○小林政夫君 私は緑風会を代表して、まず
鳩山総理に、民主党総裁になられた心境を伺いたいのであります。
目下鳩山ブームとも言われており、
鳩山内閣に対する一般大衆の人気は上げ潮のようでございます。(「鳩山さんに対する人気だよ。民主党じゃないよ」と呼ぶ者あり)吉田さんに比べて明朗であり、率直であるということが、大衆に受けておるようでありますが、(「そうでもないぞ」と呼ぶ者あり)それであまり気をよくしてもらっては困るのであります。
国民の指導層と申しますか、あなたの人柄や、従来の政治行動を知っておる人たちは、必ずしもあなたを信頼しておりません。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり、
拍手)危惧すらしておるのであります。緑風会は
内閣総辞職後の首班には、野党第一党の党首を指名するという原則を立てておったにもかかわらず、かなり多くの人たちが鳩山さんを首班に指名しなかったということは、あなた自身に対する不信の念が強かったからでございます。(「その
通り」と呼ぶ者あり、
拍手)第一に、病身であられること。第二に、
自由党とのいきさつは不可解であったからであります。あなたの民主党総裁就任は、政治家の最後を飾るために
総理になる、
総理にさえ推戴してくれれば、過去のいきさつや、主義主張はどうでもよいというふうに見えるのであります。(「その
通り」と呼ぶ者あり、
拍手)あなたの民主党総裁就任の心境を、率直にこの議場を通じて表明願いたいのであります。
今度の
選挙で、民主党が
自由党より多数となり、両社会党の数よりも多くなったならば、これは民主党に
とつて全く万々歳でありましょう。しかし、そういかなくて、
自由党よりも少数になった場合に、一体どうなさるつもりであるか。
自由党総裁緒方氏は、吉田
内閣の副
総理であった人であります。吉田
内閣打倒を叫んで糾合した民主党であってみれば、
選挙の結果とはいえ、率直に緒方首班に同調することはできがたいのではないのですか。そのときにこそあなたの聡明な、筋の通った処置が必要なのであります。あなたは民主党総裁を辞任され、民主党を空中分解させるのか。
選挙の試練を経て、寄り合い世帯を同志的結合に固めて、あなたの指導統率のもとに挙党一致行動させる確信をお持ちですか。また、それだけの同志的愛着を民主党に持ち、民主党の育成に精魂を傾けるお心組みでございますか。この場合における総裁の行動、民主党の動き方は
日本の保守党、いな政党、ひいては議会政治に対する内外の信用に関する重大事であることを銘記して御答弁を願いたい。(「その
通り」と呼ぶ者あり、
拍手)
第二に、民主党総裁として、このたび
選挙に臨まれる心がまえを伺いたい。このたびの
選挙は申すまでもなく、第十九回
国会における汚職、乱闘によって、その信を失墜した
国会の威信回復のために最も重要な
選挙であります。従来の非政を一掃するという民主党としては、重大な決意がなくてはならない。いやしくも民主党の公認する候補者は、汚職、乱闘のごときあやまちを絶対に起さぬ人であり、過去のきれいな人でなければならない。いわゆる札つきとして指弾されるごとき人物の登場を許してはならないと思う。公明
選挙を唱え、
選挙違反を厳重に取り締ると言っておるが、いつかの
内閣のごとく、閣僚自身が違反容疑者に問われて、しかもてん然として
内閣にとどまっておるがごとき悪例は、絶対に踏襲してはならないと思いますが、首相の所信はいかがでありますか。
第三に、
国会法、公職
選挙法、政治資金規正法の改正が、いわゆる自粛三法として要望され、第二十回臨時
国会はそのために召集されたと言ってもいいにもかかわらず、三法のうち公職
選挙法の改正が行われたに過ぎないのであります。しかも公職
選挙法の改正も、連座制を強化し、公営の範囲を拡大して静かな
選挙にすることにしたのみでありまして、
選挙区制の検討はされなかった、
選挙区制の検討はできなかった。緑風会はつとに小
選挙区制を主張しておるのでありますが、鳩山首相はわれわれのこの主張に対してどうお
考えになりますか。賛成ですか、反対ですか、御
所見を承わりたい。(「もっと大きいところを頼む」と呼ぶ者あり)
真に政界を浄化するためには、政党運営資金調達の方法を変えなければならないと私は思う。すなわち、私は政治資金規正法の改正が政界浄化の根源だと思うのであります。浄財であり、反対給付のつかない献金であっても、一口五百万円、一千万円というような寄付を受ければ、人情としてその寄付者、献金者に不利な政治行動はとりがたくなるのであります。私は政党は一切の法人、団体より献金を受けてはならないことにしたいと思う。その法人、団体の中には、もちろん労働団体を含むのでありますが、首相は賛成であるかどうか、御
