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1955-07-01 第22回国会 衆議院 決算委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月一日(金曜日)     午前十一時開議  出席委員    委員長 上林與市郎君    理事 椎名悦三郎君 理事 山本 正一君    理事 徳安 實藏君 理事 山田 長司君    理事 吉田 賢一君       有田 喜一君    床次 徳二君       本名  武君   小笠原八十美君       關谷 勝利君    三鍋 義三君       細田 綱吉君  出席国務大臣        国 務 大 臣 大久保留次郎君  出席政府委員         調達庁長官   福島愼太郎君         総理府事務官         (調達庁総務部         長)      丸山  佶君         総理府事務官         (調達庁総務部         会計課長)   横山 正臣君         総理府事務官         (自治庁長官官         房会計課長)  石渡猪太郎君         建設事務官         (大臣官房長) 石破 二朗君  委員外出席者         総理府事務官         (調達庁不動産         部補償第一課         長)      高野藤吉郎君         総理府事務官         (調達庁不動産         部連絡調査官) 中上 義行君         総理府事務官         (北海道開発庁         庶務課長)   吉田 伸一君         農林事務官         (農地局総務課         長)      正井 保之君         農 林 技 官         (農地局建設部         開墾建設課長) 古賀 俊夫君         会計検査院事務         官         (検査第一局         長)      保岡  豊君         会計検査院事務         官         (検査第二局         長)      上村 照昌君         会計検査院事務         官         (検査第三局         長)      小峰 保榮君         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 靖英君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和二十八年度一般会計歳歳出決算  昭和二十八年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十八年度政府関係機関決算報告書     —————————————
  2. 上林與市郎

    上林委員長 これより会議を開きます。  本日は昭和二十八年度決算中、総理府所管のうち、調達庁北海道開発庁及び自治庁の各所管について審査を進めます。  まず調達庁所管について審査に入ります。すなわち昭和二十八年度決算検査報告三三ページより四一ページに至る報告番号二ないし七を一括議題とし、そのうち審査促進報告番号二及び三について重点的に審査を進めます。会計検査院当局より説明を求めます。上村検査第二局長
  3. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 二十八年度調達庁関係検査報告は六件でございまして、うち三件が是正された事項でございます、前年の検査報告から見ますと、二十八年度はだんだん少くなってきておる状況でございます。  まず報告番号の二について御説明申します。これは駐留軍兵員クラブ代替施設といたしまして、日本通運株式会社から土地建物を千八百四十万円で購入せられたものでありますが、米軍がこれを使用しないため、結局このものは要らなくなったわけでございます。なぜこういう事態が生じましたかと申しますと、調達庁におきましては代替施設として、日本通運から購入された建物で適当であると了解が成立しておるというふうなお考え方から購入せられたものでありますが、よく考えてみますと、二十八年の十二月に米軍から日本側に来ました文書によりますと、日本側負担において現在使用中の施設同等のものに改修することを条件として応諾するといりような文章がございまして、前の施設と今度の購入されたものを比べてみますと、多少の差異がございます。米軍におきましては特に自動車進入関係駐車関係について相当いろいろなことを考えておる面もございますが、そういう面につきましても、代替施設として購入されたものにつきましては空間地がないというような事情もございまして、米軍が完全に了解していたものについて文句を言っておるというふうにだけは、実は受け取れないように考えるわけでございます。今後いろいろ米軍との間の折衝等におきましても、事態を明確にして仕事を進められる方かいろいろの問題が起らないのではないか、かように考えておるわけでございます。  次は三号の損失補償の問題でございます、これは平和不動産株式会社所有建物損失補償金として七千二百余万円を補償されていたのでございますが、補償につきましては、借り上げ契約におきまして、これを返還する場合にどういうふうなやり方で補償するということが取りきめになっておりまして、解除になりましたものでありますから、それによって会社のこうむった損失額から会社の受けておる利得額を引きまして補償額決定せられたものでございます。ところがその中で利得額計算におきまして、エレベーターが使えないから、これを撤去するということで評価されておるわけでございますが、実はこの契約を正式に締結せられた時期におきましては、会社が百六十万円ばかりの修繕費をかけまして使っておるわけでございまして、これを使っておるということで考えますと、利得額計算もおのずから変ってくるわけでございまして、さような考え方から調達庁のやっておられます方式によって計算いたしますと、利得額を五百十万円ばかり余分に見てもよろしいのではなかろうか、かように考えておるわけでございます。なおそのほかの案件につきましては、御質問に応じてお答えいたしたいと存じます。
  4. 上林與市郎

