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1955-06-07 第22回国会 衆議院 運輸委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月七日(火曜日)    午後一時五十六分開議  出席委員    委員長 原 健三郎君    理事 有田 喜一君 理事 臼井 莊一君    理事 木村 俊夫君 理事 山本 友一君    理事 青野 武一君 理事 中居英太郎君       岡崎 英城君    佐々木秀世君       佐伯 宗義君    中嶋 太郎君       濱野 清吾君    堀内 一雄君       眞鍋 儀十君    徳安 實藏君       永山 忠則君    井岡 大治君       栗原 俊夫君    下平 正一君       正木  清君    山口丈太郎君       池田 禎治君    大西 正道君       竹谷源太郎君  出席政府委員         運輸政務次官  河野 金昇君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      植田 純一君         運輸事務官         (自動車局長) 真田  登君         労働政務次官  高瀬  博君  委員外出席者         日本国有鉄道総         裁       十河 信二君         日本国有鉄道副         総裁      天坊 裕彦君         日本国有鉄道理         事         (経理局長)  石井 昭正君         専  門  員 堤  正威君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 六月七日  委員永山忠則辞任につき、その補欠として伊  藤郷一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員伊藤郷一君辞任につき、その補欠として永  山忠則君が議長指名委員に選任された。 六月六日  戦傷病者国鉄無賃乗車復活に関する請願(今  澄勇紹介)(第一八六五号)  鍛冶屋、梁瀬間の鉄道敷設促進に関する請願(  堀川恭平紹介)(第一八六六号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人招致に関する件  道路運送車両法の一部を改正する法律案内閣  提出第一二五号)  昭和三十年度運輸省関係予算に関する件     —————————————
  2. 原健三郎

    原委員長 これより運輸委員会を開会いたします。  最初にお諮りいたします。当委員会で審議いたしております日本航空株式会社法の一部を改正する法律案につきましては、航空事業運営等につき、実務に携わっておられる方々及び利用方面問題等につきまして参考人を選定し、意見を聴取いたしたいと思いますが、御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 原健三郎

    原委員長 それではさよう決定いたしました。  それでは参考人には、航空協会会長郷古潔君、日本ヘリコプター輸送株式会社社長美土路昌一君、日本航空株式会社社長柳田誠二郎君、全日本観光連盟会長平山孝君、日本興業銀行外国部長後藤一郎君を選定し、その他参考人各位の御都合による変更等に関しましては委員長に御一任いただきたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 原健三郎

    原委員長 それではそのように取り扱います。なお日時は十日(金曜日)午後一時に行いたいと思います。     —————————————
  5. 原健三郎

    原委員長 次に昨日に引き続き道路運送車両法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日はまず補足説明政府当局より聴取いたします。真田自動車局長
  6. 真田登

