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小峰会計検査院説明員 農林省の二十八年度の
検査結果について御
説明いたします。
農林省の
一般会計の
歳出は千四百九十億、ほかに
食糧管理などの
特別会計、これが
合計七千百七十億という大きな金を使っているわけであります。
まず各
農地事務局の施行いたしましたいわゆる
直轄工事でありますが、従来
検査の手が全般的に
直轄工事を
検査するということがなかなかできかねていたのでありますが、二十八年度分につきましては、大体全体の三分の一強というのを統一的に
検査いたしました。その結果後ほど御
説明いたしますが、いわゆる
架空経費の
幽霊人夫賃で
経費をまかなうというやり方をやっているおもしろくないものも発見したわけであります。そのほか、
工事の
出来高が悪いというものも
相当数が出ております。
次は従来からとかく問題の多ございました
補助事業、これも従来に引き続き、
全国の七万千カ所ほど
工事箇所がございましたが、そのうち六%くらいしかできなかったのでありますが、ともかくも
全国にわたって一応の
検査をした次第であります。これも従来のような
不当工事がたくさんに出ております。それから、今申し上げたように、従来
補助事業について
事後検査をもっぱらやっていたのであります。ところが、
事後検査だけでは十分な効果が上りませんし、それに二十八年度は、御
承知のように未曽有の
災害で、この大きな
災害のときに、従来ございましたような
便乗とか、二
軍査定とか、
設計の
水増しとかがたくさん出てきては、
あとで
直しようもございませんので、初めて
早期検査――
査定が済みまして、まだ
工事に着手しないうちに、
災害の多い県を選びまして、
和歌山県他十五
府県でありますが、これが約五万五千カ所ほど
工事があったのでありますが、これのうち二万三千カ所ほどを、まだ
工事着手以前に歩いてみたのであります。これは意外な結果が出まして、
工事費にして八十七億円が減額となったわけであります。これは
農林省に
お話をして、
査定権を持っておる
農林省に照らしていただいたわけでありますが、八十七億円というものが減ったわけであります。
それから、
公共事業関係以外の
国庫補助というのも
農林省に多いのでありまして、二十八年度は冷害、凍霜害とかあった
関係もございますが、百九十九
費目、総額にして二百二十五億という大きな
補助が出ていたわけであります。これは全般については私
どもは
検査できなかったのでありますが、このうちの
金額にして約半額について――大別して、
農林省の
補助は、
府県とか
市町村の
事務費の
補助をするものと、
末端の
農民層にいくものと、大まかに二通りに分けられるのであります。
末端までいくものをよりまして、約百億
余りになりますが、これを
検査したのであります。ところが、
何分にも
受納者の数が多いのでありまして、初めての
検査ではありましたが、一生懸命やったのですが、
全国で二百八十
カ町村くらいしか見られなかったのであります。しかし、これも
全国にわたって見ましたので、氷山の頭のようなものを探すことができたように思います。
一般会計の大まかなところは、そのくらいでございます。
まず
最初に申し上げました
直轄工事の経理、いわゆる
架空経理で、
農林省の
有明干拓建設事業所で、一年間に九千九百万円ばかりを、
架空の
人夫賃とか、
材料購入代、こういうもので落しまして、これはほとんど全部が
労力費なり、
材料購入代等に還元されていたのでありますが、二十九年四月
検査当時、なお四百五十万円の現金を
事業所で持っていた、こういう
ケースであります。この
架空経理は、従来
建設省方面に
相当多かったのでありますが、これを
全国から一掃いたしまして、現在では
建設省の
事業所では見当らないのであります。
農林省でこういうのが残っていることは、はなはだ遺憾であります。これは
当局もその後許可の分については一生懸命に是正されておりますので、ことし
あたりで全部なくなってしまうだろうと思っております。
それから、
直営工事の施行に当り
処置当を得ないもの、この中で二点、九四一号と九四二号が御指定になっておりますが、ここに
相当数並んでおります。これを見て気がつくのですが、
一流業者――
五大建設業者ということを言われておりますが、
日本の
一流業者が
工事をやっておりますのに、
相当に
手抜きが多い。これも
