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1954-12-22 第21回国会 衆議院 予算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十二月二十二日(水曜日)     午前十時九分開議  出席委員    委員長 山口喜久一郎君    理事 西村 直己君 理事 西村 久之君    理事 川崎 秀二君 理事 中曽根康弘君    理事 佐藤觀次郎君 理事 今澄  勇君       天野 公義君    尾崎 末吉君       尾関 義一君    大橋 武夫君       倉石 忠雄君    小林 絹治君       迫水 久常君    田渕 光一君       富田 健治君    中村  清君       灘尾 弘吉君    福田 篤泰君       船越  弘君    本間 俊一君       八木 一郎君    山中 貞則君       稲葉  修君    宇都宮徳馬君       河野 金昇君    椎熊 三郎君       園田  直君    田中 龍夫君       中村 梅吉君    中村三之丞君       福田 赳夫君    古井 喜實君       森   清君    足鹿  覺君       田中織之進君    成田 知巳君       松原喜之次君    三鍋 義三君       横路 節雄君    稲富 稜人君       川島 金次君    河野  密君       小平  忠君    堤 ツルヨ君       久保田 豊君    小山倉之助君  出席国務大臣         内閣総理大臣臣 鳩山 一郎君         法 務 大 臣 花村 四郎君         外 務 大 臣 重光  葵君         大 蔵 大 臣 一萬田尚登君         文 部 大 臣 安藤 正純君         厚 生 大 臣 鶴見 祐輔君         農 林 大 臣 河野 一郎君         通商産業大臣  石橋 湛山君         運 輸 大 臣 三木 武夫君         郵 政 大 臣 武知 勇記君         労 働 大 臣 千葉 三郎君         建 設 大 臣 竹山祐太郎君         国 務 大 臣 大麻 唯男君         国 務 大 臣 大村 清一君         国 務 大 臣 高橋達之助君         国 務 大 臣 西田 隆男君         国 務 大 臣 三好 英之君  出席政府委員         内閣官房長官  根本龍太郎君         内閣官房長官 松本 瀧藏君         法制局長官   林  修二君         大蔵事務官         (主計局長)  森永貞一郎君         厚生政務次官  中川 俊思君         労働政務次官  志賀健次郎君         建設政務次官  田中 彰治君         防衛政務次官  高橋 禎一君  委員外出席者         専  門  員 小林幾次郎君         専  門  員 園山 芳造君         専  門  員 小竹 豊治君     ————————————— 十二月二十二日  委員津雲國利君及び山田彌一君辞任につき、そ  の補欠として小林絹治君及び田渕光一君が議長  の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  予算編成並びに実施状況等に関する件     —————————————
  2. 山口喜久一郎

    ○山口委員長 これより会議を開きます。  予算編成並びに実施状況等に関する件を議題といたします。質疑を継続いたします。福田篤康君。
  3. 福田篤泰

    福田(篤)委員 まず私は大村大臣に対しまして、昨日の本委員会における憲法第九条をめぐりまして、新内閣の勉強が不足かあるいは閣内の不統一かはわかりませんが、きわめてあいまいな、でたらめな御答弁がありまして、国内におきましても大きな問題になつております。これについて統一ある、はつきりした新内閣憲法第九条に対する釈解を承りたいと思います。
  4. 大村清一

    大村国務大臣 ただいまお尋ねになりました点につきまして、政府の見解をあらためて申し述べます。  第一に、憲法自衛権を否定していない。自衛権は国が独立国である以上、その国が当然に保有する権利である。憲法はこれを否定していない。従つて現行憲法のもとで、わが国自衛権を持つていることはきわめて明白である。  二、憲法戦争を放棄したが、自衛のための抗争は放棄していない。一、戦争武力の威嚇、武力の行使が放棄されるのは、「国際紛争を解決する手段としては」ということである。二、他国から武力攻撃があつた場合に、武力攻撃そのものを阻止することは、自己防衛そのものであつて国際紛争を解決することとは本質が違う。従つて自国に対して武力攻撃が加えられた場合に、国土を防衛する手段として武力を行使することは、憲法に違反しない。  自衛隊現行憲法上違反ではないか。憲法第九条は、独立国としてわが国自衛権を持つことを認めている。従つて自衛隊のような自衛のための任務を有し、かつその目的のため必要相当な範囲の実力部隊を設けることは、何ら憲法に違反するものではない。  自衛隊軍隊か。自衛隊外国からの侵略に対処するという任務を有するが、こういうものを軍隊というならば、自衛隊軍隊ということができる。しかしかような実力部隊を持つことは憲法に違反するものではない。  自衛隊が違憲でないならば、何ゆえ憲法改正考えるか。憲法第九条については、世上いろいろ誤解もあるので、そういう空気をはつきりさせる意味で、機会を見て憲法改正考えたいと思つている。  以上お答えいたします。
  5. 福田篤泰

    福田(篤)委員 今の御答弁によりますと、まだまだ多くの疑問がありますが、それはまた次の機会の同僚の諸君の質問に譲ります。  鳩山総理にまずお伺いいたしたいと思います。  昨日の御答弁を承りますとちようど浄瑠璃の芝居を見ているようでありまして、赤い顔の大夫が後から総理という人形をあやつつているようで、まことに見苦しいのであります。総理は率直簡明にみずからの立場で御答弁をいただきたいのであります。  まずお伺いしますが、わが憲法におきましては、国会国権最高機関として地位を認められております。これは十分御承知でございますか。
  6. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 もとより承知しております。
  7. 福田篤泰

    福田(篤)委員 ただいま中共台湾二つ独立政府の問題につきまして、国内に異常な関心を呼んでいるわけでありますが、この問題はきわめて重大な問題であるか、あるいは何ら問題にするに足りないつまらない問題であるか。この点について御所見を承りたい。
  8. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 二つ独立国と言つたことが間違いだという意味ですか。
  9. 福田篤泰

    福田(篤)委員 こういう問題はほうつておいていい問題であるか、大事な問題であるか。(「質問趣旨がわからぬのだ」と呼ぶ者あり)御承知通り、今中共政府政府として認めております国は、世界ソ連以下二十六箇国ございます。それから台湾政府正統政府として承認をいたしております国が、自由国家群におきましては三十八箇国ございます。いわば世界二つ陣営にわかれまして、またある意味におきまして、同じ陣営の中でも実利の方面、実際的の政策の上から承認している国もございますが、アジア諸国の中におきましても、あるいは中共承認し、あるいは台湾承認いたしておりまして、きわめて大きな国際問題でございますが、これはわが国にとつてはたして重要な問題になるか、あるいはほうつておいていい問題であるか、この点をお伺いしているのであります。
  10. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 承認をするという問題は、重大な問題だと思います。私はその問題に触れたつもりはないのでありまして、ただ独立国として一つ政権を持つていて、領土人民を支配している、その事実を認めて話しただけであります。決して独立国として承認をするとか、そういう形の上の形式とつたわけではないのであります。
  11. 福田篤泰

    福田(篤)委員 今の御答弁によりまして、鳩山総理もこの問題はきわめて重大であるということをお認めなつたと私はお伺いいたしました。しからばお伺いしますが、今月の十九日に新内閣遊説第一声として名古屋で大会をお聞きになつた。私も事実録音でお伺いいたしましてびつくりいたしたのでありますが、その席上において鳩山総理は、自分は国会において二つ独立国の問題についてばかばかしい質問を受けている。実にくだらないことであつて、これは国会権威に関するということを言われておりますが、あなたはどういう意味でそういうことを言われたか。もう一度その真意を承りたいと出心います。
  12. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 その質問をした人の頭が少しどうかなつているという意味を話したのであります。私の申しましたのは、承認の問題ではなくして、実際の事実の問題をとらえて、中国と交通貿易をしたならよかろうということを育つただけで、交通貿易をしない方がいいというのならば、私の論の正反対の論でありますけれども、中共交通貿易を塁みながら、形式論でもつて論議をするのは方向が違うので、こういう意味で演説をしたのであります。
  13. 福田篤泰

    福田(篤)委員 それは国会以外の一般人の質問に対するところの御説明でありまして、私が今問題にしておりますのは、あなたが国会でこういう質問が出た、この問題が論議されることがばかばかしいと言つた点でございます。先ほどあなたは国会国権最高機関であるという権威を十分認めながら、このような重大問題を論議することをばかばかしいと言われることにつきまして、総理として、国会の大先輩として、その資格があるかどうかわからない。あなたの心構えはつきりと伺いたいと思います。
  14. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 議論方向が違つているという意味で申しました。
  15. 福田篤泰

    福田(篤)委員 たとい方向が違い、あるいは質問やり方がかわりましても、こういう重大問題が国会論議されることは当然であります。われわれ議員としての義務でありますが、この重大な論議に対しまして、やはり今でもばかばかしいことであるとお考えになりますか。
  16. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 国会質問はすべてばかくしいとは思いません。
  17. 福田篤泰

    福田(篤)委員 あなたがかりにも野党なら別でありますが、現在政局を担当しておられる与党の総裁として、国会論議について、その権威を無視するような言動をされることは、きわめて遺憾であります。この際私は率直にあなたらしく国会論議のあるものはばかばかしい、あるものはばかばかしくないというような、国民に対して国会権威をきわめて失墜するようなことを言わないように、この際陳謝をするなり、あるいは国会論議について権威をお認めになつていただきたいと思います。
  18. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 中共政府が大陸において政権を持つていて、そうして領土人民とを支配しておるというのは事実であるから、それを相手に通商貿易をしたらよかろうと言つたのであつて、その問題を承認の問題と取違えて議論をせられることは私にとつては迷惑であります。
  19. 福田篤泰

    福田(篤)委員 どうも答弁の筋道がはずれておりまして、私は国会論議をばかばかしいと言われたことについて、あなたの根本的な態度をかえていただきたい、それを要求しておるのでありますが、これ以上あなたはまだはつきり陳謝を率直にお認めにならぬようでありますから、次の問題に移ります。  あなたは保守政党の大総裁として、現存のような保守政党同士の対立なり分裂というものが、日本の経済安定の根本をなす保守政党あり方としていいと思いますか、悪いと思いますか、心構えについてお伺いしたいと思います。
  20. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 同じような、大体似通つた意見を持つておる保守政党がわかれているということは、喜ぶべき傾向ではないと思つております。
  21. 福田篤泰

    福田(篤)委員 重光外務大臣にお伺いいたしますが、これは外務委員会におきましても、また本会議におきましても取上げられた問題でございます。しかもその御答弁については何ら明確なものがありませんので、国民の間にもきわめて疑問を持つた点でありますから、あらためて明確な率直な御答弁を願いたいと思います。  それはあなたが外務大臣に就任をされました直後において、本月十一日に出された外交方針に関する声明でございます。これはしばしば指摘されました通り、いわゆる輸出向け国内向け二つにわかれておりますのは明瞭でございます。この点についてあなたは本会議答弁において、声明一つしか出しておらぬ、その言葉の直後において、しかしいずれもその内容は同じであると育つて二つ出したことも認めておられますが、二つ声明を出されたこと、同時にその内容国際的——いわゆる海外輸出向けには反共の線を強く打出し、国内の線においてはいわば選挙目当て人気とりの簡単なものであつたということをはつきり認めになりますか。
  22. 重光葵

    重光国務大臣 私はこの問題については外務委員会及び本会議において申しました私の説明通りであります。私は外交上の声明をやるときには、いうまでもなく国内だけに声明をやつておるつもりはないのであります。国の内外、いわば世界に向つて声明しておるつもりでありまして、その声明一つであります。しかしその声明趣旨によつて、私はかような政変のあるような場合には、外国方面誤解のないようにいろいろな手段をとつて外国通信記者あたり説明をすることは私の義務たと考えております。その説明声明よりも若干詳しくあつたということはこれは事案であります。しかしそれは当然のことであります。それは何も建つておることはございません。そしてその声明によつて、またその説明によつて外国方面誤解があつたその誤解を解き得たということもまた現実の事実であります。これをもつてお答えといたします。
  23. 福田篤泰

    福田(篤)委員 今外務大臣の御答弁を伺いますと、やはり二つ出したことをみずからその答弁のうちに告白されております。ただ説明の仕方がきわめて老獪でありまして、世界に向つて誤解を招かぬように丁寧に説明をした、国内は簡単にしたという御説明でありますが、私は内政と並んできわめて重大な外交政策について、国民は一体どういう方向にこの新内閣が向うか、重大な関心を持つておる時期でありますし、またあなた方が野党当時においては、いわゆる岡崎・吉田ライン外交あり方につきまして、いわゆる秘密外交である、あるいは独善外交である、よろしく国民外交基調としたものでなければならないということは、声を大にして攻撃された点であります。そうなりますと、今の答弁によりますと外国にいろいろな誤解を招かぬように丁寧にやつたということは、私は了承いたしますが、なぜこれと同町に国内に向つてもつと懇切丁寧に声明の中にこれを説明しなかつたか、この点をまずお伺いいたします。
  24. 重光葵

    重光国務大臣 今のお話は事実の問題であります。私は国の内外に向つて外交上の公式の声明をいたしております。それからまた国内においても、内地通信記者に対して詳しい説明もいたしております。それは同じことであります。外国声明と言われるけれども、外国声明ならば外国人一般声明——みんなを集めて声明するのが当然で、みんなを集めて声明をしたことはないのであります。私は個々の通信員に説明をしたのであります。これは事実を事実として申し上げるのであつて、何にもほかに意味はございません。事実をお認めになることを私は期待します。
  25. 福田篤泰

    福田(篤)委員 事実を認めろと言われますが、私は事実に基いて質問をしておるのであります。あなたも御承知通り、十二月十一日には外交等に関するステートメントとして英文でちやんと印刷されて示されておる。また同日日本文で印刷されて、これを外務大臣方針として配布されておる。これは事実なんです。事実に基いて、国内向け輸出向けがあまりにも内容が違う。輸出向けについては丁寧にやつたが、国内向けについては、国民を無視するというか、軽視するというか、簡単にしたというだけならばまだ私は許すのでありますが、問題は同日に出されまして、しかも外務省において正式に印刷された声明文として出されたものの内容について、きわめて大きな差異のあることを私は指摘せざるを得ないのであります。たとえば、こまかい点は省きますが、外国向け声明文の中には、いわゆる共産党によるところの平和攻勢脅威を説いておる。また力による平和、武装平和の原則というものは、きわめて賢明なやり方であるということを全面的に支持せられておる。しかも重大なことは、この力による平和というものは、アジア諸国にも適用せらるべき原則であるということも繰返し御説明になつておるのであります。こういうような点は国内向けの同日発表せられた、正式に印刷せられた声明には、共産党脅威あるいは力による平和というようなことは一つも触れていない。むしろソ連並び中共との貿易だけを触れまして、人心に迎合しようとする、しかも思想的にはきわめてあぶない日本国民の輿論の動向について重大なあやまちを犯していると思いますが、あなたは簡単あるいは詳細という問題以外に、この内容の表現について差異があることを率直に事実に基いて御説明いただきたいと思います。
  26. 重光葵

    重光国務大臣 今私が御説明申し上げた通りであります。私はたとい日本語言つても、今の世にそれが日本内地だけに向けておる、外国に向いておらぬ、こういうようなことを区別する常識を私は今持つておりません。私は日本語であろうが、これは内外に向つて当然聞えるものだと思つておるし、また横文字で説明したつて、それは国内に向つて当然聞えるものだと私は思つております。私は今申す通り政府の大方針としては簡潔なものを公表しております。しかしそれを説明するためには、国内に対して国内新聞記者等にはいろいろ質問に応じて評しい説明をしておる。対外的には外国新聞記者がいろいろ来る、これは個別に——全体一緒に私は声明したことはございません。しかし新聞記者その他の人たが個別に私の意見を聞きに参つたときには詳しく説明をしております。それがたまたまその記録があつたことについて、それは何にも異なつたものはございません。今指摘せられたようなことは、国内新聞記者についても当然これは説明をいたしておるのであります。これが事実であります。
  27. 福田篤泰

    福田(篤)委員 平凡な御答弁でありまして、どうも率直なお答えをいただけないのはきわめて遺憾であります。しからば一言だけ具体的に申し上げますが、力による平和はアジアの地域においても適用せらるべき原則であると言われておる以上、日本防衛力の増強というものは当然お考えだと思いますが、この一点だけ具体的にお答え願いたいと思います。
  28. 重光葵

    重光国務大臣 私は、日本独立国として自衛力を持たなければならぬとこう考えております。
  29. 福田篤泰

    福田(篤)委員 十二月十六日のモスクワ放送によりますと、モロトフ外相が、わが国に対しまして一つの呼びかけをいたしておりますが、これについて外務大臣としてどういう心構えでこれを聞き、また今後どういうふうにされておりますか、まずその基本的なお考えをお伺いしたいと思います。
  30. 重光葵

    重光国務大臣 ソ連は御承知のように日本との関係においてまだ平和関係を回復しておりません。そこで平和関係を回復したいという意思表示があつたことは、私はたいへんけつこうだと考えております。
  31. 福田篤泰

    福田(篤)委員 はなはだけつこうだということはきわめてこれは含みのある御答弁でありますが、しからば具体的にお伺いいたしますが、このソ連わが国に対する国交調整の呼びかけの基本的態度というものは、あなたも御承知通り、本年の十月十二日は、世界に発表されました中ソ共同声明ソ連基本的立場であることは御承知通りであります。この十月十二日の中ソ共同声明の中におきましては、いわゆるサンフランシスコの講和条約あるいは日米安保条約を頭から否定し、これはアメリカ資本的勢力によるところの日本の屈服である、強制せられたものであることをはつきりと明言しておりますが、この基本的態度というものと、あなたがこれから、けつこうだ、よろしいことだと思われるという、いわゆる日ソの国交回復について、日米基本線というものとどう調整せられる考えであるか、これについてお伺いしたいと思います。
  32. 重光葵

    重光国務大臣 今回ソ連日本との平和関係を回復したいという意向を表明した、このことについて私はたいへんよいことだと考えております。しかし今申される通りに、ソ連中共との共同声明には、いろいろなわが国として承服できない点のあることは今御指摘の通りであります。さようなわけでありますから、今どういう意向ソ連側共産国側が持つておるかということは、慎重に今見守つておるところであります。
  33. 福田篤泰

    福田(篤)委員 そうなりますと、モロトフ外相の対日呼びかけというものは相当まじめな呼びかけであつて、いわゆる平和攻勢でないというように考えておられますか。
  34. 重光葵

    重光国務大臣 今その真相を見守つておるところであります。
  35. 福田篤泰

    福田(篤)委員 どうも見守つておるだけではわかりませんが、私はもう一度お伺いしたいことは、ソ連の対日基本政策というものがちようど十月発表の中ソ共同声明であるとするならば、また同時に新内閣総理以下たびたび言われております通りに、またわざわざアリソン大使にも確認した通りに、新内閣外交方針基本というものは日米の緊密な連携である、ちようど吉田内閣のそのままを踏襲するということをはつきりあなた方はしばしば言明されておりますが、こういう基本的な日米友好関係を緊密にするという基本線と、ソ連日米関係を頭から否定するものの考え方、これがはたして現実的に調和できるものであるかどうか、あなたのひとつ御信念を伺いたいと思います。
  36. 重光葵

    重光国務大臣 私は日米関係をきわめて重要視するものであります。そうしてその基本関係現実に維持してその了解を進めることが、ソ連との平和関係を回復するという希望と少しも矛盾しない、合致するものだとこう考えております。
  37. 福田篤泰

    福田(篤)委員 少しも矛盾しないという考えは、これはきわめてぬえ的な御答弁でありまして、先ほどの二つ声明についてこれを申し上げたのでありますが、あなた方は一体反共の線で基本線をきめて行くのか、あるいは中共台湾政府二つとも認めるような口吻を示しておる、実際できないような問題も口吻を示すように、一方反共で行くのか、あるいは共産党ともある程度これと手を握つて行くのか、基本線についてどうも不明確であります。ことに今の問題についてもあなたの御答弁では国民は納得ができません。共産勢力に対する国策についてあなたの基本的態度をもう一度明確に御説明いただきたいと思います。
  38. 重光葵

    重光国務大臣 私は今のような基本的な政策がこれまでなかつたから非常に不明確になつて来たと私はこう思つております。私どもはその基本線をきわめて明確にして、そうしてアメリカとの了解も進めて行つて、そうしてこの目的を達したいとこう考えております。
  39. 福田篤泰

    福田(篤)委員 実にこつけいな御答弁であります。あなたに基本的な態度を聞いておるのであります。抽象的な御答弁は承つておらない、はたしてあなた方は反共の線によつて日米友好関係外交基調とせられ、それ以外に通商交通等の技術問題については共産圏とも話し合うという考えであるかどうか、これをもう一度はつきりお伺いいたしたい。基本線を伺つておるのです。反共か容共かはつきりしてもらいたい。
  40. 重光葵

