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1955-07-07 第22回国会 衆議院 決算委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月七日(木曜日)    午後一時四十分開議  出席委員    委員長 上林與市郎君    理事 赤澤 正道君 理事 椎名悦三郎君    理事 山本 正一君 理事 徳安 實藏君    理事 吉田 賢一君       床次 徳二君    本名  武君       關谷 勝利君    中馬 辰猪君       片島  港君    三鍋 義三君       細田 綱吉君  出席政府委員         文部政務次官  寺本 広作君         文部事務官         (大臣官房会計         課長)     北岡 健二君  委員外出席者         会計検査院事務         官         (検査第二局         長)      上村 照昌君         専  門  員 岡林 清英君     ————————————— 七月二日  委員池田正之輔君辞任につき、その補欠として  松本俊一君が議長指名委員に選任された。 同月六日  委員片島港君辞任につき、その補欠として淡谷  悠藏君が議長指名委員に選任された。 同月七日  委員戸塚九一郎君及び淡谷悠藏辞任につき、  その補欠として中馬辰猪君及び片島港君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和二十八年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十八年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十八年度政府関係機関決算報告書     —————————————
  2. 山本正一

    山本(正)委員長代理 これより会議を開きます。  委員長が所用のため出席できませんので、その指名により理事の私がその職務を代行いたします  まず昭和二十八年度決算文部省所管について審査を進めます。それでは昭和二十八年度決算検査報告第一二七ページより一三五ページに至る、報告番号八三四ないし八六七を一括議題といたします。会計検査院当局より説明を求めます。上村検査第二局長。
  3. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 文部省所管については、御承知のように補助金不当経理相当多いわけでございまして、二十八年度におきましては公立学校施設整備に関する問題を主として見たわけでございますが、これらに対します補助金は、二十八年度におきまして六千四百五十校ばかりに対しまして、五十九億ばかりの補助負担金が出ておるわけでございまして、三十八年度中に見ました学校の数は九百六十七校になっておりまして、見ました結果、百三十九校分について妥当でないというふうに見受けたものがあったわけでございます。かような事態は、御承知のようにこれらの施設に対します補助金は、学校の現在の保有しておる建物坪数、あるいは生徒数等を基準にして算定するわけでございますが、それらの基礎におきまして事実と相違しておる事態がありましたり、あるいは災害の事実がないものに対して災害補助金が出ておる、こういうふうな事態でございまして、主としては生徒数及び学校の建坪が事実と違っておる事態の方が多いように見受けられるわけでございます。かようなことの起りましたのは、現地調査が十分に行き届いていないということに帰着するわけでございますが、二十八年度におきましては、基準となる生徒数を見ます場合に、前年度の一定の時期を基準として見ておるという事実、それから学校の持つべき校舎坪数生徒当り〇・七坪というふうになっておったわけでございまして、さような点からも実際の学校校舎必要性を十分満たすことができないということで、事業主体におきまして多少その点を考慮されて、過大の補助金交付されるような結果になった事態が起ったのだろうかと思いますが、この点につきましては二十九年度からは基準坪数が〇・七坪が丁八坪ばかりに引き上げられまして、さらに生徒数計算をします場合も、前年度でなく現年度の方を基準にして計算するというような事態がとられておりますので、だんだんこの点については実情に即していくかと思うわけでございまして、今後につきましてはさような観点から十分の実地査定をされまして、実情に実際適合するような補助金交付が望ましいと考えておるわけでございます。先ほど申しました百三十九校ほど不当と考えられたものがございますが、ここに掲記してありまする八三四号から八六五号までは約三十件ございますが、そのおもなるものを掲記しておるわけでございます。  次は八六六、八六七の不正行為でございます。八六六号は東京芸術大学の分でございまして、相当長期間において収入官吏あるいは物品会計官吏授業料あるいは保管しておる物品を領得した事態でございます。大阪大学の分につきましても、約一カ年にわたって授業料を横領した事態でございます。不正行為監督につきましては、文部省においても今後につきまして相当厳重にされておるようでありますが、なお一そうの監督と再発の防止をお願いしておる次第でございます。
  4. 山本正一

    山本(正)委員長代理 ただいまの説明に対して文部当局補足説明がありますならば、これを許します。
  5. 北岡健二

    北岡政府委員 会計検査院から、二十八年度につきまして不当事項三十二件並びに不正行為二件の指摘を受けましたことは、まことに遺憾に存ずるところでございます。深くこの点を考えて、それぞれ措置をすでにとったものもございますし、現にその措置を進めておる次第でございますが、なおその原因その他も考えましてこれが是正に当る考えでございます。不当事項として指摘されました公立学校施設整備に対する国庫補助あるいは負担金経理当を得ないものにつきましては、先ほど会計検査院の御指摘になりましたような次第でござい委して、現地における実態の把握の足らなかった点、並びに地方において現実に各事業主体指導に当る都道府県教育委員会においても、これらの点になお努力を求めるべき点があるわけでございます。そういうような事態から生じておるという点は、検査院指摘通りでございます。これらの事態が牛じた原因の一端には、御承知のように公立諸学一校の施設整備に関する事業昭和二十二年から開始されまして、順次これが補助あるいは国庫負担への制度的な完成を見つつある次第でございますが、昭和二十八年度当時においては、なお現実のこの補助に対する基準坪数というようなものが非常に低い状態にございましたし、それからこれの補助額を決定いたします基礎数字になる生徒、児童の数の算出の時期についても、前年度を採用しておったというふうな事態もございます。また不正常授業等につきましては法制制度がまだできておりませんでして、これが内容あるいは一体不正常授業とはどういうものであるかという不正常授業そのものについて、補助交付の上に重要なことになるところの要素等について、不明確な点もございます。あるいはまた危険校舎というふうなもの長きましても、今日採用されております危険度の測定というふうな方法もまだとられていなかったというふうなことから、文部省から都道府県教育委員会あるいは直接事業主体に対する指導等においてなお欠けたものがあったという点につきましては、事態を考察いたします場合に深く反省いたしておる点でございます。もちろんそういうような状態がありまして、そのために事業主体の方において考え違いをいたしましたりあるいは計算を誤ったりいたしました結果、補助事業通正な執行あるいは補助金の適切な交付という点から見まして、御指摘されるような状態が生じたことには多少考えなければならない点があるわけでございまして、その後の法制整備から見ればこれを認めることができるようなものも間々あったわけでございます。また法令あるいは制度あるいは補助交付趣旨の徹底について、欠けるところがあったために、手続をとれば不当事項とならなかったような事項も、手続を怠っていたために間々そういうような事態が生じておるということも考えられるのでございます。しかしながらたとえ六千数百件のこの補助交付事業のうち、ここに御指摘になりましたのは三十二件でございますが、そのほかにも同様な事態を生じているものがなおあるわけでございまして、これらにつきましては文部省といたしましてそれぞれ行政措置を講ずべく、かねがね都道府県関係者にもこれについて十分注意いたすような指示もいたし、また文部省内の関係者に対してもそれぞれ注意を与えまして、これが是正の点を考えるようにいたしておるわけでございますが、それがために本年度早々該当事例のものに対しては、一応補助金返還等是正措置を講ずべき対象であることを通告いたし、これに対しまして公立学校施設費国庫負担法の第八条の規定に基いた弁明書の提出を求めて、この弁明書趣旨を目下検討いたしながら、いかなる是正措置を講ずべきかという点を検討いたしておる次第でございます。これらのことにつきまして、先ほど来申し上げましたように、こういう多くの不当事項が生じました原因である制度の確立あるいは補助対象そのものが、あるいは補助基準が低過ぎたというような点が順次是正されつつありますので、今日直ちにこれのみをもって将来の不当事例発生予防措置が全部講じられたと申すわけには参らないと存じますが、しかしある意味におきましては、不当事例発生条件をかなり修正できたというふうに考えられます。そういう点からこれが是正措置につきましても一応全部返還該当であるというふうに考えられながらも、なお法律第八条の趣旨に基いた弁明等を聞き、そうしてその是正措置当該事業主体に及ぼす影響あるいは教育全般に及ぼす影響等についてもなお考慮を加えた上で最終的な是正措置を講ずる考えでございます。  次に御指摘を受けました職員不正行為により国に損害を与えました二つの件につきましては、全く申しわけのない次第でございまして、これらの不正行為を実行いたしました者に対しては懲戒免官措置をとるとともに、これらの監督に当ります者に対しましてそれぞれ懲戒の処分をすでに講じております。このうち東京芸術大学事件につきましては、非常にたくさんの金額を長年にわたって領得いたしておりましたのに、その発見がおくれて、従って損害金額が多額に上るようになりました点は、何ともおわびのいたしようのない点でございます。これが賠償追及等につきましては、なお金額のはっきりいたしますのを待って賠償請求に当るという考えで、その準備をいたしておる次第でございます。大阪大学事件につきましても、これも当時年令二十五才で雇員であります野木某に対して会計のこういう事務を一人でやらせるというふうな失態があったわけでありまして、そういうところからこういう事件発生したということでございます。これらの直接の監督の責任にある者に対しては、普通の懲戒のほかに係長から平事務官に落すというような重い懲戒方法をとったりいたしておる次第でございます。なおこれの被害金額のうち他人あるいは本人から四十五万九千円の返済がなされておりまして、残額につきましては判決を待ってこれが賠償手続をいたす考えでございます。なお芸術大学の方の事件につきましては、すでに刑事上の判決が決定いたしまして懲役二年六カ月に処せられておりますが、大阪大学の方についてはまだ刑罰の判決はございません。以上御指摘になりました事態原因その他につきまして申し上げ、これが是正措置及びとりました処置について申し上げました次第でございますが、繰り返して、御指摘になりましたような事態発生いたしました点について、まことに遺憾に存じておるということを重ねて申し上げて、補足説明を終ります。
  6. 山本正一

