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1955-06-04 第22回国会 衆議院 決算委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月四日(土曜日)     午前十一時六分開議  出席委員    委員長 上林與市郎君    理事 赤澤 正道君 理事 椎名悦三郎君    理事 徳安 實藏君 理事 山田 長司君    理事 吉田 賢一君       床次 徳二君    本名  武君       生田 宏一君   小笠原八十美君       關谷 勝利君    片島  港君       三鍋 義三君    佐竹 晴記君       細田 綱吉君  出席政府委員         防衛庁参事官         (経理局長)  石原 周夫君         防衛庁参事官         (装備局長)  久保 亀夫君         大蔵事務官         (管財局長)  窪谷 直光君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計局司計課         長)      柳沢 英蔵君         大蔵事務官         (管財局国有財         産第二課長)  辻  克蔵君         会計検査院事務         官         (検査第一局         長)      保岡  豊君         会計検査院事務         官         (検査第二局         長)      上村 照昌君         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 清英君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人招致に関する件  国有財産(旧軍艦「梨」)の売払及び取得に  関する件     —————————————
  2. 上林與市郎

    ○上林委員長 これより会議を開きます。  まず国有財産軍艦なし」の売り払い及び再取得について調査を進めます。この際一言申し上げておきますが、旧軍艦なし」の売り払い及び再取得に関する問題は、去る五月三十一日の委員会において吉田委員が取り上げられたのでありますが、委員各位におかれましても重大な関心を寄せられておりまして、本問題は当委員会がすでに議長の承認を得ております国有財産に関する国政調査事件として調査を進めて参るわけでございますので、そのように御了解を願っておきます。なお政府側出席者を念のために申し上げますが、防衛庁石原経理局長大蔵省盤谷管財局長柳沢司課長辻国有財産第二課長、それから会計検査院からは保岡検査第一局長上村検査第二局長でございます。なお防衛庁長官は閣議の申し合せの会合が終りますと出席するとのことでございます。  本問題について質疑の通省がありますので、順次これを許します。山田長司君。
  3. 山田長司

    山田委員 旧軍艦なし」の問題につきまして、いろいろふに落ちない点がありますので、管財局長最初伺い、さらに防衛庁に伺いたいと思うのです。  駆逐艦なし」が昭和二十年の七月の二十七日に爆撃を受けて、瀬戸内海の大島郡の平郡村の沖に沈没をいたしまして、平郡村民の中で組織されています漁業組合から、この駆逐艦魚巣にしたいということで、払い下げ申請中国財務局に出たわけであります。これは富士製鉄漁業協同組合共同管財局払い下げ申請をしているわけですが、この共同申請について、管財局ではどんなふうにしてこの払い下げ許可を与えたものか、まず最初にそのことを伺っておきたいと思います。
  4. 窪谷直光

    窪谷政府委員 当初、今仰せになりましたように、漁業協同組合から魚巣にしたいという申請があったのでありますが、この魚巣にいたします場合には、必要なものは、船殻、外側のものでございまして、魚巣としては相当不要な部分が出るわけでございます。これを魚業組合に一括して払い下げまして、それを製鉄メーカー等にまた漁業協同組合から叱り払うというような措置よりも、やはりスクラップを直接に使う製鉄メーカー共同相手方として加えた方が適当であるという判断のもとに、富士製鉄払い下げ相手方に加えた次第でございます。
  5. 山田長司

    山田委員 その払い下げ申請をしたときの富士製鉄というものは、実際富士製鉄本社申請であったと思われるか、それとも富士製鉄というものはそれに正式に参加をしていたと思われているか、この点あとになってからそうでなかったことが理解されたならば、あとになって理解されたという答えでもいいから、一応正式に伺っておきたいと思います。
  6. 窪谷直光

    窪谷政府委員 これは富士製鉄にくず鉄を供給いたしております三晃物産という扱い業者がございます。それが富士製鉄から委任を受けまして契約の当事者になっておるということに相なっております。
  7. 山田長司

    山田委員 三晃物産富士製鉄委任を受けたと言われているが、富士製鉄からはどんな依頼が三晃物産に出されておったものか、最初にそれを伺っておきます。
  8. 窪谷直光

    窪谷政府委員 これは三晃物産取締役社長の田畑氏という人が富士製鉄から売り払いの申請について委任を受けております。委任状を携行いたしまして、財務局を訪問いたしておるというのでございます。
  9. 山田長司

    山田委員 聞くところによると富士製鉄本社はこれを全然知らないということになっているのですが、三晃物産委任されたいきさつというものはその点ふに落ちない点があるのですが、大蔵当局としては正式に富士製鉄というものが三晃物産委任したものと思っておられるかどうか、お伺いしたい。
  10. 窪谷直光

    窪谷政府委員 これは富士製鉄株式会社広畑製作所所長委任を受けておるということでございまして、本社にこれの連絡がありましたかどうか、それにつきましては私ども会社内部のことでございますので、実は十分に承知をいたしておらないのでございます。
  11. 山田長司

    山田委員 売買契約書には富士製鉄株式会社平郡漁業協同組合の二、三によって先買契約がなされておるのです。それでこの出先機関契約書には全然タッチしていないのです。そういう点でもしも出張所が契約をしたものとするならば、大体最初契約書自体に間違いがあったのではないかと思うのですが、その点どういうようにお考えですか。
  12. 窪谷直光

    窪谷政府委員 これは広畑製作所所長ではございますが、富士製鉄常務取締役でございますので、会社を代表し得る権限を有するということから考えまして、売り払いの相手方として不適当であったというふうには考えられないのであります。
  13. 山田長司

    山田委員 さらに伺いますが、それではこの駆逐艦の三百五十四万という単価は、一体どこを基準にして出されたものか。同時に中国財務局はこの単価をどういう拠点において了承して、三百五十四万で払い下げすることを容認したのか、この点を伺います。
  14. 窪谷直光

    窪谷政府委員 これは中国財務局算定をいたしたものでございまして、発生材軍艦引き揚げまして出てきます材料といいますか、素材の価格を千五百六十万円と評価をいたしまして、引き揚げその他の作業費を千二百万円というふうに算定して、それを差し引きまして三百五十四万円という評定価格を出しておる次第でございます。
  15. 山田長司

    山田委員 そういう価格北星という船の引揚会社が一応出した算定とほとんど変っていないのです。そういう点で中国財務局は、引揚会社が出した見積書にほとんど準拠してこの単価を出すというところに、私はかなり理解ができない点があると思うのです。その点どういうふうにお考えですか。
  16. 窪谷直光

    窪谷政府委員 これは北星船舶という会社引き揚げ作業をやったのでありますが、その会社から出てきましたものによったということではございませんで、財務局財務局としてできる限りの資料を収集いたして算定をいたしておるのでございます。
  17. 山田長司

    山田委員 しかもその価格について財務局は、富士製鉄広畑製作所が一応本社の代理として三百五十四万という金額を認めたという形でやったわけですが、そういう代表取締役ではない、広畑製作所から提出した金を一体中国財務局としては容認したのかどうか、この点が理解ができないのです。その点権限があるとお思いですか、一応伺います。
  18. 窪谷直光

    窪谷政府委員 実は御賛同の内容をちょっと聞き落しましたので、おそれ入りますがもう一度……。
  19. 山田長司

    山田委員 こうなんです。富士製鉄のような大きな会社の場合には、三百五十四万円という金が大した金でないというお考えかもしれませんが、とにかく国との契約相手方富士製鉄平郡勘漁業組合中国財務局と奨約をして三百五十四万で払い下げられたわけですが、実際に契約したのは富士製鉄ではなくて広畑製作所がやっているわけです。代表取締役ではない人間がこういう契約をしているのに、中国財務局がこれを契約対象としたのはおかしいじゃないかというのです。
  20. 窪谷直光

    窪谷政府委員 これは会社内部の組織から見まして、広畑製作所にそういうものを購入する権限が与えられておるということから、別に本社との契約にする必要はないということで、そういう契約にいたしたのでございます。
  21. 山田長司