所見を承わりたい。政党は一切の法人、団体よりの献金を排除して自然人たる党員の納める党員のみによってその運営費をまかなうべきものとし、さらに一人の党員の党費年額の最高をも法定して制限することとするならば、政党は勢い党員獲得に熱意を持たざるを得ず、おのずと組織化せざるを得なくなる。民主党結党の際、新指導者、新組織と叫ばれ、清新ということが強調され、鳩山首相を初め民主党の幹部は、吉田政権の分担者ではなかったというだけであって、政界では吉田政権の分担者よりも古い人が多いのみならず、
鳩山内閣には吉田
内閣の閣僚であった人すらおられるのであります。清新ではございません。(
拍手)われわれはせめて、組織だけでも新しいものであってほしいと切望するのであります。今直ちにということは、実際問題として困難でございましょうから、政治資金規正法はその
趣旨に改正をして、その施行を一、二年先に延ばし、その間に、いずれの政党も組織を整備することにしたらどうかと思うのであります。鳩山首相、いなこの際首相というよりは、政党総裁としての所信はいかがでございますか。最近財界の案として伝えられておるところの献金会社、献金プール案のごときは、全く愚の愚なるものと思いますが、鳩山総裁はどう思われるか。
次に
外交問題について
総理に警告し、また
外務大臣にお尋ねをしたいのでありますが、
総理は
外交関係の発言について慎重を欠かれるのではないか。(「その
通り」と呼ぶ者あり)
総理の
外交関係の発言と
外務大臣の発言とが、両者の間に
外交方針、手段について食い違いがあるような印象を、しばしばわれわれに与えておることは、ただいま津島議員が御指摘にも相なった。(「みんなそう思っているのだ」と呼ぶ者あり)
総理の
外交発言は慎重にされたいのであります。(「その
通り」と呼ぶ者あり)
ビキニの補償が
解決したと
外務大臣はお得意のようである。きのうの
外交方針演説を読みまして、全く得意げに言われておるようであります。私は
外相が、就任早々の責任者として従来のいきさつとか
国民感情に対するこの責任者として、責任者の立場で、十分な研究もなく、二百万ドルという金に食らいついたような、いかにも金さえもらえばよいのだというようないやな感じを受けるのであります。(「将来の補償はどうした」と呼ぶ者あり)しかも、
国民は補償額それ自体にさえも不満を持っております。二度と水爆実験等によって
日本国民に被害を与えないという確たる保証を
アメリカから取られたのかどうか。
アジア・アフリカ会議について津島議員の質問に対して、
外務大臣は招請状があったら
考えると、こういうことでございますが、すでに
中共とともに
日本を招請するということは決定されておる。一招請状があったら
考える、これは従来の吉田
外交について秘密
外交云々といわれたこととあまり態度に変りがないのではないか。(
拍手「その
通り」と呼ぶ者あり)この今の段階において
中共とともに
日本が出席するかどうか。国府や韓国の招待を受けないこのアジア・アフリカ会議へ
日本が出席するかどうか。出席するとするならば、
日本の心がまえはこうだと、こういうことをはっきり表明すべきではないでしょうか。(「その
通り」と呼ぶ者あり)
次に
経済六カ年計画についてお尋ねをしたいのであります。
財政方針演説で述べられた蔵相の海外の
経済情勢、
国内の
経済情勢に対する見解、なかんずく、
わが国の対外
経済政策が国際
経済の基本的動向である自由化の趨勢になるべくすみやかに即応して運営されるよう改善することをもって第一義とし、それが可能となるごとく
国内経済政策の運営に計画性と総合性を盛り込んで行くことが、今後の
わが国の
財政金融方策の基本となるべきものとの確信を蔵相は表明されておりますが、その確信を私も支持し、為替及び
貿易の自由化、
財政の
健全化、金融の
正常化を今後の
施策の
基本方針とすることにも強く賛意を表するのでありますが、公表された
経済六カ年計画は一応の希望図に過ぎない。六カ年先に
日本経済を自立させ、完全雇用を達成する。労働人口からの逆算した一応のこうあるべきだという理想的な姿を描いたものに過ぎないのでありますが、しかも、その中間
年度である三十二
年度と最終
年度の三十五
年度との希望的成果のみが公表されておるのであって、その道行き、道程は公表されておらない。(「その
通り」と呼ぶ者あり)生産指数の上昇は、産業のどの部分をどう上昇させる結果なのか。また現在の失業者及び増加する労働人口はどの部分にどう吸収されるのか。
予算大綱でも言われておりますが、新技術、新産業を大いに振興するという、われわれもこの新技術、新産業には非常な
期待を寄せるものでありますが、その新技術、新産業を振興した結果、自給度はどう増して、それによって輸入はどのように圧縮されるのか。すなわち今までの
