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1955-01-21 第21回国会 衆議院 内閣委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年一月二十一日(金曜日)    午後一時三十三分開議  出席委員    委員長 猪俣 浩三君    理事 江藤 夏雄君 理事 平井 義一君    理事 辻  政信君 理事 鈴木 義男君       大久保武雄君    永田 良吉君       長野 長廣君    長谷川 峻君       山崎  巖君    加藤常太郎君       三浦 一雄君  早稻田柳右エ門君       田中 稔男君    黒澤 幸一君  出席国務大臣         労 働 大 臣 千葉 三郎君         国 務 大 臣 大村 清一君  出席政府委員         内閣官房長官  根本龍太郎君         内閣法制局長官 林  修三君  委員外出席者         総理府事務官         (南方連絡事務         局長)     石井 通則君         調達庁長官   福島慎太郎君         防衛庁次長   増原 恵吉君         外務事務官         (アジア局長) 中川  融君         専  門  員 亀卦川 浩君         専  門  員 小関 紹夫君     ――――――――――――― 十二月十八日  委員片山哲君及び中居英太郎辞任につき、そ  の補欠として吉田賢一君及び鈴木義男君が議長  の指名委員に選任された。 一月二十一日  委員小澤佐重喜君、大村清一君、稻村順三君及  び三輪壽壯辞任につき、その補欠として長谷  川峻君、加藤常太郎君、黒澤幸一君及び中村高  一君が議長指名委員に選任された。 同日  理事大村清一君、前田正男君、平井義一君及び  鈴木義男委員辞任につき、その補欠として辻  政信君、江藤夏雄君、平井義一君及び鈴木義男  君が理事に当選した。     ――――――――――――― 昭和二十九年十二月二十二日  恩給額調整に関する請願外一件(菊池義郎君紹  介)(第一号)  同外一件(大平正芳紹介)(第二号)  同(伊藤好道紹介)(第二九号)  同(芦田均紹介)(第四五号)  同(福田赳夫紹介)(第六一号)  旧軍人軍属等恩給均衡是正に関する請願(  並木芳雄紹介)(第五二号)  同(福田篤泰紹介)(第五三号)  東北興業株式会社拡充強化に関する請願(山  崎岩男紹介)(第一〇三号) の審査を本委員会に付託された。 昭和三十年一月十四日  恩給法の一部改正に関する陳情書  (第一〇一号)  同  (第一〇二号)  同  (第一〇三号)  同  (第  一〇四号)  同  (第一〇五号)  同  (第一〇六号)  軍人恩給並びに金し勲章に関する陳情書  (第一〇  七号)  奄美群島の復帰に伴う恩給関係法令等の適用の  特別措置に関する陳情書  (第一〇八号) 同月二十日  恩給法の一部改正に関する陳情書  (第二〇一号)  同  (第二〇二号)  同  (第二〇  三号)  同  (第二〇四  号)  自衛隊演習場設置反対に関する陳情書  (第二〇五号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  自衛隊に関する件  調達庁に関する件  南方連絡事務局に関する件     ―――――――――――――
  2. 猪俣浩三

    猪俣委員長 これより会議を開きます。  防衛庁に関し調査を進めます。質疑通告がありますのでこれを許します。黒澤幸一君。
  3. 黒澤幸一

    黒澤委員 大村防衛庁長官お尋ねをしたいと思うのでありますが、それは宇都宮駒生町にありまする宇都宮駐部隊駒生射撃場射場の問題であります。この射場明治四十四年に設置されまして、元の第十四師団射撃場として使用せられて来たのでありますが、終戦警察予備隊保安隊自衛隊と引続いてこの射場が使用せられて参ったのであります。十四師団射場として使用せられておりました当時におきましては、この射場において射撃する場合にたまたま小銃弾が飛来するということがあったようでありますが、終戦警察予備隊保安隊自衛隊が使用するようになりましてから、ロケット弾曳光弾、爆雷、十ミリ機銃弾小銃弾、こういう銃弾跳弾弾片が高さ三十メートルから十五メートルの土手を越えまして、われわれが想像もできないような、乱射乱撃雨あられという言葉がありますが、まさにこういうような言葉通りに落下して参ったのであります。いかにこれらの落下する物量が多いかということは、射撃が終りましてから付近児童がその落ちました銃弾弾片跳弾を拾い集めて、一貫目三、四十円でくず屋に売っているという事実をわれわれが考えましたときに、いかにこの射場射撃のために、直接被害を受ける三十戸でありますか、相当広範囲にわたって危険にさらされているということが長官も御想像ができると思うのであります。事実を申し上げますと、射撃が始まると付近住民は生きた心地がありません。田畑や山林で働いている農民諸君は、泣き叫ぶ子供を擁して家に逃げ込んで、子供や婦人を退避させて、その主人なる男が戸をわずかに開いて、飛び込んで来るたまの動向を監視して、危険となるとそれを防ぐという、まさに戦時中におけるような状態に置かれておるのであります。この付近の道路を通行する児童が約六十名あるのでありますが、この六十名からの小中学校の児童射撃が始まると、登校もできず、家にも帰れず、泣き叫んで付近山林に退避しているという状態であります。ある農家には曳光弾が屋根に落下いたしまして、まさに火災になろうとしたのを消しとめておるというような事実もあるのである。農家の家畜が驚いて逃げて、これがために死亡したという事実もあります。この射撃音響がひどいために鶏はほとんど卵を生まなくなってしまう。ヤギや乳牛は乳の出が少くなってしまう。ことに病人があるときには、射撃が始まりますと安静ができずに、この回復には非常なる影響を与えているという事実もあるのであります。この射場から若干離れましたところに国立療養所宇都宮病院があるのでありますが、この病院に入院している患者諸君は、一時から三時の間の安静時間が妨害されて安静がとれない。あるいはまたこの音響がひどいために発熱しておるというような患者のあることをわれわれは病院を視察、調査いたしまして知っておるのであります。かような危険に周囲住民はさらされておるのでありますが、ここに参考までに一部のいろいろな破片や銃弾を持参いたしましたから、これをどうぞ長官ごらん願いたいと思うのであります。こういうロケット弾が三十メートルの土手を越えて落下しておるという事実があります。どうかこの落下しましたいろいろな弾片銃弾の一部を持参いたしましたからよくごらんになってこの実情を御想像願いたいと思うのであります。  なおここに、長官は地理もよくおわかりにならないと思いまして、現地の地図を書いて参りました。どういうふうに銃弾や断片が飛んでいくかという方向、また射撃場状態等を書いておきましたから、これもごらんを願いたいと思うのであります。  なお周囲農民諸君がいかにこの射撃場のために困っておるかというこの署名ごらんいただきますれば、わずか二千幾らという署名でありますが、これは深刻なるこの射撃場付近人々署名でありますので、御参考までに持参したのでありますが、長官はこういう宇都宮駒生射場状態をお知りになっておるかどうか、その点を最初にお聞きしたいと思うのであります。
  4. 大村清一

    大村国務大臣 ただいま御質問になりました点につきまして、長官といたしましても報告を受けております。自衛隊射撃演習につきましては、危険防止につきまして十分注意をいたし、また措置もいたしておるところでございますが、宇都宮射撃場におきましては今日まで人畜に危害を与えたことはなかったのであります。ただ昨年の八月二十五日、曳光弾跳弾附近民家に落下したことがありまして、部落側より曳光弾演習はやめてもらえまいかという申し出もあったのであります。部隊ではさっそく演習を中止いたしまして、標的設備等修理改善を行ったのであります。この射撃場はお話のように元陸軍の施設であったのでありますが、設備が良好でありまして、新聞に報道されましたような高さ二十メートルの射だを越えて多数の弾片付近部落耕地に落下するものとは考えられないのでありますが、演習の種目によりましては大きな音響を発するものもありまして、部落民を驚かすというようなことはあったと思われるのであります。今回危険防止等の万全を期するために必要な修理工事実施に着手いたしております。なおこの修復工事が終りますまでは、この射撃場の使用を停止いたしておる次第であります。
  5. 黒澤幸一

    黒澤委員 長官のただいまの答弁は事実と非常にかけ離れた御答弁のようであります。長官はどういう報告に基いてかような御答弁をなされるか知りませんけれども、私が申し上げておるのは決して想像的なことではなくて、現地において今申し上げましたような危険な状態にさらされておるということは過去何年かの間であります。こういう射撃はどうかよしてもらいたいというので、素朴な農民でありますから、防衛庁の本庁、そういう方面に対する陳情あるいは要請という方法は知りません。それで射場に参りまする部隊に対してそのつど何十回となく懇願をしてきておるのであります。ところが警察予備隊当時から今日まで依然として長い間そういうことが継続してきておるのであります。決してこれは長官のお考えになるように昨年の一時的な曳光弾だけの問題ではありません。これをごらんなさい。曳光弾だけではありません。そこに専門家防衛庁の人がおると思うのでありますが、こういうものが外にはいられないほど落ちているのですよ。私は長官が事実を知らないために、部下の一方的な報告だけでこの問題を取り扱うという事実に相違する長官答弁には、満足するわけにはいかないのであります。こういう事実は事実としてお認めになって、今後どうするかということでありまするならば、私も了解ができるのであります。傍聴席に今かような危険にさらされておる部落民の代表が来ておるのでありますが、この人たちから、身をもってその危険にさらされておるということが述べられるならば、長官もよくおわかりになると思うのでありますが、今長官は何か適当な処置をとって、そうした危険のないようにするというのでありますが、地元民といたしましては、あの射場を他に移してもらいたい、あそこから撤去してもらいたいというのがお願いであります。明治四十四年当時におきましては、あたりに人家も少かったでございましよう。地理的に見ても適当であったかもしれません。しかしながら、四十数年過ぎました今日におきましては、宇都宮市の一部になりまして、周囲耕地になっております。近くには学校も建ち、病院も建っております。こういう中に四十年前の射場がそのままにあって、しかも射撃方法等におきましては、戦争前の日本の軍隊の仕方とはまるきり違ってきておる。周囲事情も変っておる。こういときに私は長官が冷静に、かようなところにこの自衛隊射場を置くことが適当であるかどうかということをお考えになつて、あそこを撤去してもらいたい、これは部落民の総意であります。そういうお考えがおありであるかどうか、お聞きしたいと思います。
  6. 大村清一

