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1955-01-23 第21回国会 参議院 水産委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年一月二十三日(日曜日)    午後三時二十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小林 孝平君    理事            青山 正一君            千田  正君    委員            秋山俊一郎君            雨森 常夫君            島村 軍次君            森崎  隆君            東   隆君   政府委員    通商産業政務次    官       山本 勝市君   事務局側    常任委員会専門    員       林  達磨君   説明員    厚生省公衆衛生   局環境衛生部長  楠本 正康君    水産庁生産部長 増田  盛君    通商産業省鉱山    局長      川上 為治君   —————————————   本日の会議に付した事件水産政策に関する調査の件  (ビキニ被爆事件に関する件)  (漁業用外貨割当並びに輸入関税に  関する件)   —————————————
  2. 小林孝平

    委員長小林孝平君) ただいまより水産委員会開会いたします。  ただいま出席政府側方々通産省川上鉱山局長農林省水産庁岡井次長増田生産部長丹羽海洋第一課長増田海洋第二課長小池水産課長、大蔵省の北島税関部長、間もなく厚生省楠本環境衛生部長が見えられますが、以上の方々であります。  まずビキニ被爆に関する件を議題にいたします。この問題につきましては、昨日の本委員会におきまして、千田森崎その他の委員からきわめて重大なる質問政府に対してなされております。本日はこれに対してまず根本官房長官から政府の所信を承わって、その上で質疑応答を重ねたいと考えておりましたところ、はなはだ遺憾ながら根本官房長官出席いたされておりません。  この際その質問の要旨をここでかいつまんで申し上げますと、政府水爆実験損害額二十六億余円を米国政府に通告しておきながら、わずかに二百万ドル、七億二千万円の慰謝料をもって本問題を解決しております。そこでこの政府が認定した損害額二十六億円と今回の慰謝料七億二千万円との差額約十九億円をどうしようというのであるか、国内的措置によってこれを補償するのであるか、しないのであるか。七億二千万円を慰謝料、つまり見舞金の形で払って、その他の十九億余万円は漁民の犠牲において一切が解決したものとしてしまぅのであるか、そうではなくて別途立法措置予算措置をして損害補償してやるのであるかということであります。  そこで先ほども申し上げましたように、根本官房長官は御出席ありませんので、この問題をいかが取り計らいましょうか。
  3. 青山正一

    青山正一君 ただいま委員長発言のあるように、このビキニ水爆実験補償に関する問題につきましては、政府は非常に不誠意のように見られるわけでありますが、たとえば昨日の田上総理府審議室長発言によりますと、政府アメリカのつかみ金のみで解決しようというような空気が暗に現われておるわけであります。こういうことでは、私どもが今まで二十数回にわたりまして、参議院の水産委員会の席上でこの問題に誠意をもって当っておったわけでありますが、ことに明日かあるいは明後日解散になりますると、この問題を討議する機会がなくなるわけであります。こういうことでは、私ども水産委員会の今までの誠意の現われは水のあわというような結果になりますからして、この際、私ども委員会といたしまして、一つ決議をもって政府に強力にある種の進言をいたすよう、一つ委員にその点を諮っていただきたいということを希望いたします。
  4. 小林孝平

    委員長小林孝平君) お諮りいたします。ただいまの青山委員提案に御異議ございませんか。
  5. 千田正

    千田正君 異議はありませんが、外務省からだれか責任者が見えておりますか。
  6. 小林孝平

    委員長小林孝平君) 本日は、外務省出席を要求いたしましたけれとども、ただいま衆議院で本会議を開いておりまして、政務次官並びに条約局長アジア局長の両局長とも議場に入っておりますので、出席できません。
  7. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 私は昨日遅刻をして参りましたために、各委員質問に対する政府委員答弁をことごとくは承知していないのでありますが、ただいま委員長から述べられたアメリカ慰謝料として出した二百万ドルのほかに、捐害としてはさらに十九億円ほどの計算が出ている。そういうものに対して日本政府補償するのか、あるいは何らかの措置を講ずるのかという質問がおそらく委員のうちからあったと思われるんですが、それに対する政府委員答弁がどういうことを言われたのか、何も言われなかったのか、その点を伺いたいんですが。
  8. 小林孝平

    委員長小林孝平君) お答えいたします。昨日根元官房長官出席されませんで、代理として、内閣審議室長田上参事官出席されまして、ただいまの御質問に対しまして、政府といたしましては、これは残額については日本政府責任でないということの答弁があったのであります。これについて森崎千田その他の委員から、さらに質問がありまして、この発言が非常に不適当であるということを指摘されたのであります。そこで田上参事官から、右の発言を訂正する、取り消すという発言がありましてそのままになっておりました。そこで、この問題はきわめて重大であるから、根本官房長官出席を求めて問いただすことにしておったのであります。ところが本日、先ほど申し上げましたように、根本官房長官出席いたされませんので、この取扱い方をお諮りいたした次第でございます。
  9. 青山正一