    上林委員長 ただいまの説明に対し調達庁当局において補足説明があれば、これを許します。
  5. 丸山佶

    丸山政府委員 調達庁では業務の運営、ことに経理上のことについては十分の注意をいたして参ったのでございますが、ただいま検査院から御指摘のありましたようなことで御審議をわずらわしますことは、まことに恐縮でございます。その第一点の、日通ビル購入に関して軍側との了解が十分でなかったがために、要らないものと申しますか、結局買いながら所期の目的を達しないものにしてしまった、このことでございますが、これに関しましては、若干経緯を御説明をいたしたいと存じます、実は二十八年の当時は軍側との施設連絡事務外務省がいたしておったのでございますが、外務省日米合同委員会を通じまして、仙台の安田火災の建物、それを仙台部隊兵員クラブに使っておりますが、これを解除するためには代替施設を与える必要がある、代替施設提供されるならば軍はいつでも解除する、こういう話し合いが進みまして、代替施設を物色しておりましたところが、たまたま仙台の地元の方から日通ビルがあいておるので、これがかっこうの代替物ではないかとう話があいりまして、これを調査しまして、しかるべしと存じまして軍側話し合いをいたしたのでございます。軍側でも見まして、修理を加えてそういうものにしてくれるならばよかろうという話し合いがございましたが、なおこれを念を入れて、これでよろしいということにするために、二十八年の十月に外務省国際協力局は、米側合同委員会事務局長でありまして、かつまたこういう建物建設部会委員長をしておりますところのトムスンという大佐に文書を出しまして、こういう今申し上げたような次第でこの建物がしかるべきと思うが、これを代替物として安田を返すことはどうであろう、この難物が受け入れられるかどうか正式に返事を願いたい、こういう手紙を出したのでございます。これに対しまして軍側では十二月に返事をよこしまして、あの建物でよろしい、ただし現在の兵員クラブ同等施設になるように改装を要する、自分の方のエンジニアの調べたところでは、六万ドルほど改装費がかかるような見積りである、これを軍側負担ではなしに、日本側負担において改装してくれるならばあの建物でよろしい、こういう返事をよこしております。なお現地におきましても、あの兵員クラブの所属しておりますのはキャンプ・シンメルペニヒと申しまして、仙台郊外におる部隊でございますが、その部隊が管理をして建物を見ておる次第でございます。そういう事情でございますので、これならば大丈夫だということで、その建物購入交渉を始めまして、三月に至りまして購入したわけでございます。ところが四月の早々になりまして、軍側から、その改装計画とともに、もう一つ自動車パーキング、つまり駐車場の設備、それからあそこはクラブでございますので、いわゆる勝手方面の出入口、こういうものの施設をつけ加えてくれ、こういう要求がございましたので、これは当初の話とは違う。当初はあの建物改装を加えればよろしいということで話をきめて購入したものであるから、あのままでもって使ってほしい、今の自動車パーキングあるいはその出入路のことは当初の条件にはないものである、こういうことで話を進めたのでありますが、軍側は今どうしてもこの出入路駐車場場所を考えてもらわぬというと、とてもあの建物ではだめだ、こういうことで交渉を再三行いましたが、結局どうしても軍側としては今の点が完備しない限りは、あの建物では工合が悪い。なるほど当初の交渉いきさつにおいては、確かにその点が明確になっておらないけれども、現状施設はそうである、そういうためにこの交渉を長引かせても解決にはならないので、軍としては、その場所ではなしに、仙台司令部のありますキャンプ仙台キャンプ内に新たに建ててもらう、その建ててもらう経費は、当初に改装費として日通ビルに対して予定していた金額よりも少いものでいい。当初は六万ドル程度かかる。それからなお次に改装費計画を出しましたときには、軍側では七万八千ドルかかるという見積りを出しておりますが、今のように話がもつれまして交渉を重ねまして結果において、今までのいきさつにかかわらず、解決方法としては、新たにキャンプ仙台内に新しいものを作ってもらう、しかもその経費は四万ドル限りでよろしいという工合の提案がありまして、日本側といたしましてもこれ以上交渉を続けても妥結の道もございませんし、なお軍側が今申しましたように、経費の点においては日通ビル自身改装するよりも安い費用をもって、これによって建て得る程度のもので満足する、こういう状況であるので、そういうことにするより仕方がないということで、昨年の十月にそういう工合計画を変更いたしまして、目下キャンプ仙台内にはその建物を新たに作っておるわけでございます。一方、日通ビルの方はそういう工合でせっかく買いましたが、しばらくの間ただ管理するのみではなはだ申しわけなき事態がありましたが、調達庁といたしましてはこの三月に大蔵省東北財務局に引き継ぎをいたしまして、四月からは、東北財務局では仙台地方で非常に建物に困っておるところの防衛庁の建設部の方で使いたいということで、四月からそちらで使っておる。これがこの件が起きましたところの概略でございますが、お話でおよそおわかりと思いますが、外務省から引き継ぎまして、調達庁といたしましては軍側連絡に必要な措置はすべてとったものと思うておるわけでございますが、しかしなお考えてみますならば、今の駐車場問題等は、アメリカ側の習慣とすれば、かりに文書に現われなくてもこのことが念頭にあるということを予想されますし、こちら側もその点念を押しておけばよかったというようなことも考えられますし、また軍側にも、そういうことを早くから現場を視察したことであるから、そのことを言ってほしかったという事情がありますが、いずれにしましても、普通の事態でありますならば、今申し上げました程度連絡において十分であったわけですが、たまたまそのケースは非常にまれなケースで結果がそういう工合になった、その点まことに遺憾な事態だと存ずる次第であります。  それから第二にございます平和不動産エレベーターの件でございますが、エレベーターを撤去をしたその残材価値の問題の評価の点について、調達庁側計算が妥当ではないという点につきましては……。
  6. 上林與市郎

    上林委員長 なるべく要領よく説明してくれませんか。
  7. 丸山佶

    丸山政府委員 調達庁といたしましては、そのエレベーター自身が普通のエレベーターではございませんで、いわゆる戦時規格品でございまして、普通のものより価値が非常に少い、従って耐用年数等も通常のものに比べれば半分程度である、こういう事情から決定いたしましたような価格でもって算定いたしました。なお検査院の御指摘の百六十万円の修理費をもって運行できたということでございますが、これは安全運行のためには不十分でございまして、一時的に使うためにはその程度で動きましたのでございますが、現に本年の二月になりましてから、東京都庁の方の監督官からは大修理を命ぜられておりまして、それを修理するためには約二百五十万円かかるというふうにも聞いておりますし、なおそういうような事情から、すでに平和不動産では三つのうち一基を撤去しておるような状況でございますので、必ずしも検査院の御指摘のように、調達庁計算が不当に利益を相手方に与えるようなふうに計算したものとは考えておらないのであります。  それからなおお話にはございませんが、あともう一つは富士の演習場におきます飼料牧草の問題でございますが、この牧草使用料の点は、実は実情の把握が非常に困難でございますので、検査院の話もございますし、私どもも現地事情もよく聞き、経営者お話も聞いて計算してあるものと考えておる次第でございます。  それからその他三件の是正事項、これはまことに申しわけないながら、調達庁としては事務上の手違いから重複払いその他をいたしましたので、これは御指摘に応じて直ちに是正いたしておる次第でございます。
  8. 上林與市郎

    上林委員長 これより質疑に入りますが、政府側からの出席者を参考のために申し上げておきます。調達庁福島長官丸山総務部長横山会計課長中上不動産連絡調査官高野不動産補償第一課長であります。  それでは質疑の通告がございますから、順次これを許します。吉田委員
  9. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 調達庁長官にお伺いします。二十八年度決算検査報告書の三三ページから四ページにわたりまして、調達庁一般会計説明がなされておるのでございまするが、この数字の趣旨はその通り相違ないのでありますか。
  10. 福島愼太郎

    福島政府委員 総務部長からお答えいたします。
  11. 上林與市郎

    上林委員長 これは長官に対する質疑答弁要求ですから……。
  12. 福島愼太郎

    福島政府委員 一般はその趣旨でよろしいのだそうでございますが、正確には総務部長からお答え申し上げます。
  13. 丸山佶

    丸山政府委員 一般の方の今お話の点はその通りでございます。御質問の点具体的な点でございますか、それとも全体の問題でございますか。
  14. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 全体の方です。
  15. 丸山佶