    大村国務大臣 私が報告を受けておりますところでは、さきに申し述べました通りでありますが、御質問の中にありました事実は、私がここに述べましたことよりもなお別の事実もございまして、われわれこの演習場の管理につきましては、御指摘になりました事実をさらによく取り調べまして、そうして地元の大衆に御迷惑にならないように、また危険のないようにする責任が私どもにあると痛感いたしておりますので、よく取り調べまして研究をいたして善処いたすつもりであります。
  7. 猪俣浩三

    猪俣委員長 ちょっと黒澤さんに、実は労働大臣がやむを得ざる用件で早く退出しなければならぬらしいので、そこでこの問題は一時ここで中止いたしまして、委員長からもお尋ねしたいこともありますから、防衛庁関係の人はもうちょっとお残りいただいて、それで別な調査に進みたいと思いますので御了承願いたいと思います。     —————————————
  8. 猪俣浩三

    猪俣委員長 次に調達庁人員整理に関し調査を進めます。  質疑通告がありますのでこれを許します。鈴木義男君。
  9. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 千葉労働大臣お尋ねをいたしたいのであります。  調達庁では定員法改正に基いて三百三十二名ほどの整理通告しておるということでありますが、これはやはりこの通り実行に相なる御予定でありますか、お聞きしたい。
  10. 千葉三郎

    千葉国務大臣 ただいま鈴木さんの御指摘の三百三十二名というのは、昭和三十年度において定員を圧縮するということに相なっております。従ってその趣旨に基きましてこれを整理しなければならぬと考えております。しかし現在の状況におきましては、なるべくそれらの諸君を路頭に迷わせないように、あるいは希望退職、あるいは欠員、そういうものを利用いたしまして、その犠牲者最小限度にとどめ、またできた犠牲者に対しましても、政府といたしましては就職あっせんの労をとりたい、かく考えております。
  11. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 千葉労働大臣完全雇用を理想としておられるようでありますから、この機会に、非常に就職の困難な時代に、そういう整理をやるということは、実際よほどお考えを願わなければならぬと思うのであります。もし希望退職者でその定員に満たない場合には、責任をもって政府が他の職業を与えるのでなければ、これはいかに定員法実施であると申しましても考えていただかなければならぬと考えます。その点について政府としてはこういう調達庁あり方、あるいは一つの臨時的な官庁とも見ることはできないのでありまして、その点についてどういうふうなお考えであるか承わりたいと思うのであります。
  12. 千葉三郎

    千葉国務大臣 ただいまの調達庁あり方につきましては、これは根本的に考えなければなりません。そういう意味から申しますと、調達庁の所管ということになりまして、これを労働大臣が兼ねることがいいのであるか、あるいは他に方法なきやということにつきましては、目下政府におきまして十分掘り下げて検討中でございます。
  13. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 その点は一応了承いたしますが、とにかく今非常に就職困難な時代に、ことにデフレの犠牲が深刻に及んでおるというときに官庁整理をすることは、われわれとしては最初言ったように、失業者をなからしめる条件のもとにおいて整理ができるならば、われわれも協力を惜しまないということを主張した一人でありますが、そのことは当時の当局者もわれわれに最大限度それを実施することを約束しておるのであります。現内閣もそのことは変りがないであろうと思いますが、いま一度念のために、この整理については慎重に、そして犠牲者を出さずにやるように御配慮願えるということを言明していただきたいと存ずるのであります。
  14. 千葉三郎

    千葉国務大臣 ただいま鈴木さんの御指摘のように、現在の経済不況におきまして失業者を出すということは忍びないことでありますので、われわれといたしましては、なるべく少数にとどめまして、またやむを得ざる少数の者に対しましても、政府就職あっせんをとるつもりでございます。なお詳細のことにつきましては福島長官からお答えしてもけっこうであると考えております。
  15. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 答えていただきたいと思います。
  16. 福島慎太郎

    福島説明員 調達庁整理は三百三十二名でございますが、これは昨年の法律によつて定まったところでありまして、私どもはこの法律の示された終りの日までに三百三十二名の整理を完了しなければならないということになっております。従いまして、三百三十二名に対しましては利用し得る欠員の全部と、募りました希望退職者の全部とを合せて処置したいと考えております。しかしながら利用し得る欠員の全部と、今日までに判明いたしました希望者の全部とを合計いたしました数と三百三十二名との間には、なお若干の開きがありますので、これは希望しない人の中から選ばざるを得ないという状況に立ち至っているわけであります。これはやり方の問題ではございませんで、そういう数の関係にならざるを得なかったというだけの問題でございます。希望しない人の中から数を選ばなければならないという事態に立ち至りましたので、これを無方針に放任いたしますと、全国各地に分れておる次第でありますので、それぞれの地域で違った方針のもとに人が選ばれるということがあってはなりませんので、私どもの方で一定方針を定めたということであります。それは能力とか頭のよしあしを論じますと、紙一重の問題で、その他むずかしい問題が起りますので、そういう尺度はとりたくない、はっきりした形式的な尺度をとろう。出勤常ならず、年のうち半分も出て来ないとか、多少そういう人々もおりましたので、そういうわかりやすい尺度で、人々の納得する尺度で、百人近くになりますが、百人を——これは希望退職者の数によって今後支配されるわけでありますが、全国的に一定基準によってとって参ろうということになったわけであります。これも何もここで職を離れてもらいたいという問題ではないのでありまして、六月ごろまでの問題でありまして、今日問題となっておりますのは、今年の六月ごろ職を離れる問題を今日論じているだけなのであります。一人も失業者なからしめるために、それぞれ個人的な事情に基きまして職を探さなければなりませんので、職を去る人を早目にきめまして、全力をあげて職を探そうという動機が、六月の退職の問題を今日論じておるということになりましてお騒がせしておるわけでありますが、問題は、六月に退職せざるを得ない人々の問題をそのときまで放任しておいて、そのときになって幾らやってみても職が見つからないというよりは、今日から話合いを始めて、本人もまたわれわれも全力をあげて職を探し、また関係方面にも交渉しよう、こういう態度でございますので、半年ばかりの時間を正規の時間よりもよけいにかせごうということから問題が始まっておるわけでございます。今日かりに希望するなりあるいは退職するなり、そういうことになりました人も、実際の退職の効果の発生は六、七月を過ぎてからでありますので、臨時待命という制度が多分できると予測しておりますが、相当の待命月数も出て参りますので、実際には七月なり八月ということになるかもしれません。しかし調達庁というのは新しい役所でございまして、従って勤務年限はみな短かい。よその役所のように、勤務年限によって待命期間を何カ月という臨時待命の定め方になっておりますが、役所が新しくて、そういう定め方がありましても均霑する者が少いということになりますので、早目に話をして職探しにかかりたいというのが私どもの今日の態度でございます。やめなければならない人の数は、今後なお退職希望者の出現をさらに希望したいと思いますので、確定はいたしませんけれども、三百三十二名から、利用し得るすべての欠員を利用いたしまして、それに退職希望者がそれを全部埋めるという事態には今日のところではならないということがわかっておりますので、かような問題となっておりますことを御了承を得たいと思います。
  17. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 大体長官説明を聞いておると、百人くらい足りないかのごとく聞えるのでありますが、このやめさせる標準というか、基準というか、それについて出勤常ならざる者というようなことを言われたわけですが、これはむしろ調達庁そのもの責任があるのじゃないかと思うのであります。好んで出勤常ならずという人もないと思います。そういう基準でこれを退職させるということになりますと、また一つ問題が起って来るのではないか。この基準についてはっきりしたことを一つ承っておきたいと思います。
  18. 福島慎太郎

    福島説明員 その百人近い人たち基準をどう求めるかという問題は、なかなかむずかしいところであります。この出勤常ならざる者についても、責任調達庁自体にあるのではないか。調達庁が職場として適当な環境になっておらない、他の官庁に比べてはなはだ勢威ふるわない、従って働きたくても働く元気にならないということは、調達庁組合員諸君の言っておるところでもありますし、これは否定できない面もあるかもしれないと思います。しかしながら、希望者退職すべき者との数が合わないときに、だれかを選ばなければならないときには、もともと調達庁側にそういう責任があるにいたしましても、これは比較上の問題でございますから、よりよい態度で働いている者と、多少態度の劣る者との間の問題でありますので、だれかを選ばなければならない以上は、そのもとに役所としての責任があるということはあるかもしれませんけれども、よりよい者を残すということにならざるを得ないのではないかと思います。
  19. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 ここでは方針だけを承りまして、あまりこまかい問題を論ずることはいかがかと思いますから、私は質問を留保しておきます。調達庁あり方については、千葉労働大臣も言われまするように、むしろこれは行政管理庁の問題でありますから、適当な機会にその方面で伺うことにいたしたいと思います。私の質問は一応これでとどめすます。
  20. 猪俣浩三

