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1955-06-24 第22回国会 衆議院 運輸委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月二十四日(金曜日)     午前十一時一分開議  出席委員    委員長 原 健三郎君    理事 有田 喜一君 理事 今松 治郎君    理事 臼井 莊一君 理事 木村 俊夫君    理事 山本 友一君 理事 青野 武一君    理事 中居英太郎君       岡崎 英城君    上林山榮吉君       佐伯 宗義君    濱野 清吾君       堀内 一雄君    眞鍋 儀十君       關谷 勝利君    徳安 實藏君       永山 忠則君    井岡 大治君       栗原 俊夫君    下平 正一君       正木  清君    山口丈太郎君       池田 禎治君    竹谷源太郎君       小山  亮君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 三木 武夫君  出席政府委員         運輸政務次官  河野 金昇君         運輸事務官         (海運局長)  粟澤 一男君         運 輸 技 官         (船舶局長)  甘利 昂一君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      植田 純一君         運輸事務官         (航空局長)  荒木茂久二君  委員外出席者         運輸事務官         (航空局監理部         監督課長)   巻幡 静彦君         日本国有鉄道副         総裁      天坊 裕彦君         日本国有鉄道参         事         (総裁室法務課         長)      鵜沢 勝義君         参  考  人         (財団法人日本         航空協会会長) 郷古  潔君         参  考  人         (財団法人日本         航空協会常任理         事)      若松宗一郎君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 六月二十二日  委員畠山鶴吉辞任につき、その補欠として青  木正君が議長指名委員に選任された。 同 日  委員青木正辞任につき、その補欠として畠山  鶴吉君が議長指名委員に選任された。 同月二十三日  委員大西正道辞任につき、その補欠として岡  良一君が議長指名委員に選任された。 同月二十四日  委員永山忠則辞任につき、その補欠として伊  藤郷一君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 六月二十日  地方鉄道軌道整備法に基く予算措置に関する請  願(山口丈太郎紹介)(第二四〇六号)  大糸線全通促進に関する請願西村彰一君紹  介)(第二四七五号)  国鉄飯田線災害防止に関する請願中島巖君  紹介)(第二五一一号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本航空株式会社法の一部を改正す  る法律案内閣提出第九三号)  国鉄事故対策に関する件  造船計画に関する件     —————————————
  2. 原健三郎

    ○原委員長 ただいまより運輸委員会を開会いたします。  最初に国鉄事故対策等について調査を進めます。質疑の通告がありますので、これを許します。中居英太郎君。
  3. 中居英太郎

    中居委員 私は洞爺丸並びに紫雲丸遭難者遺族に対する国鉄弔慰金につきまして、国鉄当局に二、三お伺いをいたしたいと思います。  先般紫雲丸遭難者遺族との間に、弔慰金の額につきましての原則的な了解がついたと私は聞いておるのであります。この了解は私の聞くところによると、小学生は大体一人五十万円、中学生は五十五万円、女が六十万円、男が七十万円、こういう金額了解がついたと聞いておるのでありまして、この金額の多寡につきましてはともかくといたしまして、一応の共通点を見出されたということにつきましては、敬意を表したいと思うのであります。ただこれに関連いたしまして私がお伺いいたしたいことは、昨年秋の洞爺丸遭難者遺族に対しまして国鉄弔慰金支払いましたものは、おとなが大体平均五十万円と私は聞いておるのであります。同じ国鉄連絡船事故によって生じましたこれらの災害に対する弔慰金が、どうしてこのように差がつけられたのであるかということを、私は第一番に伺いたいと思います。
  4. 天坊裕彦

    天坊説明員 お答えいたします。先般の紫雲丸事故につきましては、その原因が非常にはっきりと国鉄の過失であるということが判明いたしておりますので、いろいろ鉄道事故等におきまして生じますところの他の国鉄責任事故というものとの振り合いを十分考えまして、ホフマン式計算というようなもので計算いたしまして、お一人お一人についてそれぞれの額をきめて支払いをいたしました。ただいまのところ大体九割近くまで解決いたしておるわけであります。ただその場合に学童が非常に数が多うございまして、この学童の方にはホフマン計算では必ずしも妥当な金額が出ていると言えませんので、これらの方に対して一つの型をこしらえまして、昨年の秋の洞爺丸等事故の場合のような、国鉄責任があるかどうかよくわからぬという場合において、とりあえずお見舞と申しますか、弔慰金といたしまして、責任の有無にかかわらず、一律におとなの方には五十万円、子供の方には三十万円、こういうお支払いをした事例等をあわせ考えまして、今度ははっきり国鉄責任事故でありますために、ただいまお話になりましたような遺族に対する一律の弔慰金を差し上げたわけでありますが、洞爺丸の問題につきましてはただいま申し上げましたように、有責問題がまだはっきりいたしておりません。その前に何かお見舞をしなければならぬという事情で、当時の閣議了解を得てああいうように額がきめられたものでございますから、一律にお見舞金を五十万円、三十万円というふうにして差し上げたわけでございます。
  5. 中居英太郎

    中居委員 ただいまの御答弁によりますと、洞爺丸の場合は有責か無責かいまだその判定ができないから、とにかく見舞金というような意味合いで五十万円を支給したのだ、一方紫雲丸は明らかに国鉄当局有責であるということが認定せられるから、賠償額も含めて支払いしたのだ、こういう答弁でございます。しかしながらこの洞爺丸の場合におきましても、有責であるか無責であるかということは、当時いろいろな機関で論議せられました論調から見ましても、にわかに即断ができないと思っておりました。紫雲丸国鉄有責であるということが非常にはっきりしておるようでありますが、洞爺丸とても完全に国鉄が無責であるという判定を立てることは、私はちょっと早計じゃないかと思うわけでありまして、これはただいま海難審判所におきましてその真相を調査中と伺っておりまするが、もしもこの海難審判所結審の結果、国鉄責任があるという判決が出た場合には、もちろん賠償金といいますか、弔慰金といいますか、紫雲丸並み金額を支払うのですか。
  6. 天坊裕彦

    天坊説明員 洞爺丸の場合に海難審判所で確定した答えが出まして、明らかに国鉄責任であるということになりますれば、やはり紫雲丸の例にならいまして、相当弔慰金を出さなければならぬというふうに考えております。その場合にすでに出しました五十万円、三十万円は、その賠償額内額ということをきめておるわけであります。
  7. 中居英太郎

    中居委員 さらにお伺いいたします。紫雲丸の場合におとなが大体八十万円、洞爺丸の場合には五十万円、ここに三十万円の開きがあるわけでありますが、紫雲丸の場合の八十万円は、八十万円のうちの何万円が賠償金相当し、何万円が弔慰金相当するか、その割合を伺いたい。
  8. 天坊裕彦

    天坊説明員 紫雲丸の場合に八十万円というお話がございましたが、これは先ほど申し上げましたようにお一人お一人のそれぞれの生活状態との他によって違っておりますから、八十万円という事例がどういうふうにお考えになったか存じませんが、最低の方はもっと下の方もあるというふうにしてございますので、その内訳の数字は一律に申し上げかねるということでございます。
  9. 中居英太郎

    中居委員 支払われた金額内訳、すなわち賠償金は何%、弔慰金が何%かということを私がお伺いしたいのは、支払われた金額遺産として取り扱われるかどうかということなのです。これに関連してくるわけであります。私の考えでは、弔慰金の場合には、常識といたしまして遺産ではないわけです。賠償金となるとこれは遺産となって、民法に基く遺産相続順位によってこれを分配しなければならぬ、また遺産相続税問題等も出てくるわけでありますから、これらの金額のうち何%が賠償金で、何%が弔慰金であるかということを国鉄は明らかにして支給しなければ、ここに大きな問題が出てくる。現に出ておるわけであります。こういう事情にありますから、私は重ねてこの点についての御答弁を願いたいと思うわけであります。
  10. 鵜沢勝義

    鵜沢説明員 お答え申し上げます。ただいまお尋ねの、今回支払いました賠償金の中の何割が本人の得べかりし利益で、その他が御遺族に対する弔慰金であるか、こういうお尋ねでございますけれども、私どもといたしましては、そういう内容は公けのところお尋ねがあればともかくといたしまして——公けと申しますのは、税務署等お尋ねがあればともかくといたしまして、一応すべてあれは御遺族に対する弔慰金だ、こういう考を持って、そういう答えを目下のところしております。
  11. 中居英太郎

    中居委員 そうすると、税務署には答弁できるが、国会には答弁できないということですか。
  12. 鵜沢勝義

    鵜沢説明員 いや、そういう意味じゃございません。税務署に対しては、すべて弔慰金としてお払いしております、こういう答えであります。
  13. 中居英太郎

    中居委員 それならばさらに伺いたいと思います。洞爺丸の場合ですが、弔慰金であるという認定ならば、遺産ではないと私は思います。ところ洞爺丸弔慰金支払い方法を見ますと、明らかに民法に基く遺産相続方法をとっております。私の知っておる人は、夫婦二人で子供がなかった家族でありますが、御主人遭難せられまして、これに対しまして八十万円の弔慰金が決定したのでありますが、この八十万円の弔慰金奥さん一人だけに交付せられないで、なくなられた御主人兄弟、すでに三十年も前にお嫁さんに行っている姉妹、あるいはすでに三十年も前に分家しておる弟さん、こういう方々にも民法に基く遺産相続の率によりまして、これが分配されております。こういう分配方法を見ますと、明らかに国鉄は、この弔慰金遺産であるという認定のもとに交付しておるのではないかということを私は感じたわけであります。この国鉄遺産であるという認定と、遺産であるという認定に基く分配方法ということが、実情に即さないものであるということを感じておるのでありまして、この点についてさらにお尋ねいたしたいと思います。
  14. 鵜沢勝義

    鵜沢説明員 お答え申し上げます。ただいまの八十万円というのは、私よく知らないのです。洞爺丸のときは、最高十八才以上の者は五十万円一律に出しておりますので、八十万円というのは、ちょっとわかりませんですけれども、その五十万円の内訳は、現段階では弔慰金としてお払い申し上げます、ただそれは将来国鉄有責になりました場合においては、損害賠償格好に相なることを御承知おき願います、こういう御趣旨でお渡し申し上げておるのでございまして、弔慰金といたしましても、民法七百十一条の条文によりますと、父母配偶者、子、こういう人はこの五十万円につきまして一律に請求権があるということに相なりますので、なおこれが将来国鉄有責の場合には、損害賠償の全部もしくは一部に相なる、こういうことに相なりますれば、私どもといたしましては、民法上の遺産相続権者すべての方方に御判をいただいて、そしてそれをいかようにお分けするか、いわゆる相続分がどういうふうになるかということは、私どもの方でかれこれ申し上げる性格のものではないので、一応共同でお受け取り願う、こういう格好でお渡ししておるのでございまして、私どもの方からどなたが幾ら、どなたが幾らという格好でお渡しした例はないのであります。
  15. 中居英太郎

    中居委員 ただいまあなたが御説明になりました民法の七百十一条によりますと、不法行為による災害についての請求権規定がございます。これによると、あなたが今言われましたように、親、子、こういう者は請求権があるということになっております。この請求権によって支払うべき金額であるということであるならば、私はこれは明らかに賠償金だと思っております。ところ先ほど国鉄答弁では、洞爺丸の場合には有責か無責かまだはっきりしないから、ただ何となく弔慰金見舞金というような形で五十万円を出した、こういうわけであります。金を出した趣旨というのは、見舞金という趣旨で出しております。ところ分配ということになると、法務課長が言われるように、明らかに損害賠償請求に基く賠償金としての取扱いをしておる。ここに実際に相反するところの結果が出ておるのではないか、こういうことを私は感じたわけでありまして、一体この洞爺丸のとき交付せられました金額は、弔慰金であるのか、賠償金であるのか、もう一ぺんはっきり私は伺いたいと思います。
  16. 鵜沢勝義

    鵜沢説明員 昨年の十月一日の閣議了解趣旨に基きまして、国有鉄道はお払い申し上げたのでございます。その閣議了解というのは、   今回の函館における汽船洞爺丸海難事故により遭難死亡せられた者の遺族に対して、日本国有鉄道は、諸般事情に鑑み、特に次の弔慰金を贈ることとする。   イ 遭難死亡者(十八年以上の者)五十万円   口 同(十八年未満の者)三十万円    本弔慰金については左記による。    記  (一) 幼児(六年未満のもの)については(ロ)の範囲内において措置する。  (二) 本弔慰金死亡が確認せられた場合に贈るものとする。  (三) 本件海難事故日本国有鉄道有責と確定した場合には、本弔慰金日本国有鉄道が支払う損害賠償金の全部又は一部に充当するものとする。  本件海難事故日本国有鉄道の無責と確定した場合には、本弔慰金以外の措置はとらないものとする。  (四) 労働者災害補償保険法防衛庁職員給与法又は国家公務員災害補償法により支払うべき業務災害補償右日本国有鉄道弔慰金の額を差引いた金額を一応支払うものとする。  (五) 外国人駐留軍軍人軍属を含む)に対しても本件措置によるものとする。  (六) 本弔慰金は課税の対象とはならないものとする。   (七) 遭難負傷者に対しても右に準じ適当な見舞金を贈るものとする。  こういう今読みました閣議了解に基きまして、国有鉄道はお払いしておりますので、それで要点といたしましては、本件の五十万円なり三十万円がどういう性格なのか、現段階におきましては弔慰金という性格でございます。これが国有鉄道有責ときまりました場合においては、それは損害賠償の全部または一部になる、こういうふうに閣議了解事項になっておりますので、国有鉄道はこの線に沿ってお払い申しております。
  17. 中居英太郎

    中居委員 今のあなたの説明ならよくわるのです。現在の段階におきましては、洞爺丸関係については交付した金は弔慰金である。従って遺産ではない。しかしこれは海難審判所結審の結果、有責であるということがはっきりすれば、賠償金の一部に充当せられる。そういう場合にはあるいは遺産に見られるかもしれない。このあなたの説明では私よく了解がつくわけですが、実際に金を交付する場合に、明らかに遺産としてあなた方が処理なさっておるのです。先ほども私は申し上げたのでありますが、奥さんが一人取り残されたという場合には、弔慰金である限り、この奥さんにその金額のすべてが交付せらるべきが当然だと思います。ところがなくなられた御主人兄弟、しかもすでに数十年前に分家なさっておる、他家にとついでおられるという方にも、国鉄指示と申しますか、そういうことで、その三分の一の金額が支給せられておるのです。これは明らかに国鉄賠償金とみなして、遺産とみなして、分配方法を講じたものであると私は考えられてしようがないのであります。あなたが先ほど言われました民法の七百十一条ですか、生命侵害に対する慰謝料、この項には、請求権を所有する者は被害者父母配偶者及び子供と限定せられております。すなわち簡単な言葉で申し上げますならば、生計を一にしておる者だけが請求権を持っておるわけであります。ところ生計を異にしている兄弟に対しましても、国鉄ではこの慰謝料分配を行なっております。これは明らかに民法遺産相続順位によって、子供がなかった場合には、その順位兄弟がくるというこの民法規定に従って、あなた方が分配しておるわけです。私がお伺いいたしたいのは、あなた方が答弁なさっておる慰謝料であるということと、実際に分配を講じましたその方法遺産であるということ、この矛盾を私はお伺いいたしておるのであります。
  18. 鵜沢勝義

    鵜沢説明員 今私どもが読みました閣議了解事項の(三)の中に、本件事故が将来国鉄有責となった場合においては、これは弔慰金から損害賠償の金に変るのだ。そういたしますと、私ども事務手続上といたしましては、将来のことも考えまして、一応民法上の遺産相続権利者及び民法七百十一条の権利者、こういう方々にこの御趣旨をよく御了解願いまして、そういう方々共同でお渡しする、こういう御趣旨でお渡ししておるのであります。私どもの方からだれが幾ら、だれが幾らというふうに渡した事例は私はないと思っております。
  19. 中居英太郎

    中居委員 それは役所としますれば、将来有責判決が出た場合を考慮してそういう分配を講じたということも、あなた方の立場になって考えれば考えられないこともないわけであります。しかしながら洞爺丸の場合には現在まだ審理中です。審理中である限りこれが遺産か、損害賠償金であるか、弔慰金であるかという認定がつかない。従って今日までの段階において支給せられた金額は、明らかに見舞金弔慰金であると私は考えております。もしも海難審判の結果が、万々一国鉄が無責であるという結審が出たらどうしますか。あなた方の事務的な都合遺産として分配した、こういう事態が現在起きておりますが、もしも海難審判の結果、国鉄が無責であるという結審が出た場合に、家族の方はどういう気持を抱かれますか。本来なれば生計をともにする家族が全額受領すべき金額を、あなたの方の都合遺産として民法相続条項に従った分配方法を講じておる。この矛盾をあなた方はどう解決なさるのですか。その補充は、無責であるという判決が出た場合にはあな方はどうなさいますか。
  20. 鵜沢勝義

    鵜沢説明員 この閣議了解事項の「諸般事情に鑑み、特に次の弔慰金を贈る」という、この贈る対象閣議了解事項では書いてはないのでございましてこの弔慰金をだれに贈るか、だれが請求権を持っておるか、こういうことは法律相当むずかしい問題で、今中居先生お尋ねになった生計をともにする家族に限る、こういう根拠法律上ないのでございまして、私どもといたしましては一応遺産相続権利を持っている方及び民法七百十一条の権利者、こういう人に御相談願って、そういう方々共同にお受け取り願う。当時といたしましては、これが私ども一番いい方法だと考えまして、それで御納得願った方につきましてはそういう方法でお渡ししております。ただ現在その方法について異議のある方が若干ございますが、こういう方については御納得を願うか、あるいは裁判所にかかっている例もございます。遺族間同士で自分がこの金をもらえる唯一の権利者だ、こういう訴訟になっておる方もございます。そういう方については、その訴訟の結末を待ってお払いしたいというふうに手続をとっております。
  21. 中居英太郎

