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1955-01-24 第21回国会 衆議院 貿易振興に関する調査特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年一月二十四日(月曜日)    午前十一時十三分開議  出席委員    委員長 中村 高一君    理事 小川 平二君 理事 辻  寛一君    理事 五十嵐吉藏君 理事 帆足  計君       苫米地英俊君    笹本 一雄君       赤路 友藏君    穗積 七郎君       松原喜之次君    大矢 省三君       中崎  敏君    久保田 豊君  出席政府委員         通商産業政務次         官       山本 勝市君  委員外出席者         外務事務官         (経済局長)  朝海浩一郎君         通商産業事務官         (通商局長)  板垣  修君         通商産業事務官         (通商局輸出課         長)      前田 憲作君     ――――――――――――― 一月二十四日  委員澄勇君辞任につき、その補欠として大矢  省三君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 一月二十三日  漁船並びに農業用デイゼル・エンヂンの対中共  輸出制限緩和に関する請願中村高一君紹介)  (第一八一号)  対共産圏諸国輸出制限緩和に関する請願(池田  正之輔君紹介)(第一八二号) の審査を本委員会に付託された。 一月二十一日  業界の輸出体制確立に関する陳情書  (第三七〇号)  日中並び日ソ貿易促進に関する陳情書  (第三七一号)  日中貿易促進に関する陳情書  (第三七二号)  日中ソ貿易等促進に関する陳情書  (第四一〇号) 一月二十三日  輸出振興に対する陳情書  (第八〇〇号)  輸出入取引法の改正に関する陳情書  (第八六六号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  貿易振興に関する件     ―――――――――――――
  2. 中村高一

    中村委員長 これより会議を開きます。  前会に引き続き貿易振興に関して調査を進めます。質疑の通告がありますから、順次これを許します。帆足計君。
  3. 帆足計

    帆足委員 きょうは外務大臣通産大臣に質問をいたしまして、中国ソ連貿易大綱についての政府の確たる意見を承わって、いずれ国会解散になりますから、その間のブランク責任を持って埋めてもらいたいと思ったのですが、両大臣は参議院本会議出席のため遺憾ながらただいまの時間に間に合いませんので、外務省通産省経審官庁行政担当責任者の各位に私どもの要望を申し上げて、そして今日のところの政策進行状況を承わっておきたいと思う次第です。  新内閣は、解散を控えておりますので、いろいろな政策を発表しておりますけれども、大へんけっこうなことずくめであって、一体その中でどれをどういう手順で実行されるのか、その点が明瞭でないことは、これは当然のことでありましょうけれども、しかるがゆえに、一面ではこれは事前運動政策の羅列だというような批評も当然あるわけです。しかしながら、政府が組閣のときに声明した政策大綱というものは、国民に約束したのですから、誠意を持って実行に当然当らねばならぬ義務がある。そういう観点から、私たちは一応政府誠意に信頼して質問するわけですが、きょうはかねて私どもが要望しておりました資料の二、三をもらいましたけれども、この資料を見ますると、第一に、いかに政府当局が従来不勉強であったかということがまざまざとわかるので、この程度の資料ならばわれわれの手元にはざらにあるのであって、あえて私どもがこの膨大な予算を使っている政府調査当局にお願いしておりますのは、こういう資料ではなくして、昨年は御承知のように東西貿易並びに共灘圏に対する一般貿易一大飛躍をした年であります。今日の一年は、十年、二十年の早さで流れておりますから、一昨々年の統計とか、その前の年の統計などというものは、ほとんど参考にもならぬというほど国際情勢の転換あわただしき時代です。従って、国政の審議に役に立つ資料といえば、せめて昨年の一月から十月ころまでの資料をいただかなければ、私は、十年前の資料をいただいてみたところで、これは無意味であるとすら思うのでございます。また、いただきたい資料は、一応事前に各事務当局に通達しておいたのですが、一向満足な資料がいただけておりません。昨年度における東西貿易の躍進の状況をまず私どもは知りたいと思っておるわけです。これは資料がないことはないわけなんです。勉強が足らないからである。私は、日本事務当局というものは、戦争中もそうですが、戦争中は東条一辺倒のために頭がぼけてしまっておりました。戦後九カ年にわたって吉田ワン・マンの支配下にあって、これもまったくぼけてしまっております。官僚というものは、哲学勉強をしていないために、事実は知っておりますけれども、人としての見識に欠如しておる。これは、青年時代の一番大事なときに、ハイネも読まず、ゲーテも読まず、恋愛も中途半端にしかせず、高文の試験などという愚かしいものに無我夢中になっていた罪の報いであろうと思いますけれども、とにかく、哲学がないために、将来を見越して見識ある調査をしておくことができない。それから行政機関としての良識と親切に欠けておる。そういう教養の低い者が権力を持ったときには、これはまた非常に大きな弊害をもたらす。私は、日本官庁機構に従事されておる方々には、いろいろ長所もありますし、またよい人物もたくさんおることを知っておりますが、今申しましたことは、とにかく日本の半封建的な官僚機構時代の共通の弱点でありますから、今日、世界情勢が変り、官僚の公僕としての任務が新しく再認識されねばならぬ時代でありますから、イギリスの官庁のようにもう少し良識の豊かな、見通しのある、見識のある心がまえで、勉強し直して、調査ももう少し科学的な調査をしていただきたいと思います。きょういただきました調査資料では、ほとんど何の役にも立ちません。また、私どもが知りたいことは、ヨーロッパ諸国がどういう商品中国東ヨーロッパソ連輸出しておるか、またどういう品物特免条項として認められておるか、どういう品物はボーダー・ラインのものがあえてアメリカの反対を押し切って輸出されておるか、これらのことを知りたいと思います。これらの問題につきましては、すでにアメリカバトル法委員会の方でも相当資料が出ておりますし、去年の東西貿易実績についても、いろいろな書物にいろいろな統計も出ておりまするし、各国の貿易統計月報にも出ておるのですから、もし政府当局誠意があるならば、もうそういうものは十分に整備されておってしかるべきであると思います。何分にも岡崎外務大臣時代には気違いざたのような非常識状況でありまして、まるで日本アメリカの大使館の隷属下にあるかのごとき恐怖と盲従の時代を長い間経たのでありまして、そうしてその態勢はなかなか変らないような錯覚を持っておりました。ところが、私は、昨日の鳩山さんの答弁を承わりまして、もちろん保守党革新政党でありまするから見解の相違は多いのですけれども鳩山さん個人の答弁に対しましてはいろいろ考えさせられるところもあり、若きマンデス・フランスほどではなかったのですけれども、年老いたる中風のマンデス・フランスくらいの良識は示され、またその答弁が誠実にして率直、今日のようなおくれた日本保守党の総裁としてはなかなかできのよい方であると思って、好意を持ってお話を承わりました。その鳩山さんの政治感覚に呼応するためにも、行政官庁当局はもう少し頭の切りかえをする必要がある。もちろん、頭の切りかえというのは時局に迎合するということでなしに、内外の状況を合理的に認識して、世界の動きがどれほど激しいかということをもっとよく知っていただきたいと思います。共産圏といえば何か鬼かジャの住むような場所である、そういう神秘未開の国と貿易をするというような錯覚を取りやめてもらいたい。二つ世界の存在ということは、今日における世界人類の正常なる課題であって、決して奇跡でもなければ、神秘的な問題でも、恐怖懐疑に包まれた問題でもないのであって、当然合理的に解決し得る人類課題だと思います。ちょうど国内において共産党があり、あるいは社会党があり、あるいは経営者のもとにはどこにも労働組合があって、そうしてわれわれ中産階級や、または時と場合によっては、経営者の御子息ですら、大学を出て会社に参れば一度は労働組合員になる、保守党の諸君がいかに社会主義勢力恐怖されようと、その坊ちゃんたちはりっぱに東大や慶応を出て、会社に入ればその第一課には労働組合員になって、メーデーのときには赤旗を振って、選挙のときは帆足計々心々とみな言う。それが日本の今日の実情です。ですから、社会主義というもの、または共産主義という思想、また二つ世界のきびしい課題、これらのものを何かガリバーの夢物語か神秘的な問題のように考えるといったような過去における外務省の空気、また岡崎さんのような気違いじみた考え方、そういうものを一日も早く一掃してもらいたいと思います。こういう点において、二つ世界における恐怖懐疑の念を緩和した点において、鳩山さんの合理主義的な態度保守政党の歴史における画期的な一つのことであり、確かにアジアにおける平和に保守党ながら多少なりとも貢献したものとして、私は大いに敬意を表しておるわけでございます。しかし、これらの民主党政策のうち、どれだけが不渡り手形に終り、どれだけが国民に深い幻滅の悲哀をやがて二、三カ月後に与えるかどうかということに思い及ぶと、まことに寒心の至りであって、行政当局並びに民主党同僚諸兄たちの御奮闘を切望するわけでございます。  こういう観点からお尋ねするのですが、まず第一に、中国から経済使節団招請するということについては、今日すでに国民常識であって、そしてこれはこの貿易委員会において満場一致可決されている。しかも本会議においてもまた満場一致可決しておる。国会決議というものは、国民の最高の意思の表明であって、天皇の認証以上に重要なくらいのものでございます。従いまして、総理初め各大臣はもとより、次官、局長さんたちにおいても、この決議が行われたということを知ったならば、ただちに大臣と十分な連絡をとって、十分なる責任感のもとにこの問題についての事務的準備を整えねばならぬというのが私は義務だと思うのです。すでに国会議員その他が二回にわたって、または数回にわたって中国を訪問しております。そのうちの二回は、公用旅券を持って日本国会議員がかの地に渡り、非常な歓迎を受けて帰って、そして国民及び政府においておおむね是認されておるところの民間貿易協定すら結んできて、その成果は、今日いただいた資料に見るように、昨年の一月から九月までの輸出実績輸出承認額はすでに二千万ドルをこえておる。おそらく十二月末までにおいては三千万ドル近くになっておるという異常なる成功をおさめておるのでございます。こちらからは国会議員実業人が多数かの国に出かけてもてなしを受けながら、かの国からこの国に使節が来るということになりますと、まだ何か考慮の余地がある、まだ研究の余地が残っておるというようなことを言われることは、鳩山さんの良識と対照して、私はまことに遺憾なことであると思います。従いまして、この問題について、ただいまの専務交渉手続がどうなっておるか、実は国際貿易促進協会並びに中日貿易議員連盟におきましては、きょうの夕方にでも、中国に対する招請状を送らねばならぬ、——と申しますのは、大体先方では三月十五日ぐらいに日本を訪れたい、訪れる顔ぶれはおおむね経済関係の者をやりたい、問題を政治的に考えるのでなくて、純粋に経済的に処理して参りたいというような意味の書簡を国際貿易促進協会その他にすでに送って参っておる次第でございます。四月にはアジア国民会議どもあります関係上、どうしても三月十五日から四月四、五日までの間に問題を進めたい、こういうような状況になっておりますときに、いまだに重光外務大臣から確たる返答がない。実は、この問題に対しては、すでに吉田内閣当時に岡崎外務大臣ですら内諾を与えていたのであります。もうどちらかといえば、前内閣からの引き継ぎ事項というほどのものになっていたのに加えて、貿易委員会満場一致決議国会満場一致決議と、至れり尽せりの手続が済んでおるにかかわらず、いまだに御返答がないというのは一体どういうことでしようか。私は、不幸にしてこれが民主党内閣不渡り手形第一号にならないことを、またなるはずもないことを切に要望するわけでございますので、まずこの一点をお伺いしたい。それから逐次、この二カ月ばかり政局ブランクができますので、そのブランクの穴埋めについてお尋ね申したいと思います。
  4. 朝海浩一郎