  21. 田中稔男

    田中(稔)委員 今この三百三十二名の整理は、利用し得べき欠員の数及び希望退職者数をもって充てるという御説明でありましたが、それでもなお百名足りないわけでありますが、欠員の具体的な数、それから希望退職者の今日までの申し出の数、それを一つはっきりお聞きしたいと思います。
  22. 福島慎太郎

    福島説明員 調達庁の持っております欠員の数は相当たくさんございます。百五十ございます。希望退職申し出ました者は百三十ございます。三百三十二でございますから、その両者を合計したものを引くと五十となるわけでございます。しかしながら百五十の欠員を全部利用できないという実情調達庁はあります。それは札幌調達局仙台調達局その他ございますが、配置転換に応じないという組合方針でもありまするし、そういう実情でもある。札幌調達局は今日四十人近くの欠員を持っております。仙台調達局も十人近くの欠員を持っております。その他調達庁の組織は各地調達局に分れ、それから先は調達事務所、派出所、出張所というように分れておりまして、全国の僻遠の地にわたっております。八戸、三沢といった調達事務所とかそういうところに欠員が転在しておるわけであります。これらに対しましては、調達庁職員配置転換希望しない。組合強制的配置転換絶対反対ということを言っておる。しからばこれらに人を補充するということは、現在の職員をもってしては、今日の組合態度をもってしてはできないということになれば、新規の者を採用する以外に方法はないが、新規採用また反対ということを言っておるわけでありまして、解雇時期に新規採用反対という理屈もわからぬわけではありませんので、私どももできるだけ新規採用はしたくないと思っております。そういたしますと埋められない欠員というものがある。欠員を全部利用したければ配置転換に応じてもらいたい。応じないならば欠員は利用できない。事実でございます。方針ではございません。従いましてそれらを集計いたしますと七十幾つというものが利用できない欠員になりまして、利用できる欠員は七十ということになるわけでございます。
  23. 田中稔男

    田中(稔)委員 組合諸君あたりに聞きますと、本人退職希望しても、その希望を受け付けられない。そうして希望しない者に対して幾らか強制的な勧告が行われておるということであります。そのことについては何でも調達庁の方でリストができておって、好ましくないような人についてはそういうふうな処置をとられておるということを聞いておるのでありますが、今長官もいろいろな基準をあげられましたが、鈴木委員基準についての御質問に対しましても、明瞭な御答弁、満足な御答弁がなかったと思います。何かそういうリストみたいなものをつくってマークして、これはどうしてもやめさせたいというような方針をとっておられるそうでありますが、そういうリストができておりますか。
  24. 福島慎太郎

    福島説明員 リストはできております。できておりますけれども、これとこれとをやめさせるというリストではございません。先ほど申し上げましたような考え方に基きまして成績順に残る者と去る者との間に不公平を生じないようにということで考えたリストがあるわけでございます。調達庁官庁として人事院の規則に基いて行動いたしておりますので、要求されております勤務評定その他もございますし、また出勤その他の調査もいたしております。そういうものに基いて調べができておりますので、それにさらに検討を加えまして、希望退職者によって目的を貫徹しない場合にやめてもらう相談を持ちかける人のリストというものがあるわけでございます。しかしながらそのリストのどこまでをやるかということは、希望退職者の数のきまり方でそのリストのどこまでが来るかということは、末の方はきまらないことになります。希望退職者は今後とも希望申し出を待ちたいと思っております。  なお希望退職者のうち、調達庁の側で希望されても断わるというのがあるそうだというお話でございましたが、それもございます。しかしながらこれはそう大した数ではございません。そういう実例も幾らもございません。私が今日調達庁をお引き受けしてやっておるわけでありますけれども、私自身もそうこの仕事に通じておるわけでございませんので、そうやたらに希望申し出られましても、たとえばここに人事課長が参っておりますが、この人事課長に申し出られましても許可することはできない、こういうことになりますので、大小の相違はございますが、許可することのできない人がおるわけでございます。申し上げましたように僻遠の地の調達事務所にだれも行ってくれないのが実情でございますので、そこにおる人が希望されましても、たとえば地位が低くても、ちょっと待ってくれということを言わざるを得ない事情があるわけでございます。
  25. 田中稔男

    田中(稔)委員 そのリストの作成に当って、勤務成績ということのほかに、何か政治的な傾向というものを基準としてリストを作成されたということはありませんか。
  26. 福島慎太郎

    福島説明員 政治的の傾向をもって作成したということは絶対にございません。
  27. 田中稔男

    田中(稔)委員 なおそのリストを作成するに当って、アメリカの軍当局の方の意向というようなものを参酌されたということはありませんか。
  28. 福島慎太郎

    福島説明員 絶対にさようなことはございません。
  29. 田中稔男

    田中(稔)委員 それでは労働組合の方と、何かこのリスト作成について御相談になったことはありますか。
  30. 福島慎太郎

    福島説明員 労働組合と相談したことはございません。しかしながら組合にこういうことは申してあります。われわれはこういう基準に基いて、こういう信念に基いて作ったのであるけれども、今後予告とか勧告とかいう面で、そういう人が逐次組合側にも知られて来るであろう、その際一人々々について、これは違っておりはせんかということに意見があるならば、一々調べ直しもしてみるし、相談もしてみる。どうせ組合も話に来られるでありましょうが、話してみることに異存はないという意向は表示してあります。
  31. 田中稔男

    田中(稔)委員 現在リストに載っております人員の総数は何人ですか。
  32. 福島慎太郎

    福島説明員 これは百二十くらい用意してあるわけであります。と申しますことは、利用し得る欠員が七十ちょっとでありまして、今日まで退職希望申し出ました者が百三十であります。従って今後退職希望者がふえない限りは、三百三十二に達するまでの用意ができていなければならないという意味におきまして、百二十くらいの用意ができてあるわけであります。欠員の方はふえて来る見込みがありませんので、希望退職者がふえるということが、この数を減らして来るという唯一の要素であります。従いましてこれはどこまでになるかということは今申し上げるわけに行きかねますけれども、今日までかなり長い間かかりまして希望退職者も募りましたし、それから調達庁というものは一万一千人から今日の三千七百人まで毎年々々減って来たわけでありまして、毎年々々こういう話をしておるわけであります。従って去年のとき、今年は困る、来年までかんべんしてくれという話もあったわけでありまして、かなり前から百二十名くらいの話し合いというものは、この一万二千から三千まで減りました道中において、押せ押せにそういう候補者というものが表に出ておるという面もありますので、ほかの官庁事情とは若干違った面がございますということを御了承お願いしたいと思います。
  33. 田中稔男

    田中(稔)委員 今長官のお話には、整理を一方やりながら、余儀なく新規採用をして行く場合もあるというお話でありましたが、それは僻遠の地であって、そして組合側の意向もあって、配置転換もなかなかむずかしい。必要な人員をどうしても補充しなければならぬ。そういうような新規採用だけでなく、東京その他都会地においても新規採用しているというような事例はありませんか。
  34. 福島慎太郎

    福島説明員 新規採用という問題はやりたくないのであるということは、申し上げた通りであります。しかし先ほど申し上げました僻遠の地で人がなくなってしまうのを放任するわけに行きませんので、配置転換に応じてくれない限りは、そういうことで新規採用が行われる可能性があるわけであります。最近もそういう意味で四、五人の採用があったということは事実であります。なおそれ以外にしからば新規採用はないかというお話でございますけれども、それ以外にもあると思います。それは調達庁の仕事の性格が変って参るということであります。ほかの役所でございますと、一定の任務を持っておりまして、何十年も大体において変らないというのが当りまえなのであります。調達庁はわずかに歴史が七、八年の役所でありますけれども、その間に仕事の内容というものは非常な変遷をしておるわけであります。調達庁の過去におきます最も重点的な仕事は、需品の調達、特需、それと駐留軍のための建設、建築そういった面が大体調達庁の主要任務でありまして、今日残っております労務、不動産といった関係は、その当時はほとんど重要視いたしませんで、独立の部の中でもほとんどすみっこにくっつけられておったという状態であったわけであります。ところが調達庁の最も人数をよけい使い、最も主力を注ぎました仕事は、今日においては跡形もなくなってしまっておる。今日は労務の問題、不動産補償の問題、地域提供の問題といったような部門に分れておるわけであります。需品の関係は、わずかにこれは特需契約の紛争調停という関係になっております。従いまして過去において需品の調達をした人員、駐留軍建築物の建築に従事した技師、そういった主力というものは、今日の主力を注ぐべき仕事に関係がなくなっておる傾向がどうしても出て来るわけでありまして、特に最近に至りまして、御承知の施設特別委員会関係、地域提供の関係を外務省から移管されて来たということにもなりますので、これらは全然従来と違った対米交渉の面を百パーセント持っておる仕事になります。契約の紛争調停という面も、日本の特需の持っておりまする全部の紛争調停にわたるわけでありますが、これはやはりアメリカ側との会議、並びにその内容が純然たる法律事項である。民間の弁護士にもお願いしておりますが、それに従事する者も法律並びに渉外関係専門家でなければならない。そういう性格上の変り方をいたしましたので、従来の人間ではそういう適者がおらないということもまた事実であります。従いまして仕事の内容ががらり変って参りますので、そのために人間を全部入れかえをするわけにも参りませんので、できるだけ最小限度新しい仕事に絶対必要な性格を持ち、技術を持つ人を入れざるを得ないという面がございます。
  35. 猪俣浩三