    山本(正)委員長代理 質疑の通告があります。これを許します。吉田賢一君。
  7. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 きようは今国会におきまして初めて文部省審査に入るのですが、大臣はどういうわけで御出席にならないのですか。
  8. 寺本廣作

    寺本政府委員 文部大臣は、けさほどから参議院の文教委員会自治庁長官と二人そろったところで教育財政についての質問をいたしたいという委員会の要求がありまして、そちらへ午後ずっと出ております。そういう事情で当委員会出席いたしかねておりますので、御了承をいただきたいと存じます。
  9. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 さようなさしつかえがありまするときは、やはりあらかじめ当委員会にお申し出を願いまして、適当な連絡のもとに審議をなるべく有効に進めたいと思うのであります。文部政務次官に伺いますが、二十八年度義務教育費国庫負担金、これは概算払い都道府県に対してしておるようであります。そこで精算は二十九年にするということになっておりますが、これについては教職員給与費支払いに該当しないむのがあるとか、こういうことも問題になっておる様子であります。しかも検査院指摘するところによれば、文部省調査においてもこのようなものがなお十一億八千四百万円に上るというような記載になっております。そこで精算をせられたものと思いますが、これにつきまして、の教職員給与支払いに該当するかいなか問題になりまするもの、つまり国庫負担対象にならないといわれるここにあげられておりますものは、非常勤講師手当期末勤勉手当などでありますが、これらの関係はどういうふうに精算になったのでありましょうか。
  10. 北岡健二

    北岡政府委員 お答えいたします。二十八年度義務教育国庫負担金決算につきましては、二十九年度になりまして御指摘にありましたような義務教育費として国庫負担する以外のものが含まれておるかいないかを検討する必要があるということから、大蔵省文部省とで共同いたしまして各県につき国庫負担対象外経費決算のうちから洗い出すようにいたしました。そしてどういうものが負担対象外経費として考えられたかと申しますと、非常勤講師手当、それから僻地の手当、単級あるいは複式手当以外の特殊執務手当たとえば校長兼務手当というふうな種類のもの、各学校費から支出された認定講習受講者の旅費、それから期末勤勉手当の国の基準以外に支出された部分宿日直手当基準外支出退職手当過年度支出盲ろう学校の非義務制分費用——二十八年度小学校だけが義務制になっておりまして、中学校はまだ義務制になっておりませんでした。ところが実際の各県の経理においては盲ろう学校が一本に組まれておる場合が多かったので、それを洗い出しました。それから事務職員用人給あるいは教育委員会に勤務しておって学校に勤務していない者の給与、そういう種類のものは義務教育費国庫負担対象外になる経費といたしまして、これを各県の精算額の中に含まれておる分を洗い出しまして、これを除いて精算額を誉めてほぼ完結する、こういうようにした次第であります。
  11. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 たとえば今おあげになりました非常勤講師手当、この非常勤講師というのは、昭和二十八年法律第九〇号、市町村立学校職員給与負担法第一条の講師というのとはどういうふうに違うか、この講師には該当しないのですか。今の非常勤講師給与教職員給与として国庫負担対象にはならぬのであるというのはどういうところからくるのですか。
  12. 北岡健二

    北岡政府委員 お答えいたします。市町村立学校職員給与負担法の第一条におきまして「校長教諭養護教諭助教諭養護助教諭、寮母、講師及び事務職員」云々、こう書いてあります。この場合ずっと以前市町村立学校職員給与負担法の独特な解釈から、この講師というのは常勤講師である、こういうふうに解釈が立てられて、従来ずっとこの観点から取り扱ってきております。そういうわけで義務教育国庫負担法になりましても、非常勤講師市町村立学校職員給与負担法講師の中には入らない、こういうふうに扱って参っております。
  13. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 非常勤講師を今お述べになりました法律一条の講師解釈することは何か支障があるのですか。
  14. 北岡健二

    北岡政府委員 そうなりました場合には、市町村独自の考えで、ある部分的な事項について学校教育仕事を委嘱するというふうなものが非常にあるわけでございまして、そういうもののすべてが国庫負担法対象にねるということに相なりますと、その認定が非常にむずかしくなるのでございます。そういうようなところから、現に教授や助教授というものと同じような仕事に当っておる常勤講師だけに限定する、こういうふうに取り扱って参っておるわけでございます。
  15. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それではその問題はそのくらいにしておきまして、批難事項には上っておらぬのでありますけれども、大学付属病院のことについて一、二伺ってみたいのであります。これはやはり文部省事業といたしましては、ことに大学事業といたしましては重要な事業会計に属しておるものと思われるのでありますが、これを一昨年来の決算を調べてみますと、二十七年も五億六千九百万円の赤字、二十八年は十六億五千余万円、二十九年度は十五億四千余万円の歳出増赤字になっております。そこで伺いたいのでありますが、一体国立病院とかあるいは国営の病院とかいうものは、やはり病院という一種の国の行政上の医療活動というのですか、文化施設というのでありますか、こういう事業会計につきましてはやはり原則としまして独立採算に次第に充実して発展していくのが建前でねければならぬかと思っておるであります。年々赤字を出しておりますについていろいろな事情もあるかと思いますが、これはすみやかに病院自体といたしましては赤字を克服するという方へ経営を持っていくべきのが筋ではないか、こういうふうに考えておるのですが、いかがでしょうか。
  16. 寺本廣作

