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1954-12-15 第21回国会 参議院 地方行政委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十二月十五日(水曜日)    午前十一時七分開会   —————————————  委員氏名    委員長     中田 吉雄君    理事      伊能 芳雄君    理事      古池 信三君    理事      館  哲二君            岩沢 忠恭君            伊能繁次郎君            松岡 平市君            長谷山行毅君            小林 武治君            片柳 眞吉君            加瀬  完君            若木 勝藏君            松澤 兼人君            寺本 広作君            須藤 五郎君   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中田 吉雄君    理事            伊能 芳雄君            館  哲二君    委員            伊能繁次郎君            古池 信三君            小林 武治君            加瀬  完君            松澤 兼人君            寺本 広作君   国務大臣    国 務 大 臣 西田 隆男君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君    常任委員会専門    員       伊藤  清君   説明員    自治政務次官  安藤  覺君    自治庁選挙部長 兼子 秀夫君    自治庁財政部長 後藤  博君   —————————————   本日の会議に付した事件調査承認要求の件 ○地方行政の改革に関する調査の件  (地方議会選挙期日に関する  件)  (地方公務員の期未手当財源に関  する件)   —————————————
  2. 中田吉雄

    委員長中田吉雄君) 只今より地方行政委員会を開会いたします。  第二十一回国会初めての委員会に当りまして、調査承認要求の件をお諮りいたします。今後本委員会は各種の方面に亙りまして調査活動をするわけでありますが、つきましては、調査事件調査承認要求書を本院規則第三十四条により、議長に提出することにいたしたいと思いますが、御異議はございませんか。
  3. 中田吉雄

    委員長中田吉雄君) ではさよう決定いたします。専門員より概略の説明とその案文を朗読させることにいたします。
  4. 福永与一郎

    専門員福永与一郎君) 調査承認要求書は例文になつておりまして、その中で中心になります調査目的とその方法の個所を朗読いたします。  調査目的地方行政制度の改善、地方財政及び地方税制の確立、治安の維持並びに消防、選挙等の問題について調査、研究する。  調査方法政府地方その他関係方面よりの意見聴取及び資料の収集並びに実地調査を行う。  そのほかに事件の名称、利益、期間、費用等の項目について、大体例文的に事項を記入いたしまして、提出することに相なつております。
  5. 中田吉雄

    委員長中田吉雄君) 以上のような調査承認要求書を提出することにいたしますが、案文の字句の訂正その他の手続に関しましては、委員長に御一任願うことにして御異議ございませんか。
  6. 中田吉雄

    委員長中田吉雄君) ではさよう決定いたします。  ちよつと速記をとめて。
  7. 中田吉雄

    委員長中田吉雄君) 速記を始めて。  最近新聞等にも伝えられて御案内のように、地方選挙選挙期日統一するという点につきまして、それを議題に供していろいろとお諮りしたいと思います。それでは兼子選挙部長一つ
  8. 兼子秀夫

    説明員兼子秀夫君) 一昨日ですか、新聞に出ました地方選挙期日のことにつきましては、地方選挙が御承知のごとく地方団体府県市町村につきまして、長と議員、即ち四つ選挙があるわけでございます。この四つ選挙を別々にやりますと管理の経費がかかりますので、自治庁といたしましても、これを一緒に行う、二つに分けて一緒に行う。二つ同時選挙にいたしたいと考えております。財政計画等もそのような形で考えられておるわけでございますが、統一する期日につきましては、まだ自治庁としては確定いたしておりませんのでありますが、前回は、御承知のごとく市町村が四月の二十三日、府県が四月三十日に修正議決されまして実施されたわけでございます。先般の新聞記事でございますが、私ちようど出張しておりまして、又自治庁関係のクラブのほうも知らなかつたというような次第でございまして、そのニュースがどこから出たものか、初めの新聞記事によりますと、三月二十日と三月三十日という記事が出たようでございます。それにつきまして地方のほうから電話等で本当かどうかというふうな照会が参つておりまして、本日電報で三月中にやるというようなことは考慮していないということを明確に電報で連絡をいたした次第でございます。
  9. 小林武治

    小林武治君 選挙期日自治庁できめるということはできないですね。大体の標準を示すとか、希望を示すとか、こういう程度でしようね。それは如何でしようか。
  10. 兼子秀夫

    説明員兼子秀夫君) 前回承知のごとく期日統一する法律を出して、二つに括つたわけでございます。四月の二十三日と三十日、でありますから、法律でやりますのはできますが、法律なくしてはできないわけでございます。
  11. 小林武治