    青山正一君 ちょっと懇談会の形式にしていただきたいと思います。
  10. 小林孝平

    委員長小林孝平君) 速記をとめて下さい。    午後三時三十四分速記中止    ——————————    午後三時五十三分速記開始
  11. 小林孝平

    委員長小林孝平君) 速記を始めて下さい。  青山委員の御提案に御異議ございませんか。
  12. 小林孝平

    委員長小林孝平君) 御異議ないと認めます。  それでは青山委員からこの案文について御披露願います。
  13. 青山正一

    青山正一君 ここに案がありますが、ちょっと読みます。    ビキニ水爆実験補償に関する件(案)  昨年三月ビキニ環礁において、米国が行なった水爆実験により、わが水産業のこうむった損害補償に関し、政府は今般慰謝料二百万ドルの受諾をもってすべてを解決しようとしているが、慰謝料二百万ドルの金額は実際損害額二十数円に比しあまりに少額であり、かつ慰謝料として受諾したことは、米国の法律上の責任に基く賠償を行なったものとは考えられない。米国政府との折衝の経過を見ても、水爆実験違法性を明確にせず、また今後の原水爆実験に対する禁止並びに被害防止についても、何らの保障が行われていないことはきわめて遺憾である。  事件解決に関する今回の措置により漁民損害に対する補償並びに原水爆実験防止に関する責任は今後日本政府にあると考えられるに至った。  よって政府はこの際左記事項に関する適切なる措置を行なって、本問題のすみやかなる解決をはかるべきである。 一、漁業者のこうむった全損害政府責任において補償すること 二、国民の最も憂慮している原水爆実験禁止に関し最善を尽すこと 三、原水爆実験により水産業に及ぼす被害を完全に防止するとともに万一損害があった場合はこれが完全なる補償を行う旨を明確にしておくこと  右決議する。  以上が案でありますが、これは委員長の方において適当に緑風会のそれぞれの御意見も取り入れて一つ御訂正願って、十分検討していただきたいと思います。以上。
  14. 小林孝平

    委員長小林孝平君) ちょっと速記をとめて下さい。
  15. 小林孝平

    委員長小林孝平君) 速記を始めて下さい。  三十分間休憩いたします。    午後四時六分休憩    ——————————    午後五時四分開会
  16. 小林孝平

    委員長小林孝平君) 委員会を再開いたします。  青山委員から提案がございました案文につきましては、なお多少字句の修正の点もあろうかと思いますので、委員長において適宜委員各位の御意見等も参酌いたしまして、案文を最終的に作成して決定いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
  17. 小林孝平

    委員長小林孝平君) さよう決定いたします。  なおこの決議案は、内閣総理大臣外務大臣農林大臣大蔵大臣厚生大臣あてに提出いたしたいと存じます。   —————————————
  18. 小林孝平

    委員長小林孝平君) 次に厚生省に対して質問いたします。厚生省では、本月から各漁港で行なっていたマグロ類放射能検査中止したようでありますが、これはいかなる理由によるものでありますか。本問題については、専門学者の間にも、国民衛生の見地から強い反対諭があります。一般国民の間にも非常な不安感が高まっていることは厚生省でもよく御承知のことと思います。ところがこの措置がたまたま日米交渉の妥結と時を同じうしてなされたということは、二百万ドルで今後の損害は一切解決で、たとえば今後廃棄マグロが出ても損害補償のしようがないということから、かような措置をとったのではないかとも見られるのであります。いずれにいたしましても、この検査中止ぱ国民に大きな不安を与えていることは事実であります。この際国民が納得するような、御説明を願います。
  19. 楠本正康