    真田政府委員 道路運送車両法の一部を改正する法律案概要について御説明いたします。  最近における自動車の発達はきわめて顕著でありまして、自動車数はすでに百三十万両をこえるに至りました。これに伴いまして自動車登録検査に関する事務もますます増加の一途をたどっております。かかる事態に即応し、行政能率化合理化をはかるために、これらの事務を極力簡素化する必要がありますので、本法律案を提案した次第であります。以下簡単にその内容を申し上げます。  第一に、自動車登録事項から原動機番号を削除し、原動機型式を追加いたしました。これは原動機を修理し、その間予備原動機を載せかえて使用する事例が非常に多いのでありますが、この場合にその都度変更登録手続を必要とする繁を省略しようとするものであります。ただ原動機型式が変りますと、車両性能も変って参りますので、原動機型式登録事項といたしたわけであります。  第二に、営業用旅客自動車検査証有効期間は九カ月とされておりますが、最近車両需給状況が好転し、かつその整備状態も向上して参りましたので、かたがた車両検査合理化をはかるために、整備状態が著しく良好であり、かつ車齢走行距離等政令で定める基準に適合するものについては、その有効期間を一カ年の範囲内肴伸長することができるようにいたしました。参考までに申し上げますと、営業用旅客自動車以外の自動車検査証有効期間は、自家用旅客自動車にあっては二カ年、貨物自動車にあっては営業用自家用ともに一カ年であります。  第三に、冒頭に申し上げました目的に沿うように、自動車登録検査及び整備に関する諸規定を整理いたしました。  以上の内容をもちまして、本法案を提案いたした次第であります。以下本案の要点について御説明いたします。  まず第七条第一項について申し上げます。第七条第一項は自動車登録事項(取得の原因を除く。)を規定しておりますが、今回の改正は、登録事項から形状、自動車検査証番号及び原動機番号を削除し、原動機型式を追加しようとするものであります。元来自動車登録制度は、自動車所有権の公証を行い、(イ)自動車実体把握保安責任者明確化という行政目的と、(ロ)所有権得喪対抗力を付与するとともに、自動車の上に抵当権の設定を可能にしようとする民事目的とを有しているものであります、従って自動車同一性を認識し得る最小限度の表示があればよいわけであります。改正法は、自動車同一性を失わない範囲内において登録事項を簡素化しようとするものであります。  原動機番号については最近におきましては、原動機の価値も低下して、全車両価格の二割程度になっております。かつ原動機は常に良好な整備をしておかなければならないものであり、整備の際載せかえる機会も多く、そのつど変更登録を要求されるのでは、陸運事務所側にとっても使用者側にとっても事務能率が阻害されることになります。そこで改正法では原動機番号を削除したのであります。ただ原動機型式まで変りますと、車の性能及び種類も変って参りますので、原動機型式登録事項としました。  次に第十一条第四項について御説明いたします。自動直登録番号標またはその封印が滅失、棄損、識別困難となった場合は、陸運局長あるいは府県知事に取りはずしを受け、かつ番号標封印の取りつけを受けなければなりませんが、離島の場合には非常に不便でありますので、改正案によって政令で定める離島市町村長にもこの職権を与えようとするものであります。次に第五十一条でございます。整備管理者は、自動車使用者自主的整備態勢の確立をはかるため、一定数以上の自動車使用本拠ごとに、自動車点検整備自動車車庫管理に関する事務を処理するため、自動車使用者から選任せられるとともに、これらの事務を処理するに必要な職務上の権限を与えられることになっております。従って整備管理者は、自動車点検整備に関する技術的知識のほか、整備計画車庫管理等管理能力をもあわせ有することが必要であって、選任の資格要件としてもこれらの点を考慮する必要があります。現在規定されている分解整備は、整備作業のうち一部にすぎず、これのみの実務経験では整備管理者資格要件としては不十分であり、かつまた、分解整備のみの実務経験者の中から前述のような管理能力を有する者を選任することが困難でありますので、整備管理者資格要件分解整備実務経験のみに限定せず、自動車整備または改造全般にわたっての実務経験を有することにしたのであります。  次に第六十一条について御説明いたします。新しく第三項として有効期間伸長規定を設けましたのは、現在旅客自動車運送事業の用に供する自動車検査証有効期間は最大九カ月となっておりますが、車令走行キロ等が比較的少く、かつ整備が良好なものは、次の理由からこれを一年まで延ばしても保安支障ないと思われますので、一年まで伸長できることとしたのであります。  なお、車令走行距離等基準政令で定めることにいたしました。理由といたしましては、まず第一に、従前は一年でありましたのを昭和二十七年四月に九カ月に短縮したのでありますが、当時に比べて今日では国内生産の増大とともに自動車需給状態が著しく緩和され、新車が自由に入手できるようになり、しかもその性能並びに信頼性が非常に向上し、耐久性もよくなっております。第二の理由は、一方整備工場状態も、整備士技能検定制度の普及と相待って、整備能力及び技術が非常に向上し、一般の車の整備状態も改善されております。第三の理由は、積雪、離島地区のごとく、年間輸送需要の少い時期に計画的に整備するのに対しまして、検査の時期をこれに合せますと車両運用上好都合であります。  次に第六十一条の二について御説明いたします。天災地変等のために、検査証有効期間内に継続検査を受けられなかった場合に、新規検査手続をとることは煩雑であるだけでなく、それまで運行できないことは災害復旧作業等支障を来たすことにもなりますので、かかる場合一定地域内に使用本拠位置を有する自動車に対しまして、有効期間伸長をしようとするものであります。  次に第六十四条第三項について御説明いたします。陸運局長の行う検査の際は、特定原動機について検査した旨を検査記録簿に記入するのでありますが、自後使用者整備の際原動機を載せかえた場合には、その旨を届け出させることによって、原動機の載せ換えに伴う保安確保責任の所在を明確にするためであります。  次に第六十五条の二について御説明いたします。離島県境等使用本拠位置がある自動車は、出張検査を受けることが多いのでありますが、人手不足陸運事務所からの距離が非常に遠く、あるいは地理的に不便である等の理由によって、一年間の出張検査回数が少く、かえって隣の陸運事務所検査官の検査を受ける方が便利な場合があります。このような特定地域自動車使用者に対して、両方の陸運事務所検査を受けられるようにし、使用者の利便をはかるとともに陸運事務所検査能率の向上をはかろうとするものであります。  次に第八十条第一項第二号及び同条第二項について御説明いたします。分解整備を施行した場合、その仕上りの良否は、工事を施行した作業員技術と、それに使用した設備良否によるものであることは言うまでもありません。現在分解整備事業の認証の基準として事業場設備について規定されていますが、これのみでは不十分であって、当然分解整備に従事する作業員についても、分解整備を完全に施行するために必要最低限度技能を有せしめる必要がありますので、設備のほかに従業員についても必要最小限度基準規定し得るようにしたのであります。  なおこれに伴いまして、罰則について所要の改正を行いました。  付則の第四項及び第五項について御説明いたします。ここで所有権登録以外の登録というのは、抵当権登録または差し押えもしくは仮差し押え、仮処分等の嘱託による登録であります。本法の改正によって抵当権者に不測の損害を与えたり、国の処分を無効にすることのないように、当該登録が抹消されるまで、第十二条(変更登録)第十七条(登録検認)第三十三条(譲渡証明書)の規定は旧法によることにしました。従って自動車登録原簿、謄本、抄本、譲渡証明書の記載は、当該自動車にかかわる所有権登録以外の登録が抹消されるまで、もとのままといたしました。  以上が本法案概要であります。何とぞよろしくお願いいたします。
  7. 原健三郎

    原委員長 それでは質疑を許します。質疑はありませんか。  質疑はこれにて終了いたしました。  討論の申し出がございませんので、これを省略いたしたいと思いますが、御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 原健三郎

    原委員長 御異議なしと認めます。  それではこれより直ちに採決いたします。本案原案通り可決するに御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 原健三郎

    原委員長 御異議がありませんので、本案原案通り可決いたしました。  なおお諮りいたしますが、規則によります報告書等の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 原健三郎

    原委員長 御異議ないようですから、それではさよう取り扱います。     —————————————
  11. 原健三郎

    原委員長 次に日程を変更して、運輸省及び国鉄関係予算について調査を進めます。正木清君。
  12. 正木清

    正木委員 私は運輸大臣出席を実は求めておるわけですが、予算委員会関係等出席が不可能のようでございますので、政務次官に一つお尋ねしたいのですが、昭和三十年度日本国有鉄道予算原案によりますと、資本勘定におきまして、損益勘定から受ける二百九十二億円、資金運用部からの借入金の百五十五億円、鉄道債券発行による収入が八十七億円、不用施設の売却による収入が二億円、合計五百三十六億というものが土台になりまして、そしてこの土台となった五百二十一億円を工事勘定へ振り向ける、これが実は政府原案でございます。しかるところ実はこのたび政府与党たる民主党自由党との間の予算修正話し合いの結果によりますと、この資金運用部からの借り入れの百五十五億円の財源から鉄道債券へ四十五億を振り向ける、こういうように結論を見たようでございます。そこで私がお尋ねしたいことは、どのような事情でさような結果になったのであるかという点をお伺いしたいことと、所管大臣である運輸大臣はこれらの結果からくる——今財政的に非常に危機に瀕しておる国鉄等財政処置の今後の取扱い方について、事後措置について十分お考えになっておられるのかどうか、こういう点をまず第一にお伺いしたいと思います。
  13. 河野金昇