    ○朝海説明員 ただいま、だんだんの御意見がございましたが、そのうち、お答え申し上げなければなりません中国代表団招請につきましては、これは私が外務省経済局長といたしましてお答えするのはあるいは適当でないのではないかと存じますが、私の解釈いたしております政策、それに基きまして、私ども事務をとっております態度につきまして申し上げますと、中国の方からわが国と中共地区との貿易を促進するために人が参ります場合に、これは、先ほどお話もございましたように、政府といたしましては拒否するということはない。この点は、政策を実施しておる方からいろいろ御説明があったと存じております。従いまして、今度の貿易代表団の入国にいたしましても、これが具体的に個々にわが方に申し入れて参りました場合には、それら個々方々日本に参りますことが、ただいまお話の双方の貿易促進のために真に必要であるかどうかということを、個別的に検討して決定いたしたい、そういう趣旨であると了解しております。
  5. 帆足計

    帆足委員 ただいまの御答弁は遺憾ながら私まことに筋の悪い答弁だと思います。と申しますのは、今中国から貿易使節団を呼ぶということは、議員連盟向うへ行って、そして話合って、さらに、村田さんのような、重光さんとも鳩山さんとも了解して、国際貿易促進協会という財界の有力な協会までできておって、十分に話し合って、向う国際貿易委員会進出口公司等責任ある機関が、それでは純経済的な使節団を作って日本を訪れようというわけで、個々の人間がこっちに遊びに来るとか商売に来るというような問題ではないのです。こちらから行ったことに対して答礼使節が来るというような問題です。そういうことを経済局長によく知っておいていただかぬと、ちょっとその点焦点がぼけておると思うのです。それで、私どもは、その日取りの点について——すでに予算もつくらねばならぬ。予算も二千万円くらいいるでしよう。地方の各自治体でも、たとえば京都を訪れ名古屋を訪れたときにはどうしようかといって、市長さんや知事さんが心配して、また市会あたりでは、何十万円、また時としては百万円以上の予算まで組んで準備を整え始めているのです。ですから、私どもがこういうことを皆さんに申さなくても、経済局長さんの方から、経済使節団のその後の顔ぶれはどうなっておるだろうか、また政府から多少貿易振興費でも出してお助けせねばならぬと思うが、その形は貿易協会を通じようか、商工会議所さんにでも少し資金を出そうかというような、親切な御相談があってしかるべきだ。今日鳩山さんの人気が何がいいかといえば、アメリカとの関係を破壊的にどうしようとは考えないけれども、しかし保守合理主義の許す範囲で無条約国との関係を調整しよう−。これはまことに国民のすべてが考えておる常識に一致する発言です。そのために非常な人気がある。政治的にこの問題を利用するだけ利用して、実際は何もしていない。中国から使節団が来るということがもう日程に上っておるのに、個々の人が来るときにとか、個々資格審査をするとかいうようなアナーキーな無計画な問題ではないのです。だれが見ても妥当な品格のある貿易責任者が約三十名こちらに使節団として訪れよう、こういう問題ですから、今の経済局長の御答弁ですと、全く情勢を理解されていない。これでは私は鳩山さんのもとにおける経済局長が勤まるかどうか疑問になってくる。こういう状況でありますから、まだ長い間の岡崎さんの横暴のもとで外務省当局頭脳萎縮のくせが直っておらないでありましょうけれども、伸び伸びした鳩山さんのもとにおられるのですから、もう少し親切に、もののわかった御答弁を重ねてお願いいたしたいと思います。  そこで、この問題がここまで差し迫っておりますのを、経済局長さんはどういうふうにごあっせん下さるか、一つぜひとも話がすみやかに進行しやすいようにお取扱いを願いたい。大体、この貿易委員会で先日決議したことをあなたは御承知ないのでしようか。あれは個々の人を呼ぶなどということではないのです。今具体的に日程に上っている経済使節団を呼びましょうという決議をしたのに、それを、あなたの方では、何か中国からばらばらに人がやって来る、まあ一般の人がやって来るのはあえて拒まぬけれども、この中に政治家が入っておれば拒絶しよう。そういうばかげた答弁は、岡崎さんのときにやってもらって、われわれは満喫しておる。今さらそういう食欲不振を来たすようなくだらぬ御答弁を私どもは期待しておらぬのですから、多少御無礼なことを申し上げましたが、われわれの心中のほどをお察し下さって、もっと明確な御答弁をお願いしたい。
  6. 朝海浩一郎

    ○朝海説明員 私どもも、ただいま御指摘のございました中共から通商代表団を呼ぶ、そうして日本中国との貿易関係をできる限り増進いたしたいという趣旨は了承いたしておりますし、今度の通商使節団の来訪につきましても、原則として、これに対しまして民間のレベルにおいて話し合いをするということについて、政府が好意的に考えておりますことも了承いたしております。また、その趣旨を体しまして、私といたしましても、ただいま御指摘のありました団体等連絡をいたしまして、でき得る限り側面から——これは正式にはむずかしいと存じますが、側面からの御相談、御援助にあずかりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  7. 帆足計

