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1954-12-20 第21回国会 衆議院 電気通信委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十二月二十日(月曜日)     午後一時五十三分開議  出席委員    委員長 永井勝次郎君    理事 岩川 與助君 理事 塩原時三郎君   理事 橋本登美三郎君 理事 菊池 義郎君    理事 小泉 純也君       庄司 一郎君    中曽根康弘君       廣瀬 正雄君    成田 知巳君       松前 重義君    三宅 正一君       甲斐 政治君  委員外出席者         郵 政 技 官         (大臣官房電気         通信監理官)  庄司 新治君         郵政事務官         (電波監理局         長)      長谷 慎一君         日本電信電話公         社総裁     梶井  剛君         日本電信電話公         社副総裁    靱   勉君         参  考  人         (電気通信大学         教授)     片岡 定吉君         参  考  人         (電気通信大学         教授)     松村 定雄君         専  門  員 吉田 弘苗君         専  門  員 中村 寅市君     ————————————— 十二月十四日  委員山口喜久一郎辞任につき、その補欠とし  て佐藤榮作君が議長指名委員に選任された。 同月十七日  委員根本龍太郎辞任につき、その補欠として  齋藤憲三君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  参考人招致に関する件  無線技術士国家試験に関し参考人より意見聴  取  日本電信電話公社における当面の諸問題に関す  る説明聴取  テレビ受像機に対する物品税に関し大蔵委員会  に申入れの件     —————————————
  2. 永井勝次郎

    永井委員長 それではただいまより開会いたします。  電波管理に関する件について調査を進めます。  お諮りをいたします。先般行われました無線技術士国家試験についていろいろ疑点があるようでございますので、この際これに関し参考人として電気通信大学教授片岡定吉君及び松村定雄君より意見を聞くことにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 永井勝次郎

    永井委員長 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。  片岡参考人より御意見を伺います。片岡参考人
  4. 片岡定吉

    片岡参考人 片岡でございますが、本日突然お呼出しをいただきまして、議案の内容が何であるかも承知せずに伺いましたのでございますが、ただいた委員長からのお話では、先般行われました無線従事者国家試験についての意見ということでございまするが、その内容がまだはつきりうかがいかねますので、先般行いましたといいますと、何月期試験でどういうことに対する意見を陳述したらよろしいのでございましようか。
  5. 永井勝次郎

    永井委員長 本年十一月行われた無線技術士試験について、参考意見を伺いたい。従来と比較して少かつた、一人より合格者がないという、そういう試験内容や制度や、それからことしの異常な合格者という内容について説明を求めます。
  6. 片岡定吉

    片岡参考人 わかりました。先般行われました十一月期無線技術士国家試験関係でございまするが、かねがねうわさには合格者が非常に少かつたということは伺つておりまするけれども、はたして受験者何名に対して何名の合格であつたかというような的確な数字はまだ承知しておりません。しかしこの試験におきまするところの問題そのものについての意見と申しますると、私は授業で内国電波法規の方を担当いたしておりますので、試験科目の中の内国電波法規につきましての意見を申し上げたいと思います。  今般行われました技術士一級及び二級同一問題でございまするが、これに課せられましたところの内国電波法規の問題は、私の立場から見ましてきわめて至当な出題であるというように確信しております。従来のような多少枝葉末節に走り過ぎた問題よりも、今回のような問題がよりいい傾向にあるということを十分確信いたしております。しいてこの出題について申し上げまするならば、試験時間はたしか一時間であつたはずじやないかと思います。先日その内容承知いたしましたときに直感いたしましたことは、一時間につきまして四問題課せられております。一時間に四問題となりますと、平均いたしますと一問題十五分間という割合になるのでございますが、むろん試験答案でございますから、答案の構想を作成する時間だとか、記述する時間並びに記述後におけるところの補足修正する時間というものを考え合すならば、問題そのものは適切であつたけれども、問題の量が一時間の課題としましてはかなり大き過ぎたのではないかという懸念を持つております。もつとも、採点者側においてどの程度解答をもつて理想とするかということは、全然われわれのうかがい知るところではございませんですけれども、あの問題について一応十分に解説をして行くならば、少くとも二千字から二千五百字ぐらいな解答を書かなくちやならないということが予想されます。そうなりますると、時間的に見ましてかなり無理があつたのじやないかということが懸念される程度でございます。もつとも、非常に簡潔にその要点だけを並べておいたならば支障ないということになれば、一時間の課題としてはやむを得ないものだと思いますけれども受験者側にとりましては、その意図が那辺にあるかということも把握することが困難ではなかろうかというような面から考えますと、従来の試験問題の解説、その模範解答が出ておりますが、それらを参考として考えます場合に、多少時間が短か過ぎたのではないかという点を私としては感じております。それ以外につきましては工学系統の問題になりますが、工学系統の問題は私は関知しないところでございまして、松村教授の方が一応専門の知識をお持ちでございますから、松村教授の方の御意見を伺つていただいた方がはつきりするのではなかろうかと存じます。大体以上でございます。
  7. 永井勝次郎

    永井委員長 次に松村参考人にお願いいたします。
  8. 松村定雄

    松村参考人 松村でございます。ただいまお呼出しにあずかりまして、今のような問題につきましての私の考えをということを要求されてございますが、ただいまうちの学校片岡教授からお話がありましたように、私は工学系統学科の方を担当しながら進んでおるものでございますので、ただいまお話にありましたように、若干工学系統の問題につきまして感じましたことを述べさせていただきたいと思います。  工学系統学科を拝見いたしますと、学科目そのものを学問的に見ますれば、かなり充実しましたいい問題が出されたように存じます。ただ今委員長さんからのお話にありましたように、私も伺いますのは初めてなんでございますが、それらの学科目などを今回大勢の人が受験されたところ、案外合格者が少かつたというお話でございまして、そんなようなことを——これは私の感じでございますが、実はどのように試験答案が書かれたか、実際の内容も存じませんし、また試験を受けられた人々がどういうような経過をとつて来られた人々かもよく存じませんですが、ただかりに私どもが今お話のような十一月期試験を受けたといたしますならば、ちよつと感じ違つた状態を持ち得るのではなかろうかと思います。と申しますのは、私ども今までそういつた科目試験問題を拝見しておりますと、割合と実際に近い問題が出されたように感ずるのでございますが、かりにそうであるとすると、今回の十一月期に提出されました試験問題は今までと傾向がと申しますか、ねらいがといいますか、割合とその傾きが違つておるかに私には感ずる向きがございます。そんなような状態で、私がかりに受けたといたしますれば、何かちよつとかつてが違つたような気になるのではなかろうかなあと思うのでございます。かりにそうといたしますと、試験を受けられた人々ちよつとかつて違つて、それであるいは思うように書けなかつた点があつたのではなかろうかなあと感じておるのでございます。  それから今片岡教授からお話もございましたが、いろいろな学科目のうちで何題か出されまして、それに答案を書くに要する時間が何時間何分といつたように指定されておるようでございますが、これはいろいろその人によつて違うわけでございますけれども受験生からいいますと、たくさんの科目を一ぺんにやらなければならぬといつたような立場もございましようし、あるいは少し時間が足りなくて善き足りない人も起きたのではなかろうかなあというような感じも持つております。ただいま試験問題につきましてどういうふうに考えるかということをお尋ねにあずかりましたので、今まで述べたようなことを申し上げまして、御参考に供させていただきたいと存じます。失礼いたしました。
  9. 永井勝次郎

