運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1955-06-07 第22回国会 衆議院 決算委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月七日(火曜日)    午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 上林與市郎君    理事 赤澤 正道君 理事 椎名悦三郎君    理事 山本 正一君 理事 徳安 實藏君    理事 山中 貞則君 理事 山田 長司君    理事 吉田 賢一君       田中 彰治君    床次 徳二君       本名  武君    松岡 松平君       横井 太郎君    生田 宏一君      小笠原八十美君    猪俣 浩三君       片島  港君    三鍋 義三君       佐竹 晴記君    細田 綱吉君  出席政府委員         防衛政務次官  田中 久雄君         大蔵事務官         (管財局長)  窪谷 直光君  委員外出席者         会計検査院事務         官         (検査第一局         長)      保岡  豊君         参  考  人         (富士製鉄株式         会社常務取締         役)      葛 誠四郎君         参  考  人         (三晃物産株式         会社専務取締         役)      田畑  正君         参  考  人         (柳井市役所経         済部長)    松田  勲君         参  考  人         (北星船舶工業         株式会社社長) 又場 常夫君         参  考  人         (新生産業株式         会社社長)   屋宜 憲三君         参  考  人         (呉造船株式会         社常務取締役) 正木 武雄君         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 清英君     ――――――――――――― 六月七日  委員清瀬一郎君及び南條徳男君辞任につき、そ  の補欠として松岡松平君及び田中彰治君が議長  の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国有財産(旧軍艦「梨」)の売払及び取得に  関する件について参考人より実情職取     ―――――――――――――
  2. 上林與市郎

    上林委員長 これより会議を開きます。  国有財産(旧軍艦「梨」)の売り払い及び再取得に関する件について調査を進めます。  本日ここに御出席願いました参考人各位より、本件についての実情を聴取するのでございますが、参港人として予定いたしておりました平郡漁業協同組合神代組合長及び北星船舶工業株式会社垣谷現場主任の両名より、よんどころない所用のため出頭できない旨の届出があります。  なお、この際お諮りいたしますが、三品物産株式会社社長田畑久官製より所用のため出頭できないとの届出があり、同君にかわって本件に関する業務を主として担当した同社専務板締役田畑正君が来ておられますので、同君参考人として選定いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 上林與市郎

    上林委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  それでは委員長より参考人各位にごあいさつ申し上げます。本日は御多忙中にもかかわらず御出頭いただきまして厚く御礼申し上げます。旧軍艦「なし」に関する問題については、当委員会として重大なる関心をもって目下調査中でございます。本日は本件の実際上の関係者である参考人各位より直接その実情について御説明を聴取いたし、当委員会調査に資したいと考える次第であります。  それではこれから参考人各位より本件に関する実情について承わるのでございますが、調査の便宜上、委員より質疑のあります点について関係のある参考人の方から御答弁を願うことといたします。参考人は名簿の順序によりお一人あて答弁を願うことといたしますから、葛参考人以外の参考人の方は御通知するまで御退席を願います。
  4. 田中彰治

    田中(彰)委員 議事進行について。本日の案件はまことに重大な事項であり、従って各参考人の述べられる内容は本件審議に重大なる影響があります。私はむしろ証人として喚問すべきだと考えておるのであります。しかし委員長におかれましてはそこまでなさらなくても、各参考人に対して、特に真実を述べられ、本件審議に協力せられますよう御注意を願うとともに、各参考人は一人が発言せられている間、他の参考人は別室において休憩せられるようおとりはからいを願います。動議とはいたしませんが、委員長においてしかるべくお取り計らいをぜひともお願いしたいのであります。
  5. 上林與市郎

    上林委員長 ただいまの田中委員の御趣旨を委員長において適当にお計らいいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 上林與市郎

    上林委員長 御異議なしと認め、さように決定いたします。  それでは委員各位より参考人に対し質疑の通告があります。順次これを許します。片島港君。
  7. 片島港

    片島委員 富士製鉄の葛さんに二、三お伺いいたしたいと思うのでありますが、本問題を調査いたしてみますと、だんだんと最初の出発から今日に至るまで非常に複雑にからみ合っておるのであります。その間に三晃株式会社北星あるいは新生呉造船、こういうふうにからみ合っておるのでありますが、私は最初にあなたの方の富士製鉄とそれから三晃、北星新生、この三つの会社関係はどういうふうになっておるかをお伺いしたい。
  8. 葛誠四郎

    葛参考人 三晃物産北星船舶と私の方との関係について申し上げます。三晃物産は、従来長い間広畑製鉄所くず鉄納入業者として業務に当ってきておる会社でございます。くず鉄納入仕事が主でありまして、当所に早くからくず鉄納入しておる業者であります。北星船舶というのは、これは広畑製鉄所と直接何も関係がありませんが、従来三晃物産船舶の引き揚げその他についての仕事北星船舶にやらせておったということは聞いております。それだけの関係でございます。
  9. 片島港

    片島委員 この「梨」の払い下げの場合には、富士製鉄地元漁業組合共同名義によって払い下げを受けておるということは御承知でございましょうが、私たちが本委員会において大蔵当局にお尋ねいたしましたところ、現在所有権富士製鉄地元漁業組合の共有になっておるというような御答弁でございましたが、あなたの方も、自分の方に所有権があるとお考えでございますか。
  10. 葛誠四郎

    葛参考人 形式的には私の方にあるのではないかと思っております。
  11. 片島港

    片島委員 現在この委員会で問題になっておりますのは、あなたの方が非常に安く払い下げを受けておるものを、これを引き揚げて防衛庁の方に非常な高額でこれを買い上げてもらおうということであります。三百五十四万円で払い下げをしたものがすでに何億という価値がある。そうして所有権はあなたの方の名義になっておりますが、しかしこの中に入って今防衛庁との交渉をしておられるのは、美はあなたの方じゃないのです。そこで、あなたの方に所有権があるものを、ほかのものがいろいろ持ち回って、ほかの方への売買交渉をするというのは、所有権者としてあなたの方は非常に不都合だとお考えになられないかどうか。そうして、この所有権の獲得のために、今まであなたの方からどのくらい金を出しておられるのか、この二点をお伺いしたい。
  12. 葛誠四郎

    葛参考人 所有権を私の方で持っておるという考えでおります。これがいろいろな方面でいろいろ複雑な問題を惹起しているということを聞きましたが、それは私どもの関知するところではありません。  また、今までどれだけ金を出しているかというお話ですが、私の方からは、三晃物産くず鉄納入した分に対してくず鉄購入金額を支払っているだけで、ほかに何ら金を出しておりません。
  13. 片島港

    片島委員 しかしこの軍艦「梨」そのものがあなたの方の所有権になっておる。そうして大蔵当局にお伺いしますと、富士製鉄だから払い下げをしたので、ほかのところには払い下げはしない。富士製鉄が社の名義をもって委任状出しておりますので、それであなたに代理でこのやつを買ってくれ、しかしおれのものだ、富士製鉄のものだ、こういうことになって、初めて大蔵当局払い下げをしておるのでありまして、所有権があなたの方にあるのならば、ほかのものがこれをいろいろ持ち回って、歩くということになると、当然あなたの方から苦情が出てしかるべきだと思うのでありますが、その点はいかがでありますか。
  14. 葛誠四郎

    葛参考人 この点に対して私どもは非常に心外だと思っておりまして、委任をしております三晃物産に対しましては、私どもくず鉄納入を早くしろということを督促しております。
  15. 片島港

    片島委員 それではあなたの方では、この所有権をほかに譲渡しようというような意思はないのでございますか。
  16. 葛誠四郎

    葛参考人 私の方はくず鉄を入手することが目的でございまして、そんなことは毛頭考えておりません。
  17. 片島港

    片島委員 さようですか。あなたの方が所有権者でありますから、所有権者所有権を譲渡する意思がないということになれば、中にいかなる人が入ってどういう工作をしようと、私たち安心をいたしました。それによって安心をいたしたのであります。  そうするとあなたの方は今防衛庁の方とも何らの関係もなく、やはり依然として前と同じように所有権自分の方にあるとお考えでありますか。
  18. 葛誠四郎

    葛参考人 もし国家が必要であるということで、私の方にこの契約を解除してくれというようなお話があれば、これは私どもとして応じなければならぬと思っております。
  19. 片島港

    片島委員 私は第一、この所有権を獲得せられるのに、一銭も金を払わないで所有権を獲得せられたということ自体が実は不思議であります。こういう大きな価値のあるものをただ所有権を獲得せられておるということで、あなたの方ははかに金を出している方がいろいろと運動をやり、これをやりとりしておってもいたし方がないというふうに考えられておるのじゃないかと思うのであります。しかし所有権者が首を縦に振らなければどうすることもできないということは当然であります。もしあなたの力で、ただこれを獲得するために富士製鉄という名前が必要だから名前だけを貸してやろう、そして富士製鉄という非常に有名な信用のある会社名前出したので、大蔵当局安心をしてその方に払い下げをした、こういうことであります。そしてあなたの方の三百五十四万円の契約書にあります通り、所有権用途変更はしない、五年以内に譲渡あるいは用途変更をした場合には違約金を支払った上に、なおかつ無条件の解約を受けるというのに判こまで押してあるわけであります。ちゃんとあなたの方で契約書出しておられるわけであります。もしあなたの方でほんとうに所有権を獲得する意思がなくして、名義だけ貸したということになりますれば、そして大蔵省すなわち国を欺いたといいますか、そういうことになるとすれば、これは当然商法趣反ということも出て参るのでありますが、この際あなたの方で所有権を確認せられるかどうか、そしてあくまであなたの方の考えによって今後この契約を履行していかれるかどうか、この点をはっきりとあなたの言質を取っておきたい。と申しますのは、金を払わないで所有権は取っておりますが、その後の操作を見ますと、あなたの方と共同払い下げ名義になっております漁業組合は、北星でありますか新生でありますか、その方から百六十万円の、実は何といいますか補償金というのをちょうだいいたしまして、そしてあなたと共同名義で、あなたと共有している漁業組合はもうこれから手を切ってしまいました。そうして実は買い上げ方の公文書を防衛庁長官あて出しておるのであります。富士製鉄地元漁業組合両方共同大蔵省から払い下げを受けまして、あなたと二人で持っている片方の方は、すでに自分所有意思を放棄しまして、そして防衛庁当局にこれを買い上げてくれと言う半面、補償料として、あなたのところでなくほかの方から百六十万円の金をちょうだいをして、組合員に分配して、すでに所有権を実質的に放棄をしておる。あなたの方は所有権を持っておられると言う。二人が共同で持っておられるのならば、両方が話し合った上でこの処分というのもはやらなければならぬものだと私は思うのでありますが、その点はいかがでございますか。
  20. 葛誠四郎

    葛参考人 当方は漁業組合がそのような態度に出ておるということを全然知りませんでした。五月二十六日付中国財務局長からの三晃物産社長あての書簡で契約解除方法防衛庁との関係で処理いたしたい方針であるから御了知願いたいということを言って参っております。こういう意思でおられることであるとしますれば、私の方では考慮しなければならぬと思っております。
  21. 片島港

    片島委員 今の話はよくわからぬのでありますが、あなたの方が所有権をあくまで固執せられるということになりましても、二人で持っておるものを、片一方の人はすでに百六十万円の命をちょうだいして、防衛庁の方に買い上げをしてもらいたいという北星船舶会社に対して、一緒にあと押しをして、防衛庁との話し合いを進められておるわけです。あなたの方は、所有権を持っておられながら、そういうことをやっておるのなら、考えなければならぬ。それを知らないということはおかしいのでありますが、もう少し明確に……。
  22. 葛誠四郎

    葛参考人 今の、漁業組合がそういう措置に出ておるということは、私どもは関知しません。知りません。
  23. 片島港

    片島委員 それでお二人で持っておられる一方の方、すなわちこれは共同払い下げを受けておるのですから、協同組合とあなたの方が共有しておる。だから二人でしか処分ができない。その二人が話し合いをしなければ、一人だけで処分することはできないわけです。ところが一方は百六十万円いただいて、すでに防衛庁売り込みの手助けをして、あなたの方は置いてきぼりをされておるということを考えますときに、やはり三晃物産ただ委任をされたということになっており、金も一銭も出しておられぬということになるならば、富士製鉄という信用のある会社名義をうっかりでありますか、故意でありますか知りませんが、名前を貨しただけであって、その後のこの「梨」の処置については全然関与をしておらない、私の方はただ名前を貨してくれというから委任状を書いただけということになるのじゃありませんか。
  24. 葛誠四郎

    葛参考人 私どもは従来国内くず鉄を計画的に買い入れておるのでございますが、その納入業者の一人として三晃物産があるわけでございます。その三晃物産が月々に私の方から契約した数量くず鉄を納めておるのでありまして、その一端としてこの駆逐艦解体をして、そうして私の方に納入させるという目的でやらしたのでありまして、私どもは購入しているくず鉄のほんの一部分を三晃物産委任したのであります。
  25. 片島港

    片島委員 よろしゅうございます。またはかの方から承わりますが、問題は、あなたの方では今でも所有権はあると思っておられる。漁業協同組合が勝手にそういうことをしたということは関知しないし、けしからぬ話である。防衛庁との売り込み交渉あるいは漁業協同組合が百六十万円ちょうだいして、すでに自分の方では所有意思を放棄しておるこの点はあなたはお認めになりますか。
  26. 葛誠四郎

    葛参考人 これは新聞で見ましたし、私が先月の終りごろ担当者から今そういう困難な事情になっておるのだということの報告を受けております。
  27. 片島港

    片島委員 百六十万円の問題はそれでよろしゅうございます。それだからあなたの方は関知をしておられない、こういうことですね。それから所有権自分の方で持っておって、これをどこかに譲るという考えは今のところまだないし、あるいは防衛庁との売り込み問題なども全然あなたの方は関係をしておられない、そういうことでございますか。
  28. 葛誠四郎

    葛参考人 その点に関しましては、この業務を担当さしております田畑常務取締役にお答えさせますが、よろしゅうございますか。
  29. 上林與市郎

    上林委員長 直接答弁して下さい。
  30. 片島港

    片島委員 こういうわけです。所有権はあなたの方にあると、払い下げをした大蔵当局がそう言っておるわけでありますから、所有権は今のところあなたの方で持っておられる。ところが漁業協同組合があなたの方に断わりなしに、一方的に防衛庁売り込みをしている。何も相談はなかったんですね。あなたの方は了解しておらない。防衛庁との関係についてもあなたの方は関係はない、そうでごさいますか。――それではよろしゅうございます。
  31. 田中彰治

    田中(彰)委員 関連して。ちょっと参考人にお伺いいたしますが、あなたの方でこういう委任状をお出しになるときは、会本社重役会議できめられるとか、社長了解を得るとか、あるいはそういうものを得たら、それを何か記録に残しておくとか、それともあなたが勝手にこういうものをお出しになるのか。そういう方の規則はどうなっておるか。
  32. 葛誠四郎

    葛参考人 作業所長くず鉄を購入する二とは、明文では社長から委任されてはおりませんけれども、従来の慣行として所長国内くず鉄を購入することをまかされております。それに従って私が契約しておるのであります。
  33. 田中彰治

    田中(彰)委員 そうしますと、あなたが社長とか重役に相談しないで、委任状をお書おきになったんですね。そこで私はお尋ねしたいんですが、あなたの会社ただ株主の金だけでやっておるのではない。国民が泣いて納めたたくさんの命を開発銀行から借りて政府からお世話になっておる。そういう会社の少くとも重役であるあなたが、こういう委任状を書かれている。その委任状でこの軍艦払い下げを受けて、他に転売してしまった。委任状払い下げを受けるという契約さえできれば、金を納めなくても転売はできます。そういうことをして国に損害をかけた場合に、たとえば転売してこういう事件を起した場合に、払い下げ相当額に対する二割くらいの損害は、あなたは委任状を書いた関係上払わなければならぬ。こういうことはちゃんと契約書にうたってある。そういう国民の税金をたくさん使っておる会社が、こういう重大な委任状を書くのに、何の了解もなく書かれる、あなたがそういうことを書かれたとしたらなお責任重大だから、この委任状において払い下げられるものについて、あなたの方は関知されなければならぬ。たとえばあなたのここに書いてあるように、平炉に入れるくず鉄を購入するために、払い下げ委任状を渡された。ところがくず鉄にならないで軍艦となって、ほかへちゃんとつながれている、ドックへ入っているでしょう。しかも修繕料を払ってある。それを今金を出しておらないから知らないと言われるけれども、あなたはこの委任状を帯いて、その委任状によって会社がどんな迷惑をこうむろうと、会社にどんな損害をかけようと、それは平気だ。それからまた委任状は書いたが、その品物がどこへ売り渡されようと、どこのドックへ入ろうと、くず鉄が来なかろうと、あなたの方は勝手だ、知らないというような無責任なことで、富士製鉄常務取締役が勤まりますか。私も富士製鉄の株を持っているが、そんな重役富士製鉄にはいないはずです。そんなことで済みますか。小さく考えてごらんなさい。あなたが家屋を売るという委任状を書いてごらんなさい。私がそれで金を取って、あなたに払わないで逃げてしまった。それでも仕方がございませんよ。しかも国の財産ですよ。国はこれを三百何十万なんかで払い下げるんじゃありません。富士製鉄という、開発銀行の金を使って日鉄と肩を並べるような製鉄会社がこれをくず鉄としてつぶす、その鉄がまた新しく軍艦を作る上においても役に立つし、いろいろな貿易関係にもいいし、そういう関係から富士製鉄名前を出すならば払い下げしてもいいというので、国有財産を――これはあなたの金じゃありませんよ。私の金でもありません。国会議員ばかりの金でもありません。みんな国民が戦争中つめに火をともすようにして集めた金で作った軍艦なんだ。国有財産だ。それをあなたがくず鉄をあれする人に、会社名前で、しかも取締役と書いてこういうものを響いて、国をだまして、その軍艦くず鉄にしない。他のドックに入れて、しかもその半分の漁業協同組合の権利を百六十万でほかへ売っておる。こういうようなことをしたのを、あなたは知らぬで済みますか。そんなことをおっしゃるより、初めから三晃商事なら三晃商事というくず鉄屋からあなたがわいろをもらって書いたとか、ただ名前を貸してやったんだとか、国をだますため安く払い下げをしたと、なぜおっしゃらないのか。これで済みますか。私はあなたに対して国民として訴訟でも何でもしますよ。委任状というものを法的に考えてごらんなさい。これが払い下げをしてほかへ売ってもいいんだ、その人は金を払わなくてもいいんだということになると、あなたは何千万円何百万円という金を払わなければならぬ。この委任状においてどんな間違いが起きても、あなたの会社はその間違いの責任を全部負わなければならない。そんな委任状をあなたは簡単に出した。あなたは重役なんですよ。よく委任状というものの責任考え答弁して下さい。
  34. 葛誠四郎

    葛参考人 私どもは沈んでおる軍艦を、どこまでもくず鉄を入手する目的払い下げをさしたのでありまして、目的はどこまでもそれで貫いております。そしてくず鉄を入手するためにその解体経過、その後の経過報告をずっとやらせております。今どういう経過になっておるか。そしてくず鉄入荷数量が予定よりも少いから早く入荷するように、早く仕事をするようにということは督促をしております。そういうことで、私どもはどこまでもくず鉄として入荷させるということを建前にして努力して参っておるのであります。
  35. 田中彰治

    田中(彰)委員 それでは、この軍艦からくず鉄は出ておらないじゃないですか。軍艦はちゃんと浮んでドックにつながっている。これからくず鉄なんて納まっておらぬじゃないですか。金の収納は、あなたの方に納めるときに、あなたが委任状を書かれるしときに、この金を幾ら納めた、こうだということに対して、委任者からちゃんとその領収書をあなたがとられるとか、あなたが金を出してやるとか、向うが金を立てかえていれは向う国家にこういうものをこうしたとか、それを出しておらぬじゃないですか。金の受け取りはだれがしているのか、わかっていますか。だれの名前で納めているのか。これは調べねばならぬ責任がありますよ。あなたが委任状出したんなら、三晃商事でこの金を出さなければならない。三晃商事で納めておらないじゃありませんか。あなたは百六十万で売ったことも知らない。くず鉄報告を受けたと言っておりますが、この軍艦はどこに行っておるんですか。払い下げてからだいぶたつんでしょう。それに対してあなたは、そういうことがあったらなぜ委任者として国に解除方を申し出るとか、その人に対して仮処分をしておくとか、どこかへ売れないようにしておくというように何かなさらなければいけないじゃないですか。それじゃ言っておきますが、これに対して一方的に解約します、そのとき損害金が出るでしょう。他に売ったということがわかったり他の名義になっているということがわかると二割くらいの損害金を払わなければならない、そうものをあなたの方で持ちますか。それを聞いておきます。あなたの方で委任者として国に対して即座に払いましょうね。それを御返答願います。
  36. 葛誠四郎

    葛参考人 解体してスクラップを当社に入荷することがおくれておるという事案を知りましたので、昨年九月にぜひこれを早く促進してスクラップとして納入するようにという督促出しております。さらにそれに続いて私どもはこの入荷を始終督促して参ってきておるわけであります。今までに入りましたのが二月に約三十トンくらいであります。そういう実績になっております。
  37. 田中彰治

    田中(彰)委員 それはおかしい。くず鉄納入よりも、ここにとにかく三百五十四万円を納入したのはだれですか。あなたが委任状を書いてるんですよ。自分委任状書いてるんだから、くず鉄納入しろと三晃商事に対して言われているという。ところが金をだれが納めてるんですか。金は三晃商事が納めてるのじゃありません。北星船舶社長の又場常夫という人から書が納まっておる。あなたが委任状を書いたものを、金をよそから納めてあるでしょう。あなたが委任状を書いたならば、三晃商事に、いつ金を納入したかとか、領収書を見せろと言う権利があるでしょう。それがあなたのものになったとか、所有権を確かめることがあなたの責務だと思う。実際金をだれが払っているかわかっていますか。受け取りをごらんになりましたか。そういう国原の何億という財産払い下げるのに、それをわずか三百万か三百五十万で払い下げをしてもらう、それに委任状を書いたんだから、委任状の法的の性質から見ても、国有財産払い下げの性質から見ても、三晃閥事に委任したなら三晃商事が金を納めたのか、領収書を見るなりいろいろしなければいけないでしょう。見ておらなければ、委任名前を貸しただけで、くず鉄を納める責任はどこにあるんですか。あなたはこの金をだれが払っているか御承知でしょうか。
  38. 葛誠四郎

    葛参考人 この金は三晃商事が払ってるものと私どもは解釈しております。
  39. 田中彰治

    田中(彰)委員 領収書を見ましたか。払ったものと解釈、ではいかぬのじやないですか。領収書を見ましたか。何百万の金ですよ。富士製鉄という会社は一体そんな会社なんですか。あなたは委任したんでしょう。委任したならばいつそれが落札になったか、金はだれが払ったか、それからいっこうなったかということをどうしてお調べにならないんですか。それを見ていなければ、あなたの委任というものは権利のないものじゃないですか。あなたに、これをやったから懲役にやるということを言ってるんじゃない。正直におっしゃい。
  40. 葛誠四郎

    葛参考人 私は正直に申し上げております。ほんとうのことを申し上げております。
  41. 田中彰治

    田中(彰)委員 だれが金を払ったかも知らない、それを確かめておらない。それでいいんですね。そうしてそれに対しては払い下げをした三晃商事くず鉄を納めろ納めろといって督促した……。
  42. 葛誠四郎

    葛参考人 私は三晃物産委任しておりますから……。
  43. 田中彰治

    田中(彰)委員 それでいいんでしょう。あなたはだれが金を納めたか知らないんでしょう。それでいいです。
  44. 山本正一

    ○山本(正)委員 関連してちょっと伺いますが、あなたの会社と平郡漁業協同組合とが共同払い下げの申請をしておりますね。認可になったのも共同名義で認可になっているんじゃないですか。ちょっとそれを念のために伺いたいと思います。
  45. 葛誠四郎

    葛参考人 そう解釈しております。
  46. 山本正一

    ○山本(正)委員 そういたしますと、払い下げを受けた品物の所有の権利は、この払い下げを受けた組合とあなたの会社共同所有になるわけではありませんか。あなたは最初、形式的には所有権は私の会社にあるものと思うと言われておるが、その所有権というのは実はあなたの会社だけではなく、払い下げ共同で申請して、共同で認可を受けた組合と会社とが共同所有であるという意味ですか。
  47. 葛誠四郎

    葛参考人 そういうふうに解釈しております。
  48. 山本正一

    ○山本(正)委員 そういたしますと、共同所有についての何か契約書というものが組合と会社との間にできておるのじゃないでしょうか。この所有権をどう処分するかということについて……。
  49. 葛誠四郎

    葛参考人 詳細は事務担当の者に……。
  50. 上林與市郎

    上林委員長 承認を得なければ答弁ができませんから……。
  51. 葛誠四郎

    葛参考人 お答えします。漁業組合長と私との間で誓約しております。それは「中国財務局所管の普通財産払下申請に当り貴社と共同申請を致すことになりましたが当組合として魚巣に利用する船腹(約二五〇屯)以外のものに付ては一切関与致しません。なお当組合払下の船骸に付ても魚栄として不必要になった暁は優先的に貴社にお譲り致します。」という誓約をいたしております。
  52. 山本正一

    ○山本(正)委員 その書類の通りにその後事情が運ばれておれば、組合とあなたの会社との間には何らトラブルはないはずですね。そこで今田中委員からお尋ねのありました、あなたの方はこの運び方を三晃商事というものに委任状でまかせてありますね。その委任状は資料として私どもも拝見しておりますが、委任をしたあなたの方の会社に断りなしに、三晃商事が勝手放題に処分をしてよろしいという意味の委任状ではございませんね。
  53. 葛誠四郎

    葛参考人 そうではございません。
  54. 山本正一

    ○山本(正)委員 そこで結論は、三晃商事会社委任の範囲を越えて、委任されないことを勝手に処分した場合は、法律上効力がございませんね。委任の権限外の行為でございますから、そういうことですね。そこでこの三晃商事が果して委任の趣旨に基いて事を運んでおるかどうか、これはあなたとしては非常に重大な注意を払わなければならぬ。今伺った秘匿ではどうも重大な注意を払っておるようにも見受けられない。そこに委任者としての非常に怠慢と申しますか、そういう感じが強いのです。それから委任の権限外の行為をされた事実について、これを取り消す考えがあるのかどうか、この点について伺いたい。
  55. 葛誠四郎

    葛参考人 この三晃物産委任したことについての事が運ばれている経過について、これは私は、部下の業務部長に担当させて、監視しておるのであります。何しろ月に六万トン以上の鋼を作っております工場で、購入するスクラップの量も非常に多く、また購入先も非常に多いのでございまして、千トンくらいのスクラップを購入することについて、一々私が事務的に始終これを監視しておるということはなかなかむずかしいことでございまして、これは担当部課にまかせております。担当の部課は私の命を受けて、くず鉄納入させる目的に従って善処しておるものと解釈しております。
  56. 山本正一

    ○山本(正)委員 まあそういうこともありましょう。ありましょうが、どうもあなたの説明だけでは世人の納得を得るには困難でしょう。具体的に申しまして、これはあなたと、共同所有の組合が、これをくず鉄ではなくして、軍艦として使ってもらいたいということを公けにしておりますのは、もう十カ月も前のことであります。しかもこの払い下げの代金を現実に国家へ払ったのは、あなたではなくして組合でもない。全く無関係北星船舶というものが、この払い下げの三百何十万の代金を払ったのは、もう一年も前のことです。そういう権限外の事柄が着々進んでおることを、一年間も責任者であるあなたが知らなかったというようなことは、世人がこれを納得できますか。のみならず、払い下げ代金というものは払い下げを受けたものが納めるものです。ですからここで率直に申すと、あなたの方は何らか世人に説明のできない事情によって、ただ富士製鉄という名義を貸し与えただけであるというふうな疑いは、どうしてもふき去ることはできません。そういう点を中心にして、あなたはもっと国会が納得できるような具体的な説明をなされなければならぬじゃないと思います。
  57. 葛誠四郎

    葛参考人 このことに対して事務的に詳細に説明させたいと思いますので、私の方の業務部長に発言させることをお諮り願いたいと思います。
  58. 上林與市郎

    上林委員長 ちょっと質問通告者に御相談しますが、大体申し合せ時間が参りました。質問の順序を順序通りでなくて、順次発言してもらいたいと思います。御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 上林與市郎

    上林委員長 それではそのように取り計らいます。  ただいま富士製鉄の葛さんの方から、参若人の追加選定の申し入れがございましたが、どう取り計らいましょうか。
  60. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 一応葛さんに対する総括的な質問を終って、もし必要があれば、あとで補充的にやるとして、今おっしゃっておるようなことだけでは、私もなおよほどお聞きしなければならぬ点がある。一つ相談をなさらずに、葛さんの頭の中で答弁のできるだけでけっこうですから、御答弁を願いたいと思います。
  61. 上林與市郎

    上林委員長 佐竹委員の御発言の通り取り計らうに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 上林與市郎

    上林委員長 さように決定いたします。それでは山田長司君。
  63. 山田長司

    ○山田委員 「梨」の払い下げ契約を締結した当時、昭和三十九年六月ごろですが、そのころ広畑製鉄所スクラップされておったストックはどのくらいあったのか伺いたいと思います。
  64. 葛誠四郎

    葛参考人 はっきりした数字は覚えておりませんが、六、七万トンあったんじゃないかと思います。
  65. 山田長司

    ○山田委員 当時の広畑製鉄所における生産能力はどのくらいですか。
  66. 葛誠四郎

    葛参考人 その当時は、月五万トンぐらいの鋼塊を製造しておりました。
  67. 山田長司

    ○山田委員 当時広畑製作所には、千二百トンからの大量のスクラップを入手せねばならぬほどの注文はなかったというふうに見込まれているが、またそのような資金が準備されておったかどうか、伺いたいと思います。
  68. 葛誠四郎

    葛参考人 そのときは六、七五トンありましたから、ぜひ購入しておかなければ仕事に差しつかえるという程度のものではなかったのでございまするが、その後三、四カ月後あるいは六カ月後、どういう変化があってくず鉄の購入が必要になるかわからないので、この際これを漸次に破砕して納めさせる。そして平炉の原料として目的を達成するということで、私どもはそれを委任したのであります。
  69. 山田長司

    ○山田委員 実はこの間、呉造船所にも、さらに北星にも、それから漁業組合の組合長にも、私山口まで行って会ってきたのですが、どうしてもふに落ちないのは、先ほど山本委員の質問されましたように、あなたの方に三晃から委任状の交付を依頼されたものだ。あなたの方が三晃に委任をしたのじゃなくて、三晃があなたの方に委任状出してもらいたいということで依頼したものだと、私は私なりの解釈をしているわけなのですが、そのことについて製鉄所が三晃に委任したものか、三晃があなたの方に委任したものか、その点明確にしておいていただきたいと思うんです。
  70. 葛誠四郎

    葛参考人 これは三晃物産から私の方に払い下げを申請してもらいたいという要請がありました。それによって私たち委任をしたのでありますが、このことばかりではない、しばしばそういう方法でもって私どもくず鉄払い下げを受けております。
  71. 山田長司

    ○山田委員 三晃からあなたの力に払い下げをしてもらいたいということを頼んだといっても、実際あなたの方はただ払い下げの許可をもらっただけで、金は一文も出してないのですから、問題にここにあるわけなんです。漁業組合もあなたの方も金は一文も出してないのですから、そこは払い下げを申請して許可をとっただけのことなんです。それで三晃があなたの方に払い下げをしてもらいたいといったって、実際はこの点はどうしてもわれわれに納得ができないんです。三晃にあなたの方で依頼する、それで三晃は委任状でそれから先今度北星契約が結ばれているのですから、ここに問題があるわけなんです。花畠の方との契約については、富士がもし必要としない場合においては、三晃と国と契約をするのだ、こう三晃の連中は言っておるわけなんです。ですから委任状はあなたの方で三晃から頼まれて出したものとしか、理解できないのです。その点どういうふうになっているのか、もっと明確に答えてもらいたいと思うんです。
  72. 上林與市郎

