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1955-03-29 第22回国会 衆議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年三月二十九日(火曜日)     午後一時三十一分開議  出席委員    委員長 上林與市郎君    理事 有田 喜一君 理事 椎名悦三郎君    理事 篠田 弘作君 理事 山中 貞則君    理事 吉田 賢一君       安藤  覺君    横井 太郎君      小笠原八十美君    關谷 勝利君       片島  港君    佐竹 晴記君       細田 綱吉君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 松田竹千代君  出席政府委員        郵政政務次官 早稻田柳右エ門君         労働政務次官  高瀬  傳君  委員外出席者         郵政事務官         (大臣官房資材         部長)     西村 尚治君         郵政事務官         (経理局長)  八藤 東禧君         労働基準監督官         (労働基準局         長)      亀井  光君         労働事務官         (職業安定局         長)      江下  孝君         日本電信電話公         社総裁     梶井  剛君         日本電信電話公         社理事         (経理局長)  秋草 篤二君         会計検査院事務         官         (検査第二局         長)      上村 照昌君         会計検査院事務         官         (検査第四局         長)      大沢  実君         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 清英君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和二十六年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十六年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十六年度政府関係機関決算報告書  昭和二十七年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十七年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十七年度政府関係機関決算報告書     —————————————
  2. 上林與市郎

    上林委員長 これより会議を開きます。  本日は郵政省電気通信省日本電電公社及び労働省関係について審査をいたします。  まず郵政省所管について審査を進めます。それでは昭和二十六年度決算検査報告二四六ページより二五七ページに至る報告番号八八四ないし九〇六並びに昭和二十七年度決算検査報告三二一ページより三三二ページに至る報告番号一五八七ないし一六〇七を一括議題とし、審査の促進上、そのうち二十六年度番号八八四、八八七、二十七年度番号一五八九について重点的に説明を求めます。大沢説明員
  3. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 ただいま委員長から御指示のありました件について御説明申し上げます。  二十六年度検査報告の二四八ページ八八四号の件につ て、まず御説明申し上げます。八八四号は、仙台郵政局山下郵便局という局の局舎を作るに当りまして、土地地主との間に十分な了解を得ないままに工事施行したために、途中で解約せざるを得なくなって、その間いろいろな事情で三十数万円の損害を生じたという件であります。  さらに詳しく申し上げますと、山下郵便局といいますのは、宮城県下の特定郵便局でありますが、この局舎を新築するに当りまして、斎藤何がしという地主から、その地主の持っておる土地の一画を借り受けまして、ここに局舎を作ろうという工事を起したのでありますが、その地主が隣の土地自分住宅に使っている。そして最初にどの範囲の局舎を作るかということについて、書類から見ますと、十分な了解のないままに工事施行したものらしく、工事施行途中におきまして、その地主斎藤何がしから、初めの約束と違う、初めは局舎自分住宅との間に約一間ほどの幅を持たして建ててもらうという約束だったのが、工事を見るとほとんど人の通り歩きもできないような狭い部分しか残していない。これでは最初約束と違うというので文句が出まして、結局工事に対して地主の方からいろいろな妨害が起きた。そこでやむを得ずその土地を放擲して、工事を解約いたしまして、別の土地を選定いたしまして、そこに局舎を作ったわけであります。そうすると最初契約しました工事を途中で解約いたしまして、その出来高を払いまして、そのうちの一部また使用し得る材料を別の局舎材料に充てたのでありますが、その間の手戻りのために約十数万円の損失を来たした。また最初工事施行期から、解約してあらためて工事施行するまでの間に相当期間が経過しましたので、その間材料費その他の値上りがありまして、その分でもまた十数万円の損失を来たして、結局そうしたものが二十数万円の損失になっておる。そうしてなお、それに付帯設備としまして、衛生設備とか電力設備とかいうものも同じように設計変更などありまして、彼此総合いたしますと三十数万円の損失になった、こういう事案でありまして、当初土地を借りて建築を始められる場合によく地主と相談をして、はっきりしたところをきめておけば、こうした事態は起らなかったのではなかろうか、こう感ずる次第であります。  次に二五一ページの八八七号でありますが、これは名古屋郵政局購入いたしましたところの郵便物を縛るひもであります。普通の包みひものようなひもでありますが、これが非常に高いものを買っているという事案であります。郵便物を縛る場合に、縛るひもは、名古屋郵政局以外の一般郵政局では一巻当り大体百円以内のものを買っております。東京郵政局などは平均しまして八十何円のものを買っております。そうしたものを買って、それで十分に使用にたえておるのでありますが、名古屋郵政局では何回となくこれを使おう、一度縛って方々へ配ったひも各局から回収してまた使おうという意図のもとに、紙幅の広い、丈夫なものということで選定して購入したのでありますが、その購入したものを比較してみますと、一巻当りでみますと、名古屋郵政局購入したものは一巻当り平均百六十三円についておる。ところが東京郵政局の分は八十数円、それからほかの郵政局平均にしましても百円程度一巻当りにおいても非常に高い。この高いというのはどういうわけかといいますと、紙幅が普通のところは八分ぐらいのを買っておりますのを、一寸二分の幅のものを買っている。しかも紙質が高級のクラフトを使っているということで高くなっているのであります。しかもその一巻の長さを見ますと、この名古屋郵政局で買いました二万二千巻の中の一万五千巻という大半のものは、一巻の長さが千四百尺である。ところが東京郵政局ほかで買っておりますのは二千二百尺である。これは紙ひもでありますから、効用としては長さから見なければならぬことになりますが、長さ一尺当りの単価をはじいてみますと、名古屋で買っている一万五千巻のものは一尺当りが十一銭についておる。ところが東京郵政局で買っておりますのは一尺当り三銭八厘ぐらいについておる。約三倍ぐらい高いものを名古屋郵政局では購入したわけであります。同じ用途に使う、ただ郵便物を把束するだけの紙ひもでありますから、特にこうした特別規格品購入する必要はなかった。もしも同じ程度のものを購入しておれば百七十万円の経費が節約できたのではないか、こういうように考える次第であります。  以上二十六年度の二件を終りまして、次に二十七年度検査報告について申し上げます。二十七年度検査報告の三二七ページの一五八九号、これは保険契約申込書を非常に過大に購入した、こういう件であります。これは二十七年度検査報告に掲げてありますが、事態は二十六年度の分であります。二十六年度郵政省でこの保険契約申込書購入される場合に、七百九十一万枚というものを購入されておるのでありますが、購入契約計画を見ますと、各郵政局でも幾らくらいいるかという要求を出させまして、それをトータルいたしまして、なお各手持ちがどれくらいあるかという報告を徴しまして、その差額購入する必要がある、それに多少の予備を含めて購入して、最初は大体二十六年度中に千百五十万枚いる、とりあえずその中の七百九十一万枚を調達しよう、こういうので購入されたのでありますが、元来保険契約申込書でありますから、どれくらい保険契約を受けつけるかということを基準にして計算をすべきではないか。そうしますと二十六年度中にどれくらいの保険契約を成立させようかという目標件数は六百万件、でありますから、このこの六百万件に相当する六百万枚、それに予備を含めたものを購入のまず基準として、それからなお年度末、前年度繰り越しがどれくらいあるかという実数を把握して、その差額購入すればいいのじゃないか。ところがこの年度末に繰り越しておりました実数というものも、最初は各郵政局から報告を徴した分よりも多くありましたので、この前年度繰り越し分を引きますれば、大体二百三十万枚くらい調達すれば間に合ったのであります。それを七百九十一万枚というものを調達した。それがために非常に過大な調達になって、調達した分のほとんど大部分がその年度に使われずに翌年度に繰り越された。もちろんこれは用紙でありますから、腐るものではありませんので、その後これを使っているわけでございますが、年度計画調達される場合に、調達計画として妥当な処置ではなかったのではないか、こういうように考える次第であります。  以上三件御指示がありました分をとりあえず御説明いたしました。
  4. 上林與市郎

    上林委員長 ただいまの説明に対し、郵政省当局において補足説明をいたしたいとのことであります。これを許します。八藤経理部長
  5. 八藤東禧

    ○八藤説明員 ただいま検査院当局から御指摘のありましたことにつきまして、事実においてその後の経過によって異なったものがありますので補足的に御説明申し上げたいと思います。  二十六年度の八八四件に関するものでありますが、この地主との関係につきましては、大体お話のごとく地主側妨害その他の処置があり、また当局としても再三設計変更をし、しかも遂に解約、新たな土地を求めまして新築いたしました。その間御指摘数字の総計いたしまして約三十六万円ほどの損害が生じた。それらの事実につきましては御指摘通りであります。この損害につきまして、郵政省といたしましては、地主に対しましてその補填を要求し交渉を続けておりましたところ、当該地主斎藤某は、二十九年度初頭におきまして急死いたしました。その嗣子を相手取って、損害賠償等にいろいろ折衝、交渉いたしましたのが二十九年三月八日であります。仙台簡易裁判所におきまして、これが損害賠償についての和解が成立いたしました。地主側当局側要求する損害額三十六万円余りを全額承認いたしまして、和解条項に従いまして今後四十六年に至るまで毎月分割払いするということになっておりました。その後今日まで順調に和解条項に従って前回の賠償が毎年支払われておるという事実があります。この点を一点補促説明申し上げます。  他の二件に関しましては御指摘通りのような計算の過程におきますところの錯誤、品質を選ぶときにおきまして、別途業務上からの考慮からいたしました次第でありますけれども、御指摘の点、私どもといたしましてもごもっともの点もありますので、その後さようなことのないようにそれぞれ余りました物品を活用し、品質選定等については御趣旨に沿うようにいたす次第であります。簡単でありますが補足の御説明をいたしました。
  6. 上林與市郎

    上林委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。吉田賢一君。
  7. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 お尋ねに入りまする前に、郵政当局からなお御説明をしておいていただきたいのでありますが、それは二十七年度特別会計予算、これは補正でありませんので、補正で若干増減があるかと思いますけれども、これによりますと、二九四ページ郵政省所管特別会計予算参照書のうち、需品費が百五十六万三千六百余万円になっております。そこで二十六年の数字は近似したものではないかと思うのでありますが、相当多量な需品購入されているように思いますので、ただいま議題となりました需品との関連におきまして伺っておきたいのであります。  この用紙その他およそ需品と称せられるものはいろいろあると思いますけれども、このうち直接業務上にお使いになりますような物件調達というものは大体どのくらいの割合年間支出されているのでしょうか、それをちょっと念のために伺っておきたいと思います。
  8. 八藤東禧

    ○八藤説明員 吉田委員お尋ね趣旨は各年度における需品費というものは事業別部品別にどういうふうな割合になっているだろうか、かようなお尋ねであろうと思います。
  9. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 質疑趣旨がはっきりしなかったなら恐縮でありますが、予算書によりますと需品費が百五十六億円と相当厖大になっております。従って私はどういうものかということを指摘することはちょっと困難でありますが、こういう業務上必要な紙類であるとか、あるいは今の把束の紙類であるとか、そういう業務上使うものその他の物件と申しますか、そういったものはどのくらいの割合購入しているのであろうか、相当大きな割合になるだろうか、ごく小さなものであろうか、こういう点を知りたいのであります。これを聞くゆえんは、やはり物件調達会計というものは一つ一つわずかに拾って、あるものは数百万円にすぎませんけれども、やはり全体の需品が百五十六億円ということになっておれば、このような経理をよく改善することができるならば、全体の需品の支出におきましても相当大きな金額が改善され得るのじゃないかという想定をいたしますので、およそこういった、今議題になっておりますような種類のものにどれぐらいの割合でこの経費が使われておるのか、こういう点が知りたいのであります。
  10. 八藤東禧

