運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1955-06-10 第22回国会 衆議院 運輸委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月十日(金曜日)    午後一時三十三分開議  出席委員    委員長 原 健三郎君    理事 有田 喜一君 理事 今松 治郎君    理事 木村 俊夫君 理事 山本 友一君    理事 青野 武一君 理事 中居英太郎君       岡崎 英城君    上林山榮吉君       椎名悦三郎君    中嶋 太郎君       濱野 清吾君    堀内 一雄君       眞鍋 儀十君    關谷 勝利君       徳安 實藏君    永山 忠則君       畠山 鶴吉君    井岡 大治君       栗原 俊夫君    正木  清君       山口丈太郎君    池田 禎治君       大西 正道君  出席政府委員         運輸政務次官  河野 金昇君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      植田 純一君         運輸事務官         (自動車局長) 真田  登君         運輸事務官         (航空局長)  荒木茂久二君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   岩尾  一君         参  考  人         (財団法人航空         協会会長)   郷古  潔君         参  考  人         (日本ヘリコプ         ター輸送株式会         社社長)    美土路昌一君         参  考  人         (日本航空株式         会社社長)   柳田誠二郎君         参  考  人         (国際観光協会         理事)     犬丸 徹三君         参  考  人         (日本興業銀行         融資第二部長) 東垣内雄次君         参  考  人         (警視庁警ら交         通部交通第一課         長)      鈴木  実君         専  門  員 堤  正威君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 六月十日  委員永山忠則辞任につき、その補欠として松  山義雄君が議長指名委員選任された。 同 日  委員松山義雄辞任につき、その補欠として永  山忠則君が議長指名委員選任された。     ————————————— 六月八日  西唐津駅、呼子町間の鉄道敷設促進に関する請  願(保利茂紹介)(第二〇四七号) 同月十日  国鉄加古川線滝野駅に快速列車停車の請願(田  中武夫君紹介)(第二一〇一号)  同(山口丈太郎紹介)(第二一三六号)  自動車損害賠償保障法案の一部修正に関する請  願(小澤佐重喜紹介)(第二一一八号) を本委員会に送付された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人招致の件  日本航空株式会社法の一部を改正する法律案(  内閣提出第九三号)  一等寝台車変更措置に関する件  タクシー料金問題に関する件     —————————————
  2. 原健三郎

    原委員長 これより運輸委員会を開会いたします。  本日は日本航空株式会社法の一部を改正する法律案について、参考人各位より御意見を聴取いたすわけでありますが、この際委員長より御報告申し上げたいことがございます。  すなわち前回の委員会において御決定いただきました参考人のうち平山孝君と後藤一郎君が余儀ない事情によりまして御出席いたしかねる旨の連絡がございましたので、その補充として国際観光協会理事犬丸徹三君、及び日本興業銀行融資第二部長束垣内雄次君を参考人として、御意見を承わることにいたしました。さよう御了承いただきます。  なお参考人各位に申し上げたいのでございますが、本日は大へん御多忙中貴重な時間をおさきいただきまして、当委員会ために御意見を承わる機会を得ましてまことにありがたく、この機会に厚く御礼を申し上げる次第でございます。  なお本法案要旨は、さきにお手元にお送りいたしました提案理由で御承知かと思いまするが、今年度予算におきまして、政府日本航空株式会社に対しまして十億の出資金と三億五千五百万円の補助金を交付いたすことになります。これによって日航の払込資本政府出資三十億、民間十三億となるわけでありますが、これに伴いまして政府監督権を強化し、役員人数を削減するとともに、全役員政府認可制にいたし、毎年度事業計画等を同じく政府認可にかけようとするのが、本改正案要旨であります。これに対する参考人各位の忌憚のない御意見を承わりたいと存ずる次第でございます。  御意見の陳述は、お知らせいたしておきましたように大体十分程度に予定いたしてございます。なお御意見の聴取を終った後、委員各位よりの質疑を許すことにいたしたいと存じますが、郷古美土路参考人は特にお急ぎの御用があるとのことでございますので、この際両参考人には質疑を先に許すことにいたします。まず郷古潔君。
  3. 郷古潔

    郷古参考人 私はただいま御紹介にあずかりました郷古潔でございます。日本航空株式会社法の一部改正法律案に対しまして、参考人として思いつきの意見を申し上げたいと思います。  日本航空株式会社が成立し、また国際線が発足するに当りまして、航空審議会に付議されたのであります。その航空審議会の席上で、むろんいろいろな審議があったのでありまするが、当時、国が半額の出資をいたし大株主になるので、その関係上、あるいは官営式考えを持って政府が臨まれるようなことがありはしないであろうかという心配を、その席上で委員の多数より主張せられたのであります。もとより航空事業は、御承知通り国際的に非常に競争のはなはだしい事業でありまするのと、また一方におきましてサービス事業でありますので、よほどこの運営については考えなければならぬとわれわれ常識的に考えております。この官営が非能率のようなことでははなはだ遺憾だということが、つまりこの席上で起ったもとになりまして、ぜひこれは、たとい非常な出資をしたかもしれぬけれども、それによってこの官営式のことはやめて、一つできるだけ民営式の活発な運営をやってこの事業の発展を期し、またサービス事業としての面目を発揮しようじゃないかというので、そのときの答申案にも実はその点は特に強調して政府に申し入れてあったのであります。そういう行きがかりがありますので、今回のこの改正案は、私ども拝見いたしまして、実はその当時答申案に心配しておったことが、幾らか事実に現われてきたのではなかろうかという意味におきまして、この点を特にこの席を借りて申し上げたいと思うのであります。  今回政府株式会社法改正いたしまして、従来に比して補助助成を多くされるようなことになったのでありますが、この点につきましては会社運営上まことにやむを得ないことであり、あるいは当然なことであります。ことにまた外国の例などを見ましても、この程度補助あるいは援助ということはぜひ会社事業ために必要であると思うので、しごくけっこうなことでありますが、ただこの援助の反面において、これも官の方針としてやむを得ないのかもしれませんけれども監督相当強化せられることを主眼として今回の法律改正を企てたことになったのでありますが、しかしこれは援助ということを言いますと、先ほどちょっと申し上げましたように、航空事業の現段階においては、大体世界各国いずれも独立の採算がりっぱにできておるものはないでありまして、イギリスにしましてもフランスにしましても、あるいはアメリカにしましても、相当多額の援助補助をやっておる実情であるのであります。従ってわが国の今回の補助助成のごときも、必ずしも意とするに足るほどのものではないと思うのであります。  そこで今回監督を厳重にして経営に、言葉は悪いかもしれませんが、干渉せられるような措置をとられるということが、今回の改正の趣旨であるように考えられますし、それがためにただいま申し上げましたような、かねてわれわれの心配しておったことが何だか現われてきたような気がしますので、この点を私どもは少からず憂慮してやまないのであります。そういう考えをもちまして私の意見を申してみたいと思うのであります。  言うまでもなく、国際競争の最も激しい業態であります。そういう関係上、またサービス事業の開拓に向って全力を注がなければならぬのでありますから、できるだけ会社としては自由闊達な運営をさせること、従ってその経営者に対しては十分の信頼を置いて、その経営者すなわち会社創意工夫において、弾力性のある経営をして、りっぱな成績を上げさせるように指導しなければいかぬのではないかと思うのであります。しかるに今回の改正の要点を見ますと、いささかこれに沿わないようなきらいがあるのであります。  個々について申し上げますと、まず第一に役員人事権でありますが、役員は全員これを認可制として、総会の人選に対して、認可政府において与えるということになっておるのであります。従って役員に対する人事権は、実は会社には全然ないといっても差しつかえないと私は思うのであります。むろん実際問題としては、こういうふうな全部の認可権を持つといえども、決してその持っておる認可権をやたらに発動されるということはないでありましょうけれども、いやしくも規定上そういうふうになっている以上は、これはどんなことになるかもわからぬので、やはり役員に対する人事権会社にはないものと言っても差しつかえないと思うのであります。  次に、毎営業年度事業計画資金計画及び収支予算を一々運輸大臣提出をする。そして運輸大臣はさらにこれを大蔵大臣と協議の上で認可をする。その認可によって、初めて資金計画あるいは事業計画運営いたすということになっておるのであります。従って事業的にも資金的にも、会社自身の大いに働く余地はあまりないように見えるのであります。こういう工合に、人事事業資金等関係がほとんど会社経営者自由裁量余地がないようなことでありますので、こうなりますと、まるで官営と言っても差しつかえない。あるいは近ごろの公社と実質上何ら違いがないという批判も、これは当然ではないかと思うのであります。こういうことになりますと、その会社独立民営として立っていく存在の基礎というものははなはだ弱い。言葉ははなはだ不適当ではありますけれども、何だかこれはかかし会社か、ロボット会社みたいな気がするのでありますが、私どもおそれるのは、いやしくもこの会社が世界的に大いに活動しなければならぬ使命を持っておるのに、こういうふうな会社であっては、実は社長、副社長というような方方が、ほんとうに身をもって陣頭に立ってやるというような気魄があるような有望な人が、果して引き受けてくれるかどうかということを、私は懸念するのであります。よほど人のいい人か、あるいはしんぼう強い人でなければ、なかなか引き受けてくれぬのじゃないか。そういう社長などを引き受けてくれる人はないということになると、会社運営上、はなはだわれわれは憂慮にたえぬのであります。そこで私見を申し上げまして恐縮でありますが、私の試案は、社長、副社長の両代表だけは政府の任命として、他の取締役は、従来通り会社選任を認める、会社選任にまかせるという程度でよろしいのじゃないかと考えるのであります。  さらにまた役員の員数につきまして、十名を限るとなっておりますが、現在の定款の上におきましては、二十五名という多数の制度になっております。これは私どもも内容に立ち入りませんから、わかりませんけれども、いささか多きに過ぎるようなきらいがありますので、これを相当程度事情に即して減員されることは、やむを得ないのであります。  さらに毎営業年度事業計画資金計画及び収支予算等を一々許可しなければならぬというような動きのとれぬものじゃなく、十分に研究をさしてこれを報告をさして、実行に移させるということの程度くらいでよかりそうなものじゃないかと考えます。  さらに今回政府出資は三十億、片方は十三億でありますから、倍以上の形になっておりまして、政府の株数は非常に多いのでありますから、ある意味において株主総会政府考えで完全に自由にいくのであります。そこで民間発言権機会を与えるために、政府出資に対する株主権に対しては何らかの制限を加える工夫はなかろうか。これは政府に対する御相談でありますが、適当にその辺お考えを願いたい。  要するに、一番最初に申し上げましたように、航空事業の性質上、国際的の競争に太刀打ちをしなければならぬ。またサービスを完全にやるためには、どうしても民営の長所を大いに発揮することが、ほかの事業より以上に必要じゃないかと考えるのであります。ただいま申し上げた程度監督というか、制限くらいのことで、でき得る限りりっぱな、完全に信頼のできるような経営者を任命していただいて、事業経営の本旨である人事機構関係を十分に活用して、その信頼した社長あるいは副社長をして創意工夫とに基いて、民営の目的を達するように政府においても、協力していただきたい。それがためにはただいま申し上げたくらいの改正をさらに御考慮願いたい。これが参考人としての私の意見であります。
  4. 原健三郎

  5. 美土路昌一

    美土路参考人 私はただいま郷古参考人の述べられました意見に、大体において賛成でございます。私は小さな定期航空輸送会社をやっておりますが、常にその面から感ずることは、航空国策がはっきり出ておらぬ、非常に足りないのではないかと考えておりまして、国策の上から見た今回の日本航空株式会社法律改正という点からと、もう一つ日本航空会社だけの改正案との二つの面から見なければならぬのでありますが、一体日本航空を今後どういう工合に持っていくかという大きな方針がわかっておりますならば、この改正案についてもまた考え方が違うかと存じまするが、現状に対しましての改正案といたしましては、全面的に郷古参考人の御意見と同じように考えます。  自分のやってみました及び日本航空のおやりなっているところを横から拝見いたしまして、航空事業というものは非常にむずかしいものでございまして、ほんとうに長い間のしんぼうと苦労、事業に対しまする創意、熱意、これが十分でありませんと、なかなか経営もうまく参りません。その補助並びに出資増額につきましては、なお足りないと思うくらいでありまして、政府がどんどんこういう工合にして御増額になっておりますことは、心から喜ぶのでありますが、同時に監督権があまりつきますことは、郷古参考人の仰せの通りまことに士気を阻喪させまして、萎縮させるものであります。この点につきましては、この改正はもう少し考え直す必要はないかと思います。実際の運用に当りまして取締役の数を減ずるということも、ある点まで必要かと存じます。また補助金使い方につきまして、いろいろそれを列挙してお渡しになるということも必要であると思いまするが、会社取締役認可は、せいぜい代表取締役だけにとどめまして、他はやはり最も信ずる人を、そして力のある人を代表取締役及び他の面におきまして選んでいく、そうして挙社一致していけるような工合にした方がいいのじゃないかと思います。  それからいま一つ、「事業計画等に関する監督」という項で、第十二条の二及び次の項目がございますが、ぜひともこれをつけなければなりませんならば、私はこの第十二条の改正のうちの第二項の「運輸大臣は、会社に対し、その業務の適正な運営を確保するため」云々とありまして、「監督上必要な命令をすることができる。」とありますが、適正な運営の確保という判定はだれがするかということになりまして、ここに非常に疑義があると存じます。そして「監督上必要な命令」とありますけれども、これもきわめてばく然として、使い方によっては影響が非常に大きいのではないかと考えます。私は飛行会社関係いたしまする前に、多年新聞社におりまして編集の仕事をやっておりましたが、新聞紙法安寧秩序を乱すものということがありまして、ちょうど適正な経営を確保するというようにばく然とした意味でありましたがために、そのときそのときの政府なり当局の御意見によりまして、これが非常にたびたび違って参りまして、全部の言論機関がこれがためにどのくらい障害を受けたかわからぬ経験を持っております。それとこれとは違うようでありますが、この文句がきわめて抽象的でありまして、いかようにでも解釈がつくいろいろな制限を受けております。会社経営者がねらいがほとんどつかないというような状態に陥りはしないか、ますます萎縮するというようなおそれを多分に私は感じます。従ってもし適正なる運営を確保するため監督上必要な命令ということについて、その項目が納得のいく列挙主義になりますれば、経営上非常に楽になるのではないか、またもし列挙主義が非常に困難でありまするならば、例示をして、そうしてこれによって経営方針が立つように例示をするというようなことまでいたしましても、幾らか会社経営者としては標準が立つかと思います。その意味におきましては、この第二項は要らないと思いますけれども法律のことがよくわかりませず、他の仕事の慣例もよく存じませんので、すべて出資をしまた補助金を出すものにこういうものがつくならば、少くとも例示主義にして、例を掲げてお示しになるように願いたいと思うのであります。  要するに私の全般的の考えといたしましては、それほどたくさん変えなくてもよいのではないか。でき得る限りこの事業は、自由闊達なる仕事をして、そうしてその衝に当る人はしんぼう強く困難に耐えてまず中心になる人を認可制度にしておやりになり、事業計画の前に御指定になったら、その間の働きをおまかせになる方がよいのではないか、かように考えております。なお御質問によりましてお答えいたします。
  6. 原健三郎

