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河野国務大臣 お答え申し上げます。どうも私は非常に迷惑いたします。しやべ
つてはいけないと言いながら、今のような
お尋ねがあればしやべらぬわけには行かないのであります。私も
選挙管理内閣とは思いませんけれ
ども、とにかくなるべく自重して参りたいと
考えておりますが、
新聞記者諸君から
お尋ねがあるから、私は話をするのであ
つて、決して私から声明書を出したりした覚えはないのであります。ところが今もそういうふうに肥料のことについてはどうだという
お尋ねがあると、やはり私の
考えをここで申し上げる、申し上げれば、そういうことを言つちやいかぬということになると非常に困るのでございますが、
お尋ねでございますから、これから私は申し上げることにいたします。
第一に米の問題について申し上げます。これは大体今まで
新聞等に私が話をしておりまする
通りでございますが、念のために話が長くなるかもしれませんが、時間を拝借して申し上げさせていただきますれば、今日の現状といたしますれば、先ほど
足鹿さんから
お話もありました遮りに、何といたしましても
農家の今日の現状、農村の経済から申しまして、
生産費は
上つて行くのだ、高く買
つてやらなければならぬのだと言いますが、一方において国際的な
農産物の
価格はどんどん下
つて行く傾向にある。これをどうにか調和して参らなければ自立経済の速成はできないという
考えからいたしまして、どうしてもわが国の
農業政策は全産業の
政策の一環として
考えて行かなければいけないというふうに私は
考えるのであります。そういう見地からいたしまして、従来とかく切り離され、孤立しておつた
農業政策、すなわち肥料の問題その他につきましても、比較的そういうふうな立場にありましたものを、全産業の一環として
考えて行きたい。
従つて肥料等につきましても、極力合理化もしくは
生産費の引下げ等について、
内閣としては総力をあげて
協力をいたすようにいたしたいものたという
考えを基本的に持
つております。そういう
考えからいたしまして、一面においては
農産物の流通過程に十分な配慮をいたさななければらぬ。すなわち現在のようにやみ取引のために、非常に運搬賃その他においてむだな経費がかか
つておる。こういうふうな
生産者と
消費者との間のロスを、これをなるべく早く少くするようにしなければならぬ。それにはどうしても統制の撤廃をしなければならぬ。これは全国農民の声と私は了承いたしております。これは一部大阪
方面とか関西
方面とかいうことは、今初めて承つたのでござい失して、そういう
方面にそういう賛成があるかどうかは、私は今日まで知らなかつたのであります。どうしても
農業政策的立場からいたしまして、今日のような供出によ
つて米を出させるとか、
政府の決定した値段で米を売らせるというようなことは、一方においてやみで売れば高く売れるというものがありますときには、妥当でないという
考え方から、なるべく早くそういうことをやめて、そうして
内地米は自由に販売できるようにするということが、一番妥当ではないかと
考えるのであります。ところが一面におきまして、ただこれを自由販売にいたしますれば、米の値が上ると思います。
上つて、
農家は非常にけつこうでございますが、そうばかりは参らぬ。
食糧問題は単なる農村問題だけではございませんから、これを全
国民の問題として
考えますときには、ただ高くなれば喜ぶ
農家のためはかりを
考えるわけには参らぬ。そういう諸般の点から
考えまして、適切妥当なところに米価の安定値を求める必要があるだろう。これは誤解が起るといけませんから、つけ加えて申し上げますが、これは決して
政府が一存できめるべきものではない。
消費者、
生産者、その他学識経験者等によ
つて形成された、
価格を決定する
委員会等においてきめていただくことが、一番妥当ではないかと思うのでありまして、多少幅を持つた米価の安定値を求めまして、そこに安定させるために、
政府が間接的に操作をして参る、そうして
外米は今後も引続き
政府が持
つておることにいたしますれは、下ればこの
外米を売らない、高くなれば
外米を売るということにいたしますれば、ある
程度の
価格操作によ
つて目的が達せられるのじやないかということを、実は
考えておるわけであります。しかしこれをいたしますには、
相当に
国民各位の御理解と御納得がなければできない。もしそういうことをやつたならば、非常に米が高くなるだろうというような過去の不安を
国民に与えますので、
国民の理解と
協力と納得がなければできませんから、そのために
相当の
準備期間がいる、
準備をする必要がおる。特に米がわが
国内において不作なときにおいてやるべきことではない、不安を与えるから、これは絶対にや
つてはいけない、いろいろの
準備が整つたときにやるべきだと
考えるのであります。これを
国民に十分御理解をいただきますために、ある
程度の期間を置いて
準備に万全を期したならば、やつたらいいのじやないかというふうに私は
考えておるということ々、
新聞記者諸君に話をしたのであります。この点私の
考えております
食糧統制撤廃については、そういうような大体の
考え方でおるわけであります。なおこれにつきましては、社会
政策的にもしくは労働者諸君のために、十分な配慮をしなければならぬということもつけ加えさしていただきたい。
肥料の点について申し上げます。肥料につきましてはどういうことを
考えておるか。もちろん今日肥料の点について一番
考えなければなりませんことは、硫安、石灰窒素もしくは過燐酸、カリ、これらすべての肥料について
考える余地がある。特に配合肥料、化成肥料等に一番もうけが多いのでありまして、これは御
承知の
通りであります。でございますからこの
方面に単味の肥料がよけいまわり過ぎますので、過燐酸のごときはむやみに高くな
つておるというふうに私は
考えます。さらにまた燐鉱石の
輸入が不足いたしておるために、肥料が
上つておるということも
考えられると私は思うのでございます。
従つてカリもしくは過燐酸につきましては、カリもしくは燐鉱石の
輸入に格段の努力をいたしまして、農民の必要量を十分に入れるということをいたしますれば、値は下げることができる、こう思います。さらにまた肥料業者の
協力を得てできることと思いまして、これらにつきましては、私は特に慎重を期しまして、御
承知の
通り何とか肥料を下げたいものだという
程度のことを
新聞記者諸君には申し上げてありまして、その内容等については、まだ私は差控えて話はしていないのであります。硫安につきましても同様に
考えております。