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1954-12-17 第21回国会 衆議院 本会議 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十二月十七日(金曜日)  議事日程 第五号     午後一時開議  第一 日本国ビルマ連邦との間の平和条約批准について承認を求めるの件     ―――――――――――――  第二 日本国ビルマ連邦との間の賠償及び経済協力に関する協定締結について承認を求めるの件     ――――――――――――― ●本日の会議に付した事件  議員辞職の件  議員今村忠助君の逝去につき院議をもつて弔詞贈呈し、その弔詞議長に一任するの動議吉川久衛提出)  外交方針に関する緊急質問佐々木盛雄提出)  政府アジア外交方針に関する緊急質問福田昌子提出)  日中両国貿易協定改訂に関する緊急質問戸叶里子提出)  中国通商使節団招請に関する決議案中村高一君外二十四名提出)  日程第一 日本国ビルマ連邦との間の平和条約批准について承認を求めるの件  日程第二 日本国ビルマ連邦との間の賠償及び経済協力に関する協定締結について承認を求めるの件  恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案内閣委員長提出)  昭和二十八年度の件(承諾を求めるの件)     午後五時九分開議
  2. 松永東

    議長松永東君) これより会議を開きます。      ――――◇―――――
  3. 松永東

    議長松永東君) 議員山本正一君から辞表提出されております。これにつきお諮りいたします。まずその辞表を朗読いたさせます。     〔参事朗読]     辞職願               私儀  今般衆議院議員辞職いたし度いから御許可下されたく此段御願いたします。   昭和二十九年十二月十七日     神奈川県選出      衆議院議員 山本 正一    衆議院議長松永東殿
  4. 松永東

    議長松永東君) 採決いたします。山本正一君の辞職を許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 松永東

    議長松永東君) 御異議なしと認めます。よつて許可するに決しました。      ――――◇―――――
  6. 松永東

    議長松永東君) 議員今村忠助君は昨十二月十六日逝去せられました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。  この際、弔意を表するため吉川久衛君から発言を求められております。これを許します。吉川久衛君。     〔吉川久衛登壇
  7. 吉川久衛

    吉川久衛君 ただいま議長から御報告に相なりました故衆議院議員今村忠助君に対し院議をもつて弔詞贈呈、し、その弔詞はこれを議長に一任するの動議提出いたします。昨十六日、われわれは、突如今村君の計報に接し、深い驚きと悲しみに打たれたのであります。私は、この際、諸君の御同意を得て議員一同を代表し、つつしんで哀悼の辞を申し述べたいと存じます。(拍手)  君は、明治三十二年長野県下伊那郡座光寺村に生れ、同地の小学校を終えるや笈を負うて上京し、大正十五年立教大学商学部を、昭和三年には日本大学校文学部を御卒業になりましたが、学生時代からつとに日本海外発展国際親善とに眼を注がれ、この目的をもつてばく海外旅行を試考れたのであります。その後も引続き、名古屋新聞海外特派員として、または日本大学講師としてヨーロッパ、南米等世界各地を視察せられ、その成果を、あるいは教壇において説かれ、あるいは多くの書物として著わされたのであります。しこうして海外同胞中央会海外同胞育英会海外同胞援護会等の諸種の団体の理事として移民事業に努力せられておりましたが、終戦後、昭和二十二年第二十三回総選挙には、長野県第三区より衆望をになつて御出馬、みごとに当選され、その後引続き四回当選され今日に至つたのであります。  本院議員としての今村君の御活動は、諸君もよく御承知のごとく、昭和二十四年には米国におもむき、その議会制度並びに運営の実情をつぶさに視察され、また議院運営委員としてあるいは進行係として、議院運営に力をいたされました。ことに、長期にわたり福利小委員長並びに庶務小委員長として、議員立法活動のための環境、施設の改善及び能率化に煩をいとわず尽力されたことは、われわれ両深感謝と敬意とを払わねばならぬところと存じます。(拍手)また、この間文部政務次官として文部行政に参画されたのでありますが、君の活動舞台たる海外事業の面におきましては、海外移住協会日本ボリヴイア協会日本アルゼンチン協会日本フィリピン協会日華協会南洋経済懇話会等理事長もしくは理事として移民問題の打開に尽され、国際親善のため大いに寄与せられておつたのであります。  君は、資性きわめて温厚篤実にして、人格円満、常に靄然たる和気をもつて人に接して、何人にも深く敬愛せられておられました。また郷党の子弟の育成に献身努力せられ、私費を投じて常に学生の訓育に当つておられたのであります。  去る十月南米ボリヴイア国におもむかれ、大統領を初め関係各長官とそれぞれ具体的な移民問題の話合いをなされ、サンタクルス市を中心とする日本人移民の広大な適地をつぶさに視察されたのであります。君としてはこれが十数度目の海外視察でありまして大きな成果を収めて十二月四日帰朝され、郷里にお帰りになるいとまもなく臨時国会において活動せられておりましたが、不幸にして急に病を得られ突如御逝去になりましたことは、まことに痛恨きわまりない次第でございます。(拍手)君がよわいいまだ五十五歳で、君の今後の御活躍こそ期待せられておつたのでありますが、にわかに御長逝になり、前途有為の士を失つたことは、邦家のため惜しみても余りあるところと存じます。(拍手)  ここに、議員一同を代表いたしまして、つつしんで哀悼のまことをささげ、御冥福を心からお祈りいたす次第であります。(拍手
  8. 松永東

    議長松永東君) ただいま吉川君から提出されました動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 松永東

    議長松永東君) 御異議なしと認めます。よつて動議は可決せられました。  ここに議長の手元において起草いたしました文案を朗読いたします。  衆議院ハ議員今村忠助君ノ長逝哀悼シ恭シク弔詞呈ス  この弔詞贈呈方議長においてとりはからいます。      ――――◇―――――
  10. 山中貞則

    山中貞則君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、この際、佐々木盛雄提出外交方針に関する緊急質問を許可せられんことを望みます。
  11. 松永東

    議長松永東君) 山中君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 松永東

    議長松永東君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  外交方針に関する緊急質問を許可いたします。佐々木盛雄君。     〔佐々木盛雄登壇
  13. 佐々木盛雄

