり定期の十万円以上に対しては源泉課税も徴収されます関係上、そういう十口にも割ったのだろうかと思うのです。その金を名前がそういう架空の名義だから勝手に使うとか何とかいうことは、常識的に判断いたしましても、そういうことはおそらくできない金でもありますので、私としましてはそれを組合長名前の変更とかいうことは申し出なかったわけであります。
  385. 細田綱吉

    ○細田委員 あなたの参事というのは一職員の職名ですか。役員の職名ではないのですか。
  386. 米田音吉

    米田参考人 職員の職名です。
  387. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 全体の問題ですけれども、本年に至りまして——本年というのも二、三カ月前、五月以降のことでありますが、奈良県の警察本部の方からこれらの組合もしくはいずれかの組合が捜査されたようなことはありませんか。連合会長、副会長どうですか。
  388. 東田利清

    東田参考人 そのようには聞いておりません。
  389. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで今細田委員からお尋ねになりましたことに関連しますが、法律を無視することも、これは農家の経済上やむを得ない場合もないではありませんけれども、この無視の仕方にはずいぶんと莫大な金が動いておりまするので、こういったことは大体普通の常識から考えても犯罪的なことになるというくらいはお考えになりませんでしたか、連合会長、もしくは副会長どうです。連合会長にしましても、あなたは二階堂の組合長でおありになり、また県の連合会長で百四十の組合を指導なさる立場であるが、こういうことは犯罪になるというふうなことはお考えになりませんか。
  390. 東田利清

    東田参考人 犯罪になるというふうなことは考えておらなかったです。
  391. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 犯罪になると考えてやったかどうかとは問うておるのではないのです。こういう、たとえばあなたの組合にしても農業共済保険に関する法規に違反をいたしまして、目的外もしくは全く関係のないところに、莫大な金を使ったり、貯金したりすることは、これはできないものであるということ以上に、犯罪的な行為であるというふうなお考えはありませんか。犯罪と考えてやったかどうかを聞いておるのじゃないのです。犯罪と見るべきものだとも言い得るのであります。犯罪と断定せぬでもいいのですけれども、犯罪的行為であるというふうにお考えになりませんか。
  392. 東田利清

    東田参考人 いろいろ聞かしてもろうて、なるほどいいことじゃなかったと思っておりますが、その当時はみんなが賛成していただいて、そうしてくれと言うたのだから、これでいいのだ、こういうふうに思っておったのです。まことに済みませんでした。
  393. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたはみんなが賛成してくれたとおっしゃるけれども、それは役員会とか少数の人であって、数百名の組合員に一々きちっと承諾を求めたという事実はないのでしょう。ここであなたを追い詰めてどうという気持ちはありませんから、ともかく率直なことを述べておいてもらいたいのです。言いかえますならば、こういうことを、少し悪いことだと思ったというような程度でおやりになったら、これは大へんなんですよ。われわれとしても、このような重大な法律無視のことを敢行せられて、多少道徳的に悪いことだという程度の反省しかないということであったならば、ほっておけないのです。それならそれで厳重に——これは全国的に申すならば、一年に百五十億円以上も国の経費がいっている事業なんです。国会がこれを調査するのも、そういうことに理由があるのですから、われわれはもっと露骨な言葉も使いたいけれども、きょうは参考人だから少し御遠慮しているのです。あなたの今の態度が、平身低頭というのじゃなくて、多少悪いことだというくらいな程度ならば、これは大へんなんだ。そんなお考えで、この法律を無視して、会計を紊乱するということはもってのほかであると思うのです。本委員会においても告発もできるのできるのですから、そこはほんとうにしっかりとして御答弁願いたいと思う。私は、あなたが奈良県全体の代表者であると思って、今お尋ねしているのです。どうでしょうか。
  394. 東田利清