  36. 平井義一

    平井委員 この定員法につきましては、去る十九国会において、各省ともにこの内閣委員会で審議をいたして決定をしたわけであります。福島長官はそれに基いて整理をなさる。これは当然のことであります。ただ調達庁が特殊な任務を持ち、非常に忙しい、人間が今でも足らぬような状況であるというようなお話が、昨年の三月にありましたならば、内閣委員会といたしましてはもう少し考慮する余地があった、こう考えるわけであります。昨年定員法をわれわれは各省の意見を聞いてこれを通過さしたわけであります。そこで調達庁は特殊な任務で非常に忙しいということをわれわれも昨今感じたわけであります。演習補償その他で日夜努力をしておるが、その人数は決して今日でも間に合わぬような状況であるということを非常に感じましたので、これは福島長官ではございません、労働大臣並びに閣僚が、調達庁定員昭和二十九年度におい三百三十二人減さなければならぬが、何とか今の仕事の実情に沿うごとくこの人員を考慮しろということならば別でございますが、今さら職がないからどうするということではなかなか聞かれないし、また整理の対象も先ほど長官が言われた通り、やはり仕事をせぬ者をやめてもらうのは、これは日本のために当然の話である。リストができて、悪い者をやめさせる。いい者をやめさせるというわけには参りません。ただ他の役所から転勤をして来た、あと一年か二年すれば恩給がつく、そういう人をやめさせるというのも、これは無慈悲なことであろう。やはり若くても仕事をしない、なまける人を整理することは当然であろうと思う。私はそういう職がないからとかなんとかいう意味でなくて、調達庁の任務が非常に多忙であるというならば、閣議でこれを何とかしてもらう。同時に、やめたら困る。これは調達庁はまだ発足して間がないのでありますから、なるほどやめたら困る人も相当ある。やめたら困るというならば、どうしても整理せんければならぬ人間を、大村長官がちょうど見えておりますが、防衛庁に引き取ってもらう。それでこれを助けてやる。これは実際親心であります。ただ田中君のように整理するなと言ったって話にならぬのでありますから、首になったら困る、飯が食えぬからどうかしてくれというなら、防衛庁にお引き取り願いたい。仕事がどうしても忙しいならば、やはり閣議で、この人間は削るようになったけれども調達庁だけは助けてやろう、こういうふうに話し合いができぬこともない、こう私は考えておりますので、調達庁はほかの各省と違ってなかなか自然退職はございません。もう調達庁をやめたらほかに行くところがないという人が非常に多いようであります。自然退職はあまり期待はできぬと思います。その点一つ労働大臣、これはほんとうに親心を示してもらう以外に手はない。親心を示して、調達庁という特殊な任務で、しかもこれは防衛庁に非常に関係が深い、これは英語も知らなければならぬし、いろいろ特殊技能を持たなければ勤まらぬと思いますので、これだけは一つもう少しアメリカがおらぬことになって仕事がなくなるまで、定員一つとめてやろうかというようなことの御相談をお願いしたい。これは相談ができるだろうと思います。またどうしてもやらなければならぬというのなら、福島長官定員法に基いてやるのでありますから、大村長官とも話し合いを願いたい。あとは大村防衛庁長官は引き取ってやる親心があるかどうか。この二点を、労働大臣並びに大村防衛庁長官から伺いたい。
  37. 千葉三郎

    千葉国務大臣 ただいま調達庁職員に対する非常に御理解ある御発言でございましたが、実はこの点につきましては、所管の問題を根本的に考えないといけません。寄り寄り協議中であります。実は昨日も協議申し上げましたが、まだ結論に達しません。御指摘の点も多々ありまするので、今の防衛庁の所管にして配置転換ということも考えないではありませんが、そうしたような根本の問題につきましては、十分目下検討中でございまして、なるべく御期待に沿いたい、かく考えております。
  38. 大村清一

    大村国務大臣 ただいまお尋ねの点につきましては、御承知のように、防衛庁の方は年々ある程度の増員をいたしております。その反面におきまして、調達庁の方では年々減員という傾向にあるのであります。そこで従来とても防衛庁の減員の場合におきましては、その要員に適している者は、お話もありまして、できるだけこれを吸収するという努力はいたして来ております。今後もこの方針は堅持しまして、できるだけ御期待に沿うように善処する、こう考えております。
  39. 平井義一

    平井委員 政府一つ十分親心を示して、調達庁職員希望に沿うようにしていただきたい、こう思います。終りに私は、わが田に水を引いて非常に悪いのでありますが、先般福岡の調達局に参りましたが、ここは演習補償その他で日夜非常に努力をしておる。もしも三百三十二人ぜひとも整理せんならぬというお考えになりましても、福岡のあの現状を見られて、福岡の調達局におきましては、一人も減らさぬように、こういう御希望を申し上げまして私の質問を終ります。
  40. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 委員同士の発言で論争をすることは委員会で許されませんから、がまんしておきますが、われわれは昨年これを審議するときに、決して賛成したわけではないのでありまして、各官庁から、減員は実情に沿わない、またできないということのやかましい陳情があった。しかるに多数をもってこれは押し切ったものであります。そのことだけはここで一応述べておきます。
  41. 田中稔男

    田中(稔)委員 今平井委員から余った人は防衛庁の方に引き取ってもらいたいと言われたのに答えて、労働大臣は親心のある理解ある発言だと言われましたが、調達庁が将来防衛庁の方にでも移管されるというような見通しといいますか、方向があるものでございましょうか、このことにつきまして、この際政府のお考えを聞いておきたいと思います。
  42. 福島慎太郎

    福島説明員 そういう問題につきましては、私からお答え申し上げかねる問題だと思います。ただ今日まで調達庁を、退職といいますか、離れました者が防衛庁関係に、相当多数毎年御採用願っておるということは事実でございますので、その点私から申し上げておいた方がいいと思います。
  43. 田中稔男

    田中(稔)委員 大村防衛庁長官から防衛庁の立場では、どうお考えであるか伺っておきたい。
  44. 大村清一

    大村国務大臣 ただいま千葉国務大臣から述べられた通り、この問題につきましては検討中でございまして、まだ結論に達しておりません。申し添えますがいずれ結論を得ますれば、防衛庁設置法あるいは調達庁設置法という法律問題として御審議を願うことになると思うのであります。     —————————————
  45. 猪俣浩三

    猪俣委員長 先ほど宇都宮の練兵場の問題は中止していたのでありますが、黒澤君御質問がありますか。——黒澤幸一君。
  46. 黒澤幸一

    黒澤委員 先ほど防衛庁長官は私が申し上げましたような危険は、昨年の曳光弾射撃のときで、それ以前はないようなことを御答弁になったのでありますが、これは付近住民がそのつど射場に参りました部隊に、口頭で何回となく陳情しております。それ以外に宇都宮駒生町にあります駐在所の巡査に、そのつどその実情を訴えております。もし長官がそういうように事実と相違したことをお考えになっておりますならば、いつでも現地の駐在所の巡査がそのことはよくおわかりになっておりますから、お聞きになれば明瞭だろうと考えております。長官はこういう事実に対しまして今後御調査をなさるようなことをおっしゃっておりますが、先ほどの御答弁によりますと、撤去するというようなお考えではなくて、ただ何か土手を高くするとかあるいは網を張るとか、そういうことで一時を糊塗するように、防衛庁ではお考えになっておるようでありますが、その点についてそういうお考えであるかどうか、お聞きしたいと思います。
  47. 大村清一

    大村国務大臣 黒澤委員のお述べになりましたことと、私が入手いたしております報告との間におきましては、食い違いはないかもしれませんが、精粗が確かにあるのであります。そこで新しい事実につきましては、先ほどもお答え申し上げましたように、よく調査いたしまして、関係住民の方に御迷惑にならぬように、また危害等が起らないようなことを確保する趣旨で、調査の上で善処する、このことをはっきり申し上げておきます。
  48. 黒澤幸一

    黒澤委員 お尋ねが重複するのでありますが、先ほど申し上げましたように、現地住民は地理的に見ましても、また現在の射撃のやり方等から見ましても、あそこに射場を在置して置くということが、非常に危険である、そこで他に適当なところがありますならばそちらに移転をしてもらいたいというのが偽わりのない要望であります。長官におきましても実地をなお御調査を願いまして、住民の将来のそうした危険を根本的に除去する意味におきまして、どうか撤去のできまするようお願いしたいのであります。  なお新聞紙の報ずるところによりますると、栃木県塩谷郡玉生村方面に適当なところを見つけて移転をするというようなことを報道せられておるのでありますが、その土地にはたくさんの開拓団が入植しております。そういう方面から新聞に伝えられておりまする栃木県塩谷郡玉生村の土地は適当ではないと考えているのでありますが、そういう御計画があるかどうかお聞きしたいと思います。
  49. 増原恵吉