    山田委員 中国財務局広畑製鉄所のそういう権限というものを認めたわけですね。
  22. 窪谷直光

    窪谷政府委員 さようでございます。
  23. 山田長司

    山田委員 きょうは別に漁業組合の人が来ておるわけじゃないのですが、実は私は船の引き揚げ作業に携わった北尾船舶に行ってきました。それで一応北星船舶の専務にも会ってきたのですが、漁業組合富士製鉄払い下げ申請をしているのであって、漁業組合ではこれを魚の巣にするために北星船舶会社依頼したわけだけれども北星船舶ば現金六十万円と、引き揚げ作業が済んだら百万円払うということで約束手形漁業組合に出しているわけです。そうすると理解ができない点は、漁業組合自分の魚の巣にするために申請をしているにもかかわらず、申請をしている漁業組合が百六十万の金を北星船舶からとっているわけです。これは漁業権を補償してもらうんだという意味でとったというのだが、どう考えても百六十万の金をとったという根拠が私どもにはわからないのです。この船の引き揚げというものは、最初から北星船舶漁業組合にその金をやってうしろだてになって、仕事をしている北星船舶は、引き揚げた船を自分たちの自由にしようとしておったというように理解されるのですけれども、その点中国財務局としては、契約対象外に船が使用される危険があったにもかかわらず、全然調査をしなかったのかということが一つ。もう一つは、調査をしたあと全然用途が変更しているような方向にどんどん進んでいるのに、これについて中国財務局ではどういう手を打ったのかということ、この二点を伺いたいと思います。
  24. 窪谷直光

    窪谷政府委員 そういうふうなことがあったという話を、実はずいぶんあとになって財務局でも承知いたしたのでありまして、そういう事実がありました当時におきましては、財務局はそういう事実を全然承知いたしておらなかったのであります。それで承知をいたしましたあとで、なぜそういうことをしたのかということを、財務局からも両者について糾明いたしたのでありますが、その答え今山田先生からお話になりましたような、漁業権の補償といいますか、そういう意味のものであるというような回答であったのでありまして、どうも法律的にそれ以上糾明するというような手だてもないものでございますので、大体そういう程度のことで目下のところでは届けておるということでございます。
  25. 山田長司

    山田委員 財務局富士製鉄及び漁業組合との契約条項とはまるで違ってきているのですが、この点について財務局としてはどういうような御見解をお持ちになっておられるのか。
  26. 窪谷直光

    窪谷政府委員 これが当初の払い下げ目的と違って参りましたのは、引き揚げてみましたところ、魚の巣にしたり、あるいはスクラップにするよりも、船として再生することが適当ではないかというふうな話が実は出て参りました。防衛庁の方にもこの点については照会しておったのでありますが、防衛庁の方でもいろいろ調査をされておりまして、大体船として使えるのではなかろうかというふうなお話連絡を受けておったのでありまして、そういう話が出ておるやさきに、これを当初の払い下げ目的通りに使えというふうなことを言うのは行き過ぎであろうということから、防衛庁の方の調査の結果を待っておったというふうな状態でございます。
  27. 山田長司

    山田委員 さらに伺いますが、富士製鉄漁業組合と両方が申請してきたことによって、財務局としても、従来例もあることだから、富士製鉄契約及び漁業組合契約については了承したとしても、法人格を持っていない出先機関契約という問題について私はどうしても疑義があるのです。こういう場合に国では今までも法人格を持たない出先機関などとの契約をたびたびしておるのかどうか、この点を伺います。
  28. 窪谷直光

    窪谷政府委員 これは会社でございますので、会社等に売り払います場合には、それぞれ会社を代表して契約を結ぶ権限ありやいなやということを調査いたしております。会社によってはそれぞれの出先機関にそういうふうな契約権限を付与しておる例は非常に多いのでございます。もちろんそういうふうな契約権限ありやいなやということは調べるのでございますが、それで、あるということになりますと、必ずしも本社でなくてもその会社出先機関契約をいたしておる例はございます。
  29. 山田長司

    山田委員 防衛庁当局に伺います。このことについてはとかくの風評があるわけですが、この北星と関係のあります会社にもう一つ新生という会社が東京の銀座七丁目にあるのですが、ここから防衛庁売り込みにいっておると思うのです。それでいつごろ売り込みにいったか。それから防衛庁はさらに呉造船所にも視察の人が行っておりますが、これはどういう目的視察に行かれたか、まずその二点を伺います。
  30. 石原周夫

    石原(周)政府委員 本日お配りをいたしておりまする資料が三つございますので、ただいまのお尋ねの点をそれと関連をいたして申し上げたいと思います。  一つは七月の十日付と十八日付の二つの資料が一結になりましたもので、化星船舶工業会社から買い上げの使用申請が出ております。これに添付せられておりましたのが、前の方にございます十日付の平郡漁業協同組合組合長からの具申書と申すものでございます。これによりまして、私どもの方に旧駆逐艦なし」が引き揚げ状態におきまして使用ができるという趣旨の申し入れがあったわけっあります。そこで私どもの方といたしましては、もう一枚差し上げております「なし調査報告というものがありますが、この調査目的というところにございますように、再使用の能否の判定資料の収集、復旧工事をする場合の経費の概算と書いてございます。こういう意味をもちまして、八月中にここに書いてありますメンバーをもちまして、どういうような状況にあるかということの調査をいたしたわけであります。これで大体ごく大ざっぱな形はついたわけでございますが、その後参考資料をいろいろ求めまして、大体今私ども考えておりますくらいのところで、復旧と申しますか、改装と申しますか、再使用に耐え得る程度になるのではないかという大体の結論を得まして、最後にございまする第二十二回国会衆議院決算委員会資料というところにございますように、これをそれでは使うことにしようじゃないかということを大体意思決定をいたしまして、さらに具体的なこまかい検討をいたしますために、ここにありますような検討をいたしたわけであります。その結果はここにも書いてありますように、大体私どもが見当をつけております程度のところで、私どもが大体考えております性能のものが得られるだろうという結論に到達いたしておるわけであります。  それから新生産業という会社は、ただいま山田委員お話がありますように、直接の保有者とか引揚者とかいうものでないようであります。この人たちの話は、私のところにも実は陳情があったことはございますが、今申し上げました本筋はこちら側の筋でございますので、これは聞きはなしておいただけでありまして、その時期は私正確に記憶いたしておりませんが、この問題が起りましてしばらくしてからだと思います。
  31. 片島港

    片島委員 ちょっと関連して。そうすると、ここに資料が出てきたのですが、大蔵省の言い分はおかしくなりやしないかと思うのです。今いただいた資料をちょっと私走り読みしたのですが、引き揚げの途中において、正式の木村防衛庁長官に対する書面が出ておって、それには「同艦は損害軽微でありまして手入の上は再生使用可能で優秀な船艇としてお役に立つ事が出来ると確信致します。随って引揚作業は極めて細心の注意を払い毀損せぬ様続行して居ります。」という文書が出ておる。そうすると、先ほど大蔵省の方で言われましたのは、最初魚巣及びスクラップにするのだ、そうして引き揚げてみて調査をしてよければということで、結果的にはこういうことになった、わざわざ役立つものをスクラップにする必要はない、こういう判定で、引き揚げて後にそういうことになったというが、引き揚げるときから、これは大丈夫だといって売り込もうと思って、細心の注意をもって毀損せぬよう続行しておるという正式文書が出ておるのじゃありませんか。そうするとあなたの方は、引き揚げを完了しないうちに契約して、その契約は六月の二十一日でございます。六月の末です。七月には調査の結果、りっぱなものだというので、向うでは引き揚げを丁寧にやっております。こう書いておれば、ちゃんと防衛庁の方とどんどん話を進めておる。おそらくこういう正式文書が出る前には、口答で何日か前にもう言っておるに違いない。大体正式文書を出すという場合には、何日か後にしか出すものではありません。これを出すならば必ず向うは受け取るであろうという見込みをもって正式文書を出す。その前にさわりがある。それを六月下旬になって、あなたたち契約をして、三百五十四万円で、そのとき魚巣及びスクラップということにしてやろうと思っておったが、引き揚げて後に調べてみたら、軍艦としても役立ちそうであるから、それではスクラップではもったいないということになったと言いますが、これは時間的に非常にずれがある。あなたの方でうっかりしてだまされておったのか、あるいはあなたの方はそれを知っておって黙認をしておるか、どちらかということになる。大蔵省の先ほどの御答弁は、私たちはこういう文書が出ておることから見ると、了解できない。どうですか。
  32. 窪谷直光

    窪谷政府委員 実は防衛庁の方で再使用と申しますか、そういう話が出ておるという話は、私ども承知をいたしましたのは九月の上旬でございます。実はこういうふうな書類が防衛庁の方に出ておるということは、この委員会資料を出されるというときになって、初めて承知をいたしたような状況であります。それも私ども実はこの点についてあとで疑問を持ちまして調査をいたしたのでありますが、当初はやはり魚巣以外に使う道はなかろうということで、作業にかかったのであります。引き揚げの途中で、どうも使用可能ではなかろうかというふうなことが出てきたという状態でございまして、この申請を出しました際には、必ず使えるだろうというふうなところまでの認定は、会社当局も実は持っていなかったように聞いておるのでございます。
  33. 片島港