    寺本政府委員 ごもっともなお尋ねでございますが、御承知通り厚生省経営しておりました国立病院でも年年赤字が出ておりまして、そのために先年その経営の成績が悪いところを一部公共団体その他に払い下げたような例もございます。文部省で所管いたしております病院大学付属病院でございまして、教育上の目的を主にいたしておりますために、必ずしも独立採算がとれるようにというような経営上の面に重点を置いて経営しているわけではないのでございます。ただしかし非常に優秀な医学者をかかえて国家に対して非常に大きな負担をかけておるのでございますから、できるだけお話のような線に近づけていきたいということで努力をいたしております。三十年度予算では御承知通り歳入四十億、歳出五十二億でございましたか、前年度、前々年度年女赤字の額を縮めるように努力をいたしておるわけでございます。なお本年度予算の際も新しい薬の使用その他が認められると、こういう経営面での改善が行われるだろうということで、新薬の実験的な使用その他に要する予算大蔵省に要求したわけでございますが、十分とまでは予算折衝でこの点は参っておりません。しかし御趣旨のような点に留意いたしまして、文部省としても国立大学付属病院独立採算に近づけるように努力いたしたいと考えております。
  17. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これはほんとうにそんことになっているのですか、独立採算に持っていこうというような努力ほんとうにしておるというのが文部省の方針なんでしょうか、もう一ぺんはっきり聞いておきたい。
  18. 寺本廣作

    寺本政府委員 予算編成の際、年々文部省収入の中では一番大きな収入でもございますし、歳入をできるだけ上げるようにということは財政当局からも要求されておりますので、そういう方向に向っていくように努力をいたしております。
  19. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 むしろこれはここ二、三年だけ見ましても赤字激増の傾向に見えるのであります。ことに二十七年からは、去年のごときは約三倍の赤字を出しておるのであります。でありまするので、これを少くすることに努力しておるとおっしゃいますけれども、これは単に陳弁なさるにすぎないものと私は思う。ことに今独立採算に持っていきたい、そういうふうなことは、ほんとうにそうならば私どももっといろいろと根本的な問題もお尋ねしなければなりません。今あなたとしましては教育を主とするところの大学付属病院だというようなお説であったので、ここは、どこにほんとう重点を置くのかということを私は再検討する段階でないかと思っております。これを聞くゆえんのものは、全体として厚生省にも聞かなくてはならぬのだけれども、やはり医療施設というものがとかく一部に偏在し、集中するという非難すらある折柄なのであります。こういうことにもかんがみまして、大学付属病院経営の財政経済的な監察というものはもっとなされるべきではないか、こう思うのであります。今たとえば保険患者のごときはどんどんと増加するということを一般に聞くのでありますけれども、民間におきましては保険患者などをできるだけ優遇するという方向に進みつつあるということは御承知と思います。ところがあなたの方におきましては、保険患者を喜ばぬという風があるとあちらこちらで聞くのであります。こういう点から考えてみましても、一体病院経営合理化ということをどこに重点を置いていかれるのであろうか、今の病院経営はこれでよいのであろうか、特に経済的な合理的な病院経営という観点からは、どういう点に重点を置いていくことがよいのであろうか、こういうことは相当御研究があるものと思うのであります。御所見がありましたら一つ聞かしていただきたい。
  20. 寺本廣作

    寺本政府委員 私のお答えが明快存欠いたために若干誤解を招いたようでございますが、初めに申し上げました通り文部省経営いたしております大学付属病院は、教育上の目的を持っているものであるから、必ずしも経営上の観点のみからはこれが運営はできない。しかし歳入を上げてできろだけ国庫負担をかけほいようにすろということは大事なことであるから、できるだけ歳入を上げて赤字を少くするように努力していくように予算を編成しておる、こういうふうに申し上げたわけでございます。しかしながら決算面を見ますと、御指摘通り二十七年、二十八年と相当赤字が増額をいたしております。この点はただいま御指摘がありましたように、社会保険患者大学病院にも相当参っております。社会保険赤字が二十八年、二十九年と御承知のように相当大きく伸びて増額して参っております。社会保険支払いの遅延いたしておりますことも、大学病院におけるこうした赤字の出る一つの大きな原因であろうと考えております。この問題は社会保険の問題とあわせて考究さるべき問題であろうと考えますが、私どもといたしましては先ほど申します通り教育上の目的を持っておるといいながら、やはりできるだけ歳入を上げ、歳出を押えて、一般国庫負担になる部分を避けていきたい、かように考えております。
  21. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この点につきましては、あるいは最近給与ベースの引き上げもあり、あるいはまた薬品等につきましてもいろいろと新薬が使われておるし、そういった面が負担過重原因であるということもわかるのでありますけれども、根本の病院経営につきましては、経済的に合理化する面が多々あるのでありますが、この問題は一つぜひ松村文部大臣に来ていただいて、とっくりと話し合ってみたいと思いますので、その点を保留しておきます。  次に報告番号の八六一号、これは危険校舎改築費補助金の問題であります。この事例は少し珍しい例ではないかと思うのであります。今各般の御説明のうちには、いかにも事業主体側がかかる過失を犯すに至ったのはもっともなような御説明のみに終始しておるのであります。しかし八六一号の大阪市の御幸森小学校のこの事実に至りましては、これは国庫補助基本金額は一千三十二万九千余円でありまして、これに対する補助金は三百四十四万三千円になっております。これは臨時措置法によって三分の一の補助であると思いますが、この問題は一たん補助を受けた建物について二重補助の申請をしたという案件であります。   〔山本(正)委員長代理退席委員長着席〕 これは一体何でこういうものに同情する理由があるのでしょうか。声を大にして叱咤すべき案件ではないでしょうか。それなのに何か非常に事業主体側補助を受けるべき各般の率その他の条件などが悪い条件のもとに置かれておったので、このような幾多の事件が起ったというような御説明に終始しておる。しかしこの例を見ると、過年度においてすでに補助を受けた建物について二重補助を請求しておるのであります。こういうようなことはいいのですか。ことに大阪市なんです。大阪市といえば代表的な大都市であります。いなかの山間の小学校事業とは全く性質が違う。なぜ一体こういうものを許すことになったのでありますか。第一こういうことにつきましては、文部省としては大阪市との間に、もしくは大阪市の教育委員会との間に厳重な交渉がなければならぬと思うのです。これに対するどういうような措置がとられたのですか。
  22. 北岡健二

    北岡政府委員 八六一号のこの事件につきましては、先ほど申し上げますように、補助金を返還すべき事例考えまして、府の教育委員会を通じて大阪市にその旨を伝達し、これに対して弁明書を受け取って目下これが措置について他の事例と一緒に審議いたしている最中でございますが、御指摘通りこれについてはほとんど猶予する余地はきわめて少いものと判断いたしております。大阪府に対しましては関係職員に対して事例指摘して厳重ね注意を促しております。
  23. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 このできごとは一体いつ発見したことでありますか。
  24. 北岡健二

    北岡政府委員 会計検査院の実地監査の結果・重複補助であるということが去年の六、七月ごろ発見されたのでございます。
  25. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうすると一年を経過して今なお措置がとられないというのはどういうわけですか。
  26. 北岡健二

    北岡政府委員 それは事例がただいま申し上げましたように、時期を異にして指摘されるわけでございますが、これらにつきまして検査院からお話があったのに対して、こちらがさらに事情を調べ、その間に幾つかの類似の事例等が発生いたしますので、それらを一括して処理いたすというふうなやり方をいたしておりますので、こういうふうにおくれる次第でございます。
  27. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大阪市などは膨大な財政状態です。たとえば東京に陳情に来る市会議員の陳情費だけでも一年に六千万円も使うのであります。このような大世帯の大都市の財政におきまして、国庫補助を二重取りするようねやり方をしているのを一年間もその処理を放置してできない——ほかのものと一緒にするかも存じませんけれども、こういうものは即刻処理して、そうして釈明のために意見を求める手続等もできる限りすみやかにするのが私は当然であると思う。今の御処置を見ると、実に緩慢なんですね。そういう緩慢さでいいのでしょうか、政務次官はどうお考えになりますか伺いたい。
  28. 寺本廣作

