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1955-04-01 第22回国会 衆議院 運輸委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年四月一日(金曜日)     午後二時十三分開議  出席委員    委員長 原 健三郎君    理事 今松 治郎君 理事 臼井 莊一君    理事 山本 友一君 理事 青野 武一君    理事 中居英太郎君       岡崎 英城君    佐々木秀世君       濱野 清吾君    關谷 勝利君       徳安 實藏君    畠山 鶴吉君       井岡 大治君    栗原 俊夫君       山口丈太郎君    池田 禎治君       竹谷源太郎君    小山  亮君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 三木 武夫君  出席政府委員         運輸政務次官  河野 金昇君  委員外出席者         運輸事務官         (海運局長)  粟沢 一男君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      植田 純一君         運輸事務官         (自動車局長) 真田  登君         専  門  員 堤  正威君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 三月三十日  委員木下哲辞任につき、その補欠として大西  正道君が議長指名委員選任された。 同月三十一日  委員山本友一辞任につき、その補欠として川  村善八郎君が議長指名委員選任された。 四月一日  委員川村善八郎辞任につき、その補欠として  山本友一君が議長指名委員選任された。 同日  理事山本友一委員辞任につき、その補欠とし  て同君理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事の互選  小委員補欠選任  陸運に関する件  海運に関する件     —————————————
  2. 原健三郎

    原委員長 これより会議を開きます。  本日の日程に入ります前に、小委員補欠選任についてお諮りいたします。すなわち大西正道君が去る三月二十九日委員辞任され、三十日再び本委員となられましたが、同君観光に関する小委員でありましたので、これが補欠選任を行わねばなりません。この補欠選任につきましては、委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 原健三郎

    原委員長 御異議なしと認めて、さよう決します。  観光に関する小委員大西正道君を指名いたします。     —————————————
  4. 原健三郎

    原委員長 この際お諮りいたします。すなわち山本友一君が去る三月三十一日委員辞任せられ、今一日再び本委員になられましたので、この際理事補欠選任を行いたいと思います。つきましてはその選任委員長より指名いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 原健三郎

    原委員長 御異議なしと認めます。  それでは山本友一君を理事指名いたします。
  6. 原健三郎

    原委員長 陸運海運に関する件その他につき調査を進めます。關谷勝利君。
  7. 關谷勝利

    關谷委員 簡単に基本的な問題だけについて、大臣の御所見を承わっておきたいと思います。新聞紙上等でいろいろ報道をせられておりますように、鉄道の新線建設だとか、あるいは外航船舶資金というふうな点に関しまして、大臣抱負を述べられておりましたことは、私たち承知をいたしておりまするので、拝見をいたしましてまことにけっこうであるというふうに考えておるものであります。大体新聞通りであるといたしますならば、その点もわかっておると考えられるのでありまするが、この正式な場面におきまして大臣から確実な御答弁を得たいと思いまして、お尋ねを申し上げる次第であります。  まず第一番にお尋ねを申し上げたいのは、外航船舶建造資金の点でありますが、この外航船舶建造を急速にやらなければならないということは、もう議論余地はないのでありまして、当委員会のくろうとが集まっておるところでとやかく議論すべきものでないことでありますので、議論的なことは申し上げません。今まで検討いたして参りました本船担保以外に、二割の増し担保を入れているということでやって参りましたが、各船会社とも担保力はなくなっております。このようなときにいろいろと計画をせられましても、それが実際にはでき得ないというようなことに相なってはならないと思うのでありますが、これから先の外航船舶建造についてどのような計画を持っておられるのか。何年間にどれだけを建造しようとしておられるのか。それに対しますところの建造資金、いわゆる資本構成につきましてどのようなお考えを持っておられるのか。これらの点につきまして具体的に詳細に御答弁願いたいと思います。
  8. 三木武夫

    三木国務大臣 現在の商船隊は三百三十万トンの現有であります。これを政府は将来の貿易のスケールともにらみ合わせて、今後六カ年後に四百五十万トンを必要とする。こういうところへ持っていきたい。百二、三十万トンは今後の計画造船によって建造していきたいという考えでございます。そのために今年度は運輸省とすれば、二十二万トン程度計画造船でやりたいということを考えておったのでございますが、しかし御承知のように、政府選挙後の内閣でありまして、選挙を通じていろいろの公約をしておるわけであります。従って政党内閣として公約を実行するということは、これは第一番にやらなければならぬ義務であります。どうしても予算の上においてもそういうものが優先的に考えられる。そうして一兆円という一つ予算の全体のワクがきめられる。公約を第一番に実行しなければならぬということになってきますと、やはり資金関係が相当窮屈になってくる。それで今の予定では四百五十万トンに持っていくために、政府とすれば今年は二十万トンないし二十二万トンの船を作りたいとは考えておるのでありますが、これはやはり今後の六カ年に、年度的に今年はある程度少くなって、また将来の六カ年の間にはこれを調整していくという場合も起ってくる。そこで運輸大臣としてはなるべく今日船を多く作りたいという心がまえで、今後の予算の交渉に当りたいと思っておりますが、今これだけの船を作るということを、本委員会で申し上げられない段階にあるということを御承知願いたいのでございます。  それから資本構成の問題については、關谷さんも運輸行政に多年経験をお持ちになっておるので、私も運輸大臣になって、この状態は何とかしなければならぬ。将来、船のような国際競争の激しい企業体資本構成の弱体というものは、非常な問題になってくる。ところがなかなか思いつきではいかない。単なる思いつきでは、影響するところが多いものですから、それで事務当局にも、資本構成を是正して、海運界を国際的な競争力を持った強固な企業体にするためには、いろいろな案があると思う、そういう案を一つ立案してもらいたいと言って、いろいろな案が出て参りました。一つの案は、開銀融資を受けているが、その中に見返り資金から受けている分がある。これは開銀の原資で金利がかかっていないために株式化することができないか。これは六百億くらいのものだと思うのですが、これを株式化する方法がないかということも一つ方法。あるいは電源開発会社のような特殊会社を作って、財政資金はみなその会社が受け入れる。そうして市中融資を二割、開銀から八割とすれば、民間の方は二割の資金を持ち寄って、その特殊会社が船を共有にするという形でいけば、これから以後の資本というものは悪化して行くことを防げるわけであります。こういう案とか、いろいろ出て参っております。海運界の問題というものは、大なり小なり程度の差はありますけれども、日本企業全体の姿なんです。そういう点で、単に海運界だけを取り出してやると申しましても、いろいろな関連性があるので、これは慎重に検討しなければならぬというので、いろいろな案を経済閣僚懇談会議題にしておるわけです。そして経済閣僚にもいろいろな関係がありますから、内閣として経済閣僚懇談会検討を加えたいということで、これはすでに議題になっていろいろ検討されておるのですが、何分にも海運界の姿というものが日本経済一つ縮図であるという点で、非常にこれは大きな問題であるわけであります。今まで数年にわたって、こういうことが皆が言いながらも解決されなかったのは、これが日本経済一つ縮図である。そういう点で非常に大きな問題になってくるわけでありますので、多少の時間はかかるかもしれません。いろいろな案はあるけれども、これならばいいという結論に達していないのであります。しかし何とかしてこの海運企業というものを強固な企業にして、競争力をつけたい。そのために衆知を集めて、そうして海連界の立て直しの方策というものをできるだけ早くきめたいと考えておるのでございます。
  9. 關谷勝利

    關谷委員 きょうはまことに上手に大臣に逃げられるような状態で、御名答に対しては敬意を表するのでありますが、それではちょっと私は承服をいたしかねるのであります。選挙の際に公約をたくさんやっておるから、思う通りいかないのだということになりますと、外航船舶を大量に建造したいというようなことを新聞紙上等大臣が発表せられておったのは、これは公約ではなかった、こういうふうに言われるのでありますか。私たちは、これは第一番に公約すべき最も大事なものである、このように考えておるのでありますが、今お話を伺っておりますと、公約をたくさんしておるので、それをやらなければならぬから思うにまかせぬということになりますと、公約したことが悪いということになるのであります。その造船計画等については、これは公約でなかったというふうにも聞えないことはないのであります。  そこでついでに伺っておきたいのは、六カ年計画といいますが、鳩山内閣が六カ年続くとも、これは客観情勢から考えても、だれが考えても考えられないわけであります。あまり長い計画を立てて、そのために年次を繰り越して次にやるのだ。六カ年計画の六カ年でやればいいのではないかということになると、これは何といいますか、まことに責任のがれの悪らつな計画である、私はこのようにも受け取れないことはないのでありますが、それをどういうふうにこの年次計画——もちろん長期計画を立てることはけっこうでありますが、これを均等して毎年やっていこうとするのか、それとも先へ望みをかけようというような言い方をされるのか、その点を大臣に伺っておきたいと思います。  なお、今まででも造船資金資本構成というものは非常にむずかしかったということは、もちろんなかなかむずかしい問題であるがゆえにできなかった。今度は縮図であるというようなことでありますが、今まではどうにかこうにか担保力もあってでき得たのでありまして、これから転換期になってくる一番大事な時期でありますので、この資本構成の問題をじんぜん日を送るというふうなことは許されないときに当面しておりますので、早急にきめられなければならないのでありますが、ただいま大臣が言われましたところのあの案といいますか、今までの開銀融資株式化する、これに重点を置こうとするのか、あるいは今の電源開発のような格好の会社案というようなことで八〇%、二〇%というふうな案がありますが、この案の方に重点を置かれようとするのか、大臣の率直なお気持を伺っておきたい。
  10. 三木武夫

    三木国務大臣 公約の点でございますが、私が今公約と申しましたのは、やはり運輸大臣としてこういうふうにしたいという抱負を述べたことは、実際の予算を組む場合にはめんどうなことが起るということで、努めていろいろ心がまえを言ったのだけれども、これを必ずこうしたいというようなことは、私自身がいろいろ記者会見などで注意を払ったのでございます。やはり政党の場合は、公約を実行しないと政党政治全体に対しての影響もございますので、そういう点で何と申しますか、的確にこういうことをやるのだというような発言は、自分も努めて気をつけて参ったのでございます。ただ私がこういうふうな心がまえでやりたいということは申したことはございます。そういうことで数字も出たと思うのでありますが、今、政府選挙を通じて、たとえば住宅建設四十二万戸、国民に対していろいろ大きく公約をしたこともある。政府選挙を通じて大きく国民に約束したことは、やはり実行しないと政党政治全体に対して、将来非常な不信を招くということで申し上げたのでございます。  もう一つの、今お尋ね担保力の問題は、關谷さんの御指摘になる通りであります。これについては、この第十一次計画造船には今検討いたしておるのであります。これはしかし手違いの起らないような処置をとりたい。それにはいろいろな方法があるわけでありますが、その方法については検討を加えておりまして、そういうことで手違いのないような処置を講じたいと思うのであります。  また資本構成の是正について、どういう点に重点を置くかというお尋ねでございますが、今申したことも一つの案として考えられておるのでありまして、前者でなければ後者であるというところまでの結論にはまだ達していないのでございます。しかし今私が二つの場合を御説明申し上げたのは、やはり新しい特殊会社の場合は、今後の資本の悪化を是正していきたい。開銀の場合は昔の債務に対して処理する方法としてそういうことを考えたわけでございます。しかしこれはまだ結論に達しておりません。お話のようにできる限り早くこういう問題について妙案があれば、妙案を出すことが必要ではございましょうが、これは非常に大きな問題であるということについても御理解が願いたい。日本経済のどの業界も、どの業界もこの資本構成というものが非常に悪化いたしまして、企業社会的基盤というものが非常に弱いというところが日本経済縮図だと申したのは、どの企業程度の差はあるけれども、この悩みを持っておることが日本企業体の姿である。そこで海運界でもどの企業でも、やはり急を要する点があると思います。それでできるだけ早くこの全体としての資本構成企業において非常に悪いという状態政府としてもこれに対して英断を下さなければならぬ時期であるということはお話通りであります。しかしこれは非常な大問題である。日本経済悩みはこの一点にあるのだというところで、これが右から左にすぐにやれないという事情についても、御理解を賜わりたいと思うのでございます。
  11. 關谷勝利