    佐々木盛雄君 私は、自由党を代表いたしまして、鳩山内閣外交方針につきまして政府所信をたださんとするものであります。重光外相は、就任早々の十二月十一日、外務大臣の名におきまして二つ公式声明発表されたのであります。すなわち、その一つ日本国内に向つて発表せられたものであり、もう一つ外国に向つて発表せられたものであります。ところが、この二つ声明文を比較検討いたしますのに、国内向けりものはわずか数行のきわきて簡単なもので、その中において共産主義諸国との貿易拡大を強調するにとどまるもりであるのに反し、外国向けのものは数ページに及びますところの長文のもりで、その内容も相当具体的なものでとざいます。外国にさえ伝えておけば国民には何も知らせなくてもよいとい態度に、われわれはまず大きな不満を抱かざるを得ないのであります。(発言する者多し、拍手)しかも、こここにわれわれが断じ了解し得ないことは、この二つ声明文の底を流れる外交方針がまつたく水と油のごとく相いれない構想の上に組み立てられた政府の驚くべき二枚舌外交であるという」とでございます。(拍手鳩山首相も、重光外相も、就任以来り声明や演説や新聞談話等におきましてしばしば強調されましたことは中ソ円国との国交調整であり、これがいわば鳩山内閣の一枚看板でもあるわけでのります。ところが、国内に向つてはくのごとく共産諸国との融和政策を旦伝しておきながら、他方外国向け戸明文におきましては、これとまつたく反対の反共政策を掲げておるのであります。(拍手)この点をこの喜明文によつて指摘いたしまするならば、現在アジアの平和を脅威しつつある破壊勢力に対しましては日本安定勢力を行使せねばならぬと述べ、さらに、共産主義諸国よりの平和攻勢に対しましてチャーチル首相アイゼンハウアー大統領の唱えておりまする力による平和政策、すなわち武装平和の政策を全面的に支持し、これがアジアの現状に最も適した政策であると信ずると述べているのであります。さらに、この武装平和の原則に立つて重光外相は、われわれとして日本列島戦略的重要性を十分認識し、自国の防衛をはかるつもりであると述べ、さらに進んでは、共産主義侵略に対する集団防衛体制の強化が急務であると主張いたしているのであります。かくのごとく、政府は、外国に対しましては反共政策を唱え、一面国内に対しましては共産国との平和共存を宣伝いたしているのでありますが、これは鳩山内閣国内において中ソとの国交調整の宣伝にうき身をやつすことがアメリカ初め自由主義諸国を刺激することを憂慮する結果であろうかとも考えるのであります。自由、共産両陣営のはげしい対立抗争の間にあつては、鳩山内閣のぬえ的外交政策は遂に二兎を追う者一兎をも得られぬ結果になることは火を見るよりも明らかであります。(拍手)まさに二枚舌外交の悲劇と言わなければなりません。  いずれにせよ、アメリカに向つて共産侵略に対する武装平和の政策に同調し、日本国民に向つては、共産侵略の脅威については鳩山内閣成立以来一音半句も語らずに、いたずらに共産諸国との平和共存のから念仏を宣伝するがごときことは、最近平和攻勢に乗ぜられた国内風潮の風波に便乗して外交選挙人気取り政策の具に供せんとする以外の何ものでもないのであります。(拍手)私はまずこの点に関する政府見解総理大臣並びに外務大臣より承りたいのであります。  鳩山氏や重光氏は、今日まで、野にありましては、吉田外交秘密独善なりとして鋭く非難攻撃されておつたのでありますが、その吉田外交といえども、いまだかつて国民の目を瞞着して声明文使いわけをするがごとき卑劣千万なことをいたしたことは絶対にございません。(拍手)かつて吉田内閣に送られた秘密外交の汚名は、今日こそそのまま鳩山内閣に対して返上申し上げますとともに、私はあらためてここに国民を愚弄する欺瞞外交の焼印を押さんとするものであります。(拍手)  重光外相は、その就任の第一歩におきまして、何ゆえにかくのごとき二枚舌外交を行わんとされるのでありましようか。その偽らざる告白を承りたいのであります。さらに、外相は、国内向け声明文やその他におきまして共産諸国との貿易拡大を誇張しておきながら、外国向け声明文におきましては、ソ連並び中共との貿易については多くを期待しないと告白をいたしているのでありますが、これまた国民欺瞞、愚弄するもはなはだしき態度と言わなければなりません。(拍手)はたしてそのいずれが真実なりや、鳩山首相責任において国民の前に明らかにされたいのであります。   次に、鳩山重光両氏は、今日まで吉田外交に対する非難攻撃の急先鋒であつたのでありますが、それでは新内閣はいかなる外交政策を行わんとするのか。内閣成立以来、今日までに明らかにされたところによりますと、鳩山重光外交なるものは、吉田岡崎外交骨格をそのまままるのみにしておきながら、表面だけをいささかカムフラージュするにすぎないと考えるのでありますが、もし根本的な政策の転換がありますならば、この際明らかにされたいのであります。(拍手)しかして、もし万一にも吉田外交骨格と何ら異なるものがないというならば、今日までのあなた方の言動は、単に攻撃せんがための攻撃であつて、とうてい責任ある政治家のとるべき態度とは考えられないのであります。(拍手)  さらに、鳩山内閣の提唱する中ソ両国との国交調整とは一体何を意味するのでありましようか、具体的に御指摘願いたいと存じます。まず、わが国は、ソ連とはいまだ法律的には戦争状態にあり、また中共は中ソ同盟条約によつて日本を彼らの仮想敵国として軍事同盟を結んでおり、また国際連合中共侵略者として非難をいたしておりますときに、外務大臣サンフランシスコ平和条約並びに日米安全保障条約によつて結ばれた日米間の友好関係を阻害することなくしてソ連中共との国交回復が現段階においてはたして可能なりとお考えでありましようか。責任ある御答弁をお願いいたしたいのであります。(拍手)、  また、昭和二十六年十二月二十四日付吉田ダレス書簡におきまして、日本中共政権とは講和条約締結しない旨を確約いたしておるのであります。これは決して秘密文書でもなく、天下に公表されたものであります。しかも、この鉄則の上に立つて国民政府との日華平和条約締結が行われたのであります。しかるに、外相は、外務委員会におきまして吉田ダレス書簡のごときは自分は知らぬと答えておりますが、これは、同じく外務委員会におきまして、下田外務省条約局長日本吉田ダレス書簡に何ら拘束されるものではないと答えておりますことや、また去る十五日のラジオ街頭録音におきまして、鳩山首相国民政府中共政府もともにりつば独立国として認めると語つた言葉と思い合せまして、まことに重大でありますが、私は、法律論上の解釈は別といたしましても、政治道徳ないし国際信義の観点からいたしまして、吉田ダレス書簡を無視するがごとき日本政府言動日米関係日本国民政府との友好関係に好ましからざる暗影を投ずることを憂慮いたしますがゆえに、あえて政府見解を求めたいと思うのであります。(拍手)  また、日華平和条約におきまして、この条約国民政府が現に支配し、また将来支配することあるべき地域に対して適用されるとことさらにうたつておりますことは、明らかに国民政府大陸に対する潜在的主権を持つとの原則に立つて中共政権の存在を否定したものでありますが、鳩山内閣は、この建前をも否認して中共独立国家として認めんとするのでありましようか。国民政府は、大陸を彼らの領土と信じ、その確信の上に大陸への反攻を待機いたしておりまするし、また他方中共政権は、台湾を彼らの領土考え、その解放を企図いたしておるのでありまして、一つ中国領土の上に二つ政権が対立しておりますときに、その二つを同時に認めるというがごときことは、とうてい考えられないのであります。日本は言うまでもなく国民政府を相手として講和締結国交を回復しておりますのに、さらに鳩山首相ラジオ談話のごとく中共独立国政権として認めまするならば、それは結局国民政府の否認となるわけであります。また、国際連合におきましては中国を代表するものは国民政府であるとの方針を堅持いたしておりますとき、鳩山首相国民政府中共政権もともに独立国政権として認めると語つた言葉は、今や国民政府米国政府に対しましては大きな波紋を投げかけておるのでありまするが、内外に及ぼす影響きわめて重大でありまするから、この際鳩山首相にその真意をはつきりと御説明願いたいのであります。(拍手)  最後に、重光外相は、外務委員会におきまして、自衛軍備を持つことは独立国として当然なことであるから、憲法改正の必要は絶対にないと言明されたのでありまするが、しかし、一方、鳩山首相自衛軍備のためにすみやかに憲法改正を断行すべしとの強硬論を主張され来つたことは、国民周知のところであります。民主党は、もとよりその成立過程におきまして各党各派集合体でありますから、党内の御意見もその懸隔はなはだしく、諸説紛々たるようでありまするが、少くとも天下の公党を名乗つて国民の前に登場いたしましたる以上は、国家民族百年の運命を決します防衛問題や憲法解釈につきましては、総理大臣とその副総理たるところの外務大臣との御意見が根本的に粗対立しているがごときことは、まさに醜態と言わなければなりません。(拍手)これでは総選挙を控えて国民審判の前に立つこともできなかろうと存ずるわけでありまするが、この際政府並びに民主党の統一された責任ある御見解鳩山首相に要求する次第であります。  以上をもちまして私の緊急質問を終る次第であります。     〔国務大臣鳩山一郎登壇〕、
  14. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) ただいまの佐々木君の質問に対してお答えを申し上げます。  中国は、中共政権大陸において、国民政府台湾におきまして、一つ政権を持つて領土と人民とを支配しておりますことは事実でございます。(拍手)その事実を認めて独立国家と私は申すのでございます。決してこれを承認するという言葉を使つたわけでけないのであります。(拍手)  憲法九条の改正問題につきましては、憲法九条が自衛隊を持つことを不都合であるとは言つていないと思つております。それで自衛隊を現に持つております。しかしながら、憲法九条が幾多の誤解を生んでいることも、これも事実でございますので、この誤解友明らかにすることがやはり日本国家のためになると思いまして、現在におきましても憲法を改正したいという念は持つておるのであります。これは皆さんによく御相談をしていただいて、そうして九条を適当に改正したいという希望は持つております。  その他の御質問に対しましては、重光外相より詳細にお答えすることにいたしたいと思います。     〔国務大臣重光葵登壇
  15. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 今の御質疑に対してお答えをいたします。  私の声明について、二つ声明を出した、これはどういうわけであるかというお話であります。私の出した声明は実は一つでございます。     〔発言する者多し〕
  16. 松永東