    原委員長 次に柳田誠二郎君。
  7. 柳田誠二郎

    柳田参考人 私は日本航空会社ができました昭和二十六年の八月から今日まで、約三年十カ月間の会社責任者といたしまして、仕事をして参ったのでございます。その間衆議院の方々の中には、先輩として、また友人として、いろいろな機会会社経営その他につきまして御批判をいただき、かつまた激励をいただいた方が非常に多いのでございますが、法的に日本航空会社につきまして意見を述べますのは、今回が初めてと申してよろしいのであります。この機会をいただきましてまことにありがたく考えておる次第でございます。  なお具体的に日本航空会社法の一部改正に関する法律案についての意見を述べろということで、今日出席の御依頼を受けたわけでありますが、すでにこの問題につきましては委員方々は御承知のことだと思うのでありますが、日本航空会社社外重役並びに石川、石坂、藤山、渋沢、そういう顧問の方でありますが、社外重役の方と顧問の方がこの法律案につきまする意見をまとめられまして、要請書として各方面に配付せられたのであります。あるいは委員方々もごらんをいただいたかと思うのでありますが、これには私ども現業重役は直接には関係をいたしておりませんので、この法律案改正につきまして意見を私が述べますのは今日が初めてでありますので、さように御了承を願いたいと思うのであります。この法律案につきまする意見は、ただいま郷古美土路参考人からお話をちょうだいいたしましたので、私が仕事をいたしておりまする上において感じまする点からこの法律案を見ました気持というものは、お二人の参考人の方の申し述べられたと同じような考えを持っておるのであります。  私はこの問題には二つ問題があると思うのでありまして、一つは今回の法律改正によりまして、株主権利がどうなるか、こういう問題が一つ、もう一つ会社経営というものの実態が変るのか変らないのか、こういう問題があると思うのであります。これらの点につきましては先ほどのお話通りでありますが、これを具体的に申し上げますと、会社ができましてから約二年間というものは民間資本によってこの会社運営せられておったのであります。この二年間というものは国内線をやっておったのでありますが、国内線経営によってできました組織あるいは経験というものをもちまして、将来国際線に伸びよう、こういう一つの大きな財産が会社の中に蓄積されておった、こう見てよろしいと思うのであります。従いまして今日国際線を始めましてようやくその緒についた、こういうことは、要するに過表二カ年間におきまして民間資本によりましてその基礎ができておった、こういうことに基因すると思うのでありまして、今日この改正法によりまして非常な株主権制限ということがうたわれておるのでありますが、これにつきまして一般株主、これは大体全国で五千人株主がおるのでありますが、この五千人の株主がどういう感じを持つかということは、十分に考慮しておかなければならぬではないかというふうに思うのであります。二カ年間に無配当で十億の金を出しておった、これは民間資本といたしましては相当犠牲を払っておった、こう申してよろしいのではないかと思うのでありまして、株主総会に出て参りまして意見を述べる、また経営を託しますところの重役陣選任をする、こういうことは株主に許された一つの大きな権利であろうと思うのでありまして、過去において国家のやるべきことを民間資本が代理してやっておった、この犠牲に対しましても、私は相当考慮を払うことか法律的に見ましても公平であり、また一般常識からいっても、それが当然通るべき常識ではないかというふうに考えておるのでありまして、従いまして株主権利につきましては相当考慮を払うということの建前におきまして、この改正案考えていただきたいと思うのであります。なおまた株主代表して重役になっておられまする社外重役、これは先ほどお話がありました通り相当人数でありまして、これをある程度減らすということも一つ常識的な考えではないかと思うのでありますが、この点につきまして申し上げておきたい点は、大株主でありまして重役であられる方の中には、代理店仕事を担当しておられる方が相当多いのであります。私たちが航空機の切符を売る場合には、代理店を通じて売る部分が相当たくさんあるのでありまして、この代理店ほんとう会社の将来というものを考えまして協力する、こういう態勢がなくなりますると、会社ほんとうの繁栄ということす。現在代理店をやっておりまして会社重役になっておられる方に対しましては、月にわずか五千円の報酬を出しておるにすぎないのであります。ほとんど問題にならない金額を出しておるのでありますが、それにかかわらず、今日におきましては国内線切符を売るということについて協力をせられることはもちろんでありますが、国際線に対しましては非常な協力をされておるわけでありまして、この協力態勢を今日むげに損する、非常に大きな理由がなくしてこれを破るということは、会社の将来を考える上において非常につまらぬことではないかというふうに考えておる次第であります。この事実を御参考までに申し上げておきたいと思うのであります。  第二は、会社経営実態は、今回の法律改正によりまして大きく変るのではないか。これは先ほどの参考人からのお話通り会社資金計画あるいは事業計画、また収支の見込みを立てる、これらの問題につきましてすべて政府の承認を受けるということは、会社経営実態が今日の民営方式から公社的の方式に変る、こういうことであろうと私は思うのであります。私の方は実際仕事をやりまして、国内においては一つの独占的の地位を持っておりまして、専売公社あるいは国鉄と同じ立場において仕事をしておると見てもよろしいかと思うのでありまして、その部面におきましては、あるいは多少の改訂を見ましても相当仕事ができるのではないかと忍べのでありますが、国際線に関しましては、先刻もお話がありました通り、国力が非常に少い。その上に会社としての経歴もごく短期間でありまして、この国力を背景とし、また短かい経験をもちまして、諸外国の有力な航空会社競争をする、しかも諸外国の航空会社は長年にわたりまして十分な地盤を持っておる、この地盤の中に私どもが食い込んでいくということになりますと、これは資本の力でもなく、組織の力でもなく、要するに会社仕事を担当しておる人々が一体となりまして非常な熱を入れておる、こういうことに私は理屈はあるのであろうと思うのでありまして、事実また私は会社責任者といたしまして、さような意気合いを社内に感じておるわけであります。従いまして、この意気込みをもし法律改正によりまして損するということがありましたならば、これは単に日本航空会社一社の問題ではなくして、国として大きな損失を招来することになるのではないかと思うのであります。国際航空の国家的の意義、これは申し上げるまでもないのでございますが、要するに商権を拡張する、世界の大きな平和を招来する、あるいは国際収支の改善に資する大きな任務が国際航空にはあろうと思うのでありまして、この大きな任務を遂行する上におきまして支障を生ずるということは、国家の非常な損ではないかと思うのであります。航空会社仕事実態は、ただいま申し上げました非常に大きな任務を持っておるのでありますが、実際は何をやるかと申しますと、結局サービスを提供することでありまして、安全であって快的である、このサービスを提供することが仕事実態であります。安全に仕事をする、これは各部面の人が十分に緊張しなければこの安全性は確保できない。また十分なサービスをするということも、これも首脳者から末端において働いておる人までが一体となりまして十分なサービスをする、こういう気魄がなければこの仕事はできないのであります。今回の法律によりまして公社方式にするということが、一体この会社経営に対します会社全体の気魄を助成するか、あるいはこれを押えるか、これは非常な大きな問題でありまして、私は実際逝去三年十カ月やりました経験によりまして、どうしてもこれは自由潤達——郷古参考人お話にもありましたが、自由闊達な方式によってやらなければ、とうてい十分な成果をおさめることはできないと思うのでありまして、私自身からこういうことを申し上げるのははなはだ恐縮なのでありますが、経営者に十分な責任を負わせ、同時に経営者に十分な創意を出させまして、仕事をさせるというふうに、一つ考えおきを願いたいと思うのであります。先般原安三郎さんが多分委員長でありまして、公共企業体の経営についての審査会と申しますか、そういうものがあったように聞いておるのでありますが、その結論として出ましたのは、国鉄あるいは専売公社等につきましても、仕事の上に商業的の要素をなるべく加える、また予算の施行についてもできるだけ伸縮性を持たせるように、こういう結論が出たように聞いておるのでありますが、この二つの点は今回の問題を考える場合におきましては、ことに私ども会社が国際的の仕事をしておる関係よりいたしまして、十分にその点の御配慮をいただきたいと思うのであります。  以上をもちまして、簡単でありまするが、私の考え方を申し述べました。
  8. 原健三郎

  9. 犬丸徹三

    犬丸参考人 私は観光事業の見地から日本の航空事業がいかにあるべきかということにつきまして、私見を述べてみたいと思います。  日本航空国際線は現在激烈な競争場裡にありますが、国内線先ほどお話のようにほとんど日本航空の独占のような次第であります。従って利用率も相当高くありまするが、サービスその他におきましても、多少は何かと言われることもないでもないと思います。そういうことは、経費の引き下げのみが合理化のすべてでもありませんから、飛行機が事故になったり、あるいは飛行機が延着する場合、着陸地を変更する場合等の旅客に対するサービスなどには、改善されるべきところもないではないと思います。しかし外国航空会村の実情を見ますと——この問題に関係しましては、どうしても外国の航空会社はどうやっておるかということを見る必要があるのではないかと思うのであります。私はここへ来るまでにそういうことを十分に調べずに来ましてまことに相済みませんが、ただ感じで申しますと、——感じというより人から聞いただけの話によりますと、KLMとかSASというような会社は非常にサービスがよろしい、しかしBOACとかエア・フランスは多少サービスが劣っているのじゃないか、そういうようにお客の口から言われることは、必ずしもこれは信用できませんが、サービスがいいというのは会社組織でありまして、BOACとかエア・フランスというのは公社であります。やはり公社というような形ではサービスはむずかしいのじゃないか、こんなようにも思われるのであります。こういう点を、もうすでに御研究になった結果だと思いますけれども、よく見ていただきたいと思います。  先ほどお話もありましたように、航空事業はわれわれしろうとから見ましても、迅速と安全と快適とそして安いこと、これが四大要素だと思います。しかしながらそのうち迅速と安全と快適、この三つにほぼ満足の域に達しておると思います。ただ問題は、値段の低廉の問題であります。しかしこれとても各社協定の値段でございます。日本航空性だけがこれを安くするというわけにも参りますまい。しかしながら少くとも大西洋で行われておるくらいの運賃は太平洋においても行われるように、これは一つ日本航空会社は大いに指導的になって、そうして推進していただきたい。そうすれば現在アメリカからヨーロッパに去年一年に九十四万人の人が渡っております。飛行機だけで約六十万入くらいおる。アメリカ及びカナダ、メキシコを含めまして、去年一年間に太平洋を渡って来ました人は約十八万人余り、今年度は、太平洋地減旅行協会の予想によりますと、約二十二万人くらいは太平洋方面へ来るだろう。そういうようなことでございますれば、日本の航空事業というものは、太平洋からまだまだたくさんの人が来ることを期待できると思います。また観光客に対しまして、線内の観光宣伝をしておるようですが、日本の訪問客に対しても飛行機の中でいろいろ宣伝もしておる。こういうようなことを考えますと、日本航空の発達のいかんということは、実にわが観光事業の将来に大きな影響があるものなのであります。外国の航空会社はそれぞれ普通の会社と異なりますことは、皆さん御承知通りでございます。とにかく国を背景にしてやっております。先ほどからお話を伺っておりまして、柳田さんの言われるようにあとから始めた国でございまするから、何としても商魂をたくましゅうして大いにやらなければならぬということは、これは申すまでもありません。  そこで今の日本の航空会社に対する政府出資は、民間資本を上回っておる。さらに本年度から国際路線に対する相当補助金が交付せられるということでございますが、政府の同会社に対する監督権をある程度強化するの必要があるということは認められますけれども、これによって独善的な官僚化を招くようなことは極力避けなければならぬと私は思います。政府の保護助成措置は、あくまでも国際競争に耐えるためであって、保護助成されることによって逆効果になるようなことがあってはならないと思うのでございます。簡単でありますがこれで終ります。
  10. 原健三郎

    原委員長 次に東垣内雄次君。
  11. 東垣内雄次

    ○東垣内参考人 私、日本興業銀行東垣内雄次でございます。本日お招きいただきましたことは、当然のことではございますが金融機関としての立場から、今回の法律改正について意見を述べろ、こういう御趣旨であろうと思います。そういう観点から申し上げさしていただきます。  日本航空株式会社の現在の借入金は、公表の考課状にも出ておりますように、約六十億ばかりございますが、この借入金のうちで約三分の一は、開発銀行の資金あるいは政府の外貨を使っての、いわゆる別口外貨貸しというようなものであります。残りの約三分の一は外国銀行からの借り入れであり、さらに残りの約三分の一はわれわれ市中の金融機関の協調でやる融資、いわゆる協調融資の形によっておるのでありますが、この外国銀行の借入金につきましては、開発銀行が保証いたしておりますし、またわれわれの貸出金につきましては、政府保証あるいは政府出資というようなものを引き当てに考えての融資というふうになっておりまして、これを一括して申し上げれば、現状においては非常に政府の力に依存した借り入れが行われておるということになるかと思います。これは現在日本航空が半期五億あるいは七億といったような赤字を出しております現状から、いわゆる金融ベースというものにはなかなか乗りにくいという点から、やむを得ないことであろうと思われるわけであります。従いましてわれわれとしましては、できるだけ早く日本航空が、いわゆる金融ベースに乗るところまで、現状の不振を挽回していただきたいということを強く望んでおるわけでありまして、そのためにはわれわれとしまして、まず申すまでもなく業況の向上をはかるということと、さらには自己資本の充実をはかるということが、さしあたっての問題であろうと思われるのであります。  自己資本の充実ということにつきましては、先ほど来もお話が出ておりますように、現在の資本金は三十三億でございますけれども、これも公表の数字であるいは御承知かと思いますが、今までの累積されております赤字が十五億ということになっておりますので、差し引きますと正味の資本というものは十七、八億ということになるわけであります。これに対しまして航空機の購入を主といたしましたいわゆる固定設備への資金の投下というものが六十億以上ございますし、また自己資本とよく対比して考えられます借入金というものが、今申し上げましたように六十億ございますわけでありまして、自己資本との間のバランスというものが非常に失われているということでございます。そこでこの自己資本の充実ということをはかっていただきたいと考えるわけですが、ただいまの状況でありましては、なかなか民間からの出資というものは得られませんので、勢い政府からの御出資を仰ぐということになるわけでございまして、今回もその措置をとっていただきましたことは、われわれも非常にけっこうなことだと存ずるわけであります。  また業績の向上の点につきましては、政府補助金をいただくという点と、それから企業努力による向上、改善ということがあろうと思います。これも先ほどから話が出ておりますように、各国の例に見表しても、航空事業につきましては各国とも非常に強い援助を与えておるようであります。特に日本の航空機というものは、終戦後のブランクを経て復活して間もない状態で、激しい国際競争に乗り出したという状況でもございますし、自然一段と政府の御援助を得なければならぬと思うのでありますが、この点につきましても今回補助金を交付していただくということを政府としてお考え願っておるということでありまして、われわれとしても非常にけっこうなことと存ずる次第であります。また企業の努力にりきましても会社側では、外人パイロットの日本人への切りかえであるとか、あるいはお客の獲得であるとか、社内の経費の節約とか、あるいは定期航空路における中間駅の省略というような点で、いろいろと努力しておられるようでありまして、この点にこそ経営者創意工夫というものが、最も生かされる点であろうと思うのであります。こういうふうな点をわれわれとしましては改善していただくことを非常に希望するわけでありますが、今回の政府の御方針によりまして、その過半につきましていろいろと改善の手を打っていただくことになったのでありまして、そういうふうに政府の御援助をいただくということになりますれば、それに伴いましてある程度監督を強化されようという御趣旨につきましても、ごもっともだと存ずるのであります。  しかし同時に、先ほど申し上げました業績向上のための企業努力ということにつきまして、経営者創意工夫を極度に生かされなければならない国際的なサービス事業であります点にかんがみまして、かつまた先ほど来の御意見の中にもいろいろその点についてもお考えが出ておるようでありますが、監督の強化とそれから企業の創意工夫を生かすための企業に対する自主性を、どこら辺まで与えるかといったふうな限界につきましては、なかなかむずかしいのでございまして、私どもとしましてもどの辺がいいのであるということは、にわかに申し上げることができないと思いますけれども、その調和をはかるということにつきまして一段の御配慮をわずらわしたい、こういうふうに考えるわけでございます。簡単でございますが、これをもって終ります。
  12. 原健三郎

    原委員長 これで参考人からの御説明は終りました。これより各委員質疑を許します。關谷勝利君。
  13. 關谷勝利

    ○關谷委員 まず今の東垣内さんにお尋ねをしたいのですが、監督権の強化ということはこれは認めて、創意工夫もしなければならぬ、こういうふうなお話でありますが、その監督権を強化いたしますと萎縮をいたしまして、創意工夫という点につきましては非常にむずかしくなる。この二つは異なったものであって、監督権を強化すれば創意工夫は薄らいでくる。監督権というものはなるべくこれを強化しないで、これに全責任を持たすというところに創意工夫がある、こういうふうに考えられるのでありますが、あなたはその限界ということについてどこからどこまでというお考えでありますか。
  14. 東垣内雄次

    ○東垣内参考人 その点今申し上げましたように、私どもとしましてはどこら辺に限界があるかということは、局外者としましてむずかしいことでございます。世上今度の法案をめぐりまして、いろいろ意見があるようでございますし、先ほど来の各参考人、特に業界の専門家であられる皆様方の御意見にも、いろいろとその辺につきましての御意見が出ているようでありますので、われわれとしてどこが限界であり、かつこの点をこうすべきであるという具体的な意見の持ち合せはないのでありますけれども、さらにその辺いろいろ調整をはからるべき点があるのじゃなかろうかというふうに考えるわけでございます。
  15. 關谷勝利

    ○關谷委員 あなたは本来ならば銀行屋さんの立場から、この監督権の強化には賛成である、こういうふうなお考えであったのが、ここへ来ていろいろほかの参考人意見を聞いて、創意工夫を重要視しなければならぬ、こういうふうなことで、そこで最後につけ加えられたのであって、ほんとうのあなたの御意見は、この相反したものを調和するということはできない、監督権強化だけである、これではないのですか。その真意だけを伺っておきたいと思います。
  16. 東垣内雄次

    ○東垣内参考人 私の考えは、ある程度監督権の強化というものは、政府援助が一段と強力にされる場合は、政府としてお考えになられることは当然であろうと思われるのでありますが、しかし他方、特にこの航空事業、それが国際的な競争の中に飛び込んでいっておるこの事業といたしましては、ここに経営者に対して自主性というものもできるだけ与えてやらなければいかぬのじゃないか、そこの調和が非常にむずかしいのではなかろうかということでございます。
  17. 關谷勝利

    ○關谷委員 非常に苦しい答弁をしておられるようでありますが、監督権の強化と、自主性あるいは創意工夫ということは相反したことになりますので、この点はせっかく来ていただいた参考人の方に無礼なことをお尋ねするのはどうかと思いますから、この辺でやめます。  犬丸さんにお尋ねしたいのでありますが、あなたは監督権の強化は認める、こういうことを言われておるのでありますが、監督権の強化を認めるとすれば、今度の法案のこの程度監督なら差しつかえがない、こういうふうな御意見でしょうか、その点伺っておきたい。
  18. 犬丸徹三

    犬丸参考人 私はこういう点において監督権の強化はやはり当然じゃないか——これは常識的のことでございますが、国の金をどんな形であろうと、とにかく国が投資をし、国が補助をする会社であるならば、それに対して監督権があるということは当然だと思います。  もう一つは、あまり常識的になっていますから忘れられがちでありますが、この会社として一番大事なことは、安全をどうして確保するかということです。これは生命を預かる事業であります。これに対して監督権があるのは当りまえなんです。軍需工場でも危険なものを製造すれば監督権があります。  もう一つは、私は先ほどちょっと申し上げましたが、この事業は国内だけの考えでやってはいかぬと思う。大体航空事業というものは世界的なものです。日本人が日本の飛行機に乗らなければならぬ義務は一つもない。アメリカの人がどの飛行機に乗ろうか、どこへ行こうかということは自由です。そこで外国はどういう処置をとっておるか。自由なようにさせておりながら、うしろでひもを引いて、みんな非常な制限をしておる。そういう事情考えますと、わずかな三億やそこらの援助監督権を振り回されても困るけれども、これから大いに発展するのだから、そういう意味でやはりある程度監督をして、そして助長育成をしまして、ある期限をつけて、それ以後はやめる、こういうように考えております。
  19. 關谷勝利

    ○關谷委員 あなたはこの法律もあまり読んでおられぬようですし、航空法全部のことを御存じないようでございます。日本航空会社法はそんな野放しにはなっておりませんので、あなたの御心配のようなことは要らぬのですが、その点あなたはよく研究しておられぬようですから、お尋ねするのをやめましょう。  柳田さんにお尋ねしたいのでありますが、あなたは先ほど、社外重役及び顧問は非常にこれに反対をして要請書を出しておる、私はこれには何にも関係しておらない、こういうことを言っておられましたが、この改正案が出ます前に、政府からこれに対します何らかの御相談があったのかなかったのか、この点承わりたいと思います。
  20. 柳田誠二郎

