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1955-06-28 第22回国会 衆議院 決算委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月二十八日(火曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 上林與市郎君    理事 赤澤 正道君 理事 椎名悦三郎君    理事 徳安 實藏君 理事 山田 長司君    理事 吉田 賢一君       有田 喜一君    床次 徳二君       本名  武君    横井 太郎君       生田 宏一君    關谷 勝利君       三鍋 義三君  出席政府委員         防衛政務次官  田中 久雄君         防衛庁参事官         (経理局長)  石原 周夫君         防衛庁参事官         (装備局長)  久保 龜夫君         建 設 技 官         (営繕局長)  木村 惠一君  委員外出席者         防衛庁課長         (経理局監査課         長)      小笠原喜郎君         会計検査院事務         官         (検査第二局         長)      上村 照昌君         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 清英君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和二十八年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十八年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十八年度政府関係機関決算報告書     —————————————
  2. 上林與市郎

    上林委員長 これより会議を開きます。  本日は昭和二十八年度決算保安庁所管について審査を進めます。それでは昭和二十八年度決算検査報告四九ページより八八ページに至る報告番号一八ないし四七を一括議題とし、そのうち審査の促進のため報告番号二三ないし二五、二九、三四、三九、四三及び四四について重点的に説明を求めます。上村検査第二部長。
  3. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 二十八年度保安庁関係検査報告について御説明いたします。二十八年度保安庁関係検査の結果不当事項として検査報告に掲記しました事項は三十件で、批難金額にいたしまして八億五千五百余万円になっております。そのうち工事に関するものが六件で物件調達に関するものが二十四件になっております。  まず工事について申しますと、その掲載いたしました内容は、工事監督検収が当を得なかったため、完成していないのに工事費の全額を支払ったり、あるいは工事計画なり設計が当を得なかったため不経済となっている事態等でありまして、まず報告番号の二三号について御説明いたしますと、関東地方建設局で二十九年の三月の年度末に株式会社安藤組外十三名に保安隊宿施設工事を六億六千九百余万円で請け負わせまして、二億六千七百余万円の前金払いをしたものでありますが、その施設予定敷地緑地地区に指定されておりまして、また耕作権の補償問題が未解決の状態であります。従って着工の時期の見通しも十分でなかったと認められますのに、予算の消化を急ぐため多額前金払いをしたものと認められる事態でございます。  次は物件調達についてでございますが、保安庁におきましては相当多額物件調達をされておりますので、検査の重点をここに置いて価格、品質、規格等について調査いたしました結果、さきに申しましたように、不当事項として二十四件を報告することになったのであります。今後防衛庁においてその原因等を究明し、その対策を立てられ、不当事項の再発を防止されることを期待しておるわけであります。  まず最初価格決定についてでございますが、物件購入価格は、御承知のように予定価格を立て、その範囲で決定するものでありまして、保安庁におきます購入事例を見ますと、特に随意契約の場合、購入価格予定価格と同額または似通っておる事例が多い実情でありますから、予定価格の適否が契約価格に影響するものと思われるのでございますが、比較的大口のものにつきまして、業者側の見積りをそのまま採用し、予定価格算定し、これに基いて契約をせられておるため、価格が必ずしも妥当と思われない事例があるわけでございます。価格の点につきまして五七ページの二四号のジープ購入について御説明申し上げます。これは倉敷フレザー・モーター株式会社からジープ四千七百四十二画を三回にわたりまして、四十四億二千七百余万円で購入したものであります。これは米国のウイリス・オーヴァランド自動車会社製ジープ組立用完成部品を輸入しまして、これを新三菱重工業株式会社で組み立てたものを購入したものであります。便宜この問題の結論から申しますと、本件は外国から輸入するものでございまして、外貨使用するものでありますが、予定価格に見積った外貨の額と、実際使用した外貨輸入税の差額を加えましたものとを比較してみると、その間に円貨で二億八千九百余万円実績の方が少くなっておる実情であります。これは物価の変動による点もありましょうが、予定価格検討が十分でなかったことによるものと考えておるのであります。すなわち最初予定価格を作られる場合に、外貨を必要とする部分については、ウイリス会社極東支配人説明によって一両当り千三百一十一ドルと決定されたのでありますが、その中に改装費として二百四十八ドル、円貨に換算しますと約九万円になりますが、二百四十八ドルが積算されております。ところが改装費とは何かと申しますと、当会社一般販売品の電装が六ボルトでありますが、しかし保安庁納入規格は十二ボルトとなっておる関係上、十二ボルトに改装する経費でありますが、これは一般の例から申しますと、その改装費は一台当り三万円から四万円程度であるというふうに認められますのに、先ほど申し上げましたように約九万円と倍に積算がなっておるのでありまして、この点について調査が十分でなかったと考えるわけであります。またジープは三回に購入したものでありまして、第一回に十分調査ができなかったといたしましても、その後の契約の場合、最初実績調査し、その後の契約参考にすることが必要であると考えるのでありますが、この点についても調査が十分でなかったと考えるわけであります。すなわち海上運賃を一両当り第一回分は六十一ドル、第二回分は五十ドル、第三回分は四十ドルとして予定価格を作っておられますが、名古屋港着のキュービックトン当り三十一ドル余ということになっておるものでありまして、第一回は一両当りがどれだけの容積か不明であったといたしましても、第二回目の契約のときには、第一回分の船積み関係書類等調査いたしますれば、一両当りが〇・九四キュービックトンであるということはわかったはずでありますから、一両当り三十ドルを見込めば足りたものだと思いますのに、先ほど申し上げましたように多額経費が積算してあったわけでございます。要しまするのに、このように多額多量物件購入する場合に、事前及び事後においての価格検討が十分でなかったというふうに考えるわけでございます。  次は六二ページの二五号でございます。これはいすず自動車株式会社から購入した自動車についてでありまして、問題が二つに分れております。第一は六輪駆動修理車等四百十三両を予定価格とほぼ同一の十億八千三百余万円で購入したものでございますが、本件車両にはパワーティクオフ類装置がないものでありますが、本件購入より先、同会社から購入した。パツーテイクオフ類装置のある車両予定価格同一にいたしまして、一両当りを百六十七万九千余円としておるのでありますが、両者とも予定価格の算出の内訳が実はないのでありまして、私の方としても、十分な検討ができないのでありますが、付属品のあるものとないものとは、価格差を設けることが実は常識だと考えておるわけでございますが、その点についての考慮が十分でなかったというふうに考えるわけでございまして、その結果約千三百余万円が高価に積算されておると考えるわけであります。  第二点は、大輪駆動修理車百九十両を購入するに当りまして、仕様書にない電動力入力コード価格約二百四十万円を積算して、ずさんな予定価格を立てられた次第でございます。  次は不急物品購入した案件でございますが、そのおもな原因は、調達が、米軍に範をとった編成装備表装備定数によって、資材を充当することとなっておりますが、これらが部隊の現況に必ずしもマッチしないものがあったり、または部隊等実情把握しないで、調達が行われることがおもな原因でありまして、これらに対しましては、調達基本となるべきものを十分検討されるとともに、実情に即する物資調達が望ましいと考えるわけでございます。  まず最初に七〇ページ二九号から御説明いたします。これは有線作業車六両を、既存車両更新用として千七百余万円で購入されたものでありますが、どういうわけで購入することになったかと申しますと、編成装備表に三個中隊編成方面通信大隊及び通信構成大隊の分といたしまして、一個中隊当り九両としまして、五十四両、それに通信大隊の四両、これに予備二両ということで、計六十両となっておりまして、それに対して二十七年度までに六十両を購入した。従ってそれに対して更新用として本件六両を購入することになったのでございます。しかし実際の部隊編成は、通信大隊編成装備表にありますように、三個中隊ではなく、二個中隊編成となっておりますので、所要数量はこれによって計算いたしますと、五十一両で足りることになっておりまして、前年度までの六十両の購入で、更新用も含めて十分であったと考えられますのに、この点について十分の検討がなく、実情に遊離した購入がなされたものと考えるわけでございます。  次に七三ページ、三四号でございます。乾電池購入でございます。これは新規の調達で、所要量計算資料がないので、大体六カ月分の予定ということで、五万個を五千二百万円で購入したものでございますが、その後の実績から見ますと、一年分に相当するものでありまして、多数の使用不能品が出ており、判明しておるものだけでも、千六百四十八個、約百七十万円のものが廃棄処分せられておるのであります。御承知通り乾電池減耗率の高いもので、製造後約三カ月で二五%、六カ月で四四%それぞれ減耗するものでありますから、一時に多量購入は差し控えるべきであったと思うのでありますが、その点に対する考慮が十分でなかったと考えるわけでございます。  次は規格決定の点でございますが、これらは米軍規格をいたずらにまねたり、実情に即した検討が十分でなかったことから起った事態でございます。  まず最初に、七八ページの三九号の車両無線機不用コンバーターを含めて購入したものであります。車両無線機セット九百三台を十一億七千三百余万円で購入しておられますが、そのセットのうちの二十四ボルトのコンバーター約六千万円は購入する必要がなかったと考えるわけであります。コンバーターと申しますと、低圧電源高圧電源に変える発電発動機でありますが、本件購入無線機は、トラックに搭載するものでありまして、トラック電源が十二ボルトでありますから、それに合った十二ボルトのコンバーターだけで十分で、二十四ボルトのものは必要でなかったと考えるわけでございます。防衛庁特車共同作戦の場合を考えて二十四ボルトの分も購入したというのでございますが、もしそうだとしますと、本件購入無線機と二十四ボルトのコンバーターを、トラックから特車に移しかえて使用することになりますが、もしそのようなことをするのでありますと、戦車の数はトラックの数よりも少いわけでございまして、戦車にだけ特に二十四ボルトのコンバーター購入して、トラック無線機だけを特車に持ってくる、こういうことにしますれば、二十四ボルトのコンバーターを買う数量も少くて済んだと考えられます。しかし無理にトラックから特車に移して使うということを考えませんでも、特車には本来搭載しておる無線機がありまして、その周波数本件無線機周波数とが合っておる部分がありますので、その点通信可能でありますから、二十四ボルトのコンバーターを余分に買う必要はなかった、かように考えるわけでございます。  次は八一ページ四三号でございます。かや寸法が過大であったのでございます。本件購入かや寸法は、野外で二人で一張使用できる大きいものでありまして、四万六千九百帳を七千四百余万円で購入されたものでありますが、前年度までに同一の大きい寸法のものを購入されておるものでありまして、これを本件購入分と合せますと十六万帳になっておりまして、室内においてもこの大きい二人用のものを一人で使用しておる実情でございます。すでに前年度までに購入されたもので、野外用のものは、人員その他から見て十分でありますので、本年度購入の分は、室内で一人が一帳使用する小型のものにいたしますれば、約二千九百余万円が節減できたというふうに考えるわけでございます。  次は四四号でございます。これはマットレス二万六千三百枚を五千余万円で購入しておられますが、そのマットレスの中詰め黒綿ということになっておりますが、特に黒綿とする必要はなかったと思われるものでありまして、海上自衛隊と同じように、ワラ詰めのものを購入すれば、約二千百万円が節減できたというふうに考えるわけでございます。  最後検収に関する事項でございますが、検収で不当と認めたのは二件でありまして、これらは抜き取り検査方法が適当でなかったり、物資組成材料検査が十分に行われていなかったために生じた事項でございます。なおその他の点については御質問等によってお答えいたします。
  4. 上林與市郎