    上林委員長 ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕
  73. 上林與市郎

    上林委員長 速記を始めて下さい。
  74. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ちょっと関連して。今質問の時間を十分に制約せよというお話でありましたが、やはり富士製鉄は買い主として、買い主の常務取締役として非常に重要な立場でありますので、もし時間が延びるようでしたら、延ばしてもいいと思うのです。
  75. 上林與市郎

    上林委員長 皆さんよろしければ、それでよろしいのですけれども……。
  76. 田中彰治

    田中(彰)委員 これは私は非常に重要性があると思うのです。契約会社契約になっておる。委任状はこの人が直接出しているのだから、これは無効だと思うんです。大へん重大な問題が出てきますから、この方ともう一人ぐらいいていただいて、あとの方はお帰り願って、あとで呼ぶようにしてまた十分にやりたいと思います。お取り計らいを願います。
  77. 上林與市郎

    上林委員長 それでは質問を継続して下さい。
  78. 山田長司

    ○山田委員 私が伺いたいことは、あなたの方は買ったというけれども、一文も出してないんですよ。一文も出さなかったところは、買ったといっても社会通念上これは買った本人とは見られないわけなんだ。この点が幾ら大会社であっても、ただ申請を出しただけで金は一文も出さずにおいてその船は私が買ったんだと言っても、世間一般の通念上これは買ったものと見なし得ないんですよ。だから三晃は、あなたの方に委任状を出すことを許してくれないか、こういうふうに願い出たものと私は思うのです。あなたの方の買ったと思っている根拠は一体どこにあるのですか。
  79. 葛誠四郎

    葛参考人 その当時私どもスクラップの買い方としては、前金を払ってスクラップを買うという方式はとっておりませんのでして、スクラップが入ったときに金を払って買うという方式をとっておったのでございます。
  80. 山田長司

    ○山田委員 あなたの会社スクラップが入ったときに買う、こうあなたは言っておるけれども、そうじゃないんだ。軍艦払い下げたのはあなたの方へ払い下げたので、払い下げられた本人、あなたの方で漁業組合と一緒に金を出して、それについての一切のサルベージ事業をやらなければならぬ筋なんだと私は思う。この点理解ができないんです。あなたの方では、金を一銭も出さずにおいて、その船はおれのものだと言っても、国の財産ですから許せない。三晃は、北星というサルベージ会社の人たちと、富士製鉄がこの船を必要としない場合にはこれを北星委任すると言っているのですから、三晃は一銭の金も出さないで北星の方に委任すると言っても、われわれ理解ができない。あなたの方から委任状を頼んで出してもらって、その委任状北星との交渉をしたものとわれわれは思うわけですが、その点どうですか。
  81. 葛誠四郎

    葛参考人 私どもは三晃物産払い下げを申請することを委任したのでございます。
  82. 山田長司

    ○山田委員 そうするとあなたは三晃から委任状を出せということについて、あなたの方から委任状をほんとうに出したのですか。私はどう考えても、三晃からあなたのところに委任状を響いてくれないかということで頼みに行ったとしか理解ができない。その点どうなんですか。正直に言って下さい。
  83. 葛誠四郎

    葛参考人 正直に申し上げます。私のはっきり覚えておるのは、一年ばかり前こういう払い下げについて三晃物産委任するということをしてもよいかということが私の方に出てきたとき、あれは六月の九日かと思いますが、これは決裁しております。これではっきりしておると思います。
  84. 山田長司

    ○山田委員 そうすると、今度はその三晃はさらに北星に一切の権限を委任してきているのだが、そんな権限をあなたの方は、三晃に委任したのですか。
  85. 葛誠四郎

    葛参考人 そんなことはありません。
  86. 山田長司

    ○山田委員 その三晃は北星サルベージ会社委任したものだから今度は北星はさらに委任された形において呉造船に船を持っていって、頼みもしないものを船みがきを始めているのですよ。ここに問題がある。そればかりでなく、さらに資金元の北星に対して、東京銀座七丁目にある新生という会社では、ここへ金をやっておる関係で、聞くところによると防衛庁に四億七千万円で新生がこの船の売り込みを始めているという。そうすると三晃にそんな権限をあなたの方で与えていないとすれば、三晃が北星契約していることなんかはうそになってしまう。だから私はここであなたに伺いたいのは、三晃はあなたの方に委任状を頼みに行っておるとしかどう考えても解釈できない。そんな権限を三晃には委任していないでしょう。一体どうなんです。
  87. 葛誠四郎

    葛参考人 私どもは三晃物産信用してやらしておるのでありまして、そういういろいろな問題が発展しつつあるということについては知りません。
  88. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 今の問題ですが、どうも問いに対して答えておらぬ。そこで聞きますが、あなたはあなたの会社の代表取締役ですか。
  89. 葛誠四郎

    葛参考人 違います。
  90. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 代表取締役でない者が、国の所有軍艦を、よし沈船にしろ買い付けるという重大な契約をすることを、あなたは他人に委任するという権限もなかろうと思うのですが、その点はいかがですか。
  91. 葛誠四郎

    葛参考人 私どもは毎月スクラップを何万トンと買っておりますものの一端として、この払い下げ申請をしたのでございます。
  92. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そういう事実を聞いているのじゃない。あなたは代表取締役でないから権限がなかろうと聞いておる。それに対して答えて下さい。
  93. 葛誠四郎

    葛参考人 この問題につきましては、先ほども申し上げたのでありますが、従来作業所で国内くず鉄を買うことにつきましては委任せられておりまして、私の権限で買い付けをしておるのが慣行でございます。
  94. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうしますると、あなたは代表取締役からそのようなくず鉄として買い付けをするときには委任をされておるので、その慣行によってこれを実行した、こういうふうに理解していいのですね。
  95. 葛誠四郎

    葛参考人 さようでございます。
  96. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そういたしますると問題はさらに生じまするが、一つあとへ譲りまして、あなたの方は、富士鉄は国に対して代金を支払っておらぬということは、お認めになるのでございますね。
  97. 葛誠四郎

    葛参考人 私は委任した三晃物産に払わせておると思っております。三晃物産が払っておると思っております。
  98. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これはやはり国と重大な契約をするのでありまするから、委任を受けたものが払ってくれておるものと思うというような、そういう実にたよりないことは許されない。あなたの方は自分が払うべき義務があろうと思う。そこで山田委員の問いに対して、自分が代金も支払わないで所有権を持っておるというのは、なぜ一体、んなことが言えるのかという問いに対して、あなたは答えない。委任をされた三晃が代金をかわって払ってくれておるものと思う、そういうのですね。そこであなたの方はやはり買い受けたということを信じておるわけですか。
  99. 葛誠四郎

    葛参考人 三晃物産にこの代金を払えということを私の方から言っております。
  100. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ところが、三晃物産というものは何も代金をまだ払っておらぬという事実は、あなたは知っておるのか知らないのか。
  101. 葛誠四郎

    葛参考人 最近になって聞きました。
  102. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 何をお聞きになったのですか。
  103. 葛誠四郎

    葛参考人 三晃物産が払ってないということを聞きました。
  104. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 あなたは代表取締役から重大な権限の委任を受けて、それによって売買契約を実行して、国から物を買うのに莫大な金が支払われておらぬという事実が最近にわかった。そして去年からくず鉄納入しろ、くず鉄納入しろという催促をされた。一体そういうことはできるのでしょうか。これは少くとも大きな手落ちであったというふうにお思いになりませんか。
  105. 葛誠四郎

    葛参考人 金を支払ったという通知を受てけおりましたので、私どもは支払いが完了しておるものと思っておったのでありますが、最近それがほかの方から支払われておるということを聞きました。
  106. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 あなたの方が月間数万トンの生産能力を持った日本有数の大会社であることは知っております。けれども相手は国であります。国の軍艦を買うたのであります。あなたの方の代表名義を用いまして、あなたの方は今所有者になっておるのであります。そこでそのくず鉄が入る状態にあるかないかくらいは知らなければならぬのは当然なんだ。現に呉の造船所において陸揚げをして機械は全部取りはずしてみがきをかけられて、そうして呉造船所がずっと以前からこれに手入れをしているという事実は、あなたは知っているのか知らぬのか。
  107. 葛誠四郎

    葛参考人 その経過報告は私の方に取らせておりますが、私自身はそのことを最近まで知らなかったのです。
  108. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 しかしながらあなたのさきのお話によれば、くず鉄納入を三晃に督促する、そうして常時報告させておる。しかも幾たびか督促した結果、三十トン二月に入ったということをあなたはお述べになっている。その数量は小さいかもしれませんが、現に防衛庁では人間を派遣して調査をして軍艦にしようという計画が進められている。防衛庁との間に重大な売り込みの話が進行しておる。にもかかわらず、あなたは今なおくず鉄納入督促する、そんなばかげたことができ得る状態かどうかということは、常識から考えてもわかる。あなたも会社をお預りになった常務取締役であるなら、現に呉造船所は御承知のように播磨造船所の分身じゃありませんか、だからあそこにあなたのいう所有物があるということを御承知でしょう。あなたの会社所有物が、呉造船所におきまして機械全部陸揚げをせられてみがきをかけられておるという事実を、あなたは知らなかったのか。
  109. 葛誠四郎

    葛参考人 くず鉄納入は……。
  110. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 くず鉄じゃない、機械です。
  111. 葛誠四郎

    葛参考人 私の方はくず鉄だけを買い取ることにしております。くず鉄の入手については、前々お話した通り絶えず督促を続けて参ったのでございます。
  112. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これは国会の答弁ですから、あなたの商売上の話じゃないのだから、やはりほんとうの信念と事実に基いて述べてもらわなければいかぬのです。現に数億円の時価を持つ軍艦の一切の機械が呉造船所において保管されております。かつみがきをかけられております。私ども行って見てきたのであります。あなたは見ておらぬかもしれぬが、そういう状態になっている。また呉造船所にしてもだてや酔狂でそんなことをしておりますまい、彼も商事会社でありますから……。でありますから、人間を使ってみがきをかけて、一体どこの、委託を受けておるのかといったら、はっきりした委任関係はわからぬということでありますけれども、いずれにしてもその数億円の時価を持つ機械がみがきをかけられておるという現状にあるにかかわらず、あなたの方はくず鉄くれ、くず鉄くれと言っているのだが、くず鉄出し得るような状態で全然ないということをあなたは知らないのかというのです。そこを言うておるのです。くず鉄として買うたのだからくず鉄の催促をするのは当りまえですというのは、小僧さんの言うことです。会社取締役の言うことじゃありません。国と軍艦の売買契約をして、それでくず鉄をくれ、くず鉄をくれというようなことは、このりっぱな議事堂の建築物に向って、建築物のくずがあったらくれというのと同じほど論理の合わないお話であります。今の状態は逐次軍艦の再造に向って進んでおるのであります。それにくず鉄をくれ、くず鉄をくれというような、そんなわけたことは言える道理でもなければ、あなたは自分所有物と言っておるが、所有物がそういう状態でないということはわかりきっているのに、なぜ一体そういうことが言えるのです。そこをはっきりしておいてもらいたい。
  113. 葛誠四郎

    葛参考人 私は最近になってそのくず鉄にすべき沈艦がそのような状態になっているという報告を受けましたので、非常に心外に思っておるのでございます。前々から私どもはこの軍艦の処理については督促しておるのでございます。書類をここで読み上げますと「中国財務局より払受けの旧軍艦梨については去る七月五日完全浮揚に成功し、艦内残留物の処理、危険物の除去を完了次第初期の目的通り解体に着手の筈の処、態々防衛庁より調査の結果、解体の購入希望の筋があり、当方としても国家的な見地から之が有効に使用出来るのであれば、同庁に対する技術的な説明に限り承諾いたしておりました。然し売買には飽迄物件の契約担当者、即ち現所有者富士銀及漁業組合の承諾を心要とすることは明白な事で、貴社に対しても防衛庁との売買に対しての交渉委任した覚えはなく」……。
  114. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そういう答弁にならないことは述べぬでおいていただきたい。それではあなたに聞きます。あなたはそんな白々しいことを言っているけれども、昭和二十九年七月十日に、あなたの方と共有の漁業組合から防衛庁長官にあてて具申書が出ておるのであります。これによると、北星船舶に対して全権を委任いたしました、そしてこの船が軍艦となったらまことに光栄しごくだという趣旨であります。共有者の一方の相子がそういうことをしているのを知らない。それから同七月十八日に北星船舶なるサルベージ業者は同じく防衛庁木村長宿に対して「梨」を駆逐艦として買い上げしていただきたいという成規の申請書を提出しております。それもあなたは知らない。そこであなたに聞きますが、この共有物件について一方は魚巣にする、あなたの方はスクラップにするという、が実情はそうではない、軍艦に使われる、こういうことについてあなたは共有者の漁業組合との間に何か協議しましたか。
  115. 葛誠四郎

    葛参考人 何ら協議しておりませんが、そういう姿になっていということを聞いて私どもは心外にたえないであります。
  116. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これは心外にたえないといりような問題ではありません。これはあなたの会社所有物でしょう。これはほんとうをいえば時価何億もするのであります。ここにちゃんとその証明が出ている。何億もするようなものでありますから、株主総会に対しましても適当に報告されなければならぬというものであります。くずだくずだと言ってもそれは世間は通りませんよ。でありますから、そういうものについては当然共有者との間で協議しなければならぬと思いますが、それもしておらぬ。これはまことに大きな失態と申さなければならぬと思います。それは一応よしておきましょう。  それで委員長、こういうようなことではいけませんから、やはり私は富士製鉄の代表取締役を当委員会に証人として喚問していただくように理事会にお諮りを願うようにしてもらいたいと思います。
  117. 上林與市郎

    上林委員長 それはあとで理事会で御相談申し上げます。
  118. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 先ほどあなたは「梨」の払い下げ契約をしたことがあるとお認めになった。そしてそれはくず鉄として払い下げを受けることを目的としてしたことである、そして代表取締役ではないが、その目的だから当然その権利があるという趣旨の御答弁でありますが、これは間違いありませんか。いま一度確かめておきたい。
  119. 葛誠四郎

    葛参考人 間違いありません。
  120. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 あなたは富士の代表取締役ではない、しかしくず鉄を買い込むことはあなたの普通の業務であります。くず鉄を買い入れるという普通の業務であります。従って当然常務取締役でなくても、それだけの、委任をするだけの権利がある、こういう趣旨でありますが、しかしごらんの通り写真によると軍艦の現物そのままであります。そこでお尋ねいたしますが、くず鉄を得る目的で買うならば、現在それが軍艦であろうと、それがどんなビルであろうと、常務取締役でないのに、あなたはそれを全部買い入れる権限を持っているとお考えですか。
  121. 葛誠四郎

    葛参考人 私は軍艦を買ったと思っておりません。私はくず鉄を買ったと思っております。このくず鉄を購入することは委任されていると思っております。
  122. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 何もくず鉄を買うとは契約書にはないではないですか。たとえばあなたが古いビルを買うとする。しかし、それはその中にあるところの古鉄を得ることが目標であったことはわかるけれども、現在ビルとして存在する以上は、ビルの売買についてあなたに権限があるかどうかということによって決する。ここに現物のまま軍艦として存在している。そうして沈艦として払い下げを受けられている。その払い下げを受けた後に解体する。解体することによってできるところの古鉄を得ることがあなたの目的であった事はその通りでありましょう。しかし現実にあったものは沈艦であることは間違いない。古鉄を得ることが目的であったかもしれぬけれども、現在存在しているのは沈艦です。もしあなたの言うがごとくであるといたしますならば、ビルをこわして、こわして後に得るところの古鉄、それを得る目標であったからビルを買う権利もあなたはあるとお考えのようですが、あなたはそういう全体的な権利が与えられておりますか。
  123. 葛誠四郎

    葛参考人 私は軍艦をこわしてくず鉄にして購入することの権利はあると思っております。
  124. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 こわして後に得るところのくず鉄は、それはくず鉄となって現われますから、これを得ることはあなたの目的でしょう。目的ではありましょうけれども、現にそのときに存在しているのは沈艦ではないですか。先ほど言ったビルをこわして後に出てくるところのくず鉄、これはこわした後にはくず鉄に相違ないけれども、現在ビルとして存在する以上はビルじゃありませんか。あなたはこういった場合に、現在存在しているものに対して払い下げを申請していることは、申請書によって明白である。現在沈艦としてその払い下げをあなたは申請している。そういう権利があるかというのです。くず鉄を得ることが目的でしょうが、代表取締役でないにかかわらず、現存している沈艦に対して払い下げの申請をする、そういう契約をする資格があるかというのです。
  125. 葛誠四郎

    葛参考人 くず鉄を得る対象としての軍艦を得る権利はあると思っております。
  126. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 そんなたわけたことはおっしゃらないがよろしい。あなたがもしそういう解釈をしているとすると、あなたは権限なくして権限があるかのごとき背任行為をあえてしたことをここで自白するのにひとしい。私も四十年に近き法律生活の中で、法廷における論争を続けてきたけれども、あなたのようなごまかしの弁を聞いたことは初めてである。そんなことで通るものではありません。あなたがもしそれで通るとするならば、場合によったらこれはあとで法律問題にして扱ってみましょう。そしてそれが筋が通るか通らぬか明らかにしましょう。もっとあなたは率直に、実はしろうとでわからなかったとか、あるいは実際はこれこれである。名義を貸した程度であって実は私はこうだといったような、赤裸々なお話しをあなたがなさるならば、あえて私は追及しようとは思わない。この席においては最も卒直に私はお答えを願いたいと思う。  それでは次いでお尋ねをいたしますが、あなたは先ほど、この船の所有権はだれにあるかと言ったら、形式的には富士の方にあると思うと言った。実質的にはだれのものと思っておられますか。
  127. 葛誠四郎

    葛参考人 実質的には私だれのもんだかわりません。
  128. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 ふざけたことをおっしゃらぬ方がよろしい。政府に対して、あなたは実質的に所有権を得る目的でなしにこの払い下げ申請をなさったのですか。
  129. 葛誠四郎

    葛参考人 私の方は金を払っておりませんから、それで形式的には私の方の所有であると申し上げたのであります。
  130. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 そんなことは法律論では通りません。払い下げを申請して、払い下げの許可を受けた以上は、第三者があなたのためにその代金を代弁しようといなとにかかわらず、形式上も実質的にもあなたの所有になることはこれは疑いがない。あなたは実質上の権利を取得しなければ、あなたがくず鉄としてそれを取得する道がないことはあなたのただいまおっしゃる通りであります。あなたはくず鉄を得ることが目的でしょう。実質上の権利を得ないで、どうして払い下げを受けた者からくず鉄をあなたが得られますか。
  131. 葛誠四郎

    葛参考人 ……。
  132. 上林與市郎

    上林委員長 答弁できませんか。
  133. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 答弁ができなければいいのですが、あなたはおそらくこれは実際上名前を貸したにすぎないのだ。あなたの良心としては名前を貸してあげただけであるから、形式上は自分所有権のごとくなっておるけれども、実際は私が名前を貸してあげたんです。ほんとうの実質的な権利者は別にあるんだということを、先ほどのあなたの形式上は富士のものでありますという言葉が現わしておるのではありませんか。――お答え下さい。
  134. 葛誠四郎

    葛参考人 ……。
  135. 上林與市郎

    上林委員長 答弁できませんか。――吉田賢一君。
  136. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ちょっと議事の進行につきまして発言をお許し願いたいのでありますが、今佐竹委員から非常に重要な点につきまして参考人答弁を求めたんでありますけれども、二度にわたって答弁がない。こういう実情でありまするので、これはやはりかくのごときことを繰り返しておりましては真相を把握することが困難になるおそれがありまするので、一つこの際休憩をしていただきまして、緊急に理事会でもお開きを願って取扱い方の御協議をしていただきたい、こういうふうに思います。
  137. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 いま一点だけ聞いて、あと一つ理事会にかけるならかけるようにお取扱いを願いたいと思います。
  138. 上林與市郎

    上林委員長 佐竹君の発言を許します。
  139. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 先ほどの参考人の供述によれば、今までどれだけ代金を払っておるかと片島君から問うたのに対して、三晃物産納入した物件の代価の中から納まっておると思うという趣旨の答弁があった。私はここで聞いて、あなたの声が低かったのでよく聞き取れなかったのでありますが、もしそれに間違いがないとするならば、あなたは三晃物産納入したくず鉄に対して、その三晃物産納入した物件の代価をもって振りかえ納入したものであるというように述べているかに見える。もしそうだとすると、それはほんとうであるかどうか。実質的であるとか、形式的であるとか、一向答弁がないのでありますが、そうだとするとまたそこに真実が生れてくる。一体先ほどの答弁はそれでいいのですか。
  140. 葛誠四郎

    葛参考人 私の方からくず鉄の代価を払ったというのは、二月に解体してスクラップとして納入したトン数に対してのくず鉄代金を払っておるのであります。
  141. 上林與市郎

    上林委員長 徳安君の発言を許します。
  142. 徳安實藏

    徳安委員 ちょっとお尋ねいたしますが、契約書にはっきりと物件名が駆逐艦「梨」と書いてあるのですが、これは駆逐艦漁業組合との間に共同払い下げたものだということははっきりしておるのですが、これはいかがですか。
  143. 葛誠四郎

    葛参考人 その通りです。
  144. 徳安實藏

    徳安委員 それで委任状をお出しになりまして、そうして手続などは他の者におまかせになりましょうとも、自分の方で駆逐艦「梨」というものの払い下げを受けられましたならば、その代金等は当然会社からお払いにならなければならぬのが、まさか富士製鉄が三百五十万円やそこらの金にお困りになるとは思われませんが、どうして違った形の者が納めておって、それを今まで放任しておいたのですか。もし払い下げがきまったならば、進んであなたの会社の方からお払いになるのが当然だ。それを払わないというのが、どうも私ふに落ちない。これはどういうわけですか。
  145. 葛誠四郎

    葛参考人 従来もそういう慣例になっておりますので、三晃物産委任したので、三晃物産に支払いをさせてから私の方に納入させる形にしております。
  146. 松岡松平

    松岡(松)委員 ちょっとお尋ねしたいのは、富士製鉄で従来スクラップを買いつけられるので、多くの沈船の払い下げを受けておられると思うのです。そういう場合、これはまだ小さいものだが、もっと大きいものもある。相当の金がかかるのです。名義を貸した場合があるのか、それとも委任状出してやったのか、一体その形態はどうなんですか。
  147. 葛誠四郎

    葛参考人 従来、払い下げ委任する形でやっております。
  148. 松岡松平

    松岡(松)委員 委任した場合に、その代金は富士製鉄が大体所要の金額を渡しているのじゃないか。払い下げ及び費用に該当する金を。私はくろうとですから、あなたは変なことを言ってもだめですよ。その点をはっきりして下さい。いいかげんに言われても逃がしませんよ。
  149. 葛誠四郎

    葛参考人 従来、くず鉄入手が非常に困難で逼迫しているというような場合には、私の方から金を出してやったことがあります。くず鉄入荷が楽な場合には、私の方で出さずに、委任者において出させております。
  150. 上林與市郎

    上林委員長 それでは、先ほど吉田委員から議事進行について御発言がございましたが、吉田委員の御発言の通り取り計らうに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  151. 上林與市郎

    上林委員長 それではさように取り計らいます。  なお松岡委員の発言がございますから、それを許します。
  152. 松岡松平

    松岡(松)委員 それで、あなたのところは、今くず鉄の入手が楽なときと困難なときとあったと言われておるが、くず鉄は今までに楽なことがあったのですか。私らが考えてみて、おそらく富士製鉄と八幡製鉄とがくず鉄の入手に楽だと考えた時代は、終戦後にありませんよ。しかもスクラップ業者というものは、そんな金の余裕があるものではないのです。あなたのところはほんとうにスクラップとして入手を目的としたならば、金は渡されていなければならぬと思うし、渡した以上は、あなたのところはこれをスクラップに使わなくちゃならぬ。だから先ほど佐竹委員からお尋ねのように、これは名義だけ貸したのじゃないか。その点を卒直におっしゃい。私はくろうとですから、はっきりこれを診察してみて、私の直感に映じたところで名義貸しであることはわかるのです。あなたはこれを名義貸しをしてないと突っぱられると、問題はこんなところで済みません。とても大問題になりますよ。
  153. 葛誠四郎

    葛参考人 結果としては、あなたの御解釈なされるようなことになっていると思います。
  154. 松岡松平

    松岡(松)委員 結果なんかという問題ではない。当初からの問題ですよ。スクラップをもらいたいのか名義を貸したのかということは、当初からの問題です。スクラップを取るんだったら、揚げてみたところがりっぱな軍艦として使えるということになったら、それをスクラップとしてつぶせないとしたら、これを元へ返すのが当りまえじゃないか。富士製鉄というのは日本政府の恩恵をこうむっておらぬ会社じゃありません。単なる私法人だと考えたらとんでもないことだ。富士製鉄の盛衰を考えてごらんなさい。りっぱに軍艦として使えるのに、日本が船に困っているときにそれをスクラップにつぶせるかどうか考えなさい。この場でいいかげんなことを言うんじゃないですよ。初めから名義を貸したから、あなた方ものを言えないのだろう。そこなんですよ。常識に照らしてお答えなさい。
  155. 葛誠四郎

    葛参考人 初めからこの問題について私ども名義を貸すという意思はなかったのであります。それによって私どもはしばしば督促をしてきたのでございます。
  156. 松岡松平

    松岡(松)委員 いよいよ本論になりました。あなたはそれを突っぱられるということになった。名義を貸した覚えはない。間違いありませんな。重ねてお尋ねいたします。
  157. 葛誠四郎

    葛参考人 そういう覚えはありません。
  158. 上林與市郎

    上林委員長 それじゃ一たん休憩いたします。なお予定の通り午後一時から再開いたしますから、御了承を願います。     午後零時五分休憩      ――――◇―――――     午後一時十九分開議
  159. 上林與市郎

    上林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際議事の進行に関して申し上げておきますが、理事会の申し合せによりまして葛参考人に対する残余の質疑は各会派一名とし、質疑は一名当り十分としますからお含みおきを願っておきます。  それでは葛参考人に対する質疑を継続いたします。赤澤正道君。
  160. 赤澤正道

    赤澤委員 私この事件について深く調査もいたしておりません。ただこの委員会に問題が提案になってから若干知識を得たわけであります。この事件につきまして、もちろん国会の性質上、あなた方の方で国に対する詐欺行為があったとかなかったとかを調査するのではないのでありまして、国有財産が不当にあなた方の手に渡って、国が実質的に損をするということになれば、やはり委員として、そういう疑いがあればあくまでただしていかなければならぬ、こういう意味におきましては、こういう事件が明るみに出まして、われわれの方も聞くだけのことを聞き、またあなた方の方も述べられるだけのことを率直にお述べになるということに願いたいと思います。将来これがどういう事件になって発展するか、司法権の方で取り上げる問題があるのかどうか、そういうことは私どもは存じませんが、しかしながら、やはり今まで伺った範囲内では、この所有権の帰属等につきましても、はなはだもって明らかでない点があると思うのです。ここまではっきりしてきたわけですから、今後富士製鉄でこの件をどういうふうに御処置なさるつもりであるか、葛さんの御決意を承わりたいと思います。
  161. 葛誠四郎

    葛参考人 私どもの意図と反して問題は非常に複雑に発展して参りました現下の状態でございます。ことに中国財務局長からも「今回防衛庁が使用することになったので、合意の契約解除の方法で処理いたしたい方針であるから御承知願います。なお解除に関する契約書については、目下検討中でありますから、あらかじめ御了承願います」という書類が参っております。その問題について私どもは今考えておるのでございますが、国家で御用がおありになる、国家のお役に立つものであるということでありますれば私どもは解除するにやぶさかではないと思っております。
  162. 上林與市郎

    上林委員長 自由党並びに社会党左の方では質問を省略するそうでございますから、次は佐竹晴記君。
  163. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 皆さん時間の関係で自粛せられておるようですから、私もきわめて簡潔に一、二の点をお尋ねいたします。  先ほどちょっと聞きかけていたのですが、三晃物産納入した物件の代価をもって本件払い下げ物件の代金に振りかえたかのごとき印象を受ける答弁が先ほどありましたが、それはどうですか。
  164. 葛誠四郎

    葛参考人 それは違っております。私どもが支払いをしましたのが本年二月でございます。三晃物産が財務局に納めたのが、おそらく許可になる昨年の六月じゃないかと思っております。私どもの希望は、スクラップを入れて、その入荷したトン数に対する金額を買い入れ値段として払ってあるわけです。
  165. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 それは月日等も違っているので間違いであると言われるのですか、どうですか。
  166. 葛誠四郎

    葛参考人 私どもスクラップ入荷したつど、この代金を払ったということであります。
  167. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 スクラップを三晃の方からあなたの方に納めますね。富士の方は代金を払わなければならないのですが、その払うべき代金をもって本件の艦船の払い下げ代金を払ったというのですか。そうじやないでしょう。
  168. 葛誠四郎

    葛参考人 そうじゃないのです。
  169. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 どうなんですか。
  170. 葛誠四郎

    葛参考人 船舶払い下げ代命は、私は今はっきり記憶しておりませんが、おそらく昨年の六月にお支払ししてあるんじゃないかと私は思います。私どもは三晃物産が支払った金がどこから出たのか知りません。
  171. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 結局富士製鉄としては、本件代金は一切払ってないと聞いておいていいですか。
  172. 葛誠四郎

    葛参考人 あらかじめ払ってはおりませんですが、三晃物産からスクラップとして納入したそのトン数に対して、私の方でこれを検収して、その相当した金額を払っております。
  173. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 どこへ払ったのですか。
  174. 葛誠四郎

    葛参考人 三晃物産に払っております。
  175. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 そうすると富士製鉄としては、本件払い下げの艦船に対する代金としては払ってないでしょう。
  176. 葛誠四郎

    葛参考人 払っておりません。
  177. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 先ほどあなたは、くず鉄払い下げ目的とするんだから、当然そういう契約を結ぶ権利があるかのごとくおっしゃられたのでありますが、いま一度申請書を出した御記憶を呼び起していただきたいと思います。これによると、明らかにその申請書には、旧口座名が旧海軍艦船、申請物件の名称及び数量は、旧駆逐艦「梨」一隻、こうあります。つまりスクラップとして取引したものではない、艦船一隻として取引したものであることは間違いない。しこうしてこれは艦船としては国有のものであります。艦船として、政府所有物件として登録されている物件である。これはスクラップそのものでないことはお認めでございましょう。なるほどそれを取りこぼったならば、それからスクラップが出て参ることもありましょう。あるいは木材が出てくることもありましょう。その他いろいろの物品が出てくることもありましょうが、それは取りこぼった後に出てくるものであって、現在いたしておりますものは総合された艦船に相違ないと思います。そういったような艦船の取引についても、あなたが勝手にやれたのですか。それともこれは本社の社長なりその他がほんとうは知っていたんではありませんか。
  178. 葛誠四郎

    葛参考人 それは私の一存でやりました。
  179. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 一存でやったといって、権利があるかのごとくおっしゃっているけれども、私はそこまでは、代表取締役でないのにそういうことをやったのは、私は合法的とは思われません。しかしそれは押し問答しても仕方ありませんが、別の機会にまたお尋ねすることにいたしましょう。次いでお尋ねしたいのは、引き揚げの経費ですが、委託以来いかほど引き揚げの経費をお出しになりましたか。
  180. 葛誠四郎

    葛参考人 私の方からは金銭を出しておりません。
  181. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 しからば、沈没艦船の払い下げを受けたことは、あなたがきわめて明確に申請書に書いてある通り間違いなかろうと思う。沈んでおるものをスクラップにするのには、引き上げせずに、スクラップにそのままなると思われたのですか。
  182. 葛誠四郎

    葛参考人 これを浮揚してスクラップ化させることもございますし、あるいは浮揚できないものは、海中にあるのを破壊してスクラップ化している。従来その実例があるわけでございます。
  183. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 それでは、この船は引き上げておるようですが、引き上げについて何らの経費も出さぬ、あるいは沈んでいるままにスクラップにするがための破壊工作もやってない。それでいて、あなたはスクラップ目的として取引したのだ、払い下げを受けたのだということは、それはまっかなうそだということは、事実が証明するではありませんか。
  184. 葛誠四郎