    寺本政府委員 この不当な補助事件会計検査で発見される場合が非常に多いのでございます。御承知通り文部省としては府県の教育委員会に対する監督の権限というものが非常に制限をされておりまして、そういう事情からなかなか個々の事例を発見しがたい状況にございます。会計検査でそういう事例指摘されます場合には相当の件数もありますし、年々の会計検査一つのまとまりというような時期を見て私どもの方で措置をいたしますものですから、発見されてから措置をするまで相当時期があることになりますが、会計検査指摘されました事例については最後の締めくくりはきっちりつけたい、かように考えております。
  29. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これはまたおかしい御答弁です。公立学校施設費国庫負担法の第十一条によりますと、文部大臣が必要な限度におきまして、これは実地調査ができるのではないでしょうか。それからこの法律災害についてのそれであるといたしましても、予算執行の責任者は文部大臣でありますし、支出官は大阪府の出納長かも存じませんけれども、大臣といたしましては当然にこの内部監査ともいうべき機会があるはずでありまするから、会計検査院に先に発見されたということは怠慢のそしりを免れないのでないか、不可能であるということはないはずであります。それから今私が伺った趣旨は、このような、大阪市のような大財政の、黒字財政のこういうところが危険校舎改築費補助金を二重取りしたという事件について、即刻取り戻すような処置をなぜおとりにならぬのか、これは怠慢でなかったかというのがあなたに対する質疑の趣旨なんです。それにお答えを願えばいいのです。
  30. 寺本廣作

    寺本政府委員 補助金の件数が非常にたくさんありまして、そういう関係から私の方の監査が徹底を欠いている点、はなはだ申しわけないことと存じます。特に会計検査院が発見されるまで私の方がこれが発見できなかったということは、まことに遺憾なことと存じております。御指摘通り、大阪市は相当財政力のあるところでもございますし、かよう血不当な補助金の申請というものは許しがたい事例であると考えますので、この件につきましては、必ず返還させるように措置いたしたいと考えております。
  31. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 会計課長に聞きますが、すでに問題は明瞭であって、あなたもこの指摘事項をその通りであるとお認めになっておる、こういうことであるのでありまするが、これはほかの事案とは違います。これは、保有坪数が過少であったとかあるいは生徒数を過大に見積っておったとかいうような、そういうものとは違います。大大阪市がともかく補助金を二重取りしておるということは、これはもう明らかにむちやなことでありまするので、これは今国会中に最終の処理をせられんごとを要望したいが、いかがですか。
  32. 北岡健二

    北岡政府委員 事態につきましては御指摘通りで、それで、目下他の三十二件と一緒に審査をいたしておりまして、すでに第一回目の審査をいたしまして、大体今月中には全部処置を完了いたす考えでございます。
  33. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今月中に完了ということでありまするならば、私は了承いたします。  それから報告番号の八六六号でございます。これは東京の芸術大学の不正事件でございまして、これもまた珍しい案件であります。文部省説明によりますると、この会計の主任大友何がしが貴金属の横領をしておるという事実につきましては、これは金粉を昭和二十一年の九月に払い出したのみで、その後は全然そのような出納はない、こういうようなことに限定をしておるようであります。ところが判決を調べてみますと、判決には、さにあらずして、純金が十五万八千七十円、さらにまたその他二十金三十九万九千円相当のもの、こういうものが着服横領ということになっておるのでありますし、非常に食い違いがあります。さらにこれに対しましては何らの弁償金もまだ取っておりません。さっきの説明によると、取るべき準備をしておるというよう血御説明がありました。つまり損害の額が明白になってから賠償の請求をするというような説明がありました。この検査院指摘によると、昭和二十一年から昭和二十九年の九月まで、九カ年にわたりまして継続して不正を働いておりました事実、すでに東京地方裁判所におきまして有罪の判決があった事実、このような場合に、なおまだ数額が確定しないというような考え方ば、まことにこれは緩慢度に過ぎたものと申さなければならぬのであります。あるいはこれは控訴して判決が確定しておらぬのかも存じませんけれども、確定の有無にかかわりませず、賠償請求権はあるのでありますから、できるものならば、可能であればすみやかに補てんをせしめ、不可能であれば適当に措置をしてしまわなければならぬのであります。国損に加えられたもの五百万をこえておるのでありますから、このようなものが今なお文部省におきまして何ら賠償請求措置がとられておらぬというととは、非常な怠慢と申さなければならぬと思うのであります。この点について政務次官はどういうようにお考えになるのでしょう。
  34. 寺本廣作

    寺本政府委員 東京芸術大学事務長の不正事件についての賠償請求手続が非常におくれておるのはどういうことだというお尋ねでございます。ただいま御指摘がありました通り五百何万という損害額がすでに判明いたしておりますが、その後も新しい事実が発見されるに従って、被害額がだんだん増加しつつあります。現在まで五百七万一千円のほかに七十六万二千二百円が、その後になって発見されておりますので、こうした賠償請求額が確定いたしましたら、これを請求したい、かように考えております。
  35. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の申すのはそうじゃないのです。もうすでに過去十年間国の財産が横領せられておるという事実に対して、請求額が確定するときにという、文部省のそのような緩慢な態度であれば、それはおそらく補てん、弁償を受けることも全然不可能に終るものと考えられます。何とねればこのような大友何がしも、おそらくその後は仕事も失うであろうし、あるいはこの事件が有罪になって刑務所に服役せざるを得ないかもしれませんし、つまり返還を求める条件が悪くなりこそすれ、よくなる見込みはないのです。そういうときに確定するまで待つということは理由がないのです。それが怠慢だ、緩慢だというのであります。確定してから請求しますという、そんなたわけたことをおっしゃっては——もしあなたが損害を負っていらっしゃったら、とても承知なさりますまい。また常識からいっても、そんな緩慢な態度をもっておるものはないのですよ。それでも文部省判決が確定して——あなたの理屈からいうならば、かりに判決が確定しても、客観的には損害額の方は確定していないかもしれない。何となれば・あとからまた起訴されておった以外の事実が発見されるかもしれぬ、そういうことになるわけです。それでは全く国の政治をやる上において誠意がないものといわねばならぬ。確定を待たずしてすみやかに処理することが私は当然だろうと思うのです。いかがですか。
  36. 寺本廣作

    寺本政府委員 お話の通りだと考えます。ただいま申し上げます通り、五百万の被害額のほかに七十六万二千円というのがその後発見されておりますが、この額をもって早急に賠償請求をいたします。
  37. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それからその問題につきましては、銀の地金が横領せられておるとか、それから純金というものですか、一体こういうものが東京芸術大学に存在しておるというのはどういうわけなのです。またこれは国有の財産であろうかと思うのですが、金額にしたら五十五万円をこえるのでありますが、そういうものがどうして存在するのです。
  38. 北岡健二

    北岡政府委員 東京芸術大学は御承知の東京美術学校の後身であります。美術学校では日本画の方にも金粉を使いますし、それから塗りもの、金工、こういうような科がありまして、その製作に必要なこういうものが昔からあって、それを引き継いでおるという状態でございます。
  39. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうするとこれは昔からあって引き継いだ、そういうものは大蔵省との関係におきまして物品会計規則でありましたかによって処理すべきものでないかと思うのですが、その点会計検査院の御所見いかがでしょうか。
  40. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 とれはお話の通り物品会計規則に従って処理すべきものであります。
  41. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大蔵省と適当に協議をして処理するというのが順序でないかと思うのでございますが、その手続はどうなるのでしょうか。
  42. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 ただいまのお話は物品会計規則云々の点からいえば、ここに物品会計官吏がおりますから、当然ここで保管、出納するわけでございますが、ただいまのお話は前の接収その他の関係じゃないかと思いますが、その点はちょっと私今のところ明確にお答えいたしかねます。
  43. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の聞きたかったのは、ある学校、つまり旧東京美術学校があって、それが東京芸術大学になり、財産の引き継ぎがあったという中に、金、銀、地金などが、金額の大小はともかくといたしまして、相当額あったのでありますから、これの引き継ぎについての会計上の事務はどういうふうにしてなすべきか、こういうのが質問の趣旨であったのであります。これはもう少し具体的に事実を明らかにせぬと御答弁が願えぬのかもわかりませんけれども、これは何か少し飛び越えた処理のように思うのであります。ちょっとただいま法律を手元に持っておりませんので、私もはっきりしないのでありますが、会計課長どうなのですか。
  44. 北岡健二

