○
田原委員 私はこの
機会に次の三点について簡単にお尋ねをいたしたいと思います。第一点は、この新しい
会社の
業務について、第二点は、
貸付の問題について、第三点は、役員の問題について。
第一点の、
業務の問題の原案を見ますと、一、二、三と分れており、一として、
渡航費の
貸付、二は、現地における
事業資金の
貸付、三は、現地
事業の投資というふうに書いてあります。一面この
会社は株を
民間から
募集することになっておる。そうしますと、
民間からの応募者は、やはり
会社が採算がとれて、配当のあることを予想して応募するものと思わなければなりません。しかるに
業務の中の第一点、すなわち
渡航費の
貸付ということは、第二、第三の
事業資金の
貸付や投資とは性質が異なっておると思う。ということは、
渡航費を貸し付けるときは、神戸または横浜において、
国内で貸し付けるのでありますが、さて現地に渡航してしまいますと、
日本の二十二倍もあるといわれる
ブラジルであり、またその他の国でありますために、——これらにそれぞれ定着いたしました後において、一定の期間を置いて、それから年々回収するというのでありますが、実際にはどうしてこれを回収するかということ。これは実際はなかなか困難だと思うのであります。
そこでこれは
大蔵省なり
外務省なり、あるいは両方からでもいいが、戦前を回顧してみますと、戦争前の海外
移民に対しましては、旅費を補助しております。先祖代々の土地を売って、いまだ知らざる南米に行く者に対しましては、旅費だけは
政府が負担をしておったのであります。終戦後南米
移民が再開されますと、今度は
渡航費の
貸付ということになっておる。この戦前における
移民政策と戦後の
移民政策との間において、旅費の点については少しきびしくなっておると思う。このことは従ってこの
会社の
業務の面においても困難が起るのではないか。第二点の、
事業資金を貸し付ける場合、幾らかの利子を見る、そして借り受け者の
事業能力や回収可能限度等を調べて貸すと思う。第三の投資にいたしましても、これは投資でありますから、やはり利潤を見て貸すに違いないのでありますが、第一の
渡航費は、それとは全く性質が異なっておる。これは合せて三つやることに無理があるのではないか。
渡航費を貸し付けた場合、これが焦げついて回収不能となった場合においては、それは
会社の損になるのであるか、すなわち応募します株主の損になるのであるか、回収不能の場合には、これは
政府が負担をするものであるか、その点が、この設立の趣意書によると、明瞭になっておりません。実際どういう話し合いになったものでありますか、これを聞かしていただきたい。