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春日委員 所得のあるところには
課税をするというのが、私は徴税行政の大体基本的なあり方であると思う。そこで今、年末の
給与だけにこういうような特例
措置を行うことはどうかと思われる、こういうようなことでありますが、そんなことは現在の徴税行政の随所で行われておる事柄であ
つて、ただこのことを取上げてこれを異とするには足らないのであります。これは申し上げるまでもなく、たとえば大企業に対しては、
所得のあるところには
課税をすべきであるが、これを特に免じておる。これは租税
特別措置法の各項目の中において、たとえば価格変動準備金において百二十二億、貸倒準備金において百六十億、退職準備金その他において六百八十数億というものは、
所得はあるけれ
ども、特別にこれに
課税しないで、社内の留保を認めて資本の蓄積の便宜に供しておる。こういう事柄は随所に行われております。たとえばまた前の
臨時国会におきまして、
昭和二十九年産米についての減税という
特別措置もいたしております。この減
税措置によりまして、農家が得たところのフエーヴアーは、二十億ないし三十億を越えておるといわれておるのであります。いわゆる国家の行
財政の大所高所からながめて必要とする場合は、これは
所得のあるところに
課税をしない、特別の免除
措置を講ずるということは、これは租税
特別措置法の随所において行われておる事柄であり、さらにまた
臨時国会等においても、農家の
所得に対し、あるいは社会保険診療報酬に対しても、この国会が責任を負
つて、満場一致でも
つて医師、歯科医師に対する
収入に対して減免
措置を講じておる。あなたは税全体の立場において今こういうことを行うことはどうかと思うと言われるが、これは当然
税体系を全般的にわれわれが今ここで論及しようとしておるのではないのです。たとえばこの年を越そうとしておるところの低額
所得者たちが
——しかもこれは低い
所得の人々だけを対象としてわれわれはこの問題を提起しております。これらの人々がベース・アツプをしてくれとい
つても、ベース・アツプができない状態にある。越年資金を二箇月分くれとい
つても、これは出しがたい状態にある。だからそういう企業体の経理全体から
考えて、そういう労働者の
生活を保障して、何とかしてこの年を越させるということが、それぞれの雇用責任者からそういう給付を行うことができないとするならば、行政
措置によ
つて何らかの寄与を行
つて行こうというのが本
法律案提案の
趣旨であります。そういうことでありまして、五千円を限度としてこれを論ずるという形になりますと、これを八百万人に割りますと大体一人当り七百円前後のフェーヴァーしかございません。けれ
ども、この七百円前後の金でも
つて子供のシヤツを買い、あるいはお正月のげたを買い、羽子板を買う、こういう
程度のことをしてやるということは、これは少くともわれわれが当面しております数々の政治的懸案の中で最も緊急に解決をせなければならない懸案の
一つだとかたく信ずるがゆえに、こういう
提案が行われたわけです。
私は大臣に申し述べたいことは、われわれは
税体系の全般的な構成をいろいろ根本的に改廃するというときがやがて来ると思いますけれ
ども、今はその事柄に何も触れているのではない。ただ低額
所得を得ているところの
諸君が、御
承知かどうか知りませんが、この年を越すにあた
つていろいろな項目を掲げているが、その項目の中で、たとえば二箇月分の越年
手当、ベース・アツプの要求、それから年末の
賞与に対する減
税措置に対する嘆願、こういうようなものの中の
一つぐらいはかなえてやるというのでなければ、これもだめだ、あれもだめだというので全部これを拒否してしまうというようなことでは、これはあまりに残酷ではないか、こういうことからこの
法律案が
提案されているわけであります。それにただいま
柴田委員からいろいろ論じておられますが、この財源というような問題も、あるといえばある。ないといえばない、こんなものは水に映つた二十日月のようなもので、七千七百億円のうちでわずかに一%の操作ができないというようなことは、これは理解ができない御答弁と申さなければなりません。これは私
どもがお互いに腹をきめて、そうしておれたちはこの
考え方以外には一歩も出ないのだ、こういうことではなく、やはりこういうような
委員会の論議を通じて、その国民の声はあなた方がすなおに胸を開いて聞いてもらう、そうしてわれわれの主張であ
つても、やはり首肯するに足るような事柄があるならば、何とか可能な方法をあなた方が努力してこれを深して行
つていただく、こういうことでなければ、とても国会における論議というものは意義を有さないんじやないかと思うわけであります。
そういう意味でもう一ぺんあなたにお伺いをいたしたいことは、今いろいろ諸般の
事情もあるでありましようけれ
ども、この働く人たちの
政府に対するこういう切実な要求を、前々年からのいろいろないきさつ等もございますので、この際この
程度の要求を通すことのために、ひとつ閣内にあ
つて格別の努力を願いたいと思うのでございますが、これに対して大臣はどういうふうな御
見解をお持ちにな
つているか、もう一ぺん重ねて御決意のほどを承りたいと思うわけであります。