    ○八藤説明員 御趣旨はよくわかりました。ただいま私どもが持っておりまする資料といたしましては、各年度における物品購買費総額は手元に持っておる次第でありますが、なおこれが各需要別となりますと、相当またいろいろと累計等ありまして、時間をちようだいいたしまして御報告させていただきたいと思います。  総額について申し上げたいと思いますが、昭和二十六年度におきましては三十六億四千八百十一万六千円であります。二十七年度におきましては三十七億七十五万一千円、二十八年度におきましては三十二億五千二百九十三万五千円、大体におきまして最高三十七億から三十二億の間というふうの数字物品購買費が出ておるわけでございまして、これは各事業部門を総計いたしました物品購買費でございます。
  11. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 二十六年の報告番号八八七、ページ二五一、類似のものといたしまして、報告番号八八五、八八六、これにもやはり共通した性格の事項があるように思いますので、一括してお尋ねしたいと思います。なお二十七年度決算報告書報告番号は一五八九、一五九〇、ページは三二七ないし三二八でありますが、やはり物件過大調達不要品購入、必要以上の高価な物の購入といったような類似案件と思いますので、これもあわせまして質疑したいと思います。  そこで一般の御方針を伺ってみたいのですが、この需品購入費年間三十数億円に上るということになりますると、やはり相当の大きな会計だと思っております。そこでここに指摘せられました数個の案件は数十万円ないしは数百万円の過大調達ということになるらしいのでありまするが、過大調達ということは、全国調達すべき各現場をお調べになれば、おそらくはまだまだ出るのではないかと私ども想像するのであります。こういうようなものにつきまして年間需給の推定、確認、また規格の調査あるいは購入先の選別、購入手段の協議とか、そういうようなものにつきましては、それは全体として相当整頓された御方針が私はあってしかるべきではないかと思うのです。全国郵政事業特別会計における郵便事業上のこの種の問題がこれほど大きな調達経費を使っておるのでありまするから、もし相当厳密にある方針をきちっと定めて調達するということになっておりましたら、私はばらばらにこんな事件が起らずに済んだのではないかと思うのです。そこで本省といたしまして、そういう点につきまして相当合理的に適切に一つの大きな方針を持って臨んでおられるのかどうか。需品調達購入年間計画というものについて相当厳密な計画性が持たれねばならぬのではないか、こう思うのであります。つきましては一つあなたの方の御方針を承りたい。
  12. 八藤東禧

    ○八藤説明員 お答え申し上げます。物品調達につきましては、ことに郵政省のごとく多数の官署を持っておりますところは相当多額の物品購買いたしますので、お話のような方針または計画というものはきわめて必要だと思うのでございます。大体におきまして物品購買いたします場合において、本省において一括して購入して、これを現場地方に配付していく種類のもの、それから御承知のように全国郵政局があるわけでございますが、この中間管理機関におきまして購入して、それを現業各局に配付するもの、それから他の品物におきまして当該局所において購買するもの、かように一方には対象物品性質やら市場関係等を考えまして、対象別にさような分け方をいたしておる次第でございますし、なお毎年事業の状況に応じてどの程度必要な材料を消費するであろうかというふうな点をにらみ合せまして、大体どの程度郵政局あるいは本省において在庫品として準備しておいたらよいだろうかというような方面における計画とか、大まかに申しましてかようなことあたりを中心として物品購買計画を立てておる次第でございますが、そのことに関しまして資材部長がちょうどここへ参っておりますのでなお詳細に御説明申し上げることにいたします。お許しを願いたいと思います。
  13. 西村尚治

    西村説明員 補足して御説明を申し上げます。郵政省の方の物品調達計画を立て、これを購入し、配付いたします機関といたしましては本省資材部があります。その系統を引いて地方十の郵政局にも同じような資材部というものがあって、責任を持って衝に当っておるわけでございます。物品をどういうふうに過不足なく購入し、事業運行に支障なからしめるかということが資材部の一番大事な使命でございまして、大体の基準を申し上げますと、一般物品すなわち備品、消耗品につきましては大体交付基準配置基準というものがございます。そういうものについてはそれによります。それのないものについては、先ほど経理局長お話にもあったかと思いますが、過去何ヵ年かの使用実績を徴しまして、それと、それらのその年度事業の動向、予算事情在庫量、こういったものを勘案いたしまして調達計画をきめております。被服とかその他車両類、こういったものにつきましてはそれを着用する定員というものがございますので、その定員の数によりて調達するようにしております。以上でございますが、何かほかに申すことがございましたら……。
  14. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今御説明を伺いますと、まことに間然するところなく、そういうことであればこんな事件は起らぬように思うのであります。たとえば二十七年度の一五九〇号の物品を過大に調達したもの、それによってみましても黒色肉汁一万四千四百カンを七百六十六万七千余円で購入しておるのであります。これが実際の払い出し量に上回ること千九百二十六カン、なお年度末に保有しておる実情にあるのであります。こういう案件から見ましても、一般方針としてはそういうふうにあるのかしらぬけれども、具体的には前年なりあるいは当該年度なりの需給関係に対する測定はかなり不正確じゃないのかというふうに想像されるのであります。これは価格にいたしまして四百六十七万円の過大調達ということに検査院は認定しておるのであります。このような過大調達ができるというのは、やはりそういう需給測定把握について、どこかに欠けるところがあるのじゃないか、こう思うのです。一般方針はそれでわかるのですけれども、こういった具体的なことについてはどこにそういう原因があるのであろうか、本省指示しておるような方針に従わないのであるか、あるいは現地におきましてずさんに計画されたものがそのままのまれていったものであるのか、そういうふうにいろいろ考えますと、今お説のような方針はその通り厳密に行われておらぬというのが実態でないかと思うのでありますが、これは経理局長いかがでありましょう。
  15. 八藤東禧

    ○八藤説明員 お答え申し上げます。たとえば二十七年度決算報告書の一五八九号の式紙過大調達でありますが、郵政省全体といたしましての購買の手順であるとか計画等につきましては先刻来申し上げた次第でございます。この事件に現われたところは、御指摘通り欠陥がそこに現われたのであります。と申しまするのは、御承知のように簡易生命保険というものが非常に多数の新規契約件数というものを毎年々々獲得して行くわけでございますが、最初件数として何件くらいこれを募集するかというよりは、事業計画といたしましては大体保険金額をこのくらいの金額まで募集しよう、従って保険料が大体このくらい入るように保険契約を獲得していこうじゃないかという事業計画が立つわけでございますが、いざ実際に郵便局におきまして申し込み用紙を使います場合において、一万円の契約が三つになれば三件でございますし、それからまた三万円一口になれば一件になるわけであります。そういたしますとその場合において式紙用紙使用も三対一の比率に違ってくるというようなことがありまして、事業性質から、保険なら保険で的確にこの年度において何枚申し込み用紙が要るだろうかということの物理的な正確さというものはなかなか期しがたいところでございます。そこで一応この一五八九号の場合におきましては、各郵政局からその管内の過去の経験や現状から見て大体何件くらい、言いかえれば何枚くらい使うだろうかという見込みを出させまして、それを機械的に計算して調達したところが、実際においてはそれほど枚数を使わなかった、言いかえれば金額としては目標以上あるいは目標通りになっても、件数として紙を使うところにおいてはそこまで行かなかったというふうなことになるわけでありまして、これは明らかに過大に調達したという結果になってしまったわけであります。そこでその際におきまして、この案件のときに郵政局からの調達希望数を機械的に計算しておったというところに、おっしゃるような大きな欠陥があるのだということを反省いたしまして、今後は件数を的確に押えることができないといたしましても、地方郵便局を直接監督している郵政局希望数そのままをただうのみにすることなく、中央において見ましてもその年度における保険募集目標というものははっきり金額としてわかっておるのでございますから、過去の経験に照らし合せまして、募集目標というものを要求数にかみ合せて算定して参ろうではないかというふうに一歩改善したわけでございます。さような次第でございます。
  16. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 物品購入というものはひとりあなたの方だけではなしに、他の会計におきましてもずいぶんと問題になると思うのであります。ことに年度末になって予算が不消化のまま越年するということをおそれて、三月にどんどん不要のものを買い込んでいくという例もずいぶん出るのであります。この報告の中で、二十六年度の八八五号は二十六年の三月に購入いたしております。これはそうかどうかは別問題といたしまして、やはり率直にこういう案件の各原因は十分にお認めになって、ぜひ今後の物品購入についての反省の資料にせられることが望ましいのであります。それのみならず、この際もし御意見を伺えればたいへんけっこうだと思うのだが、この物品購入というものは、こまかいようでありますけれども、ほんとうに精密に予算使用を慎重にやるという構えでしますと、あるいは一割も二割も——二割というと少し誤解がありますけれども、ともかく何%以上は必ず節約できるものと私は思うのです。これは個人の家庭生活について見ましても、百貨店の包紙を二度使うというような節約家がずいぶんあるのであります。このくらいな気持で物品購入に当られましたら、あなたの方の年間三十数億円の備品購入のうちからあるいは数億円の余剰が出るかもわからぬとさえ考えたいのであります。官庁だけではなしに、会社でもやはり同じことでありまして、自分会計でない場合に物品購入で余分なものが調達されるということはありがちでありますので、その辺についてこれは希望として申し上げることにしておきます。次の会計年度におきましては、方式を改め厳重にしたので何%浮いたというようなほがらかな報告もしてほしいと思うのであります。これは希望として申し上げておくにとどめます。  続いて別の問題について質疑さしていただきたいのでありますが、御説明にはなかったのでありますけれども、二十七年度報告番号一五八八、三二六ページ、給与の支給額が予算総則の限度を越えたもの、予算経理の問題であります。これはちょっと何でもないようなことでありますけれども、やはりわれわれは決算のいろんな方式を非常に重要に考えます立場から、予算の総則に違背するというようなことについてはことに厳格にお考え願いたいと思うのであります。検査院報告によりますと、二十八年の一月から三月までの間に、職員に対する各種の給与といたしまして、百十一億四千六百余万円を支給しておる。これは二十七年度特別会計予算補正総則十一条の本文に定めておる給与総額は百三億二千六百余万円でありまして、二十七年度特別会計予算総則十条によって、予算の増額を認められたものが五億四千万円であります。これを加えましても百八億六千六百余万円でありますので、二億七千九百余万円というものが支給超過になっておる、こういう報告であります。これはやはり財政法の予算の方式に違うことで、事情のいかんにかかわらず相当厳格にしていただきたいと思います。この点につきましてどういうようなお考えか、もしくはどういうような事情があったかについて一つ御答弁を願いたい。
  17. 八藤東禧