    上林委員長 ただいまの会計検査院説明に対して、防衛庁当局において補足説明があればこれを許します。石原経理局長
  5. 石原周夫

    石原(周)政府委員 昭和二十八年度会計検査院決算検査報告に対しまする補足説明を申し上げます前に、大体二十八年度決算保安庁はどういうふうになっておったかということを最初に申し上げます。  昭和二十八年度保安庁費は総額六百十一億一千万円でありまして、これに昭和二十七年度からの繰り越し二百八十九億四千九百万円を加えますと、予算現額は合計いたしまして九百億五千九百万円であります。これに対しましてその執行状況を見ますと、昭和二十八年度歳出支出済み額が六百二十八億五千八百万円でありまして、翌二十九年度に二百五十七億一千五百万円を繰り越しまして、十四億八千五百万円を不用といたしたわけでございます。翌年度繰り越し二百五十七億円につきまして、この内容を見ますと、契約済みのものが百十四億六千九百万円、契約未済のものが百四十二億四千六百万円でありまして、これを項別に申し上げますと、保安庁費の項が百二十四億円、保安庁施設費の項が百二十八億円、安全保障諸費の項が四億七千万円というふうに相なっておるわけであります。保安庁費繰り越しを生じました理由は、物品規格仕様決定原価計算などの発注手続に意外の日子を要しましたために、機材費におきまして繰り越しをいたしましたものが百十九億円、保安庁施設費の方の繰り越しといたしましては、主として用地取得のために日子を要しましたことに基きまして、施設整備費の方におきまして九十一億円の繰り越し船舶基本設計遅延に基きまして、船舶建造費繰り越しが三十五億円、大体その三つが大きなものであります。不用額を生じましたのは、主として欠員に基きまして人件費不用が十億四百万円、この欠員に伴います食費が二億円、これが主たる不用内訳であります。  次に会計検査院決算検査報告にございます批難事項について申し上げますと、問題となりました件数は二十六件でございますが、このうち予定価格あるいは契約価格算定が当を得なかったものが五件、不要不急物品購入または工事施工が不適当であったものが十件、仕様規格の不適切であったものが八件、工事物品監督検収の不十分であったものが三件ということに相なっておるわけであります。大体どういうわけでそういうような事故を生じたかということについて、ただいま会計検査院の方から御説明があったわけでありますが、まず第一に予定価格あるいは契約価格算定が当を得なかったものといいますのは、大体におきまして一つ輸入品につきまして国外の事情、価格関係資料、そういうものの入手が困難である、そういうことに基きまして事故を生じましたものが二件であります。先ほど会計検査院の方から御説明がありましたジープの件、番号で申しますと二四、及び二七のタイヤ取りはずし器という、これも輸入品でありますが、その二件であります。  それからもう一つ予算成立が二十八年度は御承知のように遅延をいたしまして、暫定予算で三カ月間を泳いだわけでありますが、本予算成立遅延いたしましたということも一つ理由でありますが、契約年度の後半に集中をいたしまして、加うるに人手が不十分でありましたために、事前事後検討が不十分で、そのために事故を生じましたものが三件、二十五番の車両付属設備、二十六番の予定価格を後に至りまして引き上げましたこと及び索引力が合っていない、それから二十八番の鉄帽代であります。  それから第二番目の不要不急物品購入あるいは工事の不適当な施工をいたしたものというのが十件でありますが、これは主たる理由をなしますものは、装備品の従来におきます使用実績が少くて技術上米軍装備定数使用実績基準といたしまして調達をせざるを得なかったというのが事故原因であります。これは二十九番、三十番、三十一番、三十三番、三十四番、三十五番、大体以上六件でありますが、同じような原因から生じたものであります。  次に部隊などの編成組織が変更いたしましたために施設等内部におきます装置との関係が不工合になったというのが二件ございまして、三十六番、馬力測定装置不急処分、三十七番の火器修理器具、これも施設内容になります設備との関係で食い違いを生じた、こういうわけであります。  第三番目には単純なと申しますか、調達上におきまして注意不足をいたしました十九番の井戸の掘さくの関係と三十二番の絡車関係。三番目に仕様規格が不適切であったということが八件ございまして、これは装備品に要求せられております性能とその素材でありますとか、出力、寸法装置というようなものの間に十分な実績あるいは使用上の検討というものが不十分でありました、そのために仕様規格が不適切であった。これは八件ございまして、三十八番ないし四十五番でございます。  最後監督検収の不十分、これは一つ人員不足であった、あるいは科学的な検討不足ということのために監督並びに検収が不十分であった、これは十八番と四十六番、四十七番の三件であります。  以上のような原因によりまして生じた事故は二十六件の多きに達しておるわけであります。  これに対しまして、こういうような事態を生じましたことは防衛庁といたしまして、はなはだ遺憾に存ずるわけでありますが、問題は今日までにおきましてどういうような対策を講じ、あるいは今後におきましてどういうようなことを考えるかということに相なるかと思います。この点につきましては、以上のような事故を生じました原因というものを一応申し上げたわけでありますが、くくりまして三つほどに考えをいたしておるわけであります。  第一の装備品整備基準でありまする編成装備表というものが、どうも使用現実あるいは実績まだ不十分であるというような点もございまして、検討に不十分な点がある。またこれと関連いたしますが、装備品使用の実際におきまするところの把握が不十分であるというようなことがございますので、これをどうするかという点、もう一つ原価計算及び仕様規格につきましての事前事後検討が不十分でありまする点、第三は物品検収工事監督に不十分であり、かつ科学的な点が欠けている、こういうことであります。  第一の編成装備表あるいは実績把握の点につきましては、防衛庁といたしましても従来からときどき検討いたしまして、ある程度まで使用現実に合うような努力をして参ったのでありますが、根本的な検討をいたしますために二十九年の秋から部内におきまして装備計画委員会というものを設けまして、編成装備表というものの実情に合うような検討を六つの分科に分けましてやっておるわけであります。すでにその中で結論を得ましたものにつきましては、一部実施に移しておるわけであります。なお装備品使用現状把握の点におきましては、在庫状況把握であるとか、あるいは現実使用いたすことによりまする消耗度測定というようなことにつきましても意を用いまして、実態把握強化をやっておるわけであります。  第二の事前事後検討の不十分という点は、結論いたしますれば、人間の量的、質的な充実ということに相なるかと思うのでありますが、まず第一段に機構整備といたしまして、御承知のように二十九年の七月から各幕僚監部の調達機構を一元化いたしまして、調達実施本部ということにいたしました。これは現在調達実施本部におきまする一元的な調達をやっておるわけであります。これに加えまして専門職員充実を行いまして、主として制服の職員を平服の職員に切りかえまして、専門的な人間が多くこれに当るということの努力をやっております。その他人員訓練教育の点につきましては、業務学校におきまして昭和二十八年度以来大体延べ千人、二十九年、三十年におきましても約七百人ぐらいの研修と申しまするか講習を行いまして、そういうような人たち訓練程度を高めておる。輸入品につきましては、通産省との連絡あるいはその他各省との連絡の点もございまするが、特に海外価格変動を予想せられるものにつきしては、価格変動に対しまする弾力条項を設けまして、今回御指摘になりました事実のような事故が生じますることの予防をしておるわけであります。  第三の研修あるいは監督強化でありまするが、これは一つ人員の問題でありまするとともに、また物的な設備充実でもありまするので、調達実施本部におきまする検査陣の拡充あるいは科学的な基準検査を励行するということに努力をしておるわけであります。  なお各批難事項に関連をいたしまする責任者処分といたしましては、この御指摘の各件に対しまして、減給一名、戒告十名、訓戒二十四名、注意十名、なお一件だけ事故発生原因につきまして科学的な検討を続けておりますので——四十六番の関係につきましてなお処分を保留しておるものがありまするが、その他につきましては今申し上げましたような処分をいたしておる次第であります。これ以外は御質問に応じましてお答えいたします。
  6. 上林與市郎