    關谷委員 お尋ねした中で、六カ年間均等でやるのかという点が……。
  12. 三木武夫

    三木国務大臣 お答えいたします。これは大体今後百二、三十万トン作っていくというその計画の中では、前の四カ年は二十二万トン、それからあとの二カ年間は二十四万トン、こういう数字でございますが、今御指摘のように鳩山内閣が今後六カ年も続かないのに、そういう六カ年もの計画を立てても意味をなさないじゃないかというお尋ねですが、私はこういう基本的な一つ経済計画というものは、政変に左右されることなく実現されるような政治の仕組みというものができないものか。そういうことでこれはやはり大きな政党政治の課題だと率直に思っておるのでございます。そういう点でこれは何とか将来、どの党がかわっても、海運というものを充実しなければならぬということは違いがないのでありますから、長期に政権を担当したいとは考えておりますが、六カ年ということはむずかしいかもしれません。そういう意味においてこれはまただれのどの内閣でも、海運の振興というものが大きな基本国策になるのですから、それは踏襲してもらえるものと、こういう予定計画でございます。
  13. 關谷勝利

    關谷委員 資本構成の問題について、いま一つ株式化の問題は従来のものであり、あと会社案というのは将来の問題であると言いますが、そうはっきりと割り切ることができないものであるということは、よくおわかりだろうと思います。そういうふうなものではないのであって、こればかりに昔のものを株式化することになれば、開銀関係がそこに出てくることになれば、市中銀行肩がわりもできる。従ってまた市中銀行の調達もやりやすくなるということも考えられるのでありまして、一方は今までのもの、一方は将来のものと画然と割り切ることができないことは、大臣もおわかりであろうと思いまするし、それがわからないはずはないと私は考えておるのでありますが、いずれにいたしましてもこれは閣僚懇談会にゆだねておるというふうなことでございますけれども、これをいつまででも日を送るということはでき得ないのでありまして、早急にこれをきめ得ないということになりますと、やはり造船所等計画がおくれて参りますためにアイドルを生ずる。従ってまた高くなるということも考えられるのでありまして、船価高が非常に憂慮されておりまする際でありますので、この際早急に決定をいたしまして、早い機会委員会報告をいたしますることを希望いたしまして、私はこの問題に対する質問は打ち切って次へ移りたいと思います。  大型外航船舶につきましてはその通りでありますが、現在一番因っておりますものは、簡単に内航船とは申されないのでありますが、近海航路に耐え得る、近海航路に対しまして適当であるところの船、端的に一番多いものを申しますと、戦後に作られましたF型等のごときものでありますが、これが現在一番困っておる、こういうふうなものを持っておる会社現実に倒れておりますことも、大臣よく御承知だろうと存じます。この実態を大臣は知っておられるのかどうか。知っておられるとすれば、それがどの程度であるということをこの際お考えをいただきまして、これを救済する方法はどういうふうなことをして救済しようとしておるのか、この点を具体的に詳細に承わっておきたいと思います。
  14. 三木武夫

    三木国務大臣 この話は私も聞いております。非常に因っておるということで、いろいろな点が出てきておることは承知いたしておりますが、この問題について、あるいは金利の問題、固定資産税問題等、いろいろ問題が出ておりまして、お因りの事情はよくわかりますが、何か方法はないかということで検討いたしておるわけでございます。
  15. 關谷勝利

    關谷委員 検討々々で逃げられたのではどうも大へんなことになりますが、この機会に早急にこれの救済策に手をつけようというお考えであるのかないのか。なお今お話がありました金利関係固定資産税等関係等もありましたが、最も重要なものであります。なおそれに肩がわり等考えなければなりませんが、これなどは損保の関係を除きますと金額にいたしまして一億か、せいぜい一億二、三千万程度のものでありまして、国家的に見ると非常に重大であるのに比較いたしまして、資金面につきましては非常に軽くて済むということになってくるのでありまして、これは民主党が叫んでおります中共貿易、韓国の貿易等が将来盛んになりました場合に、第一番にこれを引っぱり出さなければならぬ重要な役割を演ずるものでありますので、どうしてもこれを温存しなければならぬ、立っていくようにしなければならぬのでありますが、早急にこれの救済策に対して手をつけようという決意がおありであるかどうか、その点をはっきりと伺っておきたいと思いますし、なお肩がわり等につきましては、金額等非常に小さいものでありますから、そうほかの公約に大きく影響するような金高でもないのでありますので、ことにこれは財政資金等開銀あたり関係を活用すればよいわけでありますから、そういうふうな点をぜひこの際やって、将来に備えなければならないのでありますが、これに直ちに手をつけるかっけないかということをはっきりと伺っておきたいと思います。
  16. 三木武夫

    三木国務大臣 その事情を承わっておるために、何とかできないものかということで検討をしておるわけでございます。何もしないならば検討もいたさぬのですが、何かいい方法はないかということで検討を加えておることを申し上げます。
  17. 關谷勝利

    關谷委員 それでは早急にこれを具体化していただける、こういうふうに解釈をいたしまして、私はそれに期待をするものでありますが、これもまたいつまでも延ばすことはできない問題でありますので、早急に決定をいたしまして、次の委員会にでも——次といいましてもすぐ次というわけにも参らぬかもしれませんが、なるべく早い機会にこれを発表せられますように、これも要望をいたしておきます。  なお定期交通線関係等につきましては、石油の関税の減免の措置が廃止になろうというので、非常に心配いたしておりますが、この点につきましては、道路に対しまする税のような目的税ではないのでありまして、道路あたりは、税金を取りましても道路がよくなれば恩恵を受けるのでありますが、海運企業鉄骨船あたりはこの恩恵を受けるところがないのでありますので、この点よく御検討願いたいと思うのでありますが、大臣はどういうふうに処理をせられるおつもりであるのか、この点伺っておきたいと思うのであります。
  18. 三木武夫

    三木国務大臣 これはお説の通りでありますので、そういう方向において努力をいたしておる次第でございます。
  19. 關谷勝利

    關谷委員 これもまた、その後の経過を次の委員会に逐次御報告を願いたいと思います。  それから港湾の整備につきましては、すでに前会決議がありましたので、あの決議の趣旨に沿いまして——あの「程度」という文字に逃げ道があるかのごとく、大臣はまことに巧妙な答弁をしておられたようでありますが、逃げを打つばかりが大臣の値打ではないのであります。これがぜひ実現をいたしますように、お願いを申し上げておきたいと思います。港湾の問題はその程度にいたします。  次に自動車の問題でありますが、前会以来この自動車運賃問題というふうなことで、あちらこちらから非常に異なった意見も出ておるようであります。この運賃決定ということにつきましては、その基本となる問題、すなわち国産車を重要視して、国産車に対します保護を強化するか、あるいは外車奨励するかというふうな基本方針が定まりますと、運賃の問題は議論余地がないのでありまして、おのずから決定されるのであります。国産車を従来以上に愛護するといいますか、愛用するといいますか、そういう方面に進もうとしておられるのか、あるいはまた従来のように、外車というものもできるだけ認めよう、こういうふうな方針をとられようとするのか、この点、基本的な問題でありますので、はっきりと伺っておきたいと思います。
  20. 三木武夫

    三木国務大臣 国産品奨励しようということは、御承知のように政府全般方針でございます。そういう点で、役所などもできるだけ国産車を使おうとしておるのであります。しかしタクシーの料金というものは——国産自動車奨励ということはもう少し大きな見地から、産業政策の上で取り上げられなければならないものである。運賃を通じて国産自動車事業奨励ということは、もう少し高い産業政策見地から取り上げるべき問題だと私は考えておるのでございます。
  21. 關谷勝利

    關谷委員 大臣考えているのと私は逆になってくるのであります。現実には、国産車愛用というふうな面が強く推し進められてきますると、先般の値上げということが正しいものであるということになるわけでありますし、外車の輸入を奨励するというようなことに基本問題がきまってくると、運賃というものがおのずからきまってくるのであります。運賃をきめたからどうする、こうするというのではなくして、その基本問題がきまれば、これからの運賃問題はその線に沿うて処理できるのでありますから、運輸省方針というものがはっきりわかってくるのであります。だれが考えても直ちに割り切れるわけでないので、その点どこへ重点を置くのだと、はっきり一口でよいのであります。御返答願えれば、将来の運賃問題はこれで解決がつく、こういうように考えております。
  22. 三木武夫

    三木国務大臣 やはり運輸企業というものを円滑にやっていきますためには、国産車奨励ということもございますが、それがすべてであってはならない。こういう過渡期でございますので——日本国産自動車企業世界的水準に達して、数量も非常に多い、もう外車などは要らないのだという状態にまで行っておれば、お説の通りであります。しかし、まだまだ日本の国産自動車というものは、性能の上においてもあるいは生産量の上においても、全然外車考えないで行ける状態ではない。そういう状態が理想的ではありましょう。そういう点で運賃決定には、今現に外車を持ったりして経営をやっている人もあるのですから、それをぴしゃっともう企業が成り立たないようにすることも、円滑に運輸機関をやっていく上において弊害が起ってくるわけでございますから、これは一律に右か左かと今言い切れない。全体として、やはり今日の日本状態に照らして、そういう事業が皆やっていけるというような見地からやっていくことがよい方法である。そうして国産自動車はやはり産業政策見地から、これを世界的水準に達するようにやり、やがては日本の車が国産車でやっていける状態に一日も早く持っていくことが理想だと考えております。
  23. 關谷勝利

    關谷委員 大臣は逃げを打つことの名人だと聞いておりましたが、これほどの名人だとは思わなかったのであります。この問題につきましてはまだいろいろ申し上げたいこともありまするが、産業政策の面からということをしきりに言われておりますから、産業政策の面から国産車奨励するために、どのような政策をとられようとするのか、これは担当違い大臣でありますので、通産大臣と御相談の上で次の委員会の際に、こういうふうな方針であるということを御明示願いたいと思います。これはまた運賃問題等にも影響するところが多いので、その点承わりたいと思います。  次に国鉄の問題であります。大臣は新線建設に対しまして、数字は忘れましたが、六十五億か何か確保するということを新聞で発表しておられますので、新線建設に非常に期待をいたしております方面では、大臣を神様のように言うておるのであります。これが今度民主党あたりが非常に伸びた理由の一つにもなっておるとさえ言われておるのであります。この国鉄の新線建設に対しましては、今年度におきましてどの程度を、どういうふうな財源から出そうとしておるのか、この点重要でありますので、もう予算案があと十五日もすれば出ようかというときでありますので、今さら、これもまた相談中であるというふうなことは、まさか大臣も御答弁なさるまいと思いますが、どの程度を、どのような財源から出されようとしておるのか、そうしてどの範囲をやられようとしておるのか、この点を伺っておきたいと思います。
  24. 三木武夫