    丸山政府委員 全体はその通りでよろしいと思います。
  16. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そのうちの三四ページの第五行に「前期支出済額のうちには、提供の取決めがないまま駐留軍使用している施設および区域に対し支払った借料三億八千三百余万円」支払っておる。提供の取り決めがないのに、三億八千万円の予算を出す予算的根拠は、どういう項目によることになっておりますか。長官は総括的な御答弁はできませんか。
  17. 福島愼太郎

    福島政府委員 あまりこまかいことはよく承知いたしませんので、総務部長からお答えした方が正確だと考えておりますが、この点につきましては、私の承知いたしております限りは、占領時代からの提供区域に対して、正式な提供区域とならずに、保留中の施設について借料その他の支出が行われている関係であろうかと考えております。なお総務部長からお答えいたします。
  18. 上林與市郎

    上林委員長 ちょっと吉田委員に申し上げますが、こまかい、こまかくないということで一々答弁者質問された人が指定するのは、ちょっと運営上困りますが、どうしますか。
  19. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これはこまかい問題だとおっしゃるけれども、やはり総括的な質問になるのでありまして、こういうことは長官在任中のことなのでありますから、大体の趣旨、要綱はとくと御了承願っておるものと思うのであります。なおほんとうにこまかい点につきましては、それは逐次総務部長その他でもいいと思いますけれども、大体の趣旨を一々他の方へ答弁を委譲するというようなことは、私は納得できない。
  20. 福島愼太郎

    福島政府委員 大体の趣旨はただいま申し上げた通りでございまして、占領中はアメリカ側が一方的にきめた施設を使っておったわけでありますが、講和発効後これを正規施設区域として提供するということになったわけです。占領中にアメリカ軍側が広汎に使用しておりましたものを、そのまま正規提供することは好ましくない部面もありますので、その後はこれを極力削減するように交渉しておるわけであります。その間に双方の見解が合致いたしませんで、正規日本側提供するに至らず、またアメリカ側との間にも話し合いに至らない関係も出て参りますので、行政協定に移ります当初に、御承知岡崎ラスク交換公文によりまして、保留分として処理するということになっておる施設の数が相当にまだあるわけであります。今日逐次これを提供を拒絶するなり、場合によりましては提供するなり、正規のものに振りかえつつあるわけでありますが、若干まだ残っているものがある。従いましてそれらにつきましては正規提供してないということに形式上なります。借料補償その他の費用は、引き続きアメリカ側交換公文に基きまして使わせているわけでございますので、支払いも行われているようなわけであります。
  21. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 御答弁によりますると、この借料三億八千三百万円は予算項目は何から支出したということに了解すればいいのですか。
  22. 福島愼太郎

    福島政府委員 防衛支出金の中に特例借り上げ料として処理してある。
  23. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 防衛支出金として支出したものであるならば、その末段に大蔵省からアメリカに対して「求償方折衝中」こういうことになっておりますが、求償というのはどういう趣旨になるのでしょうか。どういうことを交渉しようとするのか。
  24. 福島愼太郎

    福島政府委員 米国に対し求償方折衝中であるということは、償還を求めているわけでありますが、保留中のものと、また不当に使用されているというものもございますので、それらについてアメリカ償還を求めているということであります。
  25. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 するとアメリカ側から償還を求める必要はないと思うのでありますが、防衛支出金であるということならば、予算も組んでおりますし、その予算執行として当然支払ったものということになるのであるから、予算執行の建前からいたしますならば、それは償還を受くる筋合いでないように思いますが、償還を受くる筋合いのものであるならば、予算執行が間違っているということになるのではないか、正当に予算執行せられたのではないということにもなるのではないか、これは理屈のようでもありますが、その関係はどういうことになっていますか。
  26. 福島愼太郎

    福島政府委員 ただいま申し上げました保留並びに不当に使用されているということと、保留中の施設アメリカとの交換公文によりまして米軍使用を認めているわけでありますので、これは正規提供してなくても防衛支出金によつて借料を払っているわけであります。それ以外に不当に使用されているということになります施設等借料については、占領時代から引き続きまして保留ということを、岡崎ラスク交換公文に含まれないものでまだ正式に決定されないままに施設区域その他を拡大いたしました関係で、不当に使用しているという関係についてはアメリカ側の弁償を求めるということになっております。
  27. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 丸山総務部長に伺いますが、しからばその不当に米軍によって使用せられているというのは、どれほどの大きさの内容、もしくは使用側から見てもよいのですが、どのくらいのものに該当するのでしょうか。
  28. 丸山佶

    丸山政府委員 不当に使用という、長官がお答え申し上げましたのはこういうわけでございまして、占領期間中は御承知通り調達要求書、PDと申しておりますが、調達要求書に基いて占領期間中に提供するのが正式のルートでありますが、若干の部面調達要求書文書によらずして軍が無断で使っておった、こういうものが占領が終結後も引き続き使われておる、この事態のものがいわゆる不当の使用、それから保留等のものは、占領期間中は正式な調遠要求書がありまして使われておったが、占領後に行政協定二条によるところの合同委員会決定が完結しない——いろいろ使用条件等占領後は変更する必要があるものの、交渉のためにそのままの形ではいかぬということで審議保留、しかし使わせることはそのまま使わせるということでございます。従ってその不当のものというのは、これは行政協定の精神からいっても当然日本側が持つべきものではないというわけでございますが、実はその分は非常にわずかでございまして、土地の坪数で八千坪余りでございまして、借料にしますと五万三千円ほどであります。
  29. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その保留物件と申しますか、未処理の物件は、相当年月たっておるのでありますが、まだ最終協定に到達しないのでございましょうか。
  30. 丸山佶

    丸山政府委員 今御審議を願っておるのが講和条約発効後直ちのものでございますので、相当金額になっておりますが、一年たちました現在におきましてはほとんど九割まで片づいております。すなわち正式に提供決定したもの、あるいはもう要らないということで解除または返還になったもの、こういう状況でございます。
  31. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 「昭和二十八年度特別調達資金受払決定計算書」という調達庁から当委員会へ提出された資料によります、と「受入の部」おきまして、本年度特別調達資金受け入れ済み額は七百五億九千三百六十一万四千余円になっております。そこで特別調達資金設置令によりますと、予算の定めるところによって七十五億円の一般会計からの資金の繰り入れをし、三条の二によりまして五十億円を限度とする一時借り入れをし、その他は国庫余裕金の繰りかえ使用、そういうことになっておるようであります。もしこれが間違いないといたしますと、七百億円のうち百三十五億円を除きましたものはほとんど全部国庫余裕金受け入れだと思いますが、その通りでありますか。
  32. 丸山佶