    小林武治君 今の問題で、法律等を出す意向があるかどうかということは。
  12. 兼子秀夫

    説明員兼子秀夫君) 先ほど申上げましたように、財政計画の上では二つに括るという考え方をいたしておりますので、できますれば法律を出したいと思います。
  13. 小林武治

    小林武治君 そうすると、その選挙期日をきめるという場合には、その法律選挙期日からどのくらい前に出さなければならない、こういうふうに思つておられるか。
  14. 兼子秀夫

    説明員兼子秀夫君) 前回は一月三十一日に国会を通つているようでございまして、一月の再開劈頭出したいと考えておりますが、最近の政治情勢でどうなるかということを心配しておる次第でございます。
  15. 小林武治

    小林武治君 現在の政治情勢で予想し得るところは、もう今後恐らく一月中に解散がある。従つてそれを実施する法律の通る余地がない。新しい国会はおそらく三月になる。従つてその法律が直前に出るということは非常に困難でありまするが、若しそれをおやりになるとするならば休会中、要するに解散前にしなけれぱならんと思いまするが、それとの調整はどういうふうに考えておられますか。
  16. 兼子秀夫

    説明員兼子秀夫君) 只今法律案を出したいということを申上げましたが、事務当局考えでありまして、まだ確定いたしておるのではないわけでございます。その方針につきましては、今後部内で検討いたしまして善処いたしたいと考えております。
  17. 小林武治

    小林武治君 これはもう重大な問題だと思いまするが、今の新しい長官とも急いで相談して、自治庁態度を早急に明確にしなけれぱなかなか困難な問題だと思うのですが、それについて又近くにでも地方行政委員会を開いてそれをお諮りになる、こういうふうな措置が必要だと思うのですが、如何ですか。
  18. 兼子秀夫

    説明員兼子秀夫君) 只今申上げましたように、事務的には、われわれは何とかいたしたいと考えておるのでございまするが、まだ長官とも十分この点について、事務引継ぎを目下やつておる最中でございまして、至急相談いたしまして態度をきめたいと考えております。
  19. 小林武治

    小林武治君 もう一つこの際伺つておきたいのでありまするが、最近まあ首長の繰上げ選挙、こういうようなことがしきりにあるのですが、これについては私はいいとか悪いとか、ある程度政府としての態度を明確にしたらどうかと思うのですが、そういうことについては何かお考えはありませんか。
  20. 兼子秀夫

    説明員兼子秀夫君) 地方公共団体の長の任期満了前に辞職して立候補する、いわゆる繰上げ選挙の問題でございますが、先般来知事選挙等でこの問題が数件あつたのでございます。これにつきましては前内閣の時代でございましたが、長官とも相談いたしまして、いかにするかということを相談いたしましたのでありますが、立法的措置をとることはやはりちよつと無理ではなかろうかという結諭に落ち着きまして、各長の良識に待つと申しますか、あるいは有権者の批判に待つという態度で行こうということに方針が決定いたしたのでございます。それからその後につきましては、まだこの点については相談をいたしておりません。
  21. 小林武治

    小林武治君 私はこの問題はもう世間に相当大きな波紋を描いておる問題で、政府としても立法はしないというならそれも又一つ態度ですが、それがいいことか悪いことか、こういうことについて政府立法を見ないので、ほおぶりでおるのもどうかと思うが、それではあまり予想、期待と違つて、少くとも私は道徳的にどうかと思うのですが、今申しましたように、政府ほおぶりというようなことは私はどうかと思いまするが、その点については一つ新しい長官は、新しい政府はどう思うか、こういうことも一応何とか表明する責任があるんじやないかというふうに思いますが、どうですか。
  22. 兼子秀夫

    説明員兼子秀夫君) その件につきましては、前の長官時代長官新聞記者等にはその好ましからざるゆえん、反対であるということを、方針は明言されております。でありまするが、政府としてですね、あるいは閣議決定のような形でそういう方針を宣明するというようなことはしておらなかつたのであります。新長官に対しましては、御趣旨の点をなおとくと相談いたしたいと考えております。
  23. 松澤兼人