    三木国務大臣 現在手をつけております新線を、経済スピードでやろうとすれば、お説のように六十五億という資金があれば一番理想的な形でございます。私もその当時鉄道建設審議会の委員であり、審議会においてもそういう数字がしばしば出ておったのでございます。私自身、現在運輸大臣として最も理想的な数字の基礎の上に立って、今後予算編成に当っていかなければ、その交渉に当っていかなければならない。現在はできる限りその理想の数字に近づける努力を払っていくつもりでおります。そういう考え方でこの新線建設予算を確保するように努力したい。でき得べくんば、今の国鉄の財政の状態からいけば、これは借入金の形でなしに、政府出資のような形が望ましいということで、そういう基礎に立って今後の予算折衝に当っていきたい、こう考えておるわけでございますが、今申したように、今年の財政もなかなか苦しいのでございますので、それが今後私が交渉していく一つ心がまえであるというふうにおとりを願いたいのでございます。
  25. 關谷勝利

    關谷委員 大へんけっこうなことでありまして、私たちもお手伝いを申し上げますので、ただいま政府出資というようなことで、その六十五億という金額に到達いたしまするように、最善の御努力のほどをお願い申し上げます。  なお国鉄全般の問題であります。現在の運賃をもっていたしましては、国鉄は赤字々々ということになって、とうていやり切れないのであります。独立採算を堅持せよという、しかも一方においては運賃の値上げは物価高を来たす、国民生活に及ぼす影響が多いというふうなことで、押えておるのであります。私は民主党の政策というものがはっきりわからないのでありますが、電力は恒上げをする、しかし国鉄の運賃だけは値上げをさせないのだ、こういうふうなことで、すべてのしわを国鉄へ持っていく、こういうふうな行き方にどうも受け取れてならないのであります。どういうのですか、もし上げないというのならば、国鉄の運賃も上げない、電力料金も上げないのである。その他政府関係企業は個上げをしないのだ、こういう一貫したことでいくのかと思いますと、押えられておるのは国鉄だけであります。この運賃問題につきまして、これに関連していろいろ経営のことにつきましても私申し上げたいと思いまするが、あのように電力等は値上げをしておっても、すべてのしわ寄せを国鉄へ持っていって、三十年度におきましても運賃の値上げはさせないのだ、こういうふうな方針であるのか。あるいは運賃の値上げも考えようとしておるのだ、そうしてそれをいつごろやろうとしておるのだ、こういうふうなお考えがあるかどうか。この辺はっきりと伺っておきたいと思います。
  26. 三木武夫

    三木国務大臣 運賃の改訂は、やはり将来においてやらなければならぬ。その将来というのは明年度を考えておるわけでございます。それはやはりいろいろ鉄道自身の合理化をやりましても、御承知のようにカバーできない赤字が出ることはお話通りでございますので、それは国鉄財政の立て直し全般ともにらみ合せて、運賃の改訂はやらなければならぬ時期がくる、こう考えておるのでございます。
  27. 關谷勝利

    關谷委員 明年度といいますと、きょうは四月一日でありまするので、昭和三十一年度ということになるのでございまするが、その通りに解釈して、今年は値上げをしないという解釈のように受け取りまするが、大体国鉄は昭和二十九年度におきましては、あのいろいろな問題がありましたために、運賃の値上げをやらなければ独立採算は保てないのだ。もしこのままで独立採算を強行しろということになってくると、安全確保はできないのだ、こういうふうな限界のぎりぎりまで今来ておると思うのであります。あの際に、国鉄というところはしぼってみれば何とかなるものだということで、一応しぼり切ってみようじゃないかというので、しぼり切ったところでありますから、昭和二十九年度、昨日までがしぼり切ったところであるというふうに私たちは解釈しておるのでありまして、もうそろそろしぼり切ったために、破れが出てき始めておるというふうな状態にまで到達をしておる、こういうふうに考えておるのであります。もちろんこれは自由党がやったことでありまして、自由党が一応そういうふうにしぼり切ってみて、その上でこの際は運賃の値上げも考えよう、あるいはいろいろな財政的な面も考えよう、こういうふうな段階に到達して内閣の更迭があったのでありますが、ただ自由党がやってきたのだから、その通りやっていくというのでは、一向かわりばえがしないのでありますが、現在の運賃そのもので独立採算で今年一ぱい行けということになった場合に、安全確保に大臣は責任が持てるかどうか、これは一番大事であります。皆が安心しで乗れるか乗れないかということでありますので、安全を確保することができるかできないか。今年末期になったらこれができなくなるのか、中ごろにはできなくなるのか、今からできないのか。それでも三十年度は値上げをやらぬのだということになるのか。その点、安全確保の面を特に大臣から御答弁を願いたいと思います。
  28. 三木武夫

    三木国務大臣 關谷委員は値上げに対して、今値上げをすべきだという御意見かもしれませんが、今日いろいろ諸物価も高騰ぎみにもあるし、運賃の改訂による経済上におけるいろいろな影響を考えて、政府は値上げをすべき時期にあらずという決定をしたわけであります。それからくる国鉄の予算も窮屈になっていくことはやむを得ないと思いますが、しかしいやしくも運輸機関というものは、国民生活に非常に影響があるものでありますから、私はこれが御指摘のように麻痺状態になるということのないように、責任を持ってやりたいと念願をいたしている次第であります。
  29. 關谷勝利

    關谷委員 麻痺状態になるとかなんとかいう状態ではないのでありまして、安全を確保することができるかどうか。それに対して責任を持てるか持てないか。これが保守改良ということができておらないから、財政面からどうしてもできなかったから、これで迷惑をかけたのだというようなことがないように念願するために、私は今までの経過もよく知っているために、大臣にもこの点責任を持てるか持てないのかということを申し上げているわけでありまして、別に私が値上げをせよということを今言っているのではありません。値上げをせずに安全を確保することができるのだという大臣の御答弁をいただけば、それで差しつかえないのでありまして、もしいろいろな事故がありましても、大臣がそれは押えられておったためにやむを得ませんといって逃げを打たないように、私は今からお願いをしようとしておるのであります。安全を確保する自信があるかないかということをはっきりと伺っておるのでありまして、麻痺状態に陥るということを考えるのではないのであります。麻痺状態に陥るほどやられたのでは大へんでありますが、しかしながらこの安全確保という点につきましては、どうしてもはっきりと御答弁を願っておかなければならぬ問題でありますから、もう一回はっきりと伺っておきたいと思います。
  30. 三木武夫

    三木国務大臣 当然運輸大臣として安全確保に万全を期する覚悟であります。
  31. 關谷勝利

    關谷委員 覚悟でありまして物足らぬ御答弁でありますが、ここらで私も一応質問を打ち切りたいと思います。安全を確保できるというふうなことで、その線に進まれているものと解釈をいたしております。その他いろいろ小さい問題はありますが、以上申しましたのが三十年度の運輸行政重点であると存じますので、いずれまた個々の面にわたりましては詳細御質問を申し上げたいと存じます。なおまた今まで申し上げた事柄で、最も早い機会大臣が経過あるいは状況の御報告を願うように幾つも申し上げておりますので、その点は必ず御報告を願うようにお願いをいたしまして、私の質問を打ち切ります。
  32. 原健三郎

    原委員長 次に池田禎治君。
  33. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 運輸大臣に二、三お尋ねいたします。運輸大臣は就任以来しばしばの御言明にもありまするが、鉄道の新線計画はどういう構想に基いて重点的に行うものでありましょうか。そのあなたの構想というものを御披瀝願いたいと思います。
  34. 三木武夫

    三木国務大臣 本年は御承知のように新しく新線をやるということはできません。今までやっている新線工事をできる限り経済スピードで進捗させていきたい。そういうためには、経済スピードと資金との問題は非常な悩みがあるわけで、工事は非常に速いスピードでやれば資金的にもよろしいのですが、これは今御承知のように、今年度の予算政府の方において編成中でございます。そこで私としては、新線を経済スピードでやりたい。そして今かかっておる新線は、できるだけ速くこれを竣工させたいということで、今後の予算折衝をしたいというふうに考えておるのでございます。
  35. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 その構想でございますが、それではこれからの鉄道建設の新しい構想は、どういうものから片づけていこうというのか。たとえば日本の産業経済上必要なものからというならば、どういうところに力点を置いてあなたはなさらんとするのであるか。本年度においては過去の決定されたものを経済スピードでやるとするなら、明年以降における計画線というものをどういうふうに乗せていこうとするものであるか、その点を一つ伺いたいのであります。
  36. 三木武夫

    三木国務大臣 鉄道建設審議会におきましても、六十五億円の資金を確保せよというようなことがしばしば問題になって、私はその当時は野党であったわけですが、自由党内閣でもこれは決議を何べんも行なったのですが、昨年度もたしか新線建設は三十億程度ですか、それは自由党の有力者が皆顔を並べて決議を行なったわけでございますが、なかなかその決議通りにはいかなかったのでございまして、ここはやはりわれわれの考えておる理想と現実資金面との食い違いがあるわけで、六十五億円という資金が確保できますれば、明年度は全然工事にかかっていない新しい線を数線やっていける資金的な余裕ができてくることになっております。だから私としては、日本はまだ池田さんの御指摘のような資源開発、産業上の見地から、鉄道を必要とする地域がある。道路々々とは申しますけれども、必ずしも日本自動車道路だけでいいと私は思っていない。まだ日本鉄道を必要とする。資源を開発したりするためには、鉄道が便宜な地域も相当にある。こういうことでできれば資金的な余裕があれば、新線をやりたいと思っておるのです。ただそれが制約を受けるものは、資金の面からの制約でございますので、今後の問題はどの程度政府全体として、新線に対して資金を配分できるかということにかかってくると思っております。
  37. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 私の言っておるのは、資金の面はもちろんでありましょうが、日本の産業開発の上にどういうところに力点を置いてなさらんとするものであるか。たとえば政府経済上において補助金を出す場合におきましても、基幹産業を重視する結果、あらゆる刻下の急務というものから手をつけていくと思う。従ってあなた方の新線計画というものを、どういうところに力を入れるかということの構想というか、それは何もきまってなくても、私はこういう考え方でいこうという、その力の入れ方の重さを一つお示し願いたい。
  38. 三木武夫

    三木国務大臣 それはやはり産業開発というか、そういう産業的な目地というものは非常に大きな見地だと思います。そうなってくると、やはり基幹産業の一つに関連をして重点的に考えることが妥当だと考えております。
  39. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 全く私はそうであろうと思うのです。そこで日本の基幹産業開発の上において、今までもどういうような形でやってきたか。たとえば鉄鋼とか、石炭とかいうものの開発なり、コストを引下げるために、鉄道の建設が日本の産業構造の上に大きな影響を与えたということを、われわれは思わなければならない。今後またそういう点、お考え方を持っておるかどうか。私はもちろん具体的なことにつきましては、何も本日の委員会で答えてもらおうとは思いませんが、そういう基幹産業に対して特に力を入れておったのか、これからもどういう形で置くのか、これは大臣が就任して日が浅いというなら、事務当局からこういうようなパーセンテージだ。パーセンテージで言うことがあまりに酷であるならば、実績の上において何ぼかでも示していただけるものがあるのかどうか、そういうことでございます。
  40. 三木武夫