国民総生産高に対する輸入の比率でもって、およそこのくらいの輸入規模になるであろうというような三十二
年度、三十五
年度の推算でなく、その今までの実績からの類推に対して、その新技術、新産業による輸入の引っ込み方、このような点についてこの際計画の
内容を高碕経審長官から説明してもらいたい。
三十
年度予算は六カ年計画の初
年度予算としてその計画に即して
編成されるということでありますが、計画の
内容がわからず、
予算の数字がわからなくては、心組みとしては了承いたしますけれども、果してその
通りになっておるのかどうか少しもわからないのであります。前
内閣時代にも計画はございました。いわく電源開発五カ年計画、いわく合成繊維増産五カ年計画、いわく外航船舶建造五カ年計画、石油資源開発五カ年計画等、ただ吉田さんが計画がきらいで、
閣議決定もせず、
予算の裏づけもしてなかった。今度はそうでないと思いますが、その点特に
大蔵大臣と経審長官から御答弁を願いたい。本員の希望的推察の
通りであったとするならば、今度は要は実行方法でございます。先ず今日までに発表のところでは、はなはだ抽象的であり、具体性がないから、言葉としては
内閣は一致の結論に達したでございましょうが、具体的な数字をはめ込む段階になって閣論は果して一致するのかどうか。
〔議長退席、副議長着席〕
また与党民主党の党議が、完全にしかとまとまる確信があるのかどうか。この点は特に鳩山首相から御答弁願いたい。
前
内閣時代には、
閣議で敗れた閣僚が議会に働きかけ、また党議に敗れた党員が他党員に働きかけ、いわゆる議員立法、
国会修正に名をかりて
政府案を修正追加あるいは換骨奪胎した例が多々あるのでありますが、
鳩山内閣及び民主党はそういう醜態は演じないという確信があるのか。また計画完成の暁は広く
国民の納得に訴え、世論の支持を獲得するとともに、
国民多数の心からなる協力を得るように努めなければならないと思いますが、この点自信がおありになるかどうか。そのためには、計画と実際とが違ってきた場合には、その原因、
理由及びその是正方法等をそのつど
国民に率直に訴え知らせる心がまえが必要であると思う。その心がまえはおありになるのか。ただ協力を求めるということだけでは
国民はついて来ない。
次に公表された限りの具体性を
迫つて具体的な問題に入ります。
まず資金でありますが、
財政投融資もやるが、減税もやって民間資本蓄積もはかるという。一体どちらに重点を置かれるのか。六カ年計画に要する投下資金の総額はいかほどであって、
財政資金と民間資金の割合はどの程度と見込んでおられるのか。民間資金を所期の投資に向って流す方法はどうするのか。法的
措置でやるのか、現在の融資自主規制委員会にまかせて金融機関の自発的な協力を
期待するのか。自主規制では不十分だから、ビルが建ったり、待合や料理屋等のごとき不急の建築がどしどし行われる。
大蔵大臣もその面では何とか立法
措置を講じて抜け穴をふさごうと最近
考えておられるようでありますが、建築
一つを例に
とつても、かくのごとくであります。資金の流れをどのような方法でこの六カ年計画に順応させるのか、また
鳩山内閣は六カ年間続くとも
考えられません。計画のスタピリティ、特に投下資本がデッド・キャピタルにならないような投資の計画的持続はどのような方法で確保なさるおつもりであるか。最近
内閣に持たれた
経済懇談会のごときものを法制化する
意図がおありになるのか。現在の十七名の人よりなる
経済懇談会の任務、性格はいかようなものでございますか。
三十
年度予算編成大綱について
大蔵大臣及び
関係大臣に伺うのでありますが、この
予算の
大綱については、先ほど来津島議員から、るるいろいろとお話があった。全く数字のない
予算というものはわれわれも批判する熱意を失うのでありますが、要綱的に納得のできない点、あるいはこの要綱の中にはいろいろと
最大級の強い言葉が使ってある。うんと力を入れる、こういうようなことについて、その力の入れ工合を示してもらう
意味においても必要最小限度の数字をお尋ねするつもりですが、ただいまの津島議員に対する御答弁では全く数字の点については御答弁なさらない。(「何を言うのだ」と呼ぶ者あり)どうも私の質問に対してもそのような結果が
期待されるのでありますけれども、これでは全く
政府の
考えておられる点、
大蔵大臣の
意図というものは
国民に明らかにならない。どうか確信をもって、およそのラウンド・ナンバーでもいいから、私の数字に対する質問に対してはお答えを願いたい。第一、
財政収支の均衡についてといふことが
予算編成の
大綱の第一にあげられておりますが、総
ワクを一兆円と押えておきながら、言われておる