    ○増原説明員 宇都宮射撃場の問題は先ほど長官からお答えをいたしました通り、危害を及ぼさないように十分調査の上善処するつもりでありますが、またかえ地を探しまして移転をするという方向をきめて調査をいたしておるという段階には至っておりません。
  50. 黒澤幸一

    黒澤委員 数年間にわたる多量の射撃のために周囲住民は非常な迷惑、損害をこうむっております。こういう物的、精神的な損害に対しまして、防衛庁といたしましてはどういうことをお考えになっておりますか。
  51. 大村清一

    大村国務大臣 ただいまのお尋ねにつきましてはさきに申し上げましたように、人畜等に危害を及ぼしたような具体的な事実まではないと報告を受けているわけでありますが、しかし昨年の夏のできごともございましたので使用を停止して、今危害防除に努力をいたしております。そうしてその設備がうまく行きますれば将来再開することもあるでありましょうが、今その設備中であります。なおまたお話のような根本的の問題も、この問題を研究の結果あり得ることと思いますから、それらの点も含めて善処いたすつもりでおります。
  52. 黒澤幸一

    黒澤委員 どうも長官の御答弁を聞いておりますると、現在の射場を適当な処置をとって継続して行くというふうなお考えのようでありますが、私はそれだけでは被害を除去するということはできないと思います。先ほど申しましたように音響のために近くの小学校の授業に影響を与え、また二キロほど離れたところの国立療養所宇都宮病院安静等にも影響を与え、また現地周辺の家庭の病人等が非常に困っているようであります。そういう音響等を除去するということは、ただ敷地を改めただけでは解決できないのでありまして、どうか先ほど申し上げましたように耕地の中にあるのですから、しかも明治四十四年にできたのでありますから、もう地理的ないろいろな条件が違って来ておるのでありまして、どうかそういう点を御考慮願いまして、根本的な解決策といたしまして、この射場を適当なところに移すということについてなお格段の御考慮を願いまして、私の質問を終ります。
  53. 平井義一

    平井委員 関連して質問をいたします。北九州の一角に旧海軍の飛行場、現在アメリカの射撃場があるのでありますが、御承知のごとく海岸でこれが実弾演習をやっておる。演習補償はいただいておるのでありますが、最近わが航空自衛隊がジェット機の演習をやるために朝な夕なにジェット機を飛ばす。その爆音で魚がまったくおらぬようになってしまった。私は先般郷里に帰りまして漁業代表が集まったときに東条内閣ならどうするか、東条さんなら何を言うても待ったなしだが、アメリカは相談に乗って補償をくれるからしんぼうしてくれと、こう言うたのでありますが、アメリカならまだよいのでありますけれども、それに加えて日本の航空自衛隊が日夜ジェット機を飛ばす、この音で魚がおらなくなってしまう、こういうことですから私はおやめなさいとは申し上げませんが、現在調達庁で補償をしてくれておる補償金に何ぼか足して漁業者に補償してやるという気持があるかどうか、防衛庁から一つ調達庁にお話を願って、千万円もらっておるところならあと五百万円もらってくれぬかと、こういうような交渉をしてやってくれなければ、実弾演習がないときにほとんどジェット機を飛ばしてもう魚はおらぬようになってしまった、こういうような現状ですから私はできるだけ日本のために言うまいと思ったけれども、先ほど何県かの話がありましたので、これに関連をして一つやはりこれも大村長官にお願いをし、御答弁をお願いしたい。
  54. 大村清一

    大村国務大臣 私具体的事実を心得ておりませんので、抽象的になりますが、御指摘の点につきましてはよく考慮いたしまして、これも善処いたします。     —————————————
  55. 猪俣浩三

    猪俣委員長 次に南方連絡事務局に関し、沖繩に在住する日本人実情等に関して調査を進めます。質疑通告がありますのでこれを許します。田中稔男君。
  56. 田中稔男

    田中(稔)委員 最近新聞紙上で問題になっておりますところの沖繩における問題であります。すでに御承知の通りアメリカにあります国際人権連盟の議長でありますロジャー・N・ボールドウィン氏から日本の自由人権協会理事長海野晋吉氏にあてて一通の手紙が参ったのであります。その要点は沖繩で合衆国当局が一方的にきめた非常に低い対価で土地を強制買収し、その土地を非常に高い使用料をとって貸し付け、土着の地主たちを虐待しておるということです。これに対して沖繩人たちが抗議しましたが、米軍当局はそれを共産主義者だと応酬しています。私たちは沖繩に通信員を持ちませんが、貴協会には連絡の方法があると思いますが、右御調査方をお願いします。こういうことであります。自由人権協会はさっそくこの手紙の内容につきまして調査を行ったのでありますが、その結果非常に驚くべき事態が次ぎ次ぎに明らかになっております。土地の問題につきましては沖繩におけるアメリカの軍用地の総面積は沖繩の全耕地面積の四一%に達しております。しかもその軍用地の地代として一昨年九月講和発効後初めて支払われた分につきまして調べますと、畑三百九十三坪に対し年に六千十二円、これは日本円に換算したものでありますが、坪当り十五円余り、月割りにいたしますと、坪わずか一円二十七銭五厘、これは畑地の場合でありますが、山林などに至りましてはさらにひどいのでありまして、登記上の一筆当り、これは平均約三百坪でありますが、それが年にわずか十円という低い地代であります。こういう状態である。ところが問題は土地問題だけではないのでありまして、労働問題あるいは人権問題その他について驚くべき事実がいろいろわかってきたのであります。労働問題に関して申しますと、労働者の賃金が非常に悪い、しかもそれが人種的に差別待遇を受けておる。具体的な例を申しますと、一時間当りの給与が、アメリカ人については最高七百五十二円二十銭から最低百二十五円二十銭、フィリピン人につきましては百九十六円八十銭から四十八円、日本人につきましては四十五円から二十五円、しかるに土着の沖繩人につきましては最高二十五円から最低は実に九円五十銭という低額であります。こういう状態である。そうしてこういう安い賃金をもってしてはとうてい人間として生活することができない沖繩の現状であります。  さらにまた一般的な人権の問題としましては、昨年七月起りました人民党の事件であります。この人民党という政党は共産党ではないのでありますけれども、これをあたかも共産党であるかのごとくに取り扱いまして、その党の中央委員であります林某という人、それからまた全沖繩労働組合連合会の事務局長であります畠某、この両君に対しまして強制立ちのきを命じたというのであります。そうしたら二人とも姿をくらましましたが、その後畠氏だけは逮捕されまして、一年の懲役の後強制送還という判決が行われたそうであります。しかもこういう裁判に当りましては弁護士をつけることができない。日本から自由人権協会などがあっせんいたしまして弁護士を派遣しようとした。そうして日本の外務省ではその弁護士の渡航を許したのでありますけれども、沖繩の方でアメリカの軍当局がこれを許可しなかったというようなことであります。こういうふうないろいろな問題が起っておりますが、これにつきまして、自由人権協会が世界の世論に訴えるという活動を始めておることは御承知の通りでありまして、また近くインドで開かれますところの世界の……。
  57. 猪俣浩三

    猪俣委員長 田中君に申します。それはアジア法律家協会のカルカッタの大会です。
  58. 田中稔男

    田中(稔)委員 その大会の席上でもこれは報告されるはずになっております。こういう問題が起っておりますことにつきまして、外務省あるいは内閣南方連絡事務局ですか、そういうところではこれは十分おわかりになっておると思いますが、どういうふうな実情であるか、一つ今までいろいろおわかりになっておることがあればおっしゃっていただきたいと思います。
  59. 石井通則

    ○石井説明員 ただいまの沖繩における自由人権協会の調査に関しましては、私どもも十分協会の書類を見、また新聞報道をよく読んではおります。ただ私どもの仕事の所管といたしまして、沖繩におけるアメリカ合衆国の管理権に基きます内政問題に関しましては調査の権能を持っておりませんので、この問題について詳しい調査はいたしておりませんし、またやる方法がないのでございます。ただ内地においていろいろ断片的に聞きました事項、あるいはまた現地の新聞報道等に基く各種の記事の事項等に関しましては絶えず関心を持って見ておるのでございます。現在この自由人権協会の報告実情が正しいかどうか、そういうことにつきましては現在のところ何とも申し上げる程度の調査はいたしておりません。
  60. 猪俣浩三