    中居委員 それでは具体的に起った事例で御答弁願いたいと思います。これは先ほど申し上げましたように私の知り合いでありまして、私のところに話が参っておるのでありますが、御夫婦二人きりの家族であります。すでに三十五年前に分家をなさっておられます。子供さんがありません。御主人洞爺丸遭難でなくなられました。従って残された奥さんに対して弔慰金を支払うべきがほんとうだと思います。ところ国鉄では、なくなられた御主人兄弟——一人は九州、一人の方は北海道におられますが、北海道九州の御兄弟戸籍謄本まで取り寄せて、この二人の方々に三分の一の金額遺産相続条項に照らして分配しております。これは事実ですか。
  22. 鵜沢勝義

    鵜沢説明員 私どもの方でどなたに幾らということは、民法相続分内容は、第三者がなかなか判定することが困難で、しかもその金は共同相続だ、可分相続ではない、こういう有力な学説もありますので、私どもといたしましてはどなたに幾ら、こういうふうにお渡しした例は一つもございません。
  23. 中居英太郎

    中居委員 そうすると国鉄洞爺丸で交付せられた金額弔慰金なのですか。それとも賠償金として、遺産として扱われたのですか。天坊総裁はあくまでも見舞金であると言っております。見舞金であるならば何もそう考慮する必要はないでしょう。見舞金と言いながら、一方においては遺産相続としての分配方法を講じようとする気持があるから、そういう混乱を生じていると思うのでありますが、一体どちらなんですか。
  24. 鵜沢勝義

    鵜沢説明員 見舞金であるから、必ずその配偶者に渡さなければならないという法律上の根拠は、当時も現在においても私どもはそういう考えは持っておりません。
  25. 中居英太郎

    中居委員 それは法律には規定はないでしょう。しかし民法の七百十一条にはこう書いてあります。他人の生命を害したる者は被害者父母配偶者及び子供に対して損害賠償をしなければならないと書いてあります。明らかに生計をともにしておった者、あるいはなくなった者の収入によって生計が維持せられておった者、こういう人たちだけが生命侵害に対するところ慰謝料請求権があるわけです。従ってこの法律によりましても明らかに他家にとついでいるとか、あるいは数十年前に分家している者に対しましては、分配の額とか率というものはともかくといたしまして、支払うべきところ義務はない。少くとも弔慰金に関する限り義務はないと思っております。ところが額はともかくといたしまして、国鉄はある程度遺産というような意味合いを含めて分配しております。この点について御答弁を願います。
  26. 鵜沢勝義

    鵜沢説明員 先ほども何回も申し上げますように、国有鉄道がどなたに幾ら分配した例は一つもございません。
  27. 中居英太郎

    中居委員 あるから聞いているのです。
  28. 鵜沢勝義

    鵜沢説明員 ただ七百十一条の権利者もありましょうし、将来国有鉄道有責の場合は、遺産相続として御請求になる方も出るということも予想いたしまして、そういう方々もお集まりを願いまして、国有鉄道はこういう趣旨で五十万円、あるいは三十万円をお渡しいたしますから、皆さん共同でお受け取り願いたい、こういう趣旨で渡しております。またそういう趣旨受取証をいただいております。
  29. 中居英太郎

    中居委員 もしも国鉄が別々に分配しているという事実があった場合には、どうなさるのですか。
  30. 鵜沢勝義

    鵜沢説明員 私どもの今お払いしているところ方々には、そういう方の領収証一つもございません。
  31. 中居英太郎

    中居委員 領収証はないかもしれませんが、あなた方が関係者を集めて、この金の分配についてそういう指示を与えているのです。あったらどうしますか。
  32. 鵜沢勝義

    鵜沢説明員 よく調査いたします。今の段階において私どもはそういうものはないと思っております。
  33. 中居英太郎

    中居委員 もう一点お伺いいたします。紫雲丸の場合でも、洞爺丸の場合でもそうだと思いますが、五十万円にしろ、八十万円にしろ、これは人に伴うところ見舞金であり、賠償金であると思います。もしもこの二つの海難事件がそれぞれ有責であるという結審が出た場合には、物的損害についてはどうなさるおつもりなのですか。
  34. 鵜沢勝義

    鵜沢説明員 実損害をお払いいたします。
  35. 中居英太郎

    中居委員 それは国家賠償法に基いて、本人から賠償請求があった場合にですか。
  36. 鵜沢勝義

    鵜沢説明員 国家賠償法ではなく、私どもは運送契約上の当事者といたしまして、七百九条の不法行為をいたしましたということで、七百九条の義務を履行する考えでございます。
  37. 中居英太郎

    中居委員 私の質問の要点は、国鉄当局はそういう事態がないと言いますが、私はそういう事例を再三再四聞いておりますから、国鉄当局がもう少しその実情を御調査になってから、あらためて質問をいたしたいと思います。
  38. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 中居委員の質問に関連して。これは法務委員会等で質問すればいいのかもしれませんが、お尋ねいたします。そうすると、洞爺丸あるいは紫雲丸事件の遭難者遺族に対する損害賠償というものは、これを相続するという観念でお取扱いになっているのか、それとも民法不法行為規定に基く遺族の新たに発生した固有の権利として請求権があるのか、その見解によって今の中居君の質問の要点がはっきりしてくるのじゃないか。それを承わっておきます。
  39. 鵜沢勝義

    鵜沢説明員 今お尋ねがございました七百九条の権利がどういう格好に相なるか、これは学説、判例もございまして、やはりおなくなりになった方が、自己の生命の侵害をされた、こういうことに基きます損害賠償請求権、これをその被害者遺産相続人が受けるのだ、こういうふうに判例、学説が一致しておりますので、その線でやっております。
  40. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 不法行為に基いて生命を失った者の遺族が、損害賠償請求権遺族の間で分ける場合に、民法遺産相続規定に準じて分配をするという意味で、あなたは今の判例のことをおっしゃるのか、それとも本来このような慰謝料あるいは損害賠償金というものは遺産である。遭難者生命身体そのものを相続する、それが金に変ったという観念で遺産相続をしておるのか、どちらですか。
  41. 鵜沢勝義

    鵜沢説明員 言葉が私御説明段階において少し足らなかったように思いますけれども、私どもがお払いいたします今回の紫雲丸の場合におきましては、被害者がこうむりました損害及び先ほどから申し上げておる七百十一条の権利者がこうむりました精神上の苦痛及び物件損害、こういうものを合せまして私どもはお払いをいたした。従いましてそのうちで物件損害のようなものは、生前被害者に所有権がありますようなものは、その被害者遺産相続人がこれを民法規定に従いまして相続する、こういう格好に相なります。それから七百九条に基きます被害者がこうむりました——これは学説、判例がございますけれども、一応自己の生命を害されたということに基く損害、これもやはり民法規定に従いまするところ相続人が相続する。あと残りました七百十一条の父母、子、配偶者、これは遺産相続に関係なく、各人が自己の持っておる請求権を行使する、こういう考え方でございます。
  42. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 そうしますと五十万なり八十万なりの弔慰金もしくは損害賠償金というものは、その内容において遺産相続に属するものもある、またその一部は遺族としての当然の請求権に基く七百十一条による損害賠償金もあるというふうに、この二つに分けられることになるのですか。
  43. 鵜沢勝義

    鵜沢説明員 理論的にはそういうふうに分けることが可能であると思います。
  44. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 そうしますと今中居君のおっしゃったように一方だけを取り扱って、他の本来の請求権に基く遺族としての権利は無視されてくるという結論になりはしませんか。
  45. 鵜沢勝義

    鵜沢説明員 従いまして私どもといたしましては、そういう権利者にお集まり願いまして、本件の配分趣旨はこういう趣旨である、こういうことで共同にお受け取り願ったわけであります。
  46. 山本友一

    ○山本(友)委員 ちょっと関連して。運輸大臣にお伺いしてみたいのですが、洞爺丸紫雲丸事件等につきましては、これはもうたっとい人命の損害はもとより返すべくもありませんが、私が想像してみますに、国鉄が赤字の財政下においてこういう損害をかもし出した結果は、ずいぶん痛手であろうと思います。これをまた世間的に見まする場合には一体あの損害は、百五十八名のたっとい犠牲者もあったが、どれくらいの損害であろうかということを一応世間では思っておる。ことにまた各従業員の弛緩状態等から私えましても、事故のおそろしさを確認さす意味におきましても、その総金額を一ぺん発表してもらうことが、事故防止に非常な効用をなすものではないか、こういう見方をしておるわけですが、一体これは何ぼになりますか。ちょっとしろうとが考えましても、弔慰金でもまず一億円は要るだろうと考えておりますが、現在紫雲丸は引き上げ作業中でございます。あれをまた客船として使う気か。使う気といたしますれば、改造をし、またあの用途に使うということになりますると、ここに相当改造費などが要る。少くともこの費用が一体この事故によっていかなる金額を示しておるかということによって、物心両面から事故のおそろしさを世間も従業員も確認し合って、一つの緊張の示唆にしてもらいたい。かように考えておるのでありまして、その額を一応公表願いたいと思います。
  47. 三木武夫

    ○三木国務大臣 総額は紫雲丸事件で四億円になっております。その内訳は船の修理が一億五千万円、賠償が一億円、死体捜査費が六千万円、雑費が九千万円、合計四億ということになっております。
  48. 山本友一

    ○山本(友)委員 あの船はまた原形に復しまして、あの用途にお使いになる計画ですか。
  49. 天坊裕彦

    天坊説明員 あの船の引き上げ作業は順調にはかどっておりますが、引き上げました暁におきましては、やはり連絡船として使いたいと考えております。ただ貨物船用にいたしますか、客船を兼ねたものにいたしますか、それはもう少し考えてきめたいと思っております。     —————————————
  50. 原健三郎

    ○原委員長 次いで海運、特に造船計画について調査を進めます。質疑の通告がありますのでこれを許します。池田禎治君。
  51. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 数日前の新聞を見ますと、外資委員会で丸善石油の申請によるところの大型タンカーの建造について、外資の輸入を三百万ドル申請をして、これが許可になったということが報ぜられておるのであります。さらにまたこれは自己資本を外資によるところの大型タンカーの建造を運輸当局に申請をしておる、こういうふうに報じられておるのでありますが、これは運輸省におきましてはどういうふうにお聞きになっておるのでありましょうか。その点をお伺いしたいと思います。
  52. 三木武夫

    ○三木国務大臣 外資委員会でその外資の輸入が許可されたことは事実でありますが、建造許可の申請は今のところまだ運輸省に出されておりません。
  53. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 それはどうですか。大臣のおっしゃるのは、公式に申請をしておらないというのでありますか、それとも公式であろうが、非公式であろうが、そういうようなものになっておらないというのでありましょうか、どうでしょうか。
  54. 三木武夫

    ○三木国務大臣 これは外資委員会に当然に運輸省の意見を申さなければなりませんから、運輸省に対してそういう建造をしたいという希望の申し出があるのでありますが、書類としてこれは正式の建造の許可申請を出さなければならぬわけでございますから、そういう公式の書類は外資委員会が認可になりまして、それからいろいろ法律規定に従って、次の段階として建造の許可書を出すことになるわけでございます。
  55. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 大臣の今のお話でありますと、こういうことまで申すことは立ち入ったことになるかもしれませんが、私どもの聞いている範囲では、あに丸善石油のみならず、東京タンカー、東亜燃料、出光興産が相次いで、自己資本並びに外資によるところの大型油送船の建造に乗り出して、運輸当局に対してそういうような計画と申しますか、内意を私し述べておるというようにも聞いておりますが、そういう点はいかがでしょう。
  56. 三木武夫

    ○三木国務大臣 それは丸善以外は私は聞いておりません。
  57. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 そこでこの際お尋ねいたしますが、私はこまかい点はいずれ事務当局に聞こうと思います。ただ項目的な問題については大臣にお尋ねしたいのです。今のタンカー業界と申しますか、油送船というものを、日本の船舶需給の状態から申しまして、どういうふうにお考えになっておるだろうか。たとえば大まかに申しましたら非常に不足しておるとか、あるいは多いとか、こういうようなお考え方はいかがでございましょうか。
  58. 三木武夫

    ○三木国務大臣 タンカーの需給状態でございますが、これは不足をしておることは申すまでもないのであります。計画造船の中においても、財政資金で今年は五万四千トンくらいのタンカーを作ろうというわけでございます。大体政府の考えといたしましては、昭和三十五年度までになお三十万総トンのタンカーを作りたい。それで大体油類の輸入の七〇%は日本船によりたい。こういうことが大づかみに申しまして政府の今度のタンカーの造船計画でございます。
  59. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 これは言うまでもありませんが、先般大協石油の大型タンカー建造をお許しになって、今相次いでまた丸善石油がこういう申請をする。これは外資委員会でありますが、外資委員会で許可された以上は、当然運輸当局に対しまして建造の申請をするということは、むろん言うまでもないことと思います。こういう状態につきまして政府が——これは自由党内閣のときからもそうです。現内閣もまたこの方針を踏襲なさっておるのだが、いわゆる計画造船ということとどういうふうにマッチさせていこうとお考えになっておるのでありますか、いかがですか。
  60. 三木武夫

    ○三木国務大臣 この問題は一つの海運政策の問題と臨時船舶建造調整法、法制的な面と二つあろうと思うのであります。法制的な面については御承知のように運輸大臣が建造の許可申請の場合に対して、許可判断の基準が昭和二十八年十二月二日運輸省告示第四百三十二号ということで基準が示されておる。この臨時船舶建造調整法の法律規定に従って、この基準を尊重して、これを決定しなければならぬ規定になっておるのであります。その基準は、「一 当該船舶の建造によって、わが国商船隊の質的低下をもたらすおそれのないこと。二 当該船舶の建造が、それを配船しようとする航海区域又は航路における船腹の需給状況からみて著しく過剰となるおそれのないこと。三 当該船舶の種類、船型、構造及び性能が、それを配船しようとする航路及びその輸送需要の性質に適応していること。四当該船舶の建造によって、わが国商船隊の公正なる海外活動に著しく不利な影響を与えるおそれのないこと。」これが運輸大臣がその許可申請になった場合に自由裁量の余地を与えずして、こういう判断の基準で、法律規定によってこういう告示が出ておるわけであります。従って現在の法制の建前から申しまして建造の許可申請があった場合に、法制的にこれを拒否するという根拠は、ほとんどこの条項に適応せざる限り、これはなかなか困難な法制上の建前になっておるのです。この法律が不備であるという問題はまた別の問題として、現行の法制上ではこうなっておる。これが法制上の立場でありますが、一方海運政策の見地、観点から見ますると、一つには船が足らぬということは事実であります。そのために財政資金を投じてまで船を作っておる。これは変態的なことであります。できれば自己資本でやるべきであるけれども、そういうことでは急速な外航船舶の拡充ができないために、財政資金で計画造船をやっておる。従ってそれが過剰になれば別のことでありますが、現在の状態は船がほしい、船を拡充したいという海運政策上の要請でもあるわけであります。  もう一つは、こういうことで次々に荷主が船を作る、そういうことがタンカー業界に影響を与えるのではないか、この点は非常に考えなければならぬ点の一つでありますが、しかしながら次々にこういう傾向が出て参りましたときには、これはやはり法制的な処置も検討をしなければならぬわけでございまして、従来においても第六次造船で出光、第八次造船で大協、また先般は外資導入で大協が一隻建造した、こういう程度でございましたならば、これが海運界に対して非常な悪影響という判断にもならないのではないか、多少の意見はございましょうけれども、しかも今度外資委員会に対して外資の導入を申請した丸善石油の場合には、でき上った船は自分で運営をしないで海運会社に運営をさせる、タンカー業者に運営をさせる。しかも現在丸善石油は輸入量の六〇%を日本船で運び、四〇%を外国船で運んでいる。だからもしこの船を作るとするならば、外国船で運んでおるこの油をこれに置きかいて外貨の節約に資する、こういうつとの条件をつけて申請をしておる。こういうことを考えてみますと、現在そういう形でタンカーを作るということが、海運政策の上において特に——そういうこと実行されるならば不都合はないのではないか、こういうことが運輸省の見解でございます。
  61. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 これは話がちょっと飛びますけれども、私の聞いているところによりますと、国際的にはタンカーは過剰になっておる、ただ今日小型タンカーではどうにも採算が合わぬ、コストが高くなる、そこでいわゆるスーパーによる大型船の時代が来た、大型に切りかえるという趨勢が世界の状態である、こういうことは認められるが、船そのものから申しますならば、油送船は国際的に過剰の時代が来ておる、こういうように聞いておりますが、当局としてはそれはお認めになりましょうか、どうでしょうか。
  62. 甘利昂一