    松澤兼人君 それであれですか、地方選挙統一の問題ですけれども、まあそういうことだつたら結局間に合わないということになるんじやないですか。それであなたのほうではぜひ出して、財政計画もどうなつておるのか、ぜひ至急に立案してそれでお出しいたしまするから、一つ御審議願いますと、そういう格好で出て来なければ、あなたのほうでは何を出すか出さないか、それもわからないし、こつちは自然休会になつてしまうので、もう再開後であつたら何もできない。やる意思があつたら何とかあなたのほうで態勢を固めておかなければならないということになるが、至急そういうことができないといつても、できないと思うが……。
  24. 兼子秀夫

    説明員兼子秀夫君) 当面の問題につきましては、本日長官と打合せることに予定いたしておるのでありますが、期日的に万一間に合わないという場合どうするかという問題でございますが、この場合には全国期日統一しなくても、四つ撰挙二つに括るということは財政計画の点もありまして、これは地方にそういう指導を行いたいと考えております。
  25. 松澤兼人

    松澤兼人君 指導だけでこれはできますか。あるいは勝手にばらばらにやるという希望の所が出て来たらどうなりますか。
  26. 兼子秀夫

    説明員兼子秀夫君) 法的拘束力がない関係上、指導でありますので、ばらばらになるおそれはあると思いますが、ただ期日統一法律によりませんと期日だけは統一されない。期日はだんだんにやつてばらばらになるかもしれませんが、二つずつの選挙にまとめるということは可能ではないかと思います。
  27. 松澤兼人

    松澤兼人君 結局まあこれで本会議というのはビルマとの条約の会議一つ残つておりますが、それから自然休会にしたいという話もあつたんですけれども、これが出て来ればどうしても本会議を開かなければならないということになると思うが、それに間に合うようならば、ちようどそのときに一緒に本会議に上程できるということになるが、それに間に合わないということであるならばそれは見込はないということになるが、早くそれは態度をきめてどうするかということを言つてもらわないと困るのですが。
  28. 兼子秀夫

    説明員兼子秀夫君) 方針をきめるという問題と、あと作業が残りますので、時間的に若干年内は無理ではないかと考えております。私ども考え方としましては、一月再開劈頭提出いたしたいという従来の予定で進んでおる状態でございます。
  29. 中田吉雄

    委員長中田吉雄君) ちよつとお尋ねいたしますが、組合せ等は非常に重大な関係があるので、立法措置によらず、あなた方だけで実地指導でやるということは、その際はやはり委員会の了承を得るとか、何らかの措置が必要で、地方選挙に重大な関係のあるものを一方的にやるということは、指導でやるということは、これは了承しかねますね。その点と、それからいろいろな組合せ利害得失というようなものをどういうふうに見ておられるか、その点を一つ聞かせて頂きたい。
  30. 兼子秀夫

    説明員兼子秀夫君) 組合せの問題でございますが、前回選挙におきましては、政府の原案は四月の二十九日に議員、それから五月の二十日に長と、そのような組合せで進んだわけでございます。修正の結果、市町村が四月の二十三日、府県が四月の三十日ということに確定されたのでございます。でございますので、われわれ事務当局といたしましては、前回国会意思を尊重して、又期日的に見ましても市町村が先に進行するものでありますから、市町村が先で府県のグループがあと、こういうように考えております。ただ前回同様に四月三十三日と四月三十日にするかどうかということは、告示その他の関係考えまして、今少しく合理的な措置をとりたい、かように従来考えておつたのでございます。  なお利害得失という問題でありますが、只今申上げましたように、まあ理諭的にと申しますか、筋から申しますと、国会修正意思を尊重すべきであろうというように考えております。利害になりますと、政治的利害で、府県議長会でありますか、これは書面でも出ておりますが、府県を先にしてくれというような意見もあるのでございます。その利害に入つてみますと、選挙運動をやつて市町村選挙が済んでしまうと、府県会議会選挙のときに運動をしてくれない、非常に困るというようなまあ実際上の利害があるようでありますが、どうもそういうことをちよつと取り上げるわけには参らないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  31. 中田吉雄

    委員長中田吉雄君) そうしますと、われわれとしては地方自治の将来に重大な関係のあることですから、立法措置を強く期待したいのですが、できない際はやはり自治庁だけの指導でなしに、何らか委員会が開ければ、懇談会の形でもいいし、国会意思を何らかの形で見て、そうして指導をやつて頂けるというふうに了解していいですか。
  32. 兼子秀夫