    上林委員長 それでは会計検査院の重点的な説明並び防衛庁当局補足説明が終りました。質疑の通告がありますので順次これを許します。なお参考までに政府側出席者を申し上げますと、田中政務次官石原経理局長久保装備局長小笠原監査課長建設省からは木村営繕局長会計検査院からは上村検査第二局長でございます。それでは吉田委員
  7. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 本日は防衛庁関係の主として検査院批難事項を中心に質疑を進めてみたいと思います。   第一には報告番号二三、五六ページ、東京都世田谷区保安隊宿施設A地区建設の問題であります。それで伺いたいのですが、当該工事建設につきましての予算内容、それからこの予算執行者建設省であるのか防衛庁、当時の保安庁であるのか、その点について伺っておきます。
  8. 石原周夫

    石原(周)政府委員 予算数字は今すぐ見まして申し上げまするが、工事建設省支出委任をいたしまして、建設省の方で現実契約関係あるいは支出関係をやっておるわけであります。この三宿の関係予算数字でありまするがA地区の病院、B地区の研究所、C地区衛生学校、それに関連いたしまする電気その他の設備工事、それを合せまして六億六千九百四十四万一千円に相なっております。
  9. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この予算は何年度予算であるのか、これによりますと五一ページの劈頭には二十七年度予算のごとく記載されてありまするが、さらに詳細御説明願いたい。
  10. 石原周夫

    石原(周)政府委員 この会計は二十八年度予算だったと思います。
  11. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ただいまの御説明によると、防衛庁予算でとって、それを建設省支出委任をし、契約あるいは支出の行為はすべて建設省の方でやる。そういたしますると、本件の用地の取得については建設省防衛庁のどちらの責任になりますか。
  12. 石原周夫

    石原(周)政府委員 用地の取得、従いましてこれに関連するいろいろな補償、そういうようなところまでは防衛庁になりますが、建設省にお願いいたしておりますのは、その用地の上に具体的な営繕工事をいたす事柄であります。
  13. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 建設省は何に基きましてやるか、その法律の根拠、それから防衛庁は何局においてこの用地取得をするのでありますか。まず建設省からお答え願います。
  14. 木村惠一

    木村政府委員 一般的法律の根拠は、建設省設置法第三条の第二十六項の「国費の支弁に属する建物の営繕」その下にカッコしてただし書きがありまして、「に関する事務を行うこと。」とありまして、これによりまして防衛庁支出による工事をやっております。しかしただし書きの中に「防衛庁の特殊な建物の営繕」これは除くことになっております。昭和二十七年の三月に保安庁ができましたときに、そのときの閣議の了解がございまして、保安庁建設、建築工事のうち、特殊のものを除いては建設省が担当する、そういう了解事項がございます。それに基いてやっておるのでございます。
  15. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 防衛庁はいかがですか。
  16. 石原周夫

    石原(周)政府委員 防衛庁の方は、防衛庁法の第五条におきまして、防衛庁の権限というものがございますが、その三項に「所掌事務の遂行に直接必要な庁舎、営舎、演習場等の施設を設置し、及び管理すること。」とございまして、これは各省設置法の例文だと思いますが、これに基きましてみずから工事をいたすこともできますし、先ほど建設省側からお話がございましたいわゆる営繕等に関しまする閣議了解というものがございまして、それに基きまして、一部の事務を建設省にお願いを申し上げておるのであります。
  17. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ただいま会計検査院の御説明によって大体事実は明らかでありますとともに、防衛庁からこれに対する弁明書が出ておりますが、この弁明書も会計検査院指摘の通りであるというふうに肯定せられておるのであります。  そこで伺いたいのでありますが、この事実の記載によりますと、二十九年の三月二十五日及び三十一日に契約をして、即日着工するという約束である。それから請負代金総計は六億六千九百四十四万円余り、これは建設省契約事項に属するものと考えられます。   〔委員長退席、椎名(悦)委員長代理着席〕 一方、予定の敷地は東京都の特別都市計画の緑地帯の地域である、耕作地については離作補償問題が未解決である、こういうことになっておる。そしてなお契約の当時、つまり二十九年三月当時におきましては着工期日の見通しのつかぬ実情にある、こういうことになっておりますが、一体建設省建設局はこのような土地の実情については防衛庁がそれぞれなすところにまかすのではあろうけれども、現実予算執行、また契約の実行の監視の重要な責任があるのでありますが、このような実情をどうしてあなた方では把握することができなかったのであろうか、この点をまず聞いておきたい。
  18. 木村惠一

    木村政府委員 お答え申し上げます。御質問の点、私の方といたしましてもまことに遺憾に存ずるわけでございますが、先ほども経理局長の方から御説明がありましたように、用地の取得については防衛庁側で責任を持って解決をする、そういう御趣旨をわれわれは一応全面的に信頼したわけであります。しかしこの問題は非常にむずかしい問題でないかということも当初考えないわけではないのでございます。それで工事の依頼がありましたときから続けましてこの問題について防衛庁側と常に懇談しておりますが、そのたびにこの問題は早期に責任を持って解決する、緑地解除の件も、これはむずかしい点もあるけれども、何とか早くやってしまおう、自分の方は責任を持ってやるからという再三のそういうお見通しのもとで、私の方もそれに同調したわけでございます。  もう一つの大きな理由と申しますのは、御承知のようにこれだけ大きな工事になりますと、相当長い工期もかかる、そうしますと、事実工事契約いたしましても、契約直後にその敷地において工事の着工ということが起きないのでございます。つまり一カ月とか一カ月半くらいは必ず準備期間というものがございまして、請負業者が材料の収集とかいろいろの手当とか、そういうもので、必ず一カ月またはそれ以上の長い期間がかかる、そういう期間に土地の問題が解決すれば工事の促進には非常に有利じゃないか、そういうふうにわれわれは考えました次第でございまして、用地の問題につきましては常々われわれは防衛庁の方と密接な関係を持って進んだのでございますけれども、何分結果的にははなはだまずい見通しを立てたこと、これははなはだ申訳ないというふうにわれわれは考えております。
  19. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 防衛庁に伺いますが、ただいまの答弁によりますと、防衛庁がこの用地問題については責任を持って早期解決をするということを明らかにして、その上で建設省は二億六千七百万円を現実支出するに至った事態が明らかでありますが、現実の経過にかんがみますと、二十九年九月にはなお着工に至らず、こういうことになっております。言いかえますと、六カ月間はなお着工に至らない実情でありますが、何ゆえそういうような、事実そのようにならぬことを責任を持って建設省の方へ言うのでありますか、こういうことにつきまして、もっとあなたの方では用地取得について周密な調査検討あるいは確信を持った上で、建設省との間に連絡をするのが至当でないかと私は思うのであります。善意に解するといたしましても、これは私は非常に大きなあやまちを犯しているのでないかと思うのだが、その点についてはどうお考えになりますか。
  20. 石原周夫