    永井委員長 これで参考人の陳述は終りましたが、政府当局からこの問題について説明を求めます。長谷局長
  10. 長谷慎一

    長谷説明員 お答え申し上げます。ただいま無線通信士及び無線技術士国家試験のことにつきまして、特に最近行われた試験合格成績等に関連して、その試験問題等につきまして参考人の方からいろいろ御覧の開票あつたのでございますが、私どもも今回は今までの例に比して、第一級の無線技術士に関して成績が非常に悪かつたことを認めております。この第一級の無線技術士と申しますのは、電波法が制定されましたときに従来の電気通信技術者関係を結びつけて、技術士というものを制定されたのでございまして、従来第一級もしくは第二級の電気通信技術者資格を持つてつた者は、第一級の無線技術士資格を持つ、試験程度も大体同じような考え方でございまして、現在行われております第一級無線技術士試験の問題の標準と申しますのは、以前第二級の電気通信技術者資格の検定をいたします場合の試験問題と大体同じレベルのものをねらつております。具体的に申し上げますと、最近の新制大学卒業生よりもやや程度劣つておるかと思いますが、昔の専門学校程度卒業者学力というものを目当にして、従来とも試験問題あるいはその答案審査等を行つておるのでございますが、御承知のように第一級の無線技術士といいますのは、無線の機械の建設、保守にあたりまして、いわゆる電気事業の場合の主任技術者に相当する重要な地位につき得る資格に当るわけでございますので、限られた時間でございますけれども、できるだけその者の技術力全般審査ができるような問題を、努めていろいろ検討の上で課しておるのでございます。その点はただいま参考人の方からもお話があつたようでありますが、今までの過去における試験問題の問題集あるいはそれに対する適当な方の模範答案というようなものもたくさん出版されておりまして、それらを基準にしていろいろ準備もされておるのが実情のようであります。しかし御承知のように、最近非常に電波関係技術が日進月歩のようにどんどんかわつて来ておりまして、以前とまつたく同じような問題とばかりは行きませんので、絶えず新しい技術に即応した試験ができるように、問題等もいろいろ現実にはかわつて来ております。今回といたしましては、従来あまり試験問題等に現われることが少かつた短波あるいは極超短波、そういう問題も最近は問題の中に出ておりますので、ある受験者において既往の問題ばかりに重点を置かれた方は、ちよつと戸感いをされた方があつたかと思います。なおこれは過去の試験問題にもたくさん現われておりますが、計算問題を課する場合も相当ございます。ただいまお話にございました今回の試験期におきましても、計算問題を課しておりますが、これらの問題が案に相違して相当成績が悪かつた。なお一年間に常に三回試験をしております。大体一月、五月、九月の三回に行つておりますが、多少一月くらいのずれがある場合もございます。今回の十一月に発表を見ましたのは、去る九月に行われた試験の結果でございまして、それは新制大学あるいはその他の学校で勉学中の方が相当多数受けておられる。ところが試験そのもの先ほど申し上げましたように新制大学程度よりはやや低うございますけれども、一応昔の専門学校の過程を全部終えた程度のところを基準にいたして試験を課しておりますので、今回、結果的に見ますと、先ほど申し上げましたように試験問題が、あるいは従来の問題集等だけを頭に置かれて準備された方には、多少新しい問題等が入つたために、なじまれなかつたということが一つであると思います。もう一つ、これも的確なことは申し上げかねますが、先ほど申しましたように在学中の方の受験者が相当多かつたために、合格率を見ますと、今までにないように非常に悪かつたというのが事実であります。
  11. 永井勝次郎

    永井委員長 参考人及び政府に対して御質問があればこれを許します。
  12. 成田知巳

    成田委員 長谷さんにお伺いしますが、九月に行われた一級無線技術士試験は従来になく悪かつたということでありますが、大体受験者何名に対して合格者何名であつたか、おわかりであつたら伺いたい。
  13. 長谷慎一

    長谷説明員 一級無線技術士受験者でございますと、一次試験は二千二百六十五名の申請で、実際に受験いたしましたのは二千二百六名でございます。そのうち合格しておりますのは九百五十六名、パーセンテージで申しますと四三%一次試験合格しております。その合格者について二次試験が行われたのでありますが、受験者が八百九十四名、そのうち合格いたしましたは、今までも例がなかつたのでありますが、単に一名だけでございます。従つて合格率から申しますと〇・一%ということになつております。
  14. 成田知巳

    成田委員 従来と比較して非常に成績が悪いということでありましたが、従来は大体どれくらいになつておりましたか、数字でひとつお示し願いたい。
  15. 長谷慎一

    長谷説明員 お答え申し上げます。年度によつていろいろ違いますが、全部平均いたしますと二十数パーセント、これは一級から三級までのものを平均いたしますと、二割から三割の間が合格者でございますけれども、大体一級技術士あるいは一級無線通信士というようなものは、やはり相当問題がむずかしゆうございますので、合格率が昔から悪うございます。大体非常に成績のよいところで二〇%ぐらいになることもありますが、一〇%を欠いておることも相当ございます。九%というようなところもございました。しかし今回のように一%を割つておるというのは、確かに今まで例を見なかつたのであります。
  16. 成田知巳

    成田委員 従来から一級関係は大体九%、一〇%、それが今度は〇・一%、これは受験された方が大体まだ在学中の方であつた試験出題方法も少しく傾向がかわつておる。そういうことで結果は悪かつたと今言われるのですが、それにしてはあまりに差がひど過ぎる。何か採点関係で従来と違つたような厳格さでおやりになつたのではないかと思われる。常識ではちよつと考えられないと思うのです。一〇%が〇・一%、これほど成績の悪い、学力劣つた方ばかりが受けたとは考えられないですね。年に三回おやりになるのですから、そういう意味で何か一つ大きな欠陥があつたのではないかと私らは考えますが、その点は考えられませんか。
  17. 長谷慎一

    長谷説明員 お答え申し上げます。大体例年一月あるいは五月、これが最近一月ずつ、ずれておりまして、二月、六月及び九月というような三回の試験をいたしております。結果を見ますといつも二月、つまり卒業直前試験は非常に優秀でございまして、大体先ほど申し上げました二〇%、一六%というような、一〇%と二〇%の間の合格率を示しておりますが、五月期あるいは六月期はそれの三分の一ぐらいの、普通でも五%あるいは六%というような合格率になつております。大体今までも九月期が一番成績の悪いところで、先ほど来私が数字で申し上げておりましたのは、一年全体通じての平均でございますが、しかしこの九月期というものはどういうものか、受験生学力の問題ではないかと思いますが、一番合格率の悪い月になつております。それに先ほど申し上げたのですが——問題の内容まで申し上げて、具体的で恐縮でございますが、従来ここ二、三年というのは計算問題はあまり出ておりませんでした。今回計算問題が出たために、その成績の悪かつたのが非常に多かつたようであります。
  18. 成田知巳

    成田委員 平均して九%、一〇%と言われます。それで九月の試験はいつも成績が悪いと言われるのですが、それでは今度の九月は別にして、最近九月の試験をおやりになつて、一番悪かつた年は大体何パーセントくらいですか。九月だけについて承りたい。
  19. 長谷慎一

    長谷説明員 お答え申し上げます。ちようど手元に毎年九月だけのものを取上げたものがございませんので、はつきりした数字は申し上げられませんが、大体八、九パーセント程度のものと記憶しておるとだけ申し上げさしていただきまして、必要に応じて過去の数字をお目にかけたいと存じます。
  20. 成田知巳

    成田委員 大体八、九パーセント、それが今度に限つて〇・一%、局長出題傾向がかわつた、それから計算問題を出した、それで成績が悪かつた、こう言われるのですが、それが学力の問題にそれほど影響するものですか。出題傾向がかわつたというのは、いわば山が当らなかつたというわけですが、それだけで、傾向を大きくかえたために答案として上等なものができなかつたということは、無線技術士としての学力がそれだけ劣つてつたのだ、こういう認定結論になるのでしようか。そうではなく、山が当らなかつたというので、ある程度学力劣つてつたという参考にはなるかもしれませんが、毎年八、九パーセントが〇・一%に落ちた、それほど学力が落ちておる、こういう認定になるのは少し行き過ぎになるのじやないかと思いますが、いかがでしようか。
  21. 長谷慎一

    長谷説明員 まだ私どももこの結果を綿密に分析をいたしておりませんので、的確なことは先ほど申し上げましたように申し上げかねるのでございますけれども、ただいま私どものところで一応検討したところによりますと、確かに出題の問題が従来よりも毛色のかわつたものが出ておるということと、従来試験問題としてあまり出さなかつた計算問題を出しておる。計算問題はできたかできないか、極端に申し上げますと、百点か零点かはつきりいたします。そのほかの問題は記述内容によつて多少の点数をくれてやるということができるでありましようけれども、計算問題ははつきりいたしますので、結果的に非常にはつきり出てしまつたということではないかと思います。今お話のように出題問題の程度答案内容、それらの点を十分検討してみなければ、先ほど成田委員からお話のように、はたして問題そのものがむずかしかつたのか、それとも受験者学力が予定されておる学力以下であつたのかということは、一概には結論は出しがたいと思います。私どももその点は十分検討したいと思つておりますが、先ほど参考人からもお話の出ましたように、私どもとしては今回の問題も決してむずかしくなつてはいない、こういうふうに考えております。
  22. 成田知巳

    成田委員 計算問題をお出しになつた。計算問題というのはオール・オア・ナツシングだから百点か零点か、こう言われるのですが、ことしに限つて計算問題を出して、百点か零点かということになりまして、それで学力が判断されたといたしましたならば、この九月に受けた人は非常に不利な条件で試験を受けた、こういうことになると思います。私たちしろうとですから、問題の内容あるいはその傾向というものはわかりませんが、ただ常識で考えまして、従来最も悪いときでも九%、八%の合格者があつたにもかかわらず、この九月に限つて〇・一%というのは、何か試験かあるいは試験の結果に対する認定方法に無理があつた、こう思わざるを得ないのです。今から検討されたのでは私はおそいと思うのですが、この合格、不合格決定されるのはどこで決定されるのですか。やはりそういう事情も十分勘案されまして、こういう決定方法によると〇・一%しかない、これは少し無理があるのじやないかということを十分検討された上で、今度おきめになつたのじやないのですか。今から検討されたのではおそいのじやないかと思います。
  23. 長谷慎一