建設省あたりでは見られない現象であります。
農林省関係の
工事については、たくさん
検査して並べてみますと、そういうことに気がついたわけであります。
一流業者の
手抜きが
相当に目立つ。これは昨年初めて金田的にやったわけでありますが、ことしにかけて、
当局もこれではいかぬいうことで、一生懸命に今直しつつあります。ことしは、これはよほど減るんじゃないだろうかと予想しております。
九四一号は、
児島湾沿岸の
農業水路であります。これは捨て石の
規格を大きなものを使うという契約をして、金もそれに
相当するものを払ったのでありますが、実際は全部
規格の小さいものを使っていた、こういう
案件であります。そして、
出来高不足が三百四万円と、
相当大きな
金額になっております。
それから九四二号は、高梁川の
工事であります。これは、石を大きなものを使うのを小さいものにしたり、あるいは使う昂が少かったり、あるいは控えといわれますが、石の横を表へ出して使うという
使い方をするわけであります。そうすると、石がうんと少くて済むのであります。そういう
使い方をしたために、四百万円ほどの
出来高不足になった、こういう
ケースであります。
それから、九五二号以下の
国庫補助事業の
事後検査の分であります。これは従来も毎年
検査報告書にたくさん出る
案件でありますが、先ほど申しましたように、七万千カ所のうち約六%しか
検査できなかったのでありますが、なおかつ十万円以下について千九百件
余りが
不当工事として見つかったわけであります。
補助金について
過大支払い額が五億八千九百万円、
相当なものでありますが、不当の
態様は、従来と同じようなものでありまして、
工事の
出来高が非常に粗漏で、
検査のときに、まだできて間もない
工事がこわれてしまっておる、あるいは
設計だけの
出来高がないとか、あるいは
設計が
過大であったとか、そういうものが大部分であります。しかもその裏には、ほとんど全部が
事業主体が
自己負担することになっている分を、
負担をきらって、その結果が
工事の
手抜きということになったという
ケースが多いのであります。これは、従来とあまり変ったものは出ていません。これは別表第三として、おしまいの方にずらっとたくさんございます。数が
何分多いもので、表で整理したのであります。その中から代表的な
ケースを約十七、八件、前の方に文章で書いてございます。この中から、特に代表的と思われるものを二つ、三つ拾って御
説明いたします。
まず一七二ページの(3)に上げました神島県の南会津郡の大宮村の分でございます。これは、九十五万円の
工事で、
国庫補助金が六十一万円、
水路七百四十メートルを
復旧したのでありますが、実際は、そのうち四百五十四メートルというのは
災害を受けていない。従って、
工事もしていない。
架空の
工事ということになるわけであります。それから、
工事を施行した二百八十六メートルの
石垣も、胴込め
コンクリートとか、裏込めぐり石が全く入っていない。
補助金は六十一万円いったのでありますが、実際の
工事費は二十万円しかかかっていない。
事業主体が三十三万円
負担するはずであったのでありますが、実際は一文も
負担しないばかりか、四十一万円
補助金を余してしまって、村の
一般経費に使用した。全体の
工事費は大きなものではありませんが、九十五万円の
工事費を二十万円しかかけなかったという
ケースであります。
それから、
一つ飛びまして、静岡県の興津の分であります。これは百八十五万円の
工事費に対して、二十八年
災害で九割の百六十六万円の
国庫補助がいったわけでありますが、これも
水路の
石垣が
手抜きが非常にひどい、胴込めは
設計の二割以下、裏込めは六割程度、結局、
国庫補助金が百六十六万円いったのに
工事費は百三十万円しかかけていない、こういうことになっております。二十八年度は御
承知のように
特例法が出まして
国庫補助が高率になったのであります。九割になったのでありますが、この
ケースなどはこの
高率国庫補助ということが生きていない。依然として七割くらいで
仕事をしてしまったという
案件であります。
それから次は(6)の名張の
ケースでありますが、これは四十二万七千円、
国庫補助金が三十八万四千三百円で
水路の
災害復旧をやったというのでありますが、これは実際は二十六年の
災害復旧工事として
査定を受けたもので、二重に二十八年災として
査定を受けた。結局
架空工事の代表的な
ケース、こういうふうに考えております。
