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国務大臣(大達茂雄君) 日本教職員組合が事実どういうあり方をしているかということは、これはなかなか外観からは臆測できない点が多く、又実情は詳細には私
ども承知をいたしておりません。今
お話になりました前後二回に亙る
質問書ということでありますが、これは新聞等において報道されて、御承知の
通りにあれは先月の八日であります。日教組の石井、佐藤という二人の人が日教組の幹部に対して声明書並びに理由書というものを出しまして、そうしてまあ日教組から脱退したのか、或いは日教組の組合員ではないということであります。まあ辞表を出したというのか、その点はつきりいたしませんが、とにかく日教組との
関係を断絶をして、そうして私のところへ参
つたのであります。私のところへ参
つた。私は、会見は五分間足らずの間でありまして、詳しいことは聞きませんし、又聞くつもりもありませんでした。ただ本人が、二人の人が来て私に、まあ向うが言
つただけで、私は何も聞かなか
つたのですが、言
つたことは、日教組の内情は実に紊乱を極め、又そのと
つておる教育に関する
考え方というものはひどいものだ、であるからして、
自分たちはもはやこういう者と一緒について歩けないから、
只今その
関係を断絶して参りました。そこで今の声明書、そうして
意見書というものを私に差出しまして、かくのごときものであるから、文部省においても十分日教組の真相についての認識を深めて、教育のために御尽力を頂きたい、こういう趣旨の
挨拶でありました。そこで私はその内容を見たのでありますが、この声明書は極く抽象的なものであります。それから
意見書というものを見ますというと、これは大体日教組内部の会計の紊乱、不正、ここに収賄というような字が使
つてあるようでありますが、とにかく横領とか、背任に該当するような紊乱、不正、その点と、そうしてその次には非常にこの党派的な教育というものをしている。いわゆる偏向教育をしている。それから
政治的な活動というものが依然として盛んに行われている。そのうち具体的な……、そういう三点がこの
意見書の骨子であります。そのうちに、船橋市で目教組の会合があ
つて、秘密な会合を催して、そうしてそこで日政連の会員の倍加運動、それから新会員からして一人当り十円の
政治資金を徴収することを
決定した、それから来たるべき総
選挙、これは
解散を想定しているのだろうと思いますが、に際して、かねて諸君が総評を通じて言明している
政治的目標、即ち
吉田内閣を打倒し、階級
政党たる左右社会党及び労農党を支持するために多額の資金と人員を動員する
計画、こういうものがきめられたということが、その
意見書というものの中に書いてあ
つたのであります。
そこで私
ども文部省の立場といたしましては、組合の内部の不正、紊乱、或いは又これは一種の内紛であると報ぜられておりますが、どういういきさつでその両人が日教組と手を切
つたのか、これらの点については関心は持ちましても、これは日教組の内部
関係でありますから、我々として立入
つてせんさくすべき筋合いのものではありません。ただ船橋市における会合をして、そうしてすでに教育二法成立の今日において、
政治的活動、総
選挙を目標としての打合せ
会議をしたということであれば、これは文部省の立場としてその真相を知らなければなりません。それからいわゆる偏向教育というものを教研大会を通じて推進している、こういうことがありますから、その点もこれは本当か嘘か聞いてみなければわからないことでありまするが、私はどういうことでこの石井、佐藤という者が日教組を脱退したか、又それがどういう人間であるかということは知りません。この二人の人の言うこと、それから
意見書、それを直ちに信用するということはできません。併し書いてあることは、今のような内容を盛
つてあるから、これは日教組に一応聞かなければならん、こういう
考え方をしたわけであります。
そこでこれは十一月の十三日の日付を以て
質問書を日教組に差出したわけであります。(「ややこしいよ」「日教組に行
つて聞けばいいよ」と呼ぶ者あり)だからして
質問を出したのであります。
質問の要点は、そういうことであるが、左記の点について差支えがない限り
一つ知らせてほしい、その
一つは「過日千葉県船橋市において秘密裡に全国代表の会合を持ち」、こういうことが
意見書に書いてあるが、それについてこの
会議の
出席者には教育公務員が含まれていたかどうか、これが一点。それからその次には「日政連会員倍加運動と