    長谷説明員 お答え申し上げます。大体合格、不合格には、合格基準点がございますけれども、その問題の難易というものは多少波を打つておることは事実でございますから、その波を打つている問題の難易に応じまして、多少合格点につきまして考慮をいたします。今回もある程度はそういう考慮はいたしましたけれども、あまりに成績が悪いためにこのような形になつておるわけであります。なお計算問題の点をお話申し上げましたけれども、これは六題出題いたしまして、計算問題とはつきりいたしておりますのは一題でありますが、もう一題計算問題らしき問題になつております。全部が計算問題ではもちろんないわけでございます。
  24. 成田知巳

    成田委員 出題難易によつて合格、不合格決定の線もある程度考慮されると言われたのですが、考慮された結果〇・一%という合格率なつたということについては、結論として今度の受験者は今までの受験者に比較して、百分の一程度の頭脳の人ばかりが受けた、こういう結果になると思うのですが、そういうふうに認定していいのですか。
  25. 長谷慎一

    長谷説明員 お答え申し上げます。先ほども申し上げましたように、問題は従来も出ております。今回初めて出たわけではないわけでございますが、計算問題その他の成績が非常に悪かつたために、合格基準点について、問題の難易に応じての多少の調節はいたしましたけれども、その調節の範囲内に入つて来なかつたために、このような結果になつているわけであります。必ずしもこの現われたパーセンテージ数字だけで、一概に学力を云云はできないかと思いますが、先ほど申し上げましたように、ほかの期のと違いまして、九月に受けて十一月に発表なつたこの試験のときには、ちようど学業の途中の方が相当あるために、今のような結果になつたのではないか。その人の将来持たれる学力云々ということではなしに、試験を受けられたそのときにおいて、あるいは講義その他を完結していなかつた問題にぶつかつたということも考えられないことはないと思います。
  26. 成田知巳

    成田委員 それは先ほども私はお聞きしたのですが、はつきりした数字はわからないけれども、大体九月にお受けになります方は学業の途中だから、成績がある程度悪いという傾向なつたと言われたから、最近受けた九月の受験者合格率をお聞きしたわけです。はつきりした数字はわからないけれども、大体八、九パーセントだろう、こういうお答えだつた。一番悪くても八、九パーセント、ことしに限つて〇・一%ということになりましたら——しかもその試験の採否を決定するときには、問題の難易によつて多少のアローアンスをつけて行くと言われた。そのアローアンスをつけてしかも〇・一%ということになりましたら、ことしの九月の受験者は非常に質が悪かつた、こういう結論にならざるを得ないのですがね。
  27. 長谷慎一

    長谷説明員 お答え申し上げます。この国家試験を受けられる受験者学力というものは、いろいろの最近の傾向を見ますと非常に波を打つておりまして、断定を下すことはなかなかむずかしい、こう思います。また最近は受験者が非常にふえております。学力を相当備えた者と、そうでない人も相当ありますので、常にはつきりしたそのパーセンテージだけでものをとりきめることはなかなかむずかしい思います。先ほど申し上げましたように、いつも大体二月、五月、九月のものを見ますと、九月が一番悪くなつております。先ほど申し上げましたように、去年あたりは大体八、九パーセントが九月期合格者ではないかと申し上げましたが、ことしの五月に受験した者の何を見ますと、これもやはり五%、五・四%くらいになつております。どうも最近の合格率が一般に下つて来ておる、そういうようなことが言えるのではないかと思います。もつとも五月期のときには今回のような計算問題等がありませんから、多少事情は違います。従つて申し上げたいことは、やや合格率が全般的に低くなつて来ておるということが言えるのではないかと思います。
  28. 成田知巳

    成田委員 どうもなかなか長谷さん強情なんですが、今受験者数が非常に多くなつて玉石混淆になつておる、必ずしもパーセントによつて受験者の質を判断することはできない、こう言われながら、ことしの二月、五月はパーセントが下つて来ている、どうも質が悪くなつて来ているのではないか、こう言われるのですが、その答弁は矛盾しているのではないかと思うのです。少くとも五、六パーセントのものが〇・一%に落ちて来ている。そうして出題難易によつて採否にアローアンスをつけておられると言われる。そうするとこう急激に下つたということは、アローアンスのつけ方が間違つてつたという結論にならざるを得ないと思うのですが、その点はお認めになりませんか。
  29. 長谷慎一

    長谷説明員 私御説明が少し足らなかつたのですが、従来たとえば八%、九%というような数字をとらえて、今回一%に満たないのはひどい違いじやないかという点、確かにお話の通りでありますが、その九%なり八%というパーセンテージ数字をつかまえます場合に、最近の傾向で全般的に下り坂にあるので、その点も考慮していただかなければならぬという意味で申し上げたのです。結局非常に受験者がふえて来ておりますから、同じ試験で同じ採用の仕方をとりましても、最近はパーセンテージが下つて来ておる、こういうふうに見ざるを得ないのです。
  30. 成田知巳

    成田委員 パーセンテージではなしに、合格者の数でひとつ言つていただきたいのです。最近九月の合格者の数が一名というような例があつたのですが、大体何名くらい合格しておつたか、それをひとつお答え願います。
  31. 永井勝次郎

    永井委員長 委員長からお伺いしますが、二千数百名受験して一人の合格者しかないというのは異常な状態だと思うのですが、やはりそう受験者の素質が急激に低下したわけではないし、試験問題が第一に問題になりましようし、それからその次には認定基準によつて合格者の数を減らすとか、もう少し多くとるという手かげんがあつたのではないかという受験者の疑問が出ておるわけなのです。そういう関係を明確にするために、問題は試験問題にあつたのか、受験者の素質にあつたのか、そういうところを明確にする必要があるので、その点に触れてひとつ御答弁を願います。
  32. 長谷慎一

    長谷説明員 先ほど申し上げましたように、今回の二次試験で八百九十名ばかり受けたのが合格者一名ということになつておりますが、これは全科目合格した者が一名でございまして、部分的に数科目合格した者は相当数ございますので、全般的にその数科目部分的に合格した者等を一緒に考えますと、さほど悪くはないのじやないか、こういうふうに思います。と申しますのは、第二次試験というのは一次試験を受けた人がそのまま受けるのではなしに、前に一次試験合格しておつた人が二次試験だけ受けるという人もございます。科目の一部分合格しておつて免状を受けておつた者が、最後の一科目か二科目を受けた人もございますので、いろいろその内容を分析してみませんとはつきりわかりませんけれども先ほど申し上げましたように、単に今回の試験で最初に受けた二千二百名ばかりの者から一名が合格だ、こういうふうにばかりもとれないかと思いますが、確かにお話のように従来と比べまして成積が悪かつたことは事実でございます。その原因としましては、先ほど申し上げましたように、私どももいろいろ検討いたしておりますが、問題の程度そのものは決して従来から学力程度を上げたと私どもは見られないのでございます。従来あまり課さなかつた計算問題がたまたま今回一、二題入つておるのと、従来見られなかつた短波関係試験問題があるということの差異は私どもも認めますが、程度を上げたり、あるいは採点の基準を上げたというようなことはございません。
  33. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 ちよつとお伺いしますが、第二次試験というのと第一次試験内容的な違い、それから受験者の点についてもひとつ御説明願います。
  34. 長谷慎一

    長谷説明員 一級の無線技術士について申し上げますと、第一次試験は大体技術の実験関係、それから口頭試問、そういう程度のものでございます。もつともこの無線技術の実験と申しましても、実際に機器の操作ということはいろいろの関係でできませんので、便宜筆記試験で行つておるのでございますが、実験と口頭試問が第一次試験でございます。第二次試験は大体学科類の試験、そういうふうに御了承願います。
  35. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 そうしますと、第二次試験をこの間九月に受けた人ですが、そのときの第一次試験を受けた人が何人で、前もつて第一次試験をパスした人が何人か、その調べはできておりますか。
  36. 長谷慎一

    長谷説明員 その点を的確に今申し上げたいと思うのでございますが、実は全国各地にわたつて試験をいたしております。それから先ほど申し上げましたように、科目免除というような人もたくさんございますので、今手元に集計して申し上げる段階に至つておりませんので、その内容ちよつと申し上げかねます。
  37. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 詳しいことがわかりませんので、はつきりした質問もできませんが、こういうことはありませんか。最近の無線技師、ことに一級無線技師の需要供給関係から、いわゆる試験官といいますか、当局の方で、その間において手心を加えるようなことはあり得るはずはないのですが、そういうことは別に考慮に入つておりませんか。
  38. 長谷慎一

    長谷説明員 そういうことは一切考慮の中には入つておりません。
  39. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 これは法律できめられている資格検定試験で、採用試験ではありませんから、そういうことはないのは当然であろうと思いますが、どうも受験者といいますか、一般の批判は、あるいは当局の方が需給関係から考慮して、特に一級無線技術士の最後の合格者数を減らしたのではないか、こういうふうなうわさがありますので、一応お聞きしたのですが、ただいままでの成田委員からの質疑に対して、局長の見解は大体において学力が低下しているのだという結論のようでありますが、この点従来の試験のやり方とは違つておりまして、短波無線等を加えたというお話ですが、そういう問題についてはもちろん試験科目として、すでに公示をせられた科目が課せられたのだろうと思いますが、その点あるいは受験者の方において準備に不備の点がある、あるいはまた不備の点を来さしめるようなことが、試験科目にあつたのではないかと思いますが、その点はどうなつておりますか。
  40. 長谷慎一