    河野(金)政府委員 このたびの予算修正というものが、最初予算を提出したときの考え方等から考えてみまして、理屈に合わない面も確かにあると思います。二百十五億という、まるで手づかみのようなこの予算修正の額が民主党自由党の間においてきまったのでありまして、大蔵大臣もこれには強く反対をしておりましたけれども、諸般の情勢上この予算を成立せしめることの重要性にかんがみて、その修正をのむことになったのでありまして、そのやりくり等から百五十五億という借入金国鉄のワクの中から四十五億をさくような結果になりまして、これは実はもう話をしてもどうせ御承知下さっていることと思いますが、閣議等においても運輸大臣はこれには最後まで反対をしたわけでありますが、大蔵大臣責任を持ってその債券に振り向けた四十五億の消化は引き受ける、こういうことをはっきり申しましたがために、やむを得ず大蔵大臣がこれを消化するというその言質を信頼して応じたような次第であります。
  14. 正木清

    正木委員 予算委員会ではございませんので、当委員会では今政務次官がおっしゃったような自民両党の予算折衝の過程におけることや、従来大蔵大臣が国会を通じて言明された事柄等について私はここで質問をし、議論をしようとしているのではないのです。問題は現実の問題でございます。そこで私はあらためてあなたにお尋ねするのですが、大蔵大臣責任を持って肩がわりをした四十五億を引き受けるのだと言明をされたので、三木運輸大臣が納得したとおっしゃるのですが、一体引き受けるということは政府みずからが引き受けてくれるのか、それとも市中消化する場合に大蔵大臣があらゆる努力を払って市中消化に努力するという意味なのでしょうか、この点をお尋ねしておきたいと思うのです。ということは、あなたも御存じのように、実は今日デフレのさなかにございまして、国鉄債券市中消化というものは、決して芳ばしいものではありません。ですから、あなた方が御決定になった姿で、今晩おそく議会を通過しましょうけれども、もしこの四十五億という鉄道公債が思うように処理されないということになりますと、国鉄としての事業計画というものは全然立たなくなるのです。これは現実の問題としてわかっていただけると思う。そうして何か問題があったときには、総裁以下が責任を負うようにここでたたき上げる、そういう種をまいたあなたや、大臣や、政府の諸公がわれ関せずえんという態度をとられたのでは大へんでしょう。ですから、大蔵大臣責任を持って引き受けると言った、その引き受ける具体的な方法は、どういう形で引き受けるのかということをまず聞いておきたい。
  15. 河野金昇

    河野(金)政府委員 予算のことでありますので、大蔵大臣所管上の責任者でありますから大蔵大臣と申しましたが、大蔵大臣ものみたくない予算修正でありました。それを党並びに閣議等においてのませたのでありますから、この修正に対して、従ってそれから起ってくるであろう、あなたの御心配に対しては一大蔵大臣責任にあらずして、内閣全体の責任であり、また与党たる民主党全体の責任であり、また一方この予算修正をのましめた自由党の諸君も、私は幾らかこの責任を負っていただけるであろう、最終的にはわれわれはその消化のために、大蔵大臣並びに政府市中銀行等を督励するでありましょう。しかしもしそれで消化されない場合は、政府はそれの消化方法を考えていることと私は思います。もっとざっくばらんに申し上げますならば、それは内閣責任において日銀に引き受けさせるというところまで考えているものという了解のもとに、われわれはのむべからざるものをのんだというふうに御了承願いたいと存じます。
  16. 正木清

    正木委員 私はこの機会国鉄総裁に一言お尋ねしておきたいのですが、今あなたがお聞きになったような事柄について、国鉄監督立場にある三木運輸大臣から、こうした結果になったのであるというところの何か報告、御相談があったかどうか。この預金部資金からの百五十五億の借り入れのうちから、四十五億鉄道公債肩がわりをした。これの善後処置について、あなたに対して何か報告、御相談があったかどうか、この一点だけあなたから聞いておきたい。
  17. 十河信二

    十河説明員 まだ最近のことでありますので、詳しいお話は伺いませんが、そういうことになったということのお話は承知いたしております。私どもも非常に心配しておりますが、今伺います通り政府の方で何とか御心配下さることだと私どもは心得ている次第でございます。
  18. 正木清

    正木委員 そこで私は国鉄事務当局にお伺いしたいのだが、これは政務次官にもよく聞いてもらわなくちゃならぬ。たとい政府責任を持ってこの四十五億をかりに引き受けたとしても、現実国鉄財政状態から見て、それで果して国鉄に満足しているのかどうかというところに大きな疑問があるのです。と申し上げますことは、私は非常に小さい点に触れますが、まず第一に政府預金部資金借り入れ利率は六分五厘だと思っております。それから償還期限は若干期間が長いと見ている。これが一点。次に一体鉄道公債の場合はどうかというと、額面百円に対して九十八円、これは昨年もそうであったはずなのです。そうするとここで二円の差がつきますね。それから公債の場合には利率が七分五厘であったと記憶している。一部の開きはありましょう。そして償還期限というものは、政府資金借り入れよりか短期間でなければならないはずです。そうすると今あなた方がわれわれの手元に出されたこの三十年度予算資金計画というものは全体として金額の差は別として、その根底がくつがえってくることになりはしませんか。そういうふうに考えませんか。予算技術上からいって、予算編成のつじつまからいけば私もこの数字の帳じりは合せますよ。合せることはいとやすい。いとやすいけれども、中身が本質的に違ってきていはしませんか。これに対して国鉄事務当局からその具体的なこまかい点もここで明らかにしてもらいたい。
  19. 石井昭正

    石井説明員 ただいまお話のありました預金部資金借入金債券発行による場合等の差は、御指摘のように第一に利率が違っております。それから額面を二円低く売り出しておりますので、発行価格は当然百円につき二円不足します。そのほか公債発行をいたしますと、証券会社その他に手数料を支払わなければなりません。これらの取扱い諸費も相当ふえて参っております。このほか今回の御修正によって、従いまして四十五億の公債発行増によりまして、必要な利子及び経費、それから預金部の方で四十億減りました利率と、これを差し引きますと合計経費の上でも二億三千七百万円の増加を来たしております。
  20. 正木清

    正木委員 ちょっと二億三千のところを聞きのがしたんだが、もう少し……。
  21. 石井昭正

    石井説明員 鉄道債券を四十五億新たに発行増加いたしますと、利息のほかにさらに発行差額、それから手数料、そういうものを入れまして全部でこれが四十五億に相当いたしますものが三億六千七百万円ございます。しかし一方運用部資金からの借り入れの四十億が減りますから、この利息が一億三千万円減りますので、その差の二億三千七百万円、これだけ経費増加いたすということになります。
  22. 正木清

