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春日委員 まず最初に
大工、
トビ、
左官、
板金、こういうような比較的労務を提供することによって
所得を得ておるような
人々に対する
課税の
あり方が、現在
国税局によりましてはまちまちに行われておるのであります。これが、当事者はもとより、
関係当局のそれぞれ非常な困惑するところと相なっておるのでありますが、この機会に、この問題を
国税庁において
調整をいたされまして、
北海道の
大工職も九州の
大工職も、税の
立場においては平等であり、同じ
取扱いを受けるというような体制を確立願わなければ相ならぬと思うのであります。現在では、
国税庁長官が発した
さきの
通達は、それぞれいろいろの解釈ができるような
事柄がありまして、
末端徴税機関が思い思いの取り方をしておるのであります。そこでお
伺いをいたしたいと思うのでありますが、この
課税の仕方について、
さきに
直所五ノ二二、これは昨年五月十八日に発せられた
国税庁長官の
通達でございますが、そもそもこの
通達は、当時本
委員会において、これらの
諸君に対して
課税をいかに行うべきであるかという問題が深く
論議されまして、そのときの政務次官でありました
植木君がいろいろとその間に介在されまして、たとえば
店舗を有したり
使用人を使ったりしておるものは、これを
事業所得とみなすべきであるという
さきの
通牒をこの
通牒によって
改正されておると思うのであります。従いまして、この
通牒の
本旨が、
徴税の現場においてそれぞれ功を奏するがごとき
措置が行われなければならぬと思うのでありますが、冒頭に申しましたように、この
通牒がなおあいまいな
事柄を残しておりますために、いろいろと紛議を残しておるわけであります。
そこで具体的にお
伺いをいたしたいことは、たとえば
東京の
国税局がやっております
徴税方針は、
給与所得と
事業所得との
区分基準表というものを作っております。それによりますと、
所得段階を設けて、最低十六万四千円から最高三十七万円まで幾つかの
段階に分けて、そうして各
段階において
給与所得の
割合と
事業所得の
割合とを確定いたしておるのであります。そこで、こういうような
あり方は、その後
業者の
全国的な会合によって、これはほぼ公正なものであろうというので、
業者自体もこれに対して賛意を表し、納得をいたしておる
状況であるのでございます。ところが、このような様式をとるのは
東京並びに
北海道、その他東北の一部等でありまして、他の大
部分はこの
東京国税局の
方針をとらないで、
所得のあるところには
課税をする、こういうような形で、その
所得が
事業所得であるか、あるいは
給与所得であるかというような問題について機械的な分析が行われてはいない。その結果
見込み課税が行われたり、その
課税されたる
所得は、
税種が
所得税という形に相なりまするので、これが
地方税の
事業税にさらに付加されるというような
形等になりまして、これが
全国の
大工、
トビ職、
植木職等の
諸君に対していろいろの問題を投げかけておるのであります。不肖がいろいろ現地において
調査したところによりますと、別にまた
自治庁の
次長から
都道府県知事にも
通達が出されておりまして、その
通達によりますと「
請負業とはその
事業が
通常請負契約によって行われるものをいうのであるから
大工、
左官、鳶、
植木職でたまたま
請負契約によることがあっても
通常単に自己の労力を提供してこれに対する対価として賃金を受け取っているにすぎない者の行う
事業については
事業税を課さないものと、なおこれが認定に当っては国の
税務官署の
取扱いに」云々ということがあるわけであります。これはどうせ
政府部内においていろいろと
意見の
調整が行われて、具体的には、この
東京の
国税局の
給与所得と
事業所得との
区分基準表によっての
課税が行われた場合における
府県側の態度をここに指示しておるものと思うのでありまするが、問題は、こういう
区分の行われていない
所得に対しては、結局これが
所得税である限り、全部
府県の
事業税が課せられる、こういうことで、あたらこの
自治庁の
通達も功を奏しないで今日に至っております。すなわちこの
通達の
精神によれば、当然
事業税を課せられるいわれのない
諸君に対して、不当に
事業税が課せられて今日に至っておる、こういうことになるのであります。仄聞するところによりますと、
国税局当局においでは、旧臘来この問題について
全国の
国税部長会議難が開かれて、いかにこの
課税が行われるべきであるかという
意見の
調整をはかられておるとの趣きでありますが、御
承知の
通りこの
通達は五月に発せられ、すなわちこれが
昭和二十八年の
所得に対して当然功を奏さなければ相ならぬのでありますが、今なお
徴税当局において、この問題についての
意見の
調整を行なっておるというようなことは、まことにもって職務怠慢のそしりを免れないと思うのであります。三月十五日が
最終決定であるといたしますれば、今もはや一カ月何がしという日しか残しておりません。すでに本
年度の
事業税はそれぞれ
課税されてしまって、あるものは納めてしまってある。そういうような
段階に至って、なおかつその
意見の
調整を行うとか、その
課税の仕方を研究するとかいうようなことは、私は
国会の
意思決定に対してこれを忠実に行なっていない
事柄の証左であろうと思うのでありまして、この点についてはまことに遺憾の意を表せざるを得ないのであります。
それはそれといたしましてお
伺いをいたしたいことは、昨年の暮れ以来出されておりますが、それぞれの局においてこの問題をどういう工合に最終的に
取扱い方式を
決定されんとするものであるか。現
段階において
決定しておるところがありますれば、その
決定しておる
事柄、
決定の
段階に至っておりませんならば、その
見通しについて、
国税庁当局の御
見解を承りたいと思うのであります。