    柳田参考人 關谷先生にお答えします。一切相談を受けません。
  21. 關谷勝利

    ○關谷委員 そういたしますとこの日本航空、これは日本のただ一つ航空会社でありますが、これに対して航空局からも何にも相談を受けておらない、こういうふうなことでありますが、あなたの会社は今航空局とぴったりいっておるのかどうか。どうもこの法案を見ておりますと、何か裏に陰謀があるのではないかというふうなことも、取りようによりますと取れないこともないのでありますが、あなたの方は政府当局とよく連絡がとれておるのかおらないのか、この点ちょっと参考ために伺っておきたいと思います。
  22. 柳田誠二郎

    柳田参考人 關谷先生にお答えいたします。きょうは航空局長も巻幡監督課長もお見えになっておりますが、私どもとしては十分に業務上の連絡はとっております。また十分に仕事の上の御了解は得ております。その点だけお答えしておきます。
  23. 關谷勝利

    ○關谷委員 私はちょっとこれを見ておりますと、何やらおかしいので、第四条の四あたりでありますが、これは私たちが航空局長の説明を受けた際には、兼業を禁止しておるのでありますが、「ただし、運輸大臣の承認を得たときは、この限りでない。」というのは、整備会社等の兼職の場合だけというふうに私たち説明を聞いておるのであります。そういたしますと、今度この法案のごとく改正せられることになると、社外重役は全部締め出しを食う、こういうふうなことになるのではないかと思われますが、そういうふうになるのではありませんか。あなたの今の会社の実情をお聞かせ願いたい。
  24. 柳田誠二郎

    柳田参考人 運輸大臣がどういう認可を与えられるか、それについては何ら聞いておりません。しかし実際に問題が起りましたときには、ある程度の兼職を認めていただいて、有能な方に一つ会社に残っていただきたい、こういう希望を持っております。なおまた整備会社の問題でありますが、私と松尾専務そのほか平重役で、整備会社重役を兼務しておる者もございます。これがいわゆる兼職規定によりまして、両社の兼務いかぬということになるかどうかは、まだ航空局の皆さまの意向を聞いたこともありませんし、運輸大臣の意向を聞いたこともございません。これはできれば私は今日の形態を残していただくようにお願いを申し上げたい、こういうふうに考えておりまして、それにつきまして、これはこういう点でいかぬ、こういう点があるからいかぬということがありましたならば、その各項にわたりまして、十分に私は自分の意見を開陳する機会を与えてもらうように希望しておる次第であります。
  25. 關谷勝利

    ○關谷委員 これを見ておりますと、社外重役が全部締め出しを食ってしまう、それでは大へんだということで、柳田さんあたりは非常にうろたえているのじゃないか。そうすると、社内の常勤重役を一人減らしますと、二十人くらいのものがあっても経費の点からも同じということになって参りますので、政府としてはそこらを整理しろという意図のもとにやっておる、こういうふうな気持はいたしませんか。
  26. 柳田誠二郎

    柳田参考人 この役員の問題というのは、法律的に見ますると、きわめて簡単でありますが、しかし実際仕事をやって、われわれは二カ年間、あるいは今日まで三年十カ月非常に苦労してきたわけであります。お互いに終戦後長い間、航空事業というものは全く中断されまして、いわば新しく航空事業を作る、その苦心というものは相当あったと私たちは考えておるのでありまして、それを今日に至りましてにわかにこの数を制限するということになりますと、私は個人的の感情として申し上げなければならないのでありますが、なかなか忍びがたい点もあるわけであります。關谷先生のお話のように別にうろたえておるわけでもないのでありますが、そういうことを痛感しておるわけであります。この問題は、今度の会社法によりましてどの程度に人員を整理されるか、この十名でございますか、こういうことになるか、あるいは今日の私ども意見が多少でも御採用をいただきまして、人数が改訂になりますか、それがきまりました上において、一つ適当に考慮したいというふうに考えております。
  27. 關谷勝利

    ○關谷委員 あなたは今まで会社経営に当っておられたので、一番よくわかるわけでありますが、この第四条はどの程度に人員をしたならば一番適当であるか。あなたに自主的にまかされて、それならやれるという自信のあるところの意見を吐けと言われた際には、どのくらいにきめたいと思うか、その腹をちょっと伺っておきたいと思います。
  28. 柳田誠二郎

    柳田参考人 取締役の数、これは余談でありますが、会社ができて以来たびたび問題になりました。実は私ども会社が一昨年日本航空株式会社法によりまして新しい半官半民の会社になりますときにも、取締役の数を減らす方がいいのではないか、こういう話がありまして、御承知通り設立準備委員というものが財界の各方面、また官庁からは大蔵次官、運輸次官、郵政次官、すべて出席をされまして、その協議の結果、現在の重役で差しつかえないだろう、こういう結論が出たのであります。それから一年半たちまして、何ゆえにこの会社の人を減らさなければならないのかということの根本の理念がはっきりしておりません。ただしかし今度法律ができた、お前の方に金を出した、少し整理をしたらどうか、こういうことがもし常識的に通るとすれば、これはある程度の減員はやむを得ないかと思うのでありまして、この点につきまして、ただいま關谷先生からお話がありましたのですが、取締役十名、これは十五、六名くらいのところは差しつかえないのではないかと思うのであります。おそらく監査役も五名以内くらいにしておいて一向差しつかえないのではないか、以内でありまして、その決定は一つ常識的に私たちにまかしていただきたい。もっとも私はそういうまかされる人間になるかどうかということはこれからの問題でありますが、かりにそういうことになりますれば、一つまかしてもらいたい、こういうことに願えれば非常にけっこうじゃないかと思います。
  29. 關谷勝利

    ○關谷委員 大体あなたの人数がどの程度ということはよくわかるのでありますが、そういたしますと、十五、六名にいたしますと、社外重役はどの程度になりますか、その点ちょっと伺っておきたいと思います。
  30. 柳田誠二郎

    柳田参考人 ただいま常勤の重役は十一名おります。それから社外重役は十三名、合せて二十四名の取締役がおるわけであります。でありますので、十五名になりまして、かりにでございますが、かりに常勤の重役を十一名といたしますと、四、五名の社外重役が残る、こういうことになります。それから監査役はただいま二名であります。これをかりに五角以内といたしまして、さしあたって三名くらいを補充するということになりますと、今日より一名常勤の監査役をふやすというようなことも考えられると思うのです。  なお一つ申し上げておきたい点は、だんだん海外に仕事を伸ばして参りますと、相当の場所において会社代表いたしまして仕事をする、国内におきましても、御承知通り東京に本社がありましても、大阪なり名古屋なりには取締役会を置く、こういうことになりますと、国際的に仕事をいたしておりまする会社といたしましては、その必要はさらに大きくなるのではないかというふうに考えておるのでありましてそういう場合にはあらためてまた法律改正を願う、あるいはこの際こういう規定、特に人数制限するというようなことはやめておかれて、会社に一任されるということも考えられるのであります。
  31. 關谷勝利

    ○關谷委員 今のあなたのお話を伺っておりますと、現在の常勤重役の十一名、これをそのまま今計算いたしますと、あと四、五名ということになります。先ほどあなたがおっしゃるところによると、社外重役というものは、エージェントの関係あたりで非常に重要なものである、これによって会社をもり立ててもらうし、自分の事業も助けてもらってきた、国際線では特にそうだというふうなお話があったのでありまして、社外重役は十三名が四、君名に減らす、それを減してでもやはり十一名を守らなければならないというふうなお考えのようでありますが、常勤重役の中にも、何と申しますか、あまり会社ためにならないような人も一人や二人はおいでになるのじゃないかというふうに考えられます。そういうふうな人がかりにあるとすると、今度のような際がちょうどいい機会じゃないかと思いますが、やはり常勤重役というものは十一名を確保するというお考えがあるようであります。これは将来の問題で、あなたに全責任を負わせるということは無理で、またあなたがおやりになるかどうかもわからぬが、あなたがやるという仮定でけっこうでありますが、ちょっと伺っておきたいと思います。
  32. 柳田誠二郎

    柳田参考人 先ほど申しましたのは、かりにということを二度申し上げたのでありますが、かりに社内重役を十一名残すとすれば、社外重役は五、六名ということでありまして、今關谷先生のお話通り、これはこれからの問題として留保しておいていただきたいと思います。
  33. 關谷勝利

    ○關谷委員 それでは、私この点は希望でありますが、あなたがおられる間——この法律が通るとかわることになるわけでありますが、先ほど経費の節約というようなことから、これは補助を受けるのだからある程度やむを得ぬというようなお話でありましたが、常勤重役一人減らしますと社外重役が二十人あっても経費は同じ、こういうようなことになりますので、会社関係からいいますと、そういうふうなことも私たち考えなければならないじゃないか、そのためには取締役の数は社外重役にうんと重点を置いてふやさなければならないじゃないか、こういうふうなことも考えられるのでありますが、この点国会がこれからきめていく上に参考になりますので、御意見をちょっと伺っておきたいと思います。
  34. 柳田誠二郎

    柳田参考人 ただいま閾谷先生のお話通り、給料の計算上からいきますとそういうことになるのでありますが、この重役が多いというを単純に計算上からいいますと、今日の二十四名ということは一向問題にならぬじゃないかというふうに私は思うのであります。また一般重役の方もそうたくさん給料を取っておるわけじゃございませんので、計算上からいいますと、この点はあまり大きな問題ではないように思うのであります。ですから一人減らすから社外重役を何名ふやしてもいいだろうという議論は、ちょっとむずかしいと思うのであります。
  35. 關谷勝利

    ○關谷委員 そうすると、ことし政府出資を十億する、そして三億五千万余りの補助をするということになると、政府はすぐにその代償としてこの監督権の強化というふうなことが出てくるのですが、あなたが将来かりにやられるとすると、あなたが長期計画を立てて、ほんとう国際線国内線も完備をした場合には、どれだけの資金が要って、どれくらい年々補助を受けなければならぬとか、これは何印計画でやるとかいうような計画がなければならないのであります。そういうような計画があるとするならば、そのたびごとにまたこういうような監督権の強化が出てきたら、あとはにっちもさっちもいかぬことにもなってくるかもしれないのであります。あなた方が長期計画というようなことで、これは航空当局とよく打ち合せをされて、財政上のこともあるかもしれないし、五年のものが十年になるかもしれませんけれども、何卒後には、こうしたいというようなことで、そのために今まで折衝してきたというようなことがおありでありましたら、計画とその交渉の経過をちょっと知らせていただきたい。
  36. 柳田誠二郎

    柳田参考人 長期計画と申しましても、非常に長い先のことは、運輸省当局と話をしたことはありません。ただ四、五年先のことまでは一応話をいたしまして、一定の想定のもとに、資金の需要、政府出資、収益の状態、こういうものを計算いたしまして、一つの計画を持っているわけであります。ただ御承知通り、国全体として経済政策をどうするか、いわゆる六カ年計画あるいは五カ年計画というものが策定をされますと、それに即応してやはり会社の計画も変えなければなりません。ことに御承知のように、国際情勢がしょっちゅう変っているわけでありまして、これに対しまして的確なる判断を立てることは非常に困難でありますが、しかし一応の計画の策定をして、これに対しての運輸省の考え意見をいれまして、これを直すというようなことは今日までやっているわけであります。
  37. 關谷勝利

    ○關谷委員 民主党内閣は経済六カ年計画を公表をしておりますが、それに対応されて、あなは六カ年計画を立てたことがありますか。立てたその最終年度におけるところの日航の資本金が、どれだけになるかというようなこともわかっておられるはずであろうと思いますが、その点ちょっと伺ってみたいと思います。
  38. 柳田誠二郎

    柳田参考人 こまかい数字はここに持ってきておりませんが、昭和三十年度以降六カ年間に借りかえ資金が五十五億、それから飛行機並びに部品等を買う金が大体四十八億で、百三億程度の資金を必要とするということになっております。これを借入金によってやりますか、あるいは自己資金によって、いわゆる起債、または政府からの出資によってやるかというようなことは、そのときの財政状況、また会社がそのときまでに非常に収支状態が改善いたしますれば、民間からの資本も借り入れることができますので、そういう振り合いは、そのときになって策定をすることになるのでありまして、ただ要る金は百三億ほど要るのだ、こういうことだけは策定しているわけであります。
  39. 關谷勝利

    ○關谷委員 これから先の要る金ですね。
  40. 柳田誠二郎

    柳田参考人 そうです。
  41. 關谷勝利

    ○關谷委員 今度のこの法案でありますが、私はこの法案を通すのなら、今の民間株十三億というものは、今まで協力してくれた人に対しましては、今までの払い込んだ金は利子をつけて買い上げてこの法案を通すか、そうでもしなければ、この法案を通す必要がない、こういうふうな考え方もあると思いまするが、あなたであったならばいずれをとられるかをちょっと聞いてみたい。
  42. 柳田誠二郎

    柳田参考人 非常にむずかしい御質問でありまして、現在の株主のうちには、今回の法律ほんとうに通って、そうして株主としての権利というものがある意味においてなくなる、そういうことであるならば、政府が買い上げるのがほんとうではないか、こういう意見を持っておられる方が非常に多いのであります。これは私は法律的にも、常識的にも傾聴すべき意見であろうと思うのであります。それだけお答えをいたしておきます。
  43. 關谷勝利

    ○關谷委員 まだほかにだいぶお尋ねしたいこともありますが、私一人がお尋ねをするとほかの方に迷惑と思いますから、ほかの方に譲ったあとで、また補足してお尋ねしてもいいのでありますが、最後にあなたにお尋ねいたしたいのは、この法律が通過をいたしましたならば、あなたであったならば、社長をお受けになりますか、お受けになりませんか。
  44. 柳田誠二郎

    柳田参考人 これはいわゆる仮定的の御質問ということになりまして、議会でよくお話しになります仮定的なことにはお答えができないということがありますが、その答弁を拝借してお答えをしたいと思います。
  45. 原健三郎

    原委員長 青野武一君。
  46. 青野武一

    ○青野委員 柳田さんに二、三お尋ねしたいと思います。今關谷君からの御質問で、大体資金の面についての大ざっぱな御意見は聞いたのですが、大体国内線にしても国外線にしても、航空事業というものが年々赤字が累積していく。結局十億、それから十億、今度また十億で、政府出資が三十億になり、日本航空株式会社出資株が十三億、そういうことでは監督権が強化されることもやむを得ないとも考えられるのですが、そういう創立以来累積していく赤字というものが、大体重要な点で大別すると、どういうところにその理由と原因があるか、しかもそれはどうすれば克服することができるかということについて、当の責任者である社長として、どういう具体的な考え方を持っておられるかということを承わっておきたい。
  47. 柳田誠二郎

    柳田参考人 今お話のありました通り日本航空会社は、二十六年の八月にできまして、二十八年の十月に日本航空会社法による新しい会社になったわけであります。その前に一億数千万の欠損がありましたが、改組をいたしますときに財産を評価いたしまして、その損失は全部消却をいたしたのであります。その後ちょうど今期までに三期経過をいたしたのでありますが、第一期は二億九千万円、第二期が四億八千万円、第三期が、すなわちこの三月に終りまする決算が七億六千万円、合せまして、先ほどお話がありました通り、大体十五億円の損失が出たわけであります。この損失はどういうところから出てくるかということを分析いたしますることは、なかなかむずかしい問題でありまするが、根本的に考えておいていただきたい点が二つあるのであります。  その一つは、国内線の損失でありまするが、これは飛行機の運航——飛行機を外国から買ってくる、また外国のパイロットを使って運航させる、油はむろん外国から買う、飛行機の直接の運航というものは、大体において国際的にきまった値段で運航されておるわけであります。これに対しまして、国内の料金はどうなっておるかと申しますると、これはいろいろ計算が立つのでありまするが、結局会社として最も多くのお客様をとりまして最大限の収入を得る、こういう見地からいたしますると、料金を高く上げることができないのであります。国内の料金は、国民の生活水準に即応したような料金の決定をいたさなければならない。最近一割ほど値段を上げたのでありまするが、大体一マイル十七円見当の料金でやっておるわけであります。ところが、これに対しまして海外では、どのくらいの料金を取っておるかと申しますると、ヨーロッパのごとく、大体運航の姿が日本に似ておる国におきましては、一マイルについて十セント、すなわち三十六円、この程度の料金を取っておるのであります。そうしますると、一マイルにつきまして二十円近くの差があるわけであります。これが国内線におきまして損失の出ますところの根本の事情であろうと思うのであります。  それから国際線につきましては、これは運航がすべて国際並みのスタンダードで、同時に料金も国際的に決定をされておるのでありますのでお客様さえ乗れば、これは十分に引き合うという一つの原則のもとにおいて、仕事が取り運ばれておるのでありまするが、ただ御承知のように、会社国際線を始めましてから一年と四カ月ばかりしかたっておりません。海外におきまして代理店の数がわずか六百——これは御参考までに申し上げるのでありまするが、BOACのごときは世界を通じて五千の代理店を持っておる。非常に大きな切符の販売網を持っているわけです。この販売網を築き上げるということは、長年の一つの努力、また巨額な資金、こういうものがあって初めてこの販売網が完成をするわけでありまして、残念ながら店が新しい、かつまた資力が少い、こういうことで、十分な販売網を作ることができないのであります。そこでお客をつかまえるということが非常にむずかしい。そのために十分の収入を上げることができない。こういうことが、国際線におきまするところの欠損が出まする一つの大きな理由であろうと思うのであります。そのほかいろいろこまかい点もありまするが、ただいま申し上げましたことが一つ大きな理由であろうと思うのであります。  そこで将来の見通しとしてはどうか、こういう問題でありまするが、国内線につきましては、御承知のようにこの六月一日から料金を一割上げました。なおまた政府にお願いをいたしまして、交通税一割を免除していただく、その免除した額だけ料金を上げる、こういうことになりますと、大体二割だけの増収ということが考えられるわけであります。むろん料金を上げますと、ある程度までお客様が減るのでありますが、今日の利用状況を見ますると、飛行機の利用ということが非常に経済的に意味があるということがよく世間にわかって参りまして、その関係からいたしまして、料金の引き上げ、必ずしもそれに対応するような乗客の減少を来たすというようなことはないと思うのでありまして、ただいま申し上げたようなことからいたしまして、二割見当の増収になる。これが大体年間に四億円近くの増収になりますので、今日の国内線の欠損というものは、十分にこの四億円でカバーができると思うのであります。さらに国際線につきましては、最近アメリカ並びに香港等におきまする販売というものは、だんだん進行して参りました。日本航空会社の運航が非常に安全であり、正確であり、かつまた機内のサービスが非常にいいということが、外国人にも徹底して参りまして、最近は非常にお客が多いのでありまして、この六月に入りましてからは、東京からサンフランシスコに行きます飛行機では、お客様を断わっておるというのが現在の状況であります。フルにお客を取っております。そこで会社の収入からいきますと、大体三月から月に四億円の収入があるわけであります。国内線が大体一億八千万円見当、国際線が二億二千万円見当、合せて四円億の収入があるわけでありまして、この収入をもっていたしますれば、国際線につきましてもあるいは黒字が期待できるのではないかと思うのであります。ただその程度ではまだなかなか過去の損失をどんどん消却していく、あるいはそれたけの信用て民間資本を集める、あるいはそれだけの信用で銀行から必要なる金を借りまして、新しい飛行機を買うというところまではいき得ないのでありまして、これは今回予算一つ御承認を得たいと私どもが希望しております十億円の出資、あるいは三億五千五百万円の援助、こういうことを合せ考えまして、将来に向っての会社の業態の改善ということを考えておるわけであります。
  48. 青野武一

