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田邊政府委員 お答え申し上げます。いわゆる
沖繩学徒隊の中の
戦没者の
処遇につきましては、
政府といたしましても、従来から、これを重視いたして、実は慎重に
研究を進めてきておる次第でございます。ただ、
何分にも
戦闘が非常に苛烈でありまして、
生存者が少かった、またその上に、
平和条約締結までの間、
占領下のわれわれといたしまして、
現地まで
調査の手を伸ばすことができなかったために、
昭和二十九年の四月までに提出されるものと予定しておりました
復員届出も、今年四月以降になりましてようやく逐次出てきておるという
状態でございますので、現在もなお
沖繩の
戦没者の
身分に関しましては
調査をしなければならないという実情でございます。こういうわけで、
沖繩の
戦没学徒の
身分の
取扱いに関しましては、御
意見のような点もございますので、実は慎重にやっている次第でございます。
申すまでもなく、元来、
国民に
軍人という
身分を与えますためには、
召集による
入営かまたは徴集による入隊という形によらなければならなかったことは御
承知の
通りでございます。
お話のありましたいわゆる
鉄血勤皇隊員としてあげられました中にも、
生存者を含めて約百名をこえる者が
現実に
入営いたしておりますが、これは満十九才に達しておりまして、つまり
入営適齢期に達しておりましたけれ
ども、まだ
学校に入っているために、
入営の
延期をいたしておったわけであります。それが
沖繩の
状態が切迫して
学校が閉鎖になりましたときに、
入営延期の取り消しをいたしまして、正式に
現役兵として
入営せしめたのでございます。その他の者につきましては、当時
現地においてどういう
形式、どういう
手続でやったかということを調べておりますが、まだ全貌がはっきりいたしませんので、私
どもこれを
研究いたしてみたいと思っておる次第でございます。何と申しましても、その当時個々の
学徒隊員をどういう
手続でその隊の編成をなさしめ、それを軍の
所属下に置いたかという
一つ一つの
手続を、まず明らかにする必要があると思うのでございます。
次に、
戦没当時、軍として二階
級特進の
取扱いをした満十七才
未満の者があったという
お話でございますが、私の方で
承知しておりますところでは、それはいずれも満十九才以上の
方々ばかりでございます。これらは正式に
召集または徴集された
方々のようでございまして、
お話のような十七才
未満の方で二階
級特進の
取扱いを受けた者は、今日までの
調査では私
ども承知しておらないのでございます。
次に、
お話の
通り、満十七才
未満で満十四才以上の者を
召集または徴集するためには、
陸軍特別志願兵令の
規定に従って、
志願によって第二
国民兵役に含むものとして
一般兵籍に編入して、その上で
召集または徴集するということは可能であり、またそういう
規定が存しておったわけでありますが、
現実にそういうふうにやっておったかどうかということは
調査を要する点でございますので、これも
関係方面において目下
調査を進めておるような次第でございます。
以上申し上げましたように、これらの
方々が
軍人という
身分を持っておったかどうかということは、事実でございますので、あくまでも、この事実について、所要の
手続をとってやったかどうかということを調べる必要があると思うのでございます。
お話にありましたように、
沖繩の
特殊性ということも十分
考えねばなりませんので、先ほど申し上げましたように、特に慎重な
取扱いをいたしておるわけでございまして、
目下研究中でございます。このために
現地にも
関係係官を派遣いたしまして
調査を進めさせておりますので、できるだけ早く
資料を固めまして
決定をするように取り運びたいと
考えておる次第でございます。
なお、この問題は、当時の
手続、
形式がどうであったかという問題と同時に、こういう
方々の部隊、つまり
学徒隊とか
鉄血勤皇隊の任務が何であったかということも重要な問題であろうと思います。いやしくも
軍人という
身分を持たない方に
生命を賭して戦うような
行為を命令するということは、
軍人に対してでなければ命令し得ないはずでございますので、そういう点が果してどうであったかということもあわせて
調査する必要があります。単に築城であるとか、
後方勤務であるとか、あるいは
弾薬運搬という程度のものでございますれば、
一般に例のあることでございますが、それ以上を越えて、
生命を賭して危険を冒し
戦闘行為をするようなことまでも、軍として要請し命令しておったかどうかという点も重要な点でございますので、こういう点もあわせて
調査をいたしたいと思います。
なお、この問題は、
沖繩だけの問題とも
考えられませんので、総合的に
検討をしてみなければならない。数は他の
方面においては少いかもしれませんが、波及するところは単に
沖繩だけにとどまらないとも
考えられますし、また一方、単に気の毒だから
軍人という
身分を与えるというルーズな
取扱いをするということは、われわれとしても戒めなければならぬ点でございますので、それやこれやを勘案いたしまして、最後的な
決定に至るように取り運びたい、こう
考えている次第でございますので、いましばらく御猶予を願いたいと思う次第でございます。