    重光国務大臣 反共かそうでないか、われわれは共産党に反対であります。
  41. 福田篤泰

    福田(篤)委員 新内閣がやはり前内閣同様反共の線を守られるということをはつきり伺つたので、この点は一応打切りますが、しからばソ連並び中共との貿易問題について所見をお伺いしたいと思います。政府のいわゆる人気取り宣伝声明の中には、盛んに中ソとの貿易を増進して、いかにもこれによつて一ぺんに日本の不景気が直る、中小企業もすつかり危機も救われるのだというようなあいまいきわまる無責任きわまる談話を外相総理以下関係閣僚も言われておりますが、これについていわば今まで共産党並びにこれに利用せられております社会党が……、(「何言つてるんだ」と呼び、その他発言する者多し)これについてきわめて楽観的な宣伝をしておる、これはあなた方がいわば社会党の宣伝に乗ぜられる可能性がある、これについてお伺いをいたします。  まず日本中共との貿易の実体であります。宣伝は宣伝であなた方がいわゆる人心の人気をとるために言われることはかつてでありますが、国民はまじめに具体的な事実、たとえば中共ソ連とどのくらいの程度の貿易の実績があつたか、また今後どういうふうにこれが増進せられるか、これは社会党の諸君も関心を持たれておる問題であります。この点についてお伺いいたしますが、従来たとえば昨年度でもけつこうでありますが、実績を見ますと、昨年の日本からの輸出の総額は約十三億であります。十二億のうち中共の分はわずかに三厘であります。それから日本の輸入でありますが、輸入は総額が約二十四億でありますが、そのうち中共の占めておる分は約一分にすぎない。これについてソ連もこれ以下でございまして、昨年の対ソ貿易につきましては、わずかに輸出が三万ドル、これは比率の計算もできません。また輸入はわずかに百九十万ドルでありまして、比率にいたしますと約一毛であります。このような何厘であるとか何毛であるとか——私は事実に基いて正確に数字を申し上げたのでありますが、このような貧弱な内容というものが、日本世界を相手にする対外貿易の面におきまして、あるいは日本国内の経済安定にどの程度の貢献をしておるかまた、あなた方が慎重に努力せられておりますが、バトル法に対する問題、あるいは中共あるいはソ連側の全面的な国家貿易統制に対する措置というものを具体的にどういうふうに増進させて、何パーセント程度まで増進させるお見込みであるか、外務大臣並びに通産大臣の御答弁をお伺いしたいと思います。
  42. 重光葵

    重光国務大臣 私はソ連並び中共との貿易が非常な多額のものであるということをいまだかつて申したこともございません。しかし、わずかながらでもでき得るだけこれを増進することが、日本の経済に貢献すると私は考えておるから、その方針で努力をしたい、こう思つておる次第であります。
  43. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 お答えいたします。お説のように現況においては割合から言うと、非常に大きな数字とは申せないようです。しかしたとえば、昨年の輸出実績は四百六十万ドル、輸入が約二千百万ドルに対しまして、本年一月から十月までの間の実績は、輸出が千三百二十二万ドル、輸入が三千四百十二万ドルというふうに、逐次ふえております。これはまだ本年度においても米とかその他買つて参りたいと思いますから、現状はパーセンテージが低いからといつても、捨ててもいいというわけには行きません。ですから、これは今外務大臣が言われたように、できるだけ増進するようなくふうをいたしたいと考えております。
  44. 福田篤泰

    福田(篤)委員 具体的にどれくらいですか。
  45. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 現在は、各商品それから各地減等について通産省が主催しまして、輸出会議というものを同業者を集めてこまかくやつております。それによつて集積して、近いうちにまとまるものと思つております。
  46. 福田篤泰

    福田(篤)委員 今外務大臣並びに通産大臣の御答弁によりまして、宣伝せられ、またいろいろ力説せられておる中共並びにソ連との貿易が、実績の上から言うときわめて少いものである、これは事実であることを両大臣とも認められました。前内閣以来、もちろん中共ソ連との貿易の伸達をはかつて来たのでありますが、これについては少しも新内閣外交方針として新鮮味がないわけであります。これはたとい一厘でも一毛でも増加することは私ども賛成でありますが、実績をやはり国民に示して、中共あるいはソ連貿易をすることによつて、一ぺんに日本の経済関係が明るくなるというような、事実を無視し数字を無視した誇大なから宣伝は、今後責任ある政府として御注意願いたいと思います。  次に郵政大臣にお伺いいたします。総理がしばしば言われております通り、いわゆる社会党によつて強要されました総選挙を実施されるのでありますが、この点について公明選挙をたびたび力説せられておりますが、これについて一言お伺いいたします。これは、きようの新聞紙上でも大分問題になつたのでありますが、前田郵政局長がしばしば目に余る事前運動をやつておることが非常に問題になつている。この点について責任監督者としての武知郵政大臣はどういうお考えを持つておられるか、一言お伺いしておきたいと思います。
  47. 武知勇記

    武知国務大臣 お答えいたします。いやしくも公務員がその地位を利用して事前運動にまぎらわしいような行為をいたしますことは、断呼としてこれは排撃せなければならぬと思います。御指摘の前田郵政局長の問題ですが、私も新任日浅きがために実情をつまびらかにいたしておりません。かようなことがうわさに上るだけでもほつておけないわけですが、いわんや一昨日国会論議なつたということで、ただちに大阪に手配しまして、本日本人を本省に呼びまして本人の意見も徴し、監察局に命じましていろいろ取調べておりますから、この問題につきましては綱紀粛正の意味からも、適切な処置をとる覚悟でおります。
  48. 福田篤泰

    福田(篤)委員 花村法務大臣に、この点につきまして今後いろいろな事前運動の悪質なものが出ると思いますが、御所見を簡単に伺います。
  49. 花村四郎

    ○花村国務大臣 事前運動につきましては、しばしば私から申し上げております通りに、厳正公平、不偏不覚の立場に立つて厳重に取締つて行きたいと思います。
  50. 山口喜久一郎

    ○山口委員長 西村直己君。
  51. 西村直己

    西村(直)委員 持時間も非常に少いのでありますから、簡単でありますが、要点を総理に御質問いたしたいと思います。  第一にお伺いしたいのは、平和的共存の問題であります。——共存、御存じありませんか。それでは、御説明する時間もありませんが、中ソ国交回復を主張されて、両国が平和的に共存できる、この論に乗つて鳩山総理は各地で演説もされております。そしてその方法としては、チヤーチルの平和的な方法論を御利用になつておるのでありますが、問題はマルクス・レーニン主義以来の平和的共存論がどういうふうに変更になつておるのか、戦略戦術としてやつておるのか、あるいはそうでないような意味でお受取りになつておるのか、その基本をまず明らかにしていただきたい。その点をまず国民に明確にお示し願いたい。要するに平和的共存はソ連の戦略戦術であるかどうかということをはつきりさせていただきたい、こう思うのであります。
  52. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 ソ連中共を共産主義国家として敵にまわすということは、世界の平和を維持するゆえんにならないと思います。
  53. 西村直己

    西村(直)委員 敵にまわすという意味ではないけれども、向う側が戦略戦術としての平和共存を唱えておることを前提に、今後の国交調整をやろうかどうかという点をはつきりされないと、あなた自体が容共線をたどる形勢があるやに疑われるのであります。
  54. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 私は容共論者ではございません。
  55. 西村直己

    西村(直)委員 なぜ私がそういう言葉を使つたかと申しますと、実は本日ここにお並びになつておられる閣僚の方々を拝見いたしますと、鳩山内閣としては清新——清く新しいといつてつていらつしやるのでありますが、私どもから見ますと、なるほど先輩はそろつておられますけれども、はたして清いかどうか、その点疑問がございます。御存じの通り日殖の問題、保全経済会の問題が明らかになつた場合、あるいはその間の渦中に踊られた方々が出て参つた場合においてはたして清新であるかという点であります。そこで私どもは鳩山総理にもお伺いしたいのでありますが、政党人としてははるかに先輩であります鳩山総理が脱党をされては入党され、また脱党されておる。政党はかやとは違うのでございまして、出たり入つたりされても非常に困るのじやないか。そこでしかもその間において私どもが感じておりますものは、旧改進党の一部の人たちがちようどソ連平和攻勢のような形である特定の政党に分裂工作を持つて来て、その波に乗つておのずから保守戦線を分裂をして行く、こういうような形においてのいわゆる責任——国内においても鳩山総理は非常に明朗ではありますが、世間では性格が弱いというふうな風評もあるのであります。私どもはその点で総理があくまでも戦略戦術としての平和共存でこの間を打開して行くのだという線を明確にされないと、国内の政党の立場におきましても分裂政策に乗られたような形で政党を出たり入つたりされながら、一つの暫定的な政権をおつくりになつた、しかもそれは反動性を持ちながら同時に進歩主業の仮面だけを、おしろいだけをつけておるような感じがするのでありますが、この点を国際政策、いわゆる内閣は一日も外交をゆるがせにできない以上は、まず基本的な態度反共である、しかも平和的共存は戦略戦術主義であるという前提、従つてそれには限界とそうして準備が必要であるということを明確にされてから、中ソ貿易をお説きになる必要があるのではないか、この点は総理の御所信をはつきり国民に訴えていただきたいのであります。
  56. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 私は共産主義には反対であります。しかしながらソ連中共が共産主義をとつて国をつくつたときに、そのソ連中共を共産主義と同じように取扱うわけには行きません。その国民が共産主義を採用して、国是としようがしまいが自由でありますから、そのソ連中共が共産主義をとつたからといつて、共産主義と共産主義国衣とを混同して、共産主義に反対だからソ連中共にも反抗するというようなのは、これは錯誤だろうと思います。
  57. 西村直己

    西村(直)委員 私は何もソ連中共国内問題を論じておるのではなくて、日本国内問題を論じておるのであります。たとえば鳩山総理はチヤーチルの言を利用して、物を与える、たとえばソ連には飢饉がある、食糧をやり住宅を与え衣料をやる、その意味貿易をしてやれば、向うの国も平和を好む、そんな甘いような立場ソ連中共をお考えになること自体に私は危惧の念を抱くのであります。いま一つは、国内においては同時に対中共ソ連との国交調整については限界があるということ、準備が必要であるということ、簡単に言うならば、たとえば李徳全という人が来ましても、それには政治工作のある意図を持ち、目的を持つておることは同じであります。言いかえますれば、われわれは彼らがただちに国内に革命を持つて来るとは思いませんけれども、広い平和国民戦線なるものを結成しようという意図があるということだけは十分に国民に伝えながら、同町にこういつた国交調整に向つて行かなければならない、そういう点がどうも私はぼやけているように思うのでありますが、いががでございましようか。
  58. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 ただいまの西村君の御意見はもつともだと思います。ソ連中共交通貿易をするについて準備がいり、用意がいるということは、あなたの御説ごもつともだと思います。
  59. 西村直己

    西村(直)委員 そこで私の意見を了承された以上は、いわゆる鳩山選挙管理内閣と政治的に言われ、世間はそう信じております。その場合に、あなた方が政党の総裁としてあるいは党人として、その演説で大いに中ソとの平和回復をお打ちになるならよろしいのであります。しかしながら問題はそうではなくて、内閣立場において、行政長官なり国務大臣の立場でこの問題を大きく取上げるにはあまりに無準備であり、非合理であり、限界を忘れておるのではないかという点を私は国民の名において憂える一人であります。その点について鳩山総理の御所信を承りたいのであります。
  60. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 あまり御心配には及びますまい。
  61. 西村直己

    西村(直)委員 それは総理自体は非常にりつばな方であり、善良な方であるからそうお考えになるかもしれませんが、あなたの周囲におられる閣僚諸君、その背後におられるところの民主党の諸君は、問題はそれによつて投票を集めたい、議席をふやしたいということだけのことではありませんか。その点を十分お考え願いたいのであります。それに対する御所信を承りたいと思います。
  62. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 ただいまの御質問に対しては、お答えしなくていいと思います。
  63. 山口喜久一郎

    ○山口委員長 答えがないようであります。
  64. 西村直己

    西村(直)委員 それならばお答えはいただかなくても、その点についてはみずから御判断を十分に願いたいのでありますが、問題はさらに当面われわれ国民が欲しておりますものは、引揚げであり、貿易であり、不法拿捕の問題であります。選挙管理内閣のお立場におきましては、むしろこういう地道な問題に対して真剣に取組む方が、国民のほんとうの気持にマツチするのではないかと私は思います。勇ましい演説を打つことによりまして、ただ何となく宣伝をやるというならば、われわれは、はつきり申しますと、あなた方の内閣はやがては鈴木ケレンスキー内閣を出現させる前衛部隊であるかもしれない。もつと極端なことを申し上げますならば、今日実は日本共産党は、昭和二十四年の選挙においては三百万票の投票をとつたのであります。それが二十七年あるいは八年におきましては九十万票に減つた。ところが今回の選挙に臨んでは、少くとも三百万票を回復して、国会の中において三十五名以上の代議士は確保できるという確信と準備を進めておると私は聞いておるのであります。従つてその場合において、現実には地方選挙におきましても、現在行われておるところの市町村長の地方選挙等におきましても、日本共産党の投票のとり数というものは、約二倍、三倍、四倍と前回に比してふえておるのであります。この事実も十分に御参酌の上、今のこういう問題を扱つて参らなければならない。そこでむしろじみではあるが、たとえば引揚げのような問題に対して、どういうふうに帰して来るかという具体的な方法論をもつと真剣に検討すべきじやないか。たとえばこういつた問題におきまして、ソ連中共に残つており、十年もたつておる戦犯のあのたくさんの人々、あれらをいかにしたら十年のこの冬を越させないで国へ迎える方法があるかどうか。おそらく留守家族の諸君としましても、あなた方の架空な、ただ選挙対策演説を聞くよりは、暮夜ひそかに自分たちの夫や子供あるいは兄弟があのラーゲルにおる姿を思い浮べては、それを帰してもらうという真剣みの方を望んでおると私は思うのであります。その点に対して、たとえば日本赤十字社を通して、あるいは手紙を出すとかいうようなことを言つておりますけれども、この点について政府は具体的にはどういうふうな援助をまずおやりになるのか、この点については総理大臣よりはむしろ厚生大臣からひとつはつきりした御答弁を承つてみたいと思うのであります。
  65. 鶴見祐輔

    ○鶴見国務大臣 ただいまちよつと質問を聞き漏らしましたので、恐れ入りますが……。
  66. 西村直己

    西村(直)委員 それではもう一ぺん簡単に繰返しますが、国民としては、当面の貿易であるとか漁船の不法拿捕の問題等もあるが、さらに人道上の問題として捨ておけない、十年もシベリヤなりソ連のラーゲルに呻吟しておる人々に対して、あなた方は具体的には当面どういう手をお打ちになるか、たとえば日本赤十字社だけにおまかせになるのか、あれだけ中ソとの国交回復、われわれが政府をつくればこういう問題をただちに解決するという宣伝だけはなさるが、具体的にはどういう準備があるのか、これをお聞かせ願いたいと思います。
  67. 鶴見祐輔

    ○鶴見国務大臣 御答弁申し上げます。ただいまの問題は、厚生省の所管に属する点と、外務省の所管に属する点と二つあると存じます。厚生省の所管に属する点は、すでに御承知のように従来の方針をさらに強化して参るつもりであります。外務大臣の所管に属する点につきましては、外務省と交渉をいたしまして、適当な処置をとるようにただいま配慮をいたしております。
  68. 西村直己

    西村(直)委員 先ほどの問題にさらに私は触れますけれども、法務大臣にひとつお伺いしたいと思う。たとえば具体的に当面の問題をいろいろと折衝を始めますならば、共産圏との関係に人事交流が始まると思います。昨日も、共産圏には少くとも弊害のない範囲においては人を出そうじやないかと言われている。そういつた場合におきまして、必ずや向うは片面交流は困るという言葉を使つて来るのであります。自分の方へだけでは困る、お前の方にも入れてくれと言つて来る。そこに政治宣伝の問題がついて来ると思います。これに対処するだけのお考えが何かおありになるのでございましようか。この点は法務大臣としての御意見も承らせていただきたいと思います。
  69. 花村四郎

    ○花村国務大臣 お答え申し上げます。ただいまの御質疑は、多分出入国管理に関する問題であろうと思いますが、これについては出入国管理に関しまする法規もありまするので、法規に照し、その事実とにらみ合せてきめて行きたいと存じます。
  70. 西村直己

    西村(直)委員 その出入国管理というような、不法侵入の人間の問題ではないのであります。少くとも鳩山内閣の今の方針、そしてその性格をたどつて表玄関から入ろうとしております人、言いかえますならば、こつちから代表を出しますれば、ことに政府のバツクにおいて今度は出そうというお気持が強いようでありますが、そういつたような場合において、必ずや向うでは片面交流では困るといつて、やはり表向きの目的は立てましても、裏に政治宣伝を伴うような形において入つて来るようなことに対しまして、何かあなた方の方ではそういつたことについて御準備をお持ちになつておるのか。ただそれはそれとしてほつておくのか。一方国内におきましては御存じの通り、大きな平和国民戦線というものが漸次結成されている。しかもそれはソ連の戦略戦術にのつとつた平和国民戦線が主導力になりやすいのであります。そういつた共産圏に対して人事交流を始めようというような場合において、何かそれらについての御準備がおありになるのか、その点はあるいは外務大臣から御答弁を願つてもよろしいのでありますがどうでございましよう。
  71. 重光葵

    重光国務大臣 その点は私非常に重要な点だと思つております。われわれは先ほど申し上げましたように、実際的に通商貿易の促進をやるように努めたい。それについては交通方面もできるだけ安易に実現するように仕向けたい、こういう考えを打つております。しかしそれだからといつて国内の治安維持に対する考え方を緩和するとかなんとかいうことの方針をその中に含んでおるわけではございません。しかしそこに注意をして行けば、そういう危険を冒さずして目的を達することができ得ると考えて、努力しようと考えておるわけであります。
  72. 西村直己

    西村(直)委員 もう時間李ありませんから、大体結論的に申し上げます。私は繰返して申し上げますが、今の平和的共存、平和の波というものに対しては非常な限界と準備がいる。いわゆる共産圏と自由圏の平和の道を打開するのにチヤーチルの言を御引用になるのもいいが、チヤーチルの言の前段には、力の政策と平和の政策の併用という言があります。その力の政策にはもちろん国内の国防力だけではございません。いわゆる政治のいろいろな面において、清新はつらつたる働きというものがあると思うのであります。これらの点を強調されなければ、ただおれたちが天下をとつて内閣をつくれば明るくなるのだ、うまくなるのだということで、無準備で限界を国民に教えないということは、私から言わせればそれはいわゆる平和国民戦線、ひいては革命勢力の拡大のお手伝いの方が大きい。はつきり申しますれば、共産圏とのつきあいにおいては歩どまりが強い、歩どまりが非常にあるのだ、ある程度歩どまりをどう計算するかということを十分に御検討の上やつていただきたいということを、私は警告の意味で申し上げます。その点がはつきりしないでもつて、ただからまわりをなさるということは、われわれから言いますならば、これは選挙運動に堕してしまうということをはつきり申し上げまして、私の質問を終りたいと思います。
  73. 山口喜久一郎

    ○山口委員長 横路節雄君。
  74. 横路節雄

    ○横路委員 私は第一番目に鳩山総理にお尋ねしたいのですが、総理は首班指名直後記者団との会見におきまして、政治を明るい清潔なものとして、国民大衆とともに親しみ合い、大衆とともに歩むとも言われておりますし、組閣後の政府声明にも「明朗にして清純な政治」とうたわれ、おります。このことはおそらく去る十一月二十四日民主党の結党大会において、鳩山さんが総裁としてごあいさつをなすつた言葉の中に、新党誕生に拍車をかけたのは汚職事件と指揮権発動と吉田暴言であると、こういうように言われております。従つて私はこの総理がおつしやいました清潔な政治、明朗にして清純な政治とは汚職のない政治であると、こういうように解しているのでございますが、この点に対する総理大臣の御所見を承りたいのであります。
  75. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 お話の通りでございます。
  76. 横路節雄

    ○横路委員 ただいま総理大臣から、私が考えておりましたように明るい清純な政治とは汚職のない政治である、こういうお話でございました。また民主党の結党はこの汚職事件と指揮権の発動と暴言によつて拍車をかけたものであると言われているのでありますそこで私は総理大臣にお尋ねしたい点は、この汚職事件というのは去る三月十六日の自由党の有田二郎八の逮捕許諾第一号に始まり、遂に四月十九日自由党当時の幹事長佐藤榮作氏の逮捕状の請求、四月二十一日指揮権発動となつて国民の憤激はその極に達して、遂にわれわれ社会党両派は四月二十二日吉田内閣不信任案を提出、四月二十四日本会議に上程の運びになつたのであります。今回結党されております民主党の構成を見ますのに、当時は鳩山さん御自身は自由党に籍を置かれている。今日民主党に籍を置かれている旧改進党の大体五十人ほどの人、並びに日本自由党の七名ほどの人は、この汚職事件と指揮権発効に国民とともに憤激をいたしまして、吉田内閣不信任案に同調いたしたのでございますが、しかし残り六十人近い今日民主党に参加をされている当時の自由党の諸君、並びに改進党においても欠席をされた諸君等、ただいま総理からお話のあつた汚職のない明るい政治をモツトーとして発足された民主党の中の半数ほどは、四月二十四日、この汚職事件と指揮権発動に関して、われわれが吉田内閣不信任案を提出したときに、われわれに反対し、吉田内閣を信任した、汚職事件と指揮権発動に賛成をしたという事実を総理大臣は何とお考えになられるか、その点についてお尋ねをしたいのであります。
  77. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 お答えをいたしますが、汚職事件に賛成をしたというわけじやございません。
  78. 横路節雄