    ○青野委員 大体了承することができましたが、まだそれだけのお客がふえても、黒字になることがなかなか困難ではないかと思います。実は私も七月から九月欧米をずっと回って、サンフランシスコから日本に帰るのは日航機にお願いをして帰ってきたのです。そこで日航関係のサンフランシスコの常駐員の人に、いろいろ会社経営の状態なり、あるいは将来の発展、国際線航空事業競争という点について、かなり時間をかけて私は承わって帰ったのであります。しかし大体東京——沖縄——香港が一週間に二往復、東京——サンフランシスコ間が一週間に三回往復、これは世界の標準が大体六〇%といっておりますが、この点について国際線において約五〇%、もう一〇%いきますれば大体世界の標準パーセンテージに達するのですが、それでも国際航空事業の面においては、各国のやり方に対抗していくことは困難だと思わざるを得ない。また国内線においては、大体世界の平均が、承わりますと六〇%であるのに比較して、日航の国内線は大体平均一年間七〇%の成績を上げておる。しかもそれにもかかわらず何億という年々赤字が出ている。そういう点について、たとえば一割の交通税を免除してもらう。免除しただけは旅客運賃をそれだけ上げる。何年か猶予してもらって、財政的の基礎を確立するという御意見は十分わかります。けれどももう一つこれに関係してお尋ねしたいのは、運航管理者を含めて、外人パイロットの数が大体六十名程度と承わっておる。そうすると外人パイロットの機長などの一カ月分の給料が日本の金で大体五十七万円、副機長が大体四十一万円、航空士が二十七万円、日本の機長あるいは航空士あたりに比べて格段の給与を支給しておる点についても、これはやはり大きな赤字の原因になっておるのではないかと思います。日航の役員を含めて全従業員の数が八百六十人と言われておるが、外人パイロットの六十一人分の給与が、八百六十人の日本人従業員の給与とほぼ相匹敵するということでは、赤字を克服するわけにいきません。それは熟練をしておる日本人が少いから、今の場合は過渡期でやむを得ないとしても、果して将来機長なり航空士なりを養成し、日本人に順次切りかえていくという点について、どういう具体的な方針をお考えか、どういうふうにやっておるか、それから今申し上げましたように、現在日本人として外国人パイロットと相匹敵する諸君がどの程度おるか、給与の面においては外国人パイロットと日本人と比較してみたときに、月に平均をするとどのくらいな差額が出てくるのか、それから一年間通算して赤字の出る部分の中に占める割合がどの程度であるか、こういう点を放任して、お客がたくさん乗ったから、国家の補助金がふえたから、交通税を免除してもらうからということだけでは、私は黒字にはならぬと思います。これは国内においては独占事業であり、激甚な競争国際線においてやるということになりますれば、経理の内容を相当確立せなければ競争に勝つことはできないと思いますが、こういう点についてかなり具体的な数字を一つ出していただきたいと思います。
  49. 柳田誠二郎

    柳田参考人 赤字の出まする理由につきましてはいろいろ事情がありまして、ただいま青野先生から御指摘のありました点、確かにさようなこともあるのであります。ただ国内線につきましては、すでにコーパイロットは全員日本人にかわっております。それからキャプテンは今日までに十二名すでに日本人にかわっております。ですから国内線におきましては、ただいま御心配いただきました点はほとんど解決しておると申し上げて差しつかえないかと思うのであります。なお国際線につきましては、キャプテンはまだできませんが、コーパイロットを作っており、かつまた御承知通り飛行機にはナヴィゲーター、エンジニアが乗るのでありますが、それらのナヴィゲーター、エンジニアには相当数の日本人が乗っておりまして、外国人の数よりもはるかにこれらの人が多いのであります。それでは国際線もいつ全部日本人になるか、こういう問題でありまするが、これは大体あと二年あるいは三年たちましたならば、相当の日本人が乗り得る、国際線のパイロットになり得る、こういうふうに考え、かつまた計画を立てておるわけであります。なおこの補充の問題についてお話がありましたが、この点につきましても新しい計画のもとに、人員の養成をせっかくやっておるわけであります。ただ日本航空会社がこれから皆さんの御協力、御援助によりまして、どんどん発展していくという場合には、やはり過渡的にはある程度外国人を使用するということになるかと思うのであります。ちょうど郵船会社の船に欧州大戦までイギリス人が乗っておった、こういうふうな事情もありますので、あるいは郵船の発展が非常に著しいものがあったために、さようなことが起ったのではないかと思うのでありますが、さようなこともあるいは日本航空の発展いかんによっては、起り得るのではないかというふうに考えております。
  50. 青野武一

    ○青野委員 まだ二、三お尋ねしたいこともあるのですが、ちょっと御答弁に漏れておりましたから重ねてお尋ねしたいと思います。日本人と外人パイロットの入れかえを敢行するには二年ないし三年かかる。そこで大体日本人の給与総額、それから外人の運航管理者を含めての六十一名の給与が、六百八十名に相匹敵するだけのものを出しておる、これが赤字の中にどの程度の割合を占めておるか、これを私はちょっと聞いておきたいのです。
  51. 柳田誠二郎

    柳田参考人 日本人のパイロットは大体月に十二万くらいであります。外国人のパイロットは先ほどお話のありました通り五十万円見当でありまして、一人について三十八万円くらい違いがあるのであります。なおその差額はどの程度の赤字になっておるか、赤字の大体二割くらいがそこから出てくるという計算になります。
  52. 青野武一

    ○青野委員 日航の柳田さんに御質問したいと思っておりましたが、忙しい中をまことにお気の毒ですが、ちょっとついでに荒木航空局長にお尋ねしたい。この日航法の改正案はかなり監督権が強化され、しかも十億円の政府出資があり、三億五千五百万円の補助金政府から出て、そしてかなり人員をしぼってくる。重要幹部が二十四人いるのをとにかく社長以下十名にしぼる、監査役は二名を三名にする、これはかなり画期的な改正案である。そういう点について先ほど關谷君の御質問に対しての柳田さんの御答弁では、政府から事前に何らのお話もなかったということですが、航空局長としての指導監督の地位にある人が果してそれでいいかどうか、問題は運輸委員会を中心にしていろいろ論議が戦わされていますけれども、それらについては事前にかなり話が進んでおらなければ、事は円満に片づくとは思いません。ただ出資金二十億円を三十億円にしたから、それだけ政府が株をたくさん持っておる株主で、圧倒的に発言権があるのだ、だから手も足も出ないように、いかなる決議をしても政府認可制度に持っていくのだといったようなやり方では、幾ら努力をしても、独立して航空事業の上で国際場裡において競争しても打ち勝っていけない。やはり航空事業が日本の将来に大切であれば、国内航空にしろ国際航空にしろ、指導監督の立場にある運輸当局が常に密接な関係を持って、そして相当の熱意を持って善処していかなければ、こういうことはうまく運んでいかないと思う。航空局長日本航空株式会社当局に対して何らの打ち合せも相談も話し合いもしないで、大体この改正案をぶっつけ出した、それでけっこうだ、これをやり抜くのだ、こういう考えで果して日航会社が健全に発達し得るものかどうか、私は疑問に思うのです。なぜそういうことをしなかったかという点についての御所信を、ついでに承わっておきたいと思います。
  53. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 何でもかでも拒否してやっつけるという考えは毛頭ございません。それから柳田社長のお言葉とちょっと食い違う点があると存じますが、特にこれは大株主の各位に非常に大きな影響を及ぼす改正であるがゆえに、私はわざわざ——大株主が主として社外重役になっておられますから、社外重役が関西から全部お集まりの席上にみずから出向いて参りまして、日航の資金計画はかくかくである、欠損はこういうことである、政府としてはこういうふうな助成策を講ずるつもりである、よって監督権の強化をいたすということが建前であると考えますので、今われわれが考えております改正の方向はこういうことでございますということを、申し上げた次第でございます。その後におきまして若干緩和された点もございますし、若干強化された点もございます。特に政府提出する相当前に、私はかく重役会に臨みまして御説明申し上げておる次第でございます。
  54. 青野武一

    ○青野委員 今荒木航空局長からの御答弁がありまして、かなり柳田さんのお答えとそこに食い違う点があったのですが、日本航空株式会社社長としてそういうことを御存じなかったか、あるいは社長として特に政府側の代表者から何らの相談もなかったという意味でおっしゃったのか。私はそういうことがおわかりにならないはずはないと思うのですが、今の航空局長の答弁と柳田さんの答弁とは確かに食い違っておりますが、こういう点についてはどうですか。
  55. 柳田誠二郎

    柳田参考人 私は報告は受けましたけれども、協議は受けませんでした。それだけを申し上げておきます。
  56. 青野武一

    ○青野委員 私は、日航の社長の柳田さんに、まだ何人かほかの議員の御質問がありますから御遠慮申したいと思いますが、こういうように会社役員人数を定めて、そうしてその選任の決議を運輸大臣認可事項とする、国際航空の育成の趣旨を明確にして、現行補助規定の字句を修正する、あるいは重要施設の取得、資金計画事業計画収支予算等認可事項にする、非常に監督権を強化しておることは、この文章を見てもうなずけるのであります。航空局長は運輸当局を代表して、これが法律案としてかりに衆参両院を通過することがあって、果してこの運営の面について、あるいは事業の面について、強化された監督権が十分に行使できるかどうか、こういう点について私はお伺いしたい。日本航空は御承知通り現役各官僚の非常に先輩が雲のように集まって、重要な席を占めておる。後輩の者が果してこれに監督権を十分に振り回すことができるか。できないことなら、改正する必要はない。それで十分の監督ができるか、指導ができるか、そういう点についての、私は航空局長の所信を承わっておきたいと思います。
  57. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 監督権が非常に強くなった、こういうふうにおっしゃられるわけでございますけれども、私としましては政府がこれだけの出資をして、先ほど興銀の方からも御説明ございましたように、五十九億の借入金のほとんど全部が政府のバック・アップによってなされておっても、なおかつ来年、再来年度相当の赤字が予想されておる次第でございまして、その赤字に対して政府がバック・アップしないと、国際線の継続は事実不可能な状態であるわけでございます。それに対して政府が税金のうちから相当の金を出す以上は、ある程度監督といいますか、監視ということはやるのが義務じゃなかろうか、こういうふうに考えております。  ところで今度改正する内容について、非常にきついとおっしゃるわけでございますが、役員認可でございますが、これはこれと同じ形態の会社でありまして、補助金も何ももらっておりません、出資の比率も少い国際電信電話株式会社は、役員の全員が認可になっておるわけでございます。認可ということである以上は、認可しない場分があるということで、すべて株主総会意見を無視して拒否してしまう、こういうふうにきめてかかられておるようでございますけれども、そういうわけのものではございませんで、これは補完的に政府監督するわけでございますから、大ていの場合は認可が通る建前のものだと思います。それからなお事業計画資金計画収支予算について認可を受けるということでございますが、これの中心は何のためにそういうことをやるかと申しますと、資金計画、いわゆる非常な赤字を出す会社でございまして、補助金出資で見合わしてその年を越していかなければならぬわけでございますから、その年の始まる前に資金計画を策定していかないと、途中でもって、ことしの二月ころのように、給料も油代も払えないという事態が起るわけでありますから、あらかじめ会社が年間を通じての収支を見積って資金計画を立てて、それの資金手当をしてスタートする、その場限りでなしにやるということは絶対に必要だろうと思います。それをあらかじめ会社でお作り願って、それを見せていただい、これは少し無理ではなかろうかというような点については御訂正を願って、そうして話し合いをしていくわけであります。三つの資金計画事業計画収支予算認可にすることはきついようでございますけれども、中心は資金計画でございます。事業計画は簡単で、収支予算は、これは収入については見積りでございまして、支出については、会社でいろいろ密に案をお立てになるでございましょうけれども、それについては私は大体その通り認可されるものと思います。非常な苦境に立っている会社である限りは、当然会社自体としても慎重に密に計画をお立てになるだろうと思いますけれども、結局年度の途中になりましても、政府がしりをぬぐわなければならぬというのが現実の事態でございますから、その程度にやることは私はむしろ会社ためにもなり、そのため会社の営業活動が拘束され、萎縮するということはないものと考えております。
  58. 青野武一

    ○青野委員 柳田さんにお尋ねいたします。とれが最後でございますが、今柳田さんのお答えの中に、政府からこの法律案改正については何らの相談も協議を受けたことかないというので、これは航空局長に関連しておりますから、私は二、三御質問を申し上げたわけであります。それで私の質問いたしましたのが、誤解があってはなりませんので申しておきますが、会社の資産は、株が十三億、政府出資が三十億で、監督権がごく弱められておるということは、これは不合理であることは間違いない。そういう点について役員選任の決議が行われたら認可事項とするとか、事業計画資金計画予算収支等については厳重なる監督の必要は私は認めます。そうしなければならない。また取締役が二十四名もおって、そのうち十三名が社外重役で十一名が常勤重役である。柳田さんの御答弁の中に希望が述べられておったが、これはしろうとが常識考えても、あまりに多過ぎると思います。こういう点は赤字が連続して、政府出資補助金にたよって、うば車からおりた子供が手をとられてよちよち歩くような会社に対して、政府監督権が強化されておるということは、まことに困る。役員もこの程度にしてほしい。それは言い分としては一応通ります。けれども、それではあまりひどい。だから適当な監督権政府が持つところの出資に対してなさなければならぬということは当然であります。私は、厳重な監督権が強化されたことは不都合ではないかという意見を言っておるのではない。これは当然のことであります。この点について先ほど關谷委員の御質問に対して御答弁がありましたが、最後に、役員は実際のところ政府の案と日航の案とどこに食い違いがあるか。役員の数においてはどこ、あるいは事業計画資金計画についても将来またかなり監督されるから、食い違いが出て参りましょう。そういう点について政府側が委員会を通じてこうしてもらいたいという具体的なものがあれば、最後に私はそれを承わっておきたい。  それから荒木航空局長には、これは大臣の責任でありまするが、直接の指導監督をなさるのは運輸省の航空局長の任務であり、責任である。その任務の重大なる点はここにあるのでありますが、これが法律案として衆参両院を通過した際に、果して自分たちの先輩が網羅されておる重役陣を向うに回して、法律による十分の指導監督がされるかどうか、そういう点について私は伏魔殿といわれておる日本航空協会の理事に、あなたは政府監督者の地位にありながらお名前が載っておる。私の書類に載っておる。現役の運輸省の航空関係監督者である責任者が、取締りをし、監督する民間団体の理事を十四人の中でなさっておるということが、果して許されるかどうか。その点について郷古さんは風のように飛んで帰られた。私は局長を相手として二、三時間質問したいと思っておった。きょうは参考人を中心としての質問陳述でありますから、次の運輸委員会には日本航空協会が飛行館を通じてこれがどうして再建されたか、あの資産が幾らか、経理の面で乱脈をきわめておる等、具体的な真相を二十六項目にまたがって私は航空局長に質問する予定であったが、今日の運輸委員会では申しませんが、大体それをお含み願っておきたい。事実によって、私は監督下行き届きであるからあなたの進退を要求する。そういうことを一つお含みを願っておきたい。これについて柳田さんの最後の政府案と政府航空局長の言っておることと、私どもの要望しておる点は、こことこことこの点でこのように違いますというお答えを願って、私の質問を終らしていただきます。
  59. 柳田誠二郎

    柳田参考人 今の青野先生の御質問は、役員の数に関係することだったのでしょうか。私ちょっと聞き漏らしましたが、その点でありましたら關谷先生にお答えいたしました通り一つ御了承願いたいと思います。
  60. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 監督がこの通りできるかということでございますが、監督と申しましても、今申し上げましたような建前の監督でございまして、こまかいことをするという監督ではございません。十分あの法規の執行はできるものと考えております。
  61. 原健三郎