    説明員楠本正康君) ただいま委員長から御指摘のございましたように、厚生省といたしましては、昨年十二月末日をもって、長い間行なっておりましたマグロ検査中止いたした次第であります。この理由につきましては、私どもはかねて放射能による魚類の汚染状況を、各専門研究者等を動員いたしまして調べて参りました。その結果、第一に私どもの直接食用に供しまする肉部におきましては、放射能汚染はきわめて微量でありまして、これをカウント数にいたしましてもすべて十カウント以下であります。ただし魚を全体としてはかりますると、かなり高い汚染を示すこともございまするが、これはもっぱら私ども食用に供さない部分、たとえば内臓器のようなところに汚染が強い結果、全体としては高いものが現われてくることがあり得るわけでございますが、少くとも食用に供しまする肉部におきましては、きわめてわずか、危険性のない範囲であることを確認いたしました。  第二は、これらの魚に沈着いたしまする放射能を、その後さらに分析をして見ました。いかなる放射性物質によって汚染されているものかにつきまして、これまた研究を進めておったのでありますが、昨年の十一月にたりまして、おおむねこれが亜鉛である、つまり大部分亜鉛であって、人体に害のあるストロンチウム等物質はきわめて微量であることが確認されました。従って、もともときわめてわずかしかないものが、もちろん人体影響のない程度しかないものが、しかもこれを調べて見るとストロンチウムのようなものはない、亜鉛であることがわかったのであります。御承知のようにストロンチウムは、能力のある期間が約二十五年と言われておりすが、亜鉛の場合にはわずか二百五十日で、もう比較にならぬ毒力であります。  第三は、これらの発見されます汚染したマグロというものは、これは全体に対しますとわずかに〇・五%に過ぎません。つまり二百匹に一匹ということでございます。従いましてわれわれがこれをかりに、もちろん毒ではありませんが、何ら支障がありませんが、かようなものを食用するといたしましても、二百回に一回という割合に相なります。もちろん先ほど来申し上げましたような亜鉛のきわめて少量というようなものは、毎日きわめて多量に食べても何ら害がないにもかかわらず、それも二百回に一回ということになりますと、ますますもって問題がなくなって参ります。かような結果が、私どもはもちろん学問研究でありますので、昨年の九月、十月頃から逐次確認せられて参りまして、各研究者が一致した成績として確認いたしましたのが十二月の当初であります。で、それ前に私どもといたしましてはこれらの結果は、たとえば亜鉛であるというようなことは世界で初めて発見されたことでありまして、世界学界にも報告をいたしまして非常に感心をされておるような状况であります。従って私どもといたしましては、これらのマグロ研究結果というものが大勢の直接研究しております学者の一致した意見であり、しかもこれらが何ら全く危害のないことが明らかになりましたのでさような措置を講じた次第であります。ただ、ただいま委員長の御指摘のように、ごく一部の学者は目下反対をいたしております。しかしながら、これらの学者は大体直接研究をしている方々ではありませんので、いろいろ想像等も加えまして反対をされておるわけでございますが、ただどんなことでも学界反対のない意見というものはございません。これはたとえば現在私どもは痘瘡の予防種痘をいたしておりますが、種痘についても反対が行われておるという人もあるわけでございますので、これらは私どもといたしましてはできるだけ納得をしていただきたいと思っておりますが、これは別にデータ、研究資料等に基いての反対でございませんので、私どもといたしましては何ともいたしかねる状況でございます。  次に国民の不安があるという御指摘でございまするが、私どもといたしましては全くこの安全ということを新聞その他を通じてできるだけ御理解いただけるような努力をして参っております。なお今後もさらにこれらの研究成績等を十分にわかりやすく公表いたしまして、もし、かりにも御不安があるならばこれを除去するのに努めて参りたいと考えております。  次に時期の問題がございまして、たまたま二百万ドルで妥結するときと一致したじゃないかというお話でございますが、これは全くの偶然の一致でございまして、私どもといたしましてはたびたび研究会議を開いて進んで参りましたが、当初八月、九月、十月とたびたび研究会議を開いて、その最終的な結論が十二月の当初に得られたわけでございまして、従ってこれらは何らこれとは関連はございません。私たち措置は全く技術的な学問研究の結果を行政に反映したに過ぎないのであります。
  20. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 ただいまの御説明で害のないということもわかりましたが、やはり一部に反対があるということにつきましては、国民はある程度の不安はおおいがたいと思うのです。これはかつて検査を厳重にいたしまして、市中に出したものは無害であるからといった際においても、なおかつやはり不安があって、なかなか魚を、マグロなんかを食わない人があって、そんなためにマグロの売れ行きが悪いとか、あるいは値が下ったというようなことは事実あったわけでありますが、今後政府当局が十分これを宣伝に努めて、何か動物実験等の結果でもはっきりいたしてくるということになれば、その点は漸次解消すると思いますが、これは昨年の三月に実験が行われて、当分の間は相当強い放射能の検出があったわけで、だんだん日を経るに従ってこれが少くなって来て、昨年の秋ごろからほとんど無害じゃないか、非常に少いのだということになって来たので、今日ではそういう理論も立つと思いますが、今後のことはよくわからんにいたしましても、再び水爆だかなんだか知らないが、そういう実験が行われて、そうして海洋における水産物等にも汚染があったとしたならば、そのときにはまたあらためて検査をやられるつもりであるか、もう検査はそれによって、水爆実験ならばやらないでもよろしいというお考えであるか、その点を一つ伺っておきたい。
  21. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 今後の点につきましては、現在は、かりにも原爆実験というようなことが行われるということになりますれば、あらかじめ通報をしてもらうということを私たちは強く要望をいたしております。これらの点につきましては、本委員会におかれましてもお話し合いがあったと存じますが、私どもといたしましては、この点は強く要望いたしております。従いましておそらく今後実験がかりにも行われるとするならば、必ず事前に連絡があることと存じます。従ってかような場合にはどういう汚染状況があるかという点から、直ちに状況調査意味検査を始めたい所存でございます。そこで問題は、もしもこっそり実験をした場合にはどうだろうか。こういうことになるわけでございますが、現在の日本技術力から申しますと、南方水域等におきましてこっそりやるということは不可能でございまして、必ず何らかの影響を私ども技術力によってキャッチいたしまして、かようなことは隠れてできない状況にありますので、私どもは、今後再びこっそりやったなというような状況がありますれば、これは念のため検査をいたしまして、その実態を明らかにいたしたいと存じます。かようにいたしまして実態を明らかにいたしまして、いろいろ厳重に分析等もいたした結果、これが危険であるということになりますれば、また本年三月以来行なっておったような措置をとらざるを得ないと存じますが、これらの点につきましては全く将来のことでありまして、今ここで何とも申し上げることはできないわけでございます。
  22. 東隆

