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足鹿委員 そのつどのものをお願いいたしますと同時に、ただいま私が例示しましたヴェルティラ地区第一次
移民等に対する
移民条件については、特に詳細に御提示を願いたいと思います。と申しますのは、私は鳥取でありますが、鳥取の海外協会の事務局長をいたしております大久保毅一君が、貨物船で行って貨物船で帰るという非常な強行軍をし、六ヵ月有余にわたって現地をつぶさに踏査して帰りました。まだ親しく情報はキャッチしておりませんが、それによりますと、この
移民条件と実際とが非常に食い違っておる。先ほど
石坂委員の質疑に対して、
園田政務次官はそういう点も御肯定になっておりましたが、特に最近なまなましい食い違いに基いて、悲劇が起きておる事例を地方紙に談話として発表して、その原因としては、
外務省というものは現地というものを全然知らぬ、現地に対するところの世話をやっておらぬ、こういうところに大きな欠陥があるのではないかということを言っておるのです。そういう点について、どういうふうに今後対策を立てる御所存であるか、それが私は一番大事な問題だろうと思うのです。
会社をお作りになろうと、その他のいろいろな
団体をお作りになろうと、とにかく
一つの条件を示したものが現地に行って食い違う、それに対して始末がつかぬ、結局泣き寝入りになって、
移民は、現地で倒れるか、あるいは引き揚げるかというようなことでは、
移民の所期の
成果、
目的というものは達成できないのではないか、こういうことが言い得られると思うのです。その
移民要綱をお示しいただいてからさらに私はいろいろとお尋ねを申し上げますが、特にこのヴェルティラ地区に入った
移民は、本年の一月十五日に入っておるわけなのです。その当時外務
農林両省に提示した条件というものは、ゴム採園に一カ
年間は雇われる、それ以後は
希望によって時日または契約の更新ができる、家族構成は満十五才以上五十才未満の働くことのできる三人以上あればよいなどの条件であった。ところが現地に着いてみたところが、四月中旬ごろから
日本人の解雇問題が起きて、リオデジャネイロの連邦
政府農務局からは、五月限りで未成年女子の雇用を禁止するとの発表があり、去る五月二十七日には
日本人の雇用は一人も認めない、直ちに開拓者として七月中に移動せよという通知があったので、同地区には六十家族が集団
移民しておるが、この立ちのき命令に全員が憤慨をしておるという、著しい事実との食い違いがある。ですからこういう問題に対しては、最終的には一体だれがその
責任を持って、だれがどういうふうに始末をつけるのか、
移民会社というものは、ただ単に現地に送り出すだけの
責任と任務を持ったもののようにわれわれには思えるのでありますが、それだけで私この
移民問題の解決がつかないと思う。そこに問題が伏在し、どうしても対策を立てなければならない点があるとは私は思うのであります。そういう点で、特に私
ども農林委員でありますから、外務委員の諸氏にお願いをしておきますが、今私が述べたような点、その他いろいろな幾多の事例が現地においてある。特に
日本人の婦人の発狂者が非常に多いということを現地で見てきて言っております。その原因はどこにあるかといえば、外人はみな夫人同伴でいろいろなところの会合等にも行くが、
日本人の場合、初期の開拓当時においてはそれもできない。また相当の
成果を上げてもそういう余裕もないというようなところから、何らの娯楽のない婦人が、結局においては一万数千名の入院患者のうち八百数十名の
日本婦人が発狂者であったという、悲惨な事例を数限りなく持っております。しかし私の見たところでは、この大久保君はそれらの問題を解決して、どこまでもこの
移民を完成していかなければならないという積極的な意図と建設的な気持にあふれて言っていると思う。ごく最近、先月二十五日に、現地を六ヵ月、ほとんど不眠不休の踏査旅行をやって帰ってきております。こういう人材を一ぺんお呼び出しになって、現地のなまなましい声をお聞きになり、しかる後、今後のいろいろな足らざるところを処置されることが適当ではなかろうかと思いますので、これは外務委員の諸氏なり外務
委員長において、しかるべくお取り計らい願いまして、私がただいま述べたような事例等々についてもよく真相を御調査願いたい、かように思う次第であります。