    議長松永東君) 御静粛に願います。
  17. 重光葵

    国務大臣重光葵君)(続) しかし、私は、内閣のかわりますときに、対外関係を動揺せしめることは非常に国家のために不利益である、こう考えまして……     〔発言する者多く、議場騒然
  18. 松永東

    議長松永東君) 御静粛に願います。
  19. 重光葵

    国務大臣重光葵君)(続) それがために、私は詳細に私の考えるところを外国新聞記者説明をいたしました。その説明は私が発表した政策説明に少しも違反はしていないのであります。これは同じ趣旨でございます。そこで、それはどういう趣旨であるかというと、どちらも同じように、平和主義を堅持し、広く世界各国との友好関係の増進をはかるということを書いて、両方とも進めておるわけであります。     〔発言する者多く、議場騒然
  20. 松永東

    議長松永東君) 静粛に願います。
  21. 重光葵

    国務大臣重光葵君)(続) 中共貿易のことについて御質問がありました。私は、中共貿易国家の負うておる義務に反せざる限り進めて行きたい、こういう考えをもつてお答えをいたしておる次第であります。国交回復は、今ただちに中共との国交回復考える時期ではないと考えております。しかし、貿易はできる範囲内において進めて行つた方日本のために利益であると考えるのであります。これが中共貿易に関する答弁であります。  風上をもちまして私の答弁を終ります。     〔佐々木盛雄登壇
  22. 佐々木盛雄

    佐々木盛雄君 見解の相違は、ところを異にいたしますなれば、いたし方もないでございましよう。しかしながら、私は、ただいまの御意見を承つておりまして、ことごとぐが了解のできないことばかりでありますが、あえて私はここで議論を関わそうとはいたしま迂んけれども、私の一身上の重大な問題で、まるで私が虚偽のことを申とたことく申されますことは、まことに遺憾でございます。(拍手)ここにありますこれは、外務省によつて印刷された、わずか数行の国内向けのものでございます。ここにありまするものは、これは外務省外務大臣外交方針のステートメントとして正式に外国に向つて発表いたしたものであります。この二つ内容はまるで別のものであります。同時に、相異なつたものの考え方の上に組み立てられたものであります。従つて、私は先ほど重光外交二枚舌外交であるということを申し上げましたが、重光外交二枚舌外交であるということは、この壇上から、今如実に諸君の前に、かくのごとき事実を無視して、おくめんもなく申されておることによつて御了承願いたいと思います。こういうわけでありますから、私はあえてさらに質問をいたしませんが、こういうふうな国民欺瞞するような不信行為就任早々において行われまするならば、前途外交方針やまさに思い半ばに過ぐるものがございます。(拍手国際信用はきわめて重大でございまするから、今後かくのごとき欺瞞的行為のないように厳重に注意を喚起いたしまして、国民……。(「責任を迫究しろ」と呼び、その他発言する者多し)この点を特につけ加えておきますが、さらに私は、先刻この壇上に立たれた重光外務大臣の御答弁は、その言語を聞きとるに苦しんだわけであります。どうかもう一度明白に御答弁を願いたいのであります。(拍手)     〔国務大臣重光葵登壇
  23. 重光葵

    国務大臣重光葵君) お答えします。私の今の外国新聞記者に話したことと、この政府声明として発表したことは、これは日本向けにも外国向けにもともに発表したものでございます。その両方趣旨は、趣旨において全部一致しております。(発言する者多し)少しもこれに矛盾はございません。この説明によりて、外国各方面においては、新内閣外交方針について非常に了解を進めて来たことを特に認めるものであります。      ――――◇―――――
  24. 山中貞則

    山中貞則君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、この際、福田昌子提出政府アジア外交方針に関する緊急質問を許可せられんことを望みます。
  25. 松永東

    議長松永東君) 山中君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 松永東

    議長松永東君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  政府アジア外交方針に関する緊急質問を許可いたします。福田昌子君。     〔福田昌子登壇
  27. 福田昌子