    三木国務大臣 過去のこともおそらくお話通りだと思います。これらのことは当然やはり産業上の見地に立って鉄道の建設が進められていくべきである。池田さん御承知のように、鉄道の新線を決定するのには、鉄道建設審議会の議を経て、皆でいろいろ御相談をする。社会党から有力者の方が委員として出られておるわけであります。そういう審議会の議を経るわけでございますが、何といたしましても産業上の必要性、その産業の中においても基幹産業というものが、優先的に考えられるべきものと私は考えております。
  41. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 大臣の答えられた鉄道建設審議会などというものは、飾りものだと思う。はなはだ失礼なことを申しますが、自由党でも民主党でも、各党の政務調査会長なり幹事長がなる。私はそんなものに干渉しようとは思わないが、これはこっけい千万です。むしろそんなことよりも、運輸当局からいきましても、国民の側からいきましても、最も重要な線であるということを決定するのは、政治的な、いわゆる昔ありました政友会線、憲政会線というような、政治鉄道建設というものはやめなければならぬ。今日私は各党がきめた人事に容喙しようと思っていませんが、そういうものはあなたの政治的な逃げ方の答弁だと思う。むしろそんな建設審議会に諮るというような機構などは改革してもよろしい。ほんとうに刻下の急務である産業開発路線からやるということは、日本の産業構造の上からいっても必要なことである。それくらいの気魄と熱意をお持ちにならなければ、これは意味をなさない。なるほど大政党の幹事長、政務調査会長がなることは、格好としては重きを加えておるかもしれませんが、これはどうしても政党線的なものになって、そういう点で真の鉄道建設の上からいったら私はもとより考えらるべき道が多々あろうかと思う。  いずれ具体的には申し上げますが、本日承わっておきたいことは、基幹産業である石炭に対する鉄道の建設計画、私は九州でありますが、九州だけに限らず、九州とか北海道の炭田開発、その輸送上の問題、あるいは石炭のコストを下げるということが、今日の日本の産業構造の上からいって一番の急務である。日本の石炭は高いから重油を買うことによって、日本の石炭を大きく圧迫しておることは事実です。たとえば、運輸省の管轄じゃありませんが、政府は今度石炭合理化法案というものを提出して、極力そのコストを下げるというような意思を表明されておるが、こういうものにマッチするところの鉄道建設計画というものがおありかどうか、そういうことが私の聞かんとする趣旨でございますから、ざっくばらんにいって、いやそれについてはこう考えておるというような、あなた方の大綱でもけっこうですが、おありかどうか、その点いかがでしょう。
  42. 三木武夫

    三木国務大臣 鉄道建設審議会は政党の方ばかりでなしに、民間の方々も入っていて、新線でも、こういう線がよかろう、ああいう線がよかろうときめる場合には、池田さんお話のような産業上の見地というものが一番大きいと私は考えます。これは政党の忙しい人ばかりだから、そう緻密に検討はされないだろうというふうにも考えていないのでございます。ただしかしお話しのように、産業上の見地、その中においても基幹産業というものの輸送面について、重点的に考えられなければならぬということは、私どももそれはその通りだと思いますために、いろいろ具体的なことについては調査はあるわけですけれども、やはり今の建前が、建設審議会等にこれは諮問をしなければならぬ建前でございますから、九州や北海道が石炭に関係して、こういう線になっておるということを申し上げるのはいかがかと思いますが、やはり御指摘通り、そういうふうに今後の新線というものは考えるべきものということは、まことに同感でございます。
  43. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 それ以上もっと具体的になりますと、ちょっとあなたとしては答えにくければ、また機会を改めまして当局の事務的な報告なり、そういうことの構想を承わりたいと思います。ただ申し上げておきたいことは鉄道建設審議会というのは、一年間に何回やっているのですか。そういう会合を一回か二回開く、そういうおざなりなものはお考えになってしかるべきだ。総裁がお入りになろうと何でもかまわぬから、やはり実質的に運営をいたしまして、そうして鉄道建設の上に必要な事柄を実際に審議をやらなければ、名前だけえらい人が集まって、一年に一度か二度やるということでは意味をなさない。そういう点を私は強く要望いたしておきます。  その次に、先ほど關谷委員からお話がありましたタクシー業の運賃問題、これは本委員会でも一回か二回話が出たようでありまして、私はたまたまその席におらなかったのでありますが、あなたの答弁などというものをあとで伺いました。また個人的な見解をただしたこともございます。しかし公けの席として本日あらためて私が申し上げたいことは、本日公正運賃の改訂委員会というものができて、その業者が二百二十五社集まって、約一万両の車両を持っている者が寄って、公正な運賃の改訂を願いたい。それを今度の五日の公聴会を期して、それがいれられずんば、実力行使をしてでもこれの実現をはかる、こういう決議をなさったことを私は承知しておる。そこで当局としてはどういうふうな態度でおいでになるのか。今までの決定についても私の見解では、多少とも暗い陰があるとか、あるいは必ずしも妥当ならざるような方式があるやに聞いておる。自動車局長は新しい方かもしれませんが、従来運輸省自動車行政などというものは、許可するのに一年も二年もかかった。ひどいのは三年も四年もかかった。今度のようにハイ・スピードでやったことはない。ハイ・スピードはけっこうでありまして、運輸大臣が何事もスピード主義でやるというのはけっこうでありますが、今まではずいぶんまだるっこいことばかりやって、今度はずいぶん速いのであります。しかもそれについては、二百二十五社というと、これは七割五分を占めておる。この七割五分の方の意見をとらないで、二割五分の方の意見をとったといということについて、私どもとしてはどうだろう、こういう考え方を持っておる。私はそれを何も追及しようとはしないのだが、その暫定措置であるというならば——暫定措置と明言しておる、この暫定措置をどういうふうになさろうとするのか、その辺の見解を大臣事務当局と両方から承わりたい。
  44. 三木武夫

    三木国務大臣 今池田さんのお話の中に、暗い陰があるというようなお話があったが、これはやはりそういう点ははっきりしておかなければならぬ。私は部下を信頼しておる。そういうことに対して、そういう御指摘のようなことは絶対にあり得べからざることであると考えておるのでございます。実は私自身としてこの運賃問題はなかなかややこしい計算で、よくわからないのです。実際運賃をどういうふうにきめてどういうふうになっていくかということについて、これはいろいろこまかい計算になるのでしょう。そういう点でこういうことも陸運局長の権限になっておるということも、これはそうした実際こまかい計算を必要とするからでありましょう。私自身としては、特にこの運賃をどれをどうしなければならぬという一つの希望もありません。あるいはまたそういうことでこちらの方でどうしようという指示を与えたというようなこともございません。ただこういうことが妥当だと思うということを、自動車局長から陸運局に話をする場合に、私は報告を受けて、それでよく注意をしてやるようにという注意を与えて、その報告を聞いたことはございますけれども、特にその料金をどうしなければならぬという考え、またそういう基礎も私はよく知っておりませんから、そういう希望も述べたこともなければ、指示もしたこともなければ、全然そういう点について私は自分で知識を持っていない。ところが最近これがいろいろ組合の方々が寄って、運賃委員会というものが寄って結論が出た。おおむね皆が、その運賃委員会できまったこういうふうにすることが妥当であるということが、きまったということでございます。そうしてそのときに運賃委員会には各方面から業者の方も来られておって、これはよかろうということに結論を得た。しかし組合に持ち帰って大部分の組合は賛成したけれども、まだある部分の組合ではそれに賛成しない組合もあるという報告を受けております。そういう人たち自動車局長のところへ呼んで、これはやはりできる限りタクシーの事業というものは、安定をした企業としてやってもらわないと、市民に対しても非常に影響があるものですから、そういう組合が円満に運賃委員会である一つ結論がなされて、それが妥当なものであるということならば、これはみながみなだれもかれも満足するということはむずかしいが、大部分の者がこれでよかろうという運賃委員会での結論が出たならば、結論によって一つやってもらうように、組合の人にもよく話をするようにと、自動車局長にも私は申してあるのでございます。そういうことが今日までの経過でございます。
  45. 真田登

    ○真田説明員 トヨペットの運賃値下げをしましたときのお話がまず出たのでございますが、これにつきましては、陸運局に最初の申請が出てきましたのは七十六件で、これが昨年の八月でございます。
  46. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 七十九件になっている。
  47. 真田登

    ○真田説明員 多少数字は違うかもしれませんが、最初七十六と私の方では報告を受けております。その後九月に二回、十一月、十二月というふうに出て参っておりまして、それらを取りまとめて聴聞会をやりましたのは、十二月の半ばごろだったと記憶しております。その結果についての報告を受け、われわれの方でも相談を受けたものですから、一緒になって検討しておったのですが、何としてもトヨペットだけの運賃の認可申請であり、それも全部の会社が出ておりませんでしたものですから、できれば全部の会社の意見の合うように、それから全体としての調整のとれたものができるようにということで、いろいろ話し合っておりましたが、この運賃の申請がありましてから非常に長かったことと、これをやった方が早く調整のとれた運賃の話ができるだろうといったような話もございましたので、それではすぐその調整のとれた運賃の相談をしろということで、そういうことを十分注意して措置しなさいという返事を出したわけであります。それに基きまして陸運局ではすぐ事業者の方々をお呼びして、調整のとれた運賃を作るようにということで、その後運賃委員会を数回にわたって開きまして、大体二月末から三月の初めにかけて、その運賃委員会では話がまとまったというふうに聞いておるのでございますが、その運賃委員会ができております母体の組合に持って帰りますと、それが意見が必ずしも合わないために、私の聞いております範囲では、四つの組合は大体その運賃委員会決定通りやりたいといっておりますが、一つの組合はどうもそれに反対だということで、どうしてもまとまらないとして、その運賃委員会決定に従った組合の人たちは申請を出してきた。この申請の出ております関係につきましての聴聞会は、この五日に開くことにしておりまして、なおこれと並行して陸運局では、現地で実際に車が動いております状態を調査中でございます。
  48. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 運輸大臣答弁の中の、全部が満足にいかなければ多数に従わなければならぬというお話は、私はもっともだと思う。やはりこれは業界が一致しでものをきめるべきでありますが、こういうふうにすべてそうしますと、今局長の話によりまする、運賃委員会の中で四つが賛成をし一つが反対をし、そうしてこういう結論を出したという場合は、当局としてはどういうお考えをお持ちですか。これは答えることができるかできないか。四つが賛成をし一つが反対をするならば、それは多数の意見をとらなければならぬとするものか。これは一つであるといえどもその中に真理を見出すものであるから、その方に采配を振るべきものであるとお考えであるか、その辺はいかがでしょうか。
  49. 三木武夫