    東隆君 私は今の問題で疑問を持ったことは、南方だけでなくして北方のほろで水爆その他の実験をやっている。ことに十二月六日から八日くらいの間に、北方でもってやった、こういうようなことを学者が言っております。それから新潟なんかの報告ですと、雪に非常にたくさんカウントがある。しかもその雪を掘った下にあるホウレンソウが非常に害がある、こういうようなこともあるのです。そこでこのマグロ検査中止をしたということは、これは南方だけの話ですか。今のお話を伺いますと、私は広範にやはりやらなければならぬのじゃないか、ことに予告をしないで、そうしてぼんぼんやっておるのですから、そうだとすると、これを中止するのは間違いで、やはり広範にやって、そうして水爆その他の原爆実験というものが人類に非常に大きな被害を与えるものだと、こういうことを、これは国際的にもこれをよく知られて、そうして原爆禁止をさせるようなことを、これはやるべきじゃないか、そうして単に予告があるからそれで今やめておるのだと、こういうようなことでこれを中止をするよりも、もっと日本原爆によって被害を受けた国なんですから、だから原爆によってかかる費用だの何だのというものは当然これは要求すると同時に、広範にこれはこの仕事をやって、そうして国民の不安を除いたほうがいいと思うのですが、これはどうですか。
  23. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 御質問の第二の点かりお答えを申し上げますが、私ども原爆実験に賛成するものではございません。しかしながら私ども試験研究の結果、何ら被害がないということが確認された以上、これをたとえば原爆のおそろしさを知らせる意味でとか、あるいは他のいろいろな目的をもって検査を続行するということは、これはちょっとできかねることじゃなかろうかと存じます。私どもはあくまで技術的に被害がなくなった、絶対にないということを碓認すれば要らざる検査をしないことが適当だろうと考えます。ただし原爆実験に私どもも賛成するものではありませんから、これを禁止させるというようなことは、おのずから個別の立揚からこれを考えるべきものではなかろうかと、かように存じます。  次に第一点の御指摘のこと、なるほど御指摘のように最近は北方地帯から参ります原爆被害というものが現われております。場所は御承知のようにこれはわかっておりません。ただこの場合には海水あるいは河水等汚染は絶対に、全然証明できずに今日まで済んでおります。で現在の汚染はもっぱら雨あるいは雪でございまして、これは場合によってはかなり強い汚染度を示しておる状況でありまして、何ら水産関係とは関係がございません。海水等も十分調べておりますが、現在のところは何ら異常はございません。ただ雪あるいは雨等のために、これまた御指摘のように野菜その他が時に汚染せられることもございます。しかしこれらの汚染度は幸いにも現在のところはきわめて軽度でございまして、人体に危険なしとして許される範囲でございます。なおこれらのものは野菜の表面についておりますので、食習慣上の食べ方等を考慮に入れますと、私どもは絶対に無害の段階にある、かように考えておる次第であります。なお野菜につきましては大体百以下十以上の汚染度を示しておりますが、魚につきましてよりはやや高い数字を示しておりますが、全体から申しましては支障ないものと考えておる次第であります。
  24. 千田正

    千田正君 楠本部長の論は私はそういろ論はとらないと思う。少くとも日本厚生行政面から言えば、チフスが発生したからその手当をやるのだ、あるいは天然痘が流行したから天然痘の注射をやるのだ、これが今まで日本のとって来た厚生行政です。しかし私はチフス天然痘に対しては一応予防の注射なり、それから何らかの方法によってこれは予防できる。しかし今度の原子爆弾被害というものは予防ができない。むしろあなたの論をして言うならば、そういう論を明確に論断できるとするならば、厚生省行政範囲でもって、原子爆弾被害をこうむった場合におけるところの適当な薬が発明されているか、いいですか、たとえば肝臓に障害を受けた、これに対して直ちになおるようなものがあなたの方で作ってあるのかどうか。おそらくないと思う。私は予防衛生というものは常に厚生行政の一環として考えておらなければならない問題じゃないか、予算が足りないからというような問題ではないと私は思いますね。私はそれを研究するということは、日本科学陣世界の水準を抜く一つの大きなこれは貢献だろうと思う。そういう意味においても、日本厚生行政は各国に先んじてこういう問題に対して取っ組むべきである。そういう面から言ったら、私は中止するということははなはだ遺憾だと思います。この点についてあなたの御所見を承わりたいと思います。  もう一つは、昨年の読売新聞タ刊にはこういうことが載っておりますが、放射能マグロ検査廃止には学問的な根拠もなく時期尚早だと主張を続けて来た大阪市立医科大学西脇助教授はか三十名の学者から厚生大臣あて質問状を発した。二十二日には——まあですから昨日ですね、鶴見厚生大臣に対してはなはだ不当であるという質問状を発した。これに対するあなた方の方はどういう一体質問状を受けているのか、一応質問状を受け取って衛生部長の方で御覧になったでしょうが、御発表願いたい。
  25. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 第一点の御趣旨につきましては、私どもといたしましては全く御同感に存じます。つまり今後さらに調査研究等、全般的にこの原爆被害原爆対策につきまして調査研究を進めて参りますことは当然でございまして、私どもといたしましても来年度等の予算におきましても、引き続きこれらの予算の要求をいたしまして、でぎるだけ綿密な調査研究を進めて、人類の福祉に貢献いたしたい所存でございます。従いまして今後も原爆汚染問題その他につきましては十分力を尽して、その実態を明らかにいたしたいと存じます。  それから次に第二の学者反対意見の問題でございますが、私どもはまだそれをいただいておりませんが、おそらく新聞の伝えるところによりますと、不日手許に到着するだろうと存じます。ただここで私遺憾に思いますのは、何ら根拠がない、こういうことが新聞に伝えられておりますが、私どもといたしましては各研究所の、研究機関研究を総合いたしましたものでございまして、十分なる資料研究成績に基いております。まあこの持って参りましたのはどく一部の資料でございますが、資料がないということはもう絶対にこれは間違いでございます。むしろ私どもといたしましては、そこに名前の連ねてあられる学者方反論に対して果して資料があるかどうか、私どもは今までそれらの反論に対する資料こそ私どもは存じないのであります。従って私ども資料に基かざる反対は、学問上の反対は、これは実はあまりこれまで取り上げることは私どもとしては不可能だ、かように考えておる次第でございます。
  26. 千田正