それから少し飛びまして(11)の山口県佐波郡出雲村の
案件でありますが、これは前年の
検査報告でも、小さい村なのでありますが、一村に八億円近い
補助がついたというので
相当有名になった
ケースであります。その後どういうふうに
復旧が行われているかということを
検査しますと、二十八年度の
工事費は三千七百万円、それに対して三千三百万円
国庫から
補助がきまして
水路外六
工事をやったのでありますが、いずれも
設計通り完成しているということにしていながら、実際は
コンクリートの
施行量が
不足あるいは純
コンクリートでやらなければいけないのを
玉石コンクリートでやっておる。
手抜きがあった。結局
工事費は
国庫補助を下回る三千百万円、
補助金が三千三百万円いっているのに三千百万円しか金をかけておらない。こういうふうになっております。二十六年の
災害復旧なのでありますが、全体で七億二千八百万円、こういう
工事費の
査定がついたのでありますが、二十八年度までに約四億円
工事をやっておりますが、今の
案件と同じように
設計過大とか
出来高不足が多いために金を余している。
収入役名義で別途資金として保留しているのが千四百万円ある、こういうことになっております。これはさらに
高率補助分が
追加交付になりますので、このままでいきますともっと
保留額がふえてしまう、こういうことになるわけであります。
それから少し飛びまして、今まで申し上げましたのは
農地関係の施設、
水路とか井堰そういうものについて申し上げたのですが、
漁港の
ケースを
一つ御参考に申し上げておきます。百八十二ページの終りの方の(2)というのがあります。愛媛県の伊方村、これは四百三十四万円で
漁港の
災害復旧をやったわけでありますが、防波堤三十八メートルの
復旧であります。ところが
表面捨石も中
詰め捨石も非常に
不足しておる。
補助金が三百八十四万円でありますが、
工事費は二百八十六万円で上げてしまった。
自己負担を全くしないばかりでなく、九十八万円ばかり余してしまった。裏の
経費に使っておる、こういうひどい
案件であります。
以上申し上げましたのは
事後検査、
工事ができ上りましてからの
あとの
検査の結果について
お話ししたわけでありますが、先ほどちょっと申し上げましたように、どうもこういう
事後検査だけやっておりましてもなかなかよくならぬというので、昨年初めてこの早期の
検査をやったわけであります。それを一八六ページの一八〇六としてまとめてございますが、まず
早期検査によりまして
便乗的なものとかあるいは
一つの
工事につきまして
農林省と
建設省と両方から
査定がついてしまった、それから
設計が非常に
過大になってしまっておる、
設計に
水増し分が入っておる、こういうものを発見したわけであります。これが先ほど申し上げましたように、
工事費にいたしまして八十七億円という大きなものが出てきて私
どもも
むしろ事の意外にびっくりしたのでありますが、これもここに全部まとめてございますので、代表的な
ケースを
幾つか
お話をしておきたいと思います。一八九ページの重複して
査定されていたものという代表的なものでありますが、これは一
工事を
農林省と
建設省で
両方査定がつくなどということはちょっとおかしいのでありますが、従来しばしばこういう例がございます。そうして
あとでわかりましても
補助金を辞退するということが従来の例でいくと少いのでありまして、せっかく来た
補助金だからというので返さないでほかへ使ってしまうという例が非常に多いのであります。それからなるべく
査定の段階におきまして二重に蚕足したようなものは片一方を早く取消していただく、こういうことにしていただかぬと工合が悪いわけであります。熊本県阿蘇郡小国村、これは
相当ひどい
災害を受けたのでありますが、ここは
農林省関係で三億六千六百万円という大きな
査定がついたわけであります。これに対する
補助金が三億二千九百万円、これで川の堤防などをやることになっておったのでありますが、大きな川ではありませんが、川一本そっくり
建設省と
農林省の
査定が重複していた。その川一本で五千百万円、こういうような大きなものがそっくり重複していた。そうして
農林省へ出しました
書類と
建設省へ出しました
書類と中身は同じなのでありますが川の名前だけが違っていたというようなものも出ております。これなんかは
重複査定の例としては
相当大きなものであります。
それから
便乗と申しますか、本来
国庫補助の
