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足鹿委員 農業災害補償制度に関する小
委員会の
委員長としまして、この御報告を申し上げておきたいと思います。
農業災害補償制度に関する小
委員会の
委員長としまして、本制度改正に関する最近までの審議の経過に関して
中間的な御報告を申し上げたいと思うのであります。
すでに
委員各位におかせられては、十分御承知のごとく、
農業災害補償制度改正の問題につきましては、わが国における
農業政策の重要な
一環として、本
委員会におきましても、しばしば取上げられ、討議せられて参
つたのでありますが、第十六国会において、
農業災害補償法の一部改正に際して、両院協議会で行われた申合せに基き、本制度抜本改正の目的をも
つて小
委員会が設置せられ、私がその小
委員長に就任しまして以来、
委員各位とともに数十回にわたる
委員会、小
委員会、公聴会、現地調査を行いまして、非常な努力を払いまして、衆議院としての
農業災害補償制度改正案を作成し、二十九年四月二十七日に本
委員会の御承認を得まして、これを農林省に送付いたしたのであります。
参議院側におきましても、やや遅れて、
委員会の意向をとりまとめられ、政府側に伝達せられましたので、政府は両院の決定に基いて、農林省に
農業災害補償制度協議会を設置し、衆議院議員七名、参議院議員五名、学識経験者八名を委嘱し、農林漁業金融公庫総裁山添利作君を
議長として、去る七月より本格的な審議に入
つたのであります。爾来今日まで七回にわた
つて会議を開きました。
なお、衆議院側よりは、私、安藤覺君、足立篤郎君、助川良平君、秋山利恭君、金子與重郎君、伊瀬幸太郎君が
委員として参加し、専門員岩隈博君が補佐の任に当
つたのでありますが、この際特に申添えておきたいことは、終始
会議をリードし、積極的に審議に当られました金子與重郎君が、中途にして倒れ、幽明を異にせられましたことは、
会議の進行にとりまして、非常なる痛手となり、返す返すも残念であ
つたことであります。爾来、金子氏にかわり、吉川久衛君に御苦労を願
つている次第であります。
私ども協議
委員は、審議にあたりましては、常に熱心に
会議の中心となり、衆議院側の
意見の説明に当り、協議会として公正妥当な改正案の策定せられることに全力をあげて協力して参
つたのであります。
協議会において、本日まで討議して参りました事項は、まず、衆議院農林
委員会において熱心に議論せられました
農業共済制度の基本的な組み立て方であります。次に、農作物共済の引受の単位、共済金額及び共済掛金率の形式方式、損害評価の方式であります。次に共済団体の区域、共済責任、公的色彩の附与、共済掛金の徴収。次に中央団体の設立の可否の問題。次に蚕繭共済及び家畜共済の取扱いをいかにするかという問題。次に任意共済の建物、菜種、大豆の取扱いをどうするかの問題。次に共済団体の行う防除。次に連合会の不足金
処理。次に無事もどしの制度。次に備荒貯蓄制度等の諸問題であります。
しこうして、ただいま申し上げました諸問題中、農作物共済の引受単位、共済金額及び共済掛金率の形成方式、損害評価の方式、共済団体の区域、共済責任、公的色彩の付与、共済掛金の徴収、連合会の不足金
処理の件につきましては、ほぼ協議会としての結論が得られたのであります。
すなわちこの際、ごく簡単に御説明いたせば、第一の問題は、農作物共済についてでありますが、農作物共済につきましては、被害の補償の充実を期するとともに、本制度を極力災害の態様と
農業経済の実態に即応せしめるため、可及的に制度の画一性を是正し、あわせて損害評価の適正化等を行い、事業運営に弾力性を付与し、その
合理化をはかることを基本方針としまして、引受は、一筆ごとの石建とする。但し、
農業単位の可否については、なほ検討を要する点が残
つておりますので、現在実験中の
農家単位共済の実験は、継続するものとする。
次に、共済金額は、石当りに定め、共済に付する額は、