    ○八藤説明員 お答えいたします。ここに会計検査院より御報告になっておられる昭和二十七年度の給与総額に対しまして、その期間に支給せられた金額が二億数千万円上まわっておる事実は御指摘通りでございます。今吉田委員からもお話がありました通り、給与総額という制度は、公企業労働関係法規制下にある各現業官庁にとりまして、労使ともども重要な一つの制度であるということは私ども十分認識いたしておるわけでありますが、ただここに至りましたことにつきまして、若干その経過の説明をさせていただきたいと思うのであります。  御承知のように公企労法は、郵政省外四現業官庁に対しましては二十八年一月から突如として施行適用されることになったのでありまして、その二十七年の夏ごろにおきまして公労法自体は私ども企業官庁に適用があるように改正にはなりましたけれども、当時におきましては実際の適用は新年度二十八年度から適用されるであろうということをその筋からも漏れ聞いておった次第でございました。ところが二十七年の十二月に入りましてから、これは二十八年一月から適用するということが閣議において御決定になり、それに関する政令が出た次第でございます。私どもといたしましては非常に唐突の間でありまして、急拠差し迫った時日におきまして、公労法適用に関する諸般の準備をいたさなければならなかった、この点が第一点であります。いま一つは御存じのように、あの年は給与ベースの改訂がありまして、それがやはり国会のぎりぎり十二月に入ってから、たしか十二月二十七日かに成立いたしましたあの補正予算においてベース・アップの件が承認せられ、しかもそれが十一月に遡及して行われるのだということになった次第でございます。ところがこの補正予算の編成は、すでに十一月の初めごろから、計数その他を各省において事務的に始めておったのでありまして、十二月の補正予算がそういうふうに国会に提出される間ぎわに至りまして、今申しましたベース・アップというものが行われた。しかもそれが遡及するとして、どの程度具体的な支出になるであろうかという点が、御承知のようにワク内の給与に関しましても、いろいろ従事員も数が多うございますので、その算出等がなかなかむずかしい。それからまたもう一つは、一月から公労法が適用になったので、給与総額の新制度というものを少くとも補正予算上に取り入れなければならぬ。この二点から、この一—三月間における給与総額というものの全体の総額の算定が、私どもとしてきわめて困難をいたした次第でございます。で、二十七年度におきましては、本予算が成立しますときにはもちろん公労法の適用などは予測しておりませんでしたので、全部一本で他の普通の官庁並みにやっておりましたが、一—三月間の給与総額の決定という特殊な作業もあった次第でございまして、あれこれいたしまして、結局あの一—三月間の給与総額自体の算定には、非常に申訳ない次第でありますが、いろいろと見込み違いもやむを得ず生じた次第もあった、こういうことが一点でございます。  それから第二点は、実はこの一—三月間に給与のオーバーしましたものの最も大きな原因として、数字的に出ておりますのは超過勤務手当関係でございますが、これも当時国鉄の職員に対する年末の給与のプラス・アルフアという問題が最初に打出されまして、それに応じて他の公社及び現業官庁に対してもプラス・アルフアを何とかせよという問題が国会においても非常に強力にお取上げになられ、たしか衆議院であったと思うのでありますが、決議が行われまして、一・二五に少くとも並行するだけのプラス・アルフアというものを考慮せよという御決議が行われました。これらをくみ入れまして、私どもとしては当時差し迫ったときではございましたけれども、それに相応する金額をいわゆる超金として総額で約十数億を支出することになったのであります。  それから吉田先生御承知通り郵政省としては、年末年始が一番事業が繁忙のときでございまして、ほとんど従事員は夜も寝ずにやられ、しかも非常勤も多数雇う、従ってそのときには超過勤務手当というものも非常に大きな数字をもって支払われる段階になっておったのでございます、この二つを合せました、いわゆる国会の決議によってのプラス・アルフアの分と年末年始における特殊な繁忙というものの二つを合せまして、総額十数億前後だったと思いますが、超金を支出したわけでございますが、この相当多額の金が実は十二月二十七日に本省の私どもの手を離れて地方に令達せられたということでございます。そうしますと、どうしても物理的な関係から申しまして、現業の末端に十二月中にもらえる超金がなんぼだという金額が到達することが十二月一ぱいに到達すれば非常にいい方でありまして、結局現実に支払われる場合において、十二月に支払われてしかるべき超金というものがやむを得ず一月に入って支払われたということになるわけであります。そうしますと、実は給与総額がぴしゃっときまっておる、一—三月間に払う金は予算上きまっておる、弾力条項をやってみても一応そういうようにワクはきまっているのではないか。しかるに現実に職員がもらったといいますか、郵便局においてそれぞれ支出官が支出した金額は、ここに御指摘になった通り超過してしまった。ここが最初申し上げました予算算定上におけるいろいろな錯誤とか見込み違いというものが原因でございますが、そのほかに今申し上げました年末年始における事業繁忙、しかも十二月二十七日に私どもの手元を離れざるを得なかった当時の情勢下において、超金の相当額が一月において現実に支払われた、いわば十二月に支払われるべき金額が一—三月に支出になった。これらのことが総合されてかような結果に至った次第でございまして、まことに申訳ないことだと思っております。
  18. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その間の事情はよくわかりました。ただ将来もあることと思いますので、予算の総則につきましては、できるだけこれは遵法せられるように御注意あらんことを希望しておきたいと思います。
  19. 上林與市郎

    上林委員長 この際郵政大臣松田竹千代君から発言を求めておりますので、これを許します。松田郵政大臣。
  20. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 私がこのたび郵政大臣に就任いたしました松田竹千代でございます。まことに不敏のものでございますが、よろしく御指導御鞭撻のほどをお願い申し上げます。
  21. 上林與市郎

    上林委員長 質疑を続行いたします。吉田賢一君。
  22. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ただ一点だけでよろしゅうございますが、大臣が見えましたので一つお尋ねしておきたいと思います。ただいま議題となりましたのは二十六年度及び七年度の郵政会計における案件であります。そのうち物件調達費につきまして、相当過大調達であるとか、あるいは規格を高価な物を買い入れてあったとか、不要品の買入れであるとかいうようなものがだいぶあるのであります。そこで当局の御説明を聞きますと、備品の購入年間三十数億円に、ここ数年間なっておるのであります。三十数億円にのぼりまするものは、これは相当大きな調達費でありますので、このような大きなものは、経理が適切でありましたならば、相当節約し得るのじゃないかというふうにひそかに考えるのであります。そういう趣旨で、少し質疑応答を繰り返しておったのでありますが、大臣はそういうような面について特段に新たなる御計画を事務当局に御指示願って、この方面の厳正な予算と適切な需給の把握等につきまして、今後一つ新機軸を出して予算経理をやっていただきたいと思うのでありますが、一つ御意見を伺っておきたいと思います。
  23. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 吉田委員から御指摘の点につきましては、今日の場合といたしましては、特にみずから自粛して不要のものはこれを購入しないことに極力思いをいたしていかなければならぬと考えておる次第でございまして、新機軸といっても、私といたしましては厳にこの点に対しては一般に注意を喚起するようにいたしまして、今後再びおしかりを受けることのないように、極力努力いたして参りたいと存じます。今日ほど日本の国務多端なるときはないのでありますし、また、政府において最も多く金を使う役所から特に注意することによって相当の成績をあげ得られるのではないかというふうに考えまするので、今後は特別この方面に努力をいたしまして、やって参りたいと考える次第であります。
  24. 山中貞則

    ○山中委員 新大臣は剛毅果断、一たん思い込んだことはどこまでも貫かれるという数の少い政治家の一人であらせられまするので、この際お尋ねと申しますか、われわれのそうあってもらいたいという考えを聞いていただきたいと思うのであります。と申しまするのは、どの省にもいろいろの不正行為がございます。そうしてその処分等を見ましても、それぞれの省の特色がやはり出ておるようであります。不正行為を犯した者に対する処分のあり方が、ある省においては当然処分をされるべきはずのものがおしなべて免除されておるというような傾向の省もありますれば、大臣の担当の郵政省あたりの、ことに郵政事業特別会計に多いのでありますが、不正事件簿についての処分は割にきびしく厳正に行われているやに私どもは見るのであります。ところが、この割に厳正に行われておりまするように私どもが見受ける内容につきましても、なおかつ、まだこれはものの考え方の相違もありましょうが、犯した犯罪の事実そのものは、発覚したその瞬間において、当然国家公務員としてその適格性を基本的に否定さるべきはずの内容のものが、裁判に回されたことによって、じんぜん処分が見送られておるような事実等もあるわけでございます。しかしこれは新しい法律の適用下における人権の尊重というような問題についての解釈の仕方が異なって処分が違ってくるわけでありますが、私どもとしては厳正な処分こそがこういうものを根絶する基礎だと思いまするので、今後も一そう厳格にやってもらいたいと思います。ただし現在取り上げておりまするものは二十六年度、二十七年度の郵政についてでありますが、おそらく二十八年度も二十九年度もあるいは本年度も、そういう事態全国各地には起りつつあるかもしれないと私は思うのであります。そういたしますると、結局のどのかわいた者でありましても、水のこぼれる場所でも発見しなければ飲めないのであります。やはりこの手続あるいは現金の取扱いの今日までの慣習、そういうもののいずれかの段階において渇した者が手を差し伸べたくなるような、したたり落ちる水のような間隙が私は必ずあり得るのだと考えます。新大臣が担当されました以後の決算書に、著しくそのような不正行為が少くなったような現象を現わしていただきたい。私どもはかような意味で期待と念願とを持っておるものであります。郵政事業は、ことに簡易生命保険、郵便年金等は信用事業でございまして、こういう事件が毎年厳罰に処してもなおかつ跡を断たないでいくとすると、信用事業そのものの基本の生命に影響を及ぼしていくわけでございますから、そういう意味でぜひとも新大臣において下僚に命ぜられまして、事務手続の面あるいは現金授受の今日までの実際の慣行、その他の面について、そのような水がしたたり落ちるような穴を全部ふさいでもらいたい。これを新大臣が率先してやっていただくことを私は期待するものでありますが、これについての大臣の御見解を承わりたいと思います。
  25. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 山中委員のまことに御親切なる御発言に対しては深く感謝するものでありまするが、郵政省は多くの人を擁し、かつまた最も多くの現金の受け入れ、支出をやっておるような次第でありまして、特にその点について留意していかなければならぬ。多くの金を扱い、また多くの人間をかかえておるから、多少のことは、これは普通並みである。やむを得ないというような考えはもってのほかであって、多く人をかかえ、多くの金の出入りを扱っておるわけであるから、特にそれだけよけいに注意をしなければならぬというふうに考えていかなければならぬと考えておるわけであります。またたまたまあやまちを犯した者に対しては、厳粛に迅速にその処罰に対しては考えていかなければならぬということも考えます。しかし処罰だけではとうてい仰せの通りの水漏れをことごとく防いでいくというようなことはなかなかできないことでありまして、これはあらゆる方面に気を配って、万遺憾なきを期するようにして参りたいと考えておる次第であります。
  26. 山中貞則

    ○山中委員 よくわかりましたが、たとえばここに会計検査院から指摘された個々の事実だけについて取り上げてみましても、犯された犯行のあり方といいましょうか、犯行の手段をしさいに検討すると、ごく共通したものが発見されるのです。同じような手段、方法によって同じような法の盲点、取扱い手続等の盲点をくぐった共通のものがあります。ということは、こういう犯罪の起った原因である手続その他をそのままにしておけば、まただれかがそれを犯すことができる点が残っていると私は思います。でありますから、いろいろな調査の方法はありましょうが、そういう共通の犯罪に見られる特別なる条件等は、手続その他規則等によって改正できるものならば、私は人間のそういう悲しい姿を少しでもシャット・アウトできる、事前に防除できる、こういうことを考えておるものであります。そういう点を下僚に対して徹底する。ただこの委員会でおっしゃっていただいただけではなくて、私は松田大臣あたりが一番適役じゃないかと考えてわざわざ立ったのでありますが、こういうことをやっていただいてみたらどうかということを考えておるわけであります。
  27. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 まだ就任早々の際でございまして、その手続とかシステムとか、そういうことの改正によって不正を防止するというようなことについてまだ考えを持ちませんけれども、まことに必要なことと思いますので、その点につきましても一つ十分に考えてやって参りたいと考えております。
  28. 片島港

    ○片島委員 私は質問をしないつもりでありましたが、一件だけ吉田委員の質問がありまして、その御答弁がちょっと納得できない点がありますので、お尋ねをしたいと思います。郵政省があれだけの大きな事業をかかえて、その批難件数においてもまた金額においても非常に少いということは、私は長い間決算委員をやりまして非常にうれしく思っておるのでありますが、先ほどの御答弁の中で昭和二十七年度の一五八九の「式紙を過大に調達したもの」これについて会計検査院の方から募集目標件数基準とすればよかったであろう、それを各郵政局の準備要求数量を基準としたから間違ったのであろうという御報告が出ているのでありますが、私はこの報告の仕方が間違いじゃないかと思うのです。と申しますのは、もし募集目標件数基準といたしましても、それから各郵政局の準備要求数量そのままを基準といたしましても、一枚の保険契約申込書に対しては、一枚の保険証書が要る、保険の領収書が要る、それから集金のカードが要る。そういたしますと、この保険申込書だけが五百五十万円の過大調達でありますが、それと同じぐらいの紙がやはりまだ保険の証書とか領収書とか集金のカードとかいうのがこれに伴って一枚ずつふえてくるのでありますが、それは一つ過大調達がなされておらない。もし募集目標というものを作ってやるならば、それらのものもずっとついていかなければならない。また郵政局が準備要求をする場合には、保険契約申込書要求をやると同時にそういうものもまた要求してこなければならない。それがしり切れトンボで申込書だけがここに出ておるのでありますが、これは会計検査院当局がこれを検査せられるときに、そういうことにはお気づきになりませんでしたか、一つ当局から御答弁を願います。
  29. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 ただいまの片島委員の御質問でありますが、ごもっともな話でございまして、申込書だけではないのでありますが、これを検査しましたときに申込書だけといっては極端でありますが、これが非常に過大調達になったのでありまして、ほかの分は申込書と証書と原簿でございますが、これを一括して購入するという方針をとらずに、これは前年度検査がこちらが不十分だったということになりますが、前年度繰り越し相当ありますので、証書は購入しない、申込書だけ購入する、そして今年度のこの検査におきましては申込書だけが過大調達になっておる。ほかの分も全然過大調達、一枚も余分に買っていないというわけではありませんが、これほど極端になっていなかった。すべてずれがありまして、極端にいえば前年度において過大調達があったということになります。そういう状態になっております。本件の場合は、ほかの組み合せになっている分については、検査の結果はそういう過大調達を発見しなかった、こういうことになっております。
  30. 西村尚治