    正木委員 もう一点経理局長にお尋ねしますが、償還期間相違がそこに出てきましょう。その差額利率の計算がその中に入っていますか。入っていないというと、今のあなたの答弁は決して正確なものではないということになりますよ、あなたの当初出した計画と比べて。
  23. 石井昭正

    石井説明員 御指摘償還期限が、運用部資金公債債券とでは異なっております。しかし私がただいま申し上げましたのは、本年度経費予算相違だけでございまして、長期資金計画といたしますと、おっしゃるように四十五億振りかわったところでは相当質的な変化を来たしておりまして、長期計画を立てる上には大きな影響があろうと思います。
  24. 正木清

    正木委員 そこで事数字上のことになりましたから、政務次官にお尋ねしないで、私は運輸省監督局長にお尋ねしたい。植田さん、表面から見ては、要するに国鉄の当面の計数上では二億数千万円でかりに事は済みますけれども長期資金計画という面から見るのと、それから長期工事計画の面から見た場合では、国鉄として簡単に政府決定だからといって、それで満足でございますとは言い切れない事情があるのではないか。これは当然でしょう。全体が計画が変ってくるわけですから。そうでしょう。その点について一体運輸省としてはこの跡始末をどうつけるかということを、当然国鉄監督する立場にあるあなた方は、かりに政治折衝によってそのことがきまり、閣議決定したあとで、この事後処理については大蔵省事務当局と、当然あなた方はやらなければならぬ義務がある。そうでしょう。その大蔵省との事務折衝の経過をここで明らかにしてもらう。
  25. 植田純一

    植田政府委員 実は御指摘通りと思いますが、両党の話し合いがきまりまして、大蔵省もどういう計数になるかという点につきましても連絡を保っておったわけでありますが、大蔵省事務当局にも両党の決定が下って参りましたのがごく最近でありまして、ただいま経理局長が御説明しましたような計数がわかっているというふうな段階でございます。ただ今後の長期計画から見まして、もちろんいろいろ考えなければならぬ点もあろうかと思いますが、さしあたりの最も重要な関心事は、先ほど御指摘がございました本年度事業計画が果してこれでうまくいけるかどうか、要するにこの債券に振りかわりましたものが完全に消化できるかどうか、こういうことなんであります。この点につきましては、政務次官からお話しいたしましたように、大蔵大臣責任を持って消化に当るという言明も得ておりますし、私も実は主計局長に話しまして、この点については大蔵省としては責任を持つ、こういう言明を得ております。ただもちろん今後の推移につきましては、私も正木委員が御心配のような心配がないわけではありませんので、十分注意をもって見守りますとともに、さらに事務的に折衝いたしまして、この確保の措置を事務的に固めて参りたい、かように考えておるような次第でございます。
  26. 正木清

    正木委員 重ねて私は政務次官に——念を押すというと語弊がごさいますが、あなたがはっきりと当委員会でおっしゃったんだから御心配はないと思うのですが、日鉄法の第三十九条の十六で「日本国有鉄道は、国会の議決を経た予算に基いて、四半期ごとに資金計画を定め、これを運輸大臣大蔵大臣及び会計検査院に提出しなければならない。これを変更するときも同様とする。」2「大蔵大臣は、前項の規定により提出された資金計画が国の資金の状況により実施することができないと認めるときは、その実施することができる限度を、運輸大臣を経由して、日本国有鉄道に通知するものとする。」こうあるのです。私は監督局長にこの条文の精神はどこにあるかということを伺いたい。大蔵大臣責任を持って引き受けると言っているが、しかし大蔵大臣、いや気がさしてあしたやめないとだれも保証できない。そろそろいや気がさしていると新聞も書いておる。またどのように政局が変らないとも限らぬ。その場合四十五億だけがあとに残ってしまう。現実の問題としてそうでしょう。そこで、その結果この三十六条の十六がこの条文通り適用されたら、一体国鉄事業計画はどうなるかという心配が一面私にあるわけです。この点一つ監督局長から、この法の解釈について御説明願いたい。
  27. 植田純一

    植田政府委員 この資金計画におきまして一番問題な点は、申すまでもなく長期資金であります。長期資金のうちでもこの鉄道債券発行による資金計画であります。この点につきましては、実は二十九年度の例に見ましても、当初の発行計画がなかなか思うようにいかないということで、年度途中におきまして、補正によって発行額を年度当初よりも減らしまして、そのほか災害関係もございまして、運用部資金からの借入金を言やしたという経緯もございます。かように資金計画におきまして債券発行計画が四半期ごとにどういうふうになるかということが、さしあたりこの資金計画に大きく響いてくる——響いてくると申しますか、ある程度不安定な要素があるわけでございますので、この点につきましては、本年度資金計画におきましてもそうでございますが、国鉄資金計画に狂いのないように、今後とも大蔵省運輸省と十分折衝を進めて参りたい、かように考えておるわけであります。根本的には、先ほどの御質問のように、これだけの計画債券発行が果して可能であるかどうかということにかかってくるわけでありまして、もちろんただいまの状態におきましては、一応大蔵当局の言明に信頼せざるを得ないような状況でございますが、今後ともこの推移につきましては十分留意いたしまして、大蔵省と折衝を保ちますとともに、かりに万が一にもこの債券発行が予定通りにはむずかしそうである、先の見通しがむずかしそうであるという場合には、やはり大蔵省と折衝いたしまして、この資金の確保、その他できるだけあらゆる面の確保という点につきまして努力して参りたい、かように考えております。ただいまのところは先ほど申しましたように、債券発行責任を持ってやっていただくということに一応期待をかけておるわけでありますが、今後の推移につきましての注意は決して怠らないつもりでおります。
  28. 正木清