    三木国務大臣 私は自動車局長にこう言っているのです。こういうのは自動車業者がお互いに血で血を洗うような競争をして、皆うまくいくものではない。だからこれはそういう四つの組合が話し合いがまとまったならば、一つの組合の幹部を自動車局へ呼んでよく話をして、そうして単に運賃の競争ばかりがタクシー企業の安定する方法でもない。だからタクシー企業というものが一つ企業体として健全に発達するように、皆がもう少し共同してやったらどうだということで、幹部の人たちを呼んで話をするようにということを自動車局長に私は申しております。いろいろタクシー業に対しては問題の点があると思います。駐車場の問題もあり、共通に考えなければならぬ問題がいろいろあるので、組合が今後共同歩調でやった方が、いろいろ事業の長い将来でいったならば、そういう方法がお互いのためにもなるのじゃないか、そういう点でそういう組合の幹部の人たちを呼んで、自動車局長が早急に話をするように私は申しておるのでございます。
  50. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 大臣のそういう答弁で、そういう腹がまえであるといたしますならば、私はそう掘り下げてまで申し上げません。ただ国産車であることを優先的にするならば、他にも国産車がある。それは同等に取り扱わなければいなけい。料金を下げることは大衆の望むところである。しかし一番大衆が望むものは、ただで乗せたら大衆は一番喜ぶでしょう。これはそういう原理を言うべきではない。国民が税金を払うことは、一番いいのは税金を一文も払わぬで済めばよろしい。しかしこれでは国家社会が形成できない。やはりあなた方が一つの監督権を持ち、申請に対して許可権を持っておるというならば、適正なるものをきめなければならない。しかし適正なるものというのは、多くの業者があって、それぞれまちまちであって利害得失があるならば、自分の利益に反するものは反対するでしょう。しかしそれは総合的な見地から見て、多数の意見を採用する以外に道はなかろうと思うのです。これが私は社会通念ではなかろうかと思う。  そこで最後に私は局長でも大臣でもけっこうですが、こういう紛争の起るもとである許可認可制度、こういうものを撤廃する、自由にやらせるという考え方があるかどうか、現行の制度を今後もまた持続する考えであるかどうか、お伺いしたい。
  51. 三木武夫

    三木国務大臣 これは日本企業体全体がやはりそうだと思うのですが、自由競争というものがあまり極端になってきますと、たとえば東京都内においても割合スピードも速いし、これは自由ということになってくると、いろいろな弊害面も出てくると思います。そういう点で自由ということで、純然たる自由に、料金も前のように手を出してやる交渉でいいというようなことも、弊害が起ってくるのではないか。こういう点で運賃なんかもいろいろな問題が起ってくる。その場合に、いろいろ申請があったときに、運賃というものがもう少ししっかりした機関で、そういう諮問に応ぜられるようなものは作れないのかということを、自動車局にも言っておるのです。今の運賃委員会というのも、各業者が出られてこういうことで話がまとまっていけば問題ないのですが、話を聞いてみますと——私もそれまでの間はタクシー業というものには、実際問題として運賃という問題はこまかい計算ですからよくわからない。この問題が起ってから、そういう点で関心を持ってきたのでございまして、そういうのでほかの組合の模様も聞いてみると、各地はみな組合が一つになってやっている。そして非常にうまくいっているのだが、東京は組合が幾つにも分れて、その間がなかなかうまくいかぬという点もあるので、今後自由ということで、極端な自由競争ということになってくると、日本のようなせちがらい国では非常な弊害も起ってくるので、この問題はもう少し業者自身が安定した企業体でやっていけるように、私も今後努力していきたいということを考えておるのでございます。
  52. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 もっともです。そういうことをおっしゃるならば、今の場合においては仕方がないだろうと思う。それならばやはり改訂をする場合は公正に扱ってあげたい。国産を愛用するならば国産を全部、しかし国として行う道は料金政策だけであるかどうか。あなたがさっき答弁したように、それは資金であるとか資材であるとか、あるいは減税の点であるとか、総合施策として幾らでもあり得ると思う。外車についてはもちろん制限しているはずだと思う。これは運輸省あるいは通産省の許可を得て、それ以上は輸入していないはずです。そうでしょう。そうであるとするならば、国の政策としてのワクの中で、行政面においても制限を受けておる。その中においては、国産についてはできるだけ公正にすることが道ではないか。そこで運賃は今日自由野放しにできないのは、だれが考えてもそうであるとするならば、やはりそこに一本にまとめる姿というものを作ることが一番大事だ。その指導なり監督なり許可権を持っておるところが、できるだけ公正に指導していくことが道ではないか。私は以上のことを要望申し上げまして質問を終ります。
  53. 臼井莊一

    ○臼井委員 関連して。このタクシー運賃の問題でちょっと自動車局長お尋ねいたしておきたいのです。昨年の暮れに当委員会にも、国産自動車としてのトヨペット、プリンス、これを値下げしてくれという強い陳情があったのであります。その際にこまかい資料を添えて、当時のトヨペットがタクシーとして非常に苦境にあるという陳情を受けましたが、そのときには私たち考えでは、陳情のあった業者は、ほとんど大多数の都下のタクシー業者の意思によって陳情があったというふうに考えていたのでありますが、最近これに反対する陳情を受けるに及んで、必ずしもこれはそうでなかったというふうに初めてわかったのであります。その当時の当局に対する陳情あるいは申請、これはその当時から大部分の業者の意向ではなくて、そのうちのある部分の意見であったのであるか。あるいはその後さらに現在行われている値下げ反対に対する陳情なるものが、しばらく実績を見てから行われたのでありまするかどうですか、その点を一つお伺いいたしたいのであります。と申しますのは、ただいま池田委員から何かこの値下げについて暗い陰があるというようなお話があったのですが、これは私まことに聞き捨てならぬことだと思うのであります。と申しますのは、この問題が前国会の昨年の終りぎわに業者から陳情がありましたときに、社会党の委員の方からこれについて当局に対する強い要望を兼ねての陳情があったのであります。さらに鈴木仙八議員からも、一体当局は何しているのか、国産奨励という意味においても、それからまた需要家の立場に立っても、なぜ値下げを実行させないのか。むしろそのときにおいても、何か輸入業者から請託というか、請託でなくても何か強い要望があって、これを阻止しているのじゃないか、こういう当局に対しての値下げに対する強い鞭撻があったように私ははっきり記憶しておるから、当委員会としても、その当時の委員会においてはこれに反対する意見というものは一向見当らなかったように私は考えておるのであります。従って委員会としてもそこに何らの私心なく、陳情に従って公正なる判断をして、当時は委員会としても値下げに賛成している空気が支配的であったように私は記憶しておるのであります。先般、現在の反対に対する陳情がありましたときに、そんならなぜ早くそういう意見がなかったのか、こういうことを聞きましたところが、あれはもう値下げになるとはちっとも考えていなかったので、そのままにしておいたという意見も私は聞いたのです。  もう一つ、これは私意外に思うことは、先般の選挙におきまして社会党のある議員は、これをもって何か鳩山内閣に対する不明朗なる行動の一つのごとくに街頭演説をいたしておりまして、その方は、現在は委員ではないが当時の運輸委員であられた方で、私は実に意外に思った。下げるなら自動車運賃みな下げるのならわかる、それから電車も国鉄の料金も下げるならわかる、こういうように国鉄の運賃まで下げろというふうな演説を聞いて、私は非常に意外に思ったのでありまするが、そういうようなことを考え合せて、何かそこに妙な誤解があるように一般に感ぜられることは、非常に委員会の権威上も遺憾でありますから、当時私委員として、その当時の状況をよく記憶いたしておりますので、この際あわせて御当局に当初に申し上げた点についての質問を申し上げたいと思います。
  54. 三木武夫

    三木国務大臣 今臼井委員からもいろいろお話があったのですが、私もこれはやはり御注意を願いたいと思うのです。こういうことで暗い陰とかなんとか——私自身にいたしましても、タクシー業者は一人も友人もございませんし、だれも知り合いはありません。そういうことで、タクシー業のことについては私はよく知らない。今まで何の知り合いもなければ、友人もないわけであります。そういうことで、今後われわれも注意をいたしていかなければならぬですが、そういうことはあり得べからざることであって、国会の権威のためにわれわれも今後この問題については、あまり従来はよく知りませんでしたが、こういう問題についてとくと勉強をいたしまして、こういう問題が起らないように今後はやっていきたいと思っております。そういう点は一つ誤解の生じないようにお願いしたいと思うのでございます。
  55. 真田登

    ○真田説明員 この問題につきまして、非常に事業者が入り乱れていると申しますか、トヨペットの申請がありましたときの組み合せと、今度新しく申請の出てきたときの組み合せとは全然違っているというような格好で非常に入り乱れてわりますので、その当時の会社の組み合せがどうであったとか、こうであったとかいうことは抜きにさしていただきまして、当時の申請のありました会社の数が、トヨペット、プリンスを持っておりました会社の数に比較いたしまして六六%、それからトヨペット、プリンスの車両数と、申請のありました会社の持っております車両数の比率は七二%、こういうふうな数字になっておりまして、会社にしても三分の二、車両数にしても七〇%以上ということです。
  56. 臼井莊一

    ○臼井委員 ただそのとき私は、これは申請がなかったのだと思うのでありますが、国産車を下げる際に、トヨペットとダットサンとオオタを同じ七十円にするということについては、これは将来ダットとオオタが非常に苦境に立ちはせぬか、これは六十円に下げるとかなんとかいうことが当然予想されるのではないか、こう考えたのですが、その点はどういうふうになっておりますか。
  57. 真田登

    ○真田説明員 トヨペット、プリンスを下げましたときに、ダットサン、オオタについて値下げ申請があれば、認めてやるべきだという考えをもってやりました。
  58. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 私は今一番問題になっておりますのは、今池田氏も指摘いたしますように、この問題は実は事務的に取り扱えば事の済むものを、今運輸委員会に持ち込まれて実は迷惑千万である。そして今池田氏が言うように、これはひなたがあるとか陰があるとか、何とかかんとか、自分自身で自分の身を疑うような発言まで出るような不明朗なけんかを持ち込まれることは迷惑千万だ。私は実に心外に思いますのは、きょうもこういう抗議をもらいました。東京公正運賃改定実行委員会といいますが、これは脅迫団体ですか。全く私は議事録にとどめてもらいたい。実に私は今までこのような侮辱を受けたことはありません。あなた方に怒ってもしようがないけれども、しかしこれは運輸省のやり方が、ここまで持ち込まれなければ事務的な処理ができないような、そんなことをやっているからこういうことになるのです。こういうことを言っているんですよ。一部業者の反対運動に加担し、加担とは何事ですか。こういうことが書いてある。また業界の実情に精通されないということは、おれはめくらだということになる。そして一部の反対者の策謀に乗ぜられているとある。実にけしからぬ。だから私はきょうこの藤本威宏という者に電話をかけて、どなりあげておいたんです。少くともこういうふうに国会議員を侮辱するということは、これは国民の国会を侮辱するということだ。実に私は心外千万に思うのです。ところが、一面考えますると、こういうようなばり雑言にひとしいようなものまでも国会議員に持ち込むような政治をやっているのは、これは私は監督官庁の非常なる手落ちだと思う。私は言語道断だと思うが、あなた方は今後これをどういう工合に処理されようとするのか。まずその処理の基本方針についてお伺いしたいと思います。
  59. 真田登