    丸山政府委員 特別調達資金関係は、御承知通り大部分は駐留軍の労務者に支払う給与でございますが、原則的にその給与は全部アメリカ持ちでございまして、アメリカから償還を受けて返ってくるわけでございます。ところがその時期的なずれがございますので、何かもとがなければいけない。それでそのもとといたしまして今お話のありましたように百三十五億円をまず基金として持っておりますならば時期的のずれがございましても翌月の繰りかえもつく、ところがたまたま夏あるいは年末その他特殊な事情による給与が必要な場合にはそれでは足りない、そのために借入金というものもできておる。この二つでもって運用していきますので、あとは原則的にアメリカ側から償還されてくるのを充てるということで運営しておるわけでございます。
  33. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 アメリカからの償還が、計算その他の関係でなかなか困難なのが実情になっておるのではないでございましょうか。
  34. 丸山佶

    丸山政府委員 今の状況は、一般経費についてはこちらの給与支払いが済みましてから後十五日以内に入っております。
  35. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今の問題はあとにしまして、批難事項から少し入っていくことにします。  三五ページの報告番号二の兵員クラブの問題でありますが、この兵員クラブ建物につきましては、これは外務省が当時相手方、軍との間に折衝する役割になっておったような御説明でもあったわけでありますが、調達事務といたしまして、条件の確認あるいは軍との最終折衝の確定、そういうことはやはり調達庁の責任でやるべきではないのでしょうか。その点はどうなっておりますか。
  36. 丸山佶

    丸山政府委員 お説の通りに考えます。実は講和条約発効後、行政協定の運営につきまして、当初はいろいろ事務が軌道に乗りませんで、若干まちまちなところがございましたので、二十八年の夏ごろまでは外務省軍側との間はやっておる、それから調達庁はそれできまったものを今度は国内的に処理していく、こういう状況でございましたが、お説のような考えを私ども持ち、外務省初め関係各省持ちまして、実は一括して全部調達庁でやるという方向に進めようと当時話がありまして、結局二十八年の十二月を期しまして、それ以後は軍側との交渉も、それから国内事務も一切調達庁でやる、こういうことになったわけでございますす。この問題のケースはちょうどその境目あたりにあったわけであります。
  37. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこでこの建物を買い受けたのは二十九年ではないのですか。二十八年の十二月に外務省交渉してそういうことになっておれば、これに調達庁におきましてさらに軍当局との間に最終的に条件の確認などをするという余裕の期間とかそういう方法はなかったものなのでしょうか。
  38. 丸山佶

    丸山政府委員 ありました。十二月に一切の事務を引き継ざまして、そして先ほどもるる説明しましたように、十二月に向う側からこういう六万ドルの改造をしてくれればよろしい。こういう返事が参りましたので、それに基いて予算の検討のために大蔵省と打ち合せまして、予算のめどはつくということでありますので、翌二十九年のたしか三月だと思いますが、それでは予算のめどもついたから、どんな工合にあの建物を直せばいいか、一つ改修計画を出してくれ、いろいろ具体的に建物を建てて改修をするからその改修計画を出してくれ、こういう交渉合同委員会を通じて二十九年の二月にいたしております。
  39. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 すでにそのときは建物は日通から国の所有に買い取っておったあとなのですか。
  40. 丸山佶

    丸山政府委員 それは当時は買収の話し合いだけでございまして、購入をいたしましたのは三月でございます。
  41. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私が聞こうといたしまするところは、購入して国の所有に移す、千八百四十万円も支払っておるのでありますから、それをアメリカ軍の施設として提供する、こういうことを実効いたしまするときには、当初の外務省アメリカ軍との間に協議いたしました趣旨、内容がどうなのか、それを確認する、もし相手の要求がさらに増大するとか、その他予期しない要求が出されるとか、こういうことがあるといたしますれば、それはアメリカ側外務省との間になしておりました趣旨と違つて参りまするので、相当厳重な態度をもって再交渉に入らねばなるまいかと思うのであります。そういう点について、何か弱い折衝のために、あるいは道路をつけてくれ、あるいはああいうものをつくってくれというような要求を受けて、ついこちらは話し合いを引っ込めることになったのではないか、こういうように考えられまするので、その点をあなたの方に聞いておるのであります。
  42. 丸山佶

    丸山政府委員 購入後いよいよ改修の工事の段取りに入ろうとしたときに、向う側から駐車場問題等を新たに持ち出してきたと私どもは考えております。これははなはだけしからぬということで、実は四月以降非常に強く交渉をいたしました。そうして向うがいろいろ言うことも、結局向うも当初の漠然たる了解であったものについて、今これこれこれを持ち出すということは、要求として当初の中に入っておらぬということも了解して、従って、これは新要求あるいは追加要求と考えられるということも認められる、しかし新要求、追加要求ならば日本側は新たに考慮しなければならない。特に実はあの建物の地形からいきまして、駐車場等の施設が安い金でできそうもない状況でありますので、それならばこんな新要求追加要求はできない……。
  43. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 詳しいことはいいですから、聞きたい点だけ……。
  44. 上林與市郎

    上林委員長 簡明に願います。
  45. 丸山佶

    丸山政府委員 強い要求をいたしました結果、結局それならば改修費以内の工費をもっての新規のもので満足するから、それを改修して使うことはやめてほしい、こういうことになったわけであります。
  46. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうするとアメリカ軍と外務省との話し合いというものが具体的に正確に綿密な約束が取りきめられてなかったことに原因する、こういうことになるとおっしゃるのですか。
  47. 丸山佶

    丸山政府委員 普通の交渉においては、あの程度のことで間違いはないのが普通だと考えております。これは非常なまれな例外的なケースであった……。
  48. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 まれでも何でもいいんだけれども、一体、どこに手落ちがあったとおっしゃるのですか。外務省が後日いろんな新しい要求をせられるような、そういうような内容の漠然とした取りきめをやっておったことが手落ちであったのか、そうでなくして、かなり精密なところまで検討して、話し合いはついておったけれども、後日アメリカ軍の申し出が不当に増大してきた、こういうことになるのか、どちらが一体今日の原因をなしておるのかという点を明らかにしたい。
  49. 丸山佶