    石原(周)政府委員 ただいま吉田委員の御指摘に相なりましたような結果を生じましたことは、はなはだ遺憾に存ずるのであります。ただ防衛庁側といたしまして、何ゆえに建設省側に対してわれわれの方で用地の問題を解決するからということを申しましたかということの経緯について申し上げます。  この土地は昔の駒沢練兵場の土地であるのでありますが、接収になっておりまして、接収解除を受けまして、その接収解除後においてわれわれの方で中央病院以下この施設を作ることにいたしたのでございます。ところが二つの問題がございまして、一つは接収期間中と申しますか、あるいは接収以前にもなっておるようでありますが、ここに耕作者がおりまして、この耕作者をどういうふうにして立ちのかせるかという点、それが一点、もう一つはただいまの緑地指定の問題、この二点であります。前段の耕作者の立ちのきの問題につきましては、相当の長い期間をかけまして、私どもの方あるいは関東財務局というようなところでいろいろ耕作者と話をいたしまして、三月の十五日をもって離農承諾を得たわけであります。普通の場合におきまして、耕作者の離農承諾を得ますと、それとともに着工いたすことができますので、まず離作の関係からいたしますれば、三月十五日という時期をもちまして一応工事が可能な状態になったわけであります。ただ耕作者は家屋を持っておりまして、この家屋の移転の関係がおくれたのでありますが、これは広い場所にごく狭い部分あるわけでありますから、工事そのものがスタートするのには差しつかえない状態にございました。そこで第二の緑地の方の問題でございますが、これは東京都の都市計画審議会の議を経ませんと解除ができない性質のものであります。ただこの事柄につきましては、ここの緑地指定を解除してもらいますかわりに、旧参謀本部跡の緑地指定でよかろうという事務当局同士の話がずっと前からございまして、これは建設省計画局の方と相談をいたしまして、実際問題としては差しつかえはなかろうということを思っておったのであります。これは野実ふたをあけて計画審議会を開きましても、この土地に学校あるいはその他の工業施設をどうするかという点に議論がありまして、緑地指定の解除自身につきましては、事実ほとんど議論がなかったわけであります。そこで都の都市計画局とわれわれの方と相談をいたしましたところでは、これはおそらく都市計画審議会を開けば、実際的には異論がないから解決をするであろうというようなことを考えておったのであります。ただ一つ見落しておりましたことは、計画審議会に委員の改選があるということになっておりまして、例年四月早々には都市計画審議会を開いてくれまして、そこで議決をしてもらうということであったものでありますから、先ほど建設省の方からお話がございましたように、一カ月あるいは少々の余裕を見て、その間にいろいろな資材の手当をいたすというようなことをしますれば、大体緑地の解除には実際的は問題がないから解決はつくだろうという見通しであったのであります。ところが委員の改選がありまして、この改選のために、新しい委員会成立するのが八月になりました。そこでは今申し上げましたような緑地指定という問題は出なかったのでありますが、学校をどうするか、あるいは住宅の用地をどうするかというような、この緑地指定解除に関連をした議論にだいぶ時間をとったものでありますから、結局三回の議を経まして、九月になりましてやっと御決定を願ったということになりましたので、会計検査院の御指摘のような遅延を生じたのであります。これは今申し上げましたような経緯の話でありますが、そこら辺の十分な見通し、あるいは検討をやらなかったという点につきましておわびを申し上げます。
  21. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ただいま伺いました問題、耕作者の立ちのき問題、家屋移転の問題、緑地指定解除の問題、都市計画審議会の経緯等々、これは単純な弁解にすぎません。いずれにいたしましても、そういうような手続が完了いたしまして初めて予算支出をする段階にいくのが当然だろうと思う。事務当局等との話し合いをし、あるいは離農承諾を得たから工事ができるであろうというようなお考え方、こういうこともいずれも事ここに至りました重大な原因をなしていると思うのであります。そこで私がこの問題について考えまする一つの点は、建設省防衛庁との関係におきまして、この重要な予算の執行、事業の執行の上において、もっと緊密な連絡をとって責任のある話し合いなり、協議なり、その他交渉をするということについて、非常に欠くるところがあるんじゃないだろうか、制度的にも欠くるんじゃないだろうかと思いますのが一つ。なぜならば、これは二億六千七百万円の支払いをしておりますけれども、結果的に見ましてこの金は、国のためには要らざる金を他人に数カ月間支払ったことになるわけであります。どういう経緯があるといたしましても、二億六千七百万円の金を払わなくてもいいのじゃないか、こういうふうにわれわれは考えられるのであります。いずれも手続が完了いたしまして、その上で支払うということにするのが一番正しい、また相当なやり方でないか。これが一つと、いま一点は、三月の末に契約をして直ちに金を支払っておるという点であります。これは二十八年度予算とは言いながら、予算であるならば、これはおそらく繰り越し明許に属するものであろうと思いますから、急いで予算消化をするというようなやり方は、これまた官庁会計の一つの盲点が現われているんじゃないかと思うんであります。後者につきましては一つの推定になっての検査院の判断でありますけれども、そういうふうに思われても弁解しにくい事案じゃないかと思うのであります。この二つの問題につきまして、この種の事件が続出することがないようにすることが、最も重要な結論的な点でないかと思うのでありますが、これにつきまして両責任者の御答弁を願います。  なおこれは建設省といたしましても、防衛庁といたしましても、建設事業というものは予算上莫大な比率を占めておるのでございますし、また防衛庁自身にいたしましても、北海道の場合には北海道の開発庁へ事業を委託し予算の執行をまかすというような関係にもなりまするので、かたがたこれは防衛庁建設事業の将来の基本的な問題にかかるものであろうと思います。でありますので、一つこれは経理局長並びに大臣にかわりまして次官から、こういう点につきましては深甚の考慮をして何らかの対策に出て——一々の問題を指摘することはきょうはいたしませんけれども、やはりこれらは根本的に検討する価値が十分にあると思いまするので、所信を伺っておきたいと思うのであります。
  22. 田中久雄

    田中(久)政府委員 先ほど来の御指摘の要点は、まことに防衛庁といたしまして手落ちでございました。この点につきましては、その後いろいろ制度、人員の改正を待ちまして着々と改善をいたしておりますが、なおこの点につきましてさらに部内で一そうの検討を加えまして、再びこういうことのないよう期したいと存じます。
  23. 石原周夫

    石原(周)政府委員 吉田委員の、どこか制度的に欠陥があるのではないかというお話でございますが、この点につきましては、私どもの方の予算建設省あるいは北海道開発庁というものに支出委任をいたしまして、こちらの方の工事をお願いいたしておるわけでありますので、その間の連絡関係、そのところに不備があって事故を生ずるのではないかという御指摘だろうと思います。その点は理論的にと申しまするか、抽象的に申しますれば、一省の中で直接やります場合と、大臣を異にいたしまする省との間の連絡を生じます場合との間に差を生ずるということはあり得ると存じまするが、他面、先ほど建設省側のお話もございました、営繕というものをできるだけ統一をして参ろうというまた一つの方針もございますので、そういうような二省の間にわたるような連絡関係を必要とする支出委任関係、こういうような関係を考え直すということよりは、やはり現在のままでできるだけその間の連絡を緊密にいたしまして事故の生じないようにいたす方が、全体の政策といたしましてはとらざるを得ない点じゃないかと存じます。  第二点の年度末に支出をいたしました点につきましては、これは非常に長い間の懸案でございましたので、お話のようにすっかり議決を経ましてからやるのが筋道ではございますが、何分にも長い間の懸案がやっと片づくところに参りましたので、多少そこら辺のところで山をかけると申しますか、ある事柄の落ちつきます瞬間というものと、丁半準備の時間というものを大体相殺するという考えでやりましたわけであります。こういうような事態になりましてまことに申しわけございません。今後はこういうようないわばプラスとマイナスと両方にらみ合せてやるというやり方をいたしませんで、できるだけ健実なやり方にいたしたいと存じます。
  24. 三鍋義三

    ○三鍋委員 関連して。現に二十九年九月当時に至っても着工に至らなかった状況ですが、その後どういう工合にこれが運ばれておりますか。
  25. 石原周夫

    石原(周)政府委員 十月の六日に着手をいたしております。
  26. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今の最後の点でもう一点念のために聞いておきますが、結局これはあとから見ますると、国は要らない金を二億六千七百七十万円余りを六カ月間無利息で寝して損したというような見方もできるんですが、これは経理局長、どうですか。
  27. 石原周夫

    石原(周)政府委員 無利息で寝かしたという点につきましての、この前払金の関係をどういうふうに処置せられたかは、これは建設省側ならお答え願った方がよろしいかと思うのでありますが、これは、それがあるから前払金を週早に払うことが何らかの意味を持つということを決して申すわけではございませんけれども、請負業者の側におきましても保険にかかっておるようでありますし、保険料というようなものを見ますると、この利子分が多きになっているという事態でもないようでございます。この点は建設省側の方で事実の扱いをしていらっしゃいますので、その方からお答え申し上げた方がいいかと思いますが、いずれにいたしましても、払うべからざるものを過早に払ったということは明らかに事実でありまして、まことに遺憾に存じております。
  28. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その問題はそれでよろしい。  次は番号二四号、五七ページのジープ購入問題であります。これについて伺います。まず倉敷フレザー・モーター株式会社、こういうのが購入会社であります。この会社に問題があるように考えられるのであります。これも検査院説明のごとくに、やはり二億八千四百万円余り国は相当にあらざる代金を支払っておった、こういう事案でございます。そこで聞きまするが、この倉敷会社というのは資産、信用、防衛庁との関係がどういうような会社にあるのか、それを伺います。
  29. 久保龜夫