    猪俣委員長 実は官房長官が議運が開かれておって出席をしきりに要求されておる。そこでちょっとこれを中止しまして、官房長官に対する質疑をやって、官房長官の職務をなるべくスムーズに運転せしめるようにしたいと思うのです。そのかわり官房長官からも委員会の意思は尊重してもらわなければならぬ、こう思うのであります。  これは委員長から官房長官お尋ねすることがあるのでありますが、それは一月の八日に内閣委員長から、一月の十九日に内閣委員会を開いて鳩山総理大臣の出席を要求し、自衛隊あるいは憲法問題についての質疑をしたいと思いまして、官房長官内閣の専門員から交渉したのであります。そのときに官房長官は、これは四党の国会対策委員長の間で自然休会中は委員会は開かないという申し合せがあるので開かぬで願いたい、鳩山総理も従って出られないという御答弁があった。私はこれは旅行の直前であったためにそのまま旅行いたしまして帰ってきたら、もう日が差し迫って十九日にできなくなった。そこで社会党の国会対策委員長に、一体かような申し合せをしたのかどうか私は聞いてみましたところが、そんなばかげた申し合せをする道理はないじゃないか、猪俣君ちょっと変になったんじゃないかというようなひやかされた形であります。いやしくも官房長官言葉であるがゆえに私は念のために確かめたのでありますが、さような冷笑をもって報いられるようなことになりました。そこで官房長官はかような回答をなされたかどうか、なされたとするならば、四党と称するのは社会党を入れない四党のことなのかどうか、あるいはまたこういう申し合せはあったのかないのか、これに関する御答弁を願いたい。そこで私は二十一日、本日に変更いたしまして、なお鳩山総理大臣の出席を要求したのでありますが、これは本会議が開かれるので出られない、こういう答弁で拒絶をするのじゃないかと思ったから十九日に開こうとしたところが、これは四党の国会対策委員長会議で開かぬことになっているのだ、こういうような御説明。そうすると、内閣委員長はなはだかなえの軽重を問われることになりまして、自由党の平井あたりからひやかされておってまことに困る。そこでこれに対する御答弁をお願いいたします。
  61. 根本龍太郎

    ○根本政府委員 先般専門員の方から、ただいま委員長の申されたように、内閣委員会を開くからと、総理の出席を求められましたことは私も承知しております。そのときに、当時総理が非常に日程が込んでおりまして、出席困難の旨を申し上げました。なおその際に、私が四党国会対策委員長会議において、そういうような取りきめがあったように記憶する、従いまして、でき得ればそのようにしていただきたい、こういうふうに申し上げたことは事実でございまするが、もし私の聞き違いでありますれば別でございますが、私は四党国会対策委員長が、休会中のいろいろの運営についてお話があった際に、休会中はできるだけ委員会を開かずに、再開国会に臨もうじゃないかというような話合いをしたということを耳にしておりましたので、さように申し上げた次第でございます。
  62. 猪俣浩三

    猪俣委員長 官房長官お尋ねいたしますが、それはあなたどなたから聞いたのです。私どもの社会党の国会対策委員長は、てんで私を冷笑したような返答をしておられる。このあなたの聞いた四党という中には、左派社会党は入っているのですか、入っていないのですか。どなたからあなたはそういうことをお聞きになったか。
  63. 根本龍太郎

    ○根本政府委員 これはわが党の国会対策委員の方からさような、今度のいわゆる自然休会中には、なるべく委員会を開かないようにしようというような話合いを申し入れておるということを聞いておるので、その点を申し上げた次第です。従って、私は左派社会党もそういうお話合いの中に入っているのじゃないか、かように考えた次第でございます。
  64. 猪俣浩三

    猪俣委員長 これは、さような国会対策委員長の間の申し合せがなかったであろうことは——一月十九日には人事委員会が開かれておるのです。そういう次第ですから、官房長官が、さように軽々に判断されたことは遺憾に存じます。これは遺憾の意を表しますが、それは済んでしまったことで仕方がない。そこで本日も出席を要求した。ただ官房長官及び委員の方々にもお話申し上げたいと思うことは、鳩山総理に委員会に出席してもらってその所信を聞きたいという理由は、これは選挙を前にいたしまして、鳩山内閣並びに民主党、この内閣並びに政党が、大きな国策についてはっきりした態度を示して選挙に臨みたい。これは公明選挙を行う最も大切なことです。党の政策に興味を持たせて選挙を戦うことによって公明選挙を推進する。そのために鳩山さんの心境をお聞きしたかった。なぜかと申しますと、鳩山総理は、野にあった際には憲法改正論者である。これは明白なことである。自由党を脱党し、また自由党に復党なされたいきさつからも、ダレス長官と話された、われわれが聞いております話の内容からもこれは明白であるのみならず、自由党の憲法調査会の会長をやった岸信介氏は、今幹事長をやられている。その他元帥などと異名をとっております芦田さんあるいは重光さん、こういう方々が党の中堅となっているのでありますから、民主党の性格というものは相当はっきりしているのじゃないか。しかるにどうもこの憲法改正問題について態度をはっきりしない。これはやはり委員会で一問一答によって、ほんとうに鳩山さんの赤裸々なる所信を承わって、これを天下に公表し、よってもって選挙に臨むということが、お互い議会政治、政党政治発達のために必要じゃないかという意味で、事はなはだ重大と考えまして、総理であり民主党の総裁であります鳩山さんの出席を要求したのであります。ほんとうは憲法改正問題などというものは、国会が発議するのでありまして、一体内閣質問するということは順序が違うのでありますが、実はただ平の大臣——平の大臣というのは軽蔑して言う意味ではありませんが、党の総裁ならざる大臣に質問するということはどうかと、これは私は疑問があるのであります。そこで民主党の総裁であり総理大臣である鳩山さんに出席いただいて、責任ある言明を選挙前にしていただきたい。きょうの朝日新聞の論説にも、この憲法問題を明らかにせよということを要求しております。これは世論だと思う。その意味で私どもは出席を要求したのでありますが、どうもきょうまで出席なさらない。そこでそういう趣旨のもとに鳩山さんに出席を要求するのでありますがゆえに、これに対して根本官房長官は、いつ一体鳩山さんを出席さしていただけるのか、あるいは解散まで絶対出席できないのかどうか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  65. 根本龍太郎

    ○根本政府委員 ただいまの委員長お尋ねに対しまして、私はまだ総理にいつ御出席になるか打ち合せておりませんので、今日いつ御出席になるようになるかということを答弁いたしかねるのでございます。しかし明日に予定されております総理の施政方針演説におきましては、明らかにこの憲法改正問題に関しまして所信を申し述べられることと私は信じている次第であります。
  66. 猪俣浩三

    猪俣委員長 なお根本官房長官お尋ねいたします。これはお願いになるかもしれませんが、今申しましたような委員長の趣旨に基いて、委員会に出席を要求しておるのであります。御存じのように本会議におきます抽象論では事がはっきりせざるのみならず、さような言明は前になさったかもしれませんが、私どもは事を国民の前に明らかにするために、詳細なる質問の要綱を研究して持っておりますし、内閣委員会は、きょう委員各位にお配りしましたような厖大なプリントまでも作成いたしておりまして、これはわが国の民主政治完成のための努力の一つだと考えておりますが、吉田総理大臣と違って大いに民意を尊重されると聞いております。また国会に対しまして特別に信頼をされていると聞いております鳩山総理大臣に対しましては、強く私はその出席を要求してやみません。これは本会議でできる範囲と、それから委員会で一問一答しなければ明らかにならぬ範囲とがありますので、本会議は本会議といたしまして、委員会にはやはり出席をしていただきたいことを、私ども熱心に希望いたします。その趣旨は、何も足の悪い鳩山さんをいじめてやろうなんという意味は毛頭ないのであります。だから議論は私はしないでもいいと思います。ただ私どもの疑問に対して、自分たちはこういう所信を持っている、その所信さえ明らかにしていただければ、それはいいの悪いのと議論しないでいいと私は思う。少くとも今新聞論調を見ましても、その他の評論家の論調を見ましても、民主党の再軍備問題、徴兵制の問題、憲法改正の問題、この大いなる問題については、何か割り切れないものがあることを一斉に論じておりますので、これは民主党のためにも、鳩山内閣のためにも、事を明らかにして選挙に臨みなさることが、得策じゃないかというふうに考えておるのであります。そこでその趣旨に基いて、官房長官から鳩山総理大臣の出席をぜひ実現するよう御努力願いたい。これは強く要望しておきます。  ほかに何か御質問ありませんか。ただお願いがありますが、実は官房長官は恵三議院運営委員会から呼ばれておりますので、これはさきの約束通り議運に出席していただきたいと存じます。ただ私の質問だけで勝手だという非難もありますためにごく短かく……。
  67. 長谷川峻

    ○長谷川(峻)委員 今ここへ官房長官に来てもらったことは、四党国会対策委員長会議において、自然休会中には委員会を開かないというふうに了承しておったがために来れなかったという御答弁があった、それに対してその釈明なり事情説明してもらうために官房長官に来てもらった。それに対して委員長は自分の方だけ遺憾の意を表したが、その点はっきり了解させ切れなかった官房長官が遺憾の意を表すべきだと思う。遺憾の意を表するのは委員長でなくて、官房長官ではなかったかと思う。官房長官一つ答弁を願いたい。
  68. 根本龍太郎

    ○根本政府委員 先ほどお答えした通りでございまして、私が申し上げたのは、はっきり取りきめたというのでなくて、なるべく休会中は常任委員会を開かないようにしようじゃないかということを話し合いした。その趣旨に基きまして、総理も当時非常に多忙でありましたから、でき得るだけ出席しないようにしていただきたい、かように申し上げた次第でございます。従いまして、私の申したことについて委員長に御迷惑をかけたということは、私も遺憾に存ずる次第であります。
  69. 平井義一