    長谷説明員 先ほど申し上げましたのですが、全部の受験者学力が一般に低下しておる。多少今まで試験を何度受けても落ちる人がまた相かわらず受けておるというようなことで、全般の総数はふえておりますが、総体に見て学力がだんだん落ちて来ているのじやないかという心配が現われて来ていることを私どもも認めておりますが、今回のものは必ずしも数字に現われたほど学力が低下しておるというぐあいに私ども断定を下しておるわけでありませんで、従来の出題される問題の傾向だけを注意された方には多少今回はなれない、今までとは少しかつての違つた出題になつてつたために成績が悪かつた。これはもちろん実力が十分できておりますれば、ある程度出題でありますならば、どんな問題であろうと大体できるのが至当でございましようけれども、多少従来の問題だけに重点を置かれた方には非常にぐあいが悪かつた、こういうことだろうと思います。なお先ほどお話がございまして、私どもからも御答弁申し上げましたように、技術者なりオペレーターという方々の需給関係等を頭に置いての採点なり出題ということは一切いたしておりません。御承知のように全国十箇所で同一に行われ、それぞれ基準をもつて採点をして行くものでございますから、そういうものが一切入る余地もございませんし、絶対にそういうことは考えてはおりません。
  41. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 全国十箇所で試験をやります場合において、その採点はやはり中央で一箇所でやるのですか、それとも地方でもつて個々別々に採点をやつておりますか。
  42. 長谷慎一

    長谷説明員 大体第一級の無線通信士と、第一級の無線技術士に関してだけは、中央に集めてやつております。その他は全部地方で採点等もいたしております。
  43. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 けつこうです。
  44. 成田知巳

    成田委員 それに関連いたしましてちよつとお尋ねしたいのですが、中野高等無線学校というのがございましたが、現在でもございますか。
  45. 長谷慎一

    長谷説明員 現在も昔と多少やり方は違つておるようでありますけれども、同じ名前の学校があります。
  46. 成田知巳

    成田委員 その中野高等無線学校は、電波局の役人の方が講師としておいでになつておりますかどうか。
  47. 長谷慎一

    長谷説明員 中野高等無線学校にもその他の私立学校にも二、三行つておるところがございますが、人事院の承認手続も済ませまして、勤務外に向うに行つておる者がございます。
  48. 成田知巳

    成田委員 もちろん人事院の関係の手続をお済ませになつて、中野高等無線学校へ講師としておいでになつておるのだろうと思いますが、一級の場合は存じませんが、たとえば二級、三級の場合、聞くところによりますと、中野高等無線学校を出た方の合格率は非常に高い、こういう評判があるのですが、そういう事実をお調べになつたことがありますかどうか。
  49. 長谷慎一

    長谷説明員 別に調べたことはございませんが、それほどほかと違つてそこが多いということはないだろうと思います。ただあそこの学校の生徒は非常に多いということは事実でございまして、そこの生徒が全部いつも受験しておるかどうかというような点によつても違いますので、はつきりわかりませんが、特別率がよいというようなふうには承知いたしておりません。
  50. 成田知巳

    成田委員 先ほどの御答弁では数が非常に多くなつて来ると、むしろ率だけでは考慮できないのだ、こう言われておるわけです。そこで毎年中野高等無線学校を出られた方が、何人受けて何人合格されたか、その率は的確におわかりにならないというのですか、率だけでは問題にならないと思いますが、一応参考のためにお調べ願いたいのですが、中野高等無線学校を出られた方、あるいは在学中の方で、過去二年くらいでいいでしよう。何人お受けになつて、何人合格しておるか、他の学校と比較していいか悪いか、これをひとつきようでなくてけつこうでございますから、御報告願いたいと思います。
  51. 永井勝次郎

    永井委員長 その他に御質疑はございませんか。
  52. 松前重義

    ○松前委員 無線の問題は今まで論議されておつたのですが、有線の場合であります。無線の場合は試験内容その他からうかがつて大体無線技術とトン、ツーの符号のもの、符号を送ること、あるいはこれを聞くこと、こういう試験だろうと思うのでありますが、それを国家的に統制しなければならない理由、このことをまず伺いたいのです。  もう一つは、もしもその中に技術的な理由があるとするならば——技術というのはトン、ツーの技術でない、符号を送るという技術でない。そういう内容を含んでおるとするならば、有線の場合にはどういう考え方を持つておられるか、これを伺いたいのです。
  53. 長谷慎一

    長谷説明員 無線関係のことについてお答え申し上げます。無線技術士資格につきましては電波法の第四十条に、無線通信士いわゆるオペレーターと同じように、これこれの技術的な操作を行うにはこういう資格を持つていなければならぬという規定がございまして、その規定に応じまして第一級無線技術士及び第二級無線技術士というものを国家試験試験審査の上、付与いたしておるわけでございます。
  54. 松前重義

    ○松前委員 その中にはトン、ツー以外の技術内容を含んでおりますか。試験科目の中に……。
  55. 長谷慎一

    長谷説明員 無線技術士試験科目は、先ほどちよつと申し上げましたけれども、第一次試験としましては、無線機器の技術及び機器の操作についての実験でございます。それから二次試験といたしまして課しておりますのは、真空管測定及び電波の伝播の問題及び無線機器の理論及び実際、そういう問題を課しておりますが、なおこれは無線の機器の操作に当りますので、電波法関係の知識も持つていなければなりませんので、その技術以外の問題としては、内国電波法規関係の知識を大体試験科目の中に入れております。
  56. 松前重義

    ○松前委員 技術試験が大分あるようですが、どういう目的で無線だけに技術試験を課さなければいかぬのでしようか。
  57. 長谷慎一

    長谷説明員 これは電波法そのものの考え方、法制にもよるわけでございますが、いわゆる無線電話のようなもの、あるいは最近方々でしきりに活用されておりますレーダーのようなもの、あるいは航空ビーコン、航法無線というようなもの、こういうようなものはその操作いかんによりましては何と申しましようか、ほかに妨害その他も起りますが、いわゆる無線通信士としての、オペレーターとしての電鍵の操作というようなことは必要ございませんので、技術的な面だけの資格を持つた者をそれに配置することが必要である、こういうような考え方から電波法が制定されておる、こういうふうに私どもは了解いたしておりますが、そういう観点から先ほど申し上げましたように、無線については特に技術士という資格を国家が要求をし、そういうような国家試験を行つておる、こういうふうに御了解願いたいと思います。
  58. 松前重義

    ○松前委員 あなたの方は有線関係の監督やら行政はやつておられないのですか。郵政省はやつておることになつておりますね。あなたの方は電波監理局だからおそらくないのではないかと思われるのだが、一体郵政省のどこでやつておられるのですか。
  59. 長谷慎一

    長谷説明員 有線関係の管理は、大臣官房の電気通信監理官室で全般的におやりになつております。ただ地方において有線電気施設を監督したり、そういうことの仕事は電波監理局の出先の地方機関が、電気通信監理官室の指揮のもとで行つております。従いまして系統的には私どもから離れておることになります。
  60. 松前重義

    ○松前委員 しからば監理官の方にひとつ伺いたいと思いますが、大分有線電気通信法等で電電公社以外で施設をやり、あるいは運用しておるところが多くなりまして、最近は大体無線も有線もそう大差ない同じような方向に向つて技術が進んでおります。これは何か国家試験のようなものをお認めになつておられるのですか、それとも有線はほうりつぱなしでよろしいとお考えになりますか。
  61. 庄司新治

    庄司説明員 お答え申し上げます。有線電気通信関係無線電気通信関係とは同じく電気通信ではございますが、根本的に違う点があるのではないかというふうに私たちは考えておるのでありまして、違うすべてではないかもしれませんが、そのうちの一つの大きな点といたしまして、無線は波になつて出て行く、有線は線の上を伝わつて波になつて出て行かないという点が、違う大きな点ではないかと考えております。これは松前委員にははなはだ恐縮な話でございまして、波になつて出て行かないという点において、線のつながつておる部分以外には他に影響を及ぼさないという点が非常に大きな違いでございまして、こういう観点から有線関係は一応は線につながらないところには影響がないので、線につながる部分にしか及ぼさないという意味で、そういう観点で試験をする必要があるかないかということを考えておるのであります。そういう意味から申しますれば、全般的に有線を扱つている技術者に、だれもかれも全部試験をしなければならないという答えが出ないのではないかというふうに考えておりまして、郵政省といたしましては、全般的に有線技術者を試験しなければならぬという結論にまでは達しておらないのであります。
  62. 松前重義