    西村説明員 検査局長の御答弁を私の方で補足して申し上げたいと思います。ただいま片島委員から御指摘の点は大へんむずかしい問題でございまして、大体年間保険目標の設定というものは件数でなくて金額で設定されるわけであります。昭和二十六年度年間目標額は一千億ということになっておるわけであります。これを本省で決定いたしまして、現業各局にそれぞれ金額でまた割り当てます。そうしますと、現業各局ではその管内の経済事情その他を勘案いたしまして、募集計画を立てて活動に入るわけでありますが、その管内の事情によりまして保険金額の大きいもの小さいもの、きわめてまちまちでありまして、それによって保険金額総額は同じでありましても、件数はいろいろに大きくなったり小さくなったりするわけでございます。それで私どもの方といたしましては、大体年間の徴収保険料目標額を平均の保険料額で割ってみますと、大体の目標件数は出るわけでございますが、これは非常に大胆なやり方でありまして、どうもそれによりかねたわけであります。と申しますのは、今申しましたように、非常に各郵便局によって同じ金額でありましても、件数の方はまちまちになりますということと、万一それだけに依存いたしまして、それでよいものと思って式紙を購入いたしますと、ぐんぐん件数が伸びまして、あとになって式紙が足りなくなるというようなことになりましては大問題でありますので、私の方としては件数だけによりかねたのであります。それで所管しております郵便局の個々の実情に精通しております地方郵政局からの調達要求書、これによれば大体問題なかろうということでそれによったわけでございます。しかしその件数というものも一応の目安にはなりますので、昭和二十七年度以降は会計検査院指摘通り契約目標件数に合せて郵政局からの調達要求書というものを勘案いたしまして調達計画を作っておるようなわけでございます。大体そのあとは問題ないようでございます。
  31. 片島港

    ○片島委員 いや、そうじゃないのです。それは金額でやろうと件数でやろうと、保険契約の一枚の申込書が発行せられる場合には、必ず保険証書が一枚それについてくるわけです。それから領収書がもう一枚つくわけです。カードもまた一枚要るわけです。だから件数であろうと金額であろうと、申込書というものを印刷する場合には、それに連なってずんずんとほかのやつもまた出てこなければならぬ。それで五百五十億——金額は大したことはありませんが、枚数にすれば相当のものです。こういうたくさんな枚数を、こんなによけいある場合には、前年度からの繰越しなんかもありましょうけれども、できることならば資材を調達する場合には、前の繰り越しなんかも見てから、あるところでは合せるように合せるように計画していくでありましょうから、そういう大きな食い違いは出ない。だから会計検査院が言われるように、これは何か係も違い、基準を勘違いしたか何かで別個に考えられたならば別だが、必ず一枚々々ついてまわるのだということを考えて計画しておられるならばこういうことにならぬのじゃないか、こういうことになれば、ほかのやつも余ってくるのじゃないか、全部がならぬけれども、ほかの組み合せで余ってくるのじゃないか、こういう質問をしておるわけです。
  32. 西村尚治

    西村説明員 確かに御指摘通り申込書がふえれば、保険書その他の式紙類も当然ふえるべきでありますが、この申込書と申しますものは、非常に勧誘に苦慮いたしますので、加入する人しない人にかかわらず、これはと思わしきところにはロスになる見込みであっても置いて来るそうであります。それから申込書の書き損じその他のロス、これが従来相当大幅に認められておりました関係上、これだけ若干飛び離れて多く調達したかっこうになったようであります。その後は十分改めております。
  33. 上林與市郎

    上林委員長 他に御質疑はありませんか。——なければ次に移ります。     —————————————
  34. 上林與市郎

    上林委員長 次に、電気通信省日本電信電話公関係について審査を進めます。  それでは昭和二十六年度決算検査報告、二五七ページより二七三ページに至る報告番号九〇七ないし九二〇、昭和二十七年度決算検査報告、四一六ページより四三七ページに至る報告番号一八〇四ないし一八一三を一括議題とし、審査促進のため右のうち二十六年度番号九〇七ないし九〇九、九一二、二十七年度番号一八〇九、一八一〇について重点的な説明を求めます。大沢説明員
  35. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 二十六年度検査報告の二六二ページに掲げてあります九〇七号と九〇八号をまず御説明申し上げます。この九〇七号と九〇八号に書いてありますのは、実はこれよりもっとずっと幅の広いものとして、二十五年度検査報告に掲げてありましたそのあとの残った分を報告したのでありまして、当時まだ電気通信省であった時代であります。このうち各地の電話局の工事とか線路の工事とかいうものを日本電信電話工事株式会社でありましたか、それが昔はやっておったわけであります。それが終戦後司令部の指示によりましてこれを直営でやれ、電気通信省でやれということになりまして、当時会社の職員が一括して電気通信省の職員に編成がえされまして、それが建設部というところに所属しまして各地の工事をやっておったわけであります。その工事の様式は直営工事でやれということにして各地に資金前渡官吏を配置しまして、その金によって材料を買い、あるいは人夫を雇うということで経理しておったわけでありますが、その経理の実際を見ますると、直営でやっておるように経理しながらも、実際は切り投げ、いわゆる一括してある部分を請負わせてしまうようにして請負わした分や、当時本省の建設部の方で人が足りないというので、その方の職員——人夫という名義になっておりますが、事務をする職員、そのものの給料を各工事費から捻出しまして、それを本部の方に送金しまして、本部の方で、それで人夫賃を払っておった、あるいは各現場で接待費などに使っておったというように、証拠書類上出しております支払いの名義と、実際に使った名義とが全然かけ離れておったという事態が非常に多かったのであります。昭和二十五年度にこうした工事が九十九件ありましたうち、多かれ少かれこうした架空の経理をしておったのが四十数件ありました。それの二十五年度に掲げた残りがここに出ております。ここに書いてありますのは仙台と水戸の工事で、架空の名義で金を出し、切り投げにしたり本省へ人夫賃として送金したり、接待費等に使ったりしたものがあるわけでありまして、この二件だけで捻出したのが総額二百五万円程度になっておりますが、二十五年度検査報告に掲げたものを合せますと四千百九十八万円という金額を捻出したのでありまして、切り投げに二千六百万円払い、あるいは本省の方へ人夫賃として三百七十万円ほど送金したり、あるいは接待費その他に使ったりしたのであります。こうした経理は証拠書類を偽わるものでありまして、妥当でないのでその後大いに注意を喚起した結果、電気通信省当時におきましてこうした直営制度をやめまして、実態に合うようになったといいますか、請負工事の方へ移行いたしました。二十五年度から二十六年度にかけて検査報告に掲げましたあとは、こうした事例は検査の結果も発見することはない次第であります。  次に九〇九に書いてあります経理が紊乱していたものといいますのは、これは電気通信省の電気通信研究所——三鷹の方にありますが、ここの経理がきわめて紊乱しておったのを一覧として報告してある次第であります。まず第一に、物が入ったとして金を払った、事実物は入って金は払ったことにしている。ところが実際はそれをすぐ納入者に渡さずに、しばらく会計で保留しておりまして、ほかの方にいろいろ使ったりして、数カ月たってからこれを請負人あるいは物品納入業者に払ったというのが(一)に書いてありますもので、これが三件ほどありました。今度は逆に物を売った場合に、その入って来た代金をすぐに収入に立てずに保留しておりまして、しばらくたってからこれを収入に計上したというのが(二)に書いてあります。(三)に書いてありますのは、乗用車の借り上げ契約をしましたが、こちらで検査すると——自動車の運行日数とかその他いろいろな自動車の書類と突き合わすとどうも多過ぎるではないかと思われる。いろいろ調べ、また電気通信省の部内検査に依頼しまして調べた結果、自動車の借り上げ金で約六十六万円という金を過大に払っている計算になっている。同じようにしまして、自動車の修繕につきまして、三十五万円が過大に支払われている。次は什器類の修理、これを書類その他いろいろ当ってみますと三十三万円ほど過大支払いの事実があった。それから(四)は、仕事はもうとっくにしてしまって、契約書をあとになって作成してやっているのでありまして、はなはだしいのは半年前に実際の仕事をやってしまったのに、半年あとになってから契約を結んでそれからあと完成をしたというように書類がなっている、いわばやっていないのに契約だけ先にして仕事をしてしまったというようになっているのであります。  以上のように電気通信研究所の経理は非常に紊乱しておりましたが、その後会計関係の職員も全部入れかわりまして、経理も改善されて、最近においてはこうした事例はありません。しかし二十六年当時は非常に紊乱しておったように見られる次第であります。  なお、飛びまして二六八ページに書いてあります九一二号、これも同じく電気通信研究所の契約でありまして、これは建物の中の電気配線を請負わしたのでありますが、その場合に、作成を全部請負い業者にまかして、幾らだか一つ予定価格を算定しろということで算定させまして、その値段のままで入札に付した。結局予定価格を算定した業者が落札して契約したのでありますが、設計図面等によりまして会計検査院の方で一応調べてみますと、絶縁電線とか電線管とか所要材料が予定価格においてどうも相当過大に見積られておるのではないかという感じがしまして、なお再積算をさせましたところが、百十二万円という予定価格であったのでありますが再積算した結果によりますと約七十二万円くらいのものである。こうした非常にずさんな予定価格に基きまして契約入札しました結果、非常に不利な契約をしたという点を九一二号に指摘した次第であります。  なお本件工事に関しまして、ほかに官給材料としまして通信研究所にありました電線類等を交付したものがありますが、この交付したものが工事に使われずにそのままになっていたものもありまして、その後使われてなかったものは回収し、請負代金の一部を減額させて収入として取り上げて行くという事態であります。以上で二十六年度の御指示になりました点の問題は終りまして、二十七年度の四三二ページに書いてあります分が、これも同じく電気通信研究所に関係するものでありますが、これは土地の交換がまず土地の評価において妥当でなかったということと、その手続が法令に違反しておった、この二点を掲げているわけであります。この電気通信研究所というのは、従来神奈川県の座間の方に土地を持っておりました。ところが、三鷹の方へ集結することになりまして、座間の方の土地が要らなくなった。それで座間の方の土地と、三鷹の現在の研究所の隣接地と交換することになったわけでありますが、この評価を見ますと、こちらで渡した方の評価が非常に安過ぎるのではないか、向うから受取った方の評価は、座間の町が昔の中島飛行機ですか、富士産業、それから購入しまして、こちらに提供しましたので、これは大体値段としては妥当な線と思いますが、こちらの渡したものは、たんぼが坪当り十六円とか、畑が七円というようにいわば農地法に基きますところの農地の買い上げ価格をほとんど標準にして評価されておる。ところが本件の土地は、座間の町が町営住宅をつくったり、緑地帯にするために交換してほしいという申し出で、渡したものでありますから、こうした低い評価をする必要はないじゃないか。また山林なども、これまた農地の関係の評価ではないのでありますが、非常に安い感じがしました。その後ほかの会社に評価を依頼して評価したところによりますと、田は大体坪当り二百八十円くらいするだろう、それを十六円で売っている。畑は二百三十円くらいだろう、これを七円で売っている。山林も二百円くらいだろう、これも十二円で売っている。非常に渡したものの評価が低過ぎるのではないかと考える点であります。評価の妥当でない点と、もう一点は、当時はまだ電気通信省のもので、いわゆる国有財産であったのでありますが、国有財産を交換する場合には、土地土地、あるいは堅固な建物と堅固な建物との交換を認められておりますが、土地と立木または家屋などと交換することは認められてないのであります。本件の場合には、先ほど説明しました土地、いわゆる田、畑、山林のほかに、立木や家屋も含めて渡してしまった。これも一応評価はしているのでありますが、こうしたものまで含めて交換したことは、国有財産法の規定に違反するという点と、今度電気通信省の内部の規定によりましては、こういう固定資産の交換については、電気通信研究所長だけではできないことになっております。必ず電気通信大臣まで稟請いたしまして、その指示を受けることになっておりますが、本件の交換に当りましては、そうした手続をとらずに、電気通信省限りでこれの交換処理をしております。そういう点も規定に違反しているというように考えまして、検査報告として掲げてある次第であります。  次の四三五ページに書いてあります一八一〇号の国際電信電話株式会社に対する件でありますが、これは御承知通り、二十八年の四月一日に国際電信電話株式会社が発足いたしまして、従来電気通信省の後身であるところの電信電話公社が経営しておりましたところの国際電気通信部門を、現物出資として電信電話株式会社に出資したわけであります。出資の方はそれぞれ評価員を設けて、評価価格で出資したわけでありますが、その場合にもう一度帳簿から払い出しましたところの保守工事用のいろいろな需用品、これを全部無償で国際電信電話株式会社の方へ渡してしまった。これは当然出資する場合に一応貯蔵品に繰入れて、貯蔵品として出資額の現物出資の中に加算し引き継ぐべきではなかったか、こういうようなことでありまして、この金額を算定いたしましたところ約千六十万円ほどありました。会計検査院でこれを指摘いたしまして検査報告に掲げたわけでありますが、その後電信電話公社の方におかれまして、まさしくこれは無償で引き継ぐべきではないという結論に達しまして、この金額はそのまま会社の方から公社の方へ回収いたしておる次第であります。以上御指示のありました点を御説明申し上げます。
  36. 上林與市郎