    千田正君 第二点のことは、まああなたがまだ見ておらないからどういうのかわからぬし、われわれもあなたから伺うわけにいかぬので、これはさておきまして、第一点ですね、これはいつ、どういうふうな機会に、どういうふうになってくるか予断ができないし、これはもう人類の一番大きな問題として日本国民としては、今まで各委員から質問のある通り、非常に残念に思っているわけです。あなた方がこれを中止されたという理由は、あなたから今るる述べられておりますが、これは不断の研究を常に怠らないようなことをまた同時に発表してもらいたい、厚生省としては、中止したということは、一応の段階であるけれども、不断に国民のためにわれわれは研究しているのだということをもっと強くそれを発表しないというと、もち厚生省はやめたのだ、いつまたどういうことがあるかわかりゃせんじゃないかという非常な不安があるわけです。その点に行政面として国民に知らせるような方法をとっていただきたいと思います。
  27. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 もう一つ、これは非常に大事なことになると思うのですが、今回の、無害であるという発表をなさったところが、有害なりとして廃棄したマグロはずいぶんたくさんあったわけです。そうすると、今おしまいに廃棄したものもあの程度ならばよかったのだということになると、初めに廃棄したものは、果して有害であったものかどうか、その辺の区別がついておりますかどうか。  それからこれは私どもは今後、推測になります、あるいは仮定になると思いますので、御答介もしにくいかと存じますが、かりに本年なり、あるいは来年のいつごろかにまた水爆実験があった、アメリカはやらないとは言っていないから、あるかもしれない、あった場合に、その検査を始めるのでございますか。これは大体無害であるという発表があったために、その水爆によってかりに国民が非常に不安を感じて、無害だ、無害だと言っても売れ行きは非常に変るかもしれない、その水爆のあった直後においては。そうした場合にもアメリカは何らの責任も持たないのだ、これは日本政府が、それに対して、まあ値下りを、非常な値下りをしたとか、あるいは買手が非常に少いために非常に苦労をしたということが起った場合に、その責任日本で持たなければならぬという感じがするのですが、厚生省としてはその点はどういうふうにお感じになりますか。これは仮定でありますけれども、しかし架空な問題でなしに、あり得べき可能性のある問題だと私は考えます。そういう場合に、厚生省は無害だと言っている。値下りがあってもアメリカではそういうものについての責任は持たないのだ、それは日本人が勝手にこわがって食わないのだからそれは仕方がない、こういうような解釈も成り立っているわけですな。そういうときに、日本政府はそれはもう仕方がないのだ、こういうことになりますか。これは厚生省の分野でなく、水産庁あたりに伺う問題であるかもしれませんが、そういう点についての見解を承わっておきたい。
  28. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 第一点の問題でございますが、これは御指摘のように、実はこの六、七月ごろからは現在よりは多少多い状況でございましたが、しかし廃棄したマグロも、肉は確かに無害の状態でございました。ただし、三月当初等におきましては、これは灰をかぶったきたないものをそのままかぶったというような関係で全体がよごれておりましたので、汚染状況が違っておりました。その後次第に外部の汚染がなくなりまして、主として食べもの等を通じて各臓器に入ったわけでございますが、これらは七月、八月以降だんだんと減ってもおります。今振り返って考えますれば、八月ごろ廃棄したものはその必要がなかったかということは、これは言えます。しかしながら、その当時としては私どもといたしましては何ら資料を得てなかったわけであります。たびたびこの点につきましてはアメリカ合衆国にも問い合せをいたしました。しかし単に漠然と何でもない、何でもないと言うだけであって、何ら確たる資料の提供がございませんでした。従って私どもといたしましては重きに従いまして仕事をいたすのが建前でございまするので、一応全部結論を得るまで、実態が明らかになるまでかような措置をとって来たわけでございます。従ってこれは当然この分につきましては、これは資料不足のためにかようなことをしたわけでございますので、賠償等の対象には当然なるべきもので、これらの点につきましても目下アメリカにおいても何ら問題がないように開いております。  第二の問題につきましては、ちょっとお答えが違うかもしれませんが、私どもこれが安全となって、安全な状態が確認できたので港における検査をやめるということを発表して以来、魚の売れ行きはきわめてよくなりまして、値段が逐次上って参っております。従って結果的に見て私ども検査中止を発表したことはその面ではよく響いておるのではなかろうかと、かように考えております。
  29. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 時期的な問題ですね、それは。いつでも上るんでしょう、そのときには。
  30. 楠本正康

    説明員楠本正康君) なお将来かような問題が出たときはどうか、こういうことでございますが、私どもとしては、今後はもっと敏速的確なる対策を講じまして、かような混乱のないようにすることがおそらく厚生省責任だろうと、かように感じておる次第でございます。
  31. 青山正一