    説明員兼子秀夫君) 只今の御意見、新しい長官にもよく伝えまして、善処いたしたいと思つております。
  33. 中田吉雄

    委員長中田吉雄君) ほかにございませんか。——それではこの問題はこの程度にいたします。  述記をとめて下さい。
  34. 中田吉雄

    委員長中田吉雄君) 速記を始めて下さい。
  35. 加瀬完

    加瀬完君 自治庁に、地方公共団体公務員期末手当の件についてお伺いいたしたいのでありますが、非常に地方財政の逼迫から、赤字解消といつたよろな理由期末手当が従来のような国家公務員に準ずるという基準で施行されないじやないかということをいろいろ聞きますが、その点で国家公務員に準ずるという条例ども殆んど各府県の人事委員会できまつておるようでございますが、主として府県単位考えまして、条例に違うような、いわゆる切下げの支給というふうな府県が相当あるかどうか、その実情について。
  36. 後藤博

    説明員後藤博君) 期末手当予算の面から見ますと、大体各府県とも府県は一・二五を組んでおるようであります。従つてこれが支出できるかどうか、現在二、三の県につきまして、資金繰りに苦慮しておりますので、その資金の調達ができれば問題なく一・二五は出せるのではないか。ただ市長村の場合に五大市は問題ないと思いますが、十万前後の市以上は大体私どもが聞いておりますのは、一・二五組んでおるようであります。それ以下のところ、私はちよつとわかりかねるのでありますが、大体昨年通り期末手当を組んでおるといろ話だけを承わつておるのでありますが、十万前後の市で非常に困つておる市二、三につきましても、やはり一・二五組んでおるようでありますから、大体まあ市は一・二五組んでおるのではないかと思います。町村事情はちよつと今私ども現在のところわかりかねる次第であります。
  37. 加瀬完

    加瀬完君 町村は非常に数も多いのでありますから、自治庁でおわかりにならないのも尤もであると思いますが、主として府県について見まするときに、地方財政計画において夏手当及び期末手当等財源措置はできておるはずなんでありますが、しかし財政計画の上からいろいろ赤字が出て参りますので、その赤字とからみ合せて切下げられる、期末手当を実質的に切下げられる、そういう例が今までなかつたわけでもないわけであります。本年は非常にそういう傾向が強いのではないかということを伝えられておるのでありますが、そういう各府県については、赤字等理由期末手当が切下げられるという事実はございませんか。
  38. 後藤博

    説明員後藤博君) 府県については現在のところ予算の上では全部一・二五を組んでおるようであります。一つ残つておりました京都も最近補正予算で組みましたので、全府県とも一・二五組んでおります。
  39. 加瀬完

    加瀬完君 予算の上で一・二五組みましても、しかし支給内容としては財源不足理由公債義務負担のような形で購入させるとか、あるいは一部支給の繰延べをさせるとか、そういう事実はございませんか。
  40. 後藤博

    説明員後藤博君) 今まで私ども聞いておるところでは、そういうところは現在のところないようであります。資金措置が完全にできてないところとして京都が残つておりますが、京都府の資金措置を、どのくらい出るかということによつて京都府の問題がきまるわけであります。それ以外のところでは現在一・二五を出すというようなことを私ども聞いております。
  41. 加瀬完

    加瀬完君 赤字しわ期末手当に特別寄せなければならないという、財政事情のなにはないわけでありますか。逆に言うならば、赤字しわ手当に寄せ集められないような財政上の措置が講ぜられておる。自治庁の見解は右の通りである、こういうふうに了解してよろしいですか。
  42. 後藤博

    説明員後藤博君) 期末手当予算措置し、一・二五を出すわけでございますが、その措置をやりまするには、やはり年末の資金繰り考えてやらなければならない。期末資金繰り府県で申しますと約三百億の資金が必要でございます。そのうち政府資金でどのくらい見られるかという問題がございますが、これは起債前借りと、それから一般の財政資金と合せて大体三百億に近い数字をお願いしておるわけでございます。最近の状況では大体まあ各府県とも資金状況が全部見通しがつきまして、京都を除いては大体私は現在資金見通しはついたんじやないか、かように考えております。従つて一・二五は出せる。かように私どもは見ております。
  43. 加瀬完

    加瀬完君 この期末手当予算といいますか、財政計画から見ればそういうふうになつております。しかしほかに赤字がたくさん出て参りますると、この期末手当の一部というものをさいてその赤字の補填に充てるというふうな形から公債などを発行いたしまして、その公債期末手当を受ける公務員に半ば義務的に負担をさせるという県があるように聞いておるのでありますが、そういう点は自治庁としてどういうようにお考えになりますか。
  44. 後藤博