    丸山政府委員 私は両面あると存じます。一つはこちらも軍側が使う建物、特にクラブのようなものには駐車場等を特に文句になくても考えるべきで、そうしてそのときにそういうことはどうだということを念を押す必要があったかということを考えますし、また向う側もその点があるならばはっきり言っておくべきだ、こう両方の原因があるものと考えております。
  50. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこであなたの方も合同委員会にはかり、あるいはまた外務省事務引き継ぎをやるということになりますと、そうして最終に軍との間に折衝を確定するというに至るまでに外務省がやりました契約趣旨、取りきめの趣旨が、それでは不完全でないかというようなこと、あるいはまた相手が悪い場合にはもっと強硬に——まあ強硬な話し合いがあったかも存じませんけれども、結果におきましては日通から買い取りました物件が今日は無用になって、一千八百四十万円がむだに支出されたのと同じことになっておりまするので、これはどういうことになろうとも、損害をアメリカに賠償せしめるか、責任を明らかにするというところまで強硬な方針を最後まで持続することができなかったものなのでありましょうか。
  51. 丸山佶

    丸山政府委員 先ほども申し上げましたように、結局両方に責任があるという了解で、軍側も今までの経緯等を離れて、あの改装費よりもはるかに少い金額建物でよろしい、こういうことで折れまして、この問題を解決いたしたのであります。
  52. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 三七ページの番号三、この平和不動産物件につきまして、これは戦後の使用に対する損失補償をしたようでありまするが、この御説明にもあるように三基のエレベーター補償の当、不当の問題になるようであります。これはあなたの方のいろいろな資料によって見まするというと、最終的にこの昇降機三基を明らかにいたしまして、補償金額の内容を明示しておくというような取りきめの契約もなされておらぬのでありまするが、私どもの見るところによると、いろんな、むずかしいというか複雑な条件がありまして、最終の補償額決定せられるのであろうと思いまするけれども、それにしましても大体何の費目、何の費目というふうに積算されていって最終にこれこれの総計になる、これこれのものはこれこれの時価であるから差し引くべきものであるというような収支計算書が明らかになるというふうになっておれば、この問題は起らずに済んだのではないかと思うのであります。なぜならば二十七年の十二月にすでに建物使用は廃止しております。そこであなたの方としては二十九年の三月に補償契約を締結いたしておりまするし、その当時金額七千百余万円を支払ったものと思われまするから、現実にこの昇降機が修理せられて使用せられておるということはまのあたり見たはずでありまするので、使用できるようなものであるかいなかということも、現実に使っておるものを一目すればこれはもうわかるのでありまするから、この五百十万円の多額の補償支払いというものは、やはりいろいろ御説明があるかと思いまするけれども、これはあなたの方の大きな手落ちになるのではないかと思われるのであります。いろいろ弁解も聞きましたけれども、要するところ補償契約の最終的とりきめというものは、もっと各費目の内訳を明らかにして、明細書を添付して補償金を支出する、こういう手続をやらなかったことに原因するのではないか、こう思うのであります。そういうふうにはお考えになっておりませんでしょうか。
  53. 丸山佶

    丸山政府委員 もちろん補償金額がきまりますには明細なるところの計算書があるわけでございまして、その計算書の説明を所有者にいたしまして納得の上、総額の補償金を契約できめるわけでございますが、御指摘のようにただいまは、その内容のものをこれによってこうという、契約書の一部とはなっておりません。その点はなお検討さしていただきたいと思います。
  54. 上林與市郎

    上林委員長 吉田委員、ちょっと議事進行上、本日調達庁質疑を終了するということでもございませんから、次に北海道開発庁並びに自治庁に対する質疑を予定しておりますし、また政府委員も出席しておりますから、本日の調達庁に対する質疑はこの程度にとどめて次に進みたいと思いますが、御協力いただけませんか。
  55. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私は特別調達資金関係につきましては長官にもぜひ聞かねばなりませんので、それではそれらの関係も含めまして調達庁関係質疑保留させていただきます。
  56. 上林與市郎