    久保政府委員 お答えいたします。ただいまの倉敷フレーザー・モーター会社につきまして申し上げますと、この会社に二十七年の六月二十四日に創立された会社でありまして、会社の目的は自動車の輸出入及び販売業、資本金は創立当初五百万円、二十八年の一月に二千万円に増資いたしております。それから二十九年の一月に三千万円に増資いたしております。そういう会社でありまして、これはウイルス製ジープの販売会社でありますウイルス・オーヴァランド・エクスポート・コーポレーション、これから日本における販売権について二十六年十月ころからお話がありまして、倉敷レーヨン株式会社がその直接の折衝に当りました。その話がつきましたところでこの倉敷フレザー・モーター株式会社を作りまして、現実には販売権はこの会社が譲り受けたわけでございます。防衛庁との関係というお話でございましたが、防衛庁と特に関係ということはございませんが、私どもといたしましては、ジープを正式にどういうものを使うかということにつきましては、二十六年以来研究いたしておりまして、あるいは国産単等ともいろいろと比較検討し、実用試験等もいたしまして、このウイルス製を使うことが妥当であるということで、二十七年の四月ごろに正式に結論を得たわけであります。そしてたまたまそういうふうに販売権を持っております倉敷フレザーから購入するということに相なったわけでございます。
  30. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 どうもこの会社は、今の御説明によりますと、アメリカのウイルス会社からジープなどを購入するために創立したかのような感じすら受けるのでございます。これはいずれにしても大して問題ないかもしれませんが、要するところ資産、信用等におきまして、第三者はとにかくといたしまして、当該会社のそれはいまだ十分に信頼が置き得ないもののような感じを受けます。そこで契約の段に入りますが、この五八ページの見積りの内容に記載されております仕様追加、いわゆる改装費の問題であります。この改装費につきましてここに第一の問題があるようでございまするが、この電装部品等に関するもので、どの程度の改装か私は存じませんけれども、この点につきましては、今のあなたの御説明によると、ウイリス会社の車を入れることが適当であるというふうに、いろいろと調査研究の結果結論を得たということでありますが、しからばこの改装費内容などについても、当初において相当研究さるべきではなかったかと思うのでありますが、この点についての研究は全く抜かっておッたようにあとから考えられますが、その点はどうですか、内容等について十分に検討せられたかどうか。
  31. 久保龜夫

    久保政府委員 先ほど申し上げました、ジープをどういうものを採用するかという点の検討につきましては、二十六年以来、たとえば富士すそ野の悪路、難路等で、このウイリスのジープと、それから日産トヨタで作っておりましたジープと比べまして、あるいは登坂力を調べるとか、その他いろいろ性能の点を吟味いたしたわけであります。その結果性能がよいということ、あるいはアメリカ側から貸与を受けておりますジープとの交換性等、詳しく、申し上げますと理由はいろいろございますが、要するに採用することに決定をいたしたのでございますが、ただいまお話ございました改装、十二ボルトの電圧に改装いたしました点は、実はアメリカ側で大量に作っておりますのは六ボルトでございます。私どもジープを将来使っていきますにつきましては、どうしても一般車両、大型車両と同様の無線器材を積みたいということで、十二ボルトでないと無線機一般共通使用ができないものですから、ぜひとも十二ボルトにしたい。ところがアメリカで量産いたしましたのは六ボルトでありまして、どうしてもその間仕様の追加と申しますか、価格変動が起って参るということで、当方とし実は先ほどの比較検討の際にそういった点まで突っ込んでおりませんで、また突っ込むような比較もいたしておりませんで、   〔椎名(悦)委員長代理退席、委員長着席〕 向う側の仕様追加による価額の増加というものを向う側の意見を聞きまして、向う側としても、当時大量に作っておりましたのは六ボルトでありまして、果して大量生産に移して幾らでできるかということの資料を向うでどの程度まで検討したか、私どもそこまで突っ込んでおりませんが、結論としてどうしてもこれだけ要るということで、二百二十九ドルというものを改装費として、結果としては認めた次第でございます。
  32. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それは最初はそうであるといたしましても、契約したのは第一回が二十八年一月、二回目が二月、三回目が十一月とこういうことになっておるわけでありますから、従って二回目、三回目では相当に日時も経過いたしておりますので、従って何ほど部品の価格差があるか、あるいはまた改装の内容についての知識等につきましても、あなたの方としては十分につかみ取ることができたのではないかと思うのでありますが、この点も検査院指摘しておられるようでありますが、われわれしろうとが考えましても、器械はともかくいたしまして、約十一カ月も経過した第三回目ということにもなりますれば、当然に十分の知識、経験を積んでおられるべきではないであろうか、こう思うのであります。そこでこれにつきましては、非常な手落ちがあったことは、弁解されても仕方がないでしょう。  ところで、同時に外貨使用状況についてでありますが、これとても、やはり輸入申告の状況について十分に御調査になり、あるいは通産省の外貨の係、あるいは大蔵省の関係等、こういう方面についても、すぐに電話一本ででもこの辺は明らかになるべき事案でないだろうかと思うのでありますけれども、これもどうも漫然と経過してしまって、いたずらに倉敷会社をして莫大な利益を得させておったことに一応なっております。これにつきましても、あるいはふなれであったということに御説明になるかもしれません、経験を積んでいなかったという御説明があるのかも存じませんけれども、官庁会計の一つの盲点かもしれませんが、損益を真剣に考えて取り組むという態度が欠けるのではないだろうかと思うのであります。もしあなた自身の損益に帰するということでありましたならば、何億円というような損になるような問題でありますので、それは血眼になりまして外貨の使い方、内容等々につきましても、事前調査をしておられたであろう、もしくは途中の調査をしておられただろうと思うのです。その辺がやはり防衛庁物件購入における共通した盲点と申すべきでないかと私は思うのでありますが、その辺について、これも全部あなたの方は弁明書において容認しておられるのでございますけれども、なぜこれをしなかったかということを私はいま一応あなたにはっきりと聞いておかなければならぬと思うのであります。
  33. 久保龜夫

    久保政府委員 ただいまおっしゃいましたように、突っ込み方が足りなかったと申しますが、そういう点については、私どもはまことに遺憾に存じております。しいて当時の状況を申し上げさせていただきますならば……。
  34. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 いろいろ伺いたいことがほかにありますから、詳しいことはいいです。
  35. 久保龜夫

    久保政府委員 それでは簡単に申し上げます。第二回の場合は、たとえば第一回の分が六十馬力であるのを七十馬力に引き上げました。あるいは順次国産部分をふやしていく、つまり輸入価格の分が低減していくというようないろいろ複雑な事情がありまして、前の分の輸入申告、インヴオイスを見るということも、必ずしもこれの比較対照は非常に困難であります。もちろん十分に吟味すれば不可能であったと申すわけではございませんが、この点に突っ込み方が足りなかったことは今申し上げた通りでございまして、非常に仕様が変りましたので、向う側の新しい値段を聞きまして、これを参考にいたしまして第二次の予定価格を作りました。それから第三次の契約につきましては、二十八年の八月の中ごろに第二次分の最後の船積みがございました。各船積みごとに仕切りをいたしておりまして、そのときのインヴォイスを実は基礎にいたしたわけでございます。それが十一月に契約いたしましたときには、事実はなおさらに値下りがあったということでありまして、そこまで見届ければこれも不可能ではなかったのでありますが、そのころにはもう契約事務はほとんど終了の段階でありまして、結果的に見ますと、八月のインヴォイスでは時期は早過ぎたということになったわけであります。いずれにしても、突っ込み方が十分でなかったということについては申訳ないと存じております。
  36. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それは結果から見ますと、あなたの方では検査院から注意を受けて、前記いろいろな契約予定価格よりも、第二回分については二十九年三月に八千八百万円を減額し、三回分については同十一月に五千五亜二十八万円を減額しておる、こういうことになっております。そういたしますと、これだけで一億四千万円余り減額したことになります。これを結果から見まするというと、この倉敷会社というものは、どうやらこれは初の防衛庁との取引であるらしい。これで、労務その他倉敷会社のいろいろな経営上の事業管理など、あるいはまた資金の消費その他でさほど大きな経営上の損失があったものと思われません。しかるに現地におきまして一億四千万円も値引きをしている。そういたしますと、これは、変な言葉で申せば、ぬれ手でアワのつかみ取りで、防衛庁ジープ購入を仲立ちしたばかりに何億円もうけるということに一応はなっておったのではないでしょうか。たとえば倉敷会社の手数料といたしまして第一回分は二万ドルでありますか、それから第二回分は四万一千ドル、第三回分は二万七千ドル、こういうような莫大な手数料は当然見積りの中に入れるわけであります。でありまするので、こういうようにトンネル会社のような、パイプのような役割をした仲立ち会社が何億円ももうけるというような、そういうむちゃな利益を与えるようなことが、政府の物の購入におきまして許さるべきことであるのであろうか。一億数千万円が減額したということは驚くべきことであって、実に残念なことなんであります。こういうような相手方と商取引をするというようなことは、防衛庁といたしましては乱暴しごくでないかとさえ私は感ずるのでありますが、そういうふうにお考えになりませんか。
  37. 久保龜夫