    福田昌子君 私は、日本社会党を代表いたしまして、政府の主としてアジア外交に関しまする所信をたださんとするものであります。  鳩山総理は、組閣当初、新聞記者団質問に答えまして、日本民主党国民信頼にこたえた選挙の結果できたものでもないし、しかも少数党内閣である、従つて長期政権の座にすわることは僭越であるので、なるべく早く解散してあらためてその信任を国民に問いたい。まことに当然のことを正直に語られましたのでございます。私どもは、この一言で、さすがに鳩山総理だと一応うなずいたのであります。ところが、その後、この内閣におきましては、三十年度の予算を編成して国会提出するとか、あるいはまた、最近におきましては、さらに、いかにも長期にわたつて政権を担当する内閣ででもあるかのごとき錯覚を起させまするところの政府声明、政見を次々に発表いたしまして、ことに、去る十三日におきましては、非常に長期にわたる方針を定めた外交政策発表されたのであります。  私は、本日ここにこれらの外交政策を批判いたしまする前に、まず一言申し上げておきたいことは、一体この鳩山選挙管理内閣におきましてこのような長期政策発表をする資格があるかどうかということでございます。(拍手国民信頼を受けていない選挙管理内閣としての少数党鳩山内閣がこのような政権発表をすることそれ目体が、そもそも皮肉にも鳩山総裁が最も警戒されておりましたところの僭越きわまる行為ではないでございましようか。(拍手)かりにこの際百歩あるいは二百歩を譲りまして、もし万一これからの選挙の結果生れるかもしれないところの第二次鳩山内閣のための政策としてこれを好意的に考えてみましても、その内容を検討いたしてみますと、この内閣政策は、憲法改正、再軍備促進以外の点におきましては、何ら前吉田内閣政策と根本的に大差は認め得ないのであります。(拍手)しいて差を探しますれば、たとえば大臣公邸の廃止とか役人の麻雀を禁止するといつたような、一応大衆から見ますれば歓迎されそうな、しかもいかにも人気取り選挙対策ばかりであるのでございます。  また、首相は、いかにも庶民生活の理解者であり、社会保障制度にも前進させ得るような政策を持つておるというようなことを宣伝されますが、つい一両日前に、勤労大衆のための末期手当の減税措置に対しましては、日本民主党は、いち早く野党たる自由党と組しまして、この減税措置法案に極力反対いたしたのであります。このために、勤労大衆のための期末手当の減税措置は破れてしまいました。このことは、この内閣の本質をもうすでに暴露したものと言わざるを得ないのでありす。(拍手)  このような内閣によつて発表されますところの政策は、新しいものといたしましては主として選挙目当ての宣伝用の政策であるのでありまして、これによりましてかえつて国民を誤まらせるものと言わなければならないのでございます。もはや、今日に至りましては、最初のころ総理が披瀝せられましたような謙虚さというものはみじんもこの内閣には認め得ないのでございます。このゆえに、最近におきましては、世人も鳩山内閣はもつぱら選挙宣伝内閣ではないかということを申しておるのでございます。(拍手)まつたく、国民生活の安定どころか、から手形ばかりを盛んに発行いたしまして、善良なる国民をかどわかし混乱させる無責任きわまるところの内閣と言わなければならないのであります。(拍手)これでは吉田ワンマン内閣よりももつと悪質な反動的な内閣と言われてもしかたございません。(拍手)この点に関し、鳩山総理責任ある御答弁を承りたいのでございます。  次に、重ねて総理にお伺いいたしたいことは、総理は、去る十五日のラジオにおきまして、中共も国府もともに独立国であるということを言明されました。私は、一国の総理ともあろう方がまことに軽率な言を吐くものだと一応思つたのでありまするが、この二つとも独立国とは一体どういう意味であるか、この際お伺い申し上げておきたいのであります。しかし、また一方、正直な鳩山総理のことでございまするから、やはり本心をうつかりして吐露されたものとも考えたのでございます。してみますれば、鳩山総理の心境は、ちつぽけな亡命政権たる台湾政府承認して中共承認しなかつたということは誤りであつた、無理であつたというお考えがあつてのことではないかと思われるのでございます。さらに申し上げますれば、アメリカの圧力に屈しまして、中国政府の代表政権といたしましてあえて台湾をとり、三年前吉田総理吉田・アチソン書簡に制約されまして日華平和条約締結いたしましたことはまことに軽率であつた、間違つておつたと考えておられるのではないかと思うのでございます。この際、この点につきまして、総理の率直なる御意見を承らせていただきたいと存ずる次第でございます。(拍手)  事実、この日華条約締結いたしましたことによりまして、日本は五億の人口を有する中共とは国交調整もはばまれ、貿易も大いに制限されて、わが国といたしましては大なる損失を招いておるのでございます。ところで、総理は進んで中共承認するような積極的な外交政策の転換を考慮しておられるかどうか、この点もこの際あらためて承つておきたいのでございます。  この点に関し、昨日外務委員会で、重光外相は、日本がすでに国府を承認している以上、中共国家とみなし得ないということを言明されたのであります。これらの点からいたしまして、はからずもすでに鳩山内閣は閣内にこのような不統一があるということが露呈されたのであります。(拍手自由主義諸国家群におきましても、英国、インド、ビルマあるいはまたスカンジナヴィア半島の諸国はすでに中共政府承認いたしておるのでございます。しかも、これらの諸国は、その以前におきましては国府を承認しておつた国もあるのであります。従いまして、政府中共政府承認しようという勇気さえありますならば、この承認は技術的にはさまで困難ではないと考えられるのであります。総理にこの英断が今日あるかどうか、これまた重ねて承つておきたいのであります。  次に、この中共に対しますところの閣内の不統一に対しましてはいかに対処されるおつもりであるか、この点も重ねて承らせていただきます。  また、中共貿易の促進は、今日では国民の総意であります。これをいつまでも民間に放置しておき得べきものではございません。このためには、進んで中共に通商代表部を相互的に設置いたし、あるいはまた政府が主体となりまして貿易協定などを結ぶ必要があるのでございます。また、ソ連につきましても、今日の新聞にもありますように、鳩山重光声明に対しまして、日本との国交調整に対する用意があるというモロトフの回答がございました。これらに対しまして、日本政府として、さらにどのように積極的にこの国交回復、対ソ貿易に努力されるおつもりであるかどうか、この点も承つておきたいのであります。それとも、前吉田内閣同様、それはソ連平和攻勢であるから警戒する必要があるとお考えになられまして、一挙にこれを排撃する御意思であるかどうか、これもお漏らし願いたいのでございます。  また、東南アジアの友好善隣関係はまず賠償問題の解決にあると考えられますが、政府はこれに対しましていかなる積極的な具体策をとろうとしておられるか。  さらに、平和の問題についてでありますが、平和に二つはございません。アジアの平和愛好国は順次周・ネールの平和五原則に替意を表しております。この周・ネールの平和五原則に対しまして、首相はいかなる見解をおとりになろうとしておられるか、またネールの外交政策に対してはどのような見解を持つておられるか、この点も重ねて承つておきたいのであります。  私どもは、選挙管理内閣である現鳩山内閣外交政策につきまして、具体的の一々の問題につきましてお尋ねする必要を認めませんが、重光外相に対して一、二点お尋ねをいたしておきたいと思うのであります。  重光外交の基調をなすものは、自由党のそれと同じく、力のバランスの上に立つ外交であると考えられます。事実、外相も、外交の絶対条件であるごとくそのことを説いておられるのでございますが、そうなりますと、国家が主権国として国際舞台に立ちます場合には、まず何よりも軍備がものを言う。言いかえますれば、外交は相かわらず軍備のうしろだてが必要であるということになります。軍備を主体とした国策外交がいかに危険みものであるかは、すでに古今の世界の外交史が物語つておるところでございます。すでに、日本自身は、かつてこの誤れる国策のもとに、今日の敗戦のうき運命をたどつておるのでございます。ことに、外相個人におかれましては、さらに十分このことにつきまして反省されたはずだと思うのであります。この際、力による外交の勝利、力による平和というものは、再び同じく力によつて敗北し力によつて破壊されることがあることを私どもは考えねばなりません。しかしながら、外相は、相かわらず力のバランスの上に立つ外交を今後も推し進めるだけでなく、さらに、そのために憲法を改正して、吉田内閣時代よりももつと積極的に軍備の強化をしようとさえいたしておられるのであります。これでは、説明をいかに巧妙になされましても、その精神におきまして戦前の日本外交と少しもかわりなく、何らの反省もないかのごとくにしか考えられないのであります。戦前もまた日本外交責任者であつた外相とされましてかかる無反省にひとしい外交政策を今日もなおとろうとしておられる外相外交政策に対しまして、私どもはまことに了解に苦しむのでございます。  そこでお尋ね申し上げたいのでございますが、外相は、十分考慮されました上で、なおかつ戦前の日本外交方針も決して誤まりでなかつたと考えておられるかどうかというこの点でございます。吉田岡崎外交国民からまことにはなはだしく非難され、きらわれましたが、その失敗いたしました島大の理由は、両者が世界の歯車の動きを無視いたしまして、世界情勢の判断を誤まつたことでございます。つまり、アメリカの軍備に依存いたしまして、反共を唯一の看板として、世界の動向たる自由国家群と共産主義諸国の共存を理解しようとしなかつた、この点にあるのでございます。そして、今日のアメリカ外交政策の世界的失墜の原因の一つにもなりました、あまりにも気違いじみたマッカーシーに代表さるような反共政策アメリカ外交に追随したことでもあります。かかる従来の吉田外交におきましては、米。ソの対立が激化いたし、戦争にでも粗なりました場合におきましては、それは、民主主義陣営を防衛するという口実のもとにおきましてアメリカの世界政策の一環としての日本が前線基地となり、また国連軍の名におきまして日本の青年の生命が奪われるであろうことは明らかでございます。ところで、重光外交もこれと同じ方向を踏襲されるのであるかどうか、この点も承つておきたいのであります。  重光外相共産圏諸国との友好善隣の回復を希望されておりますことは、米国の圧力に屈しまして親米一辺倒、秘密独善外交に終始いたしました前岡崎外相が、かたくなに中共貿易の熱意を示さず、やる意思がないというきゆうくつな態度をとつておりました点から見ますれば、まことに一歩前進であり、私どもも大いに期待をいたしている点でございます。しかし、かかる傾向は今日の世界の動向でございまして、決して重光外相が積極的、進歩的であるからではないのでございます。  まさにこれは日本としても当然とらなければならない政策であるのでございます。ところで、このために今後さらにいかなる積極的政策をもつて臨まれるか、この点を詳細に承つておきたいのであります。先ほど、自由党から、この外交政策に対しまして非常たる御批判がございましたが、この御批判におびえて、当然のこの外交政策も引込めることがないかどうか、この点も重ねてお伺いをしておきます。(拍手
  28. 松永東