    上林委員長 ただいまの説明に対し、電信電話公社当局において補足説明があれば、この際これを許します。秋草経理局長
  37. 秋草篤二

    ○秋草説明員 ただいま大沢検査第四局長から二十六年度、二十七年度を通じましていろいろ御指摘いただきまして、まことに遺憾に存ずる次第でございます。総括的に申しまして、電電公社の経理内容につきましては、私ども総論的なものと、各論的なものの二つにわたって御指摘をいただいておりますが、総括的な総論の問題につきましては、損益計算の不合理を御指摘いただいておるわけであります。それから建設工事なり、仮払い金なり、あるいは二十七年度におきましては貯蔵品の改善とか、そうした経営内容の盲点と申しますか、非能率というような点を御指摘いただいておりまして、この点は重々ごもっともな次第でありまして、私ども何ともお答え申し上げる筋合いではないのであります。個々の不当不正事項は当然のことといたしまして、私ども経営内容の合理化について、昨今懸命に努力いたしておる次第でございます。  そこで多少補足して申し上げますと、損益勘定の不合理につきましては、電信電話公社になりまして、企業的会計の制度をしかれまたしために、こうした純会計学的な論理からいろいろな点で、従来の官庁会計のしきたりと合わないような会計の仕組みがございますために、いろいろと計数上の問題は生じております。これは存続というわけじゃないのですが、経理を厳正にし、財務諸表の信憑性をつくり上げるという意味におきましては、非常に大きな問題だと思っておりまして、これは大いに反省いたしまして今後の、ことに最近の会計につきましては、ずいぶんとこの改善に努力いたしておる次第でございます。  それから建設工事の進捗、貯蔵品の問題、そういう点につきましては、二十七年度、二十八年度にまたいろいろ御批判をいただくと思いますが、相当改善のあとを見ているのではないかと思っておるのであります。  それから各論に参りまして、いろいろなふしだらな問題をたくさん惹起いたしまして何とも申しわけない次第でございます。この点は一にもって今後の改善をはかる以外に何ものでもないのでありまして、これは昭和二十五、六年度、特に二十五年度におきまして、かつての決算委員会においても大へんな御指摘をいただき、私ども省をあげて大いに反省しておるのでございます。現在のところこうした非常に時代おくれの経理の紊乱なり、あるいは架空処理というようなものは、まずまず跡を断ったのではないかと思っておるのでありますが、昨今でもときどきまだ全事業場にたまに問題が起きるようなこともございます。しかし二十六年度のようなこうしたふしだらな点は再び繰り返さないよう戒告をいたしておる次第であります。  それから工事関係につきましては、昨今非常に大きな建設勘定を行っております関係から、工事の進行についての計画性、段取りの不十分なため、不正、不当ではないのですが、いろいろな不経済な工事が行われ、あるいはまた工事の進行がおくれるというような問題があるのでございますが、この点が今後の私ども電電公社に課せられた一番大きな問題だと感じておる次第であります。この点は何分にも大きな建設勘定を要しておりますために、計画の設計から物品調達工事の実施、そうしたいろいろな諸般の問題を勘案しながら工事をうまく進めていくということは、非常にむずかしいわざでありますが、しかし事業を行います公社としますと、これが最大の問題であろうかと思いまして、今後もこの点について十分研究もいたし、また改善もはかっていきたいと存じておる次第であります。簡単ではございますが、ちょっと補足させていただきました。
  38. 上林與市郎

    上林委員長 質疑の通告がありますので順次これを許します。篠田弘作君。
  39. 篠田弘作

    ○篠田委員 支払い代金の政府の金を、自分の方で支払ったようにして、たとえば半年なり三月なり支払わないで何かに流用する。あるいはまた納った代金を払ったことにして、実際は払わないで何かに流用する、こういう問題ですが、この場合やはり自分の上官というか、自分の当然指揮を仰ぐべき人の許可を受けてやっておるものであるか、あるいはまた係官が独断でやっておるのであるか、それをひとつ。
  40. 秋草篤二

    ○秋草説明員 現在は全くこういうことは行われておらないのでございます。この当時逓信省、電気通信省時代の会計法のいろいろなしきたりもございまして——しかし会計法というものは悪いものではないのでございますが、工事を実際に行いますと、普通の行政支出と違いまして……。
  41. 篠田弘作

    ○篠田委員 いやそんなことを聞いているのじゃないのです。上司の指揮を受けてやっておるのかどうか。
  42. 秋草篤二

    ○秋草説明員 指揮は絶対受けておりません。
  43. 篠田弘作

    ○篠田委員 係官だけで……。
  44. 秋草篤二

    ○秋草説明員 そうでございます。その場合に工事長というものが独断でやっておったわけでございます。
  45. 篠田弘作

    ○篠田委員 その場合流用される金というものは、電気通信省なら電気通信省のいわゆる公的なものに利用されておるのか、それとも何分の幾つかは私的なものに利用されておるのか。
  46. 秋草篤二

    ○秋草説明員 個々の事件についてそれぞれ違いますが、これを分析しますと、篠田委員のおっしゃるように、多少は、たとえばある程度事業上やむを得ず簡単に工事用の物品を買うとかそういうものに使われておる場合もございます。しかし一番ひどいのになりますと、これを着服する、もう少し軽いのになりますと、工事人の手下の者にもち代というか、年度末に少しわけてやる、あるいは工事が非常に繁忙のあとに一ぱい飲ませてやるとかいうようなことであります。それがだんだん発展しまして、中にはそれを着服するということで、最後には犯罪を形成するということになるのでございます。
  47. 篠田弘作

    ○篠田委員 着服した者は当然刑事上の犯罪だから処分されておるわけでしょう。
  48. 秋草篤二

    ○秋草説明員 そうです。
  49. 篠田弘作

    ○篠田委員 それから土地の交換に当って当を得ていない、この問題でありますが、これもやはり係官が自分で勝手にその評価額をきめるものですか。それとも上司とはかつて相談の上できめるものですか。
  50. 秋草篤二

    ○秋草説明員 これはただいまの工事のようなものと違いまして、当時の電気通信大臣に認可を仰がなければならぬという、少くとも研究所長あるいは研究所にございます事務長、こうした幹部がいろいろ考えた末に行ったことでありまして、下の方の個人が勝手にやったのではないのであります。
  51. 篠田弘作

    ○篠田委員 そうすると、この場合は個人的利益を受けている人がないわけですか。
  52. 秋草篤二

    ○秋草説明員 個人的な利益というようなものは、これを検査いたしました場合に、それによって利益を得たというようなものは全然ございません。
  53. 篠田弘作

    ○篠田委員 実は経費の紊乱の問題は、多分昭和二十六、七年ごろ、私が行政監察委員長をやっているときに、公共事業費の不正事件というものを調べたわけですが、そのとき私が感じましたことは、確かにこのやり方が悪かったり、考え方が悪いために不正事件が行われているというようなこともありますけれども、しかしそのうち何分の幾つかは、制度が悪いためにやられている。たとえば北海道の例を引きますと、予算が来るのは七月である。北海道の工事はもう雪解けから始めなければならないというようなことで、やむを得ず不正が行われるというようなことも発見したのでありますが、そのときには事業費の流用、法律上認めるとか、あるいは繰り越し制度を認めるというようなことで、今後そういう不正事件はないようにするという国会の決議があったわけでありますが、その後工事上の問題についてそういう処置がとられているかどうか、それを一つお聞きしたいと思う。
  54. 秋草篤二

    ○秋草説明員 篠田委員のおっしゃる通りでございまして、私ども工事そのものはなかなか特殊の工事でございますので、中にはその工事に必要な工事従業員をできるだけ能率的に働かせるために使った経費もあったのでございます。しかしながら一方規則とか会計事務手続というようなものもなかなか煩雑でございまして、こういうものがある程度災いの原因でもあった。ことに電電公社になりましてこの点は非常に企業的な会計組織に改めることもできましたし、また私ども工事実施要綱をあらためてつくりまして、そうした不正あるいは無理の金の使い方をするようなことをやめて、基本的なそうした工事に伴う必要な経費というものは、工事長とかあるいは工事に従事する従業員などに当然出せるような仕組みを考えて、最も工事が早く能率的にいかせるように改めて、現在では非常にこの制度のために工事屋が会計上の苦しみのために苦労するようなことはなくなっている次第でございます。
  55. 篠田弘作

    ○篠田委員 そうしますと会計年度は三月末ということになっているでしよう。その場合次の予算が組まれるまではどういうふうにして仕事をしているのですか。それとも前年度の余った金をそのまま四月以降も使えるようになっておるか、あるいはそうでないのか、それを一つ聞きたい。
  56. 秋草篤二

    ○秋草説明員 理論的に申しますと、四月一日から予算が成立しなければ工事がとまるというような、これは純理論でありますが、私ども工事はかなり繰り越しというものもございます。ことしなども相当成績よく工事がいっておりますが、それでも全国を通じて二、三十億の繰り越し工事というものがございますので、少くとも予算というものが、かりに四月一日までに実施計画というものが令達されなくても、その残工事分というものは相当行われる。それからもう一つ……
  57. 篠田弘作

    ○篠田委員 ちょっと待って下さい。あなた方のような事業である以上は仕事の繰り越しが残るということはもう常識的に考えられる。その場合にその仕事が残るということは前年度予算の中で残るのであるから、その金は四月以降も使われているのか。また使うことが許されておるのかどうかということが一つと、それから四月から始められなければならぬ工事、これは天候とか仕事の段取りの都合上早く始められなければいけないのに、実際の予算がおそく配られる、そういうような場合にはどうしているのか。その二つを聞きたい。
  58. 秋草篤二