    正木委員 最後に簡単に一点だけ、政務次官にお尋ねしておきたいと思うのです。実は正直のところを言うと、冠はまた予算修正案に目を通しておらぬのですが、けさの新聞を見ますと、財政投融資の中で、何か国有鉄道新線建設として五億が増額されたように報道されておる。そして実は閣議等において通産大臣及び労働大臣運輸大臣との間に、この五億の新線建設について意見の対立あるやに新聞は報道しております。  そこで私は率直に政務次官にしかと確めておきたいと思いますことは、これは新聞でございますから、あるいは真実はわかりませんけれども、この新線建設として五億が増額された分について、労働省や通産省からこれを失業救済のために、特定の新線建設に投下すべきだというような御意見が出ておるように新聞には出ておるのですが、これは私の常識から申しますると、まことにもって私には不可解なんです。少くとも国として全体をにらみ合せて、二十五億の新線建設に対する予算ではどうにもならない。そこで金額の多寡は別として、五億が増額された限り、当然鉄道建設審議会に諮問をし——すでに鉄道建設審議会を通じて政府の方針として決定を見ておる二十三線の新線建設に、優先的にこの五億は当然追加配分されてしかるべきものだと私は思う。しかもその二十三線のうちで、どこから先に手をつけるかということは、一にかかってこれは今後の問題であろうかと存じます。そういう点について、これは新聞の報道ですから繰り返してこの際はっきりさせておきますが、ここに労働省の政務次官も御出席のようでございますが、私は労働省や通産省がとやかく言う筋合いのものじゃない、こう考えるのですが、この点ははっきりとあなたから承わっておかないと、またあとでごたごたが起ると困りますから、はっきりした答弁を聞かしておいていただきたい。
  29. 河野金昇

    河野(金)政府委員 この川崎線の問題は私の知っておる範囲では、前から割に超党派的に動いておられたと思います。議員の方もそういうように動いておられましたし、それから石炭合理化並びに失業対策の面から、こういうものをやりたいということでありましたから、私はその当時趣旨には反対ではありませんでした。石炭合理化のために失業者が出る、その失業救済のために全然二十三線と別に、別のワクから予算をお取りになって、新線建設という意味じゃなしに、失業救済という意味においておやりになることであるならば、われわれはこれに反対する理由はありませんでした。だから前回の鉄道建設審議会の小委員会においても、通産省から川崎線を二十三線の中に入れてくれないかというような発言があったけれども、私は率先してその議論はここですべきものではなしに、それは別途考えてほしいということを発言したのであります。だからひもつきで持ってこられるというようなことは、運輸省としては受け入れるわけにはいかないのであります。これも閣議等においても意見が対立したままであります。五億円新線に認めるということはきまりましたが、その五億円のうちに、とりあえず今年度五千万円を川崎線につけて、それを新線の中に入れてくれという要望があったそうでありまするが、運輸大臣はそれは了承してはおりません。もちろん正木委員も御承知の通りに、運輸大臣がたといそこでどういう約束をしたとて、建設審議会にこれは諮らなければならぬのでありまして、その約束は単なる約束にすぎないのであります。二十五億、それに今度ふえたところの五億という予算は、近く開かれるであろう鉄道建設審議会に諮りまして、そのときに一つの意見としてはあるいは申し出なければならぬと思います。こういうふうで、通産当局並びに労働当局から石炭合理化並びに失業救済事業の一環として、川崎線をここへ入れてほしいという要望があるが、これをいかに取り扱うかということは、かかってその建設審議会においてこれを諮問しなければならない問題であって、今運輸当局が軽々しくこれを入れるなんというお約束をするわけにはいかない問題だと私は了承しております。
  30. 正木清

    正木委員 私は政務次官に強く要望しておくのですが、非常に本質的に問題を混乱さしておるのです。石炭合理化法律案を通じてこれから出るであろうと予想される失業者を救済するために、川崎線であろうとどこの線であろうと、それを敷設して失業者をその工事に吸収するのだ、こういう考え方が根本的に間違いなのである。と申し上げますことは、日本国有鉄道法という法律によって、この国有鉄道とは何ぞやという定義が、第一章総則の第一条で規定されておるわけです。今財政的に危機に瀕した国鉄が、この破産寸前の国鉄が、当然政府全体の責任においてどうあるべきかという失業救済の問題を——高い利息を払ってそうして借金をして鉄道建設をやって、そしてそれから利益が上るのではなくて、その建設した鉄道それ自体も赤字の継続ではあるけれども、この法律規定によって政府からの命令によって、好むと好まざるとにかかわらず今国鉄がやっておる。何も失業救済のために、財政危機に瀕しておる国鉄みずからが鉄道を敷かなければならぬという理屈は、政務次官成り立たないのですよ。どうかあなた、この点をよく御理解と御研究を願って、十分大臣と協議されて、そうしてその鉄道建設審議会、それから政府閣議等においても、今あなたが御答弁下さった線で強行に主張していただきたい。このことを強く要望して私の質問を終りますが、もし今政務次官のおっしゃったようなことがあやふやにされますと、政府みずからがこの日本国有鉄道法を破棄することになります。そうしますと私はまたあなたと十分理論闘争をやらなくちゃなりません。そういう点十分御配慮の上で、万全の処置をとっていただきたい。以上で私は質問を終ります。
  31. 中居英太郎

    ○中居委員 ただいま正木委員から鉄道新線建設に対する質問がありました。これに対して河野政務次官から御答弁がございました。私も正木さんの質問の要旨並びに政務次官の答弁の要旨に賛成でございまして、何とかその線でこの五億円の増額の予算を処理してもらいたい、こう考えておるわけであります。しかし新聞等で伝えられる面を見ますと、どうしても一まつの不安というものがかいわけではないわけでありまして、労働省は公式の発表として、先ほども申し上げましたような石炭の合理化法の実施によって生ずる北九州における失業者の対策の一つとして川崎線をやるのだ、そうしてその予算は、先ほど申し上げましたように、今回の増加した五億の予算のワク内でやるのだと公式に表明しておりますが、一体その真意はどうですか、高瀬政務次官から承わりたい。
  32. 高瀬傳