    東田参考人 今いろいろ聞かしてもろうて、非常にこれは悪かったなあ、できましたならば、早く返せという命令をかけていただいて、すぐに返させていただきたいと思います。いいことを聞かしてもろうて、初めて悪いことだと思っております。どうぞ返させていただくように、早くお願いしたいと思います。
  395. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 一、二点だけで私は終りたいと思います。どうも問題の起る一つの原因として、組合の一番先の部落農業共済事業の手助けをするといいますか、末端の現場の仕事をやっておられるところに、いま少し制度とぴったりこない実情があるような気がしてならぬのであります。これは川東の組合長に伺いますが、あなたらの経験によって、部落損害評価委員にしても、あるいは掛金徴収の仕事をする人にしても、そういうところへ報酬を支払うということになれば、組合は経済的に成り立ちませんか。もしくは、労力に相当な報酬を得られないような今の実情であるようですが、こういうことをもっと改善する端的な方法はないものかと考えるのです。あなた方に言わせれば、だから相殺するのだとおっしゃるかもしれない。しかし、相殺相殺でやってしまったら、また制度を殺してしまうのです。というのは、そういう筋のものじゃないのです。元来保険にしろ、共済にしろ、保険の制度とかりにこれを規定すれば、保険料金を支払って掛金をして、将来損害が発生すれば保険給付をするというのが、保険の原理なんです。何もかけずに、損害が発生したら保険給付を受けて、給付を受けた中から最初の掛金をするという、そんな保険は、世界広しといえどもどこにもないのです。それは保険でもなんでもない。それならば補助金制度です。補助金制度なら補助金制度でわかるのです。保険と銘を打って打ち出してある以上は、あなた方末端において、変則的だけれども、保険の一種の運用をなさる立場になければならぬ。ところが末端の掛金を取りに行ったりあるいは損害を査方したりするところに、どうもそういうような制度とぴったりこないようなものがあるというふうに考えられるのですが、一体あなた方として良心的にどうすればいいだろうとかいうふうなことはお考えになりませんですか。
  396. 木原忠司

    木原参考人 お答えいたします。ただいま損害評価委員の手当の問題が出ましたが、私どもは農業協同組合共済組合は、役員も全員兼ねておりまして、事務所も一緒におりますが、私どもの農業協同組合の方は貯金は一億四千万くらいありまして、奈良県下の最優秀の部類に入れるのであります。従いまして、共済組合の方に対しましては、役員はむろん、損害評価委員なりそれらの人に対しては全然手当を出さないばかりでなしに、それらの人の会議がありましたときの簡単な飲食とか、共済組合の事務を進めるための印刷用の用紙であるとか、そうしたいろいろなものは農業協同組合の方から補給いたしております。事実上かなりたくさんの金を間接、直接に共済組合の方に支給いたして、ようやく仕事をやっているような実情であります。これは奈良県におきましても、私のような一億四、五千万も貯金のあるところであって初めてできることだと私は考えているのであります。従って共済組合がその仕事をする損害評価委員とか、関係者に手当を出すというようなことは、とうてい考えられないのであります。こういうことは先ほど来お話を伺っておりますと、出すのがほんとうでありますが、それを出して完全な事務態勢を整えますと、さらに賦課金を徴収していかなければならない。結局農家にそれだけの負担を転嫁することになるわけでありますので、われわれといたしましては、農業協同組合組合員共済組合組合員役員も同じでありますから、農協の方から共済組合へ事務費なりそうしたものを補助いたしているような関係であります。また保険事業そのものの本質から申しましても、農家から金を取ることは非常にむずかしいことであります。私も個人としてはうちで耕作もやり、農家の仲間入りをした生活をしておりますが、農家というのはなかなか長い目で見た利益ということは考えてくれない、目の前の、この金出したらどうなるか、どれだけの利益があるかということだけしか考えてくれないのであります。従いまして農家から保険金なり事務費、賦課金を徴収することは、われわれの知る範囲においては不可能であります。この制度が今後うまくいくためにわれわれとしての希望を申しますならば、なるべく掛金を少くして国家の負担を多くしていただいて、先ほど繰り返し申しましたように、これは法を守っていかなければならないものでありますから、完全徴収をし、完全支払いをやるためには、なるべく掛金を少くして、だれでも出し得られるような金にして、そうしてこれを完全に徴収する。また三割評価ということ、三割以上でないと保険にかからないということは、これもわれわれ仕事をやっておる者の一番むずかしい点でありますので、その三割以上というものをもっと低い災害でも保険がかかるようにしていただく、また事務費そのものにつきましても、先ほど申しましたように、農協からこれを補っていかなければやっていかれない状況でありまするから、国家のこうした方面の助成といいますか、めんどうを見ていただくということもお考え願う、そういうようなことにしてやっていかなければならないと思います。私どもでもかりに役員が農協と共済と別にするとか、あるいは農協と別個の団体なり役場とかに持っていくとすれば、これはたちまち共済運営そのものが経費的に行き詰まってしまう、こういうように私は考えます。
  397. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 多岐にわたっての御意見がありましたが、農協と事務所を一つにして、組合長が一人になるということ、またあなたのお述べになる農協から金品を共済組合に補給することによって共済組合が成り立っておるというようなこと、そういうことのよいか悪いか、適当であるかいなやということは、これはおのずから議論のあるところであります。大体そういうようなことをすること自体が農協の趣旨にも反するし、共済組合の趣旨にも反することになります。たとえば物品の補給にいたしましてもまたそれは別の意見を述べなければなりませんが、私の聞いたのはそうじゃなしに、もう一つ掘り下げて、末端の部落との関係を申しておったのでありますが、あなたの御経験上やはり部落の問題といえども、農協と一緒になっておるその個所で適当にやっていくのでなければ、とうてい行い得ないということが結論的な御意見であろうと思いますから、それはもうその程度でいいといたしましょう。
  398. 上林與市郎