    北岡政府委員 美術学校のときにすでにこういう貴金属が学校にあったわけでございます。その美術学校の時代からこの大友が物品会計官吏をやっておりまして、芸術大学に組織がえになりましても依然として物品会計官吏をやっておるわけでございます。ところでとれらの貴金属はある部分芸術大学あるいは美術学校に製作を委託された際に委託者の方から提供したものもあって、とにかく美術学校時代に一定のこういう貴金属があり、それが金庫に入って、物品会計官吏としての大友が引き継いで芸術大学においてもこれを保管しておる、こういうことでございます。
  45. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは今の問題はその程度でよろしゅうございます。  ただ私はこの際、文部省会計経理決算を通じまして受ける印象でありますが、どうも事業経営とかあるいは決算などにつきまして少し無関心過ぎるのじゃないかというふうな感じがするのであります。たとえば今の八六六号の芸術大学の約十年間連続する不正事件というものが、その首脳部において一向気がつかれずに、最後のどたんばに行って何もかも数重なる事実ができてしまった。おそらくはこれは返済能力もないのでありましょうが、そういうことになってようやくこれが明るみに出る、こういうととでありますが、一事が万事あちらもこちらもそういうことがあるのじゃないかと思います。さっきの大阪市における二重補助の取り戻しにつきましても実に緩慢であるし、私はどうも文部省はとういう事業経営の財政面におきましては少し無関心過ぎるのじゃないか、こういうような感じを持つのであります。これは次官に聞きたいと思うのですが、他のものと一括いたしまして、一つ大臣出席したときによく話し合ってみたいと思います。
  46. 上林與市郎

    ○上林委員長 中馬委員
  47. 中馬辰猪

    中馬委員 私は文部省関係公立学校施設整備等に対する国庫補助金の経理当を得ないもの、これは昭和二十八年だけが載っておるようでございますけれども、それ以前の分についてはどういうことになっておりますか、もう決算が終ったとか、あるいは検査が終ったとか、返納すべきものは返納を命じたとか、そういう措置については全部終ったのでございましょうか。
  48. 北岡健二

    北岡政府委員 二十七年度批難事項につきましては若干の件数が指摘されておりましたが、これにつきましてはその後検討いたしました結果、どうもむしろ文部省に責任のあるような部分が非常に多いのではないかということがありまして、返還を命じておるものは今のところございません。
  49. 中馬辰猪

    中馬委員 二十六年度までに、具体的に返納を命ぜられて地方自治体が非常に貧乏しておりますから、実際問題としてはほとんど何百万円という金の返納ができないところが大部分だと思いますが、そういうところに対してはどういう処置をされておられるのか。
  50. 北岡健二

    北岡政府委員 お答えいたします。二十六年までの分についてはございません。それから二十八年、二十九年ですでに内部の監査の結果発見して返還を命じましたものが、二十八年度に一件、二十九年度に四件ございます。金額の方では二十八年度の分が二百数十万円でございますが、これは相手が大きなところでございまして、別に問題はございません。あとは十二万とか九万とか、そういうふうな程度でありまして、現在までのところ返還が不可能であるというふうな状態にある話はまだ聞いておりません。今度のこの指摘された二十八年度のものについては、まだそとまで全般的に処理いたしておりませんので、今ちょっとお答えいたしかねます。
  51. 中馬辰猪

    中馬委員 先ほども吉田委員の方から御質問があったのでございますけれども、たとえば大阪市のごとき財政の豊かな地方団体においては、あるいは百万円とか二百万円という金は何でもなく私は返せると思います。しかし地方の貧弱なる市町村においては、かりに百万円程度の金でございましても、これを返還するということが事実問題としてほとんど不可能に近いのではないかと考えておるのでありますけれども、そういう点について、もしさような事態が生じたような場合においては、あるいは年賦償還というようなことの法的な根拠があるものでございましょうか。
  52. 北岡健二

    北岡政府委員 全然そういう方法がないとも考えられませんが、従来の考え方では一応一緒に返す。ただ実際の措置として、そういう方法がとり得るんではないかというふうな感がいたしております。現場に当って検討いたしたいと思います。
  53. 中馬辰猪

    中馬委員 保有坪数を過小にしておったり、あるいは生徒数を過大にしたり、あるいは他校の校舎の建築工事費に充当したりしているようなものもございますし、また中には東京芸術大学大阪大学のように、明らかに不当なる行為と認められるものもございます。そういう場合において、もちろんこれは区別することは当然だと思いますけれども、その不当なる取扱いの中で、その市町村が貧弱で赤字財政であって余裕がない、どうしてもとれはできないというような事態が生じた場合には、文部省においてはどのようね措置をとられますか。私が質問しておりまする理由は、大体私どもが今まで経験したところでは、講堂がないために、講堂を作らなければならぬということで、実は非常な問題がございまして、そのために町村長や学校におきましては講堂を作りたい。特に梅雨地帯といいますか、西日本のような豪雨地帯におきましては、五月、六月、七月の初めごろまでというものは、雨天体操場がないために、生徒教育に非常に困難を来たす。しかもせめて講堂でもあれば、講堂を使って体操のまねごとぐらいはできるのですけれども、雨天体操場はない、また講堂もないというので、生徒の訓育といいますか、体育のために、ほんとうにやむを得ず講堂を作りたいということで、実は心ならずもこういう不当なる行為というものを行なったところが多いんじゃないかと私は思います。何も好きこのんでこういう不当な行為をするような町村長は、ほとんど一人もないと言って過言でないと考えております。幸いにして積雪寒冷地の東北地方におきましては、雨天体操場に対する若干の補助が認められたのでございますけれども、国全体としては、この講堂がないために、非常な難儀をしておるところがまだまだ多いと考えております。従って講堂を作りたいために、保有坪数を過小にしたり、あるいは生徒数を過大にしたりして、金を浮かして、ささやかなる講堂を作ったような事例も非常に多いのではなかろうかと私は思っております。特に会計検査院の御指摘の中にもございますように、「このような事態を生じている原因については、申請の一部に故意によるものと認められるものもあるが、これを直接指導監督する各都道府県教育委員会の処置が適切でなく、文部省の特に承認を必要とする事項についてもその承認を経ないで処理していると認められるものがあり、」云々ということになっております。これは明らかに文部省にとっては非常に迷惑だと思いますけれども、都道府県教育委員会におきましては、当時六・三制の教育の混乱から立ち直りまして、最後の締めくくりをするために、どうしても危険校舎とか災害校舎に便乗するという形が非常に多かったのであります。たまたまその便乗するについて——便乗する精神がいいとか悪いとかということは別の議論といたしまして、便乗する際に、文部省あるいは会計検査院と密接な連絡をとって、法的根拠をすっかり研究して、しっかりした台帳を作って、そうしてりっぱな計画をやったととろは、この不当なる行為に該当しておらないのでございます。たまたま法に対する無知のために・そういうことでひっかかったといいますか、不当行為として指摘せられたところも若干私はあると考えておりますが、これらについてば、もし今ごろ返還するような金であれば、初めからそんなに無理をしてまで講堂なんか作らなかった。県の教育委員会においては、その当時、どんどんおやりなさい、これはこういうふうになっておって、差しつかえないから、一つやりなさいというような積極的な指導というものも、私は相当あったのではなかろうかと考えておるのであります。ところが今度たまたま不当行為として指摘されますと、実は町村というものは、県の教育委員会に対しましては、今後もいろいろ仕事をしなければならぬので、弱い立場にございますために、今ごろになって、実はこれは県の教育委員会の何とかという人がこうせいと言ったというようなことは、言おうと思っても言えない。そういうような事例については、文部省においてはどのようにお考えでございますか。
  54. 北岡健二