    ○秋草説明員 前年度予算が使われるかどうかは、これは特別会計法時代でも使われておったのであります。電電公社になりましても公社法に基きましてこれは自由になっております。それから繰り越しではなくて、新年度予算は実際上どうなるかというと、これにつきましては実際問題といたしましては、一般会計でありますと支払い計画とか、支出負担行為定額ということがありまして、成立予算があって実施予算の令達をそれぞれやらなければならないが、私どもの方にはそういうものはございません。しかしながら国会で予算が成立するということは絶対の条件でございますが、私ども半面これを前提といたしまして、前年度にいろいろな工事設計、準備要求物品の買付の要求、そうした手配をしております。しかしこれを支出することは厳正にいえば四月一日もできないわけでありますが、そうした準備については十分な手配をしておりますから、それに先ほど申しました繰り越しもございまして、四月に非常に工事がとだえるということは現在ではないのであります。ただ気分的には多少年度末というものはピッチが上りまして、年度初めというものはまた多少普通の月よりもちょっと低調になるのが去年あたりの例でございます。
  59. 篠田弘作

    ○篠田委員 私の言いたいことは、実際の工事は四月から始めておる、しかるに予算というものが——実際にあなたのところは特別会計だから独立採算制になっておるでしょう、だからそういう場合は別としまして、実際の不正事件などというものの多くの中には、金が来ないために請負師に立てかえ払いをさせるとか、いろいろな問題も伴ってくるわけです。そういうことは、僕らの調べた中にはたくさんあるわけですが、そういうことはあなたの方にはないのですか。
  60. 秋草篤二

    ○秋草説明員 ございません。
  61. 篠田弘作

    ○篠田委員 そこでもう一つ、あなたの方は特別会計だからそういう場合がないけれども、官庁一般としてそういうことが非常に多いということで、会計検査院の方にお伺いしたいわけでありますが。実際問題として工事は四月なり五月の、たとえば雪解け時期に始めなければならぬ。予算は、実際は七月でなければ来ない。これは明らかに不合理がある。その間に別に個人的な利益をはかるという意味でなくて、仕事を一生懸命やる、間に合せるという意味で、流用とかあるいは先借りとか、いろいろな問題があると思うのだが、そういう問題についても、会計検査院は、これを不正として摘発、という言葉は少し強過ぎるかもしれないけれどもやられるのかどうか、それを一つお伺いしておきたい。
  62. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 今篠田委員お尋ねの点は、公共事業費で、主として建設省所管、農林省所管の工事が該当すると思いますが、私はその方の検査を直接所管いたしておりませんので、責任を持ってお答えをいたしかねますが、話を聞いておるところによりますと、数年前までは確かにそういう点がございまして、新年度になって予算が来ない、あるいは繰り越しがまだ承認にならない。そのために工事は去年中から継続しておりますが、これをやるわけにはいかないから、業者の立てかえ払いで工事をやっておる。そういう例が非常に多くありまして、検査院といたしましても、これはまずまっ先に繰り越しの手続の簡素化が必要ではないかということで、これは大蔵省の方にもよく話しまして、その点は会計法の改正によって繰り越しの手続は一般会計の方では非常に簡単となりました。従いまして今日においてはおそらく三月中に繰り越しの承認を得て、建設、農林省の工事におきましては繰り越し工事を行なっておると思います。ただ新年度工事におきますと、新年度予算が成立しませんとどうしても工事に着手し得ないことになりますので、その点は今でも、もしかしますと六月ごろになって予算が来て、初めて工事が始まるというようなことが行われておるのじゃないかと思います。しかしこの点は責任を持ってお答えをいたしかねます。
  63. 山中貞則

    ○山中委員 ちょっと関連して。今の問題ですが、公社でなく会計検査院の方にお尋ねしたいのは、繰り越しを法的に認められるようになったから現在はいいということですけれども、その中でそういう手続をして繰り越しを認めてもらう必要のない、すなわち見通しでは年度内に何とかできるはずだったのが、実際には事業として繰り越されたというのがあるのです。そのときにその工事代金というものは、年度内に大体形の上で支払いというものをするわけですが、それでそれが決算期になりましてから法的に条文上その支出がされた形になっておるが、現金は払われていないという現象がときどき起るのですよ。そういう場合の保管をあなた方の知っておられる範囲では、どういう形でだれが責任者になってどういうところに保管をしておるのか。その保管中にあいまいな形で保管をしておると、公金浮き貸しその他の事件も何かと起るわけです。そういう点についてお気づきであれば伺っておきたい。
  64. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 ただいまのお尋ねの点でありますが、これは二つに分けられると思います。一つは補助工事、府県などに補助をしてやるという工事、これは現在補助金が年度内に出まして、工事は期限にできたことに仮装して補助金を出してしまう、あるいは概算払いで補助金を出す、両方で補助金を出します。ことに県などにおきましては、これを県の出納長が歳入歳出外といたしまして一応保管いたしておりまして、工事の出来高に応じて支払うのが各県の実情ではないかと思います。それから直轄工事、つまり国が直接請け負ってやっております分は、——私は、先ほど申しましたように、建設省、農林省の工事を直接見ておりませんので申し上げかねますが、これもやはり出来高に応じて支払って、完成していなければ繰り越すというような方法でやっていると思います。
  65. 山中貞則

    ○山中委員 それは表面はそうなっておると思うのですが、実際には出先におきまして正式にそういう手続をするいとまというか、必要なしと見てやっていたところが、さっき言ったように事実上繰り越されたために、その間のすでに請け負った金額は実際には支払われないという現象が起るのですが、そういう問題は全然ないというお考えで検査しておられるか。  それから先ほどの補助事業等について、県の出納長が会計外の現金として預かっておる、こういうこともつい最近するようになったのですが、それとてもある県において例があったのですが、関係者が知事に立候補した際にその出納長預かりの金をもってその支出をしまして、知事選挙を行なったのです。その結果あとで騒ぎが起ったわけですけれども、そういうことも起り得るわけなんですが、国としては、今あなたのおっしゃったように、そういうことは大体ないというお考えの上で検査しておられるか、あるいはそういうことがあってはいかぬからという注意を払って検査しておられるかどうかお聞きをしたい。
  66. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 ただいまの点はもちろん注意しましてやっておると思います。ただはなはだ申しわけないのでありますが、府県に対する工事関係は第三局という方で所管しております。また明後日に建設省の所管のあれもありますから、そのときに一応責任ある局長からお答えした方がはっきりしていいと思います。
  67. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 建設工事の進捗の問題についてお尋ねいたします。二十七年度検査報告の四一八ページ以下であります。四一八ページ説明によりますと、二十七年度予算総額が四百十七億四千余万円、これに対して支出決定済みが三百十一億六千九百余万円、差額の百五億七千百余万円のうち百二億四千七百余万円を翌年に繰り越して、三億二千三百余万円が不用額となっている、こういうことであります。そこで伺いたいのは、この百二億の繰り越しというのは、建設予算総額の四百十七億円に比べまして非常に大きな率に上っておるのであります。さきに繰り越しは自由であるというような御説明がありましたけれども、どうも必ずしもそうでないように私は見るのでありますが、電電公社が予算を繰り越そうとするには、大蔵大臣のあらかじめの承認が必要でないかと思うのですが、そういう手続はしておるのですか、ないのですか。
  68. 秋草篤二

    ○秋草説明員 吉田委員の御質問に対して総裁からもちょっとごあいさつ申し上げますが、事務的でありますから、私からお答え申し上げます。  先ほど篠田委員の御質問に対して、私は繰り越しは自由だと申しましたけれども、これは幾ら繰り越しがあってもいいという意味ではありません。法律的にといいますか、予算的に自由である。従いまして今吉田委員の御質問の許可を得て繰り越さなければならないというものではなくて……。
  69. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 許可を得てなんてそんなことを聞いていません。あらかじめ大蔵大臣の承認を得るのじゃないかと言っておる。
  70. 秋草篤二

    ○秋草説明員 大蔵大臣の承認は得ますけれども、これは仕事をやりながら、たとえば十月、十一月ころこのくらい繰り越すからといって許可をもらってから繰り越すということは事実上できないのでございます。実際問題としてどういうことをやっているかといいますと、これは特別会計時代からでありますが、三月の末ごろになりまして、大蔵省の方に対しまして繰越額の承認を求めながら同時に工事をする。これを承認と言えば言えるのでございますけれども、一々工事をこのくらい繰り越すからといって承認をもらってから初めて繰り越すというのではないのでございます。これは事務的には非常にむずかしいところなんでございますが、実際問題としますと、特別会計以来三月の末から四月にかけてその承認を形式的に仰ぐ。そして承認を得ましてそれが繰越額として決定される、こういうようなやり方をとっておるのであります。
  71. 上林與市郎

    上林委員長 梶井総裁から発言の申し出がありますので、この際これを許します。梶井剛君。
  72. 梶井剛

    ○梶井説明員 二十六年度並びに二十七年度の決算報告につきまして、会計検査院から数々御指摘をいただきました。この御指摘に対しては、私どもはいずれも御指摘通りと考えております。従ってこれらの違法または弊害につきましては、今後絶対に起らないように十分な注意を公社の職員に喚起し、かつまたさようなことが起りました場合においても厳重な処置をして、今後を大いに戒めるというような方針をとっております。従って今後におきましては、かような御指摘を受けるようなことはできるだけ少くしたいという考えでおります。  なお、ただいまの吉田委員お尋ねは、二十七年度の建設工事繰り越しが百億以上に上っておる、それは全体の工事予算四百十七億に対して非常に大きな部分を占めておる、これはどういうわけかというお尋ねと考えますが、さようでありますか。
  73. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私のお伺いいたしたい点は、日本電電公社法五十四条の第一項によりますと、公社は支出予算繰り越しをしようとする場合にはあらかじめ郵政大臣の承認を得なければならないと規定されておりますが、そういう手続をいずれもしたのかどうか、こういう点であります。
  74. 梶井剛

    ○梶井説明員 そういう手続は必ずいたします。
  75. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今総裁は、必ずあらかじめいたしますという御答弁でありましたが、経理局長お話では、三、四月に形式的に承認を求めるというような御答弁でありましたが、これは実際にはどうしておられるのですか。この三項によりますと、会計検査院への通知の規定もありますので、検査院の方から、そういう事実をどういうふうにつかんでおるのか一応伺っておきたいと思います。
  76. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 ただいまの繰り越しの点でありますが、法令の規定によりまして、郵政大臣の承認を得た通知は会計検査院に参っております。これは日付はちょっと今記憶しておりませんが、四月ごろの日付になっております。しかし実質におきましては、三月中にそうした手続をとりまして日付がおくれてきておるというように私は了解しておる次第であります。
  77. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは前段には、「特に必要であるときは、」というような字句も使われてあるようであります。あえて法律の解釈にこだわる意味じゃございませんけれども、この繰り越し原因がいろいろと指摘されますので、特にこの点は伺っておきたいのであります。やはりこの繰り越しの承認を求めるというときには、こういう特別の必要があるというような理由も相当検討せられて承認を受けるというような手続が行われるのじゃないのですか。あるいはそうようなことは全然なしに単純に繰り越しの承認を求められるというようなことになっておるのでしょうか。その点を会計検査院と公社側と両方から御説明を聞いておきたいと思います。
  78. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 ただいまの吉田委員の御質問は、繰り越しの承認を要求する場合に、こういう理由でこの工事繰り越しをするというような理由をつけて一一承認を受けておるかというようなお尋ねと思いますが、公社の会計になりましてから、たしか工事費の支出残額は相当ゆるやかに繰り越し得るように法律の規定がなっておるとわれわれは解釈しております。従いまして、工事が完成しなければ、その工事相当額は支出残額を繰り越すことができるというように法律の文句はなっておったように記憶いたしておりますが、工事が完成しなければ、その工事相当額は、比較的ゆるやかに繰り越してもいいんじゃないか。その方がまた事実実際の事情に即するんじゃないかというふうにわれわれも解釈しまして、繰り越し原因の個々について、この工事はどういう意味で幾ら繰り越した、そこまでは実は糾明していない次第であります。むしろわれわれとしましては、繰り越しのないようになるべく早く工事を完成してもらいたいということを考えている次第であります。
  79. 秋草篤二