    片島委員 それはおかしいのです。昭和二十九年六月に申請書を出されるときには、その使用計画書というものが新たに提出をされておるのでありますが、そのときに計画はこらんになっただろうと思います。ここには出ておりませんけれども、私たちは実は山田君あたりが調べてちゃんとわかっておる。それには内部における構造、いろいろな部品まで明確なものが全部そろっておる。だからあなたは知らなかったと言うけれども業者の方ではちゃんともぐっていって、全部調べて、一つ一つ機械を調べ上げてしまっておる。そうして使用計画書を出して、財務当局との契約ができ上っておる。あなた方がたまされたというならば、これは契約を解約すべきである。契約書によれば、四カ月以内に指定の用途に使わない場合には、無条件契約解除できることになっておる。しかもあなた方は二割か三割か違約金をとった上で無条件契約解除しなければならぬ。四カ月どころではない。四カ月だったら去年の十月に解除すべきである。それが今年の一月二十三日まで延長々々で延長して、一月二十三日以後はすっかり延長もしないで、そのままおっぽらかしておる。事務的に非常に怠慢じゃないか。このままでこれをほっておくということはおかしいじゃないか。あなたはだまされたらだまされたでいいから、意趣返しに解約しなければならない。どうです。
  34. 窪谷直光

    窪谷政府委員 実は私ども仰せのような疑問を持ちまして、会社当局を究明をいたしたのでありますが、どうも当初からそういうふうな財務局をだますというふうな意思を持っておったということも認定できないのでございまして、そういう状態におきましては契約解除ということも措置がとれないということから、今仰せのような状態になっておるのでございます。
  35. 片島港

    片島委員 いや解除措置はとれないことはないですよ。契約書にはあなたたちちゃんと判こを押しているじゃないですか。四カ月内に用途に使わない場合は解約してよろしいとなっている。その期間がきたから四四にわたって延長々々で延長して、今度延長期間が一月二十三日切れてもそのままにほっておくということは事務怠慢じゃないですか。またさらに延長していればまだいいですけれども、その延長をしないで、期間が切れてしまってそのままになっておる。
  36. 窪谷直光

    窪谷政府委員 一月の何日で期間が切れておりまして、もし延長手続をいたしておらないといたしますれば、まさしく仰せのように手続上の不備であります。これはさっそく調査をいたしまして御報告申し上げたいと思います。
  37. 山田長司

    山田委員 ただいま質問されたことに重複するような点があると思いますが、第一に、船の引き揚げが完了したのは、地元へ行って調べてみますと七月二十三日である。ところがその七月二十三日の前に防衛庁に向けて七月の十日にもうすでに漁業協同組合からも、さらに北星船舶からも、駆逐艦は優秀な船艇であって、これは駆逐艦としてお役に立つということで、引き揚げされる前に買い上げ使用申請書防衛庁に出ているわけです。こういう点で、中国財務局はこの引揚作業中もだれも行っていなかったのかということです。それから、それの途中で、引き揚げられないうちこの船が優秀だということが早くわかって、それで中国財務局は急いで解除をやるべきものだったと思うのです。そういう点がこの引き揚げされる前に早くもわかっていて、それがどういう点でわからずにおったものか、その内容を知りたいと思うのです。
  38. 窪谷直光

    窪谷政府委員 実は引き揚げのときには現場について財務局の職員が引き揚げ作業を監視しておるということはやってなかったのでございます。なお、そういうふうな船の状態にあるというふうな話は、実は中国財務局よりも本省の方で何かそういう話が出ているぞという話を聞きまして、財務局の方に照会をいたしたような次第でございまして、もし現場で監視をいたしておりますれば、こういうふうなことにならずに早急な措置がとれたのではないかというふうに考えられます。その点についてはまことに遺憾に存じます。
  39. 山田長司

    山田委員 私は呉造船所へ行きまして、正木武雄という常務取締役に会って、いろいろ船からはずされた部品を調べたのですが、その部品の中にスクリューという部品が二個入っているのですが、その一個の部品がどんなに少く見積っても現在価格で三百万円はするというのです。こういう状態が見られるわけなんですが、それをどこから依頼されたのかといって、正木という常務に聞いたのですけれども北足船舶から依頼を受けて、実はドックに預かり品として全部預かっていますけれども、このままにしておけば悪くなるといって全部部品に今みがきをかけているのです。一体部品みがきをどこから頼まれたかということを聞いたら、このままにしておけばいたんでしまうから、とにかく手入れをしているのだというので、何十人という人が手入れをしているのですが、一体こういう場合にこの損害はどこからとるのかと言ったら、呉造船所常務は、今日当てがないけれども、このままにしておけば悪くなってしまうからとにかく手入れを一生懸命しているわけなのだという答えを聞いてきたわけなんです。国の財産に手入れをしてもらうことはまことにけっこうなんですけれども、これについて大蔵当局は、これは国有財産なのですが、この品物についてどういうふうにしたらいいのかということについて、何かお考えになっているのかどうか、一応参考に伺っておきます。
  40. 窪谷直光

    窪谷政府委員 これは防衛庁の方で最終的にいよいよ使うという決定がありました上で、それと並行いたしまして実は処理をいたしたいということを考えておりますが、今日までのところ軍艦の保存その他についての指図的なものはいたしておらないのでございます。
  41. 山田長司

    山田委員 指図をせずに置いてあるものにどんどん手入れをしておるわけですが、手入れもけっこうだろうけれども大蔵当局として、ただこのままにしておけば一体今この船の所有はあなた方はどこに属しているとお考えになっておられるのですか。
  42. 窪谷直光

    窪谷政府委員 これはやはりまだ売り払いの相手方であります富士製鉄平郡漁業協同組合の所有であるというふうに考えておる次第であります。
  43. 山田長司

    山田委員 所有が富士製鉄漁業組合のものであるというけれども北星人たちに言わせれば、これは漁業組合に百六十万の金を払ってしまっているので、もう実はその漁業組合には何らの所有権はないのだというふうなお考えのようなのです。このままにしておけば問題はますます紛糾するばかりなのですが、大蔵当局で、契約内容とだいぶ齟齬してきている点についていつごろ解約をしようとされているのか、こういう点についての考え大蔵当局はどうお持ちになっておられるか、承わりたいのです。
  44. 窪谷直光

    窪谷政府委員 これは防衛庁の方で使うということ並びにその使うことについての措置が完了いたしますと、並行いたしまして処置をいたしたいというふうに考えております。
  45. 山田長司

    山田委員 非常に今のお答えも満足がいかないのですが、さらに防衛庁当局に伺います。防衛庁は、具申書が出たり、あるいは買い上げ使用申請書が出たりして、だれが呉造船所へこの船を見に行かれたか。それでその見に行かれた結果はどういう答申がそれによってなされておるか。それから船の見積りなどについては、どんなふうに調査に行った人たちが見積りをしてきた報告をされているか、これを伺います。
  46. 石原周夫

    石原(周)政府委員 お手元に差し上げておりまする資料で、八月の六、七、八と調査に行きました者の名前はそこに全部書いてございます。それからその場合におきまする結論は、ここに詳細に技術的な点が書いてあります。最近、二月でございますが、一番最後にお話を申し上げました資料の二月十七日より三日間行いました場合におきまする——ちょっとここに書いてございませんので、全部の名前を承知いたしませんが、海上幕僚幹部、技術研究所、調達実施本部、この三機関からおのおの専門の者を出して調査をいたしました。報告の内容は多分に技術的な問題でございますが、この差し上げました書類の中に詳しく書いてございます。
  47. 上林與市郎

    ○上林委員長 次に吉田賢一君。
  48. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 まず管財局長に伺いますが、沈没しておりました「なし」の売買契約をいたしました昨年の六月二十一日当時でありますが、その当時はこの物体の法律上の性質はどういうものに属しておったのでありましょうか。これは船舶であるのですか、あるいはそうでないのか、その点はどういうことになっておりましょうか。
  49. 窪谷直光

    窪谷政府委員 沈没した船舶ということでございまして、特別にどういう性格というふうなことも考えておりません。
  50. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、沈没しておる船舶で、国有財産法によって国は売り払いした、こういうことになるのでございましょうか。
  51. 窪谷直光