    ○松前委員 非常な御高説を拝聴いたしたのでありますが、今のように空間に電波が伝わらない、それから片一方は空間を伝わつて行くという差はもちろんあります。ありまするが、大体無線の通信技術者の検定というものの始まつた精神は、技術がむずかしいから始めたということもありましよう。まず第一はそれでしよう。しかし空間の問題よりもむしろ人命の問題だと私は思うのです。もう少し政治的な問題から出発しておる。私どもがおるころはそういうふうに考えてやつてつたのです。それでありまするから、今のような理由よりも、むしろ船なんかでそういう危険信号を出しても、通信士がうまくなければ目的を達せられないというようなことから、少くとも人命に関する問題であるから、一応そこに相当な高度の試験をやる必要がある、こういうふうに私どもは了解して今日までおつたのであります。でありまするからこういうふうに人命の問題が中心となつて来ますと、その人命に関係する技術というものは無線にも有線にもあるはずであります。そうして同じような傾向をたどつておるのです。でありまするから少くとも最近において、たとえば搬送式なんかは相当に高い周波数で送られることになりますと、近所に妨害を及ぼす。全然電波が外に出ないというものではありません。でありまするから何らかのそれに対する対策を、技術の発達と同時に全体が相当に強いパワーの方向に向つている現在、しかも高度の技術にこれが転化しつつある現状においては、何よりかそこに考えがなければ、世の中の進歩に沿う行政でないのではないかという感じがするのですが、いかがですか。
  63. 庄司新治

    庄司説明員 まことにごもつともな御意見でございますが、私たちはこういうふうに考えておるのでございます。目的が有線でございましても、有線を使うことによつてそれが何らかの形で空間に出て行くような場合、もちろんそういうことも考えられるわけでありますが、そういう場合にはやはり有線電気通信法というわくで縛らないで、無線関係の法規としてこれを縛る——と言うと語弊がありますが、そういう方面の無線関係としてこの問題を取扱つて行くというふうになつておるのでございます。
  64. 松前重義

    ○松前委員 どうもわかりませんね。私は有線のことを聞いておるので、無線のことを聞いておるのではない。
  65. 庄司新治

    庄司説明員 言葉が足りなくて恐縮でございましたが、有線関係無線技術が非常に近づいて参りまして、場合によつては周波数も高くなるし、電力も大きくなる。そうすると波になつて出て行くのではないかという点に関しましては、波になつて出て行く部分に対しては有線の問題として扱わないで、無線の問題としてわれわれは扱つておるということを申し上げたのでございます。
  66. 松前重義

    ○松前委員 それならば有線のだんだん発達して行きつつある現状に対処しては、無線の規則をもつてこれに応用することによつて、場合によつて国家試験もやるというのでありますか。今いろいろ答弁をと言われてもお困りでしようから、ひとつ考えておいてください。  それで私はこう考えます。この問題は非常に重要な問題でありまして、試験制度があるということは、それは非常に一利一害であります。先ほど来質疑応答がありましたように、非常に多数の受験者でありましてもわずかしか合格しない。これが前古未曽有の合格率で、シビヤーな合格率であるという話でありました。これは試験制度の運用が、必ずしも当を得ていなかつたのではないかというような感じも私どもは承つてするのであります。私ども試験制度が悪いということを頭から断定はできないと思う。そこは試験制度のいわゆる運用の問題になると思います。試験制度があるということは、技術をある程度平均化させて、そして全体のそれに携わる人たちの技術を向上させるために非常に役に立つ。勉強させるということに役に立つ。これは場合によつては必要なことである。それで試験制度というものが一つにおいてはある。お医者さんにもあり、薬剤師さんにもある。こういう人命を預かるようなものに対してはこういうことを必要とするのです。従つてその方面の技術の向上に非常に役に立つという役割を一面において勤める以上は、私はある程度この問題のいい意味における適用を試みる必要があると思うのです。これは行政としてももちろん必要であると思う。かつて有線にも技術者の検定資格試験があつた。それを進駐軍の、いわゆるマツカーサー司令官の命令によつて取消した。いいことを片つぱしからやめさせておるのです。それをそのままいいとあなた方はお思いになつて、今盛んに御答弁になつておられますけれども、これは日本の技術の将来の向上に対して、雨後のたけのこのごとく方々にできておる技術学校だとかなんとか、私立学校あるいは官立でも非常に低いのがありますが、そういうような学校技術水準あるいは学術の水準を上げる意味においても、私はある程度必要であると思うのであります。ですからこの問題につきましてはひとつとくとお考えになつて無線も有線も今そう技術にはかわりはありません。またかわらないように進めて行かなければ、日本の工業の将来はないと私は思う。そういう意味からしましても、あまり無線だけに今試験制度でもつていじめちらすということなく、まあこれは適度に合格させて、できるだけ勉強するように奨励する。同時に有線に対しても、またあまり野放図にほつたらかさないで、人命に関係することでありますから、しかるべき方法をもつてその奨励並びに鞭撻を行うようにして、日本の技術を上げて行くというような努力は、行政として私は必要じやないかと思うのです。これは私の希望でありますので、よくお考えいただいて、またいずれお伺いいたしますから、ひとつ御研究願いたいと思います。
  67. 永井勝次郎

    永井委員長 この問題はこの程度で質疑を打切つてさしつかえございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 永井勝次郎

    永井委員長 この問題についての資料は、局長の方から整備して次の機会に本委員会に出してください。     —————————————
  69. 永井勝次郎

    永井委員長 この際橋本登美三郎君より、テレビ受像機に対する物品税に関し発言を求められておりますので、これを許します。橋本登美三郎君。
  70. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 テレビ受像機に対する物品税につきましては、前々国会で当委員会におきましては、政府物品税法にテレビ受像機があげられましたのを機会に、この際テレビ受像機の工業方面から考えても、また文化的な面から考えても、できるだけ安い値段で普及せしめたい、こういう趣旨から、物品税法の一部を改正する法律案の際に、当委員会の申入れを大蔵委員会まで申し上げたのであります。その結果、御承知のように政府の原案は百分の十五であつたものを百分の十二に修正することができまして、その結果ばかりではありませんけれども、その後一箇年間における状況を見ますと、テレビ受像機の原価が非常に下つて参りまして、現在では従来十数万円したテレビ受像機が、十万を切るような安くできるような情勢になつて来たのも、この委員会の申入れがある程度の効果があつたろうと思います。しかしながら現在の情勢から見ましても、なおかつテレビ受像機の普及率はかんばしくないのでありまして、かつまたテレビ工業というものが今日において重要なる面を占めている点から考えましても、なお当分の間この暫定措置でありますか、いわゆる低率によつて物品税をしてもらうことの必要を考えましても、私は当委員会より大蔵委員会に対して、テレビ受像機に対する物品税に関する申入れをしたいと考えますので、一応要請文を読みまして各位の御賛同を得たいと思うのであります。    テレビ受像機に対する物品税に関する申入れの件   テレビ受像機に対する物品税に関しては、さきに本年三月十五日附「物品税法の一部を改正する法律案修正に関する申入の件」をもつて、本委員会により貴委員会に対し、ブラウン管十四インチ以下の受像機及び同部分品につき、税率の引下げ乃至低率課税を暫定措置とすることなく、恒久措置とすることに関し、貴委員会の善処を要望した。貴委員会においては、この申入の趣旨を諒とし、税率については原案百分の十五を百分の十二に修正する措置をとられたのであるが、右低率税額の適用期間は原案通り昭和二十九年度に限られた結果、来年度よりは小型受像機も一律に百分の三十の課税をうけることとなる次第であるが、前申入の諸理由並びに現下の情勢に照し、小型テレビ受像機に就いては、なお当分の間税率を低減することが適当と認められるので、これに本委員会の決議をもつて、重ねて貴委員会が本件に関し、適宜の措置をとられるよう要望する。  右要望書、各位の御賛同を得たいと思うのであります。  この機会に局長にお聞きしたいのでありますが、当委員会としては前々国会において、今申し上げましたような恒久的措置をとるべしという議決を申し入れて、今のように現実に施行されているわけでありますが、本年度一ぱい、いわゆる昭和三十年三月一ぱいでこの措置が切れるのでありますけれども、これに関して最近の機会において大蔵省なりあるいは通産省に対して、この税率引下げ、もしくは暫定措置を延長する件についての交渉、あるいはそういう考え方を持つておられるかどうかを、この機会に明らかにしてもらいたいと思うのであります。
  71. 長谷慎一