    説明員後藤博君) 期末手当をそういうふうにするというふうな話を私は聞いておりません。昇給分だけをそういうふうにしたいというところはあるようでございますけれども昇給分を一時積み立てて、そうしてそれを資金繰りに使うとか、まあいろいろなことを考えているところがあるようでございますが、期末手当だけをちびつて、そのちびつた額を何とかするという話は私は存じません。
  45. 加瀬完

    加瀬完君 初めからちびるわけではございませんがね、結局表面は依頼をするような格好で、内容としては実質的に義務負担のような形で公債を購入させる。こういう形をとつておる府県があるように聞くのでありますが、そういう方法をとることは自治庁としてはどうお考えですか。
  46. 後藤博

    説明員後藤博君) 期末手当は私はちよつと性質が違うんじやないかと思つておりますが、まあ昇給分昇給させないで、そうしておるところは相当ございまして、その昇給を一応するが、この昇給というのはいろいろ他の給与関係に影響して参りまするので、やむを得ずその昇給を認めますけれども、その分は組合と話をしたり、職員と話をいたしまして、何らか別な方法でもつてその団体が使えるような方法にしたいということは申しております。これは団体との間の話でありまするので、私どもかれこれ申しておりません。ただその方法について今まで聞いておるのは、私どもはそれを預金をして、預金格好でその預金をしたものを借りるという考え方はいいかもしれませんが、それ以上に出て行くのはちよつと不穏当じやないかということは申したことはございます。まあみんなで個々の人が貯金する格好にして、その金を融通してもらう、こういう格好であれば、別に私は話合いでやることは差支えないと、かように考えております。それ以上に取り上げてしまうということになりますと、これは別な問題ができて参りますので、多少問題があるということを私かつて申したことはございます。
  47. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると、結局そういう各府県において非常に赤字のためにとり得べからざる手段をとつてまで、赤字の問題を期末手当しわ寄せしなければならないようなことはないはずだ、年末資金繰りは一応ついておるはずだから。こういうふうに解釈してよろしいのですね。
  48. 後藤博

    説明員後藤博君) 年末の資金繰りはまだ終つたわけじやございませんで、まだ進行中でありますので、全体の全貌がよくわからないのであります。政府資金関係起債前借りのほうは大分さまつて参りました。しかし財調資金のほうの関係がまだ正確にはわかつておりません。これは出先で借りるものがございますので、私どものほうはわかつておりません。東京で、本省で折衝しております分は逐次わかつて参りまして、私どもが現在のところ心配しているのは、京都だけということに大体今朝の段階ではなつて来たようであります。二、三日前までは大体六、七県あつたのであります。それから市のほうを見ますと、市も大分話がきまつて参りまして、山口市と鳥取市と二つが残つておるよろであります。山口市のほうは、それは財務局のほうで数字が出ておりますので、一応私どものほうで協力をお願いをいたしております。これも大体私は目鼻がつくと思つております。鳥取市だけがまだ財務局段階話合いをいたしておりますので、どういう数字財務局との間で話をきめて持つて来るかわかりません。それを持つて来た上で、これは大蔵省に話をして行きたいと、かように考えております。従つてまあ市では鳥取、県では京都というようなのが最後の資金繰りの一番むずかしいところではないかと、かように考えておる次第であります。
  49. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると、京都鳥取を除きますと、一応年末手当分資金繰りはつくはずだということでございますか。まだ確実についておらないという話ですが、確実につくはずだということですか。
  50. 後藤博

    説明員後藤博君) 私どもとしては、資金繰りと申しますのは、年末に事業支払わなければならない金と、それから給与関係支払う金と、二つございます。私ども考え方としては、事業支払を全部やるという計画にわれわれのところの書面にはなつておるのであります。それをどのくらいに抑えられるかという問題が実際問題としてあるわけであります。従つて給与だけ支払うのであれば、現在の資金繰りで私は別に差支えないのじやないか。ただ事業関係をどの程度に払うかということによりまして、給与支払関係が変つてくるわけであります。その辺まで細かく私どもは指示することはできません。従つて中小企業も困つておりますので、事業支払給与支払とを併せてやるという考え方が強いのであります。その際に、現在の借りました資金で間に合うかどうか、こういうことは個々団体について問題があると思いますが、しかし私は給与だけの支払であれば、現在の資金手当で大体できるのじやないか、かように考えておるわけであります。
  51. 加瀬完