    ○横路委員 この点は今総理大臣は汚職事件に賛成をしたのではないとおつしやいますが、四月二十四日の吉田内閣の不信任案につきましては、当時の改進党の諸君はそれぞれ言い分はございました、社会党の不信任案提出に言い分はございましたが、ただいま鳩山内閣の閣僚である三木武夫氏が改進党の立場を弁明して、すなわち汚職事件と指揮権発動にのみ限定をして吉田内閣の不信任案に同調したのであります。しかし今日民主党を結党されている半数の方は、その改進党すら当時汚職事件と指揮権発動に憤激をして、吉田内閣不信任案に賛成したのにかかわらず、これに反対をされているという事実を、総理大臣は何とお考えになられるかと私はお尋ねをしているのであります。
  79. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 汚職事件に賛成をしたという意味ではないんです。それは知らない人でしよう。
  80. 横路節雄

    ○横路委員 総理大臣が知らないと言うのは——今日民主党の結党に参加されて鳩山総裁のもとにおられる国会議員の過半数近くの諸君は、当時好意的な欠席、あるいは吉田内閣不信任案提出に際しましてわれわれに反対、吉田内閣信任と、こうなつたのです。その事実を鳩山さんはどうお考えになられますかと私はお尋ねしているのです。
  81. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 代議士諸君は自己の信念によつて動いたものと思いまして、私にはそんたくできません。
  82. 横路節雄

    ○横路委員 次に私が総理大臣にお尋ねしたい点は、総理大臣がその第一声の中でも、さらに民主党の大会でも汚職なき明るい政治を説かれていることは、私は政治家として当然だと思うのです。しかし鳩山さんが指摘をされている汚職事件並びに指揮権発動というのは、一体率直なところ、今日民主党に参加されている旧改進党の諸君並びに旧日本自由党の諸君、外航船舶利子補給法の当時で言うならば、鳩山自由党と呼ばれていた人々並びに吉田自由党に席を置かれていた人々は、この汚職事件については共同責任があると私は考えているのであります。なぜならば昨年春の総選挙の結果、第十六特別国会においては吉田自由党は過半数を制することができなくて二百一名の少数与党であつた、従つて一昨年秋総選挙後における第十五回特別国会において外航船舶建造融資利子補給法が成立し、昨年の総選挙後における第十六特別国会においても、さらに外航船舶利子補給法にからんでその予算の計上がされました場合に、二百一名の少数与党の自由党は、当時改進党並びに鳩山自由党と言われているそれぞれの他の保守二党の諸君との間に、少数与党たるがゆえに遂に七月十七日に厖大な外航船舶利子補給に関する予算の増額修正をされたのであります。従つて法律も修正し、予算も修正したことは当然でありますが、その点にからんでそれぞれ金の受渡しがあつた。この点はただ単に政治資金規正法違反で起訴されておる当時の自由党幹事長の佐藤榮作氏の問題ばかりでなしに、今日の日本民主党をひつくるめての保守党全体の共同責任であると私は思うのであります。(拍手)この点についての鳩山さんのお考えはどうであるか承りたいのであります。
  83. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 私はそのように解釈をいたしません。
  84. 横路節雄

    ○横路委員 それでは私は総裁に重ねてお尋ねをいたしますが、私は朝日新聞の四月十六日の分ですが、この朝日新聞の四月十六日の朝刊に、現在民主党の副総裁である重光さん、さらに鳩山内閣の閣僚である三木さん、この記事が四月十六日の朝日新聞にはこう出ているのであります。「改進党総裁重光葵氏と同党顧問の三木武夫氏は十四日、参考人として東京地検の取調べを受けた。造船疑獄に関連して事情を聴取されたものと見られている。さきに佐藤自由党幹事長の」云々となつておりますが、鳩山さんに私がこの点をお尋ねいたしておりますのは、民主党が結党されましてから——なるほど自由党を攻撃れることはわれわれも当然でございます。しかしこの汚職事件、指揮権発動の根幹をなした造船疑獄についてのその発端である外航船舶利子補給法、それをめぐるいろいろの政治献金、金の受渡し、こういう問題について私は日本民主党といえども自由党と共同の責任を持つてもらわなければ困る。その点を自由党だけは責任があつて、民主党は責任がないのだという、そういうものの言い方について私は総理大臣であり、民主党の総裁として政治上どうかと思うのでお尋ねをいたしておるのであります。
  85. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 私はあなたのようには考えておりません。
  86. 横路節雄

    ○横路委員 今総理大臣から私が言つたように総理大臣はお考えになつていないということでありますが、この点はまつたくわれわれ社会党と考え方が違うというよりは、鳩山さん御自身が総理大臣に選ばれましたその新聞記者団との会見の第一声に、清潔な政治、国民とともに明朗にして清純な政治——というのは、国民は何を期待しておるかというと、汚職のない政治というものを期待しておる。これから汚職のない政治をやるというならわかるが、自由党を攻撃するの余りに、民主党はあげて汚職はなかつたのだと言うことはわれわれとして受取れないのであります。しかし鳩山さんがそうおつしやるのであれば私は次に問題を移したいと思うのであります。  一体この汚職の根源はどこにある、汚職をまつたく断つ明るい清潔な政治をやると総理大臣がお考えになつているのであるなら、汚職の根源を断つためにはどうなさつたらいいと総理大臣はお考えになつておられるのか、その点を明らかにしていただきたいと思うのであります。
  87. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 明るい政治、希望のある政治をつくり出すのには、政府がどういう考え方で、どういうことをするのだということをできるだけつまびらかに、できるだけすみやかに国民に知らすことによつて、明朗な政治と希望のある政治ができるものだと思つておるのであります。
  88. 横路節雄

    ○横路委員 今総理大臣のおつしやつたような国民に希望を持たせる政治、そういうこともございましよう。しかし今日まで国民がこの政界に対しての徹底的な批判、しかも総理大臣がこの間名古屋でもおつしやつておる道義の回復というようなものは、やはり私はその根幹に何といつてもこの政界自体が汚職を完全に断たない限り国民自体の道義の回復、精神の高揚というものはないと私は思うのであります。この点については総理大臣はどうお思いになりますか。
  89. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 同感であります。
  90. 横路節雄

    ○横路委員 総理大臣から同感だというお話がございましたので、重ねて私はお尋ねしたいのであります。  新聞の報ずるところによりますと、先日自由党幹事長の佐藤榮作氏が政治資金規正法違反で起訴されております。その内容を見ますと、昨年の春の選挙で自由党は約二億円以上の金を集めながら、なお選挙資金が足りないために、八千万円を佐藤榮作氏は借りた。そこでこれを返さなければならないというので、昨年の七月十七日に外航船利子補給法による予算の成立、法案の修正等ができました後から、これに関連いたしまして、二十八年九月二十四日に船主協会から一千万円、二十八年十月二十一日に森田汽船から三百万円、造船工業会から二十八年十月下旬に七百万円、さらに十一月十九日に三百万円、合計一千万円、その前に二十八年の三月二十日に船主協会から一千万円、こういうようにそれぞれ献金を受けながら届出をしなかつたというので、今回問われているのであります。しかしこの問題については、なるほど自由党の佐藤榮作氏は届出をしなかつたために政治資金規正法違反に問われておりますが、しかし届出をしたとはいうものの、同じ立場に立つてやはりそれぞれ献金を受けている——鳩山さんはしばらくの間そういう総裁というような政党の総括責任者におなりでなかつたから、あるいはおわかりにならないかもしれませんが、現に改進党は、二十七年十月十一日には日本船主協会から三百万円、その年の九月六日には飯野海運五十万円、日本郵船五十万円、大阪商船五十万円、三井船舶五十万円、九月十五日には三菱海運五十万円、山下汽船五十万円、川崎汽船五十万円、日清汽船五十万円、昨年春の選挙には、改進党は船主協会から三百万円、鳩山自由党は船主協会から三月三十一日百万円、四月七日百万円とそれぞれ献金を受けておるのであります。私はこの点について、このことが汚職の根源になると考えているのであります。汚職の根源は、いわゆる衆議院総選挙にからんでそれぞれの政党が、国から補給金を受け、国から何を受ける、こういうようなところから金を受けるところにあげてこの汚職の根源があると思うのであります。従つて私が総理大臣にお尋ねしたい点は、この来るべき総選にからんで、こういう政治献金について、あなたは清潔な政治という立場からどういう措置をなさるのか、総理大臣としてのお考えを承りたいのであります。
  91. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 各党がどういうような政治資金を受けたか私は知りません。私の前の党において百万円どこからかもらつたというようなお話がありましたが、私は全然知りません。
  92. 横路節雄

    ○横路委員 私がお尋ねをしているのは、今日までの政界の汚職の根源というものは、衆議院の総選挙にからんで、国から利子補給を受けているとか、あるいは補助金を受けているとか、あるいは国から資本金をもらつているとかいうような会社等からそれぞれ献金を受けるところに、汚職の根源があると私は思うのですが、その点についての総理大臣の御所見はどうかと私はお尋ねしているのであります。
  93. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 政党が理由のない金は授受のないことを欲します。けれども犯罪にならない正当なるというか、清潔なるというか知らないが、そういうような寄付を受けるということを絶対に否定するわけにも参らないと思います。いずれの国におきましても、正当な寄付金によつて選挙運動がされているのは事実ですから、それを全然違法なように取扱うわけにも参りますまい。
  94. 横路節雄

    ○横路委員 今総理大臣がお話したように、それぞれの政党の支持者、支持団体等から献金を受けることは、私も総理大臣と同じでさしつかえないと思う。しかし国が利子補給であるとかあるいは交付金であるとか、補助金であるとか、それから国が資本金を出しているとか、こういうところで政界と官界と財界と結託するところに汚職の根源があると私は考えておるので、これなくしては政界の粛正はない。今総理大臣は言葉を濁された。これは言い過ぎだと思います。犯罪というこれは言葉の違いと思いますが、そうでなしに、やはりこの際政界を明朗にするためには、国から補助金あるいは交付金、こういうものを受けている会社等からこれを受けては、私はこの根源を断つわけにはいかぬと思うので、総理大臣はいよいよ総選挙を前にして民主党総裁として一体どういう態度で臨まれるか、この点についてお尋ねをしておるのであります。
  95. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 そうした補助を受けておるような会社から政党が寄付金を受けるというようなことは排斥すべきものだと思います。
  96. 横路節雄

    ○横路委員 私は鳩山総理大臣に重ねてその点お尋ねしたい。総理大臣が今おつしやつたように、国から補助金あるいは補給金あるいは交付金あるいは国が資本金を出しておる、こういうようなところから受くべきでないという総理大臣の御所見であれば、私はやはり政界は清潔にして明朗になると思うのです。その点重ねてお尋ねしたい。
  97. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 問者の言う通りであります。
  98. 横路節雄

    ○横路委員 次に私は鳩山総理にお尋ねをしたいのでございますが、鳩山総理は民主党の結党のあいさつの山で、吉田前総理は今日まで政権の座にすわつて六年有余、いまだかつて外交の第一目的たる平和外交についてその政策の大綱を示したことはないときめつけられております。しかし吉田総理自身は、サンフランシスコ会議からとつて来たコース、すなわち平和条約、安全保障条約、行政協定、そして日本アメリカとの相互防衛援助協定への道は平和外交の真髄であると考えられで来たと思うのであります。また今日民主党に参加の諸料は、旧鳩山自由党といわず、旧改進党といわず、みなこれに腹の底から賛意を表して来られたのであります。われわれ社会党よりすれば、この一連のコースは明らかにアメリカへの追随外交であり、何ら自主外交ではないと思うのでございますが、民主党の総裁のあなたは今まで賛成されておられながら、吉田外交を称して平和外交でないというのは、私はいささかおかしいと思うのであります。一体鳩山重光外交は吉田・岡崎外交と本質的にどこが違うのか、一体どこに吉田・岡崎外交に示されていない、平和外交の大綱を鳩山重光外交は示されるのか、この点率直にひとつ明らかにしていただきたいと思うのであります。
  99. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 吉田君が平和外交に少しも貢献しなかつたという趣旨で私は演説をした覚えはございません。自由主義国家群と相提携して世界の平和を維持しようとする点については、吉田君はその通りの努力をして来たのであります。自由主義国家群と共存共栄の実をますます深くして、親善関係を厚くして、そして世界の平和を維持しよう、これは吉田君が努力をしたと思います。ただ吉田君は共産主義を採用している国に対して、その国交の調整をしない、それだけは平和外交を維持する上において一つの欠点であると思つた、それを私は言つただけであります。
  100. 横路節雄

    ○横路委員 そうすると、ただいま総理大臣のお言葉で、吉田・岡崎外交が進んで参りました平和条約、安保条約、行政協定、MSA協定の一連のアメリカとのいわゆる外交方針については、本質的に何らかわりがない、こういうふうに確認してよろしいのでありますか。
  101. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 その通り考えております。
  102. 横路節雄

    ○横路委員 それでは、今まで衆議院の本会議におきましても、本予算委員会におきましても、あるいは外務委員会等におきましても、あるいは総理がしばしばラジオ、新聞等で発表されて参りましたこの吉田外交に対して、いわゆる平和外交として自分はもつと積極的に進めて行くのだ、しかしアメリカ外交の本質はかわりがないというならば、問題は対ソ連との国交の回復、対中共との国交回復ということで、この点は鳩山さんが民主党の結党大会における総裁のあいさつの中でもおつしやつております。すなわちソ連中共との戦争状態のいまだ終結せざる状態を、この際早く終結すべきであると二年前から吉田首相に言つているのだが、二年前から言つておれば、もうとつくに戦争状態は終結しておつたにかかわらず、やつていない、こう言つているのであります。それならば、この際このソ連並び中共との戦争状態がいまだ終結しない状態を、一体どういうような基本的な方針によつて終結なさるのか。その点についての方針を明らかにお示しをいただきたいのであります。
  103. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 ソ連戦争状態終結未確定の事態に長く置いたということは、吉田君の失政だと私は申しました。その通りに今でも考えております。けれども、いかにしてこの国交を調整するかというのには、いろいろな方法があるだろうと思うのであります。これは外交の技術でありまして、二年半前に申したのは、あるいは日本において単独声明をして、そうして事実上の平和をつくつて、その事実によつて平和に持つて行くというのも一つの方法だろうし、あるいは交通しあるいは貿易をして、そうしてその事実を打立てて行つて戦争状態終結の事態をつくり上げるというのも、一つやり方であろうと思うのですが、そういうような技術的のことは、私よりは重光君の方が堪能でありますから、いろいろな方法がお聞きになりたければ、どうか外務大臣にお聞き取り願いたいと思います。
  104. 横路節雄

    ○横路委員 私が総理大臣にお尋ねしたい点は、重光外務大臣は、今鳩山総理大臣がおつしやつたように簡明率直には、ソ連中共との戦争状態がいまだ終結していないことについてこれを終結すべきであるというようなことはおつしやつていないのであります。今鳩山さん御自身は二年前におつしやつたことは、今でも自分の政治上の信念であるとおつしやつておる。自分の政治上の信念であるならば、同じ内閣外務大臣であつても、やはり総理大臣としてその所信に向つて方策をここでお述べいただきたいのであります。外務大臣にはあとでお尋ねいたします。重ねて総理大臣からこの戦争状態が終結していない状態をどうやつて終結されるのか、その点についてお尋ねいたします。
  105. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 私はそういうような方針を持つておるというので、具体的のやり方については外務大臣からお答えを願いたいと思います。
  106. 横路節雄

    ○横路委員 それでは、外交問題について重光外務大臣にお尋ねしたいと思います。鳩山総理は、新聞によりますと、十九日名古屋で演説をされましたが、同行の閣僚の中に、国際的には吉田外交はまるでアメリカ日本とのセメント外交で、少しも弾力性がなかつた。弾力性のない政治ほど悲惨なものはない、こう言つておる。名前をあげろとおつしやれば名前をあげますが、一体なぜ弾力性がないのか、なぜ一体日本アメリカとのセメント外交なのか、今総理大臣御自身が言われたように、なぜソ連中共との戦争状態がいまだ終結されないのか。私はこの点について、これはやはり鳩山内閣の閣僚が考えられておるように、明らかにMSA協定によつてセメントになつてしまつたのだ、従つて共産圏との外交問題をどういうように調整するかということは、アメリカ外交を今のままにしておいた限りにおいては、対共産圏との外交の融和はないと思うのでありますが、この点についての外務大臣の所員を承りたいのであります。
  107. 重光葵

    重光国務大臣 その点についてもアメリカ側と十分に意思疏通をやりつつ進めて行きたい、こう考えております。
  108. 横路節雄

    ○横路委員 私は重光さんに重ねてお尋ねいたしますが、去る十七日衆議院の本会議におきまして自由党の佐々木議員の質問に答えて、中共貿易は国家の背負う義務に反しない限り進めて行きたい、こう言つておるのであります。一体国家が背負つておる義務ということになると、一方で背中に重荷を背負つておる、この背負つておる重荷をはずさない限りは、あなた御自身がたびたび言われておる自主独立外交にはならないのではないか。一体あなたがおつしやる中共貿易は国家の背負う義務に反しない限りというのは、どういう義務によつて拘束されておるのか、その点明らかにしていただきたいのであります。
  109. 重光葵

    重光国務大臣 国際間において背負つておる義務に反することが自主外交ではないと思います。私はそういう義務を完全に守りつつ、もし不便なものがあれば、できるだけそれをゆるやかにするように努力をして、そしてわが国の利益を進めて行くことが自主独立の外交である、こう考えております。   〔委員長退席、西村(面)委員長代   理着席〕
  110. 横路節雄

    ○横路委員 私が重光さんにお尋ねしたいのは、重光さんは、中共は一体今日世界平和の秩序を脅かす国とお考えになつておるのか、それとも平和に邁進しておる国とお考えになつておるのか、その点は一体外務大臣として中共をどういうようにお考えになつておるのか、ひとつ御所信を承りたいのであります。
  111. 重光葵

    重光国務大臣 私は中共方針がどうなつておるか、中共政府方針は実は知りません。知りませんけれども、わが国としては、イデオロギーにとらわれず、できるだけ各国と平和関係を進めて行きたい、こう考えております。
  112. 横路節雄

    ○横路委員 私は外務大臣にお尋ねしたいのです。たしか外務政務次官は床次君だと思いますが、中共からの招聘によりまして各党の国会議員の諸君は、九月二十九日北京に到着されて声明を発表せられ、十月二十六日羽田に到着されてさらに声明を発表されておる。その中で、中国人民大衆が、毛沢東の指揮のもとに新国家建設を着々進めるとともに、世界平和のために特にわが国友好関係を確立することを念願しつつあることを確認した、こう言つておる。一体外務大臣はこの中共に対してどういう認識をお持ちになつておるのか、重ねてひとつ御所信を承りたいのであります。
  113. 重光葵

    重光国務大臣 私は中共政府がどういう外交政策をとつておるということを知りません。   〔発言する者あり〕
  114. 横路節雄

    ○横路委員 私は総理大臣にお尋ねしたいのであります。総理大臣にお尋ねしたい点は、今総理大臣も外務大臣の御答弁をお聞きになつたように、中共がどういう外交方針だか自分は知らないのだ、そういう知らないというもとに立つて、なぜ一体総理大臣のお考えになつておるようなソ連中共との国交の回復や貿易ができるのか。全然知らないと言うのですが、総理大臣あなた御自身は中共をどういうようにお考えになつておるのか、その点についてお尋ねをしたいのであります。
  115. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 中共ソ連がどういうような真意を持つているかはなかなかわからないという意味外務大臣は言われたのだろうと思います。表面に現われた事柄はわからないはずはないのでありますが、いろいろなことをやつているかもしれないというような疑点を外務大臣が持つのも私は当然だろうと思うのです。共産主義国家というものは、なかなか表面に現われたことと真実抱いていることとは違う場合もありますから、外務大臣がかくのごとき言葉を言われたのは、責任を重んじてわれたと思います。しかしながら中共ソ連を平和の外交を求めるものとして、平和の目的を達するためにいろいろなことをやる、すなわち交通を自由にするとかあるいは貿易を進めて行くとかいうようなことによつて、だんだんとソ連中共と平和を樹立するということは必要だと思つております。   〔西村(直)委員長代理退席、委員   長着席〕
  116. 横路節雄

    ○横路委員 私は今の総理大臣のお言葉であれば、やや了解できる点があるのであります。それはなぜならば、ソ連中共も平和を求めているものであるという立場に立つて交通貿易を進めて行く間に平和が取結ばれるのである、こういうのであればわかる。外務大臣中共ソ連がどういうのだか全然わからぬと言うのでは、全然わからぬというところに何で一体外交方針が立つのです。外務大臣にもう一ぺんお尋ねします。あなたは一体中共に対してどういうようにお考えになつておりますか。
  117. 重光葵