    帆足委員 それでは、そのように外務大臣にも十分お取り次ぎ願いまして、早くこの問題の事務処理ができますようにお願い申しますとともに、後ほど外務大臣に来ていただきまして、これは今日にでも電報を打たなければならない問題であり、きわめて事務的な問題でありますから、経済局長さんからも一つごあっせんのほど、お取り次ぎも十分願いたいと思います。  それから、第二に、資料の点ですが、資料が一向に出ません。去年の資料を至急整えていただきたいことと、それから、ヨーロッパ諸国特免——特別免除を受けた商品一覧表等一つおとりなしの上——もう解散になりますから、われわれ資料をいただく権能がなくなるわけで、まことに恐縮ですが、その場合は一人の市民として経済局資料をいただきに上りますから、一つお整えのほどお願いいたしたいと思います。  それから、ココムに特免申請をやっていただかねばならぬことが今後ふえてぐるでしよう。実は、鳩山さんが、二つ世界の共存、話し合いによる平和は可能である、またアメリカとの関係を断絶しなくても、調整しながらソ連中国との関係を調整することは可能であると言われたことに対して、私どもは、今日のアメリカ不平等条約をそのままにして国交調整をすることには非常なる困難があるとは思いますけれども、それでは絶対に不可能かといえば、鳩山さんが誠実におやりになれば、保守合理主義範囲内でも、決してアメリカとの関係を断絶しないでも、なおかつソ連中国と話し合う余地があるというお考えは、きわめて実際的であって、必ずしも全面的にわれわれといえども否定する論拠は乏しいと思います。この点については、われわれの側においても多少の批判、論議などもございますけれども、それはそれとして、私はある程度やれるのではないかと思う。しかるに、それに対して、外務省事務当局が、うちの鳩山さんは少し甘いというような意見を持っておるということが、先日大きく新聞に出ておりました。私は、どっちが甘いか——鳩山さんは甘いかしらないけれども、かくのごとき批評をする事務当局はおめでたいとでも言わなければ、批評の言葉がない。従いまして、外務省事務当局は、この問題についてはしろうとであり、非常に不勉強であったわけですから、もう少し資料も集め、そうして勉強していただくことが必要だと思います。とにかく、こういう状況でありますので、鳩山さんの意向を体して一つ一つ懸案を解決していく準備を整えていただかねばならぬ。しかし、その準備の中には一つの合理主義的な方法論が必要である。同時に正確な現実認識というものが必要だと思います。  当面の問題は、後に申し上げます米の輸入、塩の輸入の問題、または開らん炭鉄鉱石輸入の問題にいたしましても、どうしても見返り輸出の問題で行き詰まっております。そこで、これは外務省当局通産省当局経済審議庁の三つにまたがる問題でありますので、お書きとめ願って、今後の事務進展のためにとるべき手段について満足なお心がまえ、御答弁をいただきたいのです。  今日、中国から大量に入りますものは、まず塩でございます。塩がことしは六十万トンに近づいておりますが、来年度六十万トンないし八十万トンの塩を中国から入れることが、私は為替節約上から言っても輸出振興上から言っても大事な問題であると思います。一般に、中国貿易という問題は、声大にして実情は知られておりませんけれども、すでに六十万トンの塩が関東州から、また天津から参っておるということは、日本化学工業繊維工業にとっては非常に大きな問題であり、大きな福音でございます。また、米の問題は、ことしは五、六万トンしか入りませんでしたが、来年度は二十万トンくらいは場合によっては出してもよいというようなことも聞いております。この問題については、米の輸入商社自治統制によって懇談会を作り、輪番幹事を作って、中国と非常にスマートに合理的に折衝しておりますので、政府当局もこの意見を徴せられることは、非常に私は便利な点であると思います。米をかりに十万トン入れるとしますと、見返り硫安を幾ら出すか、またはその他の機械類を若干出さなければ足らない。十両万トン、これは輸入可能でありますが、十五万トン入れるとすると、相当機械類を出さなければならぬ。さらに、二十万トン入れることができれば、国際収支上非常に有利でございます。これらの米は、黄変米などというものは一粒もないし、われわれの口になれた内地種子米が大部分でございますので、これはことし非常に評判がよかったことも御承知でございましょう。そこで、米の輸入と関連いたしまして、どうしても、これは農林省と通産省外務省にまたがるのでございますから、ただいまからその密接な連係をとりまして、よその国に米が出てしまわないうちに、またはよその国から機械類買付をしてしまわないうちに、早く問題の目鼻をつけねばなりません。選挙の間の一カ月のブランクのうちにも、この問題は進みますから、解散政局が混乱している間でも、事務当局鳩山さんの意向を体して円滑に事を進めていただきたいと存じます。そのために、私どもとしては、どうしても足りませんから、硫安をせめて二十万トンくらいは輸出のワクをとっておいていただきたい。御承知のように、韓国並び台湾との関係も大事ですけれども、バナナや砂糖などよりも、やはり米のことを重要視せねばならぬ。人口五百万の台湾の焼きイモの一つのことに熱中するよりも、人口六億の中国の市場を今から考えておくということは、私は非常に大事なことだと思う。岡崎さんの時代なら私はこういうことはくたびれて言わないのですけれども、尊敬する民主党の新内閣諸兄だから言うわけです。話せばわかる、こう思っているわけです。  大体、保守とか革新とか言いますけれども、私は、今日の時代では、平和を守り、国民の福利を増大するためには、保守でもいいと思うのです。保守反動が悪いのであって、保守ならば、話せばわかると思う。国際的に話し合いの平和を主張しているわれわれは、国内的においても、やはりある程度は話し合う必要がある。これを超党派外交と言えるかどうか、その点はわかりませんけれども、平和と貿易の問題などについては超党派的に考え得るある接点というものは、私は今日の時代においてはあると思います。国内的に申しましても、伝染病の予防とか衛生運動とか、その他ヒロポン退治とか、超党派的にお互いに協力し得る問題は無数にあります。国際的に見て、ダレスの言うような意味の超党派外交というものは私は否定いたしますけれども、しかし、国民の幸福、平和、勤労者の生活、自由、人権の擁護、祖国の独立などに関連する問題においては、政党政派の別なく語り合う面もあるのでありますから、どうか、社会党が言うことだからといって、お互いに聞きのがしのないように、くむべき点はくみ上げるようにしてもらいたい。特に、中国貿易等については、われわれは十年間の経験を持っている。百聞は一見にしかず。私はかの地に、最初は百日、二度目においては四十日もおりまして、つぶさに見、かつ聞いて参っております。日本の代表的なインテリの一人として、諸君と同じような合理的な目をもってかの地を見て、その弱点も長所もよく調べて参ったわけであります。そして、昨年では、共産圏に対して資本主義諸国はおそらく十六億ドルくらい輸出しているのではないでしようか。十六億ドルの輸出に対して、日本中国への輸出はわずかに二千万ドルの実績ということで、いかに大きな立ちおくれであるかというようなことも、皆様によく考えておいていただきたいと思います。ことに外務省当局一つ夜学でもお作りになって、もう一ぺん勉強し直される必要があるのではないか。私は皮肉や冗談で言うのではない。英語のできる外務省が、教養においてどうしてあれほど低く、非常識で、どうしてあれほど保守反動的であり、どうしてあれほど御殿女中的であるか、私にとってはまことに日本の奇跡とも言いたい。こういう外務省であったから、軍部に屈従して、平和を望む英米の実力を知っておりながら、ほとんど一言半句も言えずに、軍部にやられてしまった。その点では、通産省の方がまだ実際をよく知っておると私は思う。そういう見地から、中国との貿易というものは、われわれ日本社会党が単にイデオロギーのために言うておるのではなくして、あすの日の一家心中の道に急がなければならぬ者や、あした学校のホタルの光を歌ったその日は、それは同時に失業の歌になってしまうような今日の悲惨な状況を少しでも緩和して、日本経済に原料と市場を与えて、そして社会進化の法則が少しでも円滑にいくように、われわれは、ある意味においては共産党とその一点だけは御承知のように線を引いて、できる限り社会平和の進化の方式で進みたいというために全力を注いでおるというのが左右社会党の立場でございます。従いまして、中国との問題を、何かおそろしい国、ガリバーの国を相手にするとのみ一方的にお考えになるならば、それは、あたかも、経営者協会労働組合の大会や決議、メーデーの祝いなどをことごとくおれに対するあいつは敵であると考えて、警戒心と猜疑心を持って対するという夏川社長の態度と同じことになるわけであります。労働組合労働組合として自分の権利を主張しますし、やがては働く者の政治を打ち立てようとしますけれども、それは良識と実力によって一歩々々進むわけでありますから、その日が来たならば経営形態もだんだん変り、資本主義の体制がもっと社会主義的体制に変るという、歴史と時の流れととも進むのであるならば、それも一つのよいことであるというくらいの寛容の精神と理解力を保守政党の諸君に私は持っていただかなければならないと思う。英国が世界の模範と仰がれるのも、まさに私はこういう良識があるからだと思うのであります。  従いまして、ココムの問題等について、従来は岡崎さんからは何の説明もなくて、一体、ココムの機構はどういう機構であって、一週間に何度会合が開かれ、日本からどういう代表が何名くらい出て、どういう発言をして、どういう権限があるのか、われわれが政府に申請したものは何日以内にパリに到着して、どういうふうに理解されて、西欧諸国の代表たちを納得せしむるどういう論理をもって主張されておるのかというようなことが、全くわかっていないのであります。従いまして、この問題については、今明日中に、ココムの現在の機構と委員会の動かし方、従来の委員会をやった回数、そういうものの資料一つこの委員会に御提出を願いたい。実は、きょうはこの問題を詳細に同僚議員の諸君とともに聞こうと思っておりましたが、時間も不十分でございますので、ただ、ココムが一カ月にどのくらい開かれて、われわれが特免申請をしたならば皆さんの方ではどういうふうにお取り上げになるかということの要点だけをお聞かせ願って、詳しいことはココムについての一つ詳細な解説をいただきたいと思います。それと同時に、ただいまの硫安の問題等を、何とかして二十万トンくらいのワクを取っていただきたい。これは、中国との関係は、ワクを取って許可を得なければメーカーガ発注してくれないのです。メーカーが発注してくれなければ政府に申請することができない。まごまごしているうちに、いつも同じ資格でありながら韓国のオファーと台湾のオファーに取られてしまう。また取られてしまうように政府が従来仕向けていたのです。従いまして、今度はこういう不平等のことをせずに、最初からこの委員会台湾向けは今年はどのくらいにする、中共向けはこのくらいのワクを一応取っておきましょう、韓国向けはこのくらいにしましょう、そのかわり見返り物資はこういう国家の有用な見返り物資にしていただかないと筋が通らない、そういうことを政府当局の方できめていただいて、そうしてこの問題が合理的、円滑にいくようにしていただきたいと思います。この問題についての御答弁を願いたい。  それから、それで足らないところを補うために、日本国際貿易促進協会では、どういう品物を当面特免品にしたらよいかという一つの専門家の案を提出しておりますから、どうかその案を参考にしていただきたい。実は、この問題については、私自身まだ十分に検討いたしておりませんから、さらに検討されまして、われわれ同僚議員から追加しております品物も、軍需でないし、兵器でないから、特免にしたらどうか。また西ヨーロッパ諸国の代表の良識に訴えるならば大体通るのではあるまいかというような品目もあると思います。たとえば、日本国際貿易促進協会から言うておりますものは、亜鉛鉄板の〇・五ミリ以下、薄鉄板、帯鋼、鋳鉄板、機関車、貨車、トラック、三千トン以下の鉄鋼船、木造漁船、貨物自動車、自動車部品、原動機、タービン、ディーゼルエンジン、鉱山用ボーリング・マシン、鉱物用顕微鏡、織用機械、通信機、同部品、醋酸、重クローム酸ソーダ、赤燐、研磨材、こういうものをあげておりますが、先月、自由党、民主党の同僚諸君を含めて、直接軍需、直接兵器以外の一般の兵器資材はすべて解除する方がよかろうという決議が、この貿易委員会で超党派的に満場一致通過しておるのでございます。しかるがゆえに、政府は熱意を持ってこの問題に努力されることが当然であると思う。この努力を怠った結果、いわゆる保守陣営に有利であるかどうか。今日のような時代おくれの輸出禁止をしておることは、ソ連はすでに鉄鋼五千万トンができて世界一の重工業国になっておる。それに東ドイツ、チェコスロバキア等が参加しているときに、トラックや通常の帯鋼までも輸出禁止をするということは、これらの諸国の団結を固め、ソ連中国の結合を一層強化し、自給自足を刺激する以外の何ものでもないのであって、保守陣営から見るならば、ダレスさんの今日のやり方は、時代おくれなるがゆえに、ある意味においてはかえって利敵行為になっておるというような逆の現象を生んでおる。このことは、すでにロンドン・タイムスやエコノミストの一部分は批評しておる。今日のヨーロッパの常識です。今日特別の電波探知機とか水爆、原爆、ジェット機の秘密をかの地にあかすなというのであれば、それはそれなりとして保守陣営の論理でありますけれども、しかし、通常のトラックまで輸出を禁止するに至っては、私はまことにこっけいなことだと思います。今日ではもう笑いぐさになりましたけれども、これは前側の委員会でも私は申したように、三年前まではDDTの輸出すら禁止されていた。それは今では物笑いです。当時通産省当局に私はそのことを言ったら、君、DDTが行けば、南京虫、ノミ、シラミが死ぬ、南京虫、ノミ、シラミが死ねば、中国解放軍の背中がすがすがしくなって、士気大いに振うのではないか−。これはまことにおとぎ話でございますが、今日トラック、自動車の部品の輸出を禁止しておるということは、私は一年後にはこのDDTの物語と同じようなものになってしまうのではないかと思います。従いまして、ものを見るに明敏なる民主党内閣において、この問題をもう選挙中に取り上げて手続をどんどん進められる必要がある。そうでないと、私たちは、選挙のときに、至るところの街頭で、約束手形不渡り第一号、第二号、第三号を大いに並べてわめき散らしますから、さようお心得あって、出した手形は必ず満期六十日以内に払い込まれるという態度をとっていただきたい。  その次にお願いしたいことは、最近における開らん炭鉄鉱石の問題です。中国開らん炭鉄鉱石が、長い間かの地とわが国の音信不通のために、日本の製鉄所の規格に現状では合わなくなっておることは当りまえのことであります。まして、いわんや、山元貯炭などをスポット・ライトして、そうして開らん炭はだめだというような風評を流布するに至っては、まことにおこの至りと私は思っております。従いまして、この問題については、やはり計画的に、両者の間に技術員の交換をして、八幡製鉄所、また広畑製鉄所に合うような規格、品質の炭を送るような準備を今から整えておかなければなりません。もちろん、今日ですと、すべての粘結性石炭を中国一辺倒で得ることが国策であると私は必ずしも勧めておるのではなくて、ある点はアメリカから多少買ってやることの方が有利な点もあるが、しかし今日は船賃を始終見ながらきめなければならぬのであります。ただ、中国の炭をゼロにして日本国際収支が保たれるかどうか、日本中国大陸への輸出がそれによって促進されるかというと、そういうことは不可能です。軍工業局長が来ておられるかどうか知らないが、長い間アメリカ一辺倒でいじめられてきたので、これも大脳が萎縮し、変質していると思います。早く奥様と相談して栄養をとられて正常なる大脳になおしてもらいたいと思います。わずかに十年前には、われわれは満州または北支を祖国日本の生命線と言いました。それが日本の経済の生命線である点においては、天の定めた摂理というものは人間の摂理によってそう変るものではないのです。そして、そこでは、われわれの先輩たちが、誤まった政策のもとでではあったけれども、歴史の宿命のもとで、旅順で血を流し、大連で血を流した。その血の意味は後世の歴史家が判断するに人類の宿命の悲劇でありましょうとも、その地から何ほどか栄養をもらわなければ生きていけない民族であったというその宿命はかわりはないのでありますから、新しい状況のもとで、水爆ができて、世界戦争がなくなった、イデオロギーの違っておる者の間でも話し合いをしなければ生きていけなくなったような時代が来たことは、ある意味において日本に有利な条件ですから、この有利な条件をイギリスや西ドイツにとられないうちに、われわれの側においてこれを活用するということが、保守政党の立場にとっても必要なことであり、それだけ保守政党の命をあるいは長引かすことにもなる。一体、私は社会党員でありながら保守政党の知恵をつけておるようなことでないかという思いがするくらいでありますが、そういうことでありますので、一つ積極的に取り上げていただきたい。そのために、とりあえずとしては、第一の方法としてはサンプル輸入についてもう少し話し合う必要がある。それから技術者の交換について話し合う。小より始めて大へというのがすべて手がたい人間のやることですから、最初小さな数量の計画をことしの石炭輸入計画の中に入れていただきたい。これも早くしなければ間に合いませんので切にお願いいたします。  その次には、山東省並びに海南島の鉄を向うから言うて参っておりますことは、すでに詳細御承知でございましょうが、それらの鉄は非常に含有分のよい、良質の鉄鉱が多いのでございまするし、海の運賃は陸の十六分の一といわれておりまするから、まことに有利な条件です。しかも、中国の鉄鉱は、その立地条件から見て、ある数量は常時日本に提供することが彼らにとって必要な点もあるわけでございます。従いまして、私は、これはとりあえずサンプル輸入を五万トンないし三万トンでもしていただきたい。これについては外貨の割当もあるわけですから、その外貨割当のワク内において、製鉄所の溶鉱炉の計画を乱さない範囲において、政府当局相談して今から着手していただきたい。これに対して、製鉄三社の社長さんが集まって、中共との原料関係を取り結ぶことはまだ多少不安であるから、もう一年延ばそうと相談したということが新聞に出ておりました。私は、それも一つ意見であって、実際家の意見として尊重されねばならぬと思いますけれども、かくのごとき重要な問題は、一製鉄会社の社長さんだけでおきめになることでなくて、国会貿易委員会意見も徴し、同時に政府当局の行政の責任に当る与党内閣において、特にそれを助けるところの行政官庁において、よく内外の事情をお調べになって、——とかく、会社を扱っておる者は今日の安きになれ、あすへの見通しにまで発言するということは、株主総会の制肘もあって、できがたい事情もあり、一足先を考えることが政府の任務でありますから、三会社の社長さんの心配する点は参考としなくてはなりませんけれども、それだけにかかずらって機を失したならば、非常な立ちおくれになることを私はおそれるのでございます。従いまして、幸いにして中国側が熱心に海南島の鉄鉱石と山東省の鉄鉱石を言って参っておりますが、これに対しまして、政府は親切にこれらの問題をお調べになって、そうして、とりあえずは技術者の交換、第一年度におけるわずかな類の計画輸出入、並びに、山東省の鉄鉱石などはサンプル輸出のことを言って参っておって、鉄鋼会社も非常な関心をすでに持っておるようでありますから、至急御連絡になって、当面三万トンないし五万トンのサンプル輸入に着手をしていただきたい。  こうなって参りますと、また話は見返り輸出の問題に戻るのでございますから、先ほどのような特免申請準備をしていただく。これについて、私がもしココムの代表であったならば、私はフランスの代表や英国の代表を納得させるだけの弁舌と論理を持っておるつもりであります。教養も持っておるつもりであります。従いまして、外務省の中から最も優秀な人をかの地に派遣する必要がある。そうして、人口一億になんなんとする日本貿易が、生産一六〇に対して、戦前のわずか四〇%である。これでは日本が共産化するかファッショ化する以外に道はないという警告を発するだけの現実的な危機が日本にあるわけですから、これに対してヨーロッパ諸国はどう考えるか。しかも人口の増加率は依然として相当なものである。これがアメリカの軍事援助だけで食えるかどうか。バズーカ砲やナパーム爆弾の修理、火葬場の前の隠亡湯飲み茶屋のような立地条件で、それだけで食えるかどうか。今日アメリカはあわてて自由党内閣から民主党内閣に電圧を切りかえようとしておりますけれども、さすがのアメリカも、ボルトがどんどん下ってきて、電線をつないでみたところで、もはやわれわれにピンと来ない。パンパン収入も減るし、特需、軍需も減り、朝鮮の戦争がなくなり、アジア戦争がなくなれば、アメリカから六千海里隔たった国の腰かけ湯飲み茶屋のような中継ぎ軍事基地の軍需が減ることは当然なことである。よくぞ今までアメリカ一辺倒というような愚かしい夢を十年も日本国民が見たものだと私どもは不思議に思うくらいです。だからといって、アメリカとの関係が小さいと言うわけでは絶対にありません。アメリカとの関係は依然として三割ないし五割の関係ということは非常に重大な課題でありますけれども、しかし、それだけではもう食えないことは、ダレス自身がすでに認めて、最近はもう神経衰弱になっておる、睡眠薬を飲まなければ夜眠れないという状況だということも聞いておりますが、そういう状況になったのですから、どうしてもアジア諸国にわれわれは貿易の道を開かねばならぬ。台湾人口五百万の焼きイモ一つなどにしゃぶりついて、インドを忘れ、インドネシアを忘れ、中国を忘れるというようなことであってはならぬと私は思います。その点で、きのうの鳩山さんの答弁は、私はみごとな答弁も幾つかあったと思いますが、結論として、インドとの関係もどうしてもよくせねばならぬ。少くともインドから尊敬されるような国の雰囲気、政治の雰囲気、インドネシアからは親しまれるような雰囲気を作らねばならぬ。それが、中国を敵としているような意志薄弱の状況で、どうしてインドやインドネシアと円滑にいくことができるでしよう。私は、これらの点にもある程度のバランスがあって、保守は合理的保守、そうして革新勢力は平和的革新勢力というような形で、もう少し話し合う必要があると思う。そこで、ただいまの中国の問題について、皆様方でもう少し具体的準備をしていただきたい。ただいまお尋ねいたしました数カ条は、解散されてこの一カ月のうちにおいて事務当局がやっておかなければ、春の諸問題、四月以後の新年度に間に合わないのですから、今日明確な御答弁をしていただいて、その明確な御答弁責任のゆえに、外務大臣並びに総理大臣に御報告下さって、この程度のことをやらなければ国会における総理の演説に対して行政の実務の平仄が合わないから、着実に準備を整えますがいかがですかという承認を得て、解散中でも皆さんが公約なさったことを一つ実行に移していただきたい。他の同僚各位の御質問もありますから、要点をこういうことで御了解願いまして、今の数項目について正確な御答弁を願いたいと思います。
  8. 板垣修