    ○甘利政府委員 一般的に見まして、油送船はその建造状況から見まして、まだやはり依然として強い建造意欲を示しておりますので、そういう点から見ますと、タンカーは一般に不足している、こういうふうに考えられます。これは私が考えるだけでなくて、世界の専門家もそういうように言っておりますし、現に建造量の面においてもそういう点を示しております。この理由といたしましては、石油資源の開発がだんだん発達してくるということと同時に、その資源地と消費地との距離が非常に遠くなってくるというようなことから、船腹の需要があるということが一つ、それから今の世界のタンカー・フレートの中で、戦時中あるいは戦前に作られた老朽船あるいは戦標船等が非常に大きな率を占めており、これらはすでにある程度代替の時期に来ておるというふうな二つの理由から、タンカーの建造意欲が強いのである、こういうようにいわれておりますし、私たちもそういうように考えております。
  63. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 運輸大臣に、ないし事務当局でもけっこうですが、大臣もさっき丸善石油の大型タンカーについては、正式にではないが、外資委員会の許可を受けるについても、非公式にはそういう話を聞いていると言われた。この新聞にも報じておりますが、丸善石油が自己資本による油送船の建造に乗り出したということは、非常に業界を刺激して、先ほど申しました東京タンカー、東亜燃料、出光興産が相次いで建造の計画を現に行なっておるといういとを私は聞いております。公式、非公式の話は別といたしましても、そういうことは全然お聞きになっておりませんでしょうか、どうでしょうか。
  64. 粟澤一男

    粟澤政府委員 ただいまお話のありました全部につきましては、私どもまだ聞いておりません。そのうちで一部はそういう話も聞いたことはございます。
  65. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 先ほど大臣は、業者の自己資本によるところの建造も需給調整等を見れば、必ずしも全部が全部というわけにもいかぬというようなお話がありましたが、今局長の答弁では、全部とはいわないが聞いている面もあるということであります。その中で出光興産は、先ほど大臣も申しましたが第六次計画造船、大協石油は八次計画造船の中に加わっておるのであります。そうしてこれは国家融資を受けておることは言うまでもありません。こういう点からながめますと、計画造船でもらえるときにはもらう、しかしその計画造船ないし国家融資というものの中には一つの制限なりワクがあるから、それに加わることのできないときには自己資本と外国資本の合弁によるところの自己船舶の建造をやる、これは少し虫のいい話ではなかろうか。こういう点は先ほど大臣は、わが国の海運政策と相待った調整を行わなければならないと申されておりまするが、そういう点はあなた方はどういうふうにお考えになるでしょうか。
  66. 三木武夫

    ○三木国務大臣 これは私個人の考えですが荷主が計画造船の中に割り込んでタンカーを作るということは、どうも賛成しがたいという意見を持っております。タンカー業者が、計画造船でおやりになるということならば、これは当然そうなんですが、荷主が計画造船の中に——ただでさえ財政資金が少くて困っておるわけですから、もう少し本年の造船資金もふやそうとして努力したけれども、最初考えておったよりもだいぶ少くなった、そういうところへ荷主が割り込んで計画造船の割当を受けるということは、どうも私個人としては賛成しがたい意見でございます。もし考慮する余地があるとしたら、自己資本の場合に限る、計画造船の中に荷主、石油業者が割り込んでいくということは、私個人ではいかがかという意見でございます。
  67. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 大臣は先ほど、現行法規としての臨時船舶建造調整法によって、申請のあったものについて、これを不許可にするということはなかなかできないというようなことを申されましたが、また逆なことから申せば、こういう論法をしておるものもあります。先ほど大臣はその項目につきまして申されましたけれども、当該船舶を建造する造船業者が、その船舶の建造に必要な技術及び設備を有すること、前項の一にある基準の適用は、その判断の基礎をなす事項につき、運輸大臣が海運造船合理化審議会に諮り、その意見を尊重して決定し、これに従ってしなければならない、さらにその許可判断の基礎となるべき事項としては、「当該船舶の建造によって、わが国商船隊の質的低下をもたらすおそれのないこと。」「当該船舶の建造が、それを配船しようとする航海区域又は航路における船腹の需給状況からみて著しく過剰となるおそれのないこと。」「当該船舶の種類、船型、構造及び性能が、それを配船しようとする航路及びその輸送需要の性質に適応していること。」「当該船舶の建造によって、わが国商船隊の公正なる海外活動に著しく不利な影響を与えるおそれのないこと。」、こういう現行法規を見ても、これは一貫してわが国の海運保護政策に源を発しておることは言うまでもないと思う。そうして計画造船というものは、この法規の精神として、背骨となっておる。そしてその結果が臨時船舶建造調整法が手足となってやっておる、そうであるとするならば、この法の精神からいくならば運輸大臣なり運輸省の、その監督官庁たるものがこのわが国の海運政策の根本から見て、これが適当か不適当かというところの決定権は、この調整法をもってしても発動し得る、こういう見解を持っておるものもありますが、この点はあくまでもこの法によってはこの許可不許可の方式というものは、不許可ということはできないという考え方に立っておるのでありましょうか、どうでしょうか。
  68. 三木武夫

    ○三木国務大臣 これはやはり将来こういう問題が次々に起ってくれば、告示ですか、今お読み上げになったことも検討する必要が起ってくると思うのです。今の判断の基礎となる条項に、これは追加をしなければならぬような条項も起ってくる。しかしこれは現在の判断の基礎に立って考え義務を運輸大臣は持っておるのでありますから、あまり逸脱して自由な判断ということもできない建前になっておるわけであります。しかし全体としてやはり建造の許可のときに大きな海運政策上の見地、これも当然考慮すべきでありますが、調整法の建前というものは、国会の審議等の模様もお聞きしたのですけれども、あまり役所がこういうものに対して関与するということはよくないということで、むしろ国会の審議の過程等においては、運輸大臣に対してあまり自由裁量と申しますか、そういうようなことで不当に行政権が関与するような場合を抑制するという考え方も、この中にはあったのだというような話も聞いております。
  69. 正木清

    ○正木委員 関連して運輸大臣に一言だけお聞きしておきたいと思いますが、池田君の質問に対するあなたの答弁を承わっておりますと、大臣としてのただいまの考え方は、丸善石油が外国資本を含めた合弁による資本によって、タンカーの建造申請があれば許可する方針である、こういうように解釈してよろしゅうございましょうか。この点明確に御答弁を願いたい。
  70. 三木武夫

    ○三木国務大臣 これは現在のいろいろな角度から池田君の質問にお答えいたしましたように、現在の海運政策上の見地あるいは法制上の建前からすれば、これは許可の方針で、しかしいろいろな点も検討しなければならぬ、そういう考え方のもとで検討を加えてみたい、申請書が出ればいろいろな方面の意見を徴して検討を加えたい、こう考えております。
  71. 小山亮

    ○小山(亮)委員 関連して。ちょっと大臣に今の御答弁中の不審に思ったことを伺うのですが、あなたの御答弁の中で、荷物を持っている荷主が自分の荷物を輸送するのに自分の会社に船を作る、これを計画造船の中に繰り入れて、政府がこれに対して融資のあっせんをしたり、あるいは開銀から金を借りるということは大臣は反対である。こういうようなお話がございましたが、そうですか。
  72. 三木武夫

    ○三木国務大臣 私は石油業者がそういう自分のタンカーを計画造船の中に——たださえ少くて今後タンカー業者の船腹は拡充していかなければならぬわけであります。そうしないとタンカー業者の企業の安定をはかっていくためにも、タンカー業者の船腹は拡充する必要があるわけですから、石油業者のいわゆる荷主が計画造船の中に割り込んで船を確保するということは、いかがかという感じを私ども持っておる。しかしこれは造船合理化審議会等で船主の選考の場合に御審議を願う建前になっておりますから、私の個人の意見だということを申し上げたのでございます。
  73. 小山亮

    ○小山(亮)委員 今ここで同僚委員が質問しておりますことは、運輸大臣としての御答弁を願っておるのでありまして、三木武夫君個人の意見を、漫談を伺うのではない。でありますから、今の御答弁というものはきわめて重大でありますから、もしも運輸省の方針がそうであるというならば、自分の荷物を運ぶのに石油会社だけがどうもふしぎだという考えをお持ちになるのはおかしいでしょう。今船が足りないのは全面的に足りないのですから、そうしますと船舶は多々ますます建造しなければならぬときに、石油業者が計画造船の中に割り込んできて船を作るのはどうも自分としてはおかしいというなら、それなら石炭を持っておるものが、あるいは材木を持っておるところのものが、あるいはセメントを持っておるところのものが自己資本で、あるいは製鉄でもそうです。自分のところだけの荷物を運ぶ船を計画造船の中に割り込んできた場合にも、やはり同じようなあなたの御意見でなければならぬと思う。石油業者だけがおかしいという、石油業者だけは自己資本で作ってもらわなければならぬ、こういうふうにとれるのは実におかしい。この点をはっきりしてもらいたい。石油業者であろうがなかろうが、自分で作っていいか、あるいはそれは好ましくないか、これをはっきりしてもらいたい。
  74. 三木武夫

    ○三木国務大臣 これはやはり運輸省としては、海運業者に船を持たしていきたいということが大きな筋であります。しかしいろいろ個々の場合もございましょうから、こういう問題については先ほど申しましたように、合理化審議会等もこの問題に検討を加えていきますが、大筋といたしましてはやはり海運業者が船を持つということが、海運政策の大きな筋であることは間違いがない。いろいろそういう場合に御指摘のような例外はあろうと思います。たとえば鉄鋼業者が鉄鋼を運ぶ船の場合もありますが、海運政策の大筋としてはそういうことが筋であると思います。
  75. 小山亮

    ○小山(亮)委員 そうしますとだんだんはっきりしてきましたが、今は丸善石油が自社船を作りたいという要求がある。それだけだと大臣は言われるが、これは一つ許せば、どんどんと同じような条件で建造したいという申し出があるにきまっております。しかも日本の内地の船でも、やはり内地の事業者もそういうような外資によって作る場合も出てきます。ですからここではっきりしておきたいのは、幾ら出てきても政府はこれを認可する方針であるか、それならそれでよろしいのです。ところが丸善だけやってみて、どうもまだあとから要求が出るようなら、そこであらためて考えて、法制的な処置をして禁止する場合もあるのだというと、はなはだおかしい。ただ丸善だけがそういう恩恵を受けることになるから、見方によると妙に考えられる。非常に変なように考えられますから、この点を一つ明確にしていただきたいと思います。
  76. 三木武夫

    ○三木国務大臣 これは今全体のタンカーの一つの数量から見まして、これが非常に続々と出てくるというようなことになれば、タンカー業者を圧迫することになる。従来でもそう一年に何隻もお許しになっていないのは、そういう点からの配慮であります。だからここで一隻とか二隻とかいうならばいいのでございますが、小山君の御指摘のように続々と出てくるということなら考えなければならぬので、いろいろな点で私は検討を加えるというのは、そういう点も言っておるのでございます。検討を加えたいという中には、そういう点も含めて言っておるのでございます。ただしかし資本というものが、相当な資金を要するものでございますから、そういう資金の面の制約等もあって、そうむやみに船を作るということも考えられませんが、そういうことが今後起り得る余地があるならば、考慮しなければならぬ問題だと考えております。
  77. 小山亮

    ○小山(亮)委員 またおかしくなってくるのですが、そうすると昭和三十五年に三十万トンまでタンカーを持ちたい、そして日本に輸入する石油は七〇%まで自国船でやりたい、こうおっしゃる。それならこの限度まで船が早くできる方がいいじゃないですか。あなたのお考えからいうと、二はいできようが三ばいできようが、三十万トンの余裕があるなら十隻できたっていいのじゃないですか。丸善ばかりではなく、ほかの会社でも、要求があればどんどんお許しになるということが理屈が立つじゃないですか。
  78. 三木武夫

    ○三木国務大臣 こういう点が私はめんどうな点だと思うのです。それは従来のタンカー業者がその荷主の船をオペレートして、そうしてタンカー業者がやっていくということになれば、これはタンカー業者がチャーターするわけですから、既存のタンカー業者を非常に圧迫するようなこともあるまい。しかしみんな自分の船を持って自分で運ぶということになって参りますと、日本のタンカー業界というものは非常に打撃を受けるわけであります。それで、やはりこれは程度の問題だと思います。一方においてできるだけ船を拡充したいという要求もございますが、一方においては海運政策上、タンカー業界が非常な打撃を受けて、既存のタンカー業者がやっていけぬというような事態に追い込むべきではない。こういう点から、やはり無制限に幾らでもするというようなわけにもいくまい、そういう点でやはり妥当な程度——むろん丸善一隻というわけのものではなく、ほかの申請があれば考慮しなければならぬ問題でございますが、非常な弊害が起ってきて、既存のタンカー業者が非常な打撃を受けるというような場合には、考慮しなければならぬ時期が来ないとも限らない、こう申しておるのであります。
  79. 小山亮

    ○小山(亮)委員 そうすると現段階においては何隻でもお許しになるのですか。たとえば三万トンなら三万トンのものができるとすれば、何隻までお許しになることができるのですか。ことしのうちにすぐ続いて二隻くらい申請があったら、お許しになるのですか。
  80. 三木武夫

    ○三木国務大臣 今実際具体的にそういう話は私自身聞いていないのですが、お話のようにほかの申請の御要求がございますれば、慎重に検討しなければなりませんし、今申したような日本のタンカー業界に非常な打撃を与えない限りにおいては、許さざるを得ない建前だと思っております。
  81. 小山亮

    ○小山(亮)委員 そうすると丸善は外貨の処置ができておりますから、これだけはお許しになる腹でしょう。そうしてあとのは慎重にお考えになるというのですか。
  82. 三木武夫

    ○三木国務大臣 丸善に対しても建造許可というものは出ていないのです。外資委員会を通っただけです。
  83. 小山亮

    ○小山(亮)委員 あなたの許可があればいいのですから簡単なんですよ。
  84. 三木武夫

    ○三木国務大臣 丸善の方から申し出ているこのオペレートは、今申したように海運業者にまかすのだということ、あるいはまた従来日本船でなく外国船によって運んでおる石油を、この船によって運ぶのだというような、外資委員会に出る場合の申請書もございますから、建造許可の場合にはこういうことはむろん明細にしなければならぬわけです。そういう点を検討を加えるということでございます。
  85. 小山亮

    ○小山(亮)委員 それは作るまではそういうことを言いますよ。六〇%は日本船でやっており、四〇%は外国の船でやっておるから、その四〇%の分だけを自分でやるのだ、建造許可を得るまではそういうことを言いますよ。しかしいよいよでき上ってしまえば、人の会社の船で運ぶより自分の会社の船で運ぶ方が、費用も安いし、思うようにもなるし、無理もきくのですから、どうしたって自社第一主義になるのはどの会社でもみな同じですよ。それを取り締る方法はございません。あなた方がそんなことを一々調べて、建造するときの条件に反したから、その船を没収してしまうというような権力はないのですから、それは許可を得るまでの口実にすぎないのです。そんなことはだれでも言うのです。要は、石油会社は幾つもありますから、あらゆる石油会社が頭を突っ込んできて、自分の方で金を出すからやらしてくれと言う。そうすれば運賃がほかの市場取引をしておる値段より安くいくのです。石油会社はまだもうかるのです。ですからどんどんやろうとするのです。それがためにほかのタンカー業者が影響を受けないということはありません。一隻でも特殊の船ができれば、影響を受けることはさまっております。私は丸善石油だけをお許しになって、ほかのものがやるときには慎重にやるというのは片手落ちではないか。一つをお許しになったら、ほかのをお許しにならなければならぬ。そうすると日本のあらゆるタンカー業者が圧迫を受けることは当然なんです。今からわかっておる。それだからこれを許可するときには、慎重に考えて御許可になるのか、あるいはこれだけは一応許可してあとは慎重におやりになるのか、そこをお聞きしたい。
  86. 三木武夫

    ○三木国務大臣 それだけ許可して、あとは非常に厳重にという考えはございません。ただ考慮しなければならぬのは、そういう点からいろいろな希望が——今申したように具体的にはなっておりませんが、そういうことも今後どのような状態になってくるか、いろいろな点を勘案して慎重にしたいということであります。
  87. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 大臣でも事務当局でもけっこうですが、通産省は石油会社が自己資本あるいは外資によって自己の手持船を作るということには、私はざっくばらんに言って放任主義だと思う。むしろある意味では——奨励とは言わぬが、やかましいことは言わないけれども、あなた方は大体今の日本の石油業界の実態がどうなっておるか、そういうものも考えた上でなおかつ自己資本による船の建造を認めることが、国策の見地より見て妥当だというような、そこまで立ち至った考えを持っておるのか、ただ単に今日わが国の油送船が不足しておるのだから、船を作るのに何が悪いか——これは言い過ぎかもしれませんが、そういう考え方だけでお考えになっておるのか。石油業界の今日の収支の状態、あるいは外資との関連の問題、償却率の問題、そういうものをも調べて、あなた方は許可するとかせぬとかいうところの基準にしておるのかどうか、その点はいかがでしょう。
  88. 三木武夫