    加瀬完君 問題はそこなんです。結局給与の分だけに資金繰りしたものを全部支払うということはまずい。どうしても事業分のほうにも廻さなければならない。そうするといろいろ自治庁から心配してもらう、あるいは府県独自でやり繰りをした資金というものは、給与分と事業分両方賄うことはできないから、そこで併せた不足分というものが年末手当のほうの実質支給という形式の形で公債を買わせるとか、何かの形で余さなければ賄えないという結諭も出てくるわけであります。それで結局年末手当の分にかぶさつてくるということになるわけでありますが、そういうかぶせ方、年末手当の分を名前はどうであろうとも、実質的には切下げをした形にして、事業分に廻すという資金操作をする県に対しましては、自治庁としてはどんなお考えをお持ちですか。
  52. 後藤博

    説明員後藤博君) 先ほど申しましたように、私どもは年末資金をそういう格好でちぴつて出すというのは、ちよつと私も聞いておりませんし、別に年末資金というものは性質が違うのじやないかと私ども考えておりますが、年末資金ば年末資金として一・二五出すべきじやないか、かような考え方をしておりますので、従つて現実にやはり私は一・二五十出のじやないか、かように思つております。従つてそれをちびつて出すというようなことは、ちよつと考えられないのじやないかという考えを私は持つております。
  53. 松澤兼人

    松澤兼人君 上のほうから見ると、資金繰りができておるような格好になつておると思うのですが、しかし市なんかとつてみますと、火の車であるということはよくわかる。しかも市当局のほうで資金繰りができない、特に期末手当資金繰りができない。そこで市のほうでは組合のほうに頼んで、組合がどこからか金を借りて来い、そうすれば期末手当を払つてやると言う。どこから借りて来るかというと、労働金庫からである。それで兵庫県の例をとつてみますと、伊丹、尼崎、西宮、それから明石、それから先の市も恐らく三千万円、四千万円というものを市職員が労金から借りて来て、期末手当を払つてもらうという格好になつておる。それですから、恐らく二億程度のものは、年末に労金からそういう自治体の職員が借りて、これを市長のところに渡して、それを又自分がもらうという格好になつておる。こういうことであれば、折角労金の、民間の労働者の困つておるところを救わなければならんあり金の全部が公共団体のほうに行つてしまうという格好になつておるが、こういうことはどうですか。
  54. 後藤博

    説明員後藤博君) 労働金庫から金を借りておるものを私ども多少存じておりますが、おつしやる通り、労働金庫の金はそれぞれ私ども地方団体でなくて、他の借入団体があるわけでありますので、そちらのほうに向けるのが正当であろうと私ども考えております。従つて労働金庫にあまり頼つて行くということは、私どもとしてはあまり賛成いたしておりませんし、労働金庫から借りております金の利子が非常に高いのであります。大体日歩四銭ぐらいになつておると思います。それから借り方がちびちぴと非常に短期間に借りておりますので、そういう借り方は地方団体として困る。最低一月ぐらいの限度で借りないと、償還ができないのじやないか、こういうことも考えられますので、私どもとしては労働金庫からなるたけ借りないで、政府資金を借りる、それから他の金融機関から借りるという方向に持つて行きたいのでありますが、個々の組合関係で直接労働金庫にお話になつて、そうして資金繰りをつけておるといろところもあるのであります。これは正常な姿に早く返して行きたい、かように私ども考えておるのであります。
  55. 松澤兼人

    松澤兼人君 これはそういうことはいけないと言つたつて、実際そういうことになつておる以上は……。もう一つ僕ら言いたいことは、そんなら地方公共団体がそれほど困つておるなら、一時政府資金か何かを労金に預託して、期末の期間だけは何とか面倒を見てやらなければ、民間の人たちは非常に困つておる。中小企業のために労働省では労金に預託した、そういう金が公務員に廻つちやつて、民間の中小企業の困つておる人に廻らないという現象が出てくる。労働省としても何しておるかわからない格好になる。今自治庁としてはそういう労金に預託するとか何とかいう考えは全然ないのですか。そういう方法は反対なんですか。
  56. 後藤博

    説明員後藤博君) 私どもとしては、そういう政府資金を預託するという方法は避けて頂きたい。若しもそういう余裕があるのであれば、今の公募債を政府資金起債に振替えてもらいたい。結局間接には同じことであります。銀行から公募公債で相当借りておりますから、それを政府資金に振替えて行く、そのことのほうが筋ではないか、かように考えております。
  57. 中田吉雄

    委員長中田吉雄君) 西田自治庁長官、安藤自治庁政務次官がおいでになつていますが、お忙しいと思いますし、何か御発言でもありましたり、あるいは御質問でもありましたら……。
  58. 西田隆男