    議長松永東君) 内閣総理大臣鳩山一郎君。総理席から御答弁になつてよろしゆうございます。
  29. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 許可を受けまして、この席から答弁さしていただきます。(拍手)  ただいまの第一の、選挙管理内閣であるから、その外交につき内政について長期の計画を立つる資格がないようなお話がありましたけれども、日本は、外交においても内政についても一日も休止するわけには参りません。拍手日本はどういう方向にどういう考えを持つて進むかということは、政府としてはこれを国民に示す責任を持つておるのであります。ただ単に選挙を管理するというだけでもつて一日の偸安をむさぼるわけには参らぬのであります。もちろん、選挙がありまして、わが党が第一党になりませんでしたならば、即日辞職をいたします。けれども、わが党は必ずや第一党をとるものと確信をいたして政治をやつておるわけでございます。(拍手)  次の中共承認の問題につきましては、中共独立国と申しましたことにつきましては、先刻佐々木君に答弁した通りであります。これを承認する勇気があるかどうかという問題は、これは国際上技術を要する点と思いますので、私はわかりません。これは外務大臣からお答えをしていただくことにいたします。(拍手)     〔国務大臣重光葵登壇
  30. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 私は軍備のによつて外交をしようということを少しも考えておりません。私はすべての方法によつてこの平和外交を推進しようと考えておる。しかし、それには国力の背景が必要であることは当然言うをまちません。その国力というのは、軍備だけではございません。すべてのことを含むのであります。その意味において、私は国力の増進をはかることが必要であると考えます。  それからまた、過去の外交について、むろんこれは成功した点もありましようし失敗した点もある。大きな失敗をした点もむろんあるのである。それがために日本は悲境に陥つたことを認めざるを得ないのであります。  それから、共産国との国交の回復。私は、世界の平和を増進し緊張を緩和するためには、いかなる国とも、世界各国との間に友好関係を進めるということが平和政策の遂行であると確信するものであります。(拍手)従いまして、でき得るならば共産国との戦争状態も終結するように導くことが当然の、)とであると考えておる次第であります。(拍手)      ――――◇―――――
  31. 山中貞則

    山中貞則君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、この際、戸叶里子提出日中両国貿易協定改訂に関する緊急質問を許可せられんことを望みます。
  32. 松永東

    議長松永東君) 山中君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 松永東

    議長松永東君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  日中両国貿易協定改訂に関する緊急質問を許可いたします。戸叶里子君。     〔戸叶里子登壇
  34. 戸叶里子