内容はまことにけっこうずくめの積極
政策のみであると評しても過言でない。消極策としては
大綱の第四に経費の節減をうた
つておる。これが積極策の有力財源となるはずであります。ただいま
大蔵大臣はそういうふうにとれる発言をなさった。補助金、交付金、委託費の重点化、効率化と言われておる。また物件費、施設費の物価値下り及び積極的な調弁価格引下げといわれておるが、二十九
年度予算の
ワクから
考えてどの程度の
金額を浮かすお見込みであるのか。これが積極
政策の財源になるはずでありますから、一体どの程度の
金額を頭に置いておられるのか、お示しを願いたいのであります。また
予算ワク一兆円の中に相当
関係のある防衛経費の総体を前
年度の
ワク内にとどめる、これが数字的にとどめるというのですから、およそ確定をしておる。これは防衛分担金の減額折衝に成功した場合のことであるのか、万一減額折衝が不成功となっても防衛経費は前
年度の
ワク内にとどめられるのかどうか。自衛力を漸増する、こういう自衛隊の増強
方針と関連して対米折衝、防衛分担金の削減折衝が不成功となっても防衛経費は前
年度の
ワク内にしかと押えられるのかどうか。
財政投融資資金については前
年度程度の
ワクを確保する、やはりこううたってある。これもおよそ
金額がきまるはずである。前
年度一般会計支出分は二百億円でありますが、この二百億円だけのことを言っておられるとも思えないのですが、念のためにお尋ねしますが、資金運用部、産業投資特別会計等、特別会計支出分及び
政府機関たる金融機関の自己資金である回収金を含む総額について言っておられるかどうか、この金融機関の自己資本である回収金を含んであるかどうか、この点が問題であります。
余剰農産物の見返り円資金使用に関する対米折衝はどうなっておるのでありますか。先ほども津島議員から、投融資の
ワク内か、
ワク外かというような御質問があったが、この
ワク外のようでありますが、この円資金の使用について、当方の、
日本の自主性が認められるのかどうか。新たな公債は発行しないと言っておるが、この新たなという
意味は、質的な
意味なのか、量的にも新たなということは含んでおるのか、すなわち問題となっておるところの開銀債や輸銀債を発行しないという
意味なのか、従来発行しておる鉄道公債、電電公債も新たには発行しない、こういう
意味なのか。この点が
財政収支
関係としてお尋ねをしたい点であります。
第二に、税制の改正をうたっておられる。税制を改正して低額所得者の直接税を軽減し、資本蓄積促進のために臨時に預貯金利子、配当等の源泉課税の減免をはかるとのことでありますが、前
年度の所得税、法人税の増加収入見込み額はいかほどでございますか。また現在の税制を据え置いた場合の三十
年度の所得税、法人税の対前
年度増加収入見込み額はどの程度でありますか。これは何も
内閣の
政策ではないわけで、事実及び具体的見込みでありますから、率直な数字のお答えを願いたい。間接税を増徴して、差引直接税の減税と間接税の増徴とでプラス・マイナス、ゼロならば、これを聞く必要はない。そうではないように思うから、この自然増収分及び来
年度の現税制を
基礎とした場合における増収加入額というものをお尋ねしておきたいのであります。資本蓄積促進のためということで、従来から租税特別
措置法によって租税の減免
措置が講じられて来たのでありますが、その結果は税法を非常に難解なものとし、かつ租税負担の公平を破り、納税者の納税意欲を阻害しておるのであります。所得税法、法人税法等、本法自体が非常に難解であるのみならず、それだけでは納税者の真の自己の納税額が必ずしも明らかでない。租税特別
措置法とあわせて理解しなければ自分の負担額がわからない。負担の公平を破っておるというのは個人の場合については正確な資料が提出されないので、
計数的に申すことはできませんが、法人の方は特別軽減
措置によりまして、国の歳入面から
考えた実効税率は三〇%程度に軽減をしておるのであります。表面税率四二%のものが、その実、国のふところ勘定からいうならば三〇%である。しかもこれらの特別減税
措置を活用しておるのはだれであるか。担税力のあるおおむね大法人であって、中小法人はほとんど利用しておらないのである。利用しないのが悪い、不勉強だといえばそれまででありますけれども、実情はそうなっておるのであります。すなわち強いものが資本蓄積の美名のもとにますます強くなるように助成され弱い者は置いとけぼりを食っておるという反社会性を露呈しておるのであります。しかも、一たびこの道を開くというと、臨時々々ということで、拡大してとどまるところを知らない。もちろん租税特別
措置の中には、企業会計上当然の
措置もありますけれども、産業
経済政策のしわを税法に寄せておるというか、産業