    原委員長 参考人はもうよろしゅうございます。どうもありがとうございました。     —————————————
  62. 原健三郎

    原委員長 次いで国鉄の一等車の料金等について、政府当局より説明を求められております。この際これを許します。植田監督局長。
  63. 植田純一

    ○植田政府委員 国鉄一等寝台車を二等寝台車に格下げいたします措置につきまして御説明申し上げます。一等寝台車の旅客の利用が非常に悪くて、二十九年度の上半期におきましては一単一日当り五・六人にすぎない状況でございました。この理由といたしましてはいろいろございまするが、二十九年の四月から運賃、料金に対する通行税が外ワクとなりまして、非常に一等の運賃が高くなりましたというようなこと、あるいはデフレ経済か浸透してきたということ、その設備がこの運賃、料金に比して相応していないということ等の事情によると考えられるのであります。そこで利用率の非常に低い一等寝台車を二等寝台車に格下げいたしまして、需要の多い二等寝台車の増備に資するということと、それによりまして二等寝台利用旅客の増加が考えられますので、国鉄経営上から見ましてもこれは得策である。かような考えからこの一等寝台車を二等寝台車に格下げするという問題が起っておったわけであります。大体こういう方針に基きまして、国鉄からこの申請が出て参っております。運輸省といたしましても、いろいろ検討いたしました結果、先ほど申しましたように利用効率の増加ということ、あるいはまた国鉄経営上から申しましても得策であるという点等を考えまして、この措置を認めるという考え方に立っておるわけであります。  大体その考え方の内容を御説明申しますと、現行の列車の二等寝台料金は、もちろん据え置きでございます。新しく一等寝台車を格下げいたしましたこの二等寝台車につきましては、従来の二等寝台に比べまして定員が少し少い、ゆったりしておるという点、また設備の点を考慮いたしまして、新しく従来の寝台料金とは別の寝台料金を設定するという考え方であります。それで新しい二等寝台料金はどういうふうになるかと申しますと、お手元にお配りいたしました資料の一枚目の裏にございますが、二等寝台料金をA、B、Cの三種類といたします。Aと申しますのは現行の一等寝台の特別であります。それから二等寝台のBと申しますのは、現行の一等寝台の普通室の料金でございます。それから二等寝台料金のCと申しますのは、現行の二等寝台の料金でございます。そしてこの表にございますようにAの上段、下段、Bの上段、下段、Cの上段、下段の六通りの寝台料金を設定いたすという考え方でございます。二等寝台料金のAの下段の一番高いのが二千七百六十円ということに相なっております。それで現在の一等寝台車を利用しておりました現行の場合と、新しく改訂いたしました場合との利用客全体の負担額がどういうふうになるかというのが、一番最後の表に比較いたしてございまするが、東京——大阪間におきましては、大体現在の一等に比べますると、格下げ二等を利用いたしますと、大体二千五百円から三千二百円程度安くなる、かような状況でございます。大体以上の措置は七月一日から実施いたしたいと考えておるようなわけでございます。  なおつけ加えて申し上げますると、この一等は寝台車のみならず展望車をも含めまして、一等全部なくしてはどうかというふうな意見もあったわけでありまするが、この際は一等寝台車の格下げのみにとどめまして、特急についております一等の展望車あるいは青函航路の一等という制度は、存続するという考え方でございます。以上簡単でございまするが御説明申し上げました。御了承を得たいと考える次第でございます。
  64. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 関連して。ただいま御報告があったのですが、合理化して効率を上げていくということは、きわめて私は適切な措置だと思うのですが、前から承わりますと、特急車の展望車も全割廃止するという意向のように聞いておったのですけれども、それが今承わりますと、廃止は取りやめになったように承わるのです。それには何か特別の理由があって取りやめになったのか。その経過を一つ御説明いただきたいと思います。
  65. 植田純一

    ○植田政府委員 一等展望車につきましては、確かにただいまお話がありましたような議論もございました。しかし観光客が来るというふうな見地からも、一等展望車を直ちに全部やめてしまうのもどうかというふうな考え方と、さらに根本的には一等、二等、三等という三等級制というものは相当沿革もございまして、法律的にも三階級ということがはっきり現在まで明示されておるわけでございます。従いまして一等を全廃して二階級にするということにつきましては、もう少し慎重に検討を要するのではないか。各方面のいろいろの意見も承わった上で、根本的に二等級にするならするというふうな措置をとってもおそくはないのではないか。ことに寝台車の場合は、今申しましたような理由で、この点だけはできるだけ早く実施した方が得策ではないかというふうないろいろの点を考えまして、さしあたりこの際は一等寝台車変更措置のみをしまして、根本的な二等級制にするかどうかということにつきましては、もう少し各方面の意見も承わりまして、慎重を期したい、かような次第でございます。
  66. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 私はこの鉄道の料金の設定につきましては、従来から考えておるのでありますけれども、非常に煩瑣に過ぎるのではないか。一つでもこうやって料金の煩瑣を除いて効率を上げいくことには、合理的な運営、いわゆる運営の合理化に対する一歩の前進であると思って、私は歓迎いたします。しかし今申しまするように、特二があり、二等があり、三等がありというようなわけで、きわめてその料金の種類が多いのです。将来これをもう少し整理をして、そうして少くとも現在の特二程度のものにそれ以上のものを格下げをして、今の二等程度のものを三等にというようなふうに、もう少し三等を格上げする、こうしてやはり大衆に対するサービスの加味された、いわゆる合理的運営をなすことが適切ではないかと思うのですが、運輸省として、あるいはまた国鉄当局としては、こういうような料金の設定に関して、ただ一等をどうしたということでなく、今後根本的にそういうような問題を再検討して、少くとも企業合理化と効率増進のため措置をとられることが適当ではないかと私は思うのですけれども、そういうような検討がされておるかどうか。あるいは将来そういうような方向へ発展させる一つの前提条件として——条件というと語弊があるでしょうけれども、前提というような要素も含めて、このたびこういうような改正をされたのか、その辺を一つお聞かせ願いたい。
  67. 植田純一

    ○植田政府委員 この一等車を全廃いたしまして二階級制にしてはという考え方につきましては、できるだけこういう階級制を簡素にいたしまして、能率を増進するということが得策でもあり、また世界的に見ましても、そういうふうな進み方になっておるということで、そういう考え方が出ておるわけであります。もちろん二階級にするということは、一等をやめて現在の二等、三等でよろしいということではなくて、二階級にしまして、できるだけ格上げする。三等車もできるだけよくする。上等と並等と申しますか、そういうふうにしまして簡素化しますとともに、この並等も非常によくするという考え方はもちろん持っておるわけであります。今後の進み方としましては、当然そういうふうな考え方でいくのではないかというふうに考えておりますが、現在のところは直ちにそういうふうな状態にいたしまするにしましても、先ほど申しますように、もう少しいろいろ慎重に考えなければならぬのじゃないかというふうなことで、一等の全廃というところまでは行かなかったというのが現状でございます。
  68. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 一応私は希望といたしましては、今申し上げましたように、あまりにもこの等級の繁雑な点を見まして、少くともそういう雑多な階級を設ける必要はないし、それはあまりにも時代に適応しない運賃のあり方だとも思いまするので、これについては根本的にもう一度検討をされるように要望したいと存じます。ではこれを希望として申し上げまして、一応この件に関してはやめておきます。
  69. 畠山鶴吉

    ○畠山委員 ただいま寝台車の格下げにつきまして御説明がありましたが、今御説明のうち観光という文字が入りましたから、一言つけ加えたいのです。観光の使命は今後重要でありますので、ただいままで計算した四千万ドルという膨大な数字は御承知通りでございますが、観光客に対してもう少しサービスする点を考えてもらいたい。それから二等、三等に格下げするというような点がありましたけれども、私は最近地方を歩いて、三等車の改善ということにはある程度力を入れているように思われる点もある。同時にまたごく粗末な点と二つあると考えます。しかし東海道を走っております一等車は、桃山時代風とかなんとか、だいぶ古いものを使っておりますが、こういうものを外人が喜ぶかいなかということは、今後大きな問題として残されるのではないか。かような点からいたしまして、まず格下げをして収入を増加するという点には賛成でありますが、もう一歩進んだ改善という方にもどうか力を入れていただきたい。同時にもう一つここで申し上げたいことは、汽車に乗りまして寝台車を要求する場合に、顔色見い見い寝台車をくれるような状態がまだ非常に多いようですが、ボーイというか、専務車掌がこれらの点につきまして、観光面から考えたらもっと気持よく、あいております、どうか寝台車をお使い下さいというように、軽く扱ってもらうようにしていただかなければ、せっかく料金を下げても、その間でもそもそ変なやみ取引が行かれるようでは、すっきりした値下げにはならないと思うのです。この点を特に注意していただきたい。また湘南電車やいろいろな電車もできておりますので、これらも十分にらみ合せて、収入の面と観光面をよくお考えの上、今後この問題を取り上げていただきたいことを希望として申し上げる次第でございます。     —————————————
  70. 原健三郎

    原委員長 次にハイヤー、タクシーの料金問題について調査を進めます。山口丈太郎君。
  71. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 私は今議題として委員長が申されました料金問題というよりも、今日ハイヤー、タクシーの業界が非常に混乱しているようでございますが、そのどちらがどうという結論は行政府にまかしていいと思いますから、それに触れようとは考えません。しかし今日の事態は、道路運送法に規定されましたその規定にどちらが違反しているのかは私は存じませんけれども、しかしながら聞くところによりますと、運輸省に対して改正料金の申請をして、それが聞いてもらえないから、実力行使をもって、法を無視して斯界を混乱させている、これは相当の日数を経ているようでございますけれども、いまだそれに対して何らの具体的な取締りの措置が講ぜられていないということを私は耳にいたすのであります。こういうことになりますと、道路運送法等によります法の不備、欠陥ももちろんあるでありましょうけれども、少くともハイヤー、タクシー業者であるがゆえに、日本の国法を無視することが許されるものでは断じてないと私は思います。しかるに取締り当局は今日これを放任している状態は、一体どういうわけであるか。それについて詳しく説明を要求したい。
  72. 河野金昇

    ○河野(金)政府委員 先週の土曜日でありますか、不当な事態に突入いたしまして、その日に直ちに運輸大臣は陸運局長に命じて、法を犯しているものの取締りを命じております。その後、これは陸運局の関係のものでありますから、運輸大臣は数回にわたって陸運局長に命じております。処罰も着々行われつつあるように報告も受けております。また一方きのう大臣の強い要求に対して、きょうはけさからすでに相当の部分はいわゆるダイビングをやめつつありますが、本日大会を開いてその大会の決定に従って、大臣のきのうの申し入れを全面的に受け入れて、少くとも——これは山口さんも御承知のように、タクシーは夜なり朝なり出ると、二十四時間勤めてそうして交代でありますから、出た者に対しての達しの徹底しないような面もあって、今なお幾らか歩いているかもしれませんが、明朝からは全部こういう法を犯して走っているという事態はなくなると思います。取締り面に対しましては関係方面からお答えがあることと存じます。
  73. 原健三郎

    原委員長 この際お諮りいたします。ただいまのハイヤー、タクシー問題については、警視庁警ら交通部交通第一課長鈴木実君を参考人として御意見を伺いたいと存じますが御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 原健三郎

    原委員長 それでは鈴木実君。
  75. 鈴木実

    ○鈴木参考人 お答えを申し上げます。結論から先に申し上げますと、今のところでは直ちに取締りをいたしませんということでございます。その理由は、道路運送法は先生の御案内のごとく、第一次的には運輸省でやって下さるということ、第一次的な監督でございます。それからこれはタクシー料金の問題でありまして、私どもの担当さしていただいている道路交通取締法とは、いわゆる事故防止にはそう大きな影響がないというふうに考えること、それからもう一つは第一次的な主管官庁でありますところの運輸省の方でこの問題は処置するからというお話がございまして、目下のところは静観をしているわけでございます。陸運局長それから事務所長の方から、この問題で行政処分をするについて、制服の警察官を出してとめるだけとめてくれという御要望は今週の月曜日にございましたので、これは毎日警察官を出しております。以上であります。
  76. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 私は意外なことを今答弁から受けたのですが、何ですか道路運送法の取締りになる取締りは便宜的なんですか。
  77. 鈴木実

    ○鈴木参考人 道路運送法の取締りは便宜的ではございません。第一次的には運輸省が主管をしておるということでございます。
  78. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 それならば道路運送法あるいは道路の諸法規等については、たとえばそこらで労働組合の連中が少し隊伍を組んで通っても、道路交通取締法違反だということでびしびしやるのですね。ところが道路運送法等のこういう国の法律に違反をして、勝手気ままに野放しにやって、法の威厳も何もあったものでない、いわば無政府状態なんですね。そういうことの起る原因、またなしておる者のことはどうということは言いませんし、そういうことは私は干渉しません。しかしながらそういうようなことがこの国会の足元で行われておるのです。そしてその取締りの衝に当る人がそのまま放任していて、お互いに責任のなすり合いをしている。それでは国民の信頼に足る善良なる治安維持の責任者とは申せないと私は思うのです。私が便宜的だと申すのは、そこを言っておるのです。聞くところによりますと、警視庁の方で取り締ろうとされると、運輸省の方で待ってくれという。自動車局長も見えておりますが、運輸省の方で待ってくれということで、その取締りを、平たく言えば、口悪く言えば妨害をする、そういうような措置をとっておられる。これは監督者たる運輸省が全くみずからの威信を失墜するの醜態を天下にさらしておるものである、こういうように私は考えます。これについて一体運輸省はどう考えられておるか。私は本日その料金問題が解決したかしないかは知りません。そんなことは問題でない。こういうような取締り状況、監督状況に対して、これをそのまま進めて、全国にこういうことが広がればどうなりますか。その政治責任もきわめて重大なものがあると思うのですが、なぜそういうような措置をとられたのか、これについてお答え願いたい。
  79. 河野金昇

    ○河野(金)政府委員 やはりこういうもめごとと申しますか、こういう対立した問題でありますと、いろいろなデマや何かが飛びまして、私たちも実はときどきだまされると言うと、言葉が悪いかもしれませんけれども、やはりこちらが根が正直でありますから、一方的なことを言ってこられますと、それを信用するものであります。そしてたびたびその信用した結果が、逆に運輸当局の威信を傷つけてきたようなことになりまして、これは不明のいたすところで何とも申しわけがありませんけれども、おそらく運輸当局として取締りをしないでくれ、待ってくれというようなことは言うべきはずのものでありません。ただ警視庁としてスピード違反なんかはすぐつかまえて、すぐ検察庁の方へ送っておられるようであります。果して今度の料金違反の問題を、そういう警察で処罰する対象にするのか、それとも運輸省で行政的に処分するのか、そこに限界があったと思います。だから私たちとしては、その法を犯した者に対しては行政処分をする決心をいたしまして、そのために警視庁にお願いして、だから警視庁はつかまえて、それが違反をしておるという事実がわかれば、それの処分は幾日間の営業停止とかいうような行政処分でやっていると思うのであります。今警視庁の方が何もやっておらないとおっしゃったのは、警視庁自体としてはスピード違反等のように、裁判所へ回す事件であるかどうかという考えがきまらないということであろうと思いますし、われわれもまたこれは裁判ざたにして、その料金の違反をした者を裁判に——これはもちろん簡易裁判ではありましょうけれども、そちらに回して一月も二月もごたごたするというそ分処分の仕方がいいか、行政処分がいいかという、これは考え方の相違であろうと思いますが、運輸当局としては行政処分にするという方針のもとに、すでに処分も着々行われつつあると思います。それに対して警視庁はこういう車、何番の車が、こういうことをしたという報告を陸運当局と連絡のもとにやっていただくことだと了承をしております。
  80. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 今行政処分、行政処分と言われますけれども、道路運送法の百二十九条は御存じだと思うのですが、これによりますと「左の各号の一に該当する者は、五万円以下の罰金に処する。一 第八条第一項又は第六十一条第一項の規定による認可を受けないで、又は認可を受けた運賃若しくは料金によらないで運賃又は料金を収受した者」、収受しているのですよ。これは百二十九条に違背しておることは明らかなんです。そうすれば法に違反しておるのですから、当然取締りの対象になることは当りまえです。そうでしょう。この八条とはどういうことかといいますと、「自動車運送事業者は、旅客又は貨物の運賃その他運輸に関する料金を定め、運輸大臣認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様とする。」こういうことになっております。そこで運輸省としては当然この百二十九条によって、取締りをむしろ進んで警視庁がやらぬとなれば、警視庁にこういう違反事項をやっておるから、これは正常に戻すように協力して、取締りをしてもらいたいと要請するのが当りまえでしょう。警視庁が取り締らんとすれば、逆に運輸省がこれをやめてくれ、まかしておいてくれ、何かそこらがいわば暴力団のごとくまあおれにまかしておけ、あとはおれが処罰するというようなことではいけない。ちゃんと規定に基いてその法律通りになさって当りまえだと私は思う。これは悪くいえば警視庁と運輸省が談合でいい調子にもみつぶしておいて、あたたこう暮そうというお考えですか。私はどうもその点が不思議でならぬのですが、これは具体的にどちらからも答弁していただきたい。ただ警視庁は運輸省からそういう要請を受けた、運輸省はまた警視庁に対してそういうことを言った。これは逮捕のときも私は言うのですけれども、あなた方三人一緒にいるから口を合せるようにする。別々にしてやればいいのですが、そういうことはできない。正直に言って下さい。
  81. 河野金昇

    ○河野(金)政府委員 今御指摘になったように、たとえば普通は八十円の料金で走るべく許可を受けている車が、たとえば七十円にこの間うちしておる。紙を張って走っておる。そうすると注意しておるお客でありますと、メーターは直っておりませんから、メーターはやはり八十円で順序に出ていくので、結局七十円にしておるということは、その出た料金から十円引くということでありましょうが、だからその紙の張ってあるのだけ見て、メーターの最初の回るのをうっかりしておると、お客の気のつかぬ場合には、そのメーターに出たままの料金を取るようなこともあります。だから料金の違反をしておるかどうかということは、ほんとうにそこで受け渡し——受け渡しといいますか、払った現場をつかまないとなかなかむずかしいと思います。現行犯でないとなかなか——表に書いてあるだけでも一つの形式犯でありますが、実際の違反行為が成立するということは、その収受をしたときであると思います。だから警視庁としても、走っておる途中で、お客も乗っておらないようなときに取り締るということはむずかしかろうと思います。運輸当局が警視庁に言っていることは、その処分の仕方は裁判所へ回す事件か、それとも行政処分にすべき事件かということで、これは運輸省としては行政処分にしたいということを意思表示はしたのでありますけれども、そういう取締りをしないで、やめて待ってくれという、取締りをやめよというようなことを言ったことはありません。
  82. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 今この問題については警視庁も答弁して欲しいが、しかし私は物忘れが早いので、忘れない先に、河野さん、あなたはあそこには表示してあるだけをもって現行犯と認定はできない、こうおっしゃるのですね。あなたは法律家と聞いておるのですが、私はしろうとですから常識の範囲は出ません。けれども少くともあそこに料金を表示しなければならぬことは、規定でそうなっておるのです。そうしてその表示をするということは、すでに乗る前から、この自動車に乗られた場合には基本料金は六十円ですよ、五十円ですよ、あるいは八十円ですよという契約を意味している。対社会的にすでに契約的な意思表示をしておるのです。もしそれをお客が履行しないとしたならば、これは無賃乗車なりあるいはまたその他の理由によって、当然その乗客は制裁を受ける。ですからすでにその意思表示をしていること自体が現行犯なんです。見解の相違だといって逃げられるならそれまででありますけれども、それなら汽車の料金表などは掲示する必要はないですね。同じことです。やはりその意思表示というものは、それはもう乗ろうが乗るまいが、この車を利用した場合には、これはこういうような契約をするのですぞということを、対社会的に意思表示しておるのです。このはっきりした現行犯をあなた方は放任しているということは、詭弁ではないですか。なぜそのように詭弁を使っても、これをのがれなければならぬのか、取締りをみずから放棄されるのか、私は理由がわからぬのです。この際あなた方ははっきりしておかなければ、そういうような答弁をされることは奇怪千万だと思うのですが、どうですか。
  83. 河野金昇