    ○板垣説明員 私ども関係ある事項についてまずお答えを申し上げます。  最初に、中共に対する見返り輸出としての硫安に計画性を持たせるということにつきましては、私どもも全く同一な考えを持っておりまして、努力中でございまするが、数量につきましてはまだはっきりしたお約束はできませんけれども、できるだけ早い機会に一定の硫安のワクをとるようにしたいというふうに考えております。  それから、その次に、鉄鉱石、石炭の問題でございまするが、ただいまお話がございましたように、開らん炭等につきまして、日本の事情が不案内のためにやはり向うの炭が日本の現在の製鉄の規格に合わなくなったということを私ども承知しております。この点は、どうしても技術員の交換をして日本のほしい炭を十分向うに教えてやることが必要であると思います。幸い漸次中国との渡航も緩和せられる形勢にございますので、そういうふうになりますれば、今後開らん炭輸入も楽にできるのではないかというふうに私どもも同様な考えを持っております。それから、鉄鉱石につきましては、私どもはまだ詳しい情報を持っておりませんが、サンプル輸入等につきまして申請もございまするが、もう少し調査をいたしまして、鉄鋼三社等の意見も開きまして、必要があればこれを許可していきたいというふうに考えております。ただ、鉄鉱石につきましては、私どものただいままで承知しておるところでは、海南島あたりでは単に貯鉱だけではないかというような話もございまするし、鉄鋼三社といたしましては、やはり今後石炭でも鉄鉱石でも恒常的に入るかどうかという点が一番大きな問題でございまするし、私どもといたしましてもその点が一番重要と考えておりますので、お話もございましたように、単に鉄鋼三社だけの意見に従うというわけではございませんが、政府といたしましても十分調査して善処したいというふうに考えております。
  9. 山本勝市

    ○山本政府委員 事務当局への御質問でありますけれども、ちょっと一言、帆足委員お話を承って、私の所感を申し上げて御了承を得たいと思います。  これまでの事務当局勉強が足りない、あるいは頭の切りかえができていないという御忠告がありましたが、しかし、私が通産省へ参って感じておりますことは、御承知のように、これまでの政府中共とはできるだけ触れたくないという方針である以上は、事務当局としてはそれに従って仕事をするということはやむを得なかったろうし、また、そういう方針で仕事をしておれば、自然頭もそういうふうに傾くことはやむを得なかったろうと思うのであります。しかし、今度の鳩山総理の演説に関する帆足委員の御感想もありましたが、これは決して選挙目当ての放言などというものでないことは帆足委員もお認めだろうと思います。鳩山さんが繰り返し言われるように、中共貿易についてはこれを盛んにしていくということは二つの目的を持っておる。一つは経済的な見地からで、日本の経済をいかに豊かにしていくか、また行き詰まりを打開して行くかという点からの見地でありますが、それ以上に実は鳩山さんが重視しておるのは、昨日の本会議での答弁にもありましたように、世界の人心不安の焦点が米ソ戦が起りはしないかというところにある。この人心不安の焦点に合わして、各国の外交の当面の最大任務はやはりこの不安を解消することだという点であって、そのためには、鳩山さんの言葉は少かったですけれども、自由主義国家群が一層緊密にして、そうして力を強化するということが一つの大切なことである。これは決して軽視すべきことではなしに、いよいよ強化せねばならぬが、しかし、それかといって、従来のように共産圏の国々とはものも言わない、つき合いもしないというふうなことは、いろいろな誤解を受けるようになり、戦争を誘発する原因になる。だから、そういう国とも交通を盛んにし、また貿易を盛んにするというこの方針は、鳩山さんが真剣に長い間考えてこられたことなのです。われわれもそれを十分にのみ込んでおる。石橋通産大臣は、きょう出られなかったのでありますけれども、この考えで強力にやっていくつもりなのであります。これはいいかげんではないのであります。そのことは事務当局の方にもよくわかりまして、その方針に従って、できればわれわれとしては自由にやりたい。自由にやりたいけれども、それはただ一つの見地のみからやれぬから、やむを得ぬ制限は起って参りましょうけれども、理想としては、貿易で物を売ったり、買ったりということは、国内でも、保守系の商売人だって、共産系の人が買いたいと言えば売っておる。売りたいと言えば買っておる。それだからといって、その商売人が赤くなるなどというような心配は少しも持っておらない。これは帆足さんのおっしゃるように同感であります。こちらがはっきりと腹をしっかり持っておる必要はありますが、むしろ心配はインテリの方にあるのであって、実際商売する人は、接触したからといって、それで共産主義になるなどということは決して考えておりません。そういう方針で今後進んで参るつもりでありますから、どうかわれわれの気持を十分御了承願っておきます。
  10. 中村高一

    中村委員長 委員長からちょっと山本政務次官にお尋ねいたしたいのであります。ただいままことにけっこうな御意見を拝聴いたしたのでありますが、中国の通商代表が三月ごろ来られるというので、いろいろ準備をしておることを帆足委員からただいま質問がありましたが、山木次官は通商代表の招請についてどういうふうにお考えになっておられますか。大臣もおいでになりませんから、この際御意見を承わっておきたい。
  11. 山本勝市

    ○山本政府委員 根本的な方針については、先ほど申した通り、はっきりしております。従って、貿易のみならず、そういう人の交通についても、できれば自由にしたいという方針は変りはないのであります。しかし、それにはどの程度まで国際的な日本と自由主義国家との間の具体的の制肘があるかという問題については、今私ここで答えるわけにはいきませんが、しかし、できるだけ自由にしたいということは、決して言葉だけではなくして、本心であります。その線に沿ってやっていきたいと思っております。
  12. 中村高一