経済政策を税法で肩がわりしておる面が多いのであります。これは私は邪道であると思う。税法はなるべく簡明にして公平なものでなければならない。一日も早く撤廃してもらいたいのであります。吉田
内閣は従来の行きがかりもあって、断行できなかったのでありますけれども、幸いに
鳩山内閣は庶政一新を企図しておられるのでありますから、この際にこの所得税法、法人税法の本法に取り入れるべきものは取り入れ、租税特別
措置法は、英断もって廃止されたいと思うのでありますが、蔵相の所信はいかがでありますか。(
拍手)本員は少くともこの点について、
内閣の更迭に非常な
期待を寄せておったのでありますが、いずくんぞはからん、
鳩山内閣も安易に前
内閣の道を歩まんとしておるのである。はなはだ失望を禁じ得ないのであります。預貯金利子、配当等の源泉課税の減免は、一萬田さんの在野時代からの強い主張であったでしょう。また、租税特別
措置法の存在を前提とするならば、私も必ずしも反対はしない。蔵相は新任でもあり、もう少し落ちついて税制全般について慎重な研究の後に断を下されるべきではないか。住宅対策拡充の一として、民間における住宅建設意欲を促進するために、税制上の特別償却制度を拡張すると言い、
貿易の振興のために輸出免税の拡大等、税制上の配慮を行うと言う、いずれも私の税制上の志す
方向とは逆の
方向なのであります。産業
政策としての可否ではない。税制としての
方向は、私の
考えておる
方向とは逆である。個々の減免
措置よりは、一率の減税が本道であると私は主張するものである。(
拍手)税が重いから、減免
措置が問題となるのでありまして根底を軽減するならば、税が軽くなれば、個々の軽減
措置は不要となるのであります。
大蔵大臣、了承願えますか。
直接税の減免に伴う不足財源は、消費税その他間接税の増収等をもって補てんすると言っておりますが、いかなる税種目をお選びになって、また、その程度はどの程度の増収をはかろうとなさるのであるか。物品税が実質上一部の物品製造業者、販売業者、その多くの者が中小企業者であるのでありますが、その負担になっている
現状からして、これを全廃をして、これにかえるに負担を薄く普遍的ならしめるため、低率の売上税または付加価値税のごときものを創設し、さらに消費抑制の意凶を込めて、消費者に転嫁可能な奢侈品税を創設する
考えはないか。この物的税を全廃したその後におけるその不足財源を、どうやって穴埋めするかという問題については、これは緑風会内においてもまだ検討の余地があるわけでありますが、ここに述べたのは、私の従来
大蔵委員会等で主張した
一つの試案を申し上げたのでありまして、そり方法は、しいて固執するものではありませんが、物品税は、かなり実質問題として非常に不公平になっておる。そうして一部の業界に税の重荷を負わしておる。その結果は、その関連中小企業が非常に苦しんである。この点について間接税の増徴、消費税の増徴と言われるが、よもや物品税を拡充強化するような心組みはないと思うが、念のためにお尋ねをしておきます。(
拍手)第三に、
予算編成大綱では、
重要施策についてと言っているが、住宅対策の拡充を
重要施策の第一にあげておることは、全く機宜の配慮でありまして、われわれの敬意を表するところであります。十カ年で住宅不足を解消すると明言されたが、一体十カ年の計画を具体的に説明してもらいたい。きのう
大蔵大臣の
財政方針演説の中で、ほとんど数字はないが、五百億の減税と、それからこの住宅、三十
年度に四十二万戸を作ると、また、現在本年四月現在の住宅不足は二百八十四万戸であると、これが数字でありました。ところが私帰って計算をしてみて、どうもつじつまが合わない。二百八十四万戸を十カ年で解消しようとすれば、一カ年平均は二十八万四千戸になる。年々の新しい需要が二十五万戸と言われている。その二十八万四千戸と二十五万戸と合計いたしますと、五十三万四千戸になる。三十
年度において四十二万戸作るのだ、少くとも作るのだ、こう言われているが、これでは十年間に住宅不足を解消するということにはならない。これはまあ三十
年度は初
年度だから、だんだん累増していくのだ、こういうお
考えでもありましょうが、そんならばそれで、一体十年間の具体的な腹づもりを聞かしていただきたいのであります。公営住宅の
予算はどう増額されるのか。住宅金融公庫の資金はどう充実されるのでありますか。また、厚生年金資金の勤労者厚生住宅への還元融資をすると言われているが、どのように確保されるおつもりであるか。
重要施策の第二に、社会保障の強化振興としてうたわれていることは、全く一々ごもっともであります。当面
財政健全化政策を
推進する以上は、依然として相当の失業者が出、生活困窮者が増加されるであろうと思うのでありますけれども、三十
