○中川(融)
政府委員 ただいま御
質問になりましたビルマとの賠償の進捗のおくれておるということの事情でございますが、これは
一言にして申せば、結局準備がまだできていないということでございます。これは必ずしも
日本側の準備のみではないのでありまして、先方の準備もあるのであります。その点を簡単に御
説明いたします。
この賠償が発効いたしますまず第一年度の賠償実施計画というものを、
双方が合意してつくることになっておるのであります。つまり賠償の具体的
内容をきめることになっておるのでありますが、その具体的
内容につきましての案が、まだ先方から出てきていないというのが、現在の
状況であります。これは先方もいろいろ国内に、こういうこともしたい、ああいうこともしたいという事業その他がたくさんあるので、その中の取捨選択ということに相当ひまどっておるようでございます。一方賠償を実施するに当りましての契約のやり方であるとか、その契約によって品物ができました際
日本政府がお金を支払うということがあるわけでありますが、その
日本政府が金を支払う際の方式こういう問題につきまして先方と協議をしてきめなければならないのでありますが、その点もまだ最終的にはきまっていません。つまり
形式、
実質の
双方がまだ先方と
交渉中ということでございます。
その
形式の点につきましての現状を御
説明いたしますが、今山本
委員から御指摘になりましたように、
日本側は支払いの際に
日本の
政府が直接
日本の業者に支払うというのを大体考えの骨子といたしております。これは賠償
協定それ自体に、
日本は現金によって払うのではなく、
日本の生産財、それから
日本人のサービス、この
二つのもので支払うということになっておりますので、それから来る一つの当然の帰結といたしまして、
日本側としては、支払いは直接
日本側がやる、向うに渡るものは品物とかサービスである、かように考えておるのでありますが、先方は、やはりある機関をきめまして、
日本の円を先方に渡してもらいたい。渡したものを先方が自分の考える銀行に預入いたしましてそこから直接支払うということを主張しておるのであります。従ってその限度におきましては、先方に
日本の円を渡す際に、必ずしも一年分を全部一度に渡してもらいたいということではなくして、あるいは四半期ごとに分けるという方法もあろうかと思いますが、
日本円で渡すということを向うは希望いたしておるのであります。そういたしますと、
国会の
承認を得た賠償
協定それ自体から、
実質的の段階におきまして若干
考え方が変って参りますので、
日本側としましては、できるだけその間に話し合いによって賠償
協定の規定そのものにそぐわないようなことのないようなやり方は何かないだろうかといろいろ苦慮いたしておるのでありますが、最終的なものができるまでの間の、いわばそれほど重くない意味での暫定取りきめというようなものでもつくったらどうかというようなことを提案いたしております。従ってビルマ側の実施計画ができますまでには、何とか賠償支払い契約の方式等につきましても話し合いを進めたい、かように考えております。なお賠償
協定が四月十六日に発効いたします前から、
日本側の業者とビルマ
政府との間にいろいろ契約ができておるものもあるのであります。それらのものの
内容を、ビルマ側の希望によっては賠償に切りかえるということも考えておるのでありまして、それらについては、今の具体的な根本的な方式等がきまらない、あるいは第一年度のビルマ側の賠償実施計画がきまらない間におきましても、これだけは別に取り上げまして、所要の変更を加えることによって賠償の中に加えるということも考えておりますが、そのことは先方にわが方の意向として伝えてあります。従ってその点についても目下打ち合せが行われておるのであります。結局賠償
協定発効以後まだ実施には至っておりませんので、具体的な事例はまだ起きていないのでありますが、これは結局
双方においての準備がまだ整っていないということから来ておるのでございます。