    上林委員長 細田委員発言ありますか。——細田委員
  399. 細田綱吉

    ○細田委員 共済保険の各府県連合会の経費は、全国平均どんな工合になっておりますか。
  400. 橘武夫

    ○橘説明員 ただいまその全般的な数字を手元に持ち合しておりませんので、あとから刷りものにして差し上げたいと思います。
  401. 細田綱吉

    ○細田委員 それでも大体の記憶はないのですか、それはないと言えばしようがないが……。保険料率と収支のバランス、これはあなたの方で出したのですが、これを見ても一対九ですよ。それから奈良県が非常に徴収の悪いところだということもあなた御存じでしょう。そこで国から六百九十万円行っているのに二千数百万円の経費を使っている。これがだんだん少くなってしまって、農民の方へほとんど行かなくなってしまって、県の連合会の費用も差し引き、そして掛金の経費を差し引くなら、結局組合員のところに何にも行かなくなってしまう、あなたの方のこの収支バランスの図表を見ても一対九になっておる。保険料は一割、それから国庫の補助金の方が九割、これは私の表を見ることが間違いでなかったとするならばそうである。六百九十万円国からいっておるのに、その三倍以上の経費を使わして、そうしてあなたの方の検査はこれで通るのですか。
  402. 橘武夫

    ○橘説明員 今の一対九という点がちょっとはっきりわかりかねますが……。
  403. 細田綱吉

    ○細田委員 いや、それにしても六百九十万円に二千数百万円はあまりに多過ぎる。職員関係にだけしか使わない。あとは職員がみんな飲んだり食ったりしてしまう。それだからさっきも言ったように、組合員関係しておるメトロにみんな資金が流れておるということが言われ、またあなたの方がそこに出入りしておるということが言われる。痛くない腹を探られる。こういう無責任な経理状態をやっておる。二十人、三十人という職員がおるなら別です。それであなたの方の検査は通っておったかというのが私の質問です。
  404. 橘武夫

    ○橘説明員 今の御質問でございますが、私の方といたしましては、一応連合会の書類に基きまして必要と認められる経費を算定いたしまして、必要だという認定のもとに承認しているわけでございます。
  405. 細田綱吉

    ○細田委員 それでは奈良県の連合会の経費、これは先ほども言っておりました普及費、評価——評価費なんというのはどういうものか、これはさっきは時間がかかるので言わなかったけれども、大体災害評価委員というものは部落ごとにあって、どこの県だってみんな無給です。これは奈良県だけがそんなにたくさん出しているのかどうか知りません。人件費五八%というのも、わずか三人の職員とか言っていたが、三人の職員じゃない、大体役員が使っておる。よその単位農協なんかは役員はほとんど無給にひとしい。年三千円か五千円くらいです。そんなにかかりっこない。こんなことをあんたの方が見のがしておるからこういうことになる。そうして六百九十万円の金が実際農家にいかないということになる。これであなたの方の検査はよろしゅうございますか。
  406. 橘武夫

    ○橘説明員 ただいまの損害評価関係は、連合会といたしましても組合損害評価いたしましたものに対しましてさらに連合会としての損害評価委員を使いまして、連合会の立場でさらにその適否を検討いたします。その損害評価のための費用は相当な費用が必要なわけであります。その他さらに合理化すべき点、さらに検討すべき点、私どもの方の審査の不十分であった点はあるいはあるかと思いますが、私どもとしては当時は一応十分に審査いたしました上で承認いたしたはずであります。
  407. 細田綱吉