    葛参考人 引き上げの費用がどれだけかかるかということは、私の方で直接これは当っておりませんですが、スクラップとして持ってきて、私の工場に届けたものに対しての価値は、私ども認めてあるわけです。
  185. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 あなたは人ごとのようにおっしゃっておるけれども、それをスクラップとして納入させることを目標としてやったのだと言う。それがために委任している。そうすれば、委任をしたときには、委任者が被委任者に費用を出すことは当然でしょう。その費用を出さないで、またそれを引き上げることをしない、海中においてそれをこわしてスクラップとして、これを自分の方へ受け取ることについて、何らの工作もしてない。スクラップ目的とするけれどもスクラップを得るがために何らの費用も出さなければ、何らの工作もしてない。そもそもあなたが、スクラップとしてそれを自分の方へ収納する目的契約であるとは見えぬじゃないか。
  186. 葛誠四郎

    葛参考人 私どもは、スクラップとしてから私どものところに荷物が届いたときに、そのときにある価値に対して支払いをすることにしておったのであります。
  187. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 それは何も私の問いに答えておらぬじゃありませんか。それは、第三者が売りに来たら買うというような、人ごとのような答弁です。そうじゃありません。そもそもあなたは艦船として払い下げを受けるところの代理権があるかと聞いたときに、それをこわしてスクラップとして、そして会社の方へ納めさせる目的だからという。そして、これに対して委任をしたという。そうすれば、委任者から費用を出して、これをスクラップにいたしまして、受け取るだけの工作をあなたがしなければならない。何一つしておらぬじゃないか。従って、あなたはほんとうにそれをやる腹はなかったろう、こう見なければならぬ。しかしそれはよろしい。あなたがそういうふうに問いに一向お答えにならずに、あたかも第三者であるかのごとくうそぶいている態度であるならば、それでよろしいです。  あなたは、少くとも漁業組合とは共同払い下げ申請をしたのですから、富士製鉄としては単独の権利者でないことは、最初にお認めになっておったようです。そうすれば、漁業組合との持ち分がどうなるのです。平等ですか、差別がありますか。
  188. 葛誠四郎

    葛参考人 はっきりそのとぎの数字を覚えていませんが、スクラップとして採取できるものは大体千トンくらいであろう。そのうち二百五十トンは魚巣として漁業組合の方へやる。
  189. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 私のお尋ねするのは、二人が共同払い下げた申請しているが、漁業組合富士製鉄は平等の権利か、それとも持ち分が違うか。あなた方がたとえば四分の三の権利があって、漁業組合が四分の一といったようなことか、その持ち分がどうなのであるか、こういうのです。
  190. 葛誠四郎

    葛参考人 それは契約上ははっきりしておりませんですが、上の方はスクラップとして富士製鉄に納める。下の方約二百五十トン程度のものは魚巣とするというような話し合いになっております。
  191. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 法律上は、そういうときに持ち分が明確でなければ平等であると見るのが、普通の解釈であろうと存じます。平等の権利がある場合においては、互いに平等の権利を持ち義務を負うのですから、互いに話し合いをいたしましてそれを処覆しなければなりません。漁業組合と申請した以後にあなたの方ではいかなる協議を持たれましたか。
  192. 葛誠四郎

    葛参考人 直接は全然協議をしておりません。
  193. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 ずいぶんひどいことですね。お互いに平等に申請をして平等に権利を得ているものが、あなたは何一つ協議をしない。ずいぶんひどいことじゃありませんか。それじゃ長くなりますから、いま一つだけお聞きいたしまょう。「梨」の購入については、富士が買い入れ金を支出したとすれば、当然その所有権は富士のものであると思われますが、富士製鉄の決算書、財産目録にはどう載っておりますか。
  194. 葛誠四郎

    葛参考人 これは三晃物産との契約において、スクラップ入荷したつどそれに対して代価を払うということになっておりまして、財産の形としては入っておりません。
  195. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 ふざけたことをおっしゃっちゃいけません。艦船としてあなたは払い下げを受けた所有権に対しては、艦船としてなぜ財産目録に書かぬか。なぜそれを決算に出さぬか。スクラップになった後に所有権を縛るというのじゃないでしょう。あなたは艦船として所有権を得ているのでしょう。しかる後にそれを引き上げてスクラップにしてみたり、あるいは海中に沈んでいるものをそのまま破壊工作をやってスクラップとしてこれを収納するというのです。スクラップにすべき前に、あなたはその艦船の所有権を得べく払い下げを申請しているじゃないか。しからばあなたに許可のあったそのときに、あなたの所有に帰したときに、それは財産目録に載り、決算書に出るべきなんです。やっていないのですか。
  196. 葛誠四郎

    葛参考人 それは慣例によってそういうことにしてあります。
  197. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 どういう慣例があるのですか。そういう慣例が始終行われているとすれば、あなたの会社は、背任横領、おそるべきいろいろな事件を輩出しているでありましょう。どういう慣例があるか、二、三事例をあげてお聞きいたしましよう。
  198. 葛誠四郎

    葛参考人 従来から沈船を払い……。
  199. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 具体的事例をおあげください。
  200. 葛誠四郎

    葛参考人 今具体的なものは私頭にありませんが、概念的にそういうことを申し上げているのであります。
  201. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 あまりにも無責任なお答えに実は驚きました。私はこの程度にいたします。
  202. 上林與市郎

    上林委員長 先ほど自由党から質疑の省略の申し出がありましたので、そう了承しておいたんですが、ただいま松岡委員から発言の申し出がございますから、持ち時間がありますからこれを許すことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  203. 上林與市郎

    上林委員長 それでは発言を許すことにいたましす。松岡君。
  204. 松岡松平

    松岡(松)委員 休憩前にお尋ねしたことなんですが、これは富士製鉄としてはスクラップの入手のために払い下げ手続をやった。従ってその取扱いを三晃という会社がやった。これは製鋼会社はみなやっていると思うんですが、そこで今所有権の問題が出たが、要するに払い下げをしたときは艦船であっても、目的スクラップだからスクラップとして入手すればいいんだから、入手したときに一体これはどのくらいのトン数で、どのくらいの単価で買える予定であったか、その点を明らかにしていただきたい。
  205. 葛誠四郎

    葛参考人 大体その当時全体としてスクラップとして納入できるものが七百トンくらいあるだろうという予想でありました。これは購入したときの時価で買うということになっております。
  206. 松岡松平

    松岡(松)委員 時価はどのくらいでした。概算でけっこうです。
  207. 葛誠四郎

    葛参考人 去年の六月ごろは一万四、五千円であったかと思います。
  208. 松岡松平

    松岡(松)委員 ところがこれはスクラップでなくて船が揚ってきたんですが、一体これをどうされるというお港えてしたか。あなたのものだと言っておられるんだから、あなたはこれをどう処置されるか。  もう一つ、その法律関係とすれば、漁業組合との持ち分の関係も、その船体が揚ったとか、使えるものだということがおわかりだとしたら、これをどうするつもりですか。それについてあなたは意見があるはずだと思うんですが、それを伺わせていただきたい。
  209. 葛誠四郎

    葛参考人 私どもスクラップとして利用する意図でありましたが、その後艦船として利用されるというお話が方々で具体化して出ているということを伺いました。先ほど申し上げましたように、中国財務局長から防衛庁が使用することになったので、合意の契約解除の方法で処理したいということを申し出ておられますので、私どもは国のためならば解除もやむを得ないと思っております。
  210. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうするとあなたは名義を貸しただけで金は払っておらぬ。そうするとその法律関係だけを処理し、金を払った者の関係はどうなるんです。その人との関係を一つ説明して下さい。
  211. 葛誠四郎

    葛参考人 私は払い下げを申請して払い下げを受け、これを処理して私の方に納入することを三晃物産委任してありますから、今後の取り進めについては私ども研究をしなければならぬと思っております。
  212. 松岡松平

    松岡(松)委員 一体あなたは広畑の所長ですか。
  213. 葛誠四郎

    葛参考人 さようです。
  214. 松岡松平

    松岡(松)委員 あなたが広畑の所長というのはまさか形式上じゃないでしょうね。権限を持っている大広畑製鉄所所長スクラップの購入権限があることは、これは業界の人は疑わぬですよ。しからばスクラップでなかった、払い下げをしたものがりっぱな艦船であったとしたならば、これをどう処置するかということは、相当歳月がたっているんだから、すでにあなたの頭の中に処理されていなければならぬはずです。またあなたの会社の法律顧問もおるだろうし、また法律の専門家もおられるはずなんです。あなたは委任してあるとおっしゃるならば、あなたの名において金を払い、あなたの名においてこれを保有しておるとすれば、あなた自分の処理する方針が立っておらなければならぬのです。あなたの話を聞いていると、名義は貸したが、契約を解除するとおっしゃるからそれでいい。あとは野となれ山となれですか。そういうことではいやしくも大広畑の所長としての意見とは受け取れない。もう一ぺん一つお考えになって答弁していただきたい。
  215. 葛誠四郎

    葛参考人 先ほども申し上げたように、去年の八、九月ごろですか、スクラップ化して私どもの方へ入ってくる様子が見えないので、早くこれを進行させるように取り計らえということをしきりに督促しておったのでございます。ところがこれが聞くところによりますと、防衛庁の方との話し合いがあって、スクラップ化は今できないでおるから了承してくれということを三晃物産の方から私の方へ言ってきております。なおその後も続いて私どもスクラップ化すということを督促しておったのであります。ところが意外の方向に発展しておるということを聞きまして、実は非常に心外に思っておるわけでございます。
  216. 松岡松平

    松岡(松)委員 その心外ということはわかりますが、沈船を引き揚げる場合、まるまる引き揚げて浮かせる場合と、スクラップに切る場合とは作業が違うのですね、あなたは意外だ、意外だとおっしゃるけれども、一体まるまる引き揚げる方式に変更したのは三晃会社ですか、あなたですか、あなたの先ほどからの答弁を伺っていると、あなたじゃないように思うんだが、その点をもう一ぺん確めたい。
  217. 葛誠四郎

    葛参考人 全然関知していません。
  218. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうするともう広畑ではこの沈船引き揚げに関しては、スクラップになるまで一切干渉しないという考え方であったのですか。あなたの工場ヘスクラップとして運ばれるまでは委任者にすっかりまかせてそこをよろしくと、こういう方針であったのですか、それならそれでうなずけるのです。
  219. 葛誠四郎

    葛参考人 初めに申し上げましたように、スクラップとして入れる意図であります関係上、その目的に沿うように督促を続けておったのでございます。
  220. 松岡松平

    松岡(松)委員 そこでだんだん明瞭になってきました。要するにあなたはスクラップがほしいために名義を貸した、そこでその依頼を受けた人があなたの意図と反してそれをまるまる引き揚げて船として利用するようにした。ここは大へんけっこうなんだが、これじゃ払い下げ者の意思払い下げを受けた人の意思と違ってくるわけですね、政府としてはこの船はスクラップ化するものと認定をして、そうしてスクラップにするからこれは直接利用者である富士製鉄払い下げをしたわけなんです。そこで富士製鉄としては、使えるようなりっぱな船が出てきた、しからばあなたとしてもこれを処理するような考えが出てくるでしょう。これに対して富士製鉄はどういう処置をするのか、払った金に対する、あるいは引き揚げに対する費用、そのものの権利、そのものから生れる利益、そういうものを換算して処理しなければならぬじゃないですか。ただかってに契約を解除して問題は済むわけではないでしょう。その点のあなたの所見はいかがですか。それを一つ伺いたいと思います。
  221. 葛誠四郎

    葛参考人 今後の処理については今から検討した上に処理したいと思っております。
  222. 上林與市郎

    上林委員長 これにて葛参考人に対する質疑は終了しました。蔦君には長時間にわたり御苦労でした、これにてお引き取り願います。  次の参考人田畑正君に移ります。田畑参考人の出席を求めます。  田畑参考人に対し質疑の通告があります。順次これを許します。松岡君。
  223. 松岡松平

    松岡(松)委員 田畑参考人にお尋ねいたしまするが、駆逐艦「梨」の払い下げに関連して、田畑参考人の三晃会社はかつて富士製鉄からその払い下げ手続に関する委任を受けたことがありますか。あるいは富士製鉄名義を借りてみずから払い下げを受けたことがあるか、どちらか一つお開かせ願いたい。
  224. 田畑正

    田畑参考人 お答えいたします。富士製鉄の代理委任によりまして今まで管財から物件の払い下げを受けたことはあります。
  225. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうするとあなたの方は駆逐艦「梨」に関する利害関係は、富士製鉄の代理人としての関係ですね。
  226. 田畑正

    田畑参考人 さようでございます。
  227. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうしますと、この払い下げの当初の目的は、これをスクラップ化して富士製鉄に納める意図であったか、そうしたならばそのトン数は何ほど納入する約束であったか、またその受けるトン当りの代金は何ほどであったか、これを一つ伺いたい。
  228. 田畑正

    田畑参考人 第一の質問の要旨をもう一度お願いいたします。
  229. 松岡松平

    松岡(松)委員 富士製鉄に納める当時のトン数の概算目標及びそのトン当りの単価であります。
  230. 田畑正

    田畑参考人 約七百トンと見積っておりました。単価は納入時の製鉄がきめられた指定価格で納めるというふうにいたしておりました。
  231. 松岡松平

    松岡(松)委員 当時の指定価格は何ほどですか。
  232. 田畑正

    田畑参考人 当時の指定価格は一万五千円と記憶しております。
  233. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうしますと、払い下げに関する払い下げの代金及び引き揚げの費用及び広畑工場まで納入するところの費用は、全部代理人であるあなたの方の持ちでありますか。
  234. 田畑正

    田畑参考人 もちろん富士製鉄にかわって私の方が代金の決済をいたすのが建前になっております。
  235. 松岡松平

    松岡(松)委員 私のお尋ねしておるのは、結局あなたのところはスクラップトン当りで金をもらうだけで、納入金及び引揚費、運搬費はあなたのところ持ちですかと伺っておる。
  236. 田畑正

    田畑参考人 私の方持ちになるのが至当であります。
  237. 松岡松平

    松岡(松)委員 至当であるというのは一つのアイデアなのですが、そういうことでなくて、約束かということを聞いておるのです。
  238. 田畑正

    田畑参考人 御質問の要旨は、私の方で代金関係を決済すべきであるかいなかということでございますか。
  239. 松岡松平

    松岡(松)委員 もう一ぺん重ねて言いますけれども、あなたのところは代理人でしょう。そうすると、本来ならば本人が払下代金を納めたり費用を納めるというのが建前ですけれども契約によって代理人が一切負担していく、しかし納入した数量によって富士製鉄から金をもらう、そういう約束だったのかどうなのかと聞いておる。
  240. 田畑正

    田畑参考人 納入したスクラップのトン数によって当時の建値で代金をいただくということになっておりました。
  241. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうしますと、あなたのところと富士製鉄との間においては、ものを払い下げを受ける、それをあなたの方は解体して引き揚げてくる。そうして持ち込むまでの所有権はあなたにあると思っておられますか、富士製鉄にありと考えておられますか。
  242. 田畑正

    田畑参考人 富士製鉄にあると思っております。
  243. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうすると、要するにそのものの権利はあくまでも富士製鉄にある、しかし費用の支払いは自己の支弁である、こういう関係になりますか。
  244. 田畑正

    田畑参考人 さようでございます。
  245. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうすると、あなたの方は富士製鉄から受け取られるものは、納入したスクラップのトン数に指定価格をかけたものがイコールでありますか。
  246. 田畑正

    田畑参考人 さようであります。
  247. 松岡松平

    松岡(松)委員 それではさらにお尋ねいたしますがその船をどうしてスクラップとして解体しないで、まるまる浮き上らせたのですか。だれがそれをきめたんですか。浮き上らせるということをきめたのはだれか、サルベージに頼んだのはだれですか。
  248. 田畑正

    田畑参考人 サルベージに委任したのは私どもでございます。それからまるまる浮かせたということは、御存じのことと思いますが、沈船の引き揚げに対しては付近の漁民の利益の擁護のために、海中で爆破作業をする等のことがありました場合の漁民に対する被害を考慮いたしまして、まるまる引き揚げたのでございます。
  249. 松岡松平

    松岡(松)委員 それではお尋ねしますが、千六百トンからの駆逐艦を引き揚げるのに、もともと払い下げを受けたときには、下の方は魚巣のために切って残すという趣旨でしょう。そうしたらこの船を浮き上らせてしまったら、どこで切断するのです。あなたのお答えに了解しがたいものがある。これは木で作った木造船なにかとは違うのです。千六百トンの鉄船というものは大きいものです。しかも駆逐艦です。それを浮き上らせてどこで切断するのですか。それをドックへでも入れて切断してきて、さらにまた運んでくるのですか、どういう方法で運んでくるのか、これを一つお答え願いたい。
  250. 田畑正

    田畑参考人 サルベージなどのことにつきましては、私はよく存じておりません。しかし当初の計画といたしましては、――切断というようなことはさしたる難事ではありません。これは参考までに申し上げますが、私がかつて独自で沈船を買いとりまして解体いたしましたときも、まるのまま揚げて陸地に近いところへ持ってきまして解体をいたしたのでございます。また残りの魚巣の部分を目的地に持っていくということについても、専門的なことはよくわかりませんが、難事でないと考えております。
  251. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうすると当初はどういう計画であったのですか。一般の概念として承わっているのではないのです。あなたはこれを払い下げを受けられたときに一部は魚巣、一部はスクラップ、その作業工程はどういうふうにするかということをサルベージとの間に十分打ち合せがあるはずだ。どういう指図でありましたか。
  252. 田畑正

    田畑参考人 当初はやはり先ほど申し上げましたように、まるのまま浮かして、北星船舶解体上の処理場を持っております。金輪島というところに処理場を持っておるように聞いております。そこ、もしくは呉のドックを借用して解体作業をするというふうに打ち合せをしたのであります。
  253. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうすると、これは初めから魚巣にするというのも擬装で、潜水夫か何か入れてちゃんと船体を調べてあって、まるまる引き揚げて、これを船に使用するという見当がついておったのじゃないですか。
  254. 田畑正

    田畑参考人 そういうことは絶対にありません。
  255. 松岡松平

    松岡(松)委員 それではお伺いします。あなた一体それを作業場までの長丁場をどうして運ぶのですか。船の形になっておるものを運ぶのは、浮遊の状態になっていますから船は動きますが、長い鉄板ですよ。しかも変形したような厄介な鉄板を一体どうして運ぶのですか。これは浮きますか。それを一つ御答弁願いたい。
  256. 田畑正

    田畑参考人 そういう技術的な面につきましてはサルベージ業者に一任してありまして、私は技術的なことについては判然といたしません。
  257. 松岡松平

    松岡(松)委員 ちょっと田畑さん、あなたスクラップ屋さんでしょう。スクラップ屋さんがそのくらいのことがわからぬで商売できるのですか。そこら辺をごまかされるなら、これからあくまで突きますよ。
  258. 田畑正

    田畑参考人 幾らお突きになられましても私は……。
  259. 上林與市郎

    上林委員長 委員長の許可を得て発言して下さい。
  260. 松岡松平

    松岡(松)委員 田畑さんにお伺いするが、これは初めからスクラップにするつもりで引き揚げされたものですか、重ねて聞きます。
  261. 田畑正

    田畑参考人 当初からスクラップにするというつもりで引き揚げたことに相違ございません。
  262. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうすると漁業組合に対しては、切断して持ち運んで漁業組合の指定の場所に持ってきてくれという約束はあったのですか。
  263. 田畑正

    田畑参考人 そういう約束があったように聞いております。
  264. 松岡松平

    松岡(松)委員 あったように聞いておりますと言って、だれがその局に当っているのだ。あなたが当っているのじゃないですか。あなたの会社は何千人もあるような大会社ですか。国会議員はこの暑いのにおもしろく、おかしくあなたに質問しているのじゃないのですよ。しっかりして下さい。一体自分の利害関係のある船をどこかへ持っていかれて、その魚巣がいつ来るか、来ないかということは重大な利害関係なんですよ。これはこういうふうにして船を引き揚げて、こういう場所に置いて切断して、こういうふうにして持ってくるのだ、この位置に置くのだという打ち合せがなければならぬ。それを私は知りませんということは聞えませんよ。しっかりして下さい。
  265. 田畑正

    田畑参考人 私の発言の不行き届きかもしれませんが、その指定の場所になっておりますのは、これは漁業組合が最も有益に使えるという場所に設置してくれという約束になっておりましたから、地図の面で何度のところという規定はなかったように思っております。
  266. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうすると約束はあったのですね。先ほどは知らぬとおっしゃったけれども……。
  267. 田畑正

    田畑参考人 約束のあったように――私は漁業組合と直接この件についてお話をしたことがありませんのですが、委任者北星船舶からそういうことの次第を聞いておりまして、それも承知しておりました。
  268. 松岡松平

    松岡(松)委員 北星船舶というのは一体何ですか。それはサルベージですか。
  269. 田畑正

    田畑参考人 さようでございます。
  270. 松岡松平

    松岡(松)委員 このサルベージが起した問題ではないのです。あなたが広畑製鉄所の代理人としてこの船を引揚げることをやっておられる。そうして利害関係を持っておるのは漁業組合なんです。広畑の代理人としてあなたかやらなければ、あなたの会社のだれかが契約していなければ、だれが考えても、これを引き揚げるまでに至る過程にはならないのです。だからこれはちゃんと約束があったのか、それとも初めから漁業組合はオミットされておったのかということを私は承わりたいのです。
  271. 田畑正

    田畑参考人 漁業組合をオミットとしてはおりません。契約当初、従来管財からの払い下げ物件につきまして単独の払い下げということはできないように伺っております。そうして漁業組合共同の申請をした場合には、随意の契約ができるというふうに伺っておりました。従いまして漁業組合の必要とする底の部分は漁業組合にお返しをする、不必要なものはわれわれの方でスクラップ化して製鉄に納入するという建前で契約をいたしました。
  272. 松岡松平

    松岡(松)委員 そこで漁業組合と話があったとするならば、一体どこで切断するかということが非常に肝心なところなんです。その打ち合せ点はあったのですか。
  273. 田畑正

    田畑参考人 その図面において、大体重量にいたしまして底部二百五十トン程度のものを魚巣としてお返しするというふうになっております。
  274. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうするとその当時の協定図面というものはお持ちですか。
  275. 田畑正

    田畑参考人 ちょっと調べさせていただきます。
  276. 松岡松平

    松岡(松)委員 あとでよろしゅうございます。そこで、今お持ちにならなければ、会社にありますか。
  277. 田畑正

    田畑参考人 はっきり記憶しておりません。
  278. 松岡松平

    松岡(松)委員 これは非常に大事なところです。あなたのところにそれがないということはおかしいのですが、そこにありますか。その点はそれではあとでお答え願います。  そこで、一体あなたのところは、具体的にいってどこの場所で切断する計画でありましたか。先ほどちょっとあいまいなんです。
  279. 田畑正

    田畑参考人 私の方の作業の請負いをさせました北島船舶の作業場、もしくは、そこがもし不適当である、作業の都合でできないというような場合には、播磨造船のドックを借用するということにいたしております。
  280. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうすると北星船舶の作業場と播磨造船の作業場とは現場からどのくらいの距離にありますか。
  281. 田畑正

    田畑参考人 詳細な距離は記憶しておりませんが、大体四、五千メートルぐらい離れたところかと記憶しております。
  282. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうすると、そこで切断をして、その船底部をどうして運ぶ計画であったか、私にはふに落ちない。つまり板なら浮きますから、運んでこれる。こういう鉄板はどうして運ぶのですか。
  283. 田畑正

    田畑参考人 底部は――船というのは上を切りましても、やはりおわんのようなものになっておりますから、またそれが危険であればタンクをつけて運ぶというように業者から聞いておりました。
  284. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうすると、その鉄板の長いものを運ぶについては、そのまま運べないからタンクをつけて、ウキをつけてそれを運ぶ計画であったという意味なんですか。
  285. 田畑正

    田畑参考人 もしそのままで運べなければそういうふうにしなければなるまい……。
  286. 松岡松平

    松岡(松)委員 それは田畑さんの今の考えですか。当時の打ち合せを聞いているのです。
  287. 田畑正

    田畑参考人 当時は、はっきり今記憶をいたしておりませんですが、そういう運ぶことの責任についてはサルベージの業者に一任いたしておりました。
  288. 松岡松平

    松岡(松)委員 それではその点はその程度にいたしまして、それを切断せぬようにしたのは一体いつのことですか。
  289. 田畑正

    田畑参考人 御質問の要旨は、切断を中止した時期でございますか。
  290. 松岡松平

    松岡(松)委員 私は中止と申しておりません。切断しないように方針を変更されたのはいつか。
  291. 田畑正

    田畑参考人 切断をしないような方針に改めてはおりません。
  292. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうすると、これから切断して漁業組合の指定した場所にお持ちになる御意思ですか。
  293. 田畑正

    田畑参考人 本件につきましては、たまたま私も揚った当時調査に参りましたのですが、防衛庁調査等がありましたので、その調査期間はわれわれの方で解体を遠慮しておったのです。
  294. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうすると、船を引き揚げて切断しようという過程に至らない前に防衛庁から視察があった、こういうことですか。
  295. 田畑正

    田畑参考人 さようでございます。
  296. 松岡松平

    松岡(松)委員 引き揚げてドックへ入れたのはいつです。
  297. 田畑正

    田畑参考人 昨年の七月二十七、八日と記憶しております。
  298. 松岡松平

    松岡(松)委員 防衛庁から来たのはいつですか。
  299. 田畑正

    田畑参考人 私が調査に参りましたのは八月に入って早々だったと思いますが、その当時来ておりましたから、やはり八月早々だと思います。
  300. 松岡松平

    松岡(松)委員 そのとき防衛庁から来た人の名前と、そのときに言われたことがあったらその言われたことをここでおっしゃって下さい。
  301. 田畑正

    田畑参考人 船内に入って御調査になっていることは目撃いたしましたが、防衛庁の方とは一言のごあいさつもいたしておりませんから、氏名その他わかりません。
  302. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうすると、防衛庁が来た、来たけれども名前も知らない、会いもしない、こういうことに承わったんですが、あなたの方は昨年の七月二十八日にもう浮き上っておるのに、それを切断しておらないのですが、それはどうして切断しないのですか。漁業組合に渡さなければならないじゃないですか。漁業組合からかけ合いがないのですか。
  303. 田畑正

    田畑参考人 防衛庁から艦の性能の調査その他がされておるということでありましたので、その期間わわわれは解体を遠慮いたしておりました。
  304. 松岡松平

    松岡(松)委員 防衛庁の方が来たから解体を遠慮しておった、それはわかりますが、漁業組合から、その利害関係人から何も言うてこないというはずはない。その点最後に聞きます。
  305. 田畑正

    田畑参考人 私のところは早く切って魚巣を返還せいという通知は参っておりません。
  306. 松岡松平

    松岡(松)委員 その船の中にある機械の一部を売ったことはありませんか。
  307. 田畑正

    田畑参考人 売っておりません。
  308. 細田綱吉

    ○細田委員 関連して。あなたはただいま松岡委員のお問いに対して、魚巣にすべく請求しておった、こういうわけですね。ところが防衛庁に対して北星船舶工業、それから平郡漁業協同組合が、これはもったいない、船に使えるものだ、船に使ってくれという具申書を出した。その具申書は七月の十日ですよ。ところがドックへ入ったのは七月下旬だとあなたは言われる。だいぶ話が違いやしませんか。その点よくお記憶にありませんか。
  309. 田畑正

    田畑参考人 漁業組合その他から船として使ってもらいたいという具申が出ておるということは存じておりません。
  310. 細田綱吉

    ○細田委員 そんなことはないでしょう。平郡漁業協同組合、しかもあなた方の一切の仕事をやっておるサルベージの会社が、これは全くもったいない、船に使えるのだ、これが船に使えたら殉職された英霊もさぞかし満足だと考えますというような文書がもう七月の十日に堂々と防衛庁長官に出ておる。それをあなたが仕事をさせながらそんなことは知らないというようなことは世間で通りませんよ。あなたのお記憶違いじゃありませんか。
  311. 田畑正

    田畑参考人 私の方は北星船舶にこの作業を請け負わせたのでございますが、請負人の北星船舶からり報告によりますと、七月二十五日の午後四時三十分に浮揚作業に成功した、大体二十七日ごろ曳航の予定だという報告を受けておりますので、七月十日にそういった文書が出ておるということは存じません。
  312. 細田綱吉

    ○細田委員 申請書にもう部分品が案によく記載されておる。従ってあなた方はこの駆逐艦「梨」を払い下げてそしてスクラップにするというようなことは大体最初からやりやしない。もう潜水失を入れて実によく艦内を見て、そして地元漁業協同組合なんかを説得して、法規上から共同の申請をしておる、そして七月の十日にもう船として使って下さいということを言っておる。それをあなたの方が人に一切の仕事をまかしておいて、そんなことは知りませんでした、これでは通らないじゃないですか。しかもその後あなたの方でやいりやいのと言ってこれをスクラップにしたというならいいですよ、りっぱな船になっているでしょう。それをまだスクラップのままで――そんなことを知らないと言っても、世間では通りませんよ。あなたのお考え違いだと思う。大体申請する前にあなたの方はサルベージ会社のあらゆる人を入れて、部分品までよく調べて申請しておるでしょう。それであるならば、この船はスクラップになるか、船になって使えるかくらいのことはわかるでしょう、これはどうなのです。
  313. 田畑正

    田畑参考人 御質問の要旨は、引き揚げる前に船として使用できることを予測して申請したのじゃないかというお聞きのように伺いますが、そういう事実は一切ありません。
  314. 上林與市郎

    上林委員長 次に徳安實藏君に発言を許します。
  315. 徳安實藏

    徳安委員 田畑さんに伺いますが、富士製鉄から委任を受けられたということに対して、その委任は手続などの委任ですか、金も何も全部あなたの方でお支払いになって、一切富士製鉄には迷惑をかけない、ただ名前だけを拝借願いたい、こういう形の上における委任ですか、それを明らかにしていただきたい。
  316. 田畑正

    田畑参考人 富士製鉄から物件の払い下げ委任を受けます場合、従来の慣例といたしまして、金をいただくということはありませんでした。特に必要な、あるいは金融上の都合でお借りすることも間々ありましたが、慣習といたしまして、私の方がすべて資金の心配をするということに今日までなっておりました。
  317. 徳安實藏

    徳安委員 それは私はちょっとふに落ちないのです。かりに富士製鉄名前で物を政府から買った場合、その手続やそれに奔走することに対する委任は受けられましょうとも、代金から何から一切がっさい委任を受けた者が払うということは、一体そういう慣習はあなたの方の場合は全部そうなのですか。またほかの政府から払い下げを受けました物に対しても、こういう例はたくさんございますか。
  318. 田畑正

    田畑参考人 たくさんございます。
  319. 徳安實藏

    徳安委員 そういう例があったら、一つ例をあげてお話願いたいと思いますが……。
  320. 田畑正

    田畑参考人 従来特に私の方は中国財務局の呉出張所関係スクラップなどの払い下げについての業務委任されておりましたが、もちろんこれは競争入札でいただいておりました。そういう場合に保証金の納入契約しました期限内の代金の払い込み、こういったものは全部私の方の資金でまかなっておりました。国からは物件を納入して検収された数量によって代金をいただく、こういうような実情でございました。
  321. 徳安實藏

    徳安委員 それは富士製鉄との間だけですか、ほかにもそういう会社があるのですか。
  322. 田畑正

    田畑参考人 私のところは富士製鉄、八幡製鉄以外の取引はやっておりませんので、それ以外については取引がございません。
  323. 徳安實藏

    徳安委員 そうしますと八幡製鉄、富士製鉄とも、政府の方から払い下げを受ける場合にはあなたの方が委任を受けて、そして代金から引き揚げ費用から一切の費用は全部あなたの方の名前であなたの方で払う、そしてその領収書は代理人のあなたの方の会社にくるのですか、あるいは富士製鉄名前で払い込んで領収書富士製鉄に来るのですか、その点はどうなっておりますか。
  324. 田畑正