    窪谷政府委員 国有財産のうちの普通財産として処理をいたしたのでございます。
  52. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 一般に法律の概念では、たとえば商法の六百八十四条は商法上の船舶の定義をいたしまして、「本法二於テ船舶トハ商行為ヲ為ス目的ヲ以テ航海ノ用二供スルモノヲ謂フ」とあります。その他船舶法とかあるいはほかの特別法によっても船舶の定義があげられておるのですが、大体船船というものは、建造中の船舶ができ上った船舶に準じて扱われておるようでありますけれども、建造中であるか、でき上っておるか——でき上っておる場合にはやはり航海の用に供し得る状態でなければならぬではないか、海の中に沈んでしまって、あるいは半分泥の中に突っ込んでしまって、あるいは爆撃を受けて沈んでおるという、要するに船舶としての機能を発揮し得ない状態にまで破損しておるものが一体船舶といい得るのであろうか、国有財産法第二条の船舶というのはそういうものまでもいうのであろうか。そういたしますと、そういう船舶は——それぞれ船舶としていろいろな扱い方、管理の仕方の規定もあるようでありますが、そういうことまでいわなければならぬことにもなって参ります。海の底に沈船しておるものが船舶ということになるのであろうか、私は非常に疑問を持つのであります。むしろそうではなしにこれは普通の民法上のいわゆる動産に属するのではないだろうかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  53. 窪谷直光

    窪谷政府委員 非常にむずかしい御質問でございますが、私ども実は従来その点についての十分な検討をいたしたわけではございませんで、大本普通財産としてのいろいろな手続に準じてと申しますか、それと同様の扱いでやって参ったのでありまして、仰せになりました点につきましては、実は十分に研究をしてみたことがございませんので、ちょっと研究をさせていただきたいと存じます。
  54. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 もしこれは船舶にあらずといたしましたならば、やはり船としての機能を発揮し得ない物でありますから、不動産ではなく、物品会計規則の第一条に記載してあります政府に属する動産ということになるのではないでしょうか。「但シ陸海軍ノ兵備二関スルモノ」、軍のない現在におきましては、これはおのずから適用がないのであります。今御研究になるということでありますから、それではしかるべく研究されることを希索いたしておきます。  そこで私は売り払いの途上における疑問点について伺います。この点同僚委員の質問にもあったわけでありますが、なお確認しておきたいのは、この買手人のみならずサルべーシの作業をいたしました北星船舶工業が問題の非常に重要なかぎを握っているのではないだろうかと思うのであります。そこでいろいろと調査研究をやってみますると、すでに引き揚げの数カ月前に潜水夫を入れた事実もあるということであります。そういたしますと、商売人でありますから、三十メートルくらいですと、干潮のときは潜水夫を入れると簡単に認否できるそうでありまして、すでに契約のできる以前にこれはそのまま使い得るという見通しがあったのではなかろうか、この点非常に疑問を持つのであります。それで次から次に疑問が発展するわけでありますので、あなたの方といたしましていろいろ調査をなさいましたものや、それからたとえばさきにお述べになりました船舶の売却価格の評定閣議、こういうものを調査いたしてみますと、中国財務局の垣井という大蔵事務官がいろいろ詳細な積算表を作成いたしておりますが、これによりますと、やはり船体部分もくず化する、機関部もくず化するということになっております。これは契約前のことであります。従って船体部分もくず化し、機関部もくず化するという判定に立脚いたしておるのでありますが、どうもそこに根本的な食い違いが最初からあるのではないだろうか、つまり買う方は、たとえば漁業組合魚巣にてしほしい、ずっと使っておったけれども、甲板から上の方にいろいろありますので、ひっかかって切れてしまうそうであります。ですからそういうものがなくなった魚巣がほしいというのが漁業組合の真意であったらしい。ところで船体の利用性いかんという問題につきましては、これはやはりサルべージ業者が一番詳しい。北星船舶は莫大な金を投じて作業をするのですから、——私もいろいろ知りましたが、そんなに大きな業者ではございません。東京で金融をせねばならぬような業者であります。これが仕事にかかるのですから、平前の調査は相当精密に行われております。その場合やはり艦船として利用できるという確認を得たのではないか、それで着手したと思うのですが、どうしてもそこに疑問があります。そこであなたの方はくずにするから、千五百六十余万円の価格から千二百十万円の引揚諸費を差し引いたもの、三百五十四万円が売却価格というような判定に落ちついたのでありますけれども、そこに根本の食い違いがある。そこで私が聞きたいことは、なるほど事務官はあるいは専門家でないかもわかりませんから、十分に調査ができなかったかもわからぬけれども、十分に調査しなかったというところにやはり手違いがあります。一方買手の側に立っておる北星は十分に調査をしておる。そこで調査した結果は、船として使えるということの確認を得たので乗り出した。現に最初漁業協同組合に金をやっておるのですよ。漁業協同組合に金を出しているのですよ。そんなサルベージはありませんよ。私どもサルベージ業者に聞いてみました。でありますので、最初から契約以前に買い主側ば、北尾を中心にしまして船として利用し得るということを知っておったのじゃないか。これは今日でもよろしゅうございますが、あなた方の御判断はいかん。今日でもそうお思いになるということであれば——私は一つ自然に立ちもどってこの問題の糸口をちゃんと整理したいと思います。何も私どもは、これをつぶして切ってしまって、溶鉱炉に入れてしまう、そういうふうなことを考えておりません。できるだけ経済的に利用したい、そのように持っていきたいという気持で進むのでありますが、しかしそれにしましても道をつけなければいけません。だから契約以前に返らなければなりません。そこで契約以前におきましては、やはりこれは船として利用し得るということを、買い主側は知っておったのじゃないか。漁業協同組合は別としまして、少くともサルベージの方は知っておったのじゃないか、こういうふうに思いますが、御所見いかん。この点は一つはっきりしておいてもらいたい。
  55. 窪谷直光

    窪谷政府委員 振り返っていろいろ考えてみますと、先ほども答えをいたしましたように、当時としては私どもは全然そういうことは考えていなくて、ほかの方のうわさから、どうも防衛庁の方に何か調査依頼しておるような話を聞いた。これが九月の上旬であります。先ほど申し上げた通りでありますが、いろいろ検討いたしてみますと、数字は私今日でも持っておりますけれども、どうも相手が財務局をさておいてやったという判断がなかなかできがたいというふうなところが、私の今の心境であります。
  56. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこでこれは非常に突っ込んだことを申し上げるのでありますけれども、いろいろとうわさが飛びますので、その人らのためにも、私は汚名をそそいでおかなければいかぬと思います。その意味も含めまして……。すでに引き揚げに着手して、防衛庁に持っていくということが計画せられておる。防衛庁へ持っていくのにはしかるべき橋渡しがいる。橋渡しにはやはりしかるべき政界人が動いた。こういうことがいわれるのでありますが、どうかなからんことを私は祈念いたします。しかしそういうことがもしありましたならば、私はやはりよほど注意しないと、国有財産が妙なことにせられるおそれがありますので聞いておきたいのです。防衛庁経理局長はその衝にお当りになったかどうかわかりませんけれども防衛庁の方はだれでもよろしいのですが、これは漁業協同組合が直接に申請に来たものであるのか、あるいはそうではなしにほかから申請に来たのであるか、この点をはっきりしておきたいのです。きょう防衛庁から御提出になりました二十九年七月十八日付の北星船舶から防衛庁長官への「なし」買上使用申請書というものがどうもおかしいのでありまして、それに北星船舶というのはサルべ−ジの業者であります。そのサルべ−ジの業者が、何か自分が持ち主であるかのような全体の文責になっております。申請書は、申請人みずからは北尾船船である。北星船船は理屈からいえばサルべ一ジをやればいいんですから、サルべ−ジをやるものが買い上げて下さいというて、防衛庁長官に上申書を出すというのは行き過ぎじゃないだろうか。あるいは代理人として委任状をとっておったということであるならば——しかしその場合でも申請人は北星船船ではなし漁業協同組合と宿主製鉄でなければならぬ、こういうことも考えられる。結局北星船舶が行き過ぎた形になっておる点から見ましても、これは買い主である漁業協同組合富士製鉄みずからが防衛庁に買ってもらいたいと言ってきたのではなしに、しかるべき人が仲介されたのではないかと思うのであります。仲介されたということがもっぱら言われておりますので、その辺の消息を防衛庁側から率直に述べていただきたい。
  57. 石原周夫