    久保政府委員 ただいまおっしゃいましたような事態は確かにあるのでございまして、私どもといたしましては、会計検査院指摘も受けまして、とにかくあやまちは早く改めなければならないということで会社側といろいろ折衝をいたしました。ただ、当時の輸入関係契約につきましては、天災地変は別といたしまして、特に価格変動による契約価格の改訂という条項はうたっておらなかったわけでありまして、会社側から申しますと、価格の改訂ということは新たな合意を要するという理屈であります。私どもといたしましてはよく事態説明しまして、会社側もこの事態を了承しました。ただ現金八千八百万円と減額をきめ、また第三回分五千万円ときめましたのは、会社といろいろ交渉いたしましたあげく、第二回分につきましては契約価格の八%上下は、これは経営上の、商売上のリスクとして考える、この八%の幅をとった残りは全部お納めいたします。それから第三回分につきましては、二回目のことでありますので、その幅を五%にいたしまして、五%以上のものは返納させる、減額するというような話し合いを、会社との話し合いの結果きめたようなわけであります。ただ会社側といたしましては、これは会社内部の問題でございますが、これの下請をいたしております新三菱が国産分につきましてかなり赤字が出ている。これは私ども確認をしたわけではございませんが、そういったようなことで、そういったような面のカバーも相当しなければならぬというようなことも一応申しております。  それからもう一つ、これは筋道としては全然別でございますが、第二回分につきまして納期の遅延がございまして、これに対して約三千二百万円の延滞保証金をとっております。これはもちろんこの問題と無関係契約上当然の債務でございますが、この三千二百万円も実際は新三菱の負担になるわけでありますが、実際問題としては倉敷フレザーと適当にその損失を配分しておる、かように聞いております。  もう一つ、このような会社を相手にすることはいいと思うかというお尋ねでございましたが、私ども当初ウイリス製のジープを採用することときめまして、当時最初に申し上げましたように倉敷フレザーが輸入並びに販売の実際の権利を持っておりましたわけで、これが新三菱に下請させるというような形でありましたので、採用する以上はこれを契約するよりほかにいたし方がなかったわけでありますが、この倉敷フレザーは昨年の五月に解散いたしました。これは当時倉敷レーヨンの資本が大部分でございますが、むしろ実体の製作者であります新三菱の方に移しました。と申しますのは、おととしの九月にやっと新三菱の技術援助契約が外資委員会で承認いたされました。それ以後三菱を主体にいたしまして、倉敷会社は解散いたしまして、菱科自動車と申しまして、三菱の資本を中心とする単なる販売会社にかわって今日に至っております。
  38. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の疑問に思いますのは、この会社が二十七年に成立して五百万円の資本だった、翌年二千万円になり、その縦年三千万円の資本に増加されておる。新しくできた資本金五百万円の会社で、どれほど人間を使っておったか存じませんが、要するに自分はほとんど店頭でトンネルの仲立ちをしただけではないかと思うのです。組み立てば新三菱がやっておる。そして部品の製造はアメリカのウイリス会社がやっておる。海上の運送は別の会社がするでありましょう。といたしますと、ほとんど現品の顔を見ることなく、手をこまねいて商売をしているのじゃないかと思うのであります。それが防衛庁との間に四十四億二千七百万円の納入の契約をして数億円もうかるというような、こんなぼろい商売があるかと思うのです。そこであなたに念のために伺っておきますが、一体防衛庁というのは、たとえばこの場合八%とおっしゃっておるけれども、四十四億円の八%というのは少しぼろ過ぎるのじゃないであろうか、何の危険が内在するか今つまびらかにいたしませんけれども、私どもはもっと減額して、そして相当な利益を押えて、そして国の支出をできるだけ制約していくという態勢が必要でないだろうかと思うのであります。どっちにいたしましても、あとで減額した一億四千万円というものは、余分なものをこの倉敷会社へ与えようとしたことが取り戻されたことになっておりますが、いずれにしましても何億円というのでしょう。あとで減額いたしましたのは八千八百万円と五千五百万円で、約一億四千万円ですね。何億というこんな大きな利益というものは、五、六千万円の資本で十年以上も経験を積んだ輸出入会社においてもなかなか得られる利益ではないのであります。ことに二十八年から九年にかけてということになりましたならば、貿易の景気は非常に悪い、貿易会社は続々と倒産するときであったはずであります。こういうときに防衛庁と取引契約をすると、こういうようなトンネル仲立ち会社で何億円ももうかるということは、私はこれはやはりどうかしておると思います。どうしてもこういう問題については根本的に厳格に反省をいたしまして、将来これが再び繰り返すことのないようにすることはもちろんのこと、こういうような方式は根本から再検討いたしまして、一体防衛庁は何ほどの利潤を納入の商人に与えることが妥当であるか、相手はどのような経営の管理費を支出しておるのであるか、このようなことを綿密に検討する態度をもって物品購入するのでなければいけぬと思う。あとに続出してきます数十の項目につきまして、これもおそらく九牛の一毛にすぎないのではないかと思います。こういう点から見ましても、これを一つのよい例といたしまして、この種の問題は一つ抜本的に検討してみるということが必要でないかと思うのであります。次官の御答弁を伺います。これは実は長官から聞かなければならぬ問題として私は考えておったのでありますけれども、この問題は容易ならぬ問題を内在いたしておりますので、ぜひあなたは長官にかわって責任のある御答弁を願いたい。
  39. 田中久雄

    田中(久)政府委員 先ほど来、るる拝聴いたしまして、御指摘の点につきましては十分な検討を加え、なお他にも九牛の一毛にすぎぬではないかという御注意もございましたから、よくその他の面も調査をいたしまして、将来そういう形態の会社防衛庁物品購入に不当な利益を得ることが再びないように十分注意をいたして、御期待に沿うことにいたしたいと存じます。
  40. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私も今の整備局長御自身の誠意のある態度なりあるいは誠実な御態度はよくわかるのでありますけれども、ともかく背負い切れぬほどの予算を背負わされて、そして物品購入なんかで湯水のように金が使われているのじゃないかと国民に与える印象というものは、実にこれは悪いことであります。そういうことを考えますと、これは峻厳な態度をもってこの種の事案に対処するということが、防衛庁のこの種の問題を絶滅するところのただ一つ与えられた手である、こういうように考えますので、私は今のような御質問をしたわけであります。  そこで次に少し問題を転じまして、きょうのなまの問題を一つ伺いたいのでありますが、これは先般も朝日新聞に六月四日付で書かれておった事件であります。これは「ストック十年分」というような見出しがついておるのでございます。資料を防衛庁からいただいておりますので、これに基いて一、二お伺いしてみたいと思うのであります。  ここにも衣料関係のものが、かやの問題が出てきたり、あるいはマットレスの中詰めの問題が出てきたりいたしております。こういうような繊維関係の問題も、防衛庁といたしましてはずいぶんと重大な費目になっておるものと思われます。そこで伺いたいのでありますが、本年の二月八日以降五月十七日に至りまするまで、防衛庁はアメリカから原反冬地の生地九十八万一千余ヤール、冬の上衣が三十四万着、冬のズボンが三十五万二千着、帽子が三十四万九千個、これだけを受け入れております。これは全くあるものの上へ余分に受け入れたということに形はなっておる。しかもこれにもかかわらず防衛庁といたしましてはさらに購入をいたしております。購入する金もふんだんにあるから購入なさるのか知りませんけれども、外国からこうやってくれるものがあるのならば、購入なんか差し控えて少し予算を節約せられてはいかがか、こう思うのであります。あなたの方の御説明によると、何か昨年の十月ごろに情報が入っておるようなことであります。今の服地等を防衛庁は無償でアメリカからもらったことが事実あるのかないのか、それにもかかわらずこれらに該当するものもしくは類似するものを購入した事実があるのかないのか、まずこの点を一つ明らかにしておきたい。
  41. 久保龜夫

    久保政府委員 お答えいたします。ただいまおっしゃいました資料にございますように、制服としてでき上ったもの新旧合せて三十五万着、生地合せて約百万ヤール、本年の二月から五月にかけて確かにアメリカ側から受領いたしました。それから昨年の十月から十一月にかけて約七万着の冬の制服を調達いたしております。これにつきましては差し上げました資料にも書いてございますように、昨年の夏ごろから、初め向うの制式が変るので有償で渡してもいいというようなお話がちょっと出まして、有償では問題にならないといっておりましたところが、九月、十月ごろにかけて無償で渡してもいいというような話がぼつぼつ出てきまして、ただ米軍との関係を申しますと、向うもワシントンとの連絡もこれありで、そういうような話が出ましてもなかなか正式にきまるのはいつもおくれるというか、場合によっては立ち消えになるような場合もなきにしもあらずでありまして、ことに火砲等の装備品でもありませんし、その辺のところをいろいろ情報を判断しておった次第でありますが、その辺も容易につかめない、しかも数量もどういうものが来るかということもはっきりしないようであります。どうしてもただいま申し上げました七万着は、十月から十一月にかけて入って参ります新隊員、あるいは欠員補充、それから三十年度当初の欠員補充等、その他いろいろ考えあわせまして、やはり調達しておかないと必要の場合に事欠くのではないか、こういう判断のもとに調達いたしたわけであります。
  42. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたの方で発注したのはそうすると冬服七万着、現実に手持ちしておりますものは冬の制服は何着あったのでありますか。
  43. 久保龜夫