    田畑参考人 払い込みなどにつきましては、富士製鉄代理三晃物産で代金の納入をいたしておりました。領収書につきましても、三晃物産領収書をとったように記憶しております。
  325. 徳安實藏

    徳安委員 そうしますとその品物を納める場合には時価で納めるとかいう話がございますが、結局今のやり方は、富士製鉄や八幡製鉄の名を利用してあなたの方で仕事か一切がっさいしておいて、そして物は時価で納めるのだ、八幡製鉄、富士製鉄というものは体のいいあなたの方の利用ものだということになりますか。その代理を受けて納めるまでの代理契約の内容をお知らせ願います。
  326. 田畑正

    田畑参考人 契約をいたしまして物を納めるまでの期間はあまり長くはございません。大体どの程度で納まるだろうというようなこともあらかじめ取引会社とはよく打ち合せをしてあります。従いましてケースによって違うのですが、将来引き起せば価格の変動が起るのじゃないかということが予測されも場合にに、特にその物件に限って価格の指定をしていただくというようなケースもありますれば、納入時の時価でお引取り願うというようなケースもありますが、大体におきまして普通は納入時の価格でもってお引き取り願うという建前になっております。従いまして名前を利用して時価で売るということになると、何かそこに富士型鉄とか八幡製鉄の名前だけ利用したととられているように受け取ったのですが、われわれは取引の富士製鉄の名において取得したものは全部富士製鉄に納めてある、一トンたりとも他に流すということはいまだかってありません。その点信用していただいておると思います。
  327. 徳安實藏

    徳安委員 それはもちろん向う名前払い下げになったものですから、向うに一トン残らず納めることは当然なことなんです。問題は、かりに国の方が国策会社として、大きな信用を認め、またその公共性格等を認め、やや緩和された形において相場等も認めて払い下げをするということがあったと仮定いたします。そういう場合に今度はあなたの方がその名をかりて一切がっさい仕事をして、そして時価で納めるのだというならば、結局そうした会社を利用してあなた方がもうけるということになるのじゃありませんか、もし八幡製鉄や富士製鉄を利用しなくてもあなた方自身だけで国との約束があって払い下げを受けられるなら、その方がいいじゃありませんか、なぜ富士製鉄というものを利用なさるのですか、それを伺いたいのであります。
  328. 田畑正

    田畑参考人 国の物件の払い下げその他につきまして、先ほど申し上げましたように、私のところは富士製鉄並びに八幡製鉄の問屋として営業しておりますので、それ以外に関する一般取引というものはほとんどいたしておりません。従いまして個人でもって国との契約をいたしたこともございません。またしようとも思っておりません。
  329. 徳安實藏

    徳安委員 自分のところで一切の費用を出して、それを製品化して納めるというだけの実力があるならば、富士製鉄の名を借りなくてどうしてみずからなさらないのか。またそれをなし得なくて、富士製鉄名前を借りてやるということは、結局名前を借りたのじゃないですか。富士製鉄がほんとに自分り名において国に対して責任をもって買い取ったならば、自分で金を払って作業も自分でなさる。その下請けをあなたがなさるとか、手続をあなたが委任を受けて代行するということはいいが、やはり所有権の異体というものは富士製鉄にならなければならぬ。それが幾ら費用がかかるのか何もわからず、全部まかせておいて、品物は時価で受け取るのだ、そういうようなことは常識上考えられないと思います。御所見を伺いたい。
  330. 田畑正

    田畑参考人 国との契約については、一応スクラップ等については、いわゆる平炉などスクラップを消化する機関でなければならないということになっておりますので、私個人自体の払い下げ申請は受理されないと思っておりました。
  331. 徳安實藏

    徳安委員 そこがほんとにいかぬと私どもは思うのです。そういうものを使用する者でなければならぬということで、富士製鉄払い下げておるものが、それが実質はあなたの方に払い下げられておるのと同じで、結局ただその払い下げた物を他に売らないというだけなのです。一切の金は自分が払い、一切の作業費も自分が払って、そうして時価で売るということなら、実際あなたに払い下げたということと違わないじゃありませんか。ただ払い下げた物が百トンあった場合は百トンそのまま納める。他に一トンも流さないという道義心をあなたが守るだけで、実際問題としてはあなたの方が払い下げられたのと同じである。政府の方がほんとうに使用する者にしか払い下げないということに反すると思うのですが、こういう点はどうですか。
  332. 田畑正

    田畑参考人 従来われわれはそういうことにならされてきておりますし、また物件の払い下げについては需要者でなければ名義人になれないというふうに伺っており住したものですから、こういう払い下げを受ける都度、富士製鉄委任をいただいて払い下げを受けておりました。しかし代金その他の面につきましては、原則として代行者が代払いをしていくというふうになっております。
  333. 徳安實藏

    徳安委員 だんだん明瞭になってきましたが、だんだんもぐり的ないき方のように私どもは一考えるのです。  本件に立ち戻って質問いたしますが、この問題に対する代金並びに作業費、こういうものはあなたの会社からお支払いになっておりますか。
  334. 田畑正

    田畑参考人 これは私の方では払っておりません。
  335. 徳安實藏

    徳安委員 あなたの先ほどの御説明からいえば、大体委任を受けてあなたの方で代払いをしておるというお話しでございますが、ではこれはどこから出るのですか。さっきの御答弁と違うじゃないですか。出所と金額を明瞭にお示し願いたいと思います。
  336. 田畑正

    田畑参考人 先ほど申し上げましたのは、管財との一般の契約その他を概略申し上げたのですが、本件の「梨」の問題につきましては、私の方から国に対する代金払い込みはいたしておりません。その事由につきましては、地上の物件の払い下げ等であります場合は、もちろん私の方でやれたと思いますが、物が海中にある物でありまして、われわれは業者といってもサルベージの業者ではありませんので、引き揚げの難易その他についても実態はよくわかりませんものですから、その危険負担をサルベージの方に負担させたわけであります。
  337. 徳安實藏

    徳安委員 そうしますと結局あなたの方は代理委任を受けて、金も作業費も払っていない。今度は引き揚げ会社の方に全部払わせた。こういう意味ですか。
  338. 田畑正

    田畑参考人 はあ、そうであります。
  339. 徳安實藏

    徳安委員 この点はこの程度にしておきましよう。  最後に一言伺いたいのは、先ほどあなたは松岡さんの質問に対して、最初引き揚げたときから、申請当時の目的通りに使う考えであったというようにおっしゃっていますが、これは私は欺瞞だと思う。なぜかと申しますと、先ほど他の委員からも御質問がありましたが、七月の十日にはこの漁業組合長の申請が出、さらに七月の十八日にはあなたの方で金まで全部立てかえておるというこの北星船舶工業株式会社の代表取締役から防衛庁長官に対して「同艦は損害軽微でありまして、手入の上は再生使用可能で優秀な船艇としてお役に立つ事が出来ると確信致します。随って引揚作業は極めて細心の注意を払い毀損せぬ様続行して居ります。就きましては船艇不足の今日是非貴庁に於て御買上願い国防再建の一助として御利用下されん事を切に念願致す次第であります。」こういうのを七月の十八日に出しているのです。ですからもう引き揚げている作業中に、底に沈んでおるときにもう大体検査して、これなら大丈夫だ、これは艦艇として使えるという見込みがついたから、防衛庁長官にこれを艦艇として使って下さい。そのかわり引き揚げにはできるだけ損傷しないように、丁寧に引き揚げるからと、こういう書類が出て、それで防衛庁ではさっそくそれが上るとすぐ見に行っているのです。それを委任を受けているあなたの方が知らぬというのは論弁もはなはだしいと思う。もし知らなかったとするならば、一体あなたはどういうことを委任を受けておられたのだろうか。ただ手放しにして向うとは名義上の、書類だけの関係で、そうしてその間の利益はあなたの力がとるのだ。一切がっさいはめくらで、引き揚げも何も向うにまかしておったので、何も知りませんでした、こういうことですか。私はこういう大きな事件を取り扱うのに、そんなばかげたことは常識上考えられない。他の委員の方は専門的に、法律的にいろいろのことをおっしゃいましたが、私は法律家でないから法律のことはわかりません。しかし一般世間の者から考えれば、こういう書類が防衛庁にはっきり出ておって、しかも委任富士製鉄から受けているあなたが知らなかったというようなことは、これはほんとうに欺瞞だと思う。詭弁だと私は思う、もしそうだとするならば、私どもはほんとうにあなたの答弁は侮辱されたような感じがしてしようがない。もう少し私どもが納得ができるような御説明を、この点についてはしていただきたいと思うのです。
  340. 田畑正

    田畑参考人 私の方が北星船舶から報告を受けましたのは、海中の引き起しの作業か八月の二十二日に済んだという報告を一十日に受けております。それから二十六日の日に、二十五日の午後四時三十分に浮揚に成功したという報告を私どもは受けておりますので、ただいまお聞きしますと浮揚前にその書類が出ておったということのお話しでありますが、このわれわれの報告を受けたときまではそういう書類を出してあるということを私は存じておりませんでした。後になりましてそういう何か出したというようなことをちょっと耳にしたことはあります。
  341. 徳安實藏

    徳安委員 それではあなたの方と北星船舶工業株式会社との契約関係というものは、あなたの方に無断でこういう書類を防衛庁出してもいいような契約になっているのですか。一切がっさい常山製鉄から委任をされたあなたの方は一文も金を出さずにおいて、今度は土星船舶委任して、その処分も何も向うにまかせるのだ、自由勝手にしなさい。こういう契約なんですか。もしそうでないなら、これは引き揚げ作業を引き受けているこの会社が、あなたの方に無断で防衛庁にその書類を出すなんということは、これはばかか気違いでなければできる話でない。あなたの方の了解を得るか、富士製鉄了解を得るか、あるいはまた一方の漁業協同組合了解を得ざる限り、その書類が出るはずはないと思うのです。ここらに国民の疑惑が深まると思うのですが、こういう点をもう少し親切に明瞭にしていただきたいと思います。
  342. 田畑正

    田畑参考人 私がただいままで申し上げましたように、北星船舶に請け負わした事項は、引き揚げと、引き揚げ後においてスクラップ化して広畑まで輸送するということの依頼をいたしておったのであります。北星船舶報告も、七月二十六日付で完全浮揚したという報告を受けておりますので、その以前に私の方に、こういうような書類を出すから了解してくれぬかということは伺っていないように記憶しております。
  343. 生田宏一

    ○生田委員 ちょっとお尋ねしますが、あなたの方へこの話を持ち込んで来たのはだれが持って来たのでしょうか。あなたの方がこれに関係するようになった経路、それをちょっと伺っておきたいと思います。
  344. 田畑正

    田畑参考人 時日についてはっきり記憶いたしておりませんが、五月の初旬か中旬だろうと記憶しております。北星船舶社長から、現在沈没中の軍艦を引き揚げて、スクラップとして納めたい。しかしこれにはメーカーの申請が必要だから、手続を依頼したいという申し出がありましたので、富士製鉄にも相談申し上げましたところ、スクラップを入れてくれというような話もありまして、五月三十一日に富士製鉄担当者の承認を得まして、依任状の発行を御依頼した。そうして申請、契約というふうな順序に参ったのであります。
  345. 生田宏一

    ○生田委員 それではそのときに北星船舶の人とあなた方との間に、先方から何かこの仕事をするための利益条件といいますか、向うも商売するのですから利益がないことはやらぬでしょうから、その業務上の利益について、あなた方との間に何か御相談といいますか、約束といいますか、契約といいますか、そういうことが必ずあっただろうと思うのですが、その内容をちょっと伺いたい。
  346. 田畑正

    田畑参考人 大体発生するスクラップの量を七百トン程度と押えまして、その利益を双方で合意了解を得ました。
  347. 生田宏一

    ○生田委員 スクラップ七百トンとみて、その利益分配といいますか、そういう話し合いがあったと思うのですが、その内容をもっと詳しく……。
  348. 田畑正

    田畑参考人 スクラップの代行店の取る利益というものは、ときのケースによってまちまちですが、本件につきましては、トン当り一千円をもらう、また向う出しましょうということで話がつきました。
  349. 生田宏一

    ○生田委員 それは北星船舶と三晃物産とが、トン当り千円の利益をお互いに半分ずつ分ける、こういう意味なんですか。
  350. 田畑正

    田畑参考人 発生したスクラップのトン当り千円の利益を私の方に出すというわけですから、広畑に納入したトン数に対して仕切りの価格を千円下げるという意味でございます。
  351. 生田宏一

    ○生田委員 それでちょっとお伺いしたいのですが、もしそれが事実であれば、あなたのところは、不当な利得というか、富士製鉄のトンネル会社として、その地位を利用して、あなたの方は何一つ努力も何もせずに、富士製鉄との間で払い下げの申請書に判を一つ富士製鉄の人に押さすというだけで、黙ってじっとしておってトン当り千円もらう、七百トンなら七十万円もらうというようなことになるのですが、そういう商売が実際に私は今日の経済界であろうと思われぬのです。それは表面の理由であって、あなたの方から、こういう品物がある、これを富士製鉄が取りたいのだから、それで申請を出した。その仕事をお前がやってくれ、こういうのなら、先ほどからあなたが言われることも意味が合ってくるし、また富士製鉄の何とかいう常務の人が先ほど話をしておりましたが、意味が通ずるのです。しかしあなたの方は、人から話があった。富士製鉄の方に引揚者の判を押させて、代金の支払いも、それから品物を浮揚して持って帰ってきて、この部分は切って、この部分は魚礁にしてお互いに使うのだというような――あなたのお話ではどうもはっきりものをつかんでおられぬ。いわば何にも御存じない。ないということは、単なるトンネルをやったというにすぎない。私は今の経済界でそういうことはあるように思えないのです。しばしば同僚委員から聞いているように、この問題は北星船舶漁業組合とが先に相談して自分のところに持ってきたのだ。その話の裏面には、あるいはこれを揚げてみれば、用途を変えて防衛庁に売り込むというような話もできるかもしれぬ。これはあなたの方で払い下げ申請ということだけで問題を解決する。それはわれわれの方でできぬのであるから、やってもらいたい。打ち割った話、そういうことが北星船舶の人からあなたのところに出てきたんじゃないか。そうでなければ、北星船舶自身も払い下げに要する金が三百幾十万円、引き揚げに要する費用が一千万円とか何ぼとかかかるでしょうが、その金を北星船舶自分が持っているはずはなし、どこかから金融をつけてきてやるということになっているのですから、そんな大げさなことまでして、そうしてあなたの方に一トンについて千円、七十万円を差し上げる、そんなばかな商売はやらぬと私は思うのです。最初話を持ってきたときに、北星船舶の人はあなたにどういう話をしたのですか。もしそうでなければ、あなたの社員にどういう話をしたのですか。そこのところを隠さずに言っていただいた方がいいと思うのです。どうですか。
  352. 田畑正

    田畑参考人 お答えいたします。トンネル会社で、トン当り千円を取るというのは、不当利得だという御意見ですが、今日でも各問屋のやっております状態は、みな下請業者を持っておりまして、下請あるいはフリーのものでも一向差しつかえないのですが、スクラップがあるから買ってくれぬかということで、それでは入れたらいいだろうということで、みな向うの負担において入れさすわけです。書類上の手続は一切私の方でいたします。その場合でもやはり状況によって、マージンの率は、これは別にきめられていませんから、トン五百円取るときもあれば千円取るときもある。われわれは座っておってそういった不当利得を取るのは不当じゃないかとおっしゃいますが、反面、そういうトンネルばかりの仕事をしておるわけではなくて、あるいは地方に出て、現物をその場で買ってくるというようなケースもあるわけです。そういう場合におきましては、それに伴う危険は、全部われわれが負担しておるわけです。
  353. 生田宏一

    ○生田委員 それではもっと具体的に承わりますが、あなたの方の会社のだれに、北星船舶のだれが話をしにきたのですか。
  354. 田畑正

    田畑参考人 土星船舶社長が私に話を持って参りました。
  355. 生田宏一

    ○生田委員 そうすると、あなたはこの一件に関しては何もかも知っておられるはずだ、そういうことになりますね。そこで私は、先ほどから富士製鉄の人の話によっても、あなたの話によってみても、払い下げ物品の代金の支払いというか、これはあなたの方がするのが建前なんです。ところがこのケースだけは、あなたの方はもう財政的にも何らの負担はないのです。そうでしょう。そして物が納まったならば、必ずトンに対して千円もらうというのですから、あなたの方はリスクは何もないわけです。あなたの方で金を出したというならあなたの方でリスクはあるのですが、どうしてもこの仕事がうまくいかないといつてみても、おなたと北星船舶との契約では、あなたの方で財政的に負担をこうむらなければならないようなリスクが何もないわけです。先ほどからあなたがおっしゃっているのとは、全然特殊なケースであって、今まであなたのお話になったものの範疇には入らぬでしょう。だからそういうような特殊な、何かあなたの方には非常なうまい話です。そういう話を北星船舶が持ってくる以上は、北星船舶にはもっとそれよりも大きな楽しみがあったに通いない。それで私があなたに聞きたいのですが、この件は何も昭和二十九年の五月に始まったものでなしに、関係書類を拝見してみると、二十七年からこの問題はあるわけです。これでもうまくいかない、あれでもうまくいかないというので、富士製鉄スクラップとして一部分を使う、一部分を平郡の漁業協同組合が使うということであれば、話の筋が違うというので、あなたの方からこの話が渡りがついたに偉いない。そうすると、もうこの船がいいか悪いかということは、漁業組合自分が盗難がないようにといってちゃんと管理しておったというのですから、どの程度に損傷しておるということも漁業組合は知っておるはずですし、北星船舶も、自分が金を出して、もう一千万円からの金ですが、それをまず先に出して、それからやろうというのですから、よほど現物に自信がなければやらないはずです。だからあなたは、知らぬとか知っているとか言っているけれども、実際は浮揚の作業中に書類を出しておるので、私は知らなかったと言っておるけれども、あなたの方に千円あげるからという話が出たときに、これはもう防衛庁の方に売るんだということで、あなたは打ち明けられておったのではないですか。もしそうならそうだと言っていただきたいと思います。
  356. 田畑正

    田畑参考人 北星船舶社長から依頼がありました時分には、私の方といたしましてもスクラップがほしいのですから、こういうことでもし相談がくるのであれば受けつけなかったかもしれない。社長からも、実はこういう下心があって頼むんだというようなことは、一切私は聞いておりません。これは隠さず申せというお言葉でございますが、今までも隠さずに申し上げておるつもりでございます。
  357. 上林與市郎

    上林委員長 次は吉田賢一君。
  358. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 時間もだんだん迫ります。なお参考人が四人もおりますし、また質問される同僚もあるようですから、できるだけ簡単に質問いたしますが、一つ参考人の方も簡潔に御答弁を願います。  第一に伺いたいことは、あなたの富士鉄から委任を受けております権限の問題であります。純粋の法律的な問題の意味でなしに、一つ聞いてみたいと思うのです。あなたの方は、委任状によりますと、この艦船「梨」に対する売り払いの申請をする、契約をする、代金払い込みをする、現品引き取りをする、これだけの権限をあなたは持っておられる。そこで今度北星へまた委任しておられる。北星委任するということになりますと、あなたの方はやはり富士製鉄から委任を受けているその範囲内で北星委任する、こういう趣旨をあなたの方では守っていかれたのではないだろうか、ちょっとそこだけ聞いておきたい。
  359. 田畑正

    田畑参考人 北星に対する委任の点につきましては、沈船の引き揚げ、解撤、広畑までの発生くず鉄の輸送ということをやらせたのであります。
  360. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そういたしますと、政府から発行しております「梨」の代金の領収書によると、代金を納め人は北星船舶社長で、あなたの方ではないわけであります。でありますので、こういう代金の支払いまで北星委任するというのは、少し範囲を越えるのではないひ。結局これは、ほんとうはさっきからだんだん問答がありますように、富士も買い主になるという名義をだれかに貸した。あなたの方自身も今御質問もありましたように、名前を貸してトンネルになっている。こういうような必要上こういう委任状ができ、また北星に対して委任状出しましたか契約いたしましたか、要するに今のような目的に沿うようにこういう書類を作ったというのが、これが真相と違うのですか。
  361. 田畑正

    田畑参考人 代金の払い込みを北星にさせましたのは、先ほど申しましたように、私の方としては、海中にある物件であるししますので、また話が北星から持ち込まれた話でありますので、代金の払い込みは北星の方でやってくれということにいたしましたし、領収書北星船舶名になっておるということについては、私はどうしてこういうふうになったかということについて、かえって不思議に思っておるくらいであります。
  362. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 あなたがほんとうに富士の代理人として、買受代金、支払い等々の一切の権限を持つというような、正確な代理の受権の契約をしたというのであるならば、代金の支払いについてだれの名義領収書を発行したかを知らないということはあり得ない。これは常識上考えてもあり得ない。あなたが御承知でないということは、何もかも北星にまかしてしまっていたので、あなたの方としては、トン千円の利益を得たらいいので、それ以外はどうなろうと関知しない、こういう態度でなかったかと思うのであります。そこはよろしゅうございます。それならば聞いてみますが、北星が代金を支払い、また金を調達する、何がしかの経費がいる、こういうこともあなたは全然関知しないわけなんですか。
  363. 田畑正

    田畑参考人 前回の答えを補足申し上げます。今お聞きしますと、領収書北星になっているのを知らなかったというふうに、私の答弁をお聞き取りになったように受け取りましたのですが、そういう意味でなくて、領収書北星船舶名前になって出たということがおかしいくらいに、自分自体が思っているというふうにお答え申し上げたのであります。しかしこの件につきましては、お役所のなさった領収書ですから、私の方から異議を申し込むことを差し控えておったのであります。  それからただいまの御質問は、解撤費用がどれくらいかかったかということについても知っておったかという御質問のように伺いますが、当初の計画の時分には、北星船舶も自己の資材を利用するということで、千二、三百万で上るのではないかというふうに聞いておりました。その後、作業の都合で資材をよそから借用しなければいかぬということのために、かなりそれよりも上回った費用がかかったように伺っております。
  364. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そういうことを聞いたんじゃなかったのですが、くどくなりますから進めますが、あなたの方は、軍艦として北星政府に売り込む話をしだしたのは、ほんとはいつ知ったのですか。
  365. 田畑正

    田畑参考人 はっきりした記憶はありませんが、大体八、九月ごろじゃないかと記憶しております。
  366. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そういたしますと、あなたとしては意外なことであるはずであります。軍艦として政府へ売り込む話が去年の八、九月ごろにわかったという以上は、それをあなたの依頼を受けました富士製鉄の方へ知らし、もしくは協議をいたしましたか。
  367. 田畑正

    田畑参考人 文書による往復はしていないと思いますが、口頭では担当負までには、目下防衛庁の方で使用可否の調査をしているということの報告はいたしております。
  368. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そういうことを聞いているのではなしに、政府へ売り込む話をあなたは去年の八、九月ごろ聞いたから、あなたの方としてはスクラップ富士製鉄へ渡さんならぬ話になっている。これが本来の建前であるわけです。ところがそうでなくて、実態はそっと揚げて軍艦に使えそうだというので、政府売り込みができつつある。政府からもまた調査に行っているというような経緯がありますので、あなたはその売り込みの話を去年の八、九月ごろ知っておられたそうでありますが、それでは元来の目的は達せられないわけであります。でありますので、そういうくず鉄を売ることが終始あなたの目的であったとするならば、意外なことだから、富士製鉄報告もせんならぬし、協議もせんならぬ。あなたの一種の商売のじゃまにもなる。でありますので、それを聞き及んだあなたが、防衛庁が来て調査をしているということを口頭で富士へ申しましたというようなことは、ちょっと受け取れぬですよ。そうすると、それは何やかやとまだ中身があって、実は軍艦として売り込むことは相当な代償もあろうから、あなたの方としては話に一役乗っているんじやないか。あなたに全然相談なしに政府軍艦売り込み北星としてできるはずはない。三晃が北星へまかしたことは、引き上げとスクラップにしてあなたの方へ送る以外には、何も頼んでいないはずです。それをあなたの方へ無断で政府軍艦として売る話を土星が持ち込むということをあなたが知ったら、大へんだということにならなくちゃならぬ。そうならずに、富士製鉄ただ単に防衛庁が来て調査をしているということを報告したということをおっしやる以上は、北星とあなたといろいろ御相談の上やっているんじゃないかと思われるのは無理からぬことである。ほんとうはそうじゃないですか。そうであるからといってそれが悪いというのではありませんよ。だからそうならばそうとしてもらえば、だんだん事態が明らかになるわけです。事態を明らかにするためにあなたに来ていただいた。北星との間にいろいろ御相談があったのでしょう。それならそれでいいんですよ。
  369. 田畑正

    田畑参考人 私のお答えが明瞭を欠く点がありまして、まことに恐縮に存じます。そういう話につきましては、私の方としては、北星に向って、昨年の九月に防衛庁に対する交渉を中止するように書面でもって出しております。
  370. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そういたしますと、昨年の九月に防衛庁に向って売り込む話はやめてくれという趣旨のことを書面で北星出したとおっしゃるんだが、ところがこの大蔵省出している資料によりますと、あなたの名前じゃなく、社長田畑久宣名義になっておりますが、実際はあなたがおやりになっているという御説明であります。昨年の十二月二十五日、それから昨年の十二月一日に、この船の用途が指定され、その期間が限定されてありますので、期間を引き渡しを受けた日から六カ月間ということに引き延ばしてもらいたいということを昨年十二月一日、さらにまた七カ月に延ばしてもらいたいということを同十二月二十五日に中国の財務局長との間にあなたが契約をしておられる。そういたしますると、あなたの今の御説明によると、北星に向って軍艦として政府売り込みをやめろというような御趣旨の文書を発行したというのと、こういうふうな引き延ばしということは全く相いれないと思うのです。この引き延ばしという契約は、言うまでもなく政府との間に最終の買い取りの話の進行等についての引き延ばしに違いないのです。もしくはその準備であります。あなたの今の御説によりますとそういうことはできないように思うのであります。なぜそうしたのでございましょうか。さらにまた一月の二十日には八カ月以内ということに――八カ月以内ということになれば本年の二月一ぱいということでしょう。そういう趣旨にまた引き延ばしをやっておる。今の御説とは全く相いれないのです。矛盾することであります。
  371. 田畑正

    田畑参考人 防衛庁の方で本艦を御調査になっておるという向きを承知しておりましたものですから、国が調査をされておるものをわれわれ民間人がその調査を阻害することがあってはならぬというようなことで解体の延期を申し入れたわけでございます。
  372. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ですからあなたとしては、国が調査しているというのではなしに、実は国が軍艦として使用できるということをいろいろ調査した結果わかった。わかったという報告書も政府から出ているのです。それはあなたも御承知だと思う。そういたしますると、北星政府がいろいろと話を進めておるということを承知しなければならぬ立場なのです。委任してある者が勝手にそういう越権なことはできないことなのだということになりますと、万々御承知であったであろうと思うのであります。もう一度その点重ねて伺っておきます。
  373. 田畑正

    田畑参考人 延期を申請いたしましたのは、そういうふうに国が御調査になっておることの妨げになってはならぬということでいたしたのでございますが、それをあらかじめ承知しておったというわけではありません。従いまして私の方といたしましては、防衛庁が買い上げになるだろうということをお聞きいたしましたのはごく最近でございまして、国がこれによって資源を活用されるのであれば、われわれとしては御辞退申し上げたいということを管財に申し出たのであります。防衛庁が使用するということがはっきりわかりましたのはごく最近でございます。それまではわかっておりませんでした。
  374. 上林與市郎

    上林委員長 他に御発言はございませんか、ないようでございますから、これにて田畑参考人に関する議事は終了いたしました。  田畑参考人には大へん御苦労さまでした。これにてお引き取りを願います。  次に松田勲君に移ります。松田参考人の出席を求めます。――松田参考人に対する質疑の通告があります。順次これを許します。松岡松平君。
  375. 松岡松平

    松岡(松)委員 松田さんにお尋ねいたしますが、問題になっている元駆逐艦「梨」号が富士製鉄漁業組合との共同払い下げになっているのですが、その払い下げになったときに組合の魚巣に一部使うという話のあったことについてあなたが知っておられることを簡単にお話し願いたい。
  376. 松田勲

    ○松田参考人 魚巣といたしまして二百五十トンを漁業組合の方が払い下げを受ける。それからあとの残りにつきましては組合の方には必要がないので、これについては富士製鉄の方に払い下げをするということで、うちの組合の方といたしましては、二百五十トンだけの払い下げを受けたわけであります。
  377. 松岡松平

    松岡(松)委員 この払い下げの事の起りは、一体漁業組合が主体だったんですか、それとも富士製鉄側が主体だったんですか。
  378. 松田勲

    ○松田参考人 これについては大体漁業組合の方が主体であったわけであります。
  379. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうすると昨年の七月の中過ぎにこの船体を浮揚しまして、現場から離れているのですが、その魚巣に使う部分約二百五十トンに該当する部分を一体どこで切断するという当初の話し合いだったか御存じでありましょうか。
  380. 松田勲

    ○松田参考人 これにつきましては、二百五十トンという量も海の底ではわからないのでありまして、結局それを富士製鉄がどこで解体するか、それによって二百五十トンだけは残しておいてそれで将来――大体あのときの契約では十二月一ぱいまでにするということになっておりました。
  381. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうすると、今二百五十トン、二百五十トンという話がばかに強化されてきましたが、漁業組合は何もトン数が必要なんじゃなくて、要するに魚単に適当するものがトン数に見積って二百五十トンぐらいということに帰着するのではなかろうかと思う。そうすると魚巣というものは切断した部分をさすのですから、おそらく当時青写真かなにかでこの辺で切断するという協定をした線があるんじゃなかろうかと思うのですが、その点はどうなんですか。
  382. 松田勲

    ○松田参考人 これは財務局の方に出してある通りに、結局船底の中央の一番必要なところをやるということになっておりまして、トン数というのはどれだけあるかというようなことははっきりしておりません。
  383. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうすると当初から魚巣に使う予定であったものが、それを切断しないということになった事情はどうなんです。
  384. 松田勲

    ○松田参考人 切断しないということにはまだなっておりません。
  385. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうすると、今なっていないと言うのは、初めから魚巣に使って、片一方はスクラップに使うというものが、そういうふうにならなかったのはどういうわけですか。
  386. 松田勲

    ○松田参考人 これにつきましては、北星船舶の方の事情によりまして、まだ作業が進行しないということによって、延びておったわけであります。
  387. 松岡松平

    松岡(松)委員 北星船舶の作業といったところで、十カ月以上経過しておるのです。その間に切断しない、むしろみがいておるということなんですが、そういうことをあなたの方は御存じないのですか。
  388. 松田勲

    ○松田参考人 どういうようにみがいておるか私は見たことがないのでありますが、組合の方といたしましては、二月か三月かに促進するように北星船舶の方へ注意を与えております。
  389. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうすると、組合の方ではこれはもう解体しないでもいいということで、話し合いをつけておるのではないのでしょうか。
  390. 松田勲

    ○松田参考人 それは解体しないでもいいということは決定していないわけでありまして、うちの方といたしましては、現在の段階においては、どこまでも解体するということになっております。
  391. 松岡松平

    松岡(松)委員 しかし今日本が船の足りないときに、りっぱに使えるものを魚巣に切断して使うということを、今なお漁業組合が主張しておるでしょう。ほんとうでしょうか、それは。
  392. 松田勲

    ○松田参考人 これにつきましては覚書が七月十日に出してあるのでありますけれども、もし再生して使うならばということがあります。その中にはもちろん財務局の許可を得たならばというただし善きがあるのでありまして、財務局が再生をやる、用途変更を認めますならば、それからにおいてそれを切断しないということが決定されるのでありまして、現在ではそれが決定しない以上、うちの方としては、どこまでも切断という考え方でおるわけであります。
  393. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうすると切断を中止しておるのですか、その辺があなたのお言葉がわからないのです。
  394. 松田勲