    石原(周)政府委員 先ほど差し上げました計数の御説明を申し上げましたときに、この七月十八日付の誤数に十日付の平郡協同組合の組合長の具申書を添付して持ってきたということを申し上げました。これは写しであったものでございますから、後に至りましてこの平郡漁業協同組合からの正本も私どもの方に参っております。おっしゃいますように所有権の方の関係につきましては、私どもの方ば当麻者でございませんので、どういう関係に相なっておるかわかりませんのでございますが、当時承知をいたしましたことは、こういうことで、いうがごとくんば保存のいい状態にある、破壊程度の少い形において物があるということでございましたので、私どもの方といたしましては先ほどごらんを願いましたような班を組織いたしまして、現場におきまする実情を調べたわけであります。それに基きまして私どもの方の予算上の差し繰り、そういう点を考えまして、またさらに非常に具体的な価格資料になりますような意味におきまして、また二月十七日に現地の調査を重ねていたしておるわけであります。従いましてそういうふうな物事の筋道におきまして事務を進めておるわけでありまして、これで私どもが判断をし、私どもが意見をきめて参りました筋道はそういうところにあるわけであります。
  58. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の伺いますのは、あなたはそういうように防衛庁の仕事をおやりになっておるので、これはあなたにお伺いするのが少し無理だったかもしれぬが、やはりどう考えても不自然なんです。たとえばあなたのおっしゃる添付されております具申書漁業協同組合一人である。所有者は漁業協同組合だけではありません。富士製鉄も所有者、こういうのです。それから中心の申請書というのは北星船舶から出しておる。そこで伺いました中心点は、これはいろいろうわさもありますので、なければないでいいですが、どなたが仲介されたかというのです。どなたか仲介されて防衛庁に熱心に国家の利益のためにお勧めになったのではないだろうか、そうしてその結果動かれることになったのではないかと思う。大体防衛庁にいたしましても、もし調査官を、調査のためにこのように大がかりな庁員を派遣なさるという場合は、私は富士製鉄にも照会し、または富士製鉄漁業協同組合共同の責任ある申請に基かなければ筋が通ってこぬと思う。北星船舶から申請したので調査に行ったというようなことは、少しあなたの方のやり方としましても筋が通りにくいのではないか、やはり事前に所有者に十分確かめた上ですべきでないか、あるいはまた大蔵省に十分に確かめてやるべきではないか、こう思うのです。これはあなたに聞くのはちょっと無理かもわかりませんけれども、むしろこれは調達か、あるいはあなたの庁の全体の責任者から聞かなければならぬかとも思いますけれども、どうもこれだけを見てもちぐはぐなんです。だからどなたかが好悪的に国の利益のために防衛庁にお勧めになった仲介者があるのじゃないだろうか、こう思いますのでお聞きするわけです。簡単でいいですから……。
  59. 久保亀夫

    ○久保政府委員 私からお答えいたします。ただい京お話の第一点の仲介者という点でありますが、それは先ほど来経理局長が申しましたように、北星船舶のあの書面が最初の話でありまして、格別仲介者というようなものば一切ございません。  それからもう一つ北星船舶相手方として話し合いを進めるということは根拠があいまいではないか、あるいは不合理ではないかといったようなことでございますが、こういう点につきましては、私どもはそういう話があれば一応見てみる価値はあるということで、調査をいたしましたと同時に、所有権あるいは契約相手方としての考え方は、これはむしろ別個の問題として、実は調達実施本部と申しますか、調達担当の部局で、もちろん大蔵省にも照会いたしまするし、当時の契約状況、所有権のあり方といったものも、私どもとしても昨年暮れに相当調査をいたしました。それで実態と並行いたしまして、やるときまりますれば、どういうところを相手にしてやるか、あるいはどういう契約の方式になるかといった点につきましては、私どもとしても慎重に、諸般の角度から検討いたしました。この点は、最終的には大蔵省考え方なりそういったものと合せて結論をつける、こういうことに考えております。
  60. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今のお話は、これはいよいよ奇怪ですよ。大蔵省管財局長も、二十九年九月になって初めて事の次第を聞いたというのですよ。あなたの方で調査に行かれたのは、二十九年の八月の六、七、八日なんですよ。大蔵省へも照会していったというような、そんなことがあるはずないじゃありませんか。ここに管財局長、責任を持って答弁しておられる。管財局長は、昨年の九月になって初めてこれを知ったというのです。あなたのお説によると、八月の六日以前に大蔵省へ照会して、その上で行ったことになる。どちらがほんとうなんですか。
  61. 久保亀夫

    ○久保政府委員 ただいま、あるいは私の言葉が足りなかったかもしれませんが、大蔵省にも照会してと申し上げましたのは、実態の調査とは別に、契約の関係、所有権の関係はその後、先ほど申し上げましたように、昨年の蘇れにかけて調べまして、慎重に研究をいたした、こういうことでありまして、八月の調査に行く前は、大蔵省とは連絡はとっておりません。
  62. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこがいかぬと言うのですよ。調査に行く前に、どうして大蔵省に照会なさらなかったのか。これほど重大な——軍艦ですよ。軍艦が、何ぼで他人に売却せられたか、どういう経緯で個人が所有しておるのか、そういうことも調べずに、多数の公務員を派遣している。これはただでは行けませんよ。やはりあなたの方の予算を使うのです。予算を使って行かれるのだが、そういうことをやるときに、事前に大蔵省に照会されるのは当然だろうと思う。少くとも契約の経緯、個人が所有することに至りました経緯、価格、何の目的で持っておるのか、そういうことを見に行かなければならぬ。一体あなたは装備局長として、そういうことを指揮する権限もないのですか。また防衛庁というところは、軍艦をあるいは購入するかわからぬという重大な作業に取りかからんとするときに、そんなに無準備で乗り出していくのでしょうか。そういうことをなさるから、こんな間違いが起る。現に昨年の九月十三日付大蔵省管財第二八〇一号によって、防衛庁の幕僚長あてで管財局長から、旧軍艦なし」についてという詳細な照会状が発送されておる。報告の、要求がされておるじゃありませんか。こういう大きな食い違いがある。なぜ一体そういう点を十分に調査されずに漫然と行ったのでしょうか。漫然と行ったのでない、慎重にやったということが言えますか。
  63. 久保亀夫

    ○久保政府委員 ただいま申し上げましたように、こういう話が出ましたので、私どもとしましては、とりあえず一体使いものになるかどうかという判定を——判定と申しますよりも、一応の調査をしてみたいということでありまして、使いものになりそうだということで、実は初めて契約の関係等について、そういったことも、大蔵省あるいは業者について調べたのでありまして、その点あらかじめ大蔵省契約の関係等を十分にというお話も、われわれよくわかるのでありますが、大体当時の私ども考え方といたしましては、とりあえず使いものになるかどうかということの検討だけをしに参ったということでありまして、その後につきましては、たびたび申し上げますように、十分に慎重にそういった面を検討いたしておりまして、大蔵省とも連絡をとって、どういう契約の形になるか、あるいは所有権はどういうところに落ちつくかといったことは、大蔵省結論に従って私ども処していきたい、かように実は考えて参ったわけであります。
  64. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あとのことはいいです。そこでやはり私どもなお疑問を持たなければならない。こそこそ行く必要はないのです。大蔵省に照会して、公式の文書をとって、事情、経緯を一切知って、こちらで机上調査ができるならして、堂々と行った方が——大蔵省も重要な国有財産を売却したのです。これが軍艦に使えるものか使えないものかということは、調査しておかなければならなかった問題です。しからば大蔵省へ照会すれば、何も呉へわざわざ八人も十人もの人が出張しなくても、机上で判定がつくかもしれぬ。そういうこともしないで、こそこそ行く必要はごうもないのです。これはやはり、また疑いをたくましゅうするようでございますけれども、そこにだれか、一つ頼む、買い取ってくれ、こういうように言ってきたのではないでしょうか、そういうところに不自然な経理というものがだんだんと発展したのではないか、どうもそういううわさがほんとうじゃないかというように私は思うのです。あなたは何もそういう仲介者がなかったとおっしゃるから、それはそれ以上は申しませんけれども、疑問は依然として疑問です、あなたの今の御説明によりまして、疑問が何も解消されないのみか、ふえるのであります。  そこで問題を転じて伺いたいのでありまするが、今度は大蔵省の方に伺いたいのでありまするが、私も現物を見て参りました。今山田君から、スクリュー価格一個三百万円ということをお聞きになりました通りであります。私、ここにあるもの、これは何ぼしますかと聞きましたところが、いろいろと御相談になっておりまして、時価ざっと四億円だろう、こういうお話でありました。これは驚くべきことであります。それが四億円か一億円か千万円か、それば私にはわかりません。いずれにいたしましても、中身でありました機関部のあらゆる物がそのまま完全に使えるというのでありまするから、これはまことに驚くべき次第であります。そこでこういうような点につきましても、大蔵省調査官、事務官の評価の報告書なるものが、結果から見て非常にずさんでなかったか。人事を尽して知り得ないような事実ではない。やはり精密に調査して、尽すべき手を尽しておったならば、正当な評価がせられておったものと、そういうことを感ぜざるを得ないのであります。そこでこれらの点につきましては、今ここで問答いたしましても仕方がありませんので、一点尋ねるのにとどめておきまするが、管財局長は、中身でありまする機関部の物が相当に高価な物であるということをその後お調べになったでしょうか。船体につきましては、これは岸壁にありまするので、一見してわかるのでありますが、中身のあらゆる機械が相当な価格の物である——もっともこれは用途が限定されまするから、他の商船などに使用できない物が多くあるかもしれませんけれども、相当な価格であるということは、後日お調べになりませなんだでしょうか。少くとも問題が発生して以来、さかのぼってこれはちょっとはっきりしなければいかぬということは、だれも良心的に考えますが、その点はいかがでしょうか。
  65. 窪谷直光