    ○真田説明員 公正運賃実行委員会というのは、最近そういったものができたようでありまして、私たちの方へも出席してほしいというふうなものまで来ておりましたが、とにかく今いろいろと意見が区々に分れているときに、一つ会議に出席することは不穏当だから、私は欠席すると言って断わったわけであります。いずれにいたしましてもそういった団体が、あるいはそういった委員会というようなものが乱立しまして、そういうふうな状態になりましたことにつきましては、私たちの指導が足りなかった点が非常に多いと思いますので、この点は深くおわび申し上げます。今後はそういったことのないようにいたしたいと思います。
  60. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 今後はそういうことのないようにということでありますが、これは言わぬでもわかることなんです。この問題を運輸大臣は一体どういう工合に処理されようとするのか、一つその基本方針をお示し願いたい。
  61. 三木武夫

    三木国務大臣 先ほど御質問の場合にお答えしたように、運賃委員会というので各方面の業者の方もお入りになって、そうして一応結論が出ておる。大部分の組合の人たちは、その案が妥当であるということで賛成をしておる。一部の組合の中に異論があって、これがまとまっていないということで、自動車局長にも、そういう一部の人であるならば、一部の組合であるならば、その組合の幹部を呼んで、そうして円満に話のつくように努力をするようにという指示を与えてあるわけでございます。そういうことで業者がにらみ合いをすることも、全体の企業の健全なる発達の上からいったら好ましくない。だから各組合がそういう点についてはやはり歩調を合せて、そうしてそのほかのいろいろな問題も、やはり共同すればいろいろ改善のできる余地もあるので、組合側が歩調を合していけるように努力をするようにということを申しておるのでございます。こういうふうにまあやって参りまして、何とか組合が一つの、ほかの組合に見るようにタクシーの組合が、今後健全にやっていけるように指導をしていきたい、こう考えております。
  62. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 私は大臣の御答弁にはどうもあきたらないのです。と申しまするのは、そのように組合や何かにこの問題の円満なる解決を望んでいても、今日望み得ない事情になっているからこそ、こういう人を侮辱するようなことを実際言ってくるのですよ。しからば、このような事態になってもなおかつ大臣がそういう甘い考えで臨まれても、これらの人々に、大臣、さっきあなたみずからが言われたように、全部が全部そんな納得のいくようなことはできませんよ、政治というものは。私は常にこう思っている。五割五分の味方があれば、四割五分は敵でよろしい。四割五分の人も私は強い指導力をもって、納得のいくようにみずからの身を張っても指導していく、私はこういう考えで今日まできておるのです。それでなければいけません。これはファッショでもなければ何でもない。民主的に五割五分という賛成者があるのです。それに基いてちゃんとここに報告があるじゃないですか。それなのに、運輸大臣はもっと強い自信を持って、業界を指導していくという基本方針を示されないのですか。そんな大臣考えられるようなことを考えておられたのでは、こういう工合に向うはますます増長して、言えば国会や大臣は何ものだと言わぬばかりの、こういう侮辱をやるのじゃないですか。あなたはもっと強い態度をもって、業界を指導するという信念はおありであるのかないのか、この点をはっきりしてもらいたい。
  63. 三木武夫

    三木国務大臣 業界を指導することは、それはいろいろ指導——こういうタクシー業がうまくいくことを非常に指導しなければなりませんが、しかし私の考えでは、四割五分と五割五分という話でありますが、できるだけもっと多数の人が納得してやるような方法はないか。それはいろいろ方法がないという場合には、民主主義ですから、そういう原則の適用される場合もあるでしょうが、やはりこういう立場におる者の考え方としては、百パーセントの人たちが満足するような方法はないかという努力を一応してみることは、むだなことではないのではないか。そしてその結果に待ちたいと思うのでございます。今は自動車局長にも、お互いに皆がしのぎを削って争ったところで、結局お互いのマイナス面も出てくるのだから、もう少し皆円満にやっていくような方法はないのかということを、一部の組合の幹部を呼んでよく話してみたらどうか。こういっておる処置は、山口さんのお話では手ぬるいということでございますが、一応はそういうことで努力をするということは私どもの責任だ、こう考えておるのでございます。
  64. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 努力をしなければならぬということは、私は大臣と同感です。けれども、今日では努力をすると言っていられない事態になっておるのじゃないか。実力までも云々ということになれば、これはもう私は努力じゃないと思うのです。そんなひより見的なことを言っている事態じゃないと思っている。ですからこそ私は言うのであって、単に基本としては、もちろん国内産業を発展させ、そして国内の失業者を救済して、少しでも完全雇用に導いて、雇用範囲を拡大していく。あるいは日本経済のためには、外貨、ドルをこういう自動車などに極力使わずに、もっと有効適切な方面に多く使って、そして日本経済を再建していくに必要な措置をとるようにしていく。私は、日本自動車産業くらい立ちおくれているものはないと思う。これは大臣の申されていると同じことです。立ちおくれているからといって、そのままにしておくのではなくて、これだけ需要が多いのですから、これだけの需要を背景とするものであれば、この国内自動車産業を拡大していく道が、それだけあるということをわれわれに示しているのである。従ってこれを増強していきたい。そして日本経済はもちろんのこと、国内における一つの失業者を救うような、大きな再建のための効果を現わしていきたい、私はこういう考えです。けれども、これは需要の面ですから、今度は交通の方では、業者の国産を使用しているものだけを何も保護政策をとろうとか、外車を使っているからそんなものはつぶれてもいいとか、そんなことはちっとも考えていないのです。政治をやる者としては、あくまでも公正でなければならぬのです。しかるに今日この争いというものは、この抗議書にもあるような侮辱を与えられ、しかもこれの反対側に立つところでは、四月五日に公聴会を開くとか、聴聞会を開くとかなんとかいうことがあるそうですが、勝手気ままに人の名前をこの中の公述人に申請したりして、迷惑千万です。私は心外でならぬ。国産車を持つ者も外国車を持つ者も、今日一方ではこういう脅迫行為をやる。一方では人の名前を勝手気ままに使って、了解もなしに公聴会に出るようなことを言って人に迷惑をかける。こんなことが私は許されると思わない。私はこう思っているのです。ですから、大臣、あなたは国会の一番の、いわばわれわれどもの全責任を一身に浴びて、そうしてその行政面を担当される大臣なのです。同僚議員がこのような迷惑をこうむっていることについても、なおかつあなたはそのような業界の円満なる解決を望むのだ、何らの指導性もないようなことを言っていらっしゃるけれども、そんなことでこの事態は収拾できるものではない、このように私は考えておるのです。大臣は将来この運賃面からする行政面を、どういう工合に処理しようとされるのか。たとえば具体的に言えば、ここにもありまするが、このダットサンだとかオオタだとか、こういったものは今日では七十円とかだそうです。こうするとトヨペットだとかプリンスだとかいうようなものは、五人はゆうゆう乗れます。そうすると四人しか乗れないものと五人乗れるものと同じようにすれば、それは文句が出るのはきまっておる。やっぱり部分的に考えるのではなくて、総合的に考えなければならぬ。また輸入いたしました外車にいたしましても、それは考えられてはおるでしょうけれども、その外車の中型車でも、今日一番目立つのは、何といってもワーゲンとオースチンだと私は思う。そしてオースチンはニッサンですか、それからヒルマンというのはいすずが組み立てておる、あるいはルノーは日野ヂーゼルというように国内て組み立てておるようでありまするけれども、これにいたしましても、もし私がほんとうに言うならば、これらのメーカーの人でも外車をどんどん組み立てていれば、一台日本自動車を消化するということは、その製造元の国の失業者を一人救ってやることなんです。そして日本には失業者をどんどん氾濫させているのです。ですから私は、これらの業者は早急にやはり全部を国内で生産するような設備に転換をしてもらいたい、こういうふうに考えるのです。けれどもこういうような新車についても合理的に許している以上は、それをやはり合理的に運賃政策に考えてやらなければ政治にならないと思うのです。そうお思いになりませんか。私は、ですからそういうようないわゆる外車の持ち主についても、合理的な運賃をきめるために、今日のような事態を引き起すまでになぜもっと、今努力すると言われるけれども、今までになぜその努力をされないのか。今日のような事態を引き起すまで放任しておるということは、きわめて重要な責任があると私は思う。どういうふうに考えられるのか。私にはどうもわからないが、これについて一つお答えを願いたいと思います。
  65. 三木武夫

    三木国務大臣 今申したように努力をいたしましょう。組合が円満に話がつけばそれに越したことはない。そのために今後できる限り努力をいたしまして、そうしてまず今日の考えでは、みんなが円満に話がつかないということを考え、また今御指摘のように、タクシー業という企業にいろいろと問題が起ることは好ましいことではないので、私も今後の解決のために努力をいたしたい、こう考えております。
  66. 中居英太郎

    ○中居委員 関連してお伺いいたします。私も本来ならば運輸委員会で、こういった面についてまで論議をすることは不本意でございます。しかしながら問題が出てしまった現在でございますから、私も私の意見を申し述べたいと思います。このタクシーの運賃、料金の問題が紛糾いたしました原因と申しますか、それはトヨペット、プリンスに対する運賃が、基本料金八十円から七十円に十円安くなった、こういうことから端を発しておるように私ども承わっておるわけであります。で私といたしましても、利用者の立場から安くなることは大いにけっこうで、その線を私は否認するものではないのであります。ただ一部車両を値下げしたことによりまして、いろいろな弊害が生じておることは、大臣も御承知通りでございます。従いまして暫定料金を許可いたしまして、これによって生じました弊害を直す意味合いにおきまして、暫定料金を中心といたしまして、全面的な運賃の改訂をせねばならぬことは当然のことでございます。従いまして公正な運賃を、運賃委員会というものを作りまして、これで原案を作り、そうしてこの原案に対して五つの団体のうち四つまでが賛成し、一つが賛成を表しないために、今日なお許可の段階に至っていないということでございまするが、事態かくなりましたならば、運賃委員会決定いたしまして、そうして多くの団体が賛成しておるところの改訂料金と申しますか、それをさらに推し進めていくような努力を大臣はなさいまして、この問題にすみやかにピリオドを打ってもらいたい、私こう考えておるわけでございます。そうしてまた外車であるとか、国産車であるとか、こういう問題を中心にいたしまして数日来論議せられて参りましたが、これらの点についての大臣考え方、少くとも答弁の限りにおきましては、私は賛成でございます。従いまして、その線で運輸省といたしましてはすみやかに事態を処理いたしまして、すみやかにこの業界の混乱を収拾してもらいたいと思うわけでございます。そうしてまた許されるならば、この機会運賃委員会において決定をみたという料金を、自動車局長、発表できませんですか。できましたら発表願いたいと思います。
  67. 三木武夫