    ○松田参考人 現在のところそうなっております。
  395. 松岡松平

    松岡(松)委員 どこから切断中止の命令が出ておるのですか。
  396. 松田勲

    ○松田参考人 これは先ほども申し上げましたように、北星船舶の方でこういうあれがあるから、その事情上もう少し待ってくれということで待っておるわけであります。
  397. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうすると、この払い下げに関する払下金とかあるいは費用とか、そういうものは大体北星出しておるのですか。
  398. 松田勲

    ○松田参考人 契約書にあります通り、代金につきましては、大体うちといたしまして二百五十トン分の代金を支払うべきでありますけれども、これについてはそれよりも三百万円の融資を二カ月半ほしいということによりまして、三百万円の融資をいたしまして、そして支払いの方につきましては、委任状出し北星船舶の方から支払ってもらっております。
  399. 松岡松平

    松岡(松)委員 今の融資というのは、この払下げの方については、あなたの方から融資されたのですか、あなたの方が融資を受けられたのですか、どういうことですか。
  400. 松田勲

    ○松田参考人 引き揚げに対しますところのしきんとして、漁業組合の方から融資したのであります。
  401. 松岡松平

    松岡(松)委員 もう一点お尋ねしたいのですが、どうもこの払い下げについて富士製鉄が約七百トン、それから漁船組合側が約二百五十トン、これで大体比率を割って、 お互いが払い下げ金をこの比率で分担することになっておったのですか。
  402. 松田勲

    ○松田参考人 これにつきましては、うちの方はあまり富士製鉄の方とは交渉持っておらないので、ただうちの方の分については北星船舶との話し合いをいたしまして、結局三百万円を融資することによって、その方はチラにしようという大ざっぱなあれだったのです。
  403. 細田綱吉

    ○細田委員 あなたの方は、今解体をやっておるということですが、それから三百万円の融資を求めたというのだが、あなたの方は今のところ一文も出していないのですね。
  404. 松田勲

    ○松田参考人 一文もということは、現今という意味でありますか。
  405. 細田綱吉

    ○細田委員 そうです。
  406. 松田勲

    ○松田参考人 現金は出しておりません。ただ融資をしたということがどういう経済効果があったかということは私も知りません。
  407. 細田綱吉

    ○細田委員 融資というと漁業組合が、北星船舶に三百万円融資したのでありますか。
  408. 松田勲

    ○松田参考人 はい、そうであります。
  409. 細田綱吉

    ○細田委員 あなたのところは百六十万円約手で北星船舶から受領しておるのですか。
  410. 松田勲

    ○松田参考人 百六十万円もらっております。
  411. 細田綱吉

    ○細田委員 これはどういう金ですか。
  412. 松田勲

    ○松田参考人 これは、大体ほかの引き揚げにつきましても、あるいは爆撃につきましても、各地区におきまして漁業補償という問題があることは御承知の通りでありますが、こういう漁業補償並びに長年におけるところのこれが盗難予防という管理の意味におきまして、百六十万円を出してもらうことになったわけであります。
  413. 細田綱吉

    ○細田委員 そうすると百六十万円キャッシェでもらって、一面三百万円融資した、こういうわけですか。
  414. 松田勲

    ○松田参考人 そういうわけであります。
  415. 細田綱吉

    ○細田委員 解体を待っておるというが、七月十日に平郡漁業協同組合から、これは軍艦に使ってくれといって防衛庁長官に申請していますね。解体を待っておるというのはどういうことですか。
  416. 松田勲

    ○松田参考人 この七月十日に出しておりますのは、その当時私たちとしては、これが果して軍艦に使われるやら何やらわからなかった。しかし北星の方から、もし使えるなら了解してもらえるかというので、組合の方といたしましてはまだ使えるというような考え方を持っていない。ただ軽い々気持で、もしそうならそれでよかろうというくらいの気持でしたわけであります。
  417. 細田綱吉

    ○細田委員 それにしては少し御丁寧過ぎる。北星船舶よりあなたの方は日付は先なんです。北星船舶は十八日、あなたの方は十日、それからあなたの方は十日に図面までつけて、破損個所はきわめて軽微、だからこれはりっぱに使える。しかもこれが国家再建のために有意義に使えるならば、まことに殉職した英霊もさぞかし浮ばれるだろうということまで書いて、そしてちゃんと出ておる。だからあなたの方としてはきわめて簡単な、まあ出してみろというような文書ではないではないか、これはどうです。
  418. 松田勲

    ○松田参考人 実際に船はまだ浮いておらないのでありまして、うちの方の組合としては実際状況はわからないわけであります。あの当時は引き起しをいたしまして、第一回の移動をしたのが七月の七日と思います。実際われわれしろうとといたしましてもぐることはできないし、その状況につきましても、ただ北星から来て、それでしたわけでありますから、うちの方といたしましては、それを使ってもらっても、大乗的な見地からいえば、それがいいのでありまけすれども、ある面からいえば必ずしもいいとも言えないわけであります。
  419. 上林與市郎

    上林委員長 次に吉田賢一君。
  420. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 松田さんにちょっと伺います。あなたの方で「梨」を軍艦に使ったらどうかということをお知りになりましたのはいつごろでありましたか。
  421. 松田勲

    ○松田参考人 はっきりした日にちは覚えておりませんが、第一次移動をやった当時北星からそういう話を聞いて、もし使えるならそれを了解してくれという話が出ました。しかしながら十年間も海の底にあって、われわれとして機械が使えるものかどうかということもはっきりしないし、それが順序を追うていよいよはっきりいたしましたのは、ドックに入れて大体の掃除をしてからで、うちの方で使えるらしいというほんとうの気持というか、そういうことを事実的に知ったのは九月半ばであります。
  422. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 八月の一日か二日に呉ドックへ入っております。それから八月に防衛庁からすで、に調査に専門家が来ております。詳細な調査の結果報告書が出ております。そういう経緯になっておりますので、あなたの方ではその八月の調査の結果、直ちに、しろうとながら軍艦に使えるということをお知りになっただろうと思うのです。そこでこういう点を聞いてみたいのですが、最初北星が初めて潜水夫を入れて調査しましたのは何月ごろでありましたか。
  423. 松田勲

    ○松田参考人 五月半ばであったと思います。
  424. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 去年の五月半ばですか。
  425. 松田勲

    ○松田参考人 そうです。
  426. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それから北星防衛庁の方へ軍艦として一つ買ってもらいたい、こういう話を持ち込んだのは――それは文書によってでも、口頭でも何でもよろしゅうございますが、最初に持ち込みましたのは、もしくは伺いを立てましたのは、いつごろでありましょうか。
  427. 松田勲

    ○松田参考人 先ほど申し上げましたように、うちから出ておる書類は七月十日になっておるわけでありまして、それから防衛庁の方が調査にこられたということにつきましては、うちの方は知らないわけであります。
  428. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そういたしますと、あなたの方は具申書を出した七月の十日、そのときに知った、こういうふうに了解できるような御答弁でありますが、防衛庁では一たんこれはだめです、軍艦には使えませんというような趣旨に庁議できまったというようなことはお聞きになりませんか。
  429. 松田勲

    ○松田参考人 うちの方はそういうことと全然関係がないので、そういう事情につきましては、うちの方では知っておりません。
  430. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それならば、最初から調査の結果、簡単によろしいというので買い上げるということでなしに、最初はどうでもそうでない、なかなか困難であったのだが、結局防衛庁の方も購入することに話がきまったらしい、そういうふうに相当曲折があったのじゃないかと思うのであります。そこであなたの方が、最後に買うことにきまったということを御承知になったのは昨年の九月ごろ、こういうことなのですか。
  431. 松田勲

    ○松田参考人 買うことがきまったということにつきましては、私の方は交渉いたしておりませんので知らないのでありますが、ほんとうに最初のうちにおきましては、先ほどから申し上げましたように、うちの方ではなかなか使えはしまいという考え方で、そういう書類なら判を押してもいいだろうというふうに組合長が考えて、したわけでありまして、いよいよこの船が使えるらしいということを知ったのが九月半ばでありまして、防衛庁との交渉につきましては、私の方は一切知らないのであります。
  432. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 防衛庁との交渉を実際やりましたのは一体どこでありますか。
  433. 松田勲

    ○松田参考人 どこがやったか、私は北星だろうと思っておりますが、少くとも組合はやっておりません。
  434. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 あなたは昨年六月、売買契約の当時は平郡村長として、その以前に漁業組合からの払い下げ申請の具申書も出しておりますし、その他の書類も出しておりますし、相当重要な役割を持っておられますので、それらの問題については漁業組合長に劣らぬほど十分に、組合長と比べれば、あなたはよく以上の経緯などは御承知なんでありましょう。
  435. 松田勲

    ○松田参考人 私は組合長から、自分はいろいろの官庁の方を知らないから、それで一応協力してもらいたいという話がありまして、私といたしましても、現在の瀬戸内海漁業が日夜衰微しておる、村としてもこれを何とかしなければならないという考え方からお手伝いをしたわけでありまして、私が組合長よりよく知っておるということはないと思います。
  436. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そういたしますと、北星防衛庁におもに当ったのだが、北星はサルベージの業者で、船の所有者でないのですね。ところが船の所有者は、売買契約によれば、あなたの方の漁業組合富士製鉄で、北星は単にサルベージ業者であるというふうに思うのですが、サルベージ業者防衛庁に向っていろいろと売買の交渉をしたりしているというのは、北星はこの「梨」の処分について、買受名義人よりも相当大きな実権者である、こういうふうにも見えるのですが、それはそうなんでしょうか。
  437. 松田勲

    ○松田参考人 うちといたしましては、二百五十トンの鉄につきましては大体うちが権利があるわけでありますけれどもただ先ほども申し上げましたように、七月十日に再生できるならばという覚書をかわしたために、それで組合の方としては制限を受けたわけであります。
  438. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 北星漁業組合との間に取りかわしておりまする覚書あるいは昨年九月付の覚書、それから六月付の契約書その他によりますと、相当広範な権限が北星に与えられておるように見えるのです。そうして代命も事実上は北星が支払い、引き揚げの経費一切は北星が支払い、北星防衛庁売り込み交渉をし、解体の結果二百五十トンの鉄は、あなたの方へ魚巣をよこせばいいというその相手方も北星、こういうことになるらしいので、これは買い主が漁業組合になっておるけれども、実際は北星が買い主と同じような権限を持って万事に行動しておる、こういうのがほんとうの実態ではないか、こういうふうにわれわれは思うのですが、あなたはどういうふうにお考えになっておりますか。
  439. 松田勲

    ○松田参考人 うちの方といたしましては、最終的に二百五十トンの魚礁ができればそれでいいという考えでありますから、これをどうしよう、こうしようというような考え方も持っていないし、またそのほかどうこうというような考え方もうちの方ではしていない。ただ現在の段階におきましても、二百五十トンについての所有権並びにうちがこれを魚礁にし得るということにつきましては、組合に絶対的な権限があると思います。
  440. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 絶対的な権限があるというような強いお言葉でありますけれども、もしこれを軍艦に使うということであれば、これは当初の契約から見ましても、魚巣の鉄をもらえないことになるのではないでしょうか。もちろん政府が承諾してくれれば別でありますけれども、売買契約にはそういうことはごうもうたっておりません。でありますから、そこらは契約の趣旨から見てもよほど離れたことになりますので、そのまま軍艦に使うというような事態になってくると、政府との間によく了解を得て承諾を得なければ魚巣の目的は達しない、こういうことになるのがほんとうじゃないかと思うのです。そういうふうにお考えになっておるんじゃないかと思いますが、いかがでしょう。
  441. 松田勲

    ○松田参考人 そうでございまして、財務局の方が転用を認めた場合におきましては、うちの方はそれだけの主張はしないわけでございまして、ただ現在それは転用を認められていない限りにおいてということであります。
  442. 生田宏一

    ○生田委員 ちょっとお尋ねしますが、あなたの方と北星船舶との関係はどういう関係から結ばれたのですか。
  443. 松田勲

    ○松田参考人 どういう関係からというわけでもありません。結局北星船舶と知ったのは二十八年の十一月だと思いますけれども、うちが払い下げを受けるかもしれないということで、いろいろ業者が来ておったわけであります。御承知のように、サルベージというものは、たとえば漁業組合が直覚でやってそうして下請けをさせた場合にはしばしばごまかされるというような点も多い。それでできるだけ技術があり、また人間的にあるいは会社の資力というような点においてもいいという業者を選んでおったわけであります。一応初めて知ったのが二十八年のたしか十一月ころだと思いますが、うちの方といたしましては、突然北星の方からやってきまして、いろいろ社長と話した。その当時にはまだ北星仕事をやらせるというようなことは全然なかったわけです。ただ向うから来られて話し合ったということから知ったわけであります。
  444. 生田宏一

    ○生田委員 そうすると、北星社長漁業組合をたずねてきて、そうしてあの仕事を一つ自分にやらしてもらいたいというような話が起きて、それからのことなんですか。
  445. 松田勲

    ○松田参考人 払い下げがですか。
  446. 生田宏一

    ○生田委員 払い下げに関しては、北星とあなたの方との間には何ら相談したことはないのですか、あるのですか。
  447. 松田勲

    ○松田参考人 ないです。
  448. 生田宏一

    ○生田委員 ないのだとすると、北星に対する融資はどういう意味でされたのですか。
  449. 松田勲

    ○松田参考人 先ほど申し上げましたように、まだ十月には決定しておらぬし、いよいよ北星にやってもらおうということにきまったのは二十九年の五月ごろであります。それから三百万円の融資というのは、結局うちの方が代金を払うべきところを、向うの方としては少々の代金を払ってもらうよりも、むしろ金を三百万円借りて仕事をした方がいいという判断をされたんじゃないか。うちの方としては三百万円を出して、融資をしてもらえばいいということで話がついたわけであります。
  450. 生田宏一

    ○生田委員 そういうような話があったのでしょう。あなたの話では、ないというけれども、そういうような話は北星の方からあなた方の方へ出したのですか。漁業組合からそういうようなこの「梨」に関する話し合いを、どっちが主導的に出したのですか、それをちょっと聞きたいのです。
  451. 松田勲

    ○松田参考人 金の方でありますか。
  452. 生田宏一

    ○生田委員 金のみならず一切のこの件についての交渉です。
  453. 松田勲

    ○松田参考人 これにつきましては、どちらにいたしましてもうちの方といたしましてはあげなければならない問題だし、それで一番最初向うから来ましていろいろ話があって、これはどっちがどう言うたというあれじゃなしに、一応相当技術も持ち、その当時浮揚タンクを持っておったのはあそこぐらいであったわけでありまして、大体人にほれて、それから技術、たとえば伊号三三なんかの上げ方などにつきましてもそういう技術的な面で大体信用できるんじゃないかということで、では北星船舶にやらしたら一番安全じゃないかということになって、それから後に今度払い下げがきまって、そうしていよいよこれをどういうような負担をするかということになって、三百万円を融資してもらいたいというあれでこういうふうになったのです。
  454. 生田宏一

    ○生田委員 そうすると、今の話ですと、北星船舶の方からあなたの方へ持ちかけてきたように思うのですが、そうじゃございませんか。
  455. 松田勲

    ○松田参考人 引き揚げることにつきましてはうちがどこまでも初めから考えておったわけです。
  456. 生田宏一

    ○生田委員 それから先ほどのあなたのお話によりますと、富士製鉄の方の交渉は一切漁業組合の方は知らぬとおっしゃいましたね。それは間違いありませんか。
  457. 松田勲

    ○松田参考人 漁業組合の方におきましては、こういういなかのことでありますから、どこに製鉄会社があるやら何やらわからない。それでこれについては北星の方に心配してもらいたいというあれであったのであります。
  458. 生田宏一

    ○生田委員 そうすると、今のお話で判断すると、「梨」の払い下げを受けて、それを漁業組合の魚巣にも使用する、それからまた富士製鉄の方へ行っては、二百五十トンを漁業組合へやり、七百トン何がしをあなたの方へスクラップとして納めるから、これで共同払い下げの形式をとってもらいたい、こういうことを富士製鉄へ話したのは北星船舶である。それで富士製鉄漁業組合との間には直接何らの交渉はない。北星船舶から話の結末をつけた、こう解釈してよろしいですか。
  459. 松田勲

    ○松田参考人 仲介の労は北星船舶にとってもらいました。
  460. 生田宏一

    ○生田委員 直接の関係はございませんね。
  461. 松田勲

    ○松田参考人 結局共同払い下げを受けたというだけでありまして、うちの方では交渉しておりません。
  462. 生田宏一

    ○生田委員 そうすると、北星船舶用途変更をしようという考えを六、七月ごろですか、漁業組合の方へ話がありましたね。そしてあなたの方は同意したですか。この覚書を拝見してみますと、用途変更をした場合、防衛庁へこれを売り込むとしますと、それは富士製鉄漁業組合とが防衛庁へ売り込むことになるのですか。実質的には北星船舶が売り込むことになるのですか、どららですか。
  463. 松田勲

    ○松田参考人 所有権漁業組合にあるのでありますから、二百五十トンにつきましては漁業組合がすることになると思います。
  464. 生田宏一

    ○生田委員 形式的にはそうですね。そうですが、あなたの方から言えば、果してこれが防衛庁で使えるものかどうかもわからぬし、あんなに言うからまあまあそのようにしばらく様子を見ようじゃないか、こういうつもりだったところが、いつのまにか防衛庁も見に来るし、使えるということがはっきりしたので、それじゃ売ってもいいという気持になったんでしょう。
  465. 松田勲

    ○松田参考人 そうであります。
  466. 生田宏一

    ○生田委員 そうすると、防衛庁へ売り込むことには漁業組合のほんとうの意思というものは何らないわけであって、北星船舶に誘導せられていつのまにかそこまでいってしまったというのが真相でしょうか。
  467. 松田勲

    ○松田参考人 私らとしましても、それはもちろん魚巣に使うことが一番いいと思いますけれども、魚巣というものは必ずしも鉄材をもってしなければならないというものでもないわけでありまして、これが十分に活用できるということなれば、これはやはり一漁業組合という問題よりも日本的な問題として考えたわけであります。
  468. 生田宏一

    ○生田委員 そのときに、覚書の中に書いてあることの以外で、もし防衛庁の方で買ってくれれば組合の方にこのようにしよう、あのようにしようというような条件はなかったですか。
  469. 松田勲

    ○松田参考人 大体もしそれが再生して使えるならば、その代償として魚礁を作ってもらおう。もちろんこれについては最初のときでもそうでありますけれども、相当の別な加工が要るわけでありまして、この点については、組合の方でも作ってもらおうということになっておったのですが、今では、魚礁が作られてないからそのままになっております。
  470. 生田宏一

    ○生田委員 そうするとこの覚書の第五項で「国の前号に対する文書回答の結果梨処分に関し尚甲の名義が必要となりたる場合乙の需めに応じ甲はその処分権の内容を示す委任状を乙に発給するものとする。」これは明らかに防衛庁に対する売り込みの主役というか、実質上の権利を持っておる人は、乙の北星船舶であるということは、この覚書で認めておるのです。そうすると、このときすでに漁業組合防衛庁に対する「梨」売り込みに対して、実質的には一切の権限を北星船舶にまかしてしまったというか、移ってしまっておる。そういう感じがするのですが、そうじゃありませんか。
  471. 松田勲

    ○松田参考人 再生させるということは、それはその書類によって北尾船舶委任されたということになると思います。けれども、この条件として最初から財務局の許可を得る、いわゆる用途変更の許可を得てからこっちが考えるということでありますから、防衛庁が使うというので許可が出たならば、向うの方に権限がほんとうに移るわけでありまして、その前おきましては、ただその仲介の労をとるという程度だと思います。
  472. 生田宏一

    ○生田委員 あなたはそう言われますけれども、この覚書の意味をよく見てみると、中国財務局が許可を与えて、そして防衛庁へ売り込む。そのときにはあなたの方へかわりの漁巣が、コンクリートであろうが何であろうが、ほぼ満足する魚巣が作られて海底に沈められる。それからここに百万円の約手と六十万円の現金を組合の方がもらう。この二つができさえすれば北星船舶の方へこの「梨」処分権というものは譲ってしまった。こういう意味に解釈せられるのですが、そうではございませんか。
  473. 松田勲

    ○松田参考人 百六十万円につきましては、それが再生されることによって百六十万円をもらうということでは、初めからなかったわけでありますから、百六十万円というものは別個であります。その次の財務局の許可を得るということと、二百五十トン分の魚礁を作ったならば、うちの方は覚書通りその権利を自動的に喪失することになると思います。
  474. 上林與市郎

    上林委員長 他に御質疑はございませんか。
  475. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 先ほどの参考人お話では、本件払い下げの申請主体は、漁業組合であるというお話でありましたが、富士製鉄を加えることになった理由はどこにありますか。
  476. 松田勲

    ○松田参考人 漁業組合といたしましては、全部は要らない。そういたしますと、財務局の方といたしましては、要らないものについては、漁業組合払い下げることはできない。製鉄会社、いわゆるメーカーにこれは払い下げるのだ、こういうことできまったわけであります。
  477. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 そうではなしに、富士製鉄が加わることになれば、随意契約ができるというのじゃなかったのですか。
  478. 松田勲

    ○松田参考人 そうではありません。
  479. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 この間大蔵省と何か折衝なされたことはありませんか。
  480. 松田勲

    ○松田参考人 折衝はしております。
  481. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 どういう折衝をなさいました。
  482. 松田勲

    ○松田参考人 二十六年ごろに陳情書を出したと思います。それから、これは大体広島の財務局であるので、広島の財務局と折価するようにということであったので、広島の方の財務局と折衝しておりますが、その過程につきましては、今秋は全部を覚えておらないのでありますが、大体の見通しがついた――ただ値段の問題が解決がつかなかったわけでありますけれども、大体よかろうという線が出たのは、五月ごろだと思います。
  483. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 この点についてもっとただしたい点もあるのですが、時間がないようですから進めて参ります。二十九年の六月二十一日に払い下げに関する最初契約書ができているようでありますが、この払い下げ物件の使用用途並びにこれに期限が付してはなかったか、これを聞きます。
  484. 松田勲

    ○松田参考人 使用用速ははっきり覚えておりますが、期限の方については、私はよく読んでいないので覚えておりませんが、うちの方といたしましては、十二月一ぱいに魚礁を作るという予定であったわけであります。
  485. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 最初契約書によれば、四カ月内にやらなければならぬことが規定してあります。かつその用途は、第九条に「魚巣及製鋼用原料」とあります。この魚巣というものがあなたの方の関係だと思います。しこうして四カ月の期間内にこれをやらなければならぬと、これは第十条に規定してありますが、これはその通り間違いありませんか。
  486. 松田勲

    ○松田参考人 それは財務局との払い下げ契約でありますか。
  487. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 六月二十一日の払い下げ契約……。
  488. 松田勲

    ○松田参考人 そうでありましたら、間違いないと思います。
  489. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 しからば十月の二十一日ですでにその期限が経過している。よってこの契約書に基きまして、つまり十五条の第二号によりまして、四カ月内に魚巣を作らなかったならば、契約解除として元の国家所有権にこれを返さなければならぬ規定のあることは、あなたの方では承知の上でございましょうね。
  490. 松田勲

    ○松田参考人 その期限を、私はよく覚えていなかったのであります。
  491. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 これほど重大なことを、一向眼中に置いてないということは、そもそもあなた方が最初からあまり当事者になっていないのじゃないですか。ただ名前だけを貸して、ほかの人がいいようにやっておったのじゃないですか。
  492. 松田勲

    ○松田参考人 うちといたしましては、どこまでも最初の引き揚げ、これを制限しておりまして、そうしたなら解体というものが、そんなに長くかかるとは考えておりませんでした。従って早急にできるものだという考え方でおったわけであります。
  493. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 あなたの方では、あまり深い関係がなくなって先ほど言ったように、百六十万円もらったきりで、ほとんどあなた方の手を離れたものだから、一定の期間内にこれをしなかったならば契約を解除されて、元の所有者に返さなければならぬといったようなことは眼中に置かず、そんなことは念頭になかったのではないか、かように見ざるを得ない状態にあります。ところが越えて十一月八日に至って、その期限をさらに五カ月延長する旨をさらに契約しておりますね。
  494. 松田勲

    ○松田参考人 あれは月々ではなかったかと思います。
  495. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 これによると、「契約書第十条を次の通り変更する、第十条乙は、払い下げ物件の引き渡しを受けた日から五カ月以内に、前条の指定用途に供しなければならない。」そうすると、最初四カ月であるというのを五カ月と直したので、一カ月延期したという意味ですか。
  496. 松田勲

    ○松田参考人 一カ月ずつ延期したと思います。
  497. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 その後どうなっておりますか、これはだんだん延期されて参ってわりますか、現存でも、合法的に延期されておりますか。
  498. 松田勲

    ○松田参考人 たしか二月までだったと思いますが、その後はいたしていないと思います。
  499. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 それでは、あなた方にとってはいつどうされるかもわからぬ、ほど重大な関係にあるにかかわらず、あなたは黙っているというのは、そもそも最初の百六十万円もらったきりあなたのところを離れたといったような関係ではないですか。
  500. 松田勲

    ○松田参考人 その点につきましては、二月か三月に組合の方から北星の方に書類でもって厳重に早く処置してもらいたい、うちの方としては魚礁を作るのが半年おくれているではないかという申し込みをしております。
  501. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 先ほどあなたは自分の方から代金を払うべきであるが、信用組合から融資をいたしたので、これが代償と言わぬでもそれにかわるものとも見られるような答弁でありましたが、その融資というのは、組合が県信連から借りて、県信連の方ではそれは一時貸しであったからというので、その融通の分はもうすでに一切返済済みではありませんか。
  502. 松田勲

    ○松田参考人 返済済みであります。
  503. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 そうすると、組合は魚礁を作ってもらう、作ってもらうことに対して対価を出すべきであるにかかわらず、百六十万円もらったきりだということはとうてい理解できないのでありますが、百六十万円をどう御処分なさいましたか。
  504. 松田勲

    ○松田参考人 これは組合の方におきまして魚礁その他に使っております。詳細なことは私わからないのですが、組合の方が二十九年度にコンクリート・ブロック、魚礁というようなものを作っております。
  505. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 時間がありませんので、この程度にいたします。
  506. 上林與市郎

    上林委員長 他に御質疑ありますか。――ないようでありますから、これにて松田参考人に対する質疑は終了いたします。松田参考人には大へん御苦労さまでございました。これにてお引き取りを願いたいと思います。  次に又場参考人に対する質疑に移ります。又場参考人の出席をお願いいたします。――又場参考人に対する質疑を許します。その前に御紹介申し上げます。土星船舶工業株式会社社長文場常夫君でございます。片島港君。
  507. 片島港

    片島委員 お尋ねいたします。北星の方と富士製鉄の方とはどういうふうな関係にございましたでしょうか、この点から伺いたい。
  508. 又場常夫

    ○又場参考人 富士製鉄と私の方は全然関係でございません。
  509. 片島港

    片島委員 この旧駆逐艦「梨」は富士製鉄地元漁業協同組合が兵団で財務局の方から払い下げを受け、そしてその契約もこの両者の名義によって三百五十四万円で売り渡し契約をやっているのでございます。しかも富士製鉄は三晃株式会社というスクラップ会社には委任はいたしておりますけれども北星の方は何らの関係がないと今もおっしゃったのでございますが、また富士製鉄の方にお聞きしても何も関係がない。何も関係がないのに富士製鉄所有のこの駆逐艦「梨」について、あたかも所有権があるかのごとく防衛庁との売りつけ問題について御奔走なされたのでございますか。また漁業組合だけといろいろ取引されているのでございますが、この富士製鉄も共有者であるということについては御存じでなかったのでありますか。また御存じであったならば、富士製鉄とは何らの関係もなくて、富士製鉄所有物についてあなたの方で処分をするような行動をせられるということは行き過ぎではないかと思いますが、その点はいかがでしょう。
  510. 又場常夫

    ○又場参考人 私は三晃物産と従来取引いたしまして、富士製鉄の作業は一、二回させていただいたことはありますが、これは三晃物産を通じての仕事でありまして、私と富士製鉄とは関係はありませんでした。三晃物産とはもう長年のつき合いをさしていただいております。そういう関係でございます。
  511. 片島港

    片島委員 私がお尋ねしておりますのは、そうじゃありません。これは富士製鉄漁業組合所有になっております。払い下げをやりましたのは、富士製鉄とこの地元漁業組合に対してでありまして、あなたの方は実は所有者ではないのであります。所有者でないのに、自分で三百五十四万円の金を納める。私はこれは直接払い下げの対象でない北星から金を受け取った財務局の行き方も非常に不可思議に考えておりますが、ともかくあなたの方は所有者でもなければ、払い下げを受けてもおらないのに、三百五十四万円金を払い込み、富士製鉄とは何らの関係もないけれども、三晃を知っているから――三晃から再委任されたかもしれませんけれども、三晃を知っているから金を払い込み、そうして漁業組合の方に百六十万円も金を支払い、今引き揚げているこの軍艦のみがきをいろいろと頼んでおり、防衛庁の方に売りつけを折衝しておられるというのは、私たちはどうもふに落ちないものですから、どうしてそういることをやられるのか伺っているのであります。
  512. 又場常夫

    ○又場参考人 はなはだ失礼いたしました。私の方は三晃物産契約をいたしまして、そうして金を払ったということにつきましては、われわれの仕事と申しますのは、非常にノー・ケア、ノー・ペーの仕事でありまして、危険負担が非常に多いのであります。そのために海に沈んでいる場合に、スクラップであるとか、あるいはサルベージの仕事に対しては、製鉄業者は知りませんが、代行店から金は出ないのが建前になっております。そのために私の方は三晃物産からは金は出ない。それから漁業協同組合から支払う金に対しましては、漁業協同組合から私の方が委任を受けまして、そうして三晃物産の方には漁業協同組合から委任を受けましたから、三晃物産の方の支払い分に対しても私の方で一緒に支払いしますということで、これは委任状は出ておりませんが、支払うことを御相談申し上げて支払ったわけでございます。
  513. 片島港

    片島委員 これは富士製鉄の方を呼んで聞いてみると、まだ現在私の方に所有権があると思っておる、こう言われておりますし、それから先ほど財務局の方からは、都合によっては解約をしようとするつもりだから、そのつもりでおってくれという文書が富士製鉄の方にはいっております。こういうことである。そういたしますと、あなたの方では書面上富士製鉄からも三晃からも何らの委任も受けないし、金を払い込んでくれということも頼まれもしないのに、金を払い込んでおりますが、もしも解約になったとすると、三百五十四万円をあなたの方では法律的にはいただくことができないことになりはしませんか。何かそこに書類の取りきめがなければそうなるのではないか。
  514. 又場常夫

    ○又場参考人 私はそういう法的なことに詳しくないものでございますから、非常にぶさいくでありますが、最初にサルベージをしてスクラップをするときには、そういうような考えは毛頭なかったものでありますから、そこでそういうふうなことをやったのでありますが、現在のようにこれを船としてお使いになるということになった場合は、私は初めの通りの契約とかいろいろなことが変って参ると思います。それで富士製鉄さんの方にもあまり長くなるので、だからもう解約してしまって国に返した方がいい、こういう考えを持っておりますし、三百五十四万円が全然戻ってこないというのでは非常に困りますが、まあ富士さんにしても漁業協同組合さんにしても、私の方は、小さい業者をそう泣かすようなことはされぬだろう、こう思っております。
  515. 片島港

