○松本(七)
委員 この機会に
日本における軍国主義の復活についての
防衛庁長官の考え方を伺っておきたいと思います。と申しますのは、だいぶん前のことですが、オーストリアの国家条約が成立いたしましたときに、私は第十六条の問題で外務大臣に御
質問申し上げた。それはオーストリア国家条約の第十六条に、オーストリアはドイツ及び
日本で設計された
航空機を購入あるいは製造しない、こういう
規定があるわけです。これは非常に重要な問題で、一体どうしてオーストリアの国家条約の中に、このような重要な
規定を挿入しなければならなかったのか、それがどういう事情かおわかりであったならば
政府は
一つ御答弁願いたいといって、外務大臣にお伺いしたのですが、当時はまだ外務大臣は何らの情報もなくて、今初めて聞いた、そういう
規定のあることも初めて知った、こういうことであったわけです。従いまして、その後すみやかに、どういう事情でどういう経過でこういう
規定が挿入されたのか調べて御返事を願いたいということは、外務大臣にもお願いしてあるのでございますが、そのときに下田
条約局長の判断、予想からいたしますと、おそらくこれは旧枢軸の復活を非常に欧州で警戒したために、こういう
規定が設けられたものだと思う、こういう御返事が一応あったわけです。私もそういうことをおそれたればこそ、そういうことをまた御
質問したわけなのでございますが、おそらくそういうことの心配からでなければ、こういう
規定をわざわざ国家条約の中に入れることは考えられない。そこで私は
防衛庁長官にお伺いいたしたいと思いますのは、
日本の
防衛力の問題その他、
防衛庁長官は国際政治に相当御理解がございますから、私はこういう時代の
防衛庁長官としては最も適任だと思うのですが、憲法の改正の問題だとか、あるいは再軍備の問題だとか、あるいは国防
会議の問題、これは先ほどあなたの言われたように、狭い視野からじゃなしに、やはり総合的に広い視野から
日本の防衛というものは考えなければならない。そのことは防衛ということだけでなしに、
日本全体の今後の方向とかあるいは国際的な信用とか、そういう面にもやはり考慮を払いながら、具体的な問題を解決していくべきだと思うのです。そういう大切なときに当って、外国に枢軸の復活をおそれておるというような傾向があるということは、私は見のがすことができないと思います。枢軸という形は、昔のそのままの形はとらなくとも、軍国主義の典型的な現われが枢軸という形になって現われてきたわけでございますから、今後軍国主義が復活した場合に、必ずしも昔のドイツと結んだ枢軸という形をとるとは限らないと思う。私どもがおそれますのは、欧州では、
アメリカの最近の行き方についても、やはり軍国主義がだんだん頭を持ち上げてきておるのではないかということを、非常に憂慮されておる部面もあるわけであります。ちょうど
日本の昔の関東軍が政治にくちばしをいれたように、今の
アメリカの政治には相当軍部の力というものが反映しておるということは見のがせないと思います。そういうところから私は、
アメリカにも軍国主義の芽ばえが出てくる、同時に
日本にもこの独立の問題とからんで、相当軍国主義が復活する心配があるのではないかと思いますので、防衛の担当
長官であるところの
防衛庁長官に、この軍国主義復活について、
アメリカ軍国主義復活にはどういうふうな考えを持っておられ、また
日本における軍国主義の復活についてはどう考えられるか、このオーストリア国家条約についての関連で、この条約の
規定についてはどのように考えられるか、この三点をお伺いしておきたいと思います。