    ○三木国務大臣 船の需要量から言えば、やはりできるだけ早く三十万トンを拡充して、自国船で運ぶ方が、それだけ外貨の節約にもなりますから、これはいいわけです。こちらが慎重に考慮しなければならぬという面は、そういうことによってタンカー業界が非常な打撃を受けはしないかという点の考慮だけでありまして、船を早く拡充したいという面から言えば、これは自己資本で船を作ろうというのですから、しかも融資条件も不当な条件がないという見地のみから見れば、考慮を置く余地はない問題でございすが、それが海運界に与える影響という点から、これは慎重に考えなければならぬ点が存するわけであります。一方だけから言えば簡単に割り切れる問題ですから、議論の余地がない。しかし一方の日本の海運界の健全な発達という意味の点のみ、慎重な考慮を要する点があるわけでございます。
  89. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 奇怪なことを聞くものです。あなたは運輸大臣であると同時に、一国の国務大臣である。わが国の産業経済政策はもちろんのこと、海運政策全般につきましても、現内閣の方針があり、あなたはこの委員会に向って、かつて経済六カ年計画というものをお述べになったが、そういう趣旨からいたしますれば、今言ったようなことははっきりせぬ。私はこっけい千万だと思う。簡単に言いましょう。石油会社が自己資本で船を作るということは、もうかってもうかってしょうがない。少くとも二割五分、三割の配当をしておる。そのもうかってしょうがないのを、これは税金で五割も五割五分も取られるから、それには船を作るなら、免税点の高い税法上の特典があるので、この方式をもって外国資本を入れて船を作って、税金を取られぬようにする。それならば、その全体のワクからいいますならば、日本の石油はどうですか。世界最高の高値である。あなた方は日本の産業政策からいって、こんな高いところの油を売りつけておいて、これが現内閣の方針ですか。これは不届き千万です。日本の油というものは、重油だけ見てもトン当り一万円から一万一千円しておる。アメリカの太平洋岸あたりでは四千四百円、中東では四千円、こんなに高い油を売って、日本の産業経済政策上からいって、この油の値段で——日本の産業を発展させようという大きな国策的な見地からおやりになるならともかくだが、もうかってもうかってしょうがない油会社が、税金を取られまいとするために、自己資本または外資によるところの自己の手持ちの船を作ろう、これは文句がない、また海運界に打撃を与えないと言われるけれども、しかし海運界に大なる衝撃を与えておる。こんなことをやられてはたまらぬ、混乱を来たすおそれがあるというので、今日われわれのところに海運界初めたくさんの方々が、そのデータをそろえて参っておるのであります。おそれなしとは何ですか。大へんなおそれがあります。私は海運界においておそるべきあらしを巻き起すところの事態がここに来ていると思う。その点で、ただ船を作るというだけの問題ではない。日本の産業経済政策とマッチするような方法をとっておるのかどうかということを聞いておるのは、そこなんです。たとえば油を少しでも下げて、そうして日本の生産コストを下げるための方式だという大きな見地に立っておらない。一番悪口を言うならば、税金のがれのための配船計画であり、増船計画である。こういうことまであなたは思いをいたしておるのかどうかということを私は聞いておる。いかがでしょう。
  90. 三木武夫

    ○三木国務大臣 石油の値段については、いろいろな御見解がございましょう。でき得る限り安い石油を供給するように、政府は心がけなければならぬことは申すまでもない。しかし船を作るのに、これは税金のがれのために船を作るというように断定をなされたのでありますが、いろいろな税法上のこともあるのでございましょうが、われわれはそういう税金のがれのために荷主が船を作るというふうには考えないのであります。荷主としてもやはり輸送する場合において、自己の船を持つことにいろいろな便宜もございましょうから、そういう税法上のことで、船をそれだけで考えておるというふうには考えていないのであります。
  91. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 それではどうなんですか。これは計画造船というものは、私は詳しく知りませんが、昭和二十四、五年ごろからやって、そうして日本の船腹というものを国際水準に戻す、それがためには今日の船会社ではやっていけないから、国家がこれに対して助成をする、数千億の金を投じて、そうして日本の海運総合政策というものを樹立いたしまして、そのもとに国家保証をして、国家資金を投じて今日までやってきた。あなたがさっき申しましたタンカーにつきましても、昭和三十四年ですか、それまでにあなた方は計画造船をなさっておる。そういうものはこの際御破算になさいますかどうですか。一方においては国家の金をつぎ込んで計画造船をして、海運界の復興あるいは復旧を国が行おうというところの大きな方針を持っておる。その方針に相反するとは申しませんが、船を作ることは方針には合致するかもしれませんけれども、一方で金のあるものは作れ、片方は国が金を出してやる、そんなやり方は今日の時代において適合するかどうか、これはどうですか。そういうことから言うならば、国家の助成をすることをやめたらどうですか。ないものは死ね、あるものだけが船を作れ、こういう論法になりはしませんか。あなたはどうお考えになりますか。
  92. 三木武夫

    ○三木国務大臣 これはやはりそうでないと、タンカー業者などは自己資金が調達できませんから、計画造船ということは、大きな造船計画の柱になっていくと私は思います。そういう場合に、計画造船一本で、自己資金で船を作るということは全然認めないということも、いかがかと思うのであります。それはなぜかというと、計画造船ということは、財政的な資金のワクに縛られまして、必ずしも毎年われわれが希望するようなトン数の船ができないのであります。これを今申したような非常な弊害を起さない程度で、船腹を拡充していくことを考慮するということは、計画造船と矛盾しない。計画造船自身もやはり相当な長期的な計画ではありますけれども、急速に船を拡充したい、それには金がないから、財政投資によってその船の拡充をはかりたいということでございますから、必ずしも計画造船ということと非常な大きな矛盾は私はないと思います。
  93. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 それはおかしいです。先ほど小山委員も申しましたけれども、丸善石油はあなたはいかにも認められておるような言い方をしておる。これを認めたならば、ほかの石油業者が自己資本により船を作らしてくれと言うことは当りまえである。そんなことは言わない方がどうかしている。これは速記録にとどめて、あなたにあとで見てもらえばけっこうです。これはしなかったらどうかしている。当然申請することは言うまでもありません。それらのものは、計画造船のところには国から金を出してもらって入るが、これはワクがあって入れないということならば、自己資本で作るということになる。これはどうするか。そういうことをしたのでは、国策もしなければ、計画造船もない。計画造船というような字はやめてもらわなければならぬ。それを将来認めていくことになるかどうか。これは計画造船に入ってもらったものは入ってもらったものだけれども、やはり自分の金があるからこれを作るということは、国のために必要なことだからけっこうだということで、あなたはこれを認めるのですか、どういう判断、どういう措置をなさるのですか。
  94. 三木武夫

    ○三木国務大臣 今申したように、私は慎重に考慮したいということは、そういうことで次々にそういう事態が起るような形勢がありまして、そのために既設のタンカー業者が、非常な不当な圧迫を受けるような事態の可能性があるかどうかということも、慎重に考慮したいということでございます。
  95. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 日本の石油業界というものは、大体ここ四、五年間に非常にもうけるようになった。そうしてそれがために急いで、販売価格そのものは下げないで、精製施設にたくさんの金をつぎ込んでやってきたわけです。償却にはきわめて冷淡で、その純益というものを何とかして守って、自己の経営方式の中に経営の強固な基礎を作るということよりも、何とかして税金を免れんとしていることは、今日これは非常に大きな声になっておる。これは民主党内閣の一つの政治的貧困によるものだ。どうして石油の価格を下げるということにまず政治の力をいたさないかということに、私は非常な大きな不満を持っておる。販売価格というものはちっとも下げない。そうしてその自分の純益に対する課税率とか、あるいは免税点というものを、どういう形でのがれようかということばかりにきゅうきゅうとして、それがために船を作ることに多くの金をつぎ込んでおる。経営の基本的な基礎を固めるというのでなくして、目の先の税金をのがれよう、そういうようにやっておることは、もう隠れもない事実であります。そういうものに対して、みすみすその手に乗るようなことで、当局がこれは外資の導入を許可したのだから、ある程度の純益は認めなければならないというような判断をされたのでは、業界は混乱に陥るし、また先般はあのような造船疑獄事件という大問題を起している。しかもなお船舶というものは国家の要請である、作らなければならないということが、衆議院の決議をもって幾たびかなされております。この決議の趣旨から申しますならば——今あなたの考えておられるような方式からいうならば、計画という字は除かなければならない、金を持っている人が船を作るなら悪いことはない——これはわが国の経済発展の上からいうならば、私はこんなべらぼうな政策というものはないと思う。あなた方はそういう点では、たとえばあなただけの所管ではなく、通産大臣とももっと十分に石油問題について、販売価格について、あるいは自己資本に対する償却率の方式だとか、あるいは免税点の問題、そういう点まで話し合ったかどうか。そういう上に立って、国策の見地からいって、国家の現状からいって、あなたは自己資本による建造を認めることが妥当なりという判断になったものでありますかどうか。ただ出されたものであるから、私は運輸大臣であるから、運輸大臣の管轄、その権限範囲の中においてはいいことだからというお考えでございましょうか。
  96. 三木武夫

    ○三木国務大臣 私はそういうことは考えておりません。これはやはり通産大臣、その他大蔵大臣とも、いろいろ今御指摘のような石油政策の見地から、検討を加えなければならぬ問題であると考えております。
  97. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 あなたは先ほど来の答弁で、これから先に出てくるものは慎重に考慮なさる、またさらに小山委員に対する答弁では、この丸善石油の分も造船合理化審議会にかけて、慎重に十分検討なさると言われましたけれども、今日の世界の情勢を見ますと、石油会社が自己資本の船舶を持っておるというのはない。非常に減ってきた。アメリカでも九五%の石油会社というものは自己船舶を持っておらない。業界と提携して用船契約をいたしまして、そしてそれによってお互いの不当なる資本の消費を避けて、経営の合理化ということにかかっておる。日本のタンカー業界においても私はそうだと思う。石油会社はどんどん進出する。これは何も丸善石油の場合だけではない。丸善石油の場合には、あなたがお答えになったように船会社に預ける、これはけっこうなことですが、そういうことをやって、さなきだに混乱をし、かつまた窮乏しておる日本の海運界に大きな打撃を与えるということは、運輸大臣としては一番拙劣な方式ではないか。私はこの際運輸大臣にお願い申し上げますが、そういうふうな世界の趨勢に対して、監督官庁として将来タンカーに対してはどういうふうな政策をとっていこうとするのか、根本的な御方針がおありかどうか。なければこういうふうにしたいというお考え方を一つ示してもらいたい。
  98. 三木武夫

    ○三木国務大臣 大きな方針は、やはり船舶を確保するということであります。大部分の油類を自国船によって運ぶ、そのための船舶の確保、これが第一番に考えておることでございます。第二番目にはタンカー業界の健全な発達をはかっていく。これが大きな海運政策の目標だと考えております。
  99. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 大臣は先ほどからはなはだしく海運界を混乱せしめなければとか、せしめたならばというような言葉をお用いになっておりますが、こういう問題について、たとえば丸善石油の問題についてあなたは業界と話をしたとか、あるいは石油会社が自己資本によるところの船舶の建造に乗り出したということによって、影響を与えるか与えないかというようなことを諮問したようなことがございましたでしょうか。
  100. 三木武夫

    ○三木国務大臣 事務当局に対しては、タンカー業界の意見を徴するように言ってあります。そうして個々の意見を徴したようでございますが、私自身としても業界の意見も徴したいと考えております。
  101. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 だれか局長の中で聞いた人はおりますか。
  102. 粟澤一男

    粟澤政府委員 個々には聞いております。
  103. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 それでは二十一日に外資審議会が三百万ドルの丸善石油に対するアメリカ銀行の外資導入を許可になっているようでありますが、その審議会に運輸当局の、たとえば船舶関係の人々が出て意見を徴されたとかいうことをなさったことがございますでしょうか。
  104. 粟澤一男

    粟澤政府委員 外資審議会には運輸省からは委員は出ておりません。
  105. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 大臣はこれをどういうふうにお考えになりますか。三万三千トンの大型油送船を建造するために、アメリカ銀行よりの外資導入ということを運輸大臣なり、監督の立場にある建造の許可権を持つところの者を呼ばないで、きめるということについてあなた方はどう思いますか。きめたものだから作るというふうに受け取れるが、あなた方はそういうことで、許可に対する判断なり意見なりというものを何ら徴されずにめくら判を押すつもりですか。
  106. 三木武夫

    ○三木国務大臣 これは御説明申し上げておきたいのですが、外資審議会は御承知のように外務省、大蔵省、通産省、経審、日本学術会議、日本銀行、輸出入銀行、それに民間が入って構成しているわけであります。その委員の中にはむろん入っていないのでありますが、外資審議会に幹事会というのがございまして、この幹事会には運輸省も入っております。そうしてその幹事会においては現在申請してきている申請書の方については、幹事会にそれが出ましたときには、運輸省としてはこれに対して異議はないということを幹事会では申しております。外資審議会には出ておりませんが、幹事会には出ておるのであります。
  107. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 私は実はこの委員会に大蔵大臣の出席を求めたのでありますが、大蔵大臣がどうしても来れないという話でありますので、この問題はあらためて本運輸委員会のみならず、予算委員会の開会も一要求いたしまして、予算委員会におきましてこの問題を取り上げたい、かように思ってその所要の手続をいたしているものでありますが、今までの運輸大臣の御答弁を伺っていると、どうも納得のいかないことは、あなたのお言葉の節々に現われる姿というものは、すでに丸善石油を許可する方針なりという意向のように受け取れるのであります。あなたは後には訂正をいたしまして、造船合理化審議会に諮って、慎重な態度で臨むということを申されましたけれども、どうも一貫してそういうふうな感じにわれわれは受け取っているのであります。われわれどうもふに落ちないのは、わが国の海運政策というものを一貫して国際的な水準にまで上げるということは、自由党ももちろんのこと、現内閣におきましてもその方針を貫かれている。それがために微力な国家財政の中から計画造船をいたしまして、これを推進しようとしている。タンカーについても本年も五万四千トン、これをあなたが御説明なさって建造することになっている。そういう国家財政を投資しておきながら、片方においては金があるならばどうでもかまわぬ、しかもそれは外資を入れて——今度の丸善石油だって十四億八千万円、そのうち十億八百万円までは外国から借りる金です。今の石油会社なんというものは、昭和石油なんかでも社長は外国人の前では小使だ、それはなぜかというと外資にたよっているからだ、外国人には手も足も出ない。小使にされてしまう。こういうものが船を作るためには何をしてもいいということは、自分の主張を通すためには操を売ってもいいという、ある意味においてそういう考え方は、日本の経済に対しておそるべきところの結果を惹起するおそれがある。こういうことは私どもとしては看過できないのであります。さらにまた国家が、たとい微力であっても計画造船をいたしてやっておる。あなたは一生懸命努力をもう少ししたいけれど、金が取れなかったとおっしゃったけれども、それでも金を投げ込んで国家がやっておる。そうして一方ではこういうことをやって、業界を混乱させておる。私はこれは一貫した海運政策は、現内閣にはないのだということを断定せざるを得ない。従ってこれを許可するに当っては、大蔵大臣なり外資委員会なりというものは、これを詳細に検討したかどうかということが非常に疑わしいと私は思う。私はあなたの属しておる民主党内においてすらも、どうも丸善石油だけは運輸大臣があれを許可する方針であるから、これはどうも非常に早くしようとして、当局を督促しておるやに聞いておる。しかしこれは道聴塗説で根拠がありませんから、私はそれを申しませんけれども、しかしこれは一体から申しまするならば、筋が違っておる。やはりもちはもち屋にまかせるのが当りまえです。いわんやこの船腹における海運の要請は、海運をどうするか、特殊の航法を必要とするところの船舶部門については油会社はどうするか、幾多の問題が残っておる。しかもこういうことが一つ許可されたならば、相次いで出願の許可をするということは、あなたは知らぬというけれども、海事新聞を初めといたしまして、業界紙はいずれも口をそろえて申しておりますし、いずれの人々もこれを列挙しております。私も普通の人間の常識をもってするならば、これが許可になったならば、もうかってもうかってしょうがない。税金を免れて、三カ年間というものは新造船によりますところの免税点におきまして、これをねらわないというのはよほどどうかしている。こういうことでは日本の計画造船そのものの根本を破壊するおそれがありはしないかということをおそれるのでありまして、私は少くとも今この席におきまして、こういうようなやり方をもってあなたがおやりになるとするならば、丸善石油の大型油送船というものは、造船合理化審議会におかけになるでしょうが、同時に本委員会としても、この未解決の問題については、あなた方がたとい書類が提出されても、よほど慎重な態度をもって臨んでいただかなければ、私どもとしてはこれはもっと堀り下げて、こういうやり方をやるならば、計画造船の片方をはずしなさい、こう言わざるを得ません。国家の要請であり、国家の方針として、政府が国策なりとしておやりになっていることを、片方においてはこういう系列を乱すようなことをするならば、これは方針なんかおやめになったらいい。莫大な金をつぎ込んで、そうしてその計画を年次的に作って、しかもあなた方が足らぬというならば、なぜ昨年はやらない。そのときあなたは大臣でなかったと言うかもしれない。必要の度合いというものをどれだけにするというので計画して、タンカーについてはたしか一年置きに建造しておるのじゃないか。そういうようなことをやっておいて、これで何とか最低のことができるというので、政府の方針を定めておやりになっていることであります。私はこの問題につきましては、少くとも十分本委員会において解明されるまでは、丸善石油の問題について申請があったって、そういうことを御許可になるという方針があるかどうか、そういうことをされたのではたまったものじゃない、こう思っておりますがいかがですか。
  108. 三木武夫

    ○三木国務大臣 今お話の慎重に検討するということは、私もさようにしたいということを申し上げておるのでございます。私は丸善に特にこれを許可して、これを早くしょうという考えはございませんし、そういう事実はございません。全体の日本の海運界のことを考えて慎重に処理したい、こう考えております。
  109. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 実は私ども資料がまだそろわない。実は来週このことについて運輸大臣並びに関係官にお尋ねしようと思っておった。ところが二十一日に突如というと申し訳ない。われわれが知らなかったのかもしれませんが、外資委員会におきまして、丸善石油の申請による大型油送船の建造の外資が三百万ドル許可になったということを聞いたのでありますから、それならばこれは急いで一応この問題を取り上げなければならないということで、本委員会において取り上げるように要請して参った。これは委員会がきめたのですから、すぐ許可をしてやるということになりますならばたまったものじゃないというので、正直にいって急いでやったのです。いずれ資料をそろえまして、あらためてこの問題につきまして当局の——当局というよりも鳩山内閣の一貫した海運政策、造船政策、そういうものについての所見のほどを私はお尋ねしたい。きょうのところはこれをもって終ります。
  110. 木村俊夫

