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下田政府委員 あらゆる誤解はこの点から来ると思うのであります。土地を買ってその土地を自分のものにされたら、その買った土地が、あたかも領土が向うに行くように世間で
考えられますから問題を非常に重要にとられるものと思うのであります。しかし
日本内地においてすら外国人土地法というものがありまして、そうした
条件で外国人に土地を売っているわけです。その外国人が
日本の内地の土地を買ったらその買った土地がすぐ外国の領土になるというものじゃないのです。土地を買えばむしろその外国人はそれの税を払わなければならなくなるというくらいのものであります。従いまして
アメリカが沖縄で統治権を行使する結果といたしまして、土地の売買、得喪等につきましてもこれはやはり法律で手続その他をきめなければならないという現実の必要があるわけでございます。でございますから、それを、いやおれはただ潜在主権を
日本に持たれておるから何もそういう権利がないのだとほったらかしていたら、これはかえって沖縄に現実に居住する者あるいは外国人その他が非常に困るわけであります。ある
期間どうしても施政の責任を持っておる者としては、そういう場合に直面して
関係者が困らないように土地その他の得喪の手続をきめるなり何なり、そういう立法をする義務があることは必要でございます。でございますから、実はこの問題の起りは、
アメリカが立法の手続をなかなかやらなかった。これは軍政下であるためにやむを得なかったのでありましょうが、立法の手続がスムーズに行われなかったところから公正な補償が払われないというような事態が起った。そうして沖縄人が非常に不満を持ち出した。そこで
アメリカ政府は、あわててそういうものをきちんときめましょうといって、いろいろな立法手続に乗り出してきたというのが現状なのであります。でございますから今までのぼったらかしからきちんときめるということにかかったのでありますから、むしろ
関係者としては、私は喜ぶべき現象だと思います。そうして土地売買の法律を作ったから、自分の領土でもないところで勝手に土地を売って、それを外国人の領土にしてしまうというようなこととは全然
関係が違うことに土地その他の得喪の手続の
関係を律するための立法をやっと今に至って取り出したというだけの問題にしかすぎないわけであります。