    片島委員 いや、私は泣かすとか泣かせぬとかいうことでなくて、富士製鉄漁業組合払い下げを受けておるものを――なるほど漁業組合の力からはあなたの方に委任状が出ておりますから、そこであなたの方はその委任状に基いて、そういう権利を譲っていただいたというような考え方のもとに、百六十万円という金を実は漁業組合の方に手切金といいますか、保証金のような形でやって、漁業組合の口をふさぐような形にしておられるようでありますが、しかしながら富士製鉄の方は三晃には頼んでおる、スクラップを早く出してくれといって、今でも要求をしておるが、なかなか来ないで困っておる、こういうようなことであります。そうすると、富士製鉄の方には何も所有者の了解なしにあなたの方は金を払い込んでおられる、これが私たちにはどうも了解に苦しむのであります。そうして今お話になりましたスクラップの問題でありますが、これはまだほかの委員もこの点についてお尋ねをするでありましょうから、私はこのスクラップの問題について話を進めて参りますが、実を言いますと、この契約ができましたのは昨年の六月二十一日であります。そうするとあなたの方はその前にすでにもぐりを入れまして、中にある品物や部品の全部を調べております。もちろんその契約書を出す場合には、名前はみんな富士製鉄とかあるいは漁業組合になっておりますが、とにかく六月に契約をやるころには、あなたの方で調べまして、中にある部品とか機械などを全部列挙いたしまして、これだけのものがあるということで引き揚げ作業に着手しておられる。そうしてまだその引き揚げを終らないうちに。保安庁長官の方に、実は北星の方に権利を譲るからどうか買い上げてくれという文書が七月十日に出ております。ところが問題は、引き揚げてスクラップにするかしないかということではなくて、まだ引き揚げを完了しないうちに、実はこれは軍艦に適当だと思ってけがをしないように静かに引き揚げ作業を続けておりますから、どうか買って下さいという申請書を七月の十八日にあなたの方から保安庁長官の方にまた出しておられる。つまりまだ引き揚げの途中だのに、最初から軍艦になるということがわかったものだから、漁業協同組合の方には百六十万円で手を切る、それから自分たちが金を払っておきさえすれば自分たちの方に権利がくるものだから、三晃も富士製鉄の方でも頼みもしないのに、あなたの方は財務局の方に三百五十四万円の金を納めて権利を取ったつもりになって引き揚げをやつておるうちに、あなたの方からまたこういうりっぱな軍艦だからけがをしないようにゆるゆると大切に引き揚げをやっておりますという文書を出したのです。その文書が出てしばらくたった後に引き揚げた。まだ保安庁の方はうんともすんとも言わないうちにちゃんと引き揚げて、さびどめをして呉造船に頼んでそれをピカピカみがきをかけてやっおる。だから、これは最初から純粋に協同組合考え、また三晃が考えた場合には、ほんとうにスクラップと魚巣だと考えられたかもしれないが、少くともあなたの方の口が入ったその瞬間に、これはもうスクラップや魚巣ではないということをあなたの方は見抜かれて、最初からすでにそういうふうに計画的に手続を進められておるのではありませんか。そうでなければあなたがそこまで中に入っていくということは私たちには了解ができません。
  516. 又場常夫

    ○又場参考人 この艦は敵の艦載機数十機のために二回か三回かの波状攻撃を受けて沈んだわけでありまして、後部の方は非常に大きく爆破されておりますし、上甲板にこのくらいの破れが二ヵ所ありまして、艦内は、この様子であったらむろんばらばらになってしまっておるだろう、あるいは横に寝ているから、右舷側になっておる下には大きな爆破口があるだろう、こう想像しておりました。また艦内のエンジンとか機械というものは潜水夫によって調べられるものでもありませんし、また潜水夫はあの船の中には穴が小さくて危険で入れないのであります。また入れましても中には光線も通らないので暗くて何もわかりません。それで艦内調査とかそういうことはむろんいたしておりません。それから外側から見ても、この船は必ず下側の泥の方に大きな穴がある、それが原因で右側が下になって九十度に倒れておるのだろうという予想をしておりました。それから九十度に寝ているのをまっすぐに起した。そしたら泥側になっておった方にはこれくらいの爆弾の穴が一つしか見当らなかったのであります。それから一発の爆弾の方は、艦内に入って爆発してずいぶん荒れていることと思いましたところ、不発弾もなく、またたまも破裂しておらぬし、これがどうなったものかということもあとからドックの中に入れてみてどうしても判断がつかぬくらいでありました。  それから手続の点でございますが、大体起してみて七、八メートルくらいだと思いますが、それくらいに浮き揚がらせて浅い所に持っていく途中において、片側がきれいでありまして、また片舷の底を十分に見たところ底もきれいで傷がない、これでは船体だけは大体いいようである、そうすると何とかこれは船に使った方がいいんじゃないかというような気分が出てきたわけでございます。それでいよいよ漁業協同組合に話しまして――ただそれはその方が実際にお国のためになら、われわれはできるだけこれは国家再建のために尽した方がいい。なるべく早くこのことは防衛庁の方へ申し出た方がいい。これが商船でありましたならばすぐに方々の取引もできますが、軍艦であります関係上、国以外のものは使えないのでありますから、防衛庁の方へそのことを申し出るというので申し出ましたところが、七月の何日か忘れましたが、になりましてすぐ参りまして、その話をしましたら、書類が出ませんと官庁というところはどうにもできない。私どもが急ぎましたことは、金のない業者が無理な金を算段して仕事をするのでありますから、引き揚げましたらなるべく早くこれを解体しなければなりません。一日も早くその金を取り戻すということに重点を置いておりますので、これが仕上るまでには何とかかんとかきめておかなければならぬ。そういうことで非常にあせったわけでございます。それで書類を七月十八日に手紙で出しました。それから八月の二日にドックへ入れました。艦内には、多数の犠牲になられた遺体がありました。それを全部――艦内には機械室とかま室、これは十年も長い間泥沼に埋っておったために、エンジンもすべてのものが全部泥が一ぱいありました。何百トンという泥が艦内にありまして、その泥が全部エンジンやそういったものにかぶさっておりまして、その泥を真水でどんどん洗い流しまして、そうして泥を流すはしから遺体の収容をいたしまして、そうして泥をのけてみますと、幸いに泥に埋っておった関係だと思いますが、思うたよりも案外エンジンの方が無事でありました。そのために私はこれは船体はいいと思ったけれども、エンジンは爆弾でめちゃくちゃになっておると想像しておったものが、案外泥を流してみればまだ油ぎっておる。しかし私にはエンジンに対する知識がありませんから、それでまた重ねて防衛庁の方へは八月の八日か九日ごろには泥洗いが終るからという通知を出しました。それから防衛庁の方から専門の方だと思いますが……。
  517. 片島港

    片島委員 それから先は私たち知っておるのです。――私が言っておるのは、最初からあなたの方が調べられたならばこれはスクラップや魚巣ではないではないか、そういうことを気づかれておったのではないか。そうしたら揚げる途中においてようやくそういうふうにわかってきた。そういうふうにわかってきたならば、国のためを思ってとおっしゃるが、国のためを思うならば、払い下げを受けたところは国なんです。私どもがこれを問題にしておるのは、国がなるたけつまらぬ損をしないように、国の金がむだに使われないようにということで決算委員会は取り上げておるのでありまして、それ以外に他意はありません。従ってこれは魚巣かスクラップに使うんだということを一番先の条件にして、使用目的にして契約をされておる。こうしてみたとたんにもうこれはスクラップや魚巣ではなくて、軍艦に使ったのが一番いいというならば、当然これは解約をして国の方に戻さなければならない。戻してあなたの方は、これは当然向うから先に出しておる金を受け取ってよろしい。それを欲が出たとおっしゃる。三百五十四万円で取ったものが何億円にもなるのですから、それは欲も出ましょう。しかしそれが国の財産である場合には、そういううまいことはなかなかない。やはりこれは当然大蔵省の方に解約、返還の手続をなさらなければならぬ。引き揚げた分の作業賃は当然請求してもよかろうが、あなたの方が商売気を出して、直接防衛庁にこれを幾らで売ろうかなどということをやるのは、これは行き過ぎではなかろうか。しかも所有者、払い下げを受けたものは富士製鉄漁業組合である。なるほど漁業組合からはあなたの方は委任状を受けておられるが、富士製鉄からは何にも委任状も受けておられない。そういうところの了解も何もなしに――富士製鉄取締役の人は何もそういうことは知らないのにもってきて、欲が出た、りっぱなものだというので、これを今度は魚巣やスクラップにしないで、払下げの当事者でないあなたの方が自分で欲を出して、商売気を出し防衛庁と取引するというのは行き過ぎではないか。当然国のためを思うならば返還すべきではないか、私はそこを聞いておるのす。
  518. 又場常夫

    ○又場参考人 私もよく誤解が解けましたが、私は一切今まで欲を出したことは絶対ありません。   〔「そんなことを言うな、欲のない人間があるか。」と呼ぶ者あり〕
  519. 又場常夫

    ○又場参考人 今のは大きな何億というようなことで……。
  520. 上林與市郎

    上林委員長 結論だけ言えばよいのです。
  521. 又場常夫

    ○又場参考人 私は防衛庁に対して高く買って下さいというふうな売り込みは今いたしておりません。
  522. 片島港

    片島委員 私が聞いておりますのは、権限のない方が、防衛庁、国を相手にして、また商売をされるということは、これは行き過ぎじゃないだろうか、あなたの権限外ではないだろうか、こういうことを聞いておるのです。所有権者富士製鉄であり、漁業組合である。それは引き揚げについての委任は受けられたし、また実質的に三百五十四万を払い込み、百六十万も漁業組合に金を出しておられ、また実際あなたの努力によってこうして引き揚げてきておられる。これは当然あなたの方に損をかけるべきものじゃありません。それはどこかが見なければならぬものです。しかしあなたの方はそういう仕事をあずかっておるうちに、こちらの方は切り捨てて、いつの間にか自分所有権者であるかのごとく防衛庁と取引をしておるのは、権限の行き過ぎじゃないか、うっかりするとあぶはち取らずになって、あなたの方は今までの分も何もなくなる危険がありはしないか、これを私は聞いておるのです。
  523. 又場常夫

    ○又場参考人 防衛庁へは実は売り込んだのではありません。これを再使用したらよかろうと思ったためにやりましたので、権限の点につきましては、私法的なことを十分知らないものでありますから、三晃物産の方には話しはしております。それから漁業組合の方も話しが済みまして、もしこれが再使用できるならばと、こう申し上げまして、八月八日以来、この船のエンジンが実際に使えるものであるかどうか、防衛庁の方で研究されておりまして、今に至るも研究中らしいのであります。私の権限といいますと、引き揚げた費用の分だけでありますから、富士製鉄の方でも私の方には再三早く財務局の方へ、国へお返しした方がいい、こういう意見がありますし、私もこういうふうになりましたならば、元の目的と違うのでありますから、早く国の方へお返しして、私らに対する処置としましては、国のなり、一般商慣習による引き揚げ費用をいただいて、そして早く腐らないうちに船の改装なり修理に取りかかられるようにいたしたい。私どもも常に困っておるのは資金関係なのでありまして、これを再三お願いをしておるわけであります。
  524. 山田長司

    ○山田委員 あなたの会社は、資本金どのくらいで、創立されたのはいつごろで、それからもう一つ、今までのサルベージ事業の実績はどんなものがあるか、最初にそれを伺いたいと思います。
  525. 又場常夫

    ○又場参考人 私の会社は百万円の資本金でございます。それから創立は二十五年の十二月でございます。創立以後のサルベージの実績といたしましては、飯野産業の下請といたしまして、軍艦伊勢、日向の引き揚げ作業を援助いたしました。それから、たくさんありますが、一昨年伊号三十三潜水艦の引き揚げ、それから今の駆逐艦「梨」、そのほか三百トン、五百トン、六百トンという小さいものの引き揚げを続行いたしまして、今毎年約三千トンないし四千トンのスクラップを、五十メートル、六十メートルの所から引き揚げをやっております。かようなことでございます。
  526. 山田長司

    ○山田委員 今までに政党なり、あるいは政治活動をやっている人などに政治献金をされたことがあるかどうか。
  527. 又場常夫

    ○又場参考人 私はそういうことは今まで一切したことがありません。
  528. 山田長司

    ○山田委員 実はこの間あなたの不在中、私は呉の本社へ調査に行ってきたわけです。不幸にしてあなたは留守だったりで、いろいろ伺うことができなかったのですが、そのときに専務取締役の西原正三さんに実はお目にかかって、いろいろ話を伺ったのですが、そのときに、あなたはいつも作業日誌を持って歩いている、専務からこういう答弁をされて、実は私は意外に思ったのですけれども、きょうもその作業日誌をお持ちになって東京に来ておられるかどうか。もし持っておられたら、その作業日誌を見せていただきたいのですが、その点いかがですか。
  529. 又場常夫

    ○又場参考人 私作業日誌を持っております。山田先生からお話がありまして、それでお渡ししようと思いましても、この委員室へ来るのも道がわからぬし、それから親戚に用件がありましたので、はなはだ失礼いたしましたが、きょう持ってきております。
  530. 山田長司

    ○山田委員 その作業日誌を一つお見せになっていただきたいと思うのです。  作業日誌のほかにもう一つ伺いたいことは、出張命令輝はお持ちにならなかったですか。これが一つ。  もう一つ伺います。この船に潜水夫を入れて調べ始めて、調査の結果、これが軍艦として修理できると判定をおろしたわけですが、その判定をおろしたのは、引き揚げられてから判定がなされたか、それとも水中にあるうちに判定をすることができたか。この二点です。
  531. 又場常夫

    ○又場参考人 私のところは、出張命令簿というものは実は作っておらぬのでございます。  それからこの船を引き揚げまして判定を下しましたのは、ドックへ入れまして、エシジンが非常にきれいであった、ここにおいてそういう判定を下したのでございます。
  532. 山田長司

    ○山田委員 あなたは平郡漁業組合に現金六十万円と約束手形百万円の支払いをなさいましたが、これはどういう意味でお出しになられたか。私たちがこの世界のしろうとの考え方で考えてみたときに、漁業組合の魚の巣にするために船を引き揚げる以上は、その漁業組合があなたの方へ引き揚げ作業の手数料として支払うべきものと考えられるのですが、あなたの方で金を百六十万円お払いになったということは、どういう意図で払われたのかが理解できないのです。これについてのお答えを願います。
  533. 又場常夫

    ○又場参考人 この百六十万円の金を支払いましたのは、一般サルベージ業者なり漁業組合なりが申します漁業補償金といいますか、これは漁掛災害補償と、それから維持管理の費用、こういうような項目になるのでございますが、私らが作業をいたしますと、漁師が魚を取りますのに非常に作業中じゃまになるのでございます。それからこの軍艦「梨」は、昭和二十六年から魚礁として払い下げを受けたい、こういうふうなことを漁業協同組合の方も申請をしておりますが、終戦後いろいろなどろぼうサルベージが来るのを防ぐ、そのためにずっと番をして、近くの陸奥なんかのようにどろぼうが出たり入ったりするようなことのないようにして、この船が揚ってドックへ入れるときには、まだ上甲板にはいろいろな薬莢なり、あるいは兵員の靴なんかがあるという程度にまで、非常に船をいためないように持っておった。それは船を持っておったことでなくして、そうした保管というようなことを漁師の方でかわるがわるにやっておった。そうしたような費用が要るわけです。それを大体含めまして、漁業補償金ということでわれわれサルベージ業者がこうした漁業組合なんかに金を払うことは、一般の習慣になっております。
  534. 山田長司

    ○山田委員 そういう習慣になっているかどうかわからぬけれども、その漁業組合自分のところの魚の巣にするので、漁業組合に利益を与えてやるわけであるから、ほんとうなら、その船を引き揚げてもらうのであるから、漁業組合の方があなた方に金を支払うべきものというふうにわれわれはしろうとで考えるのですが、その点どうして支払われたのか。私は支払われる以上は、その権利を北星でやはり握ろうという意図で支払われたものと考えるのですが、もう一ぺんその点を伺います。
  535. 又場常夫

    ○又場参考人 漁業組合といたしましては、このものを一たん引き揚げてそうしてこれを魚巣にしまして――ここは大体イワシの漁場でありまして、このイワシの漁場を有効にするためには、これを向うへ持って行ってまた据え変える。その据え変えるときには、漁業組合としては魚巣の据付ということに付する契約ができるわけであります。そのときには組合からまた幾分いただくわけでございます。それで百六十万円は権利とかいうようなものでなくして、七百トン以上のスクラップが発生いたしますのに、私らはこれを漁労妨害補償、長年の維持管理の費用として百六十万円を出したわけであります。それで漁業組合の方は大体百六十万円もらってもいいじゃないか。魚巣にするのは漁業組合だけの利益だが、自分の方に魚巣にするために払い下げたのをよそに持っていくので、ほんとうに魚巣を据えるときは、また私の方が漁業組合から金をいただくのでございます。
  536. 山田長司

    ○山田委員 あなたの会社と非常に関係のあります東京の銀座七丁目にある新生産業から、この作業に携わるに当って、合計して千八百六十万円の金が出ている。そのうち「梨」の関係で使っている金が千二百六十万円のようですが、北屋と新生とは姉妹会社関係に置かれているといっているけれども、どんなふうに今まで仕事をして、それから資金を供給されて――利益及び損失の折半というようなことを専務の西原さんが言っていましたが、一体どんな姉妹関係に置かれているのか、このことを御説明願いたいと思います。
  537. 又場常夫

    ○又場参考人 私らの商売に非常に危険な作業でありますし、事がスクラップ関係しておりまして、われわれとしては金を借りる方法、あるいは資金を求める方法がどこにもないのでございます。銀行にもありません、どこにもありませんが、新生産業さんはサルベージというものに対して非常に理解がありますので、二十八年の二月、沖縄の作業を契機といたしまして、それから以後は、私どもの方と新生産業さんの方とは、仕事のたびごとに資金も遠慮なく出していただきますし、私の方も御迷惑をかけないようになるべく努めておりまして、請負とかあるいは何とかいことなしに、前に申しましたように、損をするときも同じように損をする、利益を出すときも同じように利益を出す、こうした行き方でおります。今までずっと、もう何年間かかわいがってもらっております。
  538. 山田長司

    ○山田委員 「梨」を引き揚げて防衛庁へ売却しようとするときに、新生とはどんなお約束をされて、新生防衛庁へり売り込み方を依頼されたものか、これを伺います。
  539. 又場常夫

    ○又場参考人 「梨」につきましては、八月の十日か十二、三日ごろと思いますが、これはなかなか品物がいい、もしか使えるんじゃなかろうかということになりまして、もしか防衛庁の方で再び御使用になるようでありましたら防衛庁で買い上げてもらう。買い上げてもらうという言葉は、私の言い方が悪いかもしれませんが、防衛庁の方でお使いになる場合は、私は遠方でありますから、なるべく新生産業さんの方で、近くでやってもらいたい。費用もたくさん要らないようにやってもらう、こういうようなことをお願いしております。
  540. 山田長司

    ○山田委員 大蔵省では、サルベージ業をやっておる人に船の払い下げはしない、こういう方針であるので、あなた方が動いて富士製鉄名前を使って払い下げたものではないかとわれわれは見ておるわけですが、この点どうお考えになるかということが一つ。それからもう一点は、駆逐艦「梨」はどこのものだとあなたは今お考えになっておるか、それがその次の問いです。
  541. 又場常夫

    ○又場参考人 富士製鉄との関係につきましては、魚巣というものは、漁業組合から二十六年以来申請してきておりますが、魚巣にするのには、その残りのスクラップをどこへやるかということになりまして、これは製鉄業者でなくてはいかない。製鉄業者払い下げるのである。「梨」には、漁業組合には用途目的があるが、あとのスクラップに対しては、メーカーの方へでないと契約ができないということだそうですから、私の方は幸いに富士製鉄の代行店である三晃物産、その三晃物産の代行店を引き受ける、こういうところまで話が進んでおったものですから、私の方から三晃物産に申しまして、それから三晃物産の方から富士の方に話してもらったわけであります。  それから「梨」はどこのものか、こういうことになりますが、初めの目的のときでありましたら、これを切りましてスクラップにして、富士へ納めます。そうしたら富士から私の方が作業の請負代金と同じように、トン当り幾らという費用が入るのでございますが、これをもしお国の方にお使いになるということになった場合は、これはどこのものかといいますと、非常に私など法律的にはわかりませんから、とにかくこれはお国の方にやはりお返しした方が一番いいだろう、どこのものということもはっきりわからなくなりまして……。
  542. 山田長司

    ○山田委員 あなたはわからなくなったというけれども、あなたが金を出しているように、私は今までの調べの中では思うのだが、どこのものだかわからぬというものに三百五十四万もあなたは払ってしまうかね。どこのものかわからないものへとにかく保証金みたいな金を払ってしまって、だいぶ損したから、このまま自分の権利はなくしてしまっていいというようなお考えがありますか。
  543. 又場常夫

    ○又場参考人 これは私の方も権利を全部放棄させられてしまったら困りますが、今といたしましては、私の方は引き揚げ費用をもらって国へお返しするのが一番いいと思いまして、今はそれではだれが持っているかということになりますと、やはり所有権富士製鉄漁業組合にあります。私の方は実質上の保管をしているわけでございます。
  544. 山田長司

    ○山田委員 さっき富士製鉄常務取締役に伺いますと、常務取締役は三晃物産の方には委任をしたことがあるが、その三晃物産からさらにあなたの方に勝手な仕事をすることは委任した覚えはないといっている。その委任したことがないといっている三晃物産北星とが関係ができてしまっているようですが、その点については、この払い下げに当って三晃物産からあなたの方は金でも取っているのかどうか。三晃物産というのはくず鉄を扱う業者でしょう。そのくず鉄を扱う業者からあなたの方は金を取って、その金を漁業組合の方へ百六十万円払ったのかどうかということです。あなたの方でじかに出したのかどうかということです。それを聞きたい。
  545. 又場常夫

    ○又場参考人 三晃物産からはお金は一銭も出ておりません。(「金のやりとりではないのでしょう」と呼ぶ者あり)ありません。
  546. 山田長司

    ○山田委員 そうすると財務局へ金を支払ったのは、だれが支払ったのか、あなたの方で支払ったとすれば全部あなたの方で出したのかどうか。
  547. 又場常夫

    ○又場参考人 財務局の方へ払う金は新星産業から借りてきて私の方が払いました。これを払うときには漁業組合の方からの支払いの委任状をもらいまして、三晃物産の方は沈んでおるから金は出せない、だからお前の方であとは出してくれ、こういうことでありましたから、漁業組合委任状であとは三晃物産にかわって払っておきました。
  548. 山田長司

    ○山田委員 引き揚げになった船を呉造船所へ持っていって、呉造船所のドックに入れて水洗いしたりさびどめをしたりした。それからスクリューという部品は一つ三百万円もする。それが二個呉造船所の中に保管してありましたが、その状態を見て、私は呉造船所は一体どこの依頼を受けて何十人もの人間が部品のさびどめをやったり機械修理をやったりしているのかということを常務に聞いたのですが、どこからも注文されないで一生懸命みがいているのだ、こういう答弁でありました。一体そんなばかげたことはこんな忙しい世の中にだれが考えたって常識的に考えられないことなんですが、その点あなたの方はどういう委任呉造船所に対してされたのか。あるいはまたあなたが知っている範囲で、新星からでもこれは頼まれたものか、そういう点どんなふうにあなたの方では呉造船所と契約をされておるのか。
  549. 又場常夫

    ○又場参考人 これは大体八月の十日にドックに水が入りまして、それから私の方はすぐ切断にかかればいいのですが、もしか何か研究しておられるとすれば、防衛庁の方で使えるかもわからない、それで私の方としましては大事な部分を手入してもらいたい、こういうことを頼んだのございます。私の方が頼みまして、ある一部のエンジンを取りはずして手入れしておりました。ところがあとから所有権とか何とかいう問題がいろいろ出てきまして、呉造船の方は所有権のないものから頼まれたのではしかたがないから、これはやりかけたものであるし、呉造船の方であとはやっているらしゅうございました。私はそのときにエンジンがせっかく油ぎっているものをくさらしてはいかぬと思いまして、ある程度の部分がくさらぬように頼んだのであります。それからそれなりになっております。
  550. 山田長司

    ○山田委員 あなたはさびどめとかあるいは機械の修理とかそういうものを頼んだというわけですね。呉造船灰の方では何十人もの人が出てみがいているわけなんですが、その点あとで何とか解決がついたら金を払うから大いにみがいておいてくれというようなことであなたの方で話したものかどうか。第一呉造船の方ではあなたの方へみがき賃の請求をすでにしているのです。あなたの方の会計へ行って幾ら請求書がきているかと聞いたら、三百十九万一千円の請求書がきておる。金を払わなければ私の方では船はどこにもやりませんと呉造船では言っている。ですから呉造船の方としては一つここに留置権を作ってしまっていばっているわけです。そういう点、請求金頭その他についてはあなたの方はどういうふうにするつもりですか。
  551. 又場常夫

    ○又場参考人 私の方としましては、さびどめをするあるいはスクリューをみがく、こうしたことは依願をしておりません。それで手入れに対しては、私の方は金を支払うということについてはわずかな口数である、こう考えております。それでこれがどうなろうと私の方は大きな金は呉造船の方へ支払うことはないと考えております。なお三百十九万一千円、これはたしか一応ドックに入渠させまして、それを出すまでの手入れ費用でありまして、これはドックで水洗いをしまして、遺体の収容とか危険物を完全に清掃する、爆発物を除くための作業工費でございまして、請求書は現在のような様子の分とは違うのであります。
  552. 山田長司

    ○山田委員 そうすると、さらにまた話が違ってくるのです。今のお答えですと、船の中のいろいろな機械類の場所を一応とっただけで三百何十万円の請求を受けたというのですか、それが一つ。もう一つは、もしそれがさびどめとか修理をしておるだけのことで三百何十万円の請求を受けたものとするならば、私が見ただけでこの部屋の何十倍という大きな部屋に部品がいろいろ並べられておるのですが、これらについての全体の修理費というもの及びさびどめというものあるいはそのほかいろいろ補給を加える場所もあると思うのですが、それらについてはどのくらいの金額で呉造船からあなたの方に請求がくるもりと認定されておりますか。
  553. 又場常夫

    ○又場参考人 工場内に散らばって手入れしてある品物は、たしかこれが再使用できるかできないかということの研究のためにしてあるのじゃないかと思います。私がお願いしてああいうふうにしてもらったものではありません。そのことを御了解願います。
  554. 山田長司

    ○山田委員 漁業組合に払った百六十万円については、あなたの方はもう取る意思はないのですか。それとも百六十万円はもう一ぺん取るつもりでございますか。
  555. 又場常夫

    ○又場参考人 漁業組合出しました金はこれは絶対に返らぬと思います。
  556. 山田長司

    ○山田委員 取る感恩がないのかどうか。
  557. 又場常夫

    ○又場参考人 意思はありません。
  558. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 関連して。今の百六十万円ですが、あなたの説明を聞いておって、何がゆえにあなたが漁業組合に百六十万円払ったかということがよくわからぬ。何かサルベージの仕事をやっておると漁に差しつかえるから補償だということはこれはおかしな話だ。漁業組合それ自体に頼まれてあなたは引き揚げをやっておる。あなたが自分のものを引き揚げをするという意思ならば、そういう考えが出てくる。自分の事業のために漁民に迷惑をかけるから、それで補償ということが出てきましよう。しかしこれは漁業組合自身の所有権に属し、それによってあなたは引き揚げておる。しかるに漁業組合に賠償するような義務があるようなことを言う。また漁業組合関係の人に聞いてみると、長い間管理をしたからその代金だろうというようなことも言う。これもまた奇態なことで、海に沈んだ国の軍艦漁業組合に国が管理をまかしたことがあるかどうか、沈んだものは国のものなんです。それを管理したからその代金が含まっているのだと考えるというようなことも言うたと思う。奇々怪々な答弁であります。そこで百六十万円をあなたが漁業組合に払われたその理由がよくわからぬ。なほまた調べによると、この百六十万円を払うと同時に漁業組合から防衛庁に対して、これは軍艦として再生使用するがよろしい、それにはわれわれは同意するという同意書を出しておる。これを連関して考えると、百六十万円の意味がほぼわかってくるのだが、あなたの答弁だとわからない。ただ漁業組合が、これは軍艦として再使用に対しては漁業組合としては同意するという具申書を、官六十万円の金をもらうと同時に防衛庁出している。そうすると、これは事がはっきりする。大体わかるのです。ところが、あなたのように言われると、どうも百六十万円の金を、所有権者でもない、権利者でもない者が何がゆえに出したのであるかという説明が私につかぬのです。もっともわれわれの頭が悪いせいかもしれないが、よくわからない。あなたの方は自分所有権も何もないのに、百六十万円を漁業組合のためにやっている仕事に対して何ゆえに出したのか。これが一点。  立ったついでに、私の聞きたいことを聞きますが、百六十万円あなたが払ったという事情について、もっとざっくばらんなことをおっしゃっていただきたい。私どもは、漁業組合から軍艦の再使用の同魚雷を出したということで、あなたが百六十万円払われたというのなら、すっとわかるのです。ほかのことだと、ちょっとわからないのだが、もう少し説明してもらいたい。  今一点、防衛庁の役人に懇意な人があるかどうか、特に親しくしている人があるかどうか、それもざっくばらんにお答え願いたい。  それから、さっき片島君の質問に対するあなたの答弁と、今の山田君への答弁において、これを軍艦として再使用したらいいという意見がきまったという時期について違いがある。片島君の、駆逐艦「梨」の買い上げ使用申請書を引き上げの途中に出しておるのじゃないかという質問に対して、あなたはそれを肯定している。もちろんこれはちゃんと文書がある。この文書を見れば、これはまこと再生可能である、優秀な艦艇になるということを書いている。だから、引き上げの途中に、そういうことがわかったわけである。今山国君の質問によると、呉のドックに入って初めてそれを決定したような答弁だと聞えるのだが、あなたがこれは軍艦として再使用可能になったと認定する時期というものは、相当意味深重なものがある。それは一体いつなんですか。呉軍港へ入ってからとなると、この申請書はどうもおかしいことになる。そこでどういうふうにこれを調和するか、この三点を伺いたい。
  559. 又場常夫

    ○又場参考人 百六十万円の件については、前に申し述べた通りでありまして、どこにも漁業権というものがありますし、それから漁業権補償というのがありまして、サルベージ作業をするためにはこうしたものがつきものであります。スクラップにして富士製鉄へ納めるまでが私の方の大きな仕事でありまして、使用目的は魚巣でございますが、魚巣そのものを引き上げるのが、やはり私らの仕事なんでございます。この仕事をするについては、どうしても漁業権問題がつきもりなんです。それで一般にどこの作業をいたしましても、かりにこの前北海道の洞爺丸、北見丸、ああした作業がありましても、出目庁の書類にも、魚業権補償は業者でなす、こういう項目があるようでございまして、その漁業権補償については、私らの一番悩んでおるところでございます。こうしたことがサルベージ業者のむずかしい一般の慣習になっておりまして、これは誤解がありましたら、一つお解きを願いたいと思います。  それから、防衛庁のお役人さんに、私にはじっこんな人があるかどうかということですが、その特にじっこんな人はございません。
  560. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 特にでなくても普通交際している人がありますか。
  561. 又場常夫

    ○又場参考人 交際している人はございません。それから防衛庁に再使用申請を早く出しましたことは、ドックへ入りましたらすぐこれがいいか悪いかということが決定して、早く金になるようにスクラップにしたい。ドックへ入ってよく見てから判定を下す。結局ドックへ入れて見ぬと判定ができませんから、それまでの手続として私は早くさしていただいたのでございます。
  562. 山田長司

    ○山田委員 平郡漁業協同組合の神代弥助という組合長にこの間話を聞いてみると、相当の人員と相当の小舟を出してこれに応援したと言っているけれども、一体何隻かの舟を出し漁業組合の人は応援したのか。それから何百人かの人が漁業組合から出て応援したのか、参考に承わっておきます。
  563. 又場常夫

    ○又場参考人 作業といたしましては、私は応援してもらったようには存じません。私はそこの点ははっきりいたしませんが、引き上げ作業をするための応援ということは、私存じておりません。してもらっておりません。
  564. 山田長司

    ○山田委員 神代漁業組合長にこの間会って聞くと、小舟を出して応援した。舟の数は百三十隻に及んでいる。人員は百五十人に及んでいる。こういうことを言っているが、六百五十人も人間が出て応援したとすれば、出先の日誌にも書いていると思うので日誌の要求をしたのですが、そうすると、こういうことは全然ないですね。
  565. 又場常夫