    中村委員長 それでは、次官は努力はしてくれますか。
  13. 山本勝市

    ○山本政府委員 やります。
  14. 帆足計

    帆足委員 ただいまの向うからの使節団を呼ぶということは、非常にむずかしい問題ではなくて、向うの国際貿易促進委員会、進出口公司という公式の穏やかな貿易機関の代表が来るという問題であって、私が外務大臣なら、保守党の立場に立っておっても、一分間できめます。結局国会がこうきめた、この委員会満場一致きめた、それから鳩山さんがああいう御意向ですし、一日でも延ばしたり、あいまいな答弁をなされば、結局むだなことなんです。むだが多い国でありますから、この醇風美俗に従うということも一方法でありましょうが、これはつまらぬことだと思います。従って、照会がまだ開けております今夕まででも、次官と通産大臣外務大臣と話し合って即刻きめていただきたい。というのは、石橋さんから、これは常識的な問題で、自分はもう十分賛成だ−。いわんや、村田さんが行かれて、顔ふれなどについても向うで話し合っているわけですから、赤軍の元帥が来る、朱徳元帥が来るわけでもないのです。話し合おうといっても、三等重役じゃあるまいし、いつまでも話し合おう話し合おうで決裁ができないというようなばかげたことはちょっとおかしいと思うのです。これが、別な、突拍子もない、向うの政治使節か何かでしたら、これはやはり保守政党として慎重な態度をとらなければならぬということはわかりますけれども向う国際貿易委員会の代表が来るのです。ロンドンに行ったりベルリンに行った代表なんです。雷任民さんなどは、私どもよく知っているのです。委員長中村さんの知っている人も多いのです。高碕さんは、ああいう人柄ですから、この前行ったら、笑っておりました。どうして重光君はあんなこと言うのだろう−。世間では、外務省事務当局の中に頭の悪いのがたくさんいて、それが反動的レジスタンスをしているということを一部では言っておりますが、私は、そういうこともあるまい、外務省事務当局は事大主義ですから、強い方にすぐつくのですから、頭の切りかえにちょっと時間がかかっておるだけだと思っております。従って、石橋さん、高碕さん、重光さんの三人で相談して下さい。でないと、今晩かあした解散になるとすると、この御返答をいただかないということは、向うに参っておる村田さんにも悪いですし、われわれ貿易議員連盟もきょうでちょっと開店休業になるわけです。まことに面目上困るので、委員が今晩でも重光さんのところに押しかけて行かなければならぬ。その結果次第によっては、声明書をあしたの新聞に出さなければならぬというようなことにもなります。むずかしい問題でしたら解散のあとまで延ばすのもいいと思うのです。しかし、こういうきわめて常識的な問題で、しかも超党派的にこの折衝は池田正之輔さんがやっている。それから山口喜久一郎さん、この二人がこの問題の責任者です。私たちは、そのお手伝いをしている程度なんです。約束したのはだれかといえば、私どもじゃなくて、山口喜久一郎さんが約束した。そこで、さすがの岡崎さんも、仕方がないので、苦笑いしながら、行きがけの駄賃と考えたのでしよう、うんと承知したのです。岡崎さんが承知し、山口さんが交渉委員のこの問題が、また次官から今のようなきわめて良識ある御返答があって、なおかつきまらぬということでは、次官は三等重役になってしまうと思うのです。私の申し上げておることは無理がないと思うのです。私はこういうナショナリストですから、日本国内ではしじゅう問題を起しますけれども、私が英国に行くと、たちまちにして大いに尊敬されるのではないかと思うのですが、そういう立場に立って申し上げておるわけですし、委員長責任上非常に御心配になっているわけですから、どうかよろしくお願いします。
  15. 中村高一

  16. 穗積七郎

    穗積委員 山本次官の一般方針はもうわかっておりますから、繰り返していただく必要はないのですが、今の貿易使節団を入国せしめることに対して具体的に一体どういうところに検討の余地が残っておるのか、それをもっとはっきりしていただきたい。考慮する余地があるというのは、どこにどういう問題があるのか、国際関係にあるのか、人物にあるのか、時期にあるのか、あるいは人数にあるのか、まだ決裁のできない、検討する余地のあるという問題点をもっと具体的にはっきりしていただきたいと思うのです。
  17. 山本勝市

    ○山本政府委員 先ほど申し上げた通り、また石橋大臣の言った通り、もう当りまえのことで、なぜひっかかっておるのか常識で判断に苦しんでおるのですが、ただ、具体的事実を私は知らぬものですから、今承わったことを必ずおっしゃる通りこれからでも行って話をいたします。ただ、どこでひっかかっておるのかという具体的事実については、事務的な手続でひっかかっておるのではないかと思います。
  18. 朝海浩一郎

    ○朝海説明員 ただいまの問題は、これは入国関係手続でございますので、私ども承知しておりますところは、先ほど政務次官の御説明になりましたように、日本側としては原則的に異議はない。ただ、具体的に人の来ますことにつきまして、ただいまのお尋ねは国際間の問題があるかどうかというふうな御心配があったようでございますが、その点は、別に国際関係の考慮は、経済局に関します限りそういう考慮はあるように承知いたしておりません。
  19. 穗積七郎

    穗積委員 そのほかは何でございますか。国際関係に考慮の余地がなければ、来る顔ぶれにあるのか、人数にあるのか、時期にあるのですか。
  20. 朝海浩一郎

    ○朝海説明員 その点につきましては、おそらく入国関係責任を持っておるところにおきまして、具体的にどういう人が来るか、その顔ぶれに基きまして個別的に決定するということに相なるであろうと思います。
  21. 帆足計

    帆足委員 ただいまの顔ぶれにつきましても、すでに村田さんから入電がありまして、だれが見ても普通の、ロンドンや西ドイツに行ったような通商使節顔ぶれなんです。ですから、経済局の方で、これは重要な問題ですから、そういうことでしたら、国際貿易協会に電話をかけて、早くこれを進ませられることが親切というものだろうと思うのです。せっかく次官がごあっせん下さいますので、実は地方の知事や市長からは、地方産業の振興の立場もありまして、それぞれ議会で多少の予算を組んでいるのです。迎えるとなると、おそらく二千万円ぐらいの金がいるでしよう。民間だけでまかなうことも一つの方法ですけれども貿易振興費の中からでも多少——せっかくあれほど鳩山さんが言われているのですから、この前の赤十字の例にならって、何らかの形で助けていただきたいということも私ども開いているのです。こういうことは末の末の問題ですけれども、ただいまの通産次官のような良識あるお考えでしたら、これはいろいろ話し合いをして、この問題を円満に解決したらいいと思いますが、今穗積さんから質問されましたように、どこに障害があるか承わっておけば、たとえば、次官の方から、電報を打つのは四、五日後にしてくれ、実はこういう障害があるから、九十九パーセント大丈夫だけれども向う使節団の名簿をちょっと非公式に一通り見ようとか、また電報を打つ時期を、アメリカとの関係その他の関係でまだちょっとほかに交渉中の問題があるから、いつごろがよかろうということでしたら、委員長と御相談願ったらよかろうと思う。しかも、国際貿易促進委員会及び国会満場一致決議されたことであって、同時に山口さん、池田さんが折衝に当っており、自由党の議員各位が全部了解しておることが、案外政府当局においてこまかく知られてなくて、手続がおくれておる。三月十五日を過ぎると都合の悪い事情がたくさんある。先方でも、四月の中旬になると、ロンドン、西ドイツから経済使節がたくさん来まして、メーデーに案内したりするのです。そこで、向うでは、三月十五日から四月の十日ぐらいまでの間に全部済ましたいという事情があることも詳しく言って来ているのです。そうすると、今のうちに電報を打たなければ時期おくれになります。せんだって外務大臣にお目にかかったときに、外務大臣は実は何も御存じなかった。中国の塩が六十万トン入っておるということを申しましたら、びっくりして、もう始まっているのかね、というような状況です。始まっているどころではない、もう塩船の通わぬ日は一日もありません、と話しておきました。それで、すでに一カ月たちますから、一つ外務省でも事を急いで、問題の結論をつけておかないと、きょうでもってこの委員会を閉じると思いますから、結論としては、ただいまの次官のおっしゃることを確認して、あとは事務の問題です。先ほどのように、突拍手もない、軍人が入ってくるとか、非常に国際問題を刺激するような政治工作員が来るということはないのです。あるならば、また別の方法で、やんわりと、向うに少しも恥をかかさずに話し合うということは——しかしそういう非常識なことは今の中国はしないのです。大体顔ぶれもわかっておりますから、さっそく委員長、次官、それからわれわれ理事で、外務大臣の真意のほどを申し上げ、誤解があれば誤解を解いて正しく理解していただき、そうしてきょうあす中くらいに電報を打ちたいと思います。国際貿易協会も村田さんの留守を引き受け、山本熊一さんも中国への返事を急いでおられるのです。村田さんは、向うに行かれて、この問題の返事が来ないので、今お困りになっておる状況です。どうかそういうことで委員長において御処理を願いたい。  それから、時間がございませんし、中崎さんからもちょっと質問がございますから、ココムの方は一体一カ月に何回ぐらい開くのか。それから、特免申請をこれからわれわれ専門家のいろいろ陳情書政府に届けますから、それを要領よくココムに上程してくる手順だけを一、二分間御説明願いたい。それから、別にまた資料をお送り願いたいと思います。
  22. 朝海浩一郎