    窪谷政府委員 防衛庁当局から、調査をされました結果のお話を聞きまして、相当の価格に上るであろうというようなことは考えておったのでありますが、さてこれを現在の状態調査をして一体幾らになるかというふうな研究は、実はまだいたしておりません。
  66. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 なお聞きますが、引き揚げの実費が、中国財務局の垣井事務官の報告書の評定価格調書によると、救難費その他の経費として千二百十万円と載っておりますが、この実際の費用は御承知でしょうか。
  67. 窪谷直光

    窪谷政府委員 それは業者からも資料をとって調査をいたさなければならないのでありまして、ただいまのところ正確にどれほどかかったかというような数字は持ち合せておりません。
  68. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで管財局防衛庁に聞いておきたいのですが、この所有権の所在が今なお買い主にある、これはそうでしょう。別に移動した形跡は見えません。しかしこの「なし」を処分する現実の権限はどこにあるのだろう。たとえば委任状をとって売却しかるべしというようなことで、どこかがやっておるのじゃないか。これは新生産業にあるのたろうか、北星船舶にあるのだろうか、両方一本のものだろうか、それとも、そういうものにはなくて所有者にあるのだろうか。その点について、大蔵省及び防衛庁ではどういうふうに考えておられますか。
  69. 窪谷直光

    窪谷政府委員 私どもといたしましては、なお売り払いの相手方と申しますか、漁業組合富士製鉄にあるものというふうに考えております。
  70. 久保亀夫

    ○久保政府委員 私ども大蔵省結論に従って処置いたす考えであります。
  71. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の聞くのは、法律的な所有権は今買い主にあるということはしばしば管財局長御答弁になっておりますから、これを聞くのじゃないのです。事実として聞きたいことは、実権を持って振り回しておるのは北星じゃないかと言っているのです。これはあなたが実際ごらんになったらわかりますよ。現に、富士製鉄漁業組合と名前が並んだ同じ二人の所有者だけれども漁業組合の組合長は富士製鉄の人の顔を見たこともないというのです。そして中間にあって、自分の名前をもって防衛庁申請書を出してやっておおるのは北星なんです。そして百六十万円も金を出し、なおいろんな経費を出してしょい込んでおるのは北星なんです。でありますから、北星、新生というものに実権があるだろうと思う。あなた方は実権がそういうところにあるというふうにごらんになっておるのかどうか、それを聞いたのです。終局の所有権がどこにあるかを聞いているのじゃないのです。これははっきりしております。私はその点には疑問を持っておりません。事の真相を当局は看過しておりますから、当委員会におきましても事態を究明するために、ほんとうの実権の所在というものを明らかにしなければ事の真相がはっきりいたしませんので、聞くのであります。その点について何かお考えになっておりませんか。
  72. 窪谷直光

    窪谷政府委員 私どもといたしましても、そういう疑いは実は持っております。従ってこれを最終的に処理をいたします場合にも、そういうことを考慮して、遺憾のない措置を講ずべきものというふうには考えております。
  73. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私はこれで終りますが、どうも大蔵省自身も資料がないので答弁ができぬこともある。また防衛庁みずからも、大蔵省のいろいろなことに従っていかねばならぬような、どうもあなた方御自身がこの「なし」をめぐりまして技術的に法律的な実体を十分つかんでおられないと思いますので、これはいろいろな人に来ていただきまして明らかにしなければならぬと思います。これはその上で論ずべき点と思いますけれども、この機会にちょっと聞いておきますが、これはやはりこのままほうっておくわけにいかぬだろうと思います。というのは、一つの理由は、もし九月の台風の時期になりまして、あそこの浅橋を波が洗うというようなことになりましたら、あの船は転覆しますよ。私どもはそれを懸念しまして、そこの人にどうだろうかということを問うてみたところ、やはりそうだと言うのです。そこで造船所にしても、頼まれもせぬのを預かっておるのです。ですから最善の保管者としてじっと持っておるわけじゃない。そういう事情でありますから、経費をかけてがんじょうに縛っておくということをする義務もないわけです。そういうこともあるし、また今日この問題がどうなるであろうかということは、全国的に相当注目いたしておりますから、この点政府としてはほんとうに真剣にお考えにならなければいかぬのであります。確かにこれは早く処理しなければならぬことなんです。それで大蔵省としましては早急に対案を立てなければいかぬ。今すぐにこうする、ああするということを私は求めませんけれども、そういうことの準備なども進めておられるでしょうか。それを一つはっきりしておいてもらいたい。こういう問答はいつまでも続けておるべきものじゃないと思うのです。
  74. 窪谷直光

    窪谷政府委員 まことにお説の通りでございまして、できるだけすみやかに適正な結論を得て処濁すべきものと考えております。その準備はいろいろいたしております。
  75. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは一応質問が終りましてからやはり当委員会に参考人をお呼び願いまして、事態の究明に当るようにしたいと思います。私の質問はきょうはこれで終ります。
  76. 片島港

    片島委員 法律的な立場からでありますが、先ほど関連質問でお尋ねしたのでありますが、用途の変更をした場合には、四カ月以内に指定用途に供しなければならない。それが四回にわたって延長をしてあるが、それはもう本年の一月二十三日をもって切れております。その後のことはお調べになるとおっしゃいましたが、お調べになって、延長してなかったということで、今から文書を作ればこれは公文誰偽造になりますから、延長してなくてもそのままにしておかねばならぬのであります。延長しなければ、あなたの方としては三百五十万円ぐらいで売ったものが何億かの値打があったということはわかっておるし、しかも相手方のいろいろなやりくりからこのようなことになって、しかも用途の変更まで自分の方で契約に違反してやろうとしておるから、これ幸いとしてこの際解約をして、それから防衛庁の方に譲り渡すというようなお話でも進められる方が筋が通るのであります。期間延長しないでそのままほうっておるということがわかった場合でも、このままにしておかれるつもりでありますか。
  77. 窪谷直光

    窪谷政府委員 これは善教によりますと延長してあるはずでございます。これは確認をいたしました上で御報告いたしたいと思います。
  78. 片島港

    片島委員 それは確認していただきたい。実は私どもの方でも山田君と吉田君が向う調査に行っておるのですが、ないのです。それをあったというようなことをされると、かえって文書偽造になりはしないかと思うから、私ども一前もろて調べてきたがないのです。一月二十三日で終っておる。それからこの契約書の第十五条かによって所有権の移転は五年間認めないようになっておるし、五年内に許可を得ないで無断で他に売買する、あるいは貸し付けるというようなことをした場合には、これまた契約解除することができ、おまけに三割だけ違約金を取ることができるという書きつけであります。せっかくこういう契約書を作ったのでありますから、五年間以内に、しかもあなたの方には何にも相談なしに、あなたの方が知らぬ間に売りつけをやって、ちゃんと一月十日、十八日に文書防衛庁の方に出して売りにかかっているわけです。その点第十一条違反になることは明確なんです。そういたしますれば当然あなたの方は十五条によって解約の対象としなければならぬと思うのでありますが、その点はいかがでしょうか。
  79. 窪谷直光