    ○細田委員 十分審査したと言うならさらに伺いましょう。それでは奈良連合会があなたの方に報告しておった人件費が幾ら、それからさっき言った普及費が幾ら、評価費が幾ら、それからさっき言った会議費というのが、大体料理屋で飯を食う費用ですが、これがどうなっておりますか。
  408. 橘武夫

    ○橘説明員 現在その資料を持っておりませんが、昭和二十八年度、二十九年度の分につきましては、調査の上資料をお出しいたしたいと思います。
  409. 細田綱吉

    ○細田委員 きょう、奈良県の人たちが来るということは、あなたたちはわかっているでしょう。資料を持ってこないなんて、実にけしからぬと思う。それじゃあとから資料を御提出願いたいと思います。
  410. 上林與市郎

    上林委員長 三鍋委員から、資料の提出について発言を求められておりますから、これを許します。
  411. 三鍋義三

    ○三鍋委員 資料の要求をいたします。明二十七日決算委員会開会の前に、栃木県の農業共済組合連合会の不当経理についての概要、それから農林省の指事監督等についての資料の御提出を要求いたします。
  412. 上林與市郎

    上林委員長 時間が短かくて大へんだと思いますけれども、一つできるだけ早くお願いいたします。
  413. 橘武夫

    ○橘説明員 わかりました。なるたけ早く出します。
  414. 上林與市郎

    上林委員長 了承いたしました。他に御質疑はございませんか。
  415. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 参考人の方にお伺いしたいのですが、少し向きを変えた質問ですけれども、これは皆さんがそれぞれ共済組合長とかあるいは連合会長とか、そういう職責を離れて、実際の農民として見て、この共済保険制度というものが存在することが、ほんとうにいいことだと考えられるか。それともこういうものはなくて、実際に損害でもあったら、そのときに中央から来て損害を調べて、それに対して救済の方法考えてもらうといったようなことの方がいいか、ほんとうの農民の声を聞きたいと思う。皆さんの役職を離れてですよ。これはわれわれとしても、この制度が設けられて存在する以上は、今社会党の委員の諸君からいろいろ質問されたように、これは厳格に行なっていかざるを得ません。これはもういいかげんにやっていくということはできないわけであります。しかし実際全国的に見て、奈良県は特にひどいかもしれませんけれども、どこも非常に困難しておる。千葉県のある村のごときは、村として共済組合を解散したという決議をして、これは許されないことなんでありましょうけれども、勝手に解散したということが、新聞にすら載ったことがありますし、またわれわれの選挙区でも、よく農民の方がたずねてきて、何とか共済組合というものをなくしてしまうことはできないでしょうかというようなことを聞いてくる者があるのですけれども共済組合組合員とかあるいは連合会長とかいう方は、これは非常に必要なんだ、必要であって、むしろ国家の負担分をふやしてもらいたい、事務費なども全額国家で持つようにしてもらいたい、こういうことまで要求してくるのです。それで実際農民のためのものなんですし、組合としても、こういうものがなくなれば、やがて職を失う者もできましょう。また農民の負担がなくて、国で負担をしてくれるなら、農民だって喜ばしいことである。しかしそういうことは、国家財政としてなかなか許されぬ。そうすると、現在の程度においてこれはあった方がいいのか、ない方がいいのかということは問題だと私は思う。ですからこれは正直に、農民としてはどういうふうに考えておられるのか承わりたい。どなたからでもけっこうですが、うしろから三番目のまん中の方がいいかもしれません。あなたどう考えられますか。
  416. 木原忠司

    木原参考人 非常にむずかしい御質問ですが、あってどうか、なくてどうかと聞かれると、私はあった方がいいと思います。
  417. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 今のままでも……。
  418. 木原忠司