    ○木村(俊)委員 関連。今まで同僚議員に対する御答弁を承わりまして、大体わかったのでありますが、要するに大臣は、海運業の保護育成という海運政策の大筋と、タンカー船舶の総体的不足という、この間のジレンマに立っておられるというふうに受け取れたのです。しかしながら今回だけは事情が違う。と申しますのは、御承知の通り世界の状況は、スーパー・タンカーでなければ立っていけない、太刀打ちできないというような状況になりつつある。そこで十一次計画造船におきましても、政府は五万四千トンの中でスーパーをお作りになるという方針、これは非常にけっこうだと思います。ただ問題は、このやさきにおきまして、丸善石油がスーパー・タンカーを自己資金でもって作ろうという申請が出たということなんです。もしこれが許可されまして、荷主の運営でなくても、運航委託でもなりましたならば、従来のタンカー業者は非常に致命的な打撃を受けるということ——私が申しますのは、ただ丸善石油一ぱいのことを申しておるのじゃないのです。そこで見方の第一点としましては、丸善石油のこういうタンカーの申請が出まして、次から次へ同様な申請が出てくるかどうかという一つの見通しの問題、これは今大臣が非常に楽観的なお見通しのようでしたが、私はこれは甘いと思うのです。ということは、外国の石油業者とひもつきの日本の石油会社ですから、石油会社の販売コストの競争が当然次から次へ起ってくる。これは私は大臣といささか所見が違うのです。そこで、そういうことになった場合に、第二の問題としては、それではいかぬから、何とかタンカー業界に致命的圧迫を加えることのないようにしたいという御意思も伺った。そうなりますと、一体それにどういう方法があるかということになりますと、先ほど大臣の御答弁では、臨時船舶建造調整法の建前上これは何とも仕方がない、というような御答弁のように聞いたのでありますが、これはこの建造調整法の運用いかんの問題で、許可基準判断の基礎となる事項について、もう一度大臣から海運造船合理化審議会に御諮問になれば、それについての意見もまた出てくると思う。そういう方法は残されておる。そこで私は最後に一点だけ大臣にお約束願いたいのは、単に運輸大臣の主観的判断によらずして——これはタンカー業界の意見をお聞きになるということをさっき承わったので安心いたしましたが、その結果、タンカー業界の意見によりまして、これは非常にゆゆしき打撃を与えるという答えが出た場合に、大臣としてはもちろん許可の方針を強行なさることはないと思いますが、その判断の基礎となるべき事項について、運輸大臣としての最高方針がおきまりになったときに、この丸善石油に対する許可をお与えになる前に、再びこの運輸委員会に、その再考された結果を御説明なさる必要があると思うのです。この点についての大臣の御所見を承わりたい。
  111. 三木武夫

    ○三木国務大臣 これはいろいろ慎重に考慮いたしたいと私お答えした通りでございます。そうして慎重な考慮の結果、これに対して判定を下したいと考えております。そういう場合に、私がどういう判定の上に立ったかということを、当委員会に御報告はいたしたいと考えております。
  112. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 大臣の御答弁を聞いておりますと、丸善石油のタンカー一隻くらいならば、これはどうも臨時船舶建造調整法の趣旨からいって許可せざるを得ない。しかし五そう七そうと同様な申請があれば、これはわが国の国際海運の健全な発達に支障を及ぼすおそれも出てくるので、慎重に考慮しなければならないと、こうおっしゃつていますが、この慎重に考慮ということは、不許可の処分ができるという意味ですか。それとも、いろいろあれやこれやと考えたり、海運造船合理化審議会に相談をしてみたりするという程度の意味ですか、それを伺いたい。
  113. 三木武夫

    ○三木国務大臣 これはいろいろな場合が考えられると思います。今私が考えておることは、今申したように海運界の健全な発達をはからなければならぬ、こういう見地から検討を加えてみたい、これはいろいろな意見も徴することもございます。判断の基礎となるいろいろな意見を徴して、そして海運界の健全なる発達という見地の上に立って、船の方は船がふえるということそれ自体は国の要請でもございますから、一番問題の点は海運界に対しての健全なる発達という見地からこれに対して考えてみたい、 こう思っております。
  114. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 その考えてみたいというのは、海運の健全なる発達の見地からという工合になってこうした外資導入、そして先ほど来いろいろ追及しておるように、それぞれの事由によってタンカーの建造の申請があった場合、その許可の申請を拒否するという意味も含まれておるのか、そうではなくてばく然とした慎重考慮という意味ですか、それを承わりたい。たくさんの同様な船の建造許可申請があった場合、臨時船舶建造調整法によって不許可処分に帰する場合も起るか、またそうするお考えがあるか、それをお聞きしたい。
  115. 三木武夫

    ○三木国務大臣 これはいろいろ検討してみなければなりませんが、たとえば今木村委員も御指摘になった続々としてこういうものがある、こういう可能性も検討しなければならぬ、あるいは法制上の建前も検討して、あらゆる場合を考えて、単に許可をするのだという方針のもとというだけではなくして、あらゆる場合を考えてこれに対して検討を加えたいという意味でございます。
  116. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 あらゆる場合を想定して慎重考慮を加えた結果、不許可にするという場合もあるというか。しかし三ぞう、五そうの申請があった場合には非常に慎重な研究もし、あるいは不許可処分のことも考えなければならないという情勢でありますならば、これは先ほど来木村委員が運輸大臣とは見解を異にして、今後こうしたものはどんどん申請が出てくるだろうとおっしゃっておりますが、私もそう考える。そういう一連の将来の見通しがはっきりしておるのでございますから、最初の一隻が大事でございます。これを許可にするか、しないかということは、他の五そう、六そうと申請が出てくる場合、同様に慎重に考慮研究をし、必要な場合には不許可の処分もやむを得ない、この点どういうようにお考えになるか。将来の建造申請のものと一体をなして、この第二番目の申請を十分慎重考慮する、研究し、そして善処するところの御意思があるかどうか、それを伺っておきたい。
  117. 三木武夫

    ○三木国務大臣 それはやはり御指摘の通り一隻だけの問題ではなくて、もしこういうものが続々と出てくれば、これはいろいろな問題があるわけでございますから、全体と関連をして考えたいと思っております。
  118. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 大臣の権限で許可をしないということはできますか、できませんか。
  119. 三木武夫

    ○三木国務大臣 そういうことも含めて検討してみたいと思います。法制上の点からも検討を加えたいと思っております。
  120. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 不許可ということは、あなたの権限ではできるのですか、できないかということです。要するにそういうことは全然不可能なことか、いやそれは権限としてできることなのかということです。
  121. 三木武夫

    ○三木国務大臣 これはやはり今申したような臨時船舶調整法の法律も検討するし、あるいは建造許可が出てきた場合に、それを全部許可しなければならぬというものでもない、いろいろなそのときの条件がありますから、それは全部出てきたら必ず許可をしなければならぬということではなくして、その出してきた申請書が条件にかなうかどうかということを検討をする自由は運輸当局にある、こう考えております。
  122. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 あの造船合理化審議会に諮問をしなければならない、その意見を聞かなければならぬということは法文上ございますね。法文上にあって、そこでその諮問においてこれは適当にあらずというところの答申をした場合は、あなたはどうしますか。
  123. 三木武夫

    ○三木国務大臣 その基準に対しての疑義、こういうものに対して造船合理化審議会の議を聞くことになっておるので、許可、不許可それ自身も造船合理化審議会ということではないわけであります。しかしこの臨時船舶調整法による今何回もここでお読み上げになりましたああいう点から、こういうことがいいかどうかということに対しての意見を聞くことは、これは可能であるということでございます。これを直接許可、不許可にするかということの行政権に立ち入って、合理化審議会が許可する、不許可にするという答申をするという建前ではないが、この調整法の条項に従って、合理化審議会に対していろいろ解釈に対して諮問をするということはやりたいと考えております。
  124. 小山亮

    ○小山(亮)委員 いま一言。あなたはさっきから非常にその点をあいまいにしておられるが、その法律によってあなたの方で認可することができるでしょう、また不認可もあり得るでしょう。そうすると認可するとか、不認可するとかいう権利が運輸大臣にあるでしょう。ないですか。
  125. 三木武夫

    ○三木国務大臣 当然にあるのです。
  126. 原健三郎

    ○原委員長 午前中はこの程度とし、午後は参考人を呼んでおりますから一時半から再開いたします。  これにて休憩いたします。    午後零時五十八分休憩      ————◇—————    午後二時十一分開議
  127. 原健三郎

    ○原委員長 これより運輸委員会を再開いたします。  日本航空株式会社法の一部を改正する法律案を議題として、質疑を続行いたします。本案に対しましては、さきに日本航空協会会長郷古潔君より参考人として貴重な御意見を承わった次第でございますが、質疑が若干残っておりますので、再び御足労願った次第であります。  なおお諮りいたしますが、日本航空協会常任理若松宗一郎君にも、会長の御意見を補佐して、さらに委員よりの質疑にも答えていただきたいと存じますので、参考人として御意見をお述べいただくことにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  128. 原健三郎

    ○原委員長 それではさよう決定いたしました。  参考人の方々には、酷暑の折、公私きわめて御多端の折にもかかわりませず、当委員会のために御出席いただきまして、まことにありがたく、委員会を代表して委員長より厚く御礼を申し上げます。  それではこれから質疑を許します。青野武一君。
  129. 青野武一

    ○青野委員 河野政務次官にお尋ねいたしますが、私は数日前から三木運輸大臣の御出席を要求しておったのですが、どういうわけで本日出席できないか、お聞かせ願いたい。
  130. 河野金昇

    ○河野(金)政府委員 先日来参議院の予算委員会等に、大臣の出席が悪いということで問題を起しておるのでありますが、きょう午後はそちらの方に行きたいということでありまして、私がかわって出席をいたしました。
  131. 青野武一

    ○青野委員 六月十日の運輸委員会で、日航法の改正について郷古さんを初め五名の方が参考人として、非常に貴重な陳述をされたのでありますが、非常にお急ぎになっておりましたので、質問を二、三申し上げようと思いましたができませんでしたので、本日御足労願ったわけであります。日本航空協会会長郷古さんに対して、公私ともに御多端の折、お繰り合せの上御出席していただいたことを心から感謝するものであります。  私は六月十日の運輸委員会で柳田日航社長に五、六点御質問申し上げ、また郷古さんがお話しになった点で重要な点を五、六点抜いてここにメモを取っておきましたが、日航法の改正について具体的にお尋ねしたい点が二、三点あるわけであります。今各党で寄り寄り話をしておりますのは、社長以下十名くらいの取締役にしたらどうかというようなことから、かなり詳細な点についての意見の交換も行われ、大体結論の出る直前になっておりますが、こういう点について役員を認可制によることは、会社に人事権がない。これから事業計画、資金計画、予算等の認可制は、会社経営者にとって自由裁量がなくなる、こういう御意見がこの前の六月十日の委員会郷古さんからお示しになられました。私が一番最初にお尋ねいたしたいと思いますのは、日本航空は赤字が次から次に出て、二割の交通税を三十年度は一割免税する、そして三億五千五百万円の国庫補加をもって、二十億出資している政府の株をもう十億だけ増資する、大体こういう内容が盛り込まれておるのですが、どういう理由で日本航空が赤字になっておるか、赤字になる具体的な原因はどこにあるかという点を、参考人としてお話いただければ幸いだと思います。
  132. 郷古潔

    郷古参考人 お答えいたします。私は実は当事者ではございませんので、当事者のような経験豊富な方のような御意見を申し上げることができないのでありますが、実際において相当多い乗員率を示しておるようでありますが、それでもなお収益を上げ、償うに足らぬということになっておるのでありますから、私ども考えましても、今日のような情勢になっておることは、大体においてやむを得ないのじゃないかということを考えさせられるのであります。むろん私はその内容に立ち入って検討したわけじゃありませんから、具体的に詳細なことを申し上げかねるのははなはだ遺憾であります。
  133. 青野武一

    ○青野委員 日本航空協会の郷古さんは、会長として参考人になってここでいろいろのお話を聞いたのでありますが、かなり経験のあられるお方であると思いましたので、私はこういうような重要な点をお聞きしたわけであります。問題は、今度の日航法の改正案の内容が、かなり峻烈な監督権あるいは命令権が法案の各所に盛られております。こういう点で運輸大臣の命令権とか監督権が非常に強化されますと、あるいはアメリカあたりの要求によって航空自衛隊が生れるのではないか。一朝事あるとき、日本航空株式会社をアメリカの要求によって自衛隊がこれを完全に握って、同じ立場に立つ運輸大臣がいろいろな面でこれに干渉し、圧迫し、あるいは命令をするというようなことになったら大へんだと考えております。  それから二十億の政府出資に十億の増資でありまして、政府出資は御承知の通り三十億、民間株は合計で十三億、当然これくらいな監督権を発動することはやむを得ないではないか。事業計画、資金計画、予算等について、運輸大臣がその程度指示を与え命令をすることは当然であるという意見もありますけれども、あまり深入りをすると、日本航空株式会社の発展と国際的な競争に打ち勝つために、その会社を円滑に運用していく熱意を失わしめるのではないかと思うのであります。そういう点について今の幹部役員の数は、常勤重役が十一名、非常勤社外重役が十四名、これは確かに多いと思います。政府原案は社長以下十名にしぼっております。監査役は一名増員になっておりますが、こういう点について私どもには苛酷に思えるほど監督権が強化されておる。いかなる決定をしても運輸大臣の認可がなければ、その効力がないといったような内容になっておりますが、こういう点について何か郷古さんに御意見がございましたら承わりたいと思います。
  134. 郷古潔

    郷古参考人 ただいまいろいろお話がありましたが、実は航空関係のことと申しましても、私自身の経験は製造業の方の関係を扱っておるわけでありまして、輸送業の方の営業については何ら経験はないのであります。従いましてただいまのような輸送業の運営、すなわち日航のような業務を運営する上におきましての自信のある意見は持っておりません。従って今のその内容に立ち至って大いにおためになるようなことを申し上げることはできないのであります。それだけ申し上げます。
  135. 青野武一

    ○青野委員 私は日本航空株式会社法の改正については、また別の委員会で政府当局に御質問申し上げたいと思いますから、少しわき道にそれるかもわかりませんが、日本航空協会の内容について若干の質問を申し上げてみたいと思いますので、お許しを願いたいと思います。  まず関連性からいってみて、運輸省の航空局長の荒木さんにお尋ね申し上げます。公益性を持った財団法人である日本航空協会は、いかなる立場の人たちによって現在まで管理運営をされておるか、大別してどういう経歴を持った人たちが今の日本航空協会の実権を握って運営をしておるか、こういう点について一つ率直な御意見を聞きたいと思います。
  136. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 現在運営されておりますのは、会長、副会長、理事が中心で運営されておるわけでございますが、その中で会長、副会長と常任理事の方が常時業務をやっておられるわけであります。会長は郷古さんでございます。副会長は久富達夫さんでございます。それから常任理事は若松さんと大木さんと園田さんで運営されております。その他関係の事務を扱っておる方が若干おります。
  137. 青野武一

    ○青野委員 声が小さくて十分聞き取れなかったのでございますが、航空年鑑を見せていただきますと、大体役員の顔ぶれはずっと載っております。その程度であれば私は質問しなかったのですが、大体戦時中どういう役割をしたか、あるいは運輸省で何十年部長、局長を勤めたか、あるいは財界、教育界、金融界、そういった面で大体どういう人たちがこの日本航空協会というものに関係をして維持しておられるのか、私はその重要な点、どういう経歴を持った人たちが中心になって運営をしておるのかという点を承わっておきたいと思います。
  138. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 今申し上げました方方が中心で運営しておられるわけでございますが、郷古さんにつきましては御経歴を私から申し上げるまでもなく御存じだと思いますが、久富さんは長く毎日新聞におられまして、それから内閣情報局に関係をされた方でありますし、運動の方の大家でございます。それから園田さんは朝日新聞に長く勤めていらっしゃった方、若松さんは毎日新聞に長くお勤めになった方、大木さんは読売新聞に長くお勤めでございます。その他平理事はたくさんございますが、大体戦前戦後航空に関係を持った人が大部分でございます。
  139. 青野武一

    ○青野委員 もう一ぺん局長にお尋ねいたしますが、これは政務次官にもできれば御答弁願いたい。今日本航空協会の首脳部にいろいろ実際において質問をいたしましたが、はっきりした具体的な御答弁がございませんので、どういう経歴を持った人たちが中心でやっておるかということを、私が自分の考えで判断すれば、大体あまり航空関係に経験のないような人が顔をそろえておるのではないか、こういう日本航空協会に対して、運輸省は大臣とか航空局長によって指導監督が行われてきたと思いますが、実際は石井光次郎君——前の自由党内閣当時の運輸大臣、あの石井さんから引き続いて三木さんが運輸大臣になっておられますが、日が浅いので詳しいことは今の大臣ではおわかりにならぬ点がたくさんあろうと思う。実質的には自由党内閣時代に石井さんが、直接の財団法人日本航空協会に対する指導をなし、監督をしておったので、あるいは大臣にかわって航空局長が指導をし、あるいは監督しておったのかという点を私はお尋ねしておきたい。どういう人が実際に監督の立場に立ってこれを指導しておったかということであります。それで河野氏は、きょうは三木運輸大臣が御出席しておりませんので、できればそれに対する答弁航空局長とお二人にお願いしたいと思います。
  140. 河野金昇