    ○又場参考人 それは私は漁業組合長の説明の誤りと思いますが、漁業組合長は延べそれだけ私らがこの作業にかかる前に舟を出してずっと保管しておったという分の説明をしたのではないかと思います。私の作業に対してはそうしたことはないのであります。多分これは組合長の説明が間違っているんじゃないかと思いますが、私の作業の方に対しましては、応援してもらっておりません。
  566. 山田長司

    ○山田委員 いろいろな点から総合してみて、あなた方が打ち合せをしてしまったために正確な着手した日取りが出ていないと思うのですが、契約締結以前に引き上げ作業に着手しているということをわれわれ想像しているんですけれども、これを中国財務局が黙認していたんじゃないかと思うんだが、そういう点は全然ないですか。
  567. 又場常夫

    ○又場参考人 これは事実を申しますと、私は調査にかかりまして、それから引き続きずっと契約の成立するまでずるずるに続けて、少し早く仕事にかかったことは、まことに申訳ありません。実際に私仕事に早くかかりました。財務局さまは、黙認というよりも、知らなかったわけでございます。財務局の方へは黙ってやりました。実際において船体にさわらないように、般体を傷つけないように、そうしてその調査なりその側の準備をする、こうした作業を続けさしていただきまして、七月二十一日に契約を締結いたしまして、(「六月だ」と呼ぶ者あり)今度本格的の引き起し作業のタンクをつけるとか、あるいは船をぴりっと少しでも動かすとか、あるいは国のものに対して傷つけるということは絶対いたしておりません。財務局の方へ私黙ってやりまして、申しわけありません。
  568. 山田長司

    ○山田委員 大へん正直におっしゃられたので、さらに聞くことも気の毒だと思うのですが、やはりこれは伺っておきたいと思う。黙って調査を始めたのは大体三月の初めころと思うのですが、その点は三月の初めころでなかったのですか。
  569. 又場常夫

    ○又場参考人 これは五月の十一日からでございます。五月の十一日からかかりまして、その調査を続行いたしました。三月ころには一日か二日くらい海底の模様とか、概略の調査をいたしました。五月の十一日からだと思います。
  570. 山田長司

    ○山田委員 五月の幾日といっては非常にばく然とするが、三月の初めもやっておったのですね。それでなければ合わないのです。四月の十日にこれが調査のために二万五千円命が出ておるのです。それはやって来た人に対して現場主任が支払っておると見ている。そういう点であなたは正直に言っておるようだから追及をやめるけれども、三月の初めにも行ってやっておることは間違いないと思います。
  571. 又場常夫

    ○又場参考人 二月の十一日から――一月、二月、三月の間はサルベージの本格的な仕事は海が荒れてできぬものですから、方々の沈船のああしたものを調査に行きましたから、多分これも三月分幾日ごろ行っておると思います。
  572. 山田長司

    ○山田委員 防衛庁にあなたが交渉したのではなくて、防衛庁交渉したのは新生の方の人が交渉を始めたと思うのですが、新生の人が防衛庁交渉を始めたのはいつごろが始まりのようですか。あなたは呉におられて全部知らないかもしれないけれども、それの最初交渉のあった時分はいつごろと思われますか。
  573. 又場常夫

    ○又場参考人 一番最初は多分七月の七日か八日、十日の間でございます。実は私が聞きまして、そして今の船を引き起してみたら船体はいいようであります。今作業はこういうふうなところまで行っておりますが、後日引き揚りましたら見ていただきたい、こういうことで私がきっかけを作りまして、それから新生さんにお願いいたしましたのは、私は呉の方で遠いものですから、九舟か十月だったと思います。九月の初めころからでございましょう。
  574. 山田長司

    ○山田委員 この戦艦の中に遺骨十三体があって、ねんごろに慰霊祭をもって葬られたことは係のへに伺ったのですが、それと一緒にこの船体の中に砲弾と大へんな火薬類があり、さらに油があった。同時にこれは全部戦艦大和にあったものを、この駆逐艦の中へ入れてあったといわれておる。これをどこへどういうふうに運んだものか。富士製鉄に持っていったのじやないか、あるいは北星がどっかへ掘り飛ばしたのではないか、いろいろ現地へ行って調べてみるしとそういうふうに言われておるのですが、これはあなたの方で勝手に売り飛ばてしまったものか、それとも引き揚げをして富士製鉄に納めたものか、これはあなたの方としては最初から携わっておられるのだから、この砲弾にしてもあるいは火薬類にしても、油類にしても、行く先が明らかになっていなければならぬと思うのですが、この点、これらの品物の行く先がこまかくわかったならば、一応ここで御発表を願いたいと思います。
  575. 又場常夫

    ○又場参考人 引き揚げました砲弾に対しましては、保安庁の所轄でございまして、保安庁の方に申請と届を出しまして爆発物処理に関する手続をいたしまして、そうして私の方は爆発物にさわることもさわれないわけでございます。船から出しますのにも中国火薬の指定の危険物取扱いの会社にお願いをいたしまして、これを中国火薬の方で全部私の方の立会のもとにどういうたまが何発、どういうものが何発、こうして全部立会の上で火薬処理場へ持っていきまして、そうして中国火薬の方から私の方と一諸に保安庁の方へ書類を出しまして、保安庁から処理費用なりすべてのものの清算というようなことをして、そうして私の方が処理したものは引き取ったわけであります。その引き取ったものは、これは富士製鉄には関係ないわけであります。爆発物処理というものが別になりまして、これは爆発物に対しては、軍艦「梨」というものとはいつの場合にも爆発物は別個のものでございまして、特別むずかしい法規がございます。そういうふうに処理いたしまして、処理したものは私の方で処分いたしました。油は全然とれない。水の上にこれぐらい、少しありました。それが下りタンクに一ぱいあるように見えたのです。ところが少しもなかったわけでございます。油はありません。とってもしょうございません。少し、これぐらいございましたが、とれませんでした。
  576. 上林與市郎

    上林委員長 他に御質疑はございませんか。徳安君。
  577. 徳安實藏

    徳安委員 いろいろ承わっておりますと、この事件の主役がむしろ買い取りの富士製鉄あるいはまた漁業協同組合でなくして、北星船舶工業株式会社というふうにしか考えられないのですが、この点につきまして会社がこの事件に携われるようになりましたいきさつ、どういうところからこういうことに気づかれて、あるいは三晃物産を通じて富士製鉄に連絡をとられるような措置に出られることになったのか、その経過を一応承わりたいと思います。
  578. 又場常夫

    ○又場参考人 恐縮ですけれども、もう一回……。
  579. 徳安實藏

    徳安委員 この買い取り事件が表面上は富士製鉄、それから漁業協同組合ということになっております。ですから本来から言うならこの二つが主役になって活動しなくちゃいけないのですが、だんだん聞いておりますと、富士製鉄にしましても全然主役でなさそうで、三晃に印を押した、この三晃物産も、今度はあなたの方から話があって富士製鉄に話をして判をもらった、こういうことがわかって参った。そうすると払い下げの主役というのは、表面に出ておるものは富士製鉄であり、漁業協同組合だけれども、この黒幕の実際にこれを払い下げた実権者といいますか、主役を演じたのはあなたの方だというふうに考えられるのです。どういうわけでこれにタッチされるようになったのか。そのいきさつを承わりたいんです。富士製鉄が許可を受けて、その富士製鉄から頼まれてやるようになったというわけじゃない。また漁業組合からも頼まれたということもなさそうだし、その点を一つ明瞭にしていただきたいんです。
  580. 又場常夫

    ○又場参考人 実は私らの仕事といたしましては、沈船の引き揚げ作業ということをあさって歩くわけでございます。それで漁業組合の方にしましてもこの駆逐艦「梨」の解撤作業、魚巣にする作業、それからスクラップにする作業、こうしたものに対しては、やはりよそのサルベージ会社も、私の方に仕事をさして下さい、サルベージ作業をさして下さいと漁業組合に頼みに行くわけです。そして漁業組合としましてはそうした占有権がありますと強いわけです。それでいろいろな業者が頼みに行きまして、私どもの方も頼みに行ったわけでありますが、結局爆発物があるとか遺体があるとかいうことであまして――私の方のサルベージの仕事は、ずっと仕事を始めまして今日に至るまで火薬を一切使わぬのでございます。どんな小さなものでも全部タンクで揚げるのが私の方の仕事でございまして、そういうことが非常に気にいったようでございます。それで漁業組合さんの方に仕事をさしてもらうことになりまして、仕事の方が本ぎまりになりまして、スクラップ業者に対しましてはサルベージの方としては随意契約ということになりました。スクラップの方はどうしてもメーカーでなければいけない。そこで私の方が富士製鉄の方へ三晃物産を通じて頼んでいただいたわけでございます。こうして一つの仕事というものがまとまったわけでありますが、仕事をまとめるまでには四月ごろからでございますからだいぶかかったわけでございます。
  581. 徳安實藏

    徳安委員 そうするとあなたの方で仕事をあさった結果これが見つかったので、漁業組合とも連絡をとって頼みに行った。それからくず鉄の方は富士製鉄がいいということで、三晃を通じて話をして頼んだ、こういうわけですね。
  582. 又場常夫

    ○又場参考人 はあ。
  583. 徳安實藏

    徳安委員 それで三晃物産に申し込まれたときに、何かトン当り千円の利益を出そうというようなことで、あなたから話があったということを田畑さんという方が言っておるんですが、そういう約束ができていたんですか。
  584. 又場常夫

    ○又場参考人 三晃物産に対しまして――これは実際の延前から申しますとどうか知りませんが、一般商習慣といたしましては、われわれが代行店から仕事を請け負いました――普通スクラップはトン二万円する場合は代行店が千円なり八百円なりの代行のマージンというものをとるわけでございます。それでやはりこの場合もそういうふうに考えましてやっておるんです。
  585. 徳安實藏

    徳安委員 そうしますと、三晃の力の田畑さんから話を聞きますと、防衛庁の方に買い上げ使用申請書を出したというようなことは七月の十八日ごろには全然知らなかった。浮揚して初めて通知を受けたんだ、こういうことを言い、富士製鉄はこれはほんとうに心外な話だ、こういう答弁をしておるわけなんですが、払い下げを受ける富士製鉄も知らず、その委任を受けておる三晃物産も知らず、そうしてあなたの方で七月の七、八日から十日あるいは十八日ごろに正式の書類を出され、あなたが防衛庁に七月の七、八日ごろに行って話をされたというようなことは、これは買い受ける本人が知らないのに、そういうことまでも全部あなたの方で一切がっさい自由に処分し得るような権限も何も委任を受けておる。結局協同組合富士製鉄というものは飾り物だ。あなたの方がみな実権を持っているんだ、こういうような形に進んでおるようにしか考ええられないんですが、そういうぐあいになりますか。
  586. 又場常夫

    ○又場参考人 実は防衛庁へ書類を出しましたのは、実際私だけの判断でございまして、三児物産の方は実際知らなかったのでございます。これはほんとうに防衛庁が使うものとすれば――これはそのとき三晃物産へも富士へも話すのでございますけれども、これはまだどうなるものかもわからぬし、ただ一応こうした方がよいじゃないか、もし使えるものなら使った方がよいじゃないかということで、三晃物産の方へは相談も何もしてなかったのでございます。それから船が引き揚げられたときの八月の六日か七日ごろに見に来られました。ところがこれは非常によい、ひょっとしたらこれは切らぬようになりはしないかということも話をしたのですが、それから防衛庁の方からはっきりした話がないものですから、私の方も切ることもできぬし、三晃物産の方へ話もできぬのです。どうしたらよいのか、それからとうとう今のような状態になりましたから、結局私が一番悪者になってしまったのです。
  587. 徳安實藏

    徳安委員 どうもそういう点が私どもには割り切れなく思うのです。こういうはっきりした書類を防衛庁長官あてに出されて、そうしてできるだけ傷をつけないように引き揚げる、非常にこの船は優秀だというようなことを書いてお出しになって、売りつけの交渉をなさっておる、しかもそれは買い受けた人間じゃなくて、引き揚げる人だというようなところに――ほんとうに両方は飾り物であなたの方が実体なんだ、それでここで悪く言えば自分で一もうけできるんだというような――そういうことを疑っては失礼ですけれども、当然払い下げを受けた者と相談の上で、そういう処置をなさるべきで、ほかの人は全然知らないんだ、まことに心外だ、今でもやはりくず鉄として私どももらうことを望んでいるんだというようなことを富士製鉄は言っておるんです。しかるにあなたの方はもう七月からそういう気持じゃなしに、これを買ってくれというふうにおっしゃっておる。どうしてもその間に私ども割り切れないものがある、そこらにまた疑惑の点があるのではないかと思うのですが、これは事実ざっくばらんに、今申し上げました通りに、富士製鉄あたりは一応こちらから頼んで名前は貸してもらったんだけれども、実際は金も自分の方で払い、引き揚げ費用も自分の方で出し、一切がっさい自分の方でやっているんだから、ただ向うは形式だけなんだから、行って話をすれば話がつくので、自分の方で引き揚げて高く売れば売れるんだと、こういうふうなお考えであったのではないかと思うんですが、どうですか。
  588. 又場常夫

    ○又場参考人 ほんとうに私ももしこれは防衛庁の方でお使いになるようだったら――それはあのときは八月、九月ごろには実際に防衛庁の方でお使いになれば、富士の方へは七、八百トンのスクラップは私の方から富士へ納めることは簡単でございましたから、富士の方へはかわりのスクラップを納めます。これは防衛庁の方で買いたいらしいから、これはどういうふうなことにされるかしれませんけれども、私の方としては富士へそのときには相談に行くつもりでおりました。それが日時が長引いてしまいましたから、いろいろなことになってしまいまして、先生のおっしゃった通りです。そういうふうに私は思うておりました。七百トン、八百トンくらいのスクラップはすぐにかわりのスクラップを入れられますし、そのくらいのことしか考えておらぬ、むずかしいことは全然考えておらぬのです。
  589. 徳安實藏

    徳安委員 一体こういうものの引き揚げを約束されたり、頼まれたりするときには買い受け代金までも引き揚げる人が払うのが一般の習慣でしょうか、われわれの常識から考えれば、むしろそういう事業を頼むときには もちろん買い受けの金は買い受け人が払い、さらにそういう作業をされるときにはむしろ頼んだ方が手付金でも少しくらい出して、そうしてあなたの方の危険を負担する、初めから手付金を少しくらい出すということが、普通なら常識のように考えるのですが、こういうものの引き揚げというものは、代金まで引揚者が全部支払うというのが習慣でございますか。
  590. 又場常夫

    ○又場参考人 私どもの商売はほんとうに弱い商売でございまして、海の中へ沈んでおる物に対してはだれも金を貸してくれる者はいない。それから仕事をしましても、金を先に出して、品物の権利を持っておって、そしてこの仕事をしてくれというふうな仕事はほとんどまれなんでございます。それから仕事をするためには、これはやむを得ぬわれわれのやり方でございます。現在もやっておりますけれども、私らがやっておりますのは、すべて自分の方で沈船を買い取りまして――この「梨」の問題は別でございますけれども、現在やっておるのは、いつでも自分の方で買い取って、われわれが仕事をしてそうしてメーカーへ売りつける、そういうふうになりまして、サルベージ業者にだけは金の貸し手はないわけであります。それだからメーカーが前渡金を出すとかそうしたことは絶対にいたしませんし、代行店も、もう引き揚げてしもうてドックへ入れるなりして姿が見えたら、あるいはそのときには、百トンあるものはならその半分の五十トンくらいを前渡金として出してくれる場合もあります。情ないことには、そうしなければわれわれの仕事は干上る、そういう状態でございます。
  591. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 二、三点お尋ねいたします。
  592. 上林與市郎

    上林委員長 議事進行に御協力を願います。
  593. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 だいぶおそくなりましたけれども、まだ二人おられますので、きょうはおそくなってもできるだけ続けていただきたいと思います。  お尋ねいたしますが、あなたの方は富士製鉄から、つまり富士製鉄の代理人である三晃からこの引き揚げについて依頼を受けておられますね。そこで三晃の専務の説明するところによりますと、あなたの方に対しては、この船を引き揚げることと、スクラップにしてそしてある場所へ運んでもらうこと、それ以外の権限はおまかせしてない、こう言うのですよ。それは間違いありませんか。
  594. 又場常夫

    ○又場参考人 それは三晃物産のおっしゃる通りでございます。
  595. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それで一方の平郡漁業組合との間には、この船を防衛庁に売り渡し処分するようなことを予想した覚書が昨年の九月にでき、六月には引き揚げ等についての契約書ができております。そこでこの富士製鉄との間にあなたの方は、この漁業組合からとったような、こういう覚書の権限をとるような、こういう文書の交換はなぜしなかったのですか。
  596. 又場常夫

    ○又場参考人 私の方は富士製鉄の方へはまだ相談するだけのところへ立ち至っておらなかったわけでございます。
  597. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 しかし富士製鉄の方も漁業組合の方へも、いずれもこの「梨」につきましては共同所有権を持っておるわけであります。所有権両方とも持っておるわけであります。ところが漁業組合に向っては、「梨」の処分に関しもし漁業組合名義を必要とするときには、これについて委任状出してくれ、こういうような契約をあなたは覚書の第五項でしておるのでございます。それほど重要な権限を将来とる覚書をかわすような必要があるならば、やはり富士製鉄との間にもこの種のものはとっておかねばならぬのじゃないか。なぜならば、あなたは富士製鉄には、ただ引き揚げてスクラップにして運ぶということ以外に権限を持っておらない。なぜ富士製鉄にそれをしなかったのか。漁業組合とはこういう契約書を取りかわして、富士製鉄には契約書を取りかわさないというのでは、それではいわば半分しか権利がないのですから、漁業組合はある部分の権利しかないのだから、「梨」処分について何かの名義が必要な場合には、漁業組合だけでは事は足りないと思う。
  598. 又場常夫

    ○又場参考人 富士製鉄の方へは、スクラップを納めましたら、その都度その都度金がどんどん入ってくるわけですから、私の方としてはそういう必要がなかったわけであります。
  599. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私がなぜこれを聞くかといいますと、今徳安君が聞きましたように、あなたに実権があったんじゃないかというので、これを聞くのであります。富士製鉄所有者であれば、そこからもあたは授権がなければならぬじゃないか。これをしなかった理由がどうもはっきりしない。結局これは、あなたの方でそういうような形式的な文書をとらなくても、金は出しておるし、自由自在に処分をなし得るという立場にあったんじゃないか、そういうことで多くの委員がみな聞いておるのだが、それがほんとうの心境じゃないでしょうか。
  600. 又場常夫

    ○又場参考人 実は漁業組合の方は、これに対しまして三百万円という金を融資してくれましたし、私の方に対してはずいぶん協力をしております。それで富士、三晃物産の方は、私の方は資金的の援助を受けておりませんし、それと同時に、よそへスクラップを逃がすわけじゃなく、富士だけに入れるのであって、富士はかえって私どもはいいお得意だぐらいに思っておりましたから、そんなにまで考えておらなかったのでございます。
  601. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私はそういうことを聞いているんじゃないのです。「梨」を軍艦として再使用を政府交渉して、相当な価格で売り渡すというようなときには、やはり漁業組合との間にとっておるがごときこういう文書がいるでしょう。なぜなら富士からあなたが委任を受けるのは、引き揚げることとスクラップにすることでしょう。それ以外の権限はないのでしょう。そうして富士製鉄所有者です。それを一方、防衛庁に対してあなたは売り込んでいる。買い上げてくれという申請をしているんですから。そこで必要な書類は、漁業組合だけでなく、富士からも同様にとらねばならぬ理由があるのじゃないですか。あなたの答弁は筋が違っています。それならば伺いますが、防衛庁が買いましょうということの話がきまって、何千万円か何億かそれは知りません。きまりましたら、一体だれが金を受け取る一番重要な立場になるのですか。
  602. 又場常夫

    ○又場参考人 そういうときになりましたら、私はやはり富士の方へも相談に行きます。相談に行って、そうして一般商習慣で私の方からいろいろお願いをしまして、そうして金のとれるような方法にしていただくようにと思っております。これは多分できると思っております。
  603. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これは商売の話合いと逢いますので、非常の場合いと違いますので、非常に重大な財産でありますから、富士がどんな大きな製鉄会社でありましても、一たん所有権があるということになった以上は、たとい重役といえどもいいかげんなことはできない。従って富士の所有であることになっておる以上は、富士の物を勝手に売り飛ばす話を進めて、そうして話がついた、それから金の分配等について話合いをしましょう、これは本末転倒ですよ。こんなことは筋が通りません。だからそこは、あなたが金を出しておるのだから、実権を持っておるというふうにふるまっておるんじゃないかということが、みんなが質問をしているゆえんなんです。そこでもう一点聞きますが、新生産業の代表者が直接防衛庁交渉をしておるんですか。それともう一点は、あなた自身も防衛庁に行ったという御説明がありましたが、あなたとしてはどうして大蔵省へ先に行かなかったか、どうして大蔵省と先に話をつけなかったのか、この二つを答えてください。
  604. 又場常夫

    ○又場参考人 私は防衛庁へは参りました。財務局の方は私が参りましても、この物がそのまま船になるかならぬかという決定がつくまでは、大蔵省の方は何も相手にしてもらえない。それだから大蔵省へ行ったところで話にならぬのであります。かりに大蔵省へ行きまして、これが私の品物で、全部権利があって、かっちりしてしまったとすれば、私が用途目的変更の申請とかいろんなことをしなければならぬのでございます。そうまでないものですから、一応使えるといういうことがはっきりした場合は、私がしなくても国の方で使うのだから、国の方で話し合いをされて、私の方はただ国のなされるままにしたい。最初からこういうふうに考えておりましたから、財務局さんの方にはやりっぱなしにしておったのではないのですが、行かなかったわけであります。
  605. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 あなたは「梨」につきまして何ほど損失しておりますか。
  606. 又場常夫

    ○又場参考人 今のところで二千五、六百万ぐらいじゃろうと思います。
  607. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 引き揚げの総計を言ってみて下さい。
  608. 又場常夫

    ○又場参考人 引き揚げ費としましては大体三千二百万くらいになっております。
  609. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 さっき支出の総計が二千五、六百万円とおっしゃった。そして引き揚げが三千二百万円というとつじつまが合わないようですが……。
  610. 又場常夫

    ○又場参考人 これは船の使用料とか、自分のところのいろいろな減価償却とか、私の方の機材の使用料とか、こういうようなものが入れてなかったのであります。前のは金の損失とおっしゃったものですから……。
  611. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうしますと、損失ということがそうふうに誤解されたのでありましたならば、経費とみなすべきもの、あるいは何かの立てかえとか支払いしたようなもの、そういったものの総損金に該当すべきものの総額はどのくらいになっていますか。
  612. 又場常夫

    ○又場参考人 三千二百幾ら、それに三百五十四万円の払い下げ費用とか、一〇%の利益、こうしたものを加えまして三千九百万円になります。
  613. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 総計三千九百万円ですか。そこでもう一点だけ伺っておきましょう。主として防衛庁交渉いたしましたのは、あなたの方ではなくして、新生産業というふうにさっき説明しておったですね。
  614. 又場常夫

    ○又場参考人 防衛庁交渉とおっしゃいますが、私の方は、サルベージというものはこのいうふうにして引き揚げますというような説明に参りましたのと、その結果をなるべく早くしていただくことのお願いに参りました。それから新生さんの方もやはり交渉というよりも多分早く決定をしていただく、こういうことじゃろうと思いますが、存じません。
  615. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ここは一つはっきり言うておいてもらいたいのです。ここで問題になりましたのは、政府におきましても「梨」を購入するということが国会において説明されておるのであります。そこまで具体的な内容があるわけですから、そう促進をするという程度じゃなかろうと思う。ここはあなたも重大な三千数百万円の損金等になるわけでありますから、その辺の経過は十分に御承知だと思うのですが、もっと具体的な話が新生からされたのじゃないでしょうか、それとも新生にまかせておるのでしょうか。それとも新生から金が出ておるのでしょうか。あなたの方は百万円の資本とおっしゃっておりましたが、その他多くの資産を持ち、信用をお持ちかもしれませんので、聞かなかったのでありますが、これは新生から資金が出て、従って政府関係交渉防衛庁関係新生が一切やっておるということに実際なっておるのでしょうか。資金の方と両方言って下さい。
  616. 又場常夫

    ○又場参考人 資金の方は新生から借りております。出してもらっております。
  617. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 額も言ってください。
  618. 又場常夫

    ○又場参考人 額は約千四百六十万ばかり「梨」の方として出してもらっております。それから交渉につきましてはどうするといいましても、去年の十二月までにはきまるだろうと思いましたけれども、きまらない、まだでしょうか、までだしょうかと言って伺いに上るだけであります。別段の何もないのであります。新生さんの方にはむろん私が、遠いものでありますし、いなかのものでありますから、そちらへ来るのをなるべく少くするようにお願いに参りました。
  619. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 結局現在の実情を見まして、また去年の六月以来の経過を見てみますと、現状はスクラップにするような形跡、そういう方向へ進みつつある事情は何にもありません。また関係者におきましても、スクラップ及び切って漁巣にするというような意向なりそういう作業等を進められておる事情もごうもありません。結局防衛庁におきましてはこれを軍艦に再使用せんとする計画が進められておる、こういうことでありますから、これは結局あなたの力としましては――あなたの方といいますよりも、これに大きな発言権を持っておる人は、これは国へ返すべきだ、返すという形かどうか存じませんけれども、そういった考え方があるべきじゃないだろうか、あるいはそれがほんとうじゃないだろうか、そういう考え方が支配しておるのじゃないだろうか、こういうふうに私は感ずるのですが、それについてあなたのお考えを聞いて、私の質問を終ります。
  620. 又場常夫

    ○又場参考人 私は防衛庁の方に使えるということが決定になりましたから、これは実際国にお返しするのが至当だと思っております。このことを富士製鉄、三晃物産なり漁業組合へも、これは自分が自信を持って話をする確信を持っております。なるべく早くそれを……。
  621. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私があなたの御心境を聞きたかったのは防衛庁が決定するというその形の問題もさることながら、今の現実はその方へのみ進んで、スクラップとか魚巣とかいうようなそういう形は何にもない、どこを見ても何もないのです。ですから当然そういうふうにあるべきじゃないか。こういうふうにさえ考えますので、あなたの方に聞いておるのです。
  622. 又場常夫

    ○又場参考人 これでいよいよ今日こちらで承わりましたから、国の方に使える方針だということが私の方でもはっきりいたしましたし、さっそくそういうふうな方へ進めたいと思います。
  623. 上林與市郎

    上林委員長 ちょっと私からも聞きたいことがあるのです。防衛庁ではどなたとお会いしたのですか。記憶ございませんか。折衝と申しますか、陳情と申しますかをした……。
  624. 又場常夫

    ○又場参考人 最近は、十二月までは経理補給部長とお会いしております。それから一月の中ごろからこちらは調達実施本部の方でございます。
  625. 上林與市郎

    上林委員長 どなたかわかりませんか。
  626. 又場常夫

    ○又場参考人 第三課長であります。
  627. 上林與市郎

    上林委員長 佐竹晴記君。
  628. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 時間がなくなりましたので、ほんの一、二点だけ承わります。昨年の六月二十三日に、あなたが三百五十四万円納入いたしましたその領収書には、北星船舶工業株式会社又場常夫様とありますが、これはあなたは代理人としての資格で納められたのでございますか。またあなたが船舶の買受人として納められておるのでございましょうか。
  629. 又場常夫

    ○又場参考人 これは、私は委任状によりまして委任されて、漁業組合の代理人として納めたのでございます。
  630. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 防衛庁において再使用ができるならばそうしてもらいたいというので、あなたが交渉を始めたことがわかりました。ところが最初は断わられたではないか。しかるにその後、某政治家がこれに関与することになって、再び取り上げられて予算化された。しこうして仮契約書ができるや、その仮契約書に基いて相当多額の金額がそこに融資されているということを承わりますが、これに関してあなたは何か御存じの点はありませんか。
  631. 又場常夫

    ○又場参考人 私は、中止になったということは全然承わっておりません。  それから今の仮契約書とおっしゃるのが、どの意味の仮契約書かはっきりわかりませんでございますが、仮契約書とおっしゃいました……。
  632. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 わからぬのですか。
  633. 又場常夫

    ○又場参考人 あの中止ということは……。承わっております。それから今仮契約書ができてから……。
  634. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 仮契約とは申しません。先ほど言った、お上の方で、防衛庁の方で使えるならば使ってもらいたいとあなたはおっしゃる。ところが防衛庁の方では、これはだめだと言うて断わられたことはないか。一つ一つ区切って聞きましょう。
  635. 又場常夫

    ○又場参考人 これは、だめだといって断わられたことはありません。
  636. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 私ども承わるところによると、一たんそれが断わられたけれども、某政治家を通じて折衝中これが好転をして予算化されたと聞きますが、どうですか。そういう事実はありませんか。
  637. 又場常夫

    ○又場参考人 私は、中止になったといって断わられたことは聞いておりません。それはもう確実でございます。
  638. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 しからば、その後、かりに中止にはなっていないにいたしましても、それではあなたのお考えからすれば、そのまま引き続いてこの話が進んだ、そうしてある程度予算化されたというので仮契約ができた、その仮契約に基いて相当の金が動いているということを聞きますが、そういうことについてあなたは何も御存じがありませんか。
  639. 又場常夫

    ○又場参考人 仮契約とおっしゃいますと、防衛庁とでござんしょうか。仮契約というものは全然ないわけです。実は仮契約でもしていただけば、少しでも銀行から融資ができる方法でも何とかなればわれわれの生活上助かると思いましてお願いしましたが、なかなか仮契約というものはできませんでした。
  640. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 あなたの方には何にもないにいたしましても、新住の方において何かこれに関与したことはありませんか。
  641. 又場常夫

    ○又場参考人 新生の方でどういうことをされたか私は存じません。
  642. 上林與市郎

    上林委員長 細田君。
  643. 細田綱吉

    ○細田委員 あなたは漁業協同組合の人たちと、中国財務局はもちろん、大蔵省に行きましたね。行ったことがあるのですか、何回も。
  644. 又場常夫

    ○又場参考人 漁業組合長と私とか……。
  645. 細田綱吉

    ○細田委員 いや、村長です。
  646. 又場常夫

    ○又場参考人 村長と私が財務局に行ったことはございます。
  647. 細田綱吉

    ○細田委員 財務局と大蔵省
  648. 又場常夫

    ○又場参考人 大蔵省へ行ったことはないのです。財務局へは一緒に行ったことがあります。
  649. 細田綱吉

    ○細田委員 沈艦の引揚げというのは随意契約が多いのですか、あるいは競落というようなものが多いのですか。
  650. 又場常夫

    ○又場参考人 沈船を大蔵省から払い下げを受けます場合は、随意契約という場合と競争入札という場合と二つあります。
  651. 細田綱吉

    ○細田委員 そこで、本件は随意契約になって、三百六十万円という金で払い下げられたというのはどういうことでしょう。どうして競落というようなことにならなかったのですか。
  652. 又場常夫

    ○又場参考人 この随意契約になったいきさつは私はよく存じません。しかし、聞くところによりますと、終戦のときから、終戦でなくて、この船が沈んだとき以来そこの漁場のじゃまをしたがためではなかったかと思いますが、十年からこうして保管したいろいろな条件があるだろうと思います。これは私にはよくわかりません。
  653. 細田綱吉

    ○細田委員 実際この経過を見てみると、この払い下げと、引き揚げはもちろんですが、中心はあなたなんです。従って、随意契約になぜなったかというようなことをあなたが知らないはずはないのです。三晃からあなたの方へ委任状がきている。富士から三晃へ、三晃からあなたへ委任状がきて、あなたが中心になっている。従って、これがなぜ随意契納になったかということをあなたが知らぬはずはない。われわれの知るところでは、平郡漁業協同組合、それからスクラップとしての富士製鉄、こういうものなら適格だと思う。それにしても、なぜ随意契約になったか、それがわからない、その点を伺います。
  654. 又場常夫