年度におけるこの生活困窮者数は、いかほどぐらいになると推計されておるのでありますか。また、旧軍人恩給だとか、遺族、留守家族等の援護費は、これは費用の性質上、年々減少する傾向にあるから、ここで前
年度と比較することは問題にならないが、それを除いた他の社会保障費の前
年度の総額は八百九十三億円であります。大いに、この述べられているごとく社会保障を拡充する、力を入れる、こう言われるが、この八百九十三億円と比較して、どの程度三十
年度においては、おふやしになるつもりであるか。すなわち、
予算配分を具状的に数字でお示しを願いたいのであります。
また、大学卒業者等知識階級の就職対策を促進すると言われているが、前
内閣の企画した懇談会程度では、らちがあきません。青年の意気を阻喪させ、思想の悪化を来たすゆゆしい問題であることは多言を要しないのでありますが、具体的にどういう対策をお
考えになっておられるか。労働
大臣からお漏らしを願いたい。
重要施策の三として、中小企業対等の充実をあげておられる。なお、
総理が昨日の施政
方針演説において、
総理の施政
方針演説としては、まあ従来の例で言うならば、中小企業を振興すると、この程度の発言であるにもかかわらず、今度は、非常に、ある
意味においては具体的に
施策を述べられておる。これはわれわれの非常に意を強うするところであります。まず、中小企業の組織化、系列化をはかると言われているが、具体的には、どういう
構想を持っておられるのか。これが中小企業対策の第一点として伺いたい。
第二点は、中小企業金融に対する資金を確保すると言われているが、従来の
国会の論議を通じて痛感されますことは、所要の資金量が確保されておるかどうか、確保されたかどうか。この点がいつも水かけ論に相なるのであります。私は小笠原前
大蔵大臣を追及いたしまして、
国民所得の推計ができるくらいなら、同程度の信憑性のある中小企業金融の需要額の推計ができるはずではないか、こう言って追及をいたしましたところ、ついに、前小笠原
大蔵大臣は、次の
国会似開会までには必ず作業をして提出をいたします。こう言って約束をされたのであります。前
大臣から一萬田
大蔵大臣に引き継ぎがございましたか。(笑声)すみやかに作業を進めて
国会に資料として提出を願いたいのであります。
中小企業対策の第三点は、中小企業の税の軽減については、国税については、先に述べた
通りでありますが、中小企業の税負担は、特に事業税において、それも個人企業者において過重でございます。中小企業団体等においてはこの全廃を要望しておる。(
拍手)これを軽減するという御意思があるように
新聞等には出ておりますが、その腹案をお示しを願いたいのであります。自治庁長官にお願いいたします。
中小企業対策の第四点として、中小企業の金利負担の軽減をはかると言われておるが、どういうことをやられるのか。中小企業金融公庫、
国民金融公庫の貸付金利を安くする、引き下げると言われるのか。商工中金に対する
政府出資を増額されるのか。また資金運用部、または簡保資金を直接に融資する道を開いて商工中金の貸出金利の低減をはからんとされるのか。
以上諸
施策のほかに。私は最近の幾多の
事例に徴しまして、中小企業に対する経営並びに技術指導の必要を痛感するものであります。農業には改良普及員制度があるごとく、中小企業、なかんずく中小企業の経営
健全化のためには、経営並びに技術指導制度の確立こそが急務でございます。不健全な経営に幾ら金をつけても、かえって企業をスポイルするのみでありますが、商工会議所内にある中小企業相談所等を中核としたこの強力な経営指導制度の確立のために、思い切った
予算措置を講ずる意思がおありになるかどうか。通産
大臣にお伺いします。
また前
内閣の小坂労働
大臣は、その腹案を持っておられたやに拝聴しておるのでありますが、この中小企業労働者に対する労働基準法について、緩和する御意思があるのかどうか。これまた中小企業界からも熱心に要望されておるところでありますが、特に大企業と中小企業とを、同じ基準法によって律するということは、少し中小企業において過酷になるのではないか。女子あるいは年少者の労働
条件、あるいは休憩、休日、労働時間について除外例を認める御意思があるかどうか。この点については、農林水産業には認められておるところでありますが、中小企業の労働実態と勤労実態、農林水産業の勤労実態と、必ずしも違いはないのでありまして、その点について、
政府においてもこの中小企業に従事する労働者の労働基準法について、緩和的な
意味における何か別の
考えを持っておられるかどうか。(
拍手、「今は
鳩山内閣だ」と呼ぶ者あり)
重要施策の第四点としてあけられておる輸出の振興は、もとより
わが国に課せられた至上命令であります。