    ○国務大臣(西田隆男君) ちよつと御挨拶だけ……。  私今回自治庁長官を拝命いたしました。地方行政に関しましては全くのしろうとでございまして、せいぜい勉強して国家のために尽したいと、かように考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
  59. 安藤覺

    説明員(安藤覺君) 私、只今御紹介頂きました安藤でございます。私も又誠に恐縮でございますが、農政にのみ由来専心いたしておりまして、地方自治問題については全く白紙であります。どうか皆様方の御指導、御鞭撻を得まして、その職責を果して行きたい、かように存じております。よろしくどうぞお願い申し上げます。
  60. 中田吉雄

    委員長中田吉雄君) 何か御質問ありますか。  ちよつと速記をとめて。
  61. 中田吉雄

    委員長中田吉雄君) それでは速記をつけて下さい。
  62. 加瀬完

    加瀬完君 当局だげじやなくて、大臣にも御配慮を頂きたいんでありますが、先ほど伺いました期末手当の自治的な切下げ支給の問題でありますが、これは県なり市なりが赤字解消という理由をもちまして、公務員に協力しろと、その協力の実質的な内容として公債を義務的に購入をしろというふうな形をとつて来られると、公務員としても真向からこんなばかなことはないと断りきれないような事態が生ずるだろうと思うのです。そういう事実がまだ御調査の中にはないというお話でございましたが、今後御調査下さいまして、そういうような府県かございましたならば、他の公務員と比べまして非常にそのために不利益な待遇をされるということのないような御指導をお願いを申し上げたいと思います。
  63. 後藤博

    説明員後藤博君) お答えいたします。御趣旨にそつた指導をいたしたいと考えております。
  64. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 後藤部長は、さつき加瀬委員に対する答弁の中に、一・二五は出すのが適当だ、一・二五を出すのが至当であるというようなことを言われたが、そういう頭で自治庁指導しちやよくないので、財政計画はそういうふうにしてあるのだ、出したいと思えば国家公務員並みに出せる財政計画を通してあるというだけのことが必要なんで、それ以上このくらい出すのが適当だということで指導するのは適当じやない。余計出しても構わない、少なくても仕方がない。これは少くとも今日の自治法の建前はそういう建前なんで、一・二五を出すのが適当だ、至当だというようなことで地方公共団体指導するのは、今日の自治法の建前から言つて地方自治庁としては行き過ぎだと思うが、どうですか。
  65. 後藤博

    説明員後藤博君) 私どもとしましては、期未手当財政計画上一・二五組んでおります。従つて二十九年度の財政計画としては二百七十五億を組んでいるのでありますが、これを私どもは期待いたしているのであります。その期待に副つて地方団体が、一・二五分組んでおるのであります。従つて予算を組んでおるのでありますから、私はその予算の執行についてその一・二五を基礎にした資金繰りを私どもに要求しておりますので、その線に副つてども資金の今調達を斡旋しているわけであります。私どものほうは資金調達がすぐできれば一・二五は当然出せる、こういうことになります。一・二五を当然出さなければならないという指導は私どもは現在いたしておりません。勿論そういうことも先ほど私の言葉が足りなかつたかもしれませんが、申上げてはいないと私は考えている次第であります。
  66. 加瀬完

    加瀬完君 伊能委員の御質問に反対をするわけではございませんが、そういう意味でなくおとり頂きたいと思います。財政部長の御答弁は当然それでよろしいと思うんですけれども自治庁当局といたしましては、府県条例が殆んど国家公務員に凖ずるという条例によつてできているわけでありますが、それで一・二五というものを国家公務員支給されるなら、しかも財政計画が一・二五となつているならば、この条例できめられた通りの事項が行われるように指導して頂かなければならないものだと私は思うんです。そういう意味合いにおきまして、幾ら出しても構わん、上廻ることは協議の上でやるのですから構わないにいたしましても、条例違反のような支給が実質的に行われているようならば、条例違反のような支給が行われないように御配慮願わなければならないものだと、この点これは大臣にも先ほど私がお願いを申上げました通り、十分御配慮頂きたいと思います。
  67. 西田隆男

    ○国務大臣(西田隆男君) 私就任早々日が残くて、詳細なことは承知しておりませんけれども、今の一・二五の期末手当の問題につきましては、さつき部長が答えましたような考え方で大蔵省と折衝いたしておりますし、又伊能委員の言われましたように、そうせねばならないという通達を発したり何かする気持は毛頭持つておりませんが、できるだけその線に沿つてつていきたいという希望を持つております。
  68. 中田吉雄