政治資金の徴収につき
決定した」と述べられてあるが、その実情はどうなのか。それから「来たるべき総
選挙に対する
計画が立てられている」と書いてあるが、その実情はどうであるか、こういう点。それからその次には「教育研究大会を通じ組織的
計画的に向ソ反米の一方的教育を平和教育と称して全国に押し拡げようとしている」と書いてあるが、その実情如何、こういうことを問合せたのであります。それに対して十五日付を以て、日教組から書面を以て回答がありました。それからなお、その
質問書を出した場合に、なお日政連本部事務局の編集にかかる「教育公務員と
選挙のための
関係法規」、こういうパンフレットを日教組の地方支部に対して配付されてお
つたということを聞いておるが、これを参考にしたいから、その一部を差支えなければ
一つ分けてもらいたい、こういうことを申出たのであります。それに対しての回答です。その回答は十一月十五日付回答、この回答によりますと「一、貴職より寄せられた
質問事項は、明らかに組合運動に対する不当干渉と思われるので回答する筋合いのものではありません。(「当然のことだ」と呼ぶ者あり)二、併し石井、佐藤
意見書なるものは余りに悪意に満ちた企らみによるものであり、教育の正しい発展と教員組合の正常な前進のために、
国民に与えた誤解を解く必要があります。三、而も昨日の
共同通信社の報ずるところによれば、貴職は当組合の書記であ
つた石井、佐藤をそそのかし今回の破壊工作を
計画された中心的人物の一人であるやに伝えられます。よ
つてこれらの諸
事情を考慮し、今回に限りお答えする次第であります。」、こういう長々しい前文句を以て答弁をしておる。それからなお「日政連本部刊行のパンフレットを一部分けてくれとのことですが、日政連と日教組は全く別
人格の団体であり、我々の関知するところではありません。」、こういうはつきりした答えであります。それからその次はその回答の内容になる「五、本年七月、千葉県船橋市において全国書記長
会議を開催いたしましたが、すべて現地公安
委員会に連絡済みであり、秘密裡に会合を持
つた覚えはありません。」、これは私はその船橋の料理屋で開催されたように聞いております。戸外で会合したのではないので、これを一々現地公安
委員会に連絡したということであれば、これは非常に鄭重な扱いで、成るほどこれは秘密のものではなか
つたでありましよう。それから「六、右
会議において日政連の会員倍加運動や
政治資金の徴集並びに総
選挙に対する
計画等につき
決定したことはありません。」、それから七です。「我が日教組の教育研究大会の成果については岩波書店、国玉社等より「日本の教育」と題してすでに公刊され、
国民の各階層の方々から高く評価され、国際的にも関心を寄せられていることは貴職も御承知の
通りであります。」、こういう、これは初めの
質問書に対する回答であります。
只今お聞きとりを頂きましたように、大体全部事実を否定してただ私が陰にな
つて操
つたとか、そういう要らんことを書いておるのであります。事実無根であるということを書いたというだけのものであります。そうして日政連と日教組というものは全然何の
関係もない団体であるということをはつきりと言明をいたしたのであります。これは併し私は本気にはいたしません。
ところがその後日教組は十二月二日……、よく存じませんが、十二月に入
つてから中央
委員会というものをいたしたのであります。ところが中央
委員会の席上において文部省としてはこれを看過することのできない内容の発言があ
つたのであります。でありますからして、これに対して更に
質問書を出したのであります。これは十二月の三日付であります。この
質問書を読んでみますと、「十二月一日の貴組合第三十五回中央
委員会において、元貴組合書記石井、佐藤両氏の
意見書発表にからまる問題について左記趣旨の発言があ
つたとのことでありますが、文部省
関係について下記事項を折返して明確に御回答を願いたいる記一、
小林委員長は、
自由党と文部省は石井、佐藤をスパイに仕立ててこれに百万円以上の金を投じた旨を述べたとのことであるが、事実果してそういうことを言うたか否か、」これが
一つ、その次に、「平垣書記長は、石井、佐藤問題の背後に
自由党より五十万円、文部省はその
予算の中から百万円を出したと言われておる、これは言われておるということ、出したとは言わないこと、と述べたとのことであるが、事実果してそうであるか。」それから第三番目には「青森県代表の