    ○秋草説明員 先ほどの私の御説明申し上げましたのは、大へん不徹底でございましたけれども、電電公社になりましては、財政法の適用が全面的にございませんので、五十四条の適用になって参ります。先ほど吉田委員は、郵政大臣の承認を必要とするとおっしゃいましたが、ここに五十四条を読ませていただきますと、「公社は、予算の実施上特に必要であるときは、支出予算経費金額のうち、当該事業年度内に支出を終らなかったものを、翌事業年度繰り越し使用することができる。但し、予算で指定する経費金額については、あらかじめ郵政大臣の承認を受けなければならない。」そこで、繰り越しというものは、原則的に、全面的にできるのである。しかしながら、特別に指定された経費につきましては、これは承認も必要である。私先ほど申しましたのは、二十七年度繰り越しの問題で、電通省時代のものもひっかかっておりましたので、特別会計と合せて御説明したので、多少不徹底でございましたが、ただいまのところでは、私どもの建設勘定、損益勘定につきましても、原則的に繰り越しというものは報告にとどまる。ただし、ここに申します特別に指定する経費、これは何であるかと申しますと、交際費だとかあるいは人件費、こういうようなもの、ことに人件費は給与総額でございますが、こういうふうなものをみだりに繰り越すということは非常にうまくないという考え方から、こういう条文の制定がございまして、これは事前に承認を得る。しかしその承認の得方は、やはり私は、先ほど申しましたように、三月の末ごろになってみないと実際問題としますと、幾ら繰り越すのか、決算が出てこないとちょっとわからないのであります。決算の見通しをつけながらその承認を仰ぐというような行き方をとっておるのでございます。
  80. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、今の御説明では、建設勘定の純工事費に該当するようなものは、あらかじめ繰り越しの承認を郵政大臣に求める必要はない、単に郵政大臣に報告するだけでよい、こういうふうにお聞きしてよいのですか。
  81. 秋草篤二

    ○秋草説明員 電電公社になってからはさようでございます。
  82. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私はこれは大へんな問題だと考えるのであります。一体繰り越し原因が、二十七年会計検査院報告の四二〇ページの(2)の説明によりますというと、ずいぶんとずさんな原因指摘せられておるのであります。ことに未完成工事繰り越し、または繰り越し工事となったもののうち、一工事三百万円以上のもの、その予算額六十三億余万円について、その原因といたしましては、本省及び本社の認証の遅延によるもの、あるいは関連工事の跛行によるもの、あるいは実施指令の遅延によるもの、こういったようなものがずいぶん指摘せられておるのであります。こういうようなことは、これは公社の経営の首脳部のなすべきことが適切にせられなかったことに原因したということです。こんなものもただ報告にとどまるだけでいいということであるならば、一体政府関係機関としての経理というものは、全然国の財政法の精神というものを無視してしまった、普通の会社経理にも劣るような放らつなことが許されるというようなふうにも考えられる。これは一体総裁としてどうお考えになりますか。今私の述べました原因が、やはりあなた方中枢の幹部のなすべき認証がせられなかった、怠っておる、おくれておる、あるいは工事の進行が跛行状態である、あるいは実施の指令がおくれておる、こういうような原因に基くものが最も大きい額になっておる。これは数十億円に達しておる。ことごとくこういうようなものが繰り越し工事原因——繰り越しだけではなく、未完成もありますけれども繰り越し工事ということになって、それも郵政大臣に対して報告だけでいいということであるならば、この経理というようなものは、全く恣意によって、みずからの怠慢などもたな上げにして行い得るというようにも考えられるのですが、どうお考えになりますか。
  83. 梶井剛

    ○梶井説明員 二十七年度におきまして繰り越し工事が非常に大きくなりましたことにつきましては、まことに遺憾に存じております。しかし二十七年度の八月一日に電通省から電電公社に変ったのであります。そうしてさらに国会の御要望によりまして、電電公社になった場合におきましては、直ちに従来の電通省時代の機構を改革しろという御意図でありまして、その機構改革を十一月に実行したのであります。かような大きな事柄が行われましたために、事実におきまして工事命令の発送がおくれたとか、あるいは物品の準備がおくれたとかいうような遺憾な事態が発生いたしまして、それで二十七年度における繰り越しはかくのごとく大になったのであります。しかしこれは決していいことではございません。従って二十八年度におきましては、すでに二十七年度の後半期から二十八年度の実行計画をあらかじめ予想して作りまして、そうして物品の準備並びに工事設計を十分にいたしまして、二十八年度におきましては、この二十七年度からの繰り越し百余億と、さらに二十八年度予算とを合計いたしまして約六百億に近い予算になったのでありますが、それをほとんど二十八年度中に完成いたしました。そうして三十億程度繰り越しを二十九年度にいたしたわけであります。従って二十七年度におきましては、公社としては非常な変革が行われましたためにかような遅滞をいたしたのでありますが、その遅滞は二十八年度において十分取り返すだけのわれわれは反省をしたのであります。
  84. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の聞きたかったのは、後日この事態がいろいろな努力によって改善せられるというようなこと、その御報告を求めているのではないのであります。財政法の拘束を受けない、公社法の五十四条によって非常に自由な繰り越しができるようになったというのが、われわれにおける大体の印象なんです。そこで何百億円というような繰り越しが監督大臣の郵政大臣にただ一片の報告で、それでよろしい。しかもその繰り越し原因が、どれだけがもとの電通省で、どれだけが公社のなしたことか、それははっきり区別はされておりませんけれども、いずれにしてもあなたの方の公社の責任で繰り越しの余儀なきに至っておるのであります。そういうものが郵政大臣へただ報告するだけで経理が許されているというようなことはおかしいじゃないか、もっとこれは何とか丁重な手続があってしかるべきものだと私は思いますので、それに対するあなたの御所見を聞いたのであります。その後繰り越しの額がずっと減っていろいろと改善されたということであればけっこうでありますけれども、それは別にいたしまして、やはりこれは財政法の趣旨などを全く没却したいき方ではこういうようなめちゃな経理も平然と看過されているということになるのではないかというような感じすら受けますので、あなたにここで聞いたのです。それに対するお考えを一つ伺っておきたい。
  85. 梶井剛

    ○梶井説明員 これはもちろん先ほど答弁いたしました通りに、繰り越しが多いということは、われわれが自由を得たからすべきものでは毛頭ありません。やはり年度内における工事はできるだけ年度内には完成して繰り越しを少くするということは事業性質からいいまして当然のことであります。でありますけれども、先ほど申しましたように、電通省から電電公社に移管され、またその機構を改革したというような種々の大きな問題が二十七年度中に行われましたために、工事の進捗に対する準備がおくれまして、かような繰り越しを生じたのでありまして、この点をわれわれははなはだ遺憾と思っておるのであります。さようなことでわれわれが、自分らの自由だからほしいままにしていいというような感じは毛頭持っておるわけではありません。
  86. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これはあなたの方にしましても、むしろ広い意味におきまして弾力的な財政経理のやり方が許されておるのでありますが、何といってもこれは政府関係機関でありますので、工事について繰り越しが自由にできるということをもっと制縛する方がいいんじゃないか。大体国の予算というものはその当該年度において作った予算年度に使うということで資金計画も立てられるのであります。またあなたの方へ一般会計の方からどれだけ金がいくのか存じませんけれども一般会計から金がいくとするならば、それは国民の税金なんでありますから、当該年度に必要な国家の資金が当該年度に国民のふところから出ていくというのが国家の財政計画の本筋であろうと私は思う。しからばやはり繰り越しとかあるいは不用とかいうものは努めてなくするということが根本の立て方でなければならぬと思うのであります。そこであなたの方の経理について—これは事業を束縛するという趣旨じゃないのです。むしろ逆に繰り越しについてはもっと制限を加えて、工事費の繰り越しなどは適当な方法で適当な機会に郵政大臣の承認を得るという原則を立てる方が経理の紊乱などをなくする一つの制度的な手段ではないか、こうも考えるのです。その点いかがでしょうか。一つ総裁と検査院の御所見を伺っておきたい。
  87. 梶井剛

    ○梶井説明員 本来電信電話事業というものはその性質から申しまして継続事業であるべき性質のものでございます。しかし現在の財政上から申しまして、継続事業が許されておらないものですから年々の予算になりますので、勢いどうしてもある程度繰り越しが出ることは避けられないのでございます。従ってわれわれはこの繰り越しに対しましては少くするように十分努力はしておりますけれども、しかし現在のような二十八年度、あるいは二十九年度から三十年度繰り越し程度であるならば、従来のような束縛があるために、無理な物品購入したりあるいは無理な資金の用途を講じたりするところの弊がかえって起らない、現状の方がよろしいと考えておるわけであります。
  88. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 ただいまの吉田委員の御意見でありますが、私は公社というものの本質も少し考えなければいかんと思います。繰り越しはやはりゆるやかにしておいた方が実際の経理がよくできるのではないかという考えをむしろ持っておるのであります。といいますのは、具体的の例を申しますと、二十八年度におきましては外部の制約ではなくて、電電公社内部におきましていろいろと意見もありますので、繰り越しはなるべく減らそうという方針をとられたわけでありますが、その結果先ほど総裁から御説明がありましたように繰り越しは非常に減った。ところが一面におきまして年度末におきまして材料費だけを決済して繰り越しをせずに済ました。あるいは年度末に契約をして前金払いをした、未完成工事で残っておるというのが二十七年度よりもふえました。われわれ検査院で考えましたのはそういうことまでして金を使って予算を消化してしまえというのではなくて、一日も早く工事が完成して電電公社本来の機能を発揮して、収入をあげるような方に持って行くべきではないか、そういう意味で繰り越しせずに工事を進めるべきじゃないかというような意図でやっておるのであります。あまり繰り越しを制限しますと、逆に仮想決算といいますか、繰り上げ決算といいますか、そうした弊害が生じて来るので、工事の実態に即した繰り越しは最小限度認めていった方がよいのじゃないか、これは公社内部の統制にまかしていった方がよいのじゃないかと私は考えておる次第であります。
  89. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その点くどくなるようでありますけれども、私どもはたとえば国の会計に見ましても、一般会計におきまして年間千二百億円も明許繰り越し、事故繰り越しなどが出ておるのでありまして、これは今日国民の経済の上から見ても財政の上から見ても遺憾と考えておるのであります。でありますので公社の財政というものがよほどしっかりと、こういう批難事項が少くなるというふうに立て直ってくれませんと、公社の財政経理が紊乱するということが手放しになって行きましたら——これはわれわれ決算委員会で鉄道会館を扱ったときに見ましたのですが、よほど注意をいたしませんと、これは国民経済に与えます影響はとても大きいと思うのであります。でありますので、やはりゆるやかにすることがよいという御意見も一応ごもっともだと思いますけれども繰り越しというものは原則としてしないのであります。これほど厳格に予算というものを考えてもらいたい。公社なるがゆえに公社は独立企業会計であっても、これは政府関係機関なんですから、繰り越しというものはなすべからざることを原則として会計は当年度独立の原則を守るというような建前になっておるし、その後改善されましたというのでありますから、私は多く追及をしませんけれども、ここにあげられました工事繰り越し未完成によりまして次に起って来ます各般の弊害というものは、検査院指摘しておられるところだけを見ましても、これはとんでもないことだというふうに思います。人間の遊休から物の浪費からあるいは物品の死蔵から、ことにここにはありませんけれども、二十八年度検査報告によりますと、例の九州の鳥栖の電話局の厖大な建物が遊んだままでがらんとなっておるということは公知の事実であります。でありますからよほど工事関係というのは繰り越しが生じないように、各般のお互いの連関なりあるいはお互いの局なりの有機的な関係が適切にこの機能を相互に発揮し合っていくということがよほどうまくできませんと、ああいう鳥栖の建物のようなばかげた状態が出現すると思うのです。これは繰り越し問題と根本において一面共通したものがあると思うのです。繰り越しが真にやむを得ざるものならばこれは別ですけれども、防衛庁あたりを例にとってもそうなんです。日本一浪費しておるのは防衛庁予算なんです。一番大きな繰り越し一般会計で防衛庁予算なんです。その防衛庁予算で何が一番大きな原因かというと、やはり工事なんです。ですからこの工事というものが繰り越しを来すことにつきましては内部的にずいぶんとずさんな原因があっちにもこっちにもあるのです。で私どもはやかましく言うのです、結局におきまして繰り越しなるものはしないという原則を守ってもらうくらいな心がまえでないと、私どもはこんな不正行為事件は跡を断たぬと見ております。総裁に一言それに対する答弁を願って、私は質疑を終ります。
  90. 梶井剛