    ○河野(金)政府委員 運輸当局としては、料金違反を犯したその日に代表を呼んで、そういう違反をあなたのおっしゃる通りに紙を張ってやっていることは、すでに違反の気持でやっておるのだから、そういうことはけしからぬから絶対にすぐやめてくれという厳重な警告を発し、その後もなおそれに従いませんから何度も警告を発し、きのうようやくそれに従うということになったわけであります。その間の違反行為を犯した者は、陸運当局にも相当の数が集まってきております。しかし御承知通りに陸運当局の人数にしても、あるいは警視庁にしても、この問題だけに全力を注げないでありましょうから、全部が全部つかまえるということには至っておらないかもしれませんが、相当集まっております。だから、それはその資料に基いて順次処分はしつつあるのでありまして、決して手心を加えておるとか、あるいは法を犯した者を見のがしておるとかいうようなことはありません。ただ料金違反で取り締るという場合に、警視庁の方でもむずかしい。実際のやりとりした現場をつかまえないと、そういう種類の問題は、警視庁としてもなかなかやりにくいということはあったであろうと思います。しかし、いずれにしてもいろいろな経過をたどりつつ、きのう代表が来て大臣と会見し、即時やめる約束をし、その手配をしつつあり、最終的には明朝までには全部そういうものがなくなる事態には立ち至っております。
  84. 鈴木実

    ○鈴木参考人 先ほど山口先生から、陸運局となれ合いだというようなお言葉かごさいましたが、そういうことはございません。先ほど申し上げましたごとく、陸運局長がやるということは、こういつた事態が早く終息することが一番よいのだというふうに考えておりましたので、ぜひ一つ早く御解決をお願いいたしますということを申し上げたので、これがなれ合いというふうに見られるならばいたし方ございませんが、私としても、先生のおっしゃるごとく、法治国家にあって法が犯されておる、だから、こうした事態がいつまでも続いておるならば検挙しなければならない、こういうふうな気持を持ちまして、実は検察庁とも連絡をいたしておったわけでございます。ただいま次官の方からお答えがございましたごとく、検事の意見では、司法処分の場合には立証段階が非常にむずかしいぞ。というのは、料金の収受、それからこれは運転者と事業主すべてが処分されるのだから、しっかり証拠を固めなければならないというふうなことまで言われておりまして、私はこの状態をいつまでもやっておったのでは、どうしても取締りをやらなければならないというふうに実は考えております。陸運局長さんがそうおっしゃったことは、陸運局長さんも非常に御心配になっておられて、一番早い方法はナンバーを取ってしまうことだ、そこで行政処分でいくからということでございまして、私の方でもって巡査を出しまして——御案内の通り私服なものでありますから、制服でないととまりにくいというので制服を出して、きょうもやるつもりでおったのですが、ただいま次官の方からお答えがございましたごとく、解決したというので、きょうは取締りいたしておりません。
  85. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 取締りの実態について私はもう一点伺いますが、二、三日前から警視庁では取締りをしようというので、警官を派遣せられておるようにも聞いております。ところが、第一線の警官が取締りをしようといたしますと、その違反者は多数集まって、多数の示威もしくは暴力に近い集団行動によって、その警官の行動を阻害する行為があったと聞いておるのでありますが、そういう事実があったかどうかを確かめておきたい。
  86. 鈴木実

    ○鈴木参考人 遺憾ながらございました。それで、これは直接行動に出たわけではございません。具体的に申し上げますと、警官がとめますと、そこへ所属の社長が参りまして、だれの指揮で、命令でとまるのだというようなことで、行ってしまえということをやったことは事実でございます。これに対して私どもは、けしからぬ、これはもう完全に公務執行妨害になるからということで、名前はまだ申し上げる段階に至っておりませんが——実はそういうことを予想しておらなかったのです。従って私どもは人がいいとおしかりを受ければそれまででございますが、警察官が言ったらとまってくれるだろう——実は目下三人の調書をとって書類送検するつもりでおりますが、その事実を聞きましたので、すぐに委員長を呼びまして、こういうような事態を起してはけしからぬということで注意を与えましたところが、何とも申しわけがないということでございまして、それ以来は陸運当局の調べに対してきわめてスムーズにいっておりまして、その後は一回もそういう問題はございません。
  87. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 私は直接その任に当られる警視庁から今の御答弁を聞いて、まことに遺憾に思うのです。先ほどからの運輸省の御答弁と照合して考えますと、運輸省がその監督的な立場にありながら、あまりにもこういう違法行為を未然に防ぐような政治的配慮と努力をしなかったところに、私はきわめて重大な責任があると考える。私はそのどちらがどうなのか、またその利益がどうかという、そういうようなことは考えておりません。けれども憂慮すべき問題は、このようなことが東京で行われ、今後各地においてこういう問題が発生しないとは限らないのであります。その地方々々における取締りの警官に対して暴力ざたをもってしてもそれは表ざたにならぬ、暴力行為をもってしても違法行為が勝つというのでありますならば、日本の法治国というものはもうすでに破れてしまっておる。これこそ私はゆゆしい問題だと考えるのであります。こういう点については、運輸省としては重大なる責任を負わなければならぬのであって、単にこの紛争が一時的に解決をしたからそれでいい、業者と運輸省との間に話し合いがついて円満に解決をしたからそれでいいという、それで済まされるものでは私は断じてないと思うのです。こういう点については、運輸省は違法行為を行なった者に対して今後どういう処置をしていかれるか、ただなれ合いでよろしいといって、それで運輸省は済まされるつもりですか。違反行為をした者に対しては、その是非は別といたしましても、違反行為そのものに対しては断固として取締り当局としての処置をとられることが、私は今後業界に対する秩序を維持するためにきわめて必要だと思う。放任されるつもりか、それとも取締りを断固強化するつもりか、二つに一つの返事を今いただきたい。
  88. 河野金昇

    ○河野(金)政府委員 それは申すまでもありません。法がある以上断固取り締るのは当然であります。
  89. 正木清

    ○正木委員 私も簡単に運輸当局に質問をしたいと思うのですが、いずれにいたしましても、大臣並びに政務次官の非常なる御努力によって、この種の混乱状態が一応おさまりがついたということについては、私は大臣、政務次官のその御努力に対しては、心から敬意を表します。こういう事態が相当期間続くということ、そしてこのことが全国に波及するというようなことは、何人が考えても実は望ましいことではないわけです。そこで問題は、あなた方の努力によって一旦解決を見たことではありますが、何としても大切なことは、みずから法を破ったこれらの業者の諸君に対して、行政庁として今後どういう取扱いをするかということが当然問題になって参ります。ただいま河野政務次官から、法を犯した者は、断固としてこれを取り締るのだという基本的な方針が明らかになりましたから、私は多くは申し上げません。  そこで法の解釈でございますので、簡潔に自動車局長にお伺いしておきたいと思いますが、自動車局長は、この道路運送法の第八条第一項または第六十一条の第一項の規定はどのような精神であるのか、これを一つ明らかにしてもらいたいと思います。
  90. 真田登

    ○真田政府委員 百二十九条にございますのは、罰則でございますが、なお第四十三条に行政上の措置が規定してございます。これによりますと、車両といいますか、輸送施設の使用の停止、営業の停止、それから免許の取り消しというふうなことがいろいろございます。現実に違反を起しておりました車につきましては、そういった処分をその状況に応じて適用する、こういう考え方でございます。現在のところでは、一昨日でしたか行いました処分は、車両の使用停止、現実にやっておりました車に対してそういった処分を行いました。
  91. 正木清

    ○正木委員 この機会に河野政務次官に特に希望したいことですが、こういう事態が起きたことには、それぞれいろいろの理由があろうかと存じます。従ってその理由に基いて起きた事柄であるが道路運送法というりっぱな規定がある限り、この法はやはり事の理由のいかんにかかわらず守っていただかなければならぬことですから、この法を守るために運輸省は監督官庁として最大の御努力を願いたい。   〔委員長退席、山本(友)委員長代理着席〕  それからもう一点は、こういう事柄が再び起きないように、さらにまた最大の御努力を願いたい、こういう点を強く要望しておきたいと思うのです。  それから特に私はこの機会に政務次官に強く要望したいことは、いずれにいたしましても、これは自動車局長なり東京都の陸運局長等は、相当の責任を感じてしかるべきものではないか、これを私は率直に申し上げます。と申しますことは、国家公務員法八十二条の精神からいっても、私はやはり責任は感じていただかなければならぬ。今後こういうことが再び起るということは、どっちへ考えてみても決して好ましいことではないのでございますから、どうかこういう点については十分お考えを願いたいということを、強くあなたに要望したいと思います。どっちへころんでみても、決して好ましいことじゃないのですから、再びこういう事態が起きないように、十分に監督なりその他の行政処置をとられるよう要望いたしまして、私の質問を終ります。
  92. 永山忠則

    永山委員 私は大臣並びに事務当局の御尽力で、大体解決を見たという関係を聞きまして、ただいまの取締り、処罰等の問題については、またその結果に応じて質問をいたすことにいたしまして、こういうことがないように、抜本的な処置を今後講じられるかという点を質問をいたしてみたいと思うのでございます。すなわち当局はきぜんたる態度で、こういう大混乱が来ないように最善の処置をするというその方途に対して、積極的な意見を申し述べ、また御意見を承わりたいのでございます。  この混乱状態は、これは業者の混乱だ、こんな業者混乱を運輸委員会へ持って出るなんかばからしいことだといったような、きわめて皮相な観察をするというのが往々あるのでございますけれども、この大混乱こそは実に——もちろん法治国家としての点から見る点は、別途の立場において今論議されましたが、そうでなしに、業界が全く致命的な状態に追い込まれて、業界を滅亡に導きますと同時に、また運輸当局もこの道路運送法の権威を保つことができずして、ついに公益企業として監督指導をいたしておるこの認可制が全く破れまして、いわゆる免廃の状態になってきました。いわゆる免許を廃止して、自由営業へ移行していくということへ追い詰められることになるのでございまして、当局のこれに対する十分の取締りができない、当局の威令が行われないということになるならば、道路運送法は全く空文化いたしまして、ここに免許制から免廃へ移行をいたしまして、輸送状態が大混乱に立ち入るものであると思います。時間的関係がございますので、一問一答を避けまして総合的に申し上げ、あと総合的な御意見を承わることにしたいのでございますが、すなわちその免許制が破れまして、免廃になって無免許制になった場合はどういう結果になるかというと、民間側においては、車がふえて安くなればいいのじゃないかという考え方が往々ございまして、安易につく状態になるのでありますけれども、その状態は往年、一万一千台で戦前に起りました。その結果は何を物語っておるか。すなわち雲助稼業となりまして、その雲助稼業は、結局善良なる都民を苦しめたのであります。強い者に対しては安く行きますけれども、弱い婦女子を乗せた場合においては料金をひったくるという状態で、安心して乗ることができない、この混乱状態が続きました。これは人間の生命を扱う公益企業である。またトラックにしましたら、大切なる荷物を扱うものであるからして、ここに十分なる公益性を持たす統制をしなければならぬという観点に立たれまして、二年前に免廃問題が、ちょうど終戦後の状態の思想関係と相待ちましてがぜん起きましたときにおいて、当局は、これに対しては免廃へ持っていったならば、どうしても大混乱が起るのであるというので、道路運送法の改正となりまして、ここにむしろ強力なる統制をされるということに、逆に移行をいたしたのがこの定額運賃制でございまして、安くしてもいかぬという法律にいたしたのでございます。この定額運賃制をとっておるものがどこにございます。酒屋さえも、酒を安く売っても処罰されないことになっておるのに、この自動車輸送運賃だけは定額運賃制をとりまして、安くしてもいかぬ、高くしてもいかぬというほど強い統制力を持って、そうしてこの人命を運ぶところの自動車営業に対して、強く政府監督指導をしようということに至りました。ここにおいて、国民は安心して自動車に乗ることができ、荷物を預けることができるという、この指導的立場に立っておるところの運輸省の権威が全く失墜されてくるということは、ゆゆしき問題であると考えなくてはならぬのでございます。  そこにおきまして、ここで特に運輸当局に申し上げて、さらにこれが抜本的施策を講じて、こういう混乱が再び起らぬようにするためにはどこに重点を置くべきであるかといえば、料金の問題ではないのでございまして、道路運送法の第八章、すなわち前々議会、前議会から免廃問題を中心に改正をされましたところの自動車運送協議会の本質的性格を、十分立法精神にのりとって運用をされるということでなくてはならぬのでございます。その道路運送法の改正されました重点は、需給の調整でございます。そのときに中村自動車局長は、とにかく自動車がたくさん許可されて、安くさえあればいいという、こういう常識的な気持になりやすいのであるが、その結果は雲助稼業となって、善良なる人々を不安に陥らしめ、そうして運賃のひったくり断行ということが起きて、結論的には良民が苦しむのだ、正しい人々が苦しむというところに持っていってはいけないので、ここで東京都のごとき状態は、これ以上の許可は押えて、そうして経営の合理化、健全化に向って指導するのだという方針のもとに、道路運送法の改正に力を入れられたのでございまして、その考え方が実際上行われておるならば、ここにこの大混乱は来たさなかったのでございますが、すでに資料を提供いたしましたように、宮田前福岡陸運局長、現東京陸運局長のごとく、自動車運送協議会の答申は尊重しなければならぬということが道路運送法においてはっきり書いてあるにもかかわらず、その答申があって一カ月もたたぬうちに、しかも東京へ栄転のその前に、新規許可をするというような暴挙をあえていたし、さらにまた権田前東京陸運局長は、東京都のこの交通関係におきまして乱許、乱立そうして大混乱を目の前に置きながら、需給の調整に対して熱心にやろうという考え方を持たずに、自動車運送協議会の答申の精神を無視して、どんどんと許可をいたしました。安くなりさえすればいいというような考え方でやりましたことに、大混乱が来ておるのでございますから、当局はこの自動車運送協議会のこの答申を中心といたし、需給の調整に対して、この状態を見られまして一段と指導的立場に立って、これが解決の方途に向われませなければ、今日の混乱を是正することはできないと考えておるのでございます。ここにおきまして私は需給の調整に関して新しい構想をもってそういう積極的指導方針で、業界を健全なる企業に向って進めていくということに対する信念を承わりたいのでございます。  今日残念なことには陸運局は、これは陸運局の責任ではございません。運輸省自体の政治力が弱いために、予算がないために取締りの手足を持っていないのでございます。担当全域にわたりまして取締りに出る者はわずかに、三人、四人ということで、この東京都だけで一万何千というこのタクシー、ハイヤーを取り締ることはできはしない。それを関東一円を持っておる取締り指導目が、わずかに二、三名というような予算でできるはずはない。これが予算的制約を受けておりますから、全く無能の状態になっておりますが、健全企業を阻害しておるところの名義貸しというのがありまして、会社組織ではあるけれども、名前だけ借りて自分の車で営業をいたしておる、この名義貸しが横行いたしておる。そうすれば安くていいではないか、その方がかえってよろしいといったような考え方を常識的に持つのでございますが、陸運当局並びに運輸当局は、この弊害ははっきり御存じのはずでございます。何となれば自分の車だから大切にしてよく運転するだろうという考え方、また会社形態でありながら会社でないのだから、費用が安くなるから結局安く運転されるのだろうといったような、きわめて安易な常識で判断をしがちなのでありますけれども、これこそ輸送秩序を乱す一番根幹をなすガンである。このガンであるということは、自動車保険をやっておる保険会社に行ってみればすぐわかる。名義貸しのある会社には保険はかけられません。かけたならば現在の料率では損をする。ということは何を物語っておるかといえば、そういう個人持ちの名義貸しをやっているところの自動車の事故は実におびただしいものでありまして、その事故たるや想像することのできないような大事故を起すのでございます。その理由はどこにあるかといえば、結局自分は欲である、欲であるから労働強化になる、欲であるから車両の手入れをする時間を惜しむ、車両の手入れをする金を惜しむ、そうして労働強化のために思わざるところの大事故を起すものは、実にこの名義貸しをやっておる、個人持ちの企業をやっておる者が大きな事故を起しておる。事故率の大なるものがここにあることは、すでに保険会社がはっきりこの会社に保険をつけることはできませんと言うことから見てもわかっておるのでございまして、名義貸しを横行させたならば、料金を多く取りたいのですから、談合でもって弱い者と見ればうんと取り、強い者と見れば安くする、こういうことによりまして全く輸送の大混乱を来たして、ここに交通事故の根源があるのでございまして、断固としてこれは処罰をしなければならぬということは論議の余地なくして、運輸当局も方針を確立されておるのでございますけれども、これがどうしても処置できない状態になっておるのであります。そのことは今日の取締りが運輸省において非常に困難なのと同じように、予算関係、人の関係等で十分できていないので、こういう点から見れば、全く取締り関係は公安委員会へ移譲する。公安委員会と税務署と手を握って、ほんとうに、これが取締りに税の面とすべての面で各官庁が協力してやるという強い態勢を持っていかなければ、この取締りはできないのでありまして、この名義貸しがどれだけ横行いたしておるか、いかに巧妙にこれが経理上操作されておるかということを探知することは、なかなか困難な問題でございますが、これらを断固として業界とともに手を握って排除してやる。そうして健全なる企業形態へ移行するという、この輸送秩序の確立に向いまして、需給の調整に強い信念と方途を用いられて、業界の事業が安定するときにおいて初めてここに料金問題が解決するのでございまして、七十円問題、八十円問題というこの問題は金によって解決すべきものではない。根本の需給の調整ということに対して、道路運送法の精神にのっとって断固としてこれに指導的立場に立って、業界とともに手を握って十分指導していくのだという、この決意のほどを承わらなければならぬのであります。
  93. 河野金昇