    長谷説明員 お答え申し上げます。ただいまテレビジヨン受像機の減免税につ要して、いろいろ当委員会におきまして、前々国会以来非常に適切な御処置をとつていただいていることに対しまして、私ども非常に感謝をいたしておるのでありますが、ただいま御質問になりましたように、この小型テレビジヨン受像機について、低率の課税にされておりますのは、御指摘のように二十九年度だけの暫定措置になつておりますが、私どもといたしましては、少くともここ当分このままで実行してもらいたい。できるならばテレビジヨン受像機のなお一層の普及をはかりまして——と申しますのは、私ともの、あるいは関係者の予定しておりましたことよりは、まだ普及が十分に行つておりませんので、いろいろな面からなお一層の普及を期するためには、なお一歩前進をして、さらに受像機の減税をしていただくことにつきましても、その内容について、どこまでなお一層進めるか、あるいはある部分につきましては免税をお願いするか、そういう点もございますので、実は政府部内でいろいろ検討を関係官庁の間で相互にいたします一方、テレビジヨン放送及び受像機の製造方面に関係されている方々の意見を聞きまして、早急に的確な線を出しまして具体的な折衝をしたいということで、今各方面の意見を聴取あるいは実情調査をやつておりますが、先ほど申しましたように、私どもの気持といたしましては、少くとも暫定処置はこのまま続けるようにしたい、できるならばなお一層普及に役立つような処置をお願いしたい、こういう基本線でいろいろ準備を進めております。
  72. 永井勝次郎

    永井委員長 お諮りいたします。ただいまの橋本委員の動議のごとく、テレビジヨン受像機に対する物品税に関し、大蔵委員会に申し入れるに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 永井勝次郎

    永井委員長 御異議ないものと認め、さように決定いたします。     —————————————
  74. 永井勝次郎

    永井委員長 次に電気通信事業の経営に関する件について調査を進めます。まず電電公社総裁より公社における当面の諸問題に関し説明を求めます。梶井公社総裁
  75. 梶井剛

    ○梶井説明員 最初に二十九年度の電信電話事業の経営状態について御説明申し上げます。  二十九年度はデフレ並びにサービスの改善によりまして、収入は多少減少する傾向を持つております。十月末現在におきまして予定収入より約二十三億円減少しております。従つて年間約四十一億円の減収の見込みであります。でありますから損益勘定支出におきましては、六月の閣議決定によつて九億六千万円の節約を行いましたけれども、減収によりまして資本勘定への繰入れは相当圧縮しなければならぬ状態になつております。これが対策といたしましては、私どもは二十九年度の工事のうちで、若干局舎の基礎工事を一部三十年度以降に繰延べておるのであります。料金の収入の減少はどういうところに起つておるかと申しますと、一般の電話使用料は減つておりませんけれども、度数料、市外通話料、電報料その他の料金におきまして減少しておりまして、特に電報料において著しく減少しておるのであります。平均しまして三・五%の減少になつております。また電信電話債券の発行状態でありますが、予定は公募債券は七十億ということになつております。それを五月に十億、七月に十億、九月に十億、ちようど三十億を募集し終つたのでありまして、十二月が電電公社の募集する番でありますが、その際に十二億五千万円募集することになつております。そうして一月、二月は国鉄が募集いたしまして、三月は国鉄と電電公社と両方が協議して募集することになつております。でありますから、大体二十億余公募社債というものが減額されるという見当であります。  こういう状態におきまして、われわれの年間の予算に対して工事計画を進めておるのでありますが、大体今日までの工事の進捗率は六一%でありまして、非常に順調に工事を進めております。しかし現在のような減収あるいは公募債の減額であるということは、いずれもこの工事の上に反映しておりまして、それだけ減額して工事をやつております。しかし加入電話及び市外線の工程につきましては、収入減にもかかわらず、われわれは予定工程を終了するように努力しております。従つて二十八年度末におきましては、加入者の数が百七十六万九千百三十八名でありましたものが、本年度は十八万八千八百八十名を増加する予定でありまして、十一月末までにすでに十二万四千名余を架設いたしました。従つて現在は百九十万ばかりの加入者があります。しかしなお現在の積滞は四十万余ありますので、今後におきましても極力予定工事を完了したいと考えております。また三十年度の拡張数は十八万五千の予定であります。また公衆電話につきましては、一般大衆の利用が非常に多いのでありますから、極力その数をふやすように努めておりまして、あらゆる種類の公衆電話を合計しまして二万四千ばかりありますが、本年度はさらに三千八百七十個を増設しようとしております。  また市内通話のサービスの状況でありますが、話中の率というものは漸次減少する傾向をたどつております。二十八年度に比較いたしまして一%ないし二%話中の率は減少しておりますが、しかしまだ東京とか横浜とかいう大都市におきましては、話中の率が四〇%より多いところがまだ多少ありますので、これを直さなければなりません。しかしこれは主として加入電話の不足であるとか、あるいは中継線、局内設備の不足によつておるのでありまして、いずれも施設の拡充によらなければ解決できないのであります。大体五箇年計画においては、十大都市における平均完了率を七〇%、自動単局地の完了率を七五%に達するようにしたいと考えておるわけであります。市外通話につきましては、通話数はふえておりますが、一加入当りの取扱数は漸次減りつつあります。従つて待合せの時間が漸次短縮しておるということであります。しかもデフレの関係上、また通話が非常に疏通がよくなつている関係上、至急通話あるいは特急通話というものが漸次減少の傾向をたどつておりまして、普通通話が二十八年度上半期におきましては五八・九%、約五十九パーセントであつたのが、本年の上半期においては七一%というふうに、普通通話が非常にふえて来ておるのであります。それがやはり料金収入に影響しておるのでありまして、これは実質的には加入者に対して料金の値下げをしておるということを現わしておるのであります。また市外通話の待合せ時分も漸次短縮しておりまして、一般に特急通話におきましては長距離通話において四十八分、中距離が三十九分、短距離が十六分というように短縮されております。しかし普通通話はこれよりも延びることはどうしてもやむを得ないのであります。また長距離即時サービスは、東京、名古屋、大阪間においては実施されておりましたが、本年にはさらに東京・神戸、大阪・横浜間にも実施する予定であります。電報のサービスは、むしろ数が減少した傾向にあるのでありますけれども、電話による託送電報の利用というものが漸次増加しておりまして、非常に便利になりつつあります。しかも電報の所要時間及び誤謬率というものは、前年から比較いたしますと著しく改善されつつあります。  さらに労働組合の問題でありますが、これはこの前の委員会においてすでに報告されているように思いますので、そのときに報告されてなかつた部分だけを申し上げます。年末における賞与につきましては、十七日の午後五時に妥結いたしまして、年末手当として一・二五箇月分を支給し、年末繁忙手当として〇・一二箇月分を繰上げて年内に支給するということによつて解決をいたしました。  その他今年度におけるおもなる問題といたしましては、東京・大阪間にマイクロウエーブのワン・ルートをふやす予定になつております。また無線の専用業務を積極的にやりまして、無線専用電話を使う人に便益を与えようとしておるのであります。また天気予報のサービスもやつております。それから輻湊を救済するために市内専用と申しまするか、できるだけ専用電話をつけることを今後勧奨するつもりであります。これは負担金も何も免除いたしまして、積極的に勧奨し、これによつて話中の率が著しく改善されるわけであります。また公衆電話につきましても、硬貨式の公衆電話をボツクスのところには使つてあるのですが、一般の赤電話は直接店の人に金を払つてかけるようにしてありました。しかしこれは往々にしていろいろなトラブルを起しておりますので、今後は赤電話に対しても硬貨式の電話を使うことにしております。また町村合併促進に伴いましても、先般この委員会において決議をしていただいた通りでありまして、われわれとしましてはぜひともこれを解決したいのでありますが、われわれの予算の範囲内においては、この町村合併に伴う通信施設の改善というものはとうてい困難でありますので、できれば預金部資金その他によりまして、この問題を解決したいという考えであります。  さらにマイクロウエーブにつきましては、現在大阪・福岡間を工事をしております。来年の秋ごろにこれは完成する予定であります。同時にまた来年度におきましては東京・仙台間の工事をいたします。さらにそれを延長しまして札幌まで完成するつもりでありますから、三十一年度の半ばごろまでには、札幌から福岡までに至るマイクロウエーブは完成する予定であります。さらに中小都市にマイクロウエーブをやるために、三十一年度以降において工事をいたす予定でありますが、それには今までのような四千メガばかりでなく、二千メガ及び六千メガも使用する予定であります。そのほか駐留軍の要求によりまして、軍用通信のマイクロウエーブを現在三沢から九州の板付に至るまでの回線を工事しております。  以上最近における事業の経営状態について申し述べました。
  76. 永井勝次郎

    永井委員長 質疑の通告がありますから、これを許します。橋本委員
  77. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 時間の都合上二、三の点だけちよつとお聞きいたします。期末手当の問題も、最近きまつたようでありますが、御説明によりますと相当赤字の状態であつて、たいへん苦労せられて解決をはかられたと思うのですが、財源問題はどういうような措置をとられたか。この点について御説明願います。
  78. 梶井剛

    ○梶井説明員 公社の経理としましては、決して赤字になつてはおらないのであります。ただ給与総額が限定されておりますので、非常にこういう場合にきゆうくつを感じるというわけであります。大体大蔵省との折衝によりまして、〇・一二箇月分だけは予備費から組みかえてもいいという了承を得ました。そうしてあとの〇・二五箇月は給与総額の残をもつて支給するということにいたしております。
  79. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 予備費からの組みかえは予算的措置がいると思いますが、その点どうなつておりますか。
  80. 梶井剛