    重光国務大臣 私はむろん発表された公式の声明は存じております。しかし私が外交を進めて行く上においては、その真意がどういうものであるかということは、これは、いろいろ観察しなければなりません。その真意を私は承知しないと、こう言つておるのであります。
  118. 横路節雄

    ○横路委員 私は外務大臣にお尋ねをしますが、先般の国会でも、中央からの貿易視察団をこちらへ招くことに決定をいたしました。これは国全体のために非常に喜ばしいことであり、外務大臣もそれについては異存のないことだと思うのであります。そこで中共との貿易に関して一番大きな障害となつておるのは、日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定の中の附属書のD項であります。「日本政府は、共通の安全保障のため、世界平和の維持を脅かす国との貿易を統制する措置を執ることについて、」云々となつておりますが、外務大臣中共との大幅な貿易協定を取結ぶためにも、このMSA協定について、この際われわれ社会党は当然これを廃棄すべきであると考えておるが、少くとも民主党においても、これは改訂をしなければならぬ、これが中共貿易の非常な障害になつておるのでございますけれども、この点については外務大臣はどうお考えになられますかお尋ねをいたします。
  119. 重光葵

    重光国務大臣 私は中共への貿易は具体的に進めて行きたいという考えを繰返し述べてわります。それに対しては、それに関係をする、またその支障になつておることについてはできるだけこれを訂正して行きたいと、こう考えておりますが、今MSA協定をどう改訂するという具体的の問題については、十分審議した結果についてお答えすることにします。今その審議をまだ十分に尽しておりませんことを申し上げます。
  120. 横路節雄

    ○横路委員 外務大臣に重ねてお尋ねしますが、重光さんは民主党の結党の際にやはり副総裁としてあいさつの演説をされております。その中にこういう言葉があるのでございます。「吉田政府政権維持のために手段を選ばず、多数派工作はもとより、外遊さえもこれに利用した。しかしこれは日米共同宣言にも見るが如く何らの具体的効果が挙らず、かえつて国民の憤激を買つたのである。」とこう言つておるる。あなた御自身はこの日米の共同宣言についてどういうようにお考えになられているのか、ひとつこの点について明らかにしていただきたいと思うのであります。われわれ社会党からすれば、先般のアイゼンハウアーと吉田さんとの間の日米共同声明の中には、非常に重大な内容を含んでおります。それは余剰農産物に関する買付協定であり、その後引続いて行われました余剰農産物買付協定は総額八千五百万ドルとなつているのであります。従つてこの点は日本のいわゆる農業政策にも重大な影響を及ぼし、ことに中共貿易、ビルマとの貿易の上にも重大な影響を及ぼしますので、あなた御自身が日米の共同宣言は何ら空疎なものであると言うならば、この日米共同宣言以後における余剰農産物買付協定についても当然これはとりきめをすべきでないと私は考えているのであります。この点、結党当時の副総裁と今の外務大臣とはとうお考えが違つておるのか、同じなのか、この点をひとつ明らかにしていただきたいと思うのであります。
  121. 重光葵

    重光国務大臣 私はあの日米共同声明がワシントンで発表されたときには、これはいかにも空疎なものだと思いました。それにどういう協定があるかということは、たとえば綿麦借款でございますが、これはよく調査した上で、これに対するわれわれの新内閣方針を決定したいと、こう思つております。
  122. 横路節雄

    ○横路委員 外務大臣にお尋ねしますが、そうすると今の日米共同立言の中にある余剰農産物買付に関する協定、この点については政府としては具体的な交渉段階に入りたいというのですか、それとも全然いまだ何ら関知していないというのですか、その点もう一度明らかにしていただきたいのであります。
  123. 重光葵

    重光国務大臣 今その点を慎重に考究中でございます。
  124. 山口喜久一郎

    ○山口委員長 横路君の質疑に関し、足鹿覺君から関連質疑の発言を求められておりますから、これを許します。足鹿君。
  125. 足鹿覺

    足鹿委員 余剰農産物の受入れの協定の問題でありますが、この協定をもし批准するといたしますならば、その時期はいつごろになる見通しでありますか。外務大臣あるいは農林大臣に伺いたい。
  126. 山口喜久一郎

    ○山口委員長 足鹿君にちよつと申し上げますが、農林大臣は一時に参ることになつていますから、外務大臣から……。
  127. 重光葵

    重光国務大臣 今お答えしました通りに、慎重に考究中でありますから、その上に申し上げることにいたします。
  128. 足鹿覺

    足鹿委員 おそらく解散後の国会考えられるのでありますか、本協定の有効期限はアメリカ会計年度の終期でありますところの来年六かまででありますから、かりに来年の五月に国会の批准が済むといたしますならば、五、六の二箇月で買付をして行かなければならないことになるのであります。従つて乱暴な買付となり、粗悪品を買うこととなると私どもは案ずるのでありますか、これに対して伝え聞くところによれば、外務省その他においては行政上の手続として仮実施をするけはいがあるように伺いますか、そのような考え方を持つておるかどうか、この点を明確にしていただきたい。
  129. 重光葵

    重光国務大臣 実は私はその点について十分知識を持ちませんでした。今事務当局の意見を聞きますと、そういう場合において仮実施をする道もあるそうでございます。そういう仮実施をする必要がある場合には、慎重に考究し、またむろんそのことについては議会の承認を求めるつもりであります。
  130. 足鹿覺

    足鹿委員 行政上の手続として仮実施をする場合には慎重にやるということでございますが、仮実施のあるなしは別といたしまして、本買付中問題になりますのは、特に米であります。加州米は準内地米として品質も相当良好でありすが、南部の諸州の米は非常に悪いのであります。特にCCCの手持ちの米は三年前くらいの古米もありまして、黄変米のおそれも多分にあるのであります。特に本年は加州米は非常な凶作でありまして、輸出余力がないと私どもは考えておるのでありますが、日本府社が買付に当る場合に、粗悪米や黄変米の輸入を防止するために、政府はいかような方針考えておりますか、この点について明確にしていただきたい。  以上で私は関連質問を保留いたしまして、あとで農林大臣がおいでになりましてから、この問題についてさらにお尋ねを申し上げたいと思います。
  131. 横路節雄

    ○横路委員 私は総理大臣にお尋ねをしたいのです。きのう自衛隊憲法の関連についていろいろ質疑がありましたが、私は総理大臣に率直なところをお尋ねしたいのです。これは、前の吉田自由党内閣のときの木村防衛庁長官は、今の自衛隊がだんだん増強されて行けば、必ず今の自衛隊の制度というものは限度がある、いわゆる募集制度は限度がある、必ずどこかの限界では徴兵制度を実施しなければならないと言つている。そこで総理大臣は、一体憲法を改正して徴兵制度を実施されるような段階が来ることがあるとお考えになつておるのか、そういうことは絶対ないとお考えになつているのか、その点についてひとつ答弁いただきたいのであります。
  132. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 現在私はまだその問題を考え中でありまして、徴兵をするというような勇気のある答弁はできない。
  133. 横路節雄

    ○横路委員 今総理大臣から、徴兵制度を実施するという勇気のある答弁はできないとこう言う。これは勇気のあるなしではないのであります。やはり民主党の総裁として、内閣総理大臣とし、日本の国家財政の将来からいつて、徴兵制度は実施するというのか、いまだその段階でないというのか、絶対しないというのか、その点はやはり政治上の所信として明らかにしていただきたい。
  134. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 現在の平和外交ということが成功いたしまして、戦争はもうないんだ、外国から攻撃をした場合についての自衛だけの戦争、将来の戦争自衛だけにとどまるんだというような世の中になりますれば、それは徴兵制度というものも国民の歓迎するところかもしれませんが、戦争終了後まだ間もない今日において、徴兵制度を実施するということは不可能な状態である。それがゆえに私は現在においてそういうようなことを言うのは、非常な何といいますか、勇気と言つたのは間違いかもしれませんが、それは非常に暴論というように思われますから、慎んでおる次第であります。
  135. 横路節雄

    ○横路委員 私は今の内閣総理大臣のお言葉の中に、非常に何とはなしに疑義を持つ点があるのです。それは世界が完全に平和が維持されて、戦争というものは外部からの攻撃に対する自衛のための、そういういわゆる戦争といいますか武力の発動しかないような段階に来たときに、国民が希望するならば徴兵制度もいいというのですが、そうなると総理大臣のお考えの中には、場合によつて外国にこちらから武力発動をしなければならないという、昔でいうならば侵略戦争も起り得るというようにお考えになつておるのですか。
  136. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 それは全然誤解です。そういうことは全然考えておりません。
  137. 横路節雄

    ○横路委員 私は防衛庁長官にお尋ねしたいのです。あなたは、この十六日午後の衆議院の内閣委員会で自由党の平井委員質問に答えて、現憲法下でも自衛隊は持てるが、さらにこれを改正して防衛面で積極策をとりたい、内容を見ると、これをいわゆる防衛上から見るとき、現憲法は消極的であるので改正して積極的施策をとるようにすることが望ましいという。防衛面についての今の自衛隊以上の積極的施策とはどういうことですか。そのことが憲法改正をする必要があるんだと言つておる。あなたは十六日の内閣委員会でそう言つておる。これも収消しするのですか、明らかにしておいてもらいたい。
  138. 大村清一

    大村国務大臣 お尋ねになりました政府の見解は、さきに朗読して御説明を申し上げました通りであります。ただいまお尋ねのありました点は、現行憲法におきましては御承知のように憲法第九条があるだけでありまして、自衛力を持つことは憲法の否認しておるところでないことはさきに申し上げた通りであります。しかし日本自衛を完全にするためには、憲法の上に自衛力の保持についての必要な規定を追加する必要があるのではないか、このように考えておる次第であります。その限度においての問題であります。
  139. 横路節雄

    ○横路委員 防衛庁長官、今の点で、す。今の自衛隊、今の憲法はどうも疑義がある、だから今の自衛隊を確保して行くためには、憲法上何らかそこに言葉上補いをつけなければならぬのではないかというあなたの答弁からすれば、今の自衛隊はやはり一部憲法違反ということになりませんか。
  140. 大村清一

    大村国務大臣 自衛隊現行憲法上疑いもなく合憲であります。憲法に違反するものではありません。
  141. 横路節雄

    ○横路委員 それでは私は防衛庁長官にお尋ねしますが、今の自衛隊憲法によく合致しているのだ、それならなぜ一体、自衛隊の今日の制度を進めて行く上において、あなたは憲法を世の誤解があるから改正しなければならぬと言うが、筋が合わぬじやないですか。その点はどうですか。
  142. 大村清一

    大村国務大臣 その点は先に説明をいたしました通り自衛隊憲法の否認するところではございません。しかし世上これについていろいろ議論もあり、誤解もありますから、憲法改正の際この点誤解のないように明確にすることが適当であろう、このように考えているわけであります。
  143. 横路節雄

    ○横路委員 私はあなたにお尋ねしたい。そうすると内閣委員会において積極的な施策をとるために憲法改正をするというのと違うのですね。十六日の内閣委員会における答弁も取消すのですか。その点明らかにしてもらいたい。
  144. 大村清一

    大村国務大臣 内閣委員会における答弁は取消す必要はないと考えております。
  145. 横路節雄

    ○横路委員 私は防衛庁長官にお尋ねしたい。それじや一体なぜ憲法を改正するんだ。世上いろいろ疑惑があるということは、あなた自身の中に憲法違反ではないと言つているが、何とはなしに憲法違反ではないだろうか、だからその点を条文ではつきりするというのか。あなたは憲法を改正するというならば今の自衛隊以上に何をやろうというのか、その点を明らかにしてもらいたい。
  146. 大村清一

    大村国務大臣 先ほど来説明いたしました通りに、私どもは自衛隊憲法の否認するところでは絶対にないと確信をいたしております。しかし世間に……。   〔「それからだ」と呼びその他発言する者あり、笑声〕
  147. 横路節雄

    ○横路委員 委員長は発言を制してもらいたい。今私は防衛庁長官にお尋ねしたい点がある。昭和二十九年度から昭和三十年度にかけてのいわゆるわが国の防衛計画というものは、あなたは吉田内閣方針をそのまま踏襲されるのかどうか。吉田内閣方針から違つたところがあるならば言つてもらいたい。同じなら同じとはつきりつてもらいたい。
  148. 大村清一

    大村国務大臣 防衛計画につきましては防衛庁長官としては木村前長官編成いたしましたところの予算の要求書を一応支持いたしまして、今後内閣におきまして十分なる検討を遂げて、そうして適当なる結論を得るために目下研究中でございます。
  149. 横路節雄

    ○横路委員 総理大臣にお尋ねをします。今大村防衛庁長官からお話ございましたように、いろいろ世上疑惑があるから憲法左改正しなければならぬと言つているが、その時期は一体いつなのですか、大体あなたのお考えは。
  150. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 お答えをいたします。憲法改正というものは保守外力の数が非常に必要なんでありまして、まず選挙をやつてみなければ、いつやるかということはわかりません。
  151. 横路節雄

    ○横路委員 私は最後に鳩山さんに一つだけお尋ねをして終りたい。それは先ほどから外交問題についてお尋ねしました。防衛問題についてお尋ねしました。これがやはり私は日本のこれからの非常に重大な政治上の問題だと思うのであります。この点については憲法問題にしても何にしても、鳩山内閣は結局外交方針についても防衛問題についても、吉田内閣基本的な方針を踏襲しているものであるというように私どもは考えてさしつかえないのか、その点を明らかにしていただきたい。
  152. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 外交問題について先刻申しましたように、自由義国家群と緊密なる提携をとつて平和外交を進めて行くということは、吉田君とまつたく同一であると申しましたけれども、ソ連に対しての態度は幾分か違うということは、あなたもおわかりになつたと思います。  それからもう一つは何でしたか……。
  153. 横路節雄

    ○横路委員 防衛問題と憲法問題です。
  154. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 憲法問題は、ただいま大村君がお答えした通りに、世間に疑惑があるということは事実なんです。たとえば何と言いましたか、吉田内閣時代に、近代科学的な方法はできないのだというようなことを吉田内閣言つていたくらいでありまして、どの程度の防衛力を持つているかということについて議論があるのですから、実際に。そういうような異論のないような憲法にするということを国民が熱望するような時代においては、むろん憲法を改正しなくてはならないと思います。
  155. 横路節雄

    ○横路委員 総理大臣に重ねてお尋ねしますが、前の吉田内閣総理大臣も憲法改正については輿論が憲法を改正すべきだ、こういう段階になつたらするのだ、だから自分はしない、とこう言つている。今鳩山総理大臣のお話も輿論がそういうことになればそれはする、しかし今自分の政治上の所信としてはそのことは明らかにできないということになれば、私は前の総理大臣の吉田さんと鳩山さんとは、そういう憲法改正問題についての基本的な方針は、何らかわりがないと思う。どこに一体鳩山さん御自身が今回民主党を結党された総裁としての、特に防衛についての憲法改正の問題の政治な所信がわるのか、明らかにしていただきたい。
  156. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 もし吉田君が憲法を攻正する希望は持つていると言つたのならば私と同一です。憲法は改正しないと言うのならば私とは違つております。
  157. 山口喜久一郎

    ○山口委員長 稲富稜人君
  158. 稲富稜人

    ○稲富委員 私は総理大臣にお尋ねするにあたりまして、まず内閣の性格についてお尋ねいたしておきたいと思うのであります。御承知のごとく、鳩山内閣は、組閣にあたりましては、いまだかつてあまり類例を見ない三党首声明によりますいわゆる一箇月後には国会を解散する、それと同時に一応内閣も総辞職をしなければならない、かような宿命を持つた内閣である、いわゆる選挙管理内閣としての性格を多分に持つた内閣であるということを十分御承知の上で、組閣になつたと思うのでございますが、これに対する御認識は違つてないのであるか、承りたいと思います。
  159. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 今の間者のお考え通りであります。すみやかに解散をしなくてはならない運命を背負つている内閣であります。
  160. 稲富稜人

    ○稲富委員 しからばさらにお尋ねしたい思うのでございますが、かような特殊の性格を持つた内閣でございまするがゆえに、しかも総理大臣は、その組閣にあたりましては、百二十名の政党員を擁して組閣をすることは非常に僭越であるという、実に謙虚な言葉も発せられているのでございますが、かような僭越であるという認識のある内閣でありまするならば、この内閣が政治をやるにあたりまして、あたかも選挙の準備をやるがごとき。内閣の言動、行動があるとするならば、これは総理の組閣の精神とは非常に反した結果になる、かように思うのでございますが、これに対しまして、総理は、やはりそういうような気持を今日お持ちであるかどうかを承りたいと思うのであります。
  161. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 私は選挙管理内閣であるということを言つたことはないのです。選挙をやるだけの目的を持つておる内閣とは思つておりません。やはり内閣をつくりました以上は、何を考え、何をするんだということを国民に示すことが、私の職責なりと考えてやつておる次第であります。
  162. 稲富稜人

    ○稲富委員 あえて選挙他行理内閣という言葉を使わないとするならば、当然選挙をやるべき宿命を持つた内閣である。この内閣の寿命というものは、三月の選挙後には一応終止符を打つべき宿命を持つた内閣であるということは、十分御認識であるだろうと思うのでございますが、これは私の考えは間違つていないと思うのであります。われわれはいたずらに選挙管理内閣だという、その言葉にとらわれるのでなくして、実際上は選挙管理内閣としての性格を打つた内閣である、こういうことを御認識になつての上で、すべての政策をやらなければいけない、かように申し上げておるわけでありますが、これに対する御答弁を承りたい。
  163. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 先刻いたしました答弁に、何も附加するものもなし、削るものもないと思います。
  164. 稲富稜人

    ○稲富委員 それならば、そのやられる政治の上に一つの逸脱した行為があつては、私たちはおもしろくないと思うのでございます。かように三月までの仕事をやらなければいけない内閣が、今日人事の異動をやるがごときは、明らかに一つの逸脱した行為である、かように私は考えるわけでありますが、これに対する総理のお考えを承りたいと思う。
  165. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 政治は一日も休むわけに参りませんので、その政治をやる上に必要な人事の異動は、またやむを得ずある範囲内において実行するよりほかしかたがございません。
  166. 稲富稜人

    ○稲富委員 しからばさらに具体的にお尋ねいたしたいのでございます。もちろん政治は一日も放任すべきものではないということは、十分承知いたします。これは農林大臣がおいでになつていないようでございますが、このたび農林省におきましては、次官の辞任と同時に、局長全体の異動をやられたのでありますが、しからば鳩山内閣が政治を行う上において、農林省の全局長の異動をやらなければできないような必要がいずこにあつたかという具体的御説明を承りたいと思うのであります。
  167. 山口喜久一郎

    ○山口委員長 稻冨君に申し上げますが、今農林大臣は役所を出たそうでございますから、間もなく参ります。
  168. 稲富稜人

    ○稲富委員 しからばその具体的な問題は、農林大臣の御答弁けつこうでございまするが、今鳩山総理が言われましたように、政治は休むべきものではないことは、十分承知はいたしております。しかしながらそれは三箇月間休まれない内閣であつて、その内閣が農林省の人事の全体を扱わなければできないようなことが、実際的の政治にあり得るかどうかということを、総理としてはどうお考えになるか、この点を念のために承つておきたいと思うのであります。
  169. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 農林大臣から御答弁をいたすことにいたします。
  170. 稲富稜人

    ○稲富委員 私は総理が責任を農林大臣に転嫁されて遺憾でございますが、しからばさらに農林大臣の答弁を承つた後に、またお聞きすることにいたしたいと思います。  次にお尋ねいたしたいと思いますることは、鳩山内閣の組閣に対しまする政府声明につきまして、お尋ね申し上げたいと思うのであります。鳩山内閣は、組閣にあたつて政府声明を発表せられました。その鳩山内閣根本精神とするところは、民主主義を基調して、国民の理解と納得の上に立つ明朗にして清純な政治を行うことであると言われておるのであります。その組閣にあたつて、私は不幸にしてこの声明にありますような、明朗にして清純さの組閣を見ないということを最も遺憾に存ずる次第であります。はなはだ失礼な申分であるかと思いますが、まず組閣について見ましても、巷間伝えるところによりますと、高碕、一萬田両相の議会外の入閣は、民主党の選挙費用調地のための人事であるとさえも批評されておるのであります。さらにまた今日大麻国務大臣のごときは、かつての選挙の神様と言われた方て、そういう方を国警担当の大臣に持つて来られたことも、これもやはり選挙に備える一つの方法であると世論は評しておるのでありますごとに私たちが最も遺憾に存じますことは、かつて、ただいまも論議されたのでございまするが、吉田内閣崩壊の原因をたどりしたあの汚職、疑獄に対する問題でございまするが、このたびの組閣の人事を見ましても、汚職あるいは疑獄に対する疑いのある方が、その閣僚に入られておることは、清純明朗さをなくしている大きな原因であると私は考えるのであります。これに対しまして昨日の委員会でも問題になつたのでありますが、行監にあなたは快く出席すると言われた。今日の新聞を見ますと、行監に出席されることも何だか時期が遅れるというようなことを新聞は伝えておりますほんとうにあなた方が何ら痛いところがないならば、労で反対するといたしましても進んで行監に出て行つてその潔白を表明することこそが、明朗清純なるゆえんであると思いますが、さような事実を考えますときに、言われることとなされることとの間に非常に違いのあることは、私は最も不明朗なる組閣であると見なくてはならないと思うのであります。私はここにおいて、内閣声明のいわゆる明朗清純さがないということに対して、このような考えを持つておるので、ありますが、これに対して総理はどういうような考えを持つていらつしやるか、承りたいと思います。
  171. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 全然反対の意見を持つています。
  172. 稲富稜人