    青山正一君 最後に一点だけ……。まあ何ら損害がない、こういうふうに結論づけられたそのものが、今まで被害がありというふうなことで、そういった仮定のもとにいろいろ損害を受けたわけなんです。あなたの方ではただ技術的に調査すればいいというお務めだけで責任は切れると、こういうわけでしょうけれども、生産者なりあるいはそれを販売した者のいわゆる損害というものは非常に多いわけなんです。これどうしようかということで今の決議になったわけなんです。厚生省とすれば一つ道義的な責任で、自分たちは今まで調査を怠ったためにこういった損害をかけたという道義的な責任のもとに大蔵省か農林省に働きかけて、そういった被害を受けた人たち一つ何か救済の道を講じてくれというふうなことで、一つ大臣から農林大臣とか大蔵大臣に申し入れていただくわけにいかんものでしょうかどうでしょうか。
  32. 楠本正康

    説明員楠本正康君) それは御指摘のように私どもが敏速的確な処置を講じまして、それによって国民に要らざる不安を与えない措置をとることが私ども責任であります。従いまして今後かような問題が起きたときにまたまた世間に不安を与えるというような結果にでもなりますれば、これは当然私どもとしては責任を感じます。従いまして前回の分につきましても、今後もかような混乱を起しました結果のことにつきましては一半の責任もありますので、この点はよく大臣にもお伝えしていくことには決してやぶさかでございません。
  33. 青山正一

    青山正一君 一つお願いをいたします。
  34. 小林孝平

    委員長小林孝平君) 本件はこれにて打ち切ります。   —————————————
  35. 小林孝平

    委員長小林孝平君) 次に漁業用石油の輸入に対する外貨割当に関する件を議題といたします。  漁業用石油外貨割当に関しては、昨年十二月の最終委員会におきましてこれに対する通商産業省の具体的措置を決定し、本日の委員会報告するよう通産当局が約束されております。従いましてまず通産当局からその御説明を受けた上で質疑応答を重ねたいと存じます。
  36. 川上為治

    説明員川上為治君) 昨年の暮のこの国会におきまして、漁業関係の油の配給につきまして、いろいろ問題がありまして、私どもの方としましては、極力善処するということを申し上げたんですが、その後、通産省におきましてもいろいろこの問題につきましては検討もいたしましたし、また業界におきましても全漁連、あるいは石油の協会等も一緒になりまして、それに通産省及び水産庁の方も一緒に入りましていろいろ懇談をいたして参っておるのですが、その懇談におきましては、まだはっきりと両方が了解したというところまで行っておりませんが、私ども通産省といたしましては、今から申しますようなことで、何とかしてこの問題は解決し、また乗り切っていきたいというふうに考えています。それは昨年の四月から特に漁業用関係の石油につきましては、特別な措置所を講ずるということでやっておるのでありますけれども、その後いろんな情勢から必ずしも十分でなかった点もあるかと思うのですが、ただ、私どもの方としましては、従来のやり方そのものにつきまして非常にこれは間違っておるとか、あるいはまたこれが非常に不十分であったとかいうようなことは、それほど実際は聞いてもおりませんし、また具体的な事例そのものが十分われわれの方にも出ておりませんので、私どもの方としましては、やり方としては従来のやり方でどうしてもやっていきたいというふうに考えております。そのやり方としましては、石油の漁業者に対する第一線の配給店と申しますか、あるいはその上の特約店、そういうものは大体全国で特約店だけで約七百軒くらいございますが、そういう特約店に対しまして責任を持たせる、それからまたその系統上層機関であります元売業者に対しましても責任をこれは持たせる、そして、配給のルートにつきましては、そういう元売業者及び特約店、それからその下の小売商というものが責任を持って配給するようにさせる。これはすでに昨年の四月以降におきまして、少くとも漁業関係のものにつきましては、あるいは船舶用関係のものにつきましては優先的に配給してもらいたい、配給すべしということでやっておりますが、全国に先ほど申し上げましたように約七百店ほどの特約店がありますので、これを地区別に全部どこどこの何がしという名薄も十分できております。が、それを、その系統機関である元売業者はどういう元売業者であるということもはっきりいたしておりますが、そういうものを各地方に通知いたしまして、これがすべて責任を持って配給をする、またさせるということにしまして、そして、もしこれがあるいは不当に値段を高くしたり、あるいは売り惜しみをしたり、そういうような場合におきましては、そのどこどこの店ということが、またその系統の元売業者というのがはっきりいたしておりますので、私どもの方としましては、もしかりにそういう問題が今後起きましたときには、これは元売業者の外貨の割当を切って、そして、この措置に対しまして十分協力をしております業者の方へ外貨の割当をよけいふやすと、そういう措置をとって私の方ではいきたいと考えておるのであります。そして、またもしそういう地方におきまして問題が起きそうであり、また起きた場合におきましては苦情処理関係の、これもまた昨年の四月以降作るということを約束しておきましたが、これも一応全部各地区ごとにできておりますので、この機関の名簿もありますが、これに対しまして具体的な問題が起きましたならば、こちらの方へ苦情を言ってもらいますれば、私の方としましては、それによってその苦情処理機関というものが配給について十分協力し得るように指導していくつもりでございます。  それから価格につきましても、大体、まあ、従来これは、たとえば北海道の非常に奥地でありますとか、あるいはまた山陰の一部におきまして、不当な値段を出したことがあるようでございますが、私の方としましては、やはり、価格についても一定の基準価格と申しますか、それをはっきりさしておきまして、これも各方面に通知をし、その価格で販売ができるようにする予定であります。まあ、そういうことによりまして、大体、私の方としましては、漁連の方へ直接外貨を割当てることなしに、配給を円滑にさしていきたいというふうに考えております。この考え方につきましては、従来の考えと実は変っておりませんが、従来はどちらかと申しますというと、それほど地方におきまして非常に問題を起しているというふうには私の方でも聞いておりませんし、昨年の十二月のこの委員会におきましていろいろお話がありましだが、じゃ、その具体的な例が、どこどこの何がしでどういう問題が起きたということについては、私の方も十分な資料をいただいてもおりませんし、もちろん、若干あったことは、またそういうトラブルがあったことはこれは事実であります。じゃ、どこどこでどういう問題があって非常に困っているというようなことは、はなはだ私としましては遺憾ながらあまり聞いておりませんので、先ほど申し上げましたような方法で私の方としましてはどうしてもやっていきたいというふうに考えております。
  37. 千田正

