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説明員(
渡邊喜久造君) 非常に恐縮でありますが、ちょっと申上げさせて頂きますと、御
承知の
ように昔の第三種
所得におきましては千円、その前は千二百円が免税点でありました。十五年の
税制改正の機会におきまして、その免税点の制度はやめて、現在の
基礎控除にしたわけであります。第三種
所得の場合におきましては、御
承知の
ように一番下の税率は百分の〇・八だと思います。従って千円でありまして八円の
税金、こういう
ように税率が低い税率でありましたために、その場合におきましても極端に言いますと実は九百九十九円の人は
税金が全然かからない。ところが千円になって八円なら八円の
税金を払いますと、手取りは九百九十二円になる。まあ一円余計になつたために手取りは却
つて減る。こういう問題になるわけでございます。そこでどうもこれはどういうふうに作りましても、免税点の制度の場合におきましてはそういう差はここに出るわけでございまして、免税点が高けれぱ高い、特に最近の
ように、これは額だけの問題でございますが、七万とか何とかということになりますと、そこで手取りのちょっと多いために
税金がかかる人というものの差が付いて来るのであります。これは幾らでも実は技術的には手はあります。そういう場合におきましては手取りが千円を下らない
ようにする。従って千一円の場合の人は一円だけが
税金になる、千二円の人はニ円だけが
税金になる、結局まあ少くとも千円は手取りにする。こういった免税点の作り方がございますが、やはり何と申しましても、そうして参りましても、丁度累進税率のカーブが相当そこまで妙に急に、ジグザグじやありませんが、ぎこちない実は格好になるわけであります。そこで結局現在の
ように
基礎控除という制度をとりまして、その残つた残額だけに税率をかけ
よう、こうしますと税率は当初から割合に高くならざるを得ません。免税点でありますと今度は逆に
最初の税率は相当低くし、同時にしまいまでその税率で行く場合におきましてばなかなか税収が上りませんので、急速に上げなければならん。とういう
ようないろいろな技術的な面がございまして、どうも私は、我々はやはり
基礎控除の制度がよろしいのじゃないか。それは税収におきましては御
承知の
ように確かに
基礎控除のために非常に税収の減が多くなります。
そこでまあ多少衒学的になって恐縮ですが、ロイド・ジヨージが一九〇八年でございましたか、初めてイギリスの
所得税に累進税率による当時のスーパー・タツクスというのを作りました。これは現在附加税、サー・タツアスで残
つておりますが、これを持込みました。これは免税点は相当高かったんですが、
基礎控除の額定を、例えば日本の例で言えば免税点を千円と定めて
基礎控除を八百円にした。こんなところで減収額を調整した例もございます。この二つをどういうふうに使い分けて行くか、いろいろ技術的に
考え得るところでございますが、できるだけ
税制を簡明にする
意味におきまして、それから今の税率の面から
考えますと、どうも
基礎控除の制度のほうがいいのじゃないか。簡単で同時に税率のなだらかさもいいのじゃないか、か
ように
考えております。