    ○高瀬政府委員 先ほど正木さんから、ただいまは中居君からお話がありましたが、実は労働省といたしましては大体失業対策費百六十八億の予算を計上いたしました当時、その当時はいわゆる石炭合理化に関する臨時措置法案が、一体確実に政府から提出されるかどうか、不明確であったのであります。従ってわれわれとしては労働省の失業対策の百六十八億の中には、石炭合理化に伴う臨時措置法案の結果として現われる失業対策については、予算に計上することができなかったわけであります。その大体の予算の編成が終了いたしましてから、通産省が新たにこの石炭合理化に関する臨時措置法案を今国会に提出することが明瞭になりました。そこでわれわれとしては労働省として取った予算のワク内において、この失業対策を講ずるほかはないということで、特別失業対策事業費といたしまして第四・四半期に約二億、一日四千二百人程度、それから川崎線の建設は、この継続費としては約二十四億程度かかるのでありますが、本年度分として二億四千八百万円程度の失業対策費の計上が必要である。そうでなければ、せっかく石炭合理化に関する臨時措置法案政府が提出して、石炭のいわゆる基幹産業の振興をはかろうと思っても、それこそ社会党の諸君も失業対策に対する線でなければ、おそらくこの法案が日の目を見ることはなかなかむずかしかろう、こういうことで私どもは日夜党とも折衝いたし、労働大臣もこの点に関して非常に心労しておったのであります。ところが最近の自由党民主党予算折衝において、五億の鉄道建設費というものが計上されておる。もちろん先ほど正木君の言われましたように、失業対策のためにいわゆる鉄道建設費を労働省が使って、それによって失業対策ができるというようなことは非常に一方的な見解である、これはごもっともであります。しかしながら御承知のように北九州の炭鉱地帯でおそらくあの法案通りますと、約六万人の失業者が出るだろうとわれわれ予想しておるわけであります。従って一般の失業対策費はもちろん、この方面に使用すると同時に、特殊なこの石炭合理化に伴う輸送の増強、あるいはそれによる単価の低減、その他失業対策という意味も含めて、ちょうどあの筑豊炭田の中心におりますところの川崎線を建設して輸送の増強をはかり、石炭事業の振興並びに失業対策のためにこれを使いたいという熱意から、実は突如としてこの五億の鉄道建設費が計上された。なるほど理屈から言うと二十三線の予定線に全部その五億を使うのが当然であろうと私は考えますが、この際やはりこの特別な意味を持っております川崎線の建設というもの、特に炭鉱地帯のまん中にあって、失業対策に非常に貢献ができる、この川崎線の建設について何とか一つこの五億の中で、せめて本年度は五千万円でも入れてやっていけないかという要望を実は出したのであります。それはおそらく社会党の方々も失業対策という観点からは賛成でございましょう、こういう金の回し方は反対だと言われるかもわかりませんが、私どもとしてはこの五億は何とかそういうふうに使って、この際石炭合理化を促進したい、こういう熱意で実は公式に党とも交渉しておるのであります。予算面に、今度の修正に、この五億の内容を、四億五千万円はこう使い、五千万円はこう使えということを明示することはなかなかむずかしいでありましょうけれども、われわれ実はそれまで希望しておる。その前に約五億程度の増額も要求した。ただ要求してそれが乗らなかったことは、労働省がだらしがないからだと言われればそれまででありますが、突如としてこの五億が乗る以上は、われわれとしてはむしろそういうふうな政治的意味に、全部を失業対策のみに使ってほしいと気持を持っておる。おそらくこの点は社会党の諸君も反対されない、こういうような意味で私どもは実は考えておるわけですから、その点一つ誤解のないようにお願いします。
  33. 中居英太郎

    ○中居委員 石炭合理化法の是非はまた別の問題でありますから論じませんが、ただこれが実施せられることによりまして、炭鉱地帯における失業者が出ることは、当然これは予想せられております。私どもも一方法案反対という立場をとりながらも、なおかっこの失業者が急増するという現実をどう処理したらいいかということにつきまして、しばしば政府並びに労働省あるいは厚生省当局に、この対策ということを強く要請して参ったのであります。すでに五月の二十八日だったと私記憶しておりまするが、通産省並びに労働省におきましては、その失対事業の一環として、北九州における川崎線の建設を実行するのだ、こういうことを正式に表明せられております。今回の五億円の新線建設の増額というのは、先週の土曜日でしたか、六月四日ごろに大体民主党自由党との間の修正予算の妥協が成り立ったのでありまして、少くとも労働省あるいは通産省が川崎線を云々した五月二十八日当時においては、何ら話題に乗っていなかった金額であります。従いまして、たとえば川崎線を二億四千万円ですが、ないし三億円投じて失対事業としてやるということを考えておられたとしても、おそらく鉄道関係の予算とは別ワクとしての方法を考えて、通産省あるいは労働省がああいう公式な発表をなさったのではないか、こういうふうに私ども承知しておりますが、この五億円がきまりましたならば、急にこれにおぶさってくるというような発言を労働省がなさるということは、私は非常に信義に欠けておるのじゃないか、こういうふうに考えておるのでありまするが、この間の経緯をもう一度御説明願いたいと思います。
  34. 高瀬傳

    ○高瀬政府委員 実は私どもとしては、予算の折衝が始まったとき、ちゃんとその点は約五億程度の失業対策の費用が要るということを、党側にもはっきりと申し述べておったのであります。そこで小くとも鉄道建設に関して二十五億の予算がすでに取られておる。それは昨年よりも五億かそこら足りなかったことは私も承知しております。しかし突如としてこれが乗るということも、私は実ははなはだ不明ながら想像しておらなかった。しかもこの鉄道建設をやるという以上は、失業対策の意味も含め、炭鉱地帯における失業対策を含めた川崎線の建設ということは必ずしも不合理でない、こう思いましたし、それから石炭鉱業合理化臨時措置法案の提案に際して、通産大臣が特にいわゆる失業対策の一環として、鉄道の建設その他を推進するということを公式に国会で表明された。これは内閣としても相当に重大な責務であろうと存じます。その点は私は労働大臣にも指摘いたした。鉄道建設ということを失業対策の一環としてということは、通産大臣の公式なあの提案理由の説明の中に確かにございます。ですから、これの問題についてもし五億の鉄道建設の新しい費用が盛られるならば、失業対策の方もほかに費用がないのでありますから、これの中に含めて、せめて五千万円でも入れるのはどうかという主張をするのは、私どもとしては当然だろうと考えて盛んにやっておるわけであります。従って、閣議において朝日に載ったようなああいう論争があったことも、私は事実であろうと思う。今その閣議において決定しないのを、何も政務次官のごときがかれこれ言う理由はないのでありますけれども、ちょっと聞くところによりますと、閣内でだれか代表選手を選んで、閣僚の中でこの問題について政治的に善処することを相談するということも聞いております。その相談の結果が運輸審議会で通るか通らぬかは別でありますけれども、何ら根も葉もなければ、先ほど中居君も言われ、正木君も言われたように、この五億の建設予算は二十三線に計上されて論議されるのは当然であり、私もその点反対ありません。しかしながら閣内においてある程度の政治的考慮が加えられて、この問題について一応運輸審議会に、多少失業対策の意味を含めたものを審議に上せるところまでいくかどうか。いって否決されればこれは私ども何とも言えませんけれども、なるべくそこまで私はやりたいと思っておる、労働省の立場としてははっきりその考えを持っております。
  35. 中居英太郎