    戸叶里子君 私は、鳩山民主党内閣外交政策に対し、日本社会党を代表して若干の質疑を試みんとするものであります。(拍手)  長い間続いた吉田岡崎外交国民に最もきらわれた点は、秘密独善外交であり向米一辺倒であつたからであります。この自主性のない外交を打破しなければならないという国民の輿論が遂に勝ちを制して吉田内閣を退陣せしめたのであります。(拍手従つて、新たに誕生した政府国民が望んでおりますものは、昨日までの吉田岡崎外交を清算し、もつと新味のあるもの、しかもそれが、日本の国際的地位を確立するとともに、世界の平和と結びつくため一歩前進したものを期待しているのであります。(拍手)それには、アメリカのみに追従した外交から広く眼を開き、他の国々との積極的な国交調整がなされなければなりません。一国の独立は経済自立なくして真の政治独立はあり得ないのでありまして、経済を自立せしめるためには貿易の振興こそ目下の急務であります。中共を含めたアジア各国との経済提携を真剣に考えなければ、日本の今日の経済的行き詰まりは打開できないのであります。従つて、清新な外交の躍動によつてのみ日本の経済の発展はあり得るのであり、この意味からして、新内閣がいかなる外交政策を持つか、このことは、国内のみならず、海外においても耳を傾けているのであります。  去る十日重光外相外務大臣就任するやいなや、ただちに秘密独善外交排撃の外交方針を明らかにし、続いて中共ソ連圏との貿易も国際義務に反しない限りできるだけ拡大すべきであると発表したことは、きわめて意義のあることでありました。(拍手)また、鳩山首相は、ぼくがソ連中共貿易したらよかろうと言つたというのでアメリカで心配をしているそうだが、これは心配でない、何も中ソと組んで自由主義陣営と争うというのではない、われわれが一番心配しているの米ソ戦争で、これを防止するためには、交通、貿易を盛んにし、有無相通ずる必要があるのだ、ぼくの考え方をアメリカが了承すれば問題でないと言明しております。この鳩山首相及び重光外相の発言は、対中ソ貿易を大胆に打出して行くかのごとき感を一般に与えておりますが、一方において、重光外相は、対中ソ関係については、条約上の義務というか、外国との話合いでできた約束には反しない範囲内で、いかなる国とも貿易の増進をはかるという態度を示しております。これでは吉田岡崎外交を踏襲するものであり、おそらくは現実的に一歩を前進できない結果に導かれるおそれがあります。中ソとの貿易促進は、バトル法の極端な拘束を排してココムの線まで行くか、英国及び西欧諸国が実際に行つておる貿易と同じ程度の積極的な貿易をやるかにあり、それには、既存の諸条約を改廃し、吉田ダレス書簡等の制約を受けないようにしなければならないのであります。国民重光外交に期待している点はこの点であります。従つて、中ソ貿易の障害となる諸条約の改廃に対して、具体的な見解外務大臣からお示し願いたいのであります。(拍手)しかし、これは通産大臣にも重大な関係がありますので、通産大臣よりもお答え願いたいと思うのであります。  ここでただちに問題になるのは、中共貿易を軌道に乗せるということであります。国会議員団を初めとし、各界の人たちが中共に招聘され、大いに国民外交成果をあげていることは御承知の通りであります。政府中共承認態度で動きがとれなくなつていた際に、国会議員団等が、国民外交の名において、昨年中共との貿易協定を行つて参りましたがこれも近くその期限が切れることになつております。これに対して政府はいかなる手を打とうとされるのでありましようか、重光外相並びに石橋通産大臣にお伺いしたいのであります。  次にお尋ねしたいのは、中共と国府との関係であります。一昨日の街頭録音で鳩山首相中共も国府も二つ独立国であると言われたのに対し、重光外相は、昨日の外務委員会で、中共を独立主権国とは認める意思なく、従つて条約中共承認するところまでは進む考えのないことを明らかにしたのであります。但し、大陸中共の存在することは認めないわけには行かないし、通商上、実際上の関係を国際条約に反しない限り進めて行きたいと述べられたのであります。このように、鳩山首相と副総理重光外相の間には答弁の食い違いがあるのであります。一般に閣内の見解不統一の印象を与えたことはいなめません。問題が小さいなれば許すこともできましようが、事外交上の重大な問題であります。政府の最高責任者の間で意見が食い違うことは断じて見のがすことができないのであります。(拍手国民は、総理の言わんとする中共一つ独立国なりとの言を信ずべきか、外相独立国とは認めずを信ずべきか、迷わされざるを得ません。この点、この際明確にしていただきたいと思うのであります。先ほど佐々木議員質問に対しましてお答えがあつたようでございましたが、私の方には聞えませんでしたので、もう一度はつきり首相と外相の御答弁を願いたいと思うのであります。  重光外相の言明の裏には吉田ダレス書簡の拘束を受けているのではないかというのが心配の種であります。それによると、日本台湾の国府と国交の回復はするが、中共との国交を回復する意図のないことが約束されているのであります。その理由の第一は、国府が国連の加盟国で多数の国に認められているからという点であり、第二に、中共は国連で侵略者とみなす決議を受けているということであり、第三は、中ソ同盟条約日本を仮装敵国としているからというのであります。しかし、朝鮮事変下においてなされた吉田ダレス書簡の時代と現在とは国際的な情勢の変化が起つております。インドシナ事変の解決後、世界の外交は、戦争手段を用うることなく、話合いによる外交を推し進めようとしております。それゆえに、重光外交の役割は、吉田岡崎外交と異なつて、話合いの外交としての成果を求めるべきでありましよう。昨日の外務委員会において、重光外相は、国府と中共とは一方が一方を否定しているというむずかしい状態であるから取扱いは慎重にしなくてはならない、解決のかぎはその状態にあると言われましたが、このことは、状態の変化によつて中共独立国として認めざるを得ないということを意味するのか、それとも、国府の存在する限り永久に独立国とは認めず、ただ単に実質上の通商関係しか進あられないとの見解か、この辺を明らかにしていただきたいと思うのであります。(拍手)  質問の第四はソ連との関係であります。モスクワ十六日発AFP電によれば、モロトフソ連外相は、十六日、日本政府ソ連との国交関係正常化の方向に措置をとる用意があるならば、ソ連政府日本との国交関係を正常化するための実際的な措置をとる用意があると言明いたしました。右の言明は、去る十三日、日本ソ連並び中共との関係の正常化を求めている旨を述べた重光外相声明に答えたものであると、けさの朝日新聞は伝えております。この重光外相に答えた国交回復の用意ありとのモロトフソ連外相の言明に対し、いかにこたえんとされるのでありましようか、それを承りたいと思います。  これに関連して考えさせられることは、去る十日のワシントンの電報は、駐米ソ連大使館筋の言明するところによると、千島のソ連主権を認めることが日ソ国交調整の第一歩であると言つております。これは、サンフランシスコ平和条約においても明らかなことく、千島のソ連帰属は認められないのであつて、過去の歴史から見ても千島は当然日本領であります。(拍手)戦時中の軍事謀略的なヤルタ秘密協定の拘束力には疑いを持たざるを得ません。従つてソ連節のこのような言明に対し日本側の見解を明らかにしてやる必要ありと思いますが、これに対して重光外相はいかなるお考えをお持ちでありましようか。このことは民主党外交政策の中にも掲げられているはずあり、この際態度を表明する絶好の機会であります。(拍手)  しかし、ソ連中共外交方針は、むずかしい領土問題や主権問題を別にして、当面の貿易、漁業等を中心とした具体的経済問題による国交の調整を求めて来ております。一部ではこれをソ連中共平和攻勢と称しておりますが、この現実の問題から国交調整を展開せんとする態度に対しては、率直に日本も誠意をもつて対処しなければならないのであります。(拍手鳩山首相が、最後の御奉公とばかり、吉田前首相とは異なり、ソ連中共と胸襟を開いて手を握らんとしている際に、重光外相が霞ケ関の官僚外交に固執してこれにブレーキをかけているようでは、日本の前進はできません。(拍手)単に無責任鳩山放言として終らせないためにも、鳩山首相を助け、吉田岡崎外交を打開し、自主独立外交を確立する決意のほどをこの際示していただきたいのであります。  これをもつて私の質問を終る次第であります。(拍手)     〔国務大臣重光葵登壇
  35. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 中共関係の御質問お答えします。中共関係……。     [「総理答弁はどうした」と呼びその他発言する者あり〕
  36. 松永東