    上林委員長 それでは皆さんにお諮りいたしますが、そういうふうにしてよろしゅうございますね。     —————————————
  57. 上林與市郎

    上林委員長 それでは次に昭和二十八年度決算北海道開発庁所管について審査に入ります。昭和二十八年度決算検査報告、四一ページないし四六ページに至る報告番号八ないし一六を一括議題といたします。まず会計検査院当局より説明を求めます。小峰検査第三局長
  58. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院説明員 北海道開発庁の二十八年度の検査結果について御説明申し上げます。  四一ページであります。北海道開発庁におきましては、総理府の予算、それから農林省、建設省、運輸省各省の予算を全部別々に使うわけでありますが、総理府所管は人件費、事務費、これが本庁におきまして一億七千七百万円、それから北海道開発局におきまして三十二億円、それから農林省所管、これは開発局で使うのでありますが三十億円、運輸省所管が十三億円、建設省所管が七十六億円、そのほかに文部省、労働省合せまして合計百五十五億円、こういう金を支出しております。  検査は、農林、運輸、建設各省関係の直轄工事につきましては、工事費一件百万円以上のもの千五百七十五カ所、工事費にいたしまして九十億円でありますが、そのうち千五十七カ所、工事費七十億円の検査を実施したわけであります。  検査の結果によりますと、直轄工事の施行につきましては、昨年度の検査報告相当たくさんの出来高不足等の不当事項が出たのでありますが、今年度はいいあんばいにこれが減っております。そのかわり北海道庁に代行させました開墾建設工事、一口に代行工事と言っておりますが、これが工事の出来形の不良なものが相当発見されております。また庁費及び工事費の経理につきましては、正規の経理をしないで、架空の名義などによりまして現金を捻出して、これを接待費とか食糧費とか、そういうものに使ったのが本庁及び開発局の東京連絡事務所に見受けられたのでありますが、それ以外に賃金等につけがけしまして職員が横領した不正行為、こういうようなものも見受けられております。  まず八号、九号について御説明いたします。八号は、今申し上げました本庁で昭和二十八年六月から二十九年四月までの間に、乗用自動車借上料九十六万円につけがけいたしまして十六万六千円、それからもう一つ、架空の交際費等の名義によりまして十六万七千円、合計三十三万三千円を支出官から支出させまして、これを別に現金化して、そのうち十八万九千円ほどを会議費、交際費、夜食代等に使って、検査当時十四万四千円ばかりを現金で手元に保管したというケースがあります。この残額はすぐに歳入に納付されたのでありますが、責任者に対しましてはそれぞれ処分がされております。  また北海道開発局の東京連絡事務所、これは北海道開発庁と同じ所にございますが、ここでも二十七年の十月から二十九年の六月までの間に、架空の印刷費、会議費の名義によって七十六万三千円を前渡金から支払いに立てまして資金を捻出し、これに石狩川の治水事務所から送らせました八万円、合計八十四万三千円、これを別に持っておりまして、開発庁本庁の方の会議費十四万二千円、交際費十一万七千円、夜食代等十万五千円、合計三十六万六千円になりますが、それにこれを使いまして、また自分のところの東京連絡事務所の慰労会費等に四十八万円ばかりを使った、こういうのであります。これも一応、東京連絡事務所の四十七万七千円のうち二十七万四千円は歳入に返させました。それから責任者である資金前渡官吏に対しましては三カ月間俸給十分の一減給、こういう処分が行われたのであります。  次は一〇号、一一号でありますが、これは工事の施工が粗漏で手直しを要するもの。これは先ほども申し上げましたように、昨年は非常に多かったのでありますが、ことしはいいあんばいに二件に減っております。まず十号でありますが、これは雨龍郡の護岸災害復旧の工事であります。護岸延長百二十メートル、それに鉄線じゃかごの詰め石を、径十五センチメートル以上となっておりましたが、その一部のものにつきまして、十五センチのものを使わないで小さなものを使ったために、じゃかごの石がみな抜けてしまいまして、そして鉄線じゃかごだけが残っていた、こういうケースであります。これも見つけましてさっそく、三十七万九千円をかけて手直しをさせておいたわけでございます。  次は釧路の件でございますが、これも同じようにじゃかごの詰め石は十五センチ以上のものを使う、こういう設計に対しまして、小さい石を使っておったために石が抜けてかごだけが残っておった。これも四十二万八千円かけて手直しをさせております。  一二号から一四号は、先ほど申し上げましたように代行工事、道庁に開墾建設事業を委託して全額国庫負担でやっておりますが、これは内地にも府県に委託してやっているのが相当にございますが、この一件はいずれも開墾建設関係のものであります。まず一二号でありますが、これは農道切盛土の土量不足と暗渠のパイプの長さが足りないという出来高不足であります。出来高不足が五十三万九千円になります。一三でありますが、これもやはり農道ですが、これは橋を二つつけるのであります。その橋のコンクリートに使う用材が非常に悪い、あるいは裏込めぐり石が入っていない、あるいは根入れも不足、工事の施工が全体として粗漏であるということで、これは五十三万七千円かけさせまして手直しをさせたわけであります。一四号でありますが、これは排水路の切土の土量不足でありまして、これは六十一万一千円で手直しをさせております。  次の一五、一六号は職員の不正行為であります。一五号は北海道開発局の不正行為。不正行為は毎年検査報告に各省を通じて相当数に上るのでありますが、会計検査院の実地検査で発見するというのは比較的少いのであります。これはちょうど不正行為をやっているところにぶつかるチャンスが少いわけですし、大体は別の方から、たとえば柄不相応の遊興をしたために警察に疑われていろいろ調べられた、そういうところから発覚するのが多いのでありますが、この一五号は珍らしく会計実地検査の結果見つけたのであります。これは開発庁の事務官でありますが、資金前渡官吏の補助者として支払い事務に従事中、人夫賃、物品購入代等に付掛いたしましたり、架空の人夫賃、物品購入代等の名義によって支払い、前渡金を横領した、そうして不正行為金額は百五十一万円になっております。これは二十九年九月当時まだ一文も補てんされておりません。  それから第一六号でありますが、この釧路開発建設部人事厚生係長、これは職員の給与事務を取り扱っておったのでありますが、超勤手当、宿日直手当、こういうものを付掛して領得したり、非常勤職員である医師、看護婦の印鑑を偽造して、自己を受領代理人とする委任状並びに領収証書にこのにせものの印鑑を押して、今のお医者さんや看護婦の手当を盗んだ。これは金額が大きいのでありまして、二百六十二万円、このうち五十四万八千円ほど回収されております。以上で説明を終ります。
  59. 上林與市郎

    上林委員長 ただいまの説明に対し、北海道開発庁当局において補足説明があれば、これを許します。大久保開発庁長官
  60. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 ただいま検査院の報告にありました通り北海道開発庁及び開発局、それに委託工事をいたします道の関係の職員の中で、十数件にわたりまして不正の工事がありましたことは、まことに遺憾でありまして、申しわけないところと存ずる次第であります。ことにただいまの報告の一番初めにありました八号、九号、おしまいにあります一五号、一六号、これらの職員がいろいろの刑法上の責任を負うべき行為によって公金を費消しておりましたということは、これはまことに遺憾であります。ただ検査院の報告によりますと、件数が前年より減って参ったという点、及びこれら悪質の中で、九号のごときものは、北海道から出張して東京におりますので、監督者の目がよく届かなかったというような点もあるかとも存ぜられます。しかしそういうことの情状は別といたしまして、とにもかくにもこういう十数件の件数が出しましたことは残念であります。これについて私どもは将来を戒めると同時に、こういう事件発生にかんがみまして、ただいま開発庁の職員の一部をもって監督班を作って、ときどき北海道の現地に出張して検査をいたしまして、こういう事故の防止に努めておるような次第であります。将来は何分たりともかかる事故の発生を防止したいと考えております。皆さんの御了承をいただきたいと存じます。
  61. 上林與市郎