    ○朝海説明員 ただいまのココムに関する御質問でございますが、これは、帆足委員も御存じの通りに、大体ココムがその活動を始めましたときには、ココムの存在ということも関係国はこれを外部に発表いたしておらなかった弊が非常にありましたことは御存じの通りであります。従いまして、私からこの席でココムがこういう活動をしておるのだということを詳細に——これが事実上わかりますことはもちろん差しつかえないことでございましょうし、私どもの関知したことではございませんが、ただ、政府の方からココムがこういう内容の活動をしておるのだということを詳細に申し上げますことは、いたしかねる事情は御了承願えると思うのであります。ただ、せっかく御質問がございましたので、そういうことは承知いたしておりますが、大体の機構の外貌を御説明申し上げますと、御存じのように、機構はパリにありますが、現在加入しております国は、おもな国が十五国になっております。そうしまして、この機構は、輸出統制に関しまする基本の政策を決定する上部の委員会がございまして、これはいわゆるCGと申しておりますが、このCGで政策を決定いたします。たとえば、御存じの昨年の三月ないし六月ごろに共産圏に対しまする禁輸のリストを改訂いたしましたが、そういう政策の事項に関しまする点については、このCGが政策をきめてゆく。従いまして、CGは、どのくらいに会合するかという御質問でございますが、そう頻繁に会合することはないのであります。そのCGの下部の機構といたしまして、CGが決定する政策に従いまして、主として対ソ連輸出統制に関するいろいろな問題を取り扱いまする調整委員会、これをココムと言っております。それから、主として対中共の統制に関する問題を取り扱いまするシナ委員会、これがCGの下部の機構といたしまして存在いたしておるわけであります。どの程度に会合するかという御質問につきましては、これらの委員会、ココムとかチャイナ・コミッティーとかいわれますものは、いずれも、問題がありましたときに、問題の繁閑に応じまして随時開催をいたしておるわけでありまして、今までの例を見ますと、ココムは週に三回くらいの会議を行なっておったようでありますし、また、シナ委員会の方は週に一回ないし二回くらい会合をいたしておったようであります。以上がココムに関するお答えでございます。  それから、もう一つの御質問の特認に関するものでありますが、これはどういうふうに処理されるか、先ほど御質問のうちに、どう処理されるかという点がございましたが、これは、処理されます物資の数量——特認と申しますのは、ココムの規定によりますと例外の輸出でございますので、どういうふうに、どのくらいの内容のもの、どういう内容のものをどういう数量ココムにかけたならば、日本として一番通りやすいのであるかという点も吟味いたしまして、関係省集まって相談して、その結果、ココムにおります日本の代表に、こういう問題をすぐ取り上げるようにということを、電報により処置をいたしておる次第でございます。  それに関連いたしまして、例外輸出の、いわゆる特認の事例についての御質問でありますが、これは、先ほど資料を御要求になりましたうちに、もしこの特認に関しまする資料もお含みになっておられるのでありましたならば、一言お断わり申し上げておきたいと思うのでありますが、これは、先ほど申しましたように、ココムの会議の内容が極秘にされておりますので、一体各国がどういう例外輸出をやっておるか、いわゆる特認をやっておるかということは、これは、政府といたしまして、国際信義の関係もございますので、お答え申し上げかねるのであります。ただ、帆足議員の御心配になります点は、各国が特認をやっておるにかかわらず、日本が非常におくれておるのではないかという御心配であろうかと思いますが、特認は特認でありますだけに、先ほど申しましたように例外になりますし、各国ともそう頻繁に例外輸出の要求をいたしておるわけでもございませんが、日本がおくれておるのじゃなかろうかという御心配に対しましては、私は、日本の特認に関する要求は、おそらく、一番多いとは言いがたいでありましょうけれども、各国に比べまして非常に件数も多いし、一件の額も非常に多い、そういう脈はお答えできるのではなかろうかと思います。先ほどお読み上げになりました対中共輸出制限緩和に関する要望書のうちの十七の醋酸、十八の無水フタール酸、十九の重クローム酸ソーダ等につきましても、最近日本側の代表から特認をココムに要求いたしまして輸出をいたしました経緯がございますことは、おそらく御存じの通りと思います。
  23. 帆足計

    帆足委員 もう一言だけ……。ただいまのココムの問題、さらには伺いたいこともございますし、また、新国会でもできましたら、秘密会によってでも、なぜそういう状況になっておるか等の伺いたいこともありますので、ただいまの局長さんのお話で大略はよくわかりましたが、さらにまた次の機会にお尋ねします。  それから、今の例外輸出のことは、バトル委員会輸出入項目の中にも、われわれが理解しがたいような品目がたくさん残っておりますし、諸外国の貿易統計商品別国別表である程度のことはわかるよすがもあるのではないかとも思いますが、私自身も図書館で調べてみますから、これも一つお調べのほどを願います。私が聞いておるのでは、外務省当局等が公式でお考えになっておるより多少ワクの広い輸出が実際行われておるように聞いておりますが、私の方も調べておきますから、御当局の方もお調べ願います。それから、昨年度の輸出実績をなるべく早く御調査の上御提出のほどお願いいたします。
  24. 中村高一

    中村委員長 中崎敏君。通商局長は差しつかえがあって出ましたが、通商局の輸出課長がおりますから……。
  25. 中崎敏

    ○中崎委員 鳩山内閣ができまして以来というものは、非常に選挙宣伝といいますか、そうしたものを熱心にやられておるようでありますが、ことに国内経済打開の一つの方法として、貿易特に中共ソ連圏との貿易等のことについても、相当な熱意を持ってこれを進められるというふうにも了解するのであります。従いまして、私はその問題に中心を置いて質疑をしてみたいと思うのであります。  まず、一番大きな問題は、中共貿易等に対する基本的な制約といいますか、制限といいますか、これが一つの問題でありまして、その一つの現われが、今議論されておるココムの問題と思うのであります。さらに今度は、そうした制限の問題について十分な検討を加えられて、そうしてこれを具体的にどういうふうに運用して行くかというような問題と、大体二つに大きく見られるのではないかと考えるのであります。そういう角度から一つ質疑をしてみたいと考えます。  さて、このココムにつきましては、私たち相当長い間この問題に重大な関心を払っておりました。この内容について知るのが、国民の権利であり、同時に義務であるというふうに従来から考えて今日に至っておりますが、これについての内容に触れたような問題は、ここで先ほど朝海局長から説明をされた程度のものであって、その実態は一体どういうふうなものであるか、そういうようなことについて一向知らされておらなかった。ここに、私たち中共貿易などという問題を論議する上においても、考える場合においても、何かわけのわからないような、かすみに包まれたような事情の上に立ってやるものだから、一向正確な判断がされない。また国民もどうして中共との貿易ができないかということについての非常な危惧なり不安なりを持っている。ここでそうした面についての最大限の内容についての説明を要求するのは、私は国民に対する義務であると考えておりますので、そういう角度からまず聞いてみたいと思います。  まず、ココムにつきましては、日本がこの協定の中に入っているのかいないのか、それを一つお聞きしたいのであります。
  26. 朝海浩一郎

    ○朝海説明員 日本はココムの協定の中に入っております。
  27. 中崎敏

    ○中崎委員 こうした国民なり国家の重大な権利義務に関すること、ことに、貿易の面で言えば、あるいは国内的には為替管理法あるいは貿易管理令とかいうようなものがあって、これが一つの法的な立場において国民を規制しておる。ところが、こうしたときに、その基本法とも言うべき重大な貿易に関するものであり、同時に国民の権利義務に関する寛大なものでありますが、その協定は、一体憲法に命ずるところに従って国会において承認されておるものかどうか、これを一つお聞きしておきたいと思います。
  28. 朝海浩一郎

    ○朝海説明員 ココムの輸出を制限いたしております根拠は、別に条約、国際約束等に基くものではございません。  それから、先ほど冒頭の御質問にあわせてお答え申し上げますが、御質問のありました禁輸の内容が非常に知らされておらないという点は、これは非常にごもっともな御質問でございまして、私どもも従来これを非常に心配いたしておったのであります。ただ、これを正式に発表するということになりますと、先ほど申しました国際間のそういうことをしないという信義もございまして、苦心をいたしたのでありますが、最近処置をいたしまして、これは国際関係も多少あるのでございますが、日本の当面の輸出関係者が、主管の官庁、たとえば通産省に参りますれば、どういうものが禁輸されておるか、どういうものがよろしいかというふうな点につきまして、十分の情報は求め得るように最近なっておるように了解いたしております。
  29. 中崎敏

    ○中崎委員 このココムの協定は、条約なりあるいは協定なりというふうな性格のものでないという御意見なのでありますか、もう一度伺います。
  30. 朝海浩一郎

    ○朝海説明員 御質問の趣旨がちょっとつかみかねたのでありますが、敷衍して御説明願いたいと思います。
  31. 中崎敏

    ○中崎委員 先ほど申し上げましたように、こうした貿易に関する根本的な重大な制限に関する事項は、国際協定あるいは国際条約などの形において締結されるのが当然の性質であるというように私は考えておるのでありますが、それが条約なりあるいは協定なりというふうな形においてされておるのか、あるいはそうでないような形において取りきめられておるのか、それをお聞きしておるのであります。
  32. 朝海浩一郎

    ○朝海説明員 それは、先ほどお答えいたしましたように、条約とか国際取りきめに基くものではないのでありまして、各国が外交的に話し合いをいたしまして、中共に対する禁輸をいたしておるというのが実情でございます。
  33. 中崎敏

    ○中崎委員 そういたしますと、たとえば条約とか協定というふうな意味ほどの効力のあるものであるかどうか。言いかえますと、日本はこれに加入しておるということを今初めて聞いたのでありますが、かりに加入しておっても、これに従わなくともいいものであるかどうか。言いかえれば、われわれ国民は、国会において手続をとって有効に成立した一つの条約なり、あるいは国内法として国会を通ったところの法律でなければ、これに縛られるところの責任を感じないと思うのでありますが、日本国民は、また日本政府は、それに縛られないで自由な行動をとってもいいのかどうか。またそういう程度の取りきめであるならば、これは考えようがあるけれども、いやしくも根本的にこれをどこまでも縛り上げて行くのだという権利義務に関する実質的なものであるならば、国民は当然これに従う必要はない、従わなくてもいいのだというふうにも考えられるのであります。そこの点を一つお聞きしたいのであります。
  34. 朝海浩一郎

    ○朝海説明員 それは、お説の通り、私がただいま説明申し上げましたように、条約ないし法律に根拠を置くわけではございませんので、厳格な条約論からいたしますれば、法理論からいたしますれば、そういう約束に縛られておらないということが言えると思います。ただ、政治問題といたしまして、日本の外交政策が自由国家群との協調を基調にしておりまするその政治的な建前からいたしますと、自由国家群がいずれも統制をいたしておりますのに、日本がひとり統制をしないということに対する政治的な考慮が出て来ると思うのでありますが、その政治的考慮におそらく基きまして、——これは私ども事務当局が申し上ぐべきことではありませんが、そういう政治的な考慮に基きまして、統制が行われておると考えております。
  35. 中崎敏

    ○中崎委員 これは重大な問題であります。これに加入しておる国は十五カ国だと言われておりますが、この十五カ国も、同じように、何ら条約とか協定とかいうふうな、国会なり何なりの成規の手続をとらないで、秘密協定的にやっておるのかどうか、聞きたいと思います。
  36. 朝海浩一郎

    ○朝海説明員 私の知っております限り、そういうふうに処置をいたしておると了解いたしております。
  37. 中崎敏

    ○中崎委員 ことに、わが国におきましては、先ほどお話のように、特認の事項も相当に多く申し入れがあるというふうなことがある通りに、いわゆる日本の経済というものは、その地理的関係において、また日本のいわゆる国内の資源的な関係あるいは歴史的関係等において、中共との貿易というものは最も重大な関係のあるものでありまして、特認の条項が多く持ち出されるのは当然なのでありますが、そういうふうな重要な関係にあるだけに、他の自由主義国家群の立場と多少違うのじゃないか。言いかえますと、ほかの自由主義国家群が加わっているから、一国をあげての、またこれだけの国をそれによって養わなければならぬという重大な関係のある国柄が、他の国と一緒におつき合いをするということは、実際においては非常な不都合が生ずるというふうに思うのであります。従って、こうしたような問題は、むしろ条約の形においてでも一応国会の承認を取る、国民にこれを周知徹底せしむるというような形においてさるべきものであったというふうに考えるのでありますが、その点いかがですか。言いかえますと、本質的には条約なり協定なりにおいて当然すべき事項なのであるから、これもまたその趣旨に従って当然すべきものであるという立場において、政府の方から、こういうようなものは困るのだという申し入れができるかできぬか。それだけの考えがあるかどうか。これは一局長に聞いてもどうかと思うのでありますが、これは総理大臣なり、外務大臣なり、あるいは通産大臣なりにお聞きしたい問題でありますが、その点について一応事務的なお話を聞いておきたいと思うのであります。
  38. 朝海浩一郎