    議長松永東君) 総理大臣には質問がございません。それゆえ外務大臣が御答弁をいたします。
  37. 重光葵

    国務大臣重光葵君)(続) 中共とは実質上において経済貿易関係を進めて行きたいということを外務委員会においても説明をいたしました。今日中共と直接政府が交渉するという段取りにはまだなつておらぬと思います。しかし、その他の方法によつてでき得ることはたくさんございます。すなわち、民間の交渉によつて実際的に貿易を伸長することができるわけであります。それを大いに助長してやりたいと思うのであります。  吉田書簡のことについて申し上げますが、これは、お話の通りに、国際関係の変化に伴つてこれに適応する解釈はとらなければならぬのはむろんのことでございます。しかし、たとい内閣がかわつてつても、吉田書簡の存在する以上、これに対して十分尊重する処置をとらなければならぬことは明らかでございます。今日は、さような承認をするとかしないとかいうこと以前の実質上の経済関係を進めて行きたい、そして国際関係の大きく動くときのことに備えたい、こういう考えを持つている次第でございます。  なお、ソ連関係についてお話がありましたが、ソ連関係は、ソ連がサンフランシスコ条約の調印を拒んで以来今日なお敵国の関係にいるのはまことに遺憾であります。そこで、いかなる国とも平和関係を設定するという、」とは、当然わが国の外交上心がけなければならぬ。そこで、新内閣声明に呼応して、今ソ連から正常関係を回復したいということを申し出たのは、私は一つの前進であると思います。もしソ連関係を回復するという時機が来ましたならば十分に交渉をし、かつまた日本領土権の確保についてはあくまで主張を維持する考えでございます。私は、今申しておるように、自主国民外交を展開するということをかねて申しております。日本は今後大いに自主的に外交を展開せなければならぬと考、えておる次第であります。(拍手
  38. 松永東

    議長松永東君) 内閣総理大臣鳩山一郎君。首相席から御答弁なさつてよろしゆうございます。
  39. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 先刻戸叶君の質問中に、私が佐々木君に答えた答弁がよく聞えなかつたからという話でありました。それですから、もう一度繰返すことにいたします。  中共並びに国民政府独立国と申しましたのは、国民政府台湾に、中共政府大陸に、おのおの政権を持つて領土と人民を支配しておるから、その事実を認めて独立国と言つた趣旨であります。(拍手)これを承認するかしないかという問題は、国際上いろいろ技術を必要とする問題であるから、これは外務大臣答弁をお願いします、こう答えたのであります。御了承願います。(拍手)     〔国務大臣石橋湛山君登壇
  40. 石橋湛山

    国務大臣(石橋湛山君) お答えいたします。昨年締結されましたいわゆる日中貿易協定は、当時日本政府が関与することなくできました。その結果、締結品目中には相当に現在禁止されておるものがございましてそのために、日本政府としては、せつかく協定でありますが、ただちに輸出許可をすることができない、こういうようなはめに現在陥つておるわけであります。しかし、政府としては、むろんあらゆる方面に貿易の伸長を希望しておるのであります。この日中貿易協定趣旨に沿いまして、国際的信義にもとらないような方法によりまして、今後できるだけ広汎に禁止品目の解除等に努力をいたすつもりであります。どうぞ御了承願います。(拍手)      ――――◇―――――
  41. 山中貞則

    山中貞則君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、中村高一君外二十四名提出中国通商使節団招請に関する決議案は、提出者の要求の通り委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
  42. 松永東

    議長松永東君) 山中君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 松永東

    議長松永東君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  中国通商使節団招請に関する決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。小川平二君。     〔小川平二君登壇
  44. 小川平二

    ○小川平二君 ただいま議題となりました中国通商使節団招請に関する決議案について、提案の趣旨を御説明いたします。  まず決議の案文を朗読いたします。   中国通商使節団招請に関する決議案   日中貿易促進のため、中国通商使節団の招請実現につき、政府は、適切なる措置を構ずべきである。  右決議する。 以上でございます。  わが国と中国との貿易関係の促進は、両国の歴史的、地理的関係にかんがみまするとき、本来きわめて自然な、かつ望ましきものであることは申すまでもございませんが、今日にありましては、国際情勢を反映するやむを得ざる政治的制約のために、両国の輸出入取引はきわめて不満足な規模並びに方法において行われておるにすぎないのであります。しかしながら、少くとも現状のもとにおいて可能なる限りこれが増進に努めることは、今日喫緊の課題であると信ずるものでございます。  もちろん、対中共貿易の発展には、今日のところ一定の限界を認めざるを得ません。なるほど、過去における日中両国の貿易関係は、その最も盛んなるときにおいて日本の全輸出額において占める対中国輸出の比重が三割以上にも達した実績を有しております。しかしながら、戦前における日中の貿易は、いわば帝国主義の日本といわゆる半植民地支那との間に行われた不平等貿易であり、両国の立場が変化し、産業構造もそれぞれ顕著な変化を遂げておる今日にあつて、過去の実績をもつてただちに将来を卜することはできません。従つて、これに対しまして今日ただちに大なる期待をつなぐことは困難であろうと存ずるのであります。しながら、このことはわれわれがこの問題に無関心であつてよいということにはなりません。ことに、かの国における工業化が逐次進展しつつある事実にかんがみるとき、なおさらそうであると申さなければならないのであります。わが国とひとしく自由主義陣営に属する国のうちにあつても、西ドイツのごとき、その対中共輸出は、一昨年と昨年を対比いたしまするとき、実に二十数倍という躍進的な発展を遂げておるのであります。ひとりわが国のみが拱手傍観して立ち遅れておるときは、現に次第に拡大しつつあるこの市場は、われわれに対して長くとざされてしまうという結果ともなりかねないのであります。従いまして、でき得る限り対中共貿易を増進し、現にこれを阻害している諸要因を除き去る努力をすることは、きわめて必要なことと申さねばならないのであります。  このための手段としては、すべてに先んじてまず両国の実業人の交流を活発にすることが必要であることは、これまた申すまでもございません。しかるに、今日まで、わが方からはすでに数回政治家並びに実業人がかの地に渡つておるのでありまするが、先方からはかつて貿易関係者の来日の機会が与えられておらないのでございます。先般国会における各党を網羅した議員団が中国を訪問いたした際においても、先方の関係当局は最も強くこのことを要望し、当方もまたこれが実現のため最善の努力をいたすべき旨を約束して来た次第でございます。  本件は、去る十六日中村高一君外二十四名より貿易振興に関する調査特別委員会に提出せられ、全会一致をもつて可決を見たのであります。政府は対中共貿易の促進に努力すべき旨を再三言明をいたしております。はたして真にしからば、これがための不可欠の前提であり、しかもただちに実行可能なるところの前述の措置をすみやかに講ぜられることを強く希望する次第であります。  以上をもつて提案趣旨説明といたします。(拍手
  45. 松永東

    議長松永東君) 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 松永東

    議長松永東君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。  この際通商産業大臣から発言を求められております。これを許します。通商産業大臣石橋湛山君。     〔国務大臣石橋湛山君登壇
  47. 石橋湛山

    国務大臣(石橋湛山君) ただいまの御決議の趣旨につきましては、すでに委員会でも申し上げました通り、政府としては十分努力いたすつもりでありますから、どうぞ御了承を願います。(拍手)  第一 日本国ビルマ連邦との間の平和条約批准について承認を求めるの件  第二 日本国ビルマ連邦との間の賠償及び経済協力に関する協定締結について承認を求めるの件
  48. 松永東