    久保政府委員 ただいまお尋ねの手持ちと申しますと、当時九月ごろというふうに伺ってよろしゅうございますか。
  44. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 九月ないし十二月。
  45. 久保龜夫

    久保政府委員 九月末に新品が上着、ズボンで多少違いますが、約二万七千着、それから古品が約一万五千となっております。
  46. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、本年に入りましてはどうですか。
  47. 久保龜夫

    久保政府委員 前年度末でございますか。
  48. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは、昨年の十月−十二月、本年一月、そのころには何ほど手持ちがありましたか。
  49. 久保龜夫

    久保政府委員 ただいまわかっております前年度末、すなわち本年三月末の数字を申し上げますと、新品が約五万五千着、それから古品が一万着強となっております。
  50. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そういたしますと、もしアメリカから三十余万着、原反が約百万ヤール、こういうものが来たりしならば、あなたの方の七万着の発注は必要がなかったという勘定になるのですが、どうですか。
  51. 久保龜夫

    久保政府委員 もしかりにアメリカ  から参りますものが、早ければことしの五、六月、おそくとも十月ごろに完全に仕立て直しができまして間に合うということでありますれば、あるいはそのうち若干は調達しなくても間に合ったと思われるのですが、ただどういう規格のものが来るか、新旧どうであるか、あるいは仕立て直しなりにどのくらいかかるか、あるいは昨年度の分は、本年六月末までが大体こちらへ供与する期限でありますから、最悪の場合を考えますと十月にも間に合わないのじゃないか、こういうふうに判断をしたわけであります。
  52. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 防衛庁では二十九年度予算として、被服費は冬の制服あるいは生地などで一体何ほど分の予算があったのですか。
  53. 石原周夫

    石原(周)政府委員 個人被服の数といたしましては、更新分といたしまして三万三千三百三十着、増員分といたしまして三万六千六百七十着であります。
  54. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そういたしますと、アメリカから贈与を受けたものが五月、六月ごろまでに確実に来ておりましたならば、発注することも必要がなかったというふうに私は了解するのでありますが、この七万着というのは大体何ほどの代金になるのでありましょうか。
  55. 石原周夫

    石原(周)政府委員 総計いたしまして三億一千五百万円であります。
  56. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 昨年の九月の中旬に服が三十五万着、それから服地が古万ヤール、その他キャップ三十五万個ほどのものがアメリカから無償でもらえる情報が入っておったような六月十七日付のあなたの方の資料の御説明であります。そこで去年の九月にアメリカから入りました情報の内容でありますが、これは簡単なものであろうと思いますから、その文書はどういう文章になっておるのでありますか。
  57. 久保龜夫

    久保政府委員 これは私どものところへは参っておりませんで、米軍部内でそういう話があるという予報があった、米軍部内で、司令部と補給処との間でそういう話があるということを私どもは間接に聞いたということであります。
  58. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうではなしに、日本の内地にあるアメリカの軍の所有の余剰の原反、服等の物件を九月の上旬にすでにアメリカの顧問団あてに庫出しするような指示があって、その指示の趣旨が直ちに防衛庁の方へ伝達された、こういうのが真相じゃないですか。
  59. 久保龜夫

    久保政府委員 繰り返すようで恐縮でございますが、向うの部内の文書はあるようでありますが、それを私ども伝え聞いておりますわけで、こちらに伝達は受けておりません。
  60. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それは正規の伝達もしくは通報でないかもしれませんけれども、いずれにいたしましても、責任のある顧問団の要請によって、顧問団あてで庫出の内容までもはっきりした文書が、文書そのものとしてあなたの方へ正規に渡ったかどうかこれは別といたしまして、入手したのは単なる道ばたの話とか立ち話じゃなしに、文書の内容もあなたの方は確認されておるのじゃないですか。これをはっきりしておいて下さい。別にそれを私今追及するという意思はないのでありますけれども、事柄の経過といたしましては、明確にしておいた方がいいと思います。
  61. 久保龜夫

    久保政府委員 内容については大体承知いたしております。ただここで申し上げておきたいのは、米軍とのいろいろな引き渡しの情報等は、これは顧問団自身が、これは単なる情報である、伝達の場合でも単なる情報である、きまるのは現物が現実に来てからでないとわからぬ、あるいは庫出をしてから初めて確定をするのだというような場合が非常に多うございまして、この場合も、釜山の補給処がその後火災が出るとかいったようなことで、向うのインフォーメーションも聞く人によって違うというような事態もあったようであります。
  62. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたの方はやはり米軍との接触はずいぶんあり、従って顧問団、顧問との接触もずいぶんあるわけであるから、絶えざる情報の入手というものは正確にするということが事業の重要な部門を占めているとわれわれも承知しておるのであります。従ってこれは普通の単なる新聞情報とか立ち話で聞いたとか、そういうものでなくして、これらの情報というものは、相当行政上の価値があるものとして、お互いに意識して行政をやっていかれるというのは、あなたの方だけでなしに、その他調達庁にいたしましても、みな同様であります。でありますので、その点はこれは無価値のもののようなお考え方は、もってのほかだと思います。そこで、三億数千万円の金の使途の関連においてでありますが、もしその情報について、さらに的確にこれを把握するという手続をとっておられましたならば、三億数千万円の発注、支出はしなくて済んだのじゃないであろうか、そのために現にこれらの今入庫しておりまするあなたの方の手持ちの原反の百万ヤールにいたしましても、これは大へんなものであります。冬の上着の三十四万着にいたしましても、大へんなものであります。やはりこういうものを有効に使うということをすることによって、国の予算を幾ら組んでおっても、そういう意味において予算不用が生じましたならば、私どもは双手をあげて、実際絶讃しますよ。これを倉にほうり込んでおいて、三億数千万の予算を使ってしまうというやり方は、これはやはりお考え願わなければいかぬ大事な問題であります。でありますので、この点はやはり最近の大きな一つの手落ちじゃないかと思います。これは何年使えるのか存じません、兵隊さんがたくさんにふえるのか減るのかは存じませんけれども、いずれにいたしましても、百万ヤールの冬服の生地が倉庫に寝ておるというようなことで、それでなお数億円の被服費の予算を使うというような防衛庁予算執行というものは、私は正気のさたとは思えぬのであります。でありますので、こういうことにつきましては、何とか処置してもらわなければならぬと思うのでありますが、これでもやはり本年度も何ほど組んでおられるのか知りませんが、被服費が相当これまた繰り越し明許で予算編成されておるようでありますが、石原局長どうですか、ことしの予算は使わずにいく、そういう一つの腹でおやりになれませんか。
  63. 石原周夫

    石原(周)政府委員 三十年度予算につきましては、本年の予算編成がおくれました関係上、先ほどのような事態が明らかになりましたので、冬服の分は今度はございません。なおついでに申し上げておきますが、二十九年度からは被服費の繰り越しはございません。
  64. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 冬服の予算をとっておらぬということであるならば、これはまことに殊勝なる話でありまして、その点は私も愉快に感じますが、しかしいずれにいたしましても、この莫大なアメリカの贈与物件に前後いたしまして大きな金を使ったということにつきましては、これはやはり見のがすことのできない防衛庁予算の乱脈ぶりじゃないかと思われます。  委員長、もう少しよろしゅうございますか。
  65. 上林與市郎

    上林委員長 できるならば次にしてもらいたいのですが……。
  66. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは少し飛ばして申し上げます。まず四四に飛びますけれども、八二ベージの四四のマットレスの中詰めが綿を使っておった、こういうことであります。これまたたいへんな問題なのです。実にぜいたく三昧と申さなければなりません。現に海軍の方はわらを詰めております。あるいは昔の軍隊のみならずいなかにおきましては今日でもふとんの中にわらを入れています。わらは衛生上実によろしいのであります。また経済的に安いのであります。こういうものをほんとうにお使いになっておりましたら、私はここにおいても二千万の節約ができたということを考えるのがあります。どうしてこんな不経済なことをおやりになるのだろう。どうして海上自衛隊と同調していくように保安庁第一幕僚監部はおやりにならなかったのであろうか。これはとても大胆なやり方でないかと思うのであります。こういうことを事前にもっとしっかりつかんで阻止するという方法はなかったのでありましょうか。
  67. 石原周夫