    ○朝海説明員 ただいまの御質問は非常に根本的な問題でございますので、私からそれは条約にすべきであるとか、しなくてもよろしいんだとかいう議論はいたしかねるのであります。ただ、申し上げておきたいのは、これは、私ども事務当局の見地で申し上げますと、そういう中共に対しまして、強い統制が行われておるということにもちろん満足しておる次第ではございませんで、たとえば、一例を申し上げますと、先ほど帆足議員にお答えいたしました対共産圏のリストの改訂に当りましても、このリストを改訂することもけっこうであると同時に、中共に対する禁輸が日本に対しては影響が大きいということを、これは折に触れ時に触れ指摘しておりますし、その会合におきましてもその点を留保しておる次第でありますが、ただ、できました結論につきましては、日本政策からいたしまして、その各国の出しました結論を無視して単独に行動はいたさない、そういう方針もございますので、その結論を作りますに当りましては、できる限り甘木に有利な結論を得るように努力はいたしますが、その結論に基きまして統制を行なっておる次第であります。
  39. 中崎敏

    ○中崎委員 私はこれは明らかに憲法違反だと断定せざるを得ないと思うのであります。言いかえますと、重要な国並びに国民に関する権利義務の問題が、国会手続をとらないで協定されて、ただ口頭だけということでないので、明らかに文書によってなされ、しかも、実際においても、長い間にわたってその取りきめによって国並びに国民を規制しているというこの事実は、明らかに憲法違反であるというふうに考えておるのでありまして、これを今後、あらゆる機会を通じて、日本の国のために、さらに日本国民のために、私たちは、その是正方といいますか、少くともこの日本の国がより有利に展開し得るような形においてあらゆる努力を傾けていきたいと思うのでありますが、今すぐかれこれ、どうのこうのという問題になるというような見通しも立っておりませんから、とりあえず一応これはこれとして、さらに具体的に聞いてみたいのであります。今、中共との関係において、貿易等においては先ほど帆足君からいろいろお話もあったのでありますが、さらに、具体的品目の中に、たとえば農薬というようなものは中共においても相当必要とされているということを聞いているのでありますが、これは、通産省の方において、一体今までどういうふうにそうした検討がされており、あるいは外務省の方においても、このココムの中においてそれは一体どういうふうな状況になっているのか、これを一つ聞いておきたいのであります。
  40. 前田憲作

    ○前田説明員 農薬は大部分今解除になっておりますが、一部ピクリン酸ソーダがまだ禁輸品目になっております。それにつきましてまだ申請を受けておりませんが、研究はいたしております。そういう段階でございます。
  41. 中崎敏

    ○中崎委員 農薬に関する問題は、日本の国内においても近年非常な速度をもって需要が増加しており、これが食糧増産の大きな役割を果しておることは、言うまでもないのであります。一面において、これは、外国の食糧増産の問題に協力する——というよりも、いわゆる外貨獲得の面において大きな意義があるのでありますから、この農薬等の問題については、政府の方でも一つ大いに熱意を持ってこの輸出の方向に努力を払われ、ことに大部分解除になっているというようなことであれば、これは一番よい絶好のチャンスでもあるのであります。ここに大いに努力して、身を入れてそういう方向に進むように要求しておきたいのであります。  次に、きのうの通産大臣の本会議における答弁によりますと、中共等の貿易の振興等のために窓口を広げるというような考え方でありましたが、窓口を広げるというのは、単なる人の問題でなしに、さらに積極的に具体的に中共貿易を許された範囲内において広げるということは当然なことです。言いかえれば、特認の条項をどんどんどんどんふやしていって、もうあまりアメリカに気がねしないで、ことに日本の国の死活問題であるのだから、一そう熱意を持って、腹を据えて中共貿易にも努力してもらいたいと思うのであります。それはそれとして、さらに、そのワク内においても、貿易振興のためにさらに窓口なり、あるいは具体的にどういうふうにやる、そのためにはそれぞれ使節団の交流ももちろん必要でありますが、そのほか一体具体的にどういうふうにされようとしているのか、それを一つ聞いておきたい。
  42. 前田憲作

    ○前田説明員 通産省といたしましては、中共貿易を、現在の国際関係において許されます範囲内におきまして、できるだけ発展させるという方針をとっておりまして、特認等につきましても、あらゆる品目について検討いたしまして、可能性のあるものから随時外務省連絡いたしまして特認の申請をいたしております。すでに、先ほども浅海経済局長からお話がありました通り、化学品について数品目許可になっております。また数品目についてお願いしている次第であります。それから貿易の方法等につきましても、従来は非常に厳重ないわゆるバック・ツー・バックのバーターをやっておりましたが、最近は、変則的な言葉でございますが、逆トーマス方式と申します非常にゆるいバーター——半分はストレートの輸出をさせまして、実情はストレートの輸出であり、ストレートの輸入であるという形をとることによりまして、決済状況が非常に緩和いたしまして、その面からつまり輸出輸入を促進していくという方針をとっているわけであります。ただ、輸出の面につきまして、最近やや、日本輸出余力と申しますか、向うが買い得るもの、あるいは日本が出し得るものにつきまして、日本輸入に対しまして輸出相当苦しくなってきたというのが実情でございまして、その面から、今後とも一そう、硫安の確保とか、あるいは特免品目の拡大とか、あるいはさらにできますならば禁輸品目の解除拡大という面につきまして努力したいというふうに考えているわけであります。
  43. 中崎敏

    ○中崎委員 輸出の面についても、たとえば自転車のごときも、ああして国内では大量生産、過剰生産で行き詰まるというくらいの状態でありまして、業者も大いにこれを輸出したいと言いながら、どうもやはりその面において、どうしたものか、あまり伸展していない。この輸出の品目などの実績等を見れば、ある程度は輸出されておるのでありますが、さらにこれを飛躍的に輸出するような、そういう方向にも一つ大いに検討を加えられて、一段とこうしたものの伸展ができるように要望しておきたいと思うのであります。  次に、三十年度の中共に対する貿易のスケールを一体どういうふうに考えているか。これはもちろんココムに関するような基本的問題の特免の範囲等の問題もあるでしようし、あるいはもう少し運用等について官民大いに一段と努力されて、そうして輸出入等の振り合いを見ながら強力に進めていくというような行き方もあるのでありますけれども、大体どの程度のスケールを考えておられるのか、それをお聞きしておきたいと思います。
  44. 前田憲作

    ○前田説明員 実は、三十年度に何千万ドル出すかという数字は、現在検討中で結論は出ておらないのでございます。見通しといたしまして、少くとも昨年二十九年度が片道二千万ドルをこえる状況でございまして、来年度は三千万ドル以上というものを目標にいたしまして、現在作業をいたしておるわけであります。ただ、いろいろ問題もございますので、たとえば先ほど問題になりましたココムの禁輸リストが一般に知らされておらないという問題、またそういう点から民間各業界の対中共貿易輸出努力というものを阻害しているということは前から伺っておったのでありますが、実は、先ほど朝海局長がちょっと申されましたが、昨年の暮れごろから最近にかけまして、各業界の専門家と禁輸リストの検討を一諸にやっておりまして、共同作業という形によりまして内容をよく検討してもらいまして、それによりまして、禁輸の特免の可能性のあるものとか、あるいは戦略性の価値判断、そういったものにつきましても十分業界と連絡をとるという態勢をとって現在やっておるわけであります。まだこれは最終的な段階に至っておりませんので、結論を出すまでに至っておりませんが、そのようなこともやりながら、いろいろやかましい国際関係もございまして、通産省としては十分思い切ったことができないのでありますが、許されました範囲内におきまして、できるだけ業界の協力を得、さらにわれわれも業界に協力をしつつ、一そうこの中共貿易を発展させたいというふうに考えております。そういったような考えのもとに、来年度の輸出見通し等につきましては、外貨予算等の関係もございまして、今せっかく研究中でございます。
  45. 中崎敏

    ○中崎委員 来年度の目標見通しとして三千万ドルというものは、いかにも情熱が足りない、努力が足りない見通しの上に立っていると思うのであります。これはただ絵にかいたもちでも困るのでありますが、より大きな目標を立てて、そうしてその目的達成のためにあらゆる手段方法を講じてやっていく、失われたところのいわゆるアジア貿易というものを、この際において、来年度こそ一挙に強力に進めていくのだという熱意のもとに進めてもらいたいと思います。これは、この内閣に要望してもしようがないから、選挙後における新しい内閣に要望するところでありますけれども事務的な立場にあるところの諸君の側において、そうした面についてあらゆる方法を講じて、そうして新しい内閣に、より強力な具体的な方法を建言するというふうな考え方において、一つやってもらいたいと思うのであります。
  46. 山本勝市

    ○山本政府委員 先ほど中崎委員から、ココムに服することは、法律とか条約とか、何かそういうものによっているかということがあって、憲法違反じゃないかという御質問があり、事務当局答弁がありました。私はこの際ちょっと申し上げておきたいのですけれども中共貿易に限らず、日本に一番有利な道を選ぶのは、これは当然です。ただ中共貿易だけで日本の国が立っているのでない。従来アメリカその他のいろいろな援助を受けてきている。これがだんだんなくなることも当然だし、なくなっていけるように持っていかなければなりませんけれども、しかし、これまでその援助が日本に非常に役立っておったということも争えぬことだろうと思う。また今日自由主義国家との間にしっかり提携していくという方針は変っていないのでありまして、それを全然無視して、それは条約でない、法律でないのだからこれを無視するというわけにはいかないだろうと思う。ただ輸出輸入及び外国為替が管理になっているということは、これは、法律でちゃんと国会の承認を得て、国の必要という建前から、いろいろ輸入輸出に制限が加えられている。これは法律に認められてやっていることで、その管理をやる場合に、やはり国の全体の立場を考える。その全体の立場を考えるうちに、もちろん経済的な効果を十分考えねばならぬ。しかし、それだけが国の立場の全部でないというところに、それの制肘を受けるような結果になり、輸出輸入の管理が行われてきたのだろうと思う。ただ、先ほど来申し上げますように、この内閣選挙管理内閣だから何もやるなということを言われながらも、もう貿易業者を幾たびか呼んで、どうしたら貿易が振興するか、中共貿易のみならず、韓国との貿易にいたしましても、その他のアジア諸国との貿易の拡大策については、実は真剣に検討しているのです。業者も専門家も呼んでやっているのです。そういうので、先ほどの中共使節の問題などでも、一方からはそういうことは選挙前にやらぬ方がいいということを言われるかもしれないけれども、しかし、私はやはり、一日といえどもそういう大事なことは決定しておかなければならぬし、選挙中といえどもやっていかねばならぬと思っているのです。先ほど昨年末から云々というお話がありましたが、内閣ができましてから、よほど趣きが変ってきているのですが、ただ中共貿易だけで決することができないことは、もう御了承願えると思う。で、中共貿易の将来が、来年度は三千万ドルというようなことがありましたが、私はしかしこれはもっと伸びるだろうと思う。やり方いかんによることであって、あれだけの六億もある国民を相手にしての貿易は、政府がいろいろ施策をしなくても、自然に、隣国でありますから起るのは当然です。じゃま者が入っているものですから、それで阻害されているだけでありますから、そのじゃま者をできる限りにおいて除きさえすれば、意想外に私は伸びるものだろうと思っておる。おそらく三千万ドルというのも、先ほど申した通りこれまでの例から見ていこうというのですから、やり方を変えれば、世の中が予想する以上に私は伸びるものと正直に思っております。
  47. 中崎敏