    ○稲富委員 これを全然反対だというよりに考えられるならば、鳩山内閣総理大臣も、吉田前内閣総理大臣とかわらざる、実に道義的な精神の欠けていると疑わざるを得ないのであります。私たちは、おそらくこの疑惑は私一人だけの疑惑でなくして、国民ひとしくこの疑惑を持つていることであると思うのであります。真に内閣が明朗なる政治をやられんとするならば、進んでかような国民の疑惑を一掃することが最も必要であると思うのでありますが、これを具体的に一掃する意思はないのであるか。さらにこの点をお尋ねしたいと思います。
  173. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 明朗な浩らかな世の中にしたいという熱意については、私は少しもかわりがないのであります。
  174. 稲富稜人

    ○稲富委員 熱意がありますということはだれでも言えるのでありまして、これを実際に示さなければ国民は納得しないりであります。この点をお示しになる意思があるかどうかということであつて、単に熱意があるというだけでは、私の聞いた趣旨には沿わないのでありまよす。  さらに話を進めまして次の問題をお尋ねしたいと思うのであります。先日から話を承つておりますが、あなた方は、政党内閣であるから、閣僚がいろいろな政策を述べることはさしつかえないのだということをおつしやつておるのであります。鳩山内閣は特殊な内閣であるということを先刻総理も言われましたが、かような性格を持つた内閣である。これに対しまして閣僚が世間に発表いたしますこととは、政党として発表いたしますことは、国民の受ける感情及び国際的に及ぼす影響等も非常に違いがあると思うのであります。かような意味から、かりそめにも鳩山内閣は、無責任なる放言をして、いかにも選挙を有利に導こうという準備行為のような言動があつてはならないと考えまするが、これに対して総理はどう考えるか承りたい。
  175. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 無責任なる放言はいたす気分はありません。
  176. 稲富稜人

    ○稲富委員 無責任な放言は、政府はおやりにならないというのでございますので、さらに承りたいと思うのでございます。まず政府は組閣にあたりまして声明を発表いたされております。この声明の発表を見まして、まず最初に承りたいと思いますることは、国力に応じて自衛力をセーブする、かように申されておるのであります。大村防衛庁長官自衛力に対しましては漸増方式を続けるつもりであるということも言われておるのであります。これはいずれがほんとうであるか、この点ひとつ承りたいと思うのであります。
  177. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 自衛軍を増強するということは、まだ閣議できめたことはございません。
  178. 稲富稜人

    ○稲富委員 それではこれは大村防衛庁長官から承りたいと思うのでございまするが、こういうようなことをあなたは言われたことはないのでございますか。防衛庁長官のこれに対する御所見を承りたい。
  179. 大村清一

    大村国務大臣 こういうこととおつしやるのは、どういうことですか。
  180. 稲富稜人

    ○稲富委員 自衛力の漸増方式は、吉内閣のそれを継続する、踏襲するつもりであるというようなことをあなたが言われたことはないですか。
  181. 大村清一

    大村国務大臣 これはさきにも説明をいたしましたように、前木村長官編成した予算要求は、大蔵省にこれを交付いたしておりますが、これをいかに閣議できめるかということは目下研究中であります。しかし方針といたしホしては漸増の方針を打つておりますが、この年度においてどの程度に漸増するかということは今後の研究にまつ次第であります。
  182. 稲富稜人

    ○稲富委員 ただいまの大村長官の御答弁は、漸増の方針は持つているんだ、かようにおつしやる。先刻の総理の御説明は、漸増の方針に対してはまだきまつていないんだと申しておる。どちらがほんとうであるか、統一した意見を承りたいと思うのであります。
  183. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 漸増の方針は閣議でまだ決定しておりません。
  184. 稲富稜人

    ○稲富委員 しからば大村長官が閣議で決定していないことか発言されるということは、無責任ではないかということになるのでございまするが、これに対して総理はどう考えるか。
  185. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 それは省議できまつているという意味でしようね。私はまだ閣議で聞かないのです。
  186. 稲富稜人

    ○稲富委員 しからばその問題は非常に不統一でございまするので、私はさらに続けてお尋ねしたいと思うのでございまするが、政府声明を見ますると、その中にこういう文句があります。すなわち資源を開発し、食料の増産、農業の振興をはかるとともに、災害防除にも適切な施設を講ずる、あるいは中小企業者に対しましても振興の道を講ずる、また失業対策にも万全の処置を講ずる、社会保障制度の充実もはかる、かような実にけつこうな政府声明というものを組閣と同時にお出しになつておるのであります。これは実に国民の期待する喜ぶ総花式な声明が、ここに行われておるのでございます。昨日来の本委員会におきまする答弁を聞いておりますと、一萬田大蔵大臣は本年度の予算編成にあたりましても、一兆円内の予算編成をやりたい、かように言われております。また経済団体等の会議におきましても、九千億円台の予算編成をやりたい、かようにおつしやつておるのでございます。しかもその中には総花的な、かような予算編成はやらないということを一萬田大蔵大臣は声明されている。かように考えますときに、内閣声明予算規模の上においては、非常に違いがあるというような感じをわれわれは受けるのでございますが、これに対しては、この総花式な予算規模を一兆円のわく内でどういうようにおやりになろうとするのであるか、私たちは実に疑わざるを得ないのであります。この点政府方針を承りたいと思うのであります。
  187. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 政府声明にあげてあることは、日本の国をよくするためにああいうことをずつとやりたい。それを優先的にやろうというのが、この一兆円の予算であります。
  188. 稲富稜人

    ○稲富委員 私はここにおいて総理にお尋ねしたいと思うのでございます。鳩山内閣が無責任な放言をすることは国民を惑わすことであり、選挙を有利に導くために、そういうような無責任な放言をしてはいけないということを先刻私は申し上げた。そういうことはやつていないということを、あなたは先刻御答弁なつたのでございますが、ただいま堂々と政府声明に対してこれを発表されておる。これはおそらく民主党がこういう政策をやらんとするということを発表した意味と、鳩山内閣が組閣にあたつて政府声明として発表したその内容は同じでありましても、国民の受ける感じは非常に違うであろうということは考えなくちやならぬと思うのでありますしかもこの内書が、ただいまそういうことをやりたいと思つているけれども、実際上できないことだ、こういうことになれば、これは一つの無責任なる放言である。別な言葉で申し上げますと、実に国民をつらんとする言葉であると言わなくちやならぬと思うのであります。こういうことに対して、先刻あなたのおつしやるように、自分たちは無責任な放言はしないのだとおつしやるのでございますが、こういうことは明らかに国民を惑わす無責任な放言だと思うのであります。これは先刻の鳩山総理のお言葉と非常に違うように思うのでありますが、これに対して重ねて総理のお言葉を承りたいと思います。
  189. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 私は各省大臣がおのおのその理想を述べることは、決して悪いことではないと思います。大蔵大臣は一兆円というものを、各省大臣の希望よりも優先的に採用すると言われたのでありまして、各省大臣の希望は全然排斥するのだというわけではないのでしようと私は思つております。
  190. 稲富稜人

    ○稲富委員 それではこの政府の発表いたしました政府声明というものは、各省の希望というものを寄せ集めて、政府でまとめて発表されたものである、かように解釈してもさしつかえないか。
  191. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 政府がなさんとする希望をまとめたのでしてね。
  192. 稲富稜人

    ○稲富委員 私はその点を総理に聞くのであります。少くとも鳩山内閣というものは、一月の終りには選挙をやらなければいけないという宿命づけられた、選挙をやるべき内閣であるという前提のもとに私はお尋ねしているのです。かような当然選挙をやらなければいけない内閣が、こういうような国民を惑わすかのごとき、しかも無責任なる各省の希望、を述べた声明を発表して、これは単なる各省の希望であるから、政府は責任をとらざることであるというがごときは、実に不都合なる言葉であると私は思うのであります。その点を言つている。鳩山内閣の性格そのものから、これは考えなければいけない問題であると思うのであります。この点に対して私はお尋ねしているのであります。
  193. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 内閣内閣の希望を述べたのでありまして、決して不都合とは思いません。
  194. 稲富稜人

    ○稲富委員 私が言つているのは、そういうやたらな希望を述べて……(「何がやたらだ」と呼ぶ者あり)やたらじやないか。総理大臣は責任を持たない。総理大臣が責任を持たないというようなことだつたら、これは実にやたらに並べていると言つてもさしつかえないと思う。しかも選挙を控えた内閣であるがゆえに、選挙を有利に導くためにこういうような声明をしたものである、かように言つてもわれわれは過言ではないと思う。これすなわち明朗清純なる内閣の本質に反するではないかということを私は申し上げている。ここなんです。この点をどうお考えになるかということを、私はあなたの政治的真心に問うて、これに対する答弁を求めたい。
  195. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 今までも政治的良心に従つて答弁をしておつたつもりであります。
  196. 稲富稜人

    ○稲富委員 鳩山総理は良心に従つてつているのだとおつしやるのでありますが、こういうことを良心によつてもさしつかえないと思つていらつしやるならば、私は実に鳩山内閣というものは、国民が期待しているような明朗清純なる内閣ではないといわなければいけないと思うのであります。あなた方が選挙をやるためとおつしやるなら、しからば選挙をやるためには無責任な放言をしてもいいかということになつて来る。そういうような議論になるならば、ますますわれわれはこれに対して追及しなければいけない。選挙をやるために自分たちはこういうことを声明したのだとおつしやるならば、この内閣やり方というものは、ますますわれわれは納得して行けないものがあるといわなければならないと思う。この点は鳩山総理大臣の考え方と党員の考え方、あるいは政府考え方と非常に齟齬があるということをいわなければいけないと思う。この点どうも鳩山総理にあまり良心がなさ過ぎることを私は考えざるを得ないと思うのであります。  しからば私はさらに一歩つき進んでお尋ねしたいと思うのであります。あなた方がこの声明にあるようなことをやられるとするならば、今日年末を控えてやらなくちやいけない問題がたくさんあるのであります。たとえば中小企業者に対する年末融資の問題もある。あるいは失業対策に対する万全の措置を講ずるということを言われておる。これに何か鳩山内閣で今日やられておるか。新聞を見ますと、この年末融資に対しては予備金を出すと言われておるけれども、これは今日中小企業者が、あるいは中金あるいは中小企業金融公庫に申し込んでおります金額には非常に足らざるものである。これによつて中小企業金融金庫の中小企業者に対する十分なる救いの手が伸ばせるかどうか、われわれは考えなければいけない。さらに失業対策に対しましても万全の指値を講ずるということを言われておる。今日労働者の統計を見ましても、失業者の数はだんだんふえて来ている状態です。この実態に対しまして鳩山内閣が労働対策のために、どれほどの予備金を支出されておるかといいますと、何もやつていない。ただ単にこういうような羊頭をかかげておいて実際にはやらないということは、これは不誠実なる内閣の処置であるといわなければいけないと思う。私はこういうような具体的な問題をとらえましても、何もおやりになつていない。これを見ましても、いたずらにこれは選挙準備のためのから宣伝の内閣であるというそしりを受けても、私は過言ではないであろう、かように考えるのです。こういう具体的な問題に対して、なぜおやりにならないか、この点をひとつ承りたいと思います。
  197. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 具体的のことをやらないというわけではありません。大蔵大臣から答弁していただきたいと思います。
  198. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今お話がございましたが、私若干先ほどの答弁に申し落しておりました。政府声明で重点的にやると言いましたら何か少しばかりやつてほかのものはやらないように誤解されても困る。できるだけ内閣声明を一兆円の中に納めたい。そしてそのときに総花にならないようにいかにするかということに非常に苦心するわけです。そういうように御了承を願います。  もう一つ、年末の中小企業金融につきまして、いろいろ手を打つていないじやないかとおつしやいますが、そうではないので、年末に際しまして約四十億ばかりの金を特別にふやして出しております。それもひとつ御了承願います。
  199. 稲富稜人

    ○稲富委員 ただいまの御答弁でございますが、一兆円の予算内で措置をやろうとおつしやるのでございますが、これは実際どういうことでやられるのか。私たち考えますと、これほど総花的な、しかも先刻総理大臣が言われましたように、各省の希望がこれに盛られておるというのでございますが、その各省の希望をあなたが一兆円の予算内でおやりになるという御意思であるか。一兆円の予算内で各省の希望を満たすということが、いかにあなたが経済的な技術がありましても困難だろうと思うのでございます。その確信を承りたいと思う。  さらにまた、あなたは今日まで中小企業に出したとおつしやいましたが、これはもちろん既定の四・四半期のものをまわされたにすぎないのでありまして、これでは十分ではない。ことに失業対策に出していない。  さらにお伺いしたいのは、昨年、一昨年のあの災害の問題、この災害復旧に対しても、今日あの寒さを控えまして多くの罹災者は泣きあえいでおる。この実情に対して政府はなぜ予備金からでも出すというような方法をとらないか。これを放任しておるじやないですか。こういうような具体的な国民の川つた問題を放任しておきながら、そしてこれによつていかにも自分たちは何でもやつてやるんだというようなことを言われることが、無責任であるというゆえんであります。この点に対しましてひとつ大蔵大臣の技術上の御答弁を承りたい。
  200. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 どういうふうになりますか、これは予算を組みまして御審議を願うということになろうと思うのであります。  それから中小企業の資金につきまして、それでは足らぬじやないかというお話もありますが、これはいろいろの考え方もあります。しかし年末に四十億の金を出しますことは、これはなかなかやはり今日の状況において奮発をしたのであります。その資金源が繰越しになるというようなお話もありますが、中小企業の方が年末に実際に資金の融通を受けられれば、その資金の調達上、資金源がどういうところかということは、これはひとつ金融当局におまかせを願つてもよかろう、かように存じております。
  201. 稲富稜人

    ○稲富委員 予算の問題は……。
  202. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 一兆円の予算に、内閣声明に出ておるような事柄を重点的と申しますか、これはあるものをとつて、あるものを取除くというわけではない。資金の量をあるものにたくさん入れ、あるものは薄くなる、こういう意味にお考えくだされば、おわかりになるかと思います。
  203. 稲富稜人

    ○稲富委員 大蔵大臣の御説明を聞きますと、実におざなりの答弁でありまして、また無責任な御答弁であると承るのであります。私の言つておるのは、こういうような内閣声明に発表されたようなこの政策というものを、政府が責任をもつて行わんとするならば、実際の予算面においてどう生かして行くかということをわれわれは聞いておる。これをいかにもあいまいな御答弁をなされるということは、やはり自分たちの鳩山内閣というものは、三月までしか寿命がないのであるから、何かひとつ国民の人気をとるようなことを声明しておいて、あとはどうでもいいんだというようなことからやられたのだ、こういう結論に相なつて来ると思うのであります。私はこれは実にけしからぬことと思うのでありまして、冒頭に申し上げましたように、鳩山内閣が選挙準備内閣であるといりような結果に堕することは、最も遺憾であるという立場から私は申し上げておる。ところがただいまのこの声明、あるいは今の答弁を承りましても、いかにも鳩山内閣というものは選挙準備のための内閣だ、こういうような感情をわれわれはますます深くするのでありまして、これは私はひとしく国民の納付することのできない問題であると思うのであります。  ことに大麻国務大臣は先日来事前運動を取締る、あるいは選挙の明朗化を期するということを言われておるのでありますが、こういうような政府のやつておること自体が明らかに選挙の準備運動だ、こう言いましても決して私は言い過ぎの言葉ではない、かように考えるのであります。ことに私は、鳩山内閣は選挙準備内閣であるという感を非常に深くいたしますので、ここにおいて大麻さんにお尋ねいたしたいと思うのでありますが、あなたはかつて、この戦争前におきましては保守党の、しかも選挙の神様と言われた。今日時代はかわつているが、あなたが国警長官になられたということは、何か選挙に対する有利な働きをやられるんじやないか、かような疑惑が持たれておりますので、その際——今までの選挙にあたりましては、自由党あるいは民政党あるいは政友会におきましても、あなたがかつてはなやかなりしころの政党は、口に選挙粛正を叫びながら、実際行う選挙粛正というものは、野党に対する選挙粛正であつて、与党は放漫なる選挙をやつたというのが事実だということも、あなたは御承知になつていると思う。こういうような背の選挙の実情から考えて、このたびの選挙に対しましては、実際上どういうようなお考えを持たれておるか、かような弊害のないような、十分なる決意を特たれておるか、この点も一応私は承つておきたいと思うのであります。
  204. 大麻唯男

    ○大麻国務大臣 お答えを申し上げます。ただいま御質問者は私を選挙の神様とおつしやいましたが、いまだかつて私は選挙の神様と言われたことはございません。昔は、私の同郷の先輩の安達謙蔵先生が選挙の神様と言われたことはありますけれども、それは先生いけませんよ、あなたは選挙の神様と言われちやいけない、なぜかならば、選挙の神様と言われることは、何か手練手管でも使うような印象を受けるから、憲政の神様と言われるようにおなりなさいませ、とこう私が進言したことがございます。私は不肖でございますから、そんなことはとうてい及ぶところではございません。それからまたどうして稻富さんがそうおつしやるかといえば、私はかつて二十年前に、民政党の幹事長をいたしておりましたときに選挙に勝つた、それだからだと思うのです。けれどもそれは在野党のときでございます。政府党で官憲を利用して勝つたのではありませんから、これはちよつと御訂正を願いたいと思います。それからまた国警長官、国警長官とおつしやいますが、私は国警長官じやございません。私は公安委員長でございます。今日の警察というものは、政府の方でもつて干渉させる、そんなことはできつこありません。(発言する者多し)どうぞまじめにお聞き取り願います。今度の選挙につきましては、国をあげて公明選挙を希望しておられるようでございます。政府においても公明選挙をしたいと思つております。各派においても皆さん御心配になつておる。この議会においても自粛などの申合せもございまして、たいへん御心配になつておる。私どももそういうことをいたしたいと念願いたしておるものでございます。しかし事前運動というものにつきましては、政党政派に関係せずに 一党一派に偏せずに、厳正公平に取締ろうというのが、従来からの公安委員意見でございます。また警察の当局もそういう方針で参つているようでございますから、私は委員長になりましたからといつて、人一人かえたことはございません。それを希望したこともございません。ほんとうにまじめに、りつぱな民主警察を育成したい、こういう念願でございますから、それだけを申し上げておきます。
  205. 山口喜久一郎

    ○山口委員長 稲富さんに申し上げますが、農林大臣がお見えになつております。
  206. 稲富稜人

    ○稲富委員 時間がありませんので、最後に農林大臣にお尋ねいたしたいと思います。農林大臣は、先般来新聞紙上を通じまして、砂糖の専売をやるということを発表されました。その後農林委員会等においては、あれは新聞の誤報であつたということでお取消しになつておる。ところがまた先日名古屋の新聞の声明におきましては、砂糖の専売もやらなくらやいけないかもわからない、こういうことを言われておるのでございまして、今日までその言葉の中に非常に変化かあつたようでございます。これに対して私は、あなたのほんとうの考え方はどうであるかということを承りたいと思うのであります。なせ私がこういうことを開くかと申しますと、私はあなたを大先輩として敬意を表しておるのでありますが、従来砂糖会社と自由党の間にはいかにもつながりがあつて、いろいろなみにくい取引があつたとさえ巷間伝えられておるのでありまして、そういうような疑惑があるだけに、あなたがこういうことをやられることも、あなたがなかなかの業師であるだけに、何かうしろの方にあるのではないか、砂糖会社にいやがらせをやつて、何とか甘いところでもあるんじやないかというような、こういう疑惑の念さえ世間にあるのでございます。こういうような軽率なお言葉に対してはよほどお考え願いたいと思うのであります。こういうような点から、私はあなたの砂糖専売に対する考え方を承りたいのであります。
  207. 河野一郎