対象としてはならないものを
補助の
対象に取り上げたという例が
幾つかあります。一九二ページの(6)でありますが、これは、舞鶴の
千歳漁港の
災害復旧は、二百二十九万円の
査定がついたのでありますが、
国庫負担金の二百十六万円で
護岸延長六十五メートルを
復旧する、こういうことで
査定がついたんですが、これはほとんど
災害復旧をしなければならないほどの
被害を受けておらない。そうして
農林省へ出しました
被害写真というのは、別のところのこわれた写真を持ってきまして、そうしてこの
査定がついてしまった、こういう
ケースであります。
それから
設計過大と認められる代表的なものを
一つ申し上げます。一九三ページの(3)、
和歌山県
日高郡御坊町でありますが、これは一億五千八百万円の
査定で、
国庫補助が一億四千二百万円というような大きな
査定がついたものであります。
農地百十三町歩に
土砂二十五万七千立米が入ったということで、
日高川の
河川敷付近に運搬捨土するということになっておったのであります。ところがそのうち三町一反というものは、ほとんど
被害がなくて、
排土の必要がない、また入りました
土砂も亜土といいますか耕土に適しておりまして、これを全部取りのけなくても差しつかえはなかろう、こういう性質のものであります。結局潅漑に支障を来たすものだけを
排土すればよかろう、なおまたこの
排土のうち、
町営住宅地の
埋立用土として使えるものが十万立米ある、それから隣接の
県営農地復旧事業の客土に使えるものが二万立米ある、こういうことで
農林省からわざわざ
災害復旧の
補助をつけなくても済むものが
相当あるわけであります。結局これは
農林省でいろいろ検討されました結果、今の一億五千八百万円という
査定が五千五百万円に減ってしまった、こういう
ケースであります。これなんかも
設計過大としては
相当大きな
ケースであります。
以上はいわゆる
公共事業災害復旧とか
土地改良とか
公共事業についての
補助の分を申し上げたわけでありますがその
公共事業以外の
一般補助といっております農薬の
補助だとかあるいは極の
補助だとか、こういうものはずいぶんたくさんありまして、先ほど申し上げましたように百九十
余費目ほどあるわけであります。これを昨年初めてわずか二百八十ではありますが、
全国にわたりまして
検査したわけであります。先ほど申し上げましたように農民なり
事業主体にまで直接いく
補助を
主体に
検査したわけであります。
事務費の
補助のように途中でとまるものは一応
検査の
対象に取り上げなかったのでありますが、結局百三十
費目で百十九億円を
対象として扱ったわけでありますが、
何分にも一万近い町村がある中で二百八十ぐらいしか歩けませんでしたので、あまり大したものは出て参りませんでしたが、それでもいろいろの
態様のものが
合計で二億円あまり出てきたわけであります。
態様を見ますと
補助金が
各種事業の
実施者に交付されないで、
市町村等で独自に経理されて、その一部が
市町村等の
経費に使われてしまって、
補助の目的を達していない。あるいは
補助金の交付に伴う
義務負担額を
負担して使用していながら、実際は
負担の全部または一部をしないで
事業を施行している、そういうようなものが
相当たくさん出てきたわけであります。それから
実施額が少いために、
補助金以下で
仕事が終ってしまって、
補助金が村の
一般経費に回ってしまうという
ケースも
相当出ております。それから公平ということを期しておられるとは思いますが、
何分にもたくさんに分割いたします
関係で、非常に零細なものになってしまう。一口五十円以下、ひどいのは農家一軒
当り農薬の
補助が一円いった、たった一円になってしまったというような例も見受けられたのでありまして、全体としてもう少し効率的に使うべき配慮が必要ではないかと思うのであります。個々の
ケースにつきましては、ここにたくさん並べてございますが、一々の
説明は省略させていただきます。
次は二二二ページの
食糧管理特別会計でありますが、二十八年は凶作のために
外国食糧の輸入が非常に多かったのであります。その
関係で、
歳出も従来よりもだいぶふくれているようであります。
外国食糧、特に米につきまして、いわゆる
黄変米という問題が二十六年度ごろからいろいろ問題になっておったのでありまして、
検査報告にも二十七年度に掲げたのでありますが、相変らず黄色い
病変米が入ってきております。二十八年度も入ったわけであります。それ以外に