    ○河野(金)政府委員 永山さんも御承知のように、この料金問題はもう中心問題ではないとおっしゃるけれども、この自動車問題に関して料金の問題が現在は中心問題になってきておることは、あなたも御承知通りなんです。われわれが前にこれは大した問題ではないと言ったときは、これは重大な問題であるということを前の委員会でもおっしゃっておるのでありまして、私はこれはやはり重大な問題で、これを解決することがその次への一つの踏み台になると思います。今日の混乱の一つの原因は、私はやはり道路運送法の不備にもあったと思います。今のこの料金問題が、値段を下げる場合は、申請をすれば、いろいろ公聴会等の意見を聞いて、それを認可すればいいのでありますが、このバランスをとるような意味からいって、上げなければならぬというような場合に、それに反対であるならば、やはりそれを上げさせることができないという、この問題が一つの原因になってきておることは永山さん御承知通りであり、運輸当局が勧告をいたしました一カ月の猶予期間を置いて八十円に値上げをしてくれという勧告案に対しまして、そのまぎわになってもう十五日延期をしてもらえば必ず解決する、首をかけてでも解決するという話があったことも御承知通りであり、けれどもそれがその通りにならずして、こういうふうな混乱に導いたことも、あなたはよく御承知のはずだと思うのであります。けれども法を犯したものを容認するわけにはいきませんから、断固法に照らして取り締ってはいきます。同時にこの料金の問題が一段落つきましたならば、結局この需給調整の問題にいたしましても業界全部の協力なくしてはできないのでありまするから、料金問題解決の上は、今日対立しておる組合の融和をはかることに重点を置いて、そして双方の意見の調整の上に、やはり需給調整の必要があるならばしていくべきものであろうと思います。現段階において、たとえば今日ダンピングしておるものに対しては断固たる処置をとると同時に、その人たちももう明朝を期して全部もとに復するということになっておりますから、運輸当局、特に運輸大臣が強く永山さんにも御希望申し上げたような問題も、この際根本的に一つ解決して、そういう問題が片づいた上に立って、今あなたのおっしゃるようなそういう問題を解決し、同時に法の不備も一つ御協議願って法の整備もしていきたい、こういうように考えております。
  94. 永山忠則

    永山委員 運輸行政のうちで、鉄道関係よりは多くの輸送を持っておる自動車でございまして、結局輸送量の六五%を自動車が持っておって、国鉄が三五%でございます。運輸行政の一番大きい地位を持つものでございますので、ただ単に感情論とかいうような問題でこれを処理すべきものではない。ほんとう国策的立場に立ちまして、大所高所においてこれらの自動車行政に対して積極的な所論で、お互いに進まなければならない大きい問題であるとして、私は言葉じり等に対しては何ら申し上げませんが、次官が特に需給調整の問題に対して積極的な方途を持って、それによって法の不備があれば道路運送法の改正もまたはかるのだという決意のもとに、この道路運送法の中核をなす需給の調整によって、経営の健全化をはかって、公益的性格へこれを引き上げていくのだということに対する積極的な御意見をお持ちであると、ただいまのお言葉承知しているのですが、これに対してもう一度その決意はあるということならば、私はこの問題こそがあらゆる料金その他の問題を解決するところの抜本的な処置であるという信念のもとに、重大であるのでもう一度お聞きするゆえんでございます。
  95. 河野金昇

    ○河野(金)政府委員 結論においては同じになると思います。しかし感情を抜きにしてと申しますが、私は何も感情を持っておりません。私は運輸行政が失敗すれば去っていけばいいのでありまして、私は責任を負えばいいのでありまするから、私は感情は何も持ってはおりません。しかしあなたも御承知通りに、確かに今日業界に感情の対立があることは、好ましいことではないが認めざるを得ません。だからこういう料金の問題等に感情の問題がからんできておることも御承知通りなのです。だから料金の問題を片づけることによって感情の対立をやわらげ、そうして業界全体がほんとうに採算がとれていくような道が、今おっしゃる需給調整にあるとするならば、当然これは業界全部の要望によって片づけていきたいと思っておるのであります。そこへ行く前提として特に永山さんにも御希望申し上げておきまするが、一日も早く今日の事態が平穏に片づいて、その平穏に地ならしされた上に、今あなたのおっしゃるような問題が次々と強く打ち立てられていくことを心から希望し、また運輸当局としてもそれに努力することをいとうものではございません。
  96. 永山忠則

    永山委員 それでは他の人もおられますので、この問題と関連をいたしまして運輸当局へ要点だけ申します。金融的措置の問題であります。すなわち今日の業界は経営困難に陥っておりますので、金融機関はこれに融資をしてくれないのであります。従いまして非常なやみ金融で悩んできておる状態であります。これらの点に対しても積極的に指導的な立場に立つということが、今日こういう問題解決の重要なる点であるということから、当局は信念を持って一段とこれらの金融的措置に対しては、日銀との交渉その他でやるという点、さらにまた労働基準の問題にいたじましても、急遽これを二交代制に持っていくということは、これは現在の経営状態においては困難なる会社が非常にございますので、これらの点に対しても労働省におきましては、九月の三十日を契機として全部二交代制にしていくのだという、そういう態勢で反撃をしておるものに対して、運輸当局は自分の子供であるその行く末のために、一段の努力を払わなければならぬ地位にあるのでありますから、これらの点に対して労働省と積極的に交渉をやるという点、さらに今日あらゆるものが減税をされて、大資本家といえども減税されておるときにおいて、ガソリン税の値上げだけやる。そうして自動車道路の一切の費用はすべてガソリン使用者の自動車のみが負担するというような、今日のガソリン増税の問題に対しても、またしわ寄せを受けておる点に対して、一段の考え方を及ぼさなければならぬと思うのであります。加うるにまた自動車損害賠償保険の問題に対しましても、結局洞爺丸その他と同じように、人命に対しましては多くの補償を大衆国民は希望することは言うまでもないのであります。ここに強制保険制ができてくるならば、賠償制が非常に高度化してくる。これは国民に対しては好ましいことでございますので、大蔵当局が再保険に対して、あるいは事務費補助等に対して、一段の予算措置をとるというような、こういうあらゆる施策がまた需給調整の根本へ総合されて出てくることによって、初めて企業の安定性ができまして、ここにあらゆる料金その他の今日の諸問題が解決する方途となることと見ておるのでありますが、これらに対しまして当局の施策が当を得ない、この弱いものにしわ寄せをするというような結果になりつつあることが、ますますこの混乱状態を導いておるわけでありますので、この点に対して御意見一つ承わりたいのであります。
  97. 河野金昇

    ○河野(金)政府委員 いろいろ永山さんが建設的意見をお述べ下さいましたが、それはいずれも重要な問題であろうと存じます。だから道路運送法等の命ずる——今まで各府県に委員等を出しておりませんでしたが、同じ問題でも地域的に内容の異なる問題があると思います。たとえば運転手の二交代制の問題にしても、金融の問題にしても、地域のこともあります。全体的のこともあります。だから私たちは今日のこの業界の波が静まった暁においては、業界全体の意見を取りまとめて、そうしてその要望が最大限に実現できるように努力をしたいと思っております。
  98. 永山忠則

    永山委員 それでは最後にもう一点申し上げたいと思います。運輸次官が積極的に自動車行政に対して十分指導的立場に立って、ただいま申し上げたような諸問題に対して十分考慮するというお言葉を信じ期待いたすものでございますが、大臣及び次官を補佐する事務当局もまた強い信念を持って進まなかったならば、大臣、次官がいかにそういう御方針をおとりになりましても、その結果は誤まってくると思うのであります。これに対しましてはまた別の機会に、宮田陸運局長の道路運送法の需給調整の精神に反した行為につきましては質問をいたしますが、そういう事実、また今回の業界の混乱状態に対して真田自動車局長は、積極的にこの取締りに当るという考え方を持たず、また警視庁との話し合い、あるいは大臣が強く取締りを要望されましても、じんぜん日を送ったというような状態が見受けられることに対しては、まことに遺憾でありまして、これらの点に対しては、当局の了解を得ておるのだから心配ないというはがきを各業者で出しておるという事実を持っております。さらに真田自動車局長は、これは新聞の記事であるから、そういうことはないとは信じますけれども、局長の真意は絶えずそういうところに置かれておるということは、われわれ日ごろから遺憾に思っておるのでございまして、真田自動車局長は今回のことについて次のように言っておる。両組合の中に行って話をする人を探して有力者を選び、一両日中に両組合の代表を招いて説得するつもりだ、それがだめなら当分野放しにして、落ちつくのを待つつもりだ、しかし当局は自動車の需給調整と、法律改正して、認可制でなく、運賃の決定権を運輸省が持つようにするしか方法がないだろうといったような——もちろん新聞記事ではございますけれども、全く取締りに対しての熱意を欠いておる。野放しにする以外ないだろうといった、そういうような気持ではないだろうと思いますが、そういうような点。さらに、先日この混乱に対して宮田局長がラジオで放送されたときの対談におきましても、断固としてこれを取り締って法の権威を保ち、輸送秩序の確立をはかるのだという指導理念がないという点が、今日まで解決を見ずに至った原因でございまして、これは何人の責任でもない。あなたの下におるところの補佐の責任者が、指導理念を把握していないということに起因するのではないかということを私はまことに憂慮いたしまして、大臣、次官が熱心にこれに対して指導的立場でやるということを言われつつも絶えずそごして、そうして先刻のお話にもありますごとく、自分は正直でときどきだまされるということは、それ自体が不明であるというようなお言葉をお使いになったのでございますけれどもほんとうに補佐の地位にあるところの部下が正しい指導をしておれば、次官のその声は出ないのではないかと考えるのでございます。運輸省の人事行政におきましても、自動車局長には次官級をもって充てるというように、重大なものとしてこの人事行政が行われてきておる点を十分御洞察されまして、これらの点に対し大臣及び次官は、一つ部下の指導理念を把握して、運輸行政に対してはただいまの信念で向われるという、その御決意のほどを承わりたいのであります。
  99. 河野金昇

    ○河野(金)政府委員 われわれは部下を信頼しております。今あなたのおっしゃるときどきだまされるということは、何も部下にだまされるだけじゃありません。その他の人にも今日まで相当だまされてきたことも御承知通りだと思います。しかし私は部下を信じ、部下の間違ったことはやはり監督するわれわれの間違いである。だから部下が間違ってわれわれに報告したにしても、その報告に基いて行なった行動については、私なり大臣は当然責任を負わなければなりません。部下を責める気持は私にはございません。
  100. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 私は大臣がおられないのは遺憾に思いますが、今回の業界の混乱はまことに遺憾なことであって、本来私はこういう席にこれを持ち込まれることは迷惑千万であると思う。本委員会としては、これが全国的なことならともかく——もちろん東京のできごとというものは大きいことは認めますけれども、この委員会の中にそういう業界の特殊な問題を取り上げられることは、ほんとうは迷惑だ。しかしこれをこういうふうな問題にしたときには、等閑に付するわけにはいかない。一体先ほどから取り締る取締ると言っておるが、法に反することを取り締ることは、法治国である以上言うまでもない。けれども起きておる現実の事態というものは、法だけをもって取り締られるものなら、こんな事態は惹起しなかったろうと私は想像する。今日ストライキというものは法によってきめられておりますが、これは少くとも非合法時代の一種のストライキであると私は思う。その起きておる事態を取締りや弾圧だけでもって当るということは、政治家たる者の最も避けなければならぬことである。また前々回のこの委員会では、料金を下げるというのになぜ当局はいけないと言うのかということが言われておる。委員会の速記録を読んでみると支離滅裂であって、私議員になって運輸委員会というものは初めてですが、今までの委員会においてこういう支離滅裂な委員会の姿というものは、私は初めての経験なんです。今回起きました事態についても、料金は当局において策定いたしまして、これは本委員会でも了承いたしたことであります。それが実施をすることについては異論はあり得ない。できるだけすべての人の賛同を得てやらせる、それがためにこれだけの期間を必要とするという政治的配慮も加えて、そうして四十五日の期間をとった。しかもなおかつそれが実施されない。それは法の不備のいたすところであるということは、残念ながら私ども認めざるを得ません。そこで、ただ単にあなた方の責任を追及すれば、これが済むという問題ではない。はなはだ失礼ですが、あなた方を断罪に付したからといって解決するものではない。やはり、どうすれば抜本的にこういうことの起らざるようにするかということが、今日この紛争を惹起している事態を鎮静するというか解決すべき唯一の道ではないか。この道を講ぜざる限り、将来におきましても幾多の不祥事件、われわれの望まざる事件が発生することは不可避であります。そこで当局におきましては、道路法に不備があるならばそれを改正するという決意があるかどうか、その点はいかがでしょう。
  101. 河野金昇

    ○河野(金)政府委員 正直に言って改正したいと思いますが、今日こういう混乱しているところへ持ち出すことは、かえってまたそれに乗ぜられるおそれもあると思います。幸いにして近日中に——明朝を期して、一方は今まで違法行為をしておったものを断固自発的にやめるし、同時に処罰は処罰としてするし、また一方の方も近日中に運輸当局の勧告に協力していただけるものなりと私は信じております。その前提に立って、今まで私はいろいろなことをここで申し述べて参りました。だからその問題が解決した暁には、先ほどの永山君のおっしゃった需給調整の問題等ももちろん考慮したいと思いますが、同時に法の不備もやはりその円満解決をした上に打ち立てておいて、今後こういうような不祥事の起らないような準備もしておきたいと考えております。
  102. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 今日の時代において、統制を行う、あるいは干渉を行う、そういう機関ないし制度があるということは、本来ならば何人といえども欲するところでない。業界であろうと、いかなるものであろうと、みな自主的に運営されることが望ましいことは言うまでもありません。しかしそれを行い得ざるところに、今日の社会の錯雑せる姿があるのであります。永山君の主張するごとく、人命を預かるがゆえにきわめてそれは大事である。それは確かです。そういうところに一つの法を制定いたしまして、道路運送法と申しますか、これにいたしましても、その法のもとに一貫したところの制約を加えておるのであります。しかしそれを扱うところにおいて、それを主宰し、認可するところにおいて、十分その趣旨を徹底し得ない不備があるとするならば、残念ながらこれを法的に制限する以外にないのじゃないか。今日の状態というものは、私どもは先ほど来の永山君のお話を聞いておると、金融上の措置をやれ、しかし運転手を二交代にするようなことでは、業者はつぶれる。私どもは労働者の代表といたしますれば、そんなことは反対である。これは労働者に対して、人命を預かるがゆえに、休養の時間を与えて、そうしてさような危険をなからしむるようにすることが、今日労働三法の原理である。これは労働法を読んだだけではわからない。みずからハンドルを握り、みずから運転をし、みずから働いた者のみが知る原理であります。そういう点だけは一方において許さず、そして金融上の措置をせよ、今の状態においてはこれを制限しなければならぬ、そういうことは論理が合わない。そこで残念ながらあなた方当局が取締りが現実としてできない。できないとするならば、断固として改正をいたしまして、一元的な行政上の指導に当る。その遺憾なきところの指導権を与えずして、そうしてもって臨めということは、これは乱暴だ。そこであなたにしても、大臣にしても、この事態をすみやかに解決するためにせっかく努力をなさった。その努力の結果といたしまして、今日の事態というものをさらに一段とおさめ得るという方針を貫いておやりになるという以上は、われわれはこれを待つ以外にありませんが、その根本的なものは、やはり強制力を持っておらない。それを十分お考えになって——本来ならば強制力というものは要らない。本来さようなものはわれわれとしては歓迎すべきものにあらず。けれども、これほどの事態が起きましたならば、これは残念ながらそういう点の不備を是正いたしまして、そういう混乱の起らざる一元的な行政上の措置を講ずることが、当然われわれとしてもまた望まざるを得なくなった、こう思う次第であります。従いましてあなた方におきましては、その立法上の措置をいたさなくても、すみやかに今日の事態を解決するという御決意を重ねて私は伺って、その上でまた所信をただしたいと思います。
  103. 河野金昇