    上林委員長 これより質疑に入りをすが、政府側出席者を参考のために申し上げておきます。北海道開発庁大久保長官吉田庶務課長、農林省からは、農地局正井総務課長、古賀開墾建設課長、建設者からは石破官房長が出席しております。  なお答弁する政府側の方々も自由に一つ、上衣をとる方は差しつかえございませんから、申し上げておきます。  質疑の通告がありますから順次これを許します。吉田賢一君。
  62. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 まず長官に伺いたいのでありますが、北海道開発庁検査報告事項審査いたします際、いつも問題になって、かついつも同じような御答弁が繰り返されておるけれども、一向に問題の根本解決ができない重要なことが一つあるのであります。それは道制の組織と予算関係でございます。この点につきまして、これはやはり国の行政組織の根本に触れるようなことでありますとともに北海道において現在の制度がよいのか悪いのかの点につきましても、ずいぶんと議論もあるのでございますので、相当明確な御所信を明らかにしていただくということが必要なことでないかと思われます。申し上げるまでもなく、北海道開発庁といたしまして、莫大な予算要求なさっておりますけれども、現実に予算執行の責任は、ことに事業費におきましては、他省の者がいたしておる実情でございます。でありますので、この関係が、批難事項を絶滅する上におきましても、どうしても私は一つの大きな盲点になっておるのではないかと思われるのであります。やはり予算要求して国会を通過し、予算をみずから執行し、しこうしてみずから事業の結果の責任を負っていく、そういうような関係が一貫しておりませんと、予算執行の上におきまして、幾多の問題がそこに内在しておるように思われるのであります。これはやはり組織、制度の改正ということが根本的になるわけでございますけれども、ただ不便だ、筋が通らない、何とかしなければというようなことだけでこれは終るべき問題でなく、ほんとうに真剣に取り組んでいくべき重要な案件でないかと考えておりますので、せっかくのことでありますから、この機会に、大臣の清新な御意見を、この問題に対して述べていただきたい。
  63. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 ただいまお尋ねの点について、一言申し上げておきます。北海道開発庁の一カ年の予算は、大体百五十億であります。昨年度は百四十億、ことしは百五十億、ちょっと越しています。そのうちで三分の一、五十億前後は北海道にやって、北海道庁に仕事をしてもらう、いわゆる委託工事といいますか、そういうことになっております。そのほかの予算の大部分は、建設省、農林省、運輸省、こういう官庁を経由して、北海道開発庁が委託を受けて仕事をやる、こういう形になっておるのであります。ちょうどあなたが言われました通り予算を取る人と執行者が違ってくる。従って、責任の所在というものがはっきりしないために、幾分がこういうだれぎみの線が出てくるということは、私は現にあることと思っております。そこで、予算を取る機関でなく、むしろ執行機関にせよ、開発庁において予算を取って、これを直ちに開発庁が執行して責任を明らかにしたらどうかという議論が前から起っておりますけれども、一方から考えますと、北海道庁は北海道の自治体として存在しております。これを全然無視するということもなかなか考えられない、農林省は農林省で、日本全体をひっくるめて農地の改良に専念いたしておりますから、この機関を無視するということも考えられない。建設省は建設省で、日本全国の建設事業を統括しておりますために、両方の関係を持ちますので、折中した制度がすなわち今日の制度であると思うのであります。しかしやはり理想としては、いやしくも開発庁を置いて北海道の開発のために尽す以上は、やはり一個の独立機関として進むのが常識であろうと思う。そうして開発が終ったならば、農林省なりあるいは建設省なり、あるいは運輸省なりに返す。開発をするまではやるが、開発した後は所属の官庁に返すというのが原則じゃないだろうかと思っております。関係が複雑でありまするので、今直ちに実現は困難かと思いますが、そういう方向に向って進むのが常識ではなかろうかと感じております。私の考えを一言申し上げておきます。
  64. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは少し問題が横へそれまするけれども、今お述べになりました問題に関連するのですが、当委員会におきましても、例の風倒木の問題を少し取り上げたことがございました。こういう問題にいたしましても、現在六千万石に達する風倒木の処理の見通しがつかぬというような実情にあります。要するに、たとえば北海道開発の法律の成文にも出ております趣旨、法律の第一条に出ております趣旨、この開発が制定されましたときに議論になりましたような幾多の理由、目的などを考えて参りますと、そこの中間的なあいまいなことというものは、北海道自体のほんとうの資源の総合開発からいたしましても、将来の産業の発展の面からいたしましても、幾多の重要な問題を解決していく上におきまして、もっとほんとうに有力な開発機関を立てていくということが当然求められているのではないかと思うのであります。もっともこれにつきましては別の機会に議論することがございましょうが、きょうはそれが主として議題に出ているわけではございませんけれども、いずれにいたしましても、批難事項について遺憾の意を表されるような、そういうようなことではなしに、北海道の各般の問題が議論になりまするごとに、この問題は抜本的になくする、批難事項をなくするということのみならず、機構なりあるいは政府の構想のあり方なり、予算執行の各般の問題につきまして、激しく議論応酬するというような積極的な態度で臨むことが、あなたらのお立場といたしましてほんとうに大事な点じゃないかと私は考えております。しかしこの点につきましてはきょうは多く議論することを避けておきますけれども、いずれにいたしましても、もっと大胆に勇敢に、北海道開発について大きな構想を政府機構としても積み上げていくというだけの御覚悟をぜひお願いしたいと思うのであります。  そこで、具体的なきょう取り上げられました問題を一、二伺いたいと思うのでありますが……。
  65. 上林與市郎

    上林委員長 吉川委員に申し上げますが、質疑はきょうは打ち切りませんから、きょうは一応この程度でとめていただきたいのですが、よろしいですか。
  66. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 はい。それで伺いまするが、庁費の架空経理の問題であります。これは要するところいろいろの弁解もありましょうが、資料によりますと、ずいぶんこまかい交際費や夜食代の内容まで書かれておりますけれども、こういうものは、一言にして申せばやはり官紀の頽廃の結果にほかならぬと思います。重要な仕事に夜を明かしてそのために経費が要ったというようなことも、これは単に弁解にすぎません。一々こうやってそれを見のがしていくということになりましたならば、何百何千のこの種のものがあとを追ってふえていく以外にないと思います。そこで私は、この八、九、あるいはそのあとの不正行為一五ないし一六につきまして、一々の内容についてはあまり議論に興味はないのでありますが、こういう問題のほんとうに起らないようにするのに何か工夫がないかというようなことについて、大久保大臣もまだ就任後そう日がたっておられませんが、何かこういうときに新しい対策でも工夫するというような処置でもお考えにならぬでしょうか。こういう点について一つ伺ってみたいと思います。
  67. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 これは抜本的の考えというのは今直ちに浮んでは参りませんけれども、一つは戦争後の日本の国民の精神の弛緩、従って公務員にもこの空気が流れて、一般的に国民の綱紀が乱れておるというのが一つの原因をなしておると思います。それからもう一つは、八、九あたりの事件をよく見ますると、自分で取ってしまって使ってはいないのです。あるいは飲食、あるいは自動車賃というような、やむを得ざる費用に使っている点があるのであります。こういうのは、私は予算の組みかえをして将来は必要あるものは予算に堂々と請求すべきものだ、予算がなくてやろうとするからこういう無理を起すのだろうと思う。理屈のつくものは当然予算要求して計上すべきものだ、そうして正式に支出すべきものではないか、こういう感じを持っておるわけであります。もう一つは、さきに申しました通り、とにもかくにも遠隔の地にありますから、私どもの目には届きません。吏員を派してときどき検査する、こういう方法をもって将来なくしていきたい、こう感じております。
  68. 上林與市郎

    上林委員長 質疑を一応これでとどめまして、次の機会にしてはどうですか。
  69. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 よろしいです。
  70. 上林與市郎

    上林委員長 それでは北海道開発庁所管についての質疑は、この程度にとどめたいと思います。     —————————————
  71. 上林與市郎

    上林委員長 次に移ります。昭和二十八年度決算自治庁所管について審査に入ります。昭和二十八年度決算検査報告、四七ページより四九ページに至る報告番号一七を議題とし、まず会計検査院当局より説明を求めます。保岡検査第一局長
  72. 保岡豊