    ○中居委員 労働政務次官お話もよくわかります。しかしながら、労働省が当初考えておりましたように、この五億円というものと関係なく、国鉄予算とは全然関係なく、失業対策事業費として川崎線をお考えになられることは、私ども大いに賛成でもありますし、御援助申し上げたいと思っておりまするから、どうか国鉄の五億円の増額分に色目を使わないで、労働省は労働省で当初の考えの通り、別ワクから失業対策費を捻出して対処してもらいたい、こう思うわけであります。  それからさらに、おわかりと思いまするが、当初本年度の建設資金は六十五億を要求したわけです。それに対して二十五億の割当でございまして、この二十五億をもってしては全然工事というものに着手する見通しさえもつかない、こういうのが現状であったわけです。それにわずかながらも今回五億円が増額せられたことによって、あるいは消極的な建設方法かもしれませんが、何とか本年度も建設工事というものが施工できるのではないかというような一歩進展を見ました今日でございますから、労働政務次官もこの間の事情をよくお考えになって、あまり横車を押さないような発言をしていただきたいと思うわけであります。  さらに河野政務次官にお願い申し上げたいことは、先ほどあなたが言われましたような線で、強くこの五億円というものを処理するということを、もう一度当委員会において言明していただいて、この問題についでのピリオドを打ちたいと思います。どうぞお願い申し上げます。
  36. 河野金昇

    河野(金)政府委員 私たちは、当初はこの三十年度予算を国会に提出しておりましたから、いろいろ不満はありましたものの、鉄道新線建設、港湾あるいは気象台関係の定点観測等、非常に国民の要望もあるにかかわらず、目的を達せられなかった。けれども不満ながら三十年度予算がああいうふうに落ちついて、国会に提出されておりましたからじっとしておりましたが、予算がいよいよ衆議院の大詰めにきて二百十五億というような——根拠はどこにもありません。ただ最初自由党が四百三十億円の修正を出してきた、それの半分というだけであります。それで二百十五億という修正ができる以上は、われわれが満たされなかったところの予算の増額を要求することは当然でありますから、鉄道建設新線関係、それから港湾関係、定点観測、こういうようなものについて強く予算修正をしたわけであります。そしてこれは運輸委員会においても、前に港湾関係の予算等で百五十億くらい取れいう——数字ははっきり表に出ておらなかったにしたとて、内容においてはそういう決議までいただいておりましたから、その点において五億をふやし、鉄道建設においてもわれわれは五億くらいではない、もう少し要求しておったが、不満足ながら五億円が認められたわけでありまして、この五億円をふやした三十億円で鉄道建設審議会の議に付したいと思っていたのであります。今高瀬君から希望を申し述べられましたが、希望としては承わっておきますけれども、これはかかって鉄道建設審議会の議に待たなければならない問題でありますから、そこにおきまして社会党の諸君なんかが猛烈に要求でもされて、みなが賛成すればいざ知らず、そうでない限りはわれわれはやはり二十三線にふえた五億を加えての配分をするというふうに今は考えておるのであります。   〔「了解」と呼ぶ者あり〕
  37. 永山忠則

    永山委員 ただいまのお言葉を聞いて、河野政務次官は毅然として二十三線へ割り込ませないような態度で努力されるような空気にも見えますので、了解という言葉もございましたが、これは非常に利害関係を持っておりますので、断じて二十三線のうちへ入ってもらっては困るということを、ことに高瀬政務次官に——なかなか政治力を持っておられますから、一応強く押えておきませんと非常に危険があるように思います。ことに河野政務次官はこの審議にかけてみるような空気でございますが、断然かけるに及ばぬことでございまして、二十三線へプラスして出すなんということは、内部で葬り去るべきであると考えておるのでございます。ということは、高瀬政務次官はこの委員会へあまりお出になりませんのでおわかりにならぬのでございますが、二十三線の関係者はほんとうに血の出るような叫びによりまして、強く要望をいたしてきたのでございます。ことにこの残っておる線の中には、山村地帯のが非常に多いのでございまして、山村の失業状態というものは、潜在失業者は都市に匹敵するものがございますので、この失業関係の点から見ましても、二十三線の建設促進は絶対の状態にあるということを申し上げたいのでございます。ことに三江線あたりの山村地帯はおびただしい失業状態にあるのでございまして、ほんとうに木の根を食べ、川の魚を食っている実情で、このデフレ下にあえいでおるこの情勢から考えましたときにおいても、切にその必要性を感じておることをつけ加えておきたいのでございます。ことに石炭合理化に対する臨時措置をお出しになりましたときは、この五億はきまらないときでございまして、その臨時措置をお出しになるときは、予算的措置が伴わずにお出しになっておるのでありますから、その責任はまさに政府にあるのでありまして、ここに新線五億の中へ突如として入ろうというようなことは、全く論理を逸脱するものであることをこの際申し添えまして、特に河野政務次官の一大決意をさらにお願いいたしたいのであります。
  38. 河野金昇

