○梶井
説明員 最初に二十九年度の電信電話事業の経営
状態について御
説明申し上げます。
二十九年度はデフレ並びにサービスの改善によりまして、収入は多少減少する
傾向を持
つております。十月末現在におきまして予定収入より約二十三億円減少しております。従
つて年間約四十一億円の減収の見込みであります。でありますから損益勘定支出におきましては、六月の閣議
決定によ
つて九億六千万円の節約を行いましたけれ
ども、減収によりまして資本勘定への繰入れは相当圧縮しなければならぬ
状態にな
つております。これが対策といたしましては、私
どもは二十九年度の工事のうちで、若干局舎の基礎工事を一部三十年度以降に繰延べておるのであります。料金の収入の減少はどういうところに起
つておるかと申しますと、一般の電話使用料は減
つておりませんけれ
ども、度数料、市外通話料、電報料その他の料金におきまして減少しておりまして、特に電報料において著しく減少しておるのであります。平均しまして三・五%の減少にな
つております。また電信電話債券の発行
状態でありますが、予定は公募債券は七十億ということにな
つております。それを五月に十億、七月に十億、九月に十億、
ちようど三十億を募集し終
つたのでありまして、十二月が電電公社の募集する番でありますが、その際に十二億五千万円募集することにな
つております。そうして一月、二月は国鉄が募集いたしまして、三月は国鉄と電電公社と両方が協議して募集することにな
つております。でありますから、大体二十億余公募社債というものが減額されるという見当であります。
こういう
状態におきまして、われわれの年間の予算に対して工事計画を進めておるのでありますが、大体今日までの工事の進捗率は六一%でありまして、非常に順調に工事を進めております。しかし現在のような減収あるいは公募債の減額であるということは、いずれもこの工事の上に反映しておりまして、それだけ減額して工事をや
つております。しかし加入電話及び市外線の工程につきましては、収入減にもかかわらず、われわれは予定工程を終了するように努力しております。従
つて二十八年度末におきましては、加入者の数が百七十六万九千百三十八名でありましたものが、本年度は十八万八千八百八十名を増加する予定でありまして、十一月末までにすでに十二万四千名余を架設いたしました。従
つて現在は百九十万ばかりの加入者があります。しかしなお現在の積滞は四十万余ありますので、今後におきましても極力予定工事を完了したいと考えております。また三十年度の拡張数は十八万五千の予定であります。また公衆電話につきましては、一般大衆の利用が非常に多いのでありますから、極力その数をふやすように努めておりまして、あらゆる種類の公衆電話を合計しまして二万四千ばかりありますが、本年度はさらに三千八百七十個を増設しようとしております。
また市内通話のサービスの状況でありますが、話中の率というものは漸次減少する
傾向をたど
つております。二十八年度に比較いたしまして一%ないし二%話中の率は減少しておりますが、しかしまだ東京とか横浜とかいう大都市におきましては、話中の率が四〇%より多いところがまだ多少ありますので、これを直さなければなりません。しかしこれは主として加入電話の不足であるとか、あるいは中継線、局内設備の不足によ
つておるのでありまして、いずれも施設の拡充によらなければ解決できないのであります。大体五箇年計画においては、十大都市における平均完了率を七〇%、自動単局地の完了率を七五%に達するようにしたいと考えておるわけであります。市外通話につきましては、通話数はふえておりますが、一加入当りの取扱数は漸次減りつつあります。従
つて待合せの時間が漸次短縮しておるということであります。しかもデフレの
関係上、また通話が非常に疏通がよくな
つている
関係上、至急通話あるいは特急通話というものが漸次減少の
傾向をたど
つておりまして、普通通話が二十八年度上半期におきましては五八・九%、約五十九パーセントであ
つたのが、本年の上半期においては七一%というふうに、普通通話が非常にふえて来ておるのであります。それがやはり料金収入に影響しておるのでありまして、これは実質的には加入者に対して料金の値下げをしておるということを現わしておるのであります。また市外通話の待合せ時分も漸次短縮しておりまして、一般に特急通話におきましては長距離通話において四十八分、中距離が三十九分、短距離が十六分というように短縮されております。しかし普通通話はこれよりも延びることはどうしてもやむを得ないのであります。また長距離即時サービスは、東京、名古屋、大阪間においては実施されておりましたが、本年にはさらに東京・神戸、大阪・横浜間にも実施する予定であります。電報のサービスは、むしろ数が減少した
傾向にあるのでありますけれ
ども、電話による託送電報の利用というものが漸次増加しておりまして、非常に便利になりつつあります。しかも電報の所要時間及び誤謬率というものは、前年から比較いたしますと著しく改善されつつあります。
さらに労働組合の問題でありますが、これはこの前の
委員会においてすでに報告されているように思いますので、そのときに報告されてなか
つた部分だけを申し上げます。年末における賞与につきましては、十七日の午後五時に妥結いたしまして、年末手当として一・二五箇月分を支給し、年末繁忙手当として〇・一二箇月分を繰上げて年内に支給するということによ
つて解決をいたしました。
その他今年度におけるおもなる問題といたしましては、東京・大阪間にマイクロウエーブのワン・ルートをふやす予定にな
つております。また
無線の専用業務を積極的にやりまして、
無線専用電話を使う人に便益を与えようとしておるのであります。また天気予報のサービスもや
つております。それから輻湊を救済するために市内専用と申しまするか、できるだけ専用電話をつけることを今後勧奨するつもりであります。これは負担金も何も免除いたしまして、積極的に勧奨し、これによ
つて話中の率が著しく改善されるわけであります。また公衆電話につきましても、硬貨式の公衆電話をボツクスのところには使
つてあるのですが、一般の赤電話は直接店の人に金を払
つてかけるようにしてありました。しかしこれは往々にしていろいろなトラブルを起しておりますので、今後は赤電話に対しても硬貨式の電話を使うことにしております。また町村合併促進に伴いましても、先般この
委員会において決議をしていただいた通りでありまして、われわれとしましてはぜひともこれを解決したいのでありますが、われわれの予算の範囲内においては、この町村合併に伴う通信施設の改善というものはとうてい困難でありますので、できれば預金部資金その他によりまして、この問題を解決したいという考えであります。
さらにマイクロウエーブにつきましては、現在大阪・福岡間を工事をしております。来年の秋ごろにこれは完成する予定であります。同時にまた来年度におきましては東京・仙台間の工事をいたします。さらにそれを延長しまして札幌まで完成するつもりでありますから、三十一年度の半ばごろまでには、札幌から福岡までに至るマイクロウエーブは完成する予定であります。さらに中小都市にマイクロウエーブをやるために、三十一年度以降において工事をいたす予定でありますが、それには今までのような四千メガばかりでなく、二千メガ及び六千メガも使用する予定であります。そのほか駐留軍の要求によりまして、軍用通信のマイクロウエーブを現在三沢から九州の板付に至るまでの回線を工事しております。
以上最近における事業の経営
状態について申し述べました。