    ○河野(金)政府委員 実はこの問題について大臣のかわりに出たとは申しましたけれども、打ち合せをしておりませんので、大臣が石井さんからどういう事務の引き継ぎをし、どういう監督をしておるかということを私知りませんから、大臣に関する監督の問題はいずれあとで大臣と打ち合せして、大臣自身から答弁させるか、私が大臣と打ち合せしてから答弁したいと存じますが、おそらく石井さんの時代から航空関係におりました局長は、その事情を知っておるのでなかろうかと思います。局長からお答えさせることで御了承願いたいと存じます。
  141. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 監督と申しましても、民法に基く監督でございまして、毎年度の予算が出ますとその予算を見まして、それから決算が出て、決算を見て、その内容を検討しておるわけでございます。   〔委員長退席、臼井委員長代理着席〕
  142. 青野武一

    ○青野委員 郷古さんと局長にお尋ねいたします。これは第三点でございますが、芝田村町の今の飛行館の建物、土地、備品あるいは二カ所に持っておる小さいけれども格納庫、こういうような全資産が、今の時価に見積ってどの程度になるかということが一つ。それから協会の財産の具体的な一覧表を私はもらいたいと思う。これは全運輸委員に配付していただきたい。なおおもな点を一つ説明願いたい。質問要点を二つ一ぺんにいたしましたから、もう一度申し上げますが、飛行館の建物、土地、備品、格納庫等を時価に見積って何億円になるのか。それからそういうような具体的な一覧表、そういうものを一つお示しを願いたいと思います。
  143. 郷古潔

    郷古参考人 ただいまの御質問はよくわかりました。おもなる財産はお話の通り飛行館の土地、建物、さらに仙台及び伊丹市に格納庫を持っております。これがおもなる財産であり、協会全体に対してその半分以上を占めております。これの登記面の価格は約五千五百万円と思っております。ところがこれは登記上の価格でありまして、時価については必要もありませんし、実は私、詳細に検討いたしたこともございませんので、ただいま申し上げられません。それだけ申し上げておきます。
  144. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 私の方でも別にこれを調査したわけでございませんで、時価の評価もしたわけではないのでございますが、財産目録によりますと、今郷古さんが言われた通りに思っております。
  145. 青野武一

    ○青野委員 あとからお尋ねいたしました財産の具体的な一覧表、たとえば今の飛行館の建っておる土地が何坪あるか、あるいは建物がどれだけの広さで間がどのくらいあるか、有価証券がどのくらい、格納庫が二ヵ所あるが時価に見積ってどのくらい、こういうものは運輸委員会では日航法の改正法案に対して重要なる参考になると思いますので、これを全運輸委員にプリントか何かで御配布を願いたい。私は今質問に名をかりてお願いしたのですが、この点はどうですか。
  146. 若松宗一郎

    ○若松参考人 ちょっと青野さんに申しますが、これは刷ってお配りしてもいいのですが、幸いここに財産目録というものを持って参りました。これは昭和三十年三月三十一日現在ですが、これを速記の上に残しておいて、できればそれをごらん願いたいと思います。  詳しく申し上げますと、土地は飛行館の敷地二六二・二七坪、建物内訳は飛行館延べ一四八二・一三五坪、同じく仙台市霞目所在、これは格納庫で延べ七五七・〇八坪、同じく伊丹市小坂田所在延べ四八三・一五坪、土地建物といいますとこれだけでございます。仙台と伊丹はいずれも格納庫です。それから時価とおっしゃいましたが、われわれ今のところ、さっき郷古さんからお話したように必要がないものですから評価したことはありませんが、登記価格を申しますれば、土地の登記価格が六百六十八万七千八百八十五円、建物が全部で四千八百六十七万三千五十七円、これは建物全体の三つのものですが、その三つの内訳は飛行館の方の登記価格が四千三百七十三万一千五十七円、仙台の方が二百九十三万円、伊丹の方が二百一万二千円、その合計が先ほど申しました建物の四千八百六十七万三千五十七円ということになります。そのほかに仙台の方に工作物として、何か物を直したりするときのコンクリートの台みたいなものがあります。これは仙台の霞目にあるもので、これが十三万八千円、建造物としてはそれだけです。
  147. 青野武一

    ○青野委員 大体私が調べたのと合っているようでございますが、次にお尋ねしたいと思いますのは、この日本航空協会の土地、建物などは、大体戦前に全国の航空愛好の有志の諸君の寄付で建ったように聞いております。それがずっと戦後放任されておりましたが、昭和二十八年一月二十四日に今の協会の再建をされたというように聞いております。ところが協会本来の使命である航空文化、スポーツというものにあまり関係のなかったような人たちが、大体現幹部の中心になっておられるように私どもは承わるのであります。こういう人的構成を監督官庁である運輸省は、一体どのような妥当性を認めて認可したのであるか、これを一つ河野さんにお尋ねしたい。
  148. 河野金昇

    ○河野(金)政府委員 先ほど申しましたように、この問題に関してまだ調査も私の方として行き届いておりませんし、一応局長からこの間報告を受けたにすぎませんから、むしろ私に報告をした局長からそのことは答えさせますが、今後の問題の取扱い方等については、大臣と相談してしかるべく処置したいと考えております。
  149. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 これは設立委員の方で相談されましてきまった役員でございまして、この役員につきましては認可とかなんとかいうものはもちろんございませんし、民間関係の方々がお集まりになっておきめになりましたものでございまして、適当な方であろうと考えているわけでございます。
  150. 青野武一

    ○青野委員 航空協会の運営は会長、副会長、常任理事の大体四、五名の方で、事実上運営されているということを聞きます。そうして理事会と称して十四名ほど顔が並べられておりますが、理事会はおそらく一年に一回くらいしか開かれておらぬのではないか。しかも開かれても、それが事実上形式的になってしまう。そんなことでは公正な運営が果してできるものであろうか。あとは常任理事の三名と会長、副会長の五入で、大体こまかい点などを協議して運営をされる。これは少くとも二カ月に一回とか理事会が開かれて、理事会を通して大衆討議をやって決定したものを執行するならとにかく、年に一回くらいな形式的な理事会を開いて、どういうことを御決定になったか知りませんが、こういうようなやり方が果して公正であるかどうか、それから協会の会計報告、事業計画、予算等が、一般航空界には一回も発表されておらない。いわば公表されていないということを聞きますが、事実とすると、公益性の財団法人である日本航空協会というものが、航空界に予算とか、事業計画とかあるいは重要な会計報告等に対してはする必要がないようになっておるのか、私は寡聞にしてそういう点の知識がございませんから、実際に運営をなさっておられる郷古さんにこの点を承わりたいと思います。
  151. 郷古潔

    郷古参考人 ただいまの御質問にお答えいたしますが、一年に一回くらいしか理事会を開いたことはないというふうなお話でございましたが、実際には三月に一ぺんくらいずつ開いておりまして、特にこの人たちは昔から航空に関しては相当の知識経験を持っております方でありますから、三カ月に一ぺん開きましても、よく了解は届いておるのであります。またただいまの内容を世間に公表するのはどうかというお話でありますが、これは私のところはいつでもそういう理事その他を通じて、世間に公開して差しつかえないようにやっております。しかしながら別に法的に公表するようなことでもございませんから、別段公開というような手段をとっておりません。それから官辺その他に対しましては、随時報告書を提出しております。決してほかに対して五人が専断をしておるということはないと存じております。またただいまのその五人でありますが、これは十分協議をこらしてやっておりますから、大した異論はないと考えております。
  152. 青野武一

    ○青野委員 局長さんと河野次官にお尋ね申し上げたいことは、運輸省の航空局長のお名前が、活字の誤まりかどうかわかりませんが、荒木さんのお名前が理事の中に出ておる。運輸省の現役の航空局長が、直接の指導監督の責任のある協会のやり方をなぜ改めさせないのか、こういうことについての十分公正なる監督が果して行われておったかどうか、こういう点についてももしこれが国家公務員法に許されるならば、無報酬であるから、あるいは監督者である大臣の認可を受けておるからということで、現役の政府の役人が、少くとも局長級の人が、こういう財団法人の十四人のうち一人に理事の名前を載せるということが、道義的に許されるのか。たとえば電力会社であるとか、石炭鉱業であるとか、セメント会社であるとか、海運その他の事業関係に無報酬下あるからといって、決議機関の理事などに就任していますと、非常にこれは問題を惹起してくるのではないかと思います。航空局長は現職で大臣の認可を受けて、国家公務員法に基いて理事に就任をされておるのか。私どもは道義上からも、直接監督者の立場からも、これはあまりほめたことではないと考えるのですが、こういう点についての次官の御意見から先に承わりたい。それから荒木局長の御所信を承わりたい。
  153. 河野金昇

    ○河野(金)政府委員 役所の人がその関係のある協会その他の理事とか委員とかいうものになる場合は、大臣の承認を得てなっております。今問題になっております航空協会でございますか、これの理事に運輸省の荒木局長がなっておるということでありますが、おそらくそれは私や三木大臣が就任する前の、前の大臣の承認を得てなっておることであろうと思います。私たちが運輸省に参りましてからは、問題のあるような協会とか委員会、あるいは利害関係の伴うようなものにはもちろん承認を与えておりませんし、荒木氏の場合は前の場合でありますが、この協会の現在のあり方あるいは将来のあり方等を私たちも研究調査いたしまして、それがもしも局長がそこに名前をつらねておることが不穏当であるという結論に至りましたならば、やめてもらいたいと思いますが、現在はまだそういう事情を聞く程度でありまして、結論には至っておりません。
  154. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 実は航空局長がこの監督下にある航空協会の理事に名をつらねておるということは、私自身も実は割り切れない気持でいたわけでありまして、できればこの際に私はやめさせてもらいたい、こう考えます。
  155. 青野武一

    ○青野委員 荒木さんにお尋ねいたしますが、私が道義上監督者の地位にある運輸省の役人が、しかも局長のいすに腰かけておられる人がこういう財団法人日本航空協会などの理事を、いわゆる決議機関の中に顔を出すということは往々にして間違いのもとになる、こういうような意見で、私は大体おもしろくないような意見を吐きまして、御答弁をいただいたのでありますが、大体私はそれが協会自身が公正なる運営と民間航空事業に対する適正なる指導が行われておれば、問題ではないのです。国家公務員法百四条によって国務大臣、監督の大臣から承認を与えられておれば、それは現職の役人でも理事になることはできましょう。無報酬であればそれが悪いというのではありませんが、今の日本航空協会の内容を私どもが調べたり承わったりしたところによりますと、問題は比較して小さいかもしれぬが、これは第二の鉄道会館事件になるようなおそれはないか、考えようによってはそういうことも考えられる。それでありますから私はその真相を郷古さんに来ていただいて、そして航空局長からも関係の深い点の御所信を承わりたいと思って、二、三例をあげて政府の所信を聞きたいと思っております。それは日本航空協会の建物である飛行館の大部分を貸しルームにしておる、これは事実でしょう。なお近所の土地代あるいは貸借代等に比較いたしますと、大体今の金に換算して四億円に相当するか、五億円に相当するか、それは正確な専門家が来て計算をしてみなければわかりませんが、四千万円や五千万円程度の財産ではございません。そういう建物を富士銀行を初めいろいろな人に貸しておられる。その貸賃と貸しておる人たちがどういう人たちにこれを貸しておるのか、こういう点を私は郷古さんに承わりたいと思います。  もう一つ、安い上に情実によって貸し付けられておることが往々問題になっております。たとえば昨年の二月ころと思いますが、五階の飛行館ホールは貸し付けに先だって、ああいう財団法人の建物でありますから、これは個人的に裏で取引することなく、公けに貸すなら貸すと公募をするというような方法をとることが、私どもは公正なやり方だと思っておりますが、常任理事のある人と特殊関係にある人に私の聞いた範囲でございますが、月に四十五万円の家賃で貸しておる。借りた人はこれを劇場とか演芸会に又貸しをして相当の利潤を上げておる。聞くところによると家賃の倍額に相当する九十万円前後に借りたこともある。しかもその利益を上げておる四十五万円の家賃を払って、別に四十五万円近くの収益を上げておる。しかもそれは公募でない。理事と非常に因縁の深い関係の人がこれを借りた。しかも借りてそれだけの利潤を上げながら、最近は三百万円ほどの家賃の滞納があるということを承っております。今の十四名の理事、それに三名の常任理事、会長、副会長と、ずらりと各界の大物の方が顔を並べておるが、全然家賃の滞納を督促もしないというような状態を私は承わっておるのですが、そういうことであれば、経理の面でこれはりっぱにやっておるということは受け取れないのです。そういう点で、富士銀行の新橋支店を初め、どういう人たち幾らで貸しているか。一カ月二百万円になるのか二百五十万円になるのか。皆さんの関係の深い——あなた方の御返事がないから、私はおそらく二百万円以上の家賃にはなるだろうと推定しておるのですが、こういう点について航空局の監督とは、一体どういうことを荒木さんはおやりになっておるか。しかもあなたは理事をしておられる。こういうことが実際に行われておる。二百万円か二百五十万円の家賃は一体何に使っているのか。一ぺんでも民間航空事業の——たとえばグライダーを作る、それに対する補助金をやる。民間航空の発展のためにいろいろ指導し、補助せねばならぬ場合もありましょう。二十八年の一月二十四日に再発足して、家賃その他の収入で大体どの程度の現金が上っておるか。それをいかなる方法でお使いになったか。私はまだもう少し突っ込んでお尋ねしたいこともありますが、こういう点を一つ明らかにしていただきたいと思います。
  156. 若松宗一郎

    ○若松参考人 ただいまの青野さんの御質問はだいぶ多岐にわたっているようですから、私の頭に記憶していることから順次お話しします。  飛行館を貸しておりますのは、ただいまおっしゃるように富士銀行、それから大部分は航空関係の人、それからNHK等で、ホールは、あとからまた申し上げますが、中川というのが借りております。それでこれを貸しておることは——大体あそこでは何も事業をやっておらぬというお話ですが、私どもとしてはある程度やっておるつもりなんです。それで、それについての資金というものは、政府からいただく補助があるわけじゃなし、結局あそこの貸金の上りでもってやっておるということは事実です。それで、それでもまだ足らぬものですから、これも御承知かと思いますが、郷古さんが資金を募集して、政府からいずれ予算が許されるときには補助があるだろう、それまでのつなぎということでやっておるわけです。それでただいま申しましたように、貸しておるところの施設は大体さようなことです。  それから飛行館ホールの問題ですが、あれは初め協会で何か催しとか、あるいは航空関係の人たちの何かの会合などに使おうと思ったのです。ところがそういうふうなことで使うことはごくまれなんです。それで、あれは相当大きなものですから、あけておくのはまことにもったいないというようなことから、一昨年の春ごろに、ちょうどNHKがスタジオがないから貸してくれという申し込みをしてきて、月四十万円でこれを貸したわけです。ところが昨年の三月に、NHKはほかに自分のスタジオができたから、これはいらぬといって返してよこした。実はそのときには、われわれ理事者としては非常に弱ったのです。と申しますのは、適当な借主がないし、困りまして、みんなで手分けしまして八方、それぞれの関係といいますか、そういう方面をやっておる人たちに話をしてみたのですが、いずれもあそこはきたならしい、それから小さい、帯に短かしたすきに長しというようなことで、適当な借手がないわけです。それでもうしようがないから、一時また閉鎖しようかと思ったことがあるのです。ところへただいまの借主が貸してくれというようなことで、これは詳しく申しますと、五十万円ということを話しましたが、向うもそれではとてもやれないからというようなことで、現在一カ月四十七万五千円です。ところがこの人は、自分が借りて、一カ月とかあるいは一週間とかホールを貸すわけですね。そうして日本舞踊その他をやろうということがその男の計画だつた訳です。ところがその後のデフレのためでしょう。さっぱり——私ども実は経営にタッチしないことにしたのです。ですけれども、われわれ入口その他で見ていますと、どうも入りが悪いようなんですな。それでも今日までに百七、八十万の金は入っております。  それからもう一つは、さっきそれをさっぱり督促しないというお話ですが、これは非常に督促しておるのです。さっきおっしゃったように、現在三百万円たまっておるのです。それでこれはいかぬというので、事務の方のその係の者がやっておりましたけれども、らちがあきませんので、この三月ごろでしたか、私みずから彼の方と折衝をして、払うようにやかましく申しました。しかしそれでもどうも、金がないというようなこと、また事実見ていますと入りが悪い。それから新劇とかなんとかという金の入らぬものでやっておるわけなんです。ですから結局——それでも私が催促しましてから一度、KRに一カ月足らず貸したときに、KRに貸したから金が入ったというので、向うのKRの約手か何かで、三月以後三十二万円持ってきております。ですから、その例から見ましても、督促しておらぬというようなことは絶対にないのです。もううるさいくらい督促しておるわけです。しかしながら三百万円たまつた。向うは払えぬ——向うも今金融方面をあれしたり、適当な借主を探すのに狂奔しておるようです。しかし私はもしこれができなければ、契約解除というような手を打つよりほかないかとも思つております。しかしまたこれができますれば、あるいは家賃をさらに——何かだんだん聞きますと、実際いって四十七万五千円は高いらしいのです。それですから、向うでも昨年十一月ごろ引き下げてくれと言ってきましたけれども、私どもはやはり家賃で貸したのだから、お前の方の経営でどれだけもうけようとそれは知らぬ、そのかわりまずくて損をしようとそんなことは知らぬ、約束した家賃は払えということで、今日でもやはり四十七万五千円の計算でやっておるわけです。しかしながらだんだん聞きますと、実際に四十七万五千円ではやれないというのは、私ども方々当ってみますと、一般にそういうことらしいのです。それですから、彼の方でもし適当な、ある程度のまとまった金を入れてくれれば、あるいは条件も今後さらに下げなければならぬかと思っております。といって継続するか——継続という意味はこういうことになるのですね。打ち切って契約を解除してしまえば、これは差し押えとか何とかいう手はありまするが、実際問題としてなかなか金が入らない。それよりも、だますようにして金を取り上げようというような考え方なんです。しかしそれでもできなければ、これはやむを得ぬから契約解除ということになる。これも早晩この線をいずれかに決定しなければなるまいか、こう思っております。  それからもう一つ、われわれが経営にタッチしないといいますのは、どうも興行界の連中というのは、大ていわれわれしろうとの者には歯が立たぬのです。それですからまた協会の人的素材から申してもむずかしい。それならばいっそ公正に家賃でいって、経営にはこちらは全然タッチしないという方針で、この方針は実は私たちは今日でも変っておらぬのです。これは私のみならず、協会の執行部としても変っておりません。大体参考人として事実をお話しをするとこんなものです。まだほかにございますか。
  157. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 実は今までの監督と申しましても、民法上の監督でありますので、予算、決算、財産目録というようなものについてスクリーンしておるだけでありまして、監督として必ずしも十分でなかったかもしれませんが、今後は十分力を入れまして遺漏のないようにいたしたいと考えます。
  158. 青野武一