    ○梶井説明員 ただいま吉田委員の御説の通り、われわれとしましては極力繰り越しを少くしたいという考えは持っております。ことにお話通りに内部の連絡あるいは統制そのものが十分でないために、そういうことによって繰り越しが多額に発生するということは、事業の上から見ましてもよろしくないことであり、また加入者の公衆の利便という点から申しましてもよろしくないことでありますから、やむを得ない繰り越し以外は極力繰り越しを少くするという措置を今後とも講じていきたいと思っております。
  91. 上林與市郎

    上林委員長 他に御質疑はございませんか。     —————————————
  92. 上林與市郎

    上林委員長 それでは次に労働省所管について審査を進めます。昭和二十六年度決算検査報告二七四ページより二七九ページに至る報告番号九二一ないし九五五、昭和二十七年度決算検査報告三三二ページより三三八ページに至る報告番号一六〇八ないし一六二八を一括議題とし、審査促進上、右のうち二十六年番度号九二一、二十七年度番号一六〇九、一六一〇、一六一七、一六二三について重点的に説明を求めます。上村説明員。
  93. 上村照昌

    ○上村会計検査院説明員 二十六年度検査報告から御説明いたします。九二一号でございますが、これは矢業対策事業費に対する補助金の精算の問題でございまして、一部は年度の区分を誤まって精算がなされておる。一部は実際の労力費の支出額以上の経費が加算されて精算書が出されておるという事態でございまして、これにつきましては検査院から注意した結果、その後全部返納になっておる次第であります。  次は昭和二十七年度の一六〇九号でございます。本件も失業対策事業に関するものでございまして、これは公共用地の整地ということで補助金が出されておりますが、実際は公共用地の性格を失ったものに出されているという事態でございます。本件失業対策をなされた用地は、元自作農創設特別措置法によりまして、国が旭興業株式会社から買収いたしましたものを釧路市が借り受けまして学校用地にするという、その整地工事に対して失業対策事業が行われたわけでございます。二十六年の六月に、北海道の農地委員会から、その買収計画の承認取消しという決定がなされまして、地区農地委員会にその旨が通知されておりまして、会社と市との間には、その事業が完成された暁には、一部を学校の用地に寄付するという取りきめができておったような次第でございまして、すでに公共用の整地事業としてはその性格を失っておったものでございまして、失業対策事業のもともとの公共用地の整地という事態とは事実にそぐわないようになっておる次第でありまして、これに支出されました補助金については返還の措置が講ぜられるべきが至当ではないかと考えているわけであります。なお二十六年度につきましても、二十六年の六月以降に出されたものは百余万円でございまして、この分についても同様なことが言えると考えるわけであります。  次は一六一〇号でございます。これは奈良県民生労働部におきまして、架空の支出が行われた事態であります。詳細は記載してある通りでございますが、この点に関しましては、会計検査院として予算執行職員等の責任に関する法律に照らしまして四万八千余円について弁償命令を発しまして、これに対しましてはすでに納付済みになっている状況でございます。  次に一六一七号の労災保険料及び一六二三号の失業保険料の徴収不足の問題でありますが、これはいずれも事態は大体同じような事態でございまして、検査院といたしましては、保険料徴収の基礎になります賃金総額が税務署に申告されております。賃金総額性質的には多少違うものでございますが、相当な隔たりがあるということで御調査を願いまして、ここに掲載してありますように徴収不足の事態が判明した次第でございます。以上でございます。
  94. 上林與市郎

    上林委員長 この際労働政務次官高瀬傳君より発言を求められておりますで、これを許します。
  95. 高瀬傳

    ○高瀬政府委員 一言委員各位にごあいさつを申し上げます。  私は今回労働政務次官に就任いたしました高瀬傳ですが、何分諸事ふなれなものでありまするから、今後ともよろしくお引き回しのほどをお願いいたします。
  96. 上林與市郎

    上林委員長 質疑の通告がありますのでこれを許します。吉田賢一君。
  97. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私は二十六年の失業保険料の徴収不足の問題、報告番号九三九から九五五、二十七年は報告番号一六一九から一六二八であります。これを一括いたしまして少し質問してみたいと思うのであります。自来社会保障的なこの種の事業は、やはり最も公平、最も経理を明確に行うということが望ましいのでございます。そこでこれら徴収不足になっておりまする各納付義務者の怠慢といいまするか、そういった事情はともかくといたしまして、まず基本的に労働省の当該局の方に伺ってみたいのであります。今の日本の国の大体の失業保険の趨勢でございますが、それを伺うゆえんは、最近の傾向といたしまして、昨年来地方的な状況を見ましても、また一般的な公表された報告書によりましても、失業激増の状況にございまするので、これらの原因がいずれにあるやは別といたしまして、また将来さらに漸増するかどうかということも、意見があることと存じますが、いずれにいたしましても、最も重大な社会問題化しつつあることはいなむことができぬのであります。でありますので、この保険事業なるものが、あらゆる角度から最も精密な検討をされて会計経理等にも過誤なきを期したいと思います。  そこで第一点は、最近の失業者の増加状況について、ごく簡単でよろしゅうございますから、数字一つお並べ願いたいこと。それから、このような徴収不足の事実は——これは全国の二十数万に上りまする適用事業所におけるごく少数の例をあげておるにすぎませんが、このような原因がどこにあるかどうか。それから失業保険特別会計におきまして、ここ一両年来——去年、ことしにかけてでいいと思いますが、収支の計算の損益はどういうような勘定になっておるのかどうか。政府支出は最終におきましてどれほどの—これは予算書を見ればわかるようなものでありますけれども、御説明願っておいていただきたいのですが、政府といたしまして支出いたしました総額はどういうような金額に結局はなるのかどうか。これらの点につきまして、三、四点まず一応伺っておきたい、こう思うのでございます。要点だけでよろしゅうございますから御説明願いたい。
  98. 江下孝

    ○江下説明員 お答えいたします。失業保険の最近の保険経済の状況、受給者の傾向でございますが、まず受給者の数の状況でございます。これは昨年来デフレ政策の影響を受けまして、相当利用者が増加いたしております。毎月の受給実人員は、二十八年度は平均にいたしまして三十六万八千でございます。二十九年に入りまして、四月に四十四万、ずっと以後四十万台を記録いたしております。本年の一月には五十六万という数字でございます。大体昨年に比較いたしまして、二十九年度におきましては三割から五割の増加を示しております。これによりまして、保険金の支給の高もふえまして、二十八年度平均毎月支出額は二十一億でございましたのが、二十九年度に入りまして、二十五億をずっと上回りまして、この一月には三十五億という金に相なっております。  収支のバランスでございますが、失業保険は御承知通り使用者、労働者がそれぞれ三分の一を負担し、政府が三分の一を負担するのでございます。民間から徴収いたしております保険料の額でございますが、これがごく最近の状況で申し上げますると、ことしの一月に二十二億ということに相なっております。そういたしますと、これに政府の負担が十一億、この半分加わっておるわけでございますので三十三億、現実に一月に出しましたのは三十五億でございますから、最近におきましてはやや赤字になっておるのでございます。しかしながら失業保険におきましては、過去におきまして相当ゆとりができております。現在までに徴収いたしました保険料の積み立てが約二百六十億ございます。従いまして、この程度の赤字は積立金をくずしまして、これに見合う政府負担を支出することによって、十分この措置ができるわけでございます。なお政府負担の総額でございますが、昭和二十九年度におきましては百二十億でございます。  第三番目の徴収額が足りない点でございますが、これにつきましては、実は二十六万の事業所からそれぞれ申告納付制度をとりまして保険料を徴収いたしております。現実に申告納付のございましたものに一々私の方でチェックいたしまして現地調査を実施するということが理想でございますけれども、諸般の事情からなかなか困難でございます。従ってある程度全部にわたって必ずしも精査ができないという関係で、こういう徴収不足を来たしたというふうに考えております。
  99. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この最近の赤字とおっしゃっておりまするのはどのくらいの金額になりまするかどうか。それから納付義務者の過小申告はあまりたくさんに上っておりませんので、実績といたしましては成績がいいのかもしれませんけれども、こういったことの絶滅を期するということにつきまして、何か地方的にそれぞれ精査する機関でも必要があるのではないだろうか。これは一つの思いつきにすぎませんけれども、存じませんので、一応伺ってみたいのであります。まずこの二点だけ伺っておきましょう。
  100. 江下孝

    ○江下説明員 赤字の額でございますが、二十九年度におきましては約十億程度の見込みでございます。それからこの徴収不足の問題でございますが、御指摘通り、これにつきましては特別な措置が必要だと存じております。各地方の府県に失業保険を専門に担当しまする課がありますが、その課に特に失業保険のそういう徴収関係を調べます監査官を、これは人数的に申しますとそう大ぜいではございませんが、設置いたしまして、その監査官が必要に応じ出向きまして、事業所等につきまして調べるという建前にいたしておりますが、十分の数もございませんので、なかなか完全に参らぬというのが実情でございます。今後ともこの監査官をさらに活用いたしまして、その点についてできるだけ遺漏のないように措置をいたしたいと考えております。
  101. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 農家の次三男につきまして、東北の地方から北海道あたりへ出かせぎに行く人が、早く帰ってきて保険金をとるとかいうようなことがよく伝えられますが、そういったようなことにつきまして、何かこの機会に伺っておくことがあれば御説明を願って、われわれ今後のこういった問題の検討の参考にしたいと思いますが、何かありましたらお聞きしたい。
  102. 江下孝

    ○江下説明員 失業保険制度におきましては、人に雇用されました期間が—これは五人以上の事業場でございますが、六ヶ月以上ありますと、離職いたしますと失業保険金をもらえるということに相なっておるのでございます。そこで主としてこれは東北地方、北陸地方が多いのでございますが、必ずしも農閑期とは限りませんので、季節的に北海道方面に出かせぎに行く人が相当あるのでございますが、その方方が毎年四月から十月ごろまで北海道で働きます。そうしますと、六ヶ月以上の雇用になりますので、国に帰りますと失業保険金がもらえる。これが毎年実は繰り返されておるということでございます。もう一つ困りますのは、季節的な事業でございますので、比較的賃金が高いのでございます。そこで失業保険は賃金の六割を支給するのでございますが、帰りまして国で失業保険金をもらいますと、その地方一般の賃金とあまり違わない、あるいは上回るという場合もままあるわけでございます。こういう点につきましては、根本的にはもちろんできるだけ失業対策の諸般の事業を起しまして失業させないようにいたすのが本旨だと考えております。それと合せまして、失業保険の面からいたしますと、こういうふうに毎年十万以上の者がきまって失業保険金をもらうというのも困りますので、この点について今後何らか規制と申しますか、季節労働者につきましての失業保険の規定を整備していく必要があるのじゃないかというふうに考えまして、現在鋭意研究をいたしておる次第でございます。
  103. 上林與市郎

    上林委員長 他に御質疑はありませんか——別に御質疑もないようですから、以上をもちまして本日予定いたしました郵政省電気通信省日本電信電話公社及び労働省関係についての質疑は一応終了いたします。次会は公報をもってお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時十四分散会