    窪谷政府委員 用途違反が起るおそれが非常に多いという状態ではありましたけれども、まだ用途指定違反というところまで参っておりませんので、この契約条項によりましては一方的な解除ということはまだできない状態であります。
  80. 片島港

    片島委員 第三者に移転してしまった場合には、解約しても、もう相手方の方に所有権が移転してしまってからでは買い戻すといっても無理だろうと思う。これはこういうふうにはっきりと防衛庁の方でも買うと言っておるし、向うでも買ってくれと言っておるのだから、このくらいはっきりしたことはありません。ここに防衛庁も見えており、買うと言っており、向うは売ると言っている。あなたも先ほどから質疑応答を聞かれてその点ははっきりわかっていると思う。まだ移転をするかしないか確定していないからというようなことは、もうはっきりしておる。しかもこの四カ月以内ということの第一の用途変更の問題、それから所有権移転という二重の契約違反をやっておるのでありますから、あなたの方はやろうと思えば当然直ちに契約解除はできるし、違約金も取れるのであります。それをずるずるとながめておられるというのはどうもおかしいような感じがするのですが、どうでしょうか。
  81. 窪谷直光

    窪谷政府委員 これは国でその物をさらに再使用するということから出て参ったのでありまして、ほかの方に単純に売り払ってしまうというのと状況が違いますので、これはここでも申しておりますように、最終的な許可をするか、あるいはまた契約を解約いたしまして処置をするか、いずれかの方法になるのであるというふうに考えております。
  82. 片島港

    片島委員 民間のほかの方に売るというならば私も問題にしません。国の方に売るというから問題がある。国の方ならば同じ国有財産ですから直ちにそのままで譲渡できまずから、用途変更だけでいいのであります。今まで海に沈んでおったやつを揚げてそのまま防衛庁の方に譲るということなら一番安くあがるのです。民間に売るというなら私たちは大して問題にしないが、せっかく防衛庁が何億円か金を出して——何億円になるか何千万円になるかわからないが、三百五十万円だったけれども一つのスクリューだけで三百万円もするというりっぱなものでありますから、相当なものだ。だからそれが問題ではないか。こういう問題は契約書ども会計検査院はごらんになったと思いますが、検査院の方ではこれをどういうふうに考えておられますか。
  83. 保岡豊

    保岡会計検査院説明員 私ども現地に二月に参りましたのですが、そのとき北星船舶と新生産業北星船舶と三晃物産北星船舶平郡漁業協同組合契約書なり覚書なりを見まして、照会にそれをうたいまして、所有権の移転があったのではないかという照会をいたしました。それに対してその答えはないのでございます。回答はいただきましたけれども、その答えはあったともないともなくて、そういう動きがあったということはあとから聞いたという程度答えを受けました。そういうことでありまして、今私ども考えておりますのは、先ほどもありましたように、売り払う相手方調査だけに基いて、これを積算なり評価なりしたということについては、その回答でも調査は不十分であったということを言われておりますし、これは予算的処置がなかったということも言われております。しかし予算くらいはあるのではなかろうかと会計検査院ではその程度考えております。現在その回答によりまして、評価の点など検討はいたしております。またいろいろ聞てはおりますけれども、今のところその動きを静観いたしまして、こちらで検討しておるという状態でございます。
  84. 片島港

    片島委員 やはり会計検査院もこういうのがはっきりと問題になってきた場合には、売るときには三百五十万円で売って、買うときには何千万円か何億円かで買ったということを、あとで批難事項で指摘するだけでなくして、こういうのは前もって調査を進められて、もし悪いと思うならば、こういうことはやるべきじゃないというような手を打たれるのが妥当じゃないかと思う。  なお本日は時間もだいぶ過ぎておりますので、私は次の委員会までにこの問題についての資料をお願いしておきたい。第一は、富士製鉄平郡漁業協同組合から「なし払い下げ申請書が出ておるわけでありますが、その申請書の写しを出していただきたい。それから艦の水中調査及び引き揚げ見積書、この水中調査も出ておるはずです、どういう品物がどういうふうにそろっておるというような付属書類があるのでありますから、水中調査の目録、引き揚げの見積護、それから委任状が出ておるのでありますが、富士製鉄からの委任状の写しもこれに添えていただきたい。二番目は「なし」の売り払い価格の協定をされた場合の協定の関係調書を出していただきたい。三百五十四万円という協定調書。三番目は四回にわたって契約を変更しておられる、この変更をせられた関係書類の写しを提出をしていただきたい。そして質問はこの次の委員会にすることにいたします。
  85. 山田長司

    山田委員 ただいまの資料に関連して資料提出をお願いいたします。製鉄本社出先機関に当る広畑製作所契約書権限があると認めた根拠に関する調査書類の資料を提出してもらいたいと思います。
  86. 上林與市郎

    ○上林委員長 細田綱青君。
  87. 細田綱吉

    ○細田委員 ごく簡単に伺います。富士製鉄平郡漁業協同組合と、その性格は月とスッポンほど違うのです。この両方で共同して払い下げ申請がなされた、こういうことに対して大蔵省はどういうふうにお考えになっておりますか。
  88. 窪谷直光

    窪谷政府委員 これは当初、昭和二十六年ごろだったと思いますが、まず漁業協同組合から魚巣に使いたいということから払い下げをしてもらいたいという申請があったのであります。ところが漁業協同組合だけに払い下げをいたしましたのでは、不用部分が相当に出て参るわけであります。従いまして魚巣以外の部分につきましては、やはりそのものを直接に使う人を契約相手方にすることが適当であるということから富士製鉄を加えたわけでありまして、その両方の共同払い下げというふうなことにいたした次第でございます。
  89. 細田綱吉

    ○細田委員 本件の価格は、先ほど管財局長が千五百六十万円、引揚げの費用一千二百十万円ですか、差引いて三百五十四万円、こういうふうに御説明になったのですが、地方財務局権限は、価格についてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  90. 窪谷直光

    窪谷政府委員 売払価格二千万円以下のものにつきましては、財務局長に権限委任いたしております。
  91. 細田綱吉

    ○細田委員 経理局長に伺います。先ほどあなたの方の資料で「なし」の調査報告というものが出たのですけれども、これによると、去年の八月の六、七、八というふうに、しかも大ぜい調査に行かれたということです。これは極端に言うと、この契約のいかんによっては調査の必要もないし、調査もむだになる。ところが先ほどの御説明では、全然大蔵省に相談なしに行かれたと装備局長が言われておる。大体防衛局の出張というものはそういうふうなならわしのものですか。
  92. 石原周夫

    石原(周)政府委員 本件は先ほど装備局長もお答えをいたしましたように、まずどういうような状況にあるのかということを調べるのが先決でありますので、これだけの人たち現場におもむいたわけであります。その結果を大体把握しましたところで、先ほど来申し上げたような手続をいたしておるわけであります。この間のやり方につきましては、御指摘のように事前に大蔵省側と十分打ち合せて行くべきではなかったかという点は、あるいはその通りであったかと思うのでありますが、当時といたしましてはとりあえずまずその状況を見て、脈があるかないかを調べてみた上のことにいたしたいというふうに判断をいたしたわけであります。
  93. 細田綱吉

    ○細田委員 それだけの人がしかも三日間、往復を加えると大へんな日数になるのです。それをとりあえず見てというのですが、先ほど片勘委員の御指摘のように、もし契約違反ありとしてもとの契約解除されたということになれば、何のために国費を使うことがあるのですか。この問題については実際は大蔵省が指揮しているのでしょう。大蔵省の方に相談せずしてこれだけの人間をやったと言うけれども、行き帰りの日数を加えたならばこれは大へんな旅費です。ところが先ほど片島委員の御指摘のように、もとが契約違反ありとして解除されたら国費を乱費することになる。これはどこの官庁でも同じです。吉田委員も指摘されたように、御出張になる前にいろいろな資料を集め、また関係各庁に囲い合せて、できるだけそういうものは整理して、予備知識を持って行かれなければならぬ。この問題については実際は大蔵省が指揮してやっておると思いますが、もう一度御意見を伺いたい。
  94. 石原周夫