    北岡政府委員 ただいまお述べになりましたような点が、この問題の処理に当って文部省が非常に苦心しているところでございます。簡単に割り切って、こういう規定通りにやるべきものが規定通りに行われていない、従ってこれは超過の補助であり、あるいは数字の誤りからその数字の訂正によって補助金額が当然修正せらるべきもんである、こういうふうに判断いたしまして、そして返還の措置を直ちにとるというふうなことも割り切って考えれば考えられるわけでございますが、先ほど来申し上げましたように、そういう事態を生じましたことについて制度の欠陥なり、あるいは文部省指導の欠陥なり、あるいは都道府県教育委員会指導の不徹底なり、そういうようなものもあり得ないわけではありませんし、またお述べに触りましたようなその返還の事態が当該地域社会の全般に、あるいはそこの教育に及ぼす影響というふうなことも考えられますし、まことに苦心いたしながらこれらの処置についての基準考え、苦慮をいたしながら最も適正な、しかも将来こういう不正行為発生することを防ぎ得るような、そして当該事態そのものについて妥当な措置をとりたいというふうな考えから、ここに指摘されております三十二件のほか、同様の事例がなおまだ二十八年度についても相当あるのでございます。そういうものを一緒にいたしまして最も妥当適切な是正措置を講じたい。それも先ほど吉田委員に申し上げましたように、今月中には全部についての結論を出したいという考えで進んでおる次第でございます。
  55. 中馬辰猪

    中馬委員 会計課長としてはまことにまじめ血気持でお答えになっておられると思いまけれども、事は文部省の大きな問題でございますので、大臣はきょうはこれないのですか。
  56. 上林與市郎

    ○上林委員長 ちょっと申し上げますが、この問題は他の委員からも私の方にお話しもございますので、非常に重大でもありまするし、事務当局だけの答弁ではちょっと困難じゃないか。きょうは政務次官は見えていますけれども、次の機会に大臣を呼んでこの問題の質問の機会を作りたいと思っております。その点をお含みの上で一つ御質問を願います。
  57. 中馬辰猪

    中馬委員 実はただいま委員長が申されたように、この問題は実に重大な問題であるし、文部省全体としても将来に関し、あるいは現在私どもといたしましては豪雨地帯にお誉ましては、これは今までみたいに木材だけを使うということでは国の財政に対してももつたいない。こういうところには一つ鉄筋コンクリートとまでは少し大げさですけれども、せめて骨組みだけは鉄骨にしたいという実は法案を私は準備をしておるわけですけれども、わが国のような豪雨多温の地帯におきましては、学校の建築を木材でやるということの可否について、もう少しわれわれ国会においても真剣に考えて、そうして鉄骨なり鉄筋なりというものを法律の定めるところで一つ基準を作ってやらなければならぬということを実は私個人も考えておるわけでありますけれども、さような問題がもし近い将来に起ってきたような場合におきましては、全国至るところにおいて建築事業というものが非常に忙しくなって参ります。従ってそういう意味でも将来に備えるためにも、今後は一つ間違いがないようにしてもらいたいということを強く要望いたすわけであります。おそらくは会計課長がかりに何とか村の村長をされておって、そうして講堂くらいほしい。雨漏りがする、引揚者がふえてきて授業ができない。そういう場合にはおそらく背に腹はかえられないからこういうことをされたかもしれぬ。これは暴言といえば暴言ですけれども、おそらく町村長さんの方々でも好きこんでこういうことをされた人は私は一人もないと思います。先ほど吉田委員もおっしゃったように、この財政の豊かなところの府県とかあるいは町村におきましては、あるいはそういうことをすることが故意であるし非常に悪意であると言っても差しつかえないと思いますけれども、貧弱なる市町村等におきましては、そういうことをしなければ村長としてのあるいは町長としての立場が勤まらないのであります。子供はぬれる、雨が降れば授業ができないというような、そういう生徒を抱え込んでやっておられた。その結果困り困ってかようなことになってくる。しかもこれをやるについてもほとんど法に対する無知とは私はあえて申し上げませんけれども、県の教育委員会なんかに相談したところが、いやそれくらいのことは何でもありませんよ、どごでもやっておるのだからやりなさいというような、そういうような自由裁量の許されたような余地も若干あったのではないかと私は今から想像をいたしておるわけであります。従って文部省において今月中にこの問題を一応結論をつけるというお話しでございますが、まことにこれは適当なことだと思いますけれども、さような場合におきましては、そういうところの各町村の具体的な例をよく勘案せられ、大阪のような金持ちのところと貧乏なところと一律にしないで、そういうところは自分たちの指導方針においても若干遺憾な点があったということを、会計課長も率直に申されましたから、そのような点というものをあえて取り上げるわけではありません。あなたの率直な態度に対して、私どもは心から敬意を払うわけであります。従って一つこういう点に関しましては、今後二度と再びかようなことが起らないように、どうぞ大きな大綱目をきめていただいて、県の教育委員会等が勝手な指導をやったような点に関しましても、今後そういうことで二度と再びさような間違いが起ったり、さような苦しみを自治体や町村当局に与えるようなことをしないためにも、この点は一つ文部省の御善処方を要望いたしたいと考えておるわけであります。私はただ何でもかんでも大目に見ようというのではございません。ほんとうによく調べて、徹底的に調べて、ほんとにこれはやむを得なかったのだ、そういう町村の事情というものをよく御研究になって、最後の御判定を下されるようにということを私は強く申し上げておるわけであります。この点に関しましては政務次官から一つ御答弁を願いたいと思います。
  58. 寺本廣作

    寺本政府委員 二十八年度補助金の返還要求をいたします場合に、最後の締めくくりをいたしますときに、ただいまお話しのありました点十分考慮いたしまして決定をいたしたいと思います。
  59. 中馬辰猪

    中馬委員 最後に政務次官にただしておきたいと思いますが、もしどうしても返還をしなければならぬという場合において、数百万円に上る金額を一。へんに返還するというようなことでは、これは言うべくして不可能であります。従ってさようなものにおきましては、あるいはその地方の財政の許す範囲内の年賦償還というふうな点につきましては積極的な御研究が願いたいと思います。このために実はおそらくこれに載っておるような町村においては、ほとんど他の仕事が手につかないというように心配されておると思いますからして、これらの点に関しましては一つあたたかい気持で、もしどうしても返還を要求しなければならぬという問題に関しましては、年賦償還のような、そういう制度をお考えになられるように希望いたしたいと思います。
  60. 上林與市郎

    ○上林委員長 ただいまの御発言の内容、御意見等を政務次官から大臣に率直に御連絡願って、次の機会に大臣から御答弁を願いたいと思います。
  61. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今の委員長が御発言になりましたことで尽きておるのであります。要するところ私の今申し上げておきたいと思う点は、今度大臣が出られますときに、中馬委員の御質問になりました、多くの事例に対しまして個々の具体的事実を十分に御調査になっておられると思いまするから、それに基いて、角をためんとして牛を殺すことのないようにということも考慮に入れて結論を出して、大臣において答弁せられる準備をして御出席せられるよう要望したい、それを申し上げておきますから、委員長の御発言通りであります。
  62. 上林與市郎