小林委員長は百万円以上が投ぜられているなどと述べたが、かかる根拠不分明のことを軽々に述ぶべきではない、こういうことを青森県代表が発言した。その発言に対して
委員長は、私の発言は個人の発言ではない、五十万日教組全員を代表して述べているのである。百万円以上ということも確たる証拠があ
つて言
つていることであると述べたとのことであるが、事実はそうであるか。四、前各項につきそういうことを述べたということが事実であれば如何なる証拠に基いてさような発言をせられたが。」これが三日付で文部省から出した
質問書であります。これは日教組で従来いろんなことを申しております。これは日教組の批判であり、
考えでありますから、それを一々私のほうから文句を言う筋合はありません。現に、もう先ほど読み上げましたように、第一回の
質問に対する回答の中にも、文部
大臣が石井、佐藤をけしかけて手先に使
つた中心的人物であるというような噂があるということを書いてある。これは噂があるということは要らぬことでありますが、書いたのは何も
関係がない。併しそういうことをただ噂として書いたのだから、これは私としては何も開き直る必要もないのであります。ただ併し中央
委員会における文部省がその
予算の中から百万円を出してそうして石井、佐藤を買収した、それについては確たる証拠がある、こうり言
つておるのです。これは文部省としてそのままこれを不問にするわけにいかないことは理の当然であります。でありますからして、これに反対しては幾ら何があ
つても、
質問せざるを得ないのであります。そこでそれに対して翌四日、即ち昨日でありますが、昨日日教組から私
どもに対して会見の申込みがありました。そこで私が会
つたのでありますが、これは回答するということであるが、実際は回答でも何でもないものを持
つて来たのであります。ここにその申入書というものを
ちよつと持
つて来たのですが、こういう趣旨の申入書というものを持
つて日教組代表の人が私のところに参りました。これは趣旨であります。その趣旨によりますと、「一、
質問状は受理した、二、貴職就任以来の日教組に対する破壊的言動については確信すべき諸事実がある。これについて事理黒白を明らかにしたいので十二月の七日日教組本部において会見を申入れる。」こういう趣旨の申入書というものを持参したのてありますが、私のほうは事実があるがないかということを聞いたのであ
つてこれはそれの返事にはなりません。そこでこれは申入書は申入書として返事のほうはどうなるかということを私は聞いてみたのであります。ところが代表の人の説明によるというと、この回答も含めて、その問題も含めて文部
大臣の日教組に対する破壊的言動に対する事理黒白を明らかにするのだから、そのときに、回答はその中に含まれるのである、こういうことでありました。私はこの申入れを拒否いたしました。これはここに今読みましたように、私としては事実は申入れに応じて会見をしたくてもできないような
関係にこしらえております。十二月七日といえば、これは現在開会されておる
国会の恐らくは一番大事な日でありましよう。到底こういう日に出るわけはありませんから、だから私はこれは断らざるを得ん。それから日教組はその返事をするについて、そこでそうであ
つたとか、なか
つたとか一口言えば済むことを、わざわざ神田橋まで私に出て来い、こういうことは私としては受理し得ないことは理の当然であります。恐らくは日教組といえ
どもそういうことを私が承知すると思
つて持
つて来たものとは思いません。承知して是非来てもらいたいというなら、適当な都合のいい日だとか、適当な場所だとかいうことを言うべきであ
つて、よりもよ
つて七日の日に、七日ですよ、神田橋まで来いなんということは、これは恐らくは日教組自身も断られることを承知の上であろうと思います。そこで私は断りまして、それじや帰るというから、いやそれは申入れは断
つた、併し私のほうから出した
質問に対しては返事をするのかしないのか、決して返事を無理にせよとは言わない、又返事を強いる私に何の権利もありません。この頃は罪人にも黙秘権というものがあるのだから無理に返事をさせるカはない、返事をしないならしないでいいからしないということをはつきりして欲しい、するかせんかをはつきりして欲しいということを念を押した。ところが代表の諸君は文書を以てはいたさん、口頭を以てならまあすると言う、口頭を以てするということは神田橋まで来れば(笑声)、こういう
意味のようであります。大体経過は以上の一
通りであります。(「関連
質問」「関連
質問」と呼ぶ者あり)