    河野国務大臣 お答え申し上げます。いろいろご心配がございますが、先般社会党右派の代表の方が私のところにお見えになりまして、今仰せになりましたようなことのお申出がありました。そこで私は、誤解を招くおそれがありますから、特に農林記者団立会いの上でお目にかかりました。そうして新聞に出ておつたこは一部誤報であつた、ないしはまたあなた方の読み違いの点もあつた、私が新聞記者団に話したのはそういうことではない、こういうことを申したんだということを記者団立会いの上で申し上げましたところが、十分御了解の上、あなた方の代表の方はお引取りいただいたことでございますから、重ねてここで申し上げる必要があれば申し上げますけれども、その点はひとつ了解を願いたいと思います。  なお砂糖の問題について申し上げます。砂糖の問題につきましては、御承知通り年間百二十万トンぐらいの需要があります。これに対しまして為替の関係で八十万トンの輸入をきめました。ところが需給の関係で非常に上つた、これが私たちか就任いたします前の事情でございます。そこで私は、こういう事情に置きますことは、一部の者が暴利を占めて大衆が迷惑をする、国民生活に非常に重要な関係のある物は、決して暴騰暴落するような処置をとるべきではない、もう少し行政を親切に考えてやらなければいけないということであるから、このまま放任の姿で置きますと、需給の関係が非常にバランスがとれておらないために、こういう事情になりますから、これについては適当な措置が必要であろうということを申し上げた。ところがこれに対し、しからばどういうことだというお話でありましたから、いろいろ考え方もあろうが、その一つの例としては専売をやつたらどうかという意見の人もある、こういうことを私は申したのであります。これが記者団に申し上げた私の話であります。私自身現在何をどうするかということはきめておりません。但しこのままに放任するわけに参らぬ。これは今申し上げたような事情でございますから、この点を御理解いただきたいと思うのであります。これに対しまして右派の方々からいろいろ御献策をいただいております。この点についても目下特に慎重研究中であるということもつけ加えて申し上げておきます。
  208. 山口喜久一郎

    ○山口委員長 稲富さん、大麻さんに対する大橋君の質問は非常に急いでおりますし、大麻さんも時間を急いでおります。それから鳩山総理大臣も一時三分で、引取られるということになつておりますから、農林大臣に対する御質疑は、足鹿君の御質疑も残つておりますから、久保君が終つてから、農林大臣その他の閣僚にお残りを願つて質疑を続けることにいたしますから、今のところこの軽度でお願いいたします。
  209. 稲富稜人

    ○稲富委員 それでは農林大臣に対する質問を保留いたします。
  210. 山口喜久一郎

    ○山口委員長 大橋式夫君。
  211. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 私は鳩山総理大臣にまずお伺いをいたしたいと存じます。多年の懸案でございました鳩山内閣が成立をいたしたのでございまするが、政界の長老であり、また党の創立者でおありになりまする鳩山氏の内閣が今日成立を見たときに、私ども多年自由党の旗を守り続け、また今日自由党の旗を守つておりまする者どもが、あなたの内閣に対しまして反対党の立場に立たべければならぬということにつきましては、私はまことに遺憾に作する次第でございます。しかしながらこのことについては、私は私たちに責任があるとは考えることはどうしてもできません。これはわれわれの陣営を脱落せられました鳩山総理みずからが、政敵握手をせられておられる今日の総理御自身の行動が原因であつたと考える次第でございます。(拍手)おそらく鳩山総理はこの点を否定されることはなかろうと存ずるのでございますが、これに対する御感想をまず伺いたいと存じます。
  212. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 さあ、私だけが責任をとる気分はありません。
  213. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 私はあなただけがおとりになる気持がないということを一応伺いましたが、一体鳩山総裁というものは自由党員にとりましては一つの偶像的存在でもあつたと思うのでございます。あなたの不遇に対する同情と、党の創始者に対するわれわれの考え方から考えましても、自由党の中にはいつの時期かに鳩山自由党内閣の出現を期待いたしておつた者も多数あつたのでございます。しかるにもかかわりませず、あなたは一たび自由党を脱し、また再びは自由党に復帰せられ、さらに今回自由党を脱して民主党に入られたのでございます。あなたはかつて政友会時代におきましても、政友会を脱党せられて政友本党に入られた。しかも政友本党の残つた同志とたもとをわかつて政友会に復帰せられ、その後さらに重ねて政友会を離脱せられた経歴をお持ちになつておるのでございます。おそらくあなたはそれらの政治行動のおのおのにつきまして、あなたの正しい良心に従つて行動せられたということをおつしやるでございましよう。また昨日の御答弁を伺いますと、終戦後におきまする三回の政党への離脱並びに復帰、いずれもあなたは民心に従つて行動したものであるということをお述べになつたのでございます。私は決してあなたが良心に従つて行動されたものであるということを疑うつもりはございません。しかし問題はあなたの良心が一体幾つあつたかということを私はここではつきりしていただきたいと思うのでございます。(拍手)あなたが自由賞を離脱されたときのあなたの良心と、また理由なくして自由党へ復帰せられましたときのあなたの良心と、そして今回重ねて自由党を税せられたときのあなたの真心というもの、私はこの三つの良心がどうして鳩山という一人の人格の中に正しく調和されて存在しておるのであろうかということを、心の底から疑わざるを得ないものでございました、このことはひとり私はかりでなく、全国の自由党員がぜひともあなたに伺いたいと思つておるところであるのでございます。そこで私は伺いたいことは、あなたが最初に自由党を脱せられたときの動機は何であつたかということでございます。当時あなたは吉田と一緒には選挙はやれない、だから自分は出たのだ、 こういうことを新聞記者に語つておられました。一体それはどういう意味であつたかということ、この席ではつきり伺いたいと存ずる次第でございます。
  214. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 私はそのときそのときの事情があつたのでありまして、ただいまよく覚えておりませんから答弁をすることはできません。
  215. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 ただいま内閣総理大臣はそのときそのとの事情によつて行動したのであつて、現在の自分としては当時の事情はよく覚えておらないということをお答えなさいました。しかるに昨日同僚委員質問に対しましてあなたは、良心に従つて行動したものであるということをはつきりと申されたのでございます。一体あなたは、今日覚えていないところのその一昨年の脱党の動機がはたしてあなたの良心に従つたものであるということを、何をもつてはつきり明言されることができるのでございましようか。
  216. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 良心に従つて行動したということだけは間違いがない。
  217. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 良心に従つて行動したということだけは、一体事情がわからないのになぜ間違いないということがはつきり言えるのでございましようか。
  218. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 常にそういう気分で行動をともにしておりますから……。
  219. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 この問題はそれだけにしまして、しからば昨年の十一月、あなたは自由党に復党せられたのでございます。その復党の理由は一体どういう理由であつたかを伺いたいと存じます。当時新聞の声明によりますと、保守勢力の結成のためである、こういうことを言われておるのでございまするか、保守外力の結成のためには吉田と一緒に選挙をやつてもよいというふうにお考え直しになつたのであるか。当時世間の一部では、あなたは物質的な動機に基いて復党されたといううわさもあのでございます。しかしながら私はかかるうわさを絶対に信じようとは思いません。われわれの国はなるほど敗戦によつて、今日四等国である、あるいは道義が頽廃しておるということをいわれておりまするが、少くとも物質的動機によつて政治的行動を決するがごとき人が、今日われわれの総理大臣になるということは、われわれの国民としての跨りが断じて許さないからなのでございます。私はかかる風説を信ずるものではございません。従つてここにあなたがいかなる理由に基いて、半年前に脱党されたばかりの自由党にまた復党せられたのであつたか、このことをはつきりお教えいただきたいと存ずるのでございます。
  220. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 復党いたしますときに、私が安藤君に出しました条件は、外交調査会と憲法改正委員会とをつくるならば帰るということを申しました。それ以外に何らの条件はありません。
  221. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 半年前には、吉田君と一緒に選挙はやれない、こう言つて脱党されたあなたが、外交調査会と憲法調査会ができればそれで自由党へ帰つて来てもいいのだという心境になられた。その心境の変化については私どもは承つてはおきますが、理解することはではない、とうていわれわれは納得できないということだけをはつきり申し上げたいと存ずるのであります。しこうしてそのあなたの要求された条件に従つて外交調査会もできたのであります。また憲法調査会もできたのでございます。しかるにその後あなたは、最近突如としてまた自由党を離脱せられたのでございます。そしてこのたびの離脱は吉田内閣の打倒のためである、こうあなたはおつしやつたのである。なるほどあなたは鳩山派の自由党として、昨年の選挙をお闘いになつたのでございます。吉田内閣打倒というものが、昨年の選挙におきますあなたの政党の最も大きなスローガンであつたということは、あなたもよく御記憶のことと存ずるのでございます。しかるに吉田内閣打倒というスローガンを掲げて闘われましたあなたが、その選挙が済むや、幾ばくもなくして外交調査会とそれから憲法調査会をつくつてくれるならば、自由党に復帰してもいい、こういう気持になつて復帰された、この行動は国民諸君がひとしく疑いを持つておるところと思うのでございまます。あなたは昨年の秋、自由党に復帰せられまして、そして一党員として吉田内閣を擁護する立場にお立ちになつた。選挙の際には吉田内閣打倒を唱えて当選して来られたあなたが、選挙民に何らの約束もせずに、むしろ約束に反して、ただ外交調査会と憲法調査会とをつくつてもらう、これだけの条件で復党せられた、これが事実であると思うのでございますが、この選挙の公約に反して復党をせられた、これについてあなたはどういう理由をお考えになつておるのでございますか。
  222. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 私は私の政治行動について選挙民諸君の意思は尊重はいたしますけれども、必ずしも相談はいたしません。
  223. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 あなたはこのたびまた脱党をされておるのでございますが、脱党せられるにあたりまして、さきに復党に際してあなたに対して物質的援助を与えてくれた支持者というものに対して、あなたはこのたびの脱党について何ら良心の痛みというものをお感じになつてはおられませんか。
  224. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 良心に従つて行動を共にしておりますから、真心の攻撃を受ける理由はございません。
  225. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 民主政治というものは代議政体である。この代議政治というものにおいては、選挙民と代議士というもののお互いの信頼というものがその基礎になるべきものであると確信をいたしております。おそらくこの点については総理も御異存はないことと思うのでございます。しからば選挙民と代議士との相互の信頼というものは何であるかというと、それは選挙の公約というものが、当選の後に正直に守られるということでなければならぬと私は確信をいたすのでございます。吉田内閣打倒を公約して当選せられましたあなたが、かつてなりくつをつけて復党をしたり、またそれがいやになりますと再び飛び出したりするようなことが、これがあなたの民主政治家としての正しい節操とはたして矛盾しない行動であるかどうか、この点についてもお答えをいただきたいと思います。
  226. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 選挙民を非常に御心配くださるようでありますが、選挙民は私を信頼してくださると思います。あなたの御心配するようなことはまつたく必要がないと思います。
  227. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 総理大臣のお答えは、選挙の際に選挙民に何を約束しても、それはその後の政治行動には関係のないものである、自分を選挙民は信頼して投票してくれる、だから自分は選挙のときにいかなることを述べ、選挙の後にこれに反するような行動をしたところで、選挙民を裏切つてはいない、こういうことをあなたはお答えなつたように思いますが、それでよろしゆうございますか。
  228. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 選挙民は選挙の際に吉田内閣にああいうような汚職事件が起きるということを予想はしておりません。また吉田自身が、ああいうような指揮権発動をするというようなことは予期していないなです。指揮権発動をしたときに、大橋忠一君は、こういう党にはいられないということで脱党したのであります。大橋君もあらかじめそういうようなことを選挙民と約束はしていないだろうと思います。けれども予想もしていない事件が起きたのですから、私があのときにすぐ脱党すれば、大橋君と同一の行動をとれば、私の行動は非常に明瞭であつたのです。私は出たかつたのですが、機を失してしまつた。そこで大橋君に手紙を出して——君と同じに飛び出せばよかつたのだが、僕は飛び出すのが遅れたという手紙を出したのです。選挙民に選挙を頼んだ時分には、吉田内閣に汚職事件が起きるということは夢想もしていない。いわんや指揮権発動をするということも夢想もしていない。そういうようなことをする吉田内閣は支持できない、こういう確信を得たから出たのです。
  229. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 それでは伺いますが、あなたは選挙の際にはいわゆる鳩山自由党の総裁として闘われた。吉田内閣打倒という約束をして闘つておられた。しかるに、そのあなたが選挙が済んで半年、昨年の十一月に自由党に入つて来られておる。この復帰の際の理由を先ほど承りますと、憲法改正の調査会と、外交問題の調査会をつくつてくれればそれでよいのだということですが、一体吉田内閣打倒というあなたの一枚看板をどうされたのでございますか。この点をあなたの良心はいかにわれわれに説明しようとしてくれるのでございますか。
  230. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 あの当時の選挙運動のときに私が力説しておりましたのは、憲法を改正して自衛軍を持つということ、外交についてはソ連との戦争状態終結確定の事態に持つて行きたい、この二つの点を力説していたのでございます。力説したがゆえに、外交調査委員会憲法改正委員会とを設けてくれれば、私の選挙民諸君に話しておつた二つの重大問題が解決できるのでございますから、これに重点を置いて、安藤君と話し合つたわけであります。
  231. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 そうするとその場合には吉田内閣打倒というあなたの選挙の一枚看板はどういうふうな扱いを受けたわけですか。
  232. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 吉田内閣を私が最も攻撃しておつた三つの点を吉田君が採用するならば、反対するりくつは消滅するのですから、帰るのがあたりまえだと思つたのであります。
  233. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 私は政治家の公約というものについて、鳩山総理大臣のただいまの御説明を伺いまして、まことに失望の念を禁じ得ないものがあるのでございます。今日の民主政治の根本というものは、御承知通り、政党政治でございます。この政党政治におきましては、相異なる政策を掲げた政党がお互いの政策というものを選挙民に訴え、そうして選挙民の支持によつて多数党となつたならば、その内閣を通じて自党の政策を実行に移して行く。これが今日の民主政治の根本なのでございます。従つて今日民主政治を完成するということを念願いたします以上は、この政党というもの、そしてまた政策というもの、これについてどこまでも政治家が責任を持つて守り立てて行く。もし一たび党籍を離脱するというような場合がありましたならば、同時に国会議員の職をも辞して選挙民のふところへ再び帰つて行く。これがほんとうの正しい政治家としての行動であり、そうしたことが今後の日本の民主政治を完成する土台であると私は確信をいたしておるのであります。かような観点から、ただいまの総理お答えを承つておりますると、そのときどきに適当なりくつをつけて自己の行動を粉飾するのみでございます。その根本となつておる政党というものに対するところのあなたの根本的な考えが、いかにもわれわれの考えと違うということを知りまして、まことに残念に存ずる次第でございます。この点について重ねてお答えがありましたならば承りたいと存じます。
  234. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 今までの答弁をもつて満足してください。
  235. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 そこで、今日政治家が公約を守らなければならぬということについては、とにかく総理も同感のことと存じますが、この点はどうでありますか。
  236. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 公約を守らなくてはならないということは当然だと思います。
  237. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 そこで昨日来の当委員会質問によりまして承つたところによりますと、鳩山内閣が成立いたしまして以来今日まで、あるいは内閣声明であるとか、あるいは大臣談話であるとか、あるいはまた党大会その他の演説、車中談等によりまして、いろいろな政策国民に約束せられておるが、その約束というものがほとんど全部でたらめな政策であり、そうして選挙目当の無責任な放言にすぎないという疑いは、今日この委員会におきまして、民主党の委員以外の全員がさように考えておるところでございます。しこうしてまたこのことは新聞、ラジオ等を通じまして全国の国民諸君も人なる疑惑を持つておられるのでございます。この点についてただいま総理が公約は守るべきである、こう重ねて仰せられておりますが、これはいわゆる単なる口頭禅でありまして、自己の政治的行動とは何ら関係のない、そのときの偶然な発言にすぎないように私は承つておるのでございます。現にあなたの内閣はいかに無責任なやり方をいたしておつたかという一例をあげて申し上げますと、先日本院におけるある委員会におきまして、あなたの閣僚の一人を委員会の決議をもつて出席を要求いたしたのでございます。しかるにその閣僚は出席するという約束をいたしながら——われわれは彼の出席を待つておりました。午後三時半から晩の九時まで待つておつたのでございます。しかるにこの閣僚はわれわれに出席をするという確約を与えながら、そのまま酒食の席へ出かけて行つておるという事実がある。翌日私はそのやり方が無責任ではないか、こういう質問をいたしたのでございますが、これに対して、自分はふなれであり、持病の脳貧血できのうは出られなかつた、こういうことでございます。一体脳貧血と議会の出席の約束を破るということと、どつちが大事なことであるかということについてのこの閣僚の基本的な考え方については、私は今なお釈然といたしておりません。いやしくも公約に対しましては民主政治家としては生命を賭してもこれを守るべきもの、これが政治家の約束である、こう私は考えておるのでございます。鳩山内閣におかれまして幾多の公約をなさつておられるが、これは委員会における質疑応答を通じてほとんど実行されないものだろうということがよくわかりました。しかしいかなる内閣といえども、もちろん公約の全部を実行するということは不可能な場合もありましよう。何となれば、いかに政府与党がやりたくとも、議会政治というものは話合いであり、妥協の政治でございますから、やりたくとも力足らずしてできない場合があるということは、これは私も認めるものでございます。しかしながら、少くとも議会政治において責任ある立場に立つた政党といたしましては、言つたことは少くとも実行するのだ、実行できないことは言わないのだ、こういう基本的な考え方に立たなければならぬものと私は思つておるわけでございます。どうぞこの点についての総理のお考えを伺いたいと存じます。
  238. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 御意見は尊重いたします。
  239. 山口喜久一郎

    ○山口委員長 大橋君、もうしばらくで時間ですから、どうぞ結論に行つてください。
  240. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 私は総理の御答弁に対してはなはだ不満を抱くものでございますが、しかし時間がございませんので、きようはこの程度にいたしたいと思います。  次に大麻国務大臣に承りたいと存じます。大麻国務大臣は公安委員長として警察の責任者であられますが、今回の公明選挙というものについていかなる取締り上のお考えを持つておられますか。
  241. 大麻唯男

    ○大麻国務大臣 お答えいたします。先ほどちよつと申し上げた通りに、今度の選挙につきましては、公安委員長といたしましては民主警察の育成強化をいたして今日まで来ておりますので、その趣旨で、そうしてまた院内においても、各党派の皆さん方が非常に御心配になつて、できるならば公明選挙を行いたい、こういう御希望があるし、政府においても当然そういうふうに考えております。(「できるならばとは何だ」「できないのか」「取消せ」と呼び、その他発言する者多し)できるだけと言つたのです。(「速語録」と呼び、その他発言する者多し)そこで各候補者並びにこれに関係する方々もその趣旨にかんがみられまして、公明選挙を行つて、そうして国民が代表者を送る選挙というものを愉快な、楽しい選挙にして行きたい、そういうことを念願しておるわけであります。しかしながらもし法規に触れるようなことがありましたならば、これは党派の関係なしに厳正公平に取締つて行くのが警察の本来ではないか、かように考えております。
  242. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 そこで委員長は、今申されました御趣旨を十分に徹底し、実行に移すことについての自信をお持ちになつておられますか。
  243. 大麻唯男

    ○大麻国務大臣 その自信を持つております。
  244. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 これは新聞の伝えるところによりますと、十三日根本官房長官が国警長官を招いて、選挙の取締りについて指示をされたという記事が出ておりました。私は事前運動の取締りについて政府が非常に心配してくださつておるということについて非常に多といたすものでございますが、これについてあなたは御存じでありますか。
  245. 大麻唯男

    ○大麻国務大臣 お答えいたします。根本長官がどういうことを言われたかしりませんけれども、思うに指示するということはなかろうと思います。筋違いでございますから。しかし議会の情勢やら何やらはお話があつたろうと思いますけれども、新聞に出ておつたというその事実を私は存じません。
  246. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 あなたは御就任直後、ラヂオのインタビユーにおきまして、何しろ選挙に勝たにやならぬ、これが一番大事なことなんだ、こういうことを述べておられます。公安委員長として警察の責任の衝にあられるあなたが、その就任の第一声としてかような言葉を発せられるということが、末端の警察官に対していかなる影響を与えるかということについてお考えなつたことがございますか。
  247. 大麻唯男

    ○大麻国務大臣 国務大臣として選挙に勝たなければならぬと考えました。けれども警察を利用して勝とうということは一向に考えておりません。(拍手、笑声)
  248. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 一体あなたは選挙対策委員となつておられるはずですが、選挙対策委員が公安委員長になるということが、はたして今日の警察のあり方として望ましいとお思いでございますか。   〔発言する者あり〕
  249. 大麻唯男

    ○大麻国務大臣 選挙対策委員会にはもうこのごろは出ておりません。
  250. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 それはあなたは公安委員長になつて、選挙対策委員の肩書きだけ持つておれば、それで選挙対策委員としての目的を達し得るから、何も一々の会合に出る必要はない、従つて出ないけれども、何しろ対策委員が公安委員長だ、こういう事実によつて期待しただけの効果はあるとお考えになつておるからではございませんか。
  251. 大麻唯男