    平井委員 せっかく官房長官が見えておるのでありますから申し上げますが、先ほど委員長が言われた自衛隊、憲法問題というものは非常に重大なものであります。これは日本の運命をかけた問題でありますから、これに対して大村長官ならば大体私はわかると思いますけれども、社会党からなお大村さんでは満足がいかぬという話がしばしば出て、でき得れば総理大臣が来て——総理大臣も病人だからちょいちょい話も変りましょうけれども、ここで自分はどうだというほんとうの信念を披瀝すれば、われわれといたしましても、来たるべき選挙に処して、今の内閣は憲法に対してどうだ、自衛隊に対してどうだという心がまえができるのであります。承わりますれば本日はからだが悪くて帰って寝たという話でありますから、きょうの間には合いますまいが、いずれ解散までに官房長官が時を見計らって、でき得ればごく短時間でも出席してもらって所信を明らかにするという申し込みを官房長官から総理にしていただきたい。本日は幾ら責めてみても、音羽に帰って寝ておるのだから、それを連れてくるということは残酷ですから、そういうふうにお願い申し上げたい。     —————————————
  70. 猪俣浩三

    猪俣委員長 それではさきの中止いたしました沖繩問題の調査を進めます。田中稔男君。
  71. 田中稔男

    田中(稔)委員 今内閣南方連絡事務局長の御答弁を聞いておりますと、実にたよりない限りであります。沖繩における日本人の問題についていろいろ調べることは、何か内政干渉みたいなことになるようで、そういうことはできないということを言うのでありますが、外務省のアジア局長が見えておりますから、アジア局長お尋ねいたしたい。  朝日新聞の一月十四日の朝刊にも載っておりますが、沖繩問題につきましては、アメリカの権威筋でもこの問題の所在をはっきり認めて、真剣に対策を準備中だということを書いております。こういうふうにアメリカでも大きな問題になっている。しかも事は日本に関する問題であります。アジア局長はこの問題についてどうお考えになるか、お伺いいたします。
  72. 中川融

    ○中川説明員 沖繩の問題につきましては、これはすでに相当前から現地においていろいろ、たとえば土地の問題でありますとかその他の問題につきまして不満があるということは、これはわれわれも間接ではありますが、聞いておるのであります。なお沖繩における立法院におきましても、この問題につきましてはある種の決議をいたしまして、ワシントンにそれを送付してあるというような事実もございます。ワシントンでもまたこれを取り上げて問題としておるのではないか、かようにも観測いたしております。従ってこの問題は必ずしも現地限りの問題ではなく、日本におきましても今回の新聞発表等もございまして、大きな問題となっておりますと同時に、アメリカ本国においても、この問題があるということにつきましては認識しておるのではなかろうか、かように考えております。  なお沖繩の問題につきましては、平和条約発効以後、歴代の政府がいつもアメリカ側と接触しておるのでありまして、その結果、昨年の末には奄美大島の返還はこれが実現を見たのであります。しかしながら自余の琉球列島につきましてはいまだその実現を見ていないのでございます。これは国際状況の緊張というような結果のために、アメリカ側としても考慮がどうしてもおくれるという実情にある模様でありまして、外務当局といたしましては今後も引き続き、この一連の問題につきましては努力を重ねていきたい、かように考えております。今回の新聞に発表になりました自由人権協会のいろいろの調査というものの内容につきましては、ただいま南方連絡事務局長から御説明のありました通り政府としては果してこれが真相を尽したものであるかどうかという点につきまして、いまだ調査が完了いたしておりませんので、さらに調査をできる限りの方法によりましていたしたい、かように考えております。
  73. 田中稔男

    田中(稔)委員 今まで調査されていないことは非常に怠慢でありますが、自由人権協会から、相当長い時間をかけてまとめております調査が発表され、さらにこれに対しましてアメリカの極東軍が非常に長文の反駁の文書を発表しております。この極東軍の発表に対しまして自由人権協会はさらに反論を加えておる、こういう事実がある。日本の国民は全部それを読んでおります。これについて一言も所見を述べることができないということでは困ると思うのでありますが、どうでありますか、一つ何らか御所見を承わりたいと思います。
  74. 中川融

    ○中川説明員 今回朝日新聞に載りました自由人権協会の調書の内容、それからそれに引き続きましてアメリカ軍当局で出しました反駁文の内容と比べてみますと、相当の隔たりがあるのであります。政府としては、この両者を比較検討いたしまして、どのような判断をすべきかということにつきましては、十分慎重にこれを取り扱いたい、かように考えております。今後、われわれの持っております方法、手段というものは限局はされておりますが、その範囲内におきまして、でき得る限りの努力をいたしまして、この真実の調査に努力いたしたい、その調査を待ちました上で、しかるべく適当な措置をとることにいたしたい、かように考えます。
  75. 田中稔男

    田中(稔)委員 石井局長のお話では、沖繩の内政に関するような調査をすることはできないようなお話でありましたが、アジア局長一つ調査をしたい、こういうふうなお話でありましたが、ただ調査をしたいというだけのお話では困るのでありまして、一体調査をする場合には、調査をする権限はあるのかどうか、またどういうふうな方法で、およそいつごろまでこの問題を調査しようとお考えになっておりますか、具体的にお聞きかせ願いたい。
  76. 石井通則

    ○石井説明員 南方連絡事務局は、御承知の通りと存じますが、設置法に基きまして那覇に日本政府那覇南方連絡事務所というものを設けております。これはアメリカ側の招請状によって設置いたしたのでございまするが、この事務所の活動範囲は限定されております。従って本土と南西諸島との間にまたがる渡航、あるいは日本本土から南西諸島に渡航しまして、そこに滞在しておる日本人の保護とか、あるいは恩給、給与、その他懸案事項の処理とか、あるいは貿易、文化等の交流、いわゆる本土と南西諸島との関連問題につきましては、その仕事のこまかい取りきめをいたしております。しかしながらその招請状にもあるのでございますが、沖繩における沖繩住民に対する諸般の行政上、政治上の管轄権は持っておりませんし、またそのきめられた範囲以外のことにつきましては、直接現在のところこれらを取り扱って行く権限も与えられておりませんので、南方連絡事務局並びに事務所といたしましては、この問題を正式に調査するという権限はございません。ただ内地におきまして居住しておる人、ことに沖繩出身者の方々で、現地に土地を持っておるというようないろいろ関連の深い方もありますし、沖繩からこちらに渡航せらるる方からいろいろ事情を聞くことができるわけでありますが、そういうような一つ調査方法と、もう一つはアメリカの民政府に話しまして、いろいろな資料を提供してもらうということがもし可能であれば、その範囲の調査もでき得るかと思います。今後調査につきましては、南方連絡事務局といたしましても、外務省と絶えず緊密なる連絡をとりまして、でき得る範囲の実態の把握ということはいたしたいというように考えておりますが、ただその条約上あるいは法律的な権限として、現地において調査の権限を持っておりませんので、どの範囲まで調査でき得るかということは、今日申し上げる段階にないと思うのであります。
  77. 田中稔男

    田中(稔)委員 今のお話を聞きますと、南方連絡事務局なり現地南方連絡事務所で調査をすると言ったって、これはなかなか真相をつかむことは困難だと思うのであります。十分の権限もない。そこでアジア局長にお伺いしますが、こういう問題を一つ国連に持ち出して、国連が調査団を派遣するというように要請することはどうだろうか。しかしその場合日本は国連に入っておりませんから、直接にはできませんから、たとえば日本と平和条約を結んでおりますインドなどを動かして、インドのイニシアチブのもとに、この問題は世界における人権の問題でありますから、国連にそういう見地からこれを調査してもらうように働きかけたらどうか。これは外交上の問題になりますが、そういう考えについてアジア局長はどうお考えになりますか。これは大臣にお開きしなければならぬところでありますが、大臣は見えませんから、一つお尋ねします。
  78. 中川融

    ○中川説明員 琉球の状況がどうであるか、ことにあすこにおります住民、すなわち潜在的にいいますと日本人でございますが、日本人状況はどうであるかという問題でございますので、当然日本国とあすこを管轄いたしておりますアメリカ政府との間でしかるべく話し合いをするのがまず順序であろう、かように考えております。これを国連あるいはその他の第三国に調査を依頼するというようなことは、ただいまのところ順序から申しまして、とるべき策でないように外務省としては考えております。
  79. 田中稔男

    田中(稔)委員 問題は沖繩の地位にも関係があると思いますが、日本がサンフランシスコで結びました平和条約の第三条によりますと、沖繩は日本の統治権が及ばぬようになってしまった。こういうような平和条約を結んだ吉田内閣に対しまして、私どもが向米一辺倒として攻撃したことは御承知の通りであります。結局そういう向米一辺倒の外交の悲惨な結果がここに現われておるわけでありますが、一つ沖繩を奄美大島と同じように日本に返してもらうということがまず必要であると思います。こういうことにつきましては、現地の沖繩人はみなそれを要望しておるわけであります。昨年三月沖繩の立法府の選挙がありましたが、日本に復帰することを主張する立場の人々が圧倒的に勝ったわけであります。それ以来現地におけるアメリカの軍の態度は非常に強圧的になったのでありまして、日本復帰を主張する者は赤だ、日本復帰を主張する者は共産党である、こういうことになって、日本に復帰するということを口にすることがもう非常に危険だという状態になっております。日本本土に住んでおりますわれわれ同胞が沖繩の日本復帰を主張することは当然であります。そこでこの日本人の大きな世論というものに一つ耳を傾けてもらって、日本の外務省がもっと強い態度でアメリカに対して沖繩の復帰を要求してもらいたいと思いますが、現在までのところこの問題についてのアメリカ側の態度は一体どういうものでありますか。一つお伺いしたいのでございます。
  80. 中川融