    ○青野委員 そうするとホールの家賃の滞りが、私の御質問したように大体三百万円程度はあるのですね。
  159. 若松宗一郎

    ○若松参考人 最初にお断わりしたいのは、きょうどういう御質問があるかわかりませんから、あまりそういう資料は持ってきておりません。そらで覚えておるのですが、大体三百万円くらいだと思います。
  160. 青野武一

    ○青野委員 いろいろな関係者にお貸ししておる飛行館の家賃、それは大体一カ月どれくらい入るのでしょうか。
  161. 若松宗一郎

    ○若松参考人 これもこまかいものはないのですが、実は全部入れば大体二百五十万くらいでしょう。ところがこう申すとまことにおかしいのですが、ホールはただいま申すような状況、それからそのほか飛行機関係の方々に大部分お貸しているのですが、航空界のそういう方面ははなはだ金回りが悪いのでしょう。払いがなかなか迅速じゃない。ですからどれもが幾らかずつ滞っていて、二百五十万くらいのものは全部入った場合の話です。
  162. 青野武一

    ○青野委員 荒木航空局長お尋ねします。航空協会の監督官庁を代表して理事に、お名前を出しておることは、道義上からもおもしろくないと私が言ったその内容は、今のようないろいろな事情がありましょうけれども、借った当時は四十七万五千円、これは必ずしも高いのじゃなくして、もうけるときはやはり八十万円も九十万円ももうけている。払う意思がないだろうかと私は思っているのですけれども、こういうことがいまだに——金のことですからなかなか取りにくいでしょうが、こういう問題。それから航空局長理事をしておられるというその協会の中に、運輸省は、課長をしておった人と思いますが、航空局の役人を二人送り込んだはずです。あまり経理の乱脈にあきれ返って、あなたが御紹介した課長はすぐにやめられたはずです。もう一人の人は事業課長か何か、課長の肩書きを持っておる人が、協会の備品であるポータブルの英文タイプライターを黙って盗んでいって質屋に入れた。そういうことを知らないから告発した。芝の愛宕警察署に訴えられてこれが問題になった。そういうものに経験があっても、航空局の古手官僚を無理押しに押し込む。英文タイプライターを盗むことがいいか悪いか考えてみればわかる。しかも課長なんです。これは芝愛宕警察署で問題になった。一例をあげるとこういうことがとにかく次々に行われておる。そういうところ航空局長理事として名前が出ておることは、あなたもどうも一緒じゃないかというように疑われることがお気の毒であるから、こういうところ理事は、監督官庁の責任ある局長であればできる限り——いろいろな関係もありましょうが、理事という肩書きをお貸しすることは、何ども将来に問題が起ることではないかと思ったから申し上げたのです。  これは郷古さんにお尋ねいたします。あるいは若松さんがかわって御答弁してもけっこうです。芝愛宕警察署に、英文タイプを身売りして、しかも取られたという誤解のもとに警察ざたになった。その事業課長はどうなっておるか。警察事件というものはうやむやにされたのかどうか。私もかなり調べておる。だからそういうような点はやはり経理の一種の乱脈なのであります。若松さんも、郷古さんも、それは課長があったことだということでは通らない。こういう点についてはどういうふうに結末をつけたか、お尋ねしたい。
  163. 若松宗一郎

    ○若松参考人 ただいま航空局から送られた課長が、一人は経理の乱脈、一人はタイプライターを盗んだというお話ですが、一人は大分前にやめました。これがやめたのは私の承知いたしておりますところでは、航空協会の月給が非常に安い、これは事実安い、もっとも比較上の問題ですが、職員の月給が安いということで、ほかへ移ったということを聞いております。それからもう一つのタイプライターの件は、いささかおっしゃるところとは違いますが、まことに遺憾なことですが、ある職員がタイプライターを取ったというより、かってに処分した、こういうことはありました。それは航空協会の事務職員がポータブルの英文タイプですが、それを家へ持っていって、家でよく仕事をしておる男でありますが、それで家へ持っていった。その間にこれを、実際は質屋に入れてしまったわけです。じきに数日中にタイプライターはないわということで、事務局の騒ぎになりまして、そうして彼が持っていったじゃないか、どうしたのだろうとみな聞いたわけです。ところが彼はそういうことは知らないということなので、これはどうしても私ども考えとしては、不問に付するわけにいかぬ。御承知のようにああいうところでありますから、外から来て取ったとは思われないわけです。それだから協会内の職員のしわざであるまいか、しかしながら今になってお前怪しいといって調べた日には、人権じゅうりんだということになりますから、これは所轄の愛宕署にこういうことがあったということを届け出た。こちらから届け出たら彼も驚いたと見えまして、タイプライターを持ってきて、その上に辞表をつけて参ったわけであります。そこでわれわれが協議しまして、まあ若い者であり、そうしてみずから辞表を持ってきたというので、これも本来ならば何というか、懲戒解雇にするのが本来でありますが、本人の前途ということも考えまして、これは依願解雇ということにし、そうしてそのタイプライターの保管に当っておる者は戒告を与えました。そうして一方愛宕署へもこちらから届け出たのでありますから、これはこういうふうにしたから、本人のために一つ将来のことを考えてやってもらいたいということを一言申し上げまして、愛宕署の了解をつけました。それからもう一言申し上げたいのは、ただいまのタイプライターの件、それから前にやめた人、いずれも航空局が積極的にこちらへ送り込んだというお話でありますが、この点は協会の方へこれらをエキスパートとして、協会の方からもらい受けた、そういうのが実情であります。
  164. 青野武一

    ○青野委員 そうすると責任をとってその方はやめられた。それで結末がついて、警察関係も片づいたということに了解してよろしいのですか。
  165. 若松宗一郎

    ○若松参考人 私どもの承知しているところでは、さように解釈されていいと思います。
  166. 青野武一

    ○青野委員 それでは若松さんにお尋ねしたいと思いますが、大体家賃としてみんな入れば二百五十万円ある。少しずつ滞納しておるから二百五十万円はりっぱに入らないが、大体全部集まれば二百五十万円ある。それは大体現金でお残しになったり、あるいは備品を充実したり、あるいは公正なる使途があると思いますが、航空協会に少しばかり関係のある人が、航空協会の仕事でないことで外国に行く、そういうときに常任理事の人、会長、副会長あたりが五、六人寄って、この財団法人の金を何十万円かせんべつにやるといったようなことは、いつも行われておるのですか。
  167. 若松宗一郎

    ○若松参考人 それはどういうことをおさしか、具体的にもしお調べでおわかりだったら、ヒントでもおっしゃっていただければ、わかっていることは申し上げたいと思います。
  168. 青野武一

    ○青野委員 この財団法人の公金というものは、筋の通らないことに使うべきではない。やはり会計検査院が政府機関に監督権を持っておりまするように、運輸省が指導監督をしておれば、こういう点についても局長さんあたりはかなり注意してもらわなければならぬ。たとえば常任理事の人がアメリカに行く。協会の用じゃないのです。協会の用事で行ったのなら、三十万円でも五十万円でもせんべつをやることは仕方がないかもしれないが、戻ってきて一片の報告書も出さない、協会の仕事で行ったのじゃない。それに五、六人の人が寄って、公金である協会の金を何十万円せんべつにやる、そういうことは当りまえかもわかりませんが、そういうことをやるならば、このごろは国会議員はどこへでも行きますが、それで一々もらいに行ったら、三十万円でも五十万円でも出しますか。そういう筋の通らないやり方を今までやっておるのか。私の知っておるこの一件で済んでおるのか、そういうことを聞くのです。
  169. 若松宗一郎

    ○若松参考人 参考人ですから事実だけ申し上げるのですが、それはおそらく日航のサンフランシスコ航路が初めてできましたときに、協会で協会長とだれか理事のうちから一人招待をされたわけです。それでだれが行くかということをいろいろ検討しておりましたが、結局大木君という常任理事の人が行くことになりました。といいますのは、この人は読売の地方部長もやっておりまして、読売新聞の地方部長としても招請を受けたというようなことだと思います。それならばそう大ぜい行ったって何だから、君行ったらいいじゃないかということで行ったわけです。その際に、アメリカには協会みたいなものがあるわけなんです。世界中のそういう連中と会っていろいろ交歓するということが一つ、それから向うの航空界の実情を調べてくるという意味で、たしか二十万円だか出しました。これは航空協会の用を委嘱したというようなことなんです。向うへ行くについて、幾ら日本の招待飛行でも二十万円ぐらいでもちろん足りるわけはないのですが、こっちの方はそういうようなことにやってきてくれというようなことで出しました。ですから筋の通らない金は出しておらぬと思います。これは事実だけを申し上げます。
  170. 青野武一

    ○青野委員 それでその内容がよくわかりましたが、こういうことが四、五人で平気で行われておるということが、社会から疑惑を招く一つの原因になると思いますから、私はお尋ねをしたわけであります。  そういうことであれば、外国の資料に基いて航空協会にプラスになるような報告が行われましたか。それが一つと、日本の国内には航空文化スポーツの団体が大体三十くらいあるということを私は聞かされております。たとえば日本グライダー競技連盟、日本模型飛行機競技連盟、日本学生航空連盟、日本婦人航空協会、九州グライダー協会、こういったような団体が今申しましたように三十ばかり全国にある。日本航空協会の使命は、日本航空株式会社のような営業をしておる団体とは何の関係もないはずであって、これは結局私が申しましたように、民間航空なりあるいは航空文化スポーツの団体を適正に指導し、あるいはこれに援助していくという世界航空連盟の日本支部が、日本航空協会であるということを私は承知しておるのでございますが、こういうような三十ばかりの民間団体のあることは、あなたの方でお調べになればすぐわかりますが、二十八年の一月二十四日に日本航空協会が再発足してから、こういったような民間の団体に対しては、今までほとんど財政的援助が行われておらない。滞納がなければ一カ月に二百五十万円の家賃がひとりでにふところの中にころがり込んでくるのだが、そういう方面にはほとんど金を使わない。しかも一年に一度広く国内の航空関係者から浄財を集めて、足らないところとかあるいは必要な施設をする場合とかに寄付を集める、こういうことも聞いております。今までこういう民間事業関係者に財政的援動をしておるのかおらぬのか、私の聞いた範囲では——ことしの予算は別です。ことしの予算はグライダー一台について二万円で、百万円の予算が組んであるということですが、去年もおととしもまるきりそういうものはない。そうするとあなた方が五、六人で二百五十万円の家賃を何に使っておるか、公表しないでおる。たとえば向島の百花園、交詢社、そうして自動車に乗れば、自動車というものはここにつけてあるように千代田区麹町有楽町一丁目安全交通株式会社日比谷営業所、これがあなた方の使用しておるところの車である。この車でも車賃が五万円要るところを十五万円あるいは二十万円とつけてみても、われわれにはわからない。大体その二百五十万円の使途がどうなっておるか。民間団体に対してはこれっぽっちも寄付なんかしてない。一カ月に一回機関紙を出すだけです。あなた方何をしておるのだ。これは世界航空連盟の日本支部なんですよ。民間航空団体の指導者が民主的にあの建物の中に入って、民間航空事業の発展と適正なる指導をやっていくのでしょうが。そういう人たちであるが、こういうような問題が次から次に起るのです。荒木局長さん、聞いておりますか。あなたが理事をしておるこの協会は、こういうことをやっておる。ちょっと一口言うてあげても、郷古さんは物わかりのいい人ですからすぐ改めてくれると思うのですが、今日まで放任されておるから、私が運輸委員会で言わなければしようがないようになってしまう、こういう点。それから一部使用者の車馬賃と称する経費とか、あるいは飲食費とかいうものはかなり膨大だと思うが、そういう点を局長御存じになっておるか。  それからもう一つ、常任理事の一人の方が、去年の二月から協会の備品として購入した写真機、これは時価に見積って八万五千円くらいするでしょう。それを去年の三月ごろに持ち出して、現在に至るまで一年四カ月の間戻してない。何のためにこの写真機を買うたかということを調べてみますと、これは協会の出版物に載せる写真をとるために購入した。だから備品であり、公品である。それがそのカメラをもってあなた方の出版物にどんな写真をとられたか、ネガフィルムを一緒にお出しを願えばはっきりすると思う……。
  171. 臼井莊一

    ○臼井委員長代理 ちょっと青野君に一言申しますが、参考人は日本航空株式会社法の改正に対する意見を拝聴するために御足労願ったのでありますので、その趣旨に沿って御質問を願いたいと思います。
  172. 青野武一

    ○青野委員 こういう点について、金はわずかに八万五千円ですが、これは協会の備品なんです。そういうものが自分で旅行するから一週間とか十日とかちょっと郷古会長の了解を求めて持っていって、景色のいいところの写真をとってくる、出版物に必要な写真をとってくるといいますが、すでに持っていって一年四カ月持ってこない。こういうことを私は内部の人から聞いている。こういうことも一つの紊乱事項だと思う。あれが持っていったからしようがない。そのうち一年か半年するうちに個人のものになってしまうというルーズなやり方では、協会の将来の発展というものはございません。こういう経理の乱脈について、航空局として何かこれに警告を与えられたか、局長は全然御存じなかったのか、知っておっても知らぬ顔をしておったのか、知っておって警告を与えたかどうか。そういう点を私は局長にお伺いしたい。   〔臼井委員長代理退席、委員長着席〕  それから郷古さんには、キャノンのカメラ、これで協会の出版物に載せる写真をどのくらいおとりになったか。私の知るところでは一枚もとってない。写真機は買うたが、個人のものみたいになってしまっている。こういう小さいことでも考え方が間違っておる。その点について一つあなたから伺いたい。
  173. 若松宗一郎

    ○若松参考人 私から郷古氏にかわってお答えいたします。ただいま援護といいますか、そういうようなところへさっぱり金を使っておらぬとおっしゃいますが、これはいささか違いまして、相当その方面に使っております。しかしながらこれはどういう関係か、毎年あっちこっちから膨大な援護をしてくれと言うてくるのです。これでは事実上協会にどれだけ金があったってやれるものではないわけですから、これは適当に査定して各方面に相当前からやっております。  それからもう一つ写真機のお話ですが、これはもう御存じでしょうから、ざっくばらんに申し上げますが、写真機を買いましたのは去年の春ごろでしたかいつでしたか、それから去年の八月ごろに大木理事が大阪の方へ協会の用で参ったわけであります。そのときに向うの方の何かを写そうというわけで、それを携行したわけです。それで帰りにちょうど読売の飛行機の便があったものだから、大木君はそれに同乗して帰ってきた。ところがこれは当時のことはおわかりでしょうが、その読売機が羽田に着く直前に、羽田の沖で不時着といいますか、海の中へもぐってしまったわけです。それでその写真機もやはり海の中へ入ってしまったわけです。ところがその後読売機を引き上げたわけです。そのときにあるいはもう写真機はだめか、どうなったかなと思ったのですが、読売機を引き上げてみましたら、機内に写真機があった。それでこれを目下大木氏が修理をしているわけです。ところがこれは実際に使えますかどうですか、もう修理ができて今テストをしているそうですが、何しろ水につかったものですから、うまく直るかどうかわかりませんが、そういうような事情が事実なんでございます。
  174. 青野武一

    ○青野委員 委員長から御注意がありましたので、ようやくここで日本航空の改正法案の関係に移りますが、私が今までに申し上げましたように、大体運輸当局の話し合いというか、監督というか、公正なる指導というか、そういうものが十分になされておらない。日本航空協会という日本航空株式会社に比べてずっとこまい財団法人、公益性を持った財団法人の指導もあるいはその連絡も十分とれないで、あなた方の現役官僚の大先輩、それから銀行やあるいは官僚の先輩、それから教育界から言論界から、あの日本航空株式会社の羽田に相当大物が集中しておるのを、今度の改正案で運輸大臣がこれに指導監督をする。事業計画、資金計画、予算、そういうものについて認可制をとって、その執行権にまで立ち入ってこれを変更する権利まで持っている運輸省が、日本航空協会というものの内部の、わずかなことでございますが、こういうものの指導も十分できないで、日本航空株式会社を、三十億円の国家出資があるからといって、果してこれの指導や監督ができるかどうか。大臣が直接なさるのじゃない。私はおそらく大臣にかわって航空局長がおやりになると思うが、こういうこともできないで、日本航空株式会社の、各界の優秀な人がずらりとそろっておるところの監督が果してできるかどうか。私はそういう点で航空局長がどういう所信を持っておられるかということを承わりたい。  それにあわせて、運輸当局は、大体今まで私が質問をいたしました内容について、それぞれに苦しい御答弁がありましたが、このような経理にある程度の乱脈があり、いろいろな問題が起っておりまする点について、日本航空協会の人的構成を一部でもあるいは全部でも改ためて、一応全国の民間航空事業関係者、航空スポーツ、こういう諸君の代表者を集めて、あれが土地と建物と格納庫その他で五億円か四億円かよく知りませんが、今の人たちが構成をしておる内容を一部分改めて、ほんとうに民主的な組織にする。私は航空協会の発展のためにそう持っていくのが当然であると思いますが、航空局長はそうはお思いになりませんか。
  175. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 日本航空協会がいろいろな民間の航空団体の中心となって、そうして相互に連絡をとって、日本の民間航空思想の普及の全国的な中心機関になることは、念願しておったのであります。この点につきましては青野委員趣旨と全然同一でございます。なお監督につきましては、実は全然昔と違いまして補助金も出しておりませんので、現在民法規定だけでございますが、監督につきましては実は先ほど申し上げましたように、予算、決算のスクリーンでございます。御指摘のように事実は一、二聞いたものもありましたけれども、全然新しく聞いた事実の問題もありますので、十分そういう点も勘案して善処したいと思います。
  176. 青野武一