    河野(金)政府委員 答弁する必要はないと思いますが、この委員会の御意思はわかっておりますし、その上にあなたのような強い激励があれば、なお元気を出して二十三線を死守いたします。同時に失業救済事業とか、その他別途の考え方によって、別途の会計において鉄道をお作りになって、できてしまったものを国鉄に運営してくれとおっしゃるならば、おそらく国鉄の方でもこの運営だけはお引き受けになるであろうと思うのであります。
  39. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 私は労働政務次官がお見えになって、先ほど来いろいろお話になっていることを聞きまして、関連して質問をいたします。ただいま永山委員から、労働次官はここにあまり来ないから経過は知らぬだろうというように言われましたが、確かにここへ来ることもないだろうし、永山君はこの前落選されていたから知らないと思いますが、われわれは数年来非常に努力をいたしたのでありまして、あなたからそういうことを言われると、われわれ数年来苦労いたしているものといたしましては、どうしても言わざるを得ない。平地に波瀾を起すようなことをおっしゃるならば、当然われわれも議会を代表する者として言わなければならぬ。あなたの所属している政党においても、非常な努力をなさっておられる。あなたがお話しになる以上は、そういうこともおわかりであろうと思います。同時に新しく五億円を追加されたのであるから、その中に入れるとか入れないとかいうことは、国鉄の新しい路線が党利党略で作られるならば私も黙りますが、国家のために必要な路線を作るかどうかが問題なので、そうでなく作られるならば、それはやはりなわ張り根性だからやめてもらわなければならぬ。私はわが国の現下の国民生活の実態から考えて——永山君は木の根を食っている云々と申されましたが、われわれ福岡県では十万の炭鉱労働者が失業し、妻を売り、娘を売っているような状態である。あなた方新聞を見たら、その惨状見るに忍びないものがある。日本のいかなるところよりもこの実態は深刻であります。私も議員の一人として、自分のことだけの利害を主張しません。これは国全体を考え、国家の現状というものをあわせて考えて議論をいたさなければなりません。  そこで労働次官にお尋ねいたしますが、あなた方この線を計画されるときには、全然予算上の措置というものはなかったのですか、その点はいかがですか。
  40. 高瀬傳

    ○高瀬政府委員 その点はうすうす石炭合理化法案というものが出るとかいうことを聞きました。ところが政府として正式にこの予算を編成するときに、先ほどもその点は申し上げた百六十八億の失業対策費を計上して、大体の骨組みができるときには、いまだ石炭合理化法案なるものは影も形もなかったわけであります。従ってこれに対する予算を的確に計上することができなかった状態であります。
  41. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 その失業対策分として考えたものは、その中からさける分がありましょうか。
  42. 高瀬傳

    ○高瀬政府委員 それは予算の性質上流用はできないと思います。別途計上をしなければ川崎線の建設はできない、そのように考えております。
  43. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 もしこれがいわゆる新線の中へ入れないということになりますれば、あなた方の方としてはこれについて別途に考える道があるかどうか。それとも今の場合は全然なくて、やはりその中へ入っていこうという考えなのかどうか、伺いたいと思います。
  44. 高瀬傳

    ○高瀬政府委員 その点は現段階になりますと、別途考慮する余地がないわけであります。私の方では先ほど申し上げましたが、約五億程度のこの石炭合理化に関する失業対策の対策を立てて出してあるわけであります。今の段階ではそれが計上されないということになると、やはり同じ鉄道の建設でありますから、この中へ多少なりと割り込まないと、労働省としては全然失業対策に対して責任を持てないというような形に相なりまして、非常に困窮いたしておりますから、どうぞよろしくお願いをいたします。
  45. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 それは今労働政務次官運輸政務次官が、厳格に申せば相異なる御意見を出されている。しかし今国鉄全般につきましても、あに新線のみならず、車両改良にいたしましても、その要求がその通り現実的に通っておらない。しかし考もまあ現実というものは無視できません。われわれが理想を説いても、理想が一挙にできなければやはり次善の策をとる以外にない。そこでこれは政務次官同士がそういうことでなく、やはり内閣としては当然の政治的な配慮を伴って解決をしなければならぬ。本委員会の先ほど来の意見を聞いておりますと、新線には二十三線以外は断じて一本も入れないという、非常な背水の陣を敷いて次官は決意をお述べになったのですけれども、そうなれば労働次官も背水の陣くらい敷いて決意を披瀝して——これは私どもとしては、正直にいって、ぜひとも一挙にやろうというのじゃない。やはり頭をもたげてもらいたい、こういうことを主張しておるのです。事実私は本委員会で意見を言うつもりはなかった。しかし先ほど来申しておりますように、全くほかのものは早くからいって、この問題は今飛び出してきたように思っている。そうではありません。私は議員当選以来常に念頭に置きまして、しかもこれは日本の経済路線としたならば、国鉄技術面におります人は、第一番と申しております。これによりまして現在若松港に送っております石炭を苅田港に送って京阪神に送りますならば、トン当り百円の差ができてくる。これは日本の今日の基幹産業としての石炭のコストを下げるということは、何よりの至上命令であります。さらにまた最も失業者の増大しておりますところの筑豊炭田における失業者の吸収策といたしましては、これは当然のことであって、一番緊要なことであります。私どもはこういう実態からながめて、やはり運輸省と労働省がけんかをするということはよろしいとは思わない。やはり大きな一つの国全体の様子をながめて、その上におけるところの正しい配慮のあり方を私は要請いたしまして、私の質問を終ります。
  46. 永山忠則

    永山委員 関連して。ただいま池田君から落選しておったからということですが、私はすでに昭和十二年から出ておりまして、三江鉄道の開設当時からの関係者でございまして、特に三江鉄道は路線まで敷かれておるものを、戦時中鉄の関係で取り払ったというような状態で、陰陽連絡の最も重要なる路線でございまして、これがこの二十五億の予算では全く事業を中止しなければならぬという運命に追い込まれつつある状態でございますので、この事情、ことに今日炭鉱方面におけるところの失業関係で非常に苦しい状態であるのと同じように、農村におきましても、事実においては娘を売り、生活は最も困窮状態にあるのでございまして、今日都会において勤めております赤線区域等の関係の者は、むしろ農村側の方が非常に多いのでございまして、その困窮状態というものははなはだしい、ことにそれらの三江線付近の地帯は全く山村地帯でございまして、耕地面積はほとんど持っていないのであります。山林だけによって生活をいたしておるような状態でございますから、これらの諸点から考えましたときにおいては、その失業対策としての地位から見ましても重大なものであるのであります。実に二十五億の金額におきましては、七線の路線がこれを継続できるかどうかという運命に立ち至っておる点等を考慮の上、十分一つ御検討になっていただきたいということを、さらに一つつけ加えて要望しまして発言を終ります。
  47. 原健三郎

    原委員長 本日はこの程度として、次会は公報をもって御通知申し上げます。    午後三時十五分散会