    石原(周)政府委員 マットレスに中綿を使用いたしましたのは予備隊以来のことでございまして。海上警備隊の方は発足が違うものでありますから、保安庁に一緒になりましてからも多少その点行き方の違う点がある。御指摘のように綿の方がわらよりだいぶ高いのであります。そこで会計検査院の御指摘もあり、私どもの方でも現在検討いたしておりまするが、主として今まで、わらの方が安いのに中綿を利用いたしておりましたのは、御承知のように二段ベッドにいたしておりますので、わらでありますと上から非常に下にほこりが落ちるという関係がございまして、使用上困る点がありはせぬだろうかという点であります。寝台が一段でございますとそういう点がないのであります。そのほか保管の面積の問題でありますとか、消毒の問題でありますとか、湿気の問題でありますとか、いろいろな点をただいま検討いたしております。ただ最近ではそこら辺のところを経費の点と比較いたしましてどういうふうにいたすか、検査院の御指摘もあり、国費の節約にもなると思いますので、至急に結論を得るようにいたしまして、今後の態度を決したいと思っております。
  68. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 海上自衛隊におきましてはわらを使用し、陸上自衛隊におきましては、警察予備隊当時から綿を使用しておる、いまだ統一ならず今日研究して早急に結論を出す、こんな間の抜けたことで生きた行政はできませんよ。こんなばらばらなことで生きた行政はできませんよ。これは靴とげたと右左にはいて、いずれにするか今きめておりますといって走っておるのと同じことです。そんなだらしのない行政はありません。
  69. 石原周夫

    石原(周)政府委員 私は不正確なことを申し上げまいと思っていいかげんなことを申し上げたのでありますが、規格をもうきめたそうでございます。従いまして早急に決定すると申し上げましたのは少し間違いでありまして、すでにわらにいたすことにいたしまして、最近におきまして決裁済みでございまして、今年度からは陸の分につきましてもわらを使用いたすように相なっております。
  70. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと本年度はわらを使うのですね。——それではよろしゅうございます。  それから三五以下ずっと三五、三六、三七、三八、三九など一連の問題でありまするが、たとえば三五におきまして、救急用の歯科医療の、これはそれぞれの器具のようでありますが、こういうものは不急品であって、どうもそのままに捨てられておるらしい。また三六におきましても、これは同じく第一幕僚監部の方でありまするが、航空発動機用の馬力測定装置につきまして、これも六百万円以上のものを購入いたしまして、二十九年の末にはなお梱包のまま倉庫に捨ててほうってあります。三七におきましても、やはり鍛造熱処理器具の一組が、これも百八十万円の物が購入せられて、そして建物もないので、梱包のまま捨ててほうってあります。三四も、第一幕僚監部で、これも使えない物を一時に多量に買いまして、金額におきまして五千二百万円買っておる。三二におきましても、必要でなかった物を、金額において六十七万円余り買っておる。これら一連のものは不急不要の物であります。こういうような不急不要の物を購入するというのは、一体これはほかすほど金が防衛庁はある、そういう感じが支出官や——あるいは支出官はそうでないかしれませんけれども、価格を認定し、あるいは必要であるやいなやを判断する部局の役人たちが、そういうふうにお考えになっておるのではないだろうか、何ゆえにもっと適切に、必要であるか、必要量であるか、適当なものであるか、あるいは使用ができるかいなやというような各般の条件を十分厳密に、すみやかに検討をいたしました上で発注する、こういうふうになぜしないのであろうか、こういうことを私はほんとうに不思議にたえぬのであります。これは会計検査院も万能じゃありませんし、人間に限りがあるのだから、きわめられないので、一々当りましたらおそらく何倍、何十倍になるのじゃないかとさえ想像をたくましゅうするのであります。どうしてこういうふうになるのでありますか。これは総括をいたしまして経理局長ははっきりしておいていただきたい。
  71. 石原周夫

    石原(周)政府委員 先ほど冒頭に申し上げましたように、ただいま吉田委員の御指摘にかかります諸項は、大体二つほどの理由によるかと思います。これは検査院からも御指摘を受けているごとく、一つ装備品に関します使用実績が少いものでございまするから、事実上米軍装備定数というものを基礎にいたしまして編成装備表というものができておる。この点でただいま御指摘の二九から三五までのものは、大体その原因に基くものであるかと思われます。それから三六、三七の御指摘があったようでありますが、これはいささかその趣きを異にいたしまして、部隊編成施設の完成というようなことと内部の装備品との関連が食い違いができておる、こういうことかと思われます。前者の方につきましては、何分にもまだ装備品使用実績などにつきましての実情が十分に出ておりません。従いまして、現状におきましてやるということになりますと、ある程度まで米軍使用実績というものを基準にいたす、あるいはアメリカの装備定数というものを基準にいたすという考え方になります。これは冒頭に申し上げましたように、今急速に委員会を作りまして、根本的な検討をいたしておるわけでございます。第二段の施設との食い違いが出て参りましたのは、これは御承知の通り、繰り越しでもごらん願いますように、施設関係用地取得関係で、いろいろ施設置個所が変りましたり、模様が変りましたりいたします。そのために、装備品を作るのに時間がかかりますので、その両者をにらみ合せまして、大体いつごろにはこういうところに落ちつくであろうということをやってみますと、施設の方ではなかなかそういうふうには時間的に参らぬということがございまして、こういうような食い違いが出て参ります。ここら辺のところは、繰り越しの不消化、あるいは繰り越しの生じないようにできるだけいたすというところから、こういうような施設と、その内部におきます設備の食い違いというものを今後極力減らして参りたいと思っております。
  72. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたは委員会を作ってこれらの問題の根絶を期するような、非常に確信あるようなお話でありますが、由来どこの省庁におきましても、問題が起ればいろいろな委員会ができるのですけれども、そう簡単にいかないのであります。でありますので、これは私は尋ねないけれども、原因は千姿万態であります。しかしながら共通しておりますものは、やはり少数の委員会なんかで解決できる問題じゃないのでありまして、これは考え方といたしましては、防衛庁全体に関する大きな問題でありますし、のみならず、一々の問題について掘り下げていくならば、これは抜本的な解決の道はどこにあるかということはわかるのであります。でありますので、あなたが今そうおっしゃいましたならば、その委員会防衛庁予算の執行につきまして、こういうだらしないことをなからしめるというほんとうの責任を負うのかどうか知りたいと思うので、これは適当な折に、この二十八年度決算審査終了に至りますまでに、防衛庁の長官といたしまして、ぜひ委員会活動の実績を当委員会に報告してもらうようにお願いを申しておきます。これは次官から適当に長官に御伝達を願いたいと思います。
  73. 田中久雄

    田中(久)政府委員 ただいまの御要望につきまして、また本日の審議の実情その他もあわせて長官に報告をいたします。お説の通り、本決算審査の終了前に何分の御報告を長官よりいたすことにいたします。
  74. 上林與市郎

    上林委員長 三鍋委員から関連の発言の申し出がありますので、これを許します。三鍋君。
  75. 三鍋義三

    ○三鍋委員 防衛庁の経理状況を、先ほどから吉田委員の御質問による答弁を通じてみましても、単にこれは防衛庁関係だけでありませんけれども、特に防衛庁の問題につきまして、何か道楽むすこが親から金をたんまりせしめて、その使い道に困って、どうしてこれを使おうか、こういうことに苦心して、非常にむだ使いされているといった感じを強く受けるのでございますが、先ほど吉田委員から被服の購入のルーズな点に関して質問があったのでございますが、最後に今年度にその予算を見る必要がないじゃないかという質問に対して経理局長は、三十年度にはその予算を見ておりません、こうはっきりおっしゃったと思うのです。これは間違いないですか。
  76. 石原周夫

    石原(周)政府委員 間違いありません。
  77. 三鍋義三

    ○三鍋委員 そうするとおかしいですね。あなたの方からお出しになった資料に、三十年度には二十三億七千四百七万四千円という被服費を見てあるのですが、これはどういうのですか。
  78. 石原周夫

    石原(周)政府委員 御指摘のように、二十三億七千四百万円というものはございます。これは冬服以外の個人被服がございますので、冬服以外の個人被服あるいはその他の部隊被服、個人装具というものが入りまして今の金額に相なるのであります。  なお立ちましたついでに恐縮ですがちょっと申し上げておきますけれども、私先ほど委員会のことを申し上げたのでありますが、何かそれで非常に簡単に早く装備表というものが適実な改正ができるような印象を与えるような申し方をもしいたしましたならば、それはそう簡単なものでないということは私どもも考えておりますので、これは相当時間をかけてやるつもりでおります。そのことをちょっと申し上げておきます。
  79. 三鍋義三

    ○三鍋委員 そうするとこれは冬服の予算はとらなかったということですか。
  80. 石原周夫

    石原(周)政府委員 さようでございます。
  81. 上林與市郎

    上林委員長 他に御質疑はございませんか。——他に御質疑がなければ本日の保安庁所管に関する質疑はこの程度にとどめ、次会の開会日時は公報をもってお知らせすることといたします。  これにて散会いたします。    午後零時三十一分散会