    ○大麻国務大臣 さようなことは考えておりません。
  252. 山口喜久一郎

    ○山口委員長 大橋君、時間がもう……。
  253. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 私は時間がないそうでございますから、結論だけ申し上げておきたいと存じますが、あなたは選挙の公明な取締りについて自信があるとこう言つておられる。しかして根本官房長官は国警長官に対してさしずをしておられる。私は国警長官にさしずをすることがいいとか、悪いとかいうことを申し上げようと思つておりません。しかし一体今月の都道府県警察、これは都道府県警察として自主的に運営さるべきものでありまして、これに対して警察庁から指示すべき事項については、おのずから範囲が限定されております。それは国の重大なる治安についての警察事項以外は、中央からこういう問題について指示することは厳重に禁止されておる。しかるに今日鳩山内閣はこの選挙の取締りについて中央よりいろいろ指示をし、また公安委員長は責任をもつてうまくやる、こういうことを育つておられるが、これは明らかに警察法の精神を侵害したものでございまして、私はこうした大麻委員長、あるいは鳩山内閣というものの考え方自体が、旧警察というものと今日の警察の根本的な差異を認識しておらぬのではないか。ここに私どもは実際に警察が選挙においていかに動くかということについて、心から心配をいたしている者なのでございます。このことについて私は大麻委員長がいかなる言明をされようとも、この言明自体は何ら末端に対して効力のないものでありますから、あなたの言明なり、また自信というものをその通り信ずるわけには断じて参りません。
  254. 大麻唯男

    ○大麻国務大臣 申し上げます。大橋君が警察のあり方につきまして御心配くださつていることは、まことにありがたくつつしんで承つておきます。けれども、私は決して警察を利用して、選挙の道具に使おうとかそんなことは考えておりません。また使おうと思つてもできないような仕組みになつているのです。これは大橋さんは御承知通りだと思います。それでただひたすらに民主警察を育成強化して、そうして国民の御用に立ちたい、そういう方面に努力いたしたい、日夜これのみに専念いたしておる次第でございます。それで警察としても、私が初め就任いたしましたときに、みんな各方面から尋ねられるのは、長官をかえるか、首脳部をかえるか、こういう御質問がございました。どうしてそんな質問が出るだろうか。
  255. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 それは質問しておりません。時間がたつておりますから……。
  256. 大麻唯男

    ○大麻国務大臣 どうぞお聞き取りを願いたい。私もあなたの御意向を尊重して行きますから、どうぞ少しくらい聞いてくださいまし。(笑声)それでほんとうに私はまじめに考えまして、日本の昔の警察の悪いところをためて、よいとこを伸ばして行つて、そうして政治から警察が独立をして、国民の御用に立つように、国のためになるようにしたいと思つて微力を尽したいと考えておるだけでございますから、どうぞ御信用願いたいと思います。
  257. 山口喜久一郎

    ○山口委員長 根本官房長官から発言を求められておりますからこれを許します。根本官房長官
  258. 根本龍太郎

    根本政府委員 御指示申し上げたことはございません。ちようど国警長官がごあいさつに参りましたそのときに、たまたま前日に国会において事前連動の取締り、公明選挙に関する決議がありまして、この旨を閣議に諮つたのでありますが、こういうこともございまするから御参考までに、ということは申し上げました。私の方から指示は申し上げてはございません。
  259. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 ただいまの大麻国務大臣のお話、御趣旨けつこうですが、それだけの用心深いお考えを持つておられるあなたが、あの就任の第一声に、選挙には勝たなければならぬのだということを言つておる。これはまことに不謹慎な発言でありますが、あなたのお立場から考えて自重せらるべきことである。われわれとしては非常に遺憾に考えておるということを申し上げます。
  260. 山口喜久一郎

    ○山口委員長 田渕光一君。
  261. 田渕光一

    田渕委員 私は鳩山内閣総理大臣、大麻国家公安委員長、国務大臣、重光外務大臣、千葉労働大臣にお尋ねいたしたいのであります。時間の制限もありまするから、まず冒頭に鳩山内閣総理大臣に対する質問のうち、先刻大橋武夫君が述べられました冒頭の言葉を援用いたしまして時間の省略をいたします。まず時間の都合もございましようから、大麻国務大臣から伺いたいのでありまするが、その先に千葉労働大臣から伺つて参りまするから、御了承を願いたいと思います。  労働大臣は昨年以来御就任になるまで大蔵委員長をされておつたこと、本年一月三十日の衆議院の公報によりますと、改進党の中央常任委員であり、顧問であるというこの二点をまず御確認になりますかどうか。
  262. 千葉三郎

    ○千葉国務大臣 さようの通りであります。
  263. 田渕光一

    田渕委員 労働大臣が大蔵委員長在職中に、保全経済会、日本殖産等の立法化に対する陳情を受けられました。その受けられた御心境は、当時いかがでございましたか、伺いたい。
  264. 千葉三郎

    ○千葉国務大臣 保全経済会は、それぞれ破綻をしてから後に救済を依頼されたことはありますが、事前に依頼されたことはございません。
  265. 田渕光一

    田渕委員 日殖と保全経済会の千葉県下における支店の開店日に、あなたが大蔵委員長の現職にありながら、こういう機関が最も民主的な機関だといつて激励をしておるのでありまするが、この事実をお認めになりますか、どうですか。
  266. 千葉三郎

    ○千葉国務大臣 そういう事実は絶対にございません。
  267. 田渕光一

    田渕委員 私は、あなたが当時改進党として、攻進党の党員である日本殖産の下ノ村君と何回お会いになつておりますか、伺いたい。
  268. 千葉三郎

    ○千葉国務大臣 下ノ村社長は大勢、多数で陳情に来たことはございます。それは閉鎖する二、三日前と記憶しております。一回だけであります。
  269. 田渕光一

    田渕委員 それ以外にお会いになつておりませんか。
  270. 千葉三郎

    ○千葉国務大臣 一回だけであります。
  271. 田渕光一

    田渕委員 昨年帝国ホテルにおける日本殖産の下ノ村君の結婚式の披露に、あなたを初め重光外務大臣、芦田均君、その他改進党の幹部が大勢出席されておりまするが、あなたはその席にお出になつておりませんか。
  272. 千葉三郎

    ○千葉国務大臣 その結婚式は、不幸にして招待を受けませんでした。
  273. 田渕光一

    田渕委員 あなたの旧改進党の党員で、党の重要なる地位につかれている方が、日本殖産の北海道の支店に対して、今立法化の運動中であるというような電報を打つておるのを資料において持つておりまするが、党において保全並びに日本殖産を救おうというような討議もしくは政調会等においてそういう問題が起つたか起らなかつたかをはつきり伺いたいのであります。
  274. 千葉三郎

    ○千葉国務大臣 そういうような依頼は一切受けませんでした。
  275. 田渕光一

    田渕委員 少くとも改進党内において、党員である下ノ村君のこの要請を聞いて動いた者がありとすれば、あなたは改進党のつまり常任委員として、あるいは当時の大蔵委員長としてどういうふうに思われますか、伺いたい。
  276. 千葉三郎

    ○千葉国務大臣 私は大蔵委員長をしておりまする間に、零細金融と申しますか、中小企業の金融に対しましては、ずいぶん努力をいたしましたが、こうした保全経済会とか日殖とかいうような特殊の問題には全然興味がありません。一般的な中小企業、零細企業に対する金融に対しましては、いささか自分の意見を持つておつたのであります。
  277. 田渕光一

    田渕委員 あとでもう少し伺います。  大麻国務大臣に伺いますが、昭和二十七年の九月五日ごろ、築地の秀花という待合で、重光外務大臣とあなたと伊藤斗福君とが、この保全経済会並びに日本殖産の立法化の請託を受け協議をしたという資料があがつておりまするが、これをお認めになりますかどうですか。
  278. 大麻唯男

    ○大麻国務大臣 そういう事実はございません。
  279. 田渕光一

    田渕委員 この点については時間がございませんから……。行政監察特別委員会鳩山総理大臣がお出くださるということの御確信が昨日ありましたから、それでつぶさになりましようが、私は現職平野議員の訓育というものにウエートを置いております。あなたは会つておらないと言いますが、伊藤が平野君に——りつぱに築地の秀花であなたと重光外務大臣と伊藤の三君が会つて、立法化のために三千万円を要求して、そこでは現金の持合せがないからというので、駒込の伊藤の家にとりに行つておるのでありますが、この点はいかがでございますか。
  280. 大麻唯男

    ○大麻国務大臣 伊藤という人に金銭を要求したことなどは絶対にございません。
  281. 田渕光一

    田渕委員 駒井重次君がとつており、ことにあなたが五百五十万円という金を受けたということの資料があがつておりますが、しかと間違いございませんか。もちろんここは行政監察の証人でありませんから……。
  282. 大麻唯男

    ○大麻国務大臣 幾らですつて
  283. 田渕光一

    田渕委員 五百五十万円。
  284. 大麻唯男

    ○大麻国務大臣 そういうことはありません。
  285. 田渕光一

    田渕委員 いずれこの点は行監で明らかになりましよう。  重光外務大臣に伺いますが、先刻お尋ねいたしました大麻国務大臣と同じ点が一点。それから伊藤斗福君が鎌倉のあなたの私邸に二千万円の現金を届けたと育つておりますが、この事実をお認めになりますかどうですか。
  286. 重光葵

    重光国務大臣 それはもつてのほかのことで、私はもうそういうことは絶対にございません。
  287. 田渕光一

    田渕委員 昭和二十七年の九月五日に、秀花であなたと大麻君と伊藤君と三人がしかと会つておられるのでありますが、その点もないと否認なさいますか。
  288. 重光葵

    重光国務大臣 さようでございます。
  289. 田渕光一

    田渕委員 鳩山総理大臣に伺うのでありますが、私が冒頭に申し上げました通りであります。大橋君の冒頭の言葉を援用いたします。今日政界が非常に混迷になり、国会国民から汚職、疑獄で非常に疑われております。昭和二十九年度に起つたことは昭和二十九年度において片づけて、新しく昭和三十年度を迎え、そうして来るべき選挙においては、革新陣営も保守陣営も、お互いに清らかに政策で闘つて国会に対する国民の信頼を回復したいというのが私の念願でございます。この疑獄、汚職事件につきまして、私はさようなことはなかろうと信じておりますが、平野証言をもちまして、三木武吉君を通じて鳩山総裁邸において一千万円を渡したという資料があがつているのでございますが、行政監察においでになる前に、きれいな選挙をいたしたいと思いますので、この点についてひとつ総理大臣の御名誉のために御答弁願います。
  290. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 金銭の授受は一切知りません。
  291. 田渕光一

    田渕委員 私たちの調べました資料では、石橋湛山君の振出しの手形で、あなたと三木武吉君がこれを裏書して、立法化を引受けたと称して昭和二十七年度の選挙資金をつくつたという資料があがつておるのであります。まことに御迷惑なことと存じますが、しかしこういうものが行監にあがつて来ておりますから、これをしかと総理大臣の口から伺いたかつたのであります。
  292. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 初めて今そういうことをここで伺うのでして、まつたく自分の想像もできないことであります。
  293. 田渕光一

    田渕委員 私は決して資料を持たずに発育をしているのじやございません。しかしさよう信じとうございます。ただ、いかにも資料がなくて発言をするごとくに民主党の諸君が申しますから、かようなことは私は申したくありませんけれども、はつきり当時の改進党の党務委員長である椎熊君が、昭和二十八年の十二月の七日にこの国会から電報を打つておるのであります。これを大麻さんや千葉さんや重光さんに申し上げておきます。日本殖産留萠支店あてに電報を打つております。「われ立法化に努力中、支店長以下の御健闘を祈る。椎熊代議士。」私は資料を持たずに言つておるのではない。国会から打つた以上は、これの筆跡鑑定をすればわかつて来る。こういう問題が改進党にないわけはありません。この点を伺つておる。大麻国務大臣と千葉労働大臣と重光外務大臣等において、こういう問題があつたかなかつたかをはつきり説明願います。
  294. 大麻唯男

    ○大麻国務大臣 全然私の関知しないことでございます。
  295. 千葉三郎

    ○千葉国務大臣 そういう事実は全然承知しておりません。
  296. 重光葵

    重光国務大臣 それは全然私どもの承知していないところでございます。
  297. 田渕光一

    田渕委員 さように何もかも知らぬとされるならば、私はここに速記録を引用する以外にない。昭和二十九年二月一日の行政監察特別委員会において、中村委員質問に対して平野証人はこう答えております。  ○中村(高)委員 次は改進党関係。これは日がはつきりいたしませんが、九月の五日ごろに築地の秀花という待合で、重光、大麻、伊藤理事長の三人で三者会談を開かれたというのでありまするが、そういう事実を伊藤から聞いておるかどうか。  ○平野証人 伊藤から聞きました。 さらに  ○中村(高)委員 これは御存じかどうかわかりませんが、改進党総裁重光氏の鎌倉の屋敷で二千万円を献金をしたというのでありまするが、そういう事実をお聞きになつておりませんか。  ○平野証人 それは知りません。 こう答えておる。次の鳩山自由党の問題につきましては、総理からお答えがありましたから、私は再質問いたしません。かようなぐあいで、大蔵委員長もしくは国会議員が、公務員としてこの立法化の請託を受けて町の金融機関から献金を受けたとするならば、これは現行刑法百九十七条にひつかかる。これに対して大麻国務大臣は、もしこういう群集が行監ではつきり現われて来た場合には、これは現行刑法の七条と抵触するかということについてお考えがあるか、(「関係ないことじやないか」と呼び、その他発言する者あり)ある。立法化でとつておる。
  298. 千葉三郎

    ○千葉国務大臣 私は、当時の重光総裁からも大麻さんからも、そういう立法化を依頼を受けたことは絶対にございません。   〔「委員長椎熊君が発言を求めて   いる」と呼ぶ者あり〕
  299. 山口喜久一郎

    ○山口委員長 田渕君の発言中でありますから、それが済んでから許します。
  300. 田渕光一

    田渕委員 民主党の総裁鳩山首相は、良心的な政治家とし、道義を説かれる、このもとにあつて、町の金融機関の連中にひつかかつた大勢の零細なる困つた人たちが、暮れ押し詰まる今日、どうしようかと嘆いておる。これに対して大蔵大臣はいかなる処置をおとりになろうとしておられるか、また今日まで行政措置をしなければならぬのが遅れておりますが、大蔵大臣としてどういう措置をとられるか、友愛を説かれ道義を説かれる鳩山内閣の大蔵大臣として、暮れ迫る今日。このひつかかつた人たちをどう救うてやるかという御決意をひとつ伺いたいのであります。
  301. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今騒がしくて質問が聞えなかつたのですが、はなはだ失礼ですけれども……。
  302. 田渕光一

    田渕委員 デフレ下、今日大衆は非常に困つております。ことに保全あるいは日殖等にひつかかつた零細なる出資者は非常に困つております。保全経済会では四十五億、日殖では四十九億、約百億の金であります。これらに対する措置を、大蔵大臣としてどういうぐあいにおとりになるか、友愛を説かれる総裁のもとにおけるあなたの大蔵大臣としての友愛をひとつ伺いたい。
  303. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えいたします。大蔵大臣としても、そういう被害をお受けになつた人には心から同情いたします。しかしこれは、そのお預けになつたそれぞれの金融機関をおそらく今整備しておると思います。この進行につれまして、お預けになつた方もそれぞれ整理ができて来る、こういうふうに思つております。今私から特別にそれについて何か対策をするということは考えておりません。
  304. 山口喜久一郎

    ○山口委員長 田渕君、時間ですから……。
  305. 田渕光一

    田渕委員 昨日鳩山総理がこの委員会において行監に出るということを成田君に対して御答弁がございました。昨晩六時のニユースでは、根本官房長官は出る必要はないというようなぐあいに言つておられると私はラジオで聞いたのでありますが、鳩山総理は、この政界を清める意味において、もし行政監察特別委員会が証人として御出席を願うと決定をいたしましたならばほんとうにお出ましくださいますか。あらためてこの御決意を伺いたい。
  306. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 決議でもつて要求されれば出るのが当然だと思つております。
  307. 山口喜久一郎

    ○山口委員長 ただいまの田渕光一君の質問に関し椎熊三郎君より発言を求められております。これを許します。(「まだ田渕君が発言中じやないか」と呼び、その他発言する者あり)椎熊君。
  308. 椎熊三郎

    椎熊委員 田渕君の御発言中に私の氏名が出たようでございます。その際私はここにおりませんでしたが、同僚から内容を承りましたので、御答弁申し上げます。(「答弁じやない。」と呼ぶ者あり)ぼくに聞いているから答弁だ。(発言する者多し)では弁明します。  保全経済会等のあの種金融機関というものは、日本の混乱した経済界の状態に便乗して、しかも法の盲点をついて、ああいうことが盛んになつて来たと実は私はああいう状況を嘆いております。これは何とかして法的に取締る一つの措置を講ずべきだろうということを、国会内で私はしばしば主張した一人であります。当時大蔵委員長は千葉三郎君で、そのことについて大蔵委員会の真意等も私は詳細に調査した。千葉委員長にも一つ考え方があつたようですが、当時の大蔵省当局は、これを法的に取締つて行く措置を講ずることには反対だということで、私は見解を異にした。私は微力ではありまするけれども、ああいう不自然な、そして法の盲点をついているようなことは、結局大衆に迷惑を及ぼすことであるから、一日も早く法的措置を講じなければならぬということをいまなお私は考えておるのであります。あの問題が起つた当時、小樽におけるあの金融機関の支店長は、私の少年時代からの親友でございます。そこで小樽におきましては、一般から集めた金が三千万円、保全経済会から貸し付けた金が約五千万円で、貸付の方が多いんです。そこで小樽の中小企業者は、あれが正常に発達して行つてくれるならば、中小企業家が非常に喜んだ制度であつた。それがたまたまああいう波綻を来して、非常な動揺を来して——北海道に十一箇所の支店がありますが、全部それが上京しておる。そうして本店にかけ合つたけれども、何ら措置をしてくれない。私は北海道出身の代議士ですから、私のところへその親友を筆頭として十何名たずねて来た。そして帰る旅費もないと言う。そのときすでに司直の手がまわるという事態になりまして、社長はどこかへ隠遁しちやつて行方不明だ。そこで私は会社へ交渉して、これらの者を早く帰して支店の方の始末をさせるようにと言つた。ところが支店長たちは、私どもは東京まで来てただ帰られないんだ、何とかこの動揺を、少くとも支店の動揺を押えてもらいたい、そういう措置を講じてもらいたいと言う。私にはそんなことはできない。しかし私は、この問題はこのまま放置することはできないから、微力ではあるが、何らかの法制化をして、ほんとうにこの預金者を救う道を講じてやりたい、そういう私の信念から、支店の動揺を防ぐために小樽、札幌、函館、旭川、留萠等十一箇所の支店に私の名をもつて電報を打つたのであります。そういう意味でございますから、私はこの法制化運動にいまなお信念を持つて思い続けておることだけを弁明しておきたいと思います。
  309. 山口喜久一郎

    ○山口委員長 田渕君に申し上げますが、大体時間が経過しました。それで予算委員会のケースの中にやはり途中で一身上の弁明を求めたことがありますから、一応椎熊君にお許しいたした次第です。しかしあなたの持ち時間はもうすでに経過していますから、簡単に結論をお述べいただきたいと思います。
  310. 田渕光一

    田渕委員 結論を言います。私はもしこのことが行監で事実となつたとするならば、大麻国務大臣、千葉労働大臣、重光外務大臣、これらの方々が大勢の被害者を泣かしてその金をとつた。とつた者が閣僚の面々としておつて、大勢困る者が泣いているだろう。(「とつたとは何だ」と呼ぶ者あり)もしとつたとするなら、というのです。それは行監でわかるでありましよう。こういうことに対してははなはだ遺憾に思うのであります。ことに民主党の結成大会の席において、あなた方が鳩山総裁を前にした写真に汚職の自由党と書いておりますが、汚職はむしろ自由党よりも民主党の方にたくさんあつたということだけを申し上げておきます。
  311. 大麻唯男

    ○大麻国務大臣 田渕君に申し上げますが、保全経済会から金を受けた覚えは全然ございません。こういう発言の機会をお与えくださいましたことをむしろ田渕君に感謝します。そういうことは絶対にございません。
  312. 千葉三郎

    ○千葉国務大臣 ただいま田渕君からの発言で、私か保全経済会、日殖から金をとつたといつて名前が出ておりましたが、そういうようなことはいかなる性質のものであつても、また彼らと一緒にお茶を飲んだ事実もありませんから、さよう御了承願います。
  313. 山口喜久一郎