    ○上林委員長 それでは了承しました。  次に徳安委員
  63. 徳安實藏

    徳安委員 補助金経理当を得ないものという点について、少しお尋ねしたいと思います。ただいま私の同僚からも質問がありまして、この点はもっともの点もあると思います。しかし内容によりますと全然虚偽の報告をしてみたり、目的外のものに流用してみたり、また二重の補助を受けておるもの、こういうものがあるのですが、こういうものはどう考えたって善意であるとは考えられませんので、こういうものに対しては適正なる処置をとっていただかなければならぬと思いますが、文部省の方の参考資料をいただきますと、ずいぶん気を使って各府県に対してあるいは講習会を開かれたり、あるいは局長、次官等の通牒をしばしば出されて注意を喚起せられておるようであります。この点私どもは非常にけっとうだと思います。しかし悪いことをすれば悪いことをしっぱなしということはいけませんので、こうしたどうしても善意に解釈できないよう血、ものは、やはり国民の納得のいくような処置が必要だと思うのです。こういう点につきましてはまだあまりお考えにねっていないようなお話を聞くのですけれども、こういう工合に会計検査院指摘されました以上は、少くも国会も一般も納得するような処置をとられることが必要じゃないか。これは指摘を受けると同時にそれに対する処置をお考えになるのがほんとうじゃないか、こう思うのですが、これはいかがでしょうか。会計課長に事務的ね関係から、実際そういうことは事務的に不可能なのかあるいは可能なのか、一つ伺ってみたいと思います。
  64. 北岡健二

    北岡政府委員 御指摘の点は、即座に悪質なものに対して措置をとれというふうな御趣旨に拝聴するのでありますが、それでよろしゅうございますか。
  65. 徳安實藏

    徳安委員 そうです。
  66. 北岡健二

    北岡政府委員 その点につきまして、内部監査で発見いたしますもの、もっと申しますれば、資料が県を通じて文部省へ到達いたしまして補助金交付を行いますまでの段階においても、そういう間違はできるだけ、発見されたものについてはその場で措置をいたしております。ただ今日の仕事の上の態勢と、それから二十六年ころの態勢、あるいはもっと昔の二十三年ころの態勢とずいぶん違います。従ってどうもうっかり実地調査をしないもので書面のままうのみにした。そうしてその後も気がつかないまま経過したというようなものが、後になって会計検査院の御指摘を受けたり、あるいはまたそれに伴ってこちらの行います監査の際に発見されたりというふうな事態が出て参るわけでございます。それで先ほどもちょっと申し上げましたが、二十九年度事件でも、文部省で発見されましたものについては、すぐさま返還措置を命じておるような次第でございます。検査院の御指摘になりましたようなことについて、一括して事務的に検査院から御連絡があり、それについてこちらが県の者を呼んで一括して調査いたしたり、こういうようなことから、まま早急の現地即応の措置というものがそういう事態になった場合におくれる、こういうふうなことでございます。自分自身の力で見つけましたものはそれぞれ迅速に、ことに悪質宏ものについては措置をとっている、あるいは注意をいたしまして手続を踏ませて、合法的なものに直してやるというふうな措置をいたしておるわけであります。
  67. 徳安實藏

    徳安委員 自分の手で発見したときには即座に直しておる、しかしあとから発見したものはそうもいかないということですけれども、会計検査院指摘いたしましたものについては、その事柄を否認なされば別問題でありますけれども、そうでない、明らかに会計検査院指摘された通りだというものにつきましては、疑う余地がないのではねいかと思うのです。そういうものに対しては即座にやはり県をお呼び出してお調べになるとか何触りして、そうして私どもに報告が来る前に、何か少しくらい御処理はおとりになっておってもいいのではないか。この事件についてはこうしておりますというぐらいのことはあってもいいのではないかと思いますが、それがこれからやるのだということは、どう考えても事務的にあまり非能率のように考えるのですが、いかがですか。
  68. 北岡健二

    北岡政府委員 御指摘通り非能率な点はございますが、その点については今後御注意に従って迅速に処理いたします。ただ弁解がましくて申しわけございませんが、意外に多くの事例があったりいたしますと、その間の一斉調査ということになりまして、それに時日を要し、またその後御承知公立学校施設費国庫負担法の八条によりまして措置をする場合には、十分関係者の意見、弁明の機会を与えるという規定がございます。さっそく調べ上げましたところで、これは返還を要すべ誉ものと判断されましたものについて、全国にそれぞれ通知を出してそうして弁明する機会を与えて、それの到達を待って現地審査を始めた、こういうふうな事態でございます。意外に数が多かったために、まず返還を要するものと要し血いものとの振り分けをいたしますのにも相当時日を要したような次第であります。
  69. 徳安實藏

    徳安委員 そのことはまたあらためて適当な機会に伺うことにいたします。  先ほど御答弁の中に、二十七年度の返納については本省の方に大体責任があるように思われるので処置をとらなかったというようなお話があったと思いますが、こういう本省の方にあやまちがあったとお認めになったような場合には、出先であるとか府県ばかりをお責めにねらずに、本省でもやはりそうした問題については取り上げて、その責任を明らかにされるというような方法をおとりになっておるのですか、あるいはどうも一生懸命で善意を調査し、あるいはまた計算したけれどもどこかのそろばんの間違いでうちの方が間違いであったのだ、これはしようがないではないかというような、こういうような工合に処置をされておるのですか、この点を一つ伺いたいと思います。
  70. 北岡健二

    北岡政府委員 本省内におきましては、こういう事態がありました際には、大臣の命によって関係者に対して厳重ね注意を促しております。もちろん本省の手落ちと申しますものの中にも事務的な手落ちもございますし、それから先ほどから申しておりますが、制度自体がはっきり立たなかったために地方が誤解するような措置を残したまま補助事業を実施した、たとえば危険校舎というものもあるいは不正常授業と申しますか、法律の上ではっきり誉めておりませんから、従って解釈のしようで多少幅ができる、そういたしますとその幅があるようなないようで補助申請を出して、二部授業と判断されぬようなものを二部授業と判断された、本来いえば二部授業でないはずものが二部授業の中に入ってしまった、仮校舎の場合には非常に多うざいます。そういうふうなことになりますとこれは地方ばかりを責めるのは行き過ぎである、こういうふうな事態が一例として申し上げるとあります。そういうふうな場合に、これは向うだけを責めて、返還というふうなことをするのは行き過ぎじゃないか。ことにそういうような場合に、それだけを考えているわけではなくて、現実補助事業として執行しておりますのが、実は補助対象になったものの数倍の事業をやっておる。そうして非常に熱心にやっておられて、たとえばその翌年度基準でいけば当然もらえるはずの部分計算の誤りで入っていたというふうな場合もあるわけであります。そういうような点から考えまして、二十七年度につきましてはこれを一つ一つについて当ったのでありますが、返還を命ずる段階までにはいか血かったわけでございます。
  71. 徳安實藏

    徳安委員 本省の人としてずいぶん謙虚な気持でお話し願って私ども非常に愉快に思うのです。やはり本省の手落ちがあれば・あくまでも自己反省されなければいけないし、文字その他において不明確であったり解釈の仕方でそうなることは本省自身が改め安ければいけないことですから、そういうことをお認めになって、各府県や出先だけを責める気持はないということは非常にけっこうだと思います。これはひとり文部省だけじゃない。ほかにも例がありますから、一つそういう点について本省が責任を問われることがないような明確な書類、明確な頼るべきものを示されて、間違いのないようにしていただくことをお願いしたいと思います。  なお会計検査院指摘いたしましたその書類によりますと、実地に検査したのは学校がわずかに一五%、それから金額にいたしましては二二%だとかいっておりますが、その他のものは会計検査院検査していないのです。わずかこれだけのものを検査しただけでもこの指摘事項が出ているのですが、文部省の方で会計検査院指摘されましたその以外に文部省自身で御発見になったものがございますれば、その内容を一つお知らせ願いたいと思います。件数だけでもけっこうであります。
  72. 北岡健二