    三木国務大臣 お話しのように考えております。努力をいたしたいと思います。
  68. 真田登

    ○真田説明員 お配りしました表の一番最後に出ております。ちょっとごらん願いますと、一番上に、二十九年十二月十七日、これが最初ダットサン、オオタ等について、及び中型についても一部触れて申請が出ているのですが、その後いろいろの話し合いの結果、全者取り下げ、あるいは取り下げ予定になっておりまして、三のところのものと四のところでございますが、四の相鉄タクシー外百七十五者、この三十年三月八日に出ましたものと、五のキャピタル交通外七十六者、三十年三月二十四日、こういうふうに出てきておりますので、これをまとめまして来月の五日に聴聞したい、こういうことなのでございます。大体運賃委員会で話があったというふうに聞いております案は、この相鉄タクシー外百七十五者、ここで出ております案のように聞いておりまして、恒久ということにつきましてはまだ多少問題が残っておるのじゃないかと思いますが、とりあえずこういうふうにしたい、それが特認と書いた分でございます。その中に変更内容とございますところに、トヨペット新型、一九五五年以降のプリンス、この新しいものだけを二キロ八十円にして、その次二、三行置いて一九五四年以前のトヨペット及びプリンスとルノーとは二キロ七十円にしたい。それからダットサンなんかでも、一九五五年からあとの新しいのは七十円のままにしておきまして、一九五四年以前の古いのは六十円に下げたい。従いまして、同じ車でも新しいものと古いものと区別したい。これはちょうど現在普通車につきまして、四十年以前の車と四十年以降の車と分けておりますのと同じような考え方であります。
  69. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 関連質問で中居君が私の質問しようと思ったところを言われたのですが、私は被害者の一人としてさらに言うのですが、何か聴聞会というのですか、これの権威の問題について私はちょっと尋ねたいのです。これは公述人というものは、法律の定めるところによってやれるということになれば、その承諾書とか、もっと権威のあるものでなければならぬと思うのです。勝手気ままに人の名前を書いて申請をして、そうしてそれを公述人として、何もわからないのに行ってとにかく賛成しろというような調子で、賛成だと言ったらそれでいい、こういうようなことが行われるのではないかと思うのです。私はそんな聴聞会は全く権威のないものだと思うのですが、この聴聞会の公述人の申請手続とその取扱いについてはどういうような措置をせられておるのか、一つ承わりたいのです。
  70. 真田登

    ○真田説明員 実は聴聞会のこまかい手続について、私も直接取り扱ったことはございませんが、関係の人でその席に出て意見を述べたい人は申請書を出せということで、その申請書の出ましたものについて扱っているわけでございますが、今のお話しのように、何も申し込まなかったのに名前が出ていたというのは、それは何かほかの人が代理で出したかどうかという問題であろうと思いますので、その点よく調べて御報告いたしたいと思います。
  71. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 私の言うのは、これは笑いごとじゃないですよ。とにかく私の名前が出ているのか出ていないのか、私は何も知らないのです。それにここへ持ってきてこういう脅迫状が出てくる。そうして黒いとか白いとか、批評が当っているとか当っていないとか、何とかかんとか言うのですが、これは全く人の人格を無視するもはなはだしいと思うのです。だからこういうことのないようにしようと思えば、とにかく申請書に本人の承諾書なり何なりちゃんと添えて出すということにしないと、あまりにもあなた方は野放しのままにしておるのではないか。もし承諾書を添えておったとすれば、これは明らかに公文書偽造だ。そうでしょう。だからもっと権威のあることをしないといけないと思うのですけれども、どういうようにしておられるのか。ただ申請書をよろしいということで受け取っておるのか、それとも承諾書も添えて権威のあるものにして受け取っておられるのか、どうなんですか。
  72. 真田登

    ○真田説明員 陸運局の方でこういった聴聞の係の者がおりまして、それがやっておられるのですが、今のお話しのように、本人の承諾なしにそういうものが出ておりますかどうかにつきましては、よく調べてから御報告いたしたいと思います。
  73. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 私は意外に思うのです。少くともこういうような人の人格にも関係をし、きわめて重要な、そういう人の名前を使うという問題については、私はそう軽々しく取り扱われているということは遺憾千万だと思うのです。調べてみなければ答弁ができないということは、それはあんまりじゃないですか。そんなことでは困るのですが、これは運輸大臣どうお考えになりますか。
  74. 三木武夫

    三木国務大臣 これは日本では悪い習慣があると思います。人の名前を——われわれでもずいぶん被害があるのです。ときどき承諾も得ないのに名前が載ったりする。そういう点で日本には人の名前を簡単に使う悪い習慣がある。だから今のような問題もこれはよほど注意しなければ——ことに政治家の場合は、そういうことがいろいろ政治的な主張にも影響して見られる場合もございますので、今後運輸省に関する限りそういうことに十分注意をいたすことにいたします。
  75. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 私はけさからほんとうに腹の虫が承知しない。これだけばかにされては何も言うことはない。輸入業者であろうと国産を使っている者であろうと、横暴きわまりないですよ。全く脅迫団体の一種だ。こんなものはつぶしてしまった方がいいと思う。これは私、ほんとうに希望いたしますが、今も運輸大臣みずから認めておられるように、日本人には悪い癖がある。悪い癖があるにしても、もっと権威のあるものにしなければなりません。人の名前を勝手に使っているものに造船議員連盟というものが、かってあったのですが、それが廃止になったら、今度は造船海運促進協議会とかなんとかで、私を勝手に理事に祭り上げてしまった。ところがそんなものをおれは承知したことはない。実に軽率なことをやります。ですからお願いしたいのは、せめて官庁の公式の聴聞会であるとか、公聴会であるとか、あるいはいろいろのそれらに類するものについては、便宜的に人の名前を使用するようなことのないように、ぜひとも今後権威を保たしてもらいたい。  また自然休会が明けましたらいろいろと質問もいたしますけれども、本日はこれだけの希望を申し述べて私の質問を終ります。
  76. 原健三郎

    原委員長 濱野清吾君。
  77. 濱野清吾

    ○濱野委員 考えようによっては非常に小さい問題だが、また別の見地から考えると、輸送行政の免許制の根本に影響する問題でありますから、相当重要に考えていかなければならぬと思います。  そこでもう大体は同僚委員から質疑があり、お答えがありましたから、落ちつく先はわかりますが、ただ二・三の点を聞いておきたいと思うのです。その理由は、この問題はかりに解決したとしても、日本の輸送行政の面で免許制を廃止せざる以上、こうした問題が将来再々起きると思うのです。今の大臣答弁を拝聴いたしておりますと、日本経済事情では免許制を廃止するわけにはいかないということでありますから、この点はそういう意味においても相当関心を持つべきものだと考えております。  そこでただいま問題になっておりますプリンスとかトヨペットとかいうものは、一体何人乗りですか。いわゆる大型と称するもので八十円から七十円に下げたのは何人乗りかということです。
  78. 真田登

    ○真田説明員 トヨペット五人、プリンス六人です。
  79. 濱野清吾

    ○濱野委員 それから自動車局で出した資料のうち七ページに「現行運賃及び料金」というのがございますが、そうすると大体新しい車は自動車局が暫定料金として認可せざれば、この記録のうちの第一項並びに第二項によって運賃決定さるべきものだが、その点について御答弁を願います。
  80. 真田登

    ○真田説明員 ちょっと誤解があるといけませんので申し上げておきますが、自動車局では直接認可の事務を扱っておりません。陸運局でやっております。この二月一日に認可されましたのは四項のところに含まれておるわけです。
  81. 濱野清吾

    ○濱野委員 よく聞いて下さい。私の言うのは、五人乗りないし六人乗りの車というのだが、そういう形からいけば、大体普通の場合この七ページに記録してあります一項ないし二項の普通自動車と称するものであるかどうか、こういうことを聞いておるのです。
  82. 真田登

    ○真田説明員 トヨペット、プリンスは普通車でなくて、四輪車の小型をさらに小型と中型に分けておりまして、その中型に属するわけです。
  83. 濱野清吾

    ○濱野委員 そうすると、乗客数によって小型、中型、あるいは普通、こう区別していらっしゃるのですか。
  84. 真田登

    ○真田説明員 これは車の大きさによって、あるいは車の出力等によって大型、小型——町で走っております車で申しますとわかりますように、3と書いてありますのが普通車で、いわゆる大型車でございまして、5と書いてあるのが車輌法上の小型でございます。
  85. 濱野清吾

    ○濱野委員 そうですが、そう承わっておきます。そこでもう一点承わっておきたいのですが、役所の行政処分のうちで、暫定認可という行政実例は今までにございますか。これを法律的に御解釈願いたいと思います。
  86. 真田登

    ○真田説明員 陸運局が認可しましたときには、別に暫定認可という認可をしたわけではございませんので、できるだけ早くバランスのとれた運賃にしたいから、これを暫定的な措置だと考えて、早く調整のとれたものを申請してこいという一つの指導の言葉でもって、暫定という言葉を使ったのだろうと思います。
  87. 濱野清吾

    ○濱野委員 使った理由はよく承知できます。しかしそれは行政官庁の行政処分として、法律的効果が生ずるのですか、生じないのですか。
  88. 真田登

    ○真田説明員 これは条件付で認可する場合もありますが、今度の場合はそういう条件がついておるわけではございません。従って暫定という言葉はその認可にはついておりません。
  89. 濱野清吾

    ○濱野委員 そうしますと、暫定とかいう条件がついておるのじゃなく、これは文字通り行政処分の認可と承わっていいのですか。
  90. 真田登

    ○真田説明員 その通りであります。
  91. 濱野清吾

    ○濱野委員 もしそうだとすれば、業界に流布されておる言葉は、まことにおかしな印象をみな残しておるようでございます。これは暫定認可だという。ですからこの点は役所の方々も十分注意をして、認可をおろすような場合は、あとに問題を引き起さぬ考え方を持っていただきたいと思う。  そこでもう一点お聞きしておきたいのですが、一体実質的には五人乗り、六人乗りという、料金表によると2、3に位置する車のうち、なぜプリンスとトヨペットだけの料金を引き下げることになったのか、その特別なる理由をちょっと御説明願いたい。
  92. 真田登

    ○真田説明員 今までその3の方に属してやっておりましたが、車によりまして、同じ一キロ走りますのにどのくらいかかるかというキロ当りの経費が出てきますが、これが全部お客が乗っておりますと一キロを走るのに二十円かかった。お客が常に乗っていてくれれば二十円で済むわけですが、走っている半分くらいしかお客が乗ってくれないとすると、一キロ当り四十円にしなければ、半分の乗ってくれない部分がまかなえないのですから、そういったどの程度お客が乗るだろうかという数字を一々見ておるわけでありますが、その実車率が他の中型の車その他に比べて、プリンス、トヨペットは悪かった。従ってとてもこれと対抗できないから下げさせてほしい、こういうのが申請の事由でございます。
  93. 濱野清吾

    ○濱野委員 そうしますと、プリンスとトヨペットは、どういう理由かしらないが、空車率が高くて実車率が非常に小さくなっておる。それだから料金を下げて実車率を高めてやろう、こういう意図なんですか。
  94. 真田登

    ○真田説明員 この原価計算をいたしましたときには、そういう実車率で上るのはどの程度だろうかということを想定いたしまして、大体去年の十一月ごろの実車率は四二、三%だったのですが、七十円に下げた場合には四七、八%になるだろう。そのほかに乗り捨てと称して、実際には料金をもらっておるけれども、二キロ走らないうちにお客がおりたという場合、これは空車であるがお客が乗っていたのと同じ結果である。こういう結果を加算すると、五七、八%になる。そうしてキロ当りの経費を割ってみまして、大体七十円でペイできるだろう、こういうように計算したわけであります。
  95. 濱野清吾