    ○河野(金)政府委員 何といっても、この事態をすみやかに解決して、その上に立って、池田さんのおっしゃった問題あるいは永山さんのおっしゃった問題——これは決して業界の立場だけに立ってものを考えてはいけない。確かに池田さんのおっしゃるような、労働者といいますか、運転手の立場にも立たなければならないと思います。だから私は何も永山さんのおっしゃったことを全部その通りやると言ったのではありません。そういう重大な問題に対して、具体的の答えを出すように、真剣に考慮しなければならぬという意味のお答えをしたのでありますから、永山さんもどうぞ早のみ込みをしないように、これは御了承を願っておきたいと存じます。同時にわれわれは、この法の不備の問題に対しましては、今いろいろ検討を加えておりますから、いずれ皆様方の御審議をわずらわす時期もくることであろうと存じます。
  104. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 私はもう多くを申しませんが、一般の乗客、自動車を利用する者からみますならば、値段が下ることはだれも反対する者はありません。業界は混乱しているかもしれないが、乗る人は、自動車賃が安くなってありがたいといっております。八百万の東京都民のうちで歓迎する者と歓迎せざる者と投票したら、圧倒的の差だろうと思う。もっとひどいことを申しますならば、乗る人は、料金がただ、もっと極端なことをいえば、ただで、その上にようかんでもくれたら喜びます。しかしながら、それでは働いている者あるいは経営する者が成り立たないから、そこにお互いが一つの制約を加えて、その中において、監督する立場から、もうけ本位だけではいけないが、やはり立ち行くような方法のもとに、しかも大衆の利便をはかる公共の事業としてこれを認可している、その調和をはかることは、今日残念ながら何人も認めなければならぬ。乗る人から申しますならば、ただがいい。運転をし、経営をする人からいえば、一文でも高い方がいい。しかしお互いそういう自由放任は許されませんから、そこに制約を設けているのが現状である。従って当局にそういうことを言うよりも、業界みずからが、そういう内部に混乱を起すがごとき事態を慎しんで、自分たちの生活権を擁護すると同時に、できるだけ大衆に利便を与えるという、公共の精神に基くことが最も必要なことである。それができないことはまことに残念である。ほんとういえば、業界の人々はあまりにその人自身のおろかなる愚を繰り返しているのではないか。今後こういうことをしては立ち行かない。今日本委員会においても、ガソリン税を下げてくれ、あるいはまた同僚永山委員も申しましたように、金融上の措置を講じてくれ、いろいろなことは料金が高くなる要素になるから、しないでくれと言いながら、自分たちは料金を下げる競争をしている。まことに不可解千万な業界であると私自身は思う。そこであなた方はその点は一つ行政上の指導につきまして、各般を見定めた上で適切な措置を——今日の場合は、次官の申します、法によらずして、あらゆる政治的な、あるいはまた行政上の努力を加えて解決をはかりたいということについては、私は今日異論を差しはさむものでありませんけれども、その根本の原理は、どうしてもこれを行政指導だけで、あるいは今日の法だけで取締りあるいは指導をしていくことはできないというならば、やはりその不備を是正するように努力することが、こういう事態の発生せざる原因を生むものなり、こう思いまして、これを強く要望いたしまして私の質問を終ります。
  105. 山本友一

    ○山本(友)委員長代理 濱野君。
  106. 濱野清吾

    ○濱野委員 私は意見は申し上げません。ただ速記にとどめておきたいのですが、警視庁の交通課では、最近過去一、二年のうちに、道路運送法違反について警視庁の司法的な発動を運輸省から協力方を要請された事実がございますか。何回ございますか。
  107. 鈴木実

    ○鈴木参考人 お答えいたします。陸運局の方では、例の運転手の、メーターを倒さないでもろて走るエントツ、あれは一般の業者の方に迷惑をかけているというのですが、あれは業務上の横領になりませんので、道路運送法違反で検挙して送致するわけです。ところがこれもまた法の不備と申しますか、せっかく違反をやった運転手を検挙してこれを送致しても、運転手は処分されず、事業主が処分されるということで、私の方からも陸運事務所の方にお願いを申し上げ、それで業者の方々のナンバーを取ってもらう、そのために送致した例はございます。というのは、運転手は処分できないけれども、ナンバーを取られることは、結局悪いことをした運転手の職場がなくなるということで、結局悪いことをした運転手が処分されないで、事業者が処分されるという矛盾はございますが、そういたしますと、事業主の方では何日かの車の使用禁止を受けるが、悪い運転手を解雇することができるというようなことで、検察庁の方に送致したことがございます。大体昨年一カ年で道路運送法関係では、無免許運送事業は三十五件送致してございます。それから今申し上げた運賃及び料金違反で十七件送致してございます。
  108. 濱野清吾

    ○濱野委員 そうした取締りをしたときに、運輸省からの要請があって警視庁はおやりになったのですか。
  109. 鈴木実

    ○鈴木参考人 先ほども申し上げました通り、陸運局からの御相談もありますし、私の方からお願いする場合もあるわけであります。
  110. 濱野清吾

    ○濱野委員 私の聞いているのは、運輸省から公文もしくは口頭でもって、警視庁にこの事件について協力を直接に要求したというような事実が過去にあったかなかったかということです。
  111. 鈴木実

    ○鈴木参考人 これは毎月陸運事務所と私どもと定例的に会議を持っておりまして、公文その他はございませんけれども、所長さんあるいは課長さん方とお会いして、この取締りをやろうというので一緒に取締りをいたした例は、回数はちょっと覚えておりませんが、数回ございます。
  112. 濱野清吾

    ○濱野委員 そうしますと、これも道路運送違反事件でございますが、あなたの方で定例的に会議をして、そして旅客のために、あるいは公益のためにそういう取締りをしているというようなことは、これだけに限られておりますか。その他の道路運送法違反について、運輸大臣もしくは局長から特段の要請があったことはかつてございませんか。
  113. 鈴木実

    ○鈴木参考人 私の知っている範囲では、大臣、次官、そういうものから要請を受けた覚えはございません。
  114. 濱野清吾

    ○濱野委員 業界の新聞の報道ですからよくわかりませんけれども、自家用がやみ行為の運行をしているという点について、局長から警視庁に対して要請があったことはございませんか。
  115. 鈴木実

    ○鈴木参考人 申しわけありませんでした。陸運事務所長からございました。
  116. 濱野清吾

    ○濱野委員 いつごろでしたか。
  117. 鈴木実

    ○鈴木参考人 ことしの初めだったと思いましたが、それに対しまして、警視庁だけでそうしたやり方をするのはうまくないのじゃないかという考え方、と申しますのは自家用が——これはトラックの問題、オート三輪車の問題でございますが、自家用車が営業行為をやるということは、少し乱暴な言い方でございますが、直ちに交通事故に影響はないというような考え方を持っておりますので、これは一つ検察庁の方にお願いしていただいて、検察庁の方から御指示をいただいたならばやりますということで、月日をちょっと忘れましたが、昨年の十月の安全運動の前だったと思います。安全運動が終ったら長官の方から指示がございまして、輸送秩序の確立についての協力ということで参りましたので、従って署長の方に指示いたしまして、今はっきり件数を覚えておりませんが、検察庁の方に送致をしたことがございます。
  118. 濱野清吾

    ○濱野委員 そうしますと、以上の三つのケースだけが運輸省から要請があって、取締りをした、こういうだけであって、その他の道路運送法違反について協力方を要請されたことはかつてなかった、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  119. 鈴木実

    ○鈴木参考人 先生のお答えにはそう申し上げるしかないと思います。ただ問題が道路運送法という法律がございますので、始終私どもと陸運事務所とは御連絡をいたしておりますので、必ずしも陸運局で要請しなくても、交通事故防止上著しい支障を及ぼすような行為があれば、警察は取り締るであろうということは、陸運局ではお考えになっていらっしゃるのでなかろうかと思います。決して陸運局の答弁をするわけでございませんけれども……。
  120. 濱野清吾

    ○濱野委員 私は陸運局の方は陸運局へお聞きしますが、あなたの方の考え方をお聞きすればいいのです。御承知通り道路運送法というものは経済上に関係しておりまして、司法的な取締りをするような場合でも、かなり困難があると思います。いやしくも司法の問題になれば、刑訴によっていろいろ証明する必要もありましょうから、かなり困難だと思います。しかしあなたも御承知通り、大臣は将来公益のために違法行為は取り締っていきたいということを御説明になっている。しかしながら司法の違反の問題につきましては、運輸省から協力方を要請されなくても、あなたの方では必ずやれるという確信があり、またやるという意思がおありでございましょうか。
  121. 鈴木実

    ○鈴木参考人 実は申しわけないのですが、私どもは先ほど申し上げました通り、道路運送法違反は、第一次的には運輸省で所管されていることで、従って運輸省の方から協力要請があった場合になるべく仕事をしたいというふうに考えておりますので、私どもの方からやりたいと思ったときは、先ほど申し上げたように、陸運事務所の方へ御連絡申し上げてやっているというのが実情でございます。
  122. 濱野清吾

    ○濱野委員 そうしますと、もう一度御迷惑でもお尋ねしますが、運輸大臣から道路運送法の施行について、またその違反事件について、公文書をもって、法秩序を維持するために、この法の通りの取締りを要求する、この点この点ということで通知をいたしますれば、あなたの方は実際問題としてできますか。あなたの方の今の定員やいろいろの事情でできましょうか。
  123. 鈴木実

    ○鈴木参考人 これは次官から先ほどお答えがございましたが、すべて全部を取り締るというようなことはちょっとむずかしいと思います。
  124. 濱野清吾

    ○濱野委員 自動車局長にちょっとお尋ねします。次官は最近就任された方でありまして、道路運送法を実際運営しているのは局長その他の課長さんであろうと思いますが、先ほど次官が、いやしくも法である以上は、法を破ることはいかぬから、徹底的に取り締るというお話がありましたが、一体局長の考え方はどうですか。
  125. 真田登

    ○真田政府委員 法に従って取り締ります。
  126. 濱野清吾

    ○濱野委員 事実それはできますか。
  127. 真田登

    ○真田政府委員 実際にやっておりますが、その実施なり実行という範囲が完全であるかどうか、そのときの行政的な能力といいますか、それによって十分にやれなかったという場合もあり得ると思います。
  128. 濱野清吾

    ○濱野委員 この法が制定されたのは最近のことでございますし、また自動車が急増いたしたのも最近のことでございます。輸送秩序が、乗客を乗せるタクシーあるいはハイヤーあるいは観光バス等が、この法律を守ることができなくて、相当混乱が来ているということは、この法が施行されて間もないのですが、この法精神によって法の取締りが現段階においてほんとうにできているとお考えになりますか。それともこの法も困ったものだ、実際も困ったものだとお考えになりますか、この点一つお尋ねしたい。
  129. 真田登

    ○真田政府委員 自家用の取締りにつきましては、遺憾ながら十分な取締りができているとは考えておりません。
  130. 濱野清吾

    ○濱野委員 自家用だけですか。
  131. 真田登

    ○真田政府委員 今のお話はトラック等の無免許営業のお話だと思いましたのでそう申し上げたのでありますが、一般的に秩序違反に対して一罰百戒と申しますか、ある程度の能力の許す範囲で処罰をして、その他の者についてはそういうことを自分からやめるようにしむけていくという程度にしか、現在までのところでは能力がございません。
  132. 濱野清吾

    ○濱野委員 その能力の許す範囲というのは、役所の取締り能力の許す範囲という意味でございましょうか。
  133. 真田登

    ○真田政府委員 われわれの能力の範囲と、業界その他のこれについての御協力をお願いしてやれます範囲と両方含まれると思います。
  134. 濱野清吾

    ○濱野委員 司法処分とか行政処分とかいうような問題につきましては、それ相当しっかりした制度がなければいかぬし、業界がこれを上げるというようなことはかなり困難でありまして、これはやはり警視庁、あるいは運輸省当局が直接手を下さなければ、この取締はできないわけなんです。従ってこの法のねらっております目的を希求するということは困難なんです。この点についてできるかできないか、こういうことであります。
  135. 真田登

    ○真田政府委員 業界自身の内部の違反と、そうでなくて無免許でいろいろな違反をしている場合と両方あります。業界内部の違反につきましては、処罰をしないでも、業界の内部でやってもらえるといいますか、自粛をしていただくことによって、かなり効果を上げてきております。それから業界に入っておらない方々、つまり免許を持っていない人たちの取締りにつきましては、遺憾ながらこちらの方で実態の把握が非常に困難なものですから、十分な取締りができておりません。
  136. 濱野清吾

    ○濱野委員 実際は道路運送法というので制限されている。要するに免許制あるいは認可制、これらを破った者はこういう処分をする、司法処分はこういう処分をする、行政処分はこういう処分をする、こう法文に書いてありますね、そうしてこれがあなた方の手でできるかできないか、それから現実に今日の業界は、あなた方の見るところで、大きな混乱がきておるとわれわれは思うのですが、一体当局はどうお考えになっているか、こういうことなんですね。率直に一つ述べてもらいたい。ここはあなたの責任を追及しようというのではないのです。お互いに輸送秩序維持のために、あるいは日本の輸送産業のために私ども協力しようとしているのだから、この点を率直に述べてもらいたい。
  137. 真田登

    ○真田政府委員 現在の道路運送法の建前は、業界というものを信用するといいますか、みんなが自主的にやっていくということを建前にして作った法律でありますために、いろいろと民主的な規定がありますが、もし業界の方方が一致協力して業界の健全な発達のために努力していただかなければ、現在の法律では相当穴があると申しますか、できないこともあるのです。従いまして最近東京都内で起っておりますような事柄は、組合の方々意見が合わない、従って違った面でいろいろの意見が出て参ります。そうしますとわれわれの法律では取り締れない——取り締れないのではございません、完全な行政効果を上げ得ないといった事案が相当出て参ります。
  138. 濱野清吾

    ○濱野委員 どうもしっくりしないのでありますが、私は今起きているああいう問題ばかりを聞いているのじゃないのです。この道路運送法の規定する、要するにねらっている効果と現実とは、一体どうなっているかということを聞きたいのです。責任者である自動車局長は、この現実の一般の姿をどう見ているか。われわれは非常な混乱をしていると思うのだが、局長はどういうふうに見ているのか、こういうことなんです。
  139. 真田登

    ○真田政府委員 事業の態様によっていろいろと違っておりますが、たとえばバス関係についてはそういった混乱はほとんど起っておりません。トラック関係につきましては、先ほどの無免許営業なり、名義貸しその他の違法行為がかなり起っておりまして、これを完全になくすまでにはいっておりません。それからタクシー、ハイヤー、関係につきましても、先ほどから御論議がありましたようにいろいろな違法行為がありまして、完全には取締りができておりません。
  140. 濱野清吾

    ○濱野委員 まあ局長に申し上げても、どうも言いにくいようですが申し上げますが、これは輸送産業、ことにトラックにおいても営業者関係はいろいろあります。特定輸送とか一般輸送とかあるいは区間輸送とか、いろいろございます。またバスの関係についてもいろいろございますけれども、まあバスあるいは定期路線関係を除いて、その他のトラック関係のものは、ことごとく道路運送法違反であると言っても過言ではないと思うのです。これは速記に残しておいても差しつかえない。私どもの憂えておるのは、こうした大混乱がなぜ起きるか、この点を強調したいのです。政務次官は先ほど法の欠陥を認め、この問題については改正考えておるというようなお答えでありましたが、多分局長もそうだろうと思います。しかし今日ただいまの間に合せるためには、法律改正を待っておったのでは間に合わない。少くとも今日の混乱は、この法律によって免許をする場合の処分を誤っておらぬか。たとえば道路運送法の第六条の各条項によって、大臣は免許をしなければならぬのだが、一体歴代の自動車局長はその処分を誤まっておりはしなかったか。たとえば前の局長はりっぱなことをお話しになった。ところがいつの間にか日通という大資本家に買われた。その前の前の自動車局長も業界のために、あるいは運輸省を代表して大きな交通政策をお話して下さるかと思うと、これもやはり日通に買われてしまった。一体今度のタクシーの事件でも——これは次官よく聞いておいて下さい。大きな資本と弱体資本との争いにすぎない。それが根本原因だ。これはよほど大きなところに原因があると私は思うのであります。私はこの問題をどこまでも追及しようとは思いませんけれども、法の不備を確かめたい。しかしながらこの法の運営の第一線の責任を負っておる歴代の自動車局長が、法第六条についてやり方が大きく間違っておった点があるのではないかと考えておるのです。そのために先ほど永山君の言う需給のバランスが破れる。そのために不当競争が行われる。道路運送法の目途とした、しかも健全なる競争のもとに公けの福祉を助長するとか要求するとかいう法のねらいは全くそれて、あべこべの方向に進んでおるというのが現在の姿です。この責任は、ここで申し上げては失礼だが、私は少くとも歴代の自動車局長が負うべきものだと思う。これを業界に罪をかぶせ、あるいは法の欠陥を主張する、まことにこれは卑怯な人のやり方です。私は今の局長はまことに公明にやっておると思いますが、静かに運輸行政、ことに自動車行政を見ておると、今日の混乱を引き起したのは、歴代の自動車局長が法の第八条、第六条、これらについて十分なる注意を払わず、少くとも免許についてこの計画、輸送という法文の精神を脱却して行政処分をしたところに今日の大混乱があるのではないか、こういうふうに考えておるわけであります。道路運送法第一条は、自由経済のもとに計画経済をやろうというのですから、なかなかむずかしいことは私ども承知しております。しかしながら今までの自動車局長方々が免許をするときの手続、その考え方に大きな誤まりがあったのではないか、こういうふうに考えておりますから、この点は一つ次官も十分にお考えおきを願います。しかも業界から出ますいろいろな免許申請は、もう押せ押せに出ております。あなたも多分お悩みのことであろうと拝察しますし、私ども業界の者も、この問題については非常に苦しんでおります。どうすれば健全経営ができ、どうすれば大局から見た国の輸送産業が発展できるかということにつきましては、十分われわれも考えているわけでありますから、私はこの機会に、次官並びに自動車局長に、今までの醜悪なる態度を一風して、法の悪いところはこれから研究して下すって、議会に提案を願いたい。処分について悪かった点があるならばこれは十分考え直して、次官も大臣も部下の監督を厳にしてもらいたい。部下を愛することはけっこうです。あなたの仰せはその通り。しかしながら愛情におぼれて、それを野放しにするようなことがあれば、業界の混乱はますます激しくなる。今回の事件は私は単なる運賃値下げ値上げ、あるいはストライキめいた実力行使というものが漫然とできたものとは考えておりません。そこには何か一つの大きな力が根本的に動いておって、業界を腐蝕させる一つの原因があったと思います。私はこの委員会でありますから暴露はいたしませんけれども、これは次官も局長も十分考えておいていただきたい。私の意見はこれで終ります。     —————————————
  141. 山本友一

    ○山本(友)委員長代理 この際お諮りいたします。次回の観光に関する小委員会において、国際観光協会の設立、経営等につきまして、その実情を参考人より意見を聴取いたしたい。その人選につきましては委員長及び小委員長に御一任をいただきたいと存じまするが、御異議ございませんか。   〔「異一議なし」と呼ぶ者あり〕
  142. 山本友一

    ○山本(友)委員長代理 それではさよう取り計らいます。  さらにお諮りいたします。本日出席をいただきました参考人郷古潔君につきまして質疑が残っておりますので、さらに適当な機会委員会において質疑を行いたいと思いますが、御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  143. 山本友一

    ○山本(友)委員長代理 それではさよう取り計らいいたします。  次会は公報をもって、お知らせいたすことといたしまして、本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十二分散会