    議長松永東君) 日程第一、日本国ビルマ連邦との間の平和条約批准について承認を求めるの件、日程第二、日本国ビルマ連邦との間の賠償及び経済協力に関する協定締結について承認を求めるの件、右両件を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。外務委員長喜多壯一郎君。     〔「総理はどうした」と呼ぶ者あり〕
  49. 松永東

    議長松永東君) 総理大臣はセイロンの首相出迎えのため退席せられました。御了承を願います。     〔喜多壯一郎君登壇
  50. 喜多壯一郎

    ○喜多壯一郎君 ただいま議題となつております第一の案件、すなわち日本国ビルマ連邦との間の平和条約批准について承認を求めるの件と、第二の案件、すなわち日本国ビルマ連邦との間の賠償及び経済協力に関する協定締結について承認を求めるの件、この二つの案件につきまして、外務委員会における審査の経過並びにその結果を報告いたします。まず日本国ビルマ連邦との間の平和条約賠償及び経済協力協定とを結ぶに至つたその間のいきさつについて一言いたしますが、もともとわが国はサンフランシスコ平和条約の当事国でないビルマ連邦との間に正式の国交を開くために交渉を重ねておりましたが、その交渉過程では、賠償問題が常に難点として両国間の交渉を妨げておりました。ところが、本年八月ビルマ連邦親善使節団がわが国に参りましたのがよい機会となりまして、賠償問題についてビルマ連邦側と密接な交渉を続けることができました結果、むずかしかつた賠償問題も解決して、九月二十五日に平和条約の中の賠償関係条項と両国間の賠償経済協力協定との仮調印が行われ、次いでラングーンにおける両国間の平和条約についての交渉折衝となりました。これもまたわが方とビルマ側との両国間に一致を見ましたので、十一月五日に本平和条約賠償及び経済協力協定二つがラングーンで正式に調印ざれた次第であります。本条約内容は、前書きのほかに、本文が十箇条、それどあと書き、この三つの体裁から成り立つております。また、条約のうち平和条約は、賠償関係の条項のほかは、さきに締結いたしました日印平和条約、すなわち日本とインドとの平和条約と大体同じ内容であると申してよいと思います。また、賠償及び経済協力協定によりますと、日本は、ビルマ連邦に対して、今後十年間にわたつて賠償として毎年平均二千万ドル、米貨の二千万ドルすなわちわが七十二億円の価値ある日本人の役務と日本国の生産物とを提供するとともに、さらに経済協力としては、一年平均五百万ドル、アメリカのドルすなわち一わが十八億円の価値に相当する日本人の役務と日本国の生産物とをビルマ連邦の使用に提供することとなつております。それにまた、わが国の負担する義務に対応するビルマ連邦側の協力すべき事項なども具体的に列挙されております。なお、本平和条約経済協力に関する協定は、ビルマ連邦側はすみやかに実施することを積極的に希望しておるとのことでありまして、明年二月にはビルマ側は休会明けの国会早々批准承認する模様であると伝えられます。近来の外交上の慣例として日本側でも批准を急ぐ必要がありますので、去る十五日本外務委員会に付託され、翌十六日にただちに委員会を開き、慎重に審議を続けて参りました。委員会のこまかいことは委員会の会議録について御了承を願います。委員会は、政府側の説明を聞き、活発な質疑応答の後討論に入りました。自由党は富田健治君、日本民主党は並木芳雄君、日本社会党は細迫兼光君、日本社会党戸叶里子君が、それぞれ各党派を代表して賛成の意見を述べられました。よつて二つの案件を一括して採決いたしますと、委員会はその全員異議なく承認すべきものと議決いたしました。以上報告いたします。(拍手
  51. 松永東

    議長松永東君) 両件を一括して採決いたします。両件は委員長報告の通り承認するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  52. 松永東

    議長松永東君) 起立総員。よつて両件は委員長報告の通り承認するに決しました。      ――――◇―――――
  53. 山中貞則

    山中貞則君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、内閣委員長提出恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案は、委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
  54. 松永東

    議長松永東君) 山中君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 松永東

    議長松永東君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。内閣委員長猪俣浩三君。     ―――――――――――――     恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案      恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律  恩給法の一部を改正する法律昭和二十八年法律第百五十五号)の一部を次のように改正する。    附則第四条第二項中「一年八月」を「二年八月」に改める。       附則 この法律は、公布の日から施行する。     ―――――――――――――     〔猪俣浩三君登壇
  56. 猪俣浩三

    ○猪俣浩三君 ただいま議題となりました恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案について、趣旨を御説明申し上げます。     〔議長退席、副議長着席〕 本案は、十二月十七日内閣委員会提出にかかるものでありまして、さきに公務員の在職年に対する加算制度は原則として廃止されたのでありまするが、蒸気機関車乗務員等のごとく特に不健康かつ危険な業務に従事する職員の加算制度については別途措置せらるることとなつていましたので、その成案の実現までその人々の在職年に対する加算を認めることに第十九国会において恩給法の改正を行つたのでありますが、昭和三十年三月三十一日をもつてその効力がなくなりますので、さらに一年その効力期間を延長し、もつて移行による空白を補うための措置をいたそうとするのが本案の要旨であります。何とぞすみやかに御審議の上、御賛成あらんことをお願い申し上げます。(拍手
  57. 高津正道

    ○副議長(高津正道君) 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 高津正道

    ○副議長(高津正道君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。      ――――◇―――――
  59. 山中貞則

    山中貞則君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、昭和二十八年度、昭和二十九年度衆議院予備金支出の件を議題となし、この際議院運営委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  60. 高津正道

    ○副議長(高津正道君) 山中君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 高津正道

    ○副議長(高津正道君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  昭和二十八年度、昭和二十九年度衆議院予備金支出の件を議題といたします。議院運営委員長の報告を求めます。議院運営委員理事三和精一君。     ―――――――――――――     〔三和精一君登壇
  62. 三和精一

    ○三和精一君 ただいま議題に供せられました昭和二十八年度及び昭和二十九年度衆議院予備金支出の件について御説明いたします。  昭和二十八年度衆議院予備金のうち、昭和二十八年十二月九日までに支出された分については、すでに第十九回国会において御承諾を得ておりまするから、これを除き、今回御承諾を得る分は、その後支出された四百九十二万五千四百四十九円と、昭和二十九年度衆議院予備金のうち、昭和二十九年十二月九日までにおいて支出された五百十万三千三百四十三円であります。その費途は、予備金支出の報告書に詳記してあります通り、昭和二十八年度の方は、職員に支給すると超過勤務手当と議案類印刷費の予算に不足を生じ、これを補うため支出した経費と、在職中逝去されました議員の遺族に対して贈つた弔慰金であります。また、昭和二十九年度の分は、これもまた在職中逝去されました議員の遺族に贈つた弔慰金と、故名誉議員尾崎行雄君逝去のため衆議院葬執行に要した経費であります。  以上いずれも議院運営委員会の承認を得て支出されたものでありますから、御承諾あらんことを希望いたします。(拍手
  63. 高津正道

    ○副議長(高津正道君) 本件は承諾を与えるに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 高津正道

    ○副議長(高津正道君) 御異議なしと認めます。よつて承諾を与えるに決しました。本日はこれにて散会いたします。     午後六時四十九分散会