    ○濱野委員 私はその点に大きな世間の誤解が生じておるのではないかと思うのです。同僚池田委員のおっしゃっておられることも、あるいは山口委員が憤慨しておられるのも、どうも不自然の点が多いからです。プリンスやトヨペットを作っているメーカーは、これを市場に出したならば大いに利用されるだろう、そうして採算がとれるだろうという目安で作っておる。ところがそれを作って市場へ出したところが、お客に歓迎されないで、空車キロが多くて実車キロが少い。だから採算がとれない、こういうことになった。そこであなたの説明によると、あなたの方は業者のそうした苦しい環境に大いに同情して、「現在運賃が七十円ランクのルノー車は実事率平均五五%であるからトヨペット、プリンス車もこれと同額運賃にすることによって該車の実車率は四八・七%程度には上昇すると推定され、従って収支が償うもの」と認められた。将来今度はトヨタの方から五人乗りあるいは六人乗りの車をまず作って、そうしてそれが実際空車率ばかり多くて実車率が少くて採算がとれないときには、やはり業者の申請であなたの方ではたとい五五年の車でも何でも、こういうふうな逆算した数字で実車キロの多くなるような運賃改訂を作るのかどうか。もしそうだとするならば、山口委員、池田委員のおっしゃるように、調整のとれた公正なる運賃というものはできなくなってしまって、そしてしかもプリンスとトヨペットだけに有利な生活のできるような運賃というものが生まれてくるのだ。そこに世間の誤解があるのではないかと私は思うのですが、もうそうやってしまったのだから、私は今さら申し上げても仕方がないと思いますが、どうぞ一つ日本の免許制度というものを前提として、本問題を考えていただきたい。これは大きな問題です。将来も再々起きる問題だと思う。あまり軽く取り扱わずに、しかも片寄った一、二の車を優遇するかのごとき印象を与える認可というようなことは、私はとらない方がよいと思います。少くともこれはわれわれの聞く範囲においては、不愉快なうわさが飛んでおりますし、またこうした特別な措置をトヨペットとプリンスだけにとって、しかもそれが実車率が多くなるように、他の車の総合的な判断の上に立ってその料金をきめたのではなくて、ただこの二社が生きられるような料金をきめたという印象を強く与えておる。これはいやしくも免許制度をとっておる役所の措置としては、私はちょっと考えさせられるのではないかと考えているわけなんです。ですから私はこれ以上お尋ねいたしませんが、どこから見ても原価計算表やその他を見ましても、どうもわざわざ作り上げた数字と、作り上げた説明をしておる、こういうことはますますくろうと筋から見れば悪い印象を与えてくるのじゃないか。わが運輸省においては、免許制を廃止するわけにいかぬのでありましょうから、どうかこの点は将来とも十分御留意を願って、すみやかに調整のとれた運賃体系を一つ立ててもらいたいということを強く要望して、私の質疑を打ち切ります。
  96. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 関連して。今回自動車行政における免許の問題で——これは完全な行政上の問題で、われわれの関係ない問題でありますが、当委員会にまで迷惑を及ぼすようになりまして、はなはだ遺憾であります。しかも今回のトヨタ及びプリンスの値下げに関しましては、昨年の夏申請があって、しかも二月一日選挙の始まった当初に突如として値下げが免許されたというようなことが、非常に疑惑を生んだ原因となっていると思うのでありますが、従来自動車行政上のいろいろな許可、認可、免許、こういう問題がむしろこれとは逆で、二年、三年、五年もかかっても解決されないたくさんの事件があるわけです。これはあとで、たとえば定期の乗合自動車営業の免計、申請等で、全国で何件未処理のものがあるか、その統計を一つ出してもらいたいと思います。中には数年かかってもきまらない。九〇%くらいは賛成で、一〇%反対がありましても、まだ反対があるから、何とか組合あるいは地元でまとめてから持ってこいというような口実で、公聴会も開かずにそのまま放任しておく事件が、私の知っている範囲でもたくさんあるわけでございます。こういう問題を長引かせて地元を紛糾させ、あるいは組合内部にごたごたを起し、そうして利用者には不便をかけている事例がたくさんあるのでございますが、今回は非常にまずくてこんな問題を起しましたが、大部分が賛成であるならば、どうかすぱっときめて、一つ地元の利用者の利便を増し、また業界やその他の紛糾を一刀両断に切りまして、運輸行政上ぜひ明朗な事態を作ってもらいたいと考えております。今回の事件は二百七十社中百社くらいが賛成で、あとの三分の二が反対であるのに、突如として免許をしたというために、こうした事態が起ったのだろうと思いますが、今未処理になっている多くの案件は、むしろ大部分が賛成で一部が反対、反対があるからという理由で一年も二年も三年も未処理にしておく事態がむしろ多いのでございますが、こういう問題はなかなか自由裁量のものが大部分でございますから、当局としてもやりにくい点は重々お察ししますけれども、いずれにしても責任を持ってやるのが当局の義務でございますので、今回の事情から考えましても、多くの処理をしてよろしい、大部分が賛成で、それを地元でも非常に希望しているようないろいろな許可、認可、免許の問題につきましては、どうか一つ公正しかも敏速に事務を処理していただきたいと思う。これに対して運輸大臣並びに自動車局長はどのようにお考えか、お伺いしておきたいと思います。
  97. 三木武夫

    三木国務大臣 私も運輸省に参りまして、なかなかバスなどの申請に時間がかかっておるということは気づいておるのであります。これはなるべくてきぱきと処理したいと思うのですが、今申したように、大ていの採算のとれるような路線は、すでにほかのバスがあるのです。全然競争相手がないというような場合は簡単なんです。しかし採算の点から考えてみると、いろいろの申請があるのは、現に営業しておる線と競合するような場合があるです。これは非常にむずかしい点が実際問題としてあるので、まあ多少の時間がかかるということもあり得ると思いますが、しかしできる限りこういう問題を早く処理すべきであるという御趣旨は私も同感でありまして、できる限りやりたいと思いますが、今言ったような事情が各路線にあるという事情も御了承を願いたいと思うのであります。
  98. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 自動車問題をお尋ねする前に、前提としてお尋ねしておきたい。関連しておりますから、よろしく願います。戦時中に東京から下関まで、輸送力増強のために弾丸鉄道というものが計画せられ、その敷地の買収あるいはトンネルの掘さく、橋梁の架設、さようなものが一部行われたように聞いておるのでございまするが、その路線のために必要な土地として買収された敷地は、その必要路線の何パーセントに及んでおるのか、監督局長から一つお伺いいたしたい。
  99. 植田純一

    ○植田説明員 ただいま資料を持っておりませんので、詳しくはお答えできませんが、幹線の要地として手に入れましたものの中でも、実は御承知通り東海道線の輸送力が相当行き詰まっておりますので、将来の線路増設に備えまして、必要だと思われるところは確保しておりまするが、そうでない、相当先を見通しましても必要でないという西の方におきましては、逐次処分しておるのもあるように聞いております。詳細はいずれまた数字をもってお答えしたいと思います。
  100. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 運輸省としましては、現在の自動車運送の発達の現状にかんがみまして、東海道、山陽線等の日本の大幹線に、鉄道をもう一本別に作ることはどうであるか。それともこれに加うるに高遠自動車道路を通して、鉄道自動車道と両方で、日本の交通幹線の目的を達成しようとするか、こういう自動車道路鉄道とに関連して、今どのような企画と計画を持っておられるか、運輸大臣から御答弁を願いたい。
  101. 三木武夫

    三木国務大臣 国鉄当局でどういう案を持っておるか、私聞いておりませんが、もう一本東海道線を作るということは、私自身としては——それは鉄道がいろいろ何本もあったらいいわけですが、とても日本の財政でそういうことは考えられない。もし考えられるとするならば、やはり道路の方ではないか。道路というのはすぐにというわけにはいきませんが、いろいろな案があるようです。現在の東海道線をさらに増強する案とか、いろいろな弾丸道路というような案もありますが、私詳細には聞いておりませんが、今私は東海道線をもう一本別に作るということは財政上許されないということで、考えてはおりません。
  102. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 財政上という問題よりも、今後ますます日本経済産業が発達して、貨物なり旅客輸送に一そう充実を期さなければならないと思うのでございます。そうした場合にそれでは運輸大臣はこの貨物旅客の輸送には、鉄道をもう一本作って輸送力を増強することが適当であるか、それとも最短距離を自動車によって、鉄道と両々相待って輸送力を増強した方がいいか、どちらがいいとお考えになるか伺いたい。
  103. 三木武夫

    三木国務大臣 これは政府ということではございませんが、私個人としては今後は道路によるべきものだと思っております。
  104. 原健三郎

    原委員長 畠山委員
  105. 畠山鶴吉

    ○畠山委員 私はこの際運輸大臣にちょっとお尋ねをしたいのでございます。かねてから長い間懸案になっておりました本州の東海岸に、半島で鉄道がないのは御承知通り伊豆半島だけなのであります。しかしこの伊豆半島に対しまして計画予定線の運びには至っているのでございますが、予算関係やいろいろなことから、着工というところまではなかなか至難な問題があることは承知いたしておりますが、現在の段階におきましてこの伊豆半島の鉄道問題はこの際、鉄道には違いませんけれども、観光電車というものに切りかえていただきまして、これを実現させていただくならば、予算がかかりましても、それこそ五カ年くらいで償却ができるというはっきり見通しが私らにはついているのでございます。この点につきまして運輸大臣にこの際ぜひ、この伊豆半島に観光電車を作っていただきたいということをお願いするのでございます。大臣のお考えはいかがでありますか。
  106. 三木武夫

    三木国務大臣 畠山さんのお話、なかなか観光地帯としてすぐれた地域であると思いますけれども、これは重大なお約束でございますので、御意見はとくと承わらせていただきます。
  107. 畠山鶴吉

    ○畠山委員 なかなかうまい回答でございますが、今後この問題は日本観光行政に大なる関係があると同時に、伊豆半島は先ほど自動車の話が出ておりますが、鉄道当局といたしましては直接何らの予定とその計画を持っておりません。これはいっそ鉄道がここの土地を見捨てるならば、この今の仕事を民間の企業に許していただくなら即時に実行できるのでございますが、これらの見通しにつきまして大臣のお考えをお伺いいたしたいと思います。
  108. 三木武夫

    三木国務大臣 今のお話会社でそういう電車を計画するというお話でございますね。それはやはりもし開銀なんかの資金を使わないで、純然たる株式会社ということならば——私は開銀の当局でもございませんし、そういうことでどうなるかということは責任をもってお答えする立場にはないが、純然たる株式会社ということならば、可能性があるのじゃないかと思っております。しかしそれがその企業開銀資金を出してこいという工合になってきたときには、問題があると思う。しかし地元の方々が民間の資本だけで、そういう電車を経営したいということならば、可能性のあることだと思います。
  109. 畠山鶴吉

    ○畠山委員 今運輸大臣の回答はごもっともでありますが、しかし現在国鉄当局といたしましては、この伊豆半島を国鉄の主管から離すということは、実際に私はこれを認めることはできない。現在鉄道当局といたしましては採算もとれ、あの日本で有数な伊豆の観光地を今さら捨てるなんということは、幾ら鉄道が赤字であってもできないと思うのでございますから、この点につきまして運輸大臣はもう一段とお考えを願いまして、運輸所管といたしましてぜひ観光電車の出現を期待してやまないものでございます。どうぞお願いいたします。
  110. 原健三郎

    原委員長 それでは本日はこの程度にいたしまして、次会は公報をもってお知らせ申し上げます。    午後四時三十五分散会