    北岡政府委員 昭和二十八年度の監査の実績でございますが、大阪、三重、広島、大分、宮崎、北海道、こういうふうなところについて実施いたしまして、相当の誤りを発見いたしまして、出来高不足あるいは補助金の積算誤り、保有坪数の取扱いの間違い、そういうものについてそれぞれ現地措置をさせました。その結果、件数はちょっと出ておりませんが、大分県について二件、それから宮崎県について三件、追加工事をさせあるいは補助金の返還をさせております。それから大阪市についても誤りを発見して、金額にして二百三十六万円余の経理の修正をいたさせております。こういうような状況でございます。
  73. 徳安實藏

    徳安委員 この点はまた次の機会に譲りましょう。  次に不正行為のことをちょっと伺いますが、先ほど吉田委員からだいぶ指摘されて御質問があったようでありますが、私どもから見ましても、特に東京芸術大学の問題のごときは金額相当多いし、さらに事件の発端から終りまでには相当に時日の経過があります。学者ですから、こういうものについてはずいぶん感覚がにぶいのかもしれませんけれども、二十八年の七月に授業料台帳の整理がよくないということがわかって、そして整理を命じた。二十九年の五月六日までに整理の上帳簿を出せということを、最後に命じたがそれでも出さなかった。二十九年六月一日に初めて会計係長の兼務を解いて、整理事務に専念するように命じた。ずっとこの経過を見ますとずいぶんのろまで、人の金だからといってどうかと思うのですが、ほんとうに責任を感ずるねら帳簿が未整理なんということを一年も二年もほっといて、ただ命じて出せ、命じて出せというような、そういうばかなことはないと思うのです。こういうような気風があるなら、ほかの学校にもあるんじゃないかという懸念もある。もしこれをもう少し早く整理されておったならば、もっと事件が、金額が少くて済んだのでは安かったか、こうも思われるのですが、芸術大学に対する会計上の監督はもう少し厳重になさる必要があるんじゃないかと思う。どうも上司の態度がいかにものろま過ぎる、間抜けているように考えられる。これは会計課長としてどうお考えになりますか。
  74. 北岡健二

    北岡政府委員 全く御指摘通りでありまして、こういうように何かやるべきことを見のがしてそして発見がおくれたというふうな事態に対しては、御指摘通りまことに申しわけない次第でございます。大学の、あるいは省内におきましても、会計関係のことにつきましては、こういう事件から多くの教訓を得まして、それぞれ機会あるごとにまたこういう事態が生じました機会には、すぐいわば犯行の手口というようなものから、どういうふうな措置をしたらいいのかというふうな点を検討いたしまして、それぞれその機会ごとに大学会計担当者あるいは事務局の主管者に対して通達をし、あるいは会議を開いて指示をいたしておるわけであります。この芸術大学の場合におきましては、一人の事務長が一切をやっておる。物品関係収入関係も一切をやっておって、そして制度的には大学の本部の方との連絡がそう密接でなくてもいいことになっておるのであります。この事件後直ちにそういうことのねいように必ず一人で収入を処理したり支出を処理したりすることのないような態勢を作らせると同時に、授業料の未納については本部の会計主任者が別に帳簿を持って、そうして未納については学部から本部へ連絡させ、そして本部で常に未納者の状態を知悉しておって、督促等も本部からも出し得るような態勢に変えたわけでございます。そういうようなことによって、ある一人の人間が一切をやって、そのために不正行為の可能性ができるというふうな点を厳重に警戒いたしております。これはこの事件以後ことに厳重に実施いたしておるところでございます。
  75. 上林與市郎

    ○上林委員長 ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  76. 上林與市郎

    ○上林委員長 速記を始めて下さい。  それでは文部省所管についての、質疑は本日はこの程度にいたします。     —————————————
  77. 上林與市郎

    ○上林委員長 次に昭和二十八年度決算中、厚生省所管について審査を進めます。  それでは昭和二十八年度決算検査報告一三五ページより一五四ページに至る、検査報告八六八ないし九二九を一括議題といたします。  ただいまも申しました通り、本会議が三時半からの予定になっておりますので、議事進行に関して、一つ御協力願います。  会計検査院当局より説明を求めます。上村検査第二局長。
  78. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 厚生省関係の二十八年の検査報告に掲載しましたものは、六十二件になっております。その大部分補助金等の経理に関するものでありまして、五十八件になっております。  まずそのうち結核、性病及び法定伝染病等の予防に対する補助でありますが、これが二十九件でございまして、これは例年出る案件と大体同じでありまして、計算いたします場合に、基本額に対象外経費を含めたり、あるいは事業収入を引くということになっておりますのに引かなかったために、補助超過になっておる事態でございます。これらについては返納の処置をとられることになっております。  次に八九七号から九一八号の国民健康保険事業に対する補助金二十二件でございます。これらは交付いたします場合に、一定の条件を満たすものにつきまして、所定の計算方法によって計算して交付するものでありますが、その計算方法、あるいは所定の条件を満たすかどうかということについて検討不十分なため、交付超過になった事態及び直営診療所補助金につきまして、対象外経費を基本に含めて補助超過になった事態であります。  なお国民健康保険につきまして、返納額を検査院で掲載してございますが、厚生省の方で提出零れました説明書と一部変っておりますが、その後の調査におきまして、厚生省の方が正しいものと判明しておりますので、返納につきましては、この数字によって処置したいと考えております。  次は水道事業の九一九号から九二三号の五件でございます。これは災害補助金でございますが、実際災害がないのに補助金交付したり、過年度において事業を施行しておるものに交付し、あるいはその後において事業を中止したために返納を要するものでございます。  なお、九二四、九二五号の簡易水道の災害復旧補助金につきましては、特別措置法に基いて交付しておるものでございますが、井戸、流水、湧泉、水源等の施設が水害によって破壊せられ、復旧が困難で、公衆衛生上放置することができないという事態に対して交付するものでございますが、その場合水質の変化、悪くなった場合に交付されておる事態相当ございまして、果して実態を見まして災害前とその後において、災害のために水質が悪くなったかどうかというようは事態の、必ずしも判明しないものが相当件数ございまして、今後の補助金交付の、かような事態がございます場合には、相当の検討を要するものがございます。  次は九二六号の保険給付の適正を欠いたものでございます。これは健康保険におきまして不正事実があったものでございます。そのうちのおもなるものは、実際に使用関係がないのに、保険給付をなした事態でございます。これらにつきましては被保険者の資格取得が、果して適正に行われておるかどうかということについて、十分の検計が望ましい、かように考えておるわけでございます。  次は九二七号の架空経理に関するものでございまして、国立旭川病院で、石炭代として架空経理されました七百九十余万円を、会議費、交際費その他の経理に充てられたものでありまして、かようね事態の起りますのは、予算の配分等についての考慮が十分でないということと、予算使用する場合に、予算目的を十分に考えられ血かつたというととから起ったものと考えるわけであります。  次は九二八号、九二九号の不正行為でございますが、記載してあります通りで、特に説明する点はございません。
  79. 上林與市郎

    ○上林委員長 ただいま議運からも特に連絡がありまして、本会議が三時半からの予定になっておるそうですから、厚生省当局の補足説明も次会に延ばしたいと思います。それでは文部省主管に関する山本委員、細田委員の関連質問、並びに厚生省当局の補足説明、並びに質疑は全部本日は留保いたしたいと思います。  次会は公報をもってお知らせいたします。本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十七分散会