    ○中川説明員 琉球列島全部につきまして日本に行政権を返してもらいたい、いわゆる沖繩復帰でありますが、返してもらいたいということは、従来からの政府の一貫した考え方であります。またその考え方に基きまして、米国側にも折衝を続けて来ておるわけであります。先ほど申しました通り、奄美につきましては一昨年すでに実現いたしましたが、自余の部分につきましては、そのときのアメリカ側の声明及びその後における毎年当初における大統領の教書等にも、現在の国際緊張が継続する間は現在琉球のその部分において行なっておる程度の管轄権は継続して持っておく必要があるということを、アメリカ政府ははっきりと声明いたしております。従って日本側として、アメリカ側としてはここしばらくの間緊張の続く限りあそこの管理権を保持しておきたい、かような方針でおるというふうに考えておるのでございます。その点は国際緊張の継続いたします限り、アメリカ側の方針は変りはないというふうに一応考えられるのではないかと思います。
  81. 猪俣浩三

    猪俣委員長 内閣法制局長官がお見えになっておりますので、委員長からちょっとお尋ねしたいと思います。現在の沖繩に関する法的な見解ですが、沖繩の領土権は日本にあるが、沖繩の国民は一体どういう国際法上の立場に立っておるのですか、法制局長官お尋ねいたします。
  82. 林修三

    ○林政府委員 今の沖繩の地位に関しましては、御承知のように、平和条約の第三条にその地位が書いてあるわけでございまして、そのときのサンフランシスコ会議等におけるアメリカ側の考えその他から考えまして、この第三条は日本が領土権、主権を放棄したものではないということは、当時からはっきりいたしておると思います。ただここにございますように、住民及び領域に対しては、米国政府が立法、司法、行政上のすべてのまたは一部の権利を行使する権限を有する、こういう意味において立法、司法、行政につきましては、日本政府としてはその住民、領域については何ら実際上の権限はない、こういう地位になると存じます。従って沖繩におります住民は、領土権があるという意味においては、日本国民ということは言えると思いますが、実際上あそこにおります住民に対して施政をやる権限は、すべて米国政府が持っておる、こういうことになると存じます。
  83. 猪俣浩三

    猪俣委員長 そうすると、国際法上沖繩の住民は、国籍は日本国籍だということになるわけですか、国籍はどこなんです。
  84. 林修三

    ○林政府委員 国籍という言葉になりますが、いわゆる日本の領土であるという意味において、日本国民という地位は失っておらない、かように考えていいかと思います。
  85. 猪俣浩三

    猪俣委員長 そうしますと、今言った条約で立法、司法、行政ことごとくアメリカが持つとなれば、あと何が残るかわかりませんが、理屈から言うと、アメリカの管理権以外のものは日本の憲法が行われるということになりますか。
  86. 林修三

    ○林政府委員 これは結局ここにあります立法、司法、行政のすべての権限をアメリカ政府が行使するわけでございますから、かりに憲法が行われると申しましても、実際問題として日本の法令があそこに働く余地はほとんどないのではないかと思います。ただこれは日本の法令の沖繩における関係でございますが、いわゆる身分法的なもの——日本国民というようなものについての身分法的なものは、一応観念的には沖繩の人間についても及んでおるということは考えていいと思います。ただ実際は、それに矛盾する沖繩における法令があれば、当然そっちが優先して働くということになるのではないかというふうに考えるわけであります。
  87. 猪俣浩三

    猪俣委員長 そうすると、原則として憲法が行われておるし、日本の法令も沖繩のアメリカの管理法令に違反せざる限り日本の法令が行われるものだという御見解でありますか。
  88. 林修三

    ○林政府委員 この日本の法令には、実は学問上から申しまして大体二種類ございまして、身分法的なもの、属地法的なものがあると存じます。属地法的なものは行政権の立場から沖繩には及ばない、かように考えてしかるべきものだと考えます。身分法的なものは潜在的にはやはり及んでおる。たとえば外国における日本人に対しても、同様日本の法令は潜在的にかぶっている、働き得る余地があれば働くと考えます。それと大体同じ関係にあると考えてしかるべきものと思います。
  89. 猪俣浩三

    猪俣委員長 なおもう一点。この沖繩におけるアメリカの行政の仕方が、いわゆる日本の憲法に掲げられておる基本的人権を侵害するというような場合においても、わが国としてはアメリカの行政に対して批判する、あるいは抗議する権限があるのであるか、ないのであるか。
  90. 林修三

    ○林政府委員 今おっしゃった点は、いわゆる沖繩における住民に対しての日本政府の外交保護権というような問題かと存じますが、これはやはり平和条約の第三条で、立法、司法、行政のすべての権限をアメリカ政府が持っております。従いまして、これに対して、法律的に日本の住民が外国において受けた待遇について、いわゆる外交保護権をもって抗議するというようなことはできないのじゃないか。先ほど南方連絡事務局長からお話がありましたように、事実上の問題としていろいろ話をするということは、これはもちろん事実問題でありますから、外交交渉上可能だと思いますが、あらたまっていわゆる外交保護権というような形で抗議するということは、どうも出て来ないのじゃないかと思います。
  91. 田中稔男

    田中(稔)委員 先ほどアイゼンハワー大統領の教書の中に、極東における現在の緊張が続く限りにおいては沖繩は手放せないというような趣旨のことが述べられておるというような御説明がありました。私どももそういう趣旨に読んだ記憶がありますが、大統領の教書は権威があるものであります。そこでそういう方針を厳として打ち出しておるということに対して、日本政府が自分の国民に関する何らの意思表示もしないということはおかしいと思います。政府としてはこれに対して一体どういう態度で臨まれるか。何か具体的に外交折衝でも始められるのか、何らかの声明程度のものを発せられるのか、外務省としての態度一つはっきりしてもらいたい。
  92. 中川融

    ○中川説明員 政府といたしましては、先ほど御説明いたしました通り、従来から今日に至るまで、引き続きまして沖繩全部を日本に復帰させてくれるようにという態度をとっており、またその態度に基きまして主張しておるのでございます。声明等によりましてこの考え方を公示するというようなことは、ただいまのところ考えていないのでございます。これは声明等によって交渉するよりやはり外交折衝によって交渉する方が適当であるという考えから、このような方法をとって行きたい、かように考えております。
  93. 猪俣浩三

    猪俣委員長 なおちょっと一点。これは法制局長官にちょっととっぴな質問かもしれませんが、今沖繩においては立法、司法、行政ことごとくアメリカに委譲しておる。結局領土権ありとしても何にも残るものはないわけです。こういうような国の領土の一部分を外国に譲り渡してしまったというような条約というものは、一体そういう条約でもやはり有効として本来取り扱うべきものかどうか。これは法制局長官法律的な見解としてはどういうものでありますか。
  94. 林修三

    ○林政府委員 これは、いわゆる国家が領土あるいは人民というようなものから成り立っておるということから、領土の一部を割譲する、あるいは領土の一部をそういう形でもって他国の行政権等を認めるということは、実はよほどの事態でなければそういうことは起らぬわけであろうと思います。しかしやはりそこに戦争があり、敗戦の結果として、そういう形によって初めて講和が得られるというようなことは、当然また場合によってはやむを得ないことでございます。領土を割譲するということも、戦争の結果としては場合によっては起るわけであります。そういう形に至らざる程度において領土権は残して、いろいろの関係からそういうような行政権、司法権、立法権というものを外国に認めるということも、これは敗戦の結果における講和条約等においてはやむを得ない措置考えます。そういう事態に応じてはやはり成り立つのじゃないか、かように考えざるを得ないと思います。
  95. 猪俣浩三

    猪俣委員長 いま一点、そういうような条約の場合に、たとえばその国の政府がかわり、国会のメンバーがかわるというような場合に、さような条約を一方的に廃棄するということは、国際上有効でありますか、無効でありますか。
  96. 林修三

    ○林政府委員 これはやはりその条約は、国として実は結びましたわけでございまして、国家として実は拘束を受けておる。これはそのときの結んだ政府なり政党なりが拘束を受けているわけではないと考えるのであります。国家として拘束を受けている。またその条約によりましては、いわゆる廃棄条項の入っているものももちろんございますが、平和条約等のごときものは、普通は性質上そういうものは入っておらないわけでございます。そういうわけで、いわゆる条約の規定に従ってそういう廃棄をするということはまあ不可能ではないかと存じます。ただそういうことを一方的にしましても、結局あとからいわゆる国対国の紛争という結果に陥るということに落ちつくのじゃないか、かように考えるわけであります。     —————————————
  97. 猪俣浩三

    猪俣委員長 御発言ありませんか。——なければこの際お諮りいたします。現在理事が四名欠員となっておりますので、補欠選任を行いたいと存じますが、先例により委員長より指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 猪俣浩三

    猪俣委員長 御異議なければさよう決します。    平井 義一君  江藤 夏雄君    辻  政信君  鈴木 義男君を理事指名いたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午後三時三十二分散会