    ○梶井説明員 ただいまお答えしましたことが間違つておりましたから、訂正いたします。予備費の組みかえではありませんで、節約を九億余やつております。それから出すということになつております。
  81. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 大体公社の予算のうちで、期末手当等の賞与の問題ですが、これは国家公務員等とは違つてつて、原則的には組まないといいましようか、非常に最小限度のものが予算に計上せられておつて、原則としてはいわゆる毎年支払われるような金額が含まれておらないのであります。これは公社発足当時は、少くとも公社経営というものは民間企業と同様に、できるだけ弾力性のある予算を組み、かつまた給与についても弾力性のある措置をしたいというようなことから、こういうような規定になつたのであるし、かつまた予算の組み方もそういうような方針であつたのでありますが、一、二年実際上実施してみますと、公社がいわゆる民間的経営といいますか、弾力的経営をやろうといたしましても、なかなか実際上の問題としては、政治的に他の国家公務員との振合いからして、なかなか思い切つたことができない状態になつておるようであります。そこで将来ともにどうもこの制約は受けざるを符ないのであります。しかるに本年度のごとくに、予定収入額が予算額を非常に下まわつた状態がありますと、そうした期末手当のことにつきましても、その捻出に非常な苦労をしなければならない。これははなはだ公社当局にとつても迷惑な話であつて、しかも国家公務員あるいはこれに準ずる現業員等の措置が、政府においては予算的に行われるにかかわらず、公社の場合においてはこれの措置が非常に難渋であるということが予想せられますので、将来の給与予算の編成について、一応最低限といいますか、大体標準的な期末手当もしくは盆の手当、六月末の手当等は、基本的には予算のうち組み込んでおく。公社自体の経営のいかんによつては、なおそれにアルフアをつけることができるという措置にした方が、実際上の予算の編成の上からも、あるいは予算の実施の上からも便利じやないかと考えるのですが、この点に関する総裁の御意見を承りたい。
  82. 梶井剛

    ○梶井説明員 二十九年度の予算編成の際にも、ただいま橋本委員お話のありましたことは、われわれは大蔵省に対して主張したのであります。公務員の方は賞与が年間を通じまして二箇月であります。私どもの方は一・七五箇月になつております。〇・二五箇月というものは公務員との間にすでに差があるのであります。でありますから期末手当に対しては、公務員といえどもまた公社職員といえども、同等にやつていただきたいということをお願いしたのでありまするが、それまでの状況というものは、公社におきましては常に増収また増収でありまして、能率向上対策としてある程度の手当が出るのでありますから、両方をとるということになる。それはよくないという大蔵省の主張でありまして、遂に一・七五箇月分になつたのであります。しかるに本年度においては、実際には増収ではなくて、むしろ減収になつて来た。そうしますと、たちまち今のようなことが起るのでありまして、われわれは今後におきましてはぜひとも公務員と同じように、二箇月分の期末手当を予算に計上してもらいたい。そしてあとの働き、つまり増収をやるとか、あるいは節約をやつたことによつて予定収入以上に収益が得られましたときには、これこそほんとうに報償制度によつて、ある程度従業員に報いるべきではないかというように、われわれは強く感じておるのであります。従つて今後の予算折衝については、そのことを十分に主張したいと思つております。あるいは給与総領そのものを全部撤廃してもらいたいということも、先般合理化審議会において主張したのでありますが、これは撤廃いたしますとあまりに限度がなくなるおそれがありますので、三公社とも同じような希望でありましたけれども、もしそれが困難であるというならば、ある程度そこに弾力性を持たしてもらいたい。そうすればその業績に応じて、そこにある程度の報償が行えるのではないかというふうに考えておるわけであります。
  83. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 今の総裁の御説明は、われわれの考え方と同じであつて、まことにけつこうだと思いますが、大蔵省の方でその点について非常に理解が足らな過ぎるのであつて、実は今度の場合におきましても、節約によつて一方においては期末手当をよけい出すという結果になつておるというのは、りくつに合わないと思う。節約というのは物件費、人件費ともに節約するのであつて、一応りくつの上からいうとおかしな話ですが、しかしながら他の国家公務員なりあるいは政府機関の現業員等に比べて、今度の措置は当然であつて、今回の妥結を見たことはたいへんけつこうなんですが、そういう矛盾があるのでありますから、ぜひともこれは総裁の考えておるように、国家公務員並に予算の上に組み入れる。これは断固として主張してもらつて、そうして働きによつて増収が行われた場合には、当然これは〇・五でなくても、一箇月分でも、あるいは二箇月でもよけい出せるというところに、初めて公社の人間の使い方に妙味が出て来るのでありまして、その点については今度の予算編成の際、強力に御推進願いたいと思います。  それからもう一つ、赤字の問題に関連してですが、大分電話が増設された。ことに都市中心に相当の増設をされて参つたのですが、地方の大都市といいますか、中都市以上の大都市でありますが、そういうところでも従来の設備負担金、あるいは公債の持ち方、あるいは負担金の金額等が、現状ではある程度そぐわない状態になつていはしないか。たとえば東京が六万円の公債を持つ。これに対して近郊が二万五千円ですが、非常に金額が少くなつておる。しかもゼロ番で即時通話ができるような状態になつておるにかかわらず、そうした方面の負担の均衡が違つて来ておる。こういう点についても、あるいは是正の道があると思うのですが、これについての対策、あるいは是正でもよろしいのですが、そういう立場から御研究になつておればお聞かせ願いたいと思います。
  84. 梶井剛

    ○梶井説明員 これは先般の料金改訂の際旨いろいろ研究いたしましたが、今橋本委員の御指摘がありましたように負担金、社債、並びに一般の料金というものはお互いに関連性がありまして、これを全部合理化することは時日がとうてい許さないのであります。従つて現状におきましては、いろいろの不合理があるのでありまして、この不合理をぜひとも是正したい。近き将来におきまして全面的にこれの検討を終りましたならば、国会に是正案を出して御承認を得たいと考えておる次第であります。
  85. 松前重義

    ○松前委員 節約の問題ですが、中小企業者と大企業、大きなメーカーが値引きを公社から命ぜられたときに、大分率が違うようでありますが、そういことはありませんでしようか。
  86. 梶井剛

    ○梶井説明員 本年の初めに公社の購入いたします物品につきまして、値引きの交渉をいたしました。その当時の公社の言い分としましては、発注数量が増して行く、あるいは一年間の生産を毎月々々平準化して行くということによつて、工場操作を非常に有利にする場合においては、幾ばく価格が軽減できるかという質問をいたしたのであります。それに対して公社と会社との間には意見の相違がありましたけれども、その間調節いたしまして、ある程度の値下げを実行することができたのであります。その際にわれわれの懸念しましたことは、大会社というものは多くは全部のものを自分の会社でつくつておりません。部品は下請会社に出しております。そういう場合に、下請会社から購入する部品の価格が、われわれの値引きを要求した以上になりますと、結局中小企業にしわ寄せになりまして、中小企業を非常に苦しめることになる。であるからしてこの値引きについては、下請の業者に向つてしわ寄せをしては困るということは、念を押して申しておいたのであります。しかし何分にも中小企業というものはわれわれが直接買うばかりでなく、大会社の注文を受けない限り、工場操作が円滑に行かないものでありますから、つい大企業から中小企業が圧迫を受けて、われわれの要求した値下げの歩合よりも、少し大幅になつたのではないかという懸念を持つておる次第であります。  なお中小企業は、特にかようなデフレの状態のときにおいては最も苦しむのでありまして、われわれが前金を出しましても、中小企業にはその前金の影響が十分に行かない。つまり前金を大会社に出すということは、単に大会社の金融だけの問題ではなくて、大会社が中小企業に対する支払いを円滑にするためであります。そういう意味におきまして、われわれが前金を出すときには、必ずこれを中小企業の支払いにも充ててくれ、そうでないと、とかく君たちは支払いを非常に遅らして行く、ことに約手をもつて払うものでありますから、場合によつては三箇月、四箇月先の支払いの約手であります。それが割引されますから、実際の現金収入はそれだけ少くなつて来るということになるのでありまして、はなはだしく中小企業にしわを寄せて苦しめるということになります。こういうことにつきましては、われわれは中小企業にも極力前金を出すように、また大会社に購入されているものに対しても、中小企業に直接支払うように、また中小企業は値下げのしわ寄せを著しく持つて行かないようにということは、それぞれその都度大会社に念を入れて申しておるのでありますが、実際問題としまして、そういう商取引の裏面をわれわれは十分に知ること困難でありますから、そういう苦情が往往にしてわれわれの耳にも入るのであります。
  87. 松前重義