    ○保岡会計検査院説明員 検査報告の四八ページをおあけ願います。検査いたしました府県が二十四府県載っております。この二十四府県と長野県を検査いたしました。長野県は載っていないのは、長野県には過誤はなかったからであります。それと市、町の項は水戸市など十四市五町を検査いたしました。この十四市五町には全部過誤はありました。そこで県の方の説明を申し上げますと、ここに書いてございまする過大に計上された財源不足額、こういうものはそれだけ多く交付金がその県には行ったわけでございます。過小に計上された財源不足額、これが過小に書いてあります府県には、それだけ少く行ったわけでございます。前のページをごらんいただきまして中ほどのカッコ書きで書いてございますが、(基準財政需要額が基準財政収入額をこえる額)と書いてございますから、基準財政需要額から基準財政収入額を引いたものが財源不足額であります。ですから基準財政需額が過大に計上され、基準財政収入額が過小に計上されたものは、ともにこの財源不足額が過大になるわけでございます。そういうふうになるものですから、いろいろの過誤の集計がこの財源不足額として現われておるわけでございます。ですから財源不足額を過大に計上させる要素と過小に計上させる要素と二つございまして、ともに大きな間違いをいたしましても、同じ量だけ間違いますと、けがの功名でこの財源不足額はほとんどなく、小さく現われてくるわけでございます。ですから過誤といたしましては、非常に多い場合も小さく現われるのですから、われわれといたしましてはその過誤それ自身を問題といたしたいのであります。過誤それ自身を問題といたしまして、私の方で大阪——これは不交付団体でございますが、その他の日本全国の府県をグラフにいたしまして、二十九年からその成績表をここに表わしております。これによりまして、過大にするのと過小にするのとの差がここに財源不足額として現われてくるわけでございますから、間違った量といたしましてはこの財源不足額よりも多いわけでございます。そういうのを計算いたしまして二十五年から取って参りますと、二十五年度には一府県平均千三百万円の間違いをしておりましたところが、毎年減って参りまして、二十八年度には半分以下の六百万円の間違いになっております。ですから各府県平均いたしますと間違いはだんだん減っておることになっております。昨年一年の検査の結果この過誤の大要を申しますと、どういうところで間違ったかと申しますと、関係帳簿その他の資料から適切な数値を算出しなかったもがの大部分でございまして、これを過大に計上させる間違いが九十七件で七千六百万円、過小に計上させるものは八十八件で九千万円であります。それから増減、異動の捕捉を誤まったもの、増減が異動しているのにそれを現わさなかったものが過小で四件、二千二百万円であります。単なる計算の間違いは、過大、過小とも偶然に二十六件で千九百万円であります。計過大九千六百万円、過小一億三千三百万円であります。それを絶対値に合計いたしますと 二億三千万円の間違いが去年発見されたわけであります。この過小一億三千三百万円、過大九千六百万円といたしましたこの差を取りますと、四八ページに書いてございますこの計の差とイコールになりまして、三千六百万円の差が出て参ります。  そこで、とにかく過誤の数字の多いのは、先ほど申しましたようにだんだん減ってきたということでありますが。なおこの間違いがありますので、当局に対して資料を提出する部局と、それをまとめる部局との連絡が悪いことがおもな原因と思いますので、ここに書いてございますように、自治庁に注意申し上げたのであります。またこの算出が複雑であります。複雑なことは理論的であるのでけっこうなのでありますが、その根本の仮定におきまして、それほど確定的でない仮定があるわけでございます。そうでありますのに、複雑に計算しても根本がぐらぐらしておるのでは意味がないと考えますし、もう少し簡単でありましても今くらいの合理性は保てると思いますから、最後にそれを御研究願ったわけであります。
  73. 上林與市郎

    上林委員長 ただいまの説明に対し自治庁当局において補足説明があればこれを許しますが、理事会の申し合せ、強い要望もございますので、補足説明一つ要領よく簡明にお願いいたします。石渡会計課長
  74. 石渡猪太郎

    ○石渡政府委員 ただいま会計検査院から御指摘になりました地方財政平衡交付金の錯誤につきましては、御指摘通りでございます、これの錯誤を起しました原因を考えてみますと、まず第一に交付税の総額が毎年変ってくることと、それからまた補助金の整理もございましたり、その他地方行財政に影響を持つ政府の施策が年々若干ずつ変って参るというような関係からいたしまして、これに伴いまして交付税の算定の基礎になっておりまする数字も年々変更をいたしておりまするし、また計算方法につきましても変更をいたしておるというようなことからいたしまして、ともしますると錯覚を起しやすいというようなことがまずあげられるかと思うのでございます。  第二番目といたしましては、先ほど検査院から御指摘になりましたように、都道府県と市町村の間、都道府県の各部局相互間の連絡が十分でありませんために、たとえば道路台帳に道路改修の結果を訂正すべきものを訂正せずに上げたりするというようなことからいたしまして、その数値に誤まりがあるというようなのが第二と思うのでございます。  これらのことからいたしまして、交付税制度が立てられました昭和二十五年からすでに五カ年も経ておるのでございまするけれども、なおこのような錯誤が起りましたことにつきましては、大へん遺憾に存じておる次第でございますが、われわれこの算定の任に携わっておるものといたしましては、毎年算定資料の作成につきまして、都道府県の主管課長を集めまして、ここで作成上の十分の打合せをいたしまするとともに、毎年起しやすい誤まりにつきましては、特に注意を喚起するというようなこともいたしまするし、また市町村につきましては、都道府県当局に特に念を入れてもらうというようなことからいたしまして、作成の指導要領というようなものも作ったりいたしまして、萬全を期したいというようなことで参っておるのでございます。また各省の間の御協力も縛る関係等もございまして、それらにつきましても連絡をとるなどいたしまして、萬全を期しておる次第でございますが、なお今のような誤まりが今日あるということにつきましては、大へん遺憾に存じておる次第でございます。今後なお関係各省庁の御協力を得まして、また都道府県当局に対しましては督励をいたしまして、萬全を期して参りたいというふうに存じておる次第でございます。
  75. 上林與市郎

    上林委員長 以上で自治庁所管についての説明は終りました。理事会の申し合せもございまするし、また午後は本会議もございますので、本日はこの程度といたしたいと思います。次会は公報をもってお知らせいたします。これにて散会いたします。   午後零時三十六分散会