    ○中崎委員 ちょっと今の問題に関連しておるのですが、このココムの協定に日本が入ったのは何年ですか。それをちょっとお聞きしておきたい。
  48. 朝海浩一郎

    ○朝海説明員 昭和二十六年の八月であります。
  49. 中崎敏

    ○中崎委員 今山本次官が言われますように、なるほど日本はいろいろな意味において経済的援助をアメリカなどから受けておるということも、われわれはこれを否定するものではない。しかし、それなるがゆえ、実際に一国においてやるところの憲法を乗り越えて、法律も一切無視して、そうしてアメリカの言う通りごきげんをとってやっていかなければならぬとは考えていない。そういう点においてこれは実質的に憲法に触れる。言いかえれば、こうした国際協定、条約というものはすべて国会の承認を必要とする。それが現実になされていないということは事実なんですから、それを乗り越えてその恩義に報いなければならぬとは私たちは考えておらない。でありますから、そこのところはどこまでも、そうしたところで協定をなし、あるいは加盟をするような場合においては、これはやはり憲法の命ずるところに従ってやるのが政府責任であると私どもは考えておる。言いかえれば、秘密独善外交がこういうふうにせしめたのだと私は考えておるのですが、これがいつまでもこういう状態にあっていいのかどうか。憲法じゅうりんをやる意味においてあっていいのかどうか。あるいは将来協定の形において正式に国会に出されるのがいいのかどうか。そこらの問題は今後残された大きな問題だと私は思っておりますが、この問題については、どこまでも、私たちは私たちの立場に立って、ただすべきものはただし、主張すべきものは主張する考え方を持っておるということを、この際申し上げておきます。
  50. 帆足計

    帆足委員 時間も移りましたので、一言だけ……。ただいまの中崎さんからの要望は、私はこれはきわめて重要な問題であると思います。アメリカのすることだからといって、全部いいとは限らぬそれから安全保障条約を見ましても、アメリカ国民の幸福と福祉のためにと書いてある。日本国民の福祉のためにとは少くとも第一義的には書いてないわけです。従って、アメリカに都合のいい政策を主にして、そうして日本に協力してくれ、こういうわけですから、われわれとしても都合のいいときには協力するし、都合の悪いときにはちょっとこの点はごかんべん願いたい。——ココムは、ちょうど黒んぼが日本に来て落し子を作ったように、これは罪の落し子を作ったものだと私は思う。そういうときには、せっかく国会というものがあるの、だから、国会相談して、国会の方からいろいろ希望が出たから、日本の特殊事情を考慮してくれ、事務規程についてはこういう例外を設けてくれとか、最初からそういう条件をつけるべきであった。しかるに、やっと自由党を鞭撻して私どもがやったことが、ヨーロッパ並みといういかにも悲しい言葉。ところが実際はヨーロッパ並みとはいかなることか。はるか万里を離れたヨーロッパに日本が準ずるというのはおかしなことだと思う。むしろ、ヨーロッパの方が、日本並みにしたいというので、ココムの陳情が出るというのが当りまえなんだ。甘木とヨーロッパとは立地条件が全く違うのです。そういう点をもう少し花の都のパリで説明すれば、多少は私は見識ある結果も生むことができたと思う。でありますから、戦略物資を中国に出さないということは、当時の国際情勢から見れば、これは保守政党としては当然だと私は思う。革新政党が何と言おうと、当時としては当然だと思う。しかし、戦略物資とは何ぞやという問題を検討しなかったために、結局これで一番犠牲を得たのは日本です。中国はそれほど困ってはいやしない。背後にソ連がおり、それから背後に東ドイツ、チェコスロバキア、ベルギー、スイスというような中立国から必要な物はどんどん買っておる。そればかりでなくて、驚くべきことには、アメリカがタングステンやなんかをドルで三千万ドル買っておる。そのドルで、中国は中立国を通じてりっぱに戦略物資を入手しておる。このことを英国の労働党から暴露されたときに、いや、ドルを払っておってアメリカは一台の機関銃も中国に売っておらない。ところが、英国の労働党の諸君が中国の命令を見たときに、武器は全部アメリカの武器だ。そうして中国の解放軍の旗には、アメリカこそはわれわれの兵器廠とこう書いてある。そうしてさらに、地獄のさたも金次第、ドルこそは最大の戦略物略ではないかと、英国労働党にこう言われておる。結局金を借りて一番困っておるのは日本だ。結局日本に対する戦略的金融、こういうことになっておる。そうして日本の思想状況をこれによって悪化させておるということになっておるのです。アメリカはまだ若い国で、率直で、ホイットマンやリンカーンを生んだいい国ですけれども、朝から晩までああいうネズミの音楽のようなものをやって、愚かしい国民です。いなか者です。われわれの方がはるかに文化的水準は高いし教養も高い。彼らとカントを論じてみたって、カントのことなんかほとんど知りはしない。こういうようなおくれた国民を相手にしておるのだから、よく教えてやって、そうしてわれわれ貧乏して多少の物をいただいておるけれども、今ではわずかしかもらっていないから、ココムの問題はこの次に国会が開かれましたときに重要な問題として取り上げたいと思っております。そのためにココムについての規定とか条文とかいうものはいただけるのでしようか。それを一つお尋ねしたい。  もう一つは、今の三千万ドル、これは次官から修正がありましたから御同慶の至りですが、輸出課長の失言だと私は思う。三千万ドルなら私は何も民主党になってもらいたくなかった。自由党の言うのは、今年の輸出承認額が三千万ドルで、輸出実績が二千万ドルでしよう。それならば吉田さんと同じだ。やはりプディングの味は食うにあるで、実際成果が上らなければだめですから、やはり次官はえらいと思う。三千万ドルというのはひどい。というのは、先ほど私は、米を十万トン入れたところをせめて二十万トンにしてくれ、硫安十万トン出したところをせめて二十万トンにして下さいというような相談をして、皆さんの方でもその相談に応ずるということになっておった。それなのにその総額は去年と同じだというようなことでは、ちょっと私は話がわからぬと思う。これはせめて倍としても六千万ドル、三倍とすれば九千万ドル、まあ九千万ドルくらいを目標にしなければ、一カ月が大体十年の速さで流れておるから、ことしの夏くらいになったら国際情勢はずいぶん変るのではないでしようか。水爆の時代はもうその次の時代に移ろうとしております。ダレスも、ああいう考えでは、アメリカ国民の信望をつなぎ得ない状況になると私は思うのです。そういうことを考えて、次官の言うように、アメリカと協調を保ちながら、なおソ連との貿易中国との貿易は大きくする余地があるのですから、一つ通産省当局もあまり気宇狭小になさらずに、気宇をもっと広く、のどかに持って、貿易の一大進出をはかる。通産省の役人たちも、一ぺん北京や南京まで行って、瀋陽——昔の奉天やその他のところを見て、そうして英国や西ドイツ以上に貿易を広げるというくらいの雄大な気がまえをもってやってもらいたい。もう輸出課長さんたちを弾圧する政党は今度の総選挙でほとんどつぶれてしまいますから、何にも心配は要らぬと思います。外務省の方もどうぞ頭を切りかえて新しい御主人に仕えるというふうにしていただきたいと思います。
  51. 朝海浩一郎

    ○朝海説明員 ちょっと簡単にお答え申し上げますが、今のココムは、先ほどお話申し上げましたように、ああいう機構が事実上成立しておりますだけのことでありまして、別にココムに関連した規定や取りきめというものはございません。それから、先ほど日本がココムの審議に参加いたしました年は昭和二十六年と申し上げましたが、これは一九五二年、昭和二十七年というふうに御訂正をお願いしたいと思います。
  52. 大矢省三

    大矢委員 ごく簡単に一、二をお尋ねしたいと思います。  貿易振興に非常に障害になっておるのは交通だということをしきりにやかましく言っておりますが、最近聞くところによりますと、貿易関係者で五万ドル以上の貿易をしていないところはパスポートを渡さないということを聞くのですが、それは通産省外務省でそういう話があったのか。これが一つと、それから、何べんも立つのはなんですから一緒に答弁してもらいたいと思いますが、中小企業者の貿易関係の人たちが非常に金融難で困っている。それは、貿易業者、ブローカーが一応契約して、そして金をもらうときには手形でもらいます。その手形の期日が相当期間が長いために非常に金融に困っている。そこで、通産省が許可してすでに出たものに対しては——これは個人の関係じゃない、ちゃんと監督官庁がそれぞれ許可してすでに渡っておるのだから、そういう明らかなものに対しては事前に金融をする。これは、大蔵省のカーテンというものがあるかもしれませんが、そういうことがやれるものか、あるいはやる意思があるのかないのか、貿易業者が渡航に当っての制限を加えておることがあるかないか、こういうことをお尋ねしたいと思います。
  53. 前田憲作

    ○前田説明員 ただいまの御質問の前のことでございますが、実は五万ドル云々ということはわれわれ全然聞いておらないのであります。ただ一つ思い当りますことは、実は大蔵省当局の原案と聞いておりますが、海外に日本の商社があまりにも出過ぎてむだな競争をしておるから、これを制限したい、ついてはその駐在事務所のあるところの取引が年額五十万ドル以下のところは許可しない、そういうような話がございましたが、これはわれわれももちろん反対でございまして、これは事務当局限りの間で話をして、そのままになってしまったのです。多分そのことが伝わったのではないかと私了解しております。  それから、あとの金融の問題でございますが、私は専門でございませんが、輸出に関しましては、契約ができました場合は、例の輸出前貸し手形の制度がございまして、それに基いて金融を受けられることになっておるのでございます。多分そのことの御質問だと思いますが、私は専門家でございませんので……。
  54. 大矢省三

    大矢委員 外務省の人にお聞きしますが、実は印刷機械を輸出いたしましたが、それはちゃんと通産省の許可を得てやった。これは三年前です。ところが、朝鮮の動乱でそのままになっておったのが、最近平和になって、日韓関係が非常にうまく行っておるかどうか知りませんが、その問題を解決したいからぜひ来てくれという招聘状がある。ところが、先ほど言うようなわけで、そういう小さな貿易業者では渡航券を渡さない、韓国の出先機関ではやってくれと言うが、外務省の方ではやらない、こういう事実があるというのです。これはあとから関係者のところで詳しく調べて参りますけれども、そういうふうに、先ほど言ったように五万ドルか五十万ドルか知りませんけれども、すでにそういうものが行って日本にもらうべきものが動乱のためにもらえなかった。その話に行くのだから、そういうものは当然すなおに出したらどうかとわれわれは思いますけれども、ひっかかっておる。どうも役人というものは、現実的な問題でなくして、絶えずいろいろの形式にとらわれて阻害しておることがよくあると思います。これは民間人からしばしば聞くのですが、こういう特殊な問題については大いに政治性を働かして取扱ってもらいたい。詳しいことはまたあとから申しますけれども、こういうことが私どもの耳に入っておりますから、今後そういうことのないように、十分現実に即した、しかも貿易を振興するという原則、建前に立って、一つの問題を処理してもらいたいということを希望申し上げておきます。
  55. 中村高一

    中村委員長 本日はこの程度といたしまして、次会は明二十五日午前十時より開会いたすこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十六分散会