白色病変米という新たな問題が出まして、これが
検査報告を作りました当時、十三万トシほどストックになっていたのでありますが、現在ではこれが十五万トンばかりにふえている、こういう問題がございます。これは二十八年度に新しく出ました問題で、しかも現在なおまだ解決しない大きな問題であります。
次は一八五八の
ビルマの
黄変米の
購入と売り渡しでありますが、今申し上げたように、従来に引き続いて黄色い
病変米が、従来ほど多くはありませんが、
相当入っている。それから二十七年度に輸入しました
ビルマ米の売り方が、どうもいかにも安い
値段で売っているというのが、この二二七ページの表では示してございますが、この中には、大体
ビルマの
黄変米は港着の
値段が当時一升百十四、五円についていたわけであります。一升にしますと話がわかりやすいのですが、一升について百十四、五円になっている。それが売値がものによっては一升二十四円、平均して一升当り三十一円、こんな
値段で処分しているのでありまして、もう少し何とか売りようはなかったのだろうかという気がいたします。そして売りましたものは、一部はまた
主食に突っ込まれて、
米屋の手に渡っている、こういうようなものはたくさんはございませんが、一部検察庁の手にあげられているというようなものもあるのであります。
それから一八五九号の
トルコ米でありますが、これは二十八年度に初めて輸入したわけであります。
トルコから
日本まで、御
承知のように
相当距離が長いのでありまして、従って
相当大事に運んできませんと
黄変米が発生する、特にふえるおそれもあるのであります。あの暑いインド洋を渡ってくるのであります。ところが
日本に渡ってきてすぐスクラップにしてしまうような非常に古い船に積んできましたので、約五千トンがそっくり
黄変してしまってこれを全部
原材料用に売る、
主食にならないという
ケースであります。これなどは
日本の
一流商社が請け負ったのでありますが、下請に出してしまいまして、結局悪い船に積まれて、そしてこちらに着いたものは
黄変の度がひどくて全然
主食にならなかった、こういう
案件であります。
それから一八六〇の
コロンビア米でありますが、これも二十八年度に初めて輸入したのでありますけれ
ども、これが先ほど申し上げた
白色病変米の
最初に出た
ケースだったわけであります。二十七年十二月に契約したのですが、相手があまりしっかりした相手でなかったために、それが実際に入りましたのは二十八年四月、しかも
契約量だけ入らない。千トン契約したのでありますが、三分の一しか入らない。この三分の一の米を厚生省で
検査いたしました結果がわかりましたのが九月なんでありますが、そのときに初めて白い――目で見ては黄色いようだが、
黄変していない米で、なお
黄変米と同じ菌がこれについているというのを発見したわけでありますが、発見したときには、もうこれを配給に回してしまったということになっております。これな
ども相手方の選定があまり――当時
食糧凶作のときでございましたし、こういうところから買うのもあるいは仕方がなかったのかもしれませんが、それにしても
相手方の選定が悪かったのじゃないだろうか、こういうふうに考えられる
案件であります。
それから一八六一号、これは
白血病変米の輸入とその処置というのをここにまとめておきました。先ほど申し上げましたように、現在十五万トンほどにこれはふえております。
それから一八六二号はアルゼンチンの小麦であります。これは従来からアルゼンチンの小麦を輸入しておりましたが、品質が悪いために非常に値引きして売らなければいかぬということがわかっていたのでありますが、二十八年度に買いましたものはまた特に品質が悪い、そのために
相当大きな損をしてしまった。アルゼンチンとは貿易協定がございまして、小麦はある程度は買わざるを得ないのでありますが、品質が悪いものをほかの国の小麦に比べて非常に高い値で買っている、その点を私
どもとしてはどうだろうかと考えたわけであります。
それから一八六三号、これは小麦粉の加工と輸送でありますが、二十八年のあの凶作の対策といたしまして、二十八年の十月に閣議決定がありまして、大消費地に食糧を備蓄しようという決定があったわけであります。当時は米が不作だということでいろいろな手が打たれたのでありますが、その
一つとして、外国から輸入しました小麦を主として九州あるいは中国方面で製粉して、小麦粉にいたしまして、それを大阪とか東京あるいは東北というようなところへ送ったわけであります。それを十一月から二十九年の一月にかけまして、大体食糧事情も一応の安定を見せてきたと思うころになりまして、