国内物価引き下げをしなければならぬ、国際物価に比べて割高である
国内物価を引き下げる、こういうことを言われておるのでありますが、一番普遍的な
基礎要因であるところの電力料金は一体どうなさるおつもりであるか。そこにおられる前愛知通産
大臣はわれわれに対して、一応四月以降冬料金を継続するということに決定したけれども、本年の三月三十一日までにいろいろコスト低減の
施策を講じて、四月以降は冬料金を継続しないようにすると言明されたのであります。
鳩山内閣はどうするおつもりであるかどうか。四月以降冬料金も今の
通り継続なさるおつもりであるかどうか。コスト低下、物価低下のためには、そこに何か格段の配慮がなければならぬと思うのでありますが、いかがでございますか。
次に、輸出に対する金融
措置強化の一環として、輸出入銀行に対し
財政資金を大幅に増額すると言われておりますが、最近のプラント輸出、船舶輸出等の受注の
状況から見て当然でございますが、その財源は一体どこにお求めになるのか。前
内閣では余剰農産物の見返り円資金を引き当てとしておったのでありますが、
鳩山内閣も同様の心組みでございますか。
経済外交の刷新をはかると言われておりますが、具体的にはどのようになさるおつもりであるか。在外公館における通商担当官は、多くの場合、
外務省出身でないということによって外様扱いを受けておる。私自身
外国を回ってみて痛感をいたしたのであります。
外務大臣はどう思っておられるか。わずかの人員であり、在外公館員は渾然一体となって通商打開に挺進せしめなければならぬはずである。
東南アジアとの
経済提携でございますが、
ビルマとの
賠償交渉は、前
内閣の貴重な遺産として片づいた。
フィリピン、
インドネシアの
賠償交渉については、今津島君からお尋ねがあったが、お答えは必ずしも明確でない。どうかすみやかに交法妥結、話し合いがつくように御努力を願いたいことを要望するにとどめておきます。
未開発地域の開発に協力をして、
貿易の振興をはかるべきでありますが、東南アジア、中近東、中南米等の
外交使節こそが重視さるべきであります。目先の利害打算でなく、広大な気宇のもとに百年の大計を立てなければならぬと思う。米国は当面やむを得ないといたしましても、戦前の惰性として、
外交官が赴任する赴任先について、西欧を重視する風潮は一掃されなければならぬ。むしろ赴任する者に
とつては迷惑かもしれないけれども、民度の低い地点に、むしろ有能な第一級の
外交官を配さなければならぬと思いますが、その点は
外務大臣はどうお
考えですか。
また、これらの未開発地域向けの人材養成ということが必要である。やはり人材を送らなければならぬ。そのたには人材の養成をしなければなしぬ。その点について、ほんとうに東南アジアとの
経済提携をやる。未開発地域の
経済開発に協力する。ほんとう…そうならば、それに適する人材を養成する
意味において、学校教育に特段の配慮がなされなければならぬのでありますが、文相はどうお
考えになっておられるか。
中共貿易の拡大というようなこ
とついては、昨日の施政
演説にはあまり表われませんでしたが、外では、
国会外では、今まで相当
鳩山内閣では言われておるのであります。前
内閣時代に通産省では、三十二
年度の輸出入規模の目標は七千万ドルとなっております。また愛知氏は個人の研究として、一切の
中共貿易の制限が撤廃された場合を仮定しても、せいぜい輸出入規模は九千万ドル程度ではなかろうか。一億ダラーまではいかない。こういうような見解が
経済安定委員会において述べられた。
鳩山内閣は非常に
中共貿易を促進するということで、一般に
期待をお与えになっておるわけでありますが、どの程度の輸出入規模を
期待しておられるのでありますか。ココムとの
関係、対米
関係をどう打開するおつもりであるか。また専制国家相手の
貿易には、こちら側の態勢も整備しなければなりません。相手は一人でありますから、こちらの窓口は
一つにしなければ不利でございます。政治優先の国柄でありますから、政治的配慮によって
貿易量は極端に変動する。本年はうんと買い付けたけれども次の年は一品も注文をしない、このようなことが過去の対ソ
貿易において起っておる。従って
中共貿易を促進する、
中共貿易に非常な
期待をかけて、うんと設備の増強をやるというようなことでもやろうならば、場合によっては非常にひどい目に会うおそれがあるわけでございまして、その辺のところはどのように
政府はお
考えになっておるか。業界の不当競争を排除するためには輸出取引に関する独禁法の適用緩和、あるいは除外の
措置をさらに一段と進めなければならない。
政府も業界の不当競争を排除する、こういうことを言っておられるが、一体具体的に独禁法の緩和
措置等についてどういう