    石原(周)政府委員 非常に多数の人間が——非常にと言えるかどうか知りませんが、多数の人間が参ったわけでありますが、その点なぜこれだけの人間が必要だったかということは、この内訳にございますように、各方面の専門的知識を必要といたしますので、最小限度この技術的判断といたしまして脈があるかないかの検討をいたしますためには必要であったため、この程度の人間を組織したわけでございますが、ごらん願いますように、中央から参りましたのは四人で、あとはできるだけ現地でそろえ得る技術者をそろえてあるわけであります。それでも全然だめになりますれば無用の費用がそれだけかかるわけでありますが、そういう意味におきまして事前に大蔵省側との相談をいたさなかったという点につきましては、おしかりをこうむる点はまことに残念に思うのでありますが、当時といたしましては今申し上げましたように、とりあえず脈があるかないかというところを見たいという意味におきまして、これだけの人間を派遣いたしたわけであります。
  95. 三鍋義三

    ○三鍋委員 関連してお伺いいたしますが、この船はどこでできたのですか。
  96. 久保亀夫

    ○久保政府委員 当時の川崎造船だったと思います。
  97. 三鍋義三

    ○三鍋委員 戦争中、ことに戦争末期には工事を急ぎまして無理をしている点がたくさんあると考えるのです。と申しますのは、私もかって学徒動員で駆逐艦を作りに行ったのです。私も一緒にびょう打ちをやったのですが、しいうとがやったのです。もちろん重要な点は私たちはやらなかったわけですが、全般的に考えて非常に無理な点があったのではないかという考えを多分に持つのですが、これが引き揚げられて、もし防衛庁で作られた場合に、どの方面にお使いになるお考えであるか、ちょっとお聞きいたしたい。
  98. 久保亀夫

    ○久保政府委員 お話の通り私ども調査の際にはその点を十分念頭において、その辺を懸念しながら調査をいたしました。第一回の調査で大体よかろうということで、第二回目はこの二月に行いました。これは大体乙型警備船で二十五、六ノットの速度の船でございまして、この程度の設計はできるのではないかということで、調査を兼ねて改良の設計本現地でいたしました。エンジンの出力は元二千五百馬力二基でありますが、七千五、六百馬力、元は二十七・五ノットくらいでありますが、確かに二十五、六ノット出るということで、最終的には乙型警備艦として使えるのではないか、第一段階としては、それまでは練習艦として十分に使えるという判断を今日いたしている次第であります。
  99. 三鍋義三

    ○三鍋委員 練習艦としてお使いですか、警備艦ですか。
  100. 久保亀夫

    ○久保政府委員 最終にはZ型警備艦、駆逐艦でございます。
  101. 三鍋義三

    ○三鍋委員 この調査報告によりますと、相当綿密に御調査になっているようでございまして、私たちはこれを信頼いたすのですが、大体大丈夫だといった、大体というところに多少の不安を持つのです。というのは、やはり海上自衛隊の方々がお乗りになって訓練されるのに、その尊い生命こをの船に託しておられるのでございますから、もし訓練中にまた任務についておられるときに、ああいうものを引き揚げて使ったがために事故が起きるとか、それから紫雲丸とか洞爺丸とか、ああいったようなことが起きてから大へんなことだったというようなことになったら大へんな問題だと思うのであります。これは「なし」の払い下げ問題と関連いたしまして重要な点であると考えるのであります。ちょっと感づいたところを御質問したのでございますが、私はこれで終ります。
  102. 細田綱吉

    ○細田委員 先ほど片島委員申請書の提出を求めたのですが、その中にはおそらく見積り書も入っていると思うが、それも加えていただきたい。
  103. 山田長司

    山田委員 大蔵当局に伺っておきます。この駆逐艦なし」は海底に沈んでおったものを占領中アメリカが押えておったと思いますが、いつこれは日本の国のものとして取得されたか伺っておきたい。
  104. 窪谷直光

    窪谷政府委員 沈没した船につきましては格別明確な指令はなかったのでありますが、占領中のことでございますので引き揚げをいたします場合にたしか先方の許可を求めておったものじゃないかと思います。ちょっと不案内でございます。講和条約が発効いたしましてからあとは当然のこととして日本側に完全に処分権があるわけでございます。
  105. 山田長司

    山田委員 これは一応調べていただきたいと思うのです。もう一つ今度は防衛庁当局に伺います。最初この船を調べに行ったときにはだめじゃないかという認定を下したという話を聞いていますが、この点どうなのか。それから二度目に行ったときにこれは大丈夫だということになったようだが、一体一回目と二回目の相違というものはどこにあったのか。
  106. 久保亀夫

    ○久保政府委員 ただいまお話がございましたが、私どもさような経過にはなっていないと思うのでございます。     —————————————
  107. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 だんたん各委員から御質疑がありましたけれども、やはりすみやかに事態を明瞭にいたしますために関係者を当委員会に御出頭願いまして、それぞれ事実の真相を明らかにしていただきたいと思うのであります。気のついております人間の名前を申し上げますが、なおその他必要と思われます限りは一つ委員長において適当にお計らいを願うことをつけ加えてお願い申し上げたいと思います。第一は買い主であります富士製鉄常務取締役の葛誠四郎、それから平郡漁業組合の神代弥助、これをあっせんをいたしました柳井市の経済部長、元平郡村長の松田勲、実権を握っているといわれる北星船舶の社長の又場常夫、重要な裏の人であるといわれる新生産業の屋宣憲三、他人に頼まれずして義務もないのに大いに船をみがいておられる呉造船の常務正木武雄、代理人として活躍いたしました三晃物産の田畑久宣、以上の人々を、その日時等は委員長しかるべく御指定を願いまして、当委員会に参考人として御出頭願って事実の関係を明らかにして、そうしてできるだけ適切な解決の道を開くような端緒にしたい、こう思います。
  108. 上林與市郎

    ○上林委員長 この際ただいまの吉田委員の本問題に関する参考人の出頭要求についたお諮りいたします。吉田委員の御要求の通り参考人の出頭を求めて本問題の実情を聴取することにとりはからうに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  109. 上林與市郎

    ○上林委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。なお参考人の出頭の日時その他出頭要求の手続き等につきましては、委員長に御一任を願っておきたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  110. 上林與市郎

    ○上林委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決します。なお御発議があればこれを許します。
  111. 片島港

    片島委員 今の人選の問題は理事会でも聞いてから御相談なすった方がいいのじゃないか。
  112. 上林與市郎

    ○上林委員長 申し上げますが、持ち回りで了承を得ております。
  113. 片島港

    片島委員 それでは私一つ別なことを……。昨日実は決算委員が日本銀行の地下室の貴金属の調査に行ったのでありますが、それに対する関係資料を二つだけお願いしたい。第一は接収解除に関する占領軍との一切の往復文書、一切といっても膨大なものでありましょうから、この貴金属の譲渡受け渡しに関する関係文書の写しをいただきたい。それから第二番目は解除引き渡しの場合占領軍から交付せられた物件のリストと、大蔵省においてその後再調査せられたときの調書、現在のストと前の占領軍から受け渡しをこちらの方でいただいたそのリストの写し、これをお願いしたい。
  114. 山田長司

    山田委員 ただいまの吉田委員の要求のほかにさらにもう一つ要求したいと思う。それは現場主任であった垣谷という人です。これはやはり現場においていつから作業にかかったのか、そういうようなことを一番よく知っていると思う。さらにもう一つ言いたいことは、作業日誌です。これを調べれば大体どんなふうな状態であったかわかると思う。この二つを追加していただきたいと思います。
  115. 上林與市郎

    ○上林委員長 ただいまの山田委員の要求通り参考人を追加するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  116. 上林與市郎

    ○上林委員長 御異議なしと認めます。さよう取りはからいます。
  117. 細田綱吉

    ○細田委員 参考人としてという御決定でしたけれども、その後さらに証人として喚問するという手もございます。しかし場合によっては宣誓の上証人として聞くこともあるべしという一つ注意書きをつけてお呼びを願うような手続きをお願いいたします。
  118. 上林與市郎

    ○上林委員長 ただいまの細田委員の発言につきましては追って御相談をして取りきめたいと思います。
  119. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ただいまの細田君の御発言でありますが、そういう付記のある参考人の呼び出しというのは手続上いかがかと思います。やはり証人の喚問ということになりますと、全く法律の根拠が違いますから、どうかと思います。そこは一つ委員長におまかせして、お計らい願いたい。
  120. 上林與市郎

    ○上林委員長 吉田委員の御発言通り、先例をよく調べまして、委員長においてよく取り計らうことといたします。  それでは本日はこの程度にし、次会の日時は公報をもってお知らせいたします。  これにて散会いたします。    午後一時一分散会