相当の製粉をいたして東京などへ送ったわけでありますが、これが私
どもとしては、一体何で粉にしなければいけないか、小麦で持っていても一向差しつかえないじゃないかと思ったわけです。当時の製粉能力などを調べますと
相当余裕があるのでありまして、急いで――これは四万トンで、
相当大きな量でありますが、これを一ぺんに小麦粉にしてしまったわけであります。約二万トンが東京へ来たわけであります。ところが来ますと、なかなかこれが処分できないというので、ことしまでかかりましてようやく処分をするというようなことになったわけであります。それからまた、急を要するということで、鉄道輸送では間に合わないというので、非常に高い機帆船輸送をやったわけであります。機帆船は当時非常に高くついたのでありますが、そうまでして小麦粉を大消費地なり東北方面へ送らないでもよさそうなものだ、小麦のままにしておいても備蓄用としてはそう因りはしないのではないだろうか、こういう観点に立ってこれは
検査報告に報告したわけであります。
それから一八六四号の運送賃でありますが、これは商社が輸入して参りまして、港へ着きましてから陸揚げまでの作業であります。これが一部は運輸省の定額料金できまっておりますし、一部は実費支払いということになっているわけであります。ところが、これが定額料金の実際の業務をやるところの、下請というとちょっと語弊がありますが、輸入商社のもとで実際の運航をいつもやる業者がたくさんいるわけでありますが、そこへ国から払いました金の全額がいっていない。外米なり麦なりを輸入して、ただ商社が下請に出す取扱業者のふところに
相当金額が残ってしまった。ひどいのは三八%も中間で金が抜けて下へ渡っている、こういう
案件であります。これは
仕事の性賢から申しまして、全額国の払ったものが下に流れなければいかぬ性質のものでありますが、それが三割も、三割八分もが途中でとまってしまって下に流れていないわけでありますので、そういう契約方法はおもしろくない、こういうことで何したわけであります。食糧は大体そのくらいにいたします。
次は農業共済であります。農業共済も先ほどの
一般補助と同じように、私
どもとしてはあまり先のものは全般的の
検査ができかねたのでありますが、昨年
一般補助の
検査をやるにつきまして、一緒にやってみたのであります。これも
一般会計からの繰り入れというのは
相当大きな
金額になっております。
事務費の
負担が二十四億、それから再保険金が百八十六億、こういう大きな
負担をしているわけでありますが、昨年わずかの百二十九
市町村の共済組合を見たわけであります。もちろんこれはたくさんの
検査をした結果ではございませんが、
全国にわたってやりましたので、一応氷山の頭が出たというようなことにはなるかと思うのでありますが、まず結論から申し上げますと、掛金の徴収が適切に行われている組合はほとんどない。これは御
承知のように法律上義務加入であります。それで掛金はどうしても納めてもらはなければいかぬわけでありますが、その掛金が適切に行われているものはほとんど見当らなかった。それから共済金の支払いのない
被害年度においては、その大部分が未収のままほうってある。そして
被害が発生して共済金の支払いが行われるときに、初めて未収掛金とかあるいは賦課金を差し引いて徴収している。そしてその差額がこれもまともに農民にはいっていないのでありますが、要するに主要農作物に対する義務加入の木制度は、ほとんど有名無実になっているのではないだろうか、こういう心配が実はするのであります。それから組合における損害評価の程度は、組合によって非常に区々である。連合会の決定に比べて
過大のものもあるし、過小のものもある。それから連合会の
被害報告は、多くは
過大、そのために連合会ではその
水増しされたような
過大申請の修正に、非常に骨を折っている、こういうことが言えるようであります。
今は掛金のこと、それから
査定のことを申し上げたわけですが、共済金の支払いは、それではまともにいっているかといいますと、先ほど申し上げましたように、組合のほとんどすべてが掛金その他の未収金の差し引きを行っている。しかも
余りますと、今度は後年度分の掛金の引き当てとしてとっておき、農民にやらないというのが