農家ごとに共済金額の一定割合、一〇、七、五、三を選択することとする。
次は、損害の填補は、実損害の七割に達し得るよう共済金額及び補填の対象となる被害
程度を決定する。
次に、基準共済掛金率は、危険階級ごとに減収率に基いて算定する。
次に、危険階級の設定は、必らずしも市町村の区域にとらわれず都道府県の区域内における危険
程度の異なる地域ごとに細分化を行うものとする。
次に損害評価は、農林省統計調査部の行う収穫高調査を、被害調査を農作物共済の損害評価上利用し得るよう郡市別統計の作成を目途として整備する。
なお、常習災害地の実体及びその取扱いにつき、すみやかに調査検討を進めることにいたします。
次に第二の問題としましては、共済団体についてでありますが、共済団体については、その経営の
合理化、事業の性質に伴う団体性格の明確化の見地から左の措置を講ずることにしたのであります。
まず、
農業共済組合の区域は、一定の基準に基き、合併後の市町村の区域等を勘案して、道府県知事が定める
次に共済責任の全額を保険に付することとし、組合の一割の共済責任は、これをとりやめることにしました。
次に
農業共済団体に公的色彩を付与するため、役員の責任の明確化、
行政庁の監督の強化、その他公的機関たるの性格を明確ならしめるよう措置する。
次に職員の身分の安定、給与の適正化を行い、職員の本事業の推進に対する熱意を喚起する体制を整備する。
次に、前記組合の区域及び職員の身分安定の事項の確立のため、共済事業に対する政府及び地方公共団体の援助の充実をはかるものとする。
次に、共済掛金の徴収は、市町村に委任することができることとする。
次に第三の問題は、
農業共済組合連合会の不足金
処理の問題でありますが、二十九年度末までにおいて、連合会に約五十二億円の赤字が生ずる見込みと相な
つております。この点につきましては、
農業共済基金の設立にかかわらず、連合会の累積不足金が事業運営を圧迫している現状にかんがみ、政府は、昭和二十六年度末までの不足金累積額に
相当する額を一般会計から
農業共済基金に貸しつけ、あわせてこの不足金解消の
根本的
処理をすみやかに検討することといたしたのであります。
以上申し上げました第一、第二及び第三の問題のほか、中央団体の設立、蚕繭共済及び家畜共済の取扱い、任意共済の建物、菜種、大豆の取扱い、共済団体の行う防除、備荒貯蓄制度及び無事もどし制度等の問題が残されておるのであります。しかし政局の推移は各位の御存知の
通りでありまして、また明三十年度の
予算編成期も切迫しておりまするので、制度の全体について最終結論の出ますまでの間においても、政府をして着手できる部分から改正に着手せしめるという方針をきめたのであります。従いましてさきに述べた第一の問題、すなわち農作物の共済の引受け単位、共済金額、掛金率、損害評価等については三十年産水稲から実施し、共済団体及び不足金
処理の問題については三十年度中に実施することとし、政府は
予算上並びに法律上の必要措置を講ずることを、この際
議長より政府に申し入れることをいたしました。
しこうして残余の問題については、次期国会の会期中に審議を完了し、決定事項中実施に移し得るものは三十年中に実施し、その他の事項については三十一年度にすべてを実施するものとし、とにかく三十一年度中には、本制度の改正は一応すべて完結したいという方針を打出したのであります。
以上は、昨日話合いのできました協議会小
委員会の案に基いて御報告申し上げたのでありますが、来る本月の二十一日に再度全体協議会を開いて、本案を申合せ事項として確認し、
議長より
農林大臣に申し上れることとしておりますので、この点は特に御了承を願いたいと存ずる次第であります。
たいへん取急ぎ御報告申し上げまして説明を省略のためにおわかりにくい点もあ
つたことと思いますが、案文をお手元に配付いたさせまするので、それについてごらんを願いたいと思います。
以上をもちまして報告を終りたいと存じます。(拍手)