    ○松前委員 中小企業に対して非常な配慮をしながら発注をしておられるというそのお気持に対しては、非常に感謝をいたすのでありますが、ただ現実の問題として、中小企業にはこの公社の意図がなかなか通じないという結論が方々に出ておるようでございます。これは何らかの形において解決する必要がある、それは電電公社の使命ではないかと私は思います。しかしいずれにいたしましても、中小企業者をして安定した企業たらしめなければ、よい品物も、またそれが安くもできないのでありますから、何らかここに方法を講じて、中小企業者のそのような実情を知りながら、なお大企業と申しますか、チヤンネルになつて納める大きなメーカーに対して、今までのような、中小企業へしわ寄せできないような態勢をとる必要があるのではないかと思うのでありますが、これに対して具体的な何か御成案をお持ちであるか伺いたい。
  88. 梶井剛

    ○梶井説明員 われわれはさような工業に対する監督者の立場におらないものでありますから、通産省のように一つの大きな政策を立てるというわけに参らないのであります。しかし中小企業は日本の国として非常に必要なものでありまして、またそれに依存して生活している人がかなり多いのでありますから、われわれは中小企業を決してないがしろにするわけに行かない。しかしいかにしてこれを強化して行くかということになりますと、われわれが援助するということよりも、これらの人々がお互いに協力するということに多くはかかつているのではないかと考えるのであります。先年それらの中小企業を集めまして、業種によりまして、同じようなものを生産する者を一団といたしまして協同組合をつくらしまして、その協同組合にわれわれは前金を出す、また協同組合に一斉に発注する、そして共同の責任のもとにわれわれに納めてもらうということをやつたのでありますが、その結果は非常によろしいようでありまして、この年末に際しましても、われわれは中小企業に対する金融を非常に心配して、もし金融が困難なために高利を借りるようなことがあつては困るから、もしそういう事情があるならば、われわれはできるだけの努力をして前金をやるからということを申し入れたのでありますが、協同組合をつくつている連中は、前金はいりませんと申すのであります。それほど協同組合というものは、中小企業にとりましては非常にぐあいのいいものでありまして、今後われわれはできるだけこの協同組合の範囲を広めて行きまして、お互いに助け合つて行く方針をとつて行きたい。そうすればわれわれも個々の小さな各会社を相手にしないで、協同組合そのものを相手にしてすべてのことを処理できますから、援助も一層有効に行われるのではないかというふうに考えます。
  89. 松前重義

    ○松前委員 非常に適切な措置をおとりのようでありますから、その問題に対しましてのより以上の御努力をお願い申し上げたいと思います。  第二の問題は、中小企業の中で大メーカーに依存していない独立の中小企業があります。たとえば線路の部品とかランプとか、こまごました小さなものであります。ところがそういう諸君は公社の値下げ交渉にあつさり応じてしまつたが、大企業の人たちは大分ねばつて値下げに応じなかつたということで、その値下率が大分少くなつている、こういうことでありまして、その後において値下げを申し入れた理由とされておつた多量の生産、すなわち今後は非常に計画的に多量に発注するから値下げしろと言われたところのその言葉は、結局デフレ政策によつて非常に大きな断層に当面している、こういうことでありまして、大メーカーに従属していないところの中小企業者たちが、現在その生産に非常にあえいでいるような現状があるのであります。これに対しましては何らか具体的な手をお打ちであるかどうか、どういうおつもりでおやりになつておられるか、伺いたいと思います。
  90. 梶井剛

    ○梶井説明員 値下げの際に、お話のありました通りに大企業はねばつて、なかなか値下げの率を大きくは応じなかつた。しかるに中小企業は非常に弱いものであからして、公社の要求に対してすぐ応じた。しかも公社が発注数量がふえるとか、あるいは年間の仕事を平準化するというにかかわらず、業者の影響によつて逆になつてしまつたというようなことにつきましては今お話の通りであります。実はわれわれは、値下げのことにつきましていろいろとくふうしております。その根本は、単に発注数量がふえるであろうとか、あるいは年間の平準化ということよりも、元来公社が使つておりまする品物が、最も経済的に生産されているかどうかという問題であります。つまりわれわれの発注しておる品物が、使用の目的に沿う最小限度の経費をもつて生産されておるか、言葉をかえて申しますると、現在われわれが使つております仕様書というものが、単に品質の良好なるのみを願つて、値段の高いということを一切かまわずに購入しておるのではないだろうかという懸念を、われわれは持つておるわけであります。でありますから、メーカーの意見をいろいろと聞きまして、最も生産のやさしい、つまり最も生産費のかからないやり方で、われわれの要求を満足させるような品物を生産する場合において、幾ばくの値下げができるであろうかということを目下研究中であります。これはメーカーの意見をも聞き、またわれわれの方でも研究いたしまして、それを基礎として今後再び値下げの交渉をしたいという考えを持つております。その際に、先ほど御指摘がありましたように、中小企業の意見をも十分にいれまして、この前の値下げのときに中小企業に非常に不利であつたとするならば、是正する機会があるのではないだろうかというふうに考えております。
  91. 松前重義

    ○松前委員 大体わかりました。私がただいま例を申し上げませんでしたから、直接の御答弁にはならなかつたと思うのでありますが、大体メーカーに直属していない中小企業者、こういうのは非常に原料を多く使うものが多くて、いわゆる高級な機械なんかでなくて低級なものでありまするから、原料をよけい使つて技術的なところが少い。従つて非常に弾力性がないのであります。その弾力性のないのをごそつと機械的に何割と削られて、今から行け、うんと注文すると言う。ところが今度はその通りに注文は来ないし、またデフレで全然注文が来ないというようなことで、前にどのくらいもうけておつたか知りませんけれども、とにかくあえいでおるところが非常に多いのであります。でありまするから、この問題に対しては、特に普通の機械と違つて弾力性の少い、そして原料を非常にたくさん使う、素材がうんといる、ほとんど素材ばかりである、こういうふうなものに対する取扱い方は、一般の電信電話のような高級な機械の取扱いとは、多少考え方をかえてかからなくちやいかぬのじやないかという感じもするのであります。これが第一点。  第二点は、たくさん発注するといつてちつとも出て来ないで、しかも値段を下げた、こういうものに対してどういう取扱いをなさるのであるかということを伺いたかつたのであります。ただいまのお話で大体御精神はわかりましたけれどもちよつと具体的な問題について簡単にお答え願いたいと思います。
  92. 梶井剛

    ○梶井説明員 値下げの交渉というのは、一方的に私の方から命令したのではありませんでして、各生産業者と話合いをしまして妥結したのが、現在の値下げであります。従つて、これは両方とも見込み違いと申しますか、われわれの方も発注数量がふえると断言したのではなくて、単に一割ふえたら幾ら下げられるか、二割ふえたら幾ら下げられるかということを聞いたにすぎないのであります。最後の発注数量というものは、予算の成立額によつてきまるものですが、不幸にいたしまして、二十九年度はデフレ政策のために、われわれが予想した予算よりも相当減りました。そのために発注数量もすぐ減つたのであり手が、われわれは、年間のおおよその発注数量をあらかじめ前年度末までに各メーカーに内示しております。でありますから、その数量に比して発注数量がそう著しくふえるということは予想ができなかつたのであります。一割増産したら、二割増産したらというのは参考だけの意見でありまして、それを口実に値下げを要求したというのではなかつたのであります。われわれとしましては、むしろそれよりも発注を平準化すと言つておいたが、事実においては二十九年度は前半期において発注数量が非常にふえた。そうして後半期には発注数量が非常に少くなつた。でありますから、工場としてはその点に非常に悩んだという事実が、今日中小企業においても悩みの種になつているのだろうと思います。今お話の通りに、中小企業のうちにも材料が大部分でありまして、工賃はきわめて少いというような仕事が相当あります。そういうところへわれわれがむやみに値下げを要求いたしますと、材料が下つておらぬのに、加工賃だけにみなしわが寄りますから、職工の賃金を下げなければならぬというようなはめになるのでありますが、幸いにしまして二十九年度は材料も相当値下りしております。銅も鉛も鉄もみな値下りしております。でありますから、年度初頭にきめました価格が、材料の値下りによつて相当助かつておるのではないだろうかというふうに現在思つております。ただケーブルのごとき銅、鉛を主体とするものにつきましては、スライデング・スケールでもつて一・四半期ごとにその値を是正しておりますから別でありますが、一般の線路、材料のようなもの等をつくつているものについては、こういう措置をとつておりませんから、材料の値下りは、中小企業に対しては比較的好影響を及ぼしているのではないかと思います。
  93. 松前重義

    ○松前委員 大体わかりました。しかしある部分には多少無理のあるところもあるようであります。大体御精神また運び方は適切であると思うのでありますが、二、三非常に困つている事例があるようであります。しかしあまり小さな問題でありますからここでは申し上げませんが、そういう事柄については手直しをお願い申し上げたいと思う次第であります。これで終ります。
  94. 永井勝次郎

    永井委員長 ほかに御質疑はございませんか。——なければ本日はこの程度で散会いたします。    午後三時四十八分散会