相当に見受けられたのであります。ひどいのは共済事故が発生したのに、支払いに立てられた共済金が全く組合にいっていない、こういうのもあったのでありまして、どうもこの制度は、制度としては非常にいい制度でありますが、農民から遊離しているように思われる。それから保険は組合と上部機関との間でから回りして、農民の足が地についていない、こういう印象さえ受けたのであります。結局一億五千百万円というものが不当なものということになったのでありますが、それを分けてみますと、共済金を全然組合員に払っていないというのが、組合の数にして三組合百四十四万円ありました。それから共済金の一部を組合員に支払わないものが十八組合八千三百万円、そのうち組合で留保していたものが千五百万円、それから共済金を補償
対象外の
被害三割未満の耕地をも含めて配分しているもの、これは三割以上の
被害があった場合においては共済金を支払うということになっておりますが、三割も含めてやっている、それが三十一組合、六千七百万円、こういうことになったのであります。これはその後も引き続きまして現在もやっておりますが、今年はこの
金額がだいぶたくさん出てきそうな気配であります。組合別の個々の
ケースをここに七つばかり書いてありますが、そのうち二つほど抜き出して御
説明しておきます。
一八六六の兵庫県の加古郡の天満村でありますが、これは申請を実
被害よりも
水増しして出したという代表の
ケースであります。組合員からの申告が共済
金額にして百六十四万円であったのであります。それを組合で七百四十三万、
金額にして四倍以上に
水増しして県の共済連に出したわけであります。連合会ではこれを
査定されまして四百二万、こういうことに七百四十三万円を四百二万円に
査定したのでありますが、それでも組合員の申告額の百六十四万円に比べますと二倍半くらいに当っております。そういう大きな金を受取ったわけであります。これをどういうふうに分けたかといいますと、そのうち約半額は三割補償
対象外の耕地を含めて全引き受け面積に均等割りで分けてしまう。残額は一部を
被害程度に応じて配分してしまう。これは部落代表に一括交付している。この先は私
どもわからないのであります。部落代表の方にいくと、これが果して農民にいっておるかどうかということまでなかなか調べられませんので、部落代表にいっていれば農民にいったものとして私
どもは処理せざるを得なかったわけであります。こういうやり方をしている。
それから農民に分けなかったというものの代表的の
一つを申し上げます。愛媛県の越智郡の清水村の共済組合であります。二十八年産水稲の保険金百六万円について百十四万円払った、こういうことに書数には出ていたのでありますが、実際は一文も払っていない。それから二十八年産麦の保険金も百五十五万円いったのでありますが、そのうち三十六万円しか払っていなかった、こういう
ケースであります。これは掛金も賦課金も全然徴収していないので、まずそういうものの赤字を消したわけであります。それから
あとのものはいろいろな病虫害防除の器具
購入費に使ったりしたわけでありますが、それでも金が
余りまして、二十八年分につきまして百九万八千円を組合長個人の名義で農協に預金している、こういうことを二十四年創立当時からやっておりますので、保有金が二十九年六月当時二百四十五万円の多額になっていた、こういう
ケースであります。農業共済はそのくらいにしておきます。
それから国有林野の中でお示しのあったことを
一つ申し上げます。二五一ページの一八七七号、これは国有林野
事業はほかの
特別会計と比べまして年々
検査報告の掲載事項が比較的少い、この一八七七号は、秋田営林局管内の六営林署でありますが、山形県の橋本某というのに対して
相当長期間、二十六年九月から二十八年十一月までの間の輸出向け繊維機械製作用材というものに使うという随意契約で千二百万円、四千石売ったのです。ところが出しました
書類はたとえば通産省の証明書がついているがこれはにせもので、使いました会社の名前は
架空名義の会社、この橋本某がこれを他に転売いたしまして、転売したのが警察につかまったわけであります。転売の詐欺ということで起訴されているでありますが、転売価格が営林署の見ました価格と
相当開きがある、こういう
ケースでありますから、これなどは一件や二件ですと転売されてもちょっとわからないかもしれませんが、六つの営林署で二十六年九月から二十八年十一月までだまされてきたのはちょっとひどいじゃないかという気がいたすのであります。
長くなって恐縮でありますが、以上で大体の
説明を終ります。もし御質問がありましたらお答えいたします。