    千田正君 川上局長さんのお話は、この前の委員会における御答弁とちっとも変りがないので、それで、衆議院から決議によって出されたことに対する答えに対する態度は、やはり、今の答えと同じ態度で臨まれるというわけでありますか。
  38. 川上為治

    説明員川上為治君) 先ほども申し上げましたように、私どもの方としましては、これでとにかくやっていきたいと、これは、もちろん、鉱山局長だけがそういうふうに方針をきめておるわけじゃないのでございまして、上の方とも相談をいたしまして、ともかくこれで何とかしてやっていきたいというふうに考えております。もちろん、先ほども申し上げましたように、これは業界の方でも、われわれの方も立ち会った上でいろいろ話をしたのですが、実は具体的ななかなか事例を持って参りませんので、私も具体的な例をそれほど聞いておりませんので、やはり、私どもの方としましては、態勢としましてはこれでいって、そして、もしこれが将来具体的に方々に問題が起きるような事態が出るというようなおそれがありますときは、われわれとしましてはもっとやり方について検討しなければならんというふうに考えております。
  39. 千田正

    千田正君 この前の委員会でもいろいろ論争しましたが、私はまたここで変らない御答弁であったならば、お伺いをしても大したことにならないと思います。  ただ一点申し上げておきたいと思うのは、この外貨獲得のために水産の業者が一生懸命やっておるということはよく御認識になっておると思いますが、油の配給業者は必ずしも外貨獲得に貢献しておらない、われわれから見れば……。むしろ結論から言えば、こうした相当多額ないわゆる配給をしておって、むしろ生産コストの減額を考えないで自分らかもうけることだけが主体のようにしか考えられないほどにわれわれは思っておるのです。それで日本の外貨を獲得するために自分の財産や命を捨てながらやっておるこの原始産業の水産業を育成強化するという意味から言えば、やはりある一面においてできるだけ政府は安いコストででき上るような方法を考えてやらなければならない。しかもこの前局長が言ったように、全国漁業団体はいわゆる業者じゃないのでありまして、全国漁業協同組合を組合法によって供給のいわゆる機関として政府が認め、また法律上そういうふうにできておる。これは普通の石油配給業者とはおのずから立法の精神が違っておる。局長さんの考えておるようないわゆる商権擁護であるとか、あるいは中小企業を育成していかなければならん、これはあなたの立場では当然のことである。しかし日本の一般の考え方から言えば、やはり共存共栄ということを考えていかなければならない。何も侵害するというわけではないので、生産コストをある程度切り下げても輸出をして外貨を獲得して日本の経済に寄与しなければならないという立場からわれわれは言っておるのでありますが、この点については水産当局からも一応承わっておきたいと思いますのは、先般局長は水産庁あるいは農林省からこの問題についてはあまり申し入れがないということをこの前は聞いておる。私はそういうはずはないと思う。もしそういうふうであったとすれば、水産庁なり農林省はあまりに怠慢ではないか。少なくとも漁業協同組合のいわゆる全国の団体というものは、法律的にもちゃんと生産資材の配給であるとかきめられてあるのでありますから、それを育成強化しないはずはないと思うのでありますが、水産庁としてはどういうふうにこの問題については今まで通産省と折衝しておったのか、これについて承わりたいと思う。また今後どういうふうにこの問題についてやっていくつもりであるか……。
  40. 増田盛

