○小峰会計
検査院説明員
北海道開発庁の二十八年度の
検査結果について御
説明申し上げます。
四一ページであります。
北海道開発庁におきましては、総理府の
予算、それから農林省、建設省、運輸省各省の
予算を全部別々に使うわけでありますが、
総理府所管は人件費、
事務費、これが本庁におきまして一億七千七百万円、それから北海道開発局におきまして三十二億円、それから農林省
所管、これは開発局で使うのでありますが三十億円、運輸省
所管が十三億円、建設省
所管が七十六億円、そのほかに文部省、労働省合せまして合計百五十五億円、こういう金を
支出しております。
検査は、農林、運輸、建設各省
関係の直轄工事につきましては、工事費一件百万円以上のもの千五百七十五カ所、工事費にいたしまして九十億円でありますが、そのうち千五十七カ所、工事費七十億円の
検査を実施したわけであります。
検査の結果によりますと、直轄工事の施行につきましては、昨年度の
検査報告も
相当たくさんの出来高不足等の不当
事項が出たのでありますが、今年度はいいあんばいにこれが減っております。そのかわり北海道庁に代行させました開墾建設工事、一口に代行工事と言っておりますが、これが工事の出来形の不良なものが
相当発見されております。また庁費及び工事費の経理につきましては、
正規の経理をしないで、架空の名義などによりまして現金を捻出して、これを接待費とか食糧費とか、そういうものに使ったのが本庁及び開発局の東京
連絡事務所に見受けられたのでありますが、それ以外に賃金等につけがけしまして職員が横領した不正行為、こういうようなものも見受けられております。
まず八号、九号について御
説明いたします。八号は、今申し上げました本庁で
昭和二十八年六月から二十九年四月までの間に、乗用
自動車借上料九十六万円につけがけいたしまして十六万六千円、それからもう
一つ、架空の交際費等の名義によりまして十六万七千円、合計三十三万三千円を
支出官から
支出させまして、これを別に現金化して、そのうち十八万九千円ほどを
会議費、交際費、夜食代等に使って、
検査当時十四万四千円ばかりを現金で手元に保管したという
ケースがあります。この残額はすぐに歳入に納付されたのでありますが、責任者に対しましてはそれぞれ処分がされております。
また北海道開発局の東京
連絡事務所、これは
北海道開発庁と同じ所にございますが、ここでも二十七年の十月から二十九年の六月までの間に、架空の印刷費、
会議費の名義によって七十六万三千円を前渡金から
支払いに立てまして
資金を捻出し、これに石狩川の治水
事務所から送らせました八万円、合計八十四万三千円、これを別に持っておりまして、開発庁本庁の方の
会議費十四万二千円、交際費十一万七千円、夜食代等十万五千円、合計三十六万六千円になりますが、それにこれを使いまして、また自分のところの東京
連絡事務所の慰労会費等に四十八万円ばかりを使った、こういうのであります。これも一応、東京
連絡事務所の四十七万七千円のうち二十七万四千円は歳入に返させました。それから責任者である
資金前渡官吏に対しましては三カ月間俸給十分の一減給、こういう処分が行われたのであります。
次は一〇号、一一号でありますが、これは工事の施工が粗漏で手直しを要するもの。これは先ほども申し上げましたように、昨年は非常に多かったのでありますが、ことしはいいあんばいに二件に減っております。まず十号でありますが、これは雨龍郡の護岸災害復旧の工事であります。護岸延長百二十メートル、それに鉄線じゃかごの詰め石を、径十五センチメートル以上となっておりましたが、その一部のものにつきまして、十五センチのものを使わないで小さなものを使ったために、じゃかごの石がみな抜けてしまいまして、そして鉄線じゃかごだけが残っていた、こういう
ケースであります。これも見つけましてさっそく、三十七万九千円をかけて手直しをさせておいたわけでございます。
次は釧路の件でございますが、これも同じようにじゃかごの詰め石は十五センチ以上のものを使う、こういう設計に対しまして、小さい石を使っておったために石が抜けてかごだけが残っておった。これも四十二万八千円かけて手直しをさせております。
一二号から一四号は、先ほど申し上げましたように代行工事、道庁に開墾建設事業を委託して全額国庫
負担でやっておりますが、これは内地にも府県に委託してやっているのが
相当にございますが、この一件はい
ずれも開墾建設
関係のものであります。まず一二号でありますが、これは農道切盛土の土量不足と暗渠のパイプの長さが足りないという出来高不足であります。出来高不足が五十三万九千円になります。一三でありますが、これもやはり農道ですが、これは橋を二つつけるのであります。その橋のコンクリートに使う用材が非常に悪い、あるいは裏込めぐり石が入っていない、あるいは根入れも不足、工事の施工が全体として粗漏であるということで、これは五十三万七千円かけさせまして手直しをさせたわけであります。一四号でありますが、これは排水路の切土の土量不足でありまして、これは六十一万一千円で手直しをさせております。
次の一五、一六号は職員の不正行為であります。一五号は北海道開発局の不正行為。不正行為は毎年
検査報告に各省を通じて
相当数に上るのでありますが、会計
検査院の実地
検査で発見するというのは比較的少いのであります。これはちょうど不正行為をやっているところにぶつかるチャンスが少いわけですし、大体は別の方から、たとえば柄不相応の遊興をしたために警察に疑われていろいろ調べられた、そういうところから発覚するのが多いのでありますが、この一五号は珍らしく会計実地
検査の結果見つけたのであります。これは開発庁の
事務官でありますが、
資金前渡官吏の補助者として
支払い事務に従事中、人夫賃、物品
購入代等に付掛いたしましたり、架空の人夫賃、物品
購入代等の名義によって
支払い、前渡金を横領した、そうして不正行為
金額は百五十一万円になっております。これは二十九年九月当時まだ一文も補てんされておりません。
それから第一六号でありますが、この釧路開発
建設部人事厚生係長、これは職員の
給与の
事務を取り扱っておったのでありますが、超勤手当、宿日直手当、こういうものを付掛して領得したり、非常勤職員である医師、看護婦の印鑑を偽造して、自己を受領代理人とする委任状並びに領収証書にこのにせものの印鑑を押して、今のお医者さんや看護婦の手当を盗んだ。これは
金額が大きいのでありまして、二百六十二万円、このうち五十四万八千円ほど回収されております。以上で
説明を終ります。