構想を持っておられるか。私はこの輸出取引に関してお伺いをし、また輸出取引に関して独禁法の緩和はある程度必要であると
考えておるものでありますが、その
構想をお示しを願いたいのであります。
〔副議長退席、議長着席〕
重要施策の五といたしまして、農林漁業の振興及び食糧対策の刷新がうたわれておる。食糧管理制度について供出割当その他について所要の改正を加えると言っておられるが、どうなさるおつもりであるのか。最近の米穀懇談会の答申をどう採用なさるおつもりであるか。予約買付制度を採用なさる、その場合に買入価格の大幅な引き上げをせねばならないのではないかと心配する向きもある。また消費者価格を据え置き、
財政負担も増加させない確信がおありになるのかどうか。肥料等の値段を下げて、買入価格を今まで
通りにしておいても農家所得はふえるというような
考えで、この予約買付制度を採用しても
政府の生産者買入価格を引き上げなくていい、このようなお
考えであるかどうか。また米穀懇談会でも将来の自由
体制を前提といたしまして、米を備蓄することを勧めておる。われわれもなるべくすみやかに食糧管理制度は自由にされるべきだと、撤廃されるべきだと思いますが、その準備といたしてもこの備蓄米をする必要があるが、幸いに余剰農産物買入米が、ある程度入るようであります。一体この余剰農産物買入米を
政府はどう使うおつもりであるか。前
内閣においては一般の配給より越えて配給する、こういうことを前谷前食糧庁長官は言っておりましたが、余剰農産物の買い入れというものは正常な
貿易を阻害しない、こういうことが
一つの
条件である。しかも今われわれのほうはそういう食糧管理制度変更ともからんで備蓄米が必要なのである。また幸いに外貨収支の
状態も好転して来ておる。従ってこの余剰農産物買入米は備蓄用にされるべきではないかと思うのでありますが、農林
大臣の御
所見はいかがでありますか。また農林
大臣は準内地米の大量輸入を言っておられる。韓国等から相当大量の準内地米が入る、こういうことを言っておられるが、このことは一体具体的にどの程度の数量が入る確信がおありになっておるのか。一部の農民はもうそれでは、わしらはあまり米を
作つてもしようがない、こういうようなことから増産意欲を少し阻喪しておる向きもあるやに聞いておるのでありますが、一体どの程度準内地米をあなたは入れる確信をお持ちになっておるのか、お伺いをいたします。
また漁業の振興ということが言われておるが、この漁業の振興もやはりこれも基本的な
政策をやらなければならぬ。漁業をまず第一に安定させる、安定した企業にするということが必要なんです。農業に共済制度のあるごとく、漁業の場合においてもこの共済制度を確立しなければならぬと思いますが、農林
大臣の
所見はどうでありますか。その不漁の場合に平均水揚高を保障するとか、あるいは漁具が災害でこわれた場合にそれを補てんするとかいうようなこの漁具共済をや
つて、また凶漁共済、また共済制度を漁業のほうに確立をして、そうして漁業経営をほんとうに安定した漁業にする、こういうことが漁業振興の先決問題であると思いますが、農林
大臣の御
所見はどうでありましょうか。
また先ほども触れましたが、この宙要
施策の七に科学技術の振興をうたっておられる。非常にけっこうなことである。大いに賛成でありますが、一体この大いにやるという熱意をお示しになる
意味において、少くともこの三十
年度予算においてはどれだけの国費をどのようにしてこのために使うのか、この点だけでも
一つお示しを願いたいのであります。
予算大綱第五に、地方
財政の刷新改善をうたっております。
大蔵大臣も十説をされた地方行政機構の抜本的簡素合理化を
推進すると言われるが、町村合併に呼応して府県の統合をも
考えておられるのかどうか。それからまた現在の過剰人員並びに将来、先ほど来の話でこの行政機構及び行政事務の簡素合理化に伴うところの余剰人員の整理を円滑ならしめるために、地方自治体に定年制を実施する御意思があるのかないのか。これを自治庁長官から伺っておきます。
以上公表された三十
年度予算編成大綱に即しまして、
大綱にあげられておる
施策の具体的な
内容及び
施策に対する重点の置き工合を知る
意味における
予算配分額のぎりぎりのところをお尋ねしたい。また
大綱にあげられておる
施策に匹敵をする重要度があると私が
考える
施策についての
政府の見解等についてただしたわけでありますが、民主党の現在の人気をもってすれば、総
選挙後も引き続き政権担当ができそうでもあるし、(笑声)
選挙目当てのはったり答弁でなくて、まじめな答弁を
期待して質問を終ります。(「あれだけおせじを言われたら数字を示さないわけにいかないな」と呼ぶ者あり、
拍手)
〔
国務大臣鳩山一郎君登壇、
拍手〕