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帆足委員 時間がございませんし、他に
同僚議員からも簡単な御
質問がありますので、私も簡単にきようは御
質問いたしまして、意を尽さないところが多々ございますが、その点はお許しを願います。
原水爆の時代に
平和共存を望むことは、今は
日本だけでなく
世界の輿論でありまして、平和をどうして達成するかということが良識ある
政治家の
任務にな
つておることは御
承知の
通りでありますが、
政府が、新
内閣ができますると、ただちに
二つの
世界の
平和共存または
外交の
調整またはそれの
裏づけとしての
貿易の
拡大等の
政策を発表せられましたことにつきましては、私
ども大いに敬意を表しておる次第でございます。しからば、今後この実施についてどのように
政府はお
考えであるか。ただいま
外務大臣は目下
研究中ということでございますので、大いに期待いたしたいのでございますが、その今後に期待しまするについて、一、二の点をお尋ね申し上げ、参考にしていただきたいと思うのです。
第一は、
二つの
世界の
調整の問題、なかんずく
ソ連、
中国の
貿易は、今日の不景気から見まして、
声大にして
実情の知られていないことこれほどおびただしいものはないと私は思います。ただいまも、
大臣は、昨今少し調べてみたら多少
バーターができておるようであつた。
——私は今日の
財界人の常識は遺憾ながら大体こういう水準であつたと思います。ところが、今日いただきましたこの
統計を見ましても、西ドイツから
ソ連、
中国への
輸出は一昨年四億ドルを越えておる状況でありますし、私が知る限りにおいては、昨年
自由世界から
ソ連圏、
中国圏への
貿易は、
輸出が実に十四億ドルに達しておる。その中で
日本の占める額はわずか一千万ドル、こういうことがもし
全日本国民に知られていたであろうならば、もう少し早くあの
岡崎外交のような愚昧な
外交を転換することができたであろうに、私はまことに残念なことであると思うのでございます。従いまして、
外務省当局にお尋ねし要望したいことは、
外務省当局はこれまでこれらの問題については公認されたる
意味における不
勉強であります。通産省、
審議庁等は心ならざる不
勉強でありますが、
外務省はことさら不
勉強でありましたので、至急
勉強していただきたい。すなわち、
統計資料その他を整えて
大臣に差上げると同時に、
国会にも提出し、
国民にも提出して、公正妥当な道を発見するための
資料の
準備をしていただきたい。たとえば、
両国間の
貿易または
世界諸国と
共産圏との
貿易、その品目また諸般の
事情、また
ココムの
機構、
運営、
機能等についても詳細を知りたいのです。恐るべきものは鉄の
カーテンよりもむしろ無知の
カーテン、無学の
カーテンほど恐ろしいものはないと私は思
つております。
第二には、今日当面の問題は何
といつても
輸出制限の問題でございます。この
輸出制限が今後このまま続くならば、いかに
中国、
ソ連との
貿易を拡大しようといつたところで、絵に描いたもちにすぎません。それから
といつて、今日の
実情下において
兵器の
輸出、直接
軍需品の
輸出などを
考えている者は、私は
議員の中に一人もないと思います。今日すでに
ソ連は四千万トンの鉄をつく
つておりますし、
東ヨーロッパでももう相当高度の
工業国になりかか
つておりますので、
亜鉛引鉄板とか単なる
化学薬品とか、そういうものも
輸出禁止にしておくことは、むしろ
中国と
ソ連の
貿易を奨励し、その自給自足を強化する拍車になるだけであ
つて、私は、
世界の
通商のわくを小さくする点において、今日ではすでに時代遅れの
政策であると思います。もちろん、直接
兵器、
軍需品、
特殊機密兵器等を禁止しようということについて、われわれは別に何の
異存もございませんが、
平和物資についてこの問題を検討せねば、その問題について昨今は
西欧並ということがいわれますけれ
ども、それすらな
つておりません。それよりも、
日本は、特に
中国に対しては隣邦でありますから、
西欧並という以上にむしろ
アジアの
特殊関係も
考えねばならぬ。今日カナダの
中共貿易に当るものは
アメリカ大陸との
貿易、また
西ヨーロッパのいわゆる
中共貿易に当るものは東欧州
大陸との
貿易であります。それに対して
日本にと
つてそれに当るものがすなわち
北アジア大陸との
貿易でありますから、
事情が違うということをひ
とつ御
当局で御認識願いたい。
時間がありませんから、
あと一言だけでありますが、同時に
貿易を開きますためには、
各国の例を見ましても、正式の
条約ができます前にまず
貿易の事実が始まる。これが
順序のようでございまして、昨今
両国の間に多少の行き来ができましたことは御同慶の至りでありますが、これも、ノーマルに、冷静に、そして中庸の道を得て、
大臣の言われたように逐次順を追うて進むことにわれわれは賛成でありますけれ
ども、今日の段階においては向うから
経済使節が来たいと申しておりますし、こちらからたびたび参りましたので、
経済使節を呼ぶことについて
政府当局の御
考慮を煩わしたい。また、その節の
経費等につきましても、紅十字の招待などには多少の
政府からの
補助金も出ましたので、こういう便宜もおはかり願いたいし、
見本市とかまたは
商務駐在員の
設置等についてもお
考えのほどを願いたい。
先方で私
どもが話し合いましたときには、このいずれにも熱意を持
つてお
つて、両方平等の
条件で、
中国側だけが利益をするのでも、逆に
日本だけに都合がいいのでもなくて、話合いで行こう、こう申しておりますので、私は、実現の余地のあることと存じますので、至急御
研究を願いたいと存じます。
その他の点は後日に述べることにいたしまして、それらの数点につきまして
政府当局の御回答を願います。