    ○青野委員 この点について、河野政務次官はお聞きになっていらっしゃったでしょうが、今私は二十四項目ばかりを、二つ三つ合せたり、単独で一問一答のお尋ねをして、もうほとんど最後でございますが、こういうようにたとえば写真機の持ち出しであるとか、あるいはアメリカに行くときに、公金である協会の金を二十万か三十万かせんべつにやったとか、あるいは英文タイプライターを、課長の立場に立っておる者が盗んで持っていって、質屋にたたき込んで、愛宕警察の問題になったり、それは内部で話がついたが、そういうように協会の品物を自分のもののように考えてやられるということは、とにかくこれは公正を欠くのです。私は郷古さんを初め現役の幹部、常任理事とか会長、副会長が不適任だとは申しません。航空業界に非常に優秀な経験を持ち、また技量もすぐれておられる、その点は認めます。けれどももう少し協会の門戸を開放して、航空スポーツあるいは文化というものに対して、民間の学生連盟であるとか、グライダーの競技連盟であるとかいうような、三十ばかりの機関の代表者を集めて、そういうものも含めて、そして協会を維持し、経営し、緊密な連絡をとって民間航空の発展のために努力してもらわなければならぬと私は思うのです。大体これは大臣に対する御質問であったのですが、きょうは河野次官は大臣の代理でおいでになっておりますので、この航空協会を民主的に再建をして、そして公正な処置をと思っておるが、こういう点についてはどういうお考えを持っておられますか。
  177. 河野金昇

    ○河野(金)政府委員 おっしゃることはよくわかりますが、どういう財団法人の内部にまでわたって運輸大臣が人事の問題なり、あるいはいろいろな計画なりに干渉と申しますか、指示を与えるというようなことが、果してできるかどうか。こういうような問題はなるべく自主的に、民主的に内部からやっていただくことを希望し、そしていい案を御報告願うことを実は期待しているわけであります。同時に先ほど来いろいろお話もあったようでありますが、そういう協会に現職の航空局長が平理事ではあるけれども、決議機関であるところに名前を連ねておるというようなことは、あまり感心したことでないと思いますし、航空局長自身も先ほどやめたいと言っておりますが、私の方もこういうものはやめてもらう。同時に今青野委員の質問の内容を承わっておるわけでありますし、また郷古会長あるいは若松さんもお聞きになっておったようでありますから、本来の目的に向って協会を運営していっていただけることを私は期待をいたしまして、そういう報告が一日も早く運輸当局にももたらされることを心から願っております。
  178. 郷古潔

    郷古参考人 私は参考人として質問に答える立場にあるのですが、こちらが意見を申し上げて差しつかえなければ、先ほど来青野さんからいろいろ御注意があり、また御意見があったのでありますが、その中にはずいぶん事実と違っておるものがありました。一例をあげて言いますれば、先ほど本年の予算にはあるかもしらぬけれども、従来はグライダーその他に対する奨励は何にもやらなかったのではないかということがありましたが、これは一昨年航空協会が発足当時から毎年やっております。むろん決して十分とは申しませんが、今後ますますわれわれはその方面に努めて、ことに次代をになう青少年に対する援助は、協会の財力、身分の許す限りやる考えでおります。御注意もありましたが、今後もそのつもりで大いに勉強するつもりであります。  それから次に航空局の監督権と申しますが、先ほど局長からも御説明がありましたような工合に、今日は御承知の通り軍部はありませんので、航空協会というのは直接間接全く国の御援助はこうむっておらぬのでありますから、先ほどのように普通の民間の協会としての監督にとどまっておるのです。はなはだ失礼でありますが、私どもはともかくも航空協会は独立自主の態勢を保持して、事情の許す限り航空界に尽したいということであります。  またもう一つ申し上げますれば、経理の問題、これはいやしくも公けの性質を持ったものは、その点においてはよほど慎しんで、周囲の非難をこうむらないようにしなければいかぬということで、私どもも経理の方面には十分信頼のできる者を充てております。先ほど来御注意がありましたが、何ら省みて非はないということを申し上げて、今後ますます積極的方面に精進したいという私の決意を申し上げまして、航空協会に対して今後十分の御鞭韃、御指導を願いたいと思います。
  179. 青野武一

    ○青野委員 最後にお尋ね申し上げたいと思いますのは、航空日に非常に盛大な行事が日本航空協会の手によって行われました。しかし私が昨年の七月二十四日から九月の十七日までヨーロッパ十四カ国と、それからアメリカ、カナダを回ったのでありますが、ほとんど飛行場におりて飛行場から立ったのですが、特に一時間も二時間も早く行って、各国の飛行場あるいは経理の内容、運営の実態ということについては、多少経験を積んできたと思いますが、パリにありますところの国際航空連盟、日本航空協会はこれの日本支部でありますが、第一は航空文化、スポーツに関する国際的な連絡事業、第二が国内の団体、個人の連絡、第三が航空事業の調査研究、そうして国際的に緊密なつながりを持つように献身的な御努力をしていただかなければならないのが——直接にはそういうような非難はないかもわかりませんが、私の調べた範囲では言論界にしても、あるいは航空界にしても、日本航空協会に対しては相当峻烈な批判が行われております。そういう点については六月十日の運輸委員会で二十六項目ということを航空局長に申し上げたのでありますが、実はもう十五項目あるのですが、私は質問内容の三割を残しておきます。そうして今の協会の改むべき点は、これを勇敢に近日中に改めていただく。そうして監督を受ける受けぬにかかわらず、運輸省と緊密な連絡をとっていくことは大切なことでございます。財団法人日本航空協会は独立をして、だれからも補助をもらっていないし、政府の監督も不必要だというような態度をとられるならば、私はあとに残っている三割の質問内容をもって、また日を改めてお尋ねするようになるかもわかりません。こういう点に対して運輸当局の態度と、協会の幹部の方のある程度の反省を求めまして、本日の質問を終りたいと思いますが、ただいまのお祭騒ぎの点については、各国ではどこもやっていない。おそらく日本だけであります。そういうむだ金を使うところがあれば、グライダー競技連盟その他の民間航空の関係者に、補助をやっても差しつかえないのではないか。航空日のお祭騒ぎというものは結局飲み食いに終始するが、世界のどこをたずねたってそういう国はありません。もしあったら教えていただきたい。日本だけなんです。そういう点を一つ御注意をして、私の質問を一応終りたいと思います。
  180. 井岡大治

    ○井岡委員 関連して。荒木局長にお尋ねしたいのですが、昭和二十九年度の日航の損益計算書の中に、一般管理及販売費合計九億一千九百七十九万幾らの金が出ております。それから営業外費用として上期下期を合せまして八億四千四百七十五万幾らの金が出ております。これはどういうところへ使われたのか、お尋ねをいたしたい。
  181. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 今のをちょっと聞き漏らしたのですが、日航でございますか。
  182. 井岡大治

    ○井岡委員 日航の一般管理及販売費として、九億一千九百七十九万七千幾らの金が出ております。それから営業外費用として八億四千四百七十五万幾らの金が出ております。これはどういう種類の金か、この点をお尋ねしたいと思います。
  183. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 一般管理費四億九千、この数字でございますか。
  184. 井岡大治

    ○井岡委員 合わせて九億……。
  185. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 一般管理及販売費は、社長給与その他、いわゆるそういった総係費的な経費でございます。営業外費用は、その大部分が借入金の利子でございます。
  186. 井岡大治

    ○井岡委員 そうしますと収入の大多数を社長以下の給与その他の費用に使っているということになるのですが、その点はどうなんですか。私は少くとも営業外費用とか、あるいは管理販売費とかいうようなものは、おそらく外郭団体にかなり出ておるのではないか、こう思うのです。しかしこれがいわゆる役員の費用だ、こういうことになりますと、これは非常に大きなことになりますし、今の郷古参考人が言われましたように、一銭も金が出ておらない、こういうことになりますとこれまた大きな問題になってきます。従ってこの問題に対して明らかにしていただきたい、こう考えております。
  187. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 その辺の数字に詳しい課長から、詳細な数字の内容説明いたさせます。
  188. 巻幡静彦

    ○巻幡説明員 日航の一般管理及販売費の内容は、こまかく申しますと、一般管理費と販売間接費に分かれるわけであります。それで一般管理費と申しますのは、役員の給料、これが下期の決算、すなわち九月から三月の決算で申しますと、総計して一億円をちょっとこえております。そのうち役員報酬が七百五十五万円、それから総務でありますとか企画でありますとかいう職員の給与、これが一千八十六万と、海外へ二百五十一万円出しておりますから、合計約二千万円、それに対してまた家族手当、職務手当その他がつきまして、それから本社の建物の減価償却費でございますとか借料でございますとか、そういったものがついて、一億六百万円程度になるわけでございます。  それから一般管理及販売費の中に入っております販売間接費でございますが、これは羽田におります連中とか、そういった営業関係をやっております経費が全部これに入っております。その内容といたしましては、給料手当その他約八千万円程度がございます。これは本社で六千四百万円、本社中央営業所、東京支社、大阪支店、神戸支店と、それぞれ内容が分れております。それから同じくそういう営業所あるいは飛行場の建物の賃借料でありますとか、光熱費、そういったものがこの中に入るわけでございます。合計いたしまして、これが下期の決算で二億六千万円程度になっております。
  189. 井岡大治

    ○井岡委員 四億二千八百万円と書いてあるのはどういうわけですか。
  190. 巻幡静彦

    ○巻幡説明員 でございますから、今の一億円と——それは下期の決算でございますか。
  191. 井岡大治

    ○井岡委員 これは上期です。下期は四億九千万円。
  192. 巻幡静彦

    ○巻幡説明員 ただいま申しましたのが一億と二億六千万円でございますけれども、そのほかに一般管理及販売費の中には、代理店手数料、貨客陸運費、つまりバス代その他でございます。それから臨時貨客費、これはたとえば飛行機が不時着する、三沢によんどころなく着陸する、そういった場合の経費、これらが入っておりますが、これを大まかに申しますと、代理店の手数料、これは国内線につきましては五分、国際線その他については七分払っておりますが、これが九千五百万円、これは従って営業成績が上れば逐次ふえていく性質のものでございます。それから貨客陸運費のバス代その他が下期で二千四百万円くらいです。同じく臨時貨客費というのが約五百万円程度でございます。合計いたしまして四億九千万円ということになっておるわけでございます。
  193. 井岡大治

    ○井岡委員 営業外費用は……。
  194. 巻幡静彦

    ○巻幡説明員 営業外費用は、支払い利子が下期で申しますと二億円になります。それから操業費の償却、これは最初にできますときの経費を資産勘定でたな上げをいたしまして、五カ年間で均分償却をしております。これが四百二十五万円、それから株式発行費の償却か四百三十二万円、それから開発費の償却が三億一千四百万円、開発費というのはアメリカにやりますときに、初めに試験飛行をする、これは営業収入がございませんので、一応その費用は全部開発費にする、あるいは乗員の訓練をする訓練費は開発費として五カ年間で償却する、こういうことになっておりますので、その償却費が下期で三億円ほどになっております。主として乗員の訓練費が大きいわけでございます。それから為替の交換差益金、あるいは雑損というようなもので、五億七千万円計上しております。
  195. 井岡大治

    ○井岡委員 そこで大体わかりましたが、私はなおこの問題については非常に大きな問題をはらんでくるのではないかと思うのです。と申しますのは、運航直接費のほとんど三分の一がこれに使われておるというようなことでは、実際どうなるのか、こう考えるのです。さらにまたここでもう一点お尋ねをいたしたいのは、日航の整備工場の方ではかなりの収益を上げておる。しかし一方のこういう直接やっておる事業については赤字を出しておる、こういう点に非常に疑惑を持たざるを得ないのです。従ってその間の事情をさらに詳しくお知らせをいただきたいと思うのです。
  196. 巻幡静彦

    ○巻幡説明員 御説明申し上げます。一般管理費と申しますか、運航直接費とその他の間接費との割合でございますけれども、これは世界的な通例で申しますと、大体五十対五十、あるいは間接費の方が若干多いというのが普通でございます。ところが日航の場合には、今御指摘になりましたように、間接費の方が直接費に比して非常に割合が少い。これは会社のあり方としては、パーセンテージだけから申しますと、非常にいいあり方だと思います。世界的な水準からいいますと、この点はむしろ間接費で、つまり節約できる面では相当節約しておる。しかし油代とか整備費とか、そういった節約できない面では、これはしょうがないということではないかと思うのであります。  次にお尋ねになりました整備費が非常に高いのではないか、それからそのために別会計である日本航空整備会社がもうけておる、この点はどうかというお話でございますが、整備費がマイル当りにいたしまして相当高かったことは事実でございます。これはわれわれもいろいろ分析したわけでございますが、逐次整備費のマイル当りのあれが下ってきりておます。やはり機数が少くてやっておりましたとき、あるいは非常に短かい距離、たとえば大阪−名古屋間というようなところ、ふあっと上ってすぐおりるというようなところは、エンジンを非常にいためますので、そういう点をだんだん合理化してきて、最近非常に下ったのではないかと思っております。実はこの下期の予算では、予算と決算とを比較してみますと、一億四千万円ほど整備費が節約になっております。これは部品その他を含めましてです。ただ日本で整備費が若干高いのはある程度やむを得ない点もございます。というのは、たとえばエンジンにいたしますと千時間に一回ばらしておりますけれども、外国では千五百時間くらいで一回ばらしておる。そうすると手数や部品などのあれも外国に比べて五割方多くなる、こういう点がありまして、どうしても若干今の技術水準ではある程度やむを得ないと思います。だんだん技術水準が上ってくると、そういったように逐次整備費が下ってくる、かように考えております。  それから日本航空整備会社がもうけているのではないかという話でござましたが、日本航空整備会社はこの前の前の決算までは一割の配当をいたしておりました。一割の配当をいたした結果、日航が大体三分の二以上の株を持っておりますので、その大部分を日航に還元しております。なぜ一割の配当をしたかといいますと、一つはそういう配当をつけることによって、日本航空整備会社として借金をするというのに便宜がある、こういう関係でやっておったのであります。しからば幾ら借金ができたかといいますと、約四億円ほど借金ができております。それから最近は配当をつけておりませんし、実際これは会社の経営上の技術だというふうに考えておりますが、最近は配当をいたしておりません。以上でございます。
  197. 井岡大治

    ○井岡委員 非常にりっぱな御説明を聞いたのですが、しかしだれが考えても下期において一億二千万円節約ができるというその整備の仕方というもので、現在金がもうからないというようなことは考えられないことなんです。それで今まで一億二千万円というものをもうけ過ぎておった、こういうことになるわけです。しかもそのために四億円の借金ができたなんということは、だれが考えても考えられないことなんです。従って今の御答弁はせっかくの御答弁ではございますけれども、私は満足はしません。従ってもう一度もっとまじめに答弁をしていただきたいと思う。
  198. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 日航が非常に赤字を出したということの原因を探究してみますと、収入面と支出面でございますが、収入面におきましてあれほどたくさんの人が乗っておるわけでありますが、お客さんの乗り方からいえばりっぱなんでありますが、それが赤字が出るというわけで、収入面で見ますとやはり運賃が少し安過ぎる。この点につきましてはいろいろ外国の実情も調査しまして、外国とのマイル当りの例とも比較いたしまして、六月一日から十八円六十銭前後にいたしましたが、それでもヨーロッパの三十円前後に比べますとまだはるかに安いわけです。日本では汽車その他が安うございますので、そう勝手に上げるわけにもいきませんので、これが限度ではなかろうと思います。収入面はその程度でございますが、御指摘の整備費が高いということは、御指摘の通りでございまして、これを安くするということが、今後の日航の経営の重点に置くべきことだと考えておるわけです。ところが今課長が申し上げましたように、何しろこちらで始めまして割合日がたちませんので、エンジンのオーバー・ホールは千四百時間とか、会社によっては千五百時間でやっておりますけれども、日航はいきなりそこに持っていくという自信がございませんので、実は八百時間から始めまして今千時間、やがて千時間までに持っていきたいということで逐次やっておりますから、そういうふうな日本がおそく出て経験のないということからくる点があると思いますが、いずれにしましても整備費が高いということが非常に経営を圧迫しておりますので、あらゆる努力を払って整備をやるべきだと思っておりますし、われわれもそこを希望しておりますし、日航内の方も今後さらに一そうその点に力を入れていきたい、こういうふうに思っております。
  199. 原健三郎

    ○原委員長 ほかに質疑はありませんか。なければ本日はこの程度にいたします。次会は公報をもって御通知申し上げます。これにて散会いたします。   午後三時五十六分散会