    ○山口委員長 久保田豊君。
  314. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 私は総理にごく基本の点について、時間がありませんので要点をお伺いいたしたいと思いますので、率直にひとつお答えをいただきたいと思うのであります。  昨日来当委員会におきますいろいろの御論議によりまして、首相がお考えになつております内政土の大きな柱ともいうべき明朗にして、清潔な政治という一つのスローガン、並びに民生についての盛るだくさんないろいろの施策というものも大分色があせたようであります。この点はまことにお気の毒に考えるわけでありますが、やむを得ないことと思います。私はそれらの点については時間がありませんから触れません。  首相も昨日の河野委員のお話に、一番この内閣でやりたいことは独立の完成である、同時に平和を維持することである、そのための対外政策は、一方において日米関係基本線をくずさない範囲において、片方においては中ソとの国交をはかつて、いわゆる平和的共存をはかる、こういうことを明確に言われておるようであります。これは単に昨日の話だけでなくて、いろいろの機会に首相が明言されておることであります。私はこの点について二、三重要な点をお伺いいたしたいと思うのでありますが、まず第一に、鳩山首相のお考えは、少くとも外政については、今私が申しましたように、独立の完成、これを最高の柱として、そして日米関係基本線をくずさない範囲において中ソとの国交調整をはかる、こういう点にあるというふうに確認してよろしゆうございますか、その点お伺いしておきます。
  315. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 その通りでございます。
  316. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 そこで私はお伺いいたしたい。この基本方針は今おそらく国民全部がこれを望んでおるところだと思う。問題は、これが鳩山内閣によつて実行されるかどうかということにかかると思います。もちろん短命の内閣、選挙管理内閣という意味では困難だと思いますが、私はそういう意味を除いて、まじめな意味で、ひとつ基本点についてお伺いいたしたい。その一つは、首相は独立の完成ということについてどのような目標をお持ちになつておるかということであります。もつと具体的に言いますと、独立の完成ということはどの党がやつても私は非常に困難な問題だと思うのです。今日おそらくすべての政党が超党派的にこの問題を真剣に考えねばならぬと私は考える。しかしながらこれは単に首相の言われるように、抽象的にそう考えるのだというふうなことでできるようななまやさしいことではございません。これは言うまでもないことだ。  そこで私がまず第一に首相にお伺いしたいのは、日本の独立をしたという状態、首相の言われる独立完成という状態は、どんな状態をお考えになつておられるのか、この点をお伺いいたしたい。今私の考えております点は、こういうことが独立の実態ではないかと思う。第一に、日本領土と主権が関係国において完全に尊重されること、これが第一の条件であります。これなくして独立はないはずであります。第二は、条約で許されようと許されまいと、いわゆる外国軍隊日本の国土の中にとどまつておるということ、この状況をなくなすことが独立の問題だと思います。第三の状態は、外国からのいろいろな意味での内政干渉が完全になくなる状態、こういう状態でなければ独立の完成という形には行かない。第四は、文化なりあるいは経済たりの交流におきまして、外国との関係がほんとうに互恵平等の立場で行われることが独立の一つの大きな要件だと私は思います。さらに原水爆時代の今日におきましては、平和ということが人類共通の大きな目的であります。この平和を守るためには、資本主義とか社会主義とかあるいは進んだ国とか遅れた国とか、こういう国柄の違いを超越しまして、本気に平和を守るための話合いを国際間で進め、そこから結ばれたところの義務を誠実に各国が実行する、こういうことでなければ私は独立の完成も平和の維持もできないと思う。これは単に私が考えているだけじやない。今日心ある国民の大部分はそう考えております。単に日本だけじやない。ジユネーヴ会議以後の世界の情勢はこの方向にずつと移つておると思いますが、これを中心にして、特にアジアでは御承知通り多くの国がこの原則を中心として結合をやつておる。これは単に世界の各国がこういうふうな方向に動いて来ておるというだけじやなくて、日本の独立の基本的な内容だと私は思う。首相は昨日の答弁でもこの内閣として何をやりたい、一番やりたいことは独立の完成であるということを堂々と言われておる。またほかの機会においてもすでにこれを公言されておる。私はこの点について、首相の考えておられるところの独立とは、今私の申しましたような内書を持つた独立か、また同時に今世界各国、特にアジアにおいてこういう方向に動いておるところの独立か、あるいはかつて自由党内閣におきまして吉田さんの外交ブレインでありました、あるいは使用人と言つた方がいいかもしれない岡崎さんは始終こういうことを言つておる。集団防衛体例のもとでは独立の概念は違つて来た、外国から軍隊がほかの国に入つてもこれは独立だ、また同時に外国から、干渉ではないがいろいろの交渉があつて内政がそれによつて左右されること、これも独立の要件だということをぬけぬけと言われておつた。しかしこういう意見は吉田内閣基本的な考え方だと私は思う。この基本考え方が首相の言われるものとどう違うかということが根本の問題だと思う。この点について首相のお考えをお聞きしたいと思います。
  317. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 ただいま独立の内容についてお話がありましたが、私は同様な考え方で独立を完成したいと思います。
  318. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 それでは日本の状態はこういう状態でない。首相が独立の完成を願われる以上、日本の状態がこういう独立の完成でないということは明らかであります。その独立の完成をしていない状態というものは、首相はどんなふうにお考えになつており、だれが日本の独立を今日一番阻害しておるか、この点を明確に御答弁を得たいと思う。私ども並びに国民のすべての理解をするところでは、また世界のすべてのまじめな人たちの理解するところでは、日本の独立は今日アメリカによつてはつきり否定されておる。半独立の形になつておる。講和条約安保条約あるいは行政協定、また今度のMSA協定、あるいは日米通商航海条約、こういういわゆる一連のサンフランシスコ条約体制とでもいいますか、こういうことによつて日本のすべては、ざつくはらんにいいまして金しばりになつておる。この条約の管を通じましてアメリカから流れて来るものは何か。これは首相はよく御存じだと思うが、まず第一に国土の全面的な軍事化であります。今日日本国土全体の中に四百幾つかの軍事基地がばらまかれておる。しかも条約の上でははつきり全土基地の態勢をとつております。そうしてアメリカ軍が堂々とここに駐在をしておる。しかもそれだけでは足らずに、いわゆる昨日来自衛軍が軍隊かどうか、憲法違反であるかどうかということが問題になつておりましたが、自衛軍にはもう一つの反面がある。アメリカとの条約によつてこれがどのような性格を持つておるかということは一つの大きな問題であります。国を守る軍隊というものは、言うまでもなく他国の条約にしばられずに、自主的な立場から国を守るだけのはつきりした立場を持つた軍隊でなければ、国を守る軍隊とは言えない。いろいろな条約によつてはつきり先方に使われるような性格を持ち、そうして向うさんの武器をもらつて、そうして向うさんの兵隊に指揮をされて、そうして条約の上では隠れてはおりますけれども、いわゆる集団防衛という形においていつでも向うの要求に応じて、どこへでも出兵をしなければならぬような性格を持つた軍隊、これが自生的な立場で国を守る軍隊でないということは明らかであります。そのほか、こういう軍事面のみではない、経済面におきましてもひとつも独立がない。外交にも独立がなければ貿易にも独立がない。予算一つ組むにも、あすあたりまた大蔵大臣がアリソン大使に相談に行かなければ予算が組めないと言う状態。こういう状態は私はまつたくアメリカ日本支配から来ておるものだと確信する。また国民の大部分も今日はこれを確信しておる。確信しておるというよりも、事実現実において毎日の生活において明確にこれを認識せざるを得なくなつている。吉田内閣は六年間にわたつていろいろまずいことをたくさんやつた、そのうちで一番悪いことは、こういう国の独立を売るような条約体制を国民をごまかしながらつくつたということ、これより人なる罪悪はないのであります。これは一番悪性であります。これは首相にも一部責任があると思う。保守系の諸君は皆さん責任があると思う。この点について首相は国内の今日の状況、首相が独立の完成をはかられる以上、この現実の事実を明確に御認識になることがまず第一だと思いますが、この点について首相の御見解をお聞きしたいと思う。
  319. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 独立の内容については、久保田さんとほとんど同じ考えを持つておりますが、アメリカとの関係です。アメリカの進駐軍を漸減をして行つて、そうして日本独自の力によつて防衛ができるというのはもとより理想ではあります。けれども今日米戦争がない、第三次世界大戦はもう全然ないんだ、近い将来においては全然ないというような国際情勢が確立できておりしたならば、日本の独立の完成も割合に楽なのでありますけれども、とにかく米ソ戦争があつたらたいへんだというような気分をみんなが狩つておる今日においては、日本アメリカとは緊密なる親善関係に立つて共存共栄の実をあげて行かなくてはならないし、アメリカの力によるにあらずんば日本の防衛も危ういというのが実態でありますから、アメリカの兵隊に撤退してもらうということは理想ではあるけれども、現在ただちに撤退されては日本の治安がどうかという危惧の念を持たざるを得ないわけであります。そこで独立の完成というようなことも、非常に言うはやすいけれども、実際やつていこうとするには、なかなか複雑にして多難な前途があるわけでありますから、理想をそこに置いて徐々にやつて行くよりしかたがないと思つております。
  320. 山口喜久一郎

    ○山口委員長 久保田君、あなたの持ち時間は少いですから……。
  321. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 ただいまの総理の御答弁は、私どもには納得しかねる。かりに現在のような条約体制の中で米軍が引揚げましても、あとに残つた日本軍隊は、やはり条約で縛られましたいわゆるアメリカの防衛のための軍隊でありまして、この条約体制がかわらない限り、あなたのお考えのように、日本憲法をかえても自衛軍にはなり得ないのであります。アメリカとの条約をかえること、あるいは廃棄することがほんとうの意味において自衛軍をつくる根本の要件であります。この点において首相とは私どもは見解を興にしますが、この問題はあとにいたします。そこで首相は、こういうアメリカに対する従属関係、この点については大体吉田内閣方針を踏襲すると言われる。つまり私どもに言わせれば、従属関係といいますか、こういう関係をそのまま認められるということであります。これでいわゆる国の独立ができるものかどうか。普通の健全なる常識を持つた者では、これでは国の独立ということにはならないと思う。しかも首相は、この点については吉田内閣方針はかわらないと言われる。ただ首相が昨日の答弁で言われたことで、私どもは特に注意しなければならぬと思いましたのは、今までの吉田前首相のようにアメリカの言う通りにはしない、あるいはアメリカに対しても正しいことは主張する、こうおつしやつた。今日これらの従属関係を一気に断ち切ることの困難であることはわかり切つた話です。そこで鳩山首相としてはさつき言いましたような、アメリカの言う通りにはならない、片方においては吉田内閣と同じ基本線を守る、これはどういうことを意味するか。おそらく首相のただ単なる御希望では、こういう関係の改善は困難だと思う。そこで首相はこれに対してどのような御決意を持つておるか。私は鳩山内閣がこのアメリカに対する従属関係を、根本から断ち切り得る実力を持つておるものとは思つておりませんが、腹構えはどこに置くか、本気にこれにとつ組んで行くつもりか、あるいは今日本国内にはうはいとしておるアメリカに対する反対の機運、中ソに対する大きな親善の機運、これを利用して今度の選挙でうまいしるを吸おうというお考えか、そこをはつきり首相にお聞きしたいと思う。
  322. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 アメリカと互いに共存共栄の実をあげて行つて、親善関係を結んで行くということは、吉田のやつた通りでいいと思うのですが、とにかくアメリカに対して主張すべきことは勇敢に主張して、アメリカ考え方を是正して行く必要は十分にあると思つております。
  323. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 アメリカ考えを是正する、それは非常にけつこうな話でありますが、それはこういう条約関係——サンフランシスコの諸条約の改訂なりあるいは廃棄なりをして行くというお考えですか、そういう意味で御主張をされるというのですか、あるいはそれから派生をした小さな問題で、あちこちやるというふうなお考えですか、この点をひとつお伺いをしたい。
  324. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 日本国民が道義心を回復しまして、ほんとうの独立国としての実力を備えて行くようになれば、自然アメリカとの関係は是正されて行くものと思います。
  325. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 私はなかなかそんなふうに簡単には行かないと思います。アメリカに依存する実力、経済的にアメリカに依存する実力どいうふうな従来の方式で行つて、ほんとうに国が立つはすはありません。私はそんな甘い根性で独立の完成ができるものとは思はぬ。しかもこういう従属関係はつきり是認をして、その上で親書を保つて行こうという限り、アメリカに対する独立は、いわゆる鳩山内閣では絶対に考えてもおらぬし、できぬことだというふうに断定してさしつかえないと思いますが、この点については時間がありませんから、意見を差控えます。  次に中ソとの関係は、はつきり国交調整をやつて行く、当面の段階としては貿易とか交通をやるというお話ですが、しかしもつと根本は、さつきからもいろいろ問題が出ましたが、外相は、中国やソビエトのはんとうの意図がわからないとかなんとか言つておりましたけれども、中国やソビエトの意図は明確でありまして、中ソの対日共同宣言、これは十月の十二日に出ております。それから周総理が、ここにおられます山口さんもそれに参加され、鈴木さんその他国会をあげた、いわゆる各党の代表議員団に対しまして、十月十一日に紫光閣においてはつきり話をしている。またさらに日本農民組合の鳥取県連が、向うの人民外交学会の張会長にあてた質問書に対して、向うから明確な答えが来ております。しかしさらに十二月十六日には、モロトフの対日声明が出ている。これの中にある基本原則というものは何か、基本態度というものは何かといいますれば、さつき私が日本の独立の基本的な条件であると申しました平和五原則であります。平和五原則以外に何もありません。このことは、山口委員長やその他の訪華議員団の諸君もはつきり認めて、こちらに来て声明をされている。これでもつてわからないのか。おわかりにならぬのが私どもにはわからない。おわかりにならぬというのは、おそらくこれらに対するアメリカ側の御意向がおわかりにならぬから、このモロトフ声明に対しても、鳩山内閣は言もまだ言えない。そして今日はどうかというと、向うの腹を探りつつある、あるいは慎重考慮中だ、これだけのことだろうと思う。私は、中ソの対日態度というものが実に明確に、しかも向うの責任者から打出されていることに対しで、首相がどのようにお考えになつておりますか伺いたい。これらのことを、いやしくも今日の段階において、日本の政局の最高責任者が、しかもみずからいわゆる中ソとの国交調整をはかる御決意を宣明された鳩山首相が、こういうはつきりした中ソの態度を御存じないというようなことではいけないし、重光外相のように、どうも向うの腹が全然わかりませんということではなお困りますが、この点について首相はどんなふうにお考えになつておりますか、お伺いしたいと思います。
  326. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 共同声明並びに五原則等は、表面に現われている文字によればりつぱであります。ああいうふうに進行して行くことを望まざるを得ません。けれども、その裏面にどういうことを考えているかということを疑うのも、私は現在の状態においてはやむを得ないと思う。それですから、だんだんと通商交通をして、お互いに理解をして行つて、そうして平和にいる方がわれわれの喜ぶべき現象が来るのだということを、体験して行つてから進みたいというような考え方を持つのがあたりまえだと思うのです。
  327. 山口喜久一郎

    ○山口委員長 久保田君、時間がありませんから……。
  328. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 時間が非常に詰められておりまして、はなはだ残念ですが、この点もう少し掘り下げることはやめます。  もう二点伺います。その点は、中国との関係の改善を特に望んでおられる。しかし新中国については、今のところこれを法律的に承認をする気持はないという御方針のようだ。しかしながら私は首相にお聞きしたい。大体台湾と中国本土をあなたはどういうふうに考えておられるか。新中国は六億の国民です。そうして今の中国の政府というものは、これは六億の国民から全部信頼をされ、代表をされ、そうしてはつきり合法的に組織されて、しかも平和政策基本とした、しかも憲法の上に立つて明確にこのコースを歩んでおるところのこれは堂々たる世界の大国であります。これは世界の今日の大国と言いますれば、おそらく五大国でありましようが、その五大国のうちでも、これは一、二を争う実力を持つた堂々たる大国であります。この大国をあなたは事実としては扱うが、日本としてはこれを法律的に承認ができない。台湾の蒋介石政権というものは、あれは何ですか。あれは中国の六億の国民からはじき出されて、そうして台湾に逃げ込んで、台湾国民からも全部反撃を食つて、わずかにアメリカのさしがねでもつて生き延びておるところの完全なる傀儡政権ではありませんか。これをアメリカ認めたから、日本認める、これが吉田さんの行き方であります。これでもつてアジアにおきまするところの平和だとか、中ソとの国交調整だとかいうことができると思いますか。私はむずかしいことは言わない。ものの道理です。この道理に沿つて進まない限り、日本外交もあるいは何も進むはずがありません。しかも中国のこの平和五原則のあれは、今首相は裏に何があるかわからないからといいますが、アジアのほとんどすべての国の信頼を得ておるじやありませんか。インドしかり、ビルマしかり、インドネシアしかり、セイロンしかり、ほとんどすべてのアジア国民はこれを支持しておる。この新中国を認めないというのは、私どもの理解するところによれば、推測するところによれば、まつたくアメリカに対する気がねというか、アメリカを恐れておるだけである。そうして台湾認めておるということは、これは一つの中国の事実に対して、国内問題に対して、アメリカと一緒に内政干渉をしておると同じであります。私はこういうことでもつて、中ソとの国交回復基本は立たないと思いますが、この点について首相のお考えをお聞きしたい。
  329. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 私は中国と申しました言葉の中には、国民政府中共政府も両方含めて言つておりました。中共政府承認せよということの御意見のよべでありますけれども、承認するというようなことは、今日まだ承認しない国もたくさんあるし、承認するということによつて起る外交上の、何と言いますか、むずかしさもあるものですから、そういうような点については外務大臣からどうぞお聞き願いたいと思いますよ。
  330. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 もう一点だけ。時間がもうありませんから、最後に花村法相に一言お聞きしたい。
  331. 山口喜久一郎

    ○山口委員長 総理大臣はいいですか。
  332. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 いいです。——今日は花村法相も御存じの通り、大審院法廷において三鷹事件の竹内被告に対しまするいわゆる死刑の判決があるはずでありました。しかしながらこれは延期になりました。私はこの点について法相にお伺いをいたしたい。それはどういうことかというと、三鷹事件そのものがどういう内容のものであるかということはいろいろ問題がございましよう。しかしながらこれだけははつきりしております。第一審で無罪であつた竹内被告が、第二審では何らの事実調査もなく、死刑の刑量を受けております。しかも事実の調査は全然ないのでしよう。そうしてさらに今度の大審院におきましても、一年半の間一回の事実調査もなく、また弁論を許すこともなく、今日いわゆる判決を下そうといたしたのでありますが、この事件は御承知通り、法律的な内容いかんは問わず、これは日本の労働者はもちろん、全世界の労働者の大きな反撃を買つておる問題であります。こういうふうな無期から死刑にするのに事実調査も何にもしない。一年半も大審院につないでおいて、しかも事実調査も一回もしない。そうして抜打ちにこの選挙面前をねらつていわゆる判決を下そうとした大審院法廷は、これは私は想像をたくましゆうして言えば、いわゆる今度の選挙に対しまして、明らかに選挙宣伝をねらつた労働者に対する一つの大きな侮辱であろうと考えております。  そこでこの問題は大審院の問題でありますから、政府はさぞかしこう申し上げれば、三権分立であつて、大審院でやることは大審院でやるのだ、こう逃げられるにきまつておる、きまつておるが、問題はそう簡単ではございません。またあしたは人民電車の裁判があるはずだ。これが日本の勤労大衆や正義を愛する士並びに全世界の平和を愛する人士に与えまする影響は、きわめて甚大であります。あなたがどんなに鳩山内閣の進歩性を擬装されようとも、この一事だけでも私ははつきり皆さんの反動性が世界的に暴露されるときが来ると思います。どうかそういう意味で、今日は一応判決の期日が延びておるが、これを法相としてどういうふうにするか、善処することをお願い申し上げまして、私の質問を打切ることにいたします。
  333. 花村四郎

    ○花村国務大臣 お答え申し上げます。ただいまの御質問は裁判に関することでありまして、これについては最高裁判所でしかるべく善処して行くことであろうと思います。政府関係のないことですから、どうぞしかるべく……。
  334. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 もう一言だけ。   〔「もうだめだ」「終り終り」と呼び、その他発言する者あり〕
  335. 山口喜久一郎

    ○山口委員長 まだ私の発言があります。
  336. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 もう一言だけ。   〔「ちやんと協定を守らねばだめだ」と呼ぶ者あり〕
  337. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 それではやめましよう。
  338. 山口喜久一郎

    ○山口委員長 先ほどの横路君の発言に対して三木運輸大臣から発言を求められておりますから、この際これを許可します。三木運輸大臣。
  339. 三木武夫

    ○三木国務大臣 先ほど簡単に横路君が触れられたのでありますが、鳩山内閣は綱紀粛正を内閣の看板にいたしておるわけでございますから、片言隻句も見のがしにすることはできないと存じまして一言申し上げます。私は利子補給法の成立に関して、業者の依頼を受けたこともなければ、あるいは面談をしたこともなければ、あるいは取調べも受けた事実はない。これは明らかにしておきます。   〔「終りだ終りだ」と呼び、その他発   言する者あり〕
  340. 山口喜久一郎

    ○山口委員長 横路君、何かありますか。——先ほどの稲富君の農林大臣に対する質疑の残りと、それから足鹿君の農林大臣に対する関連質問の残り、これはどうしても本日終らなければなりません。   〔「散会して理事会を開こう」「農林大臣への質問だけやつてしまおう」と呼び、その他発言する者あり〕
  341. 山口喜久一郎

    ○山口委員長 ではどうぞ稲富君からやつてください。   〔「協定は守ろうじやないか」「休憩して理事会を開こう」と呼び、その他発言する者多し〕
  342. 稲富稜人

    ○稲富委員 それではやめましよう。
  343. 山口喜久一郎

    ○山口委員長 この際暫時休憩いたします。    午後二時三十一分休憩      ————◇—————   〔休憩後は開会に至らなかつた〕