    説明員増田盛君) ただいまのお尋ねに対しましてお答えいたします。  漁業経営におきます燃油問題の重要性は今さら申すまでもないことでございまして、特に他産業に比べまして零細経営を地盤にいたしまして、さらに中小漁業、これをあわせまして主体といたしております漁業におきましては特に国家の保護が強く要請されておることは、ご承知の通りでございます。最近におきます漁業経済、漁家経営の現状から見まして、これ以上の魚価の値上りは到底望み得べくもないのでありまして、この面から経営経済的にきわめて困難な様相を呈しておるのでありまして、何とかしましてこの打開のためには漁業の経営費、コストの低減をはからなければならない、こういう考えのもとにいろいろ研究をしておるのでございます。特に経営費の相当大きな部分を占めておりますこの燃油の取扱い方、この価格の低下、これに対しましては水産庁といたしまして重大な関心を持っておるわけでありまして、こういう観点から何とかしてこの実現をはからなければならん、こういう考えのもとに、旧臘たしか十二月二十五日の水産庁長官名をもちまして、通商産業省の関係局長あてに、全漁連の考えております石油の取扱い方の要望に対しまして、これを支持いたしまして要望書を提出した次第でございます。その後事務的にはいろいろ係官の往復があったのでありますが、越えまして本年の一月十四日付でこの要望に対しまして通産省御当局より御回答があったのでございますが、その点に関しましては、ただいま鉱山局長よりお話しの趣旨によりまして、外貨割当によるよりも従来の確保要領によってやりたい、こういう御趣旨でございまして、従って現在実施しておりますこの要領にいろいろ意見があるならばお聞きしたいということであります。これに対しまして、実は私どもといたしましては従来のこの要領に対しましても通産省御当局の御努力を十分に認めるわけでございますけれども、数量的な問題に関しましてはなるほど相当程度の御努力が得られたものといたしまして感謝いたしておる次第でありますが、しかしその上にやはり数量的にも地方的には若干問題があるように聞いておるのでありますが、さらに価格の点であります、われわれのねらっておりますコストの低下と経営費の低下という画からいたしますと、どうしても価格の問題を特に強調しなければならない立場にあります。この価格の点に関しましてはどうもなかなか満足のいくような結果を見られないのではないか。この点に関しましては水産庁独自の調査もやはりなさなければならんと思うのでありますが、全漁連の調査その他から見ますと、どうもこの価格が不十分である。端的に申上げますと、この石油の配給の価格は独占的な価格形式のにおいがするのでありまして、全漁連が何らかの形でこれに参加していくならば、漁業団体としての当然の任務でございまして、ここにサービス価格を実現するならば、現在の末端の小売価格よりも相当安くなるのではないか、従いましてその点におきましてわれわれの企図いたします漁業経営費のまず最も重要な資材費の低下が実現し得るのではないかと、かように考えておるのでございまして、いずれそういうような意見のもとに正式に通産省御当局にもう一度再考を促すように努力いたしたいと思っておるのであります。なおこの点に関しましてやはり十二分に調査ないし研究をしなければいかんのでありますが、ただいまさらに前回の要望書につけ加えまして、通産当局に対するいろいろな資料の作成並びにわれわれの主張をさらにもう少しはっきりさせると、こういうことで準備をいたしておるような次第でございます。
  41. 千田正

    千田正君 ただいま水産庁当局からの答弁がありましたが、いずれにしましてもどうもこれは通産省としては外貨割当の点を一手に握っておられるので、やはり自分の方の子供がかわいいから何とかして育てていこう、その気持はよくわかりますが、一方生産にたずさわっておるところの漁業の両においてはやはりその大宗をなすところの原料をスムーズに配給して、かつまた安価にそれが手に入るような方法をとらなければならない。しかし従来もこの問題がしばしば問題になっております。戦争以前においては漁業協同組合も取扱っておったし、それだけの設備も用意してあったのでありますからこれも考えなければならないと思うのでありますけれども、通産省の答弁はがんとしてきかないようでありますので、私はこの際政府に、これはもう通産省、農林省に十分に考えていただきたい、それで私は水産委員会としてはぜひこの際決議をしまして、政府に勧告したいと思いますので皆さんの御協力を願いたいと思いますが……。
  42. 小林孝平

    委員長小林孝平君) 今千田委員から漁業用燃油共同購買の外貨割当に関しまして本委員会として決議をしまして政府に強力に勧告をいたしたいと、こういう御提案がございましたけれども、御異議ございませんか。
  43. 小林孝平

    委員長小林孝平君) さよう決定いたします。  それでは千田委員から案文を御披露願います。
  44. 千田正

    千田正君 「漁業用燃油共同購買の為の外貨割当に関する件」、案であります。  わが国動物蛋白質の供給源であり、かつ重要輸出産業となっている水産業の振興と経営の安定いかんは国民経済上その影響するところきわめて甚大であるが、漁業経営費の約三割の高率を占めている漁業用燃油が一昨年以来不自然な価格の高騰と需給の不均衡を来たしていることは漁業経営上大きな支障となっており、さらに今後の燃油事情はこの悪条件を倍加することが予想される。  よって政府はこの際漁業用燃油の端末価格の低下と需給量の安定確保をはかり、漁業経済の安定、水産物の増産並びに輸出の振興に資するため、戦前に実績を有しまた水産業協同組合法により漁業用燃油等主要資材の共同購買事業を行うことを使命としている全国漁業協同組合連合会に対しその傘下の漁業者が使用する燃油に対する輸入外貨を割当て、本問題の適切な解決をはかるべきである。  右議決する。   昭和三十年一月二十三日      参議院水産常任委員会  大臣は通省産業大臣、農林大臣大蔵大臣、右三大臣あてにこの決議案を提出したいと思いますが、皆様の慎重な御審議と御協力をお願いいたします。
  45. 小林孝平

    委員長小林孝平君) ただいま千田委員から朗読されました決議案、御異議ございませんか。
  46. 小林孝平

    委員長小林孝平君) それでは千田委員朗読の決議案の通り決定いたしました。  さらに本日予定いたしておりました議題、北洋漁業に関する件、韓国ノリ輸入に関する件は明日午後一時から委員会開会いたしまして審議いたしたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時五分散会