    木原参考人 ええ。多少仕事をやりやすいように考えていただくということはお願いしたいのですが、全然なくするということになると、またそれやこれやで、やはりあった方がよかったということが、農家としてもあるのじゃないかと思います。
  419. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 損害があった場合には、確かにあった方がいいと思われるでしょう。しかしあなた自身のお考えじゃなしに、農家の方が、損害がなくてただ掛金だけかけていかなければならぬという地方の農民としては、非常にそれがいやで、結局掛金をかけないでおく。損害があったときには、給付金の中から掛金を差し引くなんというようなことが、実際に方々で行われている。ですから、奈良県は損害が非常に多いところかどうか知りませんが、中には、ちょっとでも損害があるのを待っているところがある。全然災害がないともらう口実もつかぬけれども、ちょっと何かあると、その機会にずっと水増しをして、もらうチャンスができるというようなところもあるのです。しかし全体の立場を考えて、農民の立場あるいは国の立場も考えてもらってもいいのですが、ただ国からもらうのは自分たちの負担じゃないから、できるだけよけいもらいたいというような考えでなしに——私は自分の選挙区のある役場へ行って、共済組合などない方がいいじゃないかと言ったのが知れて、ある連合組合長が、とんでもないことを言われる。以後そういうことは一切言ってもらっちゃ困ると言ってこられたけれども、何かそういうもらうものならもらいたいといったような考えで、あった方がいいと言われるのか、そうでなしに、保険としての統計も十分でないし、大体農林省だって、この共済保険というものを運営していくだけの能力がないし、おそらく人がかわってもそれはないじゃないかという感じがいたします。また地方のそれぞれの方でも、ほんとうにこれが保険として運営していく力はなくて、一種の国家補助金をもらう形式にすぎないようなことになってしまっているのじゃないかと思うが、皆さんが公平に考えて、やはりあった方がいいという考えですか。そこにいるあなたいかがです。
  420. 米田音吉

    米田参考人 お答えいたします。私の方は葛城村でございますが、実は二十八年度大きな災害の起きます前の、前年度までは曲りなりにも掛金徴収してやってきたわけでありますが、そのとき私の方では六十何人かの合同会議をもちまして、どうしても二十八年度からは掛金をかけることは要らぬ、かけられない、前の保険金が下ってくるやつも要らぬから、新しく掛金をかけることを勘弁してくれ、こういう意見が成立いたしました。そのとたんに二十八年度に大きな災害が起きたわけであります。そういうようなわけで笑われたこともあるのですが、私の方といたしましては、組合員全体がもうこの制度は要らぬというのです。流されても何してもいいという、あきらめの気持になっている、農民気持というものはそうなんです。ですから、先ほども指摘されましたように、組合に百万円の定期貯金がしてあるところでも、新規の掛金がなかなか集まらず組合長がやむを得ずいろいろと苦労して経営をされておるというわけでありまして、もう私の方でもほとんどが組合反対なのであります。
  421. 荒木留次

    荒木参考人 私の方の立場を申し上げますと、葛城考え方とは若干違うのであります。私は、長らく農協の組合長共済組合組合長をやっておりました関係で、やはり今の農村においてはこういうものは一つの生産協同体のようなものでなければならぬと思っております。それが現在は非常に形式的な団体になってしまったわけでありますが、私はこういうものが本然の姿に立ち返ったといたしますならば、これはやはり農村として必要な機関ではなかろうかと思っております。それで現在一番困っている問題は、最前川東村の組合長がおっしゃったように、掛金の負担が非常に高いということと、損害評価を適正に見ていただきたいということであります。それで、もしもこういう機関が廃止されるとか、あるいはこのような形がなくなるようなことになれば、おそらく災害の起きたときに農民がたよるものはないのじゃないかということも考えるわけでありまして、結論としては葛城の方と私の考えとは若干違うのであります。
  422. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 今の農民のもうこういうものはない方がいいという声がやはりあなたの耳にも響いてきておりますかどうかという点。  それからこれだけふだんから組織として組合費をかけたり、あるいはいろいろ職員を養ったりということをしないで、直接災害の起ったときに、現場の災害状況を見て交付した方がいいか、この二点についてお考えをお聞かせいただきたい。
  423. 荒木留次

    荒木参考人 これは二様の意見があるわけです。常習被害地の農民の方々はやはりあった方がいいとおっしゃいますし、低害地や埋立地の農民はない方がいいという考え方が強いのであります。  それからもう一つの点は、今までのわれわれの立場から申し上げますと、補助金がすでに忘れられたころになって流されてくる例が多いわけです。従ってそういう形ならば、私はむしろこういうものはない方がいいという考え方を持っております。それから評価とか実際の被害の調査はだれがやるかということも大きな疑問のあるところでありまして、これが官庁の方々がやるということになれば、そこにまた政治的なおかしい形が生れてくるのではないかというふうに考えるわけです。それで今の形のままでもう少し被害程度を、幅を拡げたような形で見ていただきたい、こういうふうに考えております。
  424. 上林與市郎

    上林委員長 他に御質疑がなければ以上をもって参考人に対する質疑は終了いたしました。参考人各位には長時間大へん御苦労さまでございました。  本日はこの程度にとどめ、次会は明二十七日午前十時より開会いたします。  これにて散会いたします。    午後三時五十七分散会