    委員長中田吉雄君) では資金手当の実情についてお伺いしたいと思います。
  69. 後藤博

    説明員後藤博君) 十二月の資金需要を十一月の終りに大体各府県とも調べてみましたが、府県のほうを申しますと、府県のほうの資金需要の総額は約八百億であります。そのうち大きいものを申しますと、基本給が百六十億、年末手当が二百十億、これは一・二五の計算であります。それから社会保障関係で二十五億、災害を含めた公共事業が約二百五十億、合わせて八百億ちよつとになります。これに対しまして十二月の収入を見ますと、税収入が百四十一億、国庫支出金二百二十二億、その他六十三億で四百二十六億、約四百三十億ぐらいになりますが、それぞれの団体で細かく調べておりますので、前月末の歳計現金を持つておる団体が相当ございます。そういうものが百二十五億ばかりございますので、合せますと歳入の関係では五百五十億ぐらいになると思います。従つて八百億から五百五十億を引いた二百五十億の資金需要があると、こういう計算がまあ出るわけであります。併し個々団体になりますと資金需要は必ずしも二百五十億ではございませんで、少し殖えて参ります。約三百億と私ども考えておる次第であります。その外五大市で三十五億同じような計算をいたしております。それから東京都が三十五億、市町村が合せまして、これはわからない点がございますので、ある程度推計を加えまして、約九十五億ぐらいではないか、合せまして四百六十六億の新らしい資金が必要である、かように私ども考えたのであります。  でこの計画自体は全部政府資金を以てこの四百六十億を埋めるという計画になつております。従つて個々団体が銀行から借入れる金というものは一応この四百六十億の中に入るわけでありますが、われわれのほうには全部政府資金でもつて調達してもらいたいという希望になつております。これに対して私どもは大体二百五十億ばかりの起債前借りをお願いいたしております。これは先般十一月の中旬に補助事業等の起債市町村九十億、それから府県三百七十億ばかりの起債の予定額を示しておりますので、その前借りをできればしたい、こういうことで大体二百五十億程度のものを前借りで調達しよう、前借りというのは御承知のように、これは一度借りたらそのまま起債になつて行くものでありまして、支払を要しないものであります。従つてこれをできるだけ多く借りよう、こういうことで三百五十億の要求を大蔵省及び郵政省にいたしております。これについて私どももいろいろ努力しておりますが、今のところはつきりした数字がわかりませんが、二百億程度のものは私どもは確実に前借りできると思つております。でその前借り団体を見ておりますと、工事の早く済んでおります所——裏日本、それから北のほうの地帯には起債の要求額の七、八割くらいは大体前借りできるのじやないかと、かように考えております。現実にきまりましたものを見ますと、相当に前借りができております。それからあとの残りました二百二十億、これをいわゆる財調資金でもつて借りたい、こういう考え方であります。でこの二百二十億のうち、大蔵省といたしましては、四十億だけこれは大蔵省と郵政省、両方から借りるわけでありますが、四十億だけ地方財務局のほうにすでに新らしく出しておられますので、これはできるだけ市町村のほうに廻してもらつて、大口の府県のものは大体は中央で資金繰りをして行く、こういうことになりますので、大きなものはみんな中央で現在われわれが中に入つて斡旋をいたしております。従つて四十億プラス・アルファがあるわけであります。郵政のほうも多少ございます。それからすでに今まで大体郵政及び大蔵で二十億くらいの金が三カ月期限ぐらいで廻つております。従つてそういうものがある程度資金需要のありますところに廻つて行くことも考えられます。  まあかれこれいたしまして、大体二百八十億から三百億程度のものが前借りと合せて私どもは調達可能ではないかと考えております。このくらいのもので政府資金は大体賄い得る。それ以外のものは個々の金融機関からすでに、特に市あたりで銀行から借りておる所も相当ございます。すでに資金手当も済んでおりますので、そういうものも相当ございますので、一、二の団体を除いては大体年を越せるのじやないか、こういう見通しをつけております。まあ問題の残つております所は京都と最後は鳥取くらいになるのじやないか、それも早急にここ二、三日のうちに話がつけばつけて行きたい、かように考えております。
  70. 中田吉雄

    委員長中田吉雄君) ありがとうございました。  では本日はこれをもつて散会いたします。    午後零次十七分散会