    ○又場参考人 これが随意契約になぜなったかということは私には絶対わかりませんが、話を聞いておりますと、二十六年ごろから漁業組合の方に漁巣として使いたいからこれを随意契約払い下げてくれ、こういうふうなことを大蔵省へ頼んでおられて、四年か、五年かの間、その交渉をずっと続けておったように承わっております。私が漁業協川組合の方の調査をさしていただきましたのは、去年の三月ころかその辺でありまして、それまでの前のいきさつは存じないのでございます。
  655. 上林與市郎

    上林委員長 それではこれにて又場参考人に関する議事は終了いたしました。文場参考人には大へん御苦労でした。これにてお引き取りを願います。  次に参考人屋宜憲三君に関する議事に移ります。屋宜参考人の出席を求めます。屋宜参考人に対する質疑を許します。  御紹介申し上げますが、新生産業株式会社社長屋宜憲三君でございます。それでは質問を許します。吉田賢一君。
  656. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 二、三点お伺いしますが、屋宜さんは何を御職業にしておられるのですか。
  657. 屋宜憲三

    ○屋宜参考人 質材業務をやっておりまして、輸出、輸入でございます。輸出の方では機械類、建築用資材、その他雑貨類の輸出をやっております。輸人については鉄くず並びに綿花類、そういう方面の輸入をやっております。
  658. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 北星船舶工業株式会社軍艦「梨」引き揚げに関しまして相当融資しておられるように説明があるのですが、それを一つお差しつかえない限り述べていただきたい。
  659. 屋宜憲三

    ○屋宜参考人 北星船舶と私の会社の方との関係について簡単に申し上げたいと思いますが、私の会社の方では昭和二十五年に沖縄の米軍との沈船払い下げその他陸上スクラップの売買契約を結んでおりまして、昭和二十八年の二月以降北星船舶との契約を結びまして、琉球における沈船類その他の作業の一環を受け持ってもらっております。自来今日に至るまでそういった仕事が続いておりますが、北星船舶としましては、目下沖縄における私どもとの仕事に関する問題は、一応中止の状態にはございますれども、また近いうちに作業を再開する予定になっておりまして、北星船舶の技術関係者が数名沖縄に近いうちに渡航しまして、従来からの継続された仕事をやるような予定になっております。  そこでただいま御質問がございました資金の問題でございますが、昭和二十八年の二月以降北星船舶との仕事の提携をいたしましてから業務の作業資金その他についてのやりとりがございまして、現在清算についてはまだ行われていないような状況にございます。
  660. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 軍艦「梨」の引き揚げについて現在どれくらい貸付がありますか。
  661. 屋宜憲三

    ○屋宜参考人 約二千百万円です。
  662. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 「梨」をこのたび防衛庁の方で買い上げようということになっておりますが、いろいろと御尽力になったようでありまするが、いつごろから話し合いを始めておられますか、それを伺いたい。
  663. 屋宜憲三

    ○屋宜参考人 提携についての説明で簡単に申し上げましたように、金のやりとりについても部分的には絶えずやりとりがなされておりますが「梨」艦に関しましては去年の六月二十日前後だと記憶いたしておりますが、こうこういう事業について金が要るのでぜひ融資願いたい、こういう依頼がございまして、第一回目六月の二十三日か三日だったと思いますが一部支出いたしました。
  664. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私の伺っているのはそうじゃないのです。目下防衛庁におきまして「梨」をまた軍艦のようなことに使用しようという計画が立っておるようであります。あなたは仲に立っていろいろと御尽力になったようでありますので、防衛庁の方へお話し合いになりましたのは、いつが始まりであったか、こういうふうに聞いたんです。
  665. 屋宜憲三

    ○屋宜参考人 防衛庁お話ししましたのは、もちろん資金の支出がなされました後でございます。防衛庁お話をするといいましても、私の方は直接防衛庁との関係を持っておりませんので、北星の連絡というような程度にまあ使われた。また連絡を担当するという程度のものでございます。
  666. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうしますとおもにどなたが防衛庁とあなたの方との間の橋渡し、もしくは北星の連絡ということであれば北星防衛庁との間の橋渡しといいますか、それはどなたがやられたんでしょうか。
  667. 屋宜憲三

    ○屋宜参考人 私自身が連絡の衝に当っております。
  668. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうするとあなたは防衛庁の方、どなたがお心やすいんでしょうか。
  669. 屋宜憲三

    ○屋宜参考人 心やすいという関係は一つもございませずに、単なる連絡という程度で、伺いましてこの件に関係のあります海上幕僚部の渡辺補給部長、あるいは松崎技術部長、そういう方々に面接をいたしました。
  670. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 なおこの問題につきまして防衛庁の方へ種々あつせんをして下さった人が、あなたの以外に、あなたの方からの御依頼かあるいは北星の依頼か存じませんが、だれか相当有力な方もあっせんしたように聞いておるのですが、ありましたらどなたでもお知らせ願いたい。
  671. 屋宜憲三

    ○屋宜参考人 その点につきましては特別ある人を介してお願いをしたというような事実はございません。
  672. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ずいぶんと困難なことでありましたけれども熱心に奔走してくれる方があったので、防衛庁で「梨」購入の議が決定したようにも伝えられますが、その辺について今日あなたはどういうふうに御記憶がありましょうか。
  673. 屋宜憲三

    ○屋宜参考人 特別に人を介してということはございませんが、ただいま想い当る節が一つございますのは、十月の末ごろだったと記憶しておりますが、さる公式の会合の折に、私が知友の間柄にあります本多市郎先生にお会いしましたときに、最近の仕事はどうだと聞かれまして、まあやっておる、変ったケースとしてはこういうような問題もあるということを申し述べましたところが、そういうことであれば、きょうの会合はそういう話をすることには不満当であるので、もし何か聞きたいことがあれば党本部へ来いと言われましたので、数日たちましてから党本部へ参りまして、北星船舶関係しているこの問題について、私の会社としては、一応金を出しておる関係もあるので、この問題が早くけりがつくことを非常に希望しておる、そのことについて、われわれとしましては、どういうふうな経過になるのかさっぱりわからない、防衛庁の意向なり、大蔵省当局の意向ということさえもわからない、ついては、何かわかるような方法でもございましたら御配慮を賜わりたい、こら申し上げた事実はございます。その後数日たちましてから、それはたしか十一月の十日前後だと記憶いたしておりますが、またそれとなく本多さんのお話を伺いまして、大蔵省当局、防衛庁当局の御意向を伺ったところが、まだ調査という点でもはっきりした報告がない、また予算の問題についても、まだ見通しがついておらない、しかしながら、原則的には、一応使えるものであれば、政府の方としてもこれを取り上げる方がいいという考えを漏らしておられる、その辺につきましては、従来の新艦艇建造の契約金額、その他いろいろの観点から考えまして、使う方が国家にとって得策だという立場に立って、そういうふうな御意向を持っておるということを聞いた、こういうことを本多さんに飼いまして、それ以降われわれとしましては、実は安心して待っておりましたが、今日に至ってどういうふうな結末を遂げるやらわからない、そういうことでございます。
  674. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 本多市郎さんと申されると、前の衆議院議員で、長崎から選出されておりました本多市郎さんでありますか。
  675. 屋宜憲三

    ○屋宜参考人 さようであります。
  676. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 大蔵省なり防衛庁の意向を聞いておもらいになったそうでありますが、こういうこともいろいろと利害関係のある人から聞くのであります。一たんは購入に適しないというような意向にもなっておったのだけれども、いろいろと有力な方の御尽力があって、だんだんと購入するという方に防衛庁の意向が変ってきたので、大へんにけっこうなことである、こういうようなことも言われるのでありますが、そういうような変化のいきさつでもお聞きになったようなことはございませんか。
  677. 屋宜憲三

    ○屋宜参考人 先ほど申し上げましたいきさつによりまして、北星船舶のいわゆる取次をする便法上、遠隔の地にあるために、連絡その他については向うでやってくれという打ち合せのもとに連絡を申し上げたのでありますが、ただいま申し述べましたように、その程度の連絡しかございません。
  678. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこで、本多市郎さんの御風力では今なおはっきりと買い上げの決定が見られないので、さらに本多さんを介しまして、ほかの方にもお願いになるということをされなかったでしょうか。
  679. 屋宜憲三

    ○屋宜参考人 その点については、ございません。
  680. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それでは他に転じて伺いますが、北見船舶は相当現実に出資もし、また自分のいろいろなものを使用してサルベージの作業をやってきたようでありまするが、あなたのごらんになるところでは、これはやはり富士製鉄という買い受け名義人、漁業組合という買い受け名義人に実権があるのですか。あるいは、そうではなしに、北星船舶が事実金を出しておるので、実権を握っておるという関係に実際はなっておるとお思いになるでしょうか。そこはどうなんでしよう。これを尋ねますのは、あなたの方も二千数百万円も金を出しておられ、非常に重大な利得関係がおありになりますので、その辺の中心的な実権者というものの所在を明らかにしておかれることが、あなたの方の利害から見ましても必要なことだろうと思いますので伺うのですが、その点いかがでしようか。
  681. 屋宜憲三

    ○屋宜参考人 所有権の問題につきましては、私自身まだ明確な判断を実はいたしかねており度して、しいて申し上げますれば、やはり町上製鉄に所有権があるかと考えております。それから、これはくず鉄という形で特にそういう判断をするわけでございますが、再びこれが船として使われるという場合にどういうふうな形になって参りますか、よく存じません。
  682. 上林與市郎

    上林委員長 ちよっと吉田君、質問通告者が相当多いので、進行上……。
  683. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これで終ります。
  684. 上林與市郎

    上林委員長 終らなくてもよいです。ただ、大体の予定を聞きたかったのです。
  685. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それでは最後に伺っておきますが、せっかく本多市郎さんにいろいろと御配慮願ったあなたでありまするが、何千万円の金が出ておってまだ未解決であるので、その方もどうなっておりましようかということを尋ねたり、頼むということはなさっておりませんか。
  686. 屋宜憲三

    ○屋宜参考人 その点については申し上げた通りでございますが、いたしておりません。  ただ、ここで申し述べたい問題がございますのは、先ほども申し上げましたように、北星船舶と私の会社との契約、つまりタイアップの内情について申し上げましたが、沖縄の沈船の引上作業というものが今日もずっと継続しておりまして、また近いうちに出かけていただくように打ち合せておるであります。けれども、実際の清算というものについても行われておらぬし、今後またどういう事業に発展して、どういうようなお互いの支払い状況や、またもらう分が出てくるかわかりかねますが、そういうような工合になりまして、従いまして、この仕事をやるについての提携、いわゆる契約方式につきましても、どの仕事についても結局損益折半というような契約の原則を取りかわしておるのであります。
  687. 上林與市郎

    上林委員長 次に、片島港君。
  688. 片島港

    片島委員 もう大体ほかの参考人の方からお伺いしまして、その実情というものはほとんどわかっておるのでありますが、二、三お伺いしたい。  今、富士製鉄の方に所有権はあるので、防衛庁の方で買うということになれば、これは、富士製鉄防衛庁の方に買い上げてもらうか、そうでなければ、解約をしてもとの財務局の所有に戻すか、この二つしか方法はないと思うのでありますが、現在のままで私はお尋ねしたいのです。呉造船で、今、機械などの水洗い、さびどめなどいろいろなことをやっておりまして、その支払いは、二十九年九月三日、新住に対して、三百十九万一千円の支払方の請求が来ているということでありますが、あなたの方では、この三百十九万一千円という呉造船からの請求書に対して、お支払いになるつもりでございますか、どうですか。
  689. 屋宜憲三

    ○屋宜参考人 その点につきましては、私の方の関知する問題じゃございませずに、即刻これは北星船舶へ差し戻しておりまして、呉造船の方では、おそらく何かの感違いではなかろうかというふうに了解しております。
  690. 片島港

    片島委員 呉造船の方からあなたの方に売り込みを受けたということを言っておるのでありますが、決算委員の方で二、三向うに参りまして、実地調査をいたしましたが、呉造船の方では、新生の方から何とか買い取ってもらえぬだろうか、こういう話でございますが、呉造船に売るというようなおつもりでそういうお話をなさったのでありますか。
  691. 屋宜憲三

    ○屋宜参考人 その点につきましては、このサルベージに投下された資金の回収というものを北星が非常にあせっておりまして、何とかしてそういったような回収の早くなる方法はないものだろうかという相談を受けたことがございまして、その点が呉造船に伝わったんじゃないか、こう思っております。
  692. 片島港

    片島委員 そうする、今まで北星名義によって出しております払い下げ代金の二百五十四万円、それから漁業協同組合に漁業権の補償といいますか、百六十万円、これも全部あなたの方から金が出ておるでございますか。
  693. 屋宜憲三

    ○屋宜参考人 先ほど申し上げましたような経緯によって、ぶっ込み約二千百万円という金が出ておりますが、内容に立ち至っては、一切北星にまかしてございますので、私の方では全然使途については何ら関係しておりません。
  694. 片島港

    片島委員 実は現在の状態からいいますと、この契約書に違反しておるような形になつておるのであります。たとえて申しますと、四カ月以内に使用の目的を変えた場合、これはもちろん延期をすることができるようになっておりますが、二月二十日過ぎをもって延期の期限も切れてしまっております。その後全然延期も何もしておりません。また五年以内にこれを他に譲渡するということになった場合も、また違約金をとられた上に、なおかつ契約は解除しなければならぬことになっておる。そういうことになっておりますので、いずれにしてもこれが解約をせられるということになりますれば、これはほかのところは富士製鉄漁業組合所有権を持っていく、その中に三晃が出て参りまして、それから北星が出て、一番最後にあなたの方の名前が出たのでありますが、一番関係のない、一番縁の遠いあなたのところが全部の金を出してしまっておられる。しかし法的にいいますと、一番縁が遠いのでありますから、いろいろな割前といいますか、一番法律的には損を見なければならぬ立場にあると思うのであります。これが解約などになった場合には、あなたのところは法律的には請求権も何もないような形になっているのでありますが、そういうことを十分に考えられた上で、こういう問題にあなたの方は介入せられておったのでありましょうか、それだけをお聞きしておきたい。
  695. 屋宜憲三

    ○屋宜参考人 この件をわめて重要な問題でございますが、私の方といたしましては、沖縄の沈船引き揚げ作業というものを今後も続行する意図を持っておりまして、この従来やってきた北星仕事のしっぷり、それから契約尊重の仕方などずっと見ますと、気に入るような着実な仕事をやっておられます。今度の支出の問題にいたしましても、権利の補償といいますか、回収のめどと申しますか、これは今後続行されるであろう沖縄での沈船引き揚げ作業にひっかかりを持たしておるのでありまして、これは法的な考えかとも思いますが、結着するところそこに最後の北星からの債務を回収するというように考えております。
  696. 上林與市郎

    上林委員長 山田長司君。
  697. 山田長司

    ○山田委員 先ほど片島委員が伺った問題で、売り込みに行かれたという問題なんですが、このことについて呉造船所の常務に会いましたならば、あなたが売り込みに見えたという話だったが、だれが持っておるのかよくわからないので、このことについでははっきりしたお答えはしなかった、こういうふうに言っておりました。そこでさらに呉造船所の方では、船を預かっておるうちに、いろいろみがきをかけてしまったり、さびどめをしたりしているので留置権ができてしまった、こういっておもので、あなたの方ではいろいろたくさんの金を出しておるにかかわらず、呉造船所の方でそれを留置してしまっておるということで、大へんお困りだろうと思うのですが、その点についてあなたの方で修理をしてもらいたいということの依頼をしたものかどうか、参考に伺っておきたい。
  698. 屋宜憲三

    ○屋宜参考人 依頼をしたことはございません。
  699. 山田長司

    ○山田委員 私の伺うことは大体そのくらいです。
  700. 上林與市郎

    上林委員長 それではこれにて屋宜参考人に対する質疑は終了いたします。大へん御苦労でした。これにてお引き取りを願います。  次に参考人正木武雄君に関する質疑に移ります。正木武雄君の御出席を求めます。――正木参考人に対する質疑を許します。その前に御紹介いたしますが、呉造船株式会社常務取締役、正木武雄君でございます。それでは吉田賢一君。
  701. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 簡単に一、二伺っておきますが、この間お邪魔させて見せてもらいました例の「梨」の問題であります。「梨」はあなたの方としてはどこから御依頼を受けて今修理をし、あるいは作業をやっておられるのでございましょうか。北星船舶会社長のお話によりますと、同氏の方から御依頼をしたようなことも言っておるのでありますが、なおあなたの方に確めたい。
  702. 正木武雄

    ○正木参考人 御質問にお答いしますが、昨年の八月にあれが救助されて、私の方のドックに入ることになったのでありりす。救助後のインスペクショソ・ドックを終りまして、その後これを維持、保全してもらいたいという依頼を北星船舶から受けたわけでございます。
  703. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこで、北見船舶は、国から払い下げを受けた買主でもなく、またどうも前後の事情から所有者でないことがわかっておりますが、あなたの方としては所有者から預かるとか、あるいはいろいろな作業の依頼を受けるとかいう関係が明確になっておらなければ困るのではないか、これはわれわれとしてはそこまで考える必要はないかもしれませんけれども、どうも北星船舶からというのでは関係がはっきりしないままにあるのではないか、なぜ所有者の方とお約束をなさらなかったのだろうか、こういうふうに思うのですが、その点どうですか。
  704. 正木武雄

    ○正木参考人 ごっともでございます。初め私どもサルベージの延長をして、サルベージの関連の工事の委託を受けたわけでございます。それで保守管理というものもその延長のような漠然としたもので、実はあまり確かめないでそれを受けたわけであります。ところがその後になりまして、北星船舶所有権を果して持っているのかどうかということが疑問になったのでございます。なおいろいろ支払い関係等も、工事をやる以上はわれわれとしては一応考えなければならぬわけでございますが、その支払い能力についてもわれわれの会社の中で一応疑問の点ができたわけでございます。しかしながらその所有権は一体どこにあるかということはわれわれとしては実は突きとめられなかったわけでございます。それであれを善感の管理をするという考えで、初め注文を北星から受けたのでございますけれども、もしあそこに所有権がないとしましても、ないならばないで善意の管理をすべきであるという考えになりまして、一応注文者のないまま今日まで保存手入れを、してきたわけでございます。
  705. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 あなたの方に保管しておられまする諸機械などがありまするが、これは破損等もせずにそのまま使えるものが大部分であるという調査結果の報告も出ておりますが、またここでもそういう説明すらつけ加えられておるのです。ところがこれに対しましてあなたの方もいろいろと手入れをしておられるようであります。この手入れをすることにつきましても、別に頼まれることもなくしてやっておるという関係がなお継続しておる。当初北星から頼まれたそのままで、なお今若干の手入れはしておられるようでありますが、その手入れのことにつきましても、はっきりとした依頼もなくてやっているというのが実情なのでありましょうか。
  706. 正木武雄

    ○正木参考人 さようでございます。現在までやっておる手入れは、お言葉のうちにございましたけれども、別にあまり手を加えぬでも使えるというしろものではございませんので、全くさびだらけなのでございます。ただ主要部分については早く手を入れておかなければ再使用ということがむずかしいので、必要の最小限度という考えで保存をしておるわけでございまして、これをそれ以上どうするというような考えの手入れはやっておりません。
  707. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 桟橋の付近に繋留してありますが、台風などの高潮、激浪等によりまして、あるいは再び沈没することがあるのではないかとしろうとながら感じられるのです。そういう危険はないのでしょうか。
  708. 正木武雄

    ○正木参考人 完全な修理をしているわけではございませんから、全くその憂いがないわけでもござません。しかし大体においてあの程度で今までそう事故も起らないという判断で、あの程度をやっておるわけです。番人もしょっちゅうつけておりますから、ビルジが詰まりますと、ときどき抜いているわけでございます。
  709. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 危険がないでもないということでありますが、もしそういう災害が到来すれば、これまた少し行き過ぎた御質問かわかりませんけれども、これは一体どこの責任に帰属するとお考えになっておられるのでしょうか。
  710. 正木武雄

    ○正木参考人 あれに保険をつけたりあるいはもっと手を加えるということは費用もかかることでございますから、そういう意味合いにおいてそこまでやっておらないわけでござまいす。万一沈むようなことがありましても、私のところのそばの岸壁に沈むのですから、揚げるにしても大した費用はかからぬ、こういう考えでやっております。
  711. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 あなたの方は三百数十万円のいろいろな経費の支払い請求などいたしておられた事実もございますが、先ほどからだんだんと聞くと、相当支払いを受くべき権利もあるのでこれをつないでおくんだ、こういうような御主張をなさるおつもりもあるわけでございましょうか。
  712. 正木武雄

    ○正木参考人 ちょっとお言葉の意味がはっきり取れませんでしたのでもう一度……。
  713. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 あの船に関してあなたの方は相当いろいろの作業をしておられますので、その失費に対して当然支払いを受くべき権利がおありになりますが、そういうものは支払いを受くべき物権の留置といいますか、法律上の権利があるというような建前でただいまおいでになるのでしょうか、こういう意味です。
  714. 正木武雄

    ○正木参考人 お言葉の通りでございます。
  715. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 あの船は御承知かと思いますけれども防衛庁から調査にも参り、また防衛庁におきましては新しく軍艦のようにして使用するというような計画すら立っておるのです。あなたに伺ってみたいんだが、あなたの方でお知りになった範囲では、いつごろそういうような計画が進められただろうか、持ち主側あるいは北星側はいつごろからそういうふうな計画を進めてきたのだろうか、御説明できましょうか。
  716. 正木武雄

    ○正木参考人 昨年の八月私の方に持ち込まれて間もないころと思います。
  717. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それよりずっと以前に、すでにこの引き揚げ作業にかかる当初から、大体これはいい船として使えるような見通しが関係業者の仲間できまっておったというふうにはお聞きになってはおりませんでしたでしょうか。その辺が少しはっきりいたさぬのであります。当初から軍艦に使えるというふうに大体の見込みをつけておったのか、あるいはそれとも引き揚げたとき、もしくはその前後、引き揚げの間近になったころにそういう見通しをつけるようになったのだろうか、その辺について相当われわれは疑問に思いながらまだはっきりせぬのであります。あなたの方ではどういうふうに御説明できましょうか。
  718. 正木武雄

    ○正木参考人 大体北星のサルベージというものは、当初から私の方へいろいろ援助が依頼されたわけではないのでございます。サルベージが相当進行しまして道具類が足らないとか、たとえばフロート・タンクであるとか、ワイヤー、起重機船だとか、それから浮揚してしまって後に曳船が要るとかいうことで、途中から援助を頼まれたわけでございまして、初めからこれをどういうふうにするということは私の方は全然聞いておらないままに援助をしたわけでございます。援助すると申しましても、私の方で持っているところのサルベージ道具を貸した、こういうことなのでございます。
  719. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 あなたの方御自身も紫雲丸の引き揚げをおやりになるとかちょっとうわさに聞いておりますので、サルベージの仕事もおやりになるかと思うのでありますが、このサルベージの業者の実態等につきましては、われわれはしろうとでちょっとはっきりつかみにくいのです。これは少しあけすけと、法律上の意味で聞くのではありませんが、サルベージ業者としてのあなたに伺ってみたいのだが、この「梨」の場合には、北星が事実実権を握っておるのであります。富士は名義出して、スクラップがもしもらえたらともかく、もらえなくても一文も金を出しておらぬのだから、それでいい、漁業組合は適当にまた何か跡始末、善後処置を講ずればいい。要するに北星がどこかから資金を持ってきて、背負い込んで、事業をやっておるのだから、北星自身が実際実権を持ってふるまっておるのが実情じゃないでしょうか。どうもわれわれはそういうふうに受け取っておるのであります。あなたはどういうふうにお考えになりましょうか。
  720. 正木武雄

    ○正木参考人 その点については私の方は、サルベージ援助を受けましたいろいろの費用八百何十万か請求しておるわけであります。その後の保守管理というものも相当の金額になりますので、実はこの金額を請求するのに支払い能力があるかどうかということも、われわれとしては平常同じ土地でありますので、実は大体想像がつくわけでございます。それでそれについて北星社長にいろいろ話を聞いたわけでございます。どうも所有権の所在というものがはっきりしない。何か委任状でやっているのだといよううなことなんでございます。どうもわれわれとしてもはっきりしないので、保守管理の委任がありましたけれども、一応途中からわれわれも考えが変ったわけでございます。われわれの加えた保守管理というものは、善意の管理者という立場でこれを管理するという考えに変ったわけでございます。
  721. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 あなたの方の呉造船株式会社は紫雲丸の引き揚げをおやりになるのですか。その点と、それからそうであれば、あなたの方がサルベージの諸道具を北星にお貸しになったようでありますので、結局北星の「梨」を引き揚げるサルベージ業務の諸経費はどのくらいいっただろうということをお考えになりましょうか。またあなたはそれを知っておられましょうか。あるいは報告を聞いておられましょうか。その二点を伺いたいと思います。
  722. 正木武雄

    ○正木参考人 私の方は今紫雲丸の引き揚げにがかった当初でございますが、この引き揚げ費用は大体二千四百八十万円でございます。「梨」のサルべージは、先ほど申しましたように、私の方は途中から資材援助その他向うができない工事援助を頼まれただけでありまして、「梨」を引き揚げる当初の状態とか、そういうものは全く知らないのでございます。従って幾らくらいかかるとか、幾らくらいかかるだろうということも、われわれは検討したことがないのでございます。しかしながら、今おっしゃる御質問の中で、どのくらいかかるだろう、こう言われることは、当初の、引き揚げにかかる前の状態というものをよく知りませんので、想像で申し上げることは非常にむずかしい、こういうふうに思いますので、申し上げがたい、こう御返事いたしたいと思います。
  723. 上林與市郎

    上林委員長 次に細田綱吉君の発言を許します。細田君。
  724. 細田綱吉

    ○細田委員 あなたのところでドックへ入れて保守管理をしている、こういうわけですね。現在もそうなんですか。それまでに富士製鉄とは何も話し合いはしなかったのですか、お尋ねいたします。
  725. 正木武雄

    ○正木参考人 現在も保守管理の域を越えておりません。それ以上の工事はやっておりません。  それから富士製鉄との関係は、私の方に何も起っておりません。
  726. 細田綱吉

    ○細田委員 あなたのところで保守管理と言われるのですが、しかし今話に伺うと、保守管理以上に出ておりますね。もう軍艦に仕上がる、どんどんみがいたりきれいになさっておる、それは保守管理ということかどうか。単なる保守管理以上にわたっておると思いますが、そうなって、今までの吉田委員のお尋ねに対するあなたのお答えのようなことだと、留置権を行使してというよりも、むしろ保守管理以上の、依頼以上のことをやって、こんなに物を直してしまったのだから損害賠償をとられてもしょうがない。現在保守管理以上にわたっておると思われる点ですが、これはどういうことですか。
  727. 正木武雄

    ○正木参考人 保守管理以上にはわたっておらないのは実際でございます。お話のことはおそらく機械に関する手入れだと思うのでございますが、機械は御存じのように、回転部分があるわけでございます。これは相当手を入れておかないと、機械として使う以上は、腐蝕はなはだしかったならば管理にならないわけでございます。ただ機械の部分の外側はさびだらけで、回転部分についてはさびないように、つまり腐蝕して再使用できないようにならない程度にはやっておるわけでございます。これで御質問にお答えしたことになりましょうか。
  728. 山田長司

    ○山田委員 関連して伺いたいと思います。去年の九月三日に北星に三百十九万一千円の、さびどめとか、あるいは水洗いとか入ドックしておる経費とか請求されておると思うのですが、ただいまのお話を伺いますと、さらに八百何十万かの請求をされておるようですがそれがみな今話されておる機械類の修理とかあるいは補給、こういうもの請求だと思いますが、これは大体ことしのいつまでの経費になるのでしょうか。
  729. 正木武雄

    ○正木参考人 全然違うのでございます。北星船舶に請求したものはサルベージ後のインスペクショシ・ドックまでの費用でございます。サルベージして参りましたら大きな破孔もありますし、あるいはびょうの飛んでおるものもある。そういうものを一応ふさいで水が入らないようにする、おもにそういうことでございます。それから兵装を載せておりましたから、あの船はそういう兵器類をはずすとか、魚雷を陸揚げするとか、あるいは中の遺体収容等もやらなければならぬ、もっともこれは北星でなく復員局等に請求したかもわかりませんけれども、私はその詳細は知りませんが、今お尋ねの件はインスペクション・ドックまでの費用でございます。それから後の保守管理というのは項を改めて頼まれたわけであります。
  730. 山田長司

    ○山田委員 そうすると、私は大体八百何十万かで簡単なさびどめなりあるいは機械修理なりができると思ったら、これでは私の考えていることとだいぶ違うのですが、そうすると、呉としては、今手入れをされている機械に対する修理とかあるいはさびどめとか、そういうものの経費の概算はどのくらいに見積られてこれから請求を――これは北星にするかあるいは政府にするか、その他ほかのことは見当がつきませんけれども、一応お考えになっておられますか、御参考に伺っておきます。
  731. 正木武雄

    ○正木参考人 保守管理の費用はだんだん月日が長くなるに従ってよけいになるわけでございます。どのくらいになるかということは、これはちょっとどう申し上げていいか……。
  732. 山田長司

    ○山田委員 半年なら半年、一年なら一年ということで、その月日を言ってもらった方がいいと思います。
  733. 正木武雄

    ○正木参考人 先ほど申しましたように、だんだん時間がたつほど実はよけいになるのでありますが、一応昨年末現在で一千万くらいかかっております。
  734. 細田綱吉

    ○細田委員 あなたのところのドックへ入ってきたのですね。防衛庁からこれを見て行ったのです。それからどういう指摘をしてきたか、その点を御説明願いたい。
  735. 正木武雄

    ○正木参考人 いろいろごらんになった方もありますけれども、その目的は大体再生の見込があるかどうかというようなこと、あるいは出張の途次寄られたので参考に見られたというようなことが多くでございまして、私も詳しい具体的のことは存じません。それで今やっておりますのは保守管理一通りやりましたけれども、非常に程慶が低いのでございまして、あのまま時間がだんだんたちますので、もう少し手を加えておかぬと、やはりさびがくるとかいうようなおそれのあるものをやっておるわけでございまして、別に今やっている事柄に対してどうせよとかこうせよとかいうことは何も受けておりません。
  736. 山田長司

    ○山田委員 昨年の暮れまでに一千万円くらい経費がかかったと言われておりますが、さらにそれから半年の歳月がたっているわけですけれども、その間においてどのくらいの経費がかかったように思われますか。
  737. 正木武雄

    ○正木参考人 別に見積っておりません。ただ先ほど申しましたように善意の管理というような考えでやっておりますので、これではどうも保守管理として程度が低い、これ以上ほったらかして置いたらもっと悪くなるから、そうならない程度に手を入れよう、こういうわけでございます。別に見積っておりません。かかる費用は、第三段的に手を入れれば、その費用と金利というくらいのものでございまして、そう多額なものはかからないと思います。これは工場で記録もあることでございますから、計算せいと言われれば計算できるわけでございますが、私はまだその数字は調べておりません。
  738. 山田長司

    ○山田委員 善意の管理をされておられることはまことに感謝にたえないところでありますが、ただこのまま善意の管理をしているだけで――しかもそれはただ仕事をしているのじゃなくて、労働者にも働かしているわけなんですが、何とか早く解決をつけて、この金とれる方法としての目安を立てて、何かその間にあなたの方で動かれなかったかどうか。
  739. 正木武雄

    ○正木参考人 私たち、これは防衛庁で再生されるのだという話は北星から聞いておるのです。されるかもわからぬということを聞いておるのです。それに従ってやっているわけでございますが、その後いろいろ私たちも修理復旧の参考の費用等を聞かれておるわけでございますが、今存じておりません。
  740. 上林與市郎

    上林委員長 他に御質疑はございませんか。――それではこれにて正木参考人に関する質疑は終了いたしました。正木参考人には御苦労さまでした。  本日の参考人に関する議事は全部終了いたしました